(A)実施形態
以下、本発明にかかる開閉システムを、シャッターの遠隔操作システムに適用した場合を例に、実施形態について説明する。
一般に当該遠隔操作システムには、有線リモコンシステム、前記無線リモコンシステム、およびこれらを混合した混合システムがある。
ここで、有線リモコンシステムとは、シャッターシステムを構成要素として含むリモコンシステムであって、有線通信によってシャッター動作を行うものであり、無線リモコンシステムとは、シャッターシステムを構成要素として含むリモコンシステムであって、無線通信によってシャッター動作を行うものである。
一般に、遠くから離れた不特定の位置からシャッター動作を行うことができ、使い勝手が良いという点では無線リモコンシステムが有利であり、通信の信頼性の点や、常に特定の位置でシャッター動作を指定したい場合などには、有線リモコンシステムが向いている。
また、同じシャッターシステムを有線でも無線でも制御できると、融通性に富み、ユーザの都合によりどちらの方法を取ることも可能となる。したがって実際のリモコンシステムは、これら無線リモコンシステムと有線リモコンシステムの特徴を混合した混合システムとすることも少なくない。本実施形態でも、この混合システムを用いるものとする。
ただし本実施形態では、シャッター動作を指示するためだけでなく、リモコン送信機を携帯したユーザの個人情報をリモコン受信機が取得する場合などにも通信が必要となる。この通信に有線通信を用いることも可能であるが、ユーザの利便性を重視した場合、無線通信を用いたほうが有利である。有線通信の場合には、リモコン送信機とリモコン受信機のあいだで有線伝送路を接続するために、コネクタの装着などの煩わしい操作が必要になるが、無線通信の場合には不要だからである。したがって以下の説明では、主として無線通信を用いることを前提として説明を行う。
(A−1)実施形態の構成
本実施形態にかかる遠隔操作システム10の全体構成例を図2に示す。
図2において、当該遠隔操作システム10は、後で詳述する記憶処理装置11と、3つのリモコン送信機12、12A、12Bと、スラットシャッター13と、固定操作部(操作盤)14と、当該スラットシャッター13によって開閉される開口部15と、ガイドレールGRと、シャッターケースSC1とを備えている。
このうちスラットシャッター13は、ポリエステルなどの軽い素材によって構成されたシート状のカーテン部を主体とするシートシャッター等に置き換えることも可能であるが、ここではスラットシャッターを用いるものとする。スラットシャッターは、鉄などの金属を主体として構成された多数のスラットを備える頑健なシャッターで、防災や防犯などの用途に利用され得る。
図2中では、壁WLに設けられたガイドレールGRに沿って矢印D1方向(下方向)に下端部13Aが移動する閉動作によってシャッター13が閉鎖され、反対に矢印D2方向(上方向)に移動する開動作によって開放される。なお、図2に示した状態では、シャッター13が完全閉鎖と完全開放の中間位置にある。
前記開口部15の高さを示すHT1の上端位置にシャッター13の下端部13Aが移動した状態が完全開放状態であり、反対に、HT1の下端位置に当該下端部13Aが移動した状態が完全閉鎖状態である。
シャッター13が開動作や閉動作を行う際の動力源となるのが、シャッターケースSC1内に設けられたモータM1である。
3つのリモコン送信機12〜12Bは操作するユーザが異なるだけで機能は同じである。リモコン送信機12はユーザU1が携帯して操作し、リモコン送信機12AはユーザU2が携帯して操作し、リモコン送信機12BはユーザU3が携帯して操作する。本実施形態において各リモコン送信機12〜12Bは、いわゆる非接触ICカードとしても利用できるものであり、その携帯者に関する各種の個人情報を格納できるものであるため、ユーザ間の貸し借りが行われたり、共用されたりすることはなく、本人だけが携帯し使用するものである。
また、後述する送信機IDとして、リモコン送信機12にはID1が記憶され、リモコン送信機12AにはID2が記憶され、リモコン送信機12BにはID3が記憶されている。
以下では主として、ユーザU1と、ユーザU1が使用するリモコン送信機12に注目して説明する。
シャッター13の開閉動作などを指示するユーザU1は、リモコン送信機12を用いる以外に、壁WLに固定的に設置された固定操作部14を操作することによっても、所望の動作(必要に応じて、前記中間位置の変更なども含む)を指示し、実行させることができる。
シャッター13は閉動作されるとき、前記シャッターケースSC1内に設けられた巻き取りシャフト(図示せず)に巻き取られて行き、反対に、開動作されるときには、当該巻き取りシャフトから離れて展開しガイドレールGRに規定される軌道にしたがって下方へ進出する。前記記憶処理装置11も、当該シャッターケースSC1の内部に配置されている。
前記リモコン送信機12は、例えば、図3に示すような外観を備えている。当該リモコン送信機12は、携帯性に富み、ユーザU1の手の平に収まる程度にコンパクトなパームサイズの送信機である。このようにコンパクトな本体12DY内にすべての機能を収容するため、当該リモコン送信機12の機能は極限まで節約する必要がある。
図3において、リモコン送信機12の本体12DYはその上面から突出したPBS(プッシュ・ボタン・スイッチ)形式の3つの操作スイッチ51〜53を備えている。これら操作スイッチ51〜53は、シャッター動作(一般的には、開閉体の開、閉、停などの動作)を行わせ得るシャッター操作スイッチである。
本実施形態では、当該シャッター操作スイッチ51〜53のうち、シャッター操作スイッチ51は、シャッター13の開動作を行わせるための開動作スイッチで、シャッター操作スイッチ52はシャッター13の閉動作を行わせるための閉動作スイッチで、シャッター操作スイッチ53はシャッター13の開動作または閉動作を任意のタイミングで停止させるための停止スイッチである。
なお、各操作スイッチ51〜53の機能として例えば、閉動作スイッチ52と停止スイッチ53を同時に短く(例えば3秒以内)押すことによって、所定の中間位置(中間停止位置)までの開動作および閉動作(すなわち中間停止動作)を指示できるようにすること等も望ましい。
必要に応じて、これらの操作スイッチ51〜53の操作を52,53以外の組合せにしたがって組み合わせることにより、もっと複雑な動作を行わせることも可能である。一例として、換気動作(完全閉鎖状態にあるとき、スラットシャッター13上で隣接するスラット間に設けられた開口の大きさを制御することによりシャッター13の内外(すなわち、SP1側とSP2側)の空気が流通し得ない状態から流通し得る状態へ移行する動作)などが、当該複雑な動作に該当する。
当該リモコン送信機12の内部構成例は図4に示す。上述したように、機能が当該リモコン送信機12と同じリモコン送信機12A、12Bの内部構成も、これと同じであってよいことは当然である。
(A−1−1)リモコン送信機の内部構成例
図4において、当該リモコン送信機12は、無線送信部54と、送信処理部55と、プロセッサ56と、手順記憶部57と、操作検出部58と、操作応答部59と、無線受信部60と、受信処理部61と、ポーリング対応部62と、ユーザ情報記憶部63とを備え、前記操作スイッチ51〜53は、当該操作検出部58に設けられている。
このうち無線送信部54は、図2に示した無線伝送路としての空間TRを介してリモコン受信機を構成する記憶処理装置11内の後述する無線受信部41(図1参照)に対向する部分で、送信処理部55から所定の信号線を介して受け取った送信信号WSに対応した無線信号WL1またはWL21を無線送信する。そのために、当該無線送信部54は、送信用のアンテナシステムやフィルタ回路などを備えている。当該無線信号WL1およびWL21は、周波数帯域が例えば、300MHzや400MHz程度で、送信電力が例えば1mW程度の微弱な電波であってよい。
