JP4494544B2 - N−(アリールメチレン)−1−クロロ−1−(ペルフルオロアルキル)メチルアミン化合物からの2−アリール−5−(ペルフルオロアルキル)ピロ―ル化合物の製造法 - Google Patents
N−(アリールメチレン)−1−クロロ−1−(ペルフルオロアルキル)メチルアミン化合物からの2−アリール−5−(ペルフルオロアルキル)ピロ―ル化合物の製造法 Download PDFInfo
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Description
【発明の背景】
2−アリール−5−(ペルフルオロアルキル)ピロール化合物は殺虫剤及び殺ダニ剤として有用である。さらに、これらの化合物は他の殺虫剤及び殺ダニ剤の製造のためにも有用である。特に2−アリール−5−(ペルフルオロアルキル)ピロール化合物はクロルフェナピルなどのアリールピロール化合物の製造における重要な中間体である。従って2−アリール−5−(ペルフルオロアルキル)ピロール化合物を製造するための新規な方法を見いだすための研究が進行している。
【0002】
米国特許第5,145,986号は、N−(置換ベンジル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロリド化合物から2−アリール−5−(トリフルオロメチル)ピロール化合物を製造できることを開示している。米国特許第5,446,170及び5,426,225号は、適したアルデヒドから数段階で2−アリール−5−(トリフルオロメチル)ピロール化合物が得られ得ることを開示している。米国特許第5,446,170及び5,426,225号に記載されている方法は、適したアルデヒドからStrecker合成を介して得られるアミノニトリル中間体の利用を必要とする。しかしStrecker合成の利用はシアン化物含有廃液の故に完全に満足できるものではない。
【0003】
従って本発明の目的は、Strecker合成の利用を避ける2−アリール−5−(ペルフルオロアルキル)ピロール化合物の製造のための新規な方法を提供することである。
【0004】
クロルフェナピルなどのアリールピロール化合物の製造のための新規な方法を提供することも本発明の目的である。
【0005】
本発明のさらなる目的は、下記に記載する方法において有用な新規な中間体化合物を提供することである。
【0006】
本発明のこれらの及び他の目的は、下記に示す本発明の詳細な記載からさらに明らかになるであろう。
【0007】
【発明の概略】
本発明は構造式I
【0008】
【化15】
[式中、
Wは水素又はCmF2m+1であり;
YはCN、NO2又はCO2Rであり;
RはC1−C4アルキルであり;
m及びnはそれぞれ独立して1、2、3、4、5、6、7又は8の整数であり;Aは
【0009】
【化16】
であり;
Lは水素又はハロゲンであり;
M及びQはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、CN、NO2、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C1−C4アルコキシ、C1−C4ハロアルコキシ、C1−C4アルキルチオ、C1−C4ハロアルキルチオ、C1−C4アルキルスルフィニル、C1−C4ハロアルキルスルフィニル、C1−C4アルキルスルホニル、C1−C4ハロアルキルスルホニルであるか、あるいはM及びQが隣接位置にある場合、それらはそれらが結合している炭素原子と一緒になって環を形成することができ、ここでMQは構造−OCH2O−、−OCF2O−又は−CH=CH−CH=CH−を示し;
R1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、NO2、CHOであるかあるいはR2及びR3はそれらが結合している原子と一緒になって環を形成することができ、ここでR2R3は構造
【0010】
【化17】
により示され;
R4、R5、R6及びR7はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、CN又はNO2であり;
XはO又はSである]
を有する2−アリール−5−(ペルフルオロアルキル)ピロール化合物の新規な製造方法であって、構造式II
【0011】
【化18】
[式中、A及びnは上記の通りである]
を有するN−(アリールメチレン)−1−クロロ−1−(ペルフルオロアルキル)メチルアミン化合物を、溶媒の存在下で構造式III
【0012】
【化19】
[式中、W及びYは上記の通りであり、ZはCl、Br又はIである]
を有するジエノフィル化合物及び塩基と反応させることを含む方法を提供する。
【0013】
本発明はさらに、構造式II
【0014】
【化20】
