上記特許文献1に記載された玉網ホルダーは、玉網を挟持する挟持部を備えており、この挟持部は、ラチェット機構により各軸に玉網の柄を保持するようになっている。しかし、このようなラチェット機構は、玉網の柄を確実に保持することが可能である反面、釣人が玉網の柄を挟持部に保持させる作業及び玉網の柄を挟持部から取り外す作業を迅速に行うことは困難である。なぜなら、玉網の着脱作業においては、釣人は、上記ラチェット機構を一々操作しなければならないからである。
また、上記釣場の環境は一様ではなく、場合によっては、釣人は、水深が深く且つ流れが速いポイントで釣るために(いわゆる本流釣り)、下半身を水中に進入させることもある。そのような過酷な状況においても釣人が複数の釣道具を確実に携帯するためには、フィッシングベルトの使い勝手(ユーティリティ)が向上されなければならないという要請がある。
そこで、本発明の目的は、釣道具を着脱自在に保持すると共にユーティリティに優れたフィッシングベルトを提供することである。
(1) 上記目的が達成されるため、本発明に係るフィッシングベルトは、釣人の腰に巻き付けられるベルト本体と、ベルト本体の一端に設けられたソケット部材及びベルト本体の他端に設けられ、ソケット部材に連結解除自在に連結されるスタッド部材と、ソケット部材又はスタッド部材に隣接するようにベルト本体の端部に設けられ、釣人の腰部を覆う腰パッドと、ベルト本体の長手方向に沿ってスライド自在に設けられた釣具アンカーとを備え、上記腰パッドは、上記ベルト本体が挿通されるベルト挿通環を有し、上記ベルト本体の一部が当該ベルト挿通環に掛け回されて当該腰パッド内で任意に折り返されるように形成されていることを特徴とするものである。
釣人は、ベルト本体を腰に巻き回すと共に当該ベルト本体の両端部に設けられたソケット部材とスタッド部材とを連結する。これにより、ベルト本体が釣人の腰に確実に巻き付けられる。なお、釣人は、スタッド部材をソケット部材から取り外すことにより、腰に巻き付けられたベルト本体を簡単に取り外すことができる。ベルト本体が釣人の腰に巻き付けられると、腰パッドが釣人の腰を覆う。これにより、ベルト本体は釣人の身体(腰部)に安定的に位置決めされた状態で配置され、実釣中に当該フィッシングベルトが釣人の身体に対してずれてしまうことがない。
釣具アンカーがベルト本体に設けられているので、例えば、曳舟その他の釣道具がこの釣具アンカーに係留され得る。したがって、釣人は、各種釣道具を携帯したままで釣場を移動することができる。この釣具アンカーは、ベルト本体の長手方向に沿ってスライド自在であるから、釣人は、釣具アンカーをスライドさせることによって所望の位置に配置することができる。これにより、釣人は、実釣及び釣場の移動の妨げにならない位置に釣道具を係留することができる。しかも、上記腰パッドがベルト本体の端部に配置されていることから、この腰パッドが釣具アンカーのスライドの妨げにならず、釣具アンカーのスライド許容範囲が大きくなる。したがって、釣具アンカーは、当該釣人が所望する最適の位置に配置され得る。
上記腰パッドは、上記ベルト本体が挿通されるベルト挿通環を有し、上記ベルト本体の一部が当該ベルト挿通環に掛け回されて当該腰パッド内で任意に折り返されるように形成されているので、ベルト本体の一部は、腰パッドのベルト挿通環に挿通されて任意に折り返される。したがって、この折り返し部分の長さが大きく設定されることにより、当該フィッシングベルトの長さ(具体的には、ベルト本体に設けられたソケット部材からスタッド部材までの距離)が短くなるように調整され、また、この折り返し部分の長さが小さく設定されることにより、当該フィッシングベルトの長さが長くなるように調整される。すなわち、当該フィッシングベルトは、釣人の体格に合わせて長さ調整が可能であり、体格にかかわらず釣人の身体にフィットする。加えて、この腰パッドが上記ベルト本体の長さ調整機能を備えることになるから、ベルト本体の長さを調整するための部材は不要である。これにより、例えば前述の釣具アンカーのスライド許容範囲がさらに大きくなり、釣具アンカーは、当該釣人とってより最適な位置に配置され得る。
上記釣具アンカーは、上記ベルト本体に着脱自在に巻き付けられる取付ベルトを備えているのが好ましい。釣人は、この取付ベルトを操作することによって、釣具アンカーをベルト本体に自在に着脱することができる。したがって、釣人が釣具アンカーを必要としないときは、これを取り外しておくことができる。
上記釣具アンカーは、係合バーを備えているのが好ましい。係合バーは、例えばベルト本体の長手方向に沿って配置された円柱状部材であってもよい。この係合バーが設けられることにより、係留のためのフック等を有する釣道具が簡単に係留され、また当該係留が容易に解除され得る。
上記腰パッドは、上記ベルト本体の長手方向に沿って配置された可撓性を有する細長平板状部材であるのが好ましい。これにより、腰パッドが釣人の腰部にソフトにフィットし、腰パッドが実釣及び釣場の移動における釣人の身体の動きに追従する。したがって、釣人は、当該フィッシングベルトを着用したときであっても、身体を容易に動かすことができる。
上記腰パッドの内面に凹凸が形成されているのが好ましい。腰パッドの内面は、釣人の腰部と接触する部分であるから、当該内面に凹凸が形成されることにより、腰パッドと釣人の腰部(具体的には、釣人が着用しているウェアの生地)との間の摩擦抵抗が大きくなる。したがって、腰パッドが釣人の身体に対して滑りにくくなり、釣人の腰部に確実にフィットする。これにより、腰パッドが実釣及び釣場の移動における釣人の身体の動きに追従することができ、釣人は、当該フィッシングベルトを着用したときであっても、身体を容易に動かすことができる。
(2) 上記ベルト本体に巻き付けられ、釣人の身体との間でタモ網の柄を挟持することができるクッション部材がさらに設けられているのが好ましい。
釣人は、ベルト本体を腰に巻き回すと共に当該ベルト本体の両端部に設けられたソケット部材とスタッド部材とを連結する。これにより、ベルト本体が釣人の腰に確実に巻き付けられる。なお、釣人は、スタッド部材をソケット部材から取り外すことにより、腰に巻き付けられたベルト本体を簡単に取り外すことができる。ベルト本体が釣人の腰に巻き付けられると、腰パッドが釣人の腰を覆う。これにより、ベルト本体は釣人の身体(腰部)に安定的に位置決めされた状態で配置され、実釣中に当該フィッシングベルトが釣人の身体に対してずれてしまうことがない。
実釣において、釣人は、タモ網の柄を身体とベルト本体との間に挿入することによってタモ網を携帯保持し、タモ網の柄をベルト本体から引き抜くことによってタモ網を操作することができる。ベルト本体にクッション部材が巻き付けられているので、タモ網の柄は、当該クッション部材と釣人の身体との間で挿抜されることとなる。具体的には、クッション部材が弾性変形することによって、タモ網の柄がクッション部材と釣人の身体との間に挿入されると共に、当該弾性力によってタモ網の柄が固定される。また、かかる弾性力によってタモ網の柄が保持されているから、タモ網の柄が容易にベルト本体から引き抜かれる。つまり、タモ網の柄が容易にベルト本体と釣人の身体との間に挿入され且つ確実に保持されると共に、容易にベルト本体から引き抜かれる。
