JP4481017B2 - 植物体内で機能するires - Google Patents

植物体内で機能するires Download PDF

Info

Publication number
JP4481017B2
JP4481017B2 JP2004008025A JP2004008025A JP4481017B2 JP 4481017 B2 JP4481017 B2 JP 4481017B2 JP 2004008025 A JP2004008025 A JP 2004008025A JP 2004008025 A JP2004008025 A JP 2004008025A JP 4481017 B2 JP4481017 B2 JP 4481017B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gene
plant
ires
dna
seq
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004008025A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005198562A (ja
Inventor
南 松井
義治 山本
和史 合田
久美子 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Original Assignee
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by RIKEN Institute of Physical and Chemical Research filed Critical RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Priority to JP2004008025A priority Critical patent/JP4481017B2/ja
Priority to EP05703522.2A priority patent/EP1712624B1/en
Priority to PCT/JP2005/000283 priority patent/WO2005068631A1/ja
Priority to US10/586,052 priority patent/US8772465B2/en
Publication of JP2005198562A publication Critical patent/JP2005198562A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4481017B2 publication Critical patent/JP4481017B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/79Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts
    • C12N15/82Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for plant cells, e.g. plant artificial chromosomes (PACs)
    • C12N15/8216Methods for controlling, regulating or enhancing expression of transgenes in plant cells