[式中、n及びAは上記の通りであり、但しAが非置換フェニル、p−クロロフェニル又はp−メチルフェニルである場合、nは1以外の整数である]
を有する新規なN−(アリールメチレン)−1−クロロ−1−(ペルフルオロアルキル)メチルアミン化合物を提供する。
【0015】
【発明の詳細な記載】
本発明の方法は好ましくは式IIのN−(アリールメチレン)−1−クロロ−1−(ペルフルオロアルキル)メチルアミン化合物を少なくとも約1モル当量、好ましくは約1〜4モル当量の式IIIのジエノフィル化合物及び少なくとも約1モル当量、好ましくは約1〜4モル当量の塩基と、溶媒の存在下に、好ましくは約5℃〜100℃の温度範囲で反応させ、式Iの2−アリール−5−(ペルフルオロアルキル)ピロール化合物を生成させることを含む。
【0016】
別の場合、式IIIのジエノフィル化合物をその場で生成させることにより式Iの化合物を製造することができる。この方法は、式IIのN−(アリールメチレン)−1−クロロ−1−(ペルフルオロアルキル)メチルアミン化合物を好ましくは約1〜4モル当量の構造式IV
【0017】
【化21】
[式中、W及びYは上記の通りであり、ZはCl、Br又はIである]
を有するα,β−ジハロ化合物及び少なくとも約2モル当量、好ましくは約2〜5モル当量の塩基と、溶媒の存在下に、好ましくは約5℃〜100℃の温度範囲で反応させ、式Iの2−アリール−5−(ペルフルオロアルキル)ピロール化合物を生成させることを含む。
【0018】
有利なことに、本発明はStrecker合成の利用を避ける2−アリール−5−(ペルフルオロアルキル)ピロール化合物の製造のための新規な方法を提供する。
【0019】
本発明の式Iの化合物は通常の方法、例えば水を用いる反応混合物の希釈及び濾過あるいは別の場合、適した溶媒を用いる抽出により単離することができる。適した抽出溶媒には水−非混和性溶媒、例えばエーテル、酢酸エチル、トルエン、メチレンクロリドなどが含まれる。
【0020】
本発明で用いるために適した塩基にはトリ−(C1−C6アルキル)アミン、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなど;アルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸カリウム及び炭酸ナトリウム;アルカリ金属ヒドロキシド、例えば水酸化カリウム及び水酸化ナトリウム;アルカリ金属酢酸塩、例えば酢酸カリウム及び酢酸ナトリウム;ならびに1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン(DBU);1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネ−5−エン(DBN);1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン;ピリジン;置換ピリジン、例えば2,6−ジメチルピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジンなど;キノリン;及び置換キノリンを含むがこれらに限られない複素環式第3級アミンが含まれる。好ましい塩基にはトリ−(C1−C6アルキル)−アミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネ−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、炭酸カリウム及び炭酸ナトリウムが含まれる。
【0021】
本発明で用いるために適した溶媒にはカルボン酸アミド、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなど;N−置換ピロリジノン、例えばN−メチル−ピロリジノンなど;ニトリル、例えばアセトニトリル、プロピオニトリルなど;ハロゲン化炭化水素、例えばメチレンクロリド、クロロホルム、四塩化炭素など;エーテル類、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサンなど;スルホキシド、例えばジメチルスルホキシドなど;ならびにそれらの混合物が含まれるがこれらに限られない。好ましい溶媒にはカルボン酸アミド及びニトリルならびにそれらの混合物が含まれる。N,N−ジメチルホルムアミド及びアセトニトリルならびにそれらの混合物が本発明で用いるために特に好ましい。
【0022】
上記のハロゲンの例はフッ素、塩素、臭素及びヨウ素である。「C1−C4ハロアルキル」、「C1−C4ハロアルコキシ」、「C1−C4ハロアルキルチオ」、「C1−C4ハロアルキルスルフィニル」及び「C1−C4ハロアルキルスルホニル」という用語は、それぞれ1つ又はそれ以上のハロゲン原子で置換されたC1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、C1−C4アルキルチオ、C1−C4アルキルスルフィニル又はC1−C4アルキルスルホニル基として定義される。
