JP4487381B2 - 記録ヘッド交換調整方法およびインクジェット記録装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は記録媒体上にインク液滴のドットを付着させて記録を行う記録ヘッド交換調整方法およびインクジェット記録装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
近年、インクジェット記録装置は、ディジタル画像のカラー化が容易なことで、産業用、オフィス用、パーソナル用向け出力機として急速に普及してきている。
【０００３】
このような状況下、インクジェット記録装置の捺染への応用も期待されている。捺染の代表的な例としてはシルクスクリーン捺染法がある。本方法は印捺すべき原画像に対してその原画像に使われている色ごとにスクリーン版を作製し、捺染糊をスクリーン版に通して直接布帛に転写して染色を行う方法である。しかしながら、本方法はスクリーン版を作製するのに多大な工数を要するほかに、原画像に使用されている色ごとの捺染糊を染料調合し作製しなければならないなど小ロットな捺染プリント物にはコスト的な問題が生じている。
【０００４】
このような従来捺染方法に対して前記のインクジェット式プリント方法は、装置に備えられているインク種をディジタル信号によって制御して、小液滴のインクを媒体に着弾、形成することによって、直接的に画像を形成する。したがって、スクリーン版や色ごとの捺染糊の調合が不要であり工数を大幅に低減できるという特徴を有している。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、記録媒体上に複数色のインク液滴のドットを付着させて記録を行うために複数の独立交換可能な記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置において、何らかの理由でいずれかの記録ヘッドを交換する必要が生じる場合がある。
【０００６】
このような記録ヘッドの交換を行うと、交換された記録ヘッドと他の交換されていない記録ヘッドとの間で微妙な位置ずれが生じてしまい、画質に悪影響を及ぼすことになる。そこで、記録ヘッド同士の位置調整が必要になる。
【０００７】
このような位置調整として、従来は、いずれかの記録ヘッドが交換された場合に全ての記録ヘッドの位置調整を実行するようにしていた。このため、交換されていない記録ヘッドも調整のなってしまうと共に、調整の精度を上げにくく、また、調整の手間がかかるといった問題が生じていた。
【０００８】
本発明は以上の課題に鑑みてなされたものであって、複数の独立交換可能な記録ヘッドを備えた場合に記録ヘッド交換後の調整を正確かつ容易に行える記録ヘッド交換調整方法およびインクジェット記録装置を実現することを目的とする。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
本件出願の発明者らは、複数の独立交換可能な記録ヘッドを備えた場合の記録ヘッド交換後の調整について鋭意研究を進めた結果、インクの色や調整順序に配慮することで調整を正確かつ容易に行えることを新たに見出した。
【００１０】
したがって、以上の課題は以下に示す各発明により達成される。
（１）請求項１記載の発明は、記録媒体上に複数色のインク液滴のドットを付着させて記録を行うために複数の独立交換可能な記録ヘッドを備え、該複数の記録ヘッドを前記記録媒体に対して該複数の記録ヘッドの配列方向に移動させつつインク液滴を前記記録媒体に吐出して記録するインクジェット記録装置の記録ヘッド交換調整方法であって、複数色のインクとして黒を少なくとも使用する場合に黒のインクを使用する記録ヘッドを他の交換された記録ヘッドの位置調整の基準となる記録ヘッド（基準記録ヘッド）と設定すると共に、前記基準記録ヘッドが交換された場合には交換されていない複数のいずれかの記録ヘッドの一つを、交換された前記基準記録ヘッドの位置調整の基準として使用される準基準記録ヘッドと設定し、前記基準記録ヘッド以外の記録ヘッドが交換された場合に、前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを記録媒体に記録し、該記録された調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整し、前記基準記録ヘッドが交換された場合に、交換されていないいずれかの記録ヘッドを準基準記録ヘッドとして、交換された前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを記録媒体に記録し、該記録された調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記基準記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記準基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整する、ことを特徴とする記録ヘッド交換調整方法である。
【００１１】
請求項９記載の発明は、記録媒体上に複数色のインク液滴のドットを付着させて記録を行うために複数の独立交換可能な記録ヘッドを備え、該複数の記録ヘッドを前記記録媒体に対して該複数の記録ヘッドの配列方向に移動させつつインク液滴を前記記録媒体に吐出して記録するインクジェット記録装置であって、複数色のインクとして黒を少なくとも使用する場合に黒のインクを使用する記録ヘッドを他の交換された記録ヘッドの位置調整の基準となる記録ヘッド（基準記録ヘッド）と設定すると共に、前記基準記録ヘッドが交換された場合には交換されていない複数のいずれかの記録ヘッドの一つを、交換された前記基準記録ヘッドの位置調整の基準として使用される準基準記録ヘッドと設定し、前記基準記録ヘッド以外の記録ヘッドが交換された場合に、前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを記録媒体に記録し、該記録された調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整し、前記基準記録ヘッドが交換された場合に、交換されていないいずれかの記録ヘッドを準基準記録ヘッドとして、交換された前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを記録媒体に記録し、該記録された調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記基準記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記準基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整する、ことを特徴とするインクジェット記録装置である。
【００１６】
（２）請求項２記載の発明は、複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを前記基準記録ヘッドとすると共に、イエロー以外の交換されていない記録ヘッドを前記準基準記録ヘッドと設定する、ことを特徴とする請求項１記載の記録ヘッド交換調整方法である。
【００１７】
請求項１０記載の発明は、複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを前記基準記録ヘッドとすると共に、イエロー以外の交換されていない記録ヘッドを前記準基準記録ヘッドと設定する、ことを特徴とする請求項９記載のインクジェット記録装置である。
【００１８】
（３）請求項３記載の発明は、前記イエローは、Ｌａｂ空間において、Ｌ≧６０、−１０＜ａ＜１０、５０＜ｂ＜７０の条件を満足するインクである、ことを特徴とする請求項２記載の記録ヘッド交換調整方法である。
【００１９】
請求項１１記載の発明は、前記イエローは、Ｌａｂ空間において、Ｌ≧６０、−１０＜ａ＜１０、５０＜ｂ＜７０の条件を満足するインクである、ことを特徴とする請求項１０記載のインクジェット記録装置である。
【００２０】
（４）請求項４記載の発明は、複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを前記基準記録ヘッドとすると共に、マゼンタ、シアンの順に交換されていない記録ヘッドを前記準基準記録ヘッドと設定する、ことを特徴とする請求項１記載の記録ヘッド交換調整方法である。
【００２１】
請求項１２記載の発明は、複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを前記基準記録ヘッドとすると共に、マゼンタ、シアンの順に交換されていない記録ヘッドを前記準基準記録ヘッドと設定する、ことを特徴とする請求項９記載のインクジェット記録装置である。
【００２２】
（５）請求項５記載の発明は、複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン、レッド及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを前記基準記録ヘッドとすると共に、マゼンタ、レッド、シアンの順に交換されていない記録ヘッドを前記準基準記録ヘッドと設定する、ことを特徴とする請求項１記載の記録ヘッド交換調整方法である。
【００２３】
請求項１３記載の発明は、複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン、レッド及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを前記基準記録ヘッドとすると共に、マゼンタ、レッド、シアンの順に交換されていない記録ヘッドを前記準基準記録ヘッドと設定する、ことを特徴とする請求項９記載のインクジェット記録装置である。
【００２４】
（６）請求項６記載の発明は、複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン、レッド、バイオレット及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを前記基準記録ヘッドとすると共に、マゼンタ、レッド、シアン、バイオレットの順に交換されていない記録ヘッドを前記準基準記録ヘッドと設定する、ことを特徴とする請求項１記載の記録ヘッド交換調整方法である。
【００２５】
請求項１４記載の発明は、複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン、レッド、バイオレット及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを前記基準記録ヘッドとすると共に、マゼンタ、レッド、シアン、バイオレットの順に交換されていない記録ヘッドを前記準基準記録ヘッドと設定する、ことを特徴とする請求項９記載のインクジェット記録装置である。
【００２６】
