JP4491751B2 - キャンバストップ構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車両のルーフに設けられた開口部がキャンバスの折畳みで開閉可能に構成された自動車におけるキャンバストップ構造に係り、特にキャンバス地を容易に取り替えることができるキャンバストップ構造に関する。
従来、車両空間を明るくするためや外気を取り込みやすくするため、車両のルーフ構造としてキャンバストップ構造が知られている(例えば特許文献1)。
このルーフ構造では、左右のルーフサイド部とルーフフロント部とルーフリア部とで開口部が画成されており、キャンバス地と呼ばれる布地に骨組みを通して構成されたキャンバスが取り付けられている。その際、骨部材の両端部が左右のルーフサイド部のレールにスライド可能に挿入されている。骨部材の両端部がルーフサイド部のレールをスライドすることで、キャンバス地を展張して開口部を閉じたり、逆にキャンバス地を蛇腹式に折り畳むことで開口部を開いたりすることができる。キャンバス地の展張及び折畳みは電動式や手動式のものがある。このようなキャンバストップの自動車は、ルーフの開閉により開放感を運転者や同乗者に与え、またデザイン的にも他の者から注目を浴び、ルーフが開放しない車両と比べて付加価値が高い。
特開平6−183263号公報
しかしながら、キャンバストップ車ではキャンバスが一度組み立てられると、車両を分解しないとキャンバス地を取り替えることができない。よって、ユーザは、自分の好みに合わない色や絵柄のキャンバス地を備えたキャンバストップ車を選択して購入することはできない。
そこで、予め購入者がキャンバス地の色や絵柄を選択し、購入者の希望に沿ったキャンバストップ車を製造して購入者に納車することが考えられる。しかし、納車までに日数を要するばかりか、生産コストが増加するため実現されていない。
仮にこのような生産体制を採用しても、ユーザはキャンバストップ車を購入した後に、キャンバス地を自分で交換することはできない。例えばユーザは平日と週末とでキャンバス地を交換することはできなかった。
さらには、キャンバス地が破損した場合や劣化した場合には、簡単に取り替えることができないという課題もあった。
本発明は、上記課題に鑑み、ユーザの好み、運転日に応じてキャンバス地を取り替え可能なキャンバストップ構造を提供することを目的とする。
本発明は、キャンバスのスライド部材が左右のルーフサイド部に設けられたレール上をスライドすることで、キャンバスが折畳み可能な自動車のキャンバストップ構造において、キャンバスが、下側枠部材に下側キャンバス地を張り付けてなるキャンバスベース部と、上側枠部材に上側キャンバス地を張り付けてなる上側キャンバス部と、で構成され、下側枠部材は、車両前後方向に配設された左右の枠部と前後の枠部とで周回状に形成され、左右の枠部が、車両前後方向に沿って肉薄部と肉厚部とが連続して起伏を形成しており、上側枠部材は周回して枠状をなし、下側に突出した係合部が上側枠部材の底面に上側枠部材に沿って筋状に形成され、下側枠部材には係合受け部として周回状に形成された溝部が設けられていて、係合部が溝部に嵌め込まれ、キャンバスベース部に対して上側キャンバス部脱着可能に取り付けられ、上側キャンバス部を交換可能とすることを特徴とする。
上記構成において、係合部が、上側枠部材に形成される代わりに下側枠部材に形成されると共に、溝部が下側枠部材に形成される代わりに上側枠部材に形成されていてもよい。
上記構成において、左右の枠部間において一つのおきの肉薄部に対して骨部材が架橋されると共に、該一つのおきの肉薄部に対しルーフサイド部側にスライド部材が配置されており、該スライド部材が車両リア側にスライドする際、骨部材が埋設された肉薄部が谷折りに曲げられ、骨部材が埋設されていない肉薄部が山折りに曲げられることで、キャンバスが蛇腹状に折り畳まれる
また、係合部は、その一部の突起断面を他より小さくすることで、上側キャンバス部をキャンバスベース部から容易に取り外せる。
また、下側枠部材の上部は上側枠部材が嵌るよう陥没している。
本発明のキャンバストップ構造によれば、キャンバスがキャンバスベース部から上側キャンバス部を脱着可能に取り付けて構成されているので、ユーザの好みに応じて、また運転する状況や場面に応じて適宜取り替えることができる。また、万が一キャンバス地が破損したり劣化したりした場合であってもキャンバス地を容易に交換することができ、メンテナンスも容易に行うことができる。また上側キャンバス部のキャンバス地に広告宣伝情報を描き、広告車両や営業車両としても実現できる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明の実施形態に係るキャンバストップ構造を示す斜視図、図2は図1の上側キャンバス部を剥離した状態での車幅方向における断面図である。図中におけるUp、Fr、LHは、それぞれ上方、前方、左方を表している。
