JP4483620B2 - エンジンの冷却装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンの冷却装置に関するものである。
一般に、エンジンは所定の温度範囲で所望の性能を発揮して動作するように設計されており、そのため、温間時にはエンジンの温度が所定の温度範囲となるように冷却水によりエンジンを冷却している。この冷却水は、シリンダヘッド及びシリンダブロックのウォータジャケット内を流通して、熱交換によりシリンダヘッド及びシリンダブロックから熱量を受け取る一方、ラジエータや車室内を暖めるためのキャビンヒータと熱交換して冷却水の熱量を放出している。
また、上述のように温間時にエンジンを冷却する一方、冷間時にはエンジンを早期暖機する必要がある。つまり、エンジンが上記所定の温度範囲以下の低温状態においては、燃料が気化し難かったり、着火し難かったり、又は燃焼速度が遅くなったりする。また、例えばシリンダとピストンとのクリアランスが大き過ぎるため、混合気や燃焼ガスがシリンダとピストンとの間から吹き抜け易くなる。さらには、エンジンの温度が低いと、シリンダブロック等から冷却水へ伝達する熱量が少ないため、冷却水を介してキャビンヒータへ運搬される熱量が少なくなり、車室内を十分に暖めることもできない。そのため、従来より、シリンダヘッドやシリンダブロック等を循環するエンジンの冷却水を用いたエンジンの早期暖機の工夫が行われている。
例えば、特許文献1に開示されたエンジンの冷却装置は、冷却水が流通する冷却水通路に冷却水を積極的に加熱する電気ヒータユニットを配設している。すなわち、電気ヒータユニットから冷却水へ熱量を供給して、この冷却水をシリンダヘッド及びシリンダブロック等を循環させて、電気ヒータユニットからの熱量をエンジン内に運搬させている。このエンジンの冷却装置では、電気ヒータユニットを、エンジンの冷却水出口近傍であって且つ、キャビンヒータの上流側の位置に設けており、エンジン冷間時には、早期に車室内が暖まるように、該電気ヒータユニットによって冷却水を温めて、まずキャビンヒータの熱量を確保している。
特開平11−36864号公報
ところで、冷間時には、上述の通り、車室内を早期に暖めるだけでなくエンジンを早期に暖機する必要がある。そして、車室内の暖めとエンジンの暖機とを早期に行うには、それ相応の熱量を冷却水に供給する必要がある。そのため、上記電気ヒータユニットと冷却水との熱交換効率を向上させることが好ましい。
しかしながら、上記特許文献1に開示されたエンジンの冷却装置においては、エンジンの後側面から気筒列方向に突出したウォータアウトレット部材に対して気筒列方向と直交する方向に電気ヒータユニットの電熱体が延びて設けられているため、電熱体の全体長さを十分に確保できない。そのため、電熱体と冷却水との接触面積が小さく、熱交換効率が低い。
また、特許文献1に開示されたエンジンの冷却装置は、電気ヒータユニットと冷却水との熱交換効率が低いこともあって、冷間時には車室内を早期に暖めることを優先している。すなわち、ヒータによって温められた冷却水は、ウォータアウトレット部材からキャビンヒータへ流通し、その後ウォータポンプを介してエンジン本体のウォータジャケットを流通する。こうして、まず始めにキャビンヒータの熱量を確保し、残りの熱量でエンジン本体を暖機している。ところが、この構成では、エンジンの暖機が後回しになり、燃費性や排気浄化性能が低いままエンジンがしばらく運転されることになる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電気ヒータユニットとエンジン冷却水との熱交換効率を向上させて、冷間時に車室内を早期に暖めると共に、エンジンの暖機性能を向上させることにある。
本発明は、電気ヒータユニットの電熱体の全長を長くしてエンジン冷却水との接触面積を拡大させると共に、電熱体の先端部を、冷却水が攪拌されている、シリンダヘッド側ウォータジャケットを流通する冷却水とシリンダブロック側ウォータジャケットを流通する冷却水との合流する場所に配置して、さらには、電気ヒータユニットにより温められた冷却水をキャビンヒータ通路だけでなくラジエータバイパス通路にも流通させるようにしたものである。
具体的には、第1の発明は、冷却水を加熱するための、電熱体を有する電気ヒータユニットを備えたエンジンの冷却装置が対象である。
このエンジンの冷却装置は、シリンダヘッドの一端部に形成され且つ一端側の側壁部に開口すると共に、シリンダヘッド側ウォータジャケットを流通する冷却水とシリンダブロック側ウォータジャケットを流通する冷却水とが合流する冷却水出口部と、上記シリンダヘッドの一端側の側壁部における上記冷却水出口部の開口に対応する位置に取り付けられると共に、ラジエータへ冷却水を流通させるラジエータ通路の上流端が接続されるウォータアウトレット部材とを備えている。
そして、上記電気ヒータユニットは、上記ウォータアウトレット部材に取り付けられており、上記電熱体は、先端部が上記冷却水出口部内のシリンダヘッド側ウォータジャケットを流通する冷却水とシリンダブロック側ウォータジャケットを流通する冷却水との合流部に位置するように、上記ウォータアウトレット部材内からシリンダヘッド側に気筒列方向に延びており、上記冷却水出口部の近傍には、ラジエータを迂回するラジエータバイパス通路の上流端及び冷却水をキャビンヒータへ流通させるキャビンヒータ通路の上流端が接続されているものとする。
上記の構成の場合、上記シリンダヘッドの一端部には上記冷却水出口部が形成され、上記電気ヒータユニットの電熱体を上記ウォータアウトレット部材から冷却水出口部まで気筒列方向に延びるように設けることによって、電熱体の全長を長く構成することができ、電熱体と冷却水との接触面積を拡大させることができる。また、この冷却水出口部内まで延びる電熱体の先端部が位置する、シリンダヘッド側ウォータジャケットとシリンダブロック側ウォータジャケットとの冷却水の合流部においては、冷却水が攪拌されているため、電熱体と冷却水との間での熱伝達がより積極的に行われることになる。
さらに、冷却水出口部の近傍には、上記ラジエータバイパス通路の上流端とキャビンヒータ通路の上流端とが接続されているため、上記電熱体から熱量を供給された冷却水は、キャビンヒータ通路だけでなくラジエータバイパス通路にも流通することになる。つまり、上記電熱体から冷却水に供給された熱量を、キャビンヒータにより車室内を暖めることだけに利用するのではなく、該冷却水をラジエータで冷却することなく循環させるラジエータバイパス通路へ流通させることによって、エンジンを暖機することにも利用することができる。つまり、車室内を早期に暖めるだけでなく、エンジンを早期に暖機することもできる。
したがって、上記ウォータアウトレット部材に取り付けられた電気ヒータユニットの電熱体を、その先端部が上記冷却水出口部内のシリンダヘッド側ウォータジャケットを流通する冷却水とシリンダブロック側ウォータジャケットを流通する冷却水との合流部に位置するように気筒列方向に延ばして構成することによって、該電熱体と冷却水との熱伝達効率を向上させることができる。また、上記電気ヒータユニットの先端部が位置する冷却水出口部の近傍に、上記ラジエータバイパス通路の上流端及びキャビンヒータ通路の上流端を接続させることによって、キャビンヒータの熱量を確保するだけでなく、エンジンの暖機を早期に行うことができる。これらの結果、エンジンの暖機性能を向上させることができ、ひいては、冷間時の燃費の向上及び排気性能の向上を図ることができる。
第2の発明は、第1の発明において、エンジンは、車両に対し横置搭載されており、上記冷却水出口部は、上記シリンダヘッドの後端部に形成され且つシリンダヘッド後側壁部に開口しており、上記ラジエータ通路は、上記ウォータアウトレット部材から上記ラジエータまで冷却水を流通させるラジエータホースを有しており、上記キャビンヒータ通路は、その上流端が上記ウォータアウトレット部材に接続されると共に、該ウォータアウトレット部材から上記キャビンヒータまで冷却水を流通させるヒータホースを有しており、上記ウォータアウトレット部材は、上記シリンダヘッド後側壁部に取り付けられ且つ上記冷却水出口部を覆うカップ形状をしていて、その車両前側には上記ラジエータホースを接続するラジエータホース接続部が、その車両後側には上記ヒータホースを接続するヒータホース接続部が、シリンダヘッドと反対側の側壁部には上記電気ヒータユニットを取り付けるヒータ取付部が形成されているものとする。ここで、「シリンダヘッドの後端部」とは、エンジンのクランク軸の軸線方向(又は気筒列方向)を前後方向としてクランク軸の出力端側をエンジンの後側とし、このエンジンの後端部に対応するシリンダヘッドの端部を意味し、「シリンダヘッド後側壁部」とは、エンジンの後側に対応するシリンダヘッドの側壁部を意味する。
