JP4480291B2 - 画像歪み補正装置、記憶媒体、プログラム、画像歪み補正方法、画像読取装置および画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像歪み補正装置、記憶媒体、プログラム、画像歪み補正方法、画像読取装置および画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
フラッドベットスキャナを用いて読み取る原稿の多くはシート状の原稿であり、コンタクトガラス上に開閉自在の圧板を設け、コンタクトガラス上に原稿を載置した後に圧板を閉じて原稿をスキャンするようにしている。しかし、原稿としてはシート状のものに限られず、ブック原稿(本、冊子など)も原稿として扱われることがあり、そのような場合にもコンタクトガラス上にブック原稿を載置し、原稿をスキャンすることになる。
【0003】
ところが、原稿としてブック原稿を用いた場合には、図21に示すように、ブック原稿100のページ綴じ部101がコンタクトガラス102から浮き上がってしまうことから、この浮き上がった部分のスキャン画像は、歪んで地肌の濃度が濃くなり、文字や罫線がボケてしまう。
【0004】
このように原稿としてブック原稿を用いた場合におけるスキャン画像の歪みや濃度異常、ボケを補正するための技術は、例えば特開平11-41455号公報、特開平11-414456号公報、特開平11-414457号公報等に開示されている。
【0005】
特開平11-41455号公報に開示されている技術によれば、製本原稿画像読み取り手段と、製本原稿形状認識手段と、読み取りデータにより製本原稿の見開き頁綴じ部領域を分離する手段と、製本原稿の形状より製本原稿の見開き頁の綴じ部画像の歪みを補正する手段とを有し、綴じ部領域分離手段は、製本原稿の見開き頁の画像の中で綴じ部領域を分離する位置を検出する手段と、この手段により綴じ部領域を分離する位置を検出する範囲を限定する手段とを有することにより、綴じ部歪みを正確に補正するようにしている。
【0006】
また、特開平11-414456号公報に開示されている技術によれば、製本原稿頁境界部の形状を認識し、この頁境界部形状より見開き製本原稿形状を認識し、この見開き製本原稿形状より見開き製本原稿綴じ部画像の歪を補正する手段と有し、頁境界部形状認識手段は、製本原稿の頁境界の上又は下のラインと垂直な方向の読み取りラインの画像濃度データにおける高濃度側の画素データと低濃度側の画素データから各ライン毎の適応閾値を決定し、頁の読み取りデータから頁境界部の位置を算出することにより、綴じ部歪みを正確に補正するようにしている。
【0007】
さらに、特開平11-414457号公報に開示されている技術によれば、読み取りデータより製本原稿形状を認識し、該製本原稿形状より製本原稿の綴じ部画像歪みを補正する手段を有し、この手段は、検出した頁境界部位置Aと、読み取り手段の光軸位置Akと、製本原稿の頁平面部位置KaからMm=(Ak−A)/(Ak−Ka)なる式で製本原稿の頁境界と直交する方向の投影倍率Mmを算出し、この投影倍率Mmの逆数の倍率により読み取りデータの伸長処理を行うことにより、綴じ部歪みを正確に補正するようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したような特開平11-41455号公報、特開平11-414456号公報、特開平11-414457号公報に開示されている技術は、図22に示すように、ページ綴じ部101とスキャンの主走査方向とが平行な場合に、スキャン画像のページの外形の歪みを利用して補正を行うものである。すなわち、図22においてdで示された歪み量を手がかりとして、スキャナの焦点面距離や光軸の位置の情報を基に、ブック原稿100のページ綴じ部101の浮き上がりの形状を推定し、歪みの補正をするという技術である。
【0009】
しかしながら、このような手法によれば、図23に示すように、ページ綴じ部101とスキャンの主走査方向とが垂直な場合には適用できない。なぜなら、この場合は、図23に示すように、スキャン画像のページ外形は変形せず、単に、ページ綴じ部101に向かう方向に関して画像が詰まっていく(文字が細くなっていく)だけなので、図22に示したような歪み量dを手がかりとした補正ができないためである。
【0010】
本発明の目的は、ブック原稿のページ綴じ部とスキャンの主走査方向とが垂直な場合であってもブック原稿のスキャン画像を補正可能にすることである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像歪み補正装置は、原稿のページ綴じ部と原稿画像を読み取る画像読取手段のスキャンの主走査方向とが垂直になるように前記原稿をコンタクトガラスに載置した場合におけるスキャン画像の歪み補正を行う画像歪み補正装置であって、前記原稿画像を読み取る画像読取手段により読み取られた前記スキャン画像から文字を切り出して各文字の外接矩形を抽出する文字外接矩形抽出手段と、この文字外接矩形抽出手段により抽出された文字外接矩形の形状の変化と前記スキャン画像の地肌濃度の変化とを利用して前記スキャン画像の歪み量を推定する歪み量推定手段と、この歪み量推定手段により推定された歪み量に基き、前記スキャン画像に対して拡大処理を施す画像補正手段と、を備える。
【0012】
したがって、画像読取手段により読み取られたスキャン画像から文字の外接矩形が抽出され、この文字外接矩形の形状の変化に基づいてスキャン画像の歪みが補正される。これにより、ブック原稿のページ綴じ部とスキャンの主走査方向とが垂直な場合であっても、文字外接矩形の形状には変化が現われることから、ブック原稿のスキャン画像の補正が可能となる。
【0013】
また本発明の画像歪み補正装置において、前記歪み量推定手段は、前記スキャン画像を前記画像読取手段での読み取りの主走査方向に垂直な方向を長辺とする短冊状の複数の領域に分割し、各短冊領域内に中心を有する前記文字外接矩形の集合に関する統計的特徴量に基づいて前記スキャン画像の歪み量を推定する。
【0014】
したがって、文字外接矩形の形状の変化を確実に捉えることが可能になる。
【0015】
また本発明の画像歪み補正装置において、前記統計的特徴量は、特徴量=文字外接矩形の横辺の長さ/文字外接矩形の縦辺の長さなる式に基づいて求められる。
【0016】
したがって、文字外接矩形の形状の変化を容易に捉えることが可能になる。
【0017】
また本発明の画像歪み補正装置において、前記短冊領域内に中心を有する前記各文字外接矩形の前記各特徴量の平均値を当該短冊領域における前記統計的特徴量とみなす。
【0018】
したがって、文字外接矩形の形状の変化をより正確に捉えることが可能になる。
【0019】
また本発明の画像歪み補正装置において、前記短冊領域内の前記統計的特徴量を求める際、前記文字外接矩形の縦辺の長さが予め定めた値より小さい場合はこれを予め排除する。
【0020】
したがって、句読点や数式中の記号のようにそのサイズが元々小さい文字についての特徴量を排除することが可能になる。
【0021】
また本発明の画像歪み補正装置において、前記短冊領域内の前記統計的特徴量を求める際、前記文字外接矩形の前記特徴量が予め定めた値より大きい場合はこれを予め排除する。
【0022】
したがって、例えば矩形抽出の際に隣接する文字同士がくっついて抽出された場合のように極端に文字外接矩形の横辺の長さが長い文字外接矩形についての特徴量を排除することが可能になる。
【0023】
また本発明の画像歪み補正装置において、前記各短冊領域の地肌濃度を測定し、その地肌濃度が最も濃い前記短冊領域をブック原稿のページ綴じ部を含む前記短冊領域であるとみなす。
【0024】
したがって、地肌の濃度変化を利用してブック原稿のページ綴じ部を含む短冊領域が求められることにより、ページ綴じ部付近の画像の歪み量をより適切に推定することが可能になる。
【0025】
また本発明の画像歪み補正装置において、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域に前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在する場合は、当該文字外接矩形を利用して前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域の特徴量を算出し、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域に前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在しない場合は、前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在し、かつ、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域の最近傍に位置する前記短冊領域の前記特徴量に予め定めた定数値を乗じた値を前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域における前記統計的特徴量とみなす。
【0026】
したがって、ページ綴じ部を含む短冊領域に文字外接矩形が存在しない場合であっても、ページ綴じ部を含む短冊領域の統計的特徴量の算出が可能になる。
【0027】
また本発明の画像歪み補正装置において、前記短冊領域の位置の変化方向に関する移動平均を求め、この移動平均に基づいて前記特徴量の変化に対するフィルタリング処理を施す。
【0028】
したがって、短冊領域の位置の変化に対する(主走査方向の)特徴量の変化をなだらかにすることが可能になる。
【0029】
また本発明の画像歪み補正装置において、前記フィルタリング処理を施す際に、フィルタのウィンドウが前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域の両側に位置する前記短冊領域に跨がらないように前記ページ綴じ部付近ではウィンドウ長を調整する。
【0030】
したがって、ページ綴じ部付近の特徴量の変化を適切に表現可能になるので、良好な画像補正を実現することが可能になる。
【0031】
また本発明の画像歪み補正装置において、前記歪み量推定手段は、前記短冊領域の歪み量を算出する基準となる前記短冊領域を定め、その基準短冊領域の前記特徴量を前記スキャン画像全体の基準特徴量とし、前記各短冊領域の前記推定歪み量を、推定歪み量=各短冊領域の特徴量/基準特徴量なる式に基づいて求める。
【0032】
したがって、推定歪み量を容易に算出することが可能になる。
【0033】
また本発明の画像歪み補正装置において、全ての前記短冊領域の前記特徴量の中で最も値の大きな前記特徴量を前記基準特徴量とする。
【0034】
したがって、推定歪み量を正確に算出することが可能になる。
【0035】
また本発明の画像歪み補正装置において、前記画像補正手段は、前記各短冊領域に関して前記推定歪み量の逆数を補正拡大率として前記短冊領域の短辺方向に拡大処理を施す。
【0036】
したがって、ブック原稿のスキャン画像を容易に補正することが可能になる。
【0037】
また本発明の画像歪み補正装置において、前記各短冊領域の境界部分における前記補正拡大率が連続的に変化するように、前記各短冊領域の境界部分における前記補正拡大率を予め補正する。
【0038】
したがって、自然な補正画像を得ることが可能になる。
【0039】
また本発明の画像歪み補正装置において、地肌濃度が予め定めた濃度よりも薄い前記短冊領域に関し、前記推定歪み量を"1"とする。
【0040】
したがって、ページ綴じ部付近から離れた短冊領域はもともと画像の歪みが無い領域である可能性が高いことから、このようなページ綴じ部付近から離れた短冊領域の画像を補正の対象外とすることが可能になり、不自然な画質劣化を防ぐことが可能になる。
【0041】
また本発明の画像歪み補正装置において、地肌濃度が予め定めた濃度よりも濃い前記短冊領域のみから前記基準短冊領域を求める。
【0042】
