JP4342644B2 - 心内電気現象診断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、心臓内の電気生理的現象を解析し表示する心内電気現象診断装置に係る。とくに、好適には、被検者の心臓から発生されている微弱磁界(磁場)を検出して心磁図(MCG:magnetcardiogram)を収集し、この心磁図から心臓内電気現象を解析する心磁図計測装置に関する。さらに詳しくは、被検者の胴体の動きを考慮した心磁図データの測定及び解析、及び、その解析時に必要な心臓の位置情報をより容易に取得することができる心磁図計測装置などに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、生体磁界計測装置は、SQUID(superconducting quantum interference device: 超伝導量子干渉計)を用いた超伝導システムの代表格として研究開発が進んでおり、人体などの被検者の脳から発生する微弱な脳磁界や心臓から発生する微弱な心磁界を計測・解析する装置である。この内、脳磁界を計測・解析する装置は脳磁図計測装置と、心磁界を計測・解析する装置は心磁図計測装置と呼ばれている。
【0003】
心磁図計測装置により計測される心磁図は、心臓の電気的活動に因って発生する磁場を胸面上で検出した波形情報である。この心磁図を収集するには、以前は、1ch又は7ch程度の少数チャンネルのSQUIDセンサ有するSQUID磁束計を用い、この磁束計全体の位置を少しずつ移動させながら胸前の測定範囲を多数回に分けて計測を行っていた。
【0004】
しかし、近年では、多チャンネルのSQUID心磁図計測システムが開発され、測定範囲全体を一度にカバーして計測できるようになっている。このように計測した心磁図は、右室負荷試験や左室負荷試験を通して心肥大や心筋症、狭心症などの検出に有効性を発揮することが分かっている。心磁図を用いてこれらの病気を診断するには、心磁図のその波形が胸面のどの位置で計測したものであるかが重要な情報になる。また、心磁図のパターンも診断に利用されるので、心磁図の被検者胸部に対する位置関係を再現性良く計測することが重要である。
【0005】
<解析法の従来例>
心磁図あるいは心電図の計測結果から心臓内の興奮伝播過程や活動電位振幅あるいは導電率の分布を解析し表示する技術が、本発明者らによって特願平9−135627に示されている。この方法は計算機内に心室の形状を表すモデルを構築し、そのモデルに興奮到達時刻や活動電位振幅(あるいは導電率、電流ダイポール密度)の分布を設定し、それに基づいてQRS期問にわたる心電図あるいは心磁図の空間分布および波形を計算し、測定した心電図あるいは心磁図と計算した心電図あるいは心磁図との差がなるべく小さくなるように、心室モデルに設定する興奮到達時刻や活動電位振幅などの分布を変更していって、最終的に得られた興奮到達時刻や活動電位振幅の分布を最終的な解析結果とし、画面などに表示するものである。
【0006】
この方法を適用して心内電気現象を解析する場合、予め心臓の形状および位置が既知となっている必要がある。心臓の形状、位置、向きを計測してモデル化する方法としては、別に撮影した患者のMRIなどの画像から心臓の位置、向き、および形状を測定し、計算機の画面上で手作業で心臓モデルを構築するか、あるいは特願平9−135627に開示されているようにΜRI画像等から自動的に心臓モデルを構築する方法が知られている
<位置合わせ法(1)>
心磁図計測装置を被検者の胸部前面に配置した後、胸部とSQUIDセンサの位置合わせが行われる。この位置合わせは、被検者の胴体の特徴点(例えば、胸骨丙中央くぼみや剣状突起)とセンサ容器に付けた基準目印とを目視で合わせることで行われる。この位置合わせ後、被検者には動かないように指示して心磁図が計測される。この位置合わせ法の場合、それほど高い精度が確保できないが、心磁図の時間波形やパターンから診断を行うときには使用可能な手法である。
【0007】
<位置合わせ法(2)>
一方、近年の心磁図計測装置は、計測した心磁図をそのまま診断に供する機能のみならず、その心磁図を解析して心臓内電気現象を推定する機能を備えている。シングルダイポール法はその推定法を代表するアルゴリズムであり、ある瞬間の胸面上の磁場分布に基づき、1点に限局して存在すると仮定した磁場の発生源(電流ダイポール)の位置を推定することができる。この電流ダイポールの推定位置をMRI(磁気共鳴イメージング)によって得られた胸部の画像に重ね合わせると、心筋の電気的活動の位置を特定することができる。
【0008】
この重ね合わせを行うには、電流ダイポールの推定位置がMRI画像上のどの位置に相当するのかを決めなければならない。これを決定するには、被検者の胴体の特定位置とSQUIDセンサ(磁場センサ)の位置関係を定めること、及び、胴体上の実際の特定位置がMRI画像上でどこの位置になるのかを知ることが必須である。このように心臓内電気現象の推定診断までも行う場合、最初の位置合わせにずれがあると、推定される電流ダイポールの位置もずれてしまい、診断能の低下を招来してしまう。このため、このような診断には、高い位置合わせ精度が要求される。
【0009】
この高精度の位置合わせを行える従来法として、3次元デジタイザを用いるものが知られている。この心磁図計測装置では、被検者の胸部に配置された胸部上の特徴点の位置及びSQUIDセンサに標された標識位置が3次元デジタイザで正確に計測され、両者の位置関係が求められる。
【0010】
この後、被検者には動かないように指示して心磁図が計測される。電流ダイポール位置などの推定結果をMRI画像上に重ね合わせるときには、通常、目視により、胸部の特徴点の位置がMRI画像上で指定され、これを基にして重ね合わせが行われる。なお、胸部の特徴点の代わりに、体表の任意位置に付けた印を用いることもある。この場合には、かかる体表上の任意位置にMRIで描出されるマーカを付けてMRイメージングがなされる。これにより、体表上の任意位置の印とMRI画像上のマーカとを位置合わせすることができる。
【0011】
<加算平均処理>
前述したように、心臓から発生する磁場の強度は非常に微弱である。計測環境中に普通に存在する環境磁場の影響を抑制して心磁図を精度良く計測するには、磁気シールドルームやグラジオメータといったハードウエア上の工夫もさることながら、加算平均による後処理も有効である。つまり、複数の心拍にわたって心磁図を計測し、各心拍の同じ時相のデータ同士を重ね合わせて加算平均する。この加算平均の手法を併用することで、磁気シールドルームをより簡易な構造のものにできるといったメリットがある。
【0012】
<運動負荷心磁図>
運動負荷を掛けながら心磁図を計測する手法がある。例えば虚血性心疾患の診断には、運動負荷を掛けて虚血を誘発させる検査が行われることがある。運動前、運動中、及び回復後の心磁図が夫々計測され、計測した運動負荷心磁図の時間波形やパターンから診断を行ったり、シングルダイポール法などを適用する場合には、この計測の期間にわたって胴体とSQUIDセンサの位置関係が一定に保持されるか、あるいは、その位置関係を逐次、計測しておくことが必要である。
【0013】
<心臓内電気現象の解析方法>
