JP4495300B2 - 栓子およびチューブ組立体 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、湾曲した医療用チューブのための栓子であって、患者側端部に、前記チューブの患者側端部より突出するように配置した先細状のノーズが形成され、装置側端部は前記チューブの装置側端部に固定されるように適合され、また前記装置側端部は前記チューブの装置側端部と、この装置側端部を前記チューブに対してねじることにより取り外しできるように係合しているものに関するものである。
【０００２】
本発明は、より詳細には、気管瘻孔形成チューブに用いる栓子に関するものである。
【０００３】
【従来の技術】
気管瘻孔形成チューブは、当該チューブの患者側端部から突出する尖った端部をを有する栓子の助けにより挿入される。栓子の先端部は組織を分離を助け、チューブの滑らかな導入を可能とする。栓子はまたチューブの強化を助け、また閉塞を引き起こすチューブ内への組織の進入を防ぐ。気管瘻孔形成用栓子の例が、米国特許第4246897号、米国特許第5222487号、英国特許第2224213号、英国特許第2316321号および英国特許第2341102号に記載されている。栓子の正しい位置からのいかなる変位もチューブの挿入を困難なものとし、また、組立体の患者側端部の滑らかさを減少させることにより、瘻孔周囲の組織に損傷を与える原因となり得る。挿入後、栓子はチューブの装置側端部から引き出される。英国特許第2316321号には、装置側端部で気管瘻孔形成チューブのカップリングをクリップする栓子が記載されており、このクリップは栓子をチューブに対してねじることにより取り外される。この配置においては、栓子の本体は、矩形断面のストラップであり、ねじりを可能とするために、相対的に可撓性を有する。この栓子は比較的剛性を有する気管瘻孔形成チューブに対して良好に働くが、より可撓性の高いチューブに対しては、最適な剛性を提供しない。栓子を、チューブの挿入のための所望の剛性を有するように、より高い固さで製造することが可能であっても、このことが、気管瘻孔形成チューブのカップリングとの係合を取り外すためにクリップをねじることを困難にする。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、これに代わる栓子およびチューブ組立体を提案することにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上述したような種類の、患者側端部から長手方向に延在する主部分に沿って実質的に剛性を有し、装置側端部と長手方向に隣接する部分が、ねじりを許容するように相対的に可撓性を有することを特徴とする栓子が提供される。
【０００６】
本栓子の主部分は、二つの直角なウェブを有することが望ましい。本栓子は、患者側端部のノーズから装置側端部まで長手方向に延在する第一のウェブと、より剛性の高い部分のみで延在する第二のウェブとを具えても良い。一方のウェブを、チューブの外側の曲面にほぼ接触するように、これに沿って延在するように配置しても良い。本栓子は、その主部分に沿ってＴ字形の断面を有することが望ましい。本栓子はプラスチック材料の一体成型品とすることができる。装置側端部は、対向する側面で前方に延在し、かつ管と係合するように適合させた二つの弾性アームを有することが望ましい。装置側端部は、その内部に通気孔を有しても良い。本栓子は、長手方向の大半に亘り、チューブの曲率とほぼ等しい曲率で湾曲していることが望ましい。
【０００７】
【発明の実施の形態】
本発明による栓子を含む気管瘻孔形成チューブ組立体を、ここで添付図面を参照して例示によって説明する。
【０００８】
本組立体は、気管瘻孔形成チューブ１および栓子２を具える。
【０００９】
チューブ１は円形断面の従来型のシャフト10を有し、このシャフト10は曲がった形状に成型され、その長さに沿って一定の曲率半径を有する。シャフト10の患者側端部11は矩形に切断され、患者を傷つけないように先細状となっている。装置側端部において、シャフト10はフランジ12と一体成型され、それによって管は患者の首に固定可能となっている。シャフト10の装置側端部にはまたカップリング13が接着されており、カップリング13は先細状の雌型孔14を有し、この雌型孔は、患者の通気または麻酔回路と接続する先細状の雄型カップリング（図示せず）を収容するように形成されている。この他、患者が自発呼吸する場合には、カップリング13は開いたままにしておく。外的には、カップリング13は円筒形をなし、表面から離れた箇所には二つのアンダーカット縁部15が設けられており、このアンダーカット縁部15は、カップリングの患者側端部で互いに直径方向に対向して配置されている。シャフト10は、気管内側を密閉するために、その患者側端部に向かって膨張性のカフ16を有する。カフのような他のチューブを含む必要は無い。