したがって、基準短冊領域の探索範囲を予めページ綴じ部付近に限定しておくことが可能になり、推定歪み量をより正確に算出することが可能になる。
【0043】
また本発明の画像歪み補正装置において、前記基準短冊領域を前記ブック原稿の左右のページに関してそれぞれ独立に求め、前記推定歪み量の算出も前記ブック原稿の左右のページでそれぞれ独立に行う。
【0044】
したがって、推定歪み量をより正確に算出することが可能になる。
【0045】
また本発明の画像歪み補正装置において、前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在し、かつ、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域の最近傍に位置する前記短冊領域の前記特徴量に予め定めた定数値を乗じた値を前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域における前記統計的特徴量とみなす処理について、前記ブック原稿の左右のページに関してそれぞれ独立に行い、前記ブック原稿の左ページ側の前記特徴量と前記ブック原稿の右ページ側の前記特徴量とを前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域にそれぞれ対応づける。
【0046】
したがって、書籍の表紙や裏表紙に近いページを開いたときのようにブック原稿のページ綴じ部の左右でページの歪み方が大きく異なるために、ページ綴じ部の左右での文字外接矩形の歪み量の差が大きくなる場合であっても、それぞれ独立に歪み量の推定処理を行うことで、より良好な補正結果を得ることが可能になる。
【0047】
また本発明の画像歪み補正装置において、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域に前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在する場合は、当該文字外接矩形を利用して前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域の前記特徴量を算出し、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域に前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在しない場合は、前記ブック原稿の左ページ側の前記特徴量と前記ブック原稿の右ページ側の前記特徴量の平均値を前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域における前記統計的特徴量とみなす。
【0048】
したがって、ページ綴じ部を含む短冊領域に文字外接矩形が存在しない場合であっても、ページ綴じ部を含む短冊領域の統計的特徴量の算出が可能になる。
【0049】
また本発明の画像歪み補正装置において、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域に前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在する場合は、当該文字外接矩形を利用して前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域の前記特徴量を算出し、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域に前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在しない場合は、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域における前記統計的特徴量は未定とする。
【0050】
したがって、ページ綴じ部を含む短冊領域に文字外接矩形が存在しない場合には、ページ綴じ部を含む短冊領域の統計的特徴量の算出が回避される。
【0051】
また本発明の画像歪み補正装置において、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域における前記統計的特徴量が未定の場合、前記推定歪み量を"1"とする。
【0052】
したがって、ページ綴じ部を含む短冊領域に文字外接矩形が存在しないために、ページ綴じ部を含む短冊領域の統計的特徴量の算出が回避されており、この領域はもともと画像の歪みが無い領域である可能性が高いことから、文字外接矩形が存在しないページ綴じ部を含む短冊領域の画像を補正の対象外とすることが可能になる。
【0053】
また本発明の画像歪み補正装置において、前記フィルタリング処理を施す際に、前記ブック原稿の左ページのフィルタリングには左ページ用の前記特徴量を用い、前記ブック原稿の右ページのフィルタリングには右ページ用の前記特徴量を用いる。
【0054】
したがって、書籍の表紙や裏表紙に近いページを開いたときのようにブック原稿のページ綴じ部の左右でページの歪み方が大きく異なるために、ページ綴じ部の左右での文字外接矩形の歪み量の差が大きくなる場合であっても、それぞれ独立に歪み量の推定処理を行うことで、より良好な補正結果を得ることが可能になる。
【0055】
本発明の記憶媒体は、原稿のページ綴じ部と原稿画像を読み取る画像読取手段のスキャンの主走査方向とが垂直になるように前記原稿をコンタクトガラスに載置した場合におけるスキャン画像の画像歪み補正をコンピュータに実行させるプログラムを格納するコンピュータに読み取り可能な記憶媒体であって、前記コンピュータに、前記画像読取手段により読み取られた前記スキャン画像から文字を切り出して各文字の外接矩形を抽出する文字外接矩形抽出機能と、この文字外接矩形抽出機能により抽出された文字外接矩形の形状の変化と前記スキャン画像の地肌濃度の変化とを利用して前記スキャン画像の歪み量を推定する歪み量推定機能と、この歪み量推定機能により推定された歪み量に基き、前記スキャン画像に対して拡大処理を施す画像補正機能と、を実行させるプログラムを格納する。
【0056】
したがって、画像読取手段により読み取られたスキャン画像から文字の外接矩形が抽出され、この文字外接矩形の形状の変化に基づいてスキャン画像の歪みが補正される。これにより、ブック原稿のページ綴じ部とスキャンの主走査方向とが垂直な場合であっても、文字外接矩形の形状には変化が現われることから、ブック原稿のスキャン画像の補正が可能となる。
【0057】
また本発明の記憶媒体において、前記スキャン画像を前記画像読取手段での読み取りの主走査方向に垂直な方向を長辺とする短冊状の複数の領域に分割し、各短冊領域内に中心を有する前記文字外接矩形の集合に関する統計的特徴量に基づいて前記スキャン画像の歪み量を推定する前記歪み量推定機能を実行させるプログラムを格納する。
【0058】
したがって、文字外接矩形の形状の変化を確実に捉えることが可能になる。
【0059】
また本発明の記憶媒体において、前記統計的特徴量を、特徴量=文字外接矩形の横辺の長さ/文字外接矩形の縦辺の長さなる式に基づいて求めるプログラムを格納する。
【0060】
したがって、文字外接矩形の形状の変化を容易に捉えることが可能になる。
【0061】
また本発明の記憶媒体において、前記短冊領域内に中心を有する前記各文字外接矩形の前記各特徴量の平均値を当該短冊領域における前記統計的特徴量とみなすプログラムを格納する。
【0062】
したがって、文字外接矩形の形状の変化をより正確に捉えることが可能になる。
【0063】
請求項27記載の発明は、請求項26記載の記憶媒体において、前記短冊領域内の前記統計的特徴量を求める際、前記文字外接矩形の縦辺の長さが予め定めた値より小さい場合はこれを予め排除するプログラムを格納する。
【0064】
したがって、句読点や数式中の記号のようにそのサイズが元々小さい文字についての特徴量を排除することが可能になる。
【0065】
請求項28記載の発明は、請求項26または27記載の記憶媒体において、前記短冊領域内の前記統計的特徴量を求める際、前記文字外接矩形の前記特徴量が予め定めた値より大きい場合はこれを予め排除するプログラムを格納する。
【0066】
したがって、例えば矩形抽出の際に隣接する文字同士がくっついて抽出された場合のように極端に文字外接矩形の横辺の長さが長い文字外接矩形についての特徴量を排除することが可能になる。
【0067】
また本発明の記憶媒体において、前記各短冊領域の地肌濃度を測定し、その地肌濃度が最も濃い前記短冊領域をブック原稿のページ綴じ部を含む前記短冊領域であるとみなすプログラムを格納する。
【0068】
したがって、地肌の濃度変化を利用してブック原稿のページ綴じ部を含む短冊領域が求められることにより、ページ綴じ部付近の画像の歪み量をより適切に推定することが可能になる。
【0069】
また本発明の記憶媒体において、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域に前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在する場合は、当該文字外接矩形を利用して前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域の特徴量を算出し、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域に前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在しない場合は、前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在し、かつ、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域の最近傍に位置する前記短冊領域の前記特徴量に予め定めた定数値を乗じた値を前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域における前記統計的特徴量とみなすプログラムを格納する。
【0070】
したがって、ページ綴じ部を含む短冊領域に文字外接矩形が存在しない場合であっても、ページ綴じ部を含む短冊領域の統計的特徴量の算出が可能になる。
【0071】
また本発明の記憶媒体において、前記短冊領域の位置の変化方向に関する移動平均を求め、この移動平均に基づいて前記特徴量の変化に対するフィルタリング処理を施すプログラムを格納する。
【0072】
したがって、短冊領域の位置の変化に対する(主走査方向の)特徴量の変化をなだらかにすることが可能になる。
【0073】
また本発明の記憶媒体において、前記フィルタリング処理を施す際に、フィルタのウィンドウが前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域の両側に位置する前記短冊領域に跨がらないように前記ページ綴じ部付近ではウィンドウ長を調整するプログラムを格納する。
【0074】
したがって、ページ綴じ部付近の特徴量の変化を適切に表現可能になるので、良好な画像補正を実現することが可能になる。
【0075】
また本発明の記憶媒体において、前記短冊領域の歪み量を算出する基準となる前記短冊領域を定め、その基準短冊領域の前記特徴量を前記スキャン画像全体の基準特徴量とし、前記各短冊領域の前記推定歪み量を、推定歪み量=各短冊領域の特徴量/基準特徴量なる式に基づいて求める前記歪み量推定機能を実行させるプログラムを格納する。
【0076】
したがって、推定歪み量を容易に算出することが可能になる。
【0077】
また本発明の記憶媒体において、全ての前記短冊領域の前記特徴量の中で最も値の大きな前記特徴量を前記基準特徴量とするプログラムを格納する。
【0078】
したがって、推定歪み量を正確に算出することが可能になる。
【0079】
また本発明の記憶媒体において、前記各短冊領域に関して前記推定歪み量の逆数を補正拡大率として前記短冊領域の短辺方向に拡大処理を施す前記画像補正機能を実行させるプログラムを格納する。