【0023】
本発明は、
Wが水素であり;
YがCNであり;
nが1又は2であり;
Aが
【0024】
【化22】
であり;
Lが水素又はハロゲンであり;
M及びQがそれぞれ独立して水素、ハロゲン、C1−C4ハロアルキル又はC1−C4ハロアルコキシである
式Iの化合物の製造のために特に有用である。
【0025】
特に本発明は、中でも
2−(p−クロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)ピロール−3−カルボニトリル;
2−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)ピロール−3−カルボニトリル;
2−(3,4−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)ピロール−3−カルボニトリル;及び
2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−(トリフルオロメチル)ピロール−3−カルボニトリル
の製造のために有用である。
【0026】
本発明は構造式II
【0027】
【化23】
[式中、
nは1、2、3、4、5、6、7又は8の整数であり;
Aは
【0028】
【化24】
であり;
Lは水素又はハロゲンであり;
M及びQはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、CN、NO2、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C1−C4アルコキシ、C1−C4ハロアルコキシ、C1−C4アルキルチオ、C1−C4ハロアルキルチオ、C1−C4アルキルスルフィニル、C1−C4ハロアルキルスルフィニル、C1−C4アルキルスルホニル、C1−C4ハロアルキルスルホニルであるか、あるいはM及びQが隣接位置にある場合、それらはそれらが結合している炭素原子と一緒になって環を形成することができ、ここでMQは構造−OCH2O−、−OCF2O−又は−CH=CH−CH=CH−を示し;
R1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、NO2、CHOであるかあるいはR2及びR3はそれらが結合している原子と一緒になって環を形成することができ、ここでR2R3は構造
【0029】
【化25】
により示され;
R4、R5、R6及びR7はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、CN又はNO2であり;
XはO又はSであるが、
但しAが非置換フェニル、p−クロロフェニル又はp−メチルフェニルである場合、nは1以外の整数である]
を有する新規なN−(アリール−メチレン)−1−クロロ−1−(ペルフルオロアルキル)メチルアミン化合物にも関する。
【0030】
本発明の好ましい新規な式IIの化合物は、
nが1又は2であり;
Aが
【0031】
【化26】
であり;
Lが水素又はハロゲンであり;
M及びQがそれぞれ独立してハロゲン、C1−C4ハロアルキル又はC1−C4ハロアルコキシである
化合物である。
【0032】
本発明の方法で特に有用な新規な式IIの化合物には中でも
1−クロロ−N−(3,5−ジクロロベンジリジン)−2,2,2−トリフルオロエチルアミン;
1−クロロ−N−(3,4−ジクロロベンジリジン)−2,2,2−トリフルオロエチルアミン;及び
1−クロロ−2,2,2−トリフルオロ−N−[4−(トリフルオロメチル)−ベンジリジン]エチルアミン
が含まれる。
【0033】
式IIの出発N−(アリールメチレン)−1−クロロ−1−(ペルフルオロアルキル)メチルアミン化合物はChemistry Letters,pp.1463−1464(1983)に記載されている方法に従い、流れ図Iに示す通り、構造式Vを有するN−(アリールメチル)ペルフルオロアルキルホルムイミドイルクロリド化合物を場合により高められた温度において、第3級アミンを用いて異性化させることにより製造することができる。
【0034】
【化27】
