JP4493772B2 - インジウム燐ガンダイオード及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロ波やミリ波の発振用として使用されるインジウム燐(InP)ガンダイオードに係り、特に放熱性の向上、歩留まり向上、平面回路への実装容易性等を実現したインジウム燐ガンダイオード及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マイクロ波やミリ波の発振用のガンダイオードは、通常ガリウム砒素(GaAs)やインジウム燐のような化合物半導体で形成されている。これらの化合物半導体では、低電界では電子の移動度が数千cm2/V・secと大きいのに対し、高電界では加速された電子が有効質量の大きいバンドに遷移しその移動度が低下して、バルク内に負性微分移動度が生じ、結果的に電流電圧特性の負性微分コンダクタンスが現れ、熱力学的不安定が生じる。このため、ドメインが発生し、カソード側からアノード側へ走行する。これが繰り返される結果、振動電流(発振)が得られる。
【0003】
マイクロ波領域においては、発振周波数ftは走行距離Lと電子の平均ドリフト速度Vdとから求められ、ft=Vd/Lとなる。ミリ波帯域では、Γ谷で電子がエネルギーを増減させるために必要な時間等からなるエネルギー緩和時間が、発振周波数の上限を決める主要因となっている。この緩和時間定数について、GaAsはInPの基本波モードの2倍であり、GaAsとInPのカットオフ周波数はそれぞれ100GHz、200GHzであると報告されている(M.A.di Forte-Poisson et al.:Proc.IPRM'89,p.551(1989))。GaAsガンダイオードの発振周波数の上限は実用レベルでは60GHz〜70GHzであるので、自動車レーダーに使用されている77GHz帯等の高い周波数帯には、InPガンダイオードが適している。
【0004】
ミリ波用のガンダイオードの場合、前記ドメインの走行距離を1〜2μmと極めて短くする必要がある。しかも、十分な発振効率を得るためには、ドメインの走行空間(活性層)の不純物濃度と厚さの積を所定の値(例えば、1×1012/cm2)に設定する必要があり、また発振周波数は一義的に活性層の厚みで決まるため、ミリ波のような高周波帯では活性層の不純物濃度はかなり高くなる。そして、動作状態での電流密度は活性層の不純物濃度と飽和電子速度との積により決まり、ミリ波帯では電流密度の増大により活性層の温度が上昇し、発振効率が低下してしまう。
【0005】
そこで、このような問題を解消するために、従来のミリ波用ガンダイオードでは、メサ型構造をとることによって、活性層を含めた素子の大きさを数10μm直径程度と極めて小さく形成すると共に、放熱効率の良いダイヤモンド製等の放熱部を備えたピル型パッケージ内に組み立てられていた。
【0006】
図12に従来のメサ型構造のインジウム燐ガンダイオード100の断面図を示す。高濃度n型InPからなる半導体基板101上に、MOCVD法により、高濃度n型InPからなる第1のコンタクト層102、低濃度n型InPからなる活性層103、高濃度n型InPからなる第2のコンタクト層104が順次積層され、電子の走行空間の面積を小さくするため、メサ型構造となっている。
【0007】
上記のように構成した後、半導体基板101の裏面を薄層化し、その半導体基板101の裏面にカソード電極105を形成すると共に、第2のコンタクト層104の表面にアノード電極106を形成し、その後に素子分離を行い、ガンダイオードを素子として完成させる。
【0008】
このように形成されたガンダイオード100は、図13に示すようなピル型パッケージ110内に組み立てられる。このピル型パッケージ110は、放熱基台電極111と、ガンダイオード100を取り囲む外囲器となるガラス或いはセラミックスからなる円筒112とを有し、この円筒112は放熱基台電極111に硬ロウ付けされた構造となっている。ガンダイオード100は、図示しないサファイア材等のボンデングツールにて静電吸着され、放熱基台電極111に接着される。
【0009】
さらに、金リボン113によりガンダイオード100と円筒112の先端に設けられた金属層とが熱圧着等により接続される。金リボン113の接続を行った後、円筒112上に蓋状の金属デイスク114をロウ付けし、ピル型パッケージ110への組み立てが終了する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のインジウム燐ガンダイオード100は、前記したメサ型構造とするために、通常、ホトレジストをエッチングマスクとして使用し、化学的な湿式エッチングによる方法で形成されるが、このエッチング方法では、深さ方向だけでなく、横方向にも同時にエッチングが進行し、電子の走行空間(活性層)の制御が非常に難しいという製造上の難点があり、ガンダイオードの素子特性がばらつくという問題点があった。
【0011】
また、アノード電極106として使用するAuGe系アロイ電極のAuが比較的低温度でInと反応するために、そのオーミック接触のアノード電極が劣化するという問題があった。
【0012】
また、InPからなる活性層103のメサ表面が不安定であるために、そのメサ表面への電流集中によりガンダイオードが焼損してしまう恐れがあるという問題もあった。
【0013】