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

本発明は、植物内でIRES(Internal Ribosome Entry Site)として機能するポリヌクレオチド、発現ユニットに関し、当該発現ユニットを有する発現ベクター、また、当該発現ユニットを用いた植物内における遺伝子発現調節方法に関する。
動物細胞等の真核細胞においては、モノシストロニックな発現様式が一般的ではあるが、ポリシストロニックな発現様式による複数の遺伝子の発現も知られている。ポリシストロニックな発現様式では、タンパク質をコードする領域を複数備え、隣接するコード領域の間にリボソームタンパク質が再結合する部位(IRES:Internal Ribosome Entry Site)を備えている。
動物細胞において見いだされたIRESについては、真核生物においてポリシストロニックな発現を可能とすることから、種々の動物細胞用発現ベクターに用いられている。例えば、ある動物細胞用発現ベクターにおいては、IRESの下流にマーカー遺伝子を挿入しており、当該マーカー遺伝子の発現を観察することで、IRESの上流に位置する遺伝子の発現を調べることができる。この動物細胞用発現ベクターによれば、発現解析対象のタンパク質とマーカータンパク質とを融合する必要がない。
しかしながら植物細胞並びに植物体を宿主とした場合に、上述したようなIRES様の機能を有するベクターは、現在まで開発されていない。すなわち、植物細胞並びに植物体を宿主として、ポリシストロニックな発現を実現するような発現ベクターは知られていない。
Chappell SA, Edelman GM, Mauro VP, A 9-nt segment of a cellular mRNA can function as an internal ribosome entry site (IRES) and when present in linked multiple copies greatly enhances IRES activity. PNAS 97, 1536-1541. Urwin P, Yi L, Martin H, Atkinson H, Gilmartin PM, Functional characterization of the EMCV IRES in plants. Plant J. 24, 583-589
そこで、本発明は、上述したような実状に鑑み、植物を宿主としたときにポリシストロニックな発現様式を可能とするDNA、発現ユニット、発現ベクターを提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明者が鋭意検討した結果、植物体内で機能する新規なIRESを見いだすことに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下を包含する。
(1) 植物内でIRES(internal ribosome entry site)として機能する以下の(a)又は(b)のDNAを含むポリヌクレオチド。
(a)配列番号1、2、3又は4に示す塩基配列からなるDNA
(b)配列番号1、2、3又は4に示す塩基配列において1又は複数の塩基が置換、欠失、付加及び挿入された塩基配列からなり、植物内で翻訳方向に向かって下流に配置された遺伝子の翻訳を正に調節する機能を有するDNA
(2) スペーサー配列を介して又はスペーサー配列を介さずに上記(a)又は(b)のDNAを繰り返して連結してなる(1)記載のポリヌクレオチド。
(3) 上記(a)又は(b)のDNAの繰り返し回数が7〜10回であることを特徴とする(2)記載のポリヌクレオチド。
(4) 少なくとも、遺伝子及び/又はプロモーターを更に含むことを特徴とする(1)乃至(3)いずれか一項記載のポリヌクレオチド。
(5) (1)乃至(4)いずれか一項記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
(6) (1)乃至(4)いずれか一項記載のポリヌクレオチド又は(5)記載のベクターにより形質転換された形質転換体。
(7) (1)乃至(4)いずれか一項記載のポリヌクレオチドをゲノムに組み込んでなるトランスジェニック植物。
(8) (1)乃至(4)いずれか一項記載のポリヌクレオチド又は(5)記載のベクターを構築する工程と、上記ポリヌクレオチド又は上記ベクターを植物由来宿主に形質転換する工程とを備え、形質転換された植物由来宿主内で、上記(a)又は(b)のDNAの下流に位置する遺伝子の翻訳を正に制御することを特徴とする植物内における遺伝子発現調節方法。
本発明によれば、植物内でIRESとして機能する新規なDNAを含むポリヌクレオチドを提供することができる。本発明に係るポリヌクレオチドを使用することで、植物内でポリシストロニックな発現を実現することができる。
以下、本発明について図面を参照して詳細に説明する。
1−1.本発明に係るポリヌクレオチド
先ず、本発明に係るポリヌクレオチドは、以下の(a)及び/又は(b)のDNAを含むものであり、当該DNAの下流に位置する遺伝子の翻訳を植物内で正に制御する機能を有する。
(a)配列番号1に示す塩基配列からなるDNA
(b)配列番号1に示す塩基配列において1又は複数の塩基が置換、欠失、付加及び挿入された塩基配列からなり、翻訳方向に向かって下流に配置された遺伝子の翻訳を正に調節する機能を有するDNA
言い換えると、本発明に係るポリヌクレオチドは、宿主の翻訳メカニズムの中心的役割を司るリボソームが結合することができ、宿主の翻訳メカニズムによって下流に位置する遺伝子の翻訳を可能とする機能を有する。一般的にこのような機能を有するDNA領域をIRES(Internal Ribosome Entry Site)と呼ぶため、以下、本発明に係るポリヌクレオチドをIRESと称する。
ここで、配列番号1に示す塩基配列は、シロイヌナズナの18S rDNAの所定の領域に対して逆向きの相補的として設計される配列である。また、下流とは、転写方向(すなわち、転写対象のDNA鎖における5’末端から3’末端に向かう方向)に対して後を意味する。また、翻訳を正に制御するとは、言い換えれば翻訳効率が向上することを意味し、リボゾームが結合して下流に位置するコード領域の翻訳を進行させることを意味する。なお、以下の説明において、翻訳を正に制御する機能のことを、単に「制御能」と呼ぶ。
また、(b)のDNAにおける複数個とは、好ましくは、配列番号1に示す塩基配列における2〜5個の塩基、より好ましくは2又は3個の塩基を意味する。さらに、配列番号1に示す塩基配列において、置換、欠失、付加及び挿入されうる位置としては、特に、第4番目〜第10番目の塩基及び第12番目の塩基から選ばれることが好ましい。配列番号1において、第1番目のGはAに置換されてもよく、第3番目のCはT又はGに置換されてもよく、第4番目のAはG又はCに置換されてもよく、第5番目のGはC又はAに置換されてもよく、第6番目のCはG又はTに置換されてもよく、第7番目のGはA、C又はTに置換されてもよく、第8番目のGはAに置換されてもよく、第9番目のAはGに置換されてもよい。
配列番号1に示す塩基配列において1又は複数の塩基を置換した塩基配列としては、例えば、以下に示す塩基配列を挙げることができる(配列番号5〜20)。
配列番号5:GCCAGCGGAGTC
配列番号6:GCCAGCGGAGTC
配列番号7:GCCGGCGGAGTC
配列番号8:GCCGGCGGAGTC
配列番号9:GCCGGCGGAGTC
配列番号10:GCCGGCGGAGTC
配列番号11:GCCAGCGGGGTC
配列番号12:GCCGGCGGAGTC
配列番号13:GCTGGCGGAGTC
配列番号14:GCTGGCAGGGTC
配列番号15:ACGGCTCGGGTC
配列番号16:ACCGAGTGGGTC
配列番号17:GCCGAGCAAGTC
配列番号18:GCCCGGCGGGTC
配列番号19:GCCCGGCGGGTC
配列番号20:GCCCGGCGGGTC