（７）請求項７記載の発明は、複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン、レッド、バイオレット、オレンジ及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを前記基準記録ヘッドとすると共に、マゼンタ、レッド、シアン、バイオレット、オレンジの順に交換されていない記録ヘッドを前記準基準記録ヘッドと設定する、ことを特徴とする請求項１記載の記録ヘッド交換調整方法である。
【００２７】
請求項１５記載の発明は、複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン、レッド、バイオレット、オレンジ及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを前記基準記録ヘッドとすると共に、マゼンタ、レッド、シアン、バイオレット、オレンジの順に交換されていない記録ヘッドを前記準基準記録ヘッドと設定する、ことを特徴とする請求項９記載のインクジェット記録装置である。
【００２８】
（８）請求項８記載の発明は、複数色のインクとして、いずれかの色で濃色インクと淡色インクとを用いる場合に、濃色インクにより前記調整用チャートを出力する、ことを特徴とする請求項１乃至請求項７のいずれかに記載の記録ヘッド交換調整方法である。
【００２９】
請求項１６記載の発明は、複数色のインクとして、いずれかの色で濃色インクと淡色インクとを用いる場合に、濃色インクにより前記調整用チャートを出力する、ことを特徴とする請求項９乃至請求項１５のいずれかに記載のインクジェット記録装置である。
【００３０】
（９）請求項１７記載の発明は、前記インクジェット記録装置が捺染用である、ことを特徴とする請求項９乃至請求項１６のいずれかに記載のインクジェット記録装置である。
【００３１】
（１０）請求項１８記載の発明は、捺染用の記録媒体上に複数色のインク液滴のドットを付着させて記録を行うために複数の独立交換可能な記録ヘッドを備え、該複数の記録ヘッドを前記記録媒体に対して該複数の記録ヘッドの配列方向に移動させつつインク液滴を前記記録媒体に吐出して記録するインクジェット記録装置の記録ヘッド交換調整方法であって、複数色のインクとして黒を少なくとも使用する場合に黒のインクを使用する記録ヘッドを他の交換された記録ヘッドの位置調整の基準となる記録ヘッド（基準記録ヘッド）と設定すると共に、前記基準記録ヘッドが交換された場合には交換されていない複数のいずれかの記録ヘッドの一つを、交換された前記基準記録ヘッドの位置調整の基準として使用される準基準記録ヘッドと設定し、前記基準記録ヘッド以外の記録ヘッドが交換された場合に、前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを紙に対して出力し、この紙上の調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整し、前記基準記録ヘッドが交換された場合に、交換されていないいずれかの記録ヘッドを準基準記録ヘッドとして、交換された前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを紙に対して出力し、この紙上の調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記基準記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記準基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整する、ことを特徴とする記録ヘッド交換調整方法である。
【００３２】
請求項１９記載の発明は、捺染用の記録媒体上に複数色のインク液滴のドットを付着させて記録を行うために複数の独立交換可能な記録ヘッドを備え、該複数の記録ヘッドを前記記録媒体に対して該複数の記録ヘッドの配列方向に移動させつつインク液滴を前記記録媒体に吐出して記録するインクジェット記録装置の記録ヘッド交換調整方法であって、複数色のインクとして黒を少なくとも使用する場合に黒のインクを使用する記録ヘッドを他の交換された記録ヘッドの位置調整の基準となる記録ヘッド（基準記録ヘッド）と設定すると共に、前記基準記録ヘッドが交換された場合には交換されていない複数のいずれかの記録ヘッドの一つを、交換された前記基準記録ヘッドの位置調整の基準として使用される準基準記録ヘッドと設定し、前記基準記録ヘッド以外の記録ヘッドが交換された場合に、前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを捺染用の記録媒体に対して出力し、該捺染用の記録媒体に発色処理を施さない状態の調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整し、前記基準記録ヘッドが交換された場合に、交換されていないいずれかの記録ヘッドを準基準記録ヘッドとして、交換された前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを捺染用の記録媒体に対して出力し、該捺染用の記録媒体に発色処理を施さない状態の調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記基準記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記準基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整する、ことを特徴とする記録ヘッド交換調整方法である。
【００３３】
（１０）請求項２０記載の発明は、捺染用の記録媒体上に複数色のインク液滴のドットを付着させて記録を行うために複数の独立交換可能な記録ヘッドを備え、該複数の記録ヘッドを前記記録媒体に対して該複数の記録ヘッドの配列方向に移動させつつインク液滴を前記記録媒体に吐出して記録するインクジェット記録装置であって、複数色のインクとして黒を少なくとも使用する場合に黒のインクを使用する記録ヘッドを他の交換された記録ヘッドの位置調整の基準となる記録ヘッド（基準記録ヘッド）と設定すると共に、前記基準記録ヘッドが交換された場合には交換されていない複数のいずれかの記録ヘッドの一つを、交換された前記基準記録ヘッドの位置調整の基準として使用される準基準記録ヘッドと設定し、前記基準記録ヘッド以外の記録ヘッドが交換された場合に、前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを紙に対して出力し、この紙上の調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整し、前記基準記録ヘッドが交換された場合に、交換されていないいずれかの記録ヘッドを準基準記録ヘッドとして、交換された前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを紙に対して出力し、この紙上の調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記基準記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記準基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整する、ことを特徴とするインクジェット記録装置である。
【００３４】
請求項２１記載の発明は、捺染用の記録媒体上に複数色のインク液滴のドットを付着させて記録を行うために複数の独立交換可能な記録ヘッドを備え、該複数の記録ヘッドを前記記録媒体に対して該複数の記録ヘッドの配列方向に移動させつつインク液滴を前記記録媒体に吐出して記録するインクジェット記録装置であって、複数色のインクとして黒を少なくとも使用する場合に黒のインクを使用する記録ヘッドを他の交換された記録ヘッドの位置調整の基準となる記録ヘッド（基準記録ヘッド）と設定すると共に、前記基準記録ヘッドが交換された場合には交換されていない複数のいずれかの記録ヘッドの一つを、交換された前記基準記録ヘッドの位置調整の基準として使用される準基準記録ヘッドと設定し、前記基準記録ヘッド以外の記録ヘッドが交換された場合に、前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを捺染用の記録媒体に対して出力し、該捺染用の記録媒体に発色処理を施さない状態の調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整し、前記基準記録ヘッドが交換された場合に、交換されていないいずれかの記録ヘッドを準基準記録ヘッドとして、交換された前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを捺染用の記録媒体に対して出力し、該捺染用の記録媒体に発色処理を施さない状態の調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記基準記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記準基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整する、ことを特徴とするインクジェット記録装置である。
【００３５】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の実施の形態例について図を用いて詳細に説明する。
図１は本実施の形態例で使用されるインクジェット記録装置の概略構成を示すブロック図である。
【００３６】
外部から供給されるＲＧＢデータまたはＬａｂデータは、インクジェット記録装置２０内の色変換処理部３０で所定の色変換あるいは色分解がなされ、さらに、誤差拡散処理部４０で誤差拡散処理が施される。次に、プリンタ用データ変換部５０でプリンタ用のデータ変換が行われ、出力部６０にて記録媒体７０上にインク液滴のドットを付着させて画像記録が行われる。
【００３７】
なお、操作表示部２１から入力される数値などの指示により、制御部２２によって、出力部６０に配置された各色インクの複数の記録ヘッドのそれぞれで着弾位置の制御がなされる。この着弾位置の制御は、各記録ヘッドが主走査方向移動中に各インクを吐出するタイミングを電気的に制御することにより実現される。また、調整チャートのパターンのデータを保持するチャートデータ保持部２３からのデータに基づいて、インクジェット記録装置２０は記録媒体上に、記録ヘッドを調整するための調整用チャートを出力することが可能に構成されている。
【００３８】
インクジェット記録装置２０の出力部６０には、基本色として、シアンインク（以下「Ｃインク」）、マゼンタインク（以下「Ｍインク」）、イエローインク（以下「Ｙインク」）、及び黒濃色インク（以下「Ｋインク」）が設けられている。
【００３９】
図２は出力部６０に設けられて、画像形成の際に主走査方向に移動するキャリッジ６１の構成を示している。ここで、キャリッジ６１には、Ｙインク記録ヘッド６１０Ｙと、Ｍインク記録ヘッド６１０Ｍと、Ｃインク記録ヘッド６１０Ｃと、Ｋインク記録ヘッド６１０Ｋと、独立して交換可能に設けられている。
【００４０】