【0080】
したがって、ブック原稿のスキャン画像を容易に補正することが可能になる。
【0081】
また本発明の記憶媒体において、前記各短冊領域の境界部分における前記補正拡大率が連続的に変化するように、前記各短冊領域の境界部分における前記補正拡大率を予め補正するプログラムを格納する。
【0082】
したがって、自然な補正画像を得ることが可能になる。
【0083】
また本発明の記憶媒体において、地肌濃度が予め定めた濃度よりも薄い前記短冊領域に関し、前記推定歪み量を"1"とするプログラムを格納する。
【0084】
したがって、ページ綴じ部付近から離れた短冊領域はもともと画像の歪みが無い領域である可能性が高いことから、このようなページ綴じ部付近から離れた短冊領域の画像を補正の対象外とすることが可能になり、不自然な画質劣化を防ぐことが可能になる。
【0085】
また本発明の記憶媒体において、地肌濃度が予め定めた濃度よりも濃い前記短冊領域のみから前記基準短冊領域を求めるプログラムを格納する。
【0086】
したがって、基準短冊領域の探索範囲を予めページ綴じ部付近に限定しておくことが可能になり、推定歪み量をより正確に算出することが可能になる。
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また本発明の記憶媒体において、前記基準短冊領域を前記ブック原稿の左右のページに関してそれぞれ独立に求め、前記推定歪み量の算出も前記ブック原稿の左右のページでそれぞれ独立に行うプログラムを格納する。
【0088】
したがって、推定歪み量をより正確に算出することが可能になる。
【0089】
また本発明の記憶媒体において、前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在し、かつ、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域の最近傍に位置する前記短冊領域の前記特徴量に予め定めた定数値を乗じた値を前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域における前記統計的特徴量とみなす処理について、前記ブック原稿の左右のページに関してそれぞれ独立に行い、前記ブック原稿の左ページ側の前記特徴量と前記ブック原稿の右ページ側の前記特徴量とを前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域にそれぞれ対応づけるプログラムを格納する。
【0090】
したがって、書籍の表紙や裏表紙に近いページを開いたときのようにブック原稿のページ綴じ部の左右でページの歪み方が大きく異なるために、ページ綴じ部の左右での文字外接矩形の歪み量の差が大きくなる場合であっても、それぞれ独立に歪み量の推定処理を行うことで、より良好な補正結果を得ることが可能になる。
【0091】
また本発明の記憶媒体において、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域に前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在する場合は、当該文字外接矩形を利用して前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域の前記特徴量を算出し、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域に前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在しない場合は、前記ブック原稿の左ページ側の前記特徴量と前記ブック原稿の右ページ側の前記特徴量の平均値を前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域における前記統計的特徴量とみなすプログラムを格納する。
【0092】
したがって、ページ綴じ部を含む短冊領域に文字外接矩形が存在しない場合であっても、ページ綴じ部を含む短冊領域の統計的特徴量の算出が可能になる。
【0093】
また本発明の記憶媒体において、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域に前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在する場合は、当該文字外接矩形を利用して前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域の前記特徴量を算出し、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域に前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在しない場合は、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域における前記統計的特徴量は未定とするプログラムを格納する。
【0094】
したがって、ページ綴じ部を含む短冊領域に文字外接矩形が存在しない場合には、ページ綴じ部を含む短冊領域の統計的特徴量の算出が回避される。
【0095】
また本発明の記憶媒体において、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域における前記統計的特徴量が未定の場合、前記推定歪み量を"1"とするプログラムを格納する。
【0096】
したがって、ページ綴じ部を含む短冊領域に文字外接矩形が存在しないために、ページ綴じ部を含む短冊領域の統計的特徴量の算出が回避されており、この領域はもともと画像の歪みが無い領域である可能性が高いことから、文字外接矩形が存在しないページ綴じ部を含む短冊領域の画像を補正の対象外とすることが可能になる。
【0097】
また本発明の記憶媒体において、前記フィルタリング処理を施す際に、前記ブック原稿の左ページのフィルタリングには左ページ用の前記特徴量を用い、前記ブック原稿の右ページのフィルタリングには右ページ用の前記特徴量を用いるプログラムを格納する。
【0098】
したがって、書籍の表紙や裏表紙に近いページを開いたときのようにブック原稿のページ綴じ部の左右でページの歪み方が大きく異なるために、ページ綴じ部の左右での文字外接矩形の歪み量の差が大きくなる場合であっても、それぞれ独立に歪み量の推定処理を行うことで、より良好な補正結果を得ることが可能になる。
【0099】
本発明は、原稿のページ綴じ部と原稿画像を読み取る画像読取手段のスキャンの主走査方向と、垂直になるように前記原稿をコンタクトガラスに載置した場合におけるスキャン画像の画像歪み補正をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記画像読取手段により読み取られた前記スキャン画像から文字を切り出して各文字の外接矩形を抽出する文字外接矩形抽出機能と、この文字外接矩形抽出機能により抽出された文字外接矩形の形状の変化と前記スキャン画像の地肌濃度の変化とを利用して前記スキャン画像の歪み量を推定する歪み量推定機能と、この歪み量推定機能により推定された歪み量に基き、前記スキャン画像に対して拡大処理を施す画像補正機能と、を前記コンピュータに実行させる。
【0100】
したがって、画像読取手段により読み取られたスキャン画像から文字の外接矩形が抽出され、この文字外接矩形の形状の変化に基づいてスキャン画像の歪みが補正される。これにより、ブック原稿のページ綴じ部とスキャンの主走査方向とが垂直な場合であっても、文字外接矩形の形状には変化が現われることから、ブック原稿のスキャン画像の補正が可能となる。
【0101】
また本発明のプログラムにおいて、前記スキャン画像を前記画像読取手段での読み取りの主走査方向に垂直な方向を長辺とする短冊状の複数の領域に分割し、各短冊領域内に中心を有する前記文字外接矩形の集合に関する統計的特徴量に基づいて前記スキャン画像の歪み量を推定する前記歪み量推定機能を前記コンピュータに実行させる。
【0102】
したがって、文字外接矩形の形状の変化を確実に捉えることが可能になる。
【0103】
また本発明のプログラムにおいて、前記統計的特徴量を、特徴量=文字外接矩形の横辺の長さ/文字外接矩形の縦辺の長さなる式に基づいて求める。
【0104】
したがって、文字外接矩形の形状の変化を容易に捉えることが可能になる。
【0105】
また本発明のプログラムにおいて、前記短冊領域内に中心を有する前記各文字外接矩形の前記各特徴量の平均値を当該短冊領域における前記統計的特徴量とみなす。
【0106】
したがって、文字外接矩形の形状の変化をより正確に捉えることが可能になる。
【0107】
また本発明のプログラムにおいて、前記短冊領域内の前記統計的特徴量を求める際、前記文字外接矩形の縦辺の長さが予め定めた値より小さい場合はこれを予め排除する。
【0108】
したがって、句読点や数式中の記号のようにそのサイズが元々小さい文字についての特徴量を排除することが可能になる。
【0109】
また本発明のプログラムにおいて、前記短冊領域内の前記統計的特徴量を求める際、前記文字外接矩形の前記特徴量が予め定めた値より大きい場合はこれを予め排除する。
【0110】
したがって、例えば矩形抽出の際に隣接する文字同士がくっついて抽出された場合のように極端に文字外接矩形の横辺の長さが長い文字外接矩形についての特徴量を排除することが可能になる。
【0111】
また本発明のプログラムにおいて、前記各短冊領域の地肌濃度を測定し、その地肌濃度が最も濃い前記短冊領域をブック原稿のページ綴じ部を含む前記短冊領域であるとみなす。
【0112】
したがって、地肌の濃度変化を利用してブック原稿のページ綴じ部を含む短冊領域が求められることにより、ページ綴じ部付近の画像の歪み量をより適切に推定することが可能になる。
【0113】
また本発明のプログラムにおいて、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域に前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在する場合は、当該文字外接矩形を利用して前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域の特徴量を算出し、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域に前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在しない場合は、前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在し、かつ、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域の最近傍に位置する前記短冊領域の前記特徴量に予め定めた定数値を乗じた値を前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域における前記統計的特徴量とみなす。
【0114】
したがって、ページ綴じ部を含む短冊領域に文字外接矩形が存在しない場合であっても、ページ綴じ部を含む短冊領域の統計的特徴量の算出が可能になる。
【0115】
また本発明のプログラムにおいて、前記短冊領域の位置の変化方向に関する移動平均を求め、この移動平均に基づいて前記特徴量の変化に対するフィルタリング処理を施す。
【0116】
したがって、短冊領域の位置の変化に対する(主走査方向の)特徴量の変化をなだらかにすることが可能になる。
【0117】
また本発明のプログラムにおいて、前記フィルタリング処理を施す際に、フィルタのウィンドウが前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域の両側に位置する前記短冊領域に跨がらないように前記ページ綴じ部付近ではウィンドウ長を調整する。