すなわち、これら配列番号5〜20に示す塩基配列は上記(b)のDNAに含まれる。なお、配列番号5の塩基配列は、大豆の18S rDNAの所定の領域に対して逆向きの相補鎖として設計される配列である。配列番号6の塩基配列は、ペチュニアの18S rDNAの所定の領域に対して逆向きの相補鎖として設計される配列である。配列番号7の塩基配列は、トマトの18S rDNAの所定の領域に対して逆向きの相補鎖として設計される配列である。配列番号8の塩基配列は、キンギョソウ(antirrhinum)の18S rDNAの所定の領域に対して逆向きの相補鎖として設計される配列である。配列番号9の塩基配列は、タバコの18S rDNAの所定の領域に対して逆向きの相補鎖として設計される配列である。配列番号10の塩基配列は、イネの18S rDNAの所定の領域に対して逆向きの相補鎖として設計される配列である。配列番号11の塩基配列は、トウモロコシの18S rDNAの所定の領域に対して逆向きの相補鎖として設計される配列である。配列番号12の塩基配列は、ウマゴヤシ(M. polymorpha)の18S rDNAの所定の領域に対して逆向きの相補鎖として設計される配列である。配列番号13の塩基配列は、ヒメツリガネゴケ(Physcomitrella patens)の18S rDNAの所定の領域に対して逆向きの相補鎖として設計される配列である。配列番号14の塩基配列は、クラミドモナスの18S rDNAの所定の領域に対して逆向きの相補鎖として設計される配列である。配列番号15の塩基配列は、藍藻(Synechocystis)の18S rDNAの所定の領域に対して逆向きの相補鎖として設計される配列である。配列番号16の塩基配列は、サッカロマイセス・セレビシエの18S rDNAの所定の領域に対して逆向きの相補鎖として設計される配列である。配列番号17の塩基配列は、シゾサッカロマイセス・ポンベの18S rDNAの所定の領域に対して逆向きの相補鎖として設計される配列である。配列番号18の塩基配列は、マウスの18S rDNAの所定の領域に対して逆向きの相補鎖として設計される配列である。配列番号19の塩基配列は、ラットの18S rDNAの所定の領域に対して逆向きの相補鎖として設計される配列である。配列番号20の塩基配列は、ヒトの18S rDNAの所定の領域に対して逆向きの相補鎖として設計される配列である。これら各種生物における18S rDNAの所定の領域を含む塩基配列を図1に示す。なお、図1において、配列番号1及び配列番号5乃至20の塩基配列を設計する際のもととなる所定の領域をRとして示した。
一方、上記(b)のDNAとしては、配列番号1に示す塩基配列に相補的な塩基配列に対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列からなるDNAが含まれる。ストリンジェントな条件とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成される条件をいう。より具体的には、ナトリウム濃度が15〜300mM、好ましくは15〜75mMであり、温度が50〜60℃、好ましくは55〜60℃での条件をいう。
一方、所定の塩基配列を有するDNAが制御能を有するか否かは、対象となるDNAの下流にレポーター遺伝子を組み込みんだベクターを構築し、ベクターを用いて植物体を形質転換し、得られたトランスジェニック植物におけるレポーター遺伝子の発現量を対照と比較することで判断することができる。レポーター遺伝子としては、如何なるものを使用しても良いが、例えば、β-グルクロニダーゼをコードするGUS遺伝子、ルシフェラーゼをコードするLuc遺伝子、グリーンフルオレセイントプロテインをコードするGFP遺伝子などを使用することができる。
IRESは、配列番号1に基づいて化学合成することで得ることができる。なお、配列番号1に示す塩基配列において、1又は複数の塩基を置換、欠失、付加及び挿入するには、Kunkel法、Gapped duplex法等の公知の手法又はこれに準ずる方法を採用することができる。例えば部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutant-K(TAKARA社製)やMutant-G(TAKARA社製))などを用いて、あるいは、TAKARA社のLA PCR in vitro Mutagenesis シリーズキットを用いて変異の導入が行われる。
1−2.本発明に係るポリヌクレオチド
本発明に係るポリヌクレオチドは、以下の(a)及び/又は(b)のDNAを含むものであり、当該DNAの下流に位置する遺伝子の翻訳を植物体内で正に制御する機能を有する。
(a)配列番号2又は3に示す塩基配列からなるDNA
(b)配列番号2又は3に示す塩基配列において1又は複数の塩基が置換、欠失、付加及び挿入された塩基配列からなり、植物内で翻訳方向に向かって下流に配置された遺伝子の翻訳を植物体内で正に調節する機能を有するDNA
上記(b)のDNAにおける複数個とは、好ましくは、配列番号2又は3に示す塩基配列における1〜20個の塩基、より好ましくは1〜5個の塩基を意味する。また、(b)のDNAとしては、配列番号2又は3に示す塩基配列に相補的な塩基配列に対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列からなるDNAが含まれる。ストリンジェントな条件とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成される条件をいう。より具体的には、ナトリウム濃度が15〜300mM、好ましくは15〜75mMであり、温度が50〜60℃、好ましくは55〜60℃での条件をいう。
一方、所定の塩基配列を有するポリヌクレオチドが制御能を有するか否かは、対象となるポリヌクレオチドの下流にレポーター遺伝子を組み込みんだベクターを構築し、ベクターを用いて植物体を形質転換し、得られたトランスジェニック植物におけるレポーター遺伝子の発現量を対照と比較することで判断することができる。レポーター遺伝子としては、如何なるものを使用しても良いが、例えば、β-グルクロニダーゼをコードするGUS遺伝子、ルシフェラーゼをコードするLuc遺伝子、グリーンフルオレセイントプロテインをコードするGFP遺伝子などを使用することができる。
IRESは、配列番号2又は3に基づいて化学合成することで得ることができる。または、IRESは、トバモウィルス(Tobamovirus)ゲノムのMP領域を鋳型としたPCRによって得ることもできる。なお、配列番号2又は3に示す塩基配列において、1又は複数の塩基を置換、欠失、付加及び挿入するには、Kunkel法、Gapped duplex法等の公知の手法又はこれに準ずる方法を採用することができる。例えば部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutant-K(TAKARA社製)やMutant-G(TAKARA社製))などを用いて、あるいは、TAKARA社のLA PCR in vitro Mutagenesis シリーズキットを用いて変異の導入が行われる。
1−3.本発明に係るポリヌクレオチド
本発明に係るポリヌクレオチドは、以下の(a)及び/又は(b)のDNAを含むものであり、当該DNAの下流に位置する遺伝子の翻訳を植物体内で正に制御する機能を有する。
(a)配列番号4に示す塩基配列からなるDNA
(b)配列番号4に示す塩基配列において1又は複数の塩基が置換、欠失、付加及び挿入された塩基配列からなり、植物内で翻訳方向に向かって下流に配置された遺伝子の翻訳を植物体内で正に調節する機能を有するDNA
上記(b)のDNAにおける複数個とは、好ましくは、配列番号4に示す塩基配列における1〜20個の塩基、より好ましくは1〜5個の塩基を意味する。また、(b)のDNAには、配列番号4に示す塩基配列に相補的な塩基配列に対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列からなるDNAを含んでいる。ストリンジェントな条件とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成される条件をいう。より具体的には、ナトリウム濃度が15〜300mM、好ましくは15〜75mMであり、温度が50〜60℃、好ましくは55〜60℃での条件をいう。
一方、所定の塩基配列を有するポリヌクレオチドが制御能を有するか否かは、対象となるポリヌクレオチドの下流にレポーター遺伝子を組み込みんだベクターを構築し、ベクターを用いて植物体を形質転換し、得られたトランスジェニック植物におけるレポーター遺伝子の発現量を対照と比較することで判断することができる。レポーター遺伝子としては、如何なるものを使用しても良いが、例えば、β-グルクロニダーゼをコードするGUS遺伝子、ルシフェラーゼをコードするLuc遺伝子、グリーンフルオレセイントプロテインをコードするGFP遺伝子などを使用することができる。