式Vの化合物の異性化に用いるために適した第3級アミンにはトリ−(C1−C6アルキル)アミン、例えばトリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなど;ならびに1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン;1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネ−5−エン;ピリジン;置換ピリジン、例えば2,6−ジメチルピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジンなど;キノリン;及び置換キノリンを含むがこれらに限られない複素環式第3級アミンが含まれる。好ましい第3級アミンにはトリ−(C1−C6アルキル)−アミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン及び1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネ−5−エンが含まれる。
【0035】
本発明の好ましい実施態様の場合、溶媒の存在下に、約15℃〜60℃の温度範囲において第3級アミンを用いて式Vの化合物を異性化させる。式IIの化合物の製造で用いるために適した溶媒には芳香族炭化水素、例えばトルエン、ベンゼン、キシレンなど及びそれらの混合物が含まれる。
【0036】
式VのN−(アリールメチル)ペルフルオロアルキルホルムイミドイルクロリド化合物は、米国特許第5,145,986号及びChemistry Letters,pp.1463−1464(1983)に記載されている方法に従って製造することができる。
【0037】
式IIIの出発ジエノフィル化合物は当該技術分野において既知であり、通常の方法を用いて製造することができる。WがCmF2m+1である式III及びIVの化合物は米国特許第5,068,390号に記載されている方法に従って製造することができる。
【0038】
式Iの化合物は有害動物である昆虫及びダニの抑制に有用である。さらに、式Iの化合物を構造式VI
【0039】
【化28】
[式中、
YはCN、NO2又はCO2Rであり;
RはC1−C4アルキルであり;
nは1、2、3、4、5、6、7又は8の整数であり;
Aは
【0040】
【化29】
であり;
Lは水素又はハロゲンであり;
M及びQはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、CN、NO2、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C1−C4アルコキシ、C1−C4ハロアルコキシ、C1−C4アルキルチオ、C1−C4ハロアルキルチオ、C1−C4アルキルスルフィニル、C1−C4ハロアルキルスルフィニル、C1−C4アルキルスルホニル、C1−C4ハロアルキルスルホニルであるか、あるいはM及びQが隣接位置にある場合、それらはそれらが結合している炭素原子と一緒になって環を形成することができ、ここでMQは構造−OCH2O−、−OCF2O−又は−CH=CH−CH=CH−を示し;
R1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、NO2、CHOであるかあるいはR2及びR3はそれらが結合している原子と一緒になって環を形成することができ、ここでR2R3は構造
【0041】
【化30】
により示され;
R4、R5、R6及びR7はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、CN又はNO2であり;
XはO又はSであり;
Halはハロゲン原子であり;
Jは水素又はC1−C6アルコキシメチルである]
を有する他のアリールピロール殺虫剤及び殺ダニ剤の製造のために用いることができる。
【0042】
本発明は、
YがCNであり;
nが1又は2であり;
Aが
【0043】
【化31】
であり;
Lが水素又はハロゲンであり;
M及びQがそれぞれ独立して水素、ハロゲン、C1−C4ハロアルキル又はC1−C4ハロアルコキシであり;
HalがBr又はClであり;
Jが水素又はエトキシメチルである
式VIのアリールピロール化合物の製造に特に有用である。
【0044】
特に本発明は、中でも
4−ブロモ−2−(p−クロロフェニル)−1−(エトキシメチル)−5−(トリフルオロメチル)ピロール−3−カルボニトリル(クロルフェナピル);
4−ブロモ−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−(エトキシメチル)−5−(トリフルオロメチル)ピロール−3−カルボニトリル;及び
4−ブロモ−2−(p−クロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)ピロール−3−カルボニトリル
などの式VIのアリールピロール化合物の製造に有用である。
【0045】
有利なことに、式VIのアリールピロール化合物を:
(a)式IIのN−(アリールメチレン)−1−クロロ−1−(ペルフルオロアルキル)メチルアミン化合物を、溶媒の存在下で構造式VII
