JP4480215B2 - 累積染毛性一時染毛料とその製造方法 - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、使用直後の洗髪が不要であり、且つ使用する回数を重ねることにより、徐々に染毛する機能を有する累積染毛性一時染毛料に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来より、染毛の持続性の観点から、永久染毛料、半永久染毛料、一時染毛料に分類される染毛料が使用されてきた。これらの分類の内、永久染毛料と半永久染毛料については、それぞれ酸化染料や酸性染料を使用しており、染毛の持続性は高いものの、染毛前の準備や液の塗布作業が煩雑であり、又使用後直ぐに洗髪を必要とする等、簡便性に欠ける一面がある。
【０００３】
これら染毛料に対し、顔料により髪を一時的に着色するいわゆる一時染毛料は、使用方法が簡便であり、シャンプー等での洗髪により簡単に洗い落とすことが可能である為、部分的にメッシュを入れたり、生え際の白髪を染める等に使用されてきた。かかる一時染毛料の特徴である簡単に洗髪により洗い落とせると言うことは、手軽さに於いて特徴である反面、他の染毛料に比べて持続性が極端に短いことが不満要素として挙げられる場合もある。
【０００４】
この不満要素を解消した染毛料として、特公平２−２７９６８が挙げられるが、染毛後に洗髪しない状態での被接触物への着色剤の二次付着が生じ、加えて耐水性が弱い為、水に濡れる等した場合には染料が流れ落ちて他を汚す等の問題点を有している。又、特開平１０−２７３４３１号の様に酸性染料と顔料とベタイン基を有する両性高分子樹脂とを一定比率で配合したものや、特開平１１−１７１７４１号の様にシロキサンセグメントとアニオン性モノマー単位とを構成成分として有するブロック共重合体を配合したもので、二次付着防止性に優れた一時染毛料が開示されているが、洗髪により染料を完全に除去するものであり、当然継続した染毛性は発揮されないものである。
【０００５】
また、従来の一時染毛料では、染色の濃さを上げるためにカーボンブラック等の無機顔料が多く使われてきたが、ビヒクルと比重の異なる顔料を配合した染毛料においては色剤である顔料が沈降や浮上してしまい、染毛料を使用するにあたっては攪拌等の再分散をする必要があり使用に際しての煩わしさがあった。
また、再分散の必要が無い化粧料とするには化粧料を高粘度化する等の制約が生じる。これによって結果的に頭髪に適用した場合等に塗布液が垂れて地肌を汚染することは少なくなるが、頭髪にのる化粧料（染毛料）が「厚ぼったく」なり、染毛後の頭髪の自然な風合いが著しく損なわれる。
【０００６】
また、これらの化粧料を頭髪に塗布する手段として、従来から簡単な弁機構を介し塗布ブラシを備えた化粧料塗布具が用いられてきたが、化粧料の粘度が高くなることにより、簡単な弁機構での吐出力では充分な化粧料の吐出を行えなくなることがあるうえ、塗布体であるブラシに対する化粧料の「のり」も悪くなり、表面の頭髪を越えて奥の頭髪に化粧料（染毛料）を塗布も難しくなることがあった。
【０００７】
加えて、重たい無機顔料を用いた分散体（化粧料）の常で、その分散系（化粧料）は設計が難しく、頭髪への定着性を持たせるための樹脂も限られてくるものであり、このような状況は使用する成分が「化粧品原料基準」によって限られている化粧料開発にあたっては、目標とする効果を満足する化粧料を得る事を難しくするものであった。
【０００８】
【課題を解決しようとする課題】
かかる現状から本発明は、使用方法は一時染毛料と同じであるが、繰り返しの使用により徐々に染毛する機能を有し、染毛後に洗髪しない状態での被接触物への着色剤の二次付着が生じ難い為、使用後の洗髪を必ずしも必要としない累積染毛性一時染毛料を提供することを目的としている。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために種々検討の結果、着色剤として無機顔料を含まず、酸性染料と、染毛助剤、低級アルコール及び水に、更にノニオン若しくはアニオンのシリコン系樹脂を配合した組成物が前記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明の請求項１に記載の累積染毛性一時染毛料は、着色剤として酸性染料を０．