図３は上述した図２のキャリッジ６１の各記録ヘッドの様子を示す斜視図であり、各記録ヘッドに駆動信号を供給するためのケーブル６１１Ｙ〜６１１Ｋがそれぞれ接続されている。また、同様に各記録ヘッドには、図示されていないインクタンクから、各色のインクを供給するためのインク供給管６１２Ｙ〜６１２Ｋが設けられている。ここでは、説明のために、インク供給管６１２Ｙのみを示している。
【００４１】
また、各記録ヘッドを着脱可能に保持するためのレバー６１３が設けられている。この図３では、説明のために、レバー６１３Ｙのみを示している。なお、図３では詳細を示していないが、キャリッジ６１には各記録ヘッドを載置するための溝や凹凸が設けられており、その溝や凹凸上の所定の位置に各記録ヘッドを載置した後にレバー６１３で固定する構造になっている。いずれかの記録ヘッドを交換する際には、レバーを解除方向に操作した状態で、図３中のヘッド取り外し方向の矢印の方向に行えばよい。なお、固定のための機構や、取り外し方向などは一例であって、独立に着脱可能で有れば、ここに示したものに限定されるものではない。
【００４２】
また、上記基本色以外に特色として、オレンジインク（以下「Ｏインク」）、バイオレットインク（以下「Ｖインク」）、レッドインク（以下「Ｒインク」）、ブルーインク（以下「Ｂインク」）から選んで色を組み合わせてもよい。
【００４３】
さらに、各色のインクには通常濃度のインク（「濃色インク」）以外に、低濃度のインク（「淡色インク」）を設けることも可能であり、シアン淡色インク（以下「Ｃ２インク」）、マゼンタ淡色インク（以下「Ｍ２インク」）、イエロー淡色インク（以下「Ｙ２インク」）、黒淡色インク（以下「Ｋ２インク」）、オレンジ淡色インク（以下「Ｏ２インク」）、バイオレット淡色インク（以下「Ｖ２インク」）、レッド淡色インク（以下「Ｒ２インク」）、ブルー淡色インク（以下「Ｂ２インク」）が存在する。
【００４４】
ここで言うところのインクの色は、ＣＩＥ1976（Ｌａｂ）空間において定義される知覚色度指数が下記の範囲であるものを言う。なお、ここで定義する値は、記録媒体としてＬ値が９０以上のもので、ａｂ値が共に−４０〜４０以内のものを使用する。なお、本実施の形態例において知覚色度指数を測定するための測定機としてＳＰ６２（X-Rite Incorporated製）を用いた。
・通常（濃色）インク
Ｃインク：Ｌ＝40〜50、ａ＝-50〜0、ｂ＝-5〜-40
Ｍインク：Ｌ＝40〜50、ａ＝50〜80、ｂ＝-10〜20
Ｙインク：Ｌ＝75〜80、ａ＝-40〜10、ｂ＝50〜90
Ｋインク：Ｌ＝15〜25、ａ＝-10〜10、ｂ＝-10〜10
Ｏインク：Ｌ＝65〜75、ａ＝30〜50、ｂ＝70〜90
Ｖインク：Ｌ＝35〜45、ａ＝40〜60、ｂ＝-40〜-20
Ｒインク：Ｌ＝40〜50、ａ＝50〜70、ｂ＝20〜40
Ｂインク：Ｌ＝35〜45、ａ＝0〜30、ｂ＝-5〜-40
・淡色インク
Ｃ２インク：Ｌ＝60〜70、ａ＝-50〜0、ｂ＝-5〜-40
Ｍ２インク：Ｌ＝60〜70、ａ＝40〜80、ｂ＝-15〜20
Ｙ２インク：Ｌ＝80〜85、ａ＝-40〜10、ｂ＝50〜90
Ｋ２インク：Ｌ＝40〜50、ａ＝-10〜10、ｂ＝-10〜10
Ｏ２インク：Ｌ＝75〜85、ａ＝30〜50、ｂ＝70〜90
Ｖ２インク：Ｌ＝60〜70、ａ＝40〜60、ｂ＝-40〜-20
Ｒ２インク：Ｌ＝60〜70、ａ＝50〜70、ｂ＝20〜40
Ｂ２インク：Ｌ＝60〜70、ａ＝0〜30、ｂ＝-5〜-40
以下に、本実施の形態例のインクジェット記録装置の動作（記録ヘッド交換調整方法）について説明する。
【００４５】
まず、インクジェット記録装置２０を動作状態にさせておき、操作表示部２１からモード変更を行い、ヘッド交換モードに入るための操作をユーザが行う（図４Ｓ１）。この操作入力により、制御部２２はインクジェット記録装置２０をヘッド交換モードで動作させる。
【００４６】
この後、インクジェット記録装置２０は制御部２２の制御もしくはユーザの操作により電源オフ状態になる。この電源オフ状態で、ユーザが所望のいずれかの記録ヘッド（図３参照）を交換する（図４Ｓ２）。この際、まず、キャリッジ６１を所定の交換可能位置に移動させ、カバー（図示せず）等を開き、ケーブル６１１を外し、レバー６１３を解除状態にして古い記録ヘッドを取り外す。そして、同じ色のインクの新しい記録ヘッドを用意し、ヘッド面保護のキャップあるいはテープを取り外し、元の位置に記録ヘッドを挿入し、ケーブル６１１を接続し、記録ヘッド６１０をレバー６１３で固定する。そして、カバー（図示せず）を閉じて、インクジェット記録装置２０の電源を投入する。
【００４７】
この後、インクジェット記録装置２０は制御部２２の制御もしくはユーザの操作により、ヘッド交換モードを続行する。ここで、交換された記録ヘッドがいずれの色であるかを、制御部２２が自動的に検知するか、あるいは、操作表示部２１の表示メニューに従ってユーザが入力する。そして、交換された記録ヘッドにインクが行き渡り、インク液滴の吐出に以上がないかを調べるためのクリーニングを実行する（図４Ｓ３）。このクリーニングで作成されたテストプリントで異常が見つからなければ次のステップに進み、異常が発見されればユーザの操作表示部２１での入力によりクリーニングを繰り返す。
【００４８】
次に、制御部２２は、チャートデータ保持部２３に保持されている調整チャートのパターンのデータに基づいて、記録媒体７０上に、交換された記録ヘッドを調整するための調整用チャートを出力する。
【００４９】
この調整用チャートとしては、
▲１▼基準となる記録ヘッド以外の記録ヘッドが交換された場合は、基準となる記録ヘッドと交換された記録ヘッドとの調整用チャート
▲２▼基準となる記録ヘッドが交換された場合は、交換されていないいずれかの記録ヘッドを準基準記録ヘッドとして、交換された基準となる記録ヘッドと準基準記録ヘッド記録ヘッドとの調整用チャート
を出力する。
【００５０】
なお、ここで、複数色のインクとして黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを基準となる記録ヘッドとする。また、複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを基準となる記録ヘッドとすると共に、イエロー以外の交換されていない記録ヘッドを準基準記録ヘッドと設定する。また、複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを基準となる記録ヘッドとすると共に、マゼンタ、シアンの順に交換されていない記録ヘッドを準基準記録ヘッドと設定する。
【００５１】
この調整用チャートとしては、たとえば、図５のようなものを用いることができる。この図５の例では、２つの記録ヘッドが交換された様子を示している。すなわち、１〜５の下の実線は基準となる記録ヘッドにより印字された線、破線は交換された記録ヘッドにより印字された線である。また、６〜１０の下の実線は基準となる記録ヘッドにより印字された線、破線は交換された他の記録ヘッドにより印字された線である。ここでは、電気的に異なるタイミングで基準となる記録ヘッドと交換された記録ヘッドからインクを吐出して、いずれのタイミングが一番合致しているかを見るためのチャートになっている。
【００５２】
この図５の場合には、操作入力部２１から、「３」と「９」を補正値として入力する（図４Ｓ５）ことで、交換された記録ヘッドの位置ずれを解消するための、電気的なタイミング補正値が求まる。
【００５３】
そして、制御部２２は入力された補正値を不揮発性メモリなどに書き込み、今後の画像形成の際のタイミング補正値として用いるように制御する（図４Ｓ６）。この後、インクジェット記録装置２０は、制御部２２の制御もしくはユーザの操作により、ヘッド交換モードを終了する。
【００５４】
以上のようにすることで下記のような効果が得られる。
（１）基準となる記録ヘッド以外の記録ヘッドが交換された場合に、基準となる記録ヘッドと交換された記録ヘッドとの調整用チャートの結果に基づいて、交換された記録ヘッドの位置を基準となる記録ヘッドの位置に対して調整することで、全ての記録ヘッドを調整する必要が無くなり、無駄な調整が不用になるばかりでなく、調整が少ないことにより精度が高まる。
【００５５】
（２）以上の（１）の複数色のインクとして、黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを基準となる記録ヘッドとすることで、調整用チャートが見やすくなり、調整の精度が高まる。
【００５６】
（３）基準となる記録ヘッドが交換された場合に、交換されていないいずれかの記録ヘッドを準基準記録ヘッドとして、交換された基準となる記録ヘッドと準基準記録ヘッド記録ヘッドとの調整用チャートの結果に基づいて、交換された基準となる記録ヘッドの位置を準基準記録ヘッドの位置に対して調整することで、全ての記録ヘッドを調整する必要が無くなり、無駄な調整が不用になるばかりでなく、調整が少ないことにより精度が高まる。
【００５７】
（４）以上の（３）の複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを基準となる記録ヘッドとすると共に、イエロー以外の交換されていない記録ヘッドを準基準記録ヘッドと設定することで、調整用チャートが見やすくなり、調整の精度が高まる。
【００５８】
（５）以上の（４）で使用しないイエローは、Ｌａｂ空間において、Ｌ≧６０、−１０＜ａ＜１０、５０＜ｂ＜７０の条件を満足するインクとすることで、調整用チャートが見やすくなる。
【００５９】
（６）以上の（３）で複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを基準となる記録ヘッドとすると共に、マゼンタ、シアンの順に交換されていない記録ヘッドを準基準記録ヘッドと設定することで、調整用チャートが見やすくなり、調整の精度が高まる。
【００６０】
（７）以上の（３）で複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン、レッド及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを基準となる記録ヘッドとすると共に、マゼンタ、レッド、シアンの順に交換されていない記録ヘッドを準基準記録ヘッドと設定することで調整用チャートが見やすくなり、調整の精度が高まる。
【００６１】
（８）以上の（３）で複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン、レッド、バイオレット及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを基準となる記録ヘッドとすると共に、マゼンタ、レッド、シアン、バイオレットの順に交換されていない記録ヘッドを準基準記録ヘッドと設定することで調整用チャートが見やすくなり、調整の精度が高まる。
【００６２】
（９）以上の（３）で複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン、レッド、バイオレット、オレンジ及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを基準となる記録ヘッドとすると共に、マゼンタ、レッド、シアン、バイオレット、オレンジの順に交換されていない記録ヘッドを準基準記録ヘッドと設定することで調整用チャートが見やすくなり、調整の精度が高まる。
