以下に、本発明にかかるTDM信号伝送システム、TDM端末接続装置、およびTDM交換機接続装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、以下の実施の形態では、TDM信号の1つである電話信号を例に挙げて説明するが、TDM信号は電話信号に限るものではない。
実施の形態1.
図1〜図8を参照してこの発明にかかる実施の形態1を説明する。図1は、この発明にかかる実施の形態1のTDM信号伝送システムの構成を示す図である。図1において、TDM信号伝送システムは、加入者電話機106−1,106−2(特許請求の範囲で言うところのTDM端末)が接続される加入者回線(特許請求の範囲でいうところのTDM回線)を収容する電話機接続装置1−1,1−2(特許請求の範囲でいうところのTDM端末接続装置)と、電話交換機3(特許請求の範囲で言うところのTDM交換機)が接続されるTDM交換機インタフェースを収容する交換機接続装置2(特許請求の範囲でいうところのTDM交換機接続装置)とが中継転送網4を介して接続されている。
中継転送網4は、たとえば、イーサネット(登録商標)網5や、EPON(Ethernet(登録商標) Passive Optical Network)、BPON(Broadband Passive Optical Network),GE−PON(Gigabit Ethernet(登録商標)-Passive Optical Network)などのPON(Passive Optical Network)システムなどがあり、中継転送網4がイーサネット(登録商標)網5である場合には、電話機接続装置1および交換機接続装置2は中継転送網4側のインタフェースとしてイーサネット(登録商標)インタフェース機能を備え、中継転送網4がPONインタフェースを収容するOLT(Optical Line Termination))6である場合には、電話機接続装置1はONT(Optical Network Termination)に相当し、さらに、中継転送網4がOLT8およびONU(Optical Network Unit)7−1,7−2で構成されるPONシステムである場合には、電話機接続装置1はONUのUNIインタフェースを備える。
以下、中継転送網4がBPONの場合で、かつONU7−1,7−2のUNIインタフェースおよびOLT8の網側インタフェースがイーサネット(登録商標)インタフェース(以下、レイヤ2インタフェースとする)の場合を例に挙げて説明する。
図1に示した電話機接続装置1−1,1−2は同じ機能を備えている。図2に示した電話機接続装置1−1の構成を示すブロック図を参照して、電話機接続装置の機能を説明する。図2において、電話機接続装置1−1は、加入者電話機106−1が接続される加入者回線を収容するコネクタ(たとえば、RJ−11コネクタ)21と、加入者電話機106−1との加入者回線インタフェースを終端するSLIC20と、呼び出し音を生成するための電源をSLIC20に供給するリンガー電源部22と、TDM信号をイーサネット(登録商標)フレーム(以下、レイヤ2フレームとする)にカプセル化するとともに、交換機接続装置2からのレイヤ2フレームをデカプセル化してTDM信号を抽出するTDM/レイヤ2変換部23と、TDM/レイヤ2変換部23によって抽出されたTDM信号に基づいてクロックを生成するクロック再生部24と、レイヤ2インタフェースを終端するレイヤ2PHY部25とを備えている。
加入者電話機106−1,106−2には、予め加入者電話機106−1,106−2を識別するための識別子が付与されている。この識別子は、電話機接続装置1−1,1−2および中継転送網4を介して交換機接続装置2に接続される加入者電話機106−1,106−2の間で固有の値であり、加入者電話機106−1,106−2と電話機接続装置1−1,1−2とを接続する加入者回線を識別するための回線識別子として用いられる。電話機接続装置1−1,1−2のTDM/レイヤ2変換部23には、加入者電話機106−1,106−2を接続する加入者回線を識別する回線識別子であるVID26が予め設定されている。
図3は、図1に示した交換機接続装置2の構成を示すブロック図である。図3において、交換機接続装置2は、レイヤ2インタフェースを終端するレイヤ2PHY部30と、電話交換機3とのTDM交換機インタフェースを終端するTDMPHY部33と、電話交換機3からのTDM信号をレイヤ2フレームにカプセル化するとともに、電話機接続装置1からのレイヤ2フレームをデカプセル化してTDM信号を抽出するレイヤ2/TDM変換部31と、レイヤ2/TDM変換部31によって抽出されたTDM信号からTDM交換機インタフェース上でのフレームを生成するとともに、TDMPHY部33から入力されるTDM信号をチャネル毎に分離するフレーマ32とを備えている。
レイヤ2/TDM変換部31には、TDM交換機インタフェース上のチャネルを識別するための識別子が設定されている。チャネルを識別する識別子は、自装置に接続している電話機接続装置1−1,1−2が収容する加入者電話機106−1,106−2の識別子と同じ値が設定される。ここでは、レイヤ2/TDM変換部31には、VID34として電話機接続装置1−1と電話機接続装置1−2に設定されたVID26と同じ値(異なる2つの値)が設定される。
このように、加入者電話機106−1,106−2に付与された識別子とTDM交換機インタフェース上のチャネルの識別子とに同じ値を設定することで、電話機接続装置1が交換機接続装置2に送信するレイヤ2フレーム内に加入者電話機106−1,106−2の識別子を含めておけば、交換機接続装置2は加入者電話機106−1,106−2の識別子をTDM交換機インタフェース上のチャネルの識別子として用いることができ、かつ交換機接続装置2が電話機接続装置1に送信するレイヤ2フレーム内にTDM交換機インタフェース上のどのチャネルのTDM信号をカプセル化したかをチャネルの識別子として含めておけば、TDM伝送システム内の加入者電話機106を特定することができる。
つぎに、加入者回線およびTDM交換機インタフェース上のチャネルを識別するための識別子として、レイヤ2フレームのVLANタグを用いる場合を例に挙げて、この実施の形態1のTDM信号伝送システムの動作を説明する。まず、電話機接続装置1−1から交換機接続装置2方向への通信動作を説明する。
電話機接続装置1−1のSLIC20は、コネクタ21を介して受信した加入者電話機106−1との加入者回線インタフェースを終端して、TDM信号であるPCM(Pulse Code Modulation)信号をTDM/レイヤ2変換部23に出力する。また、SLIC20は、加入者電話機106のフック状態を示すシグナリング信号を生成してTDM/レイヤ2変換部23に出力する。具体的には、SLIC20は、1バイトのPCM信号と1バイトのシグナリング信号とを予め定められた周期(たとえば、125μs)毎にTDM/レイヤ2変換部23に出力する。
電話機接続装置1−1のTDM/レイヤ2変換部23は、1周期毎に入力されるPCM信号とシグナリング信号と1組のデータとして、予め定められた周期数分のデータをカプセル化して、レイヤ2フレームを生成する。
図5は、電話機接続装置1−1のTDM/レイヤ2変換部23が生成するレイヤ2フレームの構成を示す図である。図5において、レイヤ2フレームは、宛先MACアドレス40、ソースMACアドレス41、TPID(Tag Protocol Identifier)42、プライオリティ431とCFI(Canonical Format Identifier)432とVLAN−ID433とを有するTCI43、長さ/タイプ44、シグナリング信号451とPCM信号452とを有するデータ45と、PAD46、およびFCS47で構成され、一般的なイーサネット(登録商標)フレームと同じフォーマットとなっている。図5において、TPID42とTCI43とがVLANタグである。
電話機接続装置1−1のTDM/レイヤ2変換部23は、TPID42にレイヤ2フレームがVLANタグ付きのフレームであることを示す固定値「0x8100」を設定し、VLAN−ID433に予め設定されているVID26を設定する。この実施の形態1のTDM信号伝送システムにおいては、一般的なレイヤ2フレームを用いるが、MACアドレスを用いた転送を行なわないため、TDM/レイヤ2変換部23は、宛先MACアドレス40およびソースMACアドレス41には任意の値を設定する。また、TDM/レイヤ2変換部23は、長さ/タイプ44、プライオリティ431、およびCFI432には所定の値を設定する。
TDM/レイヤ2変換部23は、1バイトのシグナリング信号およびPCM信号をシグナリング信号451およびPCM信号452に予め定められた周期分(この場合はN(Nは自然数))設定し、宛先MACアドレス40からFCS47までのレイヤ2フレームの長さが、所定の値(この場合は64バイト)に満たない場合には、N周期分のデータ45の後のレイヤ2フレームの長さが64バイトになるようにPAD46を設定し、FCS47にフレームチェックのためのデータを設定する。
TDM/レイヤ2変換部23は、レイヤ2PHY部25を介して、生成したレイヤ2フレームを中継転送網4に出力する。中継転送網4に出力されたレイヤ2フレームは、ONU7−1およびOLT8を介して交換機接続装置2に到達する。
交換機接続装置2のレイヤ2PHY部30は、OLT8から受信したレイヤ2フレームを終端してレイヤ2/TDM変換部31に出力する。レイヤ2/TDM変換部31は、レイヤ2フレームをデカプセル化してN周期分のデータ(シグナリング信号およびPCM信号)を抽出し、抽出したデータをフレーマ32に出力する。
また、レイヤ2/TDM変換部31は、レイヤ2フレームのVLAN−ID433に設定されているVIDを抽出する。レイヤ2/TDM変換部31は、抽出したVIDの値をチャネル識別子としてフレーマ32に通知する。
フレーマ32は、レイヤ2/TDM変換部31から入力されるデータからTDM交換機インタフェース上のフレームを生成してTDMPHY部33に出力するとともに、レイヤ2/TDM変換部31から通知されたチャネル識別子をTDMPHY部33に通知する。
TDMPHY部33は、フレーマ32が生成したフレームをチャネル識別子が示すTDM交換機インタフェース上のチャネルに出力する。これにより、加入者電話機106−1からのN周期分のPMC信号およびシグナリング信号が電話交換機3に到達する。
なお、電話機接続装置1−2から交換機接続装置2方向への通信動作は、電話機接続装置1−1から交換機接続装置2方向への通信動作と同じであるのでここではその説明を省略する。
つぎに、交換機接続装置2から電話機接続装置1−1方向への通信動作を説明する。交換機接続装置2のTDMPHY部33は、電話交換機3からのTDM信号を終端してフレーマ32に出力する。
交換機接続装置2のフレーマ32は、TDM信号をチャネル毎のデータに分離してレイヤ2/TDM変換部31に出力する。具体的には、フレーマ32は、1バイトのPCM信号と、着信側読み出し音鳴動/停止や加入者電話線の極性を制御するための1バイトのフック信号とを予め定められた周期(たとえば、125μs)毎に、レイヤ2/TDM変換部31に出力する。
交換機接続装置2のレイヤ2/TDM変換部31は、1周期毎に入力されるチャネル毎に分離されたPCM信号とシグナリング信号とを1組のデータとして、予め定められた周期数分のデータをカプセル化して、レイヤ2フレームを生成する。
