JP4481463B2 - High hardness corrosion resistant alloy member and manufacturing method thereof - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸、アルカリ、塩などの腐食性物質が存在する環境下で使用される高硬度耐食性合金部材とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、粉末や粒体などの原料物質を圧縮して、医薬品、医薬部外品、化粧品、農薬、飼料、食料などのタブレットを成形する場合、タブレット形状に応じた貫通孔を有する臼と、この臼の貫通孔(臼孔)内に挿入される下杵および上杵とを組合せた成形型が用いられている。このような成形型を使用したタブレット成形機では、まず下杵が挿入された臼内に粉末などの原料物質を充填し、この原料物質を上杵で圧縮することにより、所望のタブレットが成形される。
【0003】
タブレット成形機などに用いられる成形型には、例えば特開平7-8540号公報に記載されているように、合金工具鋼(例えばSKS2やSKD11など)のような鉄基合金、あるいはMoやWなどの化合物を主体とする超硬合金などが従来から用いられている。しかし、これら従来の成形型用合金では、必ずしも耐食性や強度の点で満足した特性が得られておらず、原料物質の性質によっては成形型の寿命が大幅に低下するというような問題が生じている。
【0004】
例えば、近年用途の多様化などに伴って、酸性粉末やアルカリ性粉末のような腐食性の高い粉末などを加圧成形する必要が生じている。このような腐食性の高い粉末の成形に、従来の合金工具鋼などからなる成形型を用いた場合、それらの表面が早期に腐食されてしまう。型表面の腐食は、原料粉末の離型性の低下要因となったり、さらには強度劣化などを招くことになる。
【0005】
また、合金工具鋼などからなる成形型の耐食性を向上させるために、クロムメッキで表面をコーティングすることも試みられているが、メッキ層の剥離により十分な効果は得られていない。クロムメッキ層は表面硬度の向上などに対しても一定の効果を示すものの、それ自体が容易に剥離してしまうことから、十分にかつ安定して耐磨耗性の向上効果などを得ることはできない。このようなことから、成形型用部材の強度や硬度を維持しつつ、耐食性や耐磨耗性などの向上を図ることが望まれている。
【0006】
一方、耐食性が求められる用途としては、上述した腐食性粉末の成形型のような製造装置に限らず、例えば薬品類の処理装置、廃液や廃泥の処理装置、燃焼装置やその周辺部品などが挙げられる。このような主として耐食性が求められる用途には、従来、ステンレス鋼のような耐食鋼が用いられてきた。しかしながら、ステンレス鋼のような耐食鋼は強度や硬度などが不十分であり、特に硬度や耐磨耗性が求められる用途には使用することができない。
【0007】
また、例えば特開昭63-18031号公報には、耐食性に優れた熱間プレス金型として、Cr20〜50質量%、Al1.5〜9質量%、残部が実質的にNiからなる金型が記載されている。このプレス金型は、温度500〜800℃、プレス圧500〜2000kg/cm2(50〜200MPa)での熱間プレスに対して高硬度を示し、耐座屈性を有するというような特性を有しており、またNiやCrにより耐食性を得ている。しかし、このNi−Cr−Al系合金からなる金型部品は、材料硬度や耐食性に優れるものの、必ずしも十分な耐磨耗性を有しておらず、使用条件によっては部品の摺動部に磨耗が進行し、部品寿命が短くなるという欠点を有している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来から加圧成形型部材として用いられてきた合金工具鋼は、酸、アルカリ、塩などの腐食性の高い物質の成形に適用した際に、型表面が腐食されるなどして、型寿命を大幅に低下させてしまうというような問題を有している。一方、従来から耐食性が求められる用途には、ステンレス鋼などが用いられてきたが、強度や硬度の点で不十分であることから、特に硬度や耐磨耗性が求められる用途には使用することができない。
【0009】
これらに対して、熱間プレス金型用の構成材料などとして用いられてきたNi−Cr−Al系合金は、材料硬度や耐食性に優れるものの、必ずしも十分な耐磨耗性を有しておらず、使用条件によっては部品の摺動部に磨耗が進行してしまうという問題を有している。
【0010】
本発明はこのような課題に対処するためになされたもので、加圧成形型をはじめとする高強度や高硬度が求められる用途に応じた特性を維持しつつ、酸、アルカリ、塩などに対して良好な耐食性を示し、さらに摺動部の耐磨耗性の向上を図った高硬度耐食性合金部材とその製造方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の高硬度耐食性合金部材は、請求項1に記載したように、Crを25〜60質量%、Alを0.01〜10質量%、Ti、Nb、Ta、Mo、WおよびZrから選ばれる少なくとも1種の元素を0.01〜6質量%の範囲で含み、残部がNiおよび不可避不純物からなるNi−Cr−Al系合金により構成された合金部材本体と、前記合金部材本体の表面の少なくとも一部に形成され、ビッカース硬さで700Hv以上の硬度を有する表面硬化層とを具備することを特徴としている。
【0013】
本発明の高硬度耐食性合金部材において、表面硬化層には例えば請求項2に記載したように、合金部材本体の表面を窒化処理することにより形成された表面窒化層、あるいは請求項4に記載したように、反応性スパッタやイオンプレーティングにより形成されたコーティング層が適用される。また、請求項6に記載したように、表面硬化層の厚さは2〜300μmの範囲とすることが好ましい。
【0014】
本発明の合金部材は、高強度および高硬度と良好な耐食性を有し、その上で耐磨耗性に優れるものである。すなわち、本質的に耐食性が良好なNiにCrやAlを添加したNi−Cr−Al系合金は、耐食性をより一層向上させることができると共に、時効処理によりγ相、α相、γ′相などが複合的に析出して高硬度化することができる。その上で、摺動部などとなる合金部材表面に、表面窒化層や反応性スパッタやイオンプレーティングによるコーティング層などからなる、700Hv以上のビッカース硬さを有する表面硬化層を設けているため、良好な耐磨耗性を得ることができる。従って、摺動部の磨耗などによる部品寿命の低下を抑制することが可能となる。
【0015】
また、一般的に材料の表面を窒化させると、その改質層の影響により耐食性が劣化することが知られているが、本発明で合金部材本体として用いている合金系(Ni−Cr−Al系合金)の場合、Crを多く含んでいるために、窒化しても耐食性が損われることはない。さらに、通常柔らかい材料の上にコーティングを施した場合には、膜剥がれなどの問題が生じやすいが、本発明で合金部材本体として用いているNi−Cr−Al系合金は高硬度を有するため、コーティング層の剥がれなどを有効に抑制することができる。
【0016】
上述したような本発明の高硬度耐食性合金部材は、強度および硬度に加えて耐食性が求められ、さらには摺動動作が加わるような各種用途に好適に用いられる。具体的な使用用途としては、例えば請求項7に記載したように、腐食性物質を含む原料物質の加圧成形型用部材が挙げられる。ただし、本発明の高硬度耐食性合金部材の用途はこれに限られるものではなく、例えば化学工業設備の周辺摺動部品などにも好適に用いられるものである。
【0017】
本発明の第1の高硬度耐食性合金部材の製造方法は、請求項8に記載したように、Crを25〜60質量%、Alを0.01〜10質量%、Ti、Nb、Ta、Mo、WおよびZrから選ばれる少なくとも1種の元素を0.01〜6質量%の範囲で含み、残部がNiおよび不可避不純物からなるNi−Cr−Al系合金に熱間加工を施して、Ni−Cr−Al系合金素材を作製する工程と、前記Ni−Cr−Al系合金素材に900〜1350℃の範囲の温度で溶体化処理を施した後、所望の部材形状に近似した形状まで加工する粗加工工程と、前記粗加工工程を経たNi−Cr−Al系合金材に、500〜900℃の範囲の温度で時効処理を施す工程と、前記時効処理を施した前記Ni−Cr−Al系合金材を、所望の部材形状まで加工する仕上げ加工工程と、前記部材形状を有するNi−Cr−Al系合金部材の表面に窒化処理、もしくは反応性スパッタまたはイオンプレーティングによるコーティング処理を施し、前記Ni−Cr−Al系合金部材表面の所望の位置に表面硬化層を形成する工程とを有することを特徴としている。
【0018】