【００６３】
（１０）以上の（１）〜（９）で複数色のインクとして、いずれかの色で濃色インクと淡色インクとを用いる場合に、濃色インクにより前記調整用チャートを出力することで調整用チャートが見やすくなり、調整の精度が高まる。
【００６４】
なお、以上の実施の形態例のインクジェット記録を捺染に用いた場合について述べる。記録媒体となる「布」として、ポリエステルデシンを用いた。WARPSとWOOFSの糸径と本数は下記の通りである。
WARPS：75d 172STRINGS／25.4mm
WOOFS：75D 108STRINGS／25.4mm
なお、画像のにじみを防止するために、前処理剤としてカチオン活性剤ラウリルベンジルアンモニウムクロライドを１０ｇ／Ｌに希釈して、浸漬法、パッド法などにより付与量０．２％〜１０％程度付与する。
【００６５】
そして、乾燥後、分散染料で、前述した各実施の形態例のインクにより調整用チャートの画像を形成した。画像形成後、通常の発色処理をしない状態の調整用チャートで上述した調整を行うようにした。
【００６６】
また、捺染に用いるインクジェット記録装置に関して、通常の記録媒体である「布」ではなく、紙を用いて調整用チャートの画像を形成し、上述した調整を行うようにした。
【００６７】
このように、インクジェット記録装置を捺染に用いる場合に、通常の捺染とは異なる状態で調整を行うようにすることで以下に説明するような良好な効果が得られる。
【００６８】
捺染のインクジェット記録装置の場合に、捺染の記録媒体ではなく、紙に調整用チャートを出力して以上の調整を行うことで、にじみの少ないより厳しい条件で調整が可能になり、極めて良好な結果が得られる。
【００６９】
また、捺染のインクジェット記録装置の場合に、捺染の記録媒体に調整用チャートを出力し、発色処理を施さない状態の調整用チャートで以上の調整を行うことで、にじみの少ないより厳しい条件で調整が可能になり、極めて良好な結果が得られる。
【００７０】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の記録装置及び記録方法を用いれば、複数の独立交換可能な記録ヘッドを備えた場合に記録ヘッド交換後の調整を正確かつ容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態例のインクジェット記録装置の構成を示す構成図である。
【図２】本発明の実施の形態例で使用する記録ヘッドの様子を示す説明図である。
【図３】本発明の実施の形態例で使用する記録ヘッドの様子を示す説明図である。
【図４】本発明の実施の形態例の動作を示すフローチャートである。
【図５】本発明の実施の形態例で使用する調整用チャートを示す説明図である。
【符号の説明】
２０ インクジェット記録装置
２１ 操作表示部
２２ 制御部
２３ チャートデータ保持部
３０ 色変換処理部
４０ 誤差拡散処理部
５０ プリンタ用データ変換部
６０ 出力部
【発明の属する技術分野】
本発明は記録媒体上にインク液滴のドットを付着させて記録を行う記録ヘッド交換調整方法およびインクジェット記録装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
近年、インクジェット記録装置は、ディジタル画像のカラー化が容易なことで、産業用、オフィス用、パーソナル用向け出力機として急速に普及してきている。
【０００３】
このような状況下、インクジェット記録装置の捺染への応用も期待されている。捺染の代表的な例としてはシルクスクリーン捺染法がある。本方法は印捺すべき原画像に対してその原画像に使われている色ごとにスクリーン版を作製し、捺染糊をスクリーン版に通して直接布帛に転写して染色を行う方法である。しかしながら、本方法はスクリーン版を作製するのに多大な工数を要するほかに、原画像に使用されている色ごとの捺染糊を染料調合し作製しなければならないなど小ロットな捺染プリント物にはコスト的な問題が生じている。
【０００４】
このような従来捺染方法に対して前記のインクジェット式プリント方法は、装置に備えられているインク種をディジタル信号によって制御して、小液滴のインクを媒体に着弾、形成することによって、直接的に画像を形成する。したがって、スクリーン版や色ごとの捺染糊の調合が不要であり工数を大幅に低減できるという特徴を有している。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、記録媒体上に複数色のインク液滴のドットを付着させて記録を行うために複数の独立交換可能な記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置において、何らかの理由でいずれかの記録ヘッドを交換する必要が生じる場合がある。
【０００６】
このような記録ヘッドの交換を行うと、交換された記録ヘッドと他の交換されていない記録ヘッドとの間で微妙な位置ずれが生じてしまい、画質に悪影響を及ぼすことになる。そこで、記録ヘッド同士の位置調整が必要になる。
【０００７】
このような位置調整として、従来は、いずれかの記録ヘッドが交換された場合に全ての記録ヘッドの位置調整を実行するようにしていた。このため、交換されていない記録ヘッドも調整のなってしまうと共に、調整の精度を上げにくく、また、調整の手間がかかるといった問題が生じていた。
【０００８】
本発明は以上の課題に鑑みてなされたものであって、複数の独立交換可能な記録ヘッドを備えた場合に記録ヘッド交換後の調整を正確かつ容易に行える記録ヘッド交換調整方法およびインクジェット記録装置を実現することを目的とする。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
本件出願の発明者らは、複数の独立交換可能な記録ヘッドを備えた場合の記録ヘッド交換後の調整について鋭意研究を進めた結果、インクの色や調整順序に配慮することで調整を正確かつ容易に行えることを新たに見出した。
【００１０】
したがって、以上の課題は以下に示す各発明により達成される。
（１）請求項１記載の発明は、記録媒体上に複数色のインク液滴のドットを付着させて記録を行うために複数の独立交換可能な記録ヘッドを備え、該複数の記録ヘッドを前記記録媒体に対して該複数の記録ヘッドの配列方向に移動させつつインク液滴を前記記録媒体に吐出して記録するインクジェット記録装置の記録ヘッド交換調整方法であって、複数色のインクとして黒を少なくとも使用する場合に黒のインクを使用する記録ヘッドを他の交換された記録ヘッドの位置調整の基準となる記録ヘッド（基準記録ヘッド）と設定すると共に、前記基準記録ヘッドが交換された場合には交換されていない複数のいずれかの記録ヘッドの一つを、交換された前記基準記録ヘッドの位置調整の基準として使用される準基準記録ヘッドと設定し、前記基準記録ヘッド以外の記録ヘッドが交換された場合に、前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを記録媒体に記録し、該記録された調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整し、前記基準記録ヘッドが交換された場合に、交換されていないいずれかの記録ヘッドを準基準記録ヘッドとして、交換された前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを記録媒体に記録し、該記録された調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記基準記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記準基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整する、ことを特徴とする記録ヘッド交換調整方法である。
【００１１】
請求項９記載の発明は、記録媒体上に複数色のインク液滴のドットを付着させて記録を行うために複数の独立交換可能な記録ヘッドを備え、該複数の記録ヘッドを前記記録媒体に対して該複数の記録ヘッドの配列方向に移動させつつインク液滴を前記記録媒体に吐出して記録するインクジェット記録装置であって、複数色のインクとして黒を少なくとも使用する場合に黒のインクを使用する記録ヘッドを他の交換された記録ヘッドの位置調整の基準となる記録ヘッド（基準記録ヘッド）と設定すると共に、前記基準記録ヘッドが交換された場合には交換されていない複数のいずれかの記録ヘッドの一つを、交換された前記基準記録ヘッドの位置調整の基準として使用される準基準記録ヘッドと設定し、前記基準記録ヘッド以外の記録ヘッドが交換された場合に、前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを記録媒体に記録し、該記録された調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整し、前記基準記録ヘッドが交換された場合に、交換されていないいずれかの記録ヘッドを準基準記録ヘッドとして、交換された前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを記録媒体に記録し、該記録された調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記基準記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記準基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整する、ことを特徴とするインクジェット記録装置である。
【００１６】
（２）請求項２記載の発明は、複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを前記基準記録ヘッドとすると共に、イエロー以外の交換されていない記録ヘッドを前記準基準記録ヘッドと設定する、ことを特徴とする請求項１記載の記録ヘッド交換調整方法である。
【００１７】
請求項１０記載の発明は、複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを前記基準記録ヘッドとすると共に、イエロー以外の交換されていない記録ヘッドを前記準基準記録ヘッドと設定する、ことを特徴とする請求項９記載のインクジェット記録装置である。
【００１８】
（３）請求項３記載の発明は、前記イエローは、Ｌａｂ空間において、Ｌ≧６０、−１０＜ａ＜１０、５０＜ｂ＜７０の条件を満足するインクである、ことを特徴とする請求項２記載の記録ヘッド交換調整方法である。
【００１９】
請求項１１記載の発明は、前記イエローは、Ｌａｂ空間において、Ｌ≧６０、−１０＜ａ＜１０、５０＜ｂ＜７０の条件を満足するインクである、ことを特徴とする請求項１０記載のインクジェット記録装置である。
【００２０】
（４）請求項４記載の発明は、複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを前記基準記録ヘッドとすると共に、マゼンタ、シアンの順に交換されていない記録ヘッドを前記準基準記録ヘッドと設定する、ことを特徴とする請求項１記載の記録ヘッド交換調整方法である。