IRESは、配列番号4に基づいて化学合成することで得ることができる。または、IRESは、トバモウィルス(Tobamovirus)ゲノムのCP領域を鋳型としたPCRによって得ることもできる。なお、配列番号4に示す塩基配列において、1又は複数の塩基を置換、欠失、付加及び挿入するには、Kunkel法、Gapped duplex法等の公知の手法又はこれに準ずる方法を採用することができる。例えば部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutant-K(TAKARA社製)やMutant-G(TAKARA社製))などを用いて、あるいは、TAKARA社のLA PCR in vitro Mutagenesis シリーズキットを用いて変異の導入が行われる。
2.発現ユニット
本発明に係るポリヌクレオチドは、上記「1−1〜3.本発明に係るポリヌクレオチド」で説明したIRESを有する発現ユニットの形で機能的に実現することができる。すなわち、発現ユニットは、上記「1−1〜3.本発明に係るポリヌクレオチド」で説明したIRESと、少なくともプロモーター及び/又は遺伝子とを含む構成とすることができる。
発現ユニットは、宿主の染色体に組み込まれたかたちのもの、ベクター等に組み込まれたもの、或いは、DNA断片のものを含む意味である。この発現ユニットは、宿主にてIRESの下流に位置する遺伝子を確実に翻訳させることができ、従来にない植物体内におけるポリシストロニック遺伝子発現系を構築することができる。
例えば、発現ユニットとしては、IRESと遺伝子とがこの順で配置されたDNA断片であってもよい。そして、発現ユニットとしては、IRESと遺伝子とがこの順で配置されたDNA断片を、例えばTiプラスミドのT領域に挿入してなるものであってもよいし、プラスミド等のベクターに挿入されていないDNA断片であってもよい。なおこの場合、発現ユニットは、IRESの上流にプロモーターを含む構成であってもよい。このように構成された発現ユニットは、宿主のゲノム中に組み込まれることによって、IRESの下流に位置する遺伝子の翻訳を正に制御することができる。
また、発現ユニットとしては、遺伝子とIRESとがこの順で配置されたDNA断片であってもよい。この発現ユニットもまた、プラスミド等のベクターに組み込まれた構成であってもよいし、プラスミド等のベクターに挿入されていないDNA断片であってもよい。この場合、発現ユニットが宿主ゲノムに組み込まれることによって、IRESの下流に宿主ゲノム中の既存の遺伝子が位置することとなる。この状態でIRESはその下流に位置する遺伝子の翻訳を正に制御することができる。IRESの下流または上流に遺伝子(例えばレポーター遺伝子)が配置された発現ユニットは、具体的には例えば宿主が有する任意の遺伝子(以下、「目的遺伝子」)の発現状態の観察に用いられる。より具体的には、相同組み換えの手法などを用いて、この発現ユニットを目的遺伝子のプロモーターにより発現されるように組み込むことにより、目的遺伝子とレポーター遺伝子とを同調的に発現させることができる。これにより、目的遺伝子の時間的・空間的な発現パターンの把握が可能となるという効果を奏する。
また、発現ユニットとしては、プロモーター、遺伝子(例えばレポーター遺伝子)、IRESがこの順で配置されたDNA断片であってもよい。この発現ユニットを宿主のゲノムに組み込んだ場合には、IRESの下流に位置する遺伝子(遺伝子B)のプロモーターが発現ユニットのプロモーターで置換され、遺伝子Bの時間的・空間的な発現パターンが変化する。この場合、遺伝子Bの発現パターンの変化をレポーター遺伝子の発現観測により把握しながら、この発現パターンの変化が表現形質に与える影響を観察することが可能となる。
さらに、発現ユニットは、例えば、図2に示すように、プロモーター、遺伝子A、IRES、遺伝子B及びターミネータがこの順で配置されたものを挙げることができる。この場合、宿主内でプロモーターから下流に向かって(図2中矢印で示す方向)ターミネータに至るまで転写が進行してmRNAが産生される。mRNAは宿主の翻訳メカニズムによって翻訳されることとなるが、この発現ユニットにおいては遺伝子A及び遺伝子Bともに翻訳されることとなる。
遺伝子A及び遺伝子Bとしては、特に限定されないが、例えば、二量体構造をとるタンパク質のサブユニットをコードする遺伝子を挙げることができる。これにより、ポリシストロニック遺伝子発現系を有しない宿主内で、二量体構造を有するタンパク質の発現系を確立することができる。また、遺伝子A又は遺伝子Bの一方をレポーター遺伝子とする場合には、このレポーター遺伝子の発現がある宿主のみを選択することで、他方の遺伝子が発現している形質転換細胞を効率的に選択することができる。さらには、遺伝子Bとターミネータとの間に(IRES+遺伝子)のユニットを一以上挿入することにより、三量体以上のタンパク質を宿主に産生させることも可能である。
なお、発現ユニットに含まれるプロモーターとしては、特に限定されないが、例えば組織特異的に発現制御するプロモーターや、何らかの刺激に応答して発現制御するプロモーターを使用することによって、組織特異的なポリシストロニック遺伝子発現系や、刺激応答性のポリシストロニック遺伝子発現系を構築することができる。
特に、発現ユニットに、上記「1−1.本発明に係るDNA」で説明した(a)及び/又は(b)のDNAを用いる場合、これらDNAを複数繰り返して連結してIRESを構成することが好ましい。繰り返し回数としては、2〜15回であることが好ましく、5〜10回であることがより好ましく、7〜10回であることが更に好ましい。
更に、上記「1−1.本発明に係るDNA」で説明した(a)及び/又は(b)のDNAを複数繰り返して連結する場合、隣接する(a)及び/又は(b)のDNAの間にはスペーサー配列を挿入せずに、隣接する(a)及び/又は(b)のDNAを直接連結することが好ましい。発現ユニットにおいて隣接する(a)及び/又は(b)のDNAを直接連結したIRESを含む場合には、隣接する(a)及び/又は(b)のDNAの間にはスペーサー配列を挿入した場合と比較して、より優れた制御能を示すこととなる。
なお、発現ユニットに、上記「1−2.本発明に係るDNA」及び「1−3.本発明に係るDNA」で説明した(a)及び/又は(b)のDNAを用いる場合、これらのDNA単独でIRESを構成することができる。
なお、発現ユニットは、IRESとその下流に位置する遺伝子とを一組の単位とした場合、複数の単位を有するものであっても良い。この場合、各単位に含まれる遺伝子を発現させることができる。
ここで、発現ユニットに含まれる遺伝子(例えば、図2における「遺伝子A」及び「遺伝子B」)としては、特に限定されないが、例えば、β-グルクロニダーゼをコードするGUS遺伝子、ルシフェラーゼをコードするLuc遺伝子、グリーンフルオレセイントプロテインをコードするGFP遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、光形態形成制御タンパク質をコードするhy5遺伝子、抗体をコードするIgG遺伝子等を挙げることができる。
3.トランスジェニック植物
上記「2.発現ユニット」で説明した発現ユニット、又は当該発現ユニットを含む組換えベクターを構築し、この発現ユニット又は組換えベクターを用いて植物細胞を形質転換し、形質転換植物細胞を定法に従って植物体に成長させることによって、トランスジェニック植物を作出することができる。
発現ユニット又は組換えベクターを用いた場合、形質転換細胞及びトランスジェニック植物において、IRES及びその下流に位置する遺伝子が挿入された遺伝子の読み枠がずれている場合であっても、IRESの下流に位置する遺伝子が翻訳されることとなる。したがって、本発明に係る発現ユニットを使用することによって、形質転換細胞及びトランスジェニック植物における遺伝子発現を効率よく調べることができる。
組換えベクターは、適当なベクターに発現ユニットを連結(挿入)することにより得ることができる。或いは、適当なベクターの好適な位置にて、上述した発現ユニットを構築することで組換えベクターを得ることができる。使用可能なベクターとしては、宿主中で複製可能なものであれば特に限定されず、例えば、プラスミドDNA、ファージDNA等が挙げられる。