【0118】
したがって、ページ綴じ部付近の特徴量の変化を適切に表現可能になるので、良好な画像補正を実現することが可能になる。
【0119】
また本発明のプログラムにおいて、前記短冊領域の歪み量を算出する基準となる前記短冊領域を定め、その基準短冊領域の前記特徴量を前記スキャン画像全体の基準特徴量とし、前記各短冊領域の前記推定歪み量を、推定歪み量=各短冊領域の特徴量/基準特徴量なる式に基づいて求める前記歪み量推定機能を前記コンピュータに実行させる。
【0120】
したがって、推定歪み量を容易に算出することが可能になる。
【0121】
また本発明のプログラムにおいて、全ての前記短冊領域の前記特徴量の中で最も値の大きな前記特徴量を前記基準特徴量とする。
【0122】
したがって、推定歪み量を正確に算出することが可能になる。
【0123】
また本発明のプログラムにおいて、前記各短冊領域に関して前記推定歪み量の逆数を補正拡大率として前記短冊領域の短辺方向に拡大処理を施す前記画像補正機能を前記コンピュータに実行させる。
【0124】
したがって、ブック原稿のスキャン画像を容易に補正することが可能になる。
【0125】
また本発明のプログラムにおいて、前記各短冊領域の境界部分における前記補正拡大率が連続的に変化するように、前記各短冊領域の境界部分における前記補正拡大率を予め補正する。
【0126】
したがって、自然な補正画像を得ることが可能になる。
【0127】
また本発明のプログラムにおいて、地肌濃度が予め定めた濃度よりも薄い前記短冊領域に関し、前記推定歪み量を"1"とする。
【0128】
したがって、ページ綴じ部付近から離れた短冊領域はもともと画像の歪みが無い領域である可能性が高いことから、このようなページ綴じ部付近から離れた短冊領域の画像を補正の対象外とすることが可能になり、不自然な画質劣化を防ぐことが可能になる。
【0129】
また本発明のプログラムにおいて、地肌濃度が予め定めた濃度よりも濃い前記短冊領域のみから前記基準短冊領域を求める。
【0130】
したがって、基準短冊領域の探索範囲を予めページ綴じ部付近に限定しておくことが可能になり、推定歪み量をより正確に算出することが可能になる。
【0131】
また本発明のプログラムにおいて、前記基準短冊領域を前記ブック原稿の左右のページに関してそれぞれ独立に求め、前記推定歪み量の算出も前記ブック原稿の左右のページでそれぞれ独立に行う。
【0132】
したがって、推定歪み量をより正確に算出することが可能になる。
【0133】
また本発明のプログラムにおいて、前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在し、かつ、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域の最近傍に位置する前記短冊領域の前記特徴量に予め定めた定数値を乗じた値を前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域における前記統計的特徴量とみなす処理について、前記ブック原稿の左右のページに関してそれぞれ独立に行い、前記ブック原稿の左ページ側の前記特徴量と前記ブック原稿の右ページ側の前記特徴量とを前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域にそれぞれ対応づける。
【0134】
したがって、書籍の表紙や裏表紙に近いページを開いたときのようにブック原稿のページ綴じ部の左右でページの歪み方が大きく異なるために、ページ綴じ部の左右での文字外接矩形の歪み量の差が大きくなる場合であっても、それぞれ独立に歪み量の推定処理を行うことで、より良好な補正結果を得ることが可能になる。
【0135】
また本発明のプログラムにおいて、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域に前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在する場合は、当該文字外接矩形を利用して前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域の前記特徴量を算出し、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域に前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在しない場合は、前記ブック原稿の左ページ側の前記特徴量と前記ブック原稿の右ページ側の前記特徴量の平均値を前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域における前記統計的特徴量とみなす。
【0136】
したがって、ページ綴じ部を含む短冊領域に文字外接矩形が存在しない場合であっても、ページ綴じ部を含む短冊領域の統計的特徴量の算出が可能になる。
【0137】
また本発明のプログラムにおいて、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域に前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在する場合は、当該文字外接矩形を利用して前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域の前記特徴量を算出し、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域に前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在しない場合は、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域における前記統計的特徴量は未定とする。
【0138】
したがって、ページ綴じ部を含む短冊領域に文字外接矩形が存在しない場合には、ページ綴じ部を含む短冊領域の統計的特徴量の算出が回避される。
【0139】
また本発明のプログラムにおいて、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域における前記統計的特徴量が未定の場合、前記推定歪み量を"1"とする。
【0140】
したがって、ページ綴じ部を含む短冊領域に文字外接矩形が存在しないために、ページ綴じ部を含む短冊領域の統計的特徴量の算出が回避されており、この領域はもともと画像の歪みが無い領域である可能性が高いことから、文字外接矩形が存在しないページ綴じ部を含む短冊領域の画像を補正の対象外とすることが可能になる。
【0141】
また本発明のプログラムにおいて、前記フィルタリング処理を施す際に、前記ブック原稿の左ページのフィルタリングには左ページ用の前記特徴量を用い、前記ブック原稿の右ページのフィルタリングには右ページ用の前記特徴量を用いる。
【0142】
したがって、書籍の表紙や裏表紙に近いページを開いたときのようにブック原稿のページ綴じ部の左右でページの歪み方が大きく異なるために、ページ綴じ部の左右での文字外接矩形の歪み量の差が大きくなる場合であっても、それぞれ独立に歪み量の推定処理を行うことで、より良好な補正結果を得ることが可能になる。
【0143】
本発明は、原稿のページ綴じ部と、原稿画像を読み取る画像読取手段のスキャンの主走査方向と、が垂直になるように前記原稿をコンタクトガラスに載置した場合におけるスキャン画像の歪みを補正する画像歪み補正方法であって、前記スキャン画像から文字を切り出して各文字の外接矩形を抽出する文字外接矩形抽出工程と、この文字外接矩形抽出工程により抽出された文字外接矩形の形状の変化と前記スキャン画像の地肌濃度の変化とを利用して前記スキャン画像の歪み量を推定する歪み量推定工程と、この歪み量推定工程により推定された歪み量に基き、前記スキャン画像に対して拡大処理を施す画像補正工程と、を含んでなる。
【0144】
したがって、画像読取手段により読み取られたスキャン画像から文字の外接矩形が抽出され、この文字外接矩形の形状の変化に基づいてスキャン画像の歪みが補正される。これにより、ブック原稿のページ綴じ部とスキャンの主走査方向とが垂直な場合であっても、文字外接矩形の形状には変化が現われることから、ブック原稿のスキャン画像の補正が可能となる。
【0145】
また本発明の画像歪み補正方法において、前記歪み量推定工程は、前記スキャン画像を前記画像読取手段での読み取りの主走査方向に垂直な方向を長辺とする短冊状の複数の領域に分割し、各短冊領域内に中心を有する前記文字外接矩形の集合に関する統計的特徴量に基づいて前記スキャン画像の歪み量を推定する。
【0146】
したがって、文字外接矩形の形状の変化を確実に捉えることが可能になる。
【0147】
また本発明の画像歪み補正方法において、前記統計的特徴量を、特徴量=文字外接矩形の横辺の長さ/文字外接矩形の縦辺の長さなる式に基づいて求める。
【0148】
したがって、文字外接矩形の形状の変化を容易に捉えることが可能になる。
【0149】
また本発明の画像歪み補正方法において、前記短冊領域内に中心を有する前記各文字外接矩形の前記各特徴量の平均値を当該短冊領域における前記統計的特徴量とみなす。
【0150】
したがって、文字外接矩形の形状の変化をより正確に捉えることが可能になる。
【0151】
また本発明の画像歪み補正方法において、前記短冊領域内の前記統計的特徴量を求める際、前記文字外接矩形の縦辺の長さが予め定めた値より小さい場合はこれを予め排除する。
【0152】
したがって、句読点や数式中の記号のようにそのサイズが元々小さい文字についての特徴量を排除することが可能になる。
【0153】
また本発明の画像歪み補正方法において、前記短冊領域内の前記統計的特徴量を求める際、前記文字外接矩形の前記特徴量が予め定めた値より大きい場合はこれを予め排除する。
【0154】
したがって、例えば矩形抽出の際に隣接する文字同士がくっついて抽出された場合のように極端に文字外接矩形の横辺の長さが長い文字外接矩形についての特徴量を排除することが可能になる。
【0155】
また本発明の画像歪み補正方法において、前記各短冊領域の地肌濃度を測定し、その地肌濃度が最も濃い前記短冊領域をブック原稿のページ綴じ部を含む前記短冊領域であるとみなす。
【0156】
したがって、地肌の濃度変化を利用してブック原稿のページ綴じ部を含む短冊領域が求められることにより、ページ綴じ部付近の画像の歪み量をより適切に推定することが可能になる。
【0157】
また本発明の画像歪み補正方法において、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域に前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在する場合は、当該文字外接矩形を利用して前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域の特徴量を算出し、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域に前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在しない場合は、前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在し、かつ、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域の最近傍に位置する前記短冊領域の前記特徴量に予め定めた定数値を乗じた値を前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域における前記統計的特徴量とみなす。
【0158】
したがって、ページ綴じ部を含む短冊領域に文字外接矩形が存在しない場合であっても、ページ綴じ部を含む短冊領域の統計的特徴量の算出が可能になる。
【0159】