上記クッション部材は、肉厚が1.0mm〜10.0mmのクロロプレンゴムシートから構成されるのが好ましい。この構成では、タモ網の柄は、当該クッション部材と釣人の身体との間にきわめてスムーズに挿入され、且つ確実に保持される。また、タモ網の柄は、容易にベルト本体から引き抜かれる。クッション部材を構成する材料は、典型的にはクロロプレンゴムが採用され得る。
上記クッション部材は、当該クッション部材が上記ベルト本体に巻き付いた状態を保持する面ファスナーを備えているのが好ましい。この面ファスナーによって、クッション部材がベルト本体の任意の位置に保持される。つまり、クッション部材は、釣人が所望するベルト本体の所定の位置に着脱自在に取り付けられる。したがって、釣人は、タモ網の柄を挿抜する作業を最も容易且つ円滑に行うことができる位置にクッション部材を設置することができ、その結果、タモ網の操作性が向上する。
上記ベルト本体の長手方向に沿ってスライド自在に設けられた釣具アンカーがさらに備えられていてもよい。釣具アンカーがベルト本体に設けられているので、例えば、曳舟その他の釣道具がこの釣具アンカーに係留され得る。したがって、釣人は、各種釣道具を携帯したままで釣場を移動することができる。この釣具アンカーは、ベルト本体の長手方向に沿ってスライド自在であるから、釣人は、釣具アンカーをスライドさせることによって所望の位置に配置することができる。これにより、釣人は、実釣及び釣場の移動の妨げにならない位置に釣道具を係留することができる。しかも、上記腰パッドがベルト本体の端部に配置されていることから、この腰パッドが釣具アンカーのスライドの妨げにならず、釣具アンカーのスライド許容範囲が大きくなる。したがって、釣具アンカーは、当該釣人が所望する最適の位置に配置され得る。
(3) 上記目的が達成されるため、本発明に係るフィッシングベルトは、釣人の腰に巻き付けられるベルト本体と、ベルト本体の一端に設けられたソケット部材及びベルト本体の他端に設けられ、ソケット部材に連結解除自在に連結されるスタッド部材と、ソケット部材又はスタッド部材に隣接するようにベルト本体の端部に設けられ、釣人の腰部を覆う腰パッドと、折りたたみ可能な可撓性を有し、折りたたまれた状態で腰パッドに着脱自在に設けられた魚籠とを備えたことを特徴とするものである。
釣人は、ベルト本体を腰に巻き回すと共に当該ベルト本体の両端部に設けられたソケット部材とスタッド部材とを連結する。これにより、ベルト本体が釣人の腰に確実に巻き付けられる。なお、釣人は、スタッド部材をソケット部材から取り外すことにより、腰に巻き付けられたベルト本体を簡単に取り外すことができる。ベルト本体が釣人の腰に巻き付けられると、腰パッドが釣人の腰を覆う。これにより、ベルト本体は釣人の身体(腰部)に安定的に位置決めされた状態で配置され、実釣中に当該フィッシングベルトが釣人の身体に対してずれてしまうことがない。
腰パッドに魚籠が設けられているので、釣人は、魚が釣れた場合に、この魚籠を腰パッドから取り外して当該魚を魚籠に収容することができる。この魚籠は、コンパクトに折りたたまれるから、腰パッドに取り付けられた状態で実釣の妨げになることはない。なお、この魚籠は、魚を収容した状態でベルト本体に係合し得る係合部を備えていてもよい。かかる係合部が設けられることにより、魚を収容した魚籠が釣人に係留される。したがって、釣人は、魚を収容した魚籠を携帯したまま実釣および釣場の移動を行うことができる。
上記腰パッドは、折りたたまれた魚籠を囲繞保持する保持ベルトを備えているのが好ましい。この場合には、折りたたまれた魚籠は、保持ベルトによって確実に保持されるから、実釣中又は釣場の移動中に魚籠が容易に腰パッドから外れてしまうことはない。また、魚籠が保持ベルトによって保持されているから、釣人にとって当該保持を解除する作業が簡単である。
上記保持ベルトは、中央部が上記腰パッドに固定されると共に両端部同士が面ファスナーを介して着脱自在となっている弾性帯から構成されているのが好ましい。この構成では、保持ベルトは、弾性的に引き延ばされて上記魚籠に巻き付けるように配置されたうえ、面ファスナーで固定される。折りたたまれた魚籠は、保持ベルトの弾性力によって確実に固定されるので、実釣中又は釣場の移動中に魚籠が容易に腰パッドから外れてしまうことはない。しかも、釣人は、上記面ファスナーを操作することによって保持ベルトを容易に外すことができるから、魚が釣れた場合には迅速に魚籠を取り出すことができる。
上記ベルト本体の長手方向に沿ってスライド自在に設けられた釣具アンカーがさらに備えられていてもよい。釣具アンカーがベルト本体に設けられているので、例えば、曳舟その他の釣道具がこの釣具アンカーに係留され得る。したがって、釣人は、各種釣道具を携帯したままで釣場を移動することができる。この釣具アンカーは、ベルト本体の長手方向に沿ってスライド自在であるから、釣人は、釣具アンカーをスライドさせることによって所望の位置に配置することができる。これにより、釣人は、実釣及び釣場の移動の妨げにならない位置に釣道具を係留することができる。しかも、上記腰パッドがベルト本体の端部に配置されていることから、この腰パッドが釣具アンカーのスライドの妨げにならず、釣具アンカーのスライド許容範囲が大きくなる。したがって、釣具アンカーは、当該釣人が所望する最適の位置に配置され得る。
上記ベルト本体に巻き付けられたクッション部材がさらに備えられていてもよい。実釣において、釣人は、タモ網の柄を身体とベルト本体との間に挿入することによってタモ網を携帯保持し、タモ網の柄をベルト本体から引き抜くことによってタモ網を操作することができる。ベルト本体にクッション部材が巻き付けられているので、タモ網の柄は、当該クッション部材と釣人の身体との間で挿抜されることとなる。具体的には、クッション部材が弾性変形することによって、タモ網の柄がクッション部材と釣人の身体との間に挿入されると共に、当該弾性力によってタモ網の柄が固定される。また、かかる弾性力によってタモ網の柄が保持されているから、タモ網の柄が容易にベルト本体から引き抜かれる。つまり、タモ網の柄が容易にベルト本体と釣人の身体との間に挿入され且つ確実に保持されると共に、容易にベルト本体から引き抜かれる。
(4) 上記目的が達成されるため、本発明に係るフィッシングベルトは、釣人の腰に巻き付けられるベルト本体と、ベルト本体の一端に設けられたソケット部材及びベルト本体の他端に設けられ、ソケット部材に連結解除自在に連結されるスタッド部材と、ソケット部材又はスタッド部材に隣接するようにベルト本体の端部に設けられ、釣人の腰部を覆う腰パッドと、ベルト本体に着脱自在に設けられた小物収容ポーチとを備えたことを特徴とするものである。