【００２１】
請求項１２記載の発明は、複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを前記基準記録ヘッドとすると共に、マゼンタ、シアンの順に交換されていない記録ヘッドを前記準基準記録ヘッドと設定する、ことを特徴とする請求項９記載のインクジェット記録装置である。
【００２２】
（５）請求項５記載の発明は、複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン、レッド及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを前記基準記録ヘッドとすると共に、マゼンタ、レッド、シアンの順に交換されていない記録ヘッドを前記準基準記録ヘッドと設定する、ことを特徴とする請求項１記載の記録ヘッド交換調整方法である。
【００２３】
請求項１３記載の発明は、複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン、レッド及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを前記基準記録ヘッドとすると共に、マゼンタ、レッド、シアンの順に交換されていない記録ヘッドを前記準基準記録ヘッドと設定する、ことを特徴とする請求項９記載のインクジェット記録装置である。
【００２４】
（６）請求項６記載の発明は、複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン、レッド、バイオレット及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを前記基準記録ヘッドとすると共に、マゼンタ、レッド、シアン、バイオレットの順に交換されていない記録ヘッドを前記準基準記録ヘッドと設定する、ことを特徴とする請求項１記載の記録ヘッド交換調整方法である。
【００２５】
請求項１４記載の発明は、複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン、レッド、バイオレット及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを前記基準記録ヘッドとすると共に、マゼンタ、レッド、シアン、バイオレットの順に交換されていない記録ヘッドを前記準基準記録ヘッドと設定する、ことを特徴とする請求項９記載のインクジェット記録装置である。
【００２６】
（７）請求項７記載の発明は、複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン、レッド、バイオレット、オレンジ及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを前記基準記録ヘッドとすると共に、マゼンタ、レッド、シアン、バイオレット、オレンジの順に交換されていない記録ヘッドを前記準基準記録ヘッドと設定する、ことを特徴とする請求項１記載の記録ヘッド交換調整方法である。
【００２７】
請求項１５記載の発明は、複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン、レッド、バイオレット、オレンジ及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを前記基準記録ヘッドとすると共に、マゼンタ、レッド、シアン、バイオレット、オレンジの順に交換されていない記録ヘッドを前記準基準記録ヘッドと設定する、ことを特徴とする請求項９記載のインクジェット記録装置である。
【００２８】
（８）請求項８記載の発明は、複数色のインクとして、いずれかの色で濃色インクと淡色インクとを用いる場合に、濃色インクにより前記調整用チャートを出力する、ことを特徴とする請求項１乃至請求項７のいずれかに記載の記録ヘッド交換調整方法である。
【００２９】
請求項１６記載の発明は、複数色のインクとして、いずれかの色で濃色インクと淡色インクとを用いる場合に、濃色インクにより前記調整用チャートを出力する、ことを特徴とする請求項９乃至請求項１５のいずれかに記載のインクジェット記録装置である。
【００３０】
（９）請求項１７記載の発明は、前記インクジェット記録装置が捺染用である、ことを特徴とする請求項９乃至請求項１６のいずれかに記載のインクジェット記録装置である。
【００３１】
（１０）請求項１８記載の発明は、捺染用の記録媒体上に複数色のインク液滴のドットを付着させて記録を行うために複数の独立交換可能な記録ヘッドを備え、該複数の記録ヘッドを前記記録媒体に対して該複数の記録ヘッドの配列方向に移動させつつインク液滴を前記記録媒体に吐出して記録するインクジェット記録装置の記録ヘッド交換調整方法であって、複数色のインクとして黒を少なくとも使用する場合に黒のインクを使用する記録ヘッドを他の交換された記録ヘッドの位置調整の基準となる記録ヘッド（基準記録ヘッド）と設定すると共に、前記基準記録ヘッドが交換された場合には交換されていない複数のいずれかの記録ヘッドの一つを、交換された前記基準記録ヘッドの位置調整の基準として使用される準基準記録ヘッドと設定し、前記基準記録ヘッド以外の記録ヘッドが交換された場合に、前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを紙に対して出力し、この紙上の調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整し、前記基準記録ヘッドが交換された場合に、交換されていないいずれかの記録ヘッドを準基準記録ヘッドとして、交換された前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを紙に対して出力し、この紙上の調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記基準記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記準基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整する、ことを特徴とする記録ヘッド交換調整方法である。
【００３２】
請求項１９記載の発明は、捺染用の記録媒体上に複数色のインク液滴のドットを付着させて記録を行うために複数の独立交換可能な記録ヘッドを備え、該複数の記録ヘッドを前記記録媒体に対して該複数の記録ヘッドの配列方向に移動させつつインク液滴を前記記録媒体に吐出して記録するインクジェット記録装置の記録ヘッド交換調整方法であって、複数色のインクとして黒を少なくとも使用する場合に黒のインクを使用する記録ヘッドを他の交換された記録ヘッドの位置調整の基準となる記録ヘッド（基準記録ヘッド）と設定すると共に、前記基準記録ヘッドが交換された場合には交換されていない複数のいずれかの記録ヘッドの一つを、交換された前記基準記録ヘッドの位置調整の基準として使用される準基準記録ヘッドと設定し、前記基準記録ヘッド以外の記録ヘッドが交換された場合に、前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを捺染用の記録媒体に対して出力し、該捺染用の記録媒体に発色処理を施さない状態の調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整し、前記基準記録ヘッドが交換された場合に、交換されていないいずれかの記録ヘッドを準基準記録ヘッドとして、交換された前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを捺染用の記録媒体に対して出力し、該捺染用の記録媒体に発色処理を施さない状態の調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記基準記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記準基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整する、ことを特徴とする記録ヘッド交換調整方法である。
【００３３】
（１０）請求項２０記載の発明は、捺染用の記録媒体上に複数色のインク液滴のドットを付着させて記録を行うために複数の独立交換可能な記録ヘッドを備え、該複数の記録ヘッドを前記記録媒体に対して該複数の記録ヘッドの配列方向に移動させつつインク液滴を前記記録媒体に吐出して記録するインクジェット記録装置であって、複数色のインクとして黒を少なくとも使用する場合に黒のインクを使用する記録ヘッドを他の交換された記録ヘッドの位置調整の基準となる記録ヘッド（基準記録ヘッド）と設定すると共に、前記基準記録ヘッドが交換された場合には交換されていない複数のいずれかの記録ヘッドの一つを、交換された前記基準記録ヘッドの位置調整の基準として使用される準基準記録ヘッドと設定し、前記基準記録ヘッド以外の記録ヘッドが交換された場合に、前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを紙に対して出力し、この紙上の調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整し、前記基準記録ヘッドが交換された場合に、交換されていないいずれかの記録ヘッドを準基準記録ヘッドとして、交換された前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを紙に対して出力し、この紙上の調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記基準記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記準基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整する、ことを特徴とするインクジェット記録装置である。
【００３４】
請求項２１記載の発明は、捺染用の記録媒体上に複数色のインク液滴のドットを付着させて記録を行うために複数の独立交換可能な記録ヘッドを備え、該複数の記録ヘッドを前記記録媒体に対して該複数の記録ヘッドの配列方向に移動させつつインク液滴を前記記録媒体に吐出して記録するインクジェット記録装置であって、複数色のインクとして黒を少なくとも使用する場合に黒のインクを使用する記録ヘッドを他の交換された記録ヘッドの位置調整の基準となる記録ヘッド（基準記録ヘッド）と設定すると共に、前記基準記録ヘッドが交換された場合には交換されていない複数のいずれかの記録ヘッドの一つを、交換された前記基準記録ヘッドの位置調整の基準として使用される準基準記録ヘッドと設定し、前記基準記録ヘッド以外の記録ヘッドが交換された場合に、前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを捺染用の記録媒体に対して出力し、該捺染用の記録媒体に発色処理を施さない状態の調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整し、前記基準記録ヘッドが交換された場合に、交換されていないいずれかの記録ヘッドを準基準記録ヘッドとして、交換された前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを捺染用の記録媒体に対して出力し、該捺染用の記録媒体に発色処理を施さない状態の調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記基準記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記準基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整する、ことを特徴とするインクジェット記録装置である。