【００１０】
栓子２は、単一の、高密度ポリエチレンのような硬質プラスチック材料の一体成型品である。その患者側端部20において、栓子２は弾丸状のノーズ21を有し、このノーズはチューブ１の患者側端部11に緊密に嵌め込まれる。ノーズ21は先細の端部22を有し、この端部は、使用時に、シャフト10の患者側端部の尖った延長部を形成するようにチューブ１から突出する。小径の孔23が、ノーズ21に沿って端部22から後端部の開口部24へと延在する。
【００１１】
栓子は、ノーズ21から後方に延在する、チューブ１の曲率で成型された湾曲したストラップ25を有する。通常、ストラップ25の長さは約80mmである。ストラップ25はウェブ26を具え、ウェブ26は略矩形の断面を有し、管シャフト10の直径方向に延在するように配置され、シャフト10に、その長さ全体に亘って滑り込ませて嵌め込まれている。ストラップ25はまた追加のウェブ27を有し、このウェブ27は、ストラップの長さの大部分、通常は60mmの長さに亘って延在する。この追加のウェブ27は半径方向に、かつ、一側部よりその曲線の外側にのみ向かって突出する第一のウェブ26に直角に延在し、そのため、その曲面でチューブ１のシャフト10の内壁と実質的に接触する。ストラップ25の患者側端部からの第一領域（主部分）28は、それ故、図５に示すように略Ｔ字形の断面をなし、追加のウェブ27ちょうど反対側に沿って低いリブ29を有し、第一領域（主部分）28は実質的に剛性を有する。ストラップ25の第二領域（装置側端部）30は、図６に示すように略矩形状の断面を有し、リブ29および同様な低いリブ31から離れて、追加のウェブ27と連続しており、それ故、第一領域（主部分）28よりも高い可撓性を有する。
【００１２】
装置側端部32において、栓子２は、垂直板132および水平板232による拡張した十字形の断面を有する。装置側端部32は先細状の外形を有し、チューブ１のカップリング13内に緊密に摩擦嵌めされる。十字形断面部32の装置側端部においてはフランジ33が半径方向に延在し、また栓子２をチューブ１に挿入可能および取り外し可能とする握り部が設けられている。二つの弾性アーム34が栓子２の対向する側面でフランジ33から前方に延在する。これらアーム34は、その患者側端部で、内向きの留め具35の形を取る表面部によって終端し、留め具35はランプ36および出っ張り37により形成される。アーム34の大きさは、フランジ33がカップリング13の装置側端部で突出する際に、当該アームが縁部15下で係合する留め具35と共にカップリングの対向する側部に沿って延在するようなものであり、それによって栓子２がチューブから外れるのを防ぐ。二つの通気孔38がフランジ33を、十字形断面部32の間の角部と位置合わせするように貫通して設けられている。
【００１３】
使用時において、栓子２はチューブ１内に完全に押し込まれ、そのためノーズ21は管の患者側端部11から突出し、また留め具35はカップリング13上の縁部15と係合する。それによって栓子の装置側端部とチューブの装置側端部とが固定される。本組立体は通常の方法で患者の体内に挿入され、栓子２は、管を気管瘻孔形成部内へと導く先細の先端部を提供する。栓子２の長さの大部分をなすＴ字形断面は、相対的な剛性をもたらし、それによって気管瘻孔形成チューブ１の剛性を極めて増加させ、導入を容易なものとする。栓子２のチューブ１に対する後方への移動は、留め具35と縁部15との係合によって防がれる。チューブ１内における栓子２のノーズ21の後方への移動もまた、追加のウェブ27の管壁との接触により抵抗を受ける。患者は、本組立体が挿入されている間は、ノーズ21を貫通する孔23、ストラップ25とチューブ内側との間の通路およびフランジ33の孔38により、この組立体を通して呼吸することができる。必要があれば、ガイドワイヤー（図示せず）をチューブの挿入に先立って孔23に通し、本組立体をガイドワイヤーに沿って所定の位置に滑り込ませることが可能である。ガイドワイヤーを栓子の患者側端部から挿入した場合に、このガイドワイヤーの後端部が垂直板132に引っかかることを防ぐために、垂直板133の前縁部は先細状となっている。本組立体を正確な位置に挿入した場合、栓子２はフランジ33を握り、約20°ねじることによって取り外され、そのため留め具35は、縁部15との係合から外れてカップリング13の外側部に沿って後方に引き抜くことができる。フランジ33は、栓子２の患者側端部が剛性を有しているにもかかわらず捻ることができる。なぜならば、栓子の装置側端部30が、捻ることができるような可撓性を有しているからである。栓子２を取り外した後、カップリング13は通常の方法で通気回路と接続、あるいは開放したままとすることができる。
