JP4483755B2 - 二重サッシ - Google Patents
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また、二重サッシにおいて、内側閉塞体が引戸で内側閉塞体収納部(戸袋)を有する場合に、中間空気層の音が内側閉塞体収納部に伝播して、十分な遮音を図れないおそれがある。
更に、上述の従来技術のようにサッシ枠内周面に吸音材を設けた場合は、吸音材が外部から見えるので外観を損なうという問題点があった。
また、閉塞空間部において、吸音材のみでは高周波音しか減衰できないが、枠外周側空気層と吸音材とを設けることにより、低周波音も合わせて減衰できる。これにより、高周波域及び低周波域の両方に対して効果的な遮音を図ることができる。
吸音材はサッシ枠の外周側に設けており、外部から吸音材が見え難くいので、外観が良い。
内側サッシ枠の左右枠の少なくとも一つの枠の外周側には内側閉塞体収納部を設けて内側閉塞体を収納できるようにしてあるから、内側閉塞体を開けたときに内側サッシ枠の内周に内側閉塞体が残らないように広く開けることができる。
また、吸音材のみでは高周波音しか減衰できないが、枠内には枠内空気層と吸音材とを設けているので、低周波音も合わせて減衰できる。これにより、高周波域及び低周波域の両方に対して効果的な遮音を図ることができる。
吸音材はサッシ枠の内部に設けており、外部から吸音材が見え難くいので、外観が良い。
躯体開口部に設置した内側サッシ枠に枠内空気層を形成して吸音材を設置したり、予め吸音材及び枠内空気層を設けたサッシ枠を躯体開口部に設置することにより施行できるので、施行が容易である。
内側サッシ枠の内周側に内側閉塞体収納部を設けて内側閉塞体を収納できるようにしてあるから、内側閉塞体を開けたときに内側サッシ枠の内周に内側閉塞体が残らないように広く開けることができる。
また、内側閉塞体収納部を通じて吸音材を中間空気層に面することができ、サッシ枠に吸音材用の連通孔を別途設けなくて済む。
第1実施の形態に係る二重サッシ1は、外側サッシ枠3、内側サッシ枠5、外側サッシ枠3の内周側を閉塞する外側閉塞体7と、内側サッシ枠5の内周側を閉塞する内側閉塞体9と、内側閉塞体9を収納する内側閉塞体収納部11とを備えている。
外側サッシ枠3は、躯体壁8の開口部内周に取付けてある。
内側サッシ枠5は、外側サッシ枠3よりも室内側の位置に設けられている。外側サッシ枠3と内側サッシ枠5との間において躯体壁8の内周には躯体開口枠10が設けてある。
外側閉塞体7は、引違いサッシの障子であり、互いに引き違う2枚の障子13は框15と単板ガラス17とから構成されている。各障子13は、各々サッシ枠7の室外側レール19を移動して開閉するようになっている。
内側閉塞体9は、3枚の引き違い障子21で構成されている。各障子21は、框23と框23に取付けられたポリカーボネートパネル25とから構成されている。各障子21は、各々サッシ枠5の上枠29に設けた室内側レール13を移動して開閉するようになっている。
内側閉塞体9と外側閉塞体7との間には中間空気層27が設けられている。
内側サッシ枠5は、上枠29と、左右の竪枠33、35とから構成されており、一方の竪枠(右竪枠)33の外周側には内側閉塞体収納部11が設けられていると共に、一方の竪枠33には内側閉塞体9を内側閉塞体収納部11に引き込み可能な連通部37が形成されている。尚、連通部37は開口である。
内側閉塞体収納部11は、躯体壁8と躯体壁8の室内側に間隔をおいて位置する内壁14との間に設けてあり、この内側閉塞体収納部11内には、内側閉塞体9の各障子21を並列にして収納する空間が形成されている。
内側サッシ枠5の一方の竪枠33の外周側において、内側閉塞体収納部11の外周側には閉塞空間部39が設けられている。更に、本実施の形態では、内側サッシ枠5の上枠29の外周側にも閉塞空間部41が設けられている。竪枠33側の閉塞空間部39は、竪枠33に設けた開口(連通部)37と、内側閉塞体収納部11とにより中間空気層27に連通している。上枠29側の閉塞空間部41は、上枠29の外周側において、一方の竪枠33側の端部から上枠29の長手方向略半分の位置まで設けてあり、上枠29には、連通部43が設けてあり、閉塞空間部41が連通部43を通じて中間空気層27に連通している。連通部43は開口である。
一方の閉塞空間部39及び他方の閉塞空間部41は、各々内部に吸音材45を備え、吸音材45の外周側に枠外周側空気層47が設けてある。吸音材45は内周側面45aが中間空気層27に面している。また、各吸音材45の外周側面45bは枠外周側空気層47に面している。
竪枠側の閉塞空間部39及び上枠側の閉塞空間部41では、各々吸音材45の内周側面45aには目板49は設けてあり、目板49には多数の孔が形成されている。