０１〜３重量％、ポリジメチルシロキサンとメタクリル酸及び／又はメタクリル酸エステルとのブロック共重合体であるノニオン若しくはアニオンのシリコン系樹脂を０．１〜１０重量％、染毛助剤を３〜２０重量％、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノールから選ばれる１種又は２種以上の低級アルコールを３０〜８０重量％、水を５〜５０重量％、ギ酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸から選ばれる有機酸、無機酸又はその塩を含有し、ｐＨが２〜５、粘度が１００ｍＰａ・ｓ以下であることを特徴とする。
【００１０】
本発明の請求項２に記載の発明は、内部に染毛料の貯留部を有する内軸が外軸の内部に軸方向に移動自在に収納されているとともに、外軸の前端に取り付けた櫛付き塗布体と貯留部先端との間に、ノック体により内軸を外軸に対し前進させることにより開口する弁機構を介在させて、内軸先端から塗布部材へ染毛料を供給可能に構成した塗布具の上記貯留部に請求項１に記載の累積染毛性一時染毛料が充填されていることを特徴とする累積染毛性一時染毛料の塗布容器である。
【００１１】
更に本発明の請求項３に記載の発明は、上記本発明の請求項１に記載の各成分の配合順位として、少なくともノニオン若しくはアニオンのシリコン系樹脂と低級アルコールとの混合ビヒクルに水を配合し攪拌することを特徴とする累積染毛性一時染毛料の製造方法である。
【００１２】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で使用する酸性染料は、通常一時染毛料や半永久染毛料に用いられているものであれば得に限定されない。具体的には、人体に対して有害な作用を示さない医薬品、医薬部外品及び化粧の着色に使用することが許可されている「医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令」（昭和４１年告示、厚生省）により定められたものの中より、１種又は２種以上の混合物として用いることができる。
【００１３】
かかる酸性染料の具体例としは、赤色３号（エリスロシン）、赤色１０２（ニューコクシン）、だいだい色（オレンジ II）、黄色４号（タートラジン）、黄色４０２号（ポーラエロー５Ｇ）、緑色３号（ファーストグリーンＦＣＦ）、緑色２０４号（ピラニンコンク）、青色１号（ブリリアントブルーＦＣＦ）、青色２０２号（パテントブルーＮＡ）、紫色４０１号（アリズロールパープル）、褐色２０１号（リゾルシンブラウン）、黒色４０１号（ナフトールブルーブラック）等が挙げられる。但し、これらはほんの一例であって特に限定されない。酸性染料の配合量は、全体の組成物中で０．０１〜３重量％が好ましく、０．０２〜１重量％がより好ましい。０．０１重量％未満であると染毛効果が十分に発揮されず、３重量％を越えると皮膚等他への汚染が生じ易くなる。
【００１４】
本発明で使用されるノニオン若しくはアニオンのシリコン系樹脂は、二次付着性、特に耐水性を向上する為に用いられる。ここでノニオン若しくはアニオンのシリコン系樹脂とは、ノニオン性モノマー単位及び／又はアニオン性モノマー単位とポリシロキサン単位とのブロック共重合体である。
ポリシロキサン単位としてはポリジメチルシロキサンが好ましい。
アニオン性モノマーとしては、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられるが、中でもメタクリル酸やアクリル酸好ましい。またノニオン性モノマーとしては、スチレン等の芳香族炭化水素、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等の（メタ）クリル酸アルキル系エステルが挙げられるが、中でもメタクリル酸と炭素数６以下の脂肪族アルコールとのエステルが好ましいが限定するものではない。
【００１５】
本発明のシリコン系樹脂は、特にポリジメチルシロキサンとメタクリル酸及び／又はメタクリル酸と炭素数６以下の脂肪族アルコールとのエステルとのブロック共重合体が好ましい。なお上記シリコン系樹脂であるブロック共重合体の合成方法は、ポリシロキサン化合物の末端に重合活性を残しておき、これにノニオン性モノマー若しくはアニオン性モノマーを加えて重合させることで得られる。通常は、アニオン重合開始剤の存在下にリビングポリマーとしておき、上記のノニオン性モノマー若しくはアニオン性モノマー等を共重合させることにより得られる。