図6は、交換機接続装置2のレイヤ2/TDM変換部31が生成するレイヤ2フレームの構成を示す図である。図6において、レイヤ2フレームは、宛先MACアドレス50、ソースMACアドレス51、TPID(Tag Protocol Identifier)52、プライオリティ531とCFI(Canonical Format Identifier)532とVLAN−ID533とを有するTCI53、長さ/タイプ54、フック信号551とPCM信号552とを有するデータ55と、PAD56、およびFCS57で構成され、一般的なイーサネット(登録商標)フレームと同じフォーマットとなっている。図6において、TPID52とTCI53とがVLANタグである。
交換機接続装置2のレイヤ2/TDM変換部31は、1バイトのフック信号およびPCM信号をフック信号551およびPCM信号552に予め定められた周期分(この場合はM(Mは自然数))設定する。レイヤ2/TDM変換部31は、TPID52にレイヤ2フレームがVLANタグ付きのフレームであることを示す固定値「0x8100」を設定し、VLAN−ID533にデータ55のPCM信号552に設定したPCM信号を受信したTDM交換機インタフェース上のチャネルを示すチャネル識別子をVIDとして設定する。たとえば、図4に示したTDM交換機インタフェース上のチャネルCH1からのPCM信号をPCM信号552に設定した場合には、VLAN−ID533に「101」を設定する。
レイヤ2/TDM変換部31は、宛先MACアドレス50およびソースMACアドレス51には、任意の値を設定する。また、レイヤ2/TDM変換部31は、長さ/タイプ54、プライオリティ531、およびCFI532には所定の値を設定する。レイヤ2/TDM変換部31は、宛先MACアドレス50からFCS57までのレイヤ2フレームの長さが、所定の値(この場合は64バイト)に満たない場合には、5周期分のデータ45の後のレイヤ2フレームの長さが64バイトになるようにPAD56を設定し、FCS57にフレームチェックのためのデータを設定する。
交換機接続装置2のレイヤ2/TDM変換部31は、レイヤ2PHY部31を介して、生成したレイヤ2フレームを中継転送網4に出力する。中継転送網4に出力されたレイヤ2フレームは、OLT8およびONU7−1,7−2を介して電話機接続装置1−1,1−2に到達する。このとき、OLT8にONU7−1,7−2と当該ONU7−1,7−2が収容する電話機接続装置1−1,1−2に登録されているVID26とを対応付けて登録しておき、OLT8がレイヤ2フレームのVLAN−ID533に設定されているVIDに基づいて、当該VIDが登録されている電話機接続装置1−1,1−2を収容するONU7−1,7−2に対してのみレイヤ2フレームを転送するようにしてもよい。ここでは、交換機接続装置2が生成したレイヤ2フレームのVLAN−DI533に設定されているVIDが電話機接続装置1−1に収容されている加入者電話機106−1を示しており、レイヤ2フレームが電話機接続装置1−1に到達したとする。
電話機接続装置1−1のレイヤ2PHY部25は、ONU7−1を介して受信したレイヤ2フレームを終端してTDM/レイヤ2変換部23に出力する。TDM/レイヤ2変換部23は、レイヤ2フレームをデカプセル化してM周期分のデータ55を抽出してフック信号551およびPCM信号552に設定されているフック信号およびPMC信号を内部のバッファ(図示せず)に格納するとともに、PCM信号552に設定されているPCM信号をクロック再生部24に出力する。
電話機接続装置1−1のクロック再生部24は、PCM信号に基づいてクロックを生成してTDM/レイヤ2変換部23に出力する。TDM/レイヤ2変換部23は、クロック再生部24によって生成されたクロックを用いてバッファに格納したフック信号およびPCM信号をSLIC20に出力する。
SLIC20は、フック信号に基づいてリンガー電源部22から供給される電源を用いて、加入者電話機106−1の呼び出し音を鳴動/停止させ、加入者側電話線の極性を制御する。
なお、交換機接続装置2から電話機接続装置1−2方向への通信動作は、交換機接続装置2から電話機接続装置1−1方向への通信動作と同じであるのでここではその説明を省略する。
このようにこの実施の形態1においては、電話機接続装置1−1,1−2は、自装置が収容するTDM回線を識別するための回線識別子を含めたレイヤ2フレームにTDM信号をカプセル化して交換機接続装置2に送信し、交換機接続装置2は、電話機接続装置1−1,1−2から受信したレイヤ2フレームから回線識別子を抽出し、抽出した回線識別子に基づいて、受信したレイヤ2フレームをデカプセル化して抽出したTDM信号を出力するTDM交換機インタフェース上のチャネルを選択するようにしている。
これにより、TDM回線とTDMインタフェース上のチャネルとの対応付けとして、回線識別子とチャネル識別子とを同じ値に設定しておけば、加入者電話機および電話交換機にMACアドレスを割り当てることなく、TDM信号をレイヤ2フレームにカプセル化して転送することができるTDM信号伝送システムを得ることができる。
なお、この実施の形態1では、電話機接続装置が収容する加入者電話機を1台として説明したが、図2に示した電話機接続装置1−1がコネクタ21、SLIC20、リンガー電源部22、TDM/レイヤ2変換部23、クロック再生部24、およびレイヤ2PHY部25を複数備えれば、加入者電話機106を複数収容することが可能である。この場合、電話機接続装置1−1は、交換機接続装置2から受信したレイヤ2フレームのVLAN−ID533に設定されているチャネル識別子に対応する回線識別子が示すTDM回線を選択してTDM信号を出力する。
これにより、TDM回線とTDMインタフェース上のチャネルとの対応付けとして、回線識別子とチャネル識別子とを同じ値に設定しておけば、加入者電話機および電話交換機にMACアドレスを割り当てることなく、TDM信号をレイヤ2フレームにカプセル化して転送することができるTDM信号伝送システムを得ることができる。
また、この実施の形態1では、加入者電話機およびTDM交換機インタフェース上のチャネルを識別するための識別子としてレイヤ2フレームのVLANタグを用いる場合について説明したが、レイヤ2フレームのペイロードに加入者電話機およびTDM交換機インタフェース上のチャネルを識別するための識別子を設定するようにしてもよい。具体的には、図5に示したレイヤ2フレームの代わりに、図7に示すように、長さ/タイプ44とデータ45との間に回線/チャネル識別子440を設け、回線/チャネル識別子440にVIDを設定し、図6に示したレイヤ/2フレームの代わりに、図8に示すように、長さ/タイプ54とデータ55との間に回線/チャネル識別子540を設け、回線/チャネル識別子540にVIDを設定するようにすればよい。
実施の形態2.
図9〜図15を用いてこの発明の実施の形態2を説明する。図9は、この発明にかかる実施の形態2のTDM信号伝送システムの構成を示す図である。図9において、TDM信号伝送システムは、先の図1に示した実施の形態1のTDM信号伝送システムの電話機接続装置1−1,1−2の代わりに、電話機接続装置1a−1,1a−2を備えている。電話機接続装置1a−1は、n(1<n,nは自然数)台の加入者電話機106a−1〜106a−nを収容し、電話機接続装置1a−2は、n台の加入者電話機106b−1〜106b−nを収容する。図1に示した実施の形態1のTDM信号伝送システムと同じ機能を持つ構成部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。なお、図9においては、電話機接続装置1a−1および電話機接続装置1a−2がそれぞれ収容する加入者電話機の台数をnとしたが、電話機接続装置1a−1および電話機接続装置1a−2が収容する加入者電話機の台数は同一台数に限るものではない。
以下、実施の形態1と同様に、中継転送網4がBPONの場合で、かつONU7−1,7−2のUNIインタフェースおよびOLT8の網側インタフェースがイーサネット(登録商標)インタフェース(以下、レイヤ2インタフェースとする)の場合を例に挙げて説明する。
電話機接続装置1a−1,1a−2は同じ機能を備えている。図10に示した電話機接続装置1a−1の構成を示すブロック図を参照して、電話機接続装置の機能を説明する。図10において、電話機接続装置1a−1は、加入者電話機106a−1〜106a−nとの信号の処理を行なう回線インタフェース処理部29−1〜29−nと、TDM信号をレイヤ2フレームにカプセル化するとともに、レイヤ2フレームをデカプセル化してTDM信号を抽出するTDM/レイヤ2変換部23と、レイヤ2フレームを交換するレイヤ2スイッチ(以下、L2SWとする)70と、レイヤ2フレームを終端するレイヤ2PHY部25とを備えている。
回線インタフェース処理部29−1〜29−nは、全て同じ機能を備えている。回線インタフェース処理部29−1は、TDM回線である加入者回線(加入者電話機106a−1)を収容するコネクタ(例えば、RJ−11コネクタ)21と、加入者回線インタフェースを終端するSLIC20と、呼び出し音を生成するための電源をSLIC20に供給するリンガー電源部22と、レイヤ2フレームにカプセル化されたTDM信号に基づいてクロックを生成するクロック再生部24とを備えている。
すなわち、電話機接続装置1a−1は、収容する加入者電話機の台数分のコネクタ21、SLIC20、リンガー電源部22、クロック再生部24を備え、TDM/レイヤ2変換部23、L2SW70、およびレイヤ2PHY部25を複数の加入者電話機と接続する加入者加入者回線で共用している。以下、この実施の形態2では、電話機接続装置1a−1,1a−2が収容する加入者電話機を2台(n=2)として説明する。
電話機接続装置1a−1のTDM/レイヤ2変換部23には、予め1つの識別子としてVID26aが設定されている。VID26aは、交換機接続装置2に接続される電話機接続装置1a−1,1a−2の間で固有の値とする。図9においては、交換機接続装置2に電話機接続装置1a−1,1a−2が接続されているので、電話機接続装置1a−1と電話機接続装置1a−2のTDM/レイヤ2変換部23には、それぞれ異なる値のVID26aが設定される。すなわち、VID26aは、電話機接続装置1a−1が収容する加入者電話機106a−1と加入者電話機106a−2との加入者回線で共有の値となり、電話機接続装置1a−2が収容する加入者電話機106b−1と加入者電話機106b−2との加入者回線で共有の値となる。
一方、先の図3に示した交換機接続装置2のレイヤ2/TDM変換部31には、VID34として交換機接続装置2が収容する電話機接続装置1a−1,1a−2に設定されたそれぞれのVID26aと同じ値を予め設定しておく。また、VID34がTDM交換機インタフェース上のどのチャネルで共有されるかを指定する共有チャネル数Kを設定しておく。図9の場合、電話機接続装置1a−1,1a−2は、それぞれ加入者回線を2回線収容しているので、共有チャネル数Kは「2」となるが、それぞれ異なる値であってもかまわない。
