JP4493004B2 - セキュリティ素子およびその作成方法 - Google Patents

Description

本発明は、セキュリティ・ペーパー、銀行券、ＩＤカード等のためのセキュリティ素子、ならびにかかるセキュリティ素子を備えたセキュリティ・ペーパーおよび有価書類に関するものである。さらに本発明は、セキュリティ素子、またはかかるセキュリティ素子を備えたセキュリティ・ペーパーおよび有価書類の作成方法に関するものである。

特許文献１には、肉眼でも機械によってもチェックすることができるセキュリティ・スレッドが提案されている。この目的のために、透明なプラスチックフィルムに金属コーティングが施され、この金属コーティングに文字または模様の形の白抜き部が形成されている。さらにこのセキュリティ・スレッドは、上記白抜き部に一致する領域に着色剤および／または発光物質を含み、これらによって文字または模様が、適当な照明条件下で不透明な金属コーティングとは異なるカラーコントラストを呈する。金属層としてアルミニウム層が用いられる。このセキュリティ・スレッドは、いわゆる「ウインドウ・セキュリティ・スレッド」としてセキュリティ・ペーパー内に埋め込まれており、すなわちセキュリティ・ペーパーのシート形成時に、セキュリティ・スレッドはペーパーの表面に規則的間隔で自由にアクセスでき、中間領域のみにおいてペーパー内に埋め込まれるように織り込まれる。

このセキュリティ・スレッドは、極めて高いセキュリティ基準の要求にすでに合致している。連続的な金属コーティングは導電性の自動チェックを可能にし、上記白抜き部は、観察者が透かしてみると容易に識別可能な、本物であることの可視的特徴として機能する。さらに、上記スレッドは、観察者が容易に識別することはできないが、自動的にチェック可能な白抜き部の領域における発光という特徴を備えている。しかしながら、かかるセキュリティ・スレッドを備えた銀行券を一瞥すると、ウインドウ領域の金属的輝きが最初に目に映る。この輝きは、アルミニウムフォイル素子を単に貼り付けるだけで模倣することができる。光を当てて単に一瞥しただけのチェックでは、かかるニセ札が、本物の銀行券と判断されてしまう可能性がある。
欧州特許出願公開第０ ３３０ ７３３Ａ１号明細書 国際公開第９９／１３１５７号パンフレット

そこで本発明の課題は、従来技術に比較して、より優れた偽造防止特性を備えたセキュリティ素子、ならびにセキュリティ・ペーパーおよび有価書類を提供することにある。

この課題は独立請求項の特徴によって解決される。従属項の主題はその展開である。

本発明によれば、セキュリティ素子がサブストレートを備え、このサブストレート上に、異なる光学濃度を有する少なくとも二つの金属層が、好ましくは上下に、および／または上記サブストレートの同一側に配置されている。少なくとも光学濃度の高い方の金属層は白抜き部、すなわち、異なる光学濃度を有する少なくとも二つの金属層のうちの光学濃度の低い方の金属層のみが存在するサブストレートの少なくとも一部の領域を有する。上記複数の金属層が上下に配置されている場合には、二つの金属層が直接的に、すなわちこれら金属層間に別の層が存在しない態様で、互いに接している。万一色の異なる複数の金属層を、正確に規定された層厚さをもって、場合によっては互いに絡み合った複雑な模様に施すという多大の努力を払うことが可能であるとするならば、このようなセキュリティ素子の光学的印象を真似ることは可能であろう。

複数の金属層は異なる光学濃度を有する、すなわち、各層が互いに異なる透過度を有する。少なくとも二つの金属層のうちの光学濃度の高い方の金属層（以後金属層Ａと呼ぶ）は、より低い透過度を、好ましくは３０％の最大透過度を、特に好ましくは１０％の最大透過度を示す。少なくとも二つの金属層のうちの光学濃度の低い方の金属層（以後金属層Ｂと呼ぶ）は、金属層Ａよりも高い透過度を、好ましくは１０％だけ高い透過度を、特に好ましくは２０〜８０％だけ高い透過度を示す。金属層Ａが１０％の最大透過度を有し、金属層Ｂが５０％の最小透過度を有する場合に特に魅力的な効果を奏する。

金属層Ａは、その低い透過度のために観察者により不透明と知覚され、金属層Ｂは半透明性を示す。

ここで、「半透明」とは、光透過度が９０％未満の、好ましくは８０％から２０％までの間の透光性を意味する。

透過度Ｔと光学濃度Ｄとの間の相関関係は下式で表される。すなわち、
ＯＤ＝ｌｏｇ１００／Ｔ［％］
透過度の値は、可視スペクトル領域内、特に好ましくは波長５００ｎｍで測定される。

さらに、金属層の光学濃度は、特に用いられる金属と層厚さとに左右される。金属の種類と得られる透過度に左右されはするが、凡その値を示すと、金属層Ａに関しては層厚さを約２０〜３００ｎｍと想定することができ、金属層Ｂに関しては層厚さを約２〜２０ｎｍと想定することができる。

複数の金属層は、サブストレート上に並べて、または重ね合わせて、または上下に施すことができる。

原理的には、複数の金属層の層順序はいずれの所望の順序でもよい。金属層Ａ，Ｂの表示は、担体に対する順序を表すものではなく、光学濃度の高い方の層と、光学濃度の低い方の層との間の言語上の区別を容易にしたのに過ぎない。例えば、複数の層を上下に形成する場合に、最初に光学濃度の高い方の層を施し、次いで光学濃度の低い方の層を施すことができる。しかしながら、この層順序は逆であってもよい。いずれの層順序がより適しているかは、個々のケースから結論づけられる。

本発明の実施の形態においては、複数の金属層が上下に配置されるのが好ましい。上下に配置された複数の金属層は、直接的に、すなわちこれら金属層Ａ，Ｂ間に別の層が存在しない態様で、互いに接している。