上記の構成の場合、ラジエータホース接続部及びヒータホース接続部をそれぞれウォータアウトレット部材の車両前側及び車両後側に設けることによって、ウォータアウトレット部材全体としての車幅方向への突出を抑えることができる。その結果、ウォータアウトレット部材を含むエンジンの全長を抑えることができ、狭小なエンジンルーム内においても、エンジンを横置きに搭載することができるようになる。また、ラジエータホース接続部をウォータアウトレット部材の車両前側に、ヒータホース接続部をウォータアウトレット部材の車両後側に形成することによって、通常、エンジンよりも車両前方に位置するラジエータ及びエンジンよりも車両後方に位置するキャビンヒータに対してラジエータホース及びヒータホースの配置を容易に行うことができる。さらに、ヒータ取付部をウォータアウトレット部材のシリンダヘッドと反対側の側壁部に設けることによってヒータ取付部から冷却水出口部までの距離が長くなるため、電熱体の全長を長くすることができ、その結果、電熱体と冷却水との接触面積が増加して電熱体から冷却水へ伝達する熱量を増加させることができる。
第3の発明は、第2の発明において、オイルポンプからのオイルをクランクシャフトの軸受部へ供給する第1オイルギャラリが、シリンダブロック側壁部内に気筒列方向に延びて設けられており、上記ラジエータバイパス通路は、上記シリンダブロック側壁部内において、上記第1オイルギャラリと略平行に近接して気筒列方向に延びて設けられているものとする。
上記の構成の場合、上記電気ヒータユニットで温めれた冷却水がシリンダブロック側壁部内に形成された上記ラジエータバイパス通路内を流通することによって、上記シリンダブロック側壁部が暖められる。そして、該シリンダブロック側壁部内にはこのラジエータバイパス通路と略平行に近接させて第1オイルギャラリが設けられているため、該冷却水からシリンダブロック側壁部へ伝達した熱量は、第1オイルギャラリ内のオイルにさらに伝達することになる。尚、上記ラジエータバイパス通路と第1オイルギャラリとの間隔が狭いほど、冷却水からオイルへの熱伝達効率は向上する。
したがって、上記ラジエータバイパス通路をシリンダブロック側壁部内に形成することによって、冷却水にラジエータを迂回させる際にもシリンダブロックを暖めることができる。それと共に、上記シリンダブロック側壁内に該ラジエータバイパス通路と略平行に且つ近接させて第1オイルギャラリを設けることによって、該シリンダブロック側壁部を介して冷却水とオイルとの間で熱交換を行い、オイルを早期に暖めることができる。その結果、冷間時のオイルの粘度を早期に低下させて、燃費を向上させることができる。
第4の発明は、第2又は第3の発明において、オイルポンプからのオイルをシリンダヘッドへ供給する第2オイルギャラリが、シリンダブロック前側壁部内にシリンダブロック幅方向に延びて設けられており、上記キャビンヒータ通路は、上記シリンダブロック前側壁部内に上記第2オイルギャラリと略平行に近接してシリンダブロック幅方向に延びて設けられると共に上記キャビンヒータからの冷却水をウォータポンプへ流通させるヒータリターン通路をさらに有しているものとする。
上記の構成の場合、上記電気ヒータユニットで温められた冷却水がシリンダブロック前側壁部内に形成されたヒータリターン通路を流通することによって、上記シリンダブロック前側壁部が暖められる。つまり、このヒータリターン通路を流通する冷却水はキャビンヒータを通過しているため、上記電気ヒータユニットから受け取った熱量の一部は車室内を暖めることに利用されるが、残りの熱量でシリンダブロック前側壁部を暖めることができる。そして、第3の発明のラジエータバイパス通路と第1オイルギャラリとの関係のように、シリンダブロック前側壁部内には、このヒータリターン通路と略平行に近接させて第2オイルギャラリが設けられているため、該冷却水からシリンダブロック前側壁部へ伝達した熱量は、第2オイルギャラリ内のオイルにさらに伝達することになる。尚、上記キャビンヒータリターン通路と第2オイルギャラリとの間隔が狭いほど、冷却水からオイルへの熱伝達効率は向上する。
したがって、上記ヒータリターン通路をシリンダブロック前側壁部内に形成することによって、キャビンヒータからウォータポンプへ冷却水を戻す際にもシリンダブロックを暖めることができる。それと共に、上記シリンダブロック前側壁内にヒータリターン通路と略平行に且つ近接させて第2オイルギャラリを設けることによって、該シリンダブロック前側壁部を介して冷却水とオイルとの間で熱交換を行い、オイルを早期に暖めることができる。その結果、冷間時のオイルの粘度を早期に低下させて、燃費を向上させることができる。
第5の発明は、第3の発明において、上記第1オイルギャラリ及びラジエータバイパス通路が設けられたシリンダブロック側壁部の外側には、ブローバイガスからオイルを分離するオイルセパレータ室が形成されているものとする。
上記の構成の場合、シリンダブロック側壁部のうち、オイルセパレータ室が設けられている部分に関しては、シリンダブロック側壁部と外気との間にオイルセパレータ室による空間が形成されるため、シリンダブロック側壁部が外気に直接接触することがない。
したがって、シリンダブロック側壁部の外側にオイルセパレータ室を形成することによって、該オイルセパレータ室がシリンダブロック側壁部と外気とを遮断する役割を果たすため、冷却水からシリンダブロック側壁部へ伝達した熱量が該シリンダブロック側壁部から外気へ放熱されることを抑制して、冷却水から、シリンダブロック側壁部及び第1オイルギャラリ内のオイルへの熱伝達効率を向上させることができる。
第6の発明は、第4の発明において上記シリンダブロック前側壁部の外側には、上記クランクシャフトの回転をカムシャフトに伝達するタイミングチェーンが収納されるチェーン室が形成されているものとする。
上記の構成の場合、シリンダブロック前側壁部のうち、チェーン室が設けられている部分に関しては、シリンダブロック前側壁部と外気との間にチェーン室による空間が形成されるため、シリンダブロック前側壁部が外気に直接接触することがない。
したがって、シリンダブロック前側壁部の外側にチェーン室を形成することによって、該チェーン室がシリンダブロック前側壁部と外気とを遮断する役割を果たすため、冷却水からシリンダブロック前側壁部へ伝達した熱量が該シリンダブロック前側壁部から外気へ放熱されることを抑制して、冷却水から、シリンダブロック前側壁部及び第2オイルギャラリ内のオイルへの熱伝達効率を向上させることができる。
第7の発明は、第1〜第6の何れか1つの発明において、上記冷却水出口部には、シリンダブロック側ウォータジャケットを流通する冷却水がシリンダヘッド側ウォータジャケット内へ合流するための連通路が上向きに開口して形成されており、上記電気ヒータユニットは、U字形状の電熱体を複数並設して構成されており、上記複数の電熱体の先端部は、上記連通路の開口の上方を覆う位置に位置するものとする。
上記の構成の場合、上記電熱体をU字形状とすることによって電熱体の全長を長くして冷却水との接触面積を拡大させることができると共に、この電熱体を複数並設することによって冷却水との接触面積をさらに拡大させることができる。また、該電熱体の先端部は上記連通路の開口の上方を覆う位置に位置するため、シリンダヘッド側ウォータジャケットを流通する冷却水とシリンダブロック側ウォータジャケットを流通する冷却水とが合流して攪拌される位置に電熱体が位置することになり、該電熱体と冷却水との間で積極的に熱交換が行われることになる。