心臓内電気現象として、心臓内の興奮伝搬過程及び活動電位振幅分布(又は電流密度分布や導電率分布)を解析する手法が知られている(例えば、特開平10−323335号公報)。この解析を行うには、心室の形状及び位置の情報(すなわち、SQUIDセンサに対して心室がどこにあるかの位置情報)が必要である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の心磁図計測装置にあっては、とくに運動負荷時など、被検者が計測中に動く又は動かざるを得ない場合、その動き(運動)の影響が大きすぎて心磁図計測の精度が低下し、さらに心臓内電気現象の推定精度も劣化するという問題がある。この問題は具体的には以下のような態様で表れる。
【0015】
(A).被検者に動かないように指示することは、被検者の心理的負担が大きくなるので、極力、そのような指示は出したくない。
【0016】
(B).運動負荷時の心磁図を計測する場合、運動に拠って被検者の呼吸が荒くなるなど、被検者の動きを制限することは殆ど不可能である。このため、計測中に胴体に動きがあると、心磁図波形の胸面上の位置が心拍毎に異なってしまうため、加算平均により心磁図波形が変形してしまう。
【0017】
(C).シングルダイポール法などの従来の推定方法は、推定した電流ダイポールの位置をMRI画像に重畳して表示するので、MRI画像を別途、撮影する必要がある。このため、例えば不整脈の検査を行うときに通常は必要ないMRI撮影が必要になる。したがって、検査コストも上がってしまうという問題があった。
【0018】
(D).推定結果をMRI画像に重畳するには、MRI画像とSQUIDセンサとの間の位置関係を3次元デジタイザなどの装置を用いて計測する必要がある。運動負荷心磁図を計測する場合、被検者は計測用の寝台上で負荷運動を行うか、専用の負荷機器(トレッドミル、自転車エルゴメータなど)から負荷運動を受けるようにし、運動負荷前の安静時、運動負荷中の数分置き、及び運動負荷後の数分置きに心磁図計測用の寝台上に横になって計測を行うことになる。いずれの方法にしても、負荷中に体位の変化は殆ど避けられない。したがって、心磁図計測の度に位置計測をし直す必要がある。
しかし、従来の方法は位置計測に手間が掛かるため、迅速に位置計測することができず、位置計測と心磁図計測のために運動負荷を休止する時間が長くなり、運動負荷心磁図検査としては好ましくない。
【0019】
(E).正確に位置合わせした後であっても、被検者の疲労及び荒い呼吸などに因り患者の動きを完全に抑制することはできず、位置ずれに起因する誤差は回避不可能であった。
【0020】
本発明は、上述した従来技術に伴う様々な困難を打破すべくなされたもので、以下の事項を目的とする。
【0021】
運動負荷などに因り体位の変動が生じても、心磁図を加算平均したときの心磁図の変形が無く、且つ、加算平均による雑音低減効果を十分に発揮させることができる心磁図計測装置などの心内電気現象診断装置を提供することを、第1の目的とする。
【0022】
また、心室の形状や位置の情報を必要とする逆問題解析(すなわち、心臓内電気現象の推定)を行うときに、心臓の位置、大きさ、形状などを別途(事前に)計測しなくても、かかる解析を行うことができる心磁図計測装置などの心内電気現象診断装置を提供することを、第2の目的とする。
【0023】
さらに、被検者に動かないように指示するなど、計測時の体動を制限することに因る心理的負担を解消するとともに、計測時間を短縮することができる心磁図計測装置などの心内電気現象診断装置を提供することを、第3の目的とする。
【0041】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述した目的を達成するため、被検者の心臓の電気的活動に伴って発生する磁場又は電位を体外又は体表でセンサを通して測定する手段と、心臓の位置及び向きと磁場又は電位測定手段のセンサとの位置及び向きの関係、並びに心臓又は胴体の形状を表現する特徴量を必要とする解析法を前記磁場又は電位の測定値に適用して心臓内の電気生理的現象を解析し提示する解析・提示手段とを備えた心内電気現象診断装置において、前記特徴量の最適値を前記測定値から推定する手段を備えたことを特徴とする。
【0042】
この場合、前記解析・提示手段は、前記測定値の中の第1の測定値から前記特徴量と共に興奮到達時刻分布と心筋電気活動量分布を解析する第1のステップと、前記測定値の中の第2の測定値から、前記第1のステップで得た興奮到達時刻分布を参照して前記特徴量と共に心筋電気活動量分布を解析する第2のステップとを実行する手段である。例えば、前記第1又は第2の測定値は、異なる測定条件における測定値の差である。また例えば、前記解析・提示手段は、前記測定値から興奮到達時刻分布を前記特徴量と共に解析する第1のステップと、この第1のステップで得られた興奮到達時刻分布を参照して心筋電気活動量分布を前記特徴量と共に解析する第2のステップとを実行する手段であってもよい。。
【0043】
また、前記被検者の呼吸を表す呼吸信号を計測する呼吸計測手段と、前記特徴量、前記呼吸信号および前記磁場又は電位の測定値が予め定められた関数で変化すると仮定して当該特徴量を推定する特徴量推定手段とを備えることもできる。この場合、前記特徴量推定手段は、前記磁場又は電位の測定値、前記特徴量および前記呼吸信号が1次関数で表されると仮定して、前記特徴量を推定する手段とすることができる。一方、前記磁場又は電位の測定値が、前記特徴量と1次関数で表されると仮定して、前記特徴量を推定する特徴量推定手段を備えることもできる。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る心内電気現象診断装置を、添付図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態やその変形形態にあっては、心内電気現象診断装置の一例として、心磁界を体表外で測定して心臓内の電気生理的現象を解析し表示する心磁図計測装置を説明するが、以下に述べる手法は、心臓の電気的活動に伴って発生する電位を体表で測定した測定値から心臓内の電気生理的現象を解析し表示する装置にも同様に適用できる。
【0045】
<第1の実施の形態>
第1の実施形態に係る心磁図計測装置を図1〜図5に基づき説明する。
【0046】
この心磁図計測装置は、測定した心磁図データから心室の位置を推定し、これにより、MRI装置などのモダリティを用いた心室位置の測定を省くことができ、被検者の計測中の体動を抑制する手段をわざわざ設けなくても済むという特徴を有する。
【0047】
まず、心磁図計測装置の電気的な概略構成から説明する。この装置は、図1に示す如く、磁気センサとしてのSQUID磁束計11、解析及び制御用のコンピュータ装置12、心臓の画像を収集する画像収集装置13、画像転送装置14、及び呼吸モニタ装置15を備える。
【0048】
SQUID磁束計11は、SQUIDセンサ11a及び駆動回路11bを備え、高感度な磁気センサとしての、マルチチャンネルSQUID磁束計である。このSQUID磁束計11は胸面上の数点での心臓磁場波形をSQUIDセンサ11aで検出し、その波形信号を駆動回路11b内の回路で増幅及びフィルタリングし、コンピュータ装置12に送る。
【0049】
コンピュータ装置12は、その入力側に設けた信号収集回路12aと、この回路12aに接続された演算処理装置12bと、この装置に接続された入力装置12c、記憶装置12d、及び表示装置12eとを備える。SQUID磁束計11から送られてきた波形信号は、信号収集回路12aでA/D変換されてデジタルデータになり、演算処理装置12bに取り込まれる。
【0050】