また本発明の画像歪み補正方法において、前記短冊領域の位置の変化方向に関する移動平均を求め、この移動平均に基づいて前記特徴量の変化に対するフィルタリング処理を施す。
【0160】
したがって、短冊領域の位置の変化に対する(主走査方向の)特徴量の変化をなだらかにすることが可能になる。
【0161】
また本発明の画像歪み補正方法において、前記フィルタリング処理を施す際に、フィルタのウィンドウが前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域の両側に位置する前記短冊領域に跨がらないように前記ページ綴じ部付近ではウィンドウ長を調整する。
【0162】
したがって、ページ綴じ部付近の特徴量の変化を適切に表現可能になるので、良好な画像補正を実現することが可能になる。
【0163】
また本発明の画像歪み補正方法において、前記歪み量推定工程は、前記短冊領域の歪み量を算出する基準となる前記短冊領域を定め、その基準短冊領域の前記特徴量を前記スキャン画像全体の基準特徴量とし、前記各短冊領域の前記推定歪み量を、推定歪み量=各短冊領域の特徴量/基準特徴量なる式に基づいて求める。
【0164】
したがって、推定歪み量を容易に算出することが可能になる。
【0165】
また本発明の画像歪み補正方法において、全ての前記短冊領域の前記特徴量の中で最も値の大きな前記特徴量を前記基準特徴量とする。
【0166】
したがって、推定歪み量を正確に算出することが可能になる。
【0167】
また本発明の画像歪み補正方法において、前記画像補正工程は、前記各短冊領域に関して前記推定歪み量の逆数を補正拡大率として前記短冊領域の短辺方向に拡大処理を施す。
【0168】
したがって、ブック原稿のスキャン画像を容易に補正することが可能になる。
【0169】
また本発明の画像歪み補正方法において、前記各短冊領域の境界部分における前記補正拡大率が連続的に変化するように、前記各短冊領域の境界部分における前記補正拡大率を予め補正する。
【0170】
したがって、自然な補正画像を得ることが可能になる。
【0171】
また本発明の画像歪み補正方法において、地肌濃度が予め定めた濃度よりも薄い前記短冊領域に関し、前記推定歪み量を"1"とする。
【0172】
したがって、ページ綴じ部付近から離れた短冊領域はもともと画像の歪みが無い領域である可能性が高いことから、このようなページ綴じ部付近から離れた短冊領域の画像を補正の対象外とすることが可能になり、不自然な画質劣化を防ぐことが可能になる。
【0173】
また本発明の画像歪み補正方法において、地肌濃度が予め定めた濃度よりも濃い前記短冊領域のみから前記基準短冊領域を求める。
【0174】
したがって、基準短冊領域の探索範囲を予めページ綴じ部付近に限定しておくことが可能になり、推定歪み量をより正確に算出することが可能になる。
【0175】
また本発明の画像歪み補正方法において、前記基準短冊領域を前記ブック原稿の左右のページに関してそれぞれ独立に求め、前記推定歪み量の算出も前記ブック原稿の左右のページでそれぞれ独立に行う。
【0176】
したがって、推定歪み量をより正確に算出することが可能になる。
【0177】
また本発明の画像歪み補正方法において、前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在し、かつ、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域の最近傍に位置する前記短冊領域の前記特徴量に予め定めた定数値を乗じた値を前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域における前記統計的特徴量とみなす処理について、前記ブック原稿の左右のページに関してそれぞれ独立に行い、前記ブック原稿の左ページ側の前記特徴量と前記ブック原稿の右ページ側の前記特徴量とを前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域にそれぞれ対応づける。
【0178】
したがって、書籍の表紙や裏表紙に近いページを開いたときのようにブック原稿のページ綴じ部の左右でページの歪み方が大きく異なるために、ページ綴じ部の左右での文字外接矩形の歪み量の差が大きくなる場合であっても、それぞれ独立に歪み量の推定処理を行うことで、より良好な補正結果を得ることが可能になる。
【0179】
また本発明の画像歪み補正方法において、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域に前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在する場合は、当該文字外接矩形を利用して前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域の前記特徴量を算出し、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域に前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在しない場合は、前記ブック原稿の左ページ側の前記特徴量と前記ブック原稿の右ページ側の前記特徴量の平均値を前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域における前記統計的特徴量とみなす。
【0180】
したがって、ページ綴じ部を含む短冊領域に文字外接矩形が存在しない場合であっても、ページ綴じ部を含む短冊領域の統計的特徴量の算出が可能になる。
【0181】
また本発明の画像歪み補正方法において、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域に前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在する場合は、当該文字外接矩形を利用して前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域の前記特徴量を算出し、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域に前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在しない場合は、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域における前記統計的特徴量は未定とする。
【0182】
したがって、ページ綴じ部を含む短冊領域に文字外接矩形が存在しない場合には、ページ綴じ部を含む短冊領域の統計的特徴量の算出が回避される。
【0183】
また本発明の画像歪み補正方法において、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域における前記統計的特徴量が未定の場合、前記推定歪み量を"1"とする。
【0184】
したがって、ページ綴じ部を含む短冊領域に文字外接矩形が存在しないために、ページ綴じ部を含む短冊領域の統計的特徴量の算出が回避されており、この領域はもともと画像の歪みが無い領域である可能性が高いことから、文字外接矩形が存在しないページ綴じ部を含む短冊領域の画像を補正の対象外とすることが可能になる。
【0185】
また本発明の画像歪み補正方法において、前記フィルタリング処理を施す際に、前記ブック原稿の左ページのフィルタリングには左ページ用の前記特徴量を用い、前記ブック原稿の右ページのフィルタリングには右ページ用の前記特徴量を用いる。
【0186】
したがって、書籍の表紙や裏表紙に近いページを開いたときのようにブック原稿のページ綴じ部の左右でページの歪み方が大きく異なるために、ページ綴じ部の左右での文字外接矩形の歪み量の差が大きくなる場合であっても、それぞれ独立に歪み量の推定処理を行うことで、より良好な補正結果を得ることが可能になる。
【0187】
本発明の画像読取装置は、原稿画像を読み取る画像読取手段と、この画像読取手段により読み取られたスキャン画像の補正を行う上記の何れかひとつの画像歪み補正装置と、を備える。
【0188】
したがって、上記の何れかひとつの画像歪み補正装置と同様の作用を奏する画像読取装置が得られる。
【0189】
本発明の画像形成装置は、原稿画像を読み取る画像読取手段と、この画像読取手段により読み取られたスキャン画像の補正を行う上記の何れかひとつの画像歪み補正装置と、この画像歪み補正装置から出力される画像データに基づいた画像を用紙上に印刷する画像印刷装置と、を備える。
【0190】
したがって、上記の何れかひとつの画像歪み補正装置と同様の作用を奏する画像形成装置が得られる。
【0191】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態を図1ないし図20に基づいて説明する。本実施の形態の画像歪み補正装置は画像形成装置であるデジタル複写機に備えられており、画像読取装置としてはデジタル複写機のスキャナ部が適用されている。
【0192】
ここで、図1はスキャナ部1の構成を示す縦断正面図である。図1に示すように、スキャナ部1は、原稿を載置するコンタクトガラス2と、原稿の露光用の露光ランプ3および第一反射ミラー4からなる第一走行体5と、第二反射ミラー6および第三反射ミラー7からなる第二走行体8と、原稿の画像を読み取る撮像素子としてのCCD(Charge Coupled Device)9と、このCCD9に結像させるためのレンズユニット10と、原稿を載置する基準になるとともにコンタクトガラス2のズレや外れを防止する原稿スケール11と、この原稿スケール11の下側に設置されたシェーディング補正用の白基準板12と、フレーム14とを備えている。CCD9はセンサボード13上に形成されている。
【0193】
原稿の走査時には、第一走行体5および第二走行体8はステッピングモータ24(図3参照)によって副走査方向に移動する。すなわち、第一走行体5および第二走行体8がコンタクトガラス2の下を走行して、露光ランプ3で原稿を露光走査し、その反射光を第一反射ミラー4、第二反射ミラー6および第三反射ミラー7で反射して、レンズユニット10を通してCCD9に結像させる。ここに、画像読取手段が実現されている。
【0194】
このようなスキャナ部1は、このスキャナ部1で読み取られた原稿の画像に基づく画像データに応じ、例えば電子写真方式で用紙上に画像の形成を行う画像印刷装置であるプリンタ部(図示せず)を備えるデジタル複写機16に搭載されている。図2は、スキャナ部1を搭載したデジタル複写機16の上部部分を示す斜視図である。図2に示すように、スキャナ部1には、コンタクトガラス2に対して開閉自在な圧板17と、この圧板17の開閉を検出する開閉センサ18とが設けられている。なお、デジタル複写機16に備えられるプリンタとしては、電子写真方式のほか、インクジェット方式、昇華型熱転写方式、銀塩写真方式、直接感熱記録方式、溶融型熱転写方式など、種々の印刷方式を適用することができる。その具体的な構成については周知であるため、詳細な説明は省略する。
【0195】
図3は、スキャナ部1の制御系の電気的な接続を示すブロック図である。図3に示すように、この制御系は、スキャナ部1の全体を制御するメイン制御部19に、CCD9で読み取った画像データに各種の画像処理を施す回路である画像処理部20と、第一走行体5および第二走行体8を制御する回路である走行体制御部21と、デジタル複写機16への各種操作を受け付け、また、各種メッセージを表示する操作パネル22と、CCD9で読み取った画像データや所定のデータ等を記憶するメモリ23とが接続されている。なお、操作パネル22には、コピー開始を宣言するためのコピースタートキー等が設けられている。また、走行体制御部21には、露光ランプ3と、第一走行体5および第二走行体8を駆動するステッピングモータ24と、第一走行体5および第二走行体8がホームポジションにあるか否かを検出するスキャナホームポジションセンサ(HPセンサ)25と、開閉センサ18とが接続されている。
【0196】