したがって、上記電熱体をU字形状とすると共に複数並設させ且つ、その先端部を上記連通路の開口の上方を覆う位置に位置させることによって、該電熱体と冷却水との熱伝達効率を向上させることができる。
本発明によれば、上記ウォータアウトレット部材に取り付けられた電気ヒータユニットの電熱体を、その先端部が上記冷却水出口部内のシリンダヘッド側ウォータジャケットを流通する冷却水とシリンダブロック側ウォータジャケットを流通する冷却水との合流部に位置するように気筒列方向に延ばして構成することによって、該電熱体と冷却水との接触面積が拡大すると共に、該電熱体と冷却水とが積極的に熱交換するため、該電熱体と冷却水との熱伝達効率を向上させることができる。また、上記冷却水出口部の近傍に、上記ラジエータバイパス通路の上流端及びキャビンヒータ通路の上流端を接続させることによって、該電熱体によって温められた冷却水がキャビンヒータ通路だけではなくラジエータバイパス通路にも流通するため、キャビンヒータの熱量を確保するだけでなく、エンジンの暖機を早期に行うことができる。これらの結果、冷間時における車室内を早期に暖めることができると共に、エンジンの暖機性能を向上させることができ、ひいては、冷間時の燃費の向上及び排気性能の向上を図ることができる。
《発明の実施形態1》
以下、本発明の実施形態1を図面に基づいて詳細に説明する。図1及び2は、本発明の実施形態1に係るエンジンEの冷却装置の概略構成を示し、符号1は、アルミニウム合金製のシリンダブロックであり、符号2は、そのシリンダブロック1の上側に組み付けられる、アルミニウム合金製のシリンダヘッドであり、符号32はシリンダブロック3の下部に組み付けられるオイルパンである。尚、このエンジンEは、4つのシリンダ19(シリンダブロック1に設けられている)が、クランク軸X(図3参照)が延びる方向に直列に配設された直列4気筒ガソリンエンジンである。
また、上記シリンダブロック1及びシリンダヘッド2からなるエンジン本体の前端部(図1及び2の左側の端部)には、シリンダヘッド2の上端からシリンダブロック1の下端に亘ってチェーンケース33が組み付けられている。このチェーンケース33の内側にはタイミングチェーン室33aが形成される。このタイミングチェーン室33aには、カム軸スプロケット33b、33bとクランク軸スプロケット(図示省略)及びこれらに巻架されるタイミングチェーン33cが収容されている。
そして、このエンジンEは、上記4つのシリンダの並ぶシリンダ列方向、即ちクランク軸の延びる方向が、図示しない車両の車幅方向に略一致するよう、車両のエンジンルームに横置きに搭載されるものである。すなわち、図1における下側が車両の前側に、また上側が車両の後側に、左側が車両の右側に、右側が車両の左側にそれぞれ対応している。
また、エンジンEの車両前方にはエンジンEの冷却水を冷却するラジエータ51が設けられる一方、エンジンEの車両後方には車室内を暖めるためのキャビンヒータ52が設けられている。
尚、この明細書では、上記シリンダヘッド2及びシリンダブロック1の長手方向、即ちクランク軸の軸線の方向をエンジンの前後方向とし、このクランク軸の出力端側(図1の右側)をエンジンEの後側と呼ぶ一方、その反対側(図1の左側)をエンジンEの前側と呼ぶ、また、エンジンEの後側から前側を見て、右側をエンジンEの右側と呼び、その反対側をエンジンEの左側と呼ぶものとする。
上記シリンダブロック1には、図1及び2に示すように、エンジン前側面にウォータポンプ41及びオイルポンプ42が配置される一方、エンジン左側面にはサーモスタットハウジング43及びオイルフィルタ44が配置される。また、図1及び2に示すように、上記シリンダヘッド2の後端部には、冷却水出口部24が形成されており、シリンダヘッド2の後側壁部2cの冷却水出口部24に対応する位置にはウォータアウトレット部材6が取り付けられている。
(エンジンの冷却系)
まず、エンジンEにおける冷却水の流通について概略を図1〜3を用いて説明する。上記ウォータポンプ41から供給される冷却水は、シリンダブロック1内のブロック側ウォータジャケットw1に導入され、さらにシリンダヘッド2内のヘッド側ウォータジャケットw2にも導入される。そして、ウォータジャケットw1、w2を流通した冷却水は、エンジンEの後端部で合流して、以下の5つの流通路のうち何れかを通って再びウォータポンプ41へ戻る。冷却水がウォータポンプ41まで戻る流通路としては、上記ラジエータ51を経由するラジエータ通路81、上記キャビンヒータ52を経由するキャビンヒータ通路82、EGR弁34及びスロットルボディ35を経由するISC通路83、ATFウォーマ・クーラ36及びエンジンオイルウォーマ・クーラ37を経由するウォーマ通路84並びに上記ラジエータ51を迂回するラジエータバイパス通路85が設けられいる。上記各通路81〜85の上流端は上記ウォータアウトレット部材6に接続されている。
このように構成されたエンジンの冷却系についてさらに詳しく説明する。
上記シリンダブロック1は、図3に示すように、シリンダブロック上部11とシリンダブロック下部12との分割構造となっている。つまり、シリンダブロック1は、クランク軸を通る水平面で上下に分割された、所謂ラダーフレーム構造となっている。つまり、シリンダブロック上部11の下部は、エンジン幅方向略中央位置にクランクシャフトの主軸受部13の上側部13aが形成されると共に、側壁部がクランク室の上部を区画形成する。一方、シリンダブロック下部12は、その側壁部がクランク室の下部を区画形成すると共に、クランクシャフトの主軸受部13の下側部13bがシリンダブロック下部12の側壁部と一体的に形成されている。このシリンダブロック上部11には、シリンダ19を側方から覆うようにブロック側ウォータジャケットw1が形成されている。さらに詳しくは、このブロック側ウォータジャケットw1は、図示は省略するが、4つのシリンダ19、19、…の吸気側のシリンダ壁に略沿って屈曲しながら最前部のシリンダ19から最後部のシリンダ19に亘って気筒列方向に延びた後、最後部のシリンダ19の後側のシリンダ壁に略沿って排気側まで湾曲して、さらに、4つのシリンダ19、19、…の排気側のシリンダ壁に略沿って屈曲しながら最後部のシリンダ19から最前部のシリンダ19に亘って気筒列方向に延びた後、最前部のシリンダ19の前側のシリンダ壁に略沿って吸気側へ湾曲して、吸気側のウォータジャケットと連通している。すなわち、ブロック側ウォータジャケットw1は、4つのシリンダを一塊としてその外周を環状に覆うように形成されており、このシリンダブロック上部11は、相隣接するシリンダ間(ボア間)にはウォータジャケットが形成されていない、所謂サイアミーズタイプのものとなっている。また、ブロック側ウォータジャケットw1の深さは、シリンダブロック上部11の上面からシリンダブロック上部11の高さ方向略中央位置までとなっている。そして、ブロック側ウォータジャケットw1は、その前端部において上記ウォータポンプ41と連通していて、このウォータポンプ41により該前端部からブロック側ウォータジャケットw1内に冷却水が供給される。
次に、上記シリンダヘッド2の具体的な形状を図5〜7に示す。シリンダヘッド2の上部には、図5に示すように、シリンダヘッドカバー31が取り付けられており、各シリンダ19のシリンダ軸線zに対応する位置には、シリンダヘッドカバー31を上下に貫通して点火プラグユニット20、20、…が設けられている。また、シリンダヘッド2の左側面には、吸気ポート21、21、…の上流端が開口していて、吸気マニホールド(図示省略)が取り付けられる。シリンダヘッド2の下部には、図6に示すように、シリンダブロック1に形成されたシリンダ19、19、…(二点鎖線で示す)を上方から閉塞する、燃焼室天井部19a、19a、…を構成するボトムデッキ2aが形成されている。各燃焼室天井部19aは、所謂ペントルーフ形状をしており、その吸気側の傾斜面には吸気ポート(図示省略)が、排気側の傾斜面には排気ポート22、22が開口している。そして、これら吸気ポート21、21及び排気ポート22、22をそれぞれ区画形成する吸気ポート壁部21a及び排気ポート壁部22aは、図7に示すように、それぞれ燃焼室天井部19aからシリンダヘッド2の左側(吸気側)面及び右側(排気側)面へ向かって延びて形成されている。吸気ポート21、21は途中で1つに合流してシリンダヘッド2の左側面に開口する一方。排気ポート22、22も途中で1つに合流してシリンダヘッド2の右側面に開口している。
