JP4482470B2 - 軽油組成物の製造方法 - Google Patents
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(1)ナフテンベンゼン類およびフルオレン類を含み、沸点範囲182〜367℃の直留軽油留分を、硫黄分が10質量ppm以下、ナフテンベンゼン類とフルオレン類の含有量の和が5.62容量%以下となるように水素化脱硫して得た脱硫軽油と、
ナフテンベンゼン類およびフルオレン類を含み、沸点範囲148〜271℃の直留灯油を、硫黄分が10質量ppm以下、ナフテンベンゼン類とフルオレン類の含有量の和が3.84容量%以下となるように水素化脱硫して得た脱硫灯油とを混合し、
硫黄分の含有量が10質量ppm以下であり、ナフテンベンゼン類とフルオレン類の含有量の和が8.0容量%以下であり、ナフタレン類の含有量が0.5容量%以上3.0容量%以下であり、下記式(I)で表される酸化安定度指数Yが3以下であり、フルオレン類とナフタレン類の含有量の比が1以下であり、フルオレン類とナフテンベンゼン類の含有量の比が0.2以下である軽油組成物を調製することを特徴とする、酸化安定性に優れた軽油組成物の製造方法。
Y=2.9×〔フルオレン類含有量(容量%)〕
+0.016×〔ナフテンベンゼン類含有量(容量%)〕 式(I)
−0.73×〔ナフタレン類含有量(容量%)〕
(2)前記脱硫軽油を80容量%、前記脱硫灯油を20容量%配合したことを特徴とする、上記(1)に記載の軽油組成物の製造方法。
本発明の軽油組成物において、硫黄分の含有量は50質量ppm以下であり、好ましくは10質量ppm以下である。硫黄分の含有量が50質量ppm以下であれば、ディーゼルエンジンから排出される粒子状物質の成分であるサルフェートの排出量が少なくなり、更に排ガス後処理装置の性能に悪影響を及ぼすことなく、なお更にはその他の好ましからざる排出ガス成分の増加が抑制される。硫黄分の含有量は、JIS K 2541の微量電量滴定式酸化法により測定できる。
ナフテンベンゼン類とは、テトラリン、アルキル基置換テトラリン、インダン、アルキル基置換インダンなどを示す。また、フルオレン類とは、フルオレン、アルキル基置換フルオレンなどを示す。
ナフタレン類とは、ナフタレン、アルキル基置換ナフタレンなどを示す。
これらの係数の値は、フルオレン類は軽油組成物の酸化安定性に大きく悪影響を与え、ナフテンベンゼン類は軽油組成物の酸化安定性に与える悪影響がフルオレン類よりは軽微であり、ナフタレン類は軽油組成物の酸化安定性の向上に貢献することを示している。例えば、フルオレン類の含有量とナフタレン類の含有量を調整して、酸化安定度指数Yが3を超えないようにすることが、酸化安定性に優れ、長期保存しても過酸化物などが生成しない低硫黄軽油組成物を得る上で好ましい。
本発明の軽油組成物の調製に用いる軽油基材としては、最終的に得られる軽油組成物が上記に規定する特定の性状を有する限りにおいて、種々の軽油基材を適宜用いることができる。例えば、原油を常圧蒸留して得られる灯油留分や軽油留分、及びそれらを脱硫した脱硫灯油や脱硫軽油を用いることができる。また、直接脱硫装置から得られる直接脱硫軽油、間接脱硫装置から得られる間接脱硫軽油、流動接触分解装置から得られる軽質サイクルオイル、及びそれらを常圧蒸留装置から得られる軽油留分と混合して更に脱硫処理した基材などを用いることができて、通常軽油組成物の基材として使用されるものを適宜用いることができる。その他に、フィシャートロプシュ合成およびそれに付随する各種二次処理プロセスにより得られる各種炭化水素の軽油相当留分や含酸素化合物などを基材として用いることもできる。また、最終的に得られる軽油組成物が上記に規定する特定の性状を有するようにすることは、用いる軽油基材の硫黄分、ナフテンベンゼン類、フルオレン類、ナフタレン類の各含有量を考慮してその配合割合を選択することによって達成し得る。中でも、脱硫灯油や脱硫軽油を基材として用いることにより本発明の軽油組成物を好適に調製することができる。
また、本発明は、酸化防止剤を添加することなしに、酸化安定性に優れた低硫黄軽油組成物を提供するものであるが、本発明に酸化防止剤を添加した場合は更に酸化安定性を向上させることが可能となる。
沸点範囲186℃〜377.5℃の直留軽油留分を硫黄分50質量ppm以下に脱硫処理した脱硫軽油(基材1)を80容量%と、沸点範囲147℃〜281℃の直留灯油留分を硫黄分50質量ppm以下に脱硫処理した脱硫灯油(基材3)を20容量%の割合で混合し、表4に示す性状の軽油組成物を得た。
参考例2
沸点範囲182℃〜367℃の直留軽油留分を硫黄分10質量ppm以下に脱硫処理し(基材2)、表4に示す軽油組成物を得た。