【0046】
【化32】
[式中、Yは上記の通りであり、ZはCl、Br又はIである]
を有するジエノフィル化合物及び塩基と反応させ、構造式VIII
【0047】
【化33】
を有する2−アリール−5−(ペルフルオロアルキル)ピロール化合物を生成させ;
(b)式VIIIの化合物をハロゲン化してJが水素である式VIのアリールピロール化合物を生成させ;
(c)場合によりJが水素である式VIの化合物をアルコキシメチル化してJがC1−C6アルコキシメチルである式VIのアリールピロール化合物を生成させる
ことを含む方法により製造することができる。
【0048】
別の場合、式VIのアリールピロール化合物を:
(a)式IIのN−(アリールメチレン)−1−クロロ−1−(ペルフルオロアルキル)メチルアミン化合物を、溶媒の存在下で構造式IX
【0049】
【化34】
[式中、Yは上記の通りであり、ZはCl、Br又はIである]
を有するジα,β−ジハロ化合物及び少なくとも約2モル当量の塩基と反応させ、構造式VIII
【0050】
【化35】
を有する2−アリール−5−(ペルフルオロアルキル)ピロール化合物を生成させ;
(b)式VIIIの化合物をハロゲン化してJが水素である式VIのアリールピロール化合物を生成させ;
(c)場合によりJが水素である式VIの化合物をアルコキシメチル化してJがC1−C6アルコキシメチルである式VIのアリールピロール化合物を生成させる
ことを含む方法により製造することができる。
【0051】
ハロゲン化法は、米国特許第5,010,098及び5,449,789号に記載されている方法などのいずれの既知の方法であることもできる。
【0052】
本発明で用いるために適したアルコキシメチル化法は当該技術分野で既知の通常の方法を含む(例えば米国特許第5,010,098及び5,359,090号を参照されたい)。本発明の好ましい実施態様の場合、アルコキシメチル化法は、Jが水素である式VIの化合物を非プロトン性溶媒の存在下でジ−(C1−C6アルコキシ)メタン化合物、N,N−ジメチルホルムアミド及びオキシ塩化リンと反応させて反応混合物を生成させ、反応混合物を第3級アミンで処理することを含む。
【0053】
本発明のさらなる理解を容易にするために、主に本発明のもっと特定的な詳細を例示する目的で以下の実施例を提示する。本発明の範囲は実施例により制限されるとみなされるべきではなく、特許請求の範囲に定義するすべての主題を包含する。
【0054】
【実施例】
実施例1
1−クロロ−N−(p−クロロベンジリジン)−2,2,2−トリフルオロエチルアミンの製造
【0055】
【化36】
温度を40℃に上げながら40分かけ、トルエン中のN−(p−クロロベンジル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロリド(102.4g、0.4モル)の溶液をトリエチルアミン(40.5g、0.4モル)で処理し、18時間撹拌し、濾過して固体を除去する。濾液を真空中で濃縮してトルエン及びトリエチルアミンを除去し、得られる残留物を真空蒸留して標題生成物を無色の液体として得る(87.0g、収率87%、沸点95〜98℃/2.6mmHg)。
【0056】
本質的に同じ方法を用いるが、適切に置換されたアセトイミドイルクロリドを用いると以下の化合物が得られる:
【0057】
【表1】
実施例2
2−(p−クロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)ピロール−3−カルボニトリルの製造
【0058】
【化37】
温度を45℃に上げながら45分間かけ、N,N−ジメチルホルムアミド中の1−クロロ−N−(p−クロロ−ベンジリジン)−2,2,2−トリフルオロエチルアミン(9.0g、0.035モル)及び2−クロロアクリロニトリル(3.7g、0.042モル)の溶液をトリエチルアミン(7.8g、0.077モル)の滴下により処理し、55〜60℃で4時間撹拌し、室温で終夜撹拌し、水及び酢酸エチルで希釈する。有機層を分離させ、水で洗浄し、真空中で濃縮し、残留物を得る。シリカゲル及びヘプタン中の20%酢酸エチルの溶液を用いる残留物のフラッシュカラムクロマトグラフィーは、標題生成物を淡黄色の固体として与え(3.9g、収率41.2%)、それを1H及び19F NMRにより同定する。
【0059】
本質的に同じ方法に従い、しかし適切に置換された1−クロロ−2,2,2−トリフルオロ−N−(置換ベンジリジン)エチルアミンを用いると、以下の化合物が得られる:
【0060】
【表2】
実施例3
2−クロロアクリロニトリルを用いる2−(3,4−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)ピロール−3−カルボニトリルの製造