さらに、ピル型パッケージ110に組み立てる際には、放熱基台電極111にガンダイオード100を接着する時、前記ボンデイングツールが視野を遮り、放熱基台電極111を直接視認することが困難となり、組立作業効率が非常に悪いという問題もあった。
【0014】
さらに、ガンダイオード100を組み込んだピル型パッケージ110を平板基板121上に構成したマイクロストリップ線路120に実装する際に、金リボン123によって接続するので、寄生インダクタンスが発生し、特性がばらつくという実装上の問題点があった。
【0015】
本発明の目的は、上記した問題点を解消したインジウム燐ガンダイオード及びその製造方法を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
このために第1の発明は、高濃度n型InPからなる半導体基板上に、高濃度n型InPからなる第1の半導体層、低濃度n型InPからなる活性層及び高濃度n型InGaAsからなる第2の半導体層が順に積層されたインジウム燐ガンダイオードであって、前記第2の半導体層上に配置され前記活性層に電圧を印加するための小面積の第1の電極及び大面積の第2の電極と、該第1の電極の周囲から少なくとも前記第2の半導体層を除去するよう切り込まれ、且つ前記第1の電極に対応する前記第2の半導体層及び前記活性層の部分をガンダイオードとして機能させる領域として区画する凹部とを備えるよう構成した。
【0017】
第2の発明は、高濃度n型InPからなる半導体基板上に、高濃度n型InGaAsからなる第1の半導体層、低濃度n型InPからなる活性層及び高濃度n型InPからなる第2の半導体層が順に積層されたインジウム燐ガンダイオードであって、前記第2の半導体層上に配置され前記活性層に電圧を印加するための小面積の第1の電極及び大面積の第2の電極と、該第1の電極の周囲から少なくとも前記第2の半導体層を除去するよう切り込まれ、且つ前記第1の電極に対応する前記第1の半導体層及び前記活性層の部分をガンダイオードとして機能させる領域として区画する凹部とを備えるよう構成した。
【0018】
第3の発明は、高濃度n型InPからなる半導体基板上に、高濃度n型InGaAsからなる第1の半導体層、低濃度n型InPからなる活性層、高濃度n型InPからなる第2の半導体層、及び高濃度n型InGaAsからなる第3の半導体層が順に積層されたインジウム燐ガンダイオードであって、前記第3の半導体層上に配置され前記活性層に電圧を印加するための小面積の第1の電極及び大面積の第2の電極と、該第1の電極の周囲から少なくとも前記第2及び第3の半導体層を除去するよう切り込まれ、且つ前記第1の電極に対応する前記第1の半導体層及び前記活性層の部分をガンダイオードとして機能させる領域として区画する凹部とを備えるよう構成した。
【0019】
第4の発明は、高濃度n型InPからなる半導体基板上に、高濃度n型InPからなる第1の半導体層、低濃度n型InPからなる活性層、高濃度n型InPからなる第2の半導体層、及び高濃度n型InGaAsからなる第3の半導体層が順に積層されたインジウム燐ガンダイオードであって、前記第3の半導体層上に配置され前記活性層に電圧を印加するための小面積の第1の電極及び大面積の第2の電極と、該第1の電極の周囲から少なくとも前記第2及び第3の半導体層を除去するよう切り込まれ、且つ前記第1の電極に対応する前記第1の半導体層及び前記活性層の部分をガンダイオードとして機能させる領域として区画する凹部とを備えるよう構成した。
【0020】
第5の発明は、第1乃至第4の発明において、前記凹部から前記活性層内部にかけての部分をイオン注入により高抵抗化して構成した。
【0021】
第6の発明は、第3又は第4の発明において、前記凹部を前記第3の半導体層を除去する深さまで切り込み、且つ該凹部から前記第2の半導体層又は前記活性層内部にかけての部分をイオン注入により高抵抗化して構成した。
【0022】
第7の発明は、第1,第3,又は4の発明において、前記第1、第2の電極が、WSi、Mo等の高融点金属からなるよう構成した。
【0023】
第8の発明は、第2又は第3の発明において、前記第1の半導体層のInGaAsの組成がIn0.53Ga0.47Asであり、前記半導体基板のInPと格子整合しているよう構成した。
【0024】
第9の発明は、第1乃至第4の発明において、前記第1、第2の電極が、小面積、大面積の下地電極層と、該各下地電極層に連続して上面が略同じレベルの高さに形成された各導電性突起部より構成されているようにした。
【0025】
第10の発明は、第9の発明において、前記第1の電極の前記導電性突起部を略中央部に形成し、その両側に前記第2の電極の前記導電性突起部を形成して構成した。
【0026】
第11の発明は、第1乃至第10の発明において、前記第1の電極の面積を、前記第2の電極の面積の1/10〜1/1,000に設定して構成した。
【0027】
第12の発明は、第1乃至第11の発明において、前記第1の電極及び前記第1の電極の周囲から切り込まれた前記凹部が2以上形成されているよう構成した。
【0028】
第13の発明は、第1乃至第12の発明において、前記半導体基板の裏面に第3の電極を設け、該第3の電極と前記第1の電極とを前記活性層への電圧印加用とし、前記第2の電極をスペーサ用に代えて構成した。
【0029】
第14の発明の製造方法は、高濃度n型InPからなる半導体基板上に、高濃度n型InPからなる第1の半導体層と、低濃度n型InPからなる活性層と、高濃度n型InGaAsからなる第2の半導体層とを順に積層形成した基板を用意する第1の工程と、前記第2の半導体層上に、小面積の第1の電極及び大面積の第2の電極を形成する第2の工程と、前記第1、第2の電極をマスクとしてエッチングにより少なくとも前記第2の半導体層を除去する第3の工程と、を有するよう構成した。