本発明の第2の高硬度耐食性合金部材の製造方法は、請求項9に記載したように、Crを25〜60質量%、Alを0.01〜10質量%、Ti、Nb、Ta、Mo、WおよびZrから選ばれる少なくとも1種の元素を0.01〜6質量%の範囲で含み、残部がNiおよび不可避不純物からなるNi−Cr−Al系合金に熱間加工を施して、Ni−Cr−Al系合金素材を作製する工程と、前記Ni−Cr−Al系合金素材に900〜1350℃の範囲の温度で溶体化処理を施した後、所望の部材形状に近似した形状まで加工する粗加工工程と、前記粗加工工程を経たNi−Cr−Al系合金材を、所望の部材形状まで加工する仕上げ加工工程と、前記部材形状を有するNi−Cr−Al系合金部材を、500〜900℃の範囲の温度で時効処理しつつ、その表面に窒化処理を施し、前記Ni−Cr−Al系合金部材表面の所望の位置に表面硬化層として窒化層を形成する工程とを有することを特徴としている。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0020】
図1は本発明の第1の実施形態による高硬度耐食性合金部材の要部構成を示す断面図である。同図において、1はNi−Cr−Al系合金からなる合金部材本体である。この合金部材本体1の表面には、JIS Z 2244-1992で規定するビッカース硬さで700Hv以上の硬度を有する表面窒化層2が表面硬化層として形成されており、これにより高硬度耐食性合金部材3が構成されている。
【0021】
まず、合金部材本体1について詳述する。本発明の高硬度耐食性合金部材3の合金部材本体1は、Crを25〜60質量%、Alを0.01〜10質量%の範囲で含み、残部が実質的にNiからなるNi−Cr−Al系合金からなるものである。この合金部材本体1を構成するNi−Cr−Al系合金には、さらにTi、Nb、Ta、Mo、WおよびZrから選ばれる少なくとも1種の元素を0.01〜6質量%の範囲で含有させてもよい。
【0022】
なお、Ni−Cr−Al系合金は、微量の不可避不純物(Fe、V、Co、Cu、O、Nなど)を、例えば0.1質量%以下程度の範囲で含んでいてもよい。また、製造工程上SiがSiO2として0.002質量%程度不可避に入ることがあるが、本発明の合金部材の特性に影響を与えるものではない。
【0023】
合金部材本体1を構成するNi−Cr−Al系合金は、Niを主成分とすることが好ましい。主成分としてのNiは、靭性を高めると共に耐食性を付与するものであり、またNi−Cr−Al系合金のγ相(母相)を形成する成分である。
【0024】
CrはNiと同様に耐食性が高く、Ni−Cr−Al系合金ひいてはそれを用いた各種部品に優れた耐食性を付与する成分である。また、Crは後に詳述する時効処理によって、粒界反応に基づくα相の析出を促進する成分である。適量のCrを含むNi−Cr−Al系合金においては、時効処理によりCr基のα相が析出し、強度や硬度が向上する。
【0025】
このようなCrの含有量は25〜60質量%の範囲とすることが好ましい。Crの含有量が25質量%未満であると、時効処理によるα相の析出量が不足し、十分な強度や硬度が得られないおそれがある。一方、Crの含有量が60質量%を超えると、延性が低下して脆くなる。Crの含有量は、α相をより安定して析出させることが可能な30〜45質量%の範囲とすることが好ましく、さらには35〜43質量%の範囲とすることが望ましい。
【0026】
Alは、Ni−Cr−Al系合金ひいてはそれを用いた各種部品の耐食性をさらに高めると共に、Crとの複合添加により強度および硬度の向上に寄与する成分である。すなわち、Alは後に詳述する時効処理によって、例えばα相とγ母相との間にγ′相(Ni3Alなど)を析出させる成分である。
【0027】
Alは微量添加で著しく時効硬化性を高めるものであり、その含有量は0.01〜10質量%の範囲とすることが好ましい。Alの含有量が0.01質量%未満であると、時効硬化による硬度や強度の向上効果を十分に得ることができない。一方、Alの含有量が10質量%を超えると、後述する溶体化処理後の硬度が高くなりすぎて、切削加工性などが低下する。Alの含有量は、より安定して複合析出構造を得ることが可能な0.1〜5質量%の範囲とすることが好ましく、さらには1.5〜4.5質量%の範囲とすることが望ましい。
【0028】
上述したようなγ相、α相、γ′相による複合析出構造(特に積層構造)を得ることによって、Ni−Cr−Al系合金に高硬度および高強度を付与することができる。具体的には、本発明による合金部材本体1(Ni−Cr−Al系合金)の硬度は、時効処理後にJIS Z 2244-1992で規定するビッカース硬さで500Hv以上とすることができる。また、時効処理条件の制御などによって、Ni−Cr−Al系合金の硬度はビッカース硬さで650Hv以上とすることも可能である。さらに、本発明による合金部材本体1は、Ni、CrおよびAlの基本成分に基づいて、良好な耐食性を有するものである。
【0029】
合金部材本体1を構成するNi−Cr−Al系合金は、上記した基本成分に加えて、Ti、Nb、Ta、Mo、WおよびZrから選ばれる少なくとも1種の元素を0.01〜6質量%の範囲で含有していてもよい。この場合、これら各元素に基づいてNi−Cr−Al系合金の各種特性の向上を図ることができる。すなわち、上記した各元素は、一部はα相とγ相に固溶し、一部は炭化物などの分散粒子として析出するため、その固溶強化や分散強化の効果を安定して得ることができる。これらの元素の含有量は0.5〜4質量%の範囲とすることがさらに好ましい。
【0030】
さらに、Ni−Cr−Al系合金は、Si、C、Mg、Mn、TiおよびBから選ばれる少なくとも1種の元素を例えば0.005〜0.8質量%の範囲で含んでいてもよい。Mn、Si、C、Mgなどは脱酸剤として機能する。脱酸剤の含有量は0.1質量%以下とすることが好ましい。また、Mg、Ti、Bなどは展延性向上成分として機能し、その含有量は0.1質量%以下とすることが好ましい。これらの機能を十分に得る上で、各添加剤としての元素の含有量は0.005質量%以上とすることが好ましい。
【0031】
上述したようなNi−Cr−Al系合金からなる合金部材本体1の表面には、ビッカース硬さで700Hv以上の硬度を有する表面窒化層2が表面硬化層として形成されている。ここで、表面硬化層は合金部材本体1の表面全面に形成しなければならないものではなく、使用用途に応じて耐磨耗性が求められる表面のみに形成することができる。また当然ながら、表面硬化層は合金部材本体1の表面全面に形成してもよい。
【0032】
表面窒化層2は合金部材本体1の表面を窒化処理することにより形成されたものであり、例えば主として窒化クロムにより構成されたものである。Ni−Cr−Al系合金からなる合金部材本体1の表面に窒化処理を施すと、窒化しやすいクロムの窒化物(CrN)を主体とする窒化層2が形成される。このような表面窒化層2は高硬度を有し、ビッカース硬さで700Hv以上、さらには1000〜3000Hvというような硬度を示すものである。
【0033】
このような表面窒化層2を合金部材本体1の表面に形成することによって、高硬度耐食性合金部材3の耐磨耗性を大幅に向上させることが可能となる。具体的には、高圧力および腐食性環境下で摺動試験などを行った場合に、長期間にわたって摺動部の磨耗を抑制することができる。すなわち、優れた耐磨耗性が得られる。表面窒化層2は耐食性にも優れることから、腐食性環境下での耐磨耗性の向上に対して特に効果を示すものである。
【0034】
さらに、表面窒化層2は合金部材本体1の構成元素を窒化することで形成しているため、合金部材本体1に対して優れた密着力を示すものである。従って、摺動条件下で使用した場合においても、表面窒化層2が剥離して効果が損なわれるというようなことがない。すなわち、表面窒化層2による耐磨耗性の向上効果などを、長期間にわたって安定して得ることができる。
【0035】
上述したような耐磨耗性の向上効果を得る上で、表面窒化層2はビッカース硬さで700Hv以上の硬度を有している必要がある。表面硬化層としての表面窒化層2のビッカース硬さは1000Hv以上であることがさらに好ましい。
【0036】
また、表面窒化層2からなる表面硬化層の厚さは2〜300μmの範囲とすることが好ましい。表面窒化層2の厚さが2μm未満であると、表面硬度を十分に高めることができないおそれがある。表面窒化層2の硬度は厚さが増すにつれて高くなるものの、表面窒化層2の厚さを300μmを超えて厚くしても、それ以上の効果が得られないだけでなく、製造コストの上昇や剥離のおそれなどが生じる。表面窒化層2の厚さは3〜100μmの範囲とすることがより好ましい。