【００３５】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の実施の形態例について図を用いて詳細に説明する。
図１は本実施の形態例で使用されるインクジェット記録装置の概略構成を示すブロック図である。
【００３６】
外部から供給されるＲＧＢデータまたはＬａｂデータは、インクジェット記録装置２０内の色変換処理部３０で所定の色変換あるいは色分解がなされ、さらに、誤差拡散処理部４０で誤差拡散処理が施される。次に、プリンタ用データ変換部５０でプリンタ用のデータ変換が行われ、出力部６０にて記録媒体７０上にインク液滴のドットを付着させて画像記録が行われる。
【００３７】
なお、操作表示部２１から入力される数値などの指示により、制御部２２によって、出力部６０に配置された各色インクの複数の記録ヘッドのそれぞれで着弾位置の制御がなされる。この着弾位置の制御は、各記録ヘッドが主走査方向移動中に各インクを吐出するタイミングを電気的に制御することにより実現される。また、調整チャートのパターンのデータを保持するチャートデータ保持部２３からのデータに基づいて、インクジェット記録装置２０は記録媒体上に、記録ヘッドを調整するための調整用チャートを出力することが可能に構成されている。
【００３８】
インクジェット記録装置２０の出力部６０には、基本色として、シアンインク（以下「Ｃインク」）、マゼンタインク（以下「Ｍインク」）、イエローインク（以下「Ｙインク」）、及び黒濃色インク（以下「Ｋインク」）が設けられている。
【００３９】
図２は出力部６０に設けられて、画像形成の際に主走査方向に移動するキャリッジ６１の構成を示している。ここで、キャリッジ６１には、Ｙインク記録ヘッド６１０Ｙと、Ｍインク記録ヘッド６１０Ｍと、Ｃインク記録ヘッド６１０Ｃと、Ｋインク記録ヘッド６１０Ｋと、独立して交換可能に設けられている。
【００４０】
図３は上述した図２のキャリッジ６１の各記録ヘッドの様子を示す斜視図であり、各記録ヘッドに駆動信号を供給するためのケーブル６１１Ｙ〜６１１Ｋがそれぞれ接続されている。また、同様に各記録ヘッドには、図示されていないインクタンクから、各色のインクを供給するためのインク供給管６１２Ｙ〜６１２Ｋが設けられている。ここでは、説明のために、インク供給管６１２Ｙのみを示している。
【００４１】
また、各記録ヘッドを着脱可能に保持するためのレバー６１３が設けられている。この図３では、説明のために、レバー６１３Ｙのみを示している。なお、図３では詳細を示していないが、キャリッジ６１には各記録ヘッドを載置するための溝や凹凸が設けられており、その溝や凹凸上の所定の位置に各記録ヘッドを載置した後にレバー６１３で固定する構造になっている。いずれかの記録ヘッドを交換する際には、レバーを解除方向に操作した状態で、図３中のヘッド取り外し方向の矢印の方向に行えばよい。なお、固定のための機構や、取り外し方向などは一例であって、独立に着脱可能で有れば、ここに示したものに限定されるものではない。
【００４２】
また、上記基本色以外に特色として、オレンジインク（以下「Ｏインク」）、バイオレットインク（以下「Ｖインク」）、レッドインク（以下「Ｒインク」）、ブルーインク（以下「Ｂインク」）から選んで色を組み合わせてもよい。
【００４３】
さらに、各色のインクには通常濃度のインク（「濃色インク」）以外に、低濃度のインク（「淡色インク」）を設けることも可能であり、シアン淡色インク（以下「Ｃ２インク」）、マゼンタ淡色インク（以下「Ｍ２インク」）、イエロー淡色インク（以下「Ｙ２インク」）、黒淡色インク（以下「Ｋ２インク」）、オレンジ淡色インク（以下「Ｏ２インク」）、バイオレット淡色インク（以下「Ｖ２インク」）、レッド淡色インク（以下「Ｒ２インク」）、ブルー淡色インク（以下「Ｂ２インク」）が存在する。
【００４４】
ここで言うところのインクの色は、ＣＩＥ1976（Ｌａｂ）空間において定義される知覚色度指数が下記の範囲であるものを言う。なお、ここで定義する値は、記録媒体としてＬ値が９０以上のもので、ａｂ値が共に−４０〜４０以内のものを使用する。なお、本実施の形態例において知覚色度指数を測定するための測定機としてＳＰ６２（X-Rite Incorporated製）を用いた。
・通常（濃色）インク
Ｃインク：Ｌ＝40〜50、ａ＝-50〜0、ｂ＝-5〜-40
Ｍインク：Ｌ＝40〜50、ａ＝50〜80、ｂ＝-10〜20
Ｙインク：Ｌ＝75〜80、ａ＝-40〜10、ｂ＝50〜90
Ｋインク：Ｌ＝15〜25、ａ＝-10〜10、ｂ＝-10〜10
Ｏインク：Ｌ＝65〜75、ａ＝30〜50、ｂ＝70〜90
Ｖインク：Ｌ＝35〜45、ａ＝40〜60、ｂ＝-40〜-20
Ｒインク：Ｌ＝40〜50、ａ＝50〜70、ｂ＝20〜40
Ｂインク：Ｌ＝35〜45、ａ＝0〜30、ｂ＝-5〜-40
・淡色インク
Ｃ２インク：Ｌ＝60〜70、ａ＝-50〜0、ｂ＝-5〜-40
Ｍ２インク：Ｌ＝60〜70、ａ＝40〜80、ｂ＝-15〜20
Ｙ２インク：Ｌ＝80〜85、ａ＝-40〜10、ｂ＝50〜90
Ｋ２インク：Ｌ＝40〜50、ａ＝-10〜10、ｂ＝-10〜10
Ｏ２インク：Ｌ＝75〜85、ａ＝30〜50、ｂ＝70〜90
Ｖ２インク：Ｌ＝60〜70、ａ＝40〜60、ｂ＝-40〜-20
Ｒ２インク：Ｌ＝60〜70、ａ＝50〜70、ｂ＝20〜40
Ｂ２インク：Ｌ＝60〜70、ａ＝0〜30、ｂ＝-5〜-40
以下に、本実施の形態例のインクジェット記録装置の動作（記録ヘッド交換調整方法）について説明する。
【００４５】
まず、インクジェット記録装置２０を動作状態にさせておき、操作表示部２１からモード変更を行い、ヘッド交換モードに入るための操作をユーザが行う（図４Ｓ１）。この操作入力により、制御部２２はインクジェット記録装置２０をヘッド交換モードで動作させる。
【００４６】
この後、インクジェット記録装置２０は制御部２２の制御もしくはユーザの操作により電源オフ状態になる。この電源オフ状態で、ユーザが所望のいずれかの記録ヘッド（図３参照）を交換する（図４Ｓ２）。この際、まず、キャリッジ６１を所定の交換可能位置に移動させ、カバー（図示せず）等を開き、ケーブル６１１を外し、レバー６１３を解除状態にして古い記録ヘッドを取り外す。そして、同じ色のインクの新しい記録ヘッドを用意し、ヘッド面保護のキャップあるいはテープを取り外し、元の位置に記録ヘッドを挿入し、ケーブル６１１を接続し、記録ヘッド６１０をレバー６１３で固定する。そして、カバー（図示せず）を閉じて、インクジェット記録装置２０の電源を投入する。
【００４７】
この後、インクジェット記録装置２０は制御部２２の制御もしくはユーザの操作により、ヘッド交換モードを続行する。ここで、交換された記録ヘッドがいずれの色であるかを、制御部２２が自動的に検知するか、あるいは、操作表示部２１の表示メニューに従ってユーザが入力する。そして、交換された記録ヘッドにインクが行き渡り、インク液滴の吐出に以上がないかを調べるためのクリーニングを実行する（図４Ｓ３）。このクリーニングで作成されたテストプリントで異常が見つからなければ次のステップに進み、異常が発見されればユーザの操作表示部２１での入力によりクリーニングを繰り返す。
【００４８】
次に、制御部２２は、チャートデータ保持部２３に保持されている調整チャートのパターンのデータに基づいて、記録媒体７０上に、交換された記録ヘッドを調整するための調整用チャートを出力する。
【００４９】
この調整用チャートとしては、
▲１▼基準となる記録ヘッド以外の記録ヘッドが交換された場合は、基準となる記録ヘッドと交換された記録ヘッドとの調整用チャート
▲２▼基準となる記録ヘッドが交換された場合は、交換されていないいずれかの記録ヘッドを準基準記録ヘッドとして、交換された基準となる記録ヘッドと準基準記録ヘッド記録ヘッドとの調整用チャート
を出力する。
【００５０】
なお、ここで、複数色のインクとして黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを基準となる記録ヘッドとする。また、複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを基準となる記録ヘッドとすると共に、イエロー以外の交換されていない記録ヘッドを準基準記録ヘッドと設定する。また、複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを基準となる記録ヘッドとすると共に、マゼンタ、シアンの順に交換されていない記録ヘッドを準基準記録ヘッドと設定する。
【００５１】
この調整用チャートとしては、たとえば、図５のようなものを用いることができる。この図５の例では、２つの記録ヘッドが交換された様子を示している。すなわち、１〜５の下の実線は基準となる記録ヘッドにより印字された線、破線は交換された記録ヘッドにより印字された線である。また、６〜１０の下の実線は基準となる記録ヘッドにより印字された線、破線は交換された他の記録ヘッドにより印字された線である。ここでは、電気的に異なるタイミングで基準となる記録ヘッドと交換された記録ヘッドからインクを吐出して、いずれのタイミングが一番合致しているかを見るためのチャートになっている。
【００５２】
この図５の場合には、操作入力部２１から、「３」と「９」を補正値として入力する（図４Ｓ５）ことで、交換された記録ヘッドの位置ずれを解消するための、電気的なタイミング補正値が求まる。
【００５３】
そして、制御部２２は入力された補正値を不揮発性メモリなどに書き込み、今後の画像形成の際のタイミング補正値として用いるように制御する（図４Ｓ６）。この後、インクジェット記録装置２０は、制御部２２の制御もしくはユーザの操作により、ヘッド交換モードを終了する。
【００５４】
以上のようにすることで下記のような効果が得られる。
（１）基準となる記録ヘッド以外の記録ヘッドが交換された場合に、基準となる記録ヘッドと交換された記録ヘッドとの調整用チャートの結果に基づいて、交換された記録ヘッドの位置を基準となる記録ヘッドの位置に対して調整することで、全ての記録ヘッドを調整する必要が無くなり、無駄な調整が不用になるばかりでなく、調整が少ないことにより精度が高まる。
【００５５】
（２）以上の（１）の複数色のインクとして、黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを基準となる記録ヘッドとすることで、調整用チャートが見やすくなり、調整の精度が高まる。
【００５６】