ここで、図4は画像処理部20の基本的な内部構成を示すブロック図である。図4に示すように、画像処理部20は、原稿をCCD9により読み取ったアナログ画像信号の増幅処理やデジタル変換処理等を行うアナログビデオ処理部26、シェーディング補正処理を行うシェーディング補正処理部27、シェーディング補正処理後のデジタル画像信号に、MTF補正、変倍処理、γ補正等の各種画像データ処理を行いスキャン画像を生成する画像データ処理部28、本実施の形態の特長的な機能であるスキャン画像の歪み補正機能を実現する画像歪み補正部29から構成されている。以上のような画像処理後のデジタル画像信号は、メイン制御部19を介してプリンタ部に送信されて、画像形成に供される。
【0197】
メイン制御部19は、図5に示すように、各部を集中的に制御するCPU(Central Processing Unit)31を備えており、このCPU31には、BIOSなどを記憶した読出し専用メモリであるROM(Read Only Memory)32と、各種データを書換え可能に記憶してCPU31の作業エリアとして機能するRAM(Random Access Memory)33とがバス34で接続されており、マイクロコンピュータを構成している。さらにバス34には、制御プログラムが記憶されたHDD35と、CD(Compact Disc)−ROM37を読み取るCD−ROMドライブ36と、プリンタ部等との通信を司るインタフェース(I/F)38とが接続されている。
【0198】
図5に示すCD−ROM37は、この発明の記憶媒体を実施するものであり、所定の制御プログラムが記憶されている。CPU31は、CD−ROM37に記憶されている制御プログラムをCD−ROMドライブ36で読み取り、HDD35にインストールする。これにより、メイン制御部19は、後述するような各種の処理を行うことが可能な状態となる。
【0199】
なお、記憶媒体としては、CD−ROM37のみならず、DVDなどの各種の光ディスク、各種光磁気ディスク、フロッピー(登録商標)ディスクなどの各種磁気ディスク、半導体メモリ等、各種方式のメディアを用いることができる。また、インターネットなどのネットワークからプログラムをダウンロードし、HDD35にインストールするようにしてもよい。この場合に、送信側のサーバでプログラムを記憶している記憶装置も、この発明の記憶媒体である。なお、プログラムは、所定のOS(Operating System)上で動作するものであってもよいし、その場合に後述の各種処理の一部の実行をOSに肩代わりさせるものであってもよいし、ワープロソフトなど所定のアプリケーションソフトやOSなどを構成する一群のプログラムファイルの一部として含まれているものであってもよい。
【0200】
次に、メイン制御部19に設けられたCPU31が制御プログラムに基づいて実行する各種処理の内容について説明する。ここでは、CPU31が実行する処理のうち、本実施の形態のスキャナ部1が備える特長的な機能であるスキャン画像の歪み補正機能を実現する画像歪み補正部29におけるスキャン画像の歪み補正処理についてのみ説明する。
【0201】
図6は、スキャン画像の歪み補正処理の流れを概略的に示すフローチャートである。なお、ここでは、図7に示すように、ブック原稿40がそのページ綴じ部41とスキャナ部1のスキャンの主走査方向とを垂直になるように位置させてコンタクトガラス2に載置されている場合におけるスキャン画像の歪み補正について説明する。
【0202】
図6に示すように、ステップS1においては、画像データ処理部28から出力されたスキャン画像を二値化処理し、この二値化処理された画像データ(二値化画像)に基づいて文字の外接矩形A(図8参照)を抽出する。ここに、文字外接矩形抽出手段の機能が実行される。ここで、文字認識処理については周知の技術であるので、その説明は省略する。このように文字の外接矩形Aを抽出するのは、この文字の外接矩形Aの形状の変化を基に、スキャン画像の歪みを補正するためである。ここでは、図8に示すように、文字外接矩形Aの横辺の長さw、縦辺の長さh、および、文字の中心Bを定義する。ここで、文字の中心Bは、外接矩形Aの対角線の交点である。なお、ここでは、画像データ処理部28から出力されたスキャン画像を二値化処理してから文字の外接矩形Aを抽出したが、これに限るものではなく、スキャン画像(多値画像)から文字の外接矩形Aを抽出するようにしても良い。
【0203】
続いて、図9に示すように、二値化画像をブック原稿40のページ綴じ部41に平行な方向の複数の短冊状の領域Cに分割した後(ステップS2)、各短冊領域Cについて、そこに含まれる文字外接矩形Aに関する特徴量を求める(ステップS3)。ここで、ある短冊領域Cに含まれる文字外接矩形Aとは、その中心が当該短冊領域Cに含まれるような外接矩形Aのことである。例えば、図9の短冊領域C1に含まれる外接矩形Aは、図中の網掛けを施した矩形である。
【0204】
さて、上記の文字外接矩形Aに関する特徴量は、(文字の横辺の長さ)/(文字の縦辺の長さ)=w/hを基に求められる。すなわち、各短冊領域Cについて、そこに含まれる全ての文字外接矩形Aのw/hの値の平均値をその短冊領域Cの特徴量とするのである。
【0205】
しかしながら、単に、w/hの平均値を算出すると不適切な場合がある。文字の中には、句読点や数式中の記号のようにそのサイズが元々小さく、w/hの値が不安定なものがある。また、矩形抽出の際に隣接する文字同士がくっついて抽出されてしまい、wが極端に大きい文字外接矩形Aが生じる場合もある。特徴量を求める場合は、このような特殊な文字や極端にwが大きいものを予め排除しておく必要がある。そこで、続くステップS4においては、予め閾値を定めておいて、hの値がその閾値より小さな文字外接矩形Aを予め排除するとともに、w/hの比率に関する閾値を予め定めておき、w/hの値が其の閾値よりも大きい文字外接矩形Aも予め排除する。例えば、図10中に示した網掛けを施した文字外接矩形Aが予め排除されることになる。
【0206】
続くステップS5においては、前述したように極端な文字外接矩形Aを排除した後に、各短冊領域C内の文字外接矩形Aのw/hの平均値を求める。図11に各短冊領域C内の外接矩形Aのw/hの平均値の一例を示す。なお、図11中の短冊領域C2は、ブック原稿40のページ綴じ部41を含む短冊領域である。
【0207】
続いて、ブック原稿40のページ綴じ部41を含む短冊領域C2に文字外接矩形Aが存在するか否かを判断する(ステップS6)。これは、図10に示すように、一般にはブック原稿40のページ綴じ部41付近には文字外接矩形Aが存在しない場合が多いからである。ブック原稿40のページ綴じ部41を含む短冊領域C2に文字外接矩形Aが存在する場合は(ステップS6のY)、その文字外接矩形Aを利用して特徴量は算出されているのでそのままステップS8に進む。
【0208】
一方、ブック原稿40のページ綴じ部41を含む短冊領域C2に文字外接矩形Aが存在しない場合は(ステップS6のN)、ステップS7に進み、ブック原稿40のページ綴じ部41を含む短冊領域C2の特徴量を求める。なお、ブック原稿40のページ綴じ部41を含む短冊領域C2の識別は、例えば、スキャン画像(例えば、モノクロ多値画像)の地肌濃度変化を各短冊領域Cごとに求め、短冊領域C内の最も濃度の薄い画素値を求めることにより実現される。図12は地肌濃度変化を求めた一例を示したものであり、地肌濃度が最も濃い短冊領域が、ブック原稿40のページ綴じ部41を含む短冊領域C2であるとみなされる。
【0209】
なお、スキャン画像がカラー多値画像の場合におけるブック原稿40のページ綴じ部41を含む短冊領域C2の識別は、例えばRGB成分の何れか一つの成分(例えばG成分)に着目し、そのG成分の地肌濃度を使用して識別するようにすれば良い。また、RGBを色変換して輝度成分と色差成分とに分け、輝度成分を使用してブック原稿40のページ綴じ部41を含む短冊領域C2を識別するようにしても良い。
【0210】
ブック原稿40のページ綴じ部41を含む短冊領域C2の特徴量は、次のようにして定められる。ここでは、統計的特徴量の算出対象となり得る文字外接矩形Aが存在し、かつ、ページ綴じ部41を含む短冊領域C2の最近傍である短冊領域Cの特徴量に対して予め定めた定数値を乗じることにより算出された値が、ブック原稿40のページ綴じ部41を含む短冊領域C2における特徴量とみなされるものである。つまり、図11に示した例では、ブック原稿40のページ綴じ部41を含む短冊領域C2の左右何れの短冊領域C3,C4にも文字外接矩形Aが存在するので、どちらか適当な方の特徴量を選択し(ここでは右側の○印の方)、それに予め定めた定数値(ここでは0.5)を乗じて、これをブック原稿40のページ綴じ部41を含む短冊領域C2の特徴量としている。
【0211】
続くステップS8においては、各短冊領域Cの特徴量に対する適切なフィルタリング処理、例えば、短冊領域Cの位置の変化方向(即ち主走査方向)に関する移動平均を求める処理を施すなどして、短冊領域Cの位置の変化に対する(主走査方向の)特徴量の変化がなだらかになるようにする。ただし、ここでもブック原稿40のページ綴じ部41付近は特別な処理が必要となる。なぜなら、主走査方向に関して長さが全て等しいウィンドウを用いてフィルタリングを行うと、ブック原稿40のページ綴じ部41付近の特徴量の変化の鋭さが失われてしまうからである。
【0212】
ここで、長さが全て5であるウィンドウを用いて図11に示した各短冊領域Cの特徴量に対してフィルタリング処理を施した結果を図13に示す。図13に示すように、長さが全て5であるウィンドウを用いてフィルタリング処理を施した場合には、ブック原稿40のページ綴じ部41付近の特徴量(w/h)の変化がなだらかになり過ぎてしまう。このような場合には、ブック原稿40のページ綴じ部41付近での適切な画像補正が不可能になってしまう。
【0213】
そこで、本実施の形態においては、フィルタリング処理の際には、フィルタのウィンドウがブック原稿40のページ綴じ部41を含む短冊領域C2の両側の短冊領域C3,C4に跨がらないように、ページ綴じ部41付近でウィンドウ長を調整する。ここで、図14はページ綴じ部41付近でウィンドウ長を調整してフィルタリング処理を施した結果を示すグラフである。図14に示すように、ページ綴じ部41付近でウィンドウ長を調整した場合には、ページ綴じ部41付近の特徴量(w/h)の変化を適切に表現できるので、良好な画像補正が実現できる。
【0214】
続くステップS9においては、各短冊領域Cの推定歪み量を算出する。各短冊領域Cの推定歪み量の算出手法は、以下に示す通りである。
【0215】
まず、短冊領域の歪み量を算出するための基準となる短冊領域(基準短冊領域)を定める。ここでは、歪みが最も小さいと考えられる短冊領域C、例えば、特徴量(w/h)が最大である短冊領域Cを基準短冊領域とする。この処理は左右ページで共通に行っても良いが、左右独立に基準短冊領域を定めても構わない。図14においては、左右独立に基準短冊領域を定めた例を示しており、○印を施した短冊領域Cが基準短冊領域であり、左側の基準特徴量を"Lw0/Lh0"、右側の基準特徴量を"Rw0/Rh0"、でそれぞれ示している。
【0216】
次に、基準短冊領域の特徴量w0/h0をスキャン画像全体の基準特徴量とし、(各短冊領域の特徴量)/(基準特徴量)=(w/h)/(w0/h0)
の値を、各短冊領域の推定歪み量として算出する。
【0217】
つまり、ステップS2〜S9において、歪み量推定手段の機能が実行される。
【0218】
なお、ブック原稿40のページ綴じ部41から外れたページ外側付近の短冊領域Cを基準短冊領域とすると、ブック原稿40のページ綴じ部41付近とはフォントや活字のサイズの違いが大きくて、適切な推定歪み量が算出できない場合も考えられる。そのような画像を対象とする場合は、基準短冊領域の探索範囲を予めブック原稿40のページ綴じ部41付近に限定しておくのが有効である。これを実現するためには、地肌濃度が予め定めた濃度よりも濃い短冊領域Cのみから基準短冊領域を求めるようにすれば良い。
【0219】