つぎに、加入者回線およびTDM交換機インタフェース上のチャネルを識別するための識別子として、レイヤ2フレームのVLANタグを用いる場合を例に挙げて、この実施の形態2のTDM信号伝送システムの動作を説明する。まず、電話機接続装置1a−1から交換機接続装置2方向への通信動作を説明する。
電話機接続装置1a−1の回線インタフェース処理部29−1,29−2のSLIC20は、コネクタ21を介して受信した加入者電話機106a−1,106a−2との加入者回線インタフェースを終端して、TDM信号であるPCM(Pulse Code Modulation)信号をTDM/レイヤ2変換部23に出力する。また、回線インタフェース処理部29−1,29−2のSLIC20は、加入者電話機106a−1,106a−2のフック状態を示すシグナリング信号を生成してTDM/レイヤ2変換部23に出力する。具体的には、回線インタフェース処理部29−1,29−2のSLIC20は、1バイトのPCM信号と1バイトのシグナリング信号とを予め定められた周期(たとえば、125μs)毎にTDM/レイヤ2変換部23に出力する。
TDM/レイヤ2変換部23は、回線インタフェース処理部29−1,29−2のSLIC20から1周期毎に入力されるPCM信号とシグナリング信号とを1組のデータとして、予め定められた周期数分のデータをカプセル化して図11に示すようなレイヤ2フレームを生成する。
電話機接続装置1a−1のTDM/レイヤ2変換部23は、宛先MACアドレス40およびソースMACアドレス41に任意の値を設定し、TPID42にレイヤ2フレームがVLANタグ付きのフレームであることを示す固定値「0x8100」を設定し、長さ/タイプ44、プライオリティ431、およびCFI432には所定の値を設定し、VLAN−ID433にVID26aの値を設定する。
電話機接続装置1a−1のTDM/レイヤ2変換部23は、予め定められた順番、たとえば、回線インタフェース処理部29−1,29−2のコネクタ21を識別するためのポート識別子の若番順にPCM信号およびシグナリング信号をカプセル化する。具体的には、ポート識別子がポート#1である回線インタフェース処理部29−1のコネクタ21に対応する回線インタフェース処理部29−1のSLIC20から入力された1バイトのシグナリング信号およびPCM信号をシグナリング信号451およびPCM信号452に予め定められた周期分(この場合はN)設定したN個のデータ45の後に、ポート識別子がポート#2である回線インタフェース処理部29−2のコネクタ21に対応する回線インタフェース処理部29−2のSLIC20から入力された1バイトのシグナリング信号およびPCM信号をシグナリング信号451およびPCM信号452に予め定められた周期分(この場合はN)設定したN個のデータ45を付加する。
電話機接続装置1a−1のTDM/レイヤ2変換部23は、宛先MACアドレス40からFCS47までのレイヤ2フレームの長さが、所定の値(この場合は64バイト)に満たない場合には、N周期分のデータ45の後のレイヤ2フレームの長さが64バイトになるようにPAD46を設定し、FCS47にフレームチェックのためのデータを設定する。
電話機接続装置1a−1のTDM/レイヤ2変換部23は、生成したレイヤ2フレームをL2SW70に出力し、L2SW70はレイヤ2フレームを交換した後にレイヤ2PHY部25を介して中継転送網4に出力する。中継点転送網4に出力されたレイヤ2フレームは、ONU7−1およびOLT8を介して交換機接続装置2に到達する。
交換機接続装置2のレイヤ2PHY部30は、OLT8から受信したレイヤ2フレームを終端してレイヤ2/TDM変換部31に出力する。レイヤ2/TDM変換部31は、レイヤ2フレームをデカプセル化して共有チャネル数K×N周期分のデータ45に設定されているデータ(シグナリング信号およびPCM信号)を抽出し、抽出したデータをフレーマ32に出力する。ここでは、共有チャネル数Kが「2」であるので2N個のデータ45に設定されているデータを抽出してフレーマ32に出力する。
また、交換機接続装置2のレイヤ2/TDM変換部31は、レイヤ2フレームのVLAN−ID433に設定されているVIDを抽出する。レイヤ2/TDM変換部31は、抽出したVIDの値に基づいてデータを出力すべきTDM交換機インタフェース上のチャネルを選択する。レイヤ2/TDM変換部31に、たとえば、図12に示すようにVIDが設定されていたとする。図12において、レイヤ2/TDM変換部31は、レイヤ2フレームから抽出したVIDが「100」の場合TDM交換機インタフェース上のチャネルCH0〜CH2を選択し、レイヤ2フレームから抽出したVIDが「101」の場合TDM交換機インタフェース上のチャネルCH3,CH4を選択し、…、レイヤ2フレームから抽出したVIDが「107」の場合TDM交換機インタフェース上のチャネルCH21〜CH23を選択する。レイヤ2/TDM変換部31は、選択したチャネルを示すチャネル識別子をフレーマ32に通知する。
交換機接続装置2のフレーマ32は、レイヤ2/TDM変換部31から入力されるデータからTDM交換機インタフェース上のフレームを生成する。フレーマ32は、TDMPHY部33を介して、データから生成したそれぞれのTDM交換機インタフェース上のフレームをチャネル識別子が示すTDM交換機インタフェース上のチャネルに出力する。たとえば、レイヤ2フレームから抽出したVIDが「101」の場合、レイヤ2/TDM変換部31からは、チャネルCH3およびチャネルCH4を示すチャネル識別子が通知される。フレーマ32は、TDMPHY部33を介して、ポート#1に対応するデータ45に設定されていたデータから生成したTDM交換機インタフェース上のフレームをチャネルCH3に出力し、ポート#2に対応するデータ45に設定されていたデータから生成したTDM交換機インタフェース上のフレームをチャネルCH4に出力する。これにより、加入者電話機106a−1,106a−2からのそれぞれN周期分のPMC信号およびシグナリング信号が電話交換機3に到達する。
なお、電話機接続装置1a−2から交換機接続装置2方向への通信動作は、電話機接続装置1a−1から交換機接続装置2方向への通信動作と同じであるのでここではその説明を省略する。
つぎに、交換機接続装置2から電話機接続装置1a−1方向への通信動作を説明する。交換機接続装置2のTDMPHY部33は、電話交換機3からのTDM信号を終端してフレーマ32に出力する。
交換機接続装置2のフレーマ32は、TDM信号をチャネル毎のデータに分離してレイヤ2/TDM変換部31に出力する。具体的には、フレーマ32は、1バイトのPCM信号と、着信側読み出し音鳴動/停止や加入者電話線の極性を制御するための1バイトのフック信号とを予め定められた周期(たとえば、125μs)毎に、レイヤ2/TDM変換部31に出力する。
交換機接続装置2のレイヤ2/TDM変換部31は、予め定められた順番、たとえば、TDM交換機インタフェース上のチャネルを識別するためのチャネル識別子の若番順にPCM信号およびシグナリング信号をカプセル化して、図13に示すようなレイヤ2フレームを生成する。
たとえば、図12に示したTDM交換機インタフェース上のチャネルCH3,CH4からのPCM信号およびフック信号がフレーマ32から入力された場合、レイヤ2/TDM変換部31は、チャネル識別子がチャネル#3であるチャネルCH3に対応する1バイトのフック信号およびPCM信号をフック信号551およびPCM信号552に予め定められた周期分(この場合はM)設定したM個のデータ55の後に、チャネル識別子がチャネル#4であるチャネルCH4から入力されたフック信号およびPCM信号をフック信号551およびPCM信号552に予め定められた周期分(この場合はM)設定したM個のデータ55を付加する。
交換機接続装置2のレイヤ2/TDM変換部31は、宛先MACアドレス50およびソースMACアドレス51に任意の値を設定し、長さ/タイプ54、プライオリティ531、およびCFI532には所定の値を設定し、VLAN−ID533にはデータ55に設定したデータに対応するチャネルに応じたVIDを設定する。たとえば、図12に示したチャネルCH3,CH4からのデータをデータ55に設定した場合には、VLAN−ID533に「101」を設定する。また、レイヤ2/TDM変換部31は、宛先MACアドレス50からFCS57までのレイヤ2フレームの長さが、所定の値(この場合は64バイト)に満たない場合には、データ45の後のレイヤ2フレームの長さが64バイトになるようにPAD56を設定し、FCS57にフレームチェックのためのデータを設定する。
交換機接続装置2のレイヤ2/TDM変換部31は、レイヤ2PHY部30を介して、生成したレイヤ2フレームを中継転送網4に出力する。中継点転送網4に出力されたレイヤ2フレームは、OLT8およびONU7−1,7−2を介して電話機接続装置1a−1,1a−2に到達する。このとき、OLT8にONU7−1,7−2と当該ONU7−1,7−2が収容する電話機接続装置1a−1,1a−2に登録されているVID26とを対応付けて登録しておき、OLT8がレイヤ2フレームのVLAN−ID533に設定されているVIDに基づいて、当該VIDが登録されている電話機接続装置1a−1,1a−2を収容するONU7−1,7−2に対してのみレイヤ2フレームを転送するようにしてもよい。ここでは、交換機接続装置2が生成したレイヤ2フレームのVLAN−DI533に設定されているVIDが電話機接続装置1a−1に設定されているVID26と同じ値を示しており、レイヤ2フレームが電話機接続装置1a−1に到達したとする。
電話機接続装置1a−1のレイヤ2PHY部25は、ONU7を介して受信したレイヤ2フレームを終端してL2SW70に出力する。L2SW70は、レイヤ2フレームを交換した後にTDM/レイヤ2変換部23に出力する。
電話機接続装置1a−1のTDM/レイヤ2変換部23は、レイヤ2フレームをデカプセル化して2M周期分のデータ55に設定されているデータ(フック信号およびPMC信号)を抽出して内部のバッファ(図示せず)に格納するとともに、チャネル#3に対応するデータ55のPCM信号552に設定されているPCM信号を回線インタフェース処理部29−1のクロック再生部24に出力し、チャネル#4に対応するデータ55のPCM信号552に設定されているPCM信号を回線インタフェース処理部29−2のクロック再生部24に出力する。
電話機接続装置1a−1の回線インタフェース処理部29−1,29−2のクロック再生部24は、PCM信号に基づいてクロックを生成してTDM/レイヤ2変換部23に出力する。TDM/レイヤ2変換部23は、回線インタフェース処理部29−1,29−2のクロック再生部24によって生成されたクロックを用いてバッファに格納したチャネル#3,#4に対応するフック信号およびPCM信号を回線インタフェース処理部29−1,29−2のSLIC20に出力する。
回線インタフェース処理部29−1,29−2のSLIC20は、フック信号に基づいて回線インタフェース処理部29−1,29−2のリンガー電源部22から供給される電源を用いて、加入者電話機106a−1,106a−2の呼び出し音を鳴動/停止させ、加入者側回線の極性を制御する。
なお、交換機接続装置2から電話機接続装置1a−2方向への通信動作は、交換機接続装置2から電話機接続装置1a−1方向への通信動作と同じであるのでここではその説明を省略する。