プラスミドDNAとしては、大腸菌由来のプラスミド(例えばpBR322、pBR325、pUC118、pUC119、pUC18、pUC19、pBluescript等)、枯草菌由来のプラスミド(例えばpUB110、pTP5等)、酵母由来のプラスミド(例えばYEp13、YCp50等)などが挙げられ、ファージDNAとしてはλファージ(Charon4A、Charon21A、EMBL3、EMBL4、λgt10、λgt11、λZAP等)が挙げられる。さらに、レトロウイルス又はワクシニアウイルスなどの動物ウイルス、バキュロウイルスなどの昆虫ウイルスベクターを用いることもできる。
ベクターに発現ユニットを挿入するには、まず、発現ユニットを有する精製されたDNAを適当な制限酵素で切断し、適当なベクターの制限酵素部位又はマルチクローニングサイトに挿入する方法などが採用される。なお、組換えベクターには、発現ユニットの他、所望によりプロモーター、エンハンサー等のシスエレメント、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル及び選択マーカー等を連結することができる。なお、選択マーカーとしては、例えばジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子等が挙げられる。
形質転換体は、上述した組換えベクターを、発現ユニットに含まれる遺伝子が発現し得るように宿主中に導入することにより得ることができる。形質転換の対象となる植物は、植物体全体、植物器官(例えば葉、花弁、茎、根、種子等)、植物組織(例えば表皮、師部、柔組織、木部、維管束等)又は植物培養細胞のいずれをも意味するものである。形質転換に用いられる植物としては、アブラナ科、イネ科、ナス科、マメ科等に属する植物(下記参照)が挙げられるが、これらの植物に限定されるものではない。
ナス科:タバコ(Nicotiana tabacum)、ジャガイモ(Solanum tuberosum)
イネ科:トウモロコシ(Zea mays) 、イネ(Oryza sativa)
アオイ科:ワタ(Gossypium hirsutum) 、オクラ(Abelmoscus esculentum)
アブラナ科:シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、ナタネ(Brassica napus)
キク科:ヒマワリ(Helianthus annuus) 、キク(Crysanthimum indicum)
ゴマ科:ゴマ(Sesame indica) 、ヒマ(Ricinus communis)
モクセイ科:オリーブ(Olea europaea) 、
フトモモ科:ユーカリ(Eucalyptus globulus)、グアバ(Psidium guava)
バラ科:バラ(Rosa sinnis)
ツバキ科:ツバキ(Camellia japonica)
マメ科:レンゲソウ(Astragalus sinicus)、ダイズ(Glycine max)
ヤシ科:ココナツ(Cocos nucifera)
アオギリ科:カカオ(Theobroma cacao)
アカネ科:コーヒーの木(Coffea arabica)
上記組換えベクターは、通常の形質転換方法、例えば電気穿孔法(エレクトロポレーション法)、アグロバクテリウム法、パーティクルガン法、PEG法等によって植物中に導入することができる。例えば、エレクトロポレーション法を用いる場合、パルスコントローラーを備えたエレクトロポレーション装置により、電圧500〜600V、1000μF、20msecの条件で処理し、上記組換えベクターを宿主に導入する。アグロバクテリウム法を用いる場合は、構築した植物用発現ベクターを適当なアグロバクテリウム、例えばアグロバクテリウム・チュメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)に導入し、この株をバキュームインフィルトレーション法(Bechtold et al. (1993) C. R. Acad. Sci. Ser. III Sci. Vie, 316, 1194-1199)等に従って宿主の無菌培養葉片に感染させ、形質転換植物を得ることができる。また、パーティクルガン法を用いる場合は、植物体、植物器官、植物組織自体をそのまま使用してもよく、切片を調製した後に使用してもよく、プロトプラストを調製して使用してもよい。このように調製した試料を遺伝子導入装置(例えばBIOLISTIC POS 1000/He; BioRad等)を用いて処理することができる。処理条件は植物又は試料により異なるが、通常は1000〜1100psi程度の圧力、5〜10cm程度の距離で行う。
形質転換の結果得られる腫瘍組織やシュート、毛状根などは、そのまま細胞培養、組織培養又は器官培養に用いることが可能であり、また従来知られている植物組織培養法を用い、適当な濃度の植物ホルモン(オーキシン、サイトカイニン、ジベレリン、アブシジン酸、エチレン、ブラシノライド等)の投与などにより植物体に再生させることができる。
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明の技術範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
先ず、発現ユニットを有する発現ベクターを以下のように構築した。なお、本例で用いた発現ユニットを図3に模式的に示す。なお、図3中、「P35S」はCaMV 35Sプロモーターであり、「RLUC」はウミシイタケ由来のルシフェラーゼをコードする遺伝子であり、「LUC」は蛍由来のルシフェラーゼをコードする遺伝子であり、「T3A」はターミネータ配列である。
また、本例では、IRESとして、配列番号1の塩基配列をスペーサー配列を介して10回繰り返したものと、配列番号1の塩基配列をスペーサー配列を介さずに直接10回繰り返したものと、配列番号2の塩基配列からなるものと、配列番号4の塩基配列からなるものとを準備した。なお、スペーサー配列は、配列番号1の塩基配列の上流に「CAT」、下流に「TTCTGA」とした。
植物内で遺伝子発現に用いるベクターはpPZP200を元に作製した。pPZP200はHajdukiewicz, P.らによって発表(Hajdukiewicz, P., Svab, Z. and Maliga, P. (1994) The small, versatile pPZP family of Agrobacterium binary vectors for plant transformation. Plant Mol Biol 25, 989-994)された、アグロバクテリウムを介して植物の染色体に遺伝子を組み替えることができるベクターである。pPZP200のマルチクローニングサイト内のHindlllサイトに「P35S」と「RLUC」を、次にKpnI、EcoRIサイトにカナマイシン耐性遺伝子とノパリン合成遺伝子のプロモーターとターミネータを、次にBamHI、KpnIサイトに「LUC」「T3A」を、最後にSalI、BamHIサイトにIRESとして活性を有する配列を挿入した。ここで用いた「P35S」はJefferson, R.A.らによって発表(Jefferson, R.A., Kavanagh, T.A. and Bevan, M.W. (1987) GUS fusions: β-glucuronidase as a sensitive and versatile gene fusion marker in higher plants. EMBO J. 6, 3901-3907)されたpBI221を鋳型にしてPCRすることで増幅できる配列である。「RLUC」はPromega社によって販売されているpRL-TKを鋳型にしてPCRすることで増幅できる配列である。カナマイシン耐性遺伝子とノパリン合成遺伝子のプロモーターとターミネータはDavid A. Frischらによって発表(David A.F., Larry W.H., Nathaniel, T.Y., Terry, L.T., Susan, H.H. and Timothy, C.H.(1995) Complete Sequence of the binary vector Bin19. Plant Mol Biol 27, 405-409)されたBin19を鋳型にしてPCRすることで増幅できる配列である。「LUC」、「T3A」はKimura, M.らによって発表(Kimura, M., Yoshizumi, T., Manabe, T., Yamamoto, Y.Y. and Matsui, M. (2001) Arabidopsis transcriptional regulation by light stress via hydrogen peroxide-dependent and -independent pathways. Genes Cells, 6, 607-617)されたyy211を鋳型にしてPCRすることで増幅できる配列である。IRESとして使った配列はSIGMA genosys社などによって化学合成したものを得ることができる。