【0030】
第15の発明の製造方法は、高濃度n型InPからなる半導体基板上に、高濃度n型InGaAsからなる第1の半導体層と、低濃度n型InPからなる活性層と、高濃度n型InPからなる第2の半導体層とを順に積層形成した基板を用意する第1の工程と、前記第2の半導体層上に、小面積の第1の電極及び大面積の第2の電極を形成する第2の工程と、前記第1、第2の電極をマスクとしてエッチングにより少なくとも前記第2の半導体層を除去する第3の工程と、を有するよう構成した。
【0031】
第16の発明の製造方法は、高濃度n型InPからなる半導体基板上に、高濃度n型InGaAsからなる第1の半導体層と、低濃度n型InPからなる活性層と、高濃度n型InPからなる第2の半導体層と、高濃度InGaAsからなる第3の半導体層を順に積層形成した基板を用意する第1の工程と、前記第3の半導体層上に、小面積の第1の電極及び大面積の第2の電極を形成する第2の工程と、前記第1、第2の電極をマスクとしてエッチングにより少なくとも前記第2及び第3の半導体層を除去する第3の工程と、を有するよう構成した。
【0032】
第17の発明の製造方法は、高濃度n型InPからなる半導体基板上に、高濃度n型InPからなる第1の半導体層と、低濃度n型InPからなる活性層と、高濃度n型InPからなる第2の半導体層と、高濃度InGaAsからなる第3の半導体層を順に積層形成した基板を用意する第1の工程と、前記第3の半導体層上に、小面積の第1の電極及び大面積の第2の電極を形成する第2の工程と、前記第1、第2の電極をマスクとしてエッチングにより少なくとも前記第2及び第3の半導体層を除去する第3の工程と、を有するよう構成した。
【0033】
第18の発明は、第14乃至17の発明において、前記エッチングにより除去されて形成された凹部から前記活性層にかけての部分をイオン注入により高抵抗化する第4の工程を有するよう構成した。
【0034】
第19の発明は、第16又は17の発明において、前記第3の工程を、前記第1、第2の電極をマスクとして前記第3の半導体層をエッチングにより除去し、該除去により形成された凹部から前記第2の半導体層又は前記活性層内部にかけての部分をイオン注入により高抵抗化する工程に置換して構成した。
【0035】
第20の発明は、第14乃至19の発明において、前記第2の工程が、所定形状の前記第1、第2の電極用の下地電極層を形成した後に、該下地電極層上にほぼ同じ高さの導電性突起部を形成する工程を含むよう構成した。
【0036】
【発明の実施の形態】
[第1の実施の形態]
図1は本発明の第1の実施の形態のインジウム燐ガンダイオード10Aの構造を示す図で、その(a)は平面図、(b)は断面図である。図2は製造工程図である。図2の内容に従って製造工程を説明する。
【0037】
まず、不純物濃度が1〜2×1018atom/cm2の高濃度n型InPからなる半導体基板11上に、MOCVD法により、不純物濃度が2×1018atom/cm2で厚さ0.5μmの高濃度n型InPからなる第1のコンタクト層12、不純物濃度が1.2×1016atom/cm2で厚さ1.6μmの低濃度n型InPからなる活性層13、及び不純物濃度が1×1019atom/cmで厚さ0.2μmの高濃度n型In0.53Ga0.47Asからなる第2のコンタクト層14を順次積層した半導体基板を用意する。
【0038】
次に、第2のコンタクト層14上の全面に、高融点金属であるWSiを蒸着する。そして、カソード電極及びアノード電極の形成予定領域が残るようパターニングされたホトレジスト又はAu等からなる金属膜をマスクとして、WSi金属膜をSF6ガス等によりドライエッチングによりパターニングすることにより、第2のコンタクト層14上にWSiのアノード電極15及びカソード電極16を分離して形成する(図2の(a))。図1に示すように、アノード電極15の平面形状は縁が方形、カソード電極16の平面形状は円形であるが、いずれにも楕円形、略正方形等を選択することもできる。
【0039】
なお、ここで電極15,16としてWSiを使用した理由は、そのWSiが高融点金属で熱的に安定しており、且つナローバンドギャップの半導体であるInGaAsからなる第2のコンタクト層14がその上面に形成した電極と合金化しなくても(ノンアロイ)その電極とオーミック接触となるからである。高融点金属としてはWSiの他にMo等でも構わない。
【0040】
また、高融点金属を用いない場合は、第2のコンタクト層14上に、カソード電極及びアノード電極の形成予定領域を開口するホトレジストをパターニングし、第2のコンタクト層14とオーミック接触するAuGe、Ni、Au等からなる金属膜(下地電極層)を蒸着し、ホトレジストを除去した後、加熱処理(アニール)を行い、その第2のコンタクト層14上にアノード電極15及びカソード電極16を分離して形成することもできる。
【0041】
次に、アノード電極15及びカソード電極16表面の一部を開口するようにホトレジスト17をパターンニングし、開口内に電解メッキ法あるいは無電解メッキ法により、アノード電極15,カソード電極16を下地電極としてその上面にAu等からなる導電性突起部であるバンプ(電極)18、19を析出形成する(図2の(b))。
【0042】