金属層Ａ，Ｂは同一材料で形成することができるが、異なる材料で形成してもよい。異なる金属を組み合わせる場合には、下記のような色の組み合わせが最も適している。すなわち、金色と銀色、金色と銅色、クロム色と金色、クロム色と銅色である。

適当な金属は、例えば、アルミニウム、コバルト、銅、金、鉄、クロム、ニッケル、銀、白金、パラディウム、チタン、またはその他の「非鉄金属」、および例えば、インコネル、金青銅、銀青銅等のようなそれらの合金である。光学濃度の高い方の金属層Ａに関しては、その可視光線に対する浸入度が小さいことおよび処理の容易なことから、アルミニウムを用いるのが好ましく、光学濃度の低い方の金属層Ｂに関しては、その可視光線に対する浸入度が大きいことおよび特徴のある色から、金、銅、クロム、銀または鉄が用いられる。

いくつかの好ましい材料の組合せを下記の表１に示す。

Ｔ：透過度
Ｏ：可視的に容易に知覚可能なカラーコントラストを有する
Ｍ：層Ａにおいて適当な厚さがあれば機械で読むことが可能な磁性を有する
Ｄ／Ａ：セキュリティ素子に光を当てれば均質的に金属層が存在するように見え、透かして見れば、白抜き部が見える。

上記白抜き部が、すなわち光学濃度の高い方の層が存在しない場所または金属がない場所が、単純な形状を有しないで、欧数字、模様、標章等の形状または例えばバーコードのような暗号の形態で配置されている場合には、偽造防止性をさらに高めることができる。

適当な厚さがある光学濃度の高い方の金属層は、さらに磁性を備えることができる。上記白抜き部が適切な態様で配置されている場合には、上記セキュリティ素子に機械で読み取ることが可能な暗号を組み込むことさえ可能である。

上記セキュリティ素子のサブストレートはプラスチックフィルムであることが好ましい。さらにこのサブストレートは、浮彫り構造の形態の回折構造を備えることができる。この回折構造は、ホログラムまたは格子構造（例えばキネグラム（Ｒ）、ピクセルグラム）のようないずれの回折構造であってもよい。

さらに、上記サブストレートが、貼り合わされた複数のフィルムからなるものであってもよい。特に、一つの金属層が１枚のフィルムの外側に存在する２枚のフィルムを重ね合わせたものとすることができる。

下記においては、白抜き部および回折構造と組み合わされた種々の層材料および層構造のとそれらの外観の異なる形態が記載されている。勿論、すべてのヴァリエーションは互いにいかなる所望の態様にも組み合わせることができる。

ヴァリエーション１：同一金属で形成された複数の金属層
本実施例においては、金属層ＡおよびＢが同一材料からなる。例えばアルミニウムを金属層ＡおよびＢとしてサブストレート上に蒸着することができる。個々の層の光学濃度の差異は、例えば層厚さの変更によって得られる。

このセキュリティ素子における層順序は、例えば、サブストレート‐光学濃度の低い金属層‐光学濃度の高い金属層の順になっている。これらの３層はすべて、直接的に上下に重なっており、別の層によって互いに隔離されてはいない。光学濃度の高い金属層Ａは全面に亘って施されてなく、すなわち不透明に見える層に白抜き部が形成されている。

このセキュリティ素子を透かして見ると、上記不透明に見える層Ａを備えていない領域は透明領域として明らかに識別される。層Ａの白抜き部領域に光学濃度の低い金属層Ｂが存在するにも拘わらず、金属層Ｂの透過度がどのように調整されているかによって、完全に透明な領域または半透明領域が知覚される。

光を当てると、このセキュリティ素子の全面が均一にコーティングされているように見える、すなわち白抜き部は見えない。

金属層Ａにおける白抜き部に加えて、金属層Ｂにも白抜き部を設けることもできる。層ＡおよびＢが上下に重なっており、かつ好ましくは互いに一致した態様で、金属層ＡおよびＢにおける白抜き部の少なくとも一部が上下に重なっていようと、あるいは、好ましくは半透明の金属層Ｂにおける白抜き部よりも金属層Ａにおける白抜き部の方が大きい態様で、上下に重なっていようと、印象的な効果が得られる。

複数の白抜き部を、いかなる形状、組合せ、および順序であっても、一つ又は二つの金属層に配置することができる。

さらに、このセキュリティ素子は回折構造を備えることができる。これらは、サブストレート表面の少なくとも一部の領域に、好ましくは打ち出しによって組み込まれ、この回折構造を備えたサブストレート表面に、金属層が乗るのが好ましい。コーティング順序は、回折構造を備えたサブストレート表面‐金属層Ａ‐金属層Ｂであることが好ましい。

上記回折構造は、金属層が存在する、すなわち白抜き部がない領域において、特に輝いて見える。白抜き部領域を透かして見ると、回折構造が僅かに見えるに過ぎないか、あるいは見えない。光を当てると、金属層の領域と白抜き部の領域との双方で回折構造が見える。

ヴァリエーション２：異なる材料で形成された複数の金属層
本実施例においては、金属層ＡおよびＢが異なる材料からなる。例えば、アルミニウムを金属層Ａとして、かつ金を金属層Ｂとして、サブストレート上に蒸着することができる。個々の層の光学濃度の差異は、例えば層厚さおよび／または材料の変更によって得られる。

このセキュリティ素子内の個々の層の層順序および白抜き部の配置は実施例１と同じにすることができる。

このセキュリティ素子を透かして見ると、層Ａ内の白抜き部は透明領域として明瞭に識別可能である。層Ａ内の白抜き部の領域に金属層Ｂが存在するにも拘わらず、光学濃度の低い金属層Ｂの透過度がどのように調整されているかによって、観察者は、完全に透明な領域または半透明の領域を知覚すると思われる。層ＡおよびＢの材料が異なることによって、多分、半透明の領域は周囲に対して目立った色を有している。

光を当てると、コーティングされた表面全体は均一には見えず、光学濃度の高い方の金属で覆われていない領域、すなわち第２の金属色を備えた領域は異なる外観を呈する。すなわち、金属層Ａ内の白抜き部が、光を当てることによっても見え、かつ金属層Ｂの色を有している。

