JP4489395B2 - 電力系統の対地静電容量測定装置 - Google Patents

電力系統の対地静電容量測定装置 Download PDF

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Description

本発明は、人工地絡試験を実施することなく、電力系統の対地静電容量を測定する装置に関する。
近年、配電線の地中化により電力系統の対地静電容量が増加して充電電流が増大しており、将来益々著しくなる傾向にある。この充電電流の増大により地絡事故時に流れる電流が大きくなると、公共の安全確保として関係法令に規定されている低圧線路(100/200V線路など)のB種接地抵抗値を確保する接地工事が困難になる。
この対策として補償リアクトルを系統母線に設置することにより充電電流を減少させる手段が講じられている。この場合、補償リアクトルの補償容量を対地静電容量に応じて決定しなければならず、過補償あるいは不足補償の状態になると、変電所に設置された地絡検出用継電器が適正感度で動作せず、不動作による事故線路の遮断不能あるいは誤動作による不必要停電が生じる虞がある。
そのため、現状では、人工地絡試験を定期的に行い、地絡検出用保護継電器が正常に動作するか否かを確認し、その動作感度を調整するようにしている。
しかしながら、この人工地絡試験は本質的に活線作業であり、作業人員、費用を要し危険性を伴う。また、電力系統の全体に地絡の影響を与えるため、人工地絡試験を行なう電力系統に接続されている需要家の電気設備管理者や電気保安協会の了承を得る必要があり、その人工地絡試験を適宜に随時実施することが困難であった。
ここで、対地静電容量が判明すれば、補償リアクトルの補償容量、地絡検出用保護継電器の動作点である動作感度を計算することが可能である。従って、系統母線から引出した配電線の線種(架空、ケーブル)、幾何的配置などをデータ収集し、対地静電容量を計算すればよいことになるが、地域面積をカバーするために放射線状に広がって複雑、多岐に亘る電力系統全体におけるデータを正確に把握することは非常に困難である。
そこで、本発明は前記問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、費用が必要で,危険性があり、電力系統全体に影響を与える人工地絡試験を実施することなく、対地静電容量を簡単に測定することができ、補償リアクトルの補償容量を容易に設定し得る電力系統の対地静電容量測定装置を提供することにある。
前記目的を達成するための技術的手段として、本発明は、系統母線から複数の配電線を引出した電力系統について、系統全体の対地静電容量と配電線毎の対地静電容量をそれぞれ測定する装置であって、系統母線に接続された接地用変圧器GTrの二次側から、微小な測定用電流Inを系統母線に重畳させる電流重畳部と、その測定用電流の重畳前と重畳後の接地用変圧器GTrの二次電圧Vn、配電線毎に設けられた零相変流器ZCTの二次電圧Vs、系統母線に接続された計器用接地変圧器GPTの三次電圧Vot(零相電圧)および前記測定用電流Inを測定する測定部と、前記測定部で測定された測定用電流の重畳前と重畳後の接地用変圧器GTrの二次電圧Vn計器用接地変圧器GPTの三次電圧Votおよび測定用電流Inに基づいて、所定の計算式でもって系統全体の対地アドミタンスYbを算出すると共に、前記測定部で測定された測定用電流の重畳前と重畳後の零相変流器ZCTの二次電圧Vsおよび計器用接地変圧器GPTの三次電圧Votに基づいて、所定の計算式でもって配電線の対地アドミタンスYfを算出する演算部とを具備したことを特徴とする。
本発明に係る対地静電容量測定装置では、前記系統全体の対地アドミタンスYbの虚部が系統全体の対地ωCとなり、フィーダの対地アドミタンスYfの虚部がフィーダの対地ωCとなることから、系統全体および配電線の対地静電容量を、系統が運転中であっても随時測定することが可能となる。