また、シリンダヘッド2の上下方向の略中央部付近には、図6に示すように、ミドルデッキ2bが形成されていて、このミドルデッキ2bの上部には吸気及び排気カム軸等(図示省略)が配設される。そして、ミドルデッキ2bの各シリンダ19のシリンダ軸線zに対応する位置には、ミドルデッキ2b及びボトムデッキ2aを貫通して燃焼室を臨むように、点火プラグユニット20(図5参照)が収容されるプラグ孔25,25,…が該シリンダ軸線zに沿うように設けられる。また、図7に示すように、この各プラグ孔25の吸気側及び排気側には、それぞれ吸気及び排気バルブ(図示省略)を配設するための配設孔26,26,…が2つずつ設けられている。また、各シリンダ19の四隅を取り囲むように、ヘッドボルト(図示省略)が挿通されるヘッドボルト貫通孔27、27、…が開口されている。
そして、上記ボトムデッキ2a及びミドルデッキ2bとによって囲まれた空間がヘッド側ウォータジャケットw2を構成する。このヘッド側ウォータジャケットw2は各シリンダ19毎の燃焼室天井部19a、吸気ポート壁部21a及び排気ポート壁部22aを囲むように形成されている。また、ヘッド側ウォータジャケットw2には、図7に示すように、上記シリンダブロック1に形成されたブロック側ウォータジャケットw1と連通する連通路23、23、…が各シリンダ19の四隅を取り囲むように形成されている。これら連通路23、23、…は、シリンダヘッド2を上下方向に貫通して形成され、ヘッド側ウォータジャケットw2へ上向きに開口している。そうして、ブロック側ウォータジャケットw1を流通する冷却水が、この連通路23を通ってヘッド側ウォータジャケットw2を流通するヘッド側冷却水と合流する。さらに、ヘッド側ウォータジャケットw2の後端部には、冷却水をシリンダヘッド2の外部へ排出するための冷却水出口部24が形成されており、この冷却水出口部24は、シリンダヘッド2の後側壁部2cに開口している。この冷却水出口部24においても、連通路23、23が形成されていて、ブロック側ウォータジャケットw1を流通する冷却水とヘッド側ウォータジャケットw2を流通する冷却水とが合流している。そして、シリンダヘッド2の後側壁部2cの冷却水出口部24の開口に対応する位置には、上記ウォータアウトレット部材6が取り付けられている。
このように構成されたエンジンEのウォータジャケットにおいては、上記ブロック側ウォータジャケットw1の前端部から冷却水が供給され、ブロック側ウォータジャケットw1及びヘッド側ウォータジャケットw2の中を流通して、ヘッド側ウォータジャケットw2の冷却水出口部24からエンジンEの外部へ排出される。
上記ウォータポンプ41は、図3に示すように、シリンダブロック上部11の前側壁部11aの上部且つ左側の部位においてエンジン幅方向外方に向かって膨出するように形成されたウォータポンプ収容部41aに取り付けられている。このウォータポンプ41は、図1に示すように、その吐出口が上記ブロック側ウォータジャケットw1と接続される一方、その吸込口がサーモスタットハウジング43及び後述するヒータリターン通路82cと接続されている。つまり、ウォータポンプ41は、サーモスタットハウジング43及びヒータリターン通路82cから供給される冷却水を吸い込み、ブロック側ウォータジャケットw1へ吐出する。このウォータポンプ41は、図示は省略するが、エンジンEの前側に配設されたクランクシャフトに駆動連結されていて、クランクシャフトによって駆動される。
また、シリンダブロック上部11の左側壁部11bの上部且つ前側の部位には、図2及び4に示すように、上記サーモスタットハウジング43が設けられている。このサーモスタットハウジング43は、図1に示すように、上記シリンダブロック上部11の左側壁部11bに設けられて上記ウォータポンプ41の吸込口に連通する収納部43aと、取付フランジ43bを有するサーモスタット弁43cとからなり、上記収納部43aの開口に取付フランジ43bが取り付けられることによって、サーモスタット弁43cが収納部43a内に内蔵されて構成される。上記サーモスタットハウジング43は、その上面側に開口したバイパス流入ポート43dを有していると共に、上記取付フランジ43bから外方に突出するウォーマ流入ポート43eと、ラジエータ流入ポート43fとの2つのポートを有していて、合計3つの流入ポートを有している。
上記サーモスタット弁43cは、例えばワックス型であって、冷却水温度が低いときにはワックスが収縮してスプリングの付勢力により、弁体がスプリングの軸方向に移動して上記ラジエータ流入ポート43fを閉じ且つ上記バイパス流入ポート43dを開く。一方、冷却水温度が所定温度以上になると、ワックスの膨張によって弁体がスプリングの軸方向に移動して上記ラジエータ流入ポート43fを開き且つ上記バイパス流入ポート43dを閉じる(図1に示す状態)。こうして上記サーモスタット弁43cは、冷却水温度に応じて上記バイパス流入ポート43dとラジエータ流入ポート43fとを択一的に開弁して、バイパス流入ポート43d又はラジエータ流入ポート43fをウォータポンプ41に連通させる。尚、ウォーマ流入ポート43eには開閉弁がなく、常にウォータポンプ41に連通した状態となっている。
また、シリンダブロック上部11の前側壁部11a内の上下方向中間部には、図1及び3に示すように、キャビンヒータ通路82の下流側通路の一部を構成するヒータリターン通路82cが形成されている。このヒータリターン通路82cは、該前側壁部11aの右側面からシリンダブロック幅方向内方へ且つ直線的に延びるように形成されている。そして、ヒータリターン通路82cの下流端は、上記ウォータポンプ41に接続されている。つまり、キャビンヒータ通路82から供給される冷却水は前側壁部11a内に形成されたヒータリターン通路82cを介してウォータポンプ41へ戻る。また、ヒータリターン通路82cの上流端が位置する、該前側壁部11aの右側面には、後述するヒータリターンホース82bを接続するヒータ流入ポート82dが形成されている。
上記ウォータアウトレット部材6は、図5に示すように、上記シリンダヘッド2の後側壁部2cに取り付けられるフランジ61と、このフランジ61からエンジン前後方向の後側へ突出する本体部62とからなる。この本体部62は、断面が略矩形であってエンジン前側に向かって開口するカップ形状をしている。そして、本体部62の車両前側壁部には冷却水をラジエータ51へ導くラジエータホース81aを接続するラジエータホース接続部としてのラジエータ流出ポート63が設けられる一方、本体部62の車両後側壁部には冷却水をキャビンヒータ52へ導くヒータホースを接続するヒータホース接続部としてのヒータ流出ポート64が設けられている。また、本体部62の下側面には冷却水にラジエータ51を迂回させて、冷却水をウォータアウトレット部材6からサーモスタットハウジング43へ直接戻すためのバイパス流出ポート65が設けられている(図6参照)。さらに、図示を省略するが、ウォータアウトレット部材6には、冷却水をEGR弁34及びスロットルボディ35へ導くためのISC流出ポート、並びに冷却水をATFウォーマ・クーラ36及びエンジンオイルウォーマ・クーラ37へ導くためのウォーマ流出ポートが設けられている。
さらに、このウォータアウトレット部材6には、図5〜7に示すように、本体部62の後側壁部(車両の左側)、即ちシリンダヘッド2の反対側の側壁部には、絶縁体を介して電気ヒータユニット7を取り付けるヒータ取付部66、66が設けられている。この電気ヒータユニット7は、冷間時に冷却水を温めてエンジンEの暖機性能を向上させるものである。電気ヒータユニット7は、全体として本体部62内を気筒列方向に延びるU字形状の、3つの電熱体71、71、71と、この各電熱体71の両端部に設けられ、各電熱体71に給電するためのコネクタ72、72とを有する。各電熱体71は、コネクタ72、72を本体部62のヒータ取付部66、66固定することによってウォータアウトレット部材6に取り付けられていて、ウォータアウトレット部材6内からシリンダヘッド2側へ気筒列方向に延びて、その先端はシリンダヘッド2内に位置する。詳しくは、各電熱体71は、本体部62の後側壁部からシリンダヘッド2の冷却水出口部24まで気筒列方向に延びる直線部71a、71aと、冷却水出口部24において直線部71a、71aの先端部を連結する折返し部71bとからなる。そして、3つの電熱体71、71、71は、平面視でU字形状となる状態で上下方向に並んで配置され、各折返し部71bは、冷却水出口部24に位置する連通路23の開口の上方を囲む位置に位置する。つまり、各電熱体71の先端は、ブロック側ウォータジャケットw1を流通する冷却水とヘッド側ウォータジャケットw2を流通する冷却水とが合流して冷却水が攪拌される場所に位置することになる。