金属層Ａにおける白抜き部に加えて、金属層Ｂにも白抜き部を設けることができる。層ＡおよびＢが上下に重なり、かつ層ＡおよびＢにおける白抜き部の少なくとも一部が、好ましくは一致するよう重なっていようが、あるいは、層ＡおよびＢにおける白抜き部が、好ましくは半透明の金属層Ｂにおける白抜き部よりも金属層Ａにおける白抜き部の方が大きい態様で上下に重なっていようが、印象的な効果が得られる。

一つまたは二つの金属層における白抜き部は、いかなる形状、組合せおよび順序でも配置することができる。

さらに、このセキュリティ素子には、回折構造を備えることができる。これらは、サブストレート表面の少なくとも一部の領域に、好ましくは打ち出しによって組み込まれ、この回折構造を備えたサブストレート表面に、金属層が乗るのが好ましい。コーティング順序は、回折構造を備えたサブストレート表面‐金属層Ａ‐金属層Ｂであることが好ましい。

上記回折構造は、金属層が存在する、すなわち白抜き部が存在しない領域において、特に輝いて見える。光を当てると、白抜き部の領域でも回折構造が見える。

下記の記載は、ヴァリエーション１および２に限定されず、すべての実施の形態に等しく適用される一般的な記載であると理解すべきである。

上記セキュリティ素子は、異なる複数の金属層が施された自立型フィルムからなるセキュリティ・スレッドとすることができる。このセキュリティ・スレッドは、セキュリティ・ペーパーまたは有価書類に対し少なくとも部分的に組み込むことができる。もしこのセキュリティ・スレッドが表から見ても裏から見ても同じに見えるように構成されていれば、セキュリティ・スレッドを組み込むときに表裏が合っているか否かを考慮することを必要としない。セキュリティ素子をリボン状またはラベル状に形成して、セキュリティ・ペーパーまたは有価書類の表面に固定するときにも考えられる。

あるいは、上記セキュリティ素子は、転写素子または貼付けフィルムの形態とすることができる。もしセキュリティ素子がセキュリティ・ペーパーまたは有価書類の表面上に完全に配置される場合には、このヴァリエーションは特に有利である。この場合、セキュリティ素子の層構造は、一般にプラスチックフィルムである担体フォイル上に提供され、次いで例えばホットスタンプ法によってセキュリティ・ペーパーまたは有価書類に所望の外形輪郭をもって転写される。

セキュリティ素子がセキュリティ・ペーパーまたは有価書類の表面上に配置される場合には、セキュリティ素子は、例えば円形、楕円形、星型、四角形、不等辺四辺形、または紐状のような、いかなる外形構造をもとることができる。

好ましい実施の形態によれば、セキュリティ素子を施されたセキュリティ・ペーパーまたは有価書類は貫通孔を備えている。ここではセキュリティ素子がこの孔の領域に配置され、かつ孔に全周縁からはみ出している。

別の好ましい実施の形態においては、セキュリティ・ペーパーまたは有価書類がセキュリティ・スレッドの形態のセキュリティ素子を備えている。

双方の実施の形態において、セキュリティ素子はセキュリティ・ペーパーまたは有価書類の表および裏の双方からチェックすることができ、このことは不慣れな観察者にとっても真贋チェックが極めて容易である。

したがって、これらの実施の形態が備えている色彩効果を真似ることは極めて困難ないしは不可能である。

しかしながら、本発明のセキュリティ素子の利用はセキュリティ書類の領域に限定されるものではない。本発明のセキュリティ素子は、いかなる物品の偽造をも防止するための製品保護の分野でも有効に利用することができる。この目的のために、セキュリティ素子は、例えばコイルまたはチップのような付加的の盗難防止素子を備えることができる。同様のことを、このようなセキュリティ素子を備えたセキュリティ・ペーパーまたは有価書類にも適用することができる。

金属層の形成は、例えばスパッタリング、あるいは電子ビーム蒸着法を用いた蒸着ユニットにより行なわれることが好ましい。

各金属層における白抜き部の形成は、引例としてここに組み込まれる特許文献２に記載されている洗浄法を用いて行なわれるのが好ましい。ここではセキュリティ素子が、多数のセキュリティ素子の同時複製を備えたセキュリティ・フォイルの形態で提供される。基材は、自立型の、好ましくは透明なプラスチックフィルムである。このプラスチックフィルムは、セキュリティ・スレッドまたはセキュリティ・ラベルの場合に、本発明のセキュリティ素子のプラスチック層に対応する。セキュリティ素子がフィルムから引き剥がされる場合、上記プラスチックフィルムは、転写材料の担体材料を形成し、このプラスチックフィルムに、上記プラスチック層がラッカー層の形態で施される。このラッカー層に、あるいはセキュリティ・スレッドまたはセキュリティ・ラベルの場合にはプラスチックフィルムに、回折構造を打ち出すことができる。本発明によるセキュリティ素子のプラスチック層には、後に白抜き部となる形状に印刷が、好ましくはグラビア印刷によって施される。このため、色素を多量に含んだインクが用いられ、このインクは多孔質の盛り上がったインク層を形成する。次いで、印刷されたプラスチック層上に、色の異なる金属層が蒸着される。最後のステップとして、液体を用いた洗浄によって、場合によっては機械的動作を組み合わせて、施されているインク層およびこのインク層の上に乗っている金属層が除去される。上記液体として水を用いることができるように、水溶性印刷インクが用いられるのが好ましい。このように、この方法は環境にやさしく、いかなる特別な防護手段をも必要としない。さらにこの方法は、二つまたは数個の金属層における白抜き部が１回の操作で形成される利点がある。

上記洗浄は、回転ローラ、ブラシまたは超音波のような機械的手段によって補助することが可能である。

複数の金属層を一つのサブストレート上に蒸着する代わりに、各層を個々のサブストレート上に蒸着することができる。次いで、コーティングされた複数のサブストレートを、好ましくはサブストレートのコーティングされた側が互いに対向する態様で貼り合わされる。