なお、比較のためのIRESを有しない発現ベクターとして、CaMV 35Sプロモーターの下流に蛍由来のルシフェラーゼをコードする遺伝子及びターミネータ配列を連結したものと、CaMV 35Sプロモーターの下流にウミシイタケ由来のルシフェラーゼをコードする遺伝子、蛍由来のルシフェラーゼをコードする遺伝子及びターミネータ配列をこの順で連結したものとを準備した。また、比較のため、哺乳類細胞及びタバコにおいてIRESとして機能することが知られているECMV(Plant J. 24, 583-589 参照)を有する発現ベクターとして、CaMV 35Sプロモーターの下流にウミシイタケ由来のルシフェラーゼをコードする遺伝子、ECMV、蛍由来のルシフェラーゼをコードする遺伝子及びターミネータ配列をこの順で連結したものを準備した。
〔実施例2〕
実施例1で調製した発現ベクターを用いて、以下のようにしてトランスジェニック植物を作出した。
先ず、pPZP200を元に作成した上記の発現ベクターをアグロバクテリウム感染によるDipping法を参考に形質転換体を作製した。Dipping法はClough S.J.らによって紹介(Clough, S.J. and Bent, A.F. (1998) Floral dip: a simplified method for Agrobacteriumu-mediated transformation of Arabidopisi thaliana. Plant J. 16(6) 735-743)された形質転換法である。
ここで、感染に用いるアグロバクテリウム(C58C1Rif系統)にはpPZP200のベクターを形質転換させた。なお、C58C1Rif系統は大隈が使用を報告(大隈照子(2001)アグロバクテリウム直接注入法、「新版 モデル植物の実験プロトコール105−108」)している系統である。当日までにLB培養液200mlにOD600が1.2〜1.5程度になるまで増殖させた。室温で集菌し、以下のDipping用溶液300mlに懸濁した。
感染に用いるアラビドプシス(Col系統)は感染日が抽台後1週間程度になるように栽培した。Col系統は、Sendai Arabidopsis Seed Stock Centerから入手可能である。
栽培したアラビドプシスの植物体を逆さまにして、Dipping溶液に花茎全体が接触するように浸漬した。30秒程度浸漬させた後、植物体を元通りにした。感染後、数日は袋で覆った状態を維持し、植物体の周囲の湿度を高く保った。その後、通常の環境で生育した。
約1月後、種を収穫した。収穫した種は、カナマイシン75μg/mlを含む寒天培地上で発芽させ、耐性個体のみを選択した。以上により図3の外来遺伝子を持つトランスジェニック植物が選択された。
Dipping溶液(組成)
0.044μM ベンジルアミノプリン
5% Sucrose
0.02% Silwet L-77
1/2 X MS塩
1/2 X Gamborg B5 ビタミン
0.5g/l MES
〔実施例3〕
実施例2で作出したトランスジェニック植物における、ウミシイタケ由来ルシフェラーゼ及び蛍由来ルシフェラーゼの蛍光量を、以下のように測定した。
すなわち、先ず、トランスジェニック植物の本葉1〜2枚に4℃で冷やしたPromega社のDual Luciferase Assay KitのPassive Lysis Bufferを1ml加えて緩やかに擂り潰した。擂り潰した溶液を4℃、17800gの条件で30分間遠心分離し、得られた上清を計測に用いた。
すなわち、上清のうち、20μlをPromega社のDual Luciferase Assay KitのLuciferase Assay Reagent II 100μlと混合した。ピペッティングによる混合後、Reagent溶液内に含まれる基質のルシフェリンとサンプル内の蛍由来のルシフェラーゼタンパク質の反応によって生じる発光をシンチレーションカウンターで速やかに計測した。計測後、混合サンプルに更にPromega社のDual Luciferase Assay KitのStop & Gloを100μl加えた。ボルテックスによる混合後、Reagent溶液内に含まれる基質のコエレンテラジンとサンプル内のウミシイタケ由来のルシフェラーゼタンパク質との反応によって生じる発光をシンチレーションカウンターで速やかに計測した。
実施例2で作出したトランスジェニック植物における、ウミシイタケ由来ルシフェラーゼ及び蛍由来ルシフェラーゼの蛍光量を測定した結果を図4に示す。なお、図4において、「18S NS-2」、「18S NS-15」、「18S NS-23」及び「18S NS-37」は、配列番号1の塩基配列をスペーサー配列を介さずに直接10回繰り返したものをIRESとした発現ベクターを用いて作出したトランスジェニック植物である。また、「18SS*7-5」、「18SS*7-15」、「18SS*7-20」及び「18SS*7-27」は、配列番号1の塩基配列をスペーサー配列を介して10回繰り返したものをIRESとした発現ベクターを用いて作出したトランスジェニック植物である。さらに、「MP3-T1a 30」及び「MP3-T1a 7」は、配列番号2の塩基配列をIRESとした発現ベクターを用いて作出したトランスジェニック植物である。さらにまた、「CP-1」、「CP-12」及び「CP-21」は、配列番号2の塩基配列をIRESとした発現ベクターを用いて作出したトランスジェニック植物である。
図4において、「Y289-3」は、比較例であり、CaMV 35Sプロモーターの下流にウミシイタケ由来のルシフェラーゼをコードする遺伝子、蛍由来のルシフェラーゼをコードする遺伝子及びターミネータ配列をこの順で連結した発現ベクターを用いて作出したトランスジェニック植物である。また、「y300-3」は、比較例であり、CaMV 35Sプロモーターの下流に蛍由来のルシフェラーゼをコードする遺伝子及びターミネータ配列をこの順で連結した発現ベクターを用いて作出したトランスジェニック植物である。また、「ECMV-3」、「ECMV-20」、「ECMV-26」及び「ECMV-30」は、CaMV 35Sプロモーターの下流にウミシイタケ由来のルシフェラーゼをコードする遺伝子、ECMV、蛍由来のルシフェラーゼをコードする遺伝子及びターミネータ配列をこの順で連結した発現ベクターを用いて作出したトランスジェニック植物である。
図4に示すように、配列番号1の塩基配列をスペーサー配列を介さずに直接10回繰り返したDNAをIRESとして使用した場合、IRESの下流に存する蛍由来ルシフェラーゼの蛍光量が飛躍的に増大しており、蛍由来ルシフェラーゼの翻訳効率を正に制御できることが明らかになった。また、配列番号3の塩基配列からなるDNAをIRESとして使用した場合にも、IRESの下流に存する蛍由来ルシフェラーゼの蛍光量が飛躍的に増大しており、蛍由来ルシフェラーゼの翻訳効率を正に制御できることが明らかになった。
一方、配列番号1の塩基配列をスペーサー配列を介して10回繰り返したDNAをIRESとして使用した場合、及び配列番号2の塩基配列からなるDNAをIRESとして用いた場合には、IRESの下流に存する蛍由来ルシフェラーゼの蛍光量が僅かに増大しており、蛍由来ルシフェラーゼ遺伝子の翻訳効率を僅かに正に制御できることを明らかとなった。
これに対して、ECMVをIRESとして使用した場合、IRESの下流に存する蛍由来ルシフェラーゼの蛍光量を増大させることはできなかった。
各種生物における18S rDNAの所定の領域を含む塩基配列を比較した図である。 本発明を適用した発現ベクターの構成を示す図である。 実施例1で使用した発現ベクターの構成を示す図である。 実施例2で作出したトランスジェニック植物における、ウミシイタケ由来ルシフェラーゼ及び蛍由来ルシフェラーゼの蛍光量を測定した結果を示す図である。