前記構成において、前記演算部は、配電線の零相変流器ZCTに零相変流比が一定となる値の一次電流を通電させ、その一次電流の通電状態で測定した前記零相変流器ZCTの零相変流比Nzctに基づいて、接地用変圧器GTrの二次側から重畳された測定用電流Inによる零相電流Ioの変化分を算出することにより、配電線の対地ωCを正確に測定することができる。
また、前記構成において、前記配電線の零相変流器ZCTに端子電圧測定器を接続し、その端子電圧測定器の入力回路に抵抗を並列に接続したことにより、通電電流によるインピーダンス変動の影響を低減することにより、端子電圧測定による一次電流測定をより正確に行なうことができる。
本発明によれば、費用が必要で,危険性があり、電力系統全体に影響を与える人工地絡試験を実施することなく、系統の対地静電容量を、電力系統が運転中であっても随時、簡単に測定することができ、補償リアクトルの補償容量を容易に設定し得る対地静電容量測定装置を提供できる。
本発明に係る電力系統の対地静電容量測定装置の実施形態を、以下、図面に基づいて詳述する。図3は系統母線から複数の配電線を引出した電力系統回路図である。なお、以下で説明する測定値はベクトル値であり、計算もベクトル計算である。
この測定装置では、図3に示すように変電所などの系統母線に設置された中性点接地抵抗NGR用の接地用変圧器GTrの二次側から、系統の運転に支障を来たさない程度の比較的微小な測定用電流Inを系統に重畳させて通電し、その重畳通電前と重畳通電後(重畳通電中を意味する)の計器用接地変圧器GPTの三次電圧Vot、接地用変圧器GTrの二次電圧Vnおよび配電線毎の零相変流器ZCT1〜ZCTnの負担時(例えば地絡継電器DGRなどが接続されている時)の二次電圧Vs1〜Vsn、前記測定用電流であるGTr重畳電流Inおよび配電線毎のZCT電流Io(零相電流)とその位相(ベクトル計算のために必要)を計測して重畳通電後の値から重畳通電前の値を減算することによりその変化分に基づいて系統全体の対地静電容量と配電線毎の対地静電容量を算定する。
この実施形態では、予め測定していた接地用変圧器GTr、計器用接地変圧器GPTおよび配電線毎の零相変流器ZCT1〜ZCTnの特性、計器用接地変圧器GPTに接続された制限抵抗Rn、および前述した重畳通電前と重畳通電後の測定値と中性点接地抵抗NGRの値から、系統全体の対地静電容量と配電線毎の対地静電容量を算出する。
このようにして、系統が運転中であっても系統全体の対地静電容量と配電線毎の対地静電容量を随時測定することができる。この系統全体の対地静電容量と配電線毎の対地静電容量を測定するための対地ωCの計算式(以下はベクトル計算)は、次のとおりである。なお、図4は後述の計算説明で参照するための図3の零相等価回路を示す。
この測定では、GPT三次電圧Vot、GTr二次電圧VnおよびZCT二次電圧Vs1〜Vsn、GTr重畳電流InおよびZCT電流Io(零相電流)のすべてについて、その重畳通電前の値と重畳通電後の値を測定し、その変化分(重ねの理)を用いて、例えばGTr二次電圧Vnの変化分ΔVnは、ΔVn=(重畳通電後のVn)−(重畳通電前のVn)として計算する。
前記GTr重畳電流InによるGTr二次電圧の変化分をΔVnとすると、中性点接地抵抗NGR(抵抗値Rngr)に流れるNGR電流Irの変化分ΔIrは、
ΔIr=ΔVn/Rngr …(1)
となり、系統母線に設置された補償リアクトルPC(Lb)に流れるリアクトル電流Ilの変化分ΔIlは、
ΔIl=ΔVn/Lb …(2)
となる。接地用変圧器GTrの零相変圧比をNgtr(既知値)とし、系統全体の対地アドミタンスをYbとすると、その対地アドミタンスYbに流れるGTr一次重畳電流Iybの変化分ΔIybは、
ΔIyb=(In−ΔIr−ΔIl)/Ngtr …(3)
となる。計器用接地変圧器GPTの三次電圧Votの変化分ΔVotと零相変圧比Ngpt(既知値)から、系統全体の零相電圧Vo、つまり、計器用接地変圧器GPTの一次電圧の変化分ΔVoは、
ΔVo=ΔVot・Ngpt …(4)