次に、ホトレジスト17を除去することにより、第2のコンタクト層14を露出させてから、アノード電極15及びカソード電極16をマスクとして使用し、メタンと水素の混合ガス等を用いたリアクティブイオンエッチング(RIE)等のドライエッチングにより、露出している第2のコンタクト層14を除去し、上記カソード電極16の周辺に略メサ状の、あるいは垂直状の凹部20を形成する(図2の(c))。このように、上部のアノード電極15とカソード電極16をマスクとした自己整合による垂直方向のエッチングにより、目標とする凹部20を正確に形成することができる。
【0043】
ここで、凹部20によって区画されたカソード電極16に対応する活性層13の面積(カソード電極16の面積)は、ガンダイオードとしての所定の動作電流が得られる面積(横方向断面積)に設定される。つまり、ガンダイオードとして機能可能な面積に設定される。一方、アノード電極15に対応する活性層13の面積は、カソード電極16に対応する活性層13の面積より充分大きくして、アノード電極15下方の半導体積層部の電気抵抗をカソード電極16下方の半導体積層部(ガンダイオード機能部)の電気抵抗より充分小さくすることで、この部分をガンダイオードとしては機能させず、実質的に低い値の抵抗として機能させ、アノード電極15を実質的に直接に第1のコンタクト層12に接続させる。
【0044】
以上のカソード電極16に対応する活性層13の領域部分の面積比は、10未満の場合は動作効率が低下するのみで効果がなく、10以上にする必要があり、10以上で1000以下程度とすることが好ましい。
【0045】
なお、前記した凹部20は、例えばリン酸系系のエッチャント(H3PO4:H2O2:H2O=4:1:50)を用いてInGaAsからなる第2のコンタクト層14を選択的にエッチングして形成しても良い。第2のコンタクト層14の厚さは0.2μmと薄いため、湿式エッチングにもかかわらず、目標とする凹部20の深さのバラツキはなく、正確に形成することができる。また、この凹部20は、ある程度活性層13に食い込むようにしても、さらには活性層13を除去し第1のコンタクト層12にある程度食い込むように形成してもよい。
【0046】
次に、通常のガンダイオードの製造工程に従い、ガンダイオード全体の厚さが100μm程度となるように、半導体基板11の裏面を研磨し薄層化する。その後、必要に応じて、半導体基板11の裏面に、半導体基板11とオーミック接触するAuGe、Ni、Au、Ti、Pt等からなる金属膜21を蒸着し、加熱処理(アニール)を行う(図2の(d))。この半導体基板11の裏面に形成する金属膜21は必ずしも必要ないが、アノード電極15に代え又はそれと共にアノード電極として機能させることができる。このとき、アノード電極15の下方の半導体積層部の電気抵抗をより小さくできる。また、このとき、アノード電極15はカソード電極16と同一面であるので、実装時のスペーサとして機能させることができる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態のインジウム燐ガンダイオード10Aは、半導体積層部分にカソード電極16を囲むように凹部20を形成することにより、ガンダイオード機能部分(活性層13と第2のコンタクト層14の内のカソード電極16に対応する領域部分)と、そのガンダイオード機能部分の第1のコンタクト層12への外部からの電圧印加路として働く低抵抗層部分とに分離した構造であるので、第2のコンタクト層14の上面にアノード電極15とカソード電極16の両電極を設けることができる。つまり、同一の面にアノード電極15とカソード電極16をまとめることができる。このため、実装上、放熱上等で大きな利点を発揮する。
【0048】
また、動作電流を決定する領域(前記ガンダイオード機能部)を画定するエッチングを、その領域の上部に形成した電極15,16をマスクとした自己整合的ドライエッチングにより行うため、従来の化学的湿式エッチングに比べて製造バラツキが少なく、歩留まりを高くすることができる。
【0049】
さらに、ここでは電子がカソード電極16から0.2eVのコンダクションバンドオフセットを有する第2のコンタクト層14と活性層13の界面のInGaAs/InPの接合を通じて活性層13にホットエレクトロンとして注入されるので、ドメイン形成に要する時間が短縮し、発振効率が向上する。
【0050】
さらに、第2のコンタクト層14をInGaAsにより構成しているので、その上面に形成するアノード電極15やカソード電極16は合金化せずともオーミック接触を得ることができ、よってここでは安定なWSi、Mo等の高融点金属をそのまま使用することができる。InPの上面に電極を形成するときは、オーミック接触のために合金化が必要であり、このときAuGeやAu等を電極として使用する場合には比較的低温でInとAuが反応することによりオーミック接触が劣化する問題があるが、本実施形態では問題ない。
【0051】
さらに、以上ではカソード電極16とバンプ19と凹部20は、中央部分に1個だけ形成したが、両側のバンプ18の間に、マトリクス形状、千鳥形状、放射形状、リング形状、その他の配置形状により複数個形成してもよい。このようにすることにより、ガンダイオードとして機能するメサ構造部分が複数箇所に分散されるので、放熱効率が格段に良くなり、発振効率や発振電力を大幅に向上させることができる。
【0052】