【0037】
表面窒化層2を形成するための窒化処理には、例えば窒素ガス中やアンモニアのような窒素を含む化合物雰囲気中で合金部材本体1を350〜700℃の温度で熱処理する方法、あるいは真空雰囲気中または減圧雰囲気中でのグロー放電によるイオン窒化法などを適用することができる。これらのうち、特にイオン窒化法によれば、処理後の表面化合物層(表面窒化層2)は空孔がなく、緻密な層とすることができるため、より良好な表面硬化層が得られる。また、部分窒化が容易であるため、使用用途に応じて耐磨耗性が求められる表面のみに硬化層を形成することができる。
【0038】
上述したような表面窒化層2を有する高硬度耐食性合金部材3によれば、合金部材本体1が有する強度、硬度および耐食性に優れるという特性に加えて、表面窒化層2により良好な耐磨耗性を得ることができる。従って、腐食性物質が存在し、かつ高圧力が印加されるような環境(条件)下で、さらに摺動動作が加わるような用途に、高硬度耐食性合金部材3を使用した場合においても、部材全体としての腐食や摺動部の磨耗を良好に抑制することができる。これらによって、高硬度耐食性合金部材3により構成した各種部品の長寿命化などを達成することが可能となる。
【0039】
次に、本発明の第2の実施形態による高硬度耐食性合金部材について、図2を参照して説明する。図2に示す高硬度耐食性合金部材3は、前述した第1の実施形態と同様な合金部材本体1、すなわちNi−Cr−Al系合金からなる合金部材本体1の表面に、ビッカース硬さで700Hv以上の硬度を有するコーティング層4を形成して構成したものである。
【0040】
表面硬化層としてのコーティング層4は、反応性スパッタまたはイオンプレーティングにより形成される。これら反応性スパッタやイオンプレーティングによるコーティング層4は、窒化チタン(TiN)、炭窒化チタン(TiCN)、炭化チタン(TiC)、窒化ジルコニウム(ZrN)、窒化クロム(CrN)、および窒化チタン・アルミニウム(TiAlN)から選ばれる少なくとも1種により主として構成することが好ましい。
【0041】
このような窒化物層、炭化物層、炭窒化物層などを反応性スパッタやイオンプレーティングで形成することによって、表面窒化処理と同様に、ビッカース硬さで700Hv以上、さらには1000〜3000Hvというような高硬度を有すると共に、合金部材本体1に対して優れた密着力を示すコーティング層4を得ることができる。従って、高硬度耐食性合金部材3の耐磨耗性を大幅に向上させることができると共に、そのような効果を長期間にわたって安定して得ることが可能となる。
【0042】
上述したような耐磨耗性の向上効果を得る上で、コーティング層4はビッカース硬さで700Hv以上の硬度を有している必要がある。表面硬化層としてのコーティング層4のビッカース硬さは1000Hv以上であることがさらに好ましい。また、コーティング層4からなる表面硬化層の厚さは、表面窒化層2と同様な理由から2〜300μmの範囲とすることが好ましく、さらに望ましくは3〜100μmの範囲である。
【0043】
このようなコーティング層4を有する高硬度耐食性合金部材3によれば、合金部材本体1が有する強度、硬度および耐食性に優れるという特性に加えて、コーティング層4により良好な耐磨耗性を得ることができる。また、コーティング層4は合金部材本体1に対して優れた密着力を示すことから、コーティング層4による優れた耐磨耗性を長期間にわたって安定して得ることが可能となる。
【0044】
従って、腐食性物質が存在し、かつ高圧力が印加されるような環境(条件)下で、さらに摺動動作が加わるような用途に、高硬度耐食性合金部材3を使用した場合においても、部材全体としての腐食や摺動部の磨耗を良好に抑制することができる。これらによって、高硬度耐食性合金部材3により構成した各種部品の長寿命化などを達成することが可能となる。
【0045】
上述したような本発明の高硬度耐食性合金部材3は、例えば各種の原料物質をタブレットとする際に用いられる杵や臼、すなわち加圧成形型の構成材料として好適である。言い換えると、本発明の高硬度耐食性合金部材3は、加圧成形型に求められる強度および硬度を満足すると共に、良好な耐食性を有しており、さらにその上で耐磨耗性に優れるものである。
【0046】
従って、例えば酸性粉末のような腐食性物質を含む原料物質の加圧成形に適用した場合においても、加圧成形型の腐食進行が大幅に抑えられると共に、摺動部の磨耗を抑制することができる。これらによって、加圧成形型の長寿命化ならびに信頼性の向上などを達成することが可能となる。
【0047】
さらに、本発明の高硬度耐食性合金部材3に用いているNi−Cr−Al系合金(合金部材本体1)は、溶体化処理により良好な切削性を示すため、予め溶体化処理後におおよその型寸法まで粗加工しておき、その後に時効処理および仕上げ加工などを施すことによって、加工コストの上昇を抑制することができる。従って、高硬度、高強度、高耐食性を有する加圧成形型の低コスト化および高精度化を実現することができる。
【0048】
なお、本発明の高硬度耐食性合金部材3の用途は、上述した加圧成形型用部材に限られるものではなく、例えば化学工業設備の周辺摺動部品などにも好適に用いられるものである。
【0049】
前述した第1および第2の実施形態による高硬度耐食性合金部材3は、例えば以下のようにして作製される。
【0050】
すなわち、まず上述した組成を有するNi−Cr−Al系合金を溶解および鋳造してインゴットとした後、熱間鍛造や圧延などを施して、適当な大きさおよび形状を有するNi−Cr−Al系合金素材を作製する。溶解、鋳造、鍛造、圧延などは常法にしたがって実施する。
【0051】
次に、上記したNi−Cr−Al系合金素材に溶体化処理を施す。溶体化処理時の加熱温度は900〜1350℃の範囲とすることが好ましい。加熱温度が900℃未満であると、溶体化域に達することができず、良好な切削加工性などを得ることができないおそれがある。一方、加熱温度が1350℃を超えると融点直下となり、部分的に溶融・変形を起こす危険性がある。上記した温度での保持時間(溶体化処理時間)は、特に限定されるものではないが、1時間以上とすることが好ましい。また、上記した温度からの急冷は、例えば油冷や水冷により実施する。
【0052】
溶体化処理を施したNi−Cr−Al系合金素材は、次いで所望の部材形状に近似した形状、具体的には所望の部材形状より若干大きい形状まで粗加工される。この際の加工形状は、所望の部材寸法より少なくとも0.2%以上大きい形状、好ましくは1%程度大きい形状とする。この時点では、Ni−Cr−Al系合金素材は溶体化処理により良好な切削加工性、すなわち適度な硬度を有しているため、作業性の低下などを招くことがない。言い換えると、低コストで加工することができる。
【0053】
上記した粗加工を施したNi−Cr−Al系合金材(加工材)に対する加工工程としては、以下の2通りのいずれかを選択することができる。
【0054】
まず、第1の方法においては、粗加工したNi−Cr−Al系合金材に時効処理を施す。時効処理の際の加熱温度は500〜900℃の範囲とすることが好ましく、このような温度で2〜6時間保持した後、常温まで徐冷する。時効処理の加熱温度が500℃未満であると、前述したα相やγ′相の析出量が不足し、Ni−Cr−Al系合金材を十分に時効硬化させることができないおそれがある。一方、加熱温度が900℃を超えると固溶域に近くなり、α相やγ′相の析出量が少なくなり、硬度が低下するおそれがある。時効処理温度は550〜700℃の範囲とすることがより好ましい。
【0055】
上述したような時効処理によって、Ni−Cr−Al系合金材(合金部材本体)の硬度は、ビッカース硬さで例えば500Hv以上、さらには650Hv以上となる。そして、時効処理したNi−Cr−Al系合金材を所定の部材寸法まで仕上げ加工した後、このNi−Cr−Al系合金部材の所望の表面に窒化処理を施して表面窒化層2を形成する、あるいは反応性スパッタやイオンプレーティングによりコーティング層4を形成することによって、本発明の高硬度耐食性合金部材3が得られる。表面窒化層2やコーティング層4の具体的条件は、前述した通りである。
【0056】
また、第2の方法においては、粗加工したNi−Cr−Al系合金材を所定の部材寸法まで仕上げ加工した後に時効処理を施す。この際、時効処理の温度は上述したように500〜900℃の範囲とするが、この温度は前述した窒化処理温度とほぼ重複する。従って、時効処理を例えば窒素ガス中やアンモニアガス中などで行う(ガス窒化)ことによって、仕上げ加工したNi−Cr−Al系合金材を時効硬化させつつ、その表面に窒化処理を施すことができる。この際、イオン窒化を適用することも可能である。すなわち、Ni−Cr−Al系合金材の硬度を高めつつ、その表面に硬化層として表面窒化層2を形成することができる。このような方法によっても、本発明の高硬度耐食性合金部材3を得ることができる。