となり、系統全体の対地アドミタンスYbは、零相電圧Voの変化分ΔVoGTr一次重畳電流Iyb、つまり、接地用変圧器GTrの一次電流の変化分ΔIybから、
Yb=ΔIyb/ΔVo …(5)
であり、系統全体の対地ωCは対地アドミタンスYbの虚部となる。
また、配電線の零相変流器ZCTの一次電流の変化分ΔIoは、零相変流器ZCTの二次電圧の変化分ΔVsと零相変流器ZCTにおける一次電流に対する二次電圧の比nから、
ΔIo=ΔVs・n …(6)
となり、各配電線毎の対地アドミタンスYfは、計器用接地変圧器GPTの一次電圧の変化分ΔVoと零相変流器ZCTの一次電流の変化分ΔIoから、
Yf=ΔIo/ΔVo …(7)
であり、配電線毎の対地ωCは対地アドミタンスYfの虚部となる。
なお、図3の電力系統回路では、地絡事故時、配電線毎の補償リアクトルL1〜Ln,Lbが過補償の時の地絡継電器DGRの誤動作を防止するために接地用変圧器GTrの中性点にGTr中性点変流器CTを設置し、その二次電流を配電線毎の零相変流器ZCT1〜ZCTnに環流させているので、配電線の対地ωCを測定するためには零相電流IoからCT二次電流Ictを差し引く必要がある。つまり、GTr中性点変流器CTの変流比をNctとすると、CT二次電流Ictは、
Ict=Ic/Nct …(8)
となり、各配電線毎の対地アドミタンスYfは、
Yf=(Io−Ict)/Vo …(9)
となる。
ここで、接地用変圧器GTrの零相インピーダンスZgtrは、次の計算に基づいて求めることができる。接地用変圧器GTrの一次電圧Vnpは、GTr二次電圧Vnおよび零相変圧比Ngtrから、
Vnp=Vn・Ngtr …(10)
となり、零相インピーダンスZgtrの端子電圧Vgtrは、零相電圧Vo、一次電圧Vnpから、
gtr=(Vnp−Vo) …(11)
となり、接地用変圧器GTrの零相インピーダンス(一次値)Zgtrは、
gtr=Vgtr/Ic …(12)
となる。
図1は前述した対地静電容量を測定するための回路構成を具備した測定装置を示す。この測定装置は、各電圧、電流および位相を測定し、測定対象の切り替え制御と測定時間およびタイミング制御、測定記録を実行する測定部1と、測定対象となる零相変流器ZCTの切り替え、ZCT重畳電流制御を実行する操作制御部2と、GTr重畳電流の電源と操作を実行する電流重畳部3と、各地絡継電器DGRの端子電圧測定のために絶縁および増幅を実行するプリアンプ部4とで構成される。
なお、前述した測定部1は、RS−232Cのインターフェースを介してパーソナルコンピュータによる演算部5と接続することにより制御される。また、プリアンプ部4は、地絡継電器DGRの近傍に取り付けられ、1Ω程度の入力抵抗を有する。また、図2は前述の測定装置による各電圧、電流および位相の測定を実行するためのフローチャートを示す。
前述した対地静電容量の測定においては、電圧変動による測定値のばらつきが存在し、かつ、既設の関連機器、例えば接地用変圧器GTrや計器用接地変圧器GPT、零相変流器ZCTの特性による測定精度に左右されることが判明している。
まず、前述の電圧変動には、系統の高圧側電圧の変動、GTr重畳電源による変動、ZCT重畳電流による変動がある。系統の高圧側電圧の変動については、測定電流の重畳通電前、重畳通電後に各値を測定する回数と時間間隔を短くすることにより、電圧変動による測定値のばらつきを抑制することができる。
例えば、測定電流を重畳通電する0.2秒前に各値を測定し、その重畳通電の2.0秒後に重畳通電後の各値を測定する。また、測定タイミングは0.2秒の測定所要時間とすることが好ましく、測定の時間帯では急激な変動が発生する時間帯を避け、数回以上の測定結果をトリミング平均することが望ましい。GTr重畳電源による変動、ZCT重畳電流による変動については、安定化電源を採用することにより、電圧変動による測定値のばらつきを抑制することが可能である。