Claims (7)

  1. 植物内でIRES(internal ribosome entry site)として機能し、スペーサー配列を介さずに以下の(a)又は(b)のDNAを繰り返して連結してなるポリヌクレオチド。
    (a)配列番号1に示す塩基配列からなるDNA
    (b)配列番号1に示す塩基配列において1又は2の塩基が置換された塩基配列からなり、植物内で翻訳方向に向かって下流に配置された遺伝子の翻訳を正に調節する機能を有するDNA
  2. 上記(a)又は(b)のDNAの繰り返し回数が2〜15回であることを特徴とする請求項1記載のポリヌクレオチド。
  3. 少なくとも、遺伝子及び/又はプロモーターを更に含むことを特徴とする請求項1又は2記載のポリヌクレオチド。
  4. 請求項1乃至いずれか一項記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
  5. 請求項1乃至いずれか一項記載のポリヌクレオチド又は請求項記載のベクターにより形質転換された形質転換体。
  6. 請求項1乃至いずれか一項記載のポリヌクレオチドをゲノムに組み込んでなるトランスジェニック植物。
  7. 請求項1乃至いずれか一項記載のポリヌクレオチド又は請求項記載のベクターを構築する工程と、
    上記ポリヌクレオチド又は上記ベクターを植物由来宿主に形質転換する工程とを備え、
    形質転換された植物由来宿主内で、上記(a)又は(b)のDNAの下流に位置する遺伝子の翻訳を正に制御することを特徴とする植物内における遺伝子発現調節方法。
JP2004008025A 2004-01-15 2004-01-15 植物体内で機能するires Expired - Fee Related JP4481017B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004008025A JP4481017B2 (ja) 2004-01-15 2004-01-15 植物体内で機能するires
EP05703522.2A EP1712624B1 (en) 2004-01-15 2005-01-13 Ires functioning in plant
PCT/JP2005/000283 WO2005068631A1 (ja) 2004-01-15 2005-01-13 植物体内で機能するires
US10/586,052 US8772465B2 (en) 2004-01-15 2005-01-13 IRES functioning in plant