画像収集装置13は、例えばMRI装置、X線CT装置、超音波診断装置などの3次元画像データを収集できるモダリティの一つ又は複数の装置で構成される。このため、画像収集装置13は、被検者の心臓を含む領域の複数枚の断層像データを収集することができ、これを画像転送装置14に送る。
【0051】
画像転送装置14は、送られてきた被検者の断層像データをコンピュータ装置12に転送する。この画像転送装置14は好ましくは、ネットワークを経由して又は記憶媒体により断層像データをコンピュータ装置12に転送する構成を有する。つまり、前者の場合、画像転送装置14はネットワーク通信装置として構成され、後者の場合、外部記憶装置として構成される。また、必要に応じて、画像転送装置14は画像フォーマットの変換や3次元画像データへの再構成を行うように構成される。これらの変換や再構成の処理は、図示しないCPUが図示しないメモリに記憶させたソフトウェアプログラムを実行することによりなされる。
【0052】
コンピュータ装置12は、心臓内の興奮伝搬過程を解析するための解析演算の機能を有し、この機能を前述した演算処理装置12b、記憶装置12c、入力装置12c、及び表示装置12dで実現する構成を採っている。演算処理装置12bは、図示しないCPUをその主要回路として備え、記憶装置12cに格納した興奮到達時刻及び活動電位振幅の解析プログラムや画像転送・解析結果の表示などを実行するプログラムを読み出して順次、処理するようになっている。
【0053】
呼吸モニタ装置15は、被検者の胸部に取り付けられる呼吸計測装置15aと、この装置15aを制御する制御回路15bとを備える。呼吸計測装置15aの概略構造の例を図2(a)〜(c)に例示する。これらの構造はいずれも公知のものであり、呼吸状態を計測することができるものであれば他の構造のものであってもよい。
【0054】
同図(a)の呼吸計測装置15aによれば、被検者に空気バッグABとベルトBTが取りつけられ、空気バッグAB内の圧力が呼吸に応じて変化するように構成されている。この変化する圧力が圧力センサPSにより検出され、制御回路15bに送られる。また、同図(b)の呼吸計測装置15aは、被検者に伸縮可能なベルトBTを取りつけるもので、このベルトBTは例えばゴムなどの伸縮可能素材に炭素粉末を混入させて構成される。このため、ベルトBTが伸縮すると、その抵抗値が変化するので、この抵抗値の変化を制御回路15bにより検出することで呼吸状態を計測するようになっている。このベルト構造に替えて、水銀を充填させたチューブを用い、呼吸に伴うチューブ内の水銀の抵抗値変化を検出する構造を採用してもよい。さらに、同図(c)の呼吸計測装置15aは、ベッドBDに複数の圧力センサPSを配設し、呼吸時の体動に因る圧力変化を計測する構造を有している。
【0055】
演算処理装置12bは、一例として、図3に示す手順にしたがって興奮到達時刻及び活動電位振幅の分布を推定解析する。
【0056】
これを説明すると、演算処理装置12bは、まず、SQUID磁束計11から供給された磁場波形データ及び呼吸モニタ装置15から供給された呼吸信号を信号収集回路12aを介して入力する(図3のステップS1及び図4(a)参照)。呼吸信号は、ここでは、被検者の動きを表す計測信号の一態様として扱われる。
【0057】
この磁場波形データ及び呼吸信号は次いで信号処理に付される(ステップS2)。この信号処理として、磁場波形データに対しては、雑音除去のためのフィルタ処理、各種の補正演算などが実行され、心磁図のQRS群及びT波が各心拍毎に抽出される(図4(b)参照)。また、呼吸信号に対しては、抽出した各心拍の心磁図波形と同じ時間帯の呼吸信号も同時に抽出され、記憶装置12dに記憶される(図4(b)参照)。各心拍に対応する磁場波形データ(心磁図データ)はB1,Β2,…,ΒNとして記憶装置12dに記憶される。Βkはk番目の心拍に対するサンプリング時刻毎の磁場分布を縦に並べたベクトルを表す。また、対応する呼吸信号の波形をf1,f2,…,fNとして記憶装置12dに記憶される。fkはk番目の心拍に対する呼吸信号の値をサンプリング時刻毎に縦に並べたベクトルを表す。
【0058】
次いで、演算処理装置12bは画像転送装置14から複数枚の断層像データを入力し、この画像データを用いて心室形状および心室位置・向きを測定し、この測定結果から複数の6面体から成る心室形状モデルを構築する(ステップS3,S4)。このようにして測定し構築した心室形状モデルの模式図を図5(a),(b)に示す。測定した心室の位置は3次元の座標x0,y0,z0により表現され、記憶装置12dに記憶される。心室の向きはオイラーの角θ0、φ0、ψ0で表現され、同様に記憶装置12dに記憶される。
【0059】
次いで、演算処理装置12bは、画像収集装置13からの画像データから設定した心室の形状及び位置、並びに、抽出した心磁図データに基づいて心室内の興奮到達時刻分布及び活動電位振幅分布の解析を行なう(ステップS5〜S12)。
【0060】
興奮到達時刻分布および活動電位振幅分布を解析するアルゴリズムとしては、例えば順ニュートン法、共役勾配法、コンジュゲートディレクション法、シミュレーテッドアニーリング法、遺伝的アルゴリズムなど各種の非線形最適化アルゴリズムを使用できる。
【0061】
これらの典型的なアルゴリズムには興奮到達時刻分布・活動電位振幅分布の初期値設定処理(ステップS5)、心臓内電流源分布の計算処理(ステップS6)、磁場計算処理(ステップS7)、誤差算出処理(ステップS1O)、及び、興奮到達時刻分布・活動電位振幅分布の変更処理(ステップS9)が含まれ、誤差算出結果が最も小さくなるように反復される(ステップS8,S11)。これらの処理ステップそれぞれをどのような順序で実行するかは、個々の非線形最適化アルゴリズムにおいて周知であり、採用するアルゴリズムにしたがってその順序が決められる。フローチャートには多くのアルゴリズムに適用される順序を模式的に示してある。以下に各ステップの典型的な処理内容を説明する。
【0062】
ステップS5に係る興奮到達時刻分布・活動電位振幅分布の初期値設定処理では、心内膜・外膜興奮到達時刻の初期値及び活動電位振幅の初期値が設定される。心内膜・心外膜興奮到達時刻の初期値設定により、図5の心室モデルの心内膜側、あるいは心外膜側の全ての頂点に対して興奮到達時刻の初期値が設定される。これは予め定められた範囲内、例えばQRS開始時刻を基準として0〜80msの間でランダムに決定してもよいし、正常心臓の典型的な興奮開始時刻を設定してもよい。活動電位振幅の場合も同様に心室モデルの心内膜側、あるいは心外膜側の全ての頂点に対して心筋電気活動量の初期値が設定される。その範囲は、ランダムでもよく、あるいは正常の心筋電気活動量である約−90mVを全ての頂点に与えてもよい。
【0063】
ステップS6に係る心内電流源分布計算処理では、心室モデルの各6面体内部の興奮到達時刻や活動電位振幅を補間法により演算し、それら補間によって求めた興奮到達時刻と活動電位振幅の値を用いてQRS期間中のいくつかの時刻の興奮波面の形状と興奮波面上の電流源分布が計算される。補間法としては、有限要素法でよく用いられる,例えば(1)式のような補間多項式を用いればよい。補間方法は興奮到達時刻分布を例に説明するが、心筋電気活動量分布に対しても同様の方法が取られる。
【0064】
【数1】
【外1】
【0065】
【数2】
ここで、σは導電率テンソル、Φは活動電位振幅、δ(x)はx≠0では0;δ(0)=∞であり、∫δ(x)dx=lとなる関数である。Ωeは対象とする6面体の領域を表す。6面体内の電流ダイポールの位置は、例えば6面体の重心位置であると仮定すればよい。
