JP4485370B2 - 並列計算装置 - Google Patents
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Description
図1は、本発明の実施の形態1による並列計算装置を示す構成図であるが、これを説明するのに先立ち、先ず、本発明の基本概念を説明する。
図2は、動作周波数可変型の演算器8台を備えた並列計算装置のタスク処理の一例を示す説明図である。
図2(a)に示す実行モード1では8台の演算器(Proc0〜Proc7)を用いて各演算器の動作周波数を標準状態に設定したものであり、図2(b)に示す実行モード2では4台の演算器を用いて各演算器の動作周波数をモード1の2倍に設定したものである。尚、実行モード2では他の4台の演算器は電力を消費しない休止状態に設定される。装置の演算能力を演算器1台当たりの動作周波数×演算器数と定義すると(通信のオーバーヘッドは無視する)、上記実行モード1と実行モード2は同等の演算能力があることになる。また、ここで、タスクとは演算器による一つの処理単位を意味し、それぞれのタスクはその大きさ(=同一動作周波数の演算器による処理時間)が一定であるとする。
尚、一般的に、例えば、CMOS回路等では、消費電力P[W]と動作周波数Fおよび電源電圧Vとの関係は、リーク電力を無視した場合、式(1)を満足する。ここでtは信号遷移率、Cは静電容量を示す。
P=t・C・F・V2 (1)
消費電力Pは式(1)に示すように動作周波数Fに比例し、かつ電圧Vの2乗に比例するという両要素が支配的である。即ち、消費電力Pは動作周波数Fの変化率に対して3乗のオーダーで推移する。尚、信号遷移率tや静電容量Cは動作周波数や電圧とは関係しない一定の値であるため、t・Cは定数項と見なすことができる。このため、実行モード1と実行モード2での消費電力量は同等にならず、処理するタスク数等に応じて、その大小関係は変わることになる。
図1において、並列計算装置は、演算器1−1〜1−n、実行モード情報格納部2、制御部3、バス4からなる。このような並列計算装置は、例えばレーダシステム等に用いられる計算装置であり、個々のタスクの内容はほぼ同様であるが、タスクの個数が観測周期などの処理タイミングによって変動するようなタスクを処理するものである。演算器1−1〜1−nは、このようなタスクを所定の周期で一定時間内に処理するためのプロセッサである。実行モード情報格納部2は、処理能力を一定とした場合の、演算器1−1〜1−nの台数と動作周波数の組み合わせからなる複数の実行モードに対し、タスクの個数に対する最も消費電力量が少ないモードを選択するためのモード転換点の値を格納する記憶部である。制御部3は、タスクの個数が与えられた場合、実行モード情報格納部2に格納されているモード転換点の値と比較して、モードを選択する機能を有している。また、バス4は、演算器1−1〜1−nと実行モード情報格納部2と制御部3とを相互に接続するためのバスである。
本実施の形態1では、動作周波数・電圧可変の省電力型プロセッサ(演算器1−1〜1−n)として、PowerPC(登録商標)405LPを120台備える並列計算装置を想定した場合を説明する。
図3は、PowerPC405LPのスペックを示したものである。
また、ここでは、本装置は以下の2つの実行モードを備えているものとする。両モードは先に示した演算能力の定義(装置の演算能力=「演算器1台当たりの動作周波数」×「演算器数」)により同等の演算能力を備えている。
動作周波数:152MHz(標準動作状態)
・実行モード2:プロセッサ数:48(=120×(152/380))
動作周波数:380MHz(高速動作状態)
ここで、各パラメータが以下の場合のケースを考える。
観測周期時間(単位時間)(t)=10秒
タスク数(N)=0〜400程度
演算器標準動作状態での1タスクの処理時間=2秒(高速動作状態では0.8秒)
尚、両モードともタスクを処理していない時の消費電力は0.0115W(遊休状態時)とする。
例えば、レーダシステムの場合、対象物の座標に関する値が所定の観測周期で取得される。ここで、複数の対象物のうち、一つの対象物に関する座標計算といった処理を一つのタスクとした場合、各タスクはほぼ同じであり、また、観測周期毎に発生するタスクの内容もほぼ同じである。一方、対象物の個数は時間と共に変動する。即ち、個々のタスクの内容は一定であるが、タスクの個数は変動する。このようなシステムに対して実施の形態1では次のように動作する。
制御部3は、タスク群の入力待ちを行い(ステップST1)、タスク群の入力があった場合は、実行モード情報格納部2よりモード転換点TPの値を取得する(ステップST2)。次に、取得したモード転換点TPとタスク群の値(タスク数)Nとを比較し(ステップST3)、N<TPであれば実行モード1により演算器1−1〜1−nの制御を実行し(ステップST4)、N≧TPであれば実行モード2により実行する(ステップST5)。その後は、ステップST1に戻り、上記の処理を、タスク群の入力周期で同様に行う。尚、2度目以降の処理では、ステップST2で取得したモード転換点TPの値を保持しておき、これを用いるようにしてもよい。
実施の形態2は、タスクの内容の変化を考慮して実行モードを選択するようにした並列計算装置を示す例である。