上記EGR弁34(図1参照)は、上記シリンダヘッド2の後面に配設されている(図示省略)。このEGR弁34は、排気の一部をEGRガスとして吸気系へ還流させる際に、そのガス量を調節するものである。そして、EGR弁34のハウジング内には、高温になるEGR弁34を冷却するための冷却水通路が形成されている。
上記スロットルボディ35(図1参照)は、図示は省略するが、上記シリンダヘッド2の左側面に設けられた吸気マニホールドに接続された吸気パイプに配設されていて、吸気パイプ内のスロットルバルブを開閉させることによって吸気パイプから吸気マニホールド内へ導入される吸気の量を調節する。このスロットルボディ35は、その内部に冷却水通路を形成して冷却水を流通させることによって、寒冷地等において極低温の吸気によりスロットルバルブが吸気パイプと凍結してしまうことを防止している。
上記ATFウォーマ・クーラ36(図1参照)は、上記シリンダブロック下部12の左側面の後端部に配設されている(図5では省略)。このATFウォーマ・クーラ36は、冷却水と自動変速機オイル(ATF)との間で熱交換を行うものであって、冷間時には冷却水がATFを暖める一方、温間時には冷却水がATFを冷却する役割を果たす。ATFウォーマ・クーラ36は、図示は省略するが、自動変速機からATFウォーマ・クーラ36に向かってオイルが流れるオイルホースが接続される一方、ATFウォーマ・クーラ36から自動変速機に向かってオイルが流れるオイルリターンホースが接続されている。また、上記ATFウォーマ・クーラ36の内部には冷却水通路が形成されていて、ATFウォーマ・クーラ36の内部を冷却水が流通するように構成されている。
上記エンジンオイルウォーマ・クーラ37(図1参照)は、冷却水とエンジンオイルとの間で熱交換を行うものであって、冷間時には冷却水がエンジンオイルを暖める一方、温間時には冷却水がエンジンオイルを冷却する役割を果たす。このエンジンオイルウォーマ・クーラ37は、図示は省略するが、オイルホース及びオイルリターンホースが接続されると共に、エンジンオイルウォーマ・クーラ37の内部には冷却水通路が形成され、エンジンオイルウォーマ・クーラ37の内部を冷却水が流通するように構成されている。
次に、上記冷却装置の配管構成について説明する。
上記ウォータアウトレット部材6のヒータ流出ポート64には、ヒータホース82aの上流端が接続されている(図5参照)。このヒータホース82aはウォータアウトレット部材6から車両の後側に延びていて、その下流端がキャビンヒータ52に接続される。また、このキャビンヒータ52には、ヒータリターンホース82bの上流端が接続されており、このヒータリターンホース82bは、エンジン1の右側面まで延びている。このヒータリターンホース82bの下流端は、上記シリンダブロック上部11の前側壁部11aの右側面に形成されたヒータ流入ポート82d(図3参照)に接続される。そして、ヒータリターンホース82bは、シリンダブロック上部11の前側壁部11aに形成されたヒータリターン通路82cと連通する。こうして、上記ヒータホース82a、キャビンヒータ52、ヒータリターンホース82b及びヒータリターン通路82cによってキャビンヒータ通路82が形成される。
上記ウォータアウトレット部材6のラジエータ流出ポート63には、ラジエータホース81aの上流端が接続されていて(図5では省略)、このラジエータホース81aの下流端は、車両の前端位置に配設された上記ラジエータ51に接続されている。このラジエータ51にはラジエータリターンホース81bの上流端が接続されていて、その下流端は、上記サーモスタットハウジング43のラジエータ流入ポート43fに接続されている。こうして、上記ラジエータホース81a、ラジエータ51、及びラジエータリターンホース81bによってラジエータ通路81が形成される。
上記ウォータアウトレット部材6のバイパス流出ポート65には、バイパスホース85aの上流端が接続されており、このバイパスホース85aの下流端は、上記サーモスタットハウジング43のバイパス流入ポート43dに接続されている。このバイパスホース85aによってラジエータバイパス通路85が形成される。
上記ウォータアウトレット部材6には、冷却水を上記ATFウォーマ・クーラ36に導く第1ウォーマホース84aの上流端が接続されており、この第1ウォーマホース84aの下流端は、ATFウォーマ・クーラ36に接続されている。また、ATFウォーマ・クーラ36には、冷却水をATFウォーマ・クーラ36から上記エンジンオイルウォーマ・クーラ37へ導く第2ウォーマホース84bの上流端が接続されており、この第2ウォーマホース84bの下流端は、エンジンオイルウォーマ・クーラ37に接続されている。さらに、エンジンオイルウォーマ・クーラ37には、冷却水をエンジンオイルウォーマ・クーラ37からサーモスタットハウジング43へ導くウォーマリターンホース84cの上流端が接続されており、このウォーマリターンホース84cの下流端は、上記サーモスタットハウジング43のウォーマ流入ポート43eに接続されている。こうして、第1ウォーマホース84a、ATFウォーマ・クーラ36、第2ウォーマホース84b、エンジンオイルウォーマ・クーラ37及びウォーマリターンホース84cによってウォーマ通路84が形成される。
上記ウォータアウトレット部材6のISC流出ポートには、冷却水を上記EGR弁34へ導く第1ISCホース83aの上流端が接続されており、この第1ISCホース83aの下流端は、EGR弁34に接続されている。また、EGR弁34には、冷却水をEGR弁34から上記スロットルボディ35へ導く第2ISCホース83bの上流端が接続されており、この第2ISCホース83bの下流端は、スロットルボディ35に接続されている。さらに、スロットルボディ35には、冷却水をスロットルボディ35から上記ウォーマリターンホース84cへ導くISCリターンホース83cの上流端が接続されており、このISCリターンホース83cの下流端は、ウォーマリターンホース84cに接続されている。こうして、第1ISCホース83a、EGR弁34、第2ISCホース83b、スロットルボディ35、ISCリターンホース83c及びウォーマリターンホース84cとによってISC通路83が形成される。
このように配管された上記冷却装置においては、ウォータポンプ41に直接的に連通する上記キャビンヒータ通路82、並びに上記サーモスタットハウジング43のウォーマ流入ポート43eに直接的又は間接的に接続されるISC通路83及びウォーマ通路84には、冷却水が常時流通している。一方、サーモスタットハウジング43のラジエータ流入ポート43f及びバイパス流入ポート43dにそれぞれ接続されるラジエータ通路81及びラジエータバイパス通路85は、サーモスタット弁43cによって、どちらの通路に冷却水を流通させるかが択一的に決められる。つまり、冷間時にはラジエータバイパス通路85に冷却水を流通させてエンジンEを早く暖機させるようにする一方、温間時にはラジエータ通路81に冷却水を流通させてラジエータ51により冷却水の温度が上昇し過ぎることを防止する。
(エンジンの潤滑系)