この場合、無線信号WL1やWL21がリモコン受信機11側に有効に受信されて通信が成立する距離(通信可能距離)は、例えば、10メートル程度である。この距離は、周辺の電波環境や送信データレートなどに依存して変動し得るが、リモコン受信機11にとっては、有効に無線信号WL1,WL21を受信することができたと判定(伝送誤りに関する判定など)した時点のリモコン送信機12までの距離が、この通信可能距離にあたるということであり、通信可能距離が変動すること自体は、本実施形態において、何ら問題ではない。通常、非接触ICカードなどの場合、かろうじて接触していない程度の位置(通信可能距離にして、例えば、数センチメートル程度)から無線送信(磁場などを用いるものもある)するものが少なくないが、当該リモコン送信機12はこのように10メートル程度の通信可能距離を持っている。
また、前記送信処理部55は符号化処理や変調処理などの必要な処理を実行する機能を備え、プロセッサ56から供給される送信処理信号RPに応じて、生成する送信信号WSの内容を変化させる。
リモコン送信機12の場合、当該送信信号WSの内容は、例えば、指定するシャッター動作や、送信機ID登録操作、送信する個人情報の内容などの種類に応じて決定される有限個であるので、送信する情報の発生源(この発生源は、例えばROM(リードオンリーメモリ)などであってよい)も送信処理部55の内部に存在し、前記送信処理信号RPに応じて当該発生源のなかから1つの送信情報を選択して読み出す構成であってもよい。
ここで、送信機IDとは、使用する周波数帯域などが同じであるためにリモコン受信機である記憶処理装置11が混同する可能性のあるリモコン送信機(12だけでなく、12B、12Cおよび、近傍で使用されている他の同種のリモコン送信機を含む)を一義的に識別し、真に当該記憶処理装置11に対して無線送信することのできるユーザ(ここでは、U1)のリモコン送信機から送信された無線信号WL1だけに基づいて、シャッター13の動作等を行うために使用される識別子である。そのため、リモコン送信機12には無線送信するたびに無線信号WL1のなかに当該送信機IDを収容する証明機構が必要であり、記憶処理装置11には当該送信機IDを識別し、ユーザ認証(または端末認証)を行うための検証機構が必要である。ここで、証明機構には、後述するユーザ情報記憶部63(図4参照)などが、検証機構には、検証制御部24(図1参照)などが該当し得る。
特に、スラットシャッター13を防犯用に利用する場合などには、厳密にユーザを特定し、厳格なユーザ認証を行う必要性は高い。
なお、具体的には、当該送信機IDとして、例えば、10進数表示で10桁程度の数字列や、同程度の文字列を用いることができる。
本実施形態の場合、後述するログ記録データベース29(図1参照)に正確な記録を残すため、正当なユーザであるU1〜U3のあいだでも、誰がシャッター動作を指示したのかを正確に特定しておく必要がある。そのために、当該送信機IDを利用することもできるが、その他の個人情報(送信機IDも個人情報の1つである)を利用することもできる。
無線信号WL21にどのような情報を収容するかに関しては様々な変形が可能であるが、ここでは、無線信号WL21のなかに、当該送信機IDとともに、ユーザU1に関する各種の個人情報を収容するものとする。
この各種の個人情報としても様々な情報を用いることができるが、1つの情報で、または複数の情報を組み合わせることによって、ユーザをグローバルな範囲で一意に特定できる必要がある。例えば、住所、氏名、電話番号などの情報を組み合わせれば、通常、各ユーザをグローバルな範囲で一意に特定することができる。
送信機ID自体もグローバルな範囲で一意な個人情報であるが、送信機IDは広く社会的に通用している識別情報ではなく、送信機IDだけで現実のユーザを特定したり、そのユーザに連絡を取ったりすることは難しい。通常、現実のユーザと送信機IDの対応関係を知ることが困難だからである。そこで、無線信号WL21に送信機ID以外の各種の個人情報を収容することが必要になる。
なお、あるユーザに関する送信機ID以外の各種の個人情報と、送信機IDの対応関係を記憶処理装置11内に登録しておけば、無線信号WL21には送信機IDだけを収容する構成とすることも可能である。ただし個人情報のなかには動的または静的に変動する情報(例えば、住所、電話番号など)もあるため、ここでは、無線信号WL21に送信機ID以外の個人情報を収容する構成とした。
本実施形態のリモコン送信機12は、遠隔操作システム10の外部でも通常の非接触ICカードとして利用され得るため、遠隔操作システム10の外部において、このような個人情報の変動に応じた個人情報PF(図4参照)の書き換えを行うことが可能である。
前記送信処理部55に送信処理信号RPを出力するプロセッサ56は、当該リモコン送信機12のCPU(中央処理装置)である。
機能が極限まで節約されたリモコン送信機12を操作するユーザU1にとって唯一の遠隔操作手段である上述した3つの操作スイッチ51〜53を設けた操作検出部58は、各操作スイッチ51〜53について、その押し下げストロークが所定の長さに達すると操作検出信号PB1、PB2を出力する部分である。
操作検出信号PB1は押し下げを検出した操作スイッチに応じて異なる状態をとり、その操作手順は手順記憶部57に一時的に記憶される。
手順記憶部57は一時記憶している手順がどのような操作または入力データを指定しているかを判定して、その判定結果である判定信号DSをプロセッサ56に供給する部分である。
前記操作検出信号PB1が前記手順記憶部57に供給されるのと同時に操作応答部59に供給される操作検出信号PB2も、当該PB1と同様に、押し下げを検出した操作スイッチに応じて異なる状態をとるようにしてもよいが、本実施形態では、操作スイッチ51〜53を区別せず、同じ状態をとるものとする。
当該操作検出信号PB2を受け取った操作応答部59は、ブザーなどの音響発生器であり、操作スイッチ51〜53の押し下げが有効に検出されたことをユーザU1に伝えるために応答出力RAを出力する部分である。本実施形態では、操作スイッチ51〜53を区別しないので、いずれかの操作スイッチが十分に押し下げられると、一定音程、一定音色のブザー音が応答出力RAとしてユーザU1に聴取されることになる。これにより、ユーザU1は、聴覚的にスイッチ操作の有効性を確認することができる。
例えば、豊富なユーザインタフェースを備えるパーソナルコンピュータなどと異なり、高度な携帯性が求められるリモコン送信機12は、そのボディサイズを小さくするためにも機能を節約することが必要なので、どのようにして小規模な構成で効率的にユーザの操作がマシン(ここではリモコン送信機12)に認識されたことをユーザに伝えるかは、重要になる。
なおここでは、操作応答部59の応答出力RAを一定音程、一定音色のブザー音としたが、必要ならば、押し下げられた操作スイッチ51〜53または同時に押し下げられた操作スイッチの組合せに応じて音程や音色などを変化させるようにしてもよい。また、音響発生器による聴覚的な手段にかぎらず、LED(発光ダイオード)等の発光素子などを使用して、視覚的な手段で操作スイッチの操作が有効に検出されたことをユーザU1に伝えるようにしてもよく、視覚的な手段と聴覚的な手段を併用してもよい。
無線受信部60は受信用のアンテナシステム、フィルタ回路、電力増幅器などを備え、前記記憶処理装置11が無線送信した無線信号WL22を受信する部分で、受信した無線信号WL22に応じて受信信号WSを出力する。この無線信号WL22は、近傍に位置するリモコン送信機(ここでは、12)に対してポーリングをかけるために記憶処理装置11が送信する信号である。ポーリングは、送信したい情報を送信するように促す制御である。また、上述した無線信号WL22は、この無線信号(ポール信号)WL21によるポーリングに応えて、リモコン送信機12が記憶している各種の個人情報(送信機IDを含む)PFを記憶処理装置11へ届けるための信号である。
リモコン送信機12内でこのポーリングに対応する処理を実行するのが、前記ポーリング対応部62である。