【0066】
ステップS7における磁場計算処理では、計算された多数の電流ダイポールの位置、向き、大きさと、MRI装置などの画像収集装置13による収集された画像データから測定・設定した心室位置及び向きx0,y0,z0,θ,φ,ψとに基づき、胸面上に設置された各磁場センサーで計測される磁場をQRS期間中の各時刻毎に計算する。被検者の胴体の導電率分布を無限一様媒質又は半無限平板と仮定してビオーサバールの法則に基づいて計算してもよいし、同心球状導電率球と仮定してサーバスの式を用いて計算してもよい。あるいは、境界要素法や有限要素法を用いて心筋、血液、肺、脂肪層、皮膚などの実形状を考慮して計算するようにしてもよい。このように、画像収集装置13が出力した画像データから求めた心室位置及び向きを用いて計算した磁場波形をC0として記憶装置12dに記憶される。C0はある時刻毎の磁場分布をサンプル時刻毎に縦に並べたベクトルである。同様に心室位置をx軸方向に少しだけ(例えば1cm)移動したときの磁場波形をCx、y軸方向に移動したときの磁場分布をCy、Z軸方向に移動したときの磁場波形をCz、θ方向に心室の角度を少しだけ(例えば10度)回転したときの磁場波形をCθ、φ方向に回転したときの磁場波形をCφ、ψ方向に回転したときの磁場波形をCψとして記憶装置12dに記憶される。
【0067】
また、ステップS9の興奮到達時刻分布・心筋電気活動量分布の変更処理では、心室モデルに設定されている興奮到達時刻分布と心筋電気活動量分布が変更される。具体的にどのように変更するかは各種非線形最適化アルゴリズムにより異なる。
【0068】
さらに、ステップS10の誤差算出処理では、ステップS7で計算した心磁図データとステップS1,S2の処理を介して得た心磁図データとがどの位異なるのかを表す誤差eが計算される。このとき、呼吸に応じて心臓の位置や向きが変化することを考慮するため、k番目の心拍の磁場波形Bk(k=1,…,N)が近似的に次の(3)式のように表されると仮定する。これは、心臓(心室)の位置及び向きが呼吸信号の1次関数で変化し、かつ、心臓の位置及び向きと磁場分布とが線形関係にあるということを表している。
【0069】
【数3】
ここで、αx,αy,αz,αθ,αφ,αψ,βx,βy,βz,βθ,βφ,βψは上記の関数形を具体的に決定する係数である。これらパラメータは、以降の演算により、磁場の測定値から決定される。
【0070】
上記(3)式を行列により表現すると、磁場の測定値Βkを縦に並べたベクトル
【数4】
は
【数5】
のように表される。
【0071】
ただし
【数6】
である。このとき、測定した磁場波形Bとの2乗誤差を最小にする磁場波形は
【数7】
は
【数8】
のように求められる。ここでΑ+はΑのムーア・ぺンローズ一般逆行列である。測定した磁場波形と心臓の動きを考慮して計算した磁場波形の誤差の最小値は次の(9)式により計算する。
【0072】
【数9】
【0073】
上述したステップS6〜S1Oを、採用した非線形最適化アルゴリズムにしたがって反復的に実行する(ステップS8,S11)。これにより、誤差eがなるべく小さくなるような興奮到達時刻と活動電位振幅の心室内の分布が求められる。
【0074】
このようにして推定した興奮到達時刻および活動電位振幅の分布データは表示装置12eに表示される(ステップSl2)。
【0075】
なお、構成面における上記実施形態と本発明との対応に関しては、呼吸モニタ装置15が本発明の呼吸計測手段及び体動計測手段を成す。また、SQUID磁束計11、信号収集回路12、演算処理装置12b、及び記憶装置12dが本発明の心磁図測定手段の要部を形成する。さらに、演算処理装置12b及び記憶装置12dが本発明の特徴量推定手段及び解析演算手段を機能的に構成する。
【0076】
(効果…その1)
このように、本実施形態の推定解析によれば、測定した呼吸信号と心臓の位置及び向きとの関係が予め定義付けられた状態で解析が行われるという効果がある。この効果を、従来法と対比させながら説明する。
【0077】
心内電気現象をより正確に解析するには、心室(心臓)モデルの位置及び向きは、解析に用いる心磁図を計測したときの心臓の位置及び向きと一致していることが望ましい。しかし、心臓の位置及び向きは被検者の呼吸に応じて大きく動くことが知られている。このため、従来のように呼吸に因る心臓の動きを何ら考慮せず、心磁図波形を無作為に抽出して解析を行うと、MRI装置などの画像収集装置で断層像を撮影したときの呼吸相(呼吸の位相)と心磁図を計測したときの呼吸相とが異なってしまうという状態が頻発する。そのような状態が発生すると、心臓モデルの位置及び向きと心磁図を計測したときの心臓の位置及び向きとが異なるので、正確な解析を行うことができなかった。
【0078】
これに対し、本実施形態の解析によれば、計測した呼吸信号と心臓モデルの位置及び向きとの関係が予め定められた関数形を採るとして、呼吸に因る心臓の動きを組み込んだ状態で解析される。つまり、呼吸に因る心臓の位置及び向きの変化が考慮されて解析される。加えて、かかる関数に含まれるパラメータは、測定磁場分布データから決定するように解析演算が実行されるので、具体的な関数形を予め知る必要が無く、呼吸信号に沿って心臓がどの位置及び向きに移動するかは測定磁場分布から決定される。したがって、MRI装置などで断層像を撮影したときと解析に用いる心磁図を測定したときとで、心臓の位置及び向きが呼吸相の違い等に因り異なっている場合であっても、常に安定且つ高精度で興奮到達時刻分布や活動電位振幅分布などの心内電気現象に関わる量を解析することができる。
【0079】
(効果…その2)
また、本実施形態の推定解析の処理における別の効果は、呼吸信号と心臓の位置及び向きの関係とを表す関数に含まれる少なくとも1個のパラメータを、測定した磁場分布データから決定することである。心臓内の電気現象の分布を推定する従来法の場合、通常、SQUIDセンサに対する心室位置や向きを前もって知っている必要がある。これに対し、本実施形態によれば、心室位置は、測定した心磁図パターンと逆問題モデルに基づいて算出した心磁図パターンの残差が小さくなるように定められる。これにより、心室の位置や向きが予め分かっていなくても推定できる。したがって、MRI装置によるそれらの測定が不要になり、検査コストおよび検査時間が低減される。
【0080】
なお、上記パラメータの決定を、本実施形態では線形最小2乗法により行う例を説明したが、本発明は必ずしもこれに限るものではない。例えば、非線形最適化アルゴリズムにより反復的に行って、かかるパラメータを決めるようにしてもよい。
【0081】
(効果…その3)
また、本実施形態によれば、前述したように、呼吸に拠る心臓の位置変化が考慮されて推定解析が行われるので、運動負荷時などに見られるように、呼吸に拠る心臓の動きが大きい場合でもそのことに起因した解析精度の低下を防止できる。したがって、運動負荷時の心磁図データも高精度に解析でき、虚血性心疾患などに対する高い診断精度を確保できる。さらに、運動負荷時に体動抑制するように指令しなければならないといった、被検者にとって殆ど無理な注文を出さなくて済むので、検査が受け易く、また行い易くなる。
【0082】
(効果…その4)