【００１６】
シリコン系樹脂であるブロック共重合体中のポリシロキサン化合物の構成比率は特に限定されないが、１０〜８０重量％、より好ましくは２０〜７０重量％が好ましい。１０重量％以下では風合いが悪くなり、また８０重量％以上では水や低級アルコール等の溶剤に対する溶解性が悪化して好ましくない。
またブロック共重合体の数平均分子量は特に限定されないが、分子量が小さすぎるとブロック共重合体の耐湿性が悪化し汗や雨等により色落ちしやすいものとなってしまうため、５万以上、好ましくは６万以上とするのがよい。
【００１７】
本発明における上記ノニオン若しくはアニオンのシリコン系樹脂の配合量は、全体の組成物中で０．１〜１０重量％が好ましく、０．５〜５重量％がより好ましい。０．１重量％未満では二次付着性が充分とは言えず、１０重量％を越えると、使用後の仕上がりでセット力が強すぎる等の不具合が生ずる。
【００１８】
染毛助剤としては、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、フェノキシエタノール、プロピレングリコール、Ｎ−メチルピロリドン、グルコン酸ラクトン、レブリン酸、尿素、エチレンカーボネート、Ｎ−メチル−２−ピロリドン、α−ケトグルタル酸、γ−ブチロラクトン、プロピオンアミド、ｎ−酢酸アミド等、一般的な酸性染毛料（半永久染毛料）で使用されるものが１種又は２種以上を混合して用いられるが、この内染毛効果や処方系の安定性より、ベンジルアルコールやフェニルエチルアルコールが好ましい。
またその配合量は、全体の組成物中で３〜２０重量％が好ましく、５〜１５重量％がより好ましい。３重量％未満であると、染毛効果が十分に発揮されず、２０重量％を越えると、乾燥性が低下し、好ましくない。
【００１９】
低級アルコールとしては、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール等が１種又は２種以上が用いられるが、安全性、乾燥性、匂い等からエチルアルコールが望ましい。
上記低級アルコールの配合量は、全体の組成物中で３０〜８０重量％が好ましく、４０〜７０重量％がより好ましい。３０重量％未満であると、乾燥性が低下し、８０重量％を越えると染毛効果が十分に発揮されない。
【００２０】
水の配合量としては、全体の組成物中で５〜５０重量％が好ましく、１０〜３５重量％がより好ましい。５重量％未満であると、頭髪を充分に膨潤させる事が出来ず、染毛効果が低下する。また、５０重量％を越えると乾燥性が低下し、好ましくない。
【００２１】
本発明の一時染毛料のｐＨは２〜５が好ましく、２〜４がより好ましい。２未満であると皮膚への刺激がある場合があり、５を越えると染毛効果が低下する。なお本発明に於けるｐＨ調整は、ギ酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸等の有機酸、無機酸又はその塩、場合によってはアルカリを用いて行うことが出来る。
【００２２】
また本発明の一時染毛料の粘度は１００ｍＰａ・ｓ以下、好ましくは５０ｍＰａ・ｓ以下、更に好ましくは１０ｍＰａ・ｓ以下が望ましい。１００ｍＰａ・ｓを越えると毛髪へ多量に付着し、べたついた状態が持続されてしまい、又乾燥性も低下する為、使用直後に洗髪を行わず、そのままの状態を維持するのに適当で無い。
【００２３】
また、本発明における累積染毛性一時染毛料を配合して製造する場合に、特にシリコン系樹脂としてポリジメチルシロキサンとメタクリル酸及び／又はメタクリル酸エステルのブロック共重合体は、本発明の必須要件である酸性域の水に対しては凝集、析出を生じてしまい、一度凝集してしまった樹脂は、可溶性溶剤であるエチルアルコールを単に加えても再び溶解することはない。そこで、ポリジメチルシロキサンとメタクリル酸及び／又はメタクリル酸エステルのブロック共重合体をシリコン系樹脂として用いて累積染毛性一時染毛料の製造にあたっては、ポリジメチルシロキサンとメタクリル酸及び／又はメタクリル酸エステルのブロック共重合体とエチルアルコールの混合ビヒクルに対し水やその他の成分を配合し均一に攪拌・混合することが必要である。
【００２４】