【００１４】
栓子のチューブへの固定に使用可能な、他のねじって取り外すことのできる配置が適用可能である。本発明は、栓子の管に対する変位を避ける必要がある場合に、他の気管チューブの使用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本組立体の側立面図である。
【図２】 栓子の側立面図である。
【図３】 栓子の図２のIII線に沿った立面図である。
【図４】 栓子の図２のIV線に沿った立面図である。
【図５】 栓子の図２のV-V線に沿った断面図である。
【図６】 栓子の図２のVI-VI線に沿った断面図である。
【符号の説明】
１ 気管瘻孔形成チューブ
２ 栓子
10 シャフト
11 シャフト10の患者側端部
12 フランジ
13 カップリング
14 雌型孔
15 アンダーカット縁部
16 膨張性カフ
20 栓子２の患者側端部
21 栓子２のノーズ
22 ノーズ21の先端部
23 小径の孔
24 ノーズ21後端の開口部
25 ストラップ
26 ウェブ
27 追加のウェブ
28 ストラップ25の主部分
29，31 低いリブ
30 ストラップ25の装置側端部
32 栓子２の装置側端部
33 フランジ
34 弾性アーム
35 留め具
36 留め具35のランプ
37 留め具35の出っ張り
38 フランジ33の通気孔
132 栓子２の垂直板
133 栓子２の水平板

Claims (10)

1. 湾曲した医療用チューブ(1)のための栓子(2)であって、患者側端部(20)に、前記チューブ(1)の患者側端部(11)より突出するように配置した先細状のノーズ(21)が形成され、装置側端部(32)は前記チューブ(1)の装置側端部(13)に固定されるように適合され、また前記装置側端部(32)は前記チューブの装置側端部と、この装置側端部(32)を前記チューブに対してねじることにより取り外しできるように係合しており、該栓子（2）は、該患者側端部(20)と該栓子の装置側端部(32)との間を延在するストラップ（25）を有し、
   前記ストラップ（25）は、患者側端部(20)から、該ストラップの大部分に沿って延在する第一領域（主部分）（28）、及び、装置側端部(32)近傍の第二領域（装置側端部）（30）を含み、該第一領域(28)は実質的に剛性を有し、該第二領域(30)は、該第一領域（28）よりも高い可撓性を有し、栓子の装置側端部(32)のねじりを許容することを特徴とする栓子。
2. 前記栓子の第一領域(28)が二つの直角なウェブ(26，27）を有することを特徴とする、請求項１記載の栓子。
3. 前記ストラップ（25）は、前記患者側端部のノーズ(21)から前記装置側端部(32)までストラップの長手方向に延在する第一のウェブ(26)、及び、該ストラップ（25）の第一領域（28）のみを延在する第二の直角なウェブ(27)を具えることを特徴とする、請求項２記載の栓子。
4. 一方のウェブ(27)を、チューブ（10，1）の外側の曲面にほぼ接触するように、これに沿って延在するように配置したことを特徴とする、請求項２または３記載の栓子。
5. 前記第一領域(28)に沿ってＴ字形の断面を有することを特徴とする、請求項１〜４のいずれか１項記載の栓子。
6. 前記ノーズ(21)が、その長さ全体に亘って延在する孔(23)を有することを特徴とする、請求項１〜５のいずれか１項記載の栓子。
7. プラスチック材料から一体成型したことを特徴とする、請求項１〜６のいずれか１項記載の栓子。
8. 前記装置側端部(32)が、対向する側面で前方に延在し、かつ管（13，1）と係合するように適合させた二つの弾性アーム(34)を有することを特徴とする、請求項１〜７のいずれか１項記載の栓子。
9. 前記装置側端部(32)内に通気孔(38)を有することを特徴とする、請求項１〜８のいずれか１項記載の栓子。
10. 長手方向の大半に亘り、前記チューブの曲率とほぼ等しい曲率で湾曲していることを特徴とする、請求項１〜９のいずれか１項記載の栓子。

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