さらに、本実施形態における別の効果を説明する。実用新案登録第2527395号には、呼吸検出装置を備え、この装置により検出された呼吸周期の内の所定位相に対応する心磁図データのみを取り出して加算するSQUID磁束計が記載されている。この技術と特願平9−135627号に記載の、MRI装置などの画像から自動的に心臓モデルを構築する手法とを組み合わせ、同一の呼吸相に同期させて加算平均した心磁図を用いて興奮到達時刻分布や活動電位振幅分布などを解析すれば、特定の呼吸相に対応する心磁図を得ることができると考えられる。一方、MR撮影を行うときに、心磁図と同一の呼吸相となるように息止め或いは呼吸同期で撮影を行う。例えば、MR撮影時には軽く息を吸った時点で息止めして撮影し、心磁図を抽出するときに、最大吸気付近の心磁図データを加算平均する。このような手法を採用すれば、心磁図に対応する呼吸位相とMR撮影時の呼吸位相を大体、一致させることができると考えられる。
【0083】
しかしながら、この手法の場合、MR撮影時の呼吸深さは患者に対するオペレータの主観的な指示に基づくものである。このため、心磁図の加算時に用いる呼吸モニタも吸気量を定量的に計測する要素たり得ないことから、呼吸の深さを完全に同一にすることができず、心臓の位置や向きのずれに拠る解析精度の劣化を完全に取り除くことはおよそ不可能であった。
【0084】
また、呼吸の同一位相のみの心磁図波形を加算平均する手法であるため、特定の呼吸位相の心磁図を計測するために、例えば100回の加算平均を実行するためには少なくとも100回以上の呼吸に対応する期間の心磁図を計測する必要がある。この期間は100心拍分の時間よりも常に相当に長いことから、計測時間が長期化してしまうという状況を招来していた。
【0085】
これに対して、本実施形態によれば、前述したように、呼吸に因る心臓の位置及び向きの変化が考慮されて解析されるので、常に安定且つ高精度で興奮到達時刻分布や活動電位振幅分布などの心内電気現象に関わる量を解析することができる。また、上述した計測時間の長期化については、例えば100心拍分の心磁図データを使って加算平均を行う場合、100心拍分きっかりの心磁図データと呼吸信号を計測するのみでよい。したがって、計測に要する時間を大幅に短縮することができ、100回の加算平均を行う従来法と同等な解析精度の改善効果を得ることができる。
【0086】
なお、本実施形態では、呼吸信号と心臓の位置及び向きとの関係は1次関数で表されると仮定したが、本発明はこれに限るものではない。例えば呼吸信号の非線形関数値と心臓の位置及び向きの関係が1次関数で表されると仮定してもよいし、1次関数の代わりに2次関数やスプライン関数など、他の多項式で近似するようにしてもよい。
【0087】
また、上述した実施形態では、呼吸に対応して変化するのは心臓の位置及び向きのみであるとし、心臓の位置及び向きの表現法として3次元座標による位置及びオイラー角を用いたが、本発明は必ずしもこれに限るものではない。例えば、呼吸に応じて変化する変数として、心臓の位置及び向きのほか、例えば心室の長軸長さなど、心臓の形状を表現できる特徴量が含まれていてもよいし、心臓の位置、向き及び大きさを表現するのに、3次元空間の座標変換行列である4×4のアフィン変換行列の各要素の値を用いてもよい。
【0088】
<第1の実施形態の変形例(1)>
この変形例は、磁場分布のコンターマップ上で残差が最小になるように心室位置をフィッティングする手法である。
【0089】
前述した第1の実施形態では、呼吸に伴って動ぐ心臓の位置ずれを考慮して推定を行っているが、この心臓の動きを無視した、簡略化した推定を行うことができる。
【0090】
【外2】
【0091】
なお、前記第1の実施形態では複数の心拍の測定データを測定値として用いているが、この簡略化した推定を行うに際して、運動負荷中など、体動が特に大きい場合、1心拍のみをデータとして推定し、推定結果の分布を心拍毎に加算平均することが望ましい。
【0092】
<応用例>
本実施形態の応用例を説明する。この応用例は、安静時及び負荷時に心磁図を計測して夫々の心磁図データを解析し、両者の差を比較することで心筋虚血などの異常を検出する手法への応用に関する。なお、この応用例における計測、処理及び解析は、SQUID磁束計11、コンピュータ装置12、画像収集装置13、画像転送装置14などの装置を中心にして実行される。
【0093】
具体的には、安静時の心磁図から心室位置(逆にとればセンサ位置)と共に、興奮到達時刻分布と心筋電気活動量分布を解析し、負荷時の心磁図からは、安静時に得られた興奮到達時刻分布を与えて(興奮到達時刻がその周辺であるとして)心室位置と共に心筋電気活動量分布を解析し、安静時及び負荷時に得られた心筋電気活動量分布の差を求める手法である。これはまた、効果的には、負荷時と安静時の差の心磁図から、安静時に得られた興奮到達時刻分布を与えて(興奮到達時刻がその周辺であるとして)心室位置と心筋電気活動量の変化分を求めることと等価でもある。
【0094】
安静時及び負荷時において正確にセンサ位置を合わせることは困難であるが、この応用例のように、本実施形態を利用することで、安静時及び負荷時共に、各々に対応するセンサ位置を求めることが可能になる。したがって、安静時と負荷時とでセンサ位置を完全に同一にしなくても済み、この状態で心筋虚血などの異常を検出することができる。
【0095】
また、他の応用例として、計測した心磁図から一度、興奮到達時刻分布を心室位置(又はセンサ位置)と共に解析し、これにより得られた興奮到達時刻分布を与えて(興奮到達時刻がその周辺であるとして)、同一の心磁図から心筋電気活動量分布を心室位置(センサ位置)と共に解析する手法がある。この手法に従えば、センサの位置を正確に測定することなく、心筋梗塞のように正常時との比較が不可能な症例においても、心筋電気活動量の異常を検出できるとともに、2つのステップに分けて解析しているので、興奮到達時刻分布、心筋電気活動量分布、及び心室位置を全て一度に解析する場合に比べて、より高精度に解析できるという効果が得られる。
【0096】
なお、前述の呼吸信号fの代わりに、後述する第2の実施形態で説明する如く、体位の変化を連続して計測したデータを用いることができる。これにより、演算処理装置12bは、呼吸も含めた体動に因る位置ずれの補正を容易に行うことができ、運動負荷心磁図からの虚血性心疾患の精度向上に大いなる効果を発揮できる。
【0097】
<第1の実施形態の変形例(2)>
この変形例は、図6にその概念を説明する如く、心室の水平方向の位置だけフィッティングにより求め、深さ方向の位置は固定することで簡略化した心室位置演算法を提供するものである。
【0098】
【外3】
【0099】
心臓とSQUIDセンサとの間の距離に因る磁場パターンの変化は比較的小さいため、パターンの差から心室の深さ位置を推定しても、その推定精度は低い。逆に言えば、深さ方向の心室位置を固定にした場合でも、逆問題の推定精度はさほど劣化しない。従って、本変形例のように構成することで、推定の演算を簡単化でき且つ逆問題の推定精度を更に向上させることができる。
【0100】
なお、上述の実施形態及び変形例では、興奮到達時刻と活動電位振幅の心室内の分布を解析する例を説明しているが、本発明はこれに限るものではなく、心臓内の電気生理的現象を解析するアルゴリズムに広く適用される。
【0101】
また、上述した実施形態及び変形例で用いている呼吸モニタ装置は、被検者の胴体の動き(体動)を経時的且つ連続的に計測することを意図したものである。この胴体の動きは、呼吸のみによって発生するとは限らず、運動負荷などに伴って胴体そのものが移動することもある。したがって、この胴体の動きを計測又は検出する機構としては、上述した呼吸モニタ装置に限られることなく、一例として、後述する第2の実施形態(図7〜9)に記載の胴体位置計測装置(体動計測手段)を用いることもできる。