なお、無線信号WL1,WL21,WL22の送信電力の大きさや、使用する周波数帯をどのように決めるかに関しては様々な方法が可能であるが、ここでは、すべて同じ値の送信電力、同じ周波数帯を用いるものとする。周波数資源に限りがあること等を考慮すると、現実の実装でも、無線信号WL1,WL21,WL22に同じ周波数帯を利用することになる可能性は小さくない。また、送信電力の値が同じで、記憶処理装置11から送信する際の無線信号WL22の送信電力と、リモコン送信機12が送信する際の無線信号W1、W21の送信電力が同じとなれば、通信可能距離は、無線信号WL1,WL21,WL22のすべてについてほぼ同じになる。
このようにしておけば、前記無線信号(ポール信号)WL22が届く位置にリモコン送信機12が位置するときには、リモコン送信機12が送信した無線信号WL21やWL1が記憶処理装置11まで届くので、搭載している電源(通常、ボタン電池などを用いる)に限りがあるリモコン送信機11が無駄な無線送信を行うことがなくなり、消費電力を節約できる。
ポーリングを行わない構成を取ることもできるが、その場合には、ユーザU1の判断で前記無線信号WL21を送信するタイミングを決めることになる。ただし、上述したように、通信可能距離は周辺の電波環境などに応じて変動し、変動した通信可能距離をリアルタイムでユーザU1が認識する手段はないことを考慮すると、ユーザU1が無線信号WL21を送信したつもりでも実際には記憶処理装置11まで届いていない等の不都合が発生する可能性があるので、ポーリングを利用することは効率的である。
前記受信処理部61は、前記送信処理部55(厳密には、記憶処理装置11内の送信処理部26(図1参照))と対称的な復号処理や復調処理などの必要な処理を実行する機能を備えた部分で、無線受信部60から供給を受けた前記受信信号WSに応じた受信処理信号RPをプロセッサ56に出力する。
ユーザ情報記憶部63は、ユーザU1に関する前記各種の個人情報PFを記憶している部分である。上述したように、この個人情報は、前記送信処理部55内のROMなどに格納しておくこともできるが、当該ROMへの格納を行わない場合に当該ユーザ情報記憶部63が必要になる。
当該ユーザ情報記憶部63を設ける構成では、前記無線信号WL22に応じてポーリング対応部62が機能し前記無線信号WL21を送信するときには、プロセッサ56が当該ユーザ情報記憶部63から個人情報PFを読み出して送信処理部55に渡し、当該個人情報PFを含む無線信号WL21の無線送信を可能とする。
また、当該ユーザ情報記憶部63に記憶する個人情報PFに含まれる当該リモコン送信機12の送信機ID(これを、ID1とする)は、無線信号WL21を送信する場合だけでなく、前記無線信号WL1を送信する場合にも当該無線信号内に収容される。
なお、前記住所、電話番号などの個人情報PFが変動した場合には、当該個人情報PFの書き換えが行われ得る。この書き換えは、上述したように、当該リモコン送信機12を汎用性のある非接触ICカードとして利用したとき、遠隔操作システム10の外部において実行されるものであってよい。
リモコン送信機12を非接触ICカードとして利用する場合、無線受信部60や無線送信部54などを用いた無線通信を行うようにしてもよいが、それ以外の図示しない無線通信機能(例えば、磁場などを利用する通信機能)をリモコン送信機12に搭載するようにしてもよい。リモコン送信機12のユーザ情報記憶部63に記憶されている個人情報PFは、前記送信機IDであるID1を除き、この無線通信機能により、非接触ICカードのリーダに送信したり、ライターから受信したりするものであってよい。このような送信や受信により、ユーザ情報記憶部63内に記憶されている個人情報PFの書き換えが行われ得る。
このようなリモコン送信機12とのあいだで、無線信号WL22、WL1、WL21を用いた通信を行う記憶処理装置(すなわち、リモコン受信機)11の主要部の構成例は、図1に示す通りである。記憶処理装置11は、シャッター動作の指示などを行うための無線信号WL1に関しては、受信専用の通信装置であるが、そのほかに、無線信号WL21の受信と無線信号WL22の送信を行うことは、すでに説明した通りである。
(A−1−2)記憶処理装置の内部構成例
図1において、当該記憶処理装置11は、指示モード記憶部19と、動作状態記憶部20と、ポーリング対応部21と、バイオメトリクス認証部22と、シャッター制御部23と、検証制御部24と、無線送信部25と、送信処理部26と、配布プログラム記憶部27と、ユーザ管理データベース28と、ログ記録データベース29と、タイマ部30と、有効時間記憶部31と、無線受信部41と、受信処理部42と、前記固定操作部14とを備えている。
このうち無線送信部25は前記無線送信部54に対応し、送信処理部26は前記送信処理部55に対応し、無線受信部41は前記無線受信部60に対応し、受信処理部42は前記受信処理部61に対応し、ポーリング対応部21は前記ポーリング対応部62に対応するので、その詳しい説明は省略する。
ただし無線送信部25および送信処理部26は、前記無線信号WL22を送信するための構成要素であり、無線受信部41および受信処理部42は、前記無線信号WL1とWL21を受信するための構成要素である。
また、リモコン送信機12内の前記ポーリング対応部62はポーリングに応える側であったが、記憶処理装置11内の当該ポーリング対応部21は、無線信号(ポール信号)WL22を送ってポーリングをかける側である点が相違する。前記通信可能距離内に存在するか否かが不明な通信相手(例えば、リモコン送信機12)に対してポーリングをかける必要があるので、通信可能距離内にリモコン送信機が存在するか否かにかかわらず、無線信号WL22は、定期的にまたは不定期に繰り返し送信することになる。
上述したように、無線信号WL1,WL21と、当該無線信号WL22が同じ周波数帯を使用する場合には、無線信号WL22は連続的に送信しつづけることはできず、送信しない期間を設け、間欠的に送信する必要がある。無線信号WL22を送信している期間は、当該無線信号WL22は、無線信号WL1やWL21に対する干渉波として作用するため、無線信号WL1やWL21を受信することができないからである。
また、シャッター13の開閉動作を禁止する期間を設ける場合には、その期間のあいだ、無線信号WL22の繰り返し送信を停止してもよい。例えば、夜の0時から朝の8時までシャッター13の開閉動作を禁止するのであれば、その間、無線信号WL22の送信を行わなければよい。記憶処理装置11から無線信号WL22を送信しなければリモコン送信機12から無線信号WL21が送信されることもなく、ユーザ認証を行うことができないため、たとえ操作スイッチ51〜53を操作したとしても、リモコン送信機12から指示してシャッター13を動作させることはできないからである。また、無線信号WL22を送信しないことによって節電をはかることもできる。
図1中の固定操作部14は図2に示した通り、シャッターケースSC1の外部に配置する構成要素で、記憶処理装置11がユーザU1に提供するユーザインタフェースの一部である。当該固定操作部14の内部構成は図示しないが、図4に示したリモコン送信機12の構成要素のうち、ユーザインタフェースに相当する構成要素57〜59と同様な構成要素によって構成されるものであってよい。固定操作部14と記憶処理装置11のあいだは、無線伝送路で接続するようにしてもよいが、ここでは、有線伝送路で接続するものとする。
ユーザU1は、前記リモコン送信機12を操作するほか、当該固定操作部14に設けられた操作スイッチ(51〜53に対応)を操作することによっても、シャッター動作を指示すること等が可能である。また、固定操作部14はリモコン送信機12ほどコンパクトさに関する要求水準が高くないため、3つの操作スイッチのほかにテンキーやセンサなどを設けることも容易である。例えば、前記バイオメトリクス認証部22が実行する認証用の情報を取得するためのセンサ等の認証情報取得装置22Aを当該固定操作部14に配置するようにしてもよい。