【0061】
【化38】
温度を40℃に上げながら45分間かけ、N,N−ジメチルホルムアミド中の1−クロロ−N−(3,4−ジクロロベンジリジン)−2,2,2−トリフルオロエチルアミン(11.6g、0.04モル)及び2−クロロアクリロニトリル(4.2g、0.048モル)の溶液をジイソプロピルエチルアミン(12.9g、0.1モル)の滴下により処理し、55℃で4時間撹拌し、室温で終夜撹拌し、水及び酢酸エチルで希釈する。有機層を分離させ、水で洗浄し、真空中で濃縮し、残留物を得る。シリカゲル及びヘプタン中の20%酢酸エチルの溶液を用いる残留物のフラッシュカラムクロマトグラフィーは、標題生成物を白色の固体として与え(5.8g、収率47.5%)、それを1H及び19F NMRにより同定する。
【0062】
実施例4
2,3−ジクロロプロピオニトリルを用いる2−(3,4−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)ピロール−3−カルボニトリルの製造
【0063】
【化39】
温度を55℃に上げながら30分間かけ、N,N−ジメチルホルムアミド中の1−クロロ−N−(3,4−ジクロロベンジリジン)−2,2,2−トリフルオロエチルアミン(8.72g、0.03モル)及び2,3−ジクロロプロピオニトリル(4.3g、0.0345モル)の溶液をトリエチルアミン(11.1g、0.11モル)の滴下により処理し、55℃で5時間撹拌し、室温に冷却し、水及び酢酸エチルで希釈する。有機層を分離させ、水で洗浄し、真空中で濃縮し、残留物を得る。残留物を酢酸エチル中に溶解し、シリカゲルと混合する。シリカゲル混合物を真空中で乾燥し、ヘプタン中の20%酢酸エチルの溶液で洗浄する。得られる濾液を真空中で濃縮し、残留物をヘプタン及び少量の酢酸エチルを用いて摩砕し、標題生成物を淡黄色の固体として得る(3.2g、収率35%)。
【0064】
本発明の主たる特徴及び態様は以下の通りである。
【0065】
1.構造式I
【0066】
【化40】
[式中、
Wは水素又はCmF2m+1であり;
YはCN、NO2又はCO2Rであり;
RはC1−C4アルキルであり;
m及びnはそれぞれ独立して1、2、3、4、5、6、7又は8の整数であり;
Aは
【0067】
【化41】
であり;
Lは水素又はハロゲンであり;
M及びQはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、CN、NO2、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C1−C4アルコキシ、C1−C4ハロアルコキシ、C1−C4アルキルチオ、C1−C4ハロアルキルチオ、C1−C4アルキルスルフィニル、C1−C4ハロアルキルスルフィニル、C1−C4アルキルスルホニル、C1−C4ハロアルキルスルホニルであるか、あるいはM及びQが隣接位置にある場合、それらはそれらが結合している炭素原子と一緒になって環を形成することができ、ここでMQは構造−OCH2O−、−OCF2O−又は−CH=CH−CH=CH−を示し;
R1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、NO2、CHOであるかあるいはR2及びR3はそれらが結合している原子と一緒になって環を形成することができ、ここでR2R3は構造
【0068】
【化42】
により示され;
R4、R5、R6及びR7はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、CN又はNO2であり;
XはO又はSである]
を有する2−アリール−5−(ペルフルオロアルキル)ピロール化合物の製造方法であって、構造式II
【0069】
【化43】
[式中、A及びnは上記の通りである]
を有するN−(アリールメチレン)−1−クロロ−1−(ペルフルオロアルキル)メチルアミン化合物を、溶媒の存在下で構造式IIIを有するジエノフィル化合物又は構造式IVを有するα,β−ジハロ化合物
【0070】
【化44】
[式中、W及びYは上記の通りであり、ZはCl、Br又はIである]
及び塩基と反応させることを含む方法。
【0071】
2.塩基がトリ−(C1−C6アルキル)アミン、アルカリ金属炭酸塩及び複素環式第3級アミンから成る群より選ばれる上記1項に記載の方法。
【0072】
3.溶媒がカルボン酸アミド及びニトリルならびにそれらの混合物から成る群より選ばれる上記1項に記載の方法。
【0073】
4.ジエノフィルが約1〜4モル当量の量で存在し、塩基が約1〜4モル当量の量で存在する上記1項に記載の方法。
【0074】
5.α,β−ジハロ化合物が約1〜4モル当量の量で存在し、塩基が約2〜5モル当量の量で存在する上記1項に記載の方法。
【0075】
6.Wが水素であり;