本発明のセキュリティ素子が、単純な技術的手段をもってしては模造が不可能で、複製を試みても容易に識別可能であるのみでなく、観察者が肉眼で明瞭に知覚可能な色彩効果および光を当てたり、透かして見たりするときの光の効果を有することによって、本発明のセキュリティ素子は、極めて優れた偽造防止機能を備えている。特にこのセキュリティ素子は、金属コーティング技術と同時に正確な層の厚さ制御をマスターしなければならないので、単なるフォイルのパンチング、金属層のエッチングまたは削り取りによって作成することは不可能である。

本発明のセキュリティ素子、またはセキュリティ・ペーパーおよび有価書類のさらなる実施の形態および利点が以下に図面を参照して説明されている。図面は概略図であって、必ずしも実物の寸法および比率に対応しているものではない。

図１は本発明による有価書類の平面図である。図示の実施の形態は銀行券１である。この銀行券１は、銀行券の幅全体に亘って横切りかつ銀行券の孔３に懸かるストリップ形状のセキュリティ素子２を備えている。図示のセキュリティ素子は、１層のプラスチック層と光学濃度の異なる２層の金属層とからなるセキュリティ素子である。少なくとも光学濃度の高い方の層には、必要に応じて光学濃度の低い方の層にも、白抜き部が設けられている。セキュリティ素子２の観察者に対向する表面全体に亘って、本発明によりコーティングが施されており、特に孔３における視覚的に認知可能な効果が、後に続く図面に記載されている。後に続く各図面は、簡潔化のために、本発明の基本概念を最小化した層構造を示している。接着層または表面を防護するために用いられる積層フィルムのような付加的な層は勿論さらに存在し、それらは施す場合に応じて、当業者によって付加されるべきである。

図２ａは、第１の実施の形態におけるセキュリティ素子２の図１のＡ−Ａ線に沿ったセキュリティ素子の断面図を示す。この図では、蒸着される金属層のサブストレートとして機能するプラスチックフィルム４が見られる。このプラスチック層には、回折構造５が組み込まれている。あるいは、付加的に施されたラッカー層に回折構造が施されていてもよい。プラスチック層の回折構造が設けられている側には金属層６が蒸着により直接接しており、この金属層６は、光学濃度が高い方の金属層Ａであり、不透明に見える。本実施の形態においては、金属層Ａがアルミニウムからなる。この金属層Ａの上に、同じくアルミニウムからなる金属層７、すなわち光学濃度が低い方の金属層Ｂが設けられている。金属層６，７にも、プラスチックフィルム４におけると同様の回折構造が存在する。更に層６には、文字、欧数字、模様、紋章等を表す白抜き部８が設けられている。サブストレート‐層Ａ‐層Ｂの層順序は、特にサブストレートに回折構造が含まれている場合、効果的に構成されたセキュリティ素子が得られる。

図２ｂは、図２ａを透かして視た場合の細部を示す。このセキュリティ素子をサブストレート４のコーティングされていない側から透かして視た場合、上記白抜き部８が透明領域または半透明領域として認められる。ここでは星形である白抜き部８は、銀色に見えるアルミニウム層６によって全体が囲まれている。

図２ｃは、図２ａを光を当てて視た場合の細部を示す。白抜き部８はもはや認められず、外観上全体が均一にコーティングされたセキュリティ素子が見えるに過ぎない。

図３ａは、別の実施の形態におけるセキュリティ素子の断面図を示す。ここでは、プラスチックフィルム４が最初に光学濃度の低い方のアルミニウム層７でコーティングされ、その上に、白抜き部８を備えた光学濃度の高い方のアルミニウム層６が設けられている。この光学濃度の高い方のアルミニウム層６の上に、光学濃度の低い方の第２のアルミニウム層７が真空蒸着されている。白抜き部８の領域には、２層の光学濃度の低い方のアルミニウム層７が互いに密着しており、これら２層のアルミニウム層７の厚さの合計は、金属層６の厚さよりも薄い。本実施の形態の利点は、それが対称的セキュリティ素子であること、すなわち、表から見ても裏から見ても常に同じに見えることである。

図３ｂには、光学濃度の高い方の層６と光学濃度の低い方の層７とが互いに重なっていないで並設されている本発明の一つの実施の形態が断面図で示されている。最初にプラスチックフィルム４が光学濃度の低い方の層７で部分的に、例えばストリップ形状にコーティングされる。第２ステップで間のスペースに、光学濃度の高い方の層６が、層７に対して正確に見当を合わせて、あるいは層７に対して僅かに重ね合わせて施される。本実施の形態も、表から見ても裏から見ても同じに見える。リボン形状のサブストレートを透かして見ると、横方向に延びる明るい縞と暗い縞とが交互に見えることになる。光を当てると、サブストレートが一様に銀色にコーティングされているように見える。

図４ａはさらなる実施の形態の断面図を示す。このヴァリエーションにおいては、図２ａとは反対に、最初に光学濃度の低い方の層Ｂが、次いで光学濃度の高い方の層Ａがサブストレート４上に施される。この層順序は、エンボス加工されていないサブストレートに用いられるのが好ましい。本実施の形態は、光学濃度の低い方の層と光学濃度の高い方の層とが互いに異なる金属で構成されている点に特徴がある。この点に関しては、いかなる制約も当業者に課せられることはない。他の多くのものを代表する一つの可能性のある例として、図４ａを参照して説明する。サブストレート４上の図の左方の領域には、アルミニウムからなる光学濃度の低い方の層９が施され、図の右方の領域には、クロムからなる光学濃度の低い方の層１０が施されている。アルミニウムからなる金属層９上には、光学濃度の高い方の層として構成されている、同じアルミニウム層１１が設けられている。クロム層上には、金からなる光学濃度の高い方の金属層１２が設けられている。アルミニウムおよび金で形成された光学濃度の高い方の層は、光学濃度の低い方の層９，１０同士が密着している領域に白抜き部８が存在するように配置されている。