このようにこの実施の形態2においては、電話機接続装置1a−1,1a−2は、自装置が収容する複数のTDM回線を識別するための回線識別子を含めたレイヤ2フレームに、予め定められた格納順序に基づいて各TDM回線からのTDM信号をカプセル化して交換機接続装置2に送信し、交換機接続装置2は、電話機接続装置1a−1,1a−2から受信したレイヤ2フレームから回線識別子を抽出し、抽出した回線識別子、予め定められた格納順序、および予め定められているTDM交換機インタフェース上の複数のチャネルを識別するためのチャネル識別子を共有するチャネル数を示す共有チャネル数に基づいての値に基づいて、受信したレイヤ2フレームをデカプセル化して抽出したTDM信号を出力するTDM交換機インタフェース上のチャネルを選択するようにしている。
これにより、TDM回線とTDMインタフェース上のチャネルとの対応付けとして、回線識別子とチャネル識別子とを同じ値に設定しておけば、加入者電話機および電話交換機にMACアドレスを割り当てることなく、TDM信号をレイヤ2フレームにカプセル化して転送することができるTDM信号伝送システムを得ることができる。
また、複数のTDM回線からのTDM信号をレイヤ2フレームにカプセル化する格納順を予め定めるようにしているので、TDM回線毎、およびTDMインタフェース上のチャネル毎に個別の識別子(回線識別子およびチャネル識別子)を付与する必要が無くなり、識別子の枯渇を抑制することができる。
なお、この実施の形態2では、加入者電話機およびTDM交換機インタフェース上のチャネルを識別するための識別子としてレイヤ2フレームのVLANタグを用いる場合について説明したが、レイヤ2フレームのペイロードに加入者電話機1およびTDM交換機インタフェース上のチャネルを識別するための識別子を設定するようにしてもよい。具体的には、図11に示したレイヤ2フレームの代わりに、図14に示すように、長さ/タイプ44とデータ45との間に回線/チャネル識別子440を設け、回線/チャネル識別子440にVIDを設定し、図2に示したレイヤ/2フレームの代わりに、図15に示すように、長さ/タイプ54とデータ55との間に回線/チャネル識別子540を設け、回線/チャネル識別子540にVIDを設定するようにすればよい。
また、交換機接続装置2のレイヤ2/TDM変換部31への共有チャネル数Kの設定方法はどのような方法であってもかまわない。
実施の形態3.
図16および図17を用いてこの発明の実施の形態3を説明する。先の図1または図8に示した中継転送網4は、TDMトラフィックだけでなくデータトラヒックや映像トラフィックなど、様々な種類のトラフィックを転送することができる。一般的に、TDMトラフィックには低遅延・低遅延揺らぎが要求される。この実施の形態3では、TDMトラフィックに要求される低遅延・低遅延揺らぎを実現する電話機接続装置について説明する。
まず、実施の形態1または実施の形態2では、VLANタグ付きのレイヤ2フレームを用いている。先の図5,6,11,13に示したように、VLANタグ付きのレイヤ2フレームには、優先順位を設定するプライオリティ431またはプライオリティ531がある。電話機接続装置1−1,1−2のTDM/レイヤ2変換部23、または電話機接続装置1a−1,1a−2のTDM/レイヤ2変換部23がレイヤ2フレームを生成する際に、プライオリティ431に最優先を示す値(たとえば、「7」)を設定し、交換機接続装置2のレイヤ2/TDM変換部31がレイヤ2フレームを生成する際に、プライオリティ531に最優先を示す値(たとえば、「7」)を設定する。これにより、VLAN優先度に基づいた優先転送が可能な中継転送網4においては、電話機接続装置1−1,1−2、1a−1,1a−2、および交換機接続装置2から出力されたレイヤ2フレームが優先的に処理されるので、TDMトラフィックに要求される低遅延・低遅延揺らぎを実現することができる。
また、電話機接続装置は、加入者電話機とレイヤ2インタフェースを有する端末を収容する場合がある。図16は、加入者電話機とレイヤ2インタフェースを有する端末を収容する電話機接続装置1bの構成を示すブロック図である。図16に示した電話機接続装置1bは、先の図2に示した電話機接続装置1−1に、レイヤ2インタフェースを有する端末を収容するコネクタ110(たとえば、RJ−45コネクタ)と、レイヤ2フレームを終端するレイヤ2PHY部111と、一般的なレイヤ2のブリッジ機能を有するレイヤ2ブリッジ112と、優先制御部113とが追加されている。図2に示した電話機接続装置1−1と同じ機能を備える構成部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
優先制御部113は、TDM/レイヤ2変換部23によって生成されるレイヤ2フレーム、すなわちコネクタ21に接続される加入者電話機の信号がカプセル化されたレイヤ2フレームと、レイヤ2ブリッジから入力されるレイヤ2フレーム、すなわちコネクタ110に接続される端末からのレイヤ2フレームとの優先制御を行なう。
優先制御部113は、TDM/レイヤ2変換部23から入力されるレイヤ2フレームを蓄積するキュー114aと、レイヤ2ブリッジ112から入力されるレイヤ2フレームを蓄積するキュー114bと、キュー114a,114bに蓄積されているレイヤ2フレームの読み出しを制御する読み出し制御部115とを備えている。
つぎに、電話機接続装置1bの動作を説明する。なお、実施の形態1と同じ動作については、詳細な説明は省略する。まず、電話機接続装置1bが中継転送網4にレイヤ2フレームを出力する動作を説明する。
レイヤ2PHY部111はコネクタ110を介して受信した端末からのレイヤ2フレームを終端し、レイヤ2ブリッジは、レイヤ2PHY部111によって終端されたレイヤ2フレームをブリッジして優先制御部113のキュー114bに格納する。
一方、SLIC20はコネクタ21を介して受信した加入者電話機との加入者回線インタフェースを終端してPCM信号およびシグナリング信号をTDM/レイヤ2変換部23に出力する。TDM/レイヤ2変換部23は、PCM信号およびシグナリング信号をカプセル化して先の図3に示したレイヤ2フレームを生成する。その際に、TDM/レイヤ2変換部23は、プライオリティ431に最優先を示す値(たとえば、「7」)を設定する。TDM/レイヤ2変換部23は、生成したレイヤ2フレームを優先制御部113のキュー114aに格納する。
優先制御部113の読み出し制御部115は、キュー114a、114bにレイヤ2フレームが格納されているか否かを確認する。キュー114aはTDM/レイヤ2変換部23から出力されたレイヤ2フレーム、すなわち加入者電話機のPCM信号がカプセル化されたレイヤ2フレームを蓄積するキューであり、キュー114bはレイヤ2ブリッジ112から出力されたレイヤ2フレーム、すなわち端末からのレイヤ2フレームを蓄積するキューであるので、キュー114aのほうがキュー114bよりも優先度が高く設定されている。読み出し制御部115は、キュー114aとキュー114bとにレイヤ2フレームが格納されている場合には、一般的な優先制御を用いて、キュー114aに蓄積されているレイヤ2フレームを優先的に読み出してレイヤ2PHY部25に出力する。これにより、VLAN優先度に基づいた優先転送が可能な中継転送網4においては、VLAN−ID433に最優先を示す値が設定された加入者電話機のPCM信号がカプセル化されたレイヤ2フレームが優先的に処理されて交換機接続装置2に到達する。
つぎに、電話機接続装置1bが中継転送網4からレイヤ2フレームを受信する動作を説明する。レイヤ2PHY部25は、中継転送網4から受信したレイヤ2フレームを終端して優先制御部113に出力する。優先制御部113は、受信したレイヤ2フレームが加入者電話機へのデータがカプセル化されたレイヤ2フレームであるのか、端末へのレイヤ2フレームであるのかを判定する。
具体的には、加入者電話機へのデータがカプセル化されたレイヤ2フレームである場合、交換機接続装置2は、先の図6に示したレイヤ2フレームを送信しており、宛先MACアドレス50およびソースMACアドレス51には任意の値が設定され、VLAN−ID533には電話機接続装置1bに設定されているVID26が設定されている。これに対して、端末へのレイヤ2フレームは、一般的なレイヤ2フレームであり、宛先MACアドレスには電話機接続装置1bが収容する端末のMACアドレスが設定され、ソースMACアドレスにはレイヤ2フレームの送信元の端末のMACアドレスが設定され、VLAN−IDには予め設定されたVLANを示す値が設定されている。優先制御部113は、これらの違いから受信したレイヤ2フレームが、加入者電話機へのデータがカプセル化されたレイヤ2フレームであるのか、端末へのレイヤ2フレームであるのかを判定する。
加入者電話機へのデータがカプセル化されたレイヤ2フレームであると判定した場合には、優先制御部113は、レイヤ2フレームをTDM/レイヤ2変換部23に出力する。
TDM/レイヤ2変換部23は、レイヤ2フレームにデカプセル化してM周期分のデータ55を抽出してフック信号551およびPCM信号552に設定されているフック信号およびPMC信号を内部のバッファ(図示せず)に格納するとともに、PCM信号552に設定されているPCM信号をクロック再生部24に出力し、クロック再生部24によって生成されたクロックを用いてバッファに格納したフック信号およびPCM信号をSLIC20に出力する。
SLIC20は、フック信号に基づいてリンガー電源部22から供給される電源を用いて、加入者電話機の呼び出し音を鳴動/停止させ、加入者側電話線の極性を制御する。
一方、端末へのレイヤ2フレームであると判定した場合には、優先制御部113は、レイヤ2フレームをレイヤ2ブリッジ112に出力する。レイヤ2ブリッジ112は、レイヤ2フレームを交換した後にレイヤ2PHY部111に出力し、レイヤ2PHY部111はコネクタ110を介してレイヤ2フレームを端末に出力する。
このようにこの実施の形態3においては、電話機接続装置1bは、自装置が収容するTDM回線を識別するための回線識別子を含むレイヤ2フレームにTDM信号をカプセル化する際に、レイヤ2フレームの優先度を高優先とする情報としてプライオリティを最高位に設定するようにしているので、TDM信号伝送システム内においてTDM回線からのTDM信号をカプセル化したレイヤ2フレームを優先して処理させることができ、TDMトラフィックの遅延や遅延揺らぎを抑制することができる。
なお、この実施の形態3では、電話機接続装置1bが収容する加入者電話機および端末をそれぞれ1台として説明したが、図16に示したコネクタ21、SLIC20、リンガー電源部22、TDM/レイヤ2変換部23、およびクロック再生部24を複数備えれば、加入者電話機を複数収容することが可能であり、また、図16に示したコネクタ110、レイヤ2PHY部111、およびレイヤ2ブリッジ112を複数備えれば端末を複数収容することが可能である。
また、レイヤ2フレームとして先の図7に示したようにVLANタグの代わりに回線/チャネル識別子440を有するレイヤ2フレームを用いるTDM信号伝送システムにおいては、VLANタグのプライオリティ431に優先度を設定することができない。この場合には、図17に示すように、回線/チャネル識別子440に優先度を設定する優先度141とVIDを設定する識別子142とを備え、TDM/レイヤ2変換部23が、優先度141に最優先を示す値を設定するようにすればよい。
実施の形態4.