ところで、前記したように、ガンダイオード10Aの凹部20は、図1(b)や図2に示すように第2のコンタクト層14のみを除去しただけの深さの他に、活性層13まで切り込んだ深さ、さらには第1のコンタクト層12の一部にまでも食い込む深さまでも形成してもよいが、いずれの場合もInPからなる活性層13が露出することになる。この場合、InPからなる活性層13はその露出表面が不安定であり、そこに電流集中が起こり易く、焼損の恐れがある。
【0053】
図3はこの点を解決した変形例のガンダイオード10A’の断面を示す図である。ここでは、前記した図2(d)の工程の前工程として、加速エネルギーが30KeV,100KeV、200KeVで、それぞれドーズ量を7×1012/cm2、1×1013/cm2、2×1013/cm2の条件で、合計3回に亘って凹部20の上方からボロン(B)をイオン注入し、400℃の熱処理により活性層13にその上部から下部に亘ってほぼ均一の高抵抗層22を形成した。他の工程は図2で説明したものと同じである。この高抵抗層22の抵抗値は、凹部20に電流集中が起こらない程度で充分であり、活性層13の抵抗値と同程度かそれより高ければよいが、0.1Ω/cm以上であることが望ましい。
【0054】
本ガンダイオード10A’によれば、活性層13の表面が高抵抗層22により覆われるので、凹部20のままとした場合に比べて、その表面の不安定性による電流集中によって焼損が発生する恐れを回避できる。このイオン注入による活性層13の高抵抗化は、凹部20をその活性層13の内部にまで形成した場合でも有効である。
【0055】
なお、注入するイオンとしては、ボロン(B)の他に、酸素(O)、鉄(Fe)、水素(H)等を使用できる。
【0056】
[第2の実施形態]
図4は第2の実施形態のガンダイオード10Bの断面を示す図である。本実施形態では、不純物濃度が1〜2×1018atom/cm2の高濃度n型InPからなる半導体基板11上に、MOCVD法により、不純物濃度が1×1019atom/cmで厚さ0.5μmの高濃度n型In0.53Ga0.47Asからなる第1のコンタクト層12’、不純物濃度が1.2×1016atom/cm2で厚さ1.6μmの低濃度n型InPからなる活性層13、純物濃度が2×1018atom/cm2で厚さ0.3μmの高濃度n型InPからなる第2のコンタクト層14’を順次積層した半導体基板を用意する。
【0057】
そして、第2のコンタクト層14’上に、オーミック接触するAuGe、Ni、Au等からなる金属膜で構成されるアノード電極15及びカソード電極16を分離して形成する。
【0058】
本実施形態では、前記の図1、図2に示した構造と異なり、ガンダイオードとして機能する高濃度n型InGaAsの第1のコンタクト層12’と低濃度n型InPの活性層13との接合が下側(第1のコンタクト層12’側)にあるので、中央に位置した小面積の電極がアノード電極15、面積の大きな外側の電極がカソード電極16となる。バンプ18,19の形成、凹部20の形成は図2で説明した方法と同じ方法で行う。
【0059】
本実施形態のガンダイオード10Bは、アノード電極15とカソード電極16が反対となる他は、前記した第1の実施形態(図1,図2)と同じであり、同様な作用効果を有する。
【0060】
また、本実施形態では、第1コンタクト層12のInGaAsの組成がIn0.53Ga0.47Asであり、半導体基板11のInPと格子整合するので、エピタキシャル層に格子欠陥が発生しない。
【0061】
なお、凹部20は活性層13の内部まで、さらには第1のコンタクト層12’に食い込むまで形成することができる。
【0062】
図5は第2の実施形態のガンダイオード10Bの変形例のガンダイオード10B’の断面を示す図である。ここでは、前記した図3に示したガンダイオード10A’の場合と同様の条件で、凹部20にボロン(B)のイオン注入と熱処理を行い、活性層13にその上部から下部に亘ってほぼ均一の高抵抗層22を形成したものである。その高抵抗層22による作用効果や注入イオンの他の種類は、図3のガンダイオード10A’について説明したものと同じである。
【0063】
[第3の実施形態]
図6は第3の実施形態のガンダイオード10Cの断面を示す図である。本実施形態では、前記した第2の実施形態(図4)の構成において、高濃度n型のInPからなる第2のコンタクト層14’の上層に、第1,第2の実施形態で第2のコンタクト層14として使用したのと同じ高濃度n型のIn0.53Ga0.47Asからなる厚さ0.2μmの第3のコンタクト層14”を積層し、凹部20を第2のコンタクト層14’の底部まで形成し、アノード電極15とカソード電極16を画定したものである。また、ここではアノード電極15、カソード電極16として、第1,第2の実施形態(図1〜図5)で説明したのと同様に、WSi、Mo等の高融点金属やAuGe、Ni、Au等を用いる。
【0064】
このように、このガンダイオード10Cでは、凹部20を第2のコンタクト層14’及び第3のコンタクト層14”に完全に切り込む深さとしている。ここでは、InPからなる活性層13とInGaAsからなる第1のコンタクト層12’におけるアノード電極15に対応する領域がガンダイオードとして機能するので、アノード電極15,カソード電極16は図4,5と同様の配置となる。
【0065】
第3のコンタクト層14”にInGaAsを使用した点の作用効果は第1の実施形態(図1〜図3)で第2のコンタクト層14にInGaAsを使用した場合と同様であり、また第1のコンタクト層12’にInGaAsを使用した点の作用効果は第2の実施形態(図4,図5)と同じである。