続いて、シリンダブロック1における潤滑系の構成について説明する。シリンダブロック下部12の前側壁部12aには、図2及び3に示すように、オイルポンプ42が取り付けられている。このオイルポンプ42には、オイルパン32からエンジンオイルを吸い上げるための第1供給路91の下流端及びオイルポンプ42から吐出されるエンジンオイルをオイルフィルタ44に導く第2供給路92の上流端が接続されている。この第1供給路91の上流端は、オイルパン32から吸い上げられるエンジンオイルの大まかな異物を取り除くためのオイルストレーナ91aが設けられ、このオイルストレーナ91aはオイルパン32内のエンジンオイル中に浸かっている。また、第2供給路92は、シリンダブロック下部12の左側壁部12b内に、前端面から後方へ向かって気筒列方向に直線的に延びて形成され、その下流端は該左側壁部12bの気筒列方向略中央位置で上記オイルフィルタ44に接続されている。このオイルフィルタ44は、濾過したエンジンオイルを後述する第1オイルギャラリ94へ導く第3供給路93の上流端がさらに接続されている。この第3供給路93は、シリンダブロック下部12の左側壁部12b内及びシリンダブロック上部11の左側壁部11b内に、オイルフィルタ44との接続部から鉛直上方へ向かって直線的に延びて形成されている。そして、この第3供給路93はシリンダブロック上部11の左側壁部11b内に形成された第1オイルギャラリ94に接続されている。この第1オイルギャラリ94は、図2及び3に示すように、シリンダブロック上部の左側壁部11bの高さ方向略中央位置において気筒列方向に左側壁部11bの後端部から前端部まで直線的に延びて形成されている。また、第1オイルギャラリ94には、第1オイルギャラリ94から分岐してクランクシャフトの主軸受部13、13、…へエンジンオイルを導く複数の分岐路94a、94a、…が設けられている。さらに、第1オイルギャラリ94は、図2及び3に示すように、その前端部がシリンダブロック上部11の前側壁部11a内に形成された第2オイルギャラリ95と接続されている。第2オイルギャラリ95は、図3に示すように、該前側壁部11a内に形成されたヒータリターン通路82cの下方において該ヒータリターン通路82cと近接して且つ該ヒータリターン通路82cと略平行に延びるように形成されている。この第2オイルギャラリ95は、シリンダブロック上部11の前側壁部11a内の右側端部において、シリンダヘッド2の幅方向略中央へ向かって斜め上方へ延び、VVT28、28(Variable Valve Timing:可変バルブタイミング機構)のオイルコントロールバルブ(図示省略)に連通している。また、第2オイルギャラリ95は、シリンダヘッド2へ向かって斜め上方へ延びている途中で分岐して、カム軸等を潤滑するヘッド側潤滑系96へもエンジンオイルを供給する。そして、クランクシャフトの主軸受部13、13、…やヘッド側潤滑系96へ供給されたエンジンオイルは、主軸受部13、13、…やヘッド側潤滑系96を潤滑した後、落下してオイルパン32へ戻る。
また、シリンダブロック上部11の左側壁部11bにおける気筒列方向略中央位置且つ上端部には、図4に示すように、オイルセパレータユニット45が設けられている。このオイルセパレータユニット45の内部にはオイルセパレータ室が形成され、このオイルセパレータ室は、ブローバイガスからオイルミストを分離させて、そのブローバイガスを吸気系へ供給するためのものであって、シリンダブロック上部11の左側壁部11bに形成されたブロック側セパレータ室(図示省略)と、シリンダブロック上部11の左側壁部11bに取り付けられる樹脂製カバー部材45aとによって構成される。ブロック側セパレータ室には、クランク室からブローバイガスを導くブローバイガス通路の開口端(図示省略)が形成されている。オイルセパレータユニット45によって分離させたオイルミストは、この開口端からブローバイガス通路を介してクランク室からオイルパン32へ戻される。樹脂製カバー部材45aの上部には、ブローバイガス流出部45bが設けられ、このブローバイガス流出部45bには、ブローバイガスホース(図示省略)の上流端が接続される。このブローバイガスホースの下流端は吸気マニホールド(図示省略)に接続される。こうして、クランク室から導かれたブローバイガスからオイルミストを分離させて、そのブローバイガスを吸気系へ供給すると共に、分離したオイルミストをオイルパン32へ戻す。
このように、上記エンジンEの潤滑系においては、第1オイルギャラリ94及び第2オイルギャラリ95を介して、オイルパン32に溜められたエンジンオイルがクランクシャフトの主軸受部13、13、…及びヘッド側潤滑系に供給される。供給されたエンジンオイルはいずれオイルパン32に戻り、再び主軸受部13、13、…等へ供給される。こうして、エンジンオイルは、エンジンE内を循環している。
(エンジンの冷却及び暖機)
上記エンジンEの冷却装置は、温間時において、上記サーモスタットハウジング43のサーモスタット弁43cがラジエータ通路81を連通させ且つラジエータバイパス通路85を遮断することによって、高温となっているシリンダブロック1及びシリンダヘッド2のウォータジャケットw1、w2内を流通してきた冷却水が、該シリンダブロック1及びシリンダヘッド2から熱量を受け取り、ラジエータ51により外部に放熱することによってエンジンEが冷却される。また、熱量を受け取った冷却水の一部は、キャビンヒータ通路82を流通してキャビンヒータ52において熱交換が行われ、該熱量は車室内を暖めるのに利用される。さらに、温間時においては、エンジンオイル及びATFも高温となっているが、上記ATFウォーマ・クーラ36及びエンジンオイルウォーマ・クーラ37がそれぞれクーラとして機能するため、冷却水がウォーマ通路84を流通することによってエンジンオイル及びATFが冷却される。さらにまた、冷却水はISC通路83を流通することによって、EGR弁34を冷却すると共に、スロットルボディ35内でスロットルバルブが凍結することを防止している。尚、冷却水によるEGR弁34の冷却及びスロットルバルブの凍結防止は、冷間時であっても同様に行われている。
一方、冷間時において、上記エンジンEの冷却装置は、上記サーモスタットハウジング43のサーモスタット弁43cがラジエータ通路81を遮断し且つラジエータバイパス通路85を連通させることによって、冷却水がラジエータ51を迂回して循環する。このとき、シリンダヘッド2の冷却水出口部24内に設けられた電気ヒータユニット7を作動させているため、ウォータアウトレット部材6から外部へ流出していく冷却水は温められており、エンジン本体やエンジンオイル等よりも冷却水の温度のほうが高くなっている。この冷却水をキャビンヒータ通路82に流通させることによって、キャビンヒータ52で車室内を早期に暖めることができる。また、電気ヒータユニット7から熱量を受け取った冷却水の一部は、ラジエータバイパス通路85を流通して、ウォータポンプ41まで戻り、再びシリンダブロック1及びシリンダヘッド2内のウォータジャケットw1、w2内を循環する。このとき、シリンダブロック1及びシリンダヘッド2よりも冷却水の方が温度が高くなっているため、シリンダブロック1及びシリンダヘッド2が暖機される。さらに、電気ヒータユニット7から熱量を受け取った冷却水は、エンジンオイルやATFよりも高温となっているため、上記ATFウォーマ・クーラ36およびエンジンオイルウォーマ・クーラ37はそれぞれウォーマとして機能する。その結果、冷却水がウォーマ通路84を流通することによってエンジンオイル及びATFが暖められる。
したがって、上記エンジンEの冷却装置においては、上記キャビンヒータ通路82及びラジエータバイパス通路85の上流端が接続されるウォータアウトレット部材6をシリンダヘッド2の冷却水出口部24に取り付けると共に、冷間時に冷却水を温める電気ヒータユニット7を該ウォータアウトレット部材6から該冷却水出口部24内に設けることによって、電気ヒータユニット7により温められた冷却水が、キャビンヒータ通路82だけでなくラジエータバイパス通路85にも流通するため、冷間時においてキャビンヒータ52で車室内を暖めるための熱量の早期確保とエンジンEの早期の暖機を両立させることができる。つまり、早期に車室内を暖めるだけでなく、シリンダブロック1及びシリンダヘッド2等を早期に暖機することによって、シリンダブロック1等が適度に膨張して、ピストンとシリンダ19とのクリアランスも所望の値となり、冷間時の燃費を向上させることができると共に排気性能も向上させることができる。
