JP4478923B2 - 木質点字プレートの製造方法、並びにこれにより得られた木質点字プレート及び木質点字建築部材 - Google Patents

木質点字プレートの製造方法、並びにこれにより得られた木質点字プレート及び木質点字建築部材 Download PDF

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本発明は、木質点字プレートの製造方法、並びにこれにより得られた木質点字プレート及び木質点字建築部材に関するものである。
従来、凸形状の点字を備えた点字プレートは各種方法によって製造されていた。例えば、まず、第1に、ステンレスなどの金属製プレートに裏面からポンチングを行い点字を形成する方法があった。第2に、樹脂製プレートに裏面からポンチングを行い点字を形成する方法があった。第3に、木質プレートに鋲などを打ち込み点字を形成する方法があった。第4に、インクに樹脂を混ぜ合わせてインクジェット方式により紙などに盛り上げて印刷や立体コピーを行い点字を形成する方法があった(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。また、切削によって木材の表面に凸形状の点字を形成することもできる。更に、柱、壁や手摺りなどの木質建築部材の表面に凸形状の点字を設ける際には、鋲などを打ち込む方法、切削による方法、金属製の点字プレートを埋め込む方法などを用いていた。
特開2001−5375号公報 特開2003−208092号公報
しかしながら、従来の各種方法によって製造された点字プレートには、それぞれ問題があった。第1の金属製プレートに点字を形成した場合においては、指先などで触れたときの触感が冷たいという問題があった。第2の樹脂製プレートに点字を形成した場合には、過荷重を加えると点字の凸形状が容易に崩れるなど強度が低い問題というがあった。第3の木質プレートに鋲などを打ち込み点字を形成した場合においては、点字の凸形状自体は鋲などの金属製であるため触感が冷たく、また、鋲などの抜け出しや飛び出しにより危険を伴うことがあるという問題があった。第4のインクジェット方式により点字を形成した場合には、点字の凸形状が不安定であるため触感が一定せずに認識性が悪く、更に、点字の凸形状の強度が非常に低く、耐久性にも欠けるという問題があった。また、切削によって木材の表面に点字を形成する場合においては、加工が非常に困難であるとともに、点字の凸形状の強度や耐久性が低いという問題があった。更に、木質建築部材の表面に点字を形成した場合においても、上記と同様な問題があったとともに、部材と一体化した点字を形成するには切削による方法しかなかった。
本発明は、上記した事情や問題に鑑みてなされたものであり、触感が温かく、強度や耐久性の優れた木質点字プレートの製造方法、並びにこれにより得られた木質点字プレート及び木質点字建築部材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の木質点字プレートの製造方法は、所定の圧力を有する蒸気雰囲気内において木質材料からなる板状の木質部材を加熱し軟化させる軟化工程と、所望する点字の各点の位置に対応して設けた凹部を有する形状を備えた金型の押圧面を前記木質部材の少なくとも一方の面に押圧し、該木質部材を圧縮して、該木質部材の一方の面から突出する凸形状の点字を形成する圧縮工程と、所定の圧力を有する蒸気雰囲気内において前記木質部材を圧縮したまま加熱し形状を固定する固定工程と、前記蒸気雰囲気を開放し前記木質部材を冷却する冷却工程と、を具備する木質点字プレートの製造方法であって、前記金型の凹部を有する形状が貫通穴であり、且つ、該貫通穴の押圧面側の端部に曲線状の傾斜を有するテーパが設けられていることを特徴としている。
請求項1に記載の木質点字プレートの製造方法によれば、所定の圧力を有する蒸気雰囲気内において木質材料からなる板状の木質部材を加熱し軟化させる軟化工程と、所望する点字の各点の位置に対応して設けた凹部を有する形状を備えた金型の押圧面を木質部材の少なくとも一方の面に押圧し、木質部材を圧縮して、木質部材の一方の面から突出する凸形状の点字を形成する圧縮工程と、所定の圧力を有する蒸気雰囲気内において木質部材を圧縮したまま加熱し形状を固定する固定工程と、蒸気雰囲気を開放し木質部材を冷却する冷却工程と、を具備している。従って、少なくとも一方の面から突出した所望する凸形状の点字を備えた木質点字プレートを得ることができる。また、圧縮工程において、木質部材を圧縮して木質点字プレートを製造しているので、木質点字プレートは圧密化されており、圧縮前の木質材料に比べて全体及び表面の強度や耐候性を向上することができる。なお、木質材料とは、木材の他、木粉、廃パルプ、紙など、セルロースを主成分とする各種材料を意味する。
また、前記貫通穴の押圧面側の端部に曲線状の傾斜を有するテーパが設けられていることから、木質点字プレートの凸形状の点字を更に鮮明に形成することができ、木材の年輪による違いを少なくすることができる。