図18および図19を用いてこの発明の実施の形態4を説明する。この発明にかかる実施の形態4のTDM信号伝送システムは、先の図9に示した実施の形態2のTDM信号伝送システムと同じであるが、電話機接続装置1a−1、1b−2のTDM/レイヤ2変換部23(図10参照)に設定するVID26に対応付けて共通回線数Lを設定する点が異なる。
先の実施の形態2では、VID26として同じ交換機接続装置2に接続される複数の電話機接続装置1a−1、1b−1の間で固有の値を設定した。この実施の形態4では、VID26として同じ交換機接続装置2に接続される複数の電話機接続装置1a−1、1b−1の間で固有の値を設定とともに、VID26がどの加入者電話機106a−1、106a−2、106b−1、106b−2が接続されている加入者回線で共有されるかを指定する共有回線数Lが予め設定される。
一方、先の実施の形態2で説明したように、交換機接続装置2のレイヤ2/TDM変換部31には、VID34として交換機接続装置2が収容する電話機接続装置1a−1,1a−2に設定されたそれぞれのVID26と同じ値を予め設定するとともに、VID34がTDM交換機インタフェース上のどのチャネルで共有されるかを指定する共有チャネル数Kが予め設定されている。共有チャネル数Kと共有回線数Lとは等しい値であり、電話機接続装置1a−1と電話機接続装置1b−1とで異なる値であってもかまわない。
つぎに、加入者回線およびTDM交換機インタフェース上のチャネルを識別するための識別子として、レイヤ2フレームのVLANタグを用いる場合を例に挙げて、この実施の形態3のTDM信号伝送システムの動作を説明する。
なお、実施の形態2と同じ動作についてはその説明を省略し、共有チャネル数Kおよび共有回線数Lとを用いた電話機接続装置1a−1のTDM/レイヤ2変換部23および交換機接続装置2のレイヤ2/TDM変換部31の動作のみを説明する。また、電話機接続装置1a−1は、n=3、すなわち3台の加入者電話機106−1〜106−3を収容するものとする。
まず、電話機接続装置1a−1から交換機接続装置2への通信時の動作について説明する。加入者電話機106a−1と加入者電話機106a−2とでVID=101を共有しているとすると、電話機接続装置1a−1のTDM/レイヤ2変換部23にはVID26として「101」が設定され、この値に対応付けて共通回線数Lとして「2」が設定されており、回線インタフェース処理部29−1、29−2によって処理された加入者電話機106a−1、106a−2のデータをカプセル化してレイヤ2フレーム(図11参照)を生成している。
ここで、電話機接続装置1a−1のTDM/レイヤ2変換部23に、外部からVID=101を共有する加入者回線として加入者電話機106a−3が接続される加入者回線を追加する「共有回線数L=3」の共有回線数変更指示があったとする。共有回線数変更指示を受けると、TDM/レイヤ2変換部23は、レイヤ2フレームにカプセル化するデータ数を変更する。この場合は、回線インタフェース処理部29−1のSLIC20からのシグナリング信号およびPCM信号をシグナリング信号451およびPCM信号452に設定したN個のデータ45の後に、回線インタフェース処理部29−2のSLIC20からのシグナリング信号およびPCM信号をシグナリング信号451およびPCM信号452に設定したN個のデータ45を付加し、さらに、回線インタフェース処理部29−2のSLIC20からのシグナリング信号およびPCM信号をシグナリング信号451およびPCM信号452に設定したN個のデータ45を付加して、3回線分のデータをカプセル化したレイヤ2フレームを生成する。
電話機接続装置1a−1が生成した3回線分のデータをカプセル化したレイヤ2フレームは、中継転送網4を介して交換機接続装置2に到達し、レイヤ2PHY部30を介してレイヤ2/TDM変換部31に入力される。
交換機接続装置2のレイヤ2/TDM変換部31には、電話機接続装置1a−1のTDM/レイヤ2変換部23に共有回線数変更指示が出力された時に、共有チャネル数Kを「2」から「3」に変更する共有チャネル数変更指示が外部より入力され、VID=101に対応付けた共有チャネル数Kが「3」に変更されている。したがって、レイヤ2/TDM変換部31は、受け取ったレイヤ2フレームをデカプセル化して3チャネル分のデータを抽出する。すなわち、レイヤ2/TDM変換部31は、実施の形態2と同様に共有チャネル数K×N周期分のデータ45に設定されたデータをレイヤ2フレームから抽出してフレーマ32に出力する。
また、レイヤ2/TDM変換部31は、VLAN−ID433に設定されているVIDの値に基づいてデータを出力すべきTDM交換機インタフェース上のチャネルを選択する。ここでは、VIDとして「101」が設定されており、共有チャネル数Kが「3」であるので、レイヤ2/TDM変換部31は、図12に示したチャネルCH3、CH4にチャネルCH5を追加した3チャネルを選択して、チャネルCH3〜CH5を示すチャネル識別子をフレーマ32に通知する。
これにより、図18に示すように、電話機接続装置1a−1に接続されている加入者電話機106a−1からのデータはレイヤ2フレームのポート#1に対応するN個のデータ45に設定され、加入者電話機106a−2からのデータはレイヤ2フレームのポート#2に対応するN個のデータ45に設定され、加入者電話機106a−3からのデータはレイヤ2フレームのポート#3に対応するN個のデータ45に設定されて交換機接続装置2に到達する。そして、交換機接続装置2によって、レイヤ2フレームのポート#1に対応するN個のデータ45に設定されたデータ(加入者電話機106a−1のデータ)はTDM交換機インタフェース上のチャネルCH3に出力され、レイヤ2フレームのポート#2に対応するN個のデータ45に設定されたデータ(加入者電話機106a−2のデータ)はTDM交換機インタフェース上のチャネルCH4に出力され、レイヤ2フレームのポート#3に対応するN個のデータ45に設定されたデータ(加入者電話機106a−3のデータ)はTDM交換機インタフェース上のチャネルCH5に出力される。
つぎに、交換機接続装置2から電話機接続装置1a−1への通信時の動作について説明する。交換機接続装置2のレイヤ2/TDM変換部31は、フレーマ32によって分離されたチャネル毎のデータをカプセル化してレイヤ2フレームを生成する。先の図8に示したようにVIDが設定され、VID=101に対応付けて共有チャネル数K=2が設定されていた場合、レイヤ2/TDM変換部31は、TDM交換機インタフェース上のチャネルCH3、CH4からのデータをカプセル化してレイヤ2フレーム(図13参照)を生成する。
ここで、交換機接続装置2のレイヤ2/TDM変換部31に、外部からVID=101を共有する共有チャネル数を変更する「共有チャネル数=3」の共有チャネル数変更指示があったとする。共有チャネル数変更指示を受けると、レイヤ2/TDM変換部31は、レイヤ2フレームにカプセル化するデータ数を変更する。この場合は、チャネルCH3からのデータをチャネル#3に対応するフック信号およびTDM信号をフック信号551およびPCM信号552に設定したM個のデータ55を設定した後に、チャネルCH4からのデータをチャネル#4に対応するフック信号およびTDM信号をフック信号551およびPCM信号552に設定したM個のデータ55を付加し、さらに、チャネルCH5からのデータをチャネル#5に対応するフック信号およびTDM信号をフック信号551およびPCM信号552に設定したM個のデータ55を付加して、3チャネル分のデータをカプセル化したレイヤ2フレームを生成する。また、レイヤ2/TDM変換部31は、レイヤ2フレームのVLAN−ID533には「101」を設定する。
交換機接続装置2が生成した3チャネル分のデータをカプセル化したレイヤ2フレームは、中継転送網4を介して電話機接続装置1a−1に到達し、レイヤ2PHY部25を介してTDM/レイヤ2変換部23に入力される。
電話機接続装置1a−1のTDM/レイヤ2変換部23には、交換機接続装置2のレイヤ2/TDM変換部31に共有チャネル数変更指示が出力された時に、共有回線数Lを「2」から「3」に変更する共有回線数変更指示が外部より入力され、VID=101に対応付け共有回線数Lが「3」に変更されている。したがって、TDM/レイヤ2変換部23は、受け取ったレイヤ2フレームをデカプセル化して3回線分のデータを抽出する。すなわち、TDM/レイヤ2変換部23は、共有回線数L×M周期分のデータ55に設定されたデータをレイヤ2フレームから抽出して、回線インタフェース処理部29−1〜29−3のSLIC20に出力する。
これにより、図19に示すように、TDM交換機インタフェース上のチャネルCH3からのデータはレイヤ2フレームのチャネルCH3に対応するM個のデータ55に設定され、チャネルCH4からのデータはレイヤ2フレームのチャネルCH4からのデータはレイヤ2フレームのチャネルCH4に対応するM個のデータ55に設定され、チャネル5からのデータはレイヤ2フレームのチャネルCH5に対応するM個のデータ55に設定されて電話機接続装置1a−1に到達する。そして、電話機接続装置1a−1によって、レイヤ2フレームのチャネルCH3に対応するM個のデータ55に設定されたデータ(チャネルCH3のデータ)は加入者電話機106a−1に出力され、レイヤ2フレームのチャネルCH4に対応するM個のデータ55に設定されたデータ(チャネルCH4のデータ)は加入者電話機106a−2に出力され、レイヤ2フレームのチャネルCH5に対応するM個のデータ55に設定されたデータ(チャネルCH5のデータ)は加入者電話機106a−3に出力される。
このようにこの実施の形態4においては、電話機接続装置1a−1,1a−2は、TDM/レイヤ2変換部23に設定されている回線識別子が示すTDM回線の回線数(共有回線数L)を変更する回線変更指示を受けた場合、予め定められた格納順序に基づいて、回線識別子を含むレイヤ2フレームに変更後の共有回線数L分のTDM信号をカプセル化して電話機接続装置1に送信する。
また、交換機接続装置2は、レイヤ2/TDM変換部31に設定されている共有チャネル数Kを変更する共有チャネル数変更指示を受けた場合、変更後の共有チャネル数K、予め定められた格納順序、および受信したレイヤ2フレームに含まれる回線識別子に基づいて、レイヤ2フレームをデカプセル化して抽出したTDM信号を出力するTDM交換機インタフェース上のチャネルを選択する。
これにより、同一の回線識別子を共有するTDM回線、および同一のチャネル識別子を共有するTDM交換機インタフェース上のチャネル数の変更時にも、レイヤ2フレームにカプセル化するTDM信号数、およびレイヤ2フレームをデカプセル化して抽出するTDM信号数をダイナミックに変更することが可能となり、加入者の増減に柔軟に対応することができる。
なお、この実施の形態4では、VLANタグ付きのレイヤ2フレームを用いた場合を例に挙げて説明したが、先の図14および図15に示したようにVLANタグの代わりに回線/チャネル識別子440、540を有するレイヤ2フレームを用いた場合でも、VLANタグ付きのレイヤ2フレームを用いた場合と同じであることはいうまでもない。
また、電話機接続装置1a−1、1b−2のTDM/レイヤ2変換部23への共有回線数Lの設定および変更方法、交換機接続装置2のレイヤ2/TDM変換部31への共有チャネル数Kの設定および変更方法は、どのような方法であってもかまわない。
実施の形態5.