図４ｂは、断面図である図４ａに示されたセキュリティ素子を透かして見たときの要部を示す。このセキュリティ素子を光学濃度の高い方の層の方向から見ると、像の左方領域には銀色の外観を呈する領域１３が見え、右方領域には金色の外観を呈する領域１４が見える。白抜き部８は、領域１１内にも領域１２内にも突出する透明な部分として認められる。

図４ｃは、光を当てて見た同じ要部である。図の左方の領域では、このセキュリティ素子は全体が均質的に銀色に輝く表面１３として見え、図の右方の領域では、金色の領域１４で大部分を囲まれた銀色の部分領域１５が見える。

図５ａは、本発明のセキュリティ素子２のさらなる実施の形態を示す。このヴァリエーションにおいては、光学濃度の低い方の金属層と光学濃度の高い方の金属層との双方がアルミニウムで形成されている。最初に光学濃度の低い方のアルミニウム層７がサブストレート４上に施されるが、この層はすでに白抜き部１６を備えている。光学濃度の低い方のアルミニウム層７の上に複数の白抜き部８を備えた光学濃度の高い方のアルミニウム層６が、この層の白抜き部８が一方では上記白抜き部１６と一致し、他方では光学濃度の低い方のアルミニウム層７上に設けられる態様で施されている。

図５ａのセキュリティ素子を透かして見ると、図５ｂに示すように、一方では四角１７に、他方では円形１８に形成された透明領域を備えた銀色に輝くリボンが見える。

光を当てると、図５ｃに示されているように、観察者は異なる印象を受ける。ここでは、白抜き部８に一致する白抜き部１６が透明領域１７として知覚されるが、もはや領域１８は認められず、この領域ではセキュリティ素子が、明らかに均質にコーティングされた素子として現れる。

図６ａは、本発明のセキュリティ素子のさらなる実施の形態を示す。この素子においても、光学濃度の低い方の金属層と光学濃度の高い方の金属層とが同一材料、すなわちアルミニウムで形成されている。双方の層には、光学濃度の低い方の層における白抜き部１６と光学濃度の高い方の層における白抜き部８とが、上下に、かつ白抜き部８の方が白抜き部１６よりも大きい態様で設けられている。サブストレート４上の層の配置は図５ａに示されたものに対応する。このセキュリティ素子を透かして見ると、図６ｂに示すように、白抜き部８が形成する輪郭に対応する透明領域１９が知覚される。白抜き部１６は認められない。

このセグメントに光を当てると、図６ｃに示すように、白抜き部１６のみが透明領域として知覚される。白抜き部８は、他の不透明層から識別不能な均質な表面として知覚される。

光学濃度の低い方の層７が透明であるか半透明であるかの度合は、その材料と層の厚さとに左右される。これらは所望とする効果に応じて当業者によって調整される。

図７ａは、図５ａと同じ層構造を示す実施の形態を示しているが、光学濃度の低い方の層７が銅で形成され、光学濃度の高い方の層６がアルミニウムで形成されている点で図５ａとは異なる。透かして見ると、図７ｂに示すように、白抜き部８においても白抜き部１６においても、透明領域２０，２１が認められる。所望であれば、銅層の透過度は、領域２１において観察者は完全に透明な白抜き部を知覚することはできないが、僅かに緑がかった半透明領域が認められるように調整することができる。光を当てると、図７ｃに示されているように、白抜き部１６は透明領域２０として知覚可能であり続けるが、銅層上にある白抜き部８は、銀色に囲まれた円形の銅色要素に見える。

図８ａにおいては、白抜き部８が白抜き部１６の上にあり、かつ後者よりも広い領域を占めている図６ａと同様の実施の形態のヴァリエーションが示されている。図６ａの実施の形態とは異なり、図８は、光学濃度の高い方の層６がアルミニウムからなり、光学濃度の低い方の層７が銅からなるヴァリエーションを示している。透かして見た効果は図８ｂに示されているように、図６ｂに示されたものに対応している。すなわち、観察者が知覚することができる透明な面２２は白抜き部８に対応している。しかしながら、光を当てると、図６ｃにおける外観とは異なる形態を示す。白抜き部１６は四角形の透明領域２３として知覚可能であるが、白抜き部８は、銅色の三角形２２として知覚可能である。このセキュリティ素子の残りの表面は、アルミニウム層によって銀色に見える。

図９ａから図９ｅは、図５ａおよび図７ａに示された本発明のセキュリティ素子の作成方法を概略的に示す。この方法は、セキュリティ・スレッドまたはセキュリティ・ラベルに関する例として説明されるが、勿論異なる層順序を備えたセキュリティ素子に関しても同様に適用可能である。セキュリティ素子は、多数のセキュリティ素子の同時複写体を含むセキュリティ・フォイルの形態で作成されるのが好ましい。図示の実施の形態においては、基材を形成する自立型プラスチックフィルム４が基材を形成する。第１ステップでは、図９ａに示されているように、このフィルム４の、後に白抜き部１６，８となる領域に対し、多量の色素を含む印刷インク２４で印刷が施され、その結果、多孔質の印刷体が得られる。次いで、アルミニウムからなる、この場合は光学濃度の低い方の層７が、印刷されたプラスチックフィルム４上に施される。これは蒸着法によって行なわれるのが好ましく、これによって金属が、必要に応じてマスクを介して、プラスチックフィルム４上に蒸着される。印刷インク層２４の領域では、印刷インクの多孔質表面構造のために、連続した金属層が形成されない。金属層７を備えた中間製品が図９ｂに示されている。

図５ａおよび図７ａに示された実施の形態における白抜き部１６は、洗浄可能なインクの最初の印刷により形成される。白抜き部８を形成するために、洗浄可能なインクによる再度の印刷２５が所望の場所に行なわれる。図９ｃは、印刷インク層２４が印刷され、次いでアルミニウムでコーティングされ、再びインク層２５が印刷された中間製品を示す。