一方、接地用変圧器GTrや計器用接地変圧器GPT、零相変流器ZCTの特性が測定精度に大きく影響するため、これら接地用変圧器GTrや計器用接地変圧器GPT、零相変流器ZCTの特性を実測する必要がある。接地用変圧器GTrについては、零相変圧比と零相インピーダンスの各値、計器用接地変圧器GPTについては、零相インピーダンスと制限抵抗の各値、また、零相変流器ZCTについては、地絡継電器DGRと組み合わせた零相変流比と位相差の各値を正確に測定する必要がある。
これら接地用変圧器GTrや計器用接地変圧器GPT、零相変流器ZCTの零相特性を、系統の対地静電容量測定に先立って予め測定しておく必要がある。
まず、接地用変圧器GTrの零相変圧比と零相インピーダンスの測定は以下の要領で行なう。接地用変圧器GTrの二次電圧を測定して高圧側(一次側)に換算するに際して、零相変圧比Ngtrにより計算するが、接地用変圧器GTrは全負荷状態の電圧降下分を見越して定格値のNgtrより小さく設計されているのが通常である。従って、無負荷状態での零相変圧比と二次短絡時の零相インピーダンスを測定する。
接地用変圧器GTrの零相変圧比は、図5に示す測定回路でもって行なう。この測定回路において、高圧側LBSを「切」にして無充電状態とし、接地用変圧器GTrの高圧側端子U,V,Wを一括短絡して接地間に高圧電圧計測用の変圧器PTを接続する。この接地用変圧器GTrの二次端子a−f間に測定用電圧Vnを印加し、高圧側の電圧Vp、位相θgtrを計測する。これにより、零相変圧比Ngtrは、Ngtr=Vp/Vnで計算し、位相差はθgtrとなる。
一方、接地用変圧器GTrの零相インピーダンスの測定は、図6に示す測定回路でもって行なう。なお、図6中(後述の図7も同様)、Eiは安定化電源(電流出力)、IpはGPT一次通電電流、VpはGPT一次電圧、θは位相差計、Refは位相測定の基準である。この測定回路において、高圧側LBSを「切」にして無充電状態とし、接地用変圧器GTrの二次端子a−f間を短絡し、高圧側端子U,V,Wを一括短絡して接地間に測定用電流を通電する。そのときの通電電流Ipと高圧側端子電圧Vp、位相θを測定して零相インピーダンスを計算する。この零相インピーダンスZgtrは、Zgtr=Vp/Ipで計算し、位相差=θでベクトル計算を行なう。ここで、R分が実部、ωL分が虚部、零相インピーダンスZgtrが絶対値で求める。
次に、計器用接地変圧器GPTの零相インピーダンスを測定して算出する。この零相インピーダンスと接続されている制限抵抗による電圧降下を計算し、計器用接地変圧器GPTの無負荷時の誤差補正分を勘案して計器用接地変圧器GPTの実零相変圧比を算定する。
この計器用接地変圧器GPTの零相インピーダンスの測定は、図7に示す測定回路でもって行なう。この測定回路において、高圧側端子U,V,Wの接続を外し、計器用接地変圧器GPTの三次端子a−f間を短絡する。高圧側端子U,V,Wを一括短絡して接地間に測定用電流Ipを通電する。そのときの高圧側端子U,V,Wと接地間電圧Vp、位相θを測定する。測定した通電電流Ip、端子間電圧Vp、位相θから零相インピーダンスZgptを算定する。
また、計器用接地変圧器GPTの無負荷時の零相変圧比は、誤差階級3Gの1/2(−1.5%)を補正しているとし、零相インピーダンスと制限抵抗による分圧を計算して実零相変圧比を計算する。位相差は無負荷時を0(deg)とし、零相インピーダンスと制限抵抗の関係のみによるものとする。その計算式としては、
Ngpt=n*(Z+Rn*n2)/(Rn*n2
となる。なお、位相差θは、インピーダンス(Z+Rn*n2)の位相のマイナス値である。
次に、零相変流器ZCTの零相変流比と位相差の各値からなるZCT特性を測定する。配電線毎に対地静電容量を測定するためには、配電線毎に零相電流を実測する必要がある。接地用変圧器GTrの二次重畳電流について、重畳通電前の零相電圧Vo1および零相電流Io1と、重畳通電後の零相電圧Vo2および零相電流Io2を測定すれば、重畳による変化分から配電線の対地アドミタンスYを、
Y=(Io2−Io1)/(Vo2−Vo1)
で計算し、対地ωCを算定することができる。