前記シャッター制御部23は厳密には記憶処理装置11の一部としてではなく、記憶処理装置11の外部であって前記モータM1の近傍に配置され得る部分で、前記モータM1の動作を直接、制御する。当該モータM1の出力軸の回転量に応じて出力されるエンコーダパルスも、当該シャッター制御部23に内蔵されたエンコーダから信号S23としてプロセッサ43へ供給される。プロセッサ43は当該信号S23をもとにエンコーダパルスの数をカウントすることで、シャッター下端部13Aの位置を認識することができる。この認識に基づいて、シャッター13の開動作や閉動作を(例えば、前記完全開放状態や完全閉鎖状態で)自動的に停止させることも可能である。
前記プロセッサ43は、当該記憶処理装置11のCPUであり、エンコーダパルスと反対方向に伝送される信号S23を用いてシャッター制御部23を制御することで、所望の開動作、閉動作、あるいは停止等に応じた動作を、前記モータM1に行わせることもできる。
指示モード記憶部19は、予め設定された指示モードを示す指示モード情報MD1を記憶する部分である。
ここで、指示モードには、ユーザU1からの明示的な(個別的な)指示を待たずに自動的にシャッター動作を実行する自動モードと、ユーザU1からの明示的な(個別的な)指示を受けてはじめてその指示に応じたシャッター動作を実行する個別モードの2つがある。個別的な指示は、ユーザU1がリモコン送信機12上の前記操作スイッチ51〜53または固定操作部14上の操作スイッチ(51〜53に対応)を操作することによって与えられる。自動モードの場合には、ユーザU1から何も指示を与える必要はない。
本実施形態でユーザU1が記憶処理装置11と通信する方法には、前記リモコン送信機12による方法(無線遠隔通信)と、固定操作部14(認証情報取得装置22Aも含む)による方法(有線遠隔通信)の2つがある。無線遠隔通信時に、指示モードとして前記自動モードを用いることもでき、有線遠隔通信時に、指示モードとして前記個別モードを用いることもできるが、ここでは、無線遠隔通信時には個別モードを、有線遠隔通信時には自動モードを用いるものとする。
なお、前記自動モードで、ユーザU1から何も指示を与えなくてもよい理由は、シャッター13の場合、その動作状態が極めて限られていて、ユーザU1の希望するシャッター動作をかなり正確に推測可能である点にある。
すなわち、シャッター13の動作状態は、前記完全開放状態、前記完全閉鎖状態、完全開放状態と完全閉鎖状態の中間の状態(前記中間位置に対応)である中間状態(中間位置で移動中と中間位置で停止中の双方を含む)の3つに分けることができるが、場合によっては、完全開放状態と完全閉鎖状態の2つの動作状態だけを想定すればよいことも少なくないものと考えられる。
この2つの動作状態だけを想定する場合、現時点でシャッター13が完全閉鎖状態であるとすると、シャッター13の近傍に出現して例えばバイオメトリクス認証を行ったユーザU1が希望する動作状態は、完全開放状態であることは明らかである。完全開放状態への移行を求めないのなら、バイオメトリクス認証を行う必要はないからである。同様に、現時点でシャッター13が完全開放状態であるとすると、シャッター13の近傍に出現してバイオメトリクス認証を行ったユーザU1が希望する動作状態は、完全閉鎖状態であることも明らかである。
動作状態記憶部20は、このような現時点のシャッター13の動作状態を示す動作状態情報ST1を記憶している部分である。プロセッサ43は、前記自動モードに対応する通信(例えば、有線遠隔通信)が行われたとき、当該動作状態記憶部20が記憶している当該動作状態情報ST1を参照して現時点の動作状態を認識できれば、それと反対の動作状態へ自動的に移行させることができる。
もちろん、このような移行を実行するのは、ユーザ認証の認証結果がOKであった場合に限られる。
なお、動作状態間の移行の方向に応じて、ユーザ認証を要求する方向と要求しない方向を設けるようにすることも考えられる。その場合には、ユーザ認証を要求する方向に関してのみ自動モードを用意するようにするとよい。例えば、完全閉鎖状態から完全開放状態への移行ではユーザ認証を要求し、完全開放状態から完全閉鎖状態への移行ではユーザ認証を要求しない構成を取ることも望ましい。
前記動作状態として中間状態まで含めるとユーザU1の希望するシャッター動作を正確に推測することは難しくなるが、本実施形態では、ユーザ(ここでは、U1)を正確に特定するため、必要に応じて、予めユーザごとに自動モードで実行するシャッター動作を登録しておくことも可能である。これは、例えば、後述するユーザ管理テーブルTB1の操作制限(開閉動作規定情報に対応)で、そのユーザに許可されるシャッター動作が1つだけ(または、少数)である場合に対応する。
シャッター13の利用形態にもよるが、ある時刻になったら必ずシャッター13を完全開放状態に移行させるユーザ、ある時刻になったら必ずシャッター13を完全閉鎖状態に移行させるユーザ、ある時刻になったら必ずシャッター13を所定の中間停止位置に移行させるユーザなどが存在する可能性もあり、そのようなユーザに関しては、予めユーザごとに自動モードで実行するシャッター動作を登録しておくことが有効である。
バイオメトリクス認証部22は、前記認証情報取得装置22Aから供給される認証用情報を、前記プロセッサ43経由で検証制御部24へ供給する部分である。検証制御部24は、当該認証用情報と、予め登録してあるバイオメトリクス(生物測定学)的な情報と照合することによって、前記バイオメトリクス認証を実行する。
バイオメトリクス認証は、ユーザ(例えば、U1)に固有な身体などの特徴を利用して各ユーザをグローバルな範囲で実質的にほぼ一意に特定しユーザ認証を行う方法である。バイオメトリクス認証には認証に用いる認証用情報の種類に応じて様々な種類がある。認証用情報としては、例えば、指紋、網膜、虹彩、顔貌、静脈(手の甲などの静脈パターン)、耳形、声紋、臭いなどを利用することが可能である。もちろん、これらのうち複数を組み合わせて使用してもかまわない。バイオメトリクス認証では、予め登録してある前記バイオメトリクス的情報と、供給された認証用情報とが一致するか否かを検査することになる。
用いる認証用情報の種類に応じて、認証情報取得装置22Aの形態が異なってくることは当然である。
また、予め登録しておく各ユーザの前記バイオメトリクス的情報は、ユーザ管理データベース28に登録しておくようにするとよい。
前記検証制御部24は、認証(検証)の結果に応じた各構成要素の制御などを実行する部分である。本実施形態で当該検証制御部24が実行する認証には、前記バイオメトリクス認証と、前記無線信号WL21で届けられる個人情報(送信機IDも含む)PFを利用した認証(個人情報認証)の2つがある。必要ならば、前記無線信号WL1で届けられる送信機IDを用いた認証も、当該検証制御部24が実行するものであってよい。
なお、前記無線信号WL22によるポーリングに応じた無線信号WL21の送信はユーザU1が特段の操作を行わなくても自動的に実行され、多くの場合、固定操作部14は前記通信可能距離内に位置しているため、もしもユーザU1がバイオメトリクス認証によってシャッター動作を指示しようとしている場合であっても、リモコン送信機12を携帯した状態で固定操作部14(すなわち、記憶処理装置11)に近づくと個人情報認証が自動的に実行されてしまう。
この場合、2つの認証結果を検証制御部24がどのように利用するかに関しては、いくつかの方法が考えられる。例えば、個人情報認証とバイオメトリクス認証の双方の結果がOKの場合にのみ、最終的な認証結果がOKであるとみなす方法や、いずれか一方だけOKであれば他方はNG(または、認証そのものを行っていなくても)でも、最終的な認証結果がOKであるとみなす方法も利用可能であるが、ここでは、バイオメトリクス認証を行う場合には、バイオメトリクス認証の結果のみを最終的な認証結果に反映させるものとする。もちろん、無線通信により個人情報認証を行う場合には、バイオメトリクス認証は行わないので、個人情報認証の認証結果のみが最終的な認証結果に反映されることになる。