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004008025A JP4481017B2 (ja) 2004-01-15 2004-01-15 植物体内で機能するires

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005198562A JP2005198562A (ja) 2005-07-28
JP4481017B2 true JP4481017B2 (ja) 2010-06-16

Family

ID=34792206

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004008025A Expired - Fee Related JP4481017B2 (ja) 2004-01-15 2004-01-15 植物体内で機能するires

Country Status (4)

Country Link
US (1) US8772465B2 (ja)
EP (1) EP1712624B1 (ja)
JP (1) JP4481017B2 (ja)
WO (1) WO2005068631A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9879271B2 (en) * 2014-01-09 2018-01-30 Wisconsin Alumni Research Foundation IRES elements for expression of polypeptides and methods of using the same

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5906961A (en) 1997-05-29 1999-05-25 Helena Chemical Company Alkanolamide spreader-sticker surfactant combination
EP1033405A3 (en) 1999-02-25 2001-08-01 Ceres Incorporated Sequence-determined DNA fragments and corresponding polypeptides encoded thereby
US20040031072A1 (en) * 1999-05-06 2004-02-12 La Rosa Thomas J. Soy nucleic acid molecules and other molecules associated with transcription plants and uses thereof for plant improvement
AU2001242360A1 (en) 2000-02-10 2001-08-20 Vlaams Interuniversitair Instituut Voor Biotechnologie Vzw Plant internal ribosome entry segment
DE10049587A1 (de) * 2000-10-06 2002-05-02 Icon Genetics Ag Vektorsystem für Pflanzen
DE10109354A1 (de) * 2001-02-27 2002-09-05 Icon Genetics Ag Rekombinante virale Schaltersysteme
JP4384414B2 (ja) 2001-04-17 2009-12-16 アイコン・ジェネティクス,インコーポレイテッド 植物におけるジーントラップが可能とするires
CN1533438A (zh) 2001-06-08 2004-09-29 �����Ŵ��Ƽ���˾ 在植物生产蛋白质的方法
JP2005510207A (ja) * 2001-07-27 2005-04-21 イコン ジェネティクス インコーポレイティッド 人及び動物の治療用又は診断用タンパク質を製造するための、アラビドプシスの工業的利用
JP2003070477A (ja) * 2001-09-04 2003-03-11 Inst Of Physical & Chemical Res 新規植物遺伝子トラップ用ベクターおよびこれを利用した植物遺伝子トラップ

Also Published As

Publication number Publication date
WO2005068631A1 (ja) 2005-07-28
EP1712624A1 (en) 2006-10-18
US20080057581A1 (en) 2008-03-06
US8772465B2 (en) 2014-07-08
EP1712624A4 (en) 2008-04-02
JP2005198562A (ja) 2005-07-28
EP1712624B1 (en) 2014-07-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3829200B2 (ja) 転写抑制遺伝子及びペプチド
RU2714724C2 (ru) Конститутивные промоторы сои
JP4312012B2 (ja) パラコート(登録商標)耐性遺伝子並びに維管束及びトライコーム特異的プロモーター
US20150128304A1 (en) Plant Body Showing Improved Resistance Against Environmental Stress and Method for Producing Same
AU781259B2 (en) Methods for increasing plant cell proliferation by functionally inhibiting a plant cyclin inhibitor gene
JP4481017B2 (ja) 植物体内で機能するires
CA2404471C (en) A construct capable of release in closed circular form from a larger nucleotide sequence permitting site specific expression and/or developmentally regulated expression of selected genetic sequences
CA2350186A1 (en) Promoters for gene expression in the roots of plants
JPH08508649A (ja) 遺伝安定化エレメント
WO2008047950A1 (fr) Promoteur répondant au stress environnemental, et expression génétique à spécificité tissulaire utilisant ce promoteur
KR100859988B1 (ko) 지상부 특이적 프로모터 및 이를 이용한 목적 단백질의지상부 특이적 발현 방법
ES2336550T3 (es) Elementos de regulacion favorables a la inflorescencia precoz y sus usos.
JP4452823B2 (ja) カルス及び種子胚特異的発現活性を有するプロモーター
US7238864B2 (en) Acetolactate synthase gene promoter
JP4474540B2 (ja) シュート維管束特異的発現プロモーター
JP4474542B2 (ja) 構成的発現プロモーター
JP4919305B2 (ja) 葉特異的発現活性を有するプロモーター
KR101680279B1 (ko) 뿌리 특이적 BrCLP28 프로모터
JP4474541B2 (ja) 維管束特異的発現プロモーター
WO2003064649A1 (fr) Promoteur exprimant un gene etranger dans une racine ou l'apex d'une pousse
KR101680281B1 (ko) 뿌리 특이적 BrCBL8 프로모터
KR101756179B1 (ko) 식물체의 비대 성장을 조절하는 asl9 유전자 및 이의 용도
JP4505627B2 (ja) 緑色組織特異的発現活性を有するプロモーター
JP4505628B2 (ja) 葉特異的発現活性を有するプロモーター
KR20240128182A (ko) 벼 유전자 유래 화분 특이적 발현 프로모터 및 이의 용도

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061219

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090929

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091126

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100309

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100317

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130326

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160326

Year of fee payment: 6

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees