JP4484998B2 - シートベルト装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等のシートに着座した乗員の身体を、例えば緊急時にシートに拘束するシートベルト装置に関し、特に、前記乗員の身体を前記シートに拘束するウェビングと、前記ウェビングに摺接して当該ウェビングを案内するウェビングガイドとを備えたシートベルト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両の乗員等をシートに拘束するためのシートベルト装置として、連続ウェビングを用いた三点式シートベルト装置がある。
【0003】
図9には、このようなシートベルト装置210が示される。シートベルト装置210のウェビング211は、一端部を、リトラクター212に引出し可能に巻回されるとともに、他端部を、センターピラー213の下部に軸支されたアンカープレート214に、ウェビングガイドであるスルーアンカ215を介して係止される。ウェビング211は、アンカープレート214及びスルーアンカ215間に配設されたスルータング216を、車体におけるシート217近傍に立設されたバックル218に係合される。これによりウェビング211は、乗員(図示しない)をシート217に拘束する。
【0004】
シートベルト装置210には、ウェビング211を案内するためのウェビングガイドとして、上記スルーアンカ215及びスルータング216の他に、図示しないスルーベルト、リトラクターの出口のウェビングガイド等が設けられる。ウェビングガイドにはそれぞれ、長孔状のベルトスロットが設けられており、ベルトスロットは、挿通されたウェビング211を摺接して案内する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ウェビング211の良好な巻取り性、及びウェビング211引出し時の良好な操作感を確保するには、前記ベルトスロットとウェビング211との摺接部分における摩擦抵抗を可能な限り低く抑えることが必要である。そこで、被覆樹脂により表面形状を滑らかにしたり、摩擦抵抗の良いフッ素系の塗料を塗布する等して表面処理を施したりしている。
【0006】
ウェビングガイドのうち、スルーアンカ215は、例えばインサート金具に被覆樹脂をモールド成形することにより、構成することができる。スルーアンカ215は、車両衝突時に荷重を負担しなければならないため、荷重作用時に変形することがない十分な機械的強度が要求される。
【0007】
また、インサート金具に被覆樹脂をモールド成形することにより形成されたスルーアンカでは、モールド材料によっては市場でユーザーが繰り返し使用しているうちに、スルーアンカとウェビング間の摩擦抵抗が増加して、ウェビング巻取性に影響を与える恐れがあった。
【0008】
そこで、このような問題を解決するものとしてアメリカ合衆国特許第4,618,165号明細書には、金属板をプレス加工して成形した低摩擦且つ機械的強度及び耐久性の高いウェビングガイドが開示されている。しかしながら、このウェビングガイドは、金属板からプレス加工によりウェビングガイドを製作していくので、上述の現行型ウェビングガイドに比べて非常に製作コストが高くなり、しかも、ウェビングが通過する隙間を適正に保つのが困難である。ウェビングガイドの製作コストが増大すれば、シートベルト装置全体としての製作コストも増大してしまう。
【0009】
本発明はかかる事情に鑑み、コストの増大の少ない簡易な構造でありながら、ウェビングを良好且つ継続的に案内することによって良好な巻取り性能を維持することができるシートベルト装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、乗員の身体をシートに拘束するウェビングと、前記ウェビングに摺接して当該ウェビングを案内するウェビングガイドとを備えてなるシートベルト装置において、前記ウェビングガイドは、インサート金具と、前記インサート金具に被覆樹脂をモールド成形しウェビング挿通間隙を有する樹脂体と、前記ウェビング挿通間隙に挿通された前記ウェビングが摺接する金属部材とからなり、前記金属部材は、前記ウェビングとの摺動面が前記樹脂体よりも前記ウェビング側に突出して前記ウェビングが前記樹脂体に接触しないように設定されていることを特徴とするシートベルト装置によって達成される。
【0011】
本発明のシートベルト装置は、ウェビングガイドに摺接して案内されたウェビングが、乗員の身体をシートに拘束する。前記ウェビングガイドにおける前記ウェビングとの摺接部分は金属部材である。したがって、前記ウェビングガイドにおける前記ウェビングとの摺動面(すなわち金属部材)へのゴミの付着が抑制され、前記ウェビングとの摺動性に経時劣化が少なく、良好な摺動性を持続できる。
【0012】
前記金属部材は、前記樹脂体がモールド成形された後に当該樹脂体上に装着されても良く、又は樹脂体をモールド成形する際に一体成形されても良い。
【0013】
前記金属部材の突出量は、前記ウェビングが当該金属部材上を摺動する際に、当該ウェビングが樹脂体に接触しないように設定される。前記ウェビングが前記金属部材上を摺動する際に、当該ウェビングが樹脂体に接触すると、その接触部位が比較的高い摩擦を受けて摩耗してしまう。この摩耗はシートベルトの巻取り性能を低下させるため好ましくないので、金属板の突出量はウェビングが樹脂体に接触しない適当な値に設定される。また、製作コストの低減及び軽量化のために、前記金属板の幅が、前記ウェビングの幅以下になることが好ましい。
【0014】
また、前記構成のシートベルト装置の場合、前記金属部材が、前記樹脂体よりも前記ウェビング側に突出させることで樹脂体に接触しないようにしてある。更に、その突出量を適当に設定することで、当該金属部材の幅が当該ウェビングの幅以下であっても、当該ウェビングの幅方向端部は前記樹脂体に接触しない。これは前記ウェビングが湾曲に対してある程度の剛性を有しているからである。
【0015】
以上のことがらを考慮すると、前記構成のシートベルト装置に用いられる前記ウェビングガイドにおいては、前記金属部材の幅が35〜55mmであることが好ましく、また、当該金属部材の突出量が0.05〜1mmであることが好ましい。ただし、前記金属部材の幅及び突出量はこれに限定されるものではない。
【0016】
前記金属部材の大きさは製作コストを抑えるために必要最小限にすることが好ましい。本発明によれば、必要最小限の前記金属部材を用いることで、製作コストを大幅に増大させることなく、低摩擦下における前記ウェビングの巻取り性能を維持することができる。本発明によれば、前記金属部材の幅を前記ウェビングの幅以下とすることにより、製作コストを抑えることが可能である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の第1実施形態であるシートベルト装置に用いられるスルーアンカを示す正面図であり、図2は、図1のスルーアンカのA矢視断面図である。
【0019】
シートベルト装置において、ウェビングは、一端部を、リトラクターに引出し可能に巻回されるとともに、他端部を、車両のセンターピラーの下部に軸支されたアンカープレートに、ウェビングガイドであるスルーアンカを介して係止される。ウェビングは、アンカープレート及びスルーアンカ間に配設されたスルータングを、車体におけるシート近傍に立設されたバックルに係合させることにより、乗員をシートに拘束する。
【0020】
図1及び図2を参照すると、スルーアンカ10は、1枚の金属板を所要形状に加工されてなるインサート金具1に、被覆樹脂2をモールド成形により一体化して構成される。
【0021】
インサート金具1の図中上部には、スルーアンカ10をセンターピラーに回動自在に支持させるためのボルト等(図示しない)を嵌挿するボルト嵌挿孔4が穿設される。インサート金具1は、例えば鋼板等の金属板の打ち抜き加工により、所要形状に形成されており、スルーアンカ10の耐荷重性能を確保する。インサート金具1の材質としては、所定の荷重に耐えられるように、例えば所定の板厚の炭素鋼鋼材(JIS SC材)が挙げられる。また、このインサート金具に熱処理を施して所定の荷重に耐えられるようにしてもよい。
【0022】
被覆樹脂2は、インサート金具1の周囲に、所要形状となるように、モールド成形される。被覆樹脂2は、機械的強度の高い樹脂からなる。被覆樹脂2の具体例としては、ポリアミド6等のポリアミド系樹脂、ポリアセタール及びポリプロピレンに強化剤を入れた樹脂、又はポリカーボネート等が挙げられる。
【0023】
被覆樹脂2の周囲には、例えば、所定の荷重に耐え得るステンレス、鉄系材、アルミ合金、チタン合金等からなる薄板の金属板3を湾曲加工して巻き付けて固着することにより、金属板3の一部表面でウェビングとの摺接面5(以下「ウェビング摺接面5」という。)を形成する。この金属板3の表面には、ゴミの付着を抑制して良好な摺動性を持続できるようにメッキ処理が施されていることが好ましい。なお、金属板3がステンレス板の場合は、メッキ処理が施されてなくてもよい。メッキとしては、クローム、ニッケル、無電解、コバルト、スズコバルト、硬質クロームの何れかが好ましい。
【0024】
図3(a)には、図1のスルーアンカ10における金属板3付近の拡大図が示される。更に、図3(a)にはウェビングW(断面)が摺接している様子が示される。金属板3は被覆樹脂2の表面よりも突出している。この実施形態においては、金属板3の幅はウェビングWよりもわずかに狭くなっているが、当該金属板3のウェビングとの接触面が被覆樹脂2の表面よりも高い位置にあるので、ウェビングWの幅方向端部が被覆樹脂2に接触することはない。
【0025】
次に、本実施形態の作用を説明する。シートベルト装置において、乗員をシートに拘束するウェビングは、スルーアンカ10のウェビング挿通間隙に挿通され、ウェビング摺接面5とで摺接されることにより、スルーアンカ10に案内される。
【0026】
スルーアンカ10は、ウェビングWをウェビング摺接面5との間で優れた摺動性を以て摺接させ、且つ案内する。更に、ウェビング接触面5はウェビングWよりも幅が狭いが、被覆樹脂2の表面よりも突出しているので、ウェビングWは摺動し易い金属板3のみ接触する。したがって、低摩擦での摺動が維持される。金属板3の縁部6は、ウェビングWを損傷させないように丸みをおびていることが好ましい。
【0027】
以上のように上記実施形態によれば、ウェビングガイドであるスルーアンカ10は、インサート金具1に被覆樹脂2をモールド成形してなり、かつ、ウェビングWと摺接する面は金属部材3である。
【0028】
すなわち上記実施形態によれば、インサート金具1に被覆樹脂2をモールドした後、被覆樹脂2の周囲に例えば鉄系材からなる金属板3を、当該金属板が被覆樹脂2よりもウェビングW側に突出するように巻き付けて固着することにより、ウェビング摺接面5を構成する。したがって、簡易な構造でコスト低減を図ることができるものでありながら、スルーアンカ10との摺動性に経時劣化が少なく、優れた摺動性が持続できる。
【0029】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、適宜変更、改良等が可能である。例えば、金属部材を巻き付けて装着せずに、インサート成形により一体化してもよい。また、インサート金具に摺動部を形成し当該摺動部を被覆樹脂から露出させ、この部分をウェビングと摺接する金属部材としてもよい。
【0030】
【実施例】
以下に、ウェビングWの幅方向端部が金属板3から張出した際の、当該ウェビングの変形量についての実施例を述べる。図4には、ウェビングWの幅方向端部が金属板3から張出した様子が示される。ウェビングWは金属板3から張出量xだけ張出しており、その際、変形量yだけ撓み変形している。この張出量xに対する変形量yを測定する装置が図5に示される。
【0031】
図5に示される測定装置50は、直径15mmの鉄パイプ52が、ウェビングWの幅と同等の張出量をもって万力51にて固定されており、当該パイプをスルーアンカのウェビング摺動面に見立てている。ウェビングWは鉄パイプ52に巻き掛けられており、且つ下方Lに向かって2.74N(ウェビングの引出力及び巻取力を想定し、巻取力1.37Nの2倍とした)の負荷が、ウェビングWの両側に等しくかけられている。
【0032】
そして、ウェビングWを、その幅方向Dに向けて少しずつ張り出させ、当該ウェビングの張出量xをノギス(非図示)にて測定し、そのときのウェビングWの変形量yをハイトゲージ53にて測定する。測定の手順としては、鉄パイプ52に巻き掛けたウェビングの基準点を確定した後、ウェビングWの張出先端の変位を光源54及び天眼鏡(非図示)を利用して出来るだけ正確に測定する。以後、この操作を繰り返して測定値を得る。
【0033】
【表1】
【0034】