【0066】
図7は第3の実施形態のガンダイオード10Cの変形例のガンダイオード10C’の断面を示す図である。ここでは、前記した図3に示したガンダイオード10A’の場合と同様の条件で、凹部20にボロン(B)のイオン注入と熱処理を行い、活性層13にその上部から下部に亘ってほぼ均一の高抵抗層22を形成したものである。その高抵抗層22による作用効果や注入イオンの他の種類は、図3のガンダイオード10A’について説明したものと同じである。
【0067】
なお、本実施形態では、図8に示すように、凹部20を第3のコンタクト層14”を除去する深さまで形成し、つまり第2のコンタクト層14’には凹部20を形成せず、その凹部20からイオン注入により第2のコンタクト層14’及び活性層13に高抵抗層22を形成してもよい。
【0068】
[第4の実施形態]
図9は第4の実施形態のガンダイオード10Dの断面を示す図である。この実施形態は、前記した第1の実施形態(図1)の構成において、低濃度n型のInPからなる活性層13の上層に高濃度n型のInPからなる第2のコンタクト層14’を形成し、その上層に高濃度n型のInGaAsからなる第3のコンタクト層14”を積層し、凹部20を第2のコンタクト層14’の底部まで形成し、アノード電極15とカソード電極16を画定したものである。
【0069】
ここでは最上層がInGaAsからなる第3のコンタクト層14”であるので、アノード電極15、カソード電極16として、第1,第3の実施形態(図1〜図3、図6〜図8)で説明したのと同様に、WSi、Mo等の高融点金属やAuGe、Ni、Au等を用いる。
【0070】
本実施形態では、第1のコンタクト層12と第2のコンタクト層14’はn型高濃度のInPで構成されているので、アノード電極15とカソード電極16は相互に取り替えることができる。
【0071】
図10は第4の実施形態のガンダイオード10Dの変形例のガンダイオード10D’の断面を示す図である。ここでは、前記した図3に示したガンダイオード10A’の場合と同様の条件で、凹部20にボロン(B)のイオン注入と熱処理を行い、活性層13にその上部から下部に亘ってほぼ均一の高抵抗層22を形成したものである。その高抵抗層22による作用効果や注入イオンの他の種類は、図3のガンダイオード10A’について説明したものと同じである。
【0072】
なお、本実施形態では、図8で説明した場合と同様に、凹部20を第3のコンタクト層14”を除去する深さまで形成し、つまり第2のコンタクト層14’には凹部20を形成せず、その凹部20からイオン注入により第2のコンタクト層14’及び活性層13に高抵抗層22を形成してもよい。
【0073】
[第5の実施形態]
図11は前記した中央がカソード電極16、両側がアノード電極15となるガンダイオード10(10A,10A’,10D,10D’)をマイクロストリップ線路30を形成する平板回路基板に実装して発振器を構成した構造の一例を示す図である。窒化アルミニウム(AlN)、シリコン(Si)、シリコンカーバイド(SiC)、ダイアモンド等のように比抵抗が106Ω・cm以上、熱電導率が140W/mK以上で良好な半絶縁性の平板基板31上に信号電極32が、また裏面に接地電極33が形成されている。34はタングステンを充填したヴィアホールであり、裏面の接地電極33と表面に形成した表面接地電極35を接続している。ガンダイオード10はそのアノード電極のバンプ19が信号電極32に接着され、カソード電極のバンプ18が接地電極34に接着されている。32Aはガンダイオード10に電源電圧を供給するバイアス部の電極、32Bはガンダイオード10を含むマイクロストリップ線路による共振器を構成する電極、32Cはマイクロストリップ線路による信号出力部の電極である。
【0074】
ガンダイオード10をこのように実装して構成した発振器は、共振器としての電極32Bの長さを400μmとしたとき、発振周波数77GHzで60mWの発信出力が得られている。
【0075】
この実装構造では、ガンダイオード10をフェースダウン姿勢にして、バンプ18,19を電極35,32に直接接続し、金リボンを使用しないので、金リボンによる接続に起因し発生していた寄生インダクタンスの発生がなくなり、特性のばらつきの少ない発振器を実現することが可能になる。
【0076】
また、ガンダイオード10に発生する熱がバンプ18,19を介してヒートシンクとしても機能する基板31に放散されるので、放熱効果も高くなる。さらに、このようなガンダイオード10の実装状態では、アノード電極のバンプ19の両側にカソード電極のバンプ18が位置するので、アノード電極に過度の加重が加わることが防止される。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のガンダイオードは、ガンダイオードとして機能する領域を画定するエッチングを、その領域の上部に形成した電極層をマスクとした自己整合的ドライエッチングにより行うため、ガンダイオードの特性のばらつきを少なくすることができる。
【0078】
また、本発明のガンダイオードでは、同一面に同じレベルの高さでカソード電極とアノード電極のバンプを設けることができるため、フェースダウンの姿勢で実装できる。このため、従来のようなピル型パッケージに組み立てる必要がなく、平板基板への組み立てが容易に可能であり組み立て上の利点が大きい。
【0079】