この中間製品は、光学濃度の高い方の金属層６（図９ｄ参照）を形成するように、金属、例えばアルミニウムで再びコーティングされる。

印刷インク層２４および２５の領域には固い金属面が形成されていないので、この領域に存在する印刷インク層および金属層６、または金属層６および７は、洗浄によって殆ど困難を伴わずに除去することが可能である。この洗浄に水を用いるのが好ましい。インク層２４および２５の完全な除去のためには、ブラシが必要になるかも知れない。最終製品が図９ｅに示されている。次いでセキュリティ・フォイルが所望の形態のセキュリティ素子に切断される。

この洗浄法は、シャープで明確なエッジと輪郭とが得られるので、この方法を用いれば、極めて解像度の高い文字または模様を金属層に形成することができる。

図１０ａから図１３は、本発明のさらなる実施の形態を示し、白抜き部は陽画または陰画の形態で組合せられ、かつ一方または双方の層に存在している。

図１０ａは、一方では、光学濃度の高い方の層６における白抜き部８に一致する白抜き部１６が、光学濃度の低い方の層７に形成され、他方では、光学濃度の高い方の層６における白抜き部８が白抜き部１６よりも実質的に大きい実施の形態を示している。この明確な白抜き部配置によって、透かして見ると、不透明な領域に配置された、あるいは透明な領域に配置された「ＰＬ２０００」の文字が、常に透明な領域に現れる。図１０ｂにおいては、図１０ａに示されたセキュリティ素子の層構造が断面図で示されている。この断面図は、図１０ａに示された左側の二つの領域を表すものに限定されている。

図１１ａには、一方の領域においては、光学濃度の高い方の層における白抜き部と光学濃度の低い方の層における白抜き部とが一致し、他方の領域においては、光学濃度の低い方の層が全域に存在して、光学濃度の高い方の層における白抜き部は、透明な背景に対して「ＰＬ２０００」の文字が陽画として際立つように構成された実施の形態が示されている。対応する層構造が図１１ｂに示され、ここでも、図１１ａに示されたセキュリティ素子の左側の二つの領域が表されている。

図１２ａには、半透明の文字「ＰＬ２０００」が不透明な周囲環境の中に現れ、他の領域には、不透明な陽画文字「ＰＬ２０００」が半透明な周囲環境の中に現れているセキュリティ素子が示されている。この見え方は、光学濃度の低い方の層７が全域に亘って存在し、かつ陽画および陰画を形成するために所望の白抜き部を備えた光学濃度の高い方の層６がその上に施されることによって得られる。図１２ｂは、図１２ａに示された左側の二つの領域対応する層構造を示す。

図１３では、前述の図面に示された種々の白抜き部が互いに組合わされている。このセキュリティ素子においては、透明に見える文字「ＰＬ２０００」を備えた不透明な領域に隣接して、不透明に見える陽画文字「ＰＬ２０００」が現れている半透明な領域が存在し、この半透明な領域に隣接して、半透明に見える陰画文字「ＰＬ２０００」が現れている不透明な領域が存在している。これらの３領域の層構造は、図１１ｂに示された第１の領域の層構造を図１２ｂにおける層構造に組み合わせたものに対応する。

本発明による有価書類を示す。 図２ａは図１のＡ−Ａ線に沿った本発明によるセキュリティ素子の層構造を示す断面図、図２ｂは図２ａのセキュリティ素子を透かして視た平面図、図２ｃは図２ａのセキュリティ素子に光を当てて視た平面図である。 図３ａは図１のＡ−Ａ線に沿った本発明によるセキュリティ素子の層構造を示す断面図、図３ｂは図１のＡ−Ａ線に沿った本発明によるセキュリティ素子の層構造を示す断面図である。 図４ａは図１のＡ−Ａ線に沿った本発明によるセキュリティ素子の層構造を示す断面図、図４ｂは図４ａのセキュリティ素子を透かして視た平面図、図４ｃは図４ａのセキュリティ素子に光を当てて視た平面図である。 図５ａは図１のＡ−Ａ線に沿った本発明によるセキュリティ素子の層構造を示す断面図、図５ｂは図５ａのセキュリティ素子を透かして視た平面図、図５ｃは図５ａのセキュリティ素子に光を当てて視た平面図である。 図６ａは図１のＡ−Ａ線に沿った本発明によるセキュリティ素子の層構造を示す断面図、図６ｂは図６ａのセキュリティ素子を透かして視た平面図、図６ｃは図６ａのセキュリティ素子に光を当てて視た平面図である。 図７ａは図１のＡ−Ａ線に沿った本発明によるセキュリティ素子の層構造を示す断面図、図７ｂは図７ａのセキュリティ素子を透かして視た平面図、図７ｃは図７ａのセキュリティ素子に光を当てて視た平面図である。 図８ａは図１のＡ−Ａ線に沿った本発明によるセキュリティ素子の層構造を示す断面図、図８ｂは図８ａのセキュリティ素子を透かして視た平面図、図８ｃは図８ａのセキュリティ素子に光を当てて視た平面図である。 図９ａ〜図９ｅは本発明によるセキュリティ素子の製造方法を示す図である。 図１０ａは本発明によるセキュリティ素子のヴァリエーションを透かして視た平面図、図１０ｂは断面図である。 図１１ａは本発明によるセキュリティ素子のヴァリエーションを透かして視た平面図、図１１ｂは断面図である。 図１２ａは本発明によるセキュリティ素子のヴァリエーションを透かして視た平面図、図１２ｂは断面図である。 本発明によるセキュリティ素子のヴァリエーションを透かして視た平面図である。

符号の説明

１ 銀行券
２ セキュリティ素子
３ 孔
４ プラスチックフィルム、サブストレート
５ 回折構造
６，７，９，１０，１１，１２ 金属層
８，１６ 白抜き部
２４，２５ 印刷インク層

Claims (43)