本発明の実施形態に係るキャンバストップ構造は、図1に示すように、キャンバストップ車両1、即ち、ルーフに設けられた開口部3がキャンバス2で開閉するキャンバストップ車両1に適用される。ここで、ルーフの開口部3は、ルーフフロント部4aと左右のルーフサイド部4b,4cとルーフリア部4dとで略矩形状に囲まれて画成される。左右のルーフサイド部4b,4cには車両前後方向に沿ってレール5a,5bが設けられ、キャンバス2のスライド部材6,6がレール5a,5b上をスライドしてキャンバス2が折り畳まれて開口部3が閉じたり、キャンバス2が展開されて開口部3が開いたりする。
なお、レール5a,5bは、左右一対でルーフサイド部4b,4cに車両前後方向に沿って互いに対向するように配設される。図示した例では、車幅方向外向きの端部は、断面が上向きに折り返されたフック状を有し、車両前後方向に沿って延設されている。また、キャンバス2には車幅方向外向きにスライド部材6が取り付けられ、レール5a,5bの構造に対応させてスライド部材6の先端部は、下向きに折り返されたフック部を有し、レール5a,5bに係合し抜脱せずにレール5a,5b上をスライドすることができる。
本発明の実施形態では、キャンバス2が、キャンバスベース部7に対して上側キャンバス部8が脱着可能に取り付けられている。図2に示すように、キャンバスベース部7が下側枠部材10に下側キャンバス地9を張り付けて構成され、上側枠部材14に上側キャンバス地8aを張り付けて構成され、上側枠部材14及び下側枠部材10のうち、一方には係合部14aが設けられ、他方には係合受け部としての溝部12が設けられている。
上側キャンバス部8について説明する。
上側キャンバス部8は、図2に示すように、矩形状に周回して枠状をなす上側枠部材14に対し、上側キャンバス地8aが張られて構成されている。上側キャンバス地8aは、可撓性かつ防水性を有する強靭なシート材でなる。上側枠部材14の底部には、下側に突出した係合部14aが上側枠部材14に沿って筋状に形成されている。この係合部14aは溝部12に対応させて形成されている。上側枠部材14に対して上側から上側枠部材14の周縁部が被せられ、複数のビス15により固定されることで上側キャンバス部8が構成されている。
キャンバスベース部7について説明する。
キャンバスベース部7は、下側キャンバス地9と、下側枠部材10と、骨部材11と、スライド部材6と、を有して構成されている。下側キャンバス地9は、可撓性及び防水性を有する強靱なシート材でなり、開口部3を覆い被せるような面積を有している。下側枠部材10は矩形枠状、具体的には左右の枠部と前後の枠部で周回状に構成されている。この下側枠部材10の左右の枠部には、前述のスライド部材6が車両前後方向に一定の間隔を開けて複数取り付けられている。下側枠部材10の底面には、下側キャンバス地9の上面の周縁部が複数のビス13で固着されている。下側枠部材10の上部は、図2に示すように、上側枠部材14が嵌るように陥没している。下側枠部材10の車幅方向側部には前述のスライド部材6の基部が埋設されている。
図3は、下側枠部材10を車幅方向からみた模式図である。下側枠部材10における左右の枠部は、図1及び図3に示すように、それぞれ肉厚が厚い肉厚部10aと肉厚が薄い肉薄部10bとが交互に連なって車両前後方向に連続的に起伏を有している。そして、肉厚部10aと肉薄部10bとが連続した左右の枠部において、一つおきの肉薄部10bに骨部材11が一本ずつ車幅方向に沿って配設される。この骨部材11は、下側キャンバス地9を車幅方向に支持しその展張状態を保持すると共に、上側キャンバス地8aを支持してその展張状態を保持するものである。骨部材11は、下側枠部材10における左右の枠部間に固定されている。骨部材11は例えば鋼材製の棒材である。
本発明の実施形態に係るキャンバストップ構造では、下側枠部材10の溝部12に対して上側枠部材14の係合部14aを嵌め込んでキャンバス2を構成している。よって、下側枠部材10で張られた下側キャンバス地9と、上側枠部材14で張られた上側キャンバス地8aとが、上下の枠部材10,14同士で張られている状態となる。上側枠部材14の係合部14aを下側枠部材10の溝部12から引き出すことで、上側キャンバス部8をキャンバスベース部7から取り外すことができる。
以上のように構成されたキャンバス2では、左右のスライド部材6,6をレール5a,5bに沿って車両リア側にスライドすることで上側キャンバス地8a及び下側キャンバス地9を折り畳むことができ、逆に、車両フロント側にスライドすることで上側キャンバス地8a及び下側キャンバス地9を開張したりすることができる。よって、ルーフの開口部3を開閉することができる。