各枠外周側空気層47と中間空気層27とはそれぞれ各吸音材45を挟んで連通されている。
尚、本実施の形態では、吸音材45の容積と枠外周側空気層37とは略同じ容積としてある。
目板41はパンチングメタルであり複数の連通口51が形成されており、吸音材45と中間空気層27との連通が図られている。
吸音材45は、発泡コンクリートやセラミック等の剛性吸音材であり且つ略直方体形状を成している。
また、上枠29の外周側に設けた閉塞空間部41でも、一方の閉塞空間部39と同様に、中間空気層27に伝播した音を吸音材45及び枠外周側空気層47で減衰するので更に遮音性能を高めることができる。
本実施の形態では、中間空気層27の音エネルギーが竪枠側閉塞空間部39及び上枠側閉塞空間部41の内部に設けた各吸音材45で減衰されて枠外周側空気層47へ移動してこの枠外周側内空気層47で減衰され、再度吸音材47を通って減衰されて中間空気層27に戻ったり、一方の閉塞空間部39で減衰されて中間空気層27に戻った音が次に他方の閉塞空間部41で減衰されたり、他方の閉塞空間部41で減衰されて中間空気層27に戻った音が次に一方の閉塞空間部39へ移動して減衰されるという工程を繰り返すことによって高い遮音効果を得ることができる。
また、中間空気層27に伝播した音に限らず、躯体壁8や内壁14に直接伝播した音も内壁14と躯体壁8との間にある竪枠側の閉塞空間部39や上枠側の閉塞空間部41の内部にある吸音材31及び枠外周側内空気層47で減衰できるので高い遮音効果を得ることができる。
吸音材31は内側サッシ枠5の外周側に設けており、外部から見え難くいので、外観が良い。また、吸音材45は内側サッシ枠5の外周側に納めることにより、形状、材質等の制限が少なくでき使用する吸音材の自由度が高い。
二重サッシには内側閉塞体収納部11を設けて内側閉塞体9を収納できるようにしてあるから、内側閉塞体9を内側閉塞体収納部11内に収めて内側サッシ枠の内周を広く取ることができる。
試験では、外側閉塞体7には厚み5mmの単板ガラスを用い、内側閉塞体9には厚み4mmのポリカーボネート板を用い、内側閉塞体9と外側閉塞体間7の中間空気層の巾は平均115mmとした。
また、上述した実施の形態において、上枠29の外周部に閉塞空間部39を設けずに、竪枠33の外周側にのみ閉塞空間部39を設けたものを本発明品とした。尚、吸音材45は縦横が100mm×138mmで高さ250mmである。
一方、本発明品において、閉塞空間部39に吸音材45を設けないものを比較例品1とした。
また、本発明品において、閉塞空間部39に吸音材45のみを設け、枠外周側空気層47を設けていないものを比較例品2とした。
上記本発明品と比較例品1及び2について、JIS A 1416に規定する測定方法に基づいて各周波数毎に音響透過損失を測定したので、その結果を下記表1に示すと共に、本発明品と比較例品1及び2の各値をプロットしたものを図4のグラフに示す。尚、下記表1及び図4のグラフにおいて、○は本発明品であり、●は比較例品1、△は比較例品2である。
尚、表1において、T−2及びT−3で示すのは、遮音性能の適合等級(JIS A 4706の規定)である。遮音性能の適合等級について、表1の測定値から判定したところ、本発明品はT−3の適合等級であった。
第2実施の形態では、内側閉塞体収納部11は躯体壁8の室内側における内側サッシ竪枠33の内周側に設けてあり、内側閉塞体収納部11に位置する内側サッシ竪枠33の内部に枠内空気層53及び吸音材45を設けていることが、上述した第1実施の形態と異なる。
即ち、内側閉塞体収納部11に位置する内側サッシ竪枠33は、横断面略コ字形状であり、コ字の開口を中間空気層27に連通する連通部37としてあり、内側サッシ竪枠33に、中間空気層27側から外周側に内側閉塞体収納部11、吸音材45、枠内空気層53とをこの順序で配置している。
吸音材45は内周側面が中間空気層27に面し、吸音材45の外周側面が枠内空気層53に面している。
この第2実施の形態によれば、内側サッシ枠5の内部に吸音材45と枠内空気層53とを設けているから、中間空気層27に伝播した音は吸音材45と枠内空気層とによって減衰できるので、高い遮音効果を得ることができる。
吸音材45のみでは高周波音しか減衰できないが、枠内空気層53を吸音材45に連通させることにより、低周波音も合わせて減衰できる。これにより、高周波域及び低周波域の両方に対して効果的な遮音を図ることができる。
吸音材45は内側サッシ枠5の内部に設けており、外部から吸音材が見え難くいので、外観が良い。
躯体開口部に設置した内側サッシ枠5に枠内空気層53を形成して吸音材45を配置したり、予め吸音材45及び枠内空気層53を設けた内側サッシ枠5を躯体開口部に設置したりできるので、施行が容易である。