【0057】
上述した本発明の高硬度耐食性合金部材3の製造方法において、時効処理および仕上げ加工後に表面窒化層2やコーティング層4の形成を実施した場合には、部材形状の精度を高めることができる。一方、時効処理と窒化処理を同時に実施した場合には、製造コストの低減を図ることができる。いずれの方法においても、本発明の高硬度耐食性合金部材3を再現性よく得ることが可能である。
【0058】
【実施例】
次に、本発明の具体的な実施例およびその評価結果について述べる。
【0059】
実施例1
まず、Crを38.0質量%、Alを3.8質量%含み、残部が実質的にNiからなる組成を有するNi−Cr−Al系合金試料を溶解および鋳造した後、熱間鍛造および熱間圧延して直径35mmの丸棒とした。このNi−Cr−Al系合金材を1200℃で2時間保持した後に油冷して溶体化処理した。溶体化処理後のNi−Cr−Al系合金材を切削加工した後、650℃の温度で5時間保持することにより時効処理した。時効処理後の合金材のビッカース硬さは660Hvであった。
【0060】
次に、上記した時効処理後のNi−Cr−Al系合金材を仕上げ加工した後、窒素雰囲気中にて600℃×2時間の条件で窒化熱処理し、Ni−Cr−Al系合金部材の表面に窒化層を形成した。得られた窒化層の状態を測定、評価したところ、この窒化層は主としてCrNにより構成されており、かつその厚さは約4.5μmで、表面のビッカース硬さは1050Hvであった。このような表面窒化層を有する高硬度耐食性合金部材を後述する特性評価に供した。
【0061】
実施例2
実施例1と同一組成を有するNi−Cr−Al系合金試料を溶解および鋳造した後、熱間鍛造および熱間圧延して直径35mmの丸棒とした。このNi−Cr−Al系合金材を1200℃で2時間保持した後に油冷して溶体化処理した。溶体化処理後のNi−Cr−Al系合金材を切削加工ならびに仕上げ加工した後、窒素雰囲気中にて650℃×5時間の条件で熱処理した。この熱処理によって、Ni−Cr−Al系合金材を時効硬化させつつ、その表面に窒化層を形成した。
【0062】
上記した時効処理後のNi−Cr−Al系合金部材本体のビッカース硬さは665Hvであった。部材本体のビッカース硬さは、切断面の硬さを測定することにより求めたものである。また、得られた窒化層は主としてCrNにより構成されており、かつその厚さは約5.0μmで、表面のビッカース硬さは1060Hvであった。このような表面窒化層を有する高硬度耐食性合金部材を後述する特性評価に供した。
【0063】
実施例3
実施例1と同一組成を有するNi−Cr−Al系合金試料を溶解および鋳造した後、熱間鍛造および熱間圧延して直径35mmの丸棒とした。このNi−Cr−Al系合金材を1200℃で2時間保持した後に油冷して溶体化処理した。溶体化処理後のNi−Cr−Al系合金材を切削加工した後、650℃の温度で5時間保持することにより時効処理した。時効処理後の合金材のビッカース硬さは660Hvであった。
【0064】
次に、上記した時効処理後のNi−Cr−Al系合金材を仕上げ加工した後、真空雰囲気中にて650℃の温度でイオン窒化し、Ni−Cr−Al系合金部材の表面に窒化層を形成した。得られたイオン窒化層は主としてCrNにより構成されており、かつその厚さは約8.0μmで、表面のビッカース硬さは1050Hvであった。このような表面窒化層を有する高硬度耐食性合金部材を後述する特性評価に供した。
【0065】
比較例1
実施例1と同一組成を有するNi−Cr−Al系合金試料を溶解および鋳造した後、熱間鍛造および熱間圧延して直径35mmの丸棒とした。このNi−Cr−Al系合金材を1200℃で2時間保持した後に油冷して溶体化処理した。溶体化処理後のNi−Cr−Al系合金材を切削加工した後、650℃の温度で5時間保持することにより時効処理した。この合金部材を仕上げ加工した後、以下に示す特性評価に供した。
【0066】
上述した実施例1〜3および比較例1による各高硬度耐食性合金部材の表面硬度を、ビッカース試験機を用いて1000g、15秒荷重の条件下で測定した。また、各合金部材の磨耗量(実施例1〜3については表面窒化層を有する部分の磨耗量)を、西原式金属磨耗試験機(圧縮荷重:2940N(300kgf),回転率:800rpm,試験片寸法:直径30mm×8mm,相手材:硬さ870Hvの工具鋼)を用いて5×105回で回転後の磨耗量を測定した。さらに、各合金部材の耐食性を、塩水(濃度=5%)、硫酸(濃度=5%)の各溶液中に72時間放置し、その後の腐食の有無を目視観察することにより健全率(%)を評価した。これらの結果を表1に併せて示す。
【0067】
【表1】
表1から明らかなように、実施例1〜3による各高硬度耐食性合金部材は、耐食性に優れるだけでなく、表面硬度が高く、その結果として耐磨耗性に優れることが分かる。
【0068】
実施例4〜9
表2にそれぞれ組成を示す合金試料を用い、各Ni−Cr−Al系合金材に対して実施例3と同様にして時効処理および仕上げ加工まで施した。これら各Ni−Cr−Al系合金部材をイオン窒化し、それぞれの表面に窒化層を形成した。このイオン窒化工程において、窒化処理の温度と時間の条件を調整することによって、窒化層の厚さをそれぞれ表2に示す通りとした。
【0069】
このようにして得た実施例4〜9による各高硬度耐食性合金部材の表面硬度および磨耗量を、実施例1と同様にして測定、評価した。これらの値を表2に併せて示す。
【0070】
【表2】
実施例10〜17
表3にそれぞれ組成を示す合金試料を用い、各Ni−Cr−Al系合金材に対して実施例3と同様にして時効処理および仕上げ加工まで施した。これら各Ni−Cr−Al系合金部材の表面に、反応性スパッタまたはイオンプレーティングによりコーティング層を形成した。コーティング層の形成材料および膜厚は表3に示す通りである。
【0071】
この際、反応性スパッタは、スパッタ圧:4×10-1Pa、スパッタ電流:5A、Ar流量:15sccm、N流量:30sccmの条件により実施し、ガス圧により膜厚を調整した。また、イオンプレーティングは、投入電力5kWの条件により実施し、さらに膜厚を調整した。
【0072】
このようにして得た実施例10〜17による各高硬度耐食性合金部材の表面硬度および磨耗量を、実施例1と同様にして測定、評価した。これらの値を表3に併せて示す。
【0073】
【表3】
また、図3は表面硬化層としてのイオン窒化層、TiNコーティング層(イオンプレーティングにより形成)、およびCrNコーティング層(イオンプレーティングにより形成)の各膜厚と表面硬度(Hv)との関係を示したものである。この図から表面硬化層の膜厚を2μm以上とすることによって、必要な表面硬度が得られることが分かる。また、表面硬度の向上率は膜厚10μmを超えるあたりから鈍化するため、あまり厚くしてもそれ以上の効果は得られない。耐食性なども考慮して、表面硬化層の膜厚は300μm以下とすることが好ましい。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば十分な強度と良好な耐食性とを併せ持つと共に、優れた耐磨耗性を示す高硬度耐食性合金部材を提供することができる。このような高硬度耐食性合金部材は、例えば腐食性物質が存在すると共に、高圧力などが印加されるような環境(条件)下で、さらに摺動動作が加わるような用途においても、部品寿命を大幅に向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態による高硬度耐食性合金部材の要部構成を示す断面図である。
【図2】 本発明の第2の実施形態による高硬度耐食性合金部材の要部構成を示す断面図である。
【図3】 本発明の高硬度耐食性合金部材における表面硬化層と表面硬度との関係を示す図である。
【符号の説明】
1……合金部材本体
2……表面窒化層
3……高硬度耐食性合金部材