図7は、実施の形態2における並列計算装置の構成図である。
図示の並列計算装置は、演算器1−1〜1−n、実行モード情報格納部2a、制御部3a、バス4、タスク情報格納部5からなる。ここで、演算器1−1〜1−nおよびバス4は、実施の形態1の演算器1−1〜1−nおよびバス4と同様である。また、実行モード情報格納部2aは、処理能力を一定とした場合の、演算器の台数と動作周波数の組み合わせからなる複数の実行モードの情報のみを格納する機能部である。タスク情報格納部5は、対象となるタスクに対する、演算器1−1〜1−nのタスク処理時間を示すタスク情報を格納する機能部である。制御部3aは、対象となるタスクとタスクの個数が与えられた場合、タスク情報格納部5におけるタスク情報と、実行モード情報格納部2aにおける実行モード情報とに基づいて、タスクの個数における実行モード毎の消費電力量を算出して、これらの値が小さいモードを実行モードとして選択する機能を有している。
例えば、レーダシステムの場合、対象物に関する値として座標以外にも処理対象とする値が存在する場合がある。即ち、一つのタスクを構成する要素が運用条件等によって異なる場合がある。また、レーダシステム以外でも、処理を行うアプリケーションが異なると、そのタスク実行時間も異なる場合がある。実施の形態2では、このようなタスクに関する情報として、例えば、演算器1−1〜1−nにおける標準状態の動作周波数のタスク処理時間の情報がタスク情報格納部5に格納されている。
制御部3aは、タスク群の入力待ちを行い(ステップST11)、タスク群の入力があった場合は、そのタスクの種類に基づき、タスク情報格納部5よりタスク情報を取得する(ステップST12)。即ち、対象となるタスクの標準状態の動作周波数のタスク処理時間の情報を取得する。次に、実行モード情報格納部2aより、実行モード情報を取得し(ステップST13)、タスク処理時間と、演算器1−1〜1−nの台数と、動作周波数に基づいて、対象となるタスクの個数に対する各モードの消費電力量の値を算出する(ステップST14)。尚、動作周波数が実行モード1の2倍である実行モード2では、処理時間を1/2として演算を行う。また、演算器1−1〜1−nへの供給電圧は一定とする。このようにして算出した実行モード1と実行モード2の消費電力量を比較し(ステップST15)、実行モード1<実行モード2であった場合は、実行モード1により実行し(ステップST16)、実行モード1≧実行モード2であった場合は、実行モード2で実行する(ステップST17)。そして、このような処理を、タスク群が入力される度に繰り返す。
Claims (6)
- その個数が処理タイミングによって変動し、かつ、それぞれの処理時間が一定のタスクを処理する、少なくとも1台以上の演算器と、
処理能力を一定とした場合の前記演算器の台数と動作周波数の組み合わせからなる複数の実行モードの、使用する演算器の最も消費電力量が少ない実行モードが転換するタスクの個数を示すモード転換点の値を格納する実行モード情報格納部と、
タスクの個数が与えられた場合、前記実行モード情報格納部のモード転換点と比較して使用する演算器の最も消費電力量が少ない実行モードを選択する制御部とを備えた並列計算装置。 - その個数が処理タイミングによって変動し、かつ、それぞれの処理時間が一定のタスクを処理する、少なくとも1台以上の演算器と、
処理能力を一定とした場合の演算器の台数と動作周波数の組み合わせからなる複数の実行モード毎の、タスクの個数に対する使用する演算器の消費電力量の値を格納する実行モード情報格納部と、
タスクの個数が与えられた場合、前記実行モード情報格納部の実行モード毎の消費電力量の値に基づき、当該タスクの個数における消費電力量が最小の実行モードを選択する制御部とを備えた並列計算装置。 - その個数が処理タイミングによって変動し、かつ、それぞれの処理時間が一定のタスクを処理する、少なくとも1台以上の演算器と、
処理能力を一定とした場合の演算器の台数と動作周波数の組み合わせからなる複数の実行モードの情報を格納する実行モード情報格納部と、
対象となるタスクに対する、前記演算器のタスク処理時間を示すタスク情報を格納するタスク情報格納部と、
対象となるタスクと当該タスクの個数が与えられた場合、前記タスク情報と前記実行モード情報とに基づいて、前記タスクの個数における実行モード毎の消費電力量を算出して、これらの値が小さいモードを実行モードとして選択する制御部とを備えた並列計算装置。 - 制御部は、演算器の動作周波数を下げる場合、当該演算器への供給電圧を下げるよう制御することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の並列計算装置。
- 処理能力の異なる演算器を備えた場合、全体の処理能力が一定となるよう実行モードを設定することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の並列計算装置。
- 制御部は、消費電力量が同一であった場合、演算器の台数または動作周波数のいずれかを優先して実行モードを選択することを特徴とする請求項5記載の並列計算装置。
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