零相変流器ZCTはその構造上、一次側は貫通(一回巻き)であり、一次零相電流はmA単位の電流値であるため、入力ATが通常の変流器CTよりも非常に小さい。従って、励磁インピーダンスの影響が大きく、一次零相電流値と二次負担インピーダンスにより変化が大きく、零相変流比は特定できない。対地静電容量の測定時の一次電流が数mA程度では測定不能である。
零相電流Ioの測定用零相変流器を既設の保護継電器用の零相変流器で共用する場合、通常の零相変流器の検出一次零相電流値は地絡故障電流を検出する目的から、この測定装置のように比較的微小な電流値を測定する目的では測定誤差が非常に大きいためにそのまま使用することが困難である。
そこで、地絡継電器DGRの接続状態で一次電流が数100mA程度から変流比の直線性がよくなることから、対地静電容量の測定時、零相変流器ZCTの一次側に0.6Aから1.0A程度の電流を連続通電して測定する。前述したようにGTr重畳電流の通電後から通電前の値を差し引くため、零相電流Ioの測定用零相変流器を既設の保護継電器用の零相変流器で共用する場合、通常の零相変流器の検出通電した電流値である一次電流は計算で消去される。対地静電容量の測定前に、この零相変流器ZCTの一次電流を通電したときの零相変流比を一度測定しておけば、対地静電容量の測定時のGTr重畳電流による零相電流Ioの変化分を計算できる。
地絡継電器DGRに直列にシャント抵抗を挿入し、その端子電圧を測定することによりZCT二次電流を測定する。この場合、零相変流比は安定しており対地静電容量の測定上も問題はないが、ZCT二次回路に抵抗を割り込ませることは零相変流器の負荷抵抗を増加させることになって好ましくなく、また、系統の運転中に対地静電容量測定のため、ZCT二次回路に直列に抵抗を割り込ませることは、ZCT二次回路の開放を防止するための測定用の回路構成が複雑になり、常時接続されて地絡保護を行なう継電器の動作の信頼性を損なう可能性がある。
そこで、対地静電容量の測定のときだけ、ZCT二次電圧、つまり、地絡継電器DGRの端子電圧を測定し、一次電流値に換算して零相電流値を得るようにしてもよいが、この場合、ZCT特性(一次/二次変成比)が不安定で対地静電容量の測定も非常に不安定となる。つまり、地絡継電器DGRの入力インピーダンスが電流値によって変動する場合があり、大きな測定誤差を生じる可能性がある。
これに対して、地絡継電器DGRの端子電圧測定器の入力回路に1Ω程度の抵抗器を接続し、測定は抵抗器並列の端子電圧を計測することにより、DGR入力インピーダンスの変動の影響を低減することができる。その抵抗は電流により抵抗値が変動せず、DGR入力インピーダンスが変動しても抵抗との並列インピーダンスが対地静電容量測定に影響を及ぼさない程度の比較的小さい値とする。
前述した零相変流器ZCTの一次電流値を得るためには、零相変流器ZCTの一次電流に対する二次電圧の比と位相差を測定しておいて、対地静電容量の測定データから零相変流器ZCTの一次電流値を算出しなければならない。
この零相変流器ZCTの零相特性、つまり、一次電流に対する二次電圧の比と位相差を測定する測定回路を図8に示す。このと位相差の測定と計算は以下の手順に基づいて行なわれる。なお、以下の説明において、IpはZCT重畳電流、IoはGTr重畳電流による零相電流(一次値)、Iooは零相残留電流(一次値)、nは零相変流器ZCTにおける一次電流に対する二次電圧の比、ZpはZCT重畳電流分圧インピーダンス、ZrはZCT負担インピーダンス(DGR)、Vs1はGTr重畳前のZCT二次電圧(補償合成)、Vs2はGTr重畳後のZCT二次電圧(補償合成)である。
(i)Sw2:ON、Ipを通電した状態でZCT二次電圧Vs1、θ1を測定する。
(Vs1,θ1)=(Ipの補償残留分+Ioo)/n
(ii)Sw1:ON、Ioを通電しVs2、θ2を測定する。
(Vs2,θ2)=(Ipの補償残留分+Ioo+Io)/n
(iii)Vs2からVs1を減算し、Vs、θを求める。
(Vs,θ)=(Vs2,θ2)−(Vs1,θ1)