また、2つの認証結果の利用を工夫することにより、例えば、次のようにして、計算量を大幅に削減することも可能になる。
通常、バイオメトリクス的情報と、認証用情報の照合は、送信機IDの照合に比べてはるかに大きな計算量を必要とする。送信機IDが上述したように例えば、10桁程度の数字列や、同程度の文字列で、これらの全ビットが一致するか否かだけを検査(1ビットでも一致しなければ、不一致と判定できる)する単純なものであるのに対し、バイオメトリクス的情報や認証用情報は、そのデータ自体が、例えば、膨大なサイズの画像データ(例えば、前記指紋、網膜、虹彩、顔貌、静脈、耳形などを認証用情報とする場合)であり、なおかつ、その照合も、全ビットが完全に一致するか否かの単純な照合ではなく、認証情報取得装置22Aによる撮影などの際に混入する微妙な陰影や明るさの相違(この相違に起因して、撮影されたものが登録された正当なユーザの顔貌などであっても、当然、登録されている顔貌と完全に(全ビットが)一致するということはあり得ない)などに配慮して実質的に一致するか否かを検査しなければならないので、はるかに複雑な処理を行う必要があるからである。
このため、単純にバイオメトリクス認証を行うと、バイオメトリクス認証部22から入力された1つの認証用情報を、予め登録してある複数のバイオメトリクス的情報と逐一、比較照合して、一致するバイオメトリクス的情報を探索(一致するバイオメトリクス的情報を探索できなければ、バイオメトリクス認証の結果はNGとなる)することになるため、その計算量は膨大なものになる。
そこで、前記送信機IDを活用してこの計算量を大幅に低減する。
すなわち、前記無線信号WL21に収容されて届けられた1つの送信機IDを用いて、いずれのユーザであるかを先に特定しておけば、そのユーザに対応するバイオメトリクス的情報を1つに絞り込むことができるため、そのユーザ(例えば、U1)を撮影すること等により得られた認証用情報は、予め登録してある1つのバイオメトリクス的情報と照合するだけでよくなり、計算量を大幅に低減することが可能である。
ただしこの場合には、登録された正当なユーザ(例えば、U1)であっても、他のユーザのリモコン送信機(例えば、12A)を携帯していると、認証結果がNGとなってしまう点に注意を要する。
前記有効時間記憶部31はOKとなった認証結果が有効な有効時間を示す有効時間情報VT1を記憶している部分である。有効時間による制限が必要な理由は、ある認証の認証結果がいつまでも有効であると、例えば、ユーザU1がOKの認証結果を得た場合、そのあとでシャッター13に動作を指示するユーザ(例えば、U2など)は、認証を行うことなくシャッター動作を指示できることになるからである。OKの認証結果を得たあと、シャッター動作等を指示した回数で制限(例えば、1回だけシャッター動作等を指示したらその認証結果は無効となる)することも可能であるが、ここでは、時間で制限するものとする。
タイマ部30は、現在の日時を示す日時情報S30を検証制御部24に供給する部分である。検証制御部24は、この日時情報S30をもとに、例えば、前記有効時間情報VT1が示す有効時間の経過を認識し、また、ログ記録データベース29へ記録する日時を認識することができる。
前記ユーザ管理データベース28は、当該記憶処理装置11に対してシャッター動作等を指示することのできる正当なユーザ(例えば、U1〜U3)に関する個人情報を予め登録しておくためのデータベースで、ユーザ管理テーブルTB1を備えている。
ユーザ管理テーブルTB1の構成は例えば、図5に示す通りであってよい。
図5において、当該ユーザ管理テーブルTB1は、データ項目として、住所と、氏名と、電話番号と、IDと、操作制限とを備えている。
このユーザ管理テーブルTB1中で1つの行(横の並び)が一人のユーザに対応している。
例えば、ADDRESS1,NAME1,TNUMBER1、ID1、RESTRICTION1の行L1は、1つの行である。またこの行L1は、IDの値がID1であることから、前記ユーザU1に対応する行であることもわかる。
同様に、行L2は前記ユーザU2に対応する行であり、行L3は前記ユーザU3に対応する行であるものとする。
前記データ項目のうち住所は各ユーザの住所を、氏名は各ユーザの氏名を、電話番号は各ユーザの電話番号を示す。
IDは、少なくとも当該記憶処理装置11内において各ユーザを一意に識別することのできる識別情報である。IDは記憶処理装置11内で生成するようにしてもよく、様々な情報を利用できる可能性があるが、一例としては、ここでは、各ユーザが携帯するリモコン送信機の前記送信機IDであるID1〜ID3をそのまま用いている。送信機IDはグローバルな範囲で一意であるため、当然、当該記憶処理装置11内でも各ユーザを一意に識別することができる。
一般的に、住所、氏名、電話番号は、組み合わせれば各ユーザをグローバルな範囲で一意に識別する識別情報として利用できるものの、単独では難しいのに対し、当該送信機IDは単独でも各ユーザをグローバルな範囲で一意に識別することができる。
なお、リモコン送信機12側で上述した個人情報PFの書き換えが行われて、住所や電話番号が変動した場合には、その変動に合わせて、当該ユーザ管理テーブルTB1内の住所や電話番号の値(例えば、ユーザU1の場合、住所の値はADDRESS1,電話番号の値はTNUMBER1)も書き換えるようにするとよい。ただし、みだりに書き換えを許しては、ユーザ管理テーブルTB1の信頼性が損なわれる可能性が高まるため、この書き換えに際しては、バイオメトリクス認証の実行を義務づけるようにし、バイオメトリクス認証の認証結果がOKとなった場合にのみ、ユーザ管理テーブルTB1内の値の書き換えを行うようにしてもよい。
変動後の個人情報PFが、変動前のユーザ管理テーブルTB1中のどの行に対応するものであるかは、不変な前記ID(送信機ID)に基づいて特定することができる。
なお、図5には図示していないが、上述したように、バイオメトリクス的情報をユーザ管理データベース28内に登録する場合には、ユーザ管理テーブルTB1の各行L1〜L3と、バイオメトリクス的情報との対応関係も明確にすることができるため、送信機IDの替わりに、または、送信機IDとともに、当該バイオメトリクス的情報に基づいて、変動後の個人情報PFに対応する変動前のユーザ管理テーブルTB1中の行を特定することも可能である。
前記データ項目のうち操作制限は、各ユーザからの要望、または各ユーザの権限に応じた、具体的な操作制限の内容を示す。
操作制限の具体的な内容(例えば、前記RESTRICTION1)には様々なものが含まれ、シャッター動作自体に関する制限、時間的な制限、回数的な制限などを設定することが可能である。例えば、次のR1〜R6のような制限を設定することができる。
(R1)あるユーザについては開動作だけを許可して閉動作を許可しない。
(R2)あるユーザについては閉動作だけを許可して開動作を許可しない。
(R3)あるユーザについては中間位置までの開動作のみ許可する。
(R4)あるユーザについては、開動作や閉動作は許可せず、前記換気動作のみを許可する。
(R5)あるユーザについては午前中にのみ開閉動作を許可し、午後は許可しない。
(R6)あるユーザについては、1日につき、4回だけ開閉動作を許可する。
もちろん、このような制限を越えたシャッター動作を指示した場合には、記憶処理装置11はその指示に応じることはない。そして、制限を越えたシャッター動作が指示されたことをログ記録テーブルTB2などに記録する。
なお、そのユーザに許可された動作が1つだけ(または、少数)の場合などには、そのユーザがどのような動作を指示したかにかかわらず、記憶処理装置11は、許可された1つの動作だけを実行(または、少数の動作のうちのいずれかの動作をユーザから何らかの指示が届くたびに順次選択して実行)するようにしてもよい。