二重サッシ1には、内側閉塞体収納部11を設けて内側閉塞体9を収納できるようにしてあるから、内側閉塞体9を開けたときに内側サッシ枠5の内周側に内側閉塞体9が残らないように広く開けることができる。
一つのサッシ枠に内側閉塞体収納部11と吸音材45と枠内空気層53とを集約できるので施工が容易である。
また、内側閉塞体収納部11を通じて吸音材45を中間空気層に面することができ、内側サッシ枠5に吸音材用の連通孔を別途設けなくて済む。
図6(a)(b)に示す他の実施の形態によれば、上述した第1実施の形態と同様の効果を得ることができる。
吸音材45は、グラスウールやロックウール等の繊維系吸音材や、薄膜吸音材、穴あき板、スリット板やこれらを複合して用いたものであってもよい。
内側閉塞体9と外側閉塞体7との少なくとも一方を複層パネルとしてもよい。
外側閉塞体7を嵌め殺し障子としてもよいし、上げ下げ障子や開き障子としてもよいし、窓種は問わない。
第1実施の形態において、竪枠33側のみに閉塞空間部39を設けたり、上枠29側のみに閉塞空間部41を設けてもよいし、他方の竪枠(左竪枠)35に閉塞空間部39を設けてもよい。また、上枠側に設ける閉塞空間部41は上枠29の長手方向に沿って上枠29の端から端まで設けるものであってもよい。
内側サッシ枠5には下枠を設け、下枠の外周側に閉塞空間部39を設けるものであってもよい。
第2実施の形態において、内側サッシ枠の一方の内側サッシ竪枠33に吸音材45と枠内空気層53とを設け、他方の竪枠35の外周側又は竪枠35の枠内に閉塞体収納部11を設けるものであってもよい。
第2実施の形態において、図6(a)(b)に示す他の実施の形態と同様に、吸音材45の室外側面や室内側面に面して枠内空気層53を設けるものであってもよい。
第1実施の形態において、枠外周側空気層47を吸音材45の外周側面に面する位置と室内側面(又は室外側面)に面する位置との2箇所に設けたり、室外側面に面する位置と室内側面に面する位置との2箇所に設けたり、吸音材45の室内側面と室外側面と外周側面との各面に面して3箇所に設けてもよい。同様に、第2実施の形態おいても、枠内空気層53を吸音材45の外周側面、室内側面、室外側面のうちの任意の2箇所の面又は3箇所の面に対面させて設けてもよい。
3 外側サッシ枠
5 内側サッシ枠
7 外側閉塞体
8 躯体壁
9 内側閉塞体
11 内側閉塞体収納部
14 内壁
27 中間空気層
33 内側サッシ竪枠
37 連通部
39、41 閉塞空間部
45 吸音材
47 枠外周側空気層
53 枠内空気層
Claims (4)
- 躯体壁開口部に設けた外側サッシ枠と、外側サッシ枠の室内側に設けた内側サッシ枠と、外側サッシ枠の内周側を閉塞する外側閉塞体と、内側サッシ枠の内周側を閉塞する内側閉塞体と、内側閉塞体を収納する内側閉塞体収納部と、閉塞空間部とを備え、内側閉塞体は複数枚の引戸であり、内側閉塞体収納部は躯体壁と躯体壁の室内側に間隔をおいて位置する内壁との間に位置し且つ内側サッシ枠の左右枠の少なくとも一つの枠の外周側に設けてあり、内側閉塞体と外側閉塞体との間には中間空気層が設けてあり、閉塞空間部は内側サッシ枠の上下左右枠の少なくとも一つの枠の外周側で躯体壁と内壁との間に設けてあり且つ内部に枠外周側空気層と吸音材とを有し、枠には閉塞空間部と中間空気層とを連通する連通部が設けてあり、枠外周側空気層は室内及び室外と遮断してあり、吸音材は内周側面が中間空気層に連通し且つ吸音材の外周側面、室内側面及び室外側面のうちの少なくとも一つの面が枠外周側空気層に面していることを特徴とする二重サッシ。
- 枠外周側空気層は、吸音材の外周側面に位置することを特徴とする請求項1に記載の二重サッシ。
- 躯体開口部に設けた外側サッシ枠と、外側サッシ枠の室内側に設けた内側サッシ枠と、外側サッシ枠の内周側を閉塞する外側閉塞体と、内側サッシ枠の内周側を閉塞する内側閉塞体と、内側閉塞体を収納する内側閉塞体収納部とを備え、内側閉塞体は複数枚の引戸であり、内側閉塞体収納部は躯体壁の室内側における内側サッシ枠の内周側に設けてあり、内側閉塞体と外側閉塞体との間には中間空気層が設けてあり、内側サッシ枠の上下左右枠の少なくとも一つの枠は内部が室内及び室外と遮断してあり、内部に吸音材と枠内空気層が設けてあり、吸音材は内周側面が中間空気層に連通し且つ吸音材の外周側面、室内側面及び室外側面のうちの少なくとも一つの面が枠内空気層に面していることを特徴とする二重サッシ。
- 枠内空気層及び吸音材は、内側閉塞体収納部が設けてある内側サッシ竪枠に設けてあり且つ内側閉塞体収納部の外周側に位置することを特徴とする請求項3に記載の二重サッシ。
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