最後に、スキャン画像に対して、短冊領域Cの短辺方向(主走査方向)の拡大処理を行い、ブック原稿40のページ綴じ部41付近の歪みを補正する(ステップS10:画像補正手段)。その場合の拡大率は、ステップS9において算出した推定歪み量の逆数、すなわち、(基準特徴量)/(各短冊領域の特徴量)=(w0/h0)/(w/h)
とする。ここで、上記の基準短冊領域を左右共通に定めた場合には、この拡大率も左右共通の基準特徴量によって算出し、独立に定めた場合には、左右それぞれの基準特徴量で独立に算出するようにする。図15は、図14に示した特徴量に基づいて算出した補正拡大率を示したものである。
【0220】
なお、ここでも、ブック原稿40のページ綴じ部41付近から離れた短冊領域Cはもともと画像の歪みが無い領域である可能性が高いので、拡大処理の対象としない方が良い場合がある。拡大処理を行ったために、かえって不自然な歪みが生じてしまう可能性があるからである。これを防ぐために、地肌濃度が予め定めた濃度よりも薄い短冊領域Cについては、推定歪み量を"1"とする。
【0221】
また、短冊領域C内において共通の補正拡大率を適用した場合、隣接する短冊領域Cの境界部での補正拡大率が不連続となるため、補正画像が不自然となる。そこで、隣接する短冊領域Cの境界部での補正拡大率が連続的に変化するように、補正拡大率を予め補正しておく。これは、例えば図15に示す短冊領域Cの中央部分の補正拡大率を推定歪み量の逆数を示す点としてプロットし、これらの点を線分で結んで直線補完することで、他の部分の補正拡大率とすることで実現できる。以上の処理により、スキャン画像の主走査方向の補正拡大率が確定する。
【0222】
なお、画像の拡大処理は、例えばコピーの変倍機能として良く使われる3次関数のコンボリューション法等を用いて実行される。
【0223】
次に、図16に示すように、書籍の表紙や裏表紙に近いページを開いたときのようにブック原稿40のページ綴じ部41の左右でページの歪み方が大きく異なるために、ページ綴じ部41の左右での文字外接矩形Aの歪み量の差が大きくなる場合の処理について説明する。
【0224】
ブック原稿40のページ綴じ部41の左右でページの歪み方が大きく異なる場合における各短冊領域Cの特徴量(w/h)の一例を図17に示す。図17に示すように、ブック原稿40のページ綴じ部41の左右でページの歪み方が大きく異なる場合には、ページ綴じ部41を含む短冊領域C2に隣接する両側の短冊領域C3,C4の特徴量(図17中の○印)に差が生じることになる。つまり、この場合には、ページ綴じ部41を含む短冊領域C2に隣接する両側の短冊領域Cにおける文字外接矩形Aの歪み量の差が大きくなる。
【0225】
このような場合に対応するには、前述したステップS7において、統計的特徴量の算出対象となり得る文字外接矩形Aが存在し、かつ、ページ綴じ部41を含む短冊領域C2の最近傍である短冊領域Cの特徴量に対して予め定めた定数値を乗じることにより算出された値を、ブック原稿40のページ綴じ部41を含む短冊領域C2における統計的特徴量とみなす処理を、左右のページに関してそれぞれ独立に行い、左ページ側の特徴量と右ページ側の特徴量の2つの特徴量を対応づけるのが有効である。つまり、図17に示した例では、ページ綴じ部41の左右の短冊領域C3,C4のそれぞれの特徴量に予め定めた定数値(ここでは0.5)を乗じて、その両方をページ綴じ部41を含む短冊領域C2に対応づけている。
【0226】
そして、続くステップS8において特徴量に対してフィルタリング処理を行う際に、左ページのフィルタリングには左ページ用の特徴量を用い、右ページのフィルタリングには右ページ用の特徴量を用いる。ここで、図17に示した各短冊領域Cの特徴量に対してフィルタリング処理を施した結果を図18に示す。
【0227】
この場合、ページ綴じ部41を含む短冊領域C2自体の特徴量をいかに設定するかが問題となるが、例えば、ページ綴じ部41を含む短冊領域C2に上記のように対応づけられた左右ページの特徴量の平均値をこれに設定するという方法があり、図18ではその場合を示している。また、この段階ではページ綴じ部41を含む短冊領域C2の特徴量は未定としておき、後の推定歪み量の設定の際に、それを"1"と設定するという方法もある。
【0228】
続くステップS9及びステップS10については、前述したものと何ら変わるものではないため説明は省略する。
【0229】
ここで、図19はブック原稿40のページ綴じ部41付近の歪みを補正する前の画像を示す平面図、図20はブック原稿40のページ綴じ部41付近の歪みを補正した画像を示す平面図である。以上の処理によれば、図19に示すブック原稿40のページ綴じ部41とスキャンの主走査方向とが垂直な場合におけるスキャン画像の歪みが、図20に示すように補正されることになる。
【0230】
なお、本実施の形態においては、画像歪み補正装置を画像形成装置であるデジタル複写機16に備え、デジタル複写機16のスキャナ部1で読み取ったスキャン画像に対して画像の歪み補正処理を施すようにしたが、これに限るものではない。例えば、原稿画像を読み取る画像読取手段を備えたイメージスキャナをパーソナルコンピュータに接続するとともに、このパーソナルコンピュータのHDDに記憶媒体であるCD−ROM37に格納されたプログラムをインストールすることによって画像歪み補正装置を構成しても、前述したような各種の作用効果と同様の作用効果を得ることができる。また、記憶媒体であるCD−ROM37に格納されたプログラムをパーソナルコンピュータのHDDにインストールすることによって画像歪み補正装置を構成し、予め画像読取手段により読み取られたスキャン画像に対して歪み補正処理を施すようにしても良い。
【0231】
【発明の効果】
本発明によれば、画像読取手段により読み取ったスキャン画像から文字の外接矩形を抽出し、この文字外接矩形の形状の変化に基づいてスキャン画像の歪みを補正することにより、ブック原稿のページ綴じ部とスキャンの主走査方向とが垂直な場合であっても、文字外接矩形の形状には変化が現われることから、ブック原稿のスキャン画像を補正することができる。
【0232】
また本発明によれば、文字外接矩形の形状の変化を確実に捉えることができる。
【0233】
また本発明によれば、文字外接矩形の形状の変化を容易に捉えることができる。
【0234】
また本発明によれば、文字外接矩形の形状の変化をより正確に捉えることができる。
【0235】
また本発明によれば、句読点や数式中の記号のようにそのサイズが元々小さい文字についての特徴量を排除することができる。
【0236】
また本発明によれば、例えば矩形抽出の際に隣接する文字同士がくっついて抽出された場合のように極端に文字外接矩形の横辺の長さが長い文字外接矩形についての特徴量を排除することができる。
【0237】
また本発明によれば、地肌の濃度変化を利用してブック原稿のページ綴じ部を含む短冊領域を求めることにより、ページ綴じ部付近の画像の歪み量をより適切に推定することができる。
【0238】
また本発明によれば、ページ綴じ部を含む短冊領域に文字外接矩形が存在しない場合であっても、ページ綴じ部を含む短冊領域の統計的特徴量を算出することができる。
【0239】
また本発明によれば、短冊領域の位置の変化に対する(主走査方向の)特徴量の変化をなだらかにすることができる。
【0240】
また本発明によれば、ページ綴じ部付近の特徴量の変化を適切に表現することができるので、良好な画像補正を実現することができる。
【0241】
また本発明によれば、推定歪み量を容易に算出することができる。
【0242】
また本発明によれば、推定歪み量を正確に算出することができる。
【0243】
また本発明によれば、ブック原稿のスキャン画像を容易に補正することができる。
【0244】
また本発明によれば、自然な補正画像を得ることができる。
【0245】
また本発明によれば、ページ綴じ部付近から離れた短冊領域はもともと画像の歪みが無い領域である可能性が高いことから、このようなページ綴じ部付近から離れた短冊領域の画像を補正の対象外とすることができ、不自然な画質劣化を防ぐことができる。
【0246】
また本発明によれば、基準短冊領域の探索範囲を予めページ綴じ部付近に限定しておくことができ、推定歪み量をより正確に算出することができる。
【0247】
また本発明によれば、推定歪み量をより正確に算出することができる。
【0248】
また本発明によれば、書籍の表紙や裏表紙に近いページを開いたときのようにブック原稿のページ綴じ部の左右でページの歪み方が大きく異なるために、ページ綴じ部の左右での文字外接矩形の歪み量の差が大きくなる場合であっても、それぞれ独立に歪み量の推定処理を行うことで、より良好な補正結果を得ることができる。
【0249】
また本発明によれば、ページ綴じ部を含む短冊領域に文字外接矩形が存在しない場合であっても、ページ綴じ部を含む短冊領域の統計的特徴量を算出することができる。
【0250】
また本発明によれば、ページ綴じ部を含む短冊領域に文字外接矩形が存在しない場合には、ページ綴じ部を含む短冊領域の統計的特徴量の算出を回避することができる。
【0251】
また本発明によれば、ページ綴じ部を含む短冊領域に文字外接矩形が存在しないために、ページ綴じ部を含む短冊領域の統計的特徴量の算出が回避されており、この領域はもともと画像の歪みが無い領域である可能性が高いことから、文字外接矩形が存在しないページ綴じ部を含む短冊領域の画像を補正の対象外とすることができる。
【0252】
また本発明によれば、書籍の表紙や裏表紙に近いページを開いたときのようにブック原稿のページ綴じ部の左右でページの歪み方が大きく異なるために、ページ綴じ部の左右での文字外接矩形の歪み量の差が大きくなる場合であっても、それぞれ独立に歪み量の推定処理を行うことで、より良好な補正結果を得ることができる。
【0253】
また本発明によれば、上記の何れかひとつの画像歪み補正装置と同様の効果を奏する画像読取装置を得ることができる。
【0254】
また本発明によれば、上記の何れかひとつの画像歪み補正装置と同様の効果を奏する画像形成装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態のスキャナ部の構成を示す縦断正面図である。
【図2】スキャナ部を搭載したデジタル複写機の上部部分を示す斜視図である。
【図3】スキャナ部の制御系の電気的な接続を示すブロック図である。
【図4】画像処理部の基本的な内部構成を示すブロック図である。
【図5】メイン制御部の電気的な接続を示すブロック図である。
【図6】スキャン画像の歪み補正処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【図7】スキャナ部のコンタクトガラス上にブック原稿を載置した状態を示す斜視図である。
【図8】抽出された文字外接矩形を示す説明図である。
【図9】二値化画像をブック原稿のページ綴じ部に平行な方向の複数の短冊状の領域に分割した状態を示す説明図である。
【図10】予め排除される文字外接矩形を示す説明図である。
【図11】各短冊領域内の外接矩形の特徴量の平均値の一例を示すグラフである。
【図12】各短冊領域内の地肌濃度変化の一例を示すグラフである。
【図13】図11に示した各短冊領域の特徴量に対して長さが全て5であるウィンドウを用いてフィルタリング処理を施した結果を示すグラフである。
【図14】図11に示した各短冊領域の特徴量に対してページ綴じ部付近でウィンドウ長を調整してフィルタリング処理を施した結果を示すグラフである。
【図15】図14に示した特徴量に基づいて算出した補正拡大率を示すグラフである。
【図16】ブック原稿をその最初のページを開いてコンタクトガラス上に載置した状態を示す正面図である。
【図17】ブック原稿のページ綴じ部の左右でページの歪み方が大きく異なる場合における各短冊領域の特徴量の一例を示すグラフである。
【図18】図17に示した各短冊領域の特徴量に対してフィルタリング処理を施した結果を示すグラフである。