1. サブストレートを備え、該サブストレート上に少なくとも二つの金属層が配置されてなる、セキュリティ・ペーパー、銀行券、ＩＤカード等のためのセキュリティ素子であって、
   前記複数の金属層が異なる光学濃度を有し、該複数の金属層が同一材料で形成されていることを特徴とするセキュリティ素子。
2. 前記少なくとも二つの金属層が、前記サブストレートの同一側に配置されていることを特徴とする請求項１記載のセキュリティ素子。
3. 前記複数の金属層が直接的に上下に配置されていることを特徴とする請求項１または２記載のセキュリティ素子。
4. 前記少なくとも二つの金属層のうちの光学濃度の低い方の金属層が、前記サブストレート上の、少なくとも光学濃度の高い方の金属層が存在しない領域に存在することを特徴とする請求項１から３のいずれか１項記載のセキュリティ素子。
5. 前記少なくとも二つの金属層のうちの少なくとも光学濃度の高い方の金属層に白抜き部が形成されていることを特徴とする請求項１から４のいずれか１項記載のセキュリティ素子。
6. 前記白抜き部が、欧数字、模様、標章等の形状で、またはバーコードの形態で存在することを特徴とする請求項５記載のセキュリティ素子。
7. 前記光学濃度の高い方の層が最大３０％の透過度を有することを特徴とする請求項１から６のいずれか１項記載のセキュリティ素子。
8. 前記光学濃度の高い方の金属層が最大１０％の透過度を有し、前記光学濃度が低い方の金属層が最小５０％の透過度を有することを特徴とする請求項１から７のいずれか１項記載のセキュリティ素子。
9. 前記金属が、アルミニウム、銀、銅、金、鉄、クロム、ニッケル、コバルト、白金、パラディウム、チタン、インコネル、銀青銅、金青銅、または前記金属の少なくとも二つから作られる合金であることを特徴とする請求項１から８のいずれか１項記載のセキュリティ素子。
10. 前記少なくとも二つの金属層が異なる層厚さを有することを特徴とする請求項１から９のいずれか１項記載のセキュリティ素子。
11. 一つの金属層が不透明で、一つの金属素が半透明であることを特徴とする請求項１から１０のいずれか１項記載のセキュリティ素子。
12. 前記光学濃度の低い方の層が全体に亘って存在することを特徴とする請求項１から１１のいずれか１項記載のセキュリティ素子。
13. 前記少なくとも二つの金属層における白抜き部の一部が、一致する態様で存在することを特徴とする請求項１から１１のいずれか１項記載のセキュリティ素子。
14. 前記光学濃度の高い方の層の厚さが約２０ｎｍから３００ｎｍまでの間であり、前記光学濃度の低い方の層の厚さが約２ｎｍから２０ｎｍまでの間であることを特徴とする請求項１から１３のいずれか１項記載のセキュリティ素子。
15. 前記サブストレートがプラスチック層であることを特徴とする請求項１から１４のいずれか１項記載のセキュリティ素子。
16. 前記サブストレートが、回折構造を備えていることを特徴とする請求項１から１５のいずれか１項記載のセキュリティ素子。
17. 前記サブストレートが、自立型プラスチックフィルムであることを特徴とする請求項１から１６のいずれか１項記載のセキュリティ素子。
18. 前記サブストレートが、担体材料上に配置されていることを特徴とする請求項１から１７のいずれか１項記載のセキュリティ素子。
19. 前記セキュリティ素子が転写素子であることを特徴とする請求項１から１８のいずれか１項記載のセキュリティ素子。
20. 前記セキュリティ素子が自立型ラベルであることを特徴とする請求項１から１９のいずれか１項記載のセキュリティ素子。
21. 前記セキュリティ素子が、円形、楕円形、星型、四角形、不等辺四辺形、または紐状の外形輪郭を有することを特徴とする請求項１から２０のいずれか１項記載のセキュリティ素子。
22. 前記セキュリティ素子がセキュリティ・スレッドであることを特徴とする請求項１から２１のいずれか１項記載のセキュリティ素子。
23. 前記セキュリティ素子が貼付けフィルムであることを特徴とする請求項１から２１のいずれか１項記載のセキュリティ素子。
24. 請求項１から２３のいずれか１項記載のセキュリティ素子を少なくとも一つ備えていることを特徴とするセキュリティ・ペーパー。
25. 前記セキュリティ素子が、前記セキュリティ・ペーパー内に少なくとも部分的に埋め込まれたセキュリティ・スレッドであることを特徴とする請求項２４記載のセキュリティ・ペーパー。
26. 前記セキュリティ・ペーパーが一つの貫通孔を備え、前記セキュリティ素子が前記貫通孔の領域内に配置され、かつ該貫通孔の全縁からはみ出していることを特徴とする請求項２４記載のセキュリティ・ペーパー。
27. 前記セキュリティ素子が、前記セキュリティ・ペーパーの表面上に施された転写素子または貼付けフィルムであることを特徴とする請求項２４記載のセキュリティ・ペーパー。
28. 前記セキュリティ素子が、円形、楕円形、星型、四角形、不等辺四辺形、または紐状の外形輪郭を有することを特徴とする請求項２４から２７のいずれか１項記載のセキュリティ・ペーパー。
29. 請求項１から２３のいずれか１項記載のセキュリティ素子を少なくとも一つ備えていることを特徴とする、銀行券、ＩＤカード等のような有価書類。
30. 担体フォイルとサブストレートとを備え、該サブストレート上に少なくとも二つの金属層が配置されてなるセキュリティ素子を作成するための転写材料または貼付けフィルムにおいて、
    前記複数の金属層が異なる光学濃度を有し、該複数の金属層が同一材料で形成されていることを特徴とする転写材料または貼付けフィルム。
31. サブストレートを備え、該サブストレート上に、異なる光学濃度を有し、同一材料で形成されている少なくとも二つの金属層が配置されてなるセキュリティ・ペーパー、銀行券、ＩＤカード等のためのセキュリティ素子の作成方法であって、
    ａ１）自立型プラスチックフィルムの形態の、または上にプラスチック層が配置された担体材料の形態のサブストレートを提供し、