図20を参照してこの発明にかかる実施の形態5を説明する。実施の形態4では、電話機接続装置に同一の回線識別子を共有するTDM回線の数を示す共有回線数を設定し、交換機接続装置に同一のチャネル識別子を共有するTDM交換インタフェース上のチャネルの数を示す共有チャネル数を設定し、TDM回線数およびTDM交換機インタフェース上のチャネル数を変更する際には、共有回線数および共有チャネル数を外部から変更して、レイヤ2フレームにカプセル化するTDM信号、およびレイヤ2フレームをデカプセル化して抽出するTDM信号の数をダイナミックに変更するようにした。
この実施の形態5では、電話機接続装置に共通回線数Lを設定することなく、レイヤ2フレーム内に共有チャネル数Kを認識するための情報を付加して、レイヤ2フレームにカプセル化するTDM信号、およびレイヤ2フレームをデカプセル化して抽出するTDM信号の数をダイナミックに変更するものである。
この発明にかかる実施の形態5のTDM信号伝送システムは、先の図に示した実施の形態2のTDM信号伝送システムと同じであるのでここではその説明を省略する。
図20は、交換機接続装置2のレイヤ2/TDM変換部31が生成するレイヤ2フレームの構成を示している。図20に示したレイヤ2フレームは、長さ/タイプ53とチャネル#3に対応する1周期目のデータが設定されるデータ55との間と、チャネル#3に対応するM周期目のデータが設定されるデータ55とチャネル#4に対応する1周期目のデータが設定されるデータ55との間と、チャネル#4に対応するM周期目のデータが設定されるデータ55とチャネル#5に対応する1周期目のデータが設定されるデータ55との間と、チャネル#4に対応するM周期目のデータが設定されるデータ55とPAD56との間に、それぞれフラグ510を備えている。フラグ510にはフラグ510の後にデータ55が設定されているか否か、すなわちフラグ510の後に値が有効であるか否かを示す情報が設定される。図20においては、「1」が有効なデータ55があることを示し、「0」が有効なデータ55が無いこと(後の値が無効であること)を示している。
なお、図20においては、チャネル#3〜チャネル#5に対応するデータをデータ55に設定する場合を例に挙げているが、レイヤ2/TDM変換部31に予め設定されているVIDおよび当該VIDに対応付けられた共有チャネル数Kに応じて、チャネルおよびチャネル数は可変である。
つぎに、加入者回線およびTDM交換機インタフェース上のチャネルを識別するための識別子として、レイヤ2フレームのVLANタグを用いる場合を例に挙げて、この実施の形態5のTDM信号伝送システムの動作を説明する。なお、電話機接続装置1a−1、1b−1のTDM/レイヤ2変換部23には、実施の形態2と同様に、予め1つの識別子としてVID26aが設定されているものとする。VID26aは、交換機接続装置2に接続される電話機接続装置1a−1,1a−2の間で固有の値とする。
また、交換機接続装置2のレイヤ2/TDM変換部31には、実施の形態2と同様に、VID34として交換機接続装置2が収容する電話機接続装置1a−1,1a−2に設定されたそれぞれのVID26と同じ値が予め設定され、VID34がTDM交換機インタフェース上のどのチャネルで共有されるかを指定する共有チャネル数Kが設定されているものとする。
まず、交換機接続装置2から電話機接続装置1a−1への通信時の動作について説明する。なお、実施の形態2と同様の動作についてはその説明を省略し、交換機接続装置2のレイヤ2/TDM変換部31、および電話機接続装置1a−1のTDM/レイヤ2変換部23の動作のみを説明する。
交換機接続装置2のレイヤ2/TDM変換部31に、先の図8に示したようにVIDが設定されており、外部からVID=101を共有する共有チャネル数Kを「2」から「3」に変更する共有チャネル数変更指示があったとする。共有チャネル数変更指示を受けると、レイヤ2/TDM変換部31は、レイヤ2フレームにカプセル化するデータ数を変更する。この場合、レイヤ2/TDM変換部31は、宛先MACアドレス50およびソースMACアドレス51に任意の値を設定し、TPID52に「0x8100」を設定し、プライオリティ531およびCHI532に所定の値を設定し、VLAN−ID533に「101」を設定し、長さ/タイプ54に所定の値を設定した後に、長さ/タイプ54の後のフラグ510に「1」を設定し、チャネル識別子がチャネル#3であるチャネルCH3からのフック信号およびPCM信号をフック信号551およびPCM信号552に設定したM個のデータ55の後のフラグ510に「1」を設定し、チャネル識別子がチャネル#4であるチャネルCH3からのフック信号およびPCM信号をフック信号551およびPCM信号552に設定したM個のデータ55の後のフラグ510に「1」を設定し、チャネル識別子がチャネル#5であるチャネルCH5からのフック信号およびPCM信号をフック信号551およびPCM信号552に設定したM個のデータ55の後のフラグ510に「0」を設定する。
交換機接続装置2が生成した3チャネル分のデータをカプセル化したレイヤ2フレームは、中継転送網4を介して電話機接続装置1a−1に到達し、レイヤ2PHY部25を介してTDM/レイヤ2変換部23に入力される。
電話機接続装置1a−1のTDM/レイヤ2変換部23は、レイヤ2フレームをデカプセル化してデータ55を抽出する。具体的には、TDM/レイヤ2変換部23は、長さ/タイプ54の後のフラグ510に設定されている値に基づいて、後続するデータ55が有効であるか否かを判定する。この場合、長さ/タイプ54の後のフラグ510には「1」(データ有効)が設定されているので、チャネル#3に対応するM個のデータ55に設定されているフック信号およびPCM信号を抽出して回線インタフェース処理部29−1のSLIC20に出力する。
電話機接続装置1a−1のTDM/レイヤ2変換部23は、チャネル#3に対応するM個のデータ55の後のフラグ510に設定されている値に基づいて、後続するデータ55が有効であるか否かを判定する。この場合、チャネル#3に対応するM個のデータ55の後のフラグ510には「1」が設定されているので、TDM/レイヤ2変換部23は、チャネル#4に対応するM個のデータ55に設定されているフック信号およびPCM信号を抽出して回線インタフェース処理部29−2のSLIC20に出力する。
電話機接続装置1a−1のTDM/レイヤ2変換部23は、チャネル#4に対応するM個のデータ55の後のフラグ510に設定されている値に基づいて、後続するデータ55が有効であるか否かを判定する。この場合、チャネル#4に対応するM個のデータ55の後のフラグ510には「1」が設定されているので、TDM/レイヤ2変換部23は、チャネル#5に対応するM個のデータ55に設定されているフック信号およびPCM信号を抽出して回線インタフェース処理部29−3のSLIC20に出力する。
電話機接続装置1a−1のTDM/レイヤ2変換部23は、チャネル#5に対応するM個のデータ55の後のフラグ510に設定されている値に基づいて、後続するデータ55が有効であるか否かを判定する。この場合、チャネル#5に対応するM個のデータ55の後のフラグ510には「0」が設定されているので、TDM/レイヤ2変換部23は、後続するデータが無いと判定し、デカプセル化を終了する。
なお、電話機接続装置1a−1から交換機接続装置2への通信時には、フラグ510を有するレイヤ2フレームを必ずしも用いる必要はなく、実施の形態4と同様の動作を行なえばよい。この場合、電話機接続装置1a−1のTDM/レイヤ2変換部23は、レイヤ2フレームをデカプセル化する際に、フラグ510の値が「1」であった数をカウントしておき、このカウント数をVIDで共有する加入者回線数として、データをカプセル化すればよい。
このようにこの実施の形態5においては、交換機接続装置2は、チャネル識別子を含むレイヤ2フレームにTDM信号をカプセル化する際に、チャネル識別子を共有するTDM交換機インタフェース上のチャネル数の情報として、後続するデータの有無示すフラグを含め、電話機接続装置1a−1,1a−2は、受信したレイヤ2フレームをデカプセル化する際に、有効となっているフラグの数をカウントして何チャネルのTDM信号がレイヤ2フレームに含まれるかを認識して、チャネル識別子が示す回線識別子を共有するTDM回線数を認識する。
これにより、電話機接続装置1a−1,1a−2に同一の回線識別子を共有するTDM回線数を示す共有回線数を設定することなく、交換機接続装置2の共有チャネル数を変更するだけで、同一の回線識別子を共有するTDM回線、および同一のチャネル識別子を共有するTDM交換機インタフェース上のチャネル数の変更時にも、レイヤ2フレームにカプセル化するTDM信号数、およびレイヤ2フレームをデカプセル化して抽出するTDM信号数をダイナミックに変更することが可能となり、加入者の増減に柔軟に対応することができる。
なお、この実施の形態5では、VLANタグ付きのレイヤ2フレームを用いた場合を例に挙げて説明したが、先の図15に示したようにVLANタグの代わりに回線/チャネル識別子150を有するレイヤ2フレームを用いる場合でも、長さ/タイプ54の後、およびM個のデータ55の後にフラグ510を設ければ、上述したVLANタグ付きのレイヤ2フレームを用いた場合と同じであることはいうまでもない。
また、電話機接続装置1a−1、1b−1と交換機接続装置2とを接続する中継転送網4にMACアドレスを用いてレイヤ2フレームを転送するイーサネット(登録商標)網が存在しない場合、レイヤ2フレーム内にフラグ510を設けることなく、宛先MACアドレス40にカプセル化されたチャネル数を設定してもよい。たとえば、3チャネルのデータをカプセル化している場合には、交換機接続装置2のレイヤ2/TDM変換部31は、宛先MACアドレス40に「3」を設定し、電話機接続装置1a−1、1a−2のTDM/レイヤ2変換部23は、宛先MACアドレス40に設定されている値を共有する加入者回線数として用いればよい。
実施の形態6.