釣人は、ベルト本体を腰に巻き回すと共に当該ベルト本体の両端部に設けられたソケット部材とスタッド部材とを連結する。これにより、ベルト本体が釣人の腰に確実に巻き付けられる。なお、釣人は、スタッド部材をソケット部材から取り外すことにより、腰に巻き付けられたベルト本体を簡単に取り外すことができる。ベルト本体が釣人の腰に巻き付けられると、腰パッドが釣人の腰を覆う。これにより、ベルト本体は釣人の身体(腰部)に安定的に位置決めされた状態で配置され、実釣中に当該フィッシングベルトが釣人の身体に対してずれてしまうことがない。
ベルト本体に小物収容ポーチが設けられているので、例えば、針、釣糸、重り等の小型の釣道具は、当該小物収容ポーチに収容される。これにより、釣人は、実釣において必要となる多種類の釣道具を常に携帯することができる。この小物収容ポーチは、ベルト本体に対して着脱自在であるから、釣人が当該小物収容ポーチを必要としない場合は、これを取り外すことができる。
上記小物収容ポーチは、上記ベルト本体に着脱自在に巻き付けられる係止ベルトを有するのが好ましい。この係止ベルトによって、小物収容ポーチは、簡単にベルト本体に取り付けられ、また取り外される。
上記ベルト本体の長手方向に沿ってスライド自在に設けられた釣具アンカーがさらに備えられていてもよい。釣具アンカーがベルト本体に設けられているので、例えば、曳舟その他の釣道具がこの釣具アンカーに係留され得る。したがって、釣人は、各種釣道具を携帯したままで釣場を移動することができる。この釣具アンカーは、ベルト本体の長手方向に沿ってスライド自在であるから、釣人は、釣具アンカーをスライドさせることによって所望の位置に配置することができる。これにより、釣人は、実釣及び釣場の移動の妨げにならない位置に釣道具を係留することができる。しかも、上記腰パッドがベルト本体の端部に配置されていることから、この腰パッドが釣具アンカーのスライドの妨げにならず、釣具アンカーのスライド許容範囲が大きくなる。したがって、釣具アンカーは、当該釣人が所望する最適の位置に配置され得る。
上記ベルト本体に巻き付けられたクッション部材がさらに備えられていてもよい。実釣において、釣人は、タモ網の柄を身体とベルト本体との間に挿入することによってタモ網を携帯保持し、タモ網の柄をベルト本体から引き抜くことによってタモ網を操作することができる。ベルト本体にクッション部材が巻き付けられているので、タモ網の柄は、当該クッション部材と釣人の身体との間で挿抜されることとなる。具体的には、クッション部材が弾性変形することによって、タモ網の柄がクッション部材と釣人の身体との間に挿入されると共に、当該弾性力によってタモ網の柄が固定される。また、かかる弾性力によってタモ網の柄が保持されているから、タモ網の柄が容易にベルト本体から引き抜かれる。つまり、タモ網の柄が容易にベルト本体と釣人の身体との間に挿入され且つ確実に保持されると共に、容易にベルト本体から引き抜かれる。
折りたたみ可能な可撓性を有し、折りたたまれた状態で腰パッドに着脱自在に設けられた魚籠がさらに備えられていてもよい。ベルト本体に魚籠が設けられているので、釣人は、魚が釣れた場合に、この魚籠をベルト本体から取り外して当該魚を魚籠に収容することができる。この魚籠は、コンパクトに折りたたまれるから、ベルト本体に取り付けられた状態で実釣の妨げになることはない。なお、この魚籠は、魚を収容した状態でベルト本体に係合し得る係合部を備えていてもよい。かかる係合部が設けられることにより、魚を収容した魚籠が釣人に係留される。したがって、釣人は、魚を収容した魚籠を携帯したまま実釣および釣場の移動を行うことができる。
本発明によれば、ベルト本体に釣具アンカー、クッション部材、折畳式魚籠又は小物収容ポーチが取り付けられるので、各種釣道具を着脱自在に保持すると共にユーティリティに優れたフィッシングベルトが提供される。その結果、渓流釣りや鮎釣りにおいて、釣人は、タモ網の操作や釣れた魚の処理を容易に行うことができる。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係るフィッシングベルトの斜視図である。
このフィッシングベルト10は、典型的には渓流釣りや鮎釣りの際に釣人の腰に装着されるものであって、釣人は、このフィッシングベルト10を着用することによって、実釣中及び釣場の移動中において種々の釣道具を携帯することができる。本実施形態の特徴とするところは、フィッシングベルト10が釣具アンカー11を備えており、この釣具アンカー11がベルト本体12に沿って自由にスライドするようになっている点である。
図2は、このフィッシングベルト10が釣人Mの腰部に装着された状態を示す斜視図である。
図1及び図2が示すように、フィッシングベルト10は、上記ベルト本体12と、ベルト本体12に設けられたソケット部材13及びスタッド部材14と、腰パッド15と、上記釣具アンカー11とを備えている。ベルト本体12は、細長の矩形状に形成されており、可撓性を有する。ベルト本体12を構成する材料は、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、その他ポリエステル等が採用される。ソケット部材13は、ベルト本体12の一端に取り付けられており、スタッド部材14は、ベルト本体12の他端に取り付けられている。
図3は、ソケット部材13及びスタッド部材14の斜視図である。
これらソケット部材13及びスタッド部材14は既知の構成である。具体的には、スタッド部材14は、ベルト連結部16と係合突片17とを備えている。ベルト連結部16は環状に形成されており、ここにベルト本体12の他端が巻回固定されている。係合突片17は、連結柱18と係止爪19とを有し、連結柱18がソケット部材13に挿入され、その状態で係止爪19がソケット部材13に係合する。一方、ソケット部材13は、ベルト連結部20とケース21とを備えている。ベルト連結部20は、スタッド部材14のベルト連結部16と同様に環状に形成されており、ここにベルト本体12の一端が巻回固定されている。ケース21は、内部に係合凹部22が形成されており、この係合凹部22に上記係合突片17が挿入される。ケース21に爪係止部23が設けられている。スタッド部材14がソケット部材13に嵌め込まれたときは、この爪係止部23に上記係止爪19が係合し、これにより、ソケット部材13とスタッド部材14とが連結される。釣人Mは、上記係止爪19を上記ケース21の内部に押し込むように操作すると、各係止爪19と爪係止部23との係合が解除され、スタッド部材14がソケット部材13から離脱する。
図4は、フィッシングベルト10の腰部拡大斜視図である。図5は、釣具アンカー11の正面斜視図であり、図6は、釣具アンカー11の裏面斜視図である。また、図7は、釣具アンカー11の取付要領を示す斜視図である。