【0102】
<第2の実施の形態>
次に、本発明に係る第2の実施形態を図7〜図9に基づき説明する。なお、ここで第1の実施形態で説明したものと同一又は同等の構成要素には同一符号を付してその説明を省略又は簡略化する。
【0103】
この実施形態の心磁図計測装置は被検者の胴体の動きを検出する新規の機構に特徴を有する。具体的には、この計測装置は、図7に示す如く、前述した呼吸モニタ装置に代えて、被検者の胴体の動きを連続的に計測する胴体位置計測装置21を備える。その他の要素は第1の実施形態のものと同様に構成されている。
【0104】
胴体位置計測装置21は、被検者の体表に付着させるプローブ22と、このプローブ22に撓み性のある紐23A〜23C(ひも状体)を夫々介して連結させた3個の長さ計24A〜24C(長さ計測手段)と、この長さ計24A〜24Cに電気的に接続された3次元位置演算器25(演算手段)とを備える。この3次元位置演算器25は、前述したコンピュータ装置12の信号収集回路12aに接続され、かかる演算値が信号収集回路12aを介して演算処理装置12bに取り込まれる。
【0105】
プローブ22は被検者の胴体上の指標点に取り付けられる。つまり、プローブ22は、図8に示す如く、体表P上の所望の指標点に粘着テープATを介して取り外し自在に貼り付けるベース部22Aと、このベース部22Aに着脱自在に取り付けられるキャップ部22Bとを備える。ベース部22Aは適宜な形状に形成され、その上面に突起22Aaが形成されている。
【0106】
キャップ部22Bは例えば軟質プラスチック材で形成され、その内側に突起22Aaを圧入可能で且つ圧入後は適宜なマージンを持った凹みを有している。このため、ベース部22Aを指標点に取りつけた後、その突起22Aaにキャップ部22Bを着脱自在に被せることができる。キャップ部22Bをベース部22Aに取りつけた後では、キャップ部22Bがベース部22Aに対して、一定範囲で3次元的に自由に回転可能になっている。
【0107】
キャップ部22Bには3本の紐23A〜23Cの各一端が取リ付けられるととも、それらの紐のもう一方の端部は3台の長さ計24A〜24Cに夫々巻き取られている。したがって、被検者の胴体の位置が移動すると、プローブ22の位置もこれに伴って移動する。この移動情報は紐紐23A〜23Cを介して長さ計24A〜24Cに伝達される。
【0108】
長さ計24A〜24Cの夫々は従来周知の巻き取り式長さゲージとして構成されている。つまり、各長さ計24A(〜24C)ではロータに紐23A(〜23C)が巻かれ、ロータに結合したコイル式ばねにより紐が巻き取られる。紐を引っ張り出したときには、引っ張り出した長さの分だけプーリが回転し、その回転角度がロータリーエンコーダで計測され、その回転角度は引っ張り出した長さに変換される。この長さ信号は前述したように3次元位置演算器25に送られる。
【0109】
このように、1つのプローブ22に対して3個の巻き取り式の長さ計24A〜24Cが用意され、心磁図計測装置のセンサ部又は寝台に取り付けられる。図9には、長さ計24A〜24Cを寝台に取り付けた例を示す。寝台Bには、寝台側部から上方に延び、その途中でL字状に横方向に延びる防護用ガイド26が取りつけられている。つまり、この防護用ガイド26は寝台上に横になった被検者の胸部をその横から上面にかけて覆うことになる。この防護用ガイド26にはX軸〜Z軸の3方向夫々における被検者胴体の移動成分を検出可能な適宜な水平方向及び高さ方向の位置が決められ、これらの3位置に長さ計24A〜24Cが各別に取り付けられる。
【0110】
3次元位置演算器25は、長さ計24A〜24Cから送られてくる各軸方向の移動長さ情報を用いて胴体の指標点の3次元位置を演算する。演算された3次元位置の情報は同時に計測している心磁図信号と同時にコンピュータ装置12に取り込まれ、逐一、記録される。この記録結果は、演算処理装置12bにより実行される心内電気現象の推定解析時に参照される。
【0111】
以上の構成において、胴体位置計測装置21は、本発明の動き検出手段の一部を成す胴体位置計測手段を成す。また、演算処理装置12b及び記憶装置12dは、第1の実施形態で実現する機能的手段に加え、本発明の補正手段の要部をも機能的に構成する。
【0112】
このように本実施形態に拠る心磁図計測装置は、被検者の胴体の位置変化を連続的に測定しながら心磁図を計測することができる。したがって、被検者の計測中の体動を抑制する手段をわざわざ設けなくても済むという特徴を有する。
【0113】
この特徴は、この心磁図計測装置を用いて運動負荷試験を行う場合に特に有利に作用する。運動負荷試験を行う場合、安静時、低容量負荷時、高容量負荷時に分けて心磁図データを計測するが、従来のように負荷ステージ毎に3次元デジタイザで位置計測を行ったり、負荷時に体位変化を抑えるよう患者に要請するといったことも不要になる。プローブ22が被検者胴体の3次元位置を常に連続的に計測しているから、その体位変化を連続的に監視できる。この位置変化に基づいた適宜なデータ処理により高精度な画像化が可能なる。これとともに、被検者にその動きを禁止してもらう必要も無くなるので、被検者及びオペレータ双方にとって、より容易化された負荷試験が可能なる。さらに、負荷ステージ毎に位置計測を行うことも不要になるから、全体の試験時間も短縮される。
【0114】
また、プローブ22が容易に脱着可能であるので、運動負荷中に数回のステップに分けて心磁図を計測する途中で、位置計測を中断する必要がある場合でも、再現性良くかつ手間を掛けること無く位置計測を再開できる。
【0115】
また、本実施形態では、長さ計を支持するのに、被検者を防護するガイドを兼用できるので、支持体を別途装備する必要は無く、構造の複雑化も回避できる。
【0116】
なお、プローブは図10に示す如く、体表に吸着させる吸盤22xを用いた吸盤式のプローブ22であってもよい。
【0117】
ここで、被検者の胴体の胸面上にSQUIDセンサ11aを配置するときの位置合わせ法を図11〜15に基づき説明する。
【0118】
SQUIDセンサ11aは、被検者胴体の特徴点に手動で位置合せする。特徴点としては、図11に示す如く、胸骨丙中央窪みや剣状突起が好適である。
【0119】
これらの特徴点にSQUIDセンサ11aの筐体27を位置合わせするために、図12、13に示す如く、その筐体の寝台長手方向の側面2箇所に位置合わせ治具28,28が取り付けられている。各位置合わせ治具28は、図14に例示する如く、筐体27に固定された目盛28aと、この目盛28aに対して可動のスライダ28bとを備える。スライダ28bはその長手方向が上下方向に向けて圧接ばね28c、コイルばね28d、ストッパ28eを備えて形成される。スライダ28bには目盛用マークMが付けられている。
【0120】
これにより、2つの位置合わせ治具28、28の内、一方の治具のスライダ先端が頭側の特徴点である胸骨柄中央窪みを指し、且つもう一方の治具のスライダ先端が下肢側の特徴点である剣状突起の付近を指すように筐体27、すなわちSQUIDセンサ11aを位置合わせする。スライダ28bはばねで押し上げられているので、必要なときにこれを手動で押し下げる。これに応じてスライダ28bが下方に滑動し、その滑動量を目盛28aで読み取ることで、SQUIDセンサ11aの体表からの距離を測定することができる。また、このスライダは所定長さ以上には下方に突出しないように調整されている。