また、シャッター13を使用する複数のユーザU1〜U3のなかに、このような制限(R1〜R6)を受けるユーザと、まったく制限を受けないユーザが混在していてもよいことは当然である。
シャッター13を例えば個人の住宅などではなく、業務用に使用する場合、業務の遂行上、社員を管理したり、セキュリティ性を高めるためにこのような制限を設定したほうが好ましいことも少なくない。また、リモコン送信機12の操作スイッチ51〜53を用いて該当するシャッター動作を指示することが煩わしい場合(例えば、中間停止の指示が煩わしい場合)や指示するための操作方法を忘れてしまった場合などに配慮すると、このような制限を設定しておいたほうが使い勝手がよくなり、利便性が向上する可能性がある。
前記ログ記録データベース29は、シャッター13の開閉に関連する記録(履歴情報)を蓄積しておくためのデータベースで、ログ記録テーブルTB2を備えている。
ログ記録テーブルTB2の構成は例えば、図6に示す通りであってよい。
図6において、当該ログ記録テーブルTB2は、データ項目として、指示方法と、許可と、理由と、指示者と、動作内容と、指示時刻とを備えている。
このログ記録テーブルTB2中で1つの行(横の並び)が1回の指示に対応する。この指示には、指示に応じてシャッター13の開閉が行われた場合と、指示を拒否して(例えば、前記操作制限を越えた指示である場合など)シャッター13の開閉を行わなかった場合が含まれる。
例えば、バイオ、OK、−、ID2,開+閉、8:31(2003.9.25)の行LN1は、当該ログ記録テーブルTB2中で最初の指示に対応する1行である。IDの値が、ID2であることから、この行LN1は、前記ユーザU2による指示に対応するものであることが分かる。
当該ログ記録テーブルTB2のデータ項目うち指示方法は、シャッター動作等の指示をリモコン送信機(例えば、12)を用いて行ったか、固定操作部14を用いて行ったかを示す。無線はリモコン送信機を用いたことを示し、バイオは固定操作部14を用いたことを示す。固定操作部14を用いる場合、認証がバイオメトリクス認証になるからである。
許可は、ユーザ認証の結果を示すものである。OKは、ユーザ認証の結果がOKで記憶処理装置11がその指示に応じた動作を行った場合を示し、NGは、ユーザ認証の結果がNGで、記憶処理装置11がその指示に応じた動作を行わなかった場合を示す。
理由は、ユーザ認証の結果がNGとなった場合、その理由を示す。したがってユーザ認証の結果がOKの場合には、空値を示す「−」が記述される。「権限無し」は、ユーザ管理テーブルTB1に登録されていないユーザが指示を出してきたことを示す。
指示者は、その指示を出したユーザを示す識別情報を示す。ここでは、ユーザの識別情報として、そのユーザが携帯するリモコン送信機の前記送信機IDをそのまま使用している。この場合、あとでログを解析する際などには、指示者の値(例えば、ID2)を検索キーとして前記ユーザ管理テーブルTB1を検索することで、その指示を出したユーザの氏名、住所、電話番号などを知ることができる。
なお、固定操作部14を用いて指示を出したユーザがリモコン送信機を携帯している場合、上述したように、記憶処理装置11側で自動的にそのリモコン送信機の送信機IDを取得することができるため、自動的に取得した送信機IDを指示者の値として記録するようにしてもよい。前記行LN1中の指示者の値ID2は、そのようにして得られたものであってよい。
ただし、ユーザがリモコン送信機を携帯せずにバイオメトリクス認証を行ったとしても、認証結果がOKであれば、IDの値をログ記録テーブルTB2に記録することは可能である。各ユーザに関するバイオメトリクス的情報と送信機IDは1対1に対応しており、前記ユーザ管理テーブルTB1などを利用して、バイオメトリクス的情報から送信機IDと特定することが可能だからである。
動作内容は、その指示にしたがって記憶処理装置11が実際に実行した動作の内容を示す。なお、実際に行った動作の内容だけでなく、指示者が指示した動作の内容の記録を残すことも望ましい。
指示時刻は、その指示を記憶処理装置11が受信した時刻を示す。この時刻は、前記タイマ部30が出力する時刻情報S30をもとに、検証制御部24が認識した時刻を記録するものである。
ログ記録テーブルTB2の記録内容は、その性質上、できるだけ長期間保存することが望ましい。そのために必要ならば、記憶処理装置11に例えばハードディスクやDAT(Digital Audio Tape)などの大容量記憶装置を搭載するようにしてもよい。このDATは、ハードディスクのバックアップに利用してもよい。
前記配布プログラム記憶部27は、リモコン送信機12側へ配布するプログラム(あるいは、データ)がある場合に記憶しておく部分である。記憶したプログラムやデータは、待ち行列キューを形成して当該配布プログラム記憶部27内に蓄積されている。配布する場合、当該プログラムを例えば、前記無線信号WL22などの無線信号に収容して、該当するリモコン送信機(ここでは、12とする)に届けることになる。
配布されたプログラムは、当該プログラム自身の機能により、またはプログラムとリモコン送信機12側のプログラムとの協働により、当該リモコン送信機12にインストールされる。配布されたプログラムは、リモコン送信機12側のプログラム(例えば、構成要素19〜26,28〜31などの機能が、このプログラムによって実現されるものであってもよい)のバグを修正したり、リモコン送信機12に新たな機能を追加したりするものであってよい。
記憶処理装置11から各リモコン送信機に対してこのような配布を行うためには、記憶処理装置11が何らかの方法でこのようなプログラム(あるいは、データ)の供給を受ける必要があることは当然である。この供給は、例えば、定期的または不定期に市街地などを巡回する自動車に、当該プログラム(あるいは、データ)を無線送信する機能を備えた無線通信装置を搭載しておき、この自動車を、各ユーザの会社や自宅などで運用されているシャッター(シャッター13もその1つ)の近傍を走行させることによって行うことが可能である。
また、必要ならば、無線LAN、PHS網、または携帯電話ネットワーク経由で供給したり、当該無線LAN、PHS網、または携帯電話ネットワークなどを利用してインターネット経由で供給するようにしてもよい。その場合、記憶処理装置11が、無線LAN、PHS、また携帯電話などに対応した通信機能を搭載する必要がある。
ここで、無線LANは、いわゆる無線LANサービスによって提供される無線LANである。無線LANサービスは、AP(アクセスポイント)装置と、無線LANカードを装着したノート型パソコンなど(ここでは、記憶処理装置11)のあいだで無線通信を行い、インターネットを介して、リモートの通信装置(例えば、シャッター13や記憶処理装置11を製造した製造業者などが運営するサイト内の通信装置)などと通信することを可能にするサービスで、近年では、市街地の随所で提供されている。ただしカバーエリアの広さの点では、現在のところ、PHS網や携帯電話ネットワークのほうが無線LANサービスより有利である。
なお、動作状態記憶部20、配布プログラム記憶部27,ユーザ管理データベース28,ログ記録データベース29,タイマ部30の記憶内容(指示モード情報MD1,動作状態情報ST1,待ち行列キュー,テーブルTB1,TB2)は、シャッター13の運用にともなって変更されるものであり、また、記憶処理装置11に対する電力供給が停止されたときにも保存する必要があるから、不揮発性を有するとともに書き換えも容易なEEPROM(フラッシュメモリ:Electrical Erasable Programmable ROM)などの記憶手段に記憶しておくとよい。
ただし、大きな記憶容量が必要なテーブルTB2などの記憶には、前記ハードディスクなどを活用することが好ましく、記憶内容の変更を許容しない場合、指示モード記憶部19,有効時間記憶部31などは、ROMで実現するようにしてもよい。
以下、上記のような構成を有する本実施形態の動作を説明する。