図4及び図5が示すように、釣具アンカー11は、アンカー本体24と、取付ベルト25とを備えている。アンカー本体24は、ベルト本体12に当接される当接部26と、係合バー27とを備えている。アンカー本体24は、例えば、ポリオキシメチレン(POM)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリプロピレン(PP)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(PA)等から構成され、当接部26及び係合バー27は一体的に形成され得る。当接部26は平板状に形成されており、ベルト本体12に隙間なく当接される。当接部26の縁部にスリット28、29が設けられている。これらスリット28、29は、後述のように取付ベルト25が挿通されるようになっている。係合バー27は、本実施形態では円柱状に形成されており、当接部26の外側に位置するように配置されている。係合バー27は、後述されるように釣道具に設けられたフック等が引っかけられるようになっている。なお、本実施形態では、上記係合バー27が設けられているが、上記フック等が係合し得るものであれば、係合バー27以外の部材が設けられていてもよいことは勿論である。
取付ベルト25は、細長矩形に形成されており、例えばポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、その他ポリエステル等から構成されている。図6が示すように、この取付ベルト25の一端部30は、上記スリット28に挿通され巻回固定されている。この取付ベルト25の他端部31は、図6が示す状態からスリット29に挿通される。図5は、その状態を図示している。図5ないし図7が示すように、取付ベルト25は、面ファスナー32を備えている。この面ファスナー32は、フックテープ33及びループテープ34を有し、図7が示すように、ループテープ34がアンカー本体24の当接部26の裏面側に配置される。そして、取付ベルト25の他端部31に設けられたフックテープ33が上記ループテープ34に係合する。
この釣具アンカー11は、次の要領で上記ベルト本体12に取り付けられる。図6が示すように、まず、取付ベルト25がスリット29から引き抜かれる。この状態で、ベルト本体12がアンカー本体24の当接部26の裏面側に配置される。具体的には、取付ベルト25がベルト本体12に巻き掛けられる。さらに、その状態で当該取付ベルト25の他端部31が上記スリット29に挿通され、上記フックテープ33が上記ループテープ34に係合するように取付ベルト25の他端部31が当該取付ベルト25に重ね合わされる。これにより、図3が示すように、釣具アンカー11がベルト本体12に取り付けられる。このとき、取付ベルト25は、ベルト本体12に巻き掛けられているだけであるから、取付ベルト25は、ベルト本体12の長手方向に相対的にスライド可能である。
図8は、フィッシングベルト10が釣人Mの腰部に装着された状態を示す斜視図である。
取付ベルト25がベルト本体12の長手方向に相対的にスライド可能であることから、釣具アンカー11のベルト本体12に対する相対的位置は変化することができ、その結果、図8が示すように、釣具アンカー11は、図3が示す位置からスライド移動することができる。このように、釣具アンカー11が移動することによる作用効果については、後述される。
なお、本実施形態では、釣具アンカー11は、上記取付ベルト25を介して上記ベルト本体12にスライド自在に取り付けられているが、この取付ベルト25が省略されていてもよい。すなわち、例えば、アンカー本体24の当接部26に上記ベルト本体12が挿通される環状部が形成され、当該環状部にベルト本体12がスライド自在に挿通されていてもよい。この場合であっても、釣具アンカー11は、ベルト本体12に対して自在にスライドすることができる。
図9は、フィッシングベルト10の要部拡大図であり、腰パッド15の内側面の構造が詳細に図示されている。また、図10は、フィッシングベルト10の要部拡大正面図であり、腰ベルト15の外側面の構造が詳細に図示されている。さらに、図11は、フィッシングベルト10の要部拡大斜視図であり、腰ベルト15が立体的に図示されている。
腰パッド15は、図2及び図8が示すように、フィッシングベルト10を装着した釣人Mの腰部を覆うように配置される。このため、腰パッド15は、横寸法Lが20mm〜40mm、縦寸法Hが40mm〜200mmに設定された細長の平板状に形成されている。腰パッド15は、ベルト本体12の長手方向に沿って配置されており、後述されるようにベルト本体12の一部を折りたたんで保持することができるようになっている。この腰パッド15は、例えば、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(PA)、熱可塑性ゴム(TPR)、サーモポリオレフィン(TPO)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、天然ゴム(NR)等から構成され、その肉厚寸法は、1.0mm〜10.0mmに設定されている。これにより、腰パッド15が十分な可撓性を有し、釣人Mの腰部にフィットする。なお、腰パッド15は、適宜薄肉部35及び肉抜部36が設けられている。この薄肉部35は、肉厚寸法が小さく設定されており、肉抜部36は、円形の貫通孔からなる。これら薄肉部35及び肉抜部36が設けられることにより、腰パッド15の可撓性がさらに向上する。もっとも、これら薄肉部35及び肉抜部36は、省略されていてもよい。
腰パッド15の内面37に複数の溝38が設けられている。これら溝38は、縦方向(ベルト本体12の長手方向に直交する方向)に延びるように形成されている。これら溝38が設けられることにより、腰パッド15の内面に凹凸が形成されている。この凹凸が形成されることにより、腰パッド15の可撓性がさらに向上するとともに、後述される作用効果が奏される。
図9ないし図11が示すように、腰パッド15はベルト挿通環39、40を備えている。これらベルト挿通環39、40は、ベルト本体12が挿通されるようになっている。ベルト本体12が腰ベルト15に挿通される要領は、つぎの通りである。まず、ベルト本体12の他端部がベルト挿通環39に挿通される。このベルト本体12の他端部は、図11が示すようにベルト本体12中央部の薄肉部35を通り、ベルト挿通環40に挿通される。そして、一端腰パッド15の外部へ引き出されて、上記スタッド部材14のベルト連結部16に掛け回される。さらに、ベルト本体12の他端部は、再び腰パッド15のベルト挿通環40に挿通され、上記薄肉部35に沿って配置される。
すなわち、ベルト本体12の一部は、上記ベルト挿通環39、40に掛け回されて腰パッド15内で折り返されている。ベルト本体12の折り返し量は、適宜調整され得る。このとき、上記スタッド部材14は、腰パッド15に隣接するように配置されており、その結果、腰パッド15は、ベルト本体12の端部に配置されることになる。腰パッド15がベルト本体12の端部に配置されること、及びベルト本体12が腰パッド15内で折り返されることによる作用効果については、後述される。