YがCNであり;
nが1又は2であり;
Aが
【0076】
【化45】
であり;
Lが水素又はハロゲンであり;
M及びQがそれぞれ独立して水素、ハロゲン、C1−C4ハロアルキル又はC1−C4ハロアルコキシである
上記1項に記載の方法。
【0077】
7.構造式VI
【0078】
【化46】
[式中、
YはCN、NO2又はCO2Rであり;
RはC1−C4アルキルであり;
nは1、2、3、4、5、6、7又は8の整数であり;
Aは
【0079】
【化47】
であり;
Lは水素又はハロゲンであり;
M及びQはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、CN、NO2、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C1−C4アルコキシ、C1−C4ハロアルコキシ、C1−C4アルキルチオ、C1−C4ハロアルキルチオ、C1−C4アルキルスルフィニル、C1−C4ハロアルキルスルフィニル、C1−C4アルキルスルホニル、C1−C4ハロアルキルスルホニルであるか、あるいはM及びQが隣接位置にある場合、それらはそれらが結合している炭素原子と一緒になって環を形成することができ、ここでMQは構造−OCH2O−、−OCF2O−又は−CH=CH−CH=CH−を示し;
R1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、NO2、CHOであるかあるいはR2及びR3はそれらが結合している原子と一緒になって環を形成することができ、ここでR2R3は構造
【0080】
【化48】
により示され;
R4、R5、R6及びR7はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、CN又はNO2であり;
XはO又はSであり;
Halはハロゲン原子であり;
Jは水素又はC1−C6アルコキシメチルである]
を有するアリールピロール化合物の製造方法であって:
(a)構造式II
【0081】
【化49】
[式中、A及びnは上記の通りである]
を有するN−(アリールメチレン)−1−クロロ−1−(ペルフルオロアルキル)メチルアミン化合物を、溶媒の存在下で構造式VIIを有するジエノフィル化合物又は構造式IXを有するα,β−ジハロ化合物
【0082】
【化50】
[式中、Yは上記の通りであり、ZはCl、Br又はIである]
及び塩基と反応させ、構造式VIII
【0083】
【化51】
を有する2−アリール−5−(ペルフルオロアルキル)ピロール化合物を生成させ;
(b)式VIIIの化合物をハロゲン化してJが水素である式VIのアリールピロール化合物を生成させ;
(c)場合によりJが水素である式VIの化合物をアルコキシメチル化する
段階を含む方法。
【0084】
8.段階(c)が、Jが水素である式VIの化合物を非プロトン性溶媒の存在下でジ−(C1−C6アルコキシ)メタン化合物、N,N−ジメチルホルムアミド及びオキシ塩化リンと反応させて反応混合物を生成させ、反応混合物を第3級アミンで処理することを含む上記7項に記載の方法。
【0085】
9.構造式II
【0086】
【化52】
[式中、
nは1、2、3、4、5、6、7又は8の整数であり;
Aは
【0087】
【化53】
であり;
Lは水素又はハロゲンであり;
M及びQはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、CN、NO2、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C1−C4アルコキシ、C1−C4ハロアルコキシ、C1−C4アルキルチオ、C1−C4ハロアルキルチオ、C1−C4アルキルスルフィニル、C1−C4ハロアルキルスルフィニル、C1−C4アルキルスルホニル、C1−C4ハロアルキルスルホニルであるか、あるいはM及びQが隣接位置にある場合、それらはそれらが結合している炭素原子と一緒になって環を形成することができ、ここでMQは構造−OCH2O−、−OCF2O−又は−CH=CH−CH=CH−を示し;
R1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、NO2、CHOであるかあるいはR2及びR3はそれらが結合している原子と一緒になって環を形成することができ、ここでR2R3は構造
【0088】
【化54】
により示され;
R4、R5、R6及びR7はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、CN又はNO2であり;
XはO又はSであるが、
但しAが非置換フェニル、p−クロロフェニル又はp−メチルフェニルである場合、nは1以外の整数である]
を有する化合物。
【0089】