(A−2)実施形態の動作
各ユーザU1〜U3はそれぞれ自身のリモコン送信機12〜12Bを携帯し遠隔操作システム10の内外で活動している。リモコン送信機12〜12Bは、汎用性のある非接触ICカードとしての機能を備えているため、遠隔操作システム10の外部においても非接触ICカードとして利用され、その利用に際して、適宜、個人情報PFの書き換えが行われ得る。この書き換えにより、リモコン送信機(例えば、12)内のユーザ情報記憶部63に記憶されている個人情報PFのうち住所や電話番号などの変動し得るものは常に最新のものとされる。
また、遠隔操作システム10に含まれる記憶処理装置11では、そのユーザ管理テーブルTB1にユーザU1〜U3に関する登録が行われている。このユーザ管理テーブルTB1に登録されたユーザのみが、遠隔操作システム10にとっての正当なユーザである。
さらに、前記指示モード記憶部19が記憶している指示モード情報MD1には、リモコン送信機の無線遠隔通信による場合には前記個別モードを用い、固定操作部14(認証情報取得装置22A)の有線遠隔通信による場合には前記自動モードを用いる旨が設定されているものとする。
遠隔操作システム10内では、前記記憶処理装置11が、前記通信可能距離内にリモコン送信機(12〜12Bのいずれか)が存在するか否かにかかわらず、無線信号(ポール信号)WL22を繰り返し送信している。
前記ユーザU1〜U3のうち例えばユーザU1がリモコン送信機12を携帯した状態で記憶処理装置11(厳密には、前記無線送信部25や無線受信部41が持つ送信用、受信用のアンテナシステム)に近づいて前記通信可能距離内に入ると、当該リモコン送信機12が無線信号WL22を受信して自動的に無線信号WL21を送信する。
この無線信号WL21には、前記個人情報(送信機IDを含む)PFが収容されているため、記憶処理装置11内では、前記検証制御部24が、前記個人情報認証を実行する。個人情報認証ではユーザ管理テーブルTB1に登録されている情報のうち、不変な情報であるID(送信機ID)と氏名を利用するものであってよい。
ユーザ管理テーブルTB1の状態が図5に示すものである場合、当該無線信号WL21に収容されていた個人情報PFのうち氏名がNAME1で、送信機IDがID1であれば、ユーザ管理テーブルTB1の行L1の氏名およびIDと一致するため、検証制御部24によるユーザ認証(個人情報認証)の結果はOKとなる。
なお、当該無線信号WL21に含まれているその他の個人情報(住所や電話番号)の値が、すでにユーザ管理テーブルTB1に登録されているもの(ADDRESS1,TNUMBER1)から変動していれば、このとき、変動後の値を図5に示すユーザ管理テーブルTB1の行L1内に登録することもできる。
記憶処理装置11内で個人情報認証の認証結果がOKとなったとき、もしもユーザU1がシャッター13を動作させる意図を持たず、単にシャッター13の近傍を通過しただけであれば、リモコン送信機12の操作スイッチ51〜53を操作しないため、シャッター動作が行われることはない。また、OKの当該認証結果は、記憶処理装置11内において、前記有効時間情報VT1が示す有効時間を経過したのち無効とされる。
このようなケースでは、ユーザから指示が出されていないため、ログ記録テーブルTB2には記録を残さないのが基本であるが、もし必要ならば、このようなケースの記録も、ログ記録テーブルTB2内に残すようにしてもよい。記録を残す場合には、ある時刻にユーザU1に関する個人情報認証(無線)が行われたが、ユーザからの指示はなかった旨の1行が、前記ログ記録テーブルTB1に追加されることになる。
これに対し、ユーザU1がシャッター13を動作させる意図を持つ場合、リモコン送信機12のいずれかの操作スイッチ51〜53を操作するか、あるいは、操作スイッチ51〜53は操作せずに固定操作部14に近づいてバイオメトリクス認証を行うことになる。
ユーザU1がリモコン送信機12のいずれかの操作スイッチ51〜53を操作すれば、記憶処理装置11はその操作に応じて、シャッター13を動作させる。これは、前記個別モードに応じた処理である。一方、バイオメトリクス認証を行ってその認証結果がOKであれば、ユーザU1による固定操作部14の操作を待たずに、該当するシャッター動作を実行させる。これは、前記自動モードに応じた処理である。
ただしこの動作が、前記ユーザ管理テーブルTB1に登録された当該ユーザU1に関する操作制限(RESTRICTION1)の内容に応じて制限を受けることは上述した通りである。また、この制限が、使い勝手や利便性の向上に寄与することがある点などもすでに説明した通りである。
リモコン送信機12または固定操作部14を用いてユーザU1が何らかの指示を出した場合(自動モードに応じて指示を待つことなくシャッター動作を実行した場合も含む)、その指示(自動モードの場合には、実行したシャッター動作)に対応する1行が、前記ログ記録テーブルTB2に追加されることになる。
なお、上述したように、ユーザ管理テーブルTB1内の個人情報を書き換えるときにバイオメトリクス認証を義務づけるなら、リモコン送信機12内のユーザ情報記憶部63内の個人情報PFが書き換えられてからはじめてユーザU1がバイオメトリクス認証を受けて自動モードによるシャッター動作を行った際のバイオメトリクス認証を、ユーザ管理テーブルTB1内の個人情報の書き換えのためのバイオメトリクス認証としても活用するものであってよい。
これ以降、ユーザU1を含め各ユーザU2,U3がリモコン送信機12〜12Bや固定操作部14で指示を出すときも同様な動作が繰り返される。
なお、ユーザU1〜U3以外の正当な権限を持たないユーザが固定操作部14などを利用して指示を出した場合、ユーザ認証の結果がNGとなるので、シャッター動作が実行されることはない。また、そのような指示が出された事実は、ログ記録テーブルTB2に記録され、長期間保存される。図6に示した行LN4なども、このような正当な権限を持たないユーザが指示を出したケースに相当する。
さらに、必要ならば、ユーザ認証の結果がNGとなる事象が発生した場合、即座に所定の管理者に警告メッセージを通知するようにしてもよい。この管理者は、シャッター13に関しセキュリティ上の管理サービスを提供する企業などの担当者であってもよく、正当なユーザU1〜U3のうちのいずれかであってもよい。この通知には、例えば、携帯電話機などを活用することができる。管理者が携帯している携帯電話機に記憶処理装置11から発信して例えば合成音声などを用いて警告メッセージの内容を伝えれば、その管理者はどこにいても直ちに対応策を取ることが可能である。
なお、管理者がユーザ管理テーブルTB1の内容を確認したり、ログ記録テーブルTB2の内容を閲覧してログの解析などを行う場合のために、記憶処理装置11には例えばWebサーバ機能を搭載しておくとよい。
例えば、ノート型パソコンなどに搭載したWebブラウザからこのWebサーバ機能にアクセスすることにより、管理者は、ユーザ管理テーブルTB1の内容を確認したり、ログ記録テーブルTB2の内容を閲覧してログの解析を行うことが可能になる。このアクセスには無線通信を利用してもよいし、有線通信を利用してもよい。有線通信を利用する場合、記憶処理装置11にコンソールポートを設けておき、そのコンソールポートとノート型パソコンなどをケーブルで接続することになる。
ただしユーザ管理テーブルTB1やログ記録テーブルTB2の内容は秘匿するべきものであると考えられるので、このようなアクセスに際しては、暗号技術などを用いて、正当な管理者のみがアクセスできるようにアクセス制御を行う必要性が高い。
このような保守、管理のためのアクセスも、例えば、前記ログ記録テーブルTB2などに記録しておくようにするとよい。管理者になりすました悪意の第3者によって、ユーザ管理テーブルTB1の書き換えによる不正侵入が行われたり、ログ記録テーブルTB2の該当する行(例えば、前記行LN4など)の削除などにより不正侵入の痕跡が消されたりする可能性もあるので、当該アクセス制御は重要である。