釣人Mは、本実施形態に係るフィッシングベルト10を次のようにして使用する。図2及び図3が示すように、釣人Mは、ベルト本体12を腰に巻き回すと共に、ソケット部材13にスタッド部材14を嵌め込んで両者を連結する。これにより、ベルト本体12が釣人Mの腰に確実に巻き付けられ、フィッシングベルト10が装着される。なお、釣人Mは、スタッド部材14の係止爪19を押さえることにより、簡単にスタッド部材14がソケット部材13から離脱し、フィッシングベルト10を身体から取り外すことができる。ベルト本体12が釣人Mの腰に巻き付けられると、図2及び図8が示すように腰パッド15が釣人Mの腰を覆う。これにより、ベルト本体12は釣人の腰部に安定的に位置決めされ、実釣中にフィッシングベルト10が釣人の身体に対してずれてしまうことがない。
図2及び図3が示すように、釣具アンカー11がベルト本体12に設けられているので、釣人Mは、曳舟その他の釣道具をこの釣具アンカー11に係留することができる。したがって、釣人Mは、例えば鮎釣りの際に、各種釣道具を携帯したままで釣場を移動することができる。この釣具アンカー11は、ベルト本体12の長手方向に沿って図3が示す位置から図8が示す位置までスライド自在であるから、釣人Mは、釣具アンカー11を所望の位置に配置することができる。これにより、釣人Mは、実釣及び釣場の移動の妨げにならない位置に曳舟等の釣道具を係留することができる。しかも、前述のように腰パッド15がベルト本体12の端部に配置されていることから、この腰パッド15が釣具アンカー11のスライドの妨げにならない。したがって、釣具アンカー11は、釣人Mの腰の右部から左部までスライドすることができ、その結果、釣具アンカー11は、釣人Mが所望する最適の位置に配置され得る。
また、釣具アンカー11は、取付ベルト25(図5参照)を介してベルト本体12に着脱自在に取り付けられている。釣人Mは、この取付ベルト25を操作することによって、釣具アンカー11をベルト本体12に自在に着脱することができる。したがって、釣人Mが釣具アンカー11を必要としないときは、これを取り外しておくことができ、実釣において釣具アンカー11が邪魔になることはない。
さらに、釣具アンカー11は係合バー27を備えているから、係留される釣道具が係留のためのフック等を有する場合には、釣人Mは、この釣道具を係合バー27に簡単に係合させることができるという利点がある。もっとも、釣人Mは、上記フック等を操作することによって、当該釣道具の係留を簡単に解除することもできる。
加えて、腰パッド15が可撓性を有する細長平板状部材であり、ベルト本体12の長手方向に沿って配置されているので、腰パッド15が釣人Mの腰部にソフトにフィットし、腰パッド15が実釣及び釣場の移動における釣人Mの身体の動きに追従する。したがって、釣人Mは、フィッシングベルト10を着用したときであっても、身体を容易に動かすことができる。特に、腰パッド15の内面37に凹凸が形成されているから、腰パッド15と釣人Mの腰部との間の摩擦抵抗が大きくなる。したがって、腰パッド15が釣人Mの身体に対して滑りにくくなり、釣人Mの腰部にぴったりとフィットする。これにより、腰パッド15が実釣及び釣場の移動における釣人の身体の動きによりスムーズに追従することができるという利点がある。
しかも、ベルト本体12の一部は、腰パッド15のベルト挿通環49、50に挿通されて任意に折り返される。この折り返し部分の長さが大きく設定されることにより、フィッシングベルト10の長さ(具体的には、ベルト本体12に設けられたソケット部材13からスタッド部材14までの距離)が短くなるように調整され、また、この折り返し部分の長さが小さく設定されることにより、当該フィッシングベルトの長さが長くなるように調整される。すなわち、フィッシングベルト10は、釣人Mの体格に合わせて長さ調整が可能であり、釣人Mの身体に常にフィットする。しかも、この腰パッド15は、ベルト本体12の長さ調整機能を備えることになるから、従来から用いられていたベルト本体の長さを調整するための部材(いわゆるH環)がベルト本体12に設けられる必要はない。そのため、例えば、上記釣具アンカー11がベルト本体12に沿ってスライドできる領域がさらに広くなり、釣人Mは、釣具アンカー11を所望の位置に配置することができる。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明される。図12は、本発明の第2の実施形態に係るフィッシングベルトの斜視図である。同図は、釣人Mがフィッシングベルト50を装着した状態が図示されている。
本実施形態に係るフィッシングベルト50が上記第1の実施形態に係るフィッシングベルト10と異なるところは、このフィッシングベルト50は、上記フィッシングベルト10に設けられた釣具アンカー11に代えてクッション部材51が設けられている点である。なお、フィッシングベルト50のその他の構成は、上記フィッシングベルト10と同様である。したがって、上記フィッシングベルト10と同様の構成については、その説明が省略される。
クッション部材51は、弾性を有するシート(典型的には、クロロプレンゴム)からなる。クッション部材51の肉厚寸法は、1.0mm〜10.0mmの範囲で適宜設定され得る。図13は、このクッション部材51のベルト本体12への取付要領を示す図である。図14は、このクッション部材51の正面図であり、内面側が図示されている。図15は、このクッション部材の斜視図である。同図では、クッション部材51の外面の一部が図示されている。
図12及び図13が示すように、クッション部材51は、ベルト本体12に巻き付けられている。具体的には、クッション部材51は、その内面55がベルト本体12の周囲を覆うように配置される。図14及び図15が示すように、クッション部材51は面ファスナー52を備えている。クッション部材51の内面55にフックテープ53が取り付けられ、クッション部材51の外面56にループテープ54が取り付けられている。図13が示すように、クッション部材51がベルト本体12に巻き付けられ、ループテープ54にフックテープ53が係合されることにより、クッション部材51は、図12が示すようにベルト本体12に取り付けられる。このように、クッション部材51は、面ファスナー52によってベルト本体12に巻き付いた状態が保持される。したがって、釣人Mは、クッション部材51をベルト本体12に沿ってスライドさせることも可能である。
ところで、鮎釣りや渓流釣りの実釣においては、釣人Mは、一般にタモ網を使用する。釣人Mは、タモ網の柄を身体とベルト本体12との間に挿入することによってタモ網を保持携帯する。そして、ヒットした魚を取り込む場合には、タモ網の柄をベルト本体12から引き抜き、タモ網を操作する。本実施形態に係るフィッシングベルト50では、ベルト本体12にクッション部材51が巻き付けられているので、タモ網の柄は、クッション部材51と釣人Mの身体との間で挿抜されることとなる。すなわち、タモ網の柄がクッション部材51と釣人Mの身体との間に挿入されると、クッション部材51が弾性変形し、当該弾性力によってタモ網の柄が固定される。また、かかる弾性力によってタモ網の柄が保持されているだけであるから、タモ網の柄が容易にベルト本体12から引き抜かれる。つまり、タモ網の柄が容易にベルト本体12と釣人Mの身体との間に挿抜されるので、釣人は、実釣においてタモ網の操作を円滑に行うことができる。