さらに、実装時に金リボン等によって微小電極と接続する必要がないため、寄生インダクタンスの発生がなく、金リボンの長さのばらつきなどに起因する回路特性のばらつきをなくすことができる。
【0080】
さらに、カソード電極やアノード電極の下層を構成する半導体層がInGaAsからなるときは、高融点金属をノンアロイ電極として用いることができるので、比較的低温でInとAuが反応することによりオーミック接触が劣化するという問題を回避ができる。
【0081】
さらに、アノード電極とカソード電極を画定する凹部に現れている活性層をイオン注入により高抵抗化する場合には、その表面が安定化して、メサ表面への電流集中による素子焼損等を防ぐことができる。
【0082】
さらに、活性層のカソード側にInGaAsを設けたときは、電子がInGaAs/InPの接合を通じてInPからなる活性層にホットエレクロトンとして注入するので、ドメイン形成に要する時間が短縮化し、発振効率が向上する。
【0083】
さらに、実質的にガンダイオードとして機能するメサ型構造部分を複数個に分離して構成することにより、放熱効率が格段に良くなり、発振効率や発振電力を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態のガンダイオードを示す図で、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図2】 図1のガンダイオードの製造方法を説明する図である。
【図3】 図1のガンダイオードの変形例の断面図である。
【図4】 第2の実施形態のガンダイオードの断面図である。
【図5】 第2の実施形態のガンダイオードの変形例の断面図である。
【図6】 第3の実施形態のガンダイオードの断面図である。
【図7】 第3の実施形態のガンダイオードの変形例の断面図である。
【図8】 第3の実施形態のガンダイオードの別の変形例の断面図である。
【図9】 第4の実施形態のガンダイオードの断面図である。
【図10】 第4の実施形態のガンダイオードの変形例の断面図である。
【図11】 第5の実施形態の実装構造の斜視図である。
【図12】 従来のメサ構造のインジウム燐ガンダイオードの断面図である。
【図13】 図12のガンダイオードをピル型パッケージに組み込んだ断面図である。
【符号の説明】
10,10A,10A’,10B,10B’,10C,10C’,10C”,10D、10D’:インジウム燐ガンダイオード
11:半導体基板、12、12’:第1のコンタクト層、13:活性層、14、14’:第2のコンタクト層、14”:第3のコンタクト層、15:アノード電極、16:カソード電極、17:ホトレジスト、18,19:バンプ、20:凹部、21:金属膜、22:高抵抗層
30:マイクロストリップ線路、31:平板基板、32:信号電極、33:接地電極、34:ヴィアホール、35:表面接地電極
100:従来のガンダイオード、101:半導体基板、102:第1コンタクト層、103:活性層、104:第2のコンタクト層、105:カソード電極、106:アノード電極
110:ピル型パッケージ、111:放熱基台電極、112:円筒、113:金リボン、114:金属ディスク
Claims (20)
- 高濃度n型InPからなる半導体基板上に、高濃度n型InPからなる第1の半導体層、低濃度n型InPからなる活性層及び高濃度n型InGaAsからなる第2の半導体層が順に積層されたインジウム燐ガンダイオードであって、
前記第2の半導体層上に配置され前記活性層に電圧を印加するための小面積の第1の電極及び大面積の第2の電極と、該第1の電極の周囲から少なくとも前記第2の半導体層を除去するよう切り込まれ、且つ前記第1の電極に対応する前記第2の半導体層及び前記活性層の部分をガンダイオードとして機能させる領域として区画する凹部とを備えたことを特徴とするインジウム燐ガンダイオード。 - 高濃度n型InPからなる半導体基板上に、高濃度n型InGaAsからなる第1の半導体層、低濃度n型InPからなる活性層及び高濃度n型InPからなる第2の半導体層が順に積層されたインジウム燐ガンダイオードであって、
前記第2の半導体層上に配置され前記活性層に電圧を印加するための小面積の第1の電極及び大面積の第2の電極と、該第1の電極の周囲から少なくとも前記第2の半導体層を除去するよう切り込まれ、且つ前記第1の電極に対応する前記第1の半導体層及び前記活性層の部分をガンダイオードとして機能させる領域として区画する凹部とを備えたことを特徴とするインジウム燐ガンダイオード。 - 高濃度n型InPからなる半導体基板上に、高濃度n型InGaAsからなる第1の半導体層、低濃度n型InPからなる活性層、高濃度n型InPからなる第2の半導体層、及び高濃度n型InGaAsからなる第3の半導体層が順に積層されたインジウム燐ガンダイオードであって、
前記第3の半導体層上に配置され前記活性層に電圧を印加するための小面積の第1の電極及び大面積の第2の電極と、該第1の電極の周囲から少なくとも前記第2及び第3の半導体層を除去するよう切り込まれ、且つ前記第1の電極に対応する前記第1の半導体層及び前記活性層の部分をガンダイオードとして機能させる領域として区画する凹部とを備えたことを特徴とするインジウム燐ガンダイオード。 - 高濃度n型InPからなる半導体基板上に、高濃度n型InPからなる第1の半導体層、低濃度n型InPからなる活性層、高濃度n型InPからなる第2の半導体層、及び高濃度n型InGaAsからなる第3の半導体層が順に積層されたインジウム燐ガンダイオードであって、