(A−3)実施形態の効果
本実施形態によれば、正確で、きめ細かなユーザ管理を行うことが可能になる。
加えて、本実施形態では、ログ記録テーブル(TB2)の内容を解析することにより、不正な侵入などが発生した場合、例えば、その侵入に使用されたリモコン送信機や侵入方法などを特定し、追跡すること等が可能になるため、セキュリティ性を高めることができる。
また、本実施形態では、ユーザ管理テーブル(TB1)に登録した操作制限の内容に応じて、各ユーザごとに異なるシャッター動作を行うことができる。このことは、シャッターのセキュリティ性の向上や利便性の向上に寄与する。
(B)他の実施形態
なお、上記実施形態では、無線信号WL1、WL21,WL22は基本的に周波数帯域が300MHzや400MHz程度で、送信電力が1mW程度の微弱な電波であるものとしたが、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。これよりも高い周波数や低い周波数の電波を使用してもよく、赤外線などを使用してもよい。また、送信電力もこれよりも大きくしてもよく、小さくしてもよい。
さらに、必要ならば、無線信号WL22の送信電力を、無線信号WL1より大きくすること等も可能である。
また、前記開閉動作とは、開方向のみ、閉方向のみ、または開閉両方向の移動動作を意味する。また、「閉」は開口部が存在するような場合にはこれを閉鎖する方向への移動を意味する概念であり、繰り出し、スライド移動、展張等を含む開閉体の前進を意味し、「開」は開口部が存在するような場合にはこれを開放する方向への移動を意味する概念であり、巻取り、収縮、折り畳み等を含む開閉体の後退を意味する。
さらに、上記実施形態では、操作スイッチは、PBS形式のスイッチであるものとしたが、本発明は、PBS形式のスイッチに限って適用されるものではない。スライド式スイッチや回転式スイッチなどを使用してもよく、圧力や温度、静電気の変化などに反応する各種のスイッチを適用することもできる。
なお、本実施形態では、リモコン送信機12によるシャッター動作は、ユーザが操作スイッチ51〜53を操作して明示的な指示を行った場合にのみ実行され得るものであったが、前記バイオメトリクス認証によるシャッター動作の場合と同様、自動的にシャッター動作を実行するようにしてもよい。この場合、自動的なシャッター動作を実行する契機は、前記無線信号WL21によりユーザU1の個人情報PFが届けられ、そのユーザ認証結果がOKとなったときである。
また、上記実施形態では、前記バイオメトリクス認証による場合には自動的なシャッター動作を行うようにしたが、明示的な指示によってシャッター動作を指示させるようにしてもよい。その場合、明示的な指示は、前記固定操作部14に設けた操作スイッチ(前記51〜53に対応)を用いて行うことができる。
さらに、上記実施形態では、無線信号WL21に、送信機IDとともにユーザU1に関するその他の各種個人情報を収容するようにしたが、送信機IDに替えて各種個人情報を収容したり、各種個人情報(送信機IDを除く)だけを収容したり、送信機IDだけを収容したりすることも可能である。ただし、送信機IDだけを収容する場合には、ログを解析する際、送信機IDとユーザとの対応関係を知ることができず、ログに送信機IDだけが残っていても、いずれのユーザがシャッターの開閉を行ったのか分からないという事態が発生し得る。ただしこのような事態は、どこかに送信機IDとユーザの対応関係を保存しておくことによって、避けることができる。
例えば、この対応関係を記憶処理装置11内に保存しておくようにすることも好ましい。その場合、ログに記録する際にその対応関係を検査して検査結果を記録するようにすれば、無線信号WL21に含まれる個人情報が送信機IDだけであっても、ログには、そのユーザのその他の個人情報(住所、氏名、電話番号など)を残すことが可能になる。
なお、上記実施形態で1つのリモコン送信機12内に設けた機能は、2つの通信装置に分配することができる。
図4に示したリモコン送信機12の構成要素54〜63のうち、構成要素54〜59が既存のリモコン送信機に対応する機能であり、構成要素60〜63が上記実施形態のリモコン送信機12に特有な機能であるので、当該2つの通信装置のうちの1つは、構成要素54〜59を有する既存のリモコン送信機とし、もう1つは、構成要素54,55,60〜63を有する通信装置とすることができる。
構成要素54,55,60〜63から構成され、ユーザが操作できるユーザインタフェースを持たないこの通信装置は、例えば、非接触ICカードとすることができる。
なお、上記実施形態にかかわらず、あるユーザに設定する操作制限の内容は、上述したシャッター動作自体に関する制限、時間的な制限、回数的な制限などを組み合わせて設定してもよいことは当然である。
例えば、あるユーザについては、開動作だけを、午前中に限り、1日につき1回だけ許可する等の内容を持つ操作制限を設定することもできる。
また、上記実施形態では、無線信号WL1,WL21など、個人情報PFを収容する無線信号は、暗号化するようにしてもよい。これは、個人情報が傍受され漏洩することを防止するためである。また、暗号化処理には、鍵(暗号化や復号化に使用する鍵)の異同などから、ユーザ認証の機能や、メッセージ認証(無線信号WL1、WL21などの内容が途中で改ざんされていないことの認証)の機能を持たせることもできる。
さらに、前記検証制御部24による上述した2つの認証結果(バイオメトリクス認証の認証結果と個人情報認証の認証結果)の利用方法のうち、いずれか一方だけOKであれば他方はNG(または、認証そのものを行っていなくても)でも、最終的な認証結果がOKであるとみなす方法には、例えば、個人情報認証の認証結果がOKであれば、バイオメトリクス認証を行わなくても最終的な認証結果をOKとみなすものが含まれる。また、この場合、個人情報認証の認証結果がOKであれば、リモコン送信機(12)ではなく、固定操作部14で、シャッター動作を指示することが含まれる。したがって、ユーザは自身のリモコン送信機さえ携帯していれば、固定操作部14に近づいて行くだけでOKの認証結果が得られ、ただちに固定操作部14を操作してシャッター動作等に関する指示を出すことができる。
また、上記実施形態で用いた各テーブルTB1,TB2の構成は必ずしも図5,図6に示したものでなくてもかまわないことは当然である。
例えば、図5のテーブルTB1のデータ項目において、住所および/または電話番号を省略したり、電子メールアドレスを加えたりすること等も可能である。
さらに、テーブルTB2などは、テーブル形式ではなく、複数のレコードからなるファイル形式で記憶するようにしてもよい。
なお、上記実施形態においては主として、スラットシャッターについて本発明を適用したが、本発明はスラットシャッター以外に、前記シートシャッターなど各種のシャッターに適用することも可能である。
さらに本発明は、シャッター用としてだけでなく、ドア、窓、オーバーヘッドドア、ロールスクリーン(例えば遮光幕)、ブラインド、オーニング装置などの他の開閉装置にも適用することが可能である。
以上の説明では主としてハードウエア的に本発明を実現したが、本発明はソフトウエア的に実現することも可能である。また、以上の説明でソフトウエア的に実現した部分は、ハードウエア的に実現できる可能性がある。
10…遠隔操作システム、11…記憶処理装置(リモコン受信機)、12、12A、12B…リモコン送信機、13…シャッター、13A…(シャッターの)下端部、14…固定操作部、15…開口部、19…指示モード記憶部、20…動作状態記憶部、21…ポーリング対応部、22…バイオメトリクス認証部、22A…認証情報取得装置、23…シャッター制御部、24…検証制御部、25…無線送信部、26…送信処理部、27…配布プログラム記憶部、28…ユーザ管理データベース、29…ログ記録データベース、30…タイマ部、31…有効時間記憶部、M1…モータ、TB1,TB2…テーブル、WL1,WL21,WL22…無線信号。