特に、上記クッション部材51の肉厚が1.0mm〜10.0mmに設定されているので、タモ網の柄を保持するために必要且つ十分な弾性力が得られる。したがって、タモ網の柄は、クッション部材51と釣人Mの身体との間にきわめてスムーズに挿入され且つ確実に保持されると共に、容易にベルト本体12から引き抜かれるという利点がある。
前述のように、クッション部材51は、上記面ファスナー52によってベルト本体12に取り付けられているから、当該クッション部材51がベルト本体12の任意の位置に保持される。つまり、釣人Mは、所望するベルト本体12の所定の位置にクッション部材51を着脱自在に取り付けることができる。したがって、釣人Mは、タモ網の柄を挿抜する作業を最も容易且つ円滑に行うことができる位置にクッション部材51を設置することができ、その結果、タモ網の操作性がさらに向上する。
また、上記第1の実施形態に係る釣具アンカー11が本実施形態に係るベルト本体12に設けられていてもよい。そして、上記第1の実施形態と同様に、釣具アンカー11は、ベルト本体12の長手方向に沿ってスライド自在に設けられているのが好ましい。その場合には、上記図2及び図3が示すように、釣具アンカー11がベルト本体12に設けられるので、釣人Mは、曳舟その他の釣道具をこの釣具アンカー11に係留することができ、例えば鮎釣りの際に、各種釣道具を携帯したままで釣場を移動することができる。
前述のように、釣具アンカー11は、ベルト本体12の長手方向に沿って図3が示す位置から図8が示す位置までスライド自在であるから、釣人Mは、釣具アンカー11を所望の位置に配置することができる。したがって、釣人Mは、実釣及び釣場の移動の妨げにならない位置に曳舟等の釣道具を係留することができる。さらに、前述のように、腰パッド15がベルト本体12の端部に配置されていることから、この腰パッド15が釣具アンカー11のスライドの妨げにならず、釣具アンカー11は、釣人Mの腰の右部から左部までスライドすることができる。しかも、腰パッド15がベルト本体12の長さ調整機能を備えることになるから、従来から用いられていたベルト本体の長さを調整するための部材(いわゆるH環)がベルト本体12に設けられる必要はなく、そのため、釣具アンカー11がベルト本体12に沿ってスライドできる領域がさらに広くなる。したがって、釣人Mは、釣具アンカー11をより最適な位置に配置することができる。
本実施形態においても、この釣具アンカー11は、取付ベルト25(図5参照)を介してベルト本体12に着脱自在に取り付けられているのが好ましい。釣人Mは、この取付ベルト25を操作することによって、釣具アンカー11をベルト本体12に自在に着脱することができる。したがって、釣人Mが釣具アンカー11を必要としないときは、これを取り外しておくことができ、実釣において釣具アンカー11が邪魔になることはない。
さらに、本実施形態においても、釣具アンカー11は、係合バー27(図3参照)を備えているのが好ましい。これにより、係留される釣道具が係留のためのフック等を有する場合には、釣人Mは、この釣道具を係合バー27に簡単に係合させることができるという利点がある。もっとも、釣人Mは、上記フック等を操作することによって、当該釣道具の係留を簡単に解除することもできる。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明される。図16は、本発明の第3の実施形態に係るフィッシングベルトの斜視図である。同図は、釣人Mがフィッシングベルト60を装着した状態が図示されている。
本実施形態に係るフィッシングベルト60が上記第1の実施形態に係るフィッシングベルト10と異なるところは、このフィッシングベルト60は、上記フィッシングベルト10に設けられた釣具アンカー11に代えて折り畳み可能な魚籠61が着脱自在に設けられている点である。なお、フィッシングベルト60のその他の構成は、上記フィッシングベルト10と同様である。したがって、上記フィッシングベルト10と同様の構成については、その説明が省略される。
同図が示すように、この魚籠61は、フィッシングベルト60の腰パッド15に取り付けられている。この腰パッド15は、保持ベルト62を備えており、この保持ベルト62が折り畳まれた魚籠61を着脱自在に囲繞保持している。
図17は、フィッシングベルト60の斜視図である。同図は、保持ベルト62の取付要領を示している。また、図18は、保持ベルト62の斜視図である。
保持ベルト62は、細長矩形の弾性帯からなる。保持ベルト62を構成する材料は、例えば、クロロプレンゴム(CR)等が採用され得る。図17が示すように、保持ベルト62は、腰パッド15と腰パッド15に挿通されたベルト本体12との間に挿入されている。図9及び図10が示すように、ベルト本体12がベルト挿通環49、50に挿通される結果、ベルト本体12の一部は、腰パッド15の外面側に露出することになる。本実施形態では、保持ベルト62は、このベルト挿通環49とベルト本体12との間に挟み込まれて保持されている。
保持ベルト62は、その内面及び外面に面ファスナー63を備えている。具体的には、保持ベルト62の内面にループテープ64が取り付けられ、外面にフックテープ65が取り付けられている。この保持ベルト62は、図16が示すように、上記魚籠61の外周面に巻き付けられ、上記面ファスナー63によって環状に形成されることにより、当該魚籠61を囲繞保持することができる。なお、保持ベルト62に代えて、上記魚籠61を保持するための種々の保持部材が採用され得ることは勿論である。例えば、保持ベルト62に代えて、上記魚籠61を収容保持する袋状部材等が設けられていてもよい。
図19は、上記魚籠61の斜視図であり、この魚籠61が折りたたまれた状態が示されている。図20は、この魚籠61の正面図である。
これらの図が示すように、魚籠61は、袋状に形成されており、可撓性に優れた生地から構成されている。魚籠61を構成する生地としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、その他ポリエステル等が採用され得る。この生地は、メッシュ構造を備えているのが好ましい。魚籠61の開口部66の周縁内部に紐67が挿通されている。この紐67が上記開口部66の内部から引き出されることによって、当該開口部66が絞られる。紐67は、ストッパ68を有する。このストッパ68は、当該紐67が上記開口部66の内部に引き戻されることを防止し、当該開口部66の閉口状態を維持する。なお、ストッパ68の構造は既知である。また、紐67は、フック69を備えている。このフック67は、例えば、上記第1の実施形態に係る釣具アンカー11に係合することができるように構成されている。