このとき、ポリジメチルシロキサンとメタクリル酸及び／又はメタクリル酸エステルのブロック共重合体の析出を実施に支障が無いほどに防ぐためには、前記混合ビヒクル中のエチルアルコールと、配合される水との割合であるが、エチルアルコール：水の重量比が３：５よりエチルアルコールの比率を大きくする必要がある。
なお、本発明を構成するその他の配合物については、その配合順序は特に定められるものではないく任意の段階で配合してもよい。
【００２５】
また、本発明からなる染毛料を使用に供するにあたっては、その粘度の低さ、また期待される効果を充分に発揮するために用いられる塗布容器として、液体の吐出を防止する弁機能を備えた先端塗布体を有するペン型化粧容器が望ましい。
かかるペン型化粧容器としては、内部に染毛料の貯留部を有する内軸が外軸の内部に軸方向に移動自在に収納されているとともに、外軸の前端に取り付けた櫛付き塗布体と貯留部先端との間に、ノック体により内軸を外軸に対し前進させることにより開口する弁機構を介在させて、内軸先端から塗布部材へスポンジ等の吸蔵体を介して染毛料を供給可能に構成したものである。
【００２６】
かかるペン型塗布具の上記貯留部に本発明の累積染毛性一時染毛料が充填されて適用することにより、塗布部に対して必要な染毛料を供給しつつも粘度の低さからくる「たれ落ち」や不本意な液体の吐出を生じることなく、持ち運びやハンドリング性に優れた累積染毛性一時染毛料用容器とすることができる。
【００２７】
このようなペン型化粧容器を用いて、本発明の組成物を使用する際には、先端塗布体として櫛付きのブラシやペン芯等の液塗布部を使用することがより好ましい。その理由としては、本発明の累積染毛性一時染毛料は、使用直後の洗髪を不要とする為、一般の酸性染毛料等よりも比較的に低粘度であり、一般的な酸性染毛料と同じ使用方法では、毛髪のみならず、頭皮に付着してしまう可能性がある。
【００２８】
ペン型化粧容器は例えば、実公平８−４８８２号の第１図や第７図に示すものが好適に使用できる。この場合内軸を外軸に対し前進させて弁を開口する手段としては、第７図のような従来公知のノック体であってもよいし、第１図のような改良型で内軸先端に非円形の首部を設け、円周方向のある位相の位置で通過不能とする制止壁を配設して内軸の前進を阻止して液体の不本意な吐出を防止したものでもよい。特に、実公平８−４８８２号の第１図のような改良型は本発明に特に好適である。この場合、塗布体がブラシやペン芯の液塗布部と櫛、吸収体との組み合わせで構成される容器に充填して使用すれば、使用の際の頭皮への汚染を極力回避することができると共に、頭皮近辺の毛髪（生え際）へ染毛料を塗布することができ、粘度が低い本願の化粧料の性質を充分に生かして吸収体に化粧料を一時的に保持しブラシ・ペン芯等の塗布部を介して毛髪に最適量の化粧料を塗布できるものである。
【００２９】
本発明の組成物では、発明の効果や、系の安定性を損なわない範囲でその他の成分を適宜配合することが可能である。例えば各種界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、還元防止剤、キレート剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、油性成分、シリコーン誘導体、香料、動植物抽出物、公知のポリマー成分等が挙げられる。
【００３０】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明する。但し、本発明は下記実施例により制限されるものではない。
尚、下記実施例に於いて、特に記載しない限り配合量は重量％を示す。
【００３１】
実施例 １
下記に示す配合成分にて、ブロック共重合体のシリコン系樹脂（ポリジメチルシロキサンとメタクリル酸及び／又はメタクリル酸エステルのブロック共重合体；ポリジメチルシロキサンが３０％）とエチルアルコールとの混合ビヒクルをつくり、この混合ビヒクルに対して、下記に示す水、及び、その他の成分を配合し均一に攪拌・混合して、累積染毛性一次染毛料を得た。
だいだい色２０５号 ０．２０
ブロック共重合体のシリコン系樹脂 ０．５０
乳酸 ２．００
ベンジルアルコール １０．００
水 ３０．００
エタノール 残余
【００３２】
実施例 ２
ベンジルアルコールをフェニルエチルアルコールに変えた他は実施例１と同様にして下記に示す成分を配合し均一に攪拌・混合して、累積染毛性一次染毛料を得た。
だいだい色２０５号 ０．５０