また、上記電気ヒータユニット7の電熱体71は、U字形状に形成され且つ複数並設されると共に、ウォータアウトレット部材6の本体部62の後側壁部から気筒列方向にシリンダヘッド2の冷却水出口部24内まで延びて設けられているため、冷却水と接触する面積が大きく、電気ヒータユニット7の熱交換効率を向上させることができる。また、この電熱体71の先端部を、シリンダヘッド2の冷却水出口部24において、ブロック側ウォータジャケットw1を流通する冷却水とヘッド側ウォータジャケットw2を流通する冷却水とが合流する連通路23の上方を覆う位置に位置させることによって、冷却水が合流して攪拌される位置に電熱体71が位置することになり、該電熱体71と冷却水との間で積極的に熱交換が行われ、電気ヒータユニット7の熱交換効率を向上させることができる。これらの結果、電気ヒータユニット7は、エンジンEの暖機、及び車室内の暖めに必要な熱量を早期に冷却水へ供給することができる。
さらに、キャビンヒータ通路82の下流側通路を構成するヒータリターン通路82cが形成されたシリンダブロック上部11の前側壁部11aには、該ヒータリターン通路82cと近接して且つ略平行に第2オイルギャラリ95が形成されているため、この第2オイルギャラリ95を流通するエンジンオイルも早期に暖機することができる。その結果、冷間時のエンジンオイルの粘度を所望の値まで早期に低下させることができ、燃費を向上させることができる。ここで、ヒータリターン通路82cと第2オイルギャラリ95との間隔は、狭いほど冷却水からエンジンオイルへの熱伝達効率は向上する。よって該間隔は、シリンダブロック上部11の前側壁部11aの強度、および目標とする冷却水からエンジンオイルへの熱伝達効率等によって決定される。さらにまた、シリンダブロック上部11の前側壁部11aの前面には、チェーンケース33が取り付けられて、該前側壁部11aの前方にはタイミングチェーン室33aが形成されているため、該前側壁部11aは、エンジンE周辺の外気からタイミングチェーン室33aにより遮断されることになる。その結果、ヒータリターン通路82cを流通する冷却水から第2オイルギャラリ95内を流通するエンジンオイルに伝達される熱量が前側壁部11aから外気に熱量が放熱され難くなり、エンジンオイルを早期に暖機して、エンジンオイルの粘性を所望の値まで早期に低下させることができる。
また、ラジエータ流出ポート63やヒータ流出ポート64をそれぞれウォータアウトレット部材6の車両前側壁部や車両後側壁部に設けることによって、ウォータアウトレット部材6全体としての車幅方向への突出を抑えることができる。その結果、狭小なエンジンルーム内であってもエンジンEを横置きに搭載することができる。さらに、ラジエータ流出ポート63をウォータアウトレット部材6の車両前側壁部に形成する一方、ヒータ流出ポート64をウォータアウトレット部材6の車両後側壁部に形成することによって、エンジンEよりも車両前方に位置するラジエータ51及びエンジンEよりも車両後方に位置するキャビンヒータ52に対してラジエータホース81a及びヒータホース82aの配置を容易にすることができる。さらにまた、ヒータ取付部66、66をウォータアウトレット部材6の後側壁部設けることによってヒータ取付部66、66からシリンダヘッド2の冷却水出口部24までの距離が長くなるため、電熱体71、71、71の全長を長くすることができ、その結果、電熱体71、71、71と冷却水との接触面積が増加して電熱体71、71、71から冷却水へ伝達する熱量を増加させることができる。
《発明の実施形態2》
続いて、本発明の他の実施形態について説明する。なお、以下では、上記実施形態1と同一の構成については同じ符号を付し、それ以上の説明を省略する。
本発明の実施形態2に係るエンジンの冷却装置は、実施形態1と異なり、ラジエータバイパス通路がシリンダブロック1の側壁部内に形成されている。
詳しくは、上記ラジエータ51を迂回するラジエータバイパス通路86は、図8〜10に示すように、その上流端がシリンダヘッド2の冷却水出口部24に開口していて、その中間部がシリンダヘッド2の後端部においてシリンダヘッド2の左側壁部2d内及びシリンダブロック上部11の左側壁部11b内を鉛直下向きに延びた後、シリンダブロック上部11の左側壁部11b内の高さ方向略中央位置において気筒列方向前側へ向かって延びて、その下流端がシリンダブロック上部11に設けられたサーモスタットハウジング46の収納部46a内に開口するように構成されている。このとき、ラジエータバイパス通路86の中間部のうち気筒列方向に延びている部分は、上記第1オイルギャラリ94の上方において該第1オイルギャラリ94と近接して且つ略平行に延びて形成されている。
上記サーモスタットハウジング46は、シリンダブロック上部11の左側壁部11bの上部且つ前側の部位に設けられており、該左側壁部11bに設けられて上記ウォータポンプ41の吸込口に連通する収納部46aと、取付フランジ46bを有するサーモスタット弁46cとからなり、上記収納部46aの開口に取付フランジ46bが取り付けられることによって、サーモスタット弁46cが収納部46a内に内蔵されて構成される。上記サーモスタットハウジング46は、該左側壁部11b内から収納部46aに開口したバイパス流入ポート46dと、該サーモスタットハウジング46の上面側に開口したウォーマ流入ポート46eと、上記取付フランジ46bから外方に突出するラジエータ流入ポート46fと、合計3つの流入ポートを有している。そして、上記サーモスタット弁46cは、例えばワックス型であって、冷却水温度が低いときは、弁体が移動して上記ラジエータ流入ポート46fを閉じ且つ上記バイパス流入ポート46dを開く。一方、冷却水温度が所定温度以上になると、弁体が移動して上記ラジエータ流入ポート43fを開き且つ上記バイパス流入ポート46dを閉じる。こうして上記サーモスタット弁46cは、冷却水温度に応じて上記バイパス流入ポート46dとラジエータ流入ポート46fとを択一的に開弁して、バイパス流入ポート46d又はラジエータ流入ポート46fをウォータポンプ41に連通させる。尚、ウォーマ流入ポート46eには開閉弁がなく、常にウォータポンプ41に連通した状態となっている。
本実施形態2では、上記ラジエータバイパス通路86がシリンダヘッド2及びシリンダブロック1に内蔵されて形成されているため、ウォータアウトレット部材6には、上記実施形態1と異なり、バイパス流出ポートが設けられていない。つまり、ウォータアウトレット部材6の本体部62の左側面(車両の前側)には冷却水をラジエータ51へ導くラジエータ流出ポート63が設けられる一方、本体部62の右側面(車両の後側)には冷却水をキャビンヒータ52へ導くヒータ流出ポート64が設けられている。さらに、ウォータアウトレット部材6には、冷却水をEGR弁34及びスロットルボディ35へ導くためのISC流出ポート、並びに冷却水をATFウォーマ・クーラ36及びエンジンオイルウォーマ・クーラ37へ導くためのウォーマ流出ポートが設けられている。各ポートには、上記実施形態1と同様に、ラジエータホース81a、ヒータホース82a、第1ISCホース83a及び第1ウォーマホース84aの上流端が接続される。
上記のように構成されたエンジンEの冷却装置では、ラジエータバイパス通路86の上流端が冷却水出口部24に開口すると共に、この冷却水出口部24には電気ヒータユニット7の電熱体71の先端部が位置するため、ラジエータバイパス通路86へ導かれる冷却水は、冷間時には該電気ヒータユニット7により加熱される。つまり、上記実施形態1と同様に、電気ヒータユニット7により加熱された冷却水は、キャビンヒータ通路82だけではなく、ラジエータバイパス通路86にも流通する。そして、このラジエータバイパス通路86がシリンダブロック上部11の左側壁部11b内及びシリンダヘッド2の左側壁部2d内に形成されているため冷却水がラジエータバイパス通路86を流通する際にもシリンダブロック1及びシリンダヘッド2を暖めることができる。つまり、ラジエータバイパス通路86を、ウォータアウトレット部材6からウォータポンプ41まで外部配管する場合には外部に放熱される熱量をエンジンEの暖機に用いることができる。