(iv)Vs,θoとIoの関係は(i) (ii)から
Vs=(Io/n,θo)
(v)零相変流器ZCTにおける一次電流に対する二次電圧の比nと位相差θeは、
n=Io/Vs
θe=θo
また、零相変流器ZCTの零相特性測定は、図9に示す測定回路を用いることも可能である。なお、以下の説明において、EはZCT一次通電電流用電源、Ipは測定用ZCT一次通電電流、Refは位相測定の基準、SWは測定用電流方向切替スイッチ、ZCTは測定対象ZCT、DGRは地絡継電器、VsはZCT二次電圧、θはZCT二次電圧位相、Busは電力系統の母線、Cは配電線の対地静電容量である。この測定回路においては、測定用電流Ipを零相変流器の一次側(貫通孔に通した電線)に通電し、その時の二次電圧Vs1と位相θ1を測定する。次にスイッチSWを切り替えてIpの逆方向の電流を通電し、その時の二次電圧Vs2、θ2を測定する。
零相変流器ZCTの零相変流比をNzctとすると、
Nzct=2・Ip/(Vs1−Vs2)
となる。位相差θは、(Vs1−Vs2)の位相となる。
対地静電容量の不平衡、系統全体の対地静電容量の不平衡による残留零相電圧により常時ZCT一次側に流れている零相残留電流Izは、
Iz=Vs1(or2)・Nzct(位相はθ)−Ip
となる。このように各値を測定し、変成比、位相差を算定する。
本発明に係る電力系統の対地静電容量測定装置の実施形態で、測定装置の回路構成を示すブロック図である。 図1の測定装置により対地静電容量を測定する手順を示すフローチャートである。 系統母線から配電線を引出した電力系統回路例図である。 対地静電容量の計算手順を説明するための零相等価回路である。 GTr零相変圧比を測定するための測定回路の構成図である。 GTr零相インピーダンスを測定するための測定回路の一例を示す構成図である。 GPT零相インピーダンスを測定するための測定回路の一例を示す構成図である。 ZCTによる零相電流を測定するための測定回路の一例を示す構成図である。 ZCTによる零相電流を測定するための測定回路の他例を示す構成図である。
符号の説明
1 測定部
3 電流重畳部
5 演算部

Claims (3)

  1. 系統母線から配電線を引出した電力系統について、系統全体の対地静電容量と配電線毎の対地静電容量をそれぞれ測定する装置であって、
    配電線に供給中の系統母線に接続された接地用変圧器GTrの二次側から、微小な測定用電流Inを系統母線に重畳させる電流重畳部と、
    その測定用電流の重畳前と重畳後の接地用変圧器GTrの二次電圧Vn、各配電線に設けられた零相変流器ZCTの二次電圧Vs、系統母線に接続された計器用接地変圧器GPTの三次電圧Votおよび前記測定用電流Inを測定する測定部と、
    前記測定部で測定された測定用電流の重畳前と重畳後の接地用変圧器GTrの二次電圧Vn計器用接地変圧器GPTの三次電圧Votおよび測定用電流Inに基づいて、所定の計算式でもって系統全体の対地アドミタンスYbを算出すると共に、前記測定部で測定された測定用電流の重畳前と重畳後の零相変流器ZCTの二次電圧Vsおよび計器用接地変圧器GPTの三次電圧Votに基づいて、所定の計算式でもって配電線の対地アドミタンスYfを算出する演算部と、
    を具備したことを特徴とする電力系統の対地静電容量測定装置。
  2. 前記演算部は、配電線の零相変流器ZCTに零相変流比Nzctが一定となる値の一次電流を通電させ、その一次電流の通電状態で測定した前記零相変流器ZCTの零相変流比Nzctに基づいて、接地用変圧器GTrの二次側から重畳された測定用電流Inによる零相電流Ioの変化分を算出する請求項1に記載の電力系統の対地静電容量測定装置。
  3. 前記配電線の零相変流器ZCTに負担時の端子電圧測定器を接続し、その端子電圧測定器の入力回路に抵抗を並列に接続した請求項1に記載の電力系統の対地静電容量測定装置。
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