4……コーティング層[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a high-hardness corrosion-resistant alloy member used in an environment where corrosive substances such as acids, alkalis and salts are present, and a method for producing the same.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, when compressing raw materials such as powders and granules to form tablets such as pharmaceuticals, quasi-drugs, cosmetics, agricultural chemicals, feeds, foods, etc., a mortar having a through-hole according to the tablet shape, A molding die is used in which a lower punch and an upper punch inserted into a through hole (mortar hole) of the die are combined. In a tablet molding machine using such a mold, a desired tablet is molded by first filling a raw material such as a powder into a die into which a lower punch is inserted and compressing the raw material with an upper punch. The
[0003]
Examples of molds used in tablet molding machines include iron-base alloys such as alloy tool steel (eg, SKS2 and SKD11), or Mo and W, as described in JP-A-7-8540. Conventionally, cemented carbides mainly composed of these compounds have been used. However, these conventional mold alloys do not necessarily have satisfactory characteristics in terms of corrosion resistance and strength, and depending on the properties of the raw materials, there is a problem that the mold life is significantly reduced. Yes.
[0004]
For example, with the diversification of applications in recent years, it has become necessary to press-mold highly corrosive powders such as acidic powders and alkaline powders. When a conventional mold made of alloy tool steel or the like is used to form such highly corrosive powder, the surfaces thereof are corroded early. Corrosion on the mold surface causes a reduction in the releasability of the raw material powder, and further causes strength deterioration.
[0005]
In addition, in order to improve the corrosion resistance of a mold made of alloy tool steel or the like, it has been attempted to coat the surface with chrome plating, but a sufficient effect has not been obtained due to peeling of the plating layer. Although the chrome plating layer has a certain effect on the improvement of surface hardness etc., it will peel off easily, so it is possible to obtain a sufficient and stable improvement in wear resistance etc. Can not. For these reasons, it is desired to improve the corrosion resistance and wear resistance while maintaining the strength and hardness of the mold member.
[0006]
On the other hand, the application requiring corrosion resistance is not limited to a manufacturing apparatus such as the mold for corrosive powders described above, but includes, for example, chemical processing apparatuses, waste liquid and waste mud processing apparatuses, combustion apparatuses and peripheral parts thereof. Can be mentioned. Conventionally, corrosion resistant steel such as stainless steel has been used for such applications that mainly require corrosion resistance. However, corrosion-resistant steel such as stainless steel has insufficient strength and hardness, and cannot be used for applications that require particularly hardness and wear resistance.
[0007]
Further, for example, in Japanese Patent Laid-Open No. 63-18031, as a hot press die excellent in corrosion resistance, a die having Cr of 20 to 50% by mass, Al of 1.5 to 9% by mass and the balance being substantially made of Ni is disclosed. Are listed. This press mold has a temperature of 500-800 ° C and a press pressure of 500-2000kg / cm.2It exhibits high hardness against hot pressing at (50 to 200 MPa), has buckling resistance, and has corrosion resistance due to Ni and Cr. However, although the mold parts made of this Ni-Cr-Al alloy are excellent in material hardness and corrosion resistance, they do not necessarily have sufficient wear resistance, and wear on the sliding parts of the parts depending on the use conditions. Progresses and the component life is shortened.