また、シリンダブロック上部11の左側壁部11b内には、ラジエータバイパス通路86と近接し且つ略平行に気筒列方向に延びる第1オイルギャラリ94が形成されているため、冷間時には、冷却水によって運搬されてきた熱量が左側壁部11bに伝達した後、該左側壁部11bを介して第1オイルギャラリ94内を流れるエンジンオイルにも伝達して、エンジンオイルも早期に暖めることができる。その結果、冷間時のエンジンオイルの粘度を所望の値まで早期に低下させることができ、燃費を向上させることができる。ここで、ラジエータバイパス通路86と第1オイルギャラリ94との間隔は、狭いほど冷却水からエンジンオイルへの熱伝達効率は向上する。よって該間隔は、シリンダブロック上部11の左側壁部11bの強度、および目標とする冷却水からエンジンオイルへの熱伝達効率等によって決定される。
さらに、シリンダブロック上部11の左側壁部11bに上記オイルセパレータユニット45を設けることによって、該オイルセパレータユニット45が設けられた部分に関しては、該左側壁部11bと外気との間にオイルセパレータ室による空間が形成されて該左側壁部は外気と遮断されるため、冷却水の熱量が該左側壁部11bを介して外気へ放熱されることを抑制して、冷却水から該左側壁部11b及び第1オイルギャラリ94内のエンジンオイルへの熱伝達効率を向上させることができる。
《その他の実施形態》
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。すなわち、上記電気ヒータユニット7は、U字形状の電熱体71を3つ並設させて構成されているが、これに限られるものではない。つまり、電熱体71の数は任意の数であってもよい。また、電熱体71の形状もU字形状に限られるものではない。気筒列方向に延びて形成されていれば任意の形状を採用し得る。
また、上記エンジンEの冷却装置では、ISC通路83及びウォーマ通路84が設けられているが、これに限られるものではなく、ISC通路83及び/又はウォーマ通路84を備えていなくてもよい。
本発明の実施形態1に係るエンジンの冷却装置の配管図である。 エンジンを左側面から見たときの冷却系及び潤滑系の構成を示す概略図である。 エンジンを前側面から見たときの冷却系及び潤滑系の構成を示す概略図である。 シリンダブロックを左側面から見た図である。 シリンダヘッドの斜視図である。 図5のA−A線における断面図である。 図6のB−B線における断面図である。 本発明の実施形態2に係るエンジンの冷却装置の配管図である。 エンジンを左側面からみたときの冷却系及び潤滑系の構成を示す概略図である。 本発明の実施形態2に係るシリンダヘッドの図7に相当する断面図である。
符号の説明
E エンジン
w1 ブロック側ウォータジャケット(シリンダブロック側ウォータジャケット)
w2 ヘッド側ウォータジャケット(シリンダヘッド側ウォータジャケット)
1 シリンダブロック
11a 前側壁部(シリンダブロック前側壁部)
11b 左側壁部(シリンダブロック側壁部)
13 主軸受部(軸受部)
2 シリンダヘッド
2c 後側壁部(シリンダヘッド後側壁部)
23 連通路(冷却水立ち上がり通路)
24 冷却水出口部
33a タイミングチェーン室(チェーン室)
33c タイミングチェーン
42 オイルポンプ
45 オイルセパレータユニット(オイルセパレータ室)
51 ラジエータ
52 キャビンヒータ
6 ウォータアウトレット部材
63 ラジエータ流出ポート(ラジエータホース接続部)
64 ヒータ流出ポート(ヒータホース接続部)
66 ヒータ取付部
7 電気ヒータユニット
71 電熱体
81 ラジエータ通路
81a ラジエータホース
82 キャビンヒータ通路
82a ヒータホース
82c ヒータリターン通路
85 ラジエータバイパス通路
94 第1オイルギャラリ
95 第2オイルギャラリ

Claims (7)

  1. 冷却水を加熱するための、電熱体を有する電気ヒータユニットを備えたエンジンの冷却装置であって、
    シリンダヘッドの一端部に形成され且つ一端側の側壁部に開口すると共に、シリンダヘッド側ウォータジャケットを流通する冷却水とシリンダブロック側ウォータジャケットを流通する冷却水とが合流する冷却水出口部と、
    上記シリンダヘッドの一端側の側壁部における上記冷却水出口部の開口に対応する位置に取り付けられると共に、ラジエータへ冷却水を流通させるラジエータ通路の上流端が接続されるウォータアウトレット部材と、を備え、
    上記電気ヒータユニットは、上記ウォータアウトレット部材に取り付けられており、
    上記電熱体は、先端部が上記冷却水出口部内のシリンダヘッド側ウォータジャケットを流通する冷却水とシリンダブロック側ウォータジャケットを流通する冷却水との合流部に位置するように、上記ウォータアウトレット部材内からシリンダヘッド側に気筒列方向に延びており、
    上記冷却水出口部の近傍には、ラジエータを迂回するラジエータバイパス通路の上流端及び冷却水をキャビンヒータへ流通させるキャビンヒータ通路の上流端が接続されていることを特徴とするエンジンの冷却装置。
  2. 請求項1に記載のエンジンの冷却装置において、
    エンジンは、車両に対し横置搭載されており、
    上記冷却水出口部は、上記シリンダヘッドの後端部に形成され且つシリンダヘッド後側壁部に開口しており、
    上記ラジエータ通路は、上記ウォータアウトレット部材から上記ラジエータまで冷却水を流通させるラジエータホースを有しており、
    上記キャビンヒータ通路は、その上流端が上記ウォータアウトレット部材に接続されると共に、該ウォータアウトレット部材から上記キャビンヒータまで冷却水を流通させるヒータホースを有しており、
    上記ウォータアウトレット部材は、上記シリンダヘッド後側壁部に取り付けられ且つ上記冷却水出口部を覆うカップ形状をしていて、その車両前側には上記ラジエータホースを接続するラジエータホース接続部が、その車両後側には上記ヒータホースを接続するヒータホース接続部が、シリンダヘッドと反対側の側壁部には上記電気ヒータユニットを取り付けるヒータ取付部が形成されていることを特徴とするエンジンの冷却装置。
  3. 請求項2に記載のエンジンの冷却装置において、
    オイルポンプからのオイルをクランクシャフトの軸受部へ供給する第1オイルギャラリが、シリンダブロック側壁部内に気筒列方向に延びて設けられており、
    上記ラジエータバイパス通路は、上記シリンダブロック側壁部内において、上記第1オイルギャラリと略平行に近接して気筒列方向に延びて設けられていることを特徴とするエンジンの冷却装置。
  4. 請求項2又は3に記載のエンジンの冷却装置において、
    オイルポンプからのオイルをシリンダヘッドへ供給する第2オイルギャラリが、シリンダブロック前側壁部内にシリンダブロック幅方向に延びて設けられており、
    上記キャビンヒータ通路は、上記シリンダブロック前側壁部内に上記第2オイルギャラリと略平行に近接してシリンダブロック幅方向に延びて設けられると共に上記キャビンヒータからの冷却水をウォータポンプへ流通させるヒータリターン通路をさらに有していることを特徴とするエンジンの冷却装置。
  5. 請求項3に記載のエンジンの冷却装置において、
    上記第1オイルギャラリ及びラジエータバイパス通路が設けられたシリンダブロック側壁部の外側には、ブローバイガスからオイルを分離するオイルセパレータ室が形成されていることを特徴とするエンジンの冷却装置。
  6. 請求項4に記載のエンジンの冷却装置において、
    上記シリンダブロック前側壁部の外側には、上記クランクシャフトの回転をカムシャフトに伝達するタイミングチェーンが収納されるチェーン室が形成されていることを特徴とするエンジンの冷却装置。
  7. 請求項1乃至6の何れか1つに記載のエンジンの冷却装置において、
    上記冷却水出口部には、シリンダブロック側ウォータジャケットを流通する冷却水がシリンダヘッド側ウォータジャケット内へ合流するための連通路が上向きに開口して形成されており、
    上記電気ヒータユニットは、U字形状の電熱体を複数並設して構成されており、
    上記複数の電熱体の先端部は、上記連通路の開口の上方を覆う位置に位置することを特徴とするエンジンの冷却装置。
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