図5の装置及び上述の手順をもって測定した結果が表1に示され、この表1をプロットしたグラフが図6に示される。図6から明らかなように、張出量xと変形量yとの間にはほぼ比例関係が成り立つ。スルーアンカ10における金属板3の幅及び突出量は、これらの結果から選択される。例えば、ウェビングWが金属板3から張出量6.2mmだけ張出すならば、そのときの変形量は0.34mm程度であると予想されるので、当該変形量を考慮して前記突出量は0.1mm〜1.0mmに決定される。
【0035】
次に、本実施形態によるスルーアンカと従来型のスルーアンカとの耐久性を比べた結果を示す。図7には、スルーアンカの格納余裕力(ウェビングを巻込む力)を測定するための格納余裕力試験装置が示される。
【0036】
図7に示すように、格納余裕力試験装置70においては、シートベルト保持架台71に保持されたシートベルト装置のウェビングWが、ウェビング引出巻取用エアシリンダ73の作動に伴って、リトラクター72からの引出し及び巻取り動作が繰り返される。
【0037】
シートベルト保持架台71は、ベース82上に立設されており、シートベルト装置のリトラクター72、スルーアンカ74、模擬ショルダー部材77及びウェビングWを車両搭載時と略同一の位置に保持する。すなわち、シートベルト保持架台71は、基端部(図7中下端部)近傍にウェビングWを巻回したリトラクター72と、該リトラクター72から所定の垂直距離をおいた図7中上端部近傍にウェビングWを挿通されたスルーアンカ74と、該スルーアンカ74近傍に配設された模擬ショルダー部材77とを支持する。
【0038】
前記ウェビング引出巻取用エアシリンダ73は、エアシリンダ支持架台84に所定の姿勢で支持されており、シリンダロッド73aに固定された取付プレート75にハンガー部材等を介してウェビングWを固定している。エアシリンダ支持架台84は、ベース82上にシートベルト支持架台71と所定の位置関係を以って固定される。
【0039】
ウェビング引出巻取用エアシリンダ73は、シリンダ本体73bからのシリンダロッド73aの進退に伴って、非使用状態と略同一の状態にあるウェビングWを、乗員拘束状態と略同一の状態まで、リトラクター72から所定量a引出すとともに、引出したウェビングWを、再び非使用状態と略同一の状態まで、すなわち所定量aだけリトラクター72に巻き取らせる。なお、本実施例では所定量aは500mmに設定されている。
【0040】
模擬ショルダー部材77は、曲率半径約500mmに設定されており、取付位置はその中心がスルーアンカ74から所定量cだけオフセットされて設定されている。なお、本実施例では所定量cは200mmに設定されている。模擬ショルダー部材77の表面はポリエステル布で覆われており、このポリエステル布上面先端がウェビングWに当たったかどうか確認した後、模擬ショルダー部材77を本実施例では約10mmウェビングWに押し当てて設置している。
【0041】
前記リトラクラー72は、スルーアンカ74より垂直下方に所定量d、本実施例では約690mm下方に位置している。また、スルーアンカ74を介したウェビングWのなす角度は、側面視でf、本実施例では70°であり、上面視では45°に設定されている。
【0042】
また、スルーアンカ74より垂直下方に所定量e、本実施例では約780mm下方にラップアウター78が設けられる。このラップアウター78は、ウェビング引出巻取用エアシリンダ73に取付けられたウェビングWを取り外して該ウェビングWをラップアウター78に取付け、ウェビングWに錘を下げて格納余裕力を測定するときに利用される。
【0043】
本実施例では、実際に経時劣化したものと劣化傾向の似たサンプルとして、人工皮脂液を塗布している。人工皮脂液としては公知の種々のものを用いることができ、例えば本実施例では、有機成分としてオレイン酸と蛋白質等を、無機成分として泥を使用したものを利用している。
【0044】
このような処方からなる人工皮脂液を引出巻込み100回毎(引込み巻込みで1回とする。)に模擬ショルダー部材77の表面に向けて1回所定量塗布し、引出巻込み動作の所定回数毎に、ウェビングWを取り付けたラップアウター78のウェビングWに質量5g単位の錘を取り付けて実験を行った。なお、本実施例では、この錘の質量から格納余裕力[N]を算出している。サンプルAは金属板3の突出量が0.3mmであり、金属板3の幅が47mmである。また、サンプルBは金属板3の突出量が0mmであり、金属板3の幅が47mmである。
【0045】