[0008]
[Problems to be solved by the invention]
As described above, the alloy tool steel that has been conventionally used as a pressure forming mold member is corroded on the surface of the mold when applied to the formation of highly corrosive substances such as acid, alkali, and salt. Thus, there is a problem that the mold life is greatly reduced. On the other hand, stainless steel has been used for applications that require corrosion resistance, but it is insufficient in terms of strength and hardness, so it is used particularly for applications that require hardness and wear resistance. I can't.
[0009]
On the other hand, Ni-Cr-Al alloys that have been used as constituent materials for hot press dies, etc., have excellent material hardness and corrosion resistance, but do not necessarily have sufficient wear resistance. Depending on the use conditions, there is a problem that the wear of the sliding portion of the component proceeds.
[0010]
The present invention has been made in order to cope with such problems, while maintaining characteristics according to applications where high strength and high hardness such as a pressure mold are required, and in addition to acids, alkalis, salts, and the like. An object of the present invention is to provide a high-hardness corrosion-resistant alloy member that exhibits good corrosion resistance and further improves the wear resistance of the sliding portion, and a method for producing the same.
[0012]
[Means for Solving the Problems]
First of the present invention1The high hardness corrosion resistant alloy member of claim1In the range of 25 to 60% by mass of Cr, 0.01 to 10% by mass of Al, and at least one element selected from Ti, Nb, Ta, Mo, W and Zr in the range of 0.01 to 6% by mass. Including the restNi and inevitable impuritiesAn alloy member main body made of a Ni—Cr—Al-based alloy and a surface hardened layer formed on at least a part of the surface of the alloy member main body and having a Vickers hardness of 700 Hv or more. It is characterized by.
[0013]
In the high hardness corrosion resistant alloy member of the present invention, the surface hardened layer is, for example, claimed2Or a surface nitrided layer formed by nitriding the surface of the alloy member main body, or4As described above, a coating layer formed by reactive sputtering or ion plating is applied. Claims6As described above, the thickness of the surface hardened layer is preferably in the range of 2 to 300 μm.
[0014]
The alloy member of the present invention has high strength, high hardness and good corrosion resistance, and is excellent in wear resistance. That is, a Ni—Cr—Al alloy in which Cr or Al is added to Ni with essentially good corrosion resistance can further improve the corrosion resistance, and γ phase, α phase, γ ′ phase, etc. by aging treatment Can be deposited in a complex manner to increase the hardness. On top of that, since the surface hardened layer having a Vickers hardness of 700 Hv or more is provided on the surface of the alloy member that becomes a sliding portion or the like, which includes a surface nitride layer, a coating layer by reactive sputtering or ion plating, etc. Good abrasion resistance can be obtained. Therefore, it is possible to suppress a decrease in the component life due to wear of the sliding portion.
[0015]
Further, it is generally known that when the surface of a material is nitrided, the corrosion resistance deteriorates due to the effect of the modified layer. However, the alloy system (Ni—Cr—Al) used as the alloy member body in the present invention is used. In the case of a system alloy), since it contains a large amount of Cr, the corrosion resistance is not impaired even when nitriding. Furthermore, when a coating is usually applied on a soft material, problems such as film peeling are likely to occur, but the Ni-Cr-Al alloy used as the alloy member body in the present invention has high hardness, The peeling of the coating layer can be effectively suppressed.
[0016]
The above-described high-hardness corrosion-resistant alloy member of the present invention is suitably used for various applications in which corrosion resistance is required in addition to strength and hardness, and further sliding action is added. Examples of specific uses include, for example, claims7As described in the above, there is a pressure mold member made of a raw material containing a corrosive substance. However, the use of the high-hardness corrosion-resistant alloy member of the present invention is not limited to this, and for example, it can be suitably used for peripheral sliding parts of chemical industrial equipment.
[0017]
The manufacturing method of the first high hardness corrosion resistant alloy member of the present invention, claim8As described in25 to 60% by mass of Cr, 0.01 to 10% by mass of Al, at least one element selected from Ti, Nb, Ta, Mo, W and Zr in a range of 0.01 to 6% by mass, with the balance being Ni and Consists of inevitable impuritiesNi-Cr-Al alloy is hot-worked to produce a Ni-Cr-Al alloy material, and the Ni-Cr-Al alloy material is solutionized at a temperature in the range of 900 to 1350 ° C. After the treatment, a roughing process for processing to a shape approximate to a desired member shape, and a Ni-Cr-Al alloy material that has undergone the roughing process are subjected to aging treatment at a temperature in the range of 500 to 900 ° C. Nitriding the surface of the Ni-Cr-Al alloy member having the member shape, and a finishing step of processing the Ni-Cr-Al alloy material subjected to the aging treatment to a desired member shape And a coating process by reactive sputtering or ion plating to form a hardened surface layer at a desired position on the surface of the Ni—Cr—Al alloy member.
[0018]
The manufacturing method of the second high hardness corrosion resistant alloy member of the present invention is as follows.9As described in25 to 60% by mass of Cr, 0.01 to 10% by mass of Al, at least one element selected from Ti, Nb, Ta, Mo, W and Zr in a range of 0.01 to 6% by mass, with the balance being Ni and Consists of inevitable impuritiesNi-Cr-Al alloy is hot-worked to produce a Ni-Cr-Al alloy material, and the Ni-Cr-Al alloy material is solutionized at a temperature in the range of 900 to 1350 ° C. After the treatment, a roughing process for processing to a shape approximate to a desired member shape, and a finishing process for processing the Ni-Cr-Al-based alloy material that has undergone the roughing process to a desired member shape, The Ni-Cr-Al alloy member having the member shape is subjected to nitriding treatment on the surface of the Ni-Cr-Al alloy member surface while aging treatment at a temperature in the range of 500 to 900 ° C. And a step of forming a nitride layer as a surface hardened layer at the position.
[0019]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, modes for carrying out the present invention will be described.
[0020]
FIG. 1 is a cross-sectional view showing the main configuration of a high hardness corrosion resistant alloy member according to a first embodiment of the present invention. In the figure,
[0021]
First, the alloy member
[0022]
Note that the Ni—Cr—Al-based alloy may contain a small amount of inevitable impurities (Fe, V, Co, Cu, O, N, etc.) in a range of, for example, about 0.1% by mass or less. In the manufacturing process, Si is SiO.2However, it does not affect the properties of the alloy member of the present invention.
[0023]
The Ni—Cr—Al-based alloy constituting the
[0024]
Cr, like Ni, has a high corrosion resistance, and is a component that imparts excellent corrosion resistance to Ni—Cr—Al-based alloys and thus to various parts using them. Cr is a component that promotes the precipitation of α phase based on the grain boundary reaction by an aging treatment described in detail later. In a Ni—Cr—Al-based alloy containing an appropriate amount of Cr, a Cr-based α phase is precipitated by aging treatment, and strength and hardness are improved.
[0025]
The content of Cr is preferably in the range of 25 to 60% by mass. If the Cr content is less than 25% by mass, the α-phase precipitation amount due to the aging treatment is insufficient, and sufficient strength and hardness may not be obtained. On the other hand, when the content of Cr exceeds 60% by mass, the ductility is lowered and becomes brittle. The Cr content is preferably in the range of 30 to 45% by mass, more preferably in the range of 35 to 43% by mass, with which the α phase can be precipitated more stably.