    ｂ１）多孔質の盛り上がったインク層が形成されるように、多量の色素を含む印刷インクを用いて、前記サブストレートに欧数字、模様、標章等を印刷し、かつ前記インクを乾燥させ、
    ｃ１）前記印刷が施されているサブストレート上に、光学濃度の低い方の金属層を施し、
    ｄ１）多孔質の盛り上がったインク層が形成されるように、多量の色素を含む印刷インクを用いて、前記光学濃度の低い方の金属層に欧数字、模様、標章等を印刷し、かつ前記インクを乾燥させ、
    ｅ１）前記光学濃度の低い方の金属層上に、光学濃度の高い方の金属層を施し、
    ｆ１）液体を用いた洗浄により、施されているインク層と、該インク層上に乗っているかあるいは該インク層内部に潜りこんでいるかしている、単数又は複数の金属層とを除去し、
    ｇ１）前記サブストレートを乾燥させ、所定のサイズに切断する、
    諸ステップを含むことを特徴とするセキュリティ素子の作成方法。
32. サブストレートを備え、該サブストレート上に、異なる光学濃度を有し、同一材料で形成されている少なくとも二つの金属層が配置されてなるセキュリティ・ペーパー、銀行券、ＩＤカード等のためのセキュリティ素子の作成方法であって、
    ａ２）自立型プラスチックフィルムの形態の、または上にプラスチック層が配置された担体材料の形態のサブストレートを提供し、
    ｂ２）前記サブストレート上に、光学濃度の低い方の金属層を施し、
    ｃ２）多孔質の盛り上がったインク層が形成されるように、多量の色素を含む印刷インクを用いて、前記光学濃度の低い方の金属層に欧数字、模様、標章等を印刷し、かつ前記インクを乾燥させ、
    ｄ２）前記光学濃度の低い方の金属層上に、光学濃度の高い方の金属層を施し、
    ｅ２）液体を用いた洗浄により、施されているインク層と、該インク層上に乗っているかあるいは該インク層内部に潜りこんでいるかしている、単数又は複数の金属層とを除去し、
    ｆ２）前記サブストレートを乾燥させ、所定のサイズに切断する、
    諸ステップを含むことを特徴とするセキュリティ素子の作成方法。
33. サブストレートを備え、該サブストレート上に、異なる光学濃度を有し、同一材料で形成されている少なくとも二つの金属層が配置されてなるセキュリティ・ペーパー、銀行券、ＩＤカード等のためのセキュリティ素子の作成方法であって、
    ａ３）自立型プラスチックフィルムの形態の、または上にプラスチック層が配置された担体材料の形態のサブストレートを提供し、
    ｂ３）多孔質の盛り上がったインク層が形成されるように、多量の色素を含む印刷インクを用いて、前記サブストレートに欧数字、模様、標章等を印刷し、かつ前記インクを乾燥させ、
    ｃ３）前記サブストレート上に、光学濃度の高い方の金属層を施し、
    ｄ３）液体を用いた洗浄により、施されているインク層と、該インク層上に乗っているかあるいは該インク層内部に潜りこんでいるかしている、単数又は複数の金属層とを除去し、
    ｅ３）前記光学濃度の高い方の金属層上に、光学濃度の低い方の金属層を施し、
    ｆ３）前記サブストレートを所定のサイズに切断する、
    諸ステップを含むことを特徴とするセキュリティ素子の作成方法。
34. 前記ステップｂ１）またはｂ３）に先立って、回折構造が前記サブストレートに打ち出されることを特徴とする請求項３１または３３記載の方法。
35. 前記金属層が、必要に応じてマスクを用いて、蒸着により施されることを特徴とする請求項３１から３４のいずれか１項記載の方法。
36. 前記サブストレートがエンドレスリボンの形態で提供され、前記方法が連続的に行なわれることを特徴とする請求項３１から３５のいずれか１項記載の方法。
37. 前記インクが水溶性であり、前記洗浄のために水が用いられることを特徴とする請求項３１から３６のいずれか１項記載の方法。
38. 前記サブストレートの印刷がグラビア印刷により行なわれることを特徴とする請求項３１から３７のいずれか１項記載の方法。
39. 前記サブストレートが上に前記プラスチック層が配置された坦体材料の態様である場合、前記ステップａ１）、ａ２）またはａ３）において、前記プラスチック層が、エンドレス・プラスチックフィルムの形態で提供され、かつ前記ステップｇ１）、ｆ２）またはｆ３）において、所定の幅を有するセキュリティ・スレッドに切断されることを特徴とする請求項３１から３８のいずれか１項記載の方法。
40. 前記サブストレートが上に前記プラスチック層が配置された坦体材料の態様である場合、前記ステップａ１）、ａ２）またはａ３）において、前記プラスチック層が、前記ステップ、ｆ２）またはｆ３）において所定の幅の紐状体に切断される転写材料を形成するように、特別に調製された担体材料上に配置されることを特徴とする請求項３１から３９のいずれか１項記載の方法。
41. 有価書類を作成するためのセキュリティ・ペーパーの作成方法であって、
    請求項３１から４０のいずれか１項記載の方法によりセキュリティ素子を作成し、
    セキュリティ・ペーパーを提供し、
    前記セキュリティ素子を前記セキュリティ・ペーパーに埋め込むことを特徴とするセキュリティ・ペーパーの作成方法。
42. 有価書類のためのセキュリティ・ペーパーの作成方法であって、
    請求項３１から４０のいずれか１項記載の方法によりセキュリティ素子を作成し、
    仕上げられたセキュリティ・ペーパーを提供し、
    前記セキュリティ素子を前記セキュリティ・ペーパーの表面上に施すことを特徴とするセキュリティ・ペーパーの作成方法。
43. 後に前記セキュリティ素子によって少なくとも片側が閉塞される開口を、製紙時に前記セキュリティ・ペーパーに組み込むことを特徴とする請求項４２記載の方法。

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