【0121】
なお、この位置合わせ治具28に代えて、図15に示す如く、レーザ距離計29を用いてもよい。このレーザ距離計29は、その下端から下方に向けてレーザビームを発射し、その反射光を用いて体表との距離を測定し、その測定結果を距離表示部29aに表示する。レーザビームを前述した胸面上の特徴点に位置合わせすれば、前述した位置合わせ治具と同等の機能を得る。
【0122】
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施形態を図16〜20に基づき説明する。
【0123】
この実施形態は、心磁図データを計測しているときに、運動負荷を与えるなどして、被検者の体位が変化することがあっても、この体位変化の影響を計測後のデータ処理によって排除又は抑制するようにしたことに特徴を有する。このデータ処理は、例えば演算処理装置12bで実行される。
【0124】
かかるデータ処理は、被検者の胴体位置を連続的に計測したデータを参照して心磁図データを加算平均する手法を採る。すなわち、胴体の位置が動いていても波形が歪むことなく加算平均される。この手法の具体例としては以下の実施例(1)〜(3)のように様々なものがあり、計測目的などに応じて使い分けられる。
【0125】
いま、一例として、前述の第2の実施形態で説明した胴体位置計測装置21によって、心磁図の計測中に胴体上の位置(複数でも良い)が時系列的に連続計測されているものとする。
【0126】
【外4】
【0127】
一例として、これらの記号を用いると、単純な加算平均波形ak(τ)は次のように表される。
【0128】
【数10】
【0129】
基準時刻tjを求めるには、いくつかの方法が知られている。例えば、心磁図波形bk(t)のピークを検索し、その前後の区間にわたってその微分波形を計算し、微分波形が値0になる時刻を基準時刻tjとすることで求められる。
【0130】
上述の加算平均は、本実施形態では、
(1)位置ずれの大きい心磁図データを破棄する方法、
(2)水平方向の動きがある場合、心磁図データを並行移動して加算する方法、及び、
(3)直交方向の動きも補正して加算する方法
の3通りの実施例で演算できる。
【0131】
まず、最初の「(1)位置ずれの大きい心磁図データを破棄する方法」の実施例を説明する。この実施例の概念を図16に示す。
【0132】
この実施例の場合、j番目の心拍における、基準位置ずれ量に対する胴体の位置ずれ量をdjとしたとき、位置ずれ量がdj<dcとなる心拍の心磁図データのみを加算平均する。ここで、dcは位置ずれが大きいか否かを判定するための基準量である。反対に、dj≧dcとなる他の心磁図データは、位置ずれが大き過ぎて加算平均された心磁図波形を乱すとして加算平均に使用しない(破棄する)。本態様による加算平均波形は次式で表される。
【0133】
【数11】
ここで、Mcはdj<dcとなる心拍の数を表す。
【0134】
胴体の位置ずれ量は次のように求められる。
【0135】
【数12】
【外5】
【0136】
【数13】
続いて、「(2)水平方向の動きがある場合、心磁図データを並行移動して加算する方法」の実施例を説明する。この実施例は概念的には図17のように表される。
【0137】
本実施例では、水平方向の動きがある場合、心磁図を平行移動して動きを補正し、その後で加算平均する。時刻tjにおける胴体の位置ずれが
【数14】
のように表されると仮定する。行列Tは下記の連立方程式
【数15】
の最小2乗解を求めることで決定される。
【0138】
【外6】
【数16】
となる。
【0139】
補間関数は以下の式を満足する関数である。
【0140】
【数17】
【0141】
【外7】
【数18】
となる。したがって、加算平均波形は以下のように求める。
【0142】
【数19】
【0143】
この加算平均の基底関数として、磁場センサの配置面に対して直交する方向には変化しない関数が採用される。これにより、磁場センサに平行な方向の胴体の動きは補正されるが、それに直交する方向の動きは補正されず、そのまま加算平均される。したがって、本実施例により、水平方向の動きのみを補正して加算平均することができる。
【0144】
なお、この変形例として、磁場センサを一定の曲面上のみに配置するセンサ構造とする代わりに、一定曲面からずれた位置にも配置し、配置面に直交する方向に変化する関数を基底関数として採用することができる。これにより、配置面に直交する方向における胴体の動きも補正することができる。例えば、図18に示す如く、2段に配置したセンサ構造を利用する場合の基底関数の例を図19(a)又は(b)に示す。図19では補間方法として線形補間を利用する場合を例にとっているが、より高次の多項式補間やスプライン補間など他の補間方法を用いる場合でも補間関数が異なるだけであり、同じ方法を用いることができる。
【0145】
さらに、「(3)直交方向の動きも補正して加算する方法」の実施例を説明する。この実施例は概念的には図20に示す如く表される。
【0146】
この実施例は、上述の実施例(2)を更に変形したもので、センサの配置面に直交する方向の胴体の動きをより正確に補正することができるという特徴がある。
【0147】
以下では、複数のSQUIDセンサが一定の曲面上のみに配置されている場合を例にとって説明するが、そうでない場合にも容易に変形して適用することができる。
【0148】
本実施例で採用する補間式には、センサ配置面に対する直交方向の変化を考慮する項が追加される。すなわち、
【数20】
【外8】
【0149】
【数21】
【外9】
【0150】
【数22】
【0151】
なお、上述した構成と本発明の構成との対応については、演算処理装置12b及び記憶装置12dが本発明の加算平均手段及び解析手段を機能的に実現している。また、演算処理装置12b及び記憶装置12dが本発明に係る基準量演算手段、位置ずれ量演算手段、及び弁別手段を機能的に実現している。さらに、胴体位置計測装置21(図7参照)、信号収集回路12b、演算処理装置12b及び記憶装置12dによって本発明の動き検出手段が構成される。
【0152】
上述した如く、図7に示す演算処理装置12bは実施例(1)〜(3)を択一的に又は適宜に組み合わせて実行することにより、被検者が呼吸や運動負荷などに因りその胴体を動かした場合でも、心磁図データの加算平均を行うことができ、S/Nの高い心磁図データを得ることができる。とくに、負荷心電図を測定するときに、かかるS/N向上の効果が顕著である。また、被検者は「動かないようにする」という心理的負担から開放され、検査を受け易くなる。
【0153】
<応用例>
次に、この第3の実施形態の構成を応用した心筋虚血の診断法を説明する。図21は、この応用例において、SQUID磁束計11、コンピュータ装置12、画像収集装置13、画像転送装置14などの装置を中心にして実行される処理の流れを概念的示す。
【0154】
この応用例では、図21に示す如く、まず、第3の実施形態で説明した手法を利用して安静時の加算平均された心磁図(MCG)が計測される。さらに、薬剤負荷又は運動負荷を実施した状態において負荷時の加算平均された心磁図(MCG)が計測される。次いで、これら計測した心磁図の差が演算される。
【0155】