[0026]
Al is a component that further enhances the corrosion resistance of Ni—Cr—Al-based alloys and various parts using them, and contributes to the improvement of strength and hardness by the combined addition with Cr. That is, Al is subjected to aging treatment, which will be described in detail later, for example, a γ ′ phase (NiThreeAl is a component for precipitating.
[0027]
Al is a substance that remarkably enhances age hardening when added in a small amount, and its content is preferably in the range of 0.01 to 10% by mass. If the Al content is less than 0.01% by mass, the effect of improving the hardness and strength by age hardening cannot be obtained sufficiently. On the other hand, if the Al content exceeds 10% by mass, the hardness after solution treatment described later becomes too high, and the machinability and the like deteriorate. The Al content is preferably in the range of 0.1 to 5% by mass, and more preferably in the range of 1.5 to 4.5% by mass, with which a composite precipitation structure can be obtained more stably.
[0028]
High hardness and high strength can be imparted to the Ni—Cr—Al based alloy by obtaining a composite precipitation structure (particularly a laminated structure) by the γ phase, α phase, and γ ′ phase as described above. Specifically, the hardness of the alloy member main body 1 (Ni—Cr—Al alloy) according to the present invention can be set to 500 Vv or more in terms of Vickers hardness defined by JIS Z 2244-1992 after aging treatment. Further, by controlling the aging treatment conditions, the hardness of the Ni—Cr—Al alloy can be set to 650 Hv or more in terms of Vickers hardness. Furthermore, the alloy member
[0029]
In addition to the basic components described above, the Ni—Cr—Al alloy constituting the alloy member
[0030]
Furthermore, the Ni—Cr—Al based alloy may contain at least one element selected from Si, C, Mg, Mn, Ti and B in a range of 0.005 to 0.8 mass%, for example. Mn, Si, C, Mg and the like function as a deoxidizer. The content of the deoxidizer is preferably 0.1% by mass or less. Mg, Ti, B and the like function as a ductility improving component, and the content thereof is preferably 0.1% by mass or less. In order to sufficiently obtain these functions, the content of the element as each additive is preferably 0.005% by mass or more.
[0031]
A
[0032]
The surface nitrided
[0033]
By forming such a
[0034]
Furthermore, since the surface nitrided
[0035]
In order to obtain the effect of improving the wear resistance as described above, the surface nitrided
[0036]
The thickness of the hardened surface layer made of the surface nitrided
[0037]
The nitriding treatment for forming the surface nitrided
[0038]
According to the high hardness corrosion
[0039]
Next, a high hardness corrosion resistant alloy member according to a second embodiment of the present invention will be described with reference to FIG. A high-hardness corrosion-
[0040]
The
[0041]
By forming such a nitride layer, carbide layer, carbonitride layer, etc. by reactive sputtering or ion plating, Vickers hardness is 700 Hv or more, further 1000 to 3000 Hv, as in the surface nitriding treatment. It is possible to obtain a
[0042]
In order to obtain the effect of improving the wear resistance as described above, the
[0043]
According to the high-hardness corrosion-
[0044]
Therefore, even when the high-hardness corrosion-
[0045]
The above-described high-hardness corrosion-
[0046]
Therefore, even when applied to the pressure molding of a raw material containing a corrosive substance such as acidic powder, for example, the progress of corrosion of the pressure molding die can be greatly suppressed and the wear of the sliding portion can be suppressed. it can. As a result, it is possible to achieve a longer life and improved reliability of the pressure mold.
[0047]
Furthermore, since the Ni—Cr—Al based alloy (alloy member body 1) used for the high hardness corrosion
[0048]
The use of the high hardness corrosion
[0049]
The high hardness corrosion
[0050]
That is, first, an Ni—Cr—Al alloy having the above-described composition is melted and cast into an ingot, and then subjected to hot forging, rolling, etc., and a Ni—Cr—Al alloy having an appropriate size and shape. An alloy material is produced. Melting, casting, forging, rolling, etc. are performed according to conventional methods.
[0051]
Next, a solution treatment is performed on the Ni—Cr—Al alloy material described above. The heating temperature during the solution treatment is preferably in the range of 900 to 1350 ° C. If the heating temperature is less than 900 ° C., the solution treatment region cannot be reached, and good machinability may not be obtained. On the other hand, if the heating temperature exceeds 1350 ° C, it will be directly below the melting point, and there is a risk of partial melting and deformation. The holding time (solution treatment time) at the above temperature is not particularly limited, but is preferably 1 hour or longer. The rapid cooling from the above-described temperature is performed by, for example, oil cooling or water cooling.
[0052]
The Ni—Cr—Al alloy material that has undergone solution treatment is then roughly processed to a shape that approximates the desired member shape, specifically a shape that is slightly larger than the desired member shape. The processed shape at this time is a shape that is at least 0.2% or more, preferably about 1% larger than the desired member size. At this point, the Ni—Cr—Al-based alloy material has a good machinability by the solution treatment, that is, has an appropriate hardness, so that the workability is not lowered. In other words, it can be processed at low cost.
[0053]
As a processing step for the Ni—Cr—Al-based alloy material (processed material) subjected to the above rough processing, one of the following two methods can be selected.
[0054]
First, in the first method, an aging treatment is performed on a roughly processed Ni—Cr—Al alloy material. The heating temperature in the aging treatment is preferably in the range of 500 to 900 ° C., held at such temperature for 2 to 6 hours, and then gradually cooled to room temperature. If the heating temperature of the aging treatment is less than 500 ° C., the amount of precipitation of the α phase and γ ′ phase described above is insufficient, and the Ni—Cr—Al alloy material may not be sufficiently age hardened. On the other hand, when the heating temperature exceeds 900 ° C., it becomes close to a solid solution region, the precipitation amount of α phase and γ ′ phase decreases, and the hardness may be lowered. The aging treatment temperature is more preferably in the range of 550 to 700 ° C.
[0055]
By the aging treatment as described above, the hardness of the Ni—Cr—Al-based alloy material (alloy member body) becomes, for example, 500 Vv or more, further 650 Hv or more in terms of Vickers hardness. Then, after finishing the aged Ni—Cr—Al alloy material to a predetermined member size, a desired surface of the Ni—Cr—Al alloy member is subjected to nitriding treatment to form a
[0056]
In the second method, the roughened Ni—Cr—Al alloy material is finished to a predetermined member size and then subjected to an aging treatment. At this time, the temperature of the aging treatment is in the range of 500 to 900 ° C. as described above, but this temperature substantially overlaps with the nitriding temperature described above. Therefore, by performing aging treatment in, for example, nitrogen gas or ammonia gas (gas nitriding), the finish-processed Ni—Cr—Al alloy material can be subjected to nitriding treatment while age hardening. . At this time, ion nitriding can also be applied. That is, the surface nitrided
[0057]
In the manufacturing method of the high hardness corrosion
[0058]
【Example】
Next, specific examples of the present invention and evaluation results thereof will be described.
[0059]
Example 1
First, a Ni—Cr—Al alloy sample having a composition containing 38.0% by mass of Cr and 3.8% by mass of Al and the balance being substantially Ni is melted and cast, and then hot forged and hot rolled. A round bar with a diameter of 35 mm was used. This Ni—Cr—Al alloy material was held at 1200 ° C. for 2 hours, and then cooled with oil and subjected to a solution treatment. The Ni—Cr—Al alloy material after the solution treatment was cut and then subjected to an aging treatment by holding at a temperature of 650 ° C. for 5 hours. The Vickers hardness of the alloy material after the aging treatment was 660 Hv.