図21〜図26を参照してこの発明の実施の形態6を説明する。実施の形態1〜5では、TDM端末接続装置として電話機接続装置を用い、TDM交換機接続装置として電話交換機接続装置を用いた場合について説明した。この実施の形態6では、複数の種類のTDM交換機インタフェースを収容する場合のTDM端末接続装置およびTDM交換機接続装置を用いた場合について説明する。
図21は、この発明にかかる実施の形態6のTDM端末接続装置10の構成を示すブロック図である。図21においては、TDM端末接続装置10は、複数(この場合は、3種類)のTDMインタフェースTDM#1〜TDM#3を収容しており、TDMインタフェースTDM#1〜TDM#3のTDM信号の処理を行なうTDMインタフェース処理部101−1〜101−3と、TDM信号をレイヤ2フレームにカプセル化するとともに、レイヤ2フレームをデカプセル化してTDM信号を抽出するレイヤ2変換部23と、レイヤ2フレームの交換を行うL2SW70と、レイヤ2フレームを終端するレイヤ2PHY部25とを備えている。
TDMインタフェース処理部101−1〜101−3は、TDMインタフェースを終端するTDMPHY部221と、TDMインタフェース上でのフレームを生成するフレーマ220と、レイヤ2フレームにカプセル化されたTDM信号に基づいてクロックを生成するクロック再生部24とを備えている。
図22は、この発明にかかる実施の形態6のTDM交換機接続装置60の構成を示すブロック図である。図22において、TDM交換機接続装置60は、複数(この場合は、3種類)のTDM交換機インタフェースTDM#1a〜TDM#3aを収容しており、レイヤ2フレームを終端するレイヤ2PHY部30と、TDM交換機インタフェースTDM#1a〜TDM#3aのTDM信号の処理を行なうTDM交換機インタフェース処理部201−1〜201−3と、TDM交換機インタフェース処理部201−1〜201−3から入力されるTDM信号をカプセル化してレイヤ2フレームを生成するとともに、レイヤ2PHY部30から入力されるレイヤ2フレームをデカプセル化してTDM信号を抽出するレイヤ2/TDM変換部31とを備えている。
TDM交換機インタフェース処理部201−1〜201−3は、TDM交換機インタフェースを終端するTDMPHY部33と、レイヤ2/TDM変換部31から入力されるTDM信号からTDM交換機インタフェース上のフレームを生成するとともに、TDMPHY部33から入力されるTDM信号をチャネル毎に分離するフレーマ32とを備えている。
つぎに、3種類のTDM交換機インタフェースのサービスが、64kbps、128kbps、256kbpsの速度のサービスである場合を例に挙げて、TDM端末接続装置10のTDM/レイヤ2変換部23、およびTDM交換機接続装置60のレイヤ2/TDM変換部31の動作を説明する。ここでは、TDMインタフェースTDM#1およびTDM交換機インタフェースTDM#1aが64kbpsであり、TDMインタフェースTDM#2、およびTDM交換機インタフェースTDM#2aが128kbpsであり、TDMインタフェースTDM#3、TDM交換機インタフェースTDM#3aが256kbpsであるものとする。
また、TDM交換機接続装置60のレイヤ2/TDM変換部31には、図23に示すようにVID34としてVID=101が予め設定されており、VID=101にはTDM交換機インタフェースTDM#1aのチャネルCH1、TDM交換機インタフェースTDM#2aのチャネルCH0、およびTDM交換機インタフェースTDM#3aのチャネルCH1が割り当てられているものとする。
まず、TDM交換機接続装置60からTDM端末接続装置10への通信動作を説明する。TDM交換機接続装置60のレイヤ2/TDM変換部31は、VID=101に割り当てられているTDM交換機インタフェースTDM#1aのチャネルCH1からのTDM信号、TDM交換機インタフェースTDM#2aのチャネルCH0からのTDM信号、およびTDM交換機インタフェースTDM#3aのチャネルCH1からのTDM信号をカプセル化してレイヤ2フレームを生成する。
具体的には、TDM交換機接続装置60のレイヤ2/TDM変換部31は、3種類のサービスの中で最も速度の遅い64kbpsのTDM交換機インタフェースのサービスのTDM信号をカプセル化する周期Mを基準として、128kbpsのTDM交換機インタフェースのサービスのTDM信号をカプセル化する周期を2Mとし、256kbpsのTDM交換機インタフェースのサービスのTDM信号をカプセル化する周期を4Mとして、図24に示すようなレイヤ2フレームを生成する。
図24に示したレイヤ2フレームには、長さ/タイプ54の後、およびTDM交換機インタフェースのチャネル毎の最後のデータ55の後に、サービス種別550が設けられている。レイヤ2/TDM変換部31は、各サービス種別550には当該サービス種別550の後のデータ55に設定されたデータが、カプセル化した時の周期Mの何倍であるか、すなわち、64kpbsの何倍の速度サービスのデータであるかを示す情報を設定する。
図24の場合は、長さ/タイプ54の後のサービス種別550には、後続するデータ55に設定されているデータが64kbpsのサービスであるTDM交換機インタフェースTDM#1aのチャネルCH1のデータであることを示す「1」が設定され、TDM交換機インタフェースTDM#1aのチャネルCH1のM周期目のデータが設定されているデータ55の後のサービス種別550には、後続するデータ55に設定されているデータが128kbpsのサービスであるTDM交換機インタフェースTDM#2aのチャネルCH0のデータであることを示す「2」が設定され、TDM交換機インタフェースTDM#2aのチャネルCH0の2M周期目のデータが設定されているデータ55の後のサービス種別550には、後続するデータ55に設定されているデータが256kbpsのサービスであるTDM交換機インタフェースTDM#3aのチャネルCH1のデータであることを示す「4」が設定され、TDM交換機インタフェースTDM#3aのチャネルCH1の4M周期目のデータが設定されているデータ55の後のサービス種別550には、後続するデータが無いことを示す「0」が設定される。
TDM交換機接続装置60が生成したレイヤ2フレームは、中継転送網4を介してTDM端末接続装置10に到達し、レイヤ2PHY部25およびL2SW70を介してTDM/レイヤ2変換部23に入力される。
TDM端末接続装置10のTDM/レイヤ2変換部23は、レイヤ2フレームをデカプセル化してデータ55に設定されているTDM信号を抽出する。具体的には、TDM/レイヤ2変換部23は、長さ/タイプ54の後のサービス種別550に設定されている値に基づいて、後続するデータ55のTDM交換機インタフェースのサービスの速度を識別して、デカプセル化する周期を選択してデータを抽出する。ここでは、長さ/タイプ54の後のサービス種別550には「1」が設定されているので、TDM交換機インタフェースTDM#1aのチャネルCH1に対応するM個のデータ55に設定されているTDM信号を抽出してTDM交換機インタフェース処理部101−1のフレーマ220に出力する。
TDM端末接続装置10のTDM/レイヤ2変換部23は、TDM交換機インタフェースTDM#1aのチャネルCH1に対応するM個のデータ55の後のサービス種別550に設定されている値に基づいて、後続するデータ55のTDM交換機インタフェースのサービスの速度を識別して、デカプセル化する周期を選択してTDM信号を抽出する。ここでは、TDM交換機インタフェースTDM#1aのチャネルCH1に対応するM個のデータ55の後のサービス種別550には「2」が設定されているので、TDM交換機インタフェースTDM#2aのチャネルCH0に対応する2M個のデータ55に設定されているTDM信号を抽出してTDM交換機インタフェース処理部101−2のフレーマ220に出力する。
TDM端末接続装置10のTDM/レイヤ2変換部23は、TDM交換機インタフェースTDM#2aのチャネルCH0に対応する2M個のデータ55の後のサービス種別550に設定されている値に基づいて、後続するデータ55のTDM交換機インタフェースのサービスの速度を識別して、デカプセル化する周期を選択してTDM信号を抽出する。ここでは、TDM交換機インタフェースTDM#2aのチャネルCH0に対応する2M個のデータ55の後のサービス種別550には「4」が設定されているので、TDM交換機インタフェースTDM#3aのチャネルCH1に対応する4M個のデータ55に設定されているTDM信号を抽出してTDM交換機インタフェース処理部101−3のフレーマ220に出力する。
TDM端末接続装置10のTDM/レイヤ2変換部23は、TDM交換機インタフェースTDM#3aのチャネルCH0に対応する4M個のデータ55の後のサービス種別550に設定されている値に基づいて、後続するデータ55のTDM交換機インタフェースのサービスの速度を識別して、デカプセル化する周期を選択してデータを抽出する。ここでは、TDM交換機インタフェースTDM#3aのチャネルCH0に対応する4M個のデータ55の後のサービス種別550には「0」が設定されているので、レイヤ2フレームのデカプセル化を終了する。
TDM端末接続装置10のTDM交換機インタフェース処理部101−1〜101−3のフレーマ220は、TDM/レイヤ2変換部23から入力されたTDM信号からTDM交換機インタフェース上のフレームを生成して、TDMPHY部221を介してTDM交換機インタフェースTDM#1〜TDM#3に出力する。
つぎに、TDM端末接続装置10からTDM交換機接続装置60への通信動作を説明する。TDM交換機インタフェースTDM#1から入力されるTDM信号は、TDM交換機インタフェース処理部101−1のTDMPHY部221およびフレーマ220を介してTDM/レイヤ2変換部23に入力される。TDM交換機インタフェースTDM#2から入力されるTDM信号は、TDM交換機インタフェース処理部101−2のTDMPHY部221およびフレーマ220を介してTDM/レイヤ2変換部23に入力される。TDM交換機インタフェースTDM#3から入力されるTDM信号は、TDM交換機インタフェース処理部101−3のTDMPHY部221およびフレーマ220を介してTDM/レイヤ2変換部23に入力される。