10.nが1又は2であり;
Aが
【0090】
【化55】
であり;
Lが水素又はハロゲンであり;
M及びQがそれぞれ独立して水素、ハロゲン、C1−C4ハロアルキル又はC1−C4ハロアルコキシである
上記12項に記載の化合物。
Claims (7)
- 構造式I
Wは水素又はCmF2m+1であり;
YはCNであり;
m及びnはそれぞれ独立して1、2、3、4、5、6、7又は8の整数であり;
Aは
Lは水素又はハロゲンであり;
M及びQはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、CN、NO2、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C1−C4アルコキシ、C1−C4ハロアルコキシ、C1−C4アルキルチオ、C1−C4ハロアルキルチオ、C1−C4アルキルスルフィニル、C1−C4ハロアルキルスルフィニル、C1−C4アルキルスルホニル、C1−C4ハロアルキルスルホニルであるか、あるいはM及びQが隣接位置にある場合、それらはそれらが結合している炭素原子と一緒になって環を形成することができ、ここでMQは構造−OCH2O−、−OCF2O−又は−CH=CH−CH=CH−を示し;
R1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、NO2、CHOであるか、あるいはR2及びR3はそれらが結合している原子と一緒になって環を形成することができ、ここでR2R3は構造
R4、R5、R6及びR7はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、CN又はNO2であり;
XはO又はSである]
を有する2−アリール−5−(ペルフルオロアルキル)ピロール化合物の製造方法であって、構造式II
を有するN−(アリールメチレン)−1−クロロ−1−(ペルフルオロアルキル)メチルアミン化合物を、溶媒の存在下で構造式IIIを有するジエノフィル化合物又は構造式IVを有するα,β−ジハロ化合物
及び塩基と反応させることを含む方法。 - 構造式VI
YはCNであり;
nは1、2、3、4、5、6、7又は8の整数であり;
Aは
Lは水素又はハロゲンであり;
M及びQはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、CN、NO2、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C1−C4アルコキシ、C1−C4ハロアルコキシ、C1−C4アルキルチオ、C1−C4ハロアルキルチオ、C1−C4アルキルスルフィニル、C1−C4ハロアルキルスルフィニル、C1−C4アルキルスルホニル、C1−C4ハロアルキルスルホニルであるか、あるいはM及びQが隣接位置にある場合、それらはそれらが結合している炭素原子と一緒になって環を形成することができ、ここでMQは構造−OCH2O−、−OCF2O−又は−CH=CH−CH=CH−を示し;
R1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、NO2、CHOであるか、あるいはR2及びR3はそれらが結合している原子と一緒になって環を形成することができ、ここでR2R3は構造
R4、R5、R6及びR7はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、CN又はNO2であり;
XはO又はSであり;
Halはハロゲン原子であり;
Jは水素又はC1−C6アルコキシメチルである]
を有するアリールピロール化合物の製造方法であって、
(a)構造式II
を有するN−(アリールメチレン)−1−クロロ−1−(ペルフルオロアルキル)メチルアミン化合物を、溶媒の存在下で構造式VIIを有するジエノフィル化合物又は構造式IXを有するα,β−ジハロ化合物
及び塩基と反応させ、構造式VIII
(b)式VIIIの化合物をハロゲン化してJが水素である式VIのアリールピロール化合物を生成させ;
(c)場合によりJが水素である式VIの化合物をアルコキシメチル化する段階を含む方法。 - 塩基がトリ−(C 1 −C 6 アルキル)アミン、アルカリ金属炭酸塩及び複素環式第3級アミンから成る群より選ばれる請求項1に記載の方法。
- 溶媒がカルボン酸アミド及びニトリルならびにそれらの混合物から成る群より選ばれる請求項1に記載の方法。
- ジエノフィルが1〜4モル当量の量で存在し、塩基が1〜4モル当量の量で存在する請求項1に記載の方法。
- α,β−ジハロ化合物が1〜4モル当量の量で存在し、塩基が2〜5モル当量の量で存在する請求項1に記載の方法。
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