（３）基準となる記録ヘッドが交換された場合に、交換されていないいずれかの記録ヘッドを準基準記録ヘッドとして、交換された基準となる記録ヘッドと準基準記録ヘッド記録ヘッドとの調整用チャートの結果に基づいて、交換された基準となる記録ヘッドの位置を準基準記録ヘッドの位置に対して調整することで、全ての記録ヘッドを調整する必要が無くなり、無駄な調整が不用になるばかりでなく、調整が少ないことにより精度が高まる。
【００５７】
（４）以上の（３）の複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを基準となる記録ヘッドとすると共に、イエロー以外の交換されていない記録ヘッドを準基準記録ヘッドと設定することで、調整用チャートが見やすくなり、調整の精度が高まる。
【００５８】
（５）以上の（４）で使用しないイエローは、Ｌａｂ空間において、Ｌ≧６０、−１０＜ａ＜１０、５０＜ｂ＜７０の条件を満足するインクとすることで、調整用チャートが見やすくなる。
【００５９】
（６）以上の（３）で複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを基準となる記録ヘッドとすると共に、マゼンタ、シアンの順に交換されていない記録ヘッドを準基準記録ヘッドと設定することで、調整用チャートが見やすくなり、調整の精度が高まる。
【００６０】
（７）以上の（３）で複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン、レッド及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを基準となる記録ヘッドとすると共に、マゼンタ、レッド、シアンの順に交換されていない記録ヘッドを準基準記録ヘッドと設定することで調整用チャートが見やすくなり、調整の精度が高まる。
【００６１】
（８）以上の（３）で複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン、レッド、バイオレット及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを基準となる記録ヘッドとすると共に、マゼンタ、レッド、シアン、バイオレットの順に交換されていない記録ヘッドを準基準記録ヘッドと設定することで調整用チャートが見やすくなり、調整の精度が高まる。
【００６２】
（９）以上の（３）で複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン、レッド、バイオレット、オレンジ及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを基準となる記録ヘッドとすると共に、マゼンタ、レッド、シアン、バイオレット、オレンジの順に交換されていない記録ヘッドを準基準記録ヘッドと設定することで調整用チャートが見やすくなり、調整の精度が高まる。
【００６３】
（１０）以上の（１）〜（９）で複数色のインクとして、いずれかの色で濃色インクと淡色インクとを用いる場合に、濃色インクにより前記調整用チャートを出力することで調整用チャートが見やすくなり、調整の精度が高まる。
【００６４】
なお、以上の実施の形態例のインクジェット記録を捺染に用いた場合について述べる。記録媒体となる「布」として、ポリエステルデシンを用いた。WARPSとWOOFSの糸径と本数は下記の通りである。
WARPS：75d 172STRINGS／25.4mm
WOOFS：75D 108STRINGS／25.4mm
なお、画像のにじみを防止するために、前処理剤としてカチオン活性剤ラウリルベンジルアンモニウムクロライドを１０ｇ／Ｌに希釈して、浸漬法、パッド法などにより付与量０．２％〜１０％程度付与する。
【００６５】
そして、乾燥後、分散染料で、前述した各実施の形態例のインクにより調整用チャートの画像を形成した。画像形成後、通常の発色処理をしない状態の調整用チャートで上述した調整を行うようにした。
【００６６】
また、捺染に用いるインクジェット記録装置に関して、通常の記録媒体である「布」ではなく、紙を用いて調整用チャートの画像を形成し、上述した調整を行うようにした。
【００６７】
このように、インクジェット記録装置を捺染に用いる場合に、通常の捺染とは異なる状態で調整を行うようにすることで以下に説明するような良好な効果が得られる。
【００６８】
捺染のインクジェット記録装置の場合に、捺染の記録媒体ではなく、紙に調整用チャートを出力して以上の調整を行うことで、にじみの少ないより厳しい条件で調整が可能になり、極めて良好な結果が得られる。
【００６９】
また、捺染のインクジェット記録装置の場合に、捺染の記録媒体に調整用チャートを出力し、発色処理を施さない状態の調整用チャートで以上の調整を行うことで、にじみの少ないより厳しい条件で調整が可能になり、極めて良好な結果が得られる。
【００７０】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の記録装置及び記録方法を用いれば、複数の独立交換可能な記録ヘッドを備えた場合に記録ヘッド交換後の調整を正確かつ容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態例のインクジェット記録装置の構成を示す構成図である。
【図２】本発明の実施の形態例で使用する記録ヘッドの様子を示す説明図である。
【図３】本発明の実施の形態例で使用する記録ヘッドの様子を示す説明図である。
【図４】本発明の実施の形態例の動作を示すフローチャートである。
【図５】本発明の実施の形態例で使用する調整用チャートを示す説明図である。
【符号の説明】
２０ インクジェット記録装置
２１ 操作表示部
２２ 制御部
２３ チャートデータ保持部
３０ 色変換処理部
４０ 誤差拡散処理部
５０ プリンタ用データ変換部
６０ 出力部
Claims (21)
- 記録媒体上に複数色のインク液滴のドットを付着させて記録を行うために複数の独立交換可能な記録ヘッドを備え、該複数の記録ヘッドを前記記録媒体に対して該複数の記録ヘッドの配列方向に移動させつつインク液滴を前記記録媒体に吐出して記録するインクジェット記録装置の記録ヘッド交換調整方法であって、
複数色のインクとして黒を少なくとも使用する場合に黒のインクを使用する記録ヘッドを他の交換された記録ヘッドの位置調整の基準となる記録ヘッド（基準記録ヘッド）と設定すると共に、前記基準記録ヘッドが交換された場合には交換されていない複数のいずれかの記録ヘッドの一つを、交換された前記基準記録ヘッドの位置調整の基準として使用される準基準記録ヘッドと設定し、
前記基準記録ヘッド以外の記録ヘッドが交換された場合に、前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを記録媒体に記録し、該記録された調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整し、
前記基準記録ヘッドが交換された場合に、交換されていないいずれかの記録ヘッドを準基準記録ヘッドとして、交換された前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを記録媒体に記録し、該記録された調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記基準記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記準基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整する、
ことを特徴とする記録ヘッド交換調整方法。 - 複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを前記基準記録ヘッドとすると共に、イエロー以外の交換されていない記録ヘッドを前記準基準記録ヘッドと設定する、
ことを特徴とする請求項１記載の記録ヘッド交換調整方法。 - 前記イエローは、Ｌａｂ空間において、Ｌ≧６０、−１０＜ａ＜１０、５０＜ｂ＜７０の条件を満足するインクである、
ことを特徴とする請求項２記載の記録ヘッド交換調整方法。 - 複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを前記基準記録ヘッドとすると共に、マゼンタ、シアンの順に交換されていない記録ヘッドを前記準基準記録ヘッドと設定する、
ことを特徴とする請求項１記載の記録ヘッド交換調整方法。 - 複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン、レッド及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを前記基準記録ヘッドとすると共に、マゼンタ、レッド、シアンの順に交換されていない記録ヘッドを前記準基準記録ヘッドと設定する、
ことを特徴とする請求項１記載の記録ヘッド交換調整方法。 - 複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン、レッド、バイオレット及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを前記基準記録ヘッドとすると共に、マゼンタ、レッド、シアン、バイオレットの順に交換されていない記録ヘッドを前記準基準記録ヘッドと設定する、
ことを特徴とする請求項１記載の記録ヘッド交換調整方法。 - 複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン、レッド、バイオレット、オレンジ及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを前記基準記録ヘッドとすると共に、マゼンタ、レッド、シアン、バイオレット、オレンジの順に交換されていない記録ヘッドを前記準基準記録ヘッドと設定する、
ことを特徴とする請求項１記載の記録ヘッド交換調整方法。 - 複数色のインクとして、いずれかの色で濃色インクと淡色インクとを用いる場合に、濃色インクにより前記調整用チャートを出力する、
ことを特徴とする請求項１乃至請求項７のいずれかに記載の記録ヘッド交換調整方法。 - 記録媒体上に複数色のインク液滴のドットを付着させて記録を行うために複数の独立交換可能な記録ヘッドを備え、該複数の記録ヘッドを前記記録媒体に対して該複数の記録ヘッドの配列方向に移動させつつインク液滴を前記記録媒体に吐出して記録するインクジェット記録装置であって、
複数色のインクとして黒を少なくとも使用する場合に黒のインクを使用する記録ヘッドを他の交換された記録ヘッドの位置調整の基準となる記録ヘッド（基準記録ヘッド）と設定すると共に、前記基準記録ヘッドが交換された場合には交換されていない複数のいずれかの記録ヘッドの一つを、交換された前記基準記録ヘッドの位置調整の基準として使用される準基準記録ヘッドと設定し、
前記基準記録ヘッド以外の記録ヘッドが交換された場合に、前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを記録媒体に記録し、該記録された調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整し、