[0060]
Next, after finishing the above-mentioned Ni-Cr-Al alloy material after the aging treatment, the surface of the Ni-Cr-Al alloy member is subjected to a nitriding heat treatment in a nitrogen atmosphere at 600 ° C for 2 hours. A nitride layer was formed. When the state of the obtained nitrided layer was measured and evaluated, this nitrided layer was mainly composed of CrN, had a thickness of about 4.5 μm, and had a surface Vickers hardness of 1050 Hv. The high hardness corrosion resistant alloy member having such a surface nitrided layer was subjected to the characteristic evaluation described later.
[0061]
Example 2
A Ni—Cr—Al alloy sample having the same composition as in Example 1 was melted and cast, and then hot forged and hot rolled to obtain a round bar having a diameter of 35 mm. This Ni—Cr—Al alloy material was held at 1200 ° C. for 2 hours, and then cooled with oil and subjected to a solution treatment. The Ni—Cr—Al alloy material after solution treatment was cut and finished, and then heat treated in a nitrogen atmosphere at 650 ° C. for 5 hours. By this heat treatment, a Ni—Cr—Al alloy material was age-hardened, and a nitride layer was formed on the surface thereof.
[0062]
The Vickers hardness of the Ni—Cr—Al-based alloy member body after the aging treatment was 665 Hv. The Vickers hardness of the member body is determined by measuring the hardness of the cut surface. The obtained nitrided layer was mainly composed of CrN, had a thickness of about 5.0 μm, and had a surface Vickers hardness of 1060 Hv. The high hardness corrosion resistant alloy member having such a surface nitrided layer was subjected to the characteristic evaluation described later.
[0063]
Example 3
A Ni—Cr—Al alloy sample having the same composition as in Example 1 was melted and cast, and then hot forged and hot rolled to obtain a round bar having a diameter of 35 mm. This Ni—Cr—Al alloy material was held at 1200 ° C. for 2 hours, and then cooled with oil and subjected to a solution treatment. The Ni—Cr—Al alloy material after the solution treatment was cut and then subjected to an aging treatment by holding at a temperature of 650 ° C. for 5 hours. The Vickers hardness of the alloy material after the aging treatment was 660 Hv.
[0064]
Next, after finishing the Ni-Cr-Al alloy material after the aging treatment described above, ion nitriding is performed at a temperature of 650 ° C. in a vacuum atmosphere, and a nitride layer is formed on the surface of the Ni—Cr—Al alloy member. Formed. The obtained ion nitride layer was mainly composed of CrN and had a thickness of about 8.0 μm and a surface Vickers hardness of 1050 Hv. The high hardness corrosion resistant alloy member having such a surface nitrided layer was subjected to the characteristic evaluation described later.
[0065]
Comparative Example 1
A Ni—Cr—Al alloy sample having the same composition as in Example 1 was melted and cast, and then hot forged and hot rolled to obtain a round bar having a diameter of 35 mm. This Ni—Cr—Al alloy material was held at 1200 ° C. for 2 hours, and then cooled with oil and subjected to a solution treatment. The Ni—Cr—Al alloy material after the solution treatment was cut and then subjected to an aging treatment by holding at a temperature of 650 ° C. for 5 hours. After finishing this alloy member, it was subjected to the following characteristic evaluation.
[0066]
The surface hardness of each of the high hardness corrosion resistant alloy members according to Examples 1 to 3 and Comparative Example 1 described above was measured using a Vickers tester under a condition of 1000 g and a 15 second load. In addition, the wear amount of each alloy member (the wear amount of the portion having the surface nitrided layer in Examples 1 to 3) was measured using a Nishihara type metal wear tester (compression load: 2940 N (300 kgf), rotation rate: 800 rpm, test piece. Dimension: diameter 30mm x 8mm, mating material: tool steel with hardness 870Hv) 5x10FiveThe amount of wear after rotation was measured with the rotation. Furthermore, the corrosion resistance of each alloy member is determined by allowing it to stand for 72 hours in each solution of salt water (concentration = 5%) and sulfuric acid (concentration = 5%), and then visually observing the presence or absence of corrosion (%). Evaluated. These results are also shown in Table 1.
[0067]
[Table 1]
As is apparent from Table 1, each of the high hardness corrosion resistant alloy members according to Examples 1 to 3 is not only excellent in corrosion resistance, but also has high surface hardness, and as a result, is excellent in wear resistance.
[0068]
Examples 4-9
Using alloy samples having compositions shown in Table 2, aging treatment and finishing were applied to each Ni—Cr—Al alloy material in the same manner as in Example 3. Each of these Ni—Cr—Al based alloy members was ion nitrided to form a nitrided layer on each surface. In this ion nitriding step, the thickness of the nitrided layer was set as shown in Table 2 by adjusting the nitriding temperature and time conditions.
[0069]
The surface hardness and the wear amount of each of the high hardness corrosion resistant alloy members obtained in Examples 4 to 9 were measured and evaluated in the same manner as in Example 1. These values are also shown in Table 2.
[0070]
[Table 2]
Examples 10-17
Using alloy samples having compositions shown in Table 3, each Ni—Cr—Al alloy material was subjected to aging treatment and finishing in the same manner as in Example 3. A coating layer was formed on the surface of each Ni-Cr-Al alloy member by reactive sputtering or ion plating. Table 3 shows the forming material and film thickness of the coating layer.
[0071]
At this time, reactive sputtering is performed with a sputtering pressure of 4 × 10.-1The process was performed under the conditions of Pa, sputtering current: 5 A, Ar flow rate: 15 sccm, N flow rate: 30 sccm, and the film thickness was adjusted by gas pressure. In addition, ion plating was performed under the condition of input power of 5 kW, and the film thickness was further adjusted.
[0072]
The surface hardness and the amount of wear of each of the high hardness corrosion resistant alloy members obtained in Examples 10 to 17 were measured and evaluated in the same manner as in Example 1. These values are also shown in Table 3.
[0073]
[Table 3]
FIG. 3 shows the relationship between the surface hardness (Hv) and the film thicknesses of the ion nitride layer, TiN coating layer (formed by ion plating), and CrN coating layer (formed by ion plating) as the surface hardened layer. It is shown. From this figure, it can be seen that the required surface hardness can be obtained by setting the thickness of the hardened surface layer to 2 μm or more. Further, since the improvement rate of the surface hardness is slowed down when the film thickness exceeds 10 μm, no further effect can be obtained even if it is made too thick. In consideration of corrosion resistance and the like, the thickness of the surface hardened layer is preferably 300 μm or less.
[0074]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, it is possible to provide a high-hardness corrosion-resistant alloy member that has both sufficient strength and good corrosion resistance and exhibits excellent wear resistance. Such a high-hardness corrosion-resistant alloy member has, for example, a component life even in applications where a corrosive substance is present and a sliding operation is further applied in an environment (condition) where high pressure is applied. It becomes possible to greatly improve.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a cross-sectional view showing a main configuration of a high hardness corrosion resistant alloy member according to a first embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a cross-sectional view showing a main configuration of a high hardness corrosion resistant alloy member according to a second embodiment of the present invention.
FIG. 3 is a diagram showing the relationship between the surface hardened layer and the surface hardness in the high hardness corrosion resistant alloy member of the present invention.
[Explanation of symbols]
1 …… Alloy member body
2. Surface nitrided layer
3. High hardness corrosion resistant alloy member
4. Coating layer
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