本実施形態に係るフィッシングベルト60では、腰パッド15に魚籠61が設けられているので、釣人Mは、魚籠61をベルト本体12から取り外して釣れた魚を魚籠61に収容することができる。この魚籠61は、コンパクトに折りたたまれるから、腰パッド15に取り付けられた状態であっても実釣の妨げになることはない。また、この魚籠61は、上記フック69を備えているから、魚を収容した魚籠61が釣人Mに係留され得る。したがって、釣人Mは、魚を収容した魚籠61を携帯したままで、実釣および釣場の移動を行うことができる。
上記魚籠61は、腰パッド15に設けられた保持ベルト62が巻き付けられることによって保持される。特に本実施形態では、保持ベルト62は弾性帯から構成されているので、弾性的に引き延ばされた保持ベルト62が魚籠61に巻き付けられ、上記面ファスナー63により固定される。したがって、折り畳まれた魚籠61が実釣中又は釣場の移動中に容易に腰パッド15から外れてしまうことはない。また、釣人Mは、上記面ファスナー63(図16参照)の係合を外すことによって保持ベルト62による保持を解除することができるから、釣人Mにとって魚籠61を簡単且つ迅速に取り出すことができる。
また、上記第1の実施形態に係る釣具アンカー11が本実施形態に係るベルト本体12に設けられていてもよい。そして、上記第1の実施形態と同様に、釣具アンカー11は、ベルト本体12の長手方向に沿ってスライド自在に設けられているのが好ましい。その場合には、上記図2及び図3が示すように、釣具アンカー11がベルト本体12に設けられるので、釣人Mは、曳舟その他の釣道具をこの釣具アンカー11に係留することができ、例えば鮎釣りの際に、各種釣道具を携帯したままで釣場を移動することができる。
前述のように、釣具アンカー11は、ベルト本体12の長手方向に沿って図3が示す位置から図8が示す位置までスライド自在であるから、釣人Mは、釣具アンカー11を所望の位置に配置することができる。したがって、釣人Mは、実釣及び釣場の移動の妨げにならない位置に曳舟等の釣道具を係留することができる。しかも、前述のように腰パッド15がベルト本体12の端部に配置されていることから、この腰パッド15が釣具アンカー11のスライドの妨げにならず、釣具アンカー11は、釣人Mの腰の右部から左部までスライドすることができる。しかも、腰パッド15がベルト本体12の長さ調整機能を備えることになるから、従来から用いられていたベルト本体の長さを調整するための部材(いわゆるH環)がベルト本体12に設けられる必要はなく、そのため、釣具アンカー11がベルト本体12に沿ってスライドできる領域がさらに広くなる。したがって、釣人Mは、釣具アンカー11をより最適な位置に配置することができる。
本実施形態においても、この釣具アンカー11は、取付ベルト25(図5参照)を介してベルト本体12に着脱自在に取り付けられているのが好ましい。釣人Mは、この取付ベルト25を操作することによって、釣具アンカー11をベルト本体12に自在に着脱することができる。したがって、釣人Mが釣具アンカー11を必要としないときは、これを取り外しておくことができ、実釣において釣具アンカー11が邪魔になることはない。
さらに、本実施形態においても、釣具アンカー11は、係合バー27(図3参照)を備えているのが好ましい。これにより、係留される釣道具が係留のためのフック等を有する場合には、釣人Mは、この釣道具を係合バー27に簡単に係合させることができるという利点がある。特に、本実施形態では、上記魚籠61に設けられたフック69が、この係合バー27に簡単に係合される。したががって、釣人Mは、実釣中及び釣場の移動中において、魚籠61を常に携帯することができる。
また、上記第2の実施形態に係るクッション部材51(図12参照)が本実施形態に係るベルト本体12に設けられていてもよい。前述のように、実釣において釣人Mは、タモ網の柄を身体とベルト本体12との間に挿入することによってタモ網を携帯保持し、タモ網の柄をベルト本体12から引き抜くことによってタモ網を操作する。ベルト本体12にクッション部材51が巻き付けられることにより、タモ網の柄は、クッション部材51と釣人Mの身体との間で挿抜されることとなる。すなわち、タモ網の柄がクッション部材51と釣人Mの身体との間に挿入されると、クッション部材51が弾性変形し、当該弾性力によってタモ網の柄が固定される。また、かかる弾性力によってタモ網の柄が保持されているだけであるから、タモ網の柄が容易にベルト本体12から引き抜かれる。つまり、タモ網の柄が容易にベルト本体12と釣人Mの身体との間に挿抜されるので、釣人は、実釣においてタモ網の操作を円滑に行うことができる。
本実施形態においても、上記クッション部材51の肉厚が1.0mm〜10.0mmに設定されることにより、タモ網の柄を保持するために必要且つ十分な弾性力が得られる。したがって、タモ網の柄は、クッション部材51と釣人Mの身体との間にきわめてスムーズに挿入され且つ確実に保持されると共に、容易にベルト本体12から引き抜かれることになる。
さらに、上記第2の実施形態と同様に、クッション部材51が面ファスナー52(図13参照)によってベルト本体12に取り付けられていてもよい。これにより、クッション部材51がベルト本体12の任意の位置に保持される。つまり、釣人Mは、所望するベルト本体12の所定の位置にクッション部材51を着脱自在に取り付けることができることになる。したがって、釣人Mは、タモ網の柄を挿抜する作業を最も容易且つ円滑に行うことができる位置にクッション部材51を設置することができ、その結果、タモ網の操作性がさらに向上する。
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明される。図21は、本発明の第4の実施形態に係るフィッシングベルトの斜視図である。同図は、釣人Mがフィッシングベルト80を装着した状態が図示されている。
本実施形態に係るフィッシングベルト80が上記第1の実施形態に係るフィッシングベルト10と異なるところは、このフィッシングベルト80は、上記フィッシングベルト10のベルト本体12に小型釣道具を収容する小物収容ポーチ81が追加して設けられている点、及びこの小物収容ポーチ81は、ベルト本体12に着脱自在に設けられている点である。ただし、ベルト本体12に設けられた釣具アンカー11は、取り外されていてもよい。なお、フィッシングベルト80において、上記小物収容ポーチ81以外の構成は、上記フィッシングベルト10と同様である。したがって、上記フィッシングベルト10と同様の構成については、その説明が省略される。
小物収容ポーチ81は、ベルト本体12に取り付けられている。図22は、小物収容ポーチ81の斜視図である。
小物収容ポーチ81は、ポーチ本体82と、係止ベルト83とを備えている。ポーチ本体82は、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステル繊維入りポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(PA)、その他ポリエステル等から構成され、袋状に形成されている。このポーチ本体82を構成する生地は、メッシュ構造を備えていてもよい。ポーチ本体82は、スライドファスナー84を有し、釣人Mがこのスライドファスナー84を操作することによって、ポーチ本体82の開口を開閉することができる。なお、ポーチ本体82には、釣針、重り、釣糸等の小型の釣道具が収容され得る。