TDM端末接続装置10のTDM/レイヤ2変換部23は、TDM交換機インタフェース処理部101−1〜101−3のフレーマ220から入力されるTDM交換機インタフェースTDM#1〜TDM#3からのTDM信号をカプセル化してレイヤ2フレームを生成する。
具体的には、TDM端末接続装置10のTDM/レイヤ2変換部23は、上述したTDM交換機接続装置60からTDM端末接続装置10への通信動作時に図24に示したレイヤ2フレームのサービス種別550に設定されていた値を用いて、図25に示すようなレイヤ2フレームを生成する。
より具体的には、TDM端末接続装置10のTDM/レイヤ2変換部23は、長さ/タイプ44の後のサービス種別450に、後続するデータ45に設定されているTDM信号が64kbpsのサービスであるTDM交換機インタフェースTDM#1のデータであることを示す「1」を設定し、TDM交換機インタフェース処理部101−1のフレーマ220から入力されるM周期分のTDM信号をTDM交換機インタフェースTDM#1に対応するM個のデータ45に設定する。TDM/レイヤ2変換部23は、TDM交換機インタフェースTDM#1に対応するM個のデータ45の後のサービス種別450に、後続するデータ45に設定されているTDM信号が128kbpsのサービスであるTDM交換機インタフェースTDM#2のデータであることを示す「2」を設定し、TDM交換機インタフェース処理部101−2のフレーマ220から入力される2M周期分のTDM信号をTDM交換機インタフェースTDM#1に対応するM個のデータ45に設定する。TDM/レイヤ2変換部23は、TDM交換機インタフェースTDM#2に対応する2M個のデータ45の後のサービス種別450に、後続するデータ45に設定されているTDM信号が256kbpsのサービスであるTDM交換機インタフェースTDM#3のデータであることを示す「4」を設定し、TDM交換機インタフェース処理部101−3のフレーマ220から入力される4M周期分のTDM信号をTDM交換機インタフェースTDM#3に対応する4M個のデータ45に設定する。TDM/レイヤ2変換部23は、TDM交換機インタフェースTDM#3に対応する4M個のデータ45の後のサービス種別450に、後続するデータが無いことを示す「0」を設定してカプセル化を終了する。
TDM端末接続装置10のTDM/レイヤ2変換部23によって生成されたレイヤ2フレームは、中継転送網4を介してTDM交換機接続装置60に到達し、レイヤ2PHY部30を介してレイヤ2/TDM変換部31に入力される。
TDM交換機接続装置60のレイヤ2/TDM変換部31は、レイヤ2フレームをデカプセル化してデータ45に設定されているTDM信号を抽出する。具体的には、レイヤ2/TDM変換部31は、長さ/タイプ44の後のサービス種別450に設定されている値に基づいて、後続するデータ45のTDM交換機インタフェースのサービスの速度を識別して、デカプセル化する周期を選択してTDM信号を抽出する。ここでは、長さ/タイプ44の後のサービス種別450には「1」が設定されているので、TDM交換機インタフェースTDM#1に対応するM個のデータ45に設定されているTDM信号を抽出してTDM交換機インタフェース処理部201−1のフレーマ32に出力する。
TDM交換機接続装置60のレイヤ2/TDM変換部31は、TDM交換機インタフェースTDM#1に対応するM個のデータ45の後のサービス種別450に設定されている値に基づいて、後続するデータ45のTDM交換機インタフェースのサービスの速度を識別して、デカプセル化する周期を選択してTDM信号を抽出する。ここでは、TDM交換機インタフェースTDM#1に対応するM個のデータ45の後のサービス種別450には「2」が設定されているので、TDM交換機インタフェースTDM#2に対応する2M個のデータ45に設定されているTDM信号を抽出してTDM交換機インタフェース処理部201−2のフレーマ32に出力する。
TDM交換機接続装置60のレイヤ2/TDM変換部31は、TDM交換機インタフェースTDM#2に対応する2M個のデータ45の後のサービス種別450に設定されている値に基づいて、後続するデータ45のTDM交換機インタフェースのサービスの速度を識別して、デカプセル化する周期を選択してTDM信号を抽出する。ここでは、TDM交換機インタフェースTDM#2に対応する2M個のデータ45の後のサービス種別450には「4」が設定されているので、TDM交換機インタフェースTDM#3に対応する4M個のデータ45に設定されているTDM信号を抽出してTDM交換機インタフェース処理部201−3のフレーマ32に出力する。
TDM交換機接続装置60のレイヤ2/TDM変換部31は、TDM交換機インタフェースTDM#3に対応する4M個のデータ45の後のサービス種別450に設定されている値に基づいて、後続するデータ45のTDM交換機インタフェースのサービスの速度を識別して、デカプセル化する周期を選択してTDM信号を抽出する。ここでは、TDM交換機インタフェースTDM#3に対応する4M個のデータ45の後のサービス種別450には「0」が設定されているので、レイヤ2フレームのデカプセル化を終了する。また、レイヤ2/TDM変換部31は、レイヤ2フレームに設定されているVIDを抽出してTDM交換機インタフェース処理部201−1〜201−3のフレーマ32に通知する。ここでは、VID=101が通知される。
TDM交換機インタフェース処理部201−1のフレーマ32は、レイヤ2/TDM変換部31から入力されたTDM信号からTDM交換機インタフェース上のフレームを生成し、TDMPHY部33を介してVID=101に割り当てられたTDM交換機インタフェースTDM#1aのチャネルCH1に生成したフレームを出力する。
TDM交換機インタフェース処理部201−2のフレーマ32は、レイヤ2/TDM変換部31から入力されたTDM信号からTDM交換機インタフェース上のフレームを生成し、TDMPHY部33を介してVID=101に割り当てられたTDM交換機インタフェースTDM#2aのチャネルCH0に生成したフレームを出力する。
TDM交換機インタフェース処理部201−3のフレーマ32は、レイヤ2/TDM変換部31から入力されたTDM信号からTDM交換機インタフェース上のフレームを生成し、TDMPHY部33を介してVID=101に割り当てられたTDM交換機インタフェースTDM#3aのチャネルCH1に生成したフレームを出力する。
これにより、図25に示したようにTDM交換機インタフェースTDM#1からのTDM信号は、TDM交換機インタフェースTDM#1aのチャネルCH1に転送され、TDM交換機インタフェースTDM#2からのTDM信号は、TDM交換機インタフェースTDM#2aのチャネルCH0に転送され、TDM交換機インタフェースTDM#3からのTDM信号は、TDM交換機インタフェースTDM#3aのチャネルCH1に転送される。
このようにこの実施の形態6においては、TDM端末接続装置10は、回線識別子を含むレイヤ2フレームにTDM信号をカプセル化する際に、同一の回線識別子を共有する各TDM回線が有するサービスの種類を示す情報を含めてTDM交換機接続装置60に送信する。また、TDM交換機接続装置60は、チャネル識別子を含むレイヤ2フレームにTDM信号をカプセル化する際に、同一のチャネル識別子を共有する各TDM交換機インタフェース上のチャネルが有するサービスの種類を示す情報を含めてTDM端末接続装置に送信する。
これにより、加入者電話機および電話交換機にMACアドレスを割り当てることなく、異なるサービスを有するTDM回線およびTDM交換機インタフェース上のチャネルのTDM信号を同一のレイヤ2フレームにカプセル化して転送することができる。
なお、この実施の形態6では、VLANタグ付きのレイヤ2フレームを用いた場合を例に挙げて説明したが、先の図14に示したVLANタグの代わりに回線/チャネル識別子440を有するレイヤ2フレーム、および先の図15に示したVLANタグの代わりに回線/チャネル識別子540を有するレイヤ2フレームを用いる場合でも、サービス種別450、およびサービス種別550を設ければ、上述したVLANタグ付きのレイヤ2フレームを用いた場合と同じであることはいうまでもない。
また、TDM端末接続装置10とTDM交換機接続装置60とを接続する中継転送網4にMACアドレスを用いてレイヤ2フレームを転送するイーサネット(登録商標)網が存在しない場合、レイヤ2フレーム内にサービス種別450またはサービス種別550を設けることなく、宛先MACアドレス40または宛先MACアドレス50にサービス種別を示す情報を設定するようにしてもよい。たとえば、宛先MACアドレス40または宛先MACアドレス50が6バイトである場合、各バイトにサービス種別を示す情報を設定する。具体的には、上述したように64kbps、128kbps、および256kbpsのTDM交換機インタフェースのサービスのTDM信号をカプセル化した場合には、宛先MACアドレス40または宛先MACアドレス50の上位3バイトに、「1」、「2」、「4」を設定する。
また、この実施の形態6では、1種類のTDM交換機インタフェースのサービスについて、1つのTDM交換機インタフェースの1チャネルのみをカプセル化する場合を例に挙げて説明したが、実施の形態2と同様に、TDM端末接続装置10のTDM/レイヤ2変換部23、およびTDM交換機接続装置60のレイヤ2/TDM変換部31に、予めレイヤ2フレームに格納する順番を設定しておけば、同一TDM交換機インタフェースのサービスの複数チャネル(回線)を1つのレイヤ2フレームにカプセル化することも可能である。たとえば、図26に示すように、2回線の64kbpsのTDM交換機インタフェースのサービスのTDM信号と、1回線の128kbpsおよび256kbpsのTDM交換機インタフェースのサービスのTDM信号とをカプセル化することも可能である。これにより、同じVIDを共有する回線数およびチャネル数が変更される場合でも、