前記基準記録ヘッドが交換された場合に、交換されていないいずれかの記録ヘッドを準基準記録ヘッドとして、交換された前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを記録媒体に記録し、該記録された調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記基準記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記準基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整する、
ことを特徴とするインクジェット記録装置。 - 複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを前記基準記録ヘッドとすると共に、イエロー以外の交換されていない記録ヘッドを前記準基準記録ヘッドと設定する、
ことを特徴とする請求項９記載のインクジェット記録装置。 - 前記イエローは、Ｌａｂ空間において、Ｌ≧６０、−１０＜ａ＜１０、５０＜ｂ＜７０の条件を満足するインクである、
ことを特徴とする請求項１０記載のインクジェット記録装置。 - 複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを前記基準記録ヘッドとすると共に、マゼンタ、シアンの順に交換されていない記録ヘッドを前記準基準記録ヘッドと設定する、
ことを特徴とする請求項９記載のインクジェット記録装置。 - 複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン、レッド及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを前記基準記録ヘッドとすると共に、マゼンタ、レッド、シアンの順に交換されていない記録ヘッドを前記準基準記録ヘッドと設定する、
ことを特徴とする請求項９記載のインクジェット記録装置。 - 複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン、レッド、バイオレット及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを前記基準記録ヘッドとすると共に、マゼンタ、レッド、シアン、バイオレットの順に交換されていない記録ヘッドを前記準基準記録ヘッドと設定する、
ことを特徴とする請求項９記載のインクジェット記録装置。 - 複数色のインクとして、イエロー，マゼンタ，シアン、レッド、バイオレット、オレンジ及び黒を少なくとも使用する場合に、黒のインクを使用する記録ヘッドを前記基準記録ヘッドとすると共に、マゼンタ、レッド、シアン、バイオレット、オレンジの順に交換されていない記録ヘッドを前記準基準記録ヘッドと設定する、
ことを特徴とする請求項９記載のインクジェット記録装置。 - 複数色のインクとして、いずれかの色で濃色インクと淡色インクとを用いる場合に、濃色インクにより前記調整用チャートを出力する、
ことを特徴とする請求項９乃至請求項１５のいずれかに記載のインクジェット記録装置。 - 前記インクジェット記録装置が捺染用である、
ことを特徴とする請求項９乃至請求項１６のいずれかに記載のインクジェット記録装置。 - 捺染用の記録媒体上に複数色のインク液滴のドットを付着させて記録を行うために複数の独立交換可能な記録ヘッドを備え、該複数の記録ヘッドを前記記録媒体に対して該複数の記録ヘッドの配列方向に移動させつつインク液滴を前記記録媒体に吐出して記録するインクジェット記録装置の記録ヘッド交換調整方法であって、
複数色のインクとして黒を少なくとも使用する場合に黒のインクを使用する記録ヘッドを他の交換された記録ヘッドの位置調整の基準となる記録ヘッド（基準記録ヘッド）と設定すると共に、前記基準記録ヘッドが交換された場合には交換されていない複数のいずれかの記録ヘッドの一つを、交換された前記基準記録ヘッドの位置調整の基準として使用される準基準記録ヘッドと設定し、
前記基準記録ヘッド以外の記録ヘッドが交換された場合に、前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを紙に対して出力し、この紙上の調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整し、
前記基準記録ヘッドが交換された場合に、交換されていないいずれかの記録ヘッドを準基準記録ヘッドとして、交換された前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを紙に対して出力し、この紙上の調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記基準記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記準基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整する、
ことを特徴とする記録ヘッド交換調整方法。 - 捺染用の記録媒体上に複数色のインク液滴のドットを付着させて記録を行うために複数の独立交換可能な記録ヘッドを備え、該複数の記録ヘッドを前記記録媒体に対して該複数の記録ヘッドの配列方向に移動させつつインク液滴を前記記録媒体に吐出して記録するインクジェット記録装置の記録ヘッド交換調整方法であって、
複数色のインクとして黒を少なくとも使用する場合に黒のインクを使用する記録ヘッドを他の交換された記録ヘッドの位置調整の基準となる記録ヘッド（基準記録ヘッド）と設定すると共に、前記基準記録ヘッドが交換された場合には交換されていない複数のいずれかの記録ヘッドの一つを、交換された前記基準記録ヘッドの位置調整の基準として使用される準基準記録ヘッドと設定し、
前記基準記録ヘッド以外の記録ヘッドが交換された場合に、前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを捺染用の記録媒体に対して出力し、該捺染用の記録媒体に発色処理を施さない状態の調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整し、
前記基準記録ヘッドが交換された場合に、交換されていないいずれかの記録ヘッドを準基準記録ヘッドとして、交換された前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを捺染用の記録媒体に対して出力し、該捺染用の記録媒体に発色処理を施さない状態の調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記基準記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記準基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整する、
ことを特徴とする記録ヘッド交換調整方法。 - 捺染用の記録媒体上に複数色のインク液滴のドットを付着させて記録を行うために複数の独立交換可能な記録ヘッドを備え、該複数の記録ヘッドを前記記録媒体に対して該複数の記録ヘッドの配列方向に移動させつつインク液滴を前記記録媒体に吐出して記録するインクジェット記録装置であって、
複数色のインクとして黒を少なくとも使用する場合に黒のインクを使用する記録ヘッドを他の交換された記録ヘッドの位置調整の基準となる記録ヘッド（基準記録ヘッド）と設定すると共に、前記基準記録ヘッドが交換された場合には交換されていない複数のいずれかの記録ヘッドの一つを、交換された前記基準記録ヘッドの位置調整の基準として使用される準基準記録ヘッドと設定し、
前記基準記録ヘッド以外の記録ヘッドが交換された場合に、前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを紙に対して出力し、この紙上の調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整し、
前記基準記録ヘッドが交換された場合に、交換されていないいずれかの記録ヘッドを準基準記録ヘッドとして、交換された前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを紙に対して出力し、この紙上の調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記基準記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記準基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整する、
ことを特徴とするインクジェット記録装置。 - 捺染用の記録媒体上に複数色のインク液滴のドットを付着させて記録を行うために複数の独立交換可能な記録ヘッドを備え、該複数の記録ヘッドを前記記録媒体に対して該複数の記録ヘッドの配列方向に移動させつつインク液滴を前記記録媒体に吐出して記録するインクジェット記録装置であって、
複数色のインクとして黒を少なくとも使用する場合に黒のインクを使用する記録ヘッドを他の交換された記録ヘッドの位置調整の基準となる記録ヘッド（基準記録ヘッド）と設定すると共に、前記基準記録ヘッドが交換された場合には交換されていない複数のいずれかの記録ヘッドの一つを、交換された前記基準記録ヘッドの位置調整の基準として使用される準基準記録ヘッドと設定し、
前記基準記録ヘッド以外の記録ヘッドが交換された場合に、前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを捺染用の記録媒体に対して出力し、該捺染用の記録媒体に発色処理を施さない状態の調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと交換された前記記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整し、
前記基準記録ヘッドが交換された場合に、交換されていないいずれかの記録ヘッドを準基準記録ヘッドとして、交換された前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドとの間のインク吐出タイミングを変えた複数組の所定のパターンからなる調整用チャートを捺染用の記録媒体に対して出力し、該捺染用の記録媒体に発色処理を施さない状態の調整用チャートの前記複数組の所定のパターン中で前記基準記録ヘッドと前記準基準記録ヘッドの記録位置が合致したパターンのタイミング補正値に基づいて、交換された前記基準記録ヘッドのインク吐出タイミングを補正し、全ての記録ヘッドではなく交換された前記基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置を前記準基準記録ヘッドによるインク液滴の着弾位置に対して調整する、
ことを特徴とするインクジェット記録装置。
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