係止ベルト83は二分割されており、面ファスナー87を備えている。すなわち、係止ベルト83の一方にフックテープ85が取り付けられ、係止ベルト83の他方にループテープ86が取り付けられている。そして、これら一対の係止ベルト83が上記ベルト本体12に巻き付けられ、上記面ファスナー87によって当該巻付状態が維持されることにより、小物収容ポーチ81が上記ベルト本体12に取り付けられる。もっとも、上記フックテープ85とループテープ86との係合が解除されることにより、小物収容ポーチ81は、上記ベルト本体12から取り外される。
本実施形態に係るフィッシングベルト80では、ベルト本体12に小物収容ポーチ81が設けられているので、上記小型の釣道具が小物収容ポーチ81に収容される。釣人Mは、上記スライドファスナー84を操作することにより、小物収容ポーチ81から適宜釣道具を迅速に取り出すことができるので、実釣において必要となる多種類の釣道具を常に携帯することができる。この小物収容ポーチ81は、ベルト本体12に対して着脱自在であるから、釣人Mが小物収容ポーチ81を必要としない場合は、これを取り外すことができる。特に、本実施形態では、小物収容ポーチ81は、上記係止ベルト83によってベルト本体12に着脱自在に取り付けられている。このため、釣人Mは、小物収容ポーチ81を簡単にベルト本体12に取り付け、また取り外すことができる。
本実施形態では、上記第1の実施形態に係る釣具アンカー11がベルト本体12に設けられている。この釣具アンカー11は、ベルト本体12の長手方向に沿ってスライド自在となっている(図2及び図3参照)。したがって、釣人Mは、曳舟その他の釣道具をこの釣具アンカー11に係留することができ、例えば鮎釣りの際に、各種釣道具を携帯したままで釣場を移動することができる。
前述のように、釣具アンカー11は、ベルト本体12の長手方向に沿って図3が示す位置から図8が示す位置までスライド自在であるから、釣人Mは、釣具アンカー11を所望の位置に配置することができる。したがって、釣人Mは、実釣及び釣場の移動の妨げにならない位置に曳舟等の釣道具を係留することができる。しかも、前述のように腰パッド15がベルト本体12の端部に配置されていることから、この腰パッド15が釣具アンカー11のスライドの妨げにならず、釣具アンカー11は、釣人Mの腰の右部から左部までスライドすることができる。しかも、腰パッド15がベルト本体12の長さ調整機能を備えることになるから、従来から用いられていたベルト本体の長さを調整するための部材(いわゆるH環)がベルト本体12に設けられる必要はなく、そのため、釣具アンカー11がベルト本体12に沿ってスライドできる領域がさらに広くなる。したがって、釣人Mは、釣具アンカー11をより最適な位置に配置することができる。
本実施形態においても、この釣具アンカー11は、取付ベルト25(図5参照)を介してベルト本体12に着脱自在に取り付けられている。釣人Mは、この取付ベルト25を操作することによって、釣具アンカー11をベルト本体12に自在に着脱することができる。したがって、釣人Mが釣具アンカー11を必要としないときは、これを取り外しておくことができ、実釣において釣具アンカー11が邪魔になることはない。
さらに、本実施形態においても、釣具アンカー11は、係合バー27(図3参照)を備えている。これにより、係留される釣道具が係留のためのフック等を有する場合には、釣人Mは、この釣道具を係合バー27に簡単に係合させることができるという利点がある。もっとも、釣人Mは、上記フック等を操作することによって、当該釣道具の係留を簡単に解除することもできる。
また、上記第2の実施形態に係るクッション部材51(図12参照)が本実施形態に係るベルト本体12に設けられていてもよい。前述のように、実釣において釣人Mは、タモ網の柄を身体とベルト本体12との間に挿入することによってタモ網を携帯保持し、タモ網の柄をベルト本体12から引き抜くことによってタモ網を操作する。ベルト本体12にクッション部材51が巻き付けられることにより、タモ網の柄は、クッション部材51と釣人Mの身体との間で挿抜されることとなる。すなわち、タモ網の柄がクッション部材51と釣人Mの身体との間に挿入されると、クッション部材51が弾性変形し、当該弾性力によってタモ網の柄が固定される。また、かかる弾性力によってタモ網の柄が保持されているだけであるから、タモ網の柄が容易にベルト本体12から引き抜かれる。つまり、タモ網の柄が容易にベルト本体12と釣人Mの身体との間に挿抜されるので、釣人は、実釣においてタモ網の操作を円滑に行うことができる。
本実施形態においても、上記クッション部材51の肉厚が1.0mm〜10.0mmに設定されることにより、タモ網の柄を保持するために必要且つ十分な弾性力が得られる。したがって、タモ網の柄は、クッション部材51と釣人Mの身体との間にきわめてスムーズに挿入され且つ確実に保持されると共に、容易にベルト本体12から引き抜かれることになる。
さらに、上記第2の実施形態と同様に、クッション部材51が面ファスナー52(図13参照)によってベルト本体12に取り付けられていてもよい。これにより、クッション部材51がベルト本体12の任意の位置に保持される。つまり、釣人Mは、所望するベルト本体12の所定の位置にクッション部材51を着脱自在に取り付けることができることになる。したがって、釣人Mは、タモ網の柄を挿抜する作業を最も容易且つ円滑に行うことができる位置にクッション部材51を設置することができ、その結果、タモ網の操作性がさらに向上する。
加えて、上記第3の実施形態と同様に、腰パッド15に魚籠61(図16参照)が設けられていてもよい。この場合、釣人Mは、魚籠61をベルト本体12から取り外して釣れた魚を魚籠61に収容することができる。この魚籠61は、コンパクトに折りたたまれるから、腰パッド15に取り付けられた状態であっても実釣の妨げになることはない。また、この魚籠61は、上記フック69を備えているから、魚を収容した魚籠61が釣人Mに係留され得る。したがって、釣人Mは、魚を収容した魚籠61を携帯したままで、実釣および釣場の移動を行うことができる。
また、上記第3の実施形態と同様に、上記魚籠61は、腰パッド15に設けられた保持ベルト62が巻き付けられることによって保持されているのが好ましい。この保持ベルト62は弾性帯から構成されているので、弾性的に引き延ばされた保持ベルト62が魚籠61に巻き付けられ、面ファスナー63(図16参照)により固定される。したがって、折り畳まれた魚籠61が実釣中又は釣場の移動中に容易に腰パッド15から外れてしまうことはない。また、釣人Mは、上記面ファスナー63の係合を外すことによって保持ベルト62による保持を解除することができるから、釣人Mにとって魚籠61を簡単且つ迅速に取り出すことができる。