特に、下側枠部材10の左右の枠部には車両前後方向に沿って肉厚部10aと肉薄部10bとが連続して起伏を形成しており、一つおきの肉薄部10aに対しルーフサイド部側にスライド部材6が配置され、左右の枠部間に骨部材11が架橋されている。よって、図4に示すように、キャンバス2が容易に折り畳まれる。即ち、スライド部材6が車両リア側にスライドしようとすると、下側枠部材10の骨部材11が埋設された部位の肉薄部10bが容易に谷折りに曲げられ、骨部材11が埋設されていない部位の肉薄部10bが容易に山折りに曲げられることによって、キャンバス2を容易に蛇腹状に折り畳むことができる。
キャンバストップ車1を利用するユーザは、上側枠部材14の係合部14aを下側枠部材10の溝部12から引き出すことで、キャンバスベース部7から上側キャンバス部8を取り外すことができる。そこで、ユーザは、予め、上側キャンバス部8の上側キャンバス地8aに対してユーザの好みに合わせてカラーリングや絵柄を施した代替品を複数用意しておく。ユーザはその日の気分や行き先に応じて、自由に上側キャンバス部8を交換することができる。
また、上側キャンバス地8aが破損した場合でも、代替品と容易に取り替えることができる。なお、ユーザが自分で交換できるよう筋状の係合部14aのうち車両リア側の一部分を溝部12と甘く係合するように、突起断面を小さくしておくとよい。この場合、図1に示すように、ユーザMは上側キャンバス部8をリア側から前側に嵌めるようにする。
以上説明したように本発明のキャンバストップ構造は、上側キャンバス部8がキャンバスベース部7に対して取り外し可能に取り付けられている。よって、上側キャンバス部8のみをいつでも交換可能とするように構成したものであり、その主旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施することができる。上側枠部材14に溝部などの係合受け部を設け、下側枠部材10に係合部を設けるようにしてもよい。
本発明の実施形態に係るキャンバストップ構造を示す斜視図である。 図1の上側キャンバス部を剥離した状態での車幅方向における断面図である。 下側枠部材を車幅方向からみた模式図である。 キャンバスが折り畳まれた状態におけるキャンバスベース部及び上側キャンバス部を車幅方向からみた模式図である。
符号の説明
1:キャンバストップ車両
2:キャンバス
3:開口部
4a:ルーフフロント部
4b,4c:ルーフサイド部
4d:ルーフリア部
5a,5b:レール
6:スライド部材
7:キャンバスベース部
8:上側キャンバス部
8a:上側キャンバス地
9:下側キャンバス地
10:下側枠部材
10a:肉厚部
10b:肉薄部
11:骨部材
12:溝部
13,15:ビス
14:上側枠部材
14a:係合部
M:ユーザ

Claims (5)

  1. キャンバスのスライド部材が左右のルーフサイド部に設けられたレール上をスライドすることで、該キャンバスが折畳み可能な自動車のキャンバストップ構造において、
    上記キャンバスが、下側枠部材に下側キャンバス地を張り付けてなるキャンバスベース部と、上側枠部材に上側キャンバス地を張り付けてなる上側キャンバス部と、で構成され、
    上記下側枠部材は、車両前後方向に配設された左右の枠部と前後の枠部とで周回状に形成され、上記左右の枠部は、車両前後方向に沿って肉薄部と肉厚部とが連続して起伏を形成しており、上記キャンバスが容易に折り畳まれ、
    上記上側枠部材は周回して枠状をなし、下側に突出した係合部が上記上側枠部材の底面に該上側枠部材に沿って筋状に形成され、
    上記下側枠部材には係合受け部として周回状に形成された溝部が設けられ、
    上記係合部が上記溝部に嵌め込まれ、上記キャンバスベース部に対して上記上側キャンバス部脱着可能に取り付けられ、上記上側キャンバス部を交換可能とすることを特徴とする、キャンバストップ構造。
  2. 前記係合部が、前記上側枠部材に形成される代わりに前記下側枠部材に形成されており、
    前記溝部が前記下側枠部材に形成される代わりに前記上側枠部材に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のキャンバストップ構造。
  3. 前記左右の枠部間において一つおきの前記肉薄部に対して骨部材が架橋されると共に、該一つおきの肉薄部に対し前記ルーフサイド部側に前記スライド部材が配置されており、該スライド部材が車両リア側にスライドする際、上記骨部材が架橋された肉薄部が谷折りに曲げられると共に、上記骨部材が架橋されていない肉薄部が山折りに曲げられることで、上記キャンバスが蛇腹状に折り畳まれることを特徴とする、請求項に記載のキャンバストップ構造。
  4. 前記係合部は、その一部の突起断面を他より小さくすることで、前記上側キャンバス部を前記キャンバスベース部から容易に取り外せるようにしたことを特徴とする、請求項1に記載のキャンバストップ構造。
  5. 前記下側枠部材の上部は前記上側枠部材が嵌るよう陥没している、請求項1に記載のキャンバストップ構造。
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