紫色４０１号 ０．１０
黒色４０１号 ０．２０
ブロック共重合体のシリコン系樹脂 ２．５０
乳酸 ２．００
フェニルエチルアルコール １０．００
水 ３０．００
エタノール 残余
【００３３】
比較例 １
ブロック共重合体のシリコン系樹脂を配合しない他は、実施例１と同様にして一次染毛料を得た。
だいだい色２０５号 ０．２０
紫色４０１号 ０．１０
黒色４０１号 ０．２０
乳酸 ２．００
ベンジルアルコール １０．００
水 ３０．００
エタノール 残余
【００３４】
比較例 ２
ブロック共重合体のシリコン系樹脂に変えて、アニオン性酢酸ビニル系樹脂を使用した他は、実施例１と同様にして一次染毛料を得た。
だいだい色２０５号 ０．２０
紫色４０１号 ０．１０
黒色４０１号 ０．２０
アニオン性酢酸ビニル系樹脂 ２．５０
乳酸 ２．００
ベンジルアルコール １０．００
水 ３０．００
エタノール 残余
【００３５】
比較例 ３
ブロック共重合体のシリコン系樹脂に変えて、ベタイン基を有する両性高分子樹脂を使用した他は、実施例１と同様にして一次染毛料を得た。
だいだい色２０５号 ０．２０
紫色４０１号 ０．１０
黒色４０１号 ０．２０
ベタイン基を有する両性高分子樹脂 ２．５０
乳酸 ２．００
ベンジルアルコール １０．００
水 ３０．００
エタノール 残余
【００３６】
以上に示す実施例１、２及び比較例１〜３で得られた５種の累積染毛性一次染毛料を、実公平８−４８８２号の第１図のような改良型の櫛付きペン型化粧容器に充填し、各種製品試験の評価を行った。又、頭皮汚染性に関しては、市販の酸性染毛料容器（容器本体に組付けた櫛歯の注出口から、容器本体を握って加圧することで内容物を注出して毛髪に塗布する櫛歯容器で、櫛歯体の基端部にエアーを吸い込むエアーバック弁機構を設けたもの）に充填し、比較評価も行った。
【００３７】
【表１】

※備考 上記表に於いて
評 価：○良好、△やや悪い、×悪い
一時染毛性：塗布・乾燥後の、一次染毛料としての性能評価。
累積染毛性：塗布・乾燥・洗髪を繰り返し３回行った後の、累積染毛性の評価。
二次付着性：塗布・乾燥後に、水で湿らせた濾紙を押し当て、濾紙への色の付き具合で評価。色が付かないものを良好とする。
頭皮汚染性：各容器での塗布時の、頭皮への汚染度合いで評価。
【００３８】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の累積染毛性一時染毛料は、着色剤として無機顔料を含まず、酸性染料のみからなるために粘度が低くても沈降物が生じないので、使用にあたって撹拌などの再分散をする煩わしさがない。また、ノニオン若しくはアニオンのシリコン系樹脂を含有していることから、二次付着性、特に耐水性を向上して繰り返しの使用により徐々に染毛する機能を発揮する。また使用後の洗髪を必ずしも必要としない等の効果を発揮する。

Claims (3)

1. 着色剤として酸性染料を０．０１〜３重量％、ポリジメチルシロキサンとメタクリル酸及び／又はメタクリル酸エステルとのブロック共重合体であるノニオン若しくはアニオンのシリコン系樹脂を０．１〜１０重量％、染毛助剤を３〜２０重量％、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノールから選ばれる１種又は２種以上の低級アルコールを３０〜８０重量％、水を５〜５０重量％、ギ酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸から選ばれる有機酸、無機酸又はその塩を含有し、ｐＨが２〜５、粘度が１００ｍＰａ・ｓ以下であることを特徴とする累積染毛性一時染毛料。
2. 内部に染毛料の貯留部を有する内軸が外軸の内部に軸方向に移動自在に収納されているとともに、外軸の前端に取り付けた櫛付き塗布体と貯留部先端との間に、ノック体により内軸を外軸に対し前進させることにより開口する弁機構を介在させて、内軸先端から塗布部材へ染毛料を供給可能に構成したペン型塗布具の上記貯留部に請求項１に記載の累積染毛性一時染毛料が充填されていることを特徴とする累積染毛性一時染毛料のペン型塗布容器。
3. 各成分の配合順位として、少なくともブロック共重合体であるシリコン系樹脂と低級アルコールとの混合ビヒクルに水を配合し攪拌することを特徴とする請求項１に記載の累積染毛性一時染毛料の製造方法。