前記第3の半導体層上に配置され前記活性層に電圧を印加するための小面積の第1の電極及び大面積の第2の電極と、該第1の電極の周囲から少なくとも前記第2及び第3の半導体層を除去するよう切り込まれ、且つ前記第1の電極に対応する前記第1の半導体層及び前記活性層の部分をガンダイオードとして機能させる領域として区画する凹部とを備えたことを特徴とするインジウム燐ガンダイオード。 - 請求項1乃至4において、
前記凹部から前記活性層内部にかけての部分をイオン注入により高抵抗化したことを特徴とするインジウム燐ガンダイオード。 - 請求項3又は4において、
前記凹部を前記第3の半導体層を除去する深さまで切り込み、且つ該凹部から前記第2の半導体層又は前記活性層内部にかけての部分をイオン注入により高抵抗化したことを特徴とするインジウム燐ガンダイオード。 - 請求項1、3、又は4において、
前記第1、第2の電極が、WSi、Mo等の高融点金属からなることを特徴とするインジウム燐ガンダイオード。 - 請求項2又は3において、
前記第1の半導体層のInGaAsの組成がIn0.53Ga0.47Asであり、前記半導体基板のInPと格子整合していることを特徴とするインジウム燐ガンダイオード。 - 請求項1乃至4において、
前記第1、第2の電極が、小面積、大面積の下地電極層と、該各下地電極層に連続して上面が略同じレベルの高さに形成された各導電性突起部より構成されていることを特徴とするインジウム燐ガンダイオード。 - 請求項9において、
前記第1の電極の前記導電性突起部を略中央部に形成し、その両側に前記第2の電極の前記導電性突起部を形成したことを特徴とするインジウム燐ガンダイオード。 - 請求項1乃至10において、
前記第1の電極の面積を、前記第2の電極の面積の1/10〜1/1,000に設定したことを特徴とするインジウム燐ガンダイオード。 - 請求項1乃至11において、
前記第1の電極及び前記第1の電極の周囲から切り込まれた前記凹部が2以上形成されていることを特徴とするインジウム燐ガンダイオード。 - 請求項1乃至12において、
前記半導体基板の裏面に第3の電極を設け、該第3の電極と前記第1の電極とを前記活性層への電圧印加用とし、前記第2の電極をスペーサ用に代えたことを特徴とするインジウム燐ガンダイオード。 - 高濃度n型InPからなる半導体基板上に、高濃度n型InPからなる第1の半導体層と、低濃度n型InPからなる活性層と、高濃度n型InGaAsからなる第2の半導体層とを順に積層形成した基板を用意する第1の工程と、
前記第2の半導体層上に、小面積の第1の電極及び大面積の第2の電極を形成する第2の工程と、
前記第1、第2の電極をマスクとしてエッチングにより少なくとも前記第2の半導体層を除去する第3の工程と、
を有することを特徴とするインジウム燐ガンダイオードの製造方法。 - 高濃度n型InPからなる半導体基板上に、高濃度n型InGaAsからなる第1の半導体層と、低濃度n型InPからなる活性層と、高濃度n型InPからなる第2の半導体層とを順に積層形成した基板を用意する第1の工程と、
前記第2の半導体層上に、小面積の第1の電極及び大面積の第2の電極を形成する第2の工程と、
前記第1、第2の電極をマスクとしてエッチングにより少なくとも前記第2の半導体層を除去する第3の工程と、
を有することを特徴とするインジウム燐ガンダイオードの製造方法。 - 高濃度n型InPからなる半導体基板上に、高濃度n型InGaAsからなる第1の半導体層と、低濃度n型InPからなる活性層と、高濃度n型InPからなる第2の半導体層と、高濃度InGaAsからなる第3の半導体層を順に積層形成した基板を用意する第1の工程と、
前記第3の半導体層上に、小面積の第1の電極及び大面積の第2の電極を形成する第2の工程と、
前記第1、第2の電極をマスクとしてエッチングにより少なくとも前記第2及び第3の半導体層を除去する第3の工程と、
を有することを特徴とするインジウム燐ガンダイオードの製造方法。 - 高濃度n型InPからなる半導体基板上に、高濃度n型InPからなる第1の半導体層と、低濃度n型InPからなる活性層と、高濃度n型InPからなる第2の半導体層と、高濃度InGaAsからなる第3の半導体層を順に積層形成した基板を用意する第1の工程と、
前記第3の半導体層上に、小面積の第1の電極及び大面積の第2の電極を形成する第2の工程と、
前記第1、第2の電極をマスクとしてエッチングにより少なくとも前記第2及び第3の半導体層を除去する第3の工程と、
を有することを特徴とするインジウム燐ガンダイオードの製造方法。 - 請求項14乃至17において、
前記エッチングにより除去されて形成された凹部から前記活性層にかけての部分をイオン注入により高抵抗化する第4の工程を有することを特徴とするインジウム燐ガンダイオードの製造方法。 - 請求項16又は17において、
前記第3の工程を、前記第1、第2の電極をマスクとして前記第3の半導体層をエッチングにより除去し、該除去により形成された凹部から前記第2の半導体層又は前記活性層内部にかけての部分をイオン注入により高抵抗化する工程に置換したことを特徴とするインジウム燐ガンダイオードの製造方法。 - 請求項14乃至19において、
前記第2の工程が、所定形状の前記第1、第2の電極用の下地電極層を形成した後に、該下地電極層上にほぼ同じ高さの導電性突起部を形成する工程を含むことを特徴とするインジウム燐ガンダイオードの製造方法。
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