基材2を80容量%と、沸点範囲148℃〜271℃の直留灯油を硫黄分10質量ppm以下に脱硫処理した脱硫灯油(基材4)を20容量%の割合で混合し、表4に示す性状の軽油組成物を得た。
参考例4
沸点範囲164℃〜365℃の直留軽油留分を硫黄分10質量ppm以下に脱硫処理し(基材5)、表4に示す軽油組成物を得た。
基材2を19.8容量%と、基材4を79.2容量%の割合で混合したものにフルオレンを1.0容量%添加し、表5に示す性状の軽油組成物を得た。
比較例2
常圧蒸留装置から留出する直留軽油留分に流動接触分解装置から留出する軽質サイクルオイルを6容量%配合し沸点範囲193℃〜368℃とした軽油留分を、硫黄分50質量ppm以下に脱硫処理し(基材6)、表5に示す軽油組成物を得た。
常圧蒸留装置から留出する直留軽油留分に流動接触分解装置から留出する軽質サイクルオイルを6容量%配合し沸点範囲193℃〜368℃とした軽油留分を、硫黄分20質量ppm以下に脱硫処理したもの(基材7)97.9容量%に対してフルオレンを0.5容量%、α−メチルナフタレンを1.6容量%添加し、表5に示す軽油組成物を得た。
比較例4
沸点範囲164℃〜365℃の直留軽油留分を硫黄分50質量ppm以下に脱硫処理したもの(基材8)98.8容量%に対してフルオレンを0.2容量%、テトラリンを1.0容量%添加し、表5に示す軽油組成物を得た。
Agilent 1100 Series(ALS:G1329A, Bin Pump: G1312A, Degasser: G1379A, Rid: G1362A, Colcom: G1316A)により、移動相:n−ヘキサン、流量1.0ml/min、カラム:硝酸銀含浸シリカカラム(4.6mml.D.*70mmL. センシュー科学製 AgNO3-1071-Y)、アミン修飾カラム(4.0mml.D.*250mmL. 2本 センシュー科学製 LICHROSORB-NH2)、カラム温度:35℃、試料濃度:10vol.%、注入量5μlの条件で測定した。
試料をHPLCにより飽和分と芳香族分により分画後、芳香族分について、HP−6890シリーズII HP5973 四重極質量分析計により、
カラム:DB−1:30m×0.25mmI.D.×0.25um、
オーブン温度:40℃(1min)→10℃/min→280℃(5min)、
注入口温度:43℃ Oven track mode ON、
インターフェース温度:300℃、
キャリアーガス:He:55KPa Constant flow mode ON、
Solvent Delay:4.5min、
質量範囲:50〜500 Threshold=100 Sampling♯3、
イオン化電圧:70eV、
注入方法:オンカラム注入 3.0ul、
メソッドファイル:TYPE−ANA.M(芳香族分)、
の条件で測定し、芳香族分中に占めるナフテンベンゼン類、フルオレン類、ナフタレン類の割合を求めた。
軽油組成物中に占める芳香族分の割合に、芳香族分中のタイプ別組成割合を乗じて、軽油組成物中のナフテンベンゼン類、フルオレン類、ナフタレン類の含有量を求めた。
実施例の結果を表4に、比較例の結果を表5に示す。
Claims (2)
- ナフテンベンゼン類およびフルオレン類を含み、沸点範囲182〜367℃の直留軽油留分を、硫黄分が10質量ppm以下、ナフテンベンゼン類とフルオレン類の含有量の和が5.62容量%以下となるように水素化脱硫して得た脱硫軽油と、
ナフテンベンゼン類およびフルオレン類を含み、沸点範囲148〜271℃の直留灯油を、硫黄分が10質量ppm以下、ナフテンベンゼン類とフルオレン類の含有量の和が3.84容量%以下となるように水素化脱硫して得た脱硫灯油とを混合し、
硫黄分の含有量が10質量ppm以下であり、ナフテンベンゼン類とフルオレン類の含有量の和が8.0容量%以下であり、ナフタレン類の含有量が0.5容量%以上3.0容量%以下であり、下記式(I)で表される酸化安定度指数Yが3以下であり、フルオレン類とナフタレン類の含有量の比が1以下であり、フルオレン類とナフテンベンゼン類の含有量の比が0.2以下である軽油組成物を調製することを特徴とする、酸化安定性に優れた軽油組成物の製造方法。
Y=2.9×〔フルオレン類含有量(容量%)〕
+0.016×〔ナフテンベンゼン類含有量(容量%)〕 式(I)
−0.73×〔ナフタレン類含有量(容量%)〕 - 前記脱硫軽油を80容量%、前記脱硫灯油を20容量%配合したことを特徴とする、請求項1に記載の軽油組成物の製造方法。
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