【図19】ブック原稿のページ綴じ部付近の歪みを補正する前の画像を示す平面図である。
【図20】ブック原稿のページ綴じ部付近の歪みを補正した画像を示す平面図である。
【図21】コンタクトガラス上にブック原稿を載置した状態を示す正面図である。
【図22】ページ綴じ部とスキャンの主走査方向とが平行な場合におけるスキャン画像のページの外形の歪みを示す説明図である。
【図23】ページ綴じ部とスキャンの主走査方向とが垂直な場合におけるスキャン画像を示す説明図である。
【符号の説明】
1 画像読取装置
16 画像形成装置
37 記憶媒体
40 ブック原稿
41 ページ綴じ部
A 文字外接矩形
B 文字外接矩形の中心
C 短冊領域
C2 ページ綴じ部を含む短冊領域
Claims (27)
- 原稿のページ綴じ部と原稿画像を読み取る画像読取手段のスキャンの主走査方向とが垂直になるように前記原稿をコンタクトガラスに載置した場合におけるスキャン画像の歪み補正を行う画像歪み補正装置であって、
前記原稿画像を読み取る画像読取手段により読み取られた前記スキャン画像から文字を切り出して各文字の外接矩形を抽出する文字外接矩形抽出手段と、
この文字外接矩形抽出手段により抽出された文字外接矩形の形状の変化と前記スキャン画像の地肌濃度の変化とを利用して前記スキャン画像の歪み量を推定する歪み量推定手段と、
この歪み量推定手段により推定された歪み量に基き、前記スキャン画像に対して拡大処理を施す画像補正手段と、を備える画像歪み補正装置。 - 前記歪み量推定手段は、
前記スキャン画像を前記画像読取手段での読み取りの主走査方向に垂直な方向を長辺とする短冊状の複数の領域に分割し、
各短冊領域内に中心を有する前記文字外接矩形の集合に関する統計的特徴量に基づいて前記スキャン画像の歪み量を推定する請求項1記載の画像歪み補正装置。 - 前記統計的特徴量は、
特徴量=文字外接矩形の横辺の長さ/文字外接矩形の縦辺の長さなる式に基づいて求められる請求項2記載の画像歪み補正装置。 - 前記短冊領域内に中心を有する前記各文字外接矩形の前記各特徴量の平均値を当該短冊領域における前記統計的特徴量とみなす請求項3記載の画像歪み補正装置。
- 前記短冊領域内の前記統計的特徴量を求める際、前記文字外接矩形の縦辺の長さが予め定めた値より小さい場合はこれを予め排除する請求項4記載の画像歪み補正装置。
- 前記短冊領域内の前記統計的特徴量を求める際、前記文字外接矩形の前記特徴量が予め定めた値より大きい場合はこれを予め排除する請求項4または5記載の画像歪み補正装置。
- 前記各短冊領域の地肌濃度を測定し、その地肌濃度が最も濃い前記短冊領域をブック原稿のページ綴じ部を含む前記短冊領域であるとみなす請求項2ないし6の何れか一記載の画像歪み補正装置。
- 前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域に前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在する場合は、当該文字外接矩形を利用して前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域の特徴量を算出し、
前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域に前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在しない場合は、前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在し、かつ、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域の最近傍に位置する前記短冊領域の前記特徴量に予め定めた定数値を乗じた値を前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域における前記統計的特徴量とみなす請求項7記載の画像歪み補正装置。 - 前記短冊領域の位置の変化方向に関する移動平均を求め、この移動平均に基づいて前記特徴量の変化に対するフィルタリング処理を施す請求項8記載の画像歪み補正装置。
- 前記フィルタリング処理を施す際に、フィルタのウィンドウが前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域の両側に位置する前記短冊領域に跨がらないように前記ページ綴じ部付近ではウィンドウ長を調整する請求項9記載の画像歪み補正装置。
- 前記歪み量推定手段は、
前記短冊領域の歪み量を算出する基準となる前記短冊領域を定め、その基準短冊領域の前記特徴量を前記スキャン画像全体の基準特徴量とし、前記各短冊領域の前記推定歪み量を、推定歪み量=各短冊領域の特徴量/基準特徴量なる式に基づいて求める請求項2ないし10の何れか一記載の画像歪み補正装置。 - 全ての前記短冊領域の前記特徴量の中で最も値の大きな前記特徴量を前記基準特徴量とする請求項11記載の画像歪み補正装置。
- 前記画像補正手段は、
前記各短冊領域に関して前記推定歪み量の逆数を補正拡大率として前記短冊領域の短辺方向に拡大処理を施す請求項1ないし12の何れか一記載の画像歪み補正装置。 - 前記各短冊領域の境界部分における前記補正拡大率が連続的に変化するように、前記各短冊領域の境界部分における前記補正拡大率を予め補正する請求項13記載の画像歪み補正装置。
- 地肌濃度が予め定めた濃度よりも薄い前記短冊領域に関し、前記推定歪み量を"1"とする請求項11ないし14の何れか一記載の画像歪み補正装置。
- 地肌濃度が予め定めた濃度よりも濃い前記短冊領域のみから前記基準短冊領域を求める請求項11ないし14の何れか一記載の画像歪み補正装置。
- 前記基準短冊領域を前記ブック原稿の左右のページに関してそれぞれ独立に求め、前記推定歪み量の算出も前記ブック原稿の左右のページでそれぞれ独立に行う請求項11ないし16の何れか一記載の画像歪み補正装置。
- 前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在し、かつ、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域の最近傍に位置する前記短冊領域の前記特徴量に予め定めた定数値を乗じた値を前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域における前記統計的特徴量とみなす処理について、
前記ブック原稿の左右のページに関してそれぞれ独立に行い、前記ブック原稿の左ページ側の前記特徴量と前記ブック原稿の右ページ側の前記特徴量とを前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域にそれぞれ対応づける請求項8記載の画像歪み補正装置。 - 前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域に前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在する場合は、当該文字外接矩形を利用して前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域の前記特徴量を算出し、
前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域に前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在しない場合は、前記ブック原稿の左ページ側の前記特徴量と前記ブック原稿の右ページ側の前記特徴量の平均値を前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域における前記統計的特徴量とみなす請求項18記載の画像歪み補正装置。 - 前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域に前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在する場合は、当該文字外接矩形を利用して前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域の前記特徴量を算出し、
前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域に前記統計的特徴量の算出対象となり得る前記文字外接矩形が存在しない場合は、前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域における前記統計的特徴量は未定とする請求項18記載の画像歪み補正装置。 - 前記ページ綴じ部を含む前記短冊領域における前記統計的特徴量が未定の場合、前記推定歪み量を"1"とする請求項20記載の画像歪み補正装置。
- 前記フィルタリング処理を施す際に、前記ブック原稿の左ページのフィルタリングには左ページ用の前記特徴量を用い、
前記ブック原稿の右ページのフィルタリングには右ページ用の前記特徴量を用いる請求項18ないし21の何れか一記載の画像歪み補正装置。 - 原稿のページ綴じ部と原稿画像を読み取る画像読取手段のスキャンの主走査方向とが垂直になるように前記原稿をコンタクトガラスに載置した場合におけるスキャン画像の画像歪み補正をコンピュータに実行させるプログラムを格納するコンピュータに読み取り可能な記憶媒体であって、
前記コンピュータに、
前記画像読取手段により読み取られた前記スキャン画像から文字を切り出して各文字の外接矩形を抽出する文字外接矩形抽出機能と、
この文字外接矩形抽出機能により抽出された文字外接矩形の形状の変化と前記スキャン画像の地肌濃度の変化とを利用して前記スキャン画像の歪み量を推定する歪み量推定機能と、
この歪み量推定機能により推定された歪み量に基き、前記スキャン画像に対して拡大処理を施す画像補正機能と、を実行させるプログラムを格納する記憶媒体。 - 原稿のページ綴じ部と原稿画像を読み取る画像読取手段のスキャンの主走査方向と、垂直になるように前記原稿をコンタクトガラスに載置した場合におけるスキャン画像の画像歪み補正をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記画像読取手段により読み取られた前記スキャン画像から文字を切り出して各文字の外接矩形を抽出する文字外接矩形抽出機能と、
この文字外接矩形抽出機能により抽出された文字外接矩形の形状の変化と前記スキャン画像の地肌濃度の変化とを利用して前記スキャン画像の歪み量を推定する歪み量推定機能と、
この歪み量推定機能により推定された歪み量に基き、前記スキャン画像に対して拡大処理を施す画像補正機能と、を前記コンピュータに実行させるプログラム。 - 原稿のページ綴じ部と、原稿画像を読み取る画像読取手段のスキャンの主走査方向と、が垂直になるように前記原稿をコンタクトガラスに載置した場合におけるスキャン画像の歪みを補正する画像歪み補正方法であって、
前記スキャン画像から文字を切り出して各文字の外接矩形を抽出する文字外接矩形抽出工程と、
この文字外接矩形抽出工程により抽出された文字外接矩形の形状の変化と前記スキャン画像の地肌濃度の変化とを利用して前記スキャン画像の歪み量を推定する歪み量推定工程と、
この歪み量推定工程により推定された歪み量に基き、前記スキャン画像に対して拡大処理を施す画像補正工程と、を含んでなる画像歪み補正方法。 - 原稿画像を読み取る画像読取手段と、
この画像読取手段により読み取られたスキャン画像の補正を行う請求項1ないし22の何れか一記載の画像歪み補正装置と、を備える画像読取装置。 - 原稿画像を読み取る画像読取手段と、
この画像読取手段により読み取られたスキャン画像の補正を行う請求項1ないし22の何れか一記載の画像歪み補正装置と、
この画像歪み補正装置から出力される画像データに基づいた画像を用紙上に印刷する画像印刷装置と、を備える画像形成装置。
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