この心磁図の差は、薬剤又は運動負荷に因る心筋の電気的活動の変化により発生する量に相当し、主に、薬剤又は運動負荷に因って誘発された心筋虚血に因る変化分を反映している。したがって、この差の心磁図そのものを表示することで、心筋虚血の診断が可能になる(又は、そのような診断に必要な情報を与えることができる)。また、この差の心磁図に基づいて心筋内の電気的活動を解析すれば、心筋虚血に伴う電気的活動の変化を調べることができる。この解析手段としては、心筋電気活動量の分布を求めるための心内電気現象の解析手段でもよく、さらには、従来周知の等価電流双極子法を用いてもよい。
【0156】
この応用例によれば、第3の実施形態に記載された加算平均法を用いて安静時及び負荷時の加算平均心磁図を計測するので、安静時と負荷時とにおいて正確に体位を一致させる必要は無く、高精度にこれらの差を計算することができる。このため、これらの差の心磁図から虚血に伴う心筋電気活動量の変化を高精度に解析することができ、虚血性心疾患の診断をより容易に且つより高精度に実施可能にするという優れた効果を発揮する。
【0157】
なお、上記第1〜第3の実施形態は適宜に組み合わせて実行するようにしてもよい。その場合、被検者の胴体の動きを計測する手段は、呼吸モニタ装置及び胴体位置計測装置の何れか一方または両方を用いてもよい。
【0158】
この実施形態の組み合わせの形態例として、第2の実施形態(胴体位置の連続的計測)を、第1の実施形態(心臓の位置を心磁図のパターンから計測することによって胴体及び心臓の位置を特別な手段を用いて計測する必要の無い心磁界解析法)、又は、第3の実施形態(胴体の動きを補正することによって胴体の動きがあってもよい加算平均法)に組み合わせる例が挙げられる。これにより、運動負荷心磁図による高精度な解析・診断を行うことができる。
【0159】
【発明の効果】
以上のように、本願発明によれば、第1に、被検者に呼吸に因る動きがある場合でも、心磁図の加算平均が可能になり、S/Nの高いデータを計測することができる。さらに、負荷心磁図のS/Nを向上させることができる。
【0160】
第2に、MRI等による心室位置の計測が不要になる。また、心内電気現象を測定しているときに、被検者の胴体の動きを制限する必要が無い。従って、運動負荷時の心磁図を途中、長時間休止すること無く計測可能になり、運動負荷中における心臓内の電気現象の分布を高精度に画像化でき、虚血性心疾患などの疾患に対する高精度な検査が実現できる。
【0161】
第3に、胴体位置計測手段のプローブが指し示す3次元位置を計測することにより、被検者の体位を連続的に計測することができる。このため、運動負荷中に数回のステップに分けて心磁図を計測する場合、プローブが容易に脱着可能なので、途中で位置計測を中断した場合でも、再現性良くかつ手間を掛けること無く位置計測を再開できる。さらに、この計測結果を心内電気現象の解析に反映させることで、被検者は体動を抑制する必要が無くなり、被検者は楽な姿勢で測定を受けることがでるから、とくに、運動負荷心磁図を容易に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る心磁図計測装置の構成を示す概略ブロック図。
【図2】図2(a)〜(c)は心磁図計測装置に用いた呼吸モニタ装置の概要を各々説明する説明図。
【図3】心磁図計測装置の演算処理装置で実施される興奮到達時刻分布及び活動電位振幅分布の解析手順の概略を示すフローチャート。
【図4】心磁図波形と呼吸信号、及び、それらの心拍毎の抽出を説明する図。
【図5】心室形状モデルの一例を示すモデル図。
【図6】第1の実施形態の変形例における心室位置の推定法を説明する概念図。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る心磁図計測装置の構成を示す概略ブロック図。
【図8】この心磁図計測装置に搭載した胴体位置計測装置のプローブの概略構造を示す説明図。
【図9】プローブの寝台への取りつけを説明する説明図。
【図10】プローブの別の例を説明する図。
【図11】SQUIDセンサの位置合わせに用いる胸面上の特徴点の例を示す図。
【図12】SQUIDセンサの位置合わせ治具の配置位置を説明する図。
【図13】SQUIDセンサの位置合わせ治具の配置状況を説明する図。
【図14】位置合わせ治具の構造を示す概略説明図。
【図15】位置合わせ治具の別の例を示す図。
【図16】本発明の第3の実施形態における第1の実施例に係る加算平均処理を説明する概念図。
【図17】本発明の第3の実施形態における第2の実施例に係る加算平均処理を説明する概念図。
【図18】第2の実施例の変形例を示すセンサ配置図。
【図19】図18の変形例に適用可能は基底関数の例を示す図。
【図20】本発明の第3の実施形態における第3の実施例に係る加算平均処理を説明する概念図。
【図21】第3の実施形態の応用例における処理の流れを示す概念図。
【符号の説明】
11 SQUID磁束計
11a SQUIDセンサ
12 コンピュータ装置
12a 信号収集回路
12b 演算処理装置
12d 記憶装置
13 画像収集装置
14 画像転送装置
15 呼吸モニタ装置
21 胴体位置計測装置
22 プローブ
24A〜24C 長さ計
25 3次元位置演算器
Claims (7)
- 被検者の心臓の電気的活動に伴って発生する磁場又は電位を体外又は体表でセンサを通して測定する手段と、心臓の位置及び向きと磁場又は電位測定手段のセンサとの位置及び向きの関係、並びに心臓又は胴体の形状を表現する特徴量を必要とする解析法を前記磁場又は電位の測定値に適用して心臓内の電気生理的現象を解析し提示する解析・提示手段とを備えた心内電気現象診断装置において、
前記特徴量の最適値を前記測定値から推定する手段を備えたことを特徴とする心内電気現象診断装置。 - 請求項1に記載の診断装置において、
前記解析・提示手段は、前記測定値の中の第1の測定値から前記特徴量と共に興奮到達時刻分布と心筋電気活動量分布を解析する第1のステップと、前記測定値の中の第2の測定値から、前記第1のステップで得た興奮到達時刻分布を参照して前記特徴量と共に心筋電気活動量分布を解析する第2のステップとを実行する手段であることを特徴とする心内電気現象診断装置。 - 請求項2に記載の診断装置において、
前記第1又は第2の測定値は、異なる測定条件における測定値の差であることを特徴とする心内電気現象診断装置。 - 請求項1に記載の診断装置において、
前記解析・提示手段は、前記測定値から興奮到達時刻分布を前記特徴量と共に解析する第1のステップと、この第1のステップで得られた興奮到達時刻分布を参照して心筋電気活動量分布を前記特徴量と共に解析する第2のステップとを実行する手段であることを特徴とする心内電気現象診断装置。 - 請求項1に記載の診断装置において、
前記被検者の呼吸を表す呼吸信号を計測する呼吸計測手段と、前記特徴量、前記呼吸信号および前記磁場又は電位の測定値が予め定められた関数で変化すると仮定して当該特徴量を推定する特徴量推定手段とを備えたことを特徴とする心内電気現象診断装置。 - 請求項1に記載の診断装置において、
前記磁場又は電位の測定値が、前記特徴量と1次関数で表されると仮定して、前記特徴量を推定する特徴量推定手段を備えたことを特徴とするである心内電気現象診断装置。 - 請求項5に記載の診断装置において、
前記特徴量推定手段は、前記磁場又は電位の測定値、前記特徴量および前記呼吸信号が1次関数で表されると仮定して、前記特徴量を推定する手段である心内電気現象診断装置。
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