上述の試験の結果を表2に、この表2をプロットしたグラフを図8に示す。なお、表2及び図8において、サンプルAは本実施形態に用いられるタイプのスルーアンカ、サンプルBは上述した突出量0mmのタイプのスルーアンカである。
【0046】
【表2】
【0047】
表2及び図8から明らかなように、本実施形態のサンプルAにおいては、耐久回数1000まで低下の少ない格納余有力の結果となった。1000回目の測定後、新品のスルーアンカと交換してウェビングの劣化を測定した結果、当該ウェビングによる格納余裕力の低下は0.05Nであることがわかった。したがって、スルーアンカによる格納余有力の低下は0.05Nであり、きわめて小さいことがわかった。これに対してサンプルBの場合、耐久回数400程度から格納余裕力の低下が目立ち始め、耐久回数1000回では初期値より0.41Nほど低下している。サンプルAと同様に新品スルーアンカに交換して測定した結果、ウェビングによる格納余裕力の低下が0.25Nであり、またスルーアンカによる格納余裕力の低下が0.16Nであり、サンプルAと比較すると大きいことがわかった。加えて、試験後のスルーアンカのウェビング摺動部近傍の被覆樹脂にはガム汚れがあった。以上の結果より、本実施形態におけるスルーアンカを使用すると、当該スルーアンカ及びウェビングの摺動性の低下が突出量0mmのときに比べて著しく抑えられることがわかった。また、サンプルBは、初期の格納余裕力については比較的大きな値が得られるが、経時劣化が比較的大きいことがわかった。これに対して、本発明の対象となるサンプルAは経時劣化がほとんどなく、格納余裕力が安定して一定の値に維持されることがわかった。また、サンプルAとサンプルBとの違いは金属板の突出量のみであり、上記結果の違いをもたらした要因が主として突出量であることが明らかになった。
【0048】
【発明の効果】
以上のように、本発明のシートベルト装置は、ウェビングガイドが、インサート金具と、前記インサート金具に被覆樹脂をモールド成形しウェビング挿通間隙を有する樹脂体と、前記ウェビング挿通間隙に挿通されたウェビングが摺接する金属部材とからなり、前記金属部材は、前記ウェビングとの摺動面が前記樹脂体よりも前記ウェビング側に突出して前記ウェビングが前記樹脂体に接触しないように設定されていることを特徴とするので、前記ウェビングガイドを必要以上に大きくしてコストを増大させることなく、良好な摺動性を実現することができ、更に、良好な摺動性を長期にわたって維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態であるシートベルト装置のスルーアンカを示す正面図である。
【図2】図1のスルーアンカのA矢視断面図である。
【図3】図1のスルーアンカの金属部材付近の拡大図である。
【図4】ウェビングが金属部材から突出した際の変形の様子を示す側面(一部断面)図である。
【図5】ウェビングの張出量に対する変形量を測定する装置である。
【図6】ウェビングの張出量に対する変形量を測定値をプロットしたグラフである。
【図7】本実施形態によるスルーアンカと従来型のスルーアンカとの耐久性を測定するための装置である。
【図8】図7の装置にて行われた測定の測定値をプロットしたグラフである。
【図9】シートベルト装置である。
【符号の説明】
1 インサート金具
2 被覆樹脂
3 金属板
5 ウェビング摺動面
10,20 スルーアンカ
W ウェビング
x ウェビングの張出量
y ウェビングの変形量
Claims (2)
- 乗員の身体をシートに拘束するウェビングと、前記ウェビングに摺接して当該ウェビングを案内するウェビングガイドとを備えてなるシートベルト装置において、前記ウェビングガイドは、インサート金具と、前記インサート金具に被覆樹脂をモールド成形しウェビング挿通間隙を有する樹脂体と、前記ウェビング挿通間隙に挿通された前記ウェビングが摺接する金属部材とからなり、前記金属部材は、幅が前記ウェビングの幅以下であり、且つ前記ウェビングとの摺動面が前記樹脂体よりも前記ウェビング側に突出して前記ウェビングが前記樹脂体に接触しないように設定されていることを特徴とするシートベルト装置。
- 前記金属部材の縁部は丸みをおびていることを特徴とする請求項1に記載のシートベルト装置。
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