触感が温かく、強度や耐久性の優れた木質点字プレートの製造方法、並びにこれにより得られた木質点字プレート及び木質点字建築部材を提供するという目的を、木質部材を加熱し軟化させる軟化工程と、凹部を有する形状を備えた金型の押圧面を木質部材に押圧させて圧縮する圧縮工程と、木質部材を圧縮したまま加熱し形状を固定する固定工程と、木質部材を冷却する冷却工程と、を具備することにより実現した。
以下、本発明の本発明を実施するための最良の形態に係る木質点字プレートの製造方法について図面に基づいて説明する。該木質点字プレート30の製造方法は、図1(a)から図1(d)に示すように、所定の圧力を有する蒸気雰囲気内において木質材料からなる板状の木質部材であるスギ板材10を加熱し軟化させる軟化工程と、所望する点字の各点の位置に対応して設けた凹部を有する形状22を備えた金型20の押圧面21をスギ板材10の少なくとも一方の面11に押圧し、該スギ板材10を圧縮して、スギ板材10の一方の面11から突出する凸形状の点字12を形成する圧縮工程と、所定の圧力を有する蒸気雰囲気内においてスギ板材10を圧縮したまま加熱し形状を固定する固定工程と、蒸気雰囲気を開放しスギ板材10を冷却する冷却工程と、を具備する製造方法である。
まず、図1(a)に示すように、木質部材であるスギ板材10と、凹部を有する形状22を押圧面21に備えた金型20を用意する。本形態においては、気乾状態の厚さが10mmのスギ板材10を用いる。ここで、気乾状態とは、空気中で乾燥した場合における状態であり、内部に水分を含んだ含水状態である。なお、気乾状態のスギ板材10などの木質部材は、天然乾燥や乾燥機による人工乾燥などにより形成される。一方、金型20として、本形態においては、金属薄板である厚さ3mmのアルミニウム板を用いる。この金型20は、木質点字プレート30に印字する所望の点字の各点の位置に対応して設けた多数の凹部を有する形状22を備え、他の部分は平らな面である押圧面21を具備する。本形態においては、凹部を有する形状22として直径1.5mmの貫通穴22をドリルによる穴開け加工によって設ける。
木質部材であるスギ板材10を所定の圧力を有する蒸気雰囲気内において加熱し軟化させる軟化工程を行なう。図1(b)及び図2に示すように、スギ板材10を治具101に固定し、スギ板材10の上面11に金型20の押圧面21を接触させて載置した状態として蒸気処理装置100の圧力容器102内に搬入し、治具103により圧力容器102に固定する。ここで、蒸気処理装置100は、図2に示すように、密閉された圧力容器102内に水蒸気などの高温蒸気を、配管104を通して外部のボイラなどの蒸気発生器105から供給することにより、圧力容器102内に高圧高温の蒸気雰囲気を形成する装置である。この蒸気処理装置100の圧力容器102内に、その上面11に金型20が載置されたスギ板材10を120℃の高圧水蒸気雰囲気内において10分間放置し軟化処理を行なう。なお、木質部材の木質材料によって、軟化処理に適切な高圧水蒸気の温度は40℃から150℃と異なり、また、適切な処理時間も異なる。軟化処理により、水蒸気および水蒸気によって加熱された金型20の熱を吸収して、スギ板材10などの木質部材は軟化、即ち可塑化する。これにより、木質部材は、通常時の約1割の荷重にて降伏変形に至るようになる。つまり、軟化処理によって、木質部材をより自由に塑性変形させることが可能になる。
次に、図1(c)に示すように、金型20の押圧面21を木質部材であるスギ板材10の一方の面である上面11に押圧し、該スギ板材10を圧縮して、スギ板材10の上面11に突出する凸形状の点字12を形成する圧縮工程を行なう。前記蒸気処理装置100の圧力容器102内にて、スギ材板10の上面11に載置された金型20を下方に押圧して、スギ板材10を圧縮する。具体的には、前記高温高圧水蒸気雰囲気内において、図2に示すように、蒸気処理装置100に内蔵されたプレス成形機106によって、金型20を下方に押圧し、スギ板材10の厚さが約半分の約5mmとなるまで圧縮する。なお、金型20の上面に、その下面が金型20の上面全体に均一に接するような平面状のステンレス製などの押圧介在具107を載置しておき、この押圧介在具107をプレス成形機107によって押圧すれば、金型20の押圧面21をスギ材板10の上面11全面に渡って満遍なく均一の圧力を掛けることができるので好ましい。
ところで、圧縮工程において、金型20の押圧面21をスギ板材10の上面11に押圧し、スギ板材10を圧縮しているが、金型20の押圧面21には凹部を備えた形状として貫通穴22が設けられている。この貫通穴22を設けた部分以外の金型20の押圧面21は平面であり、スギ材板10を直接押圧する。一方、貫通穴22に対向する部分のスギ板材10は、直接金型20から押圧されることがないので、スギ板材10が圧縮されることにより金型20に直接押圧される部分に比べて相対的に盛り上がり、その上面11から上方に突出する凸形状の点字12が形成される。
次に、木質部材であるスギ板材10を圧縮したまま所定の圧力を有する蒸気雰囲気内において形状を固定する固定工程を行なう。これは、圧縮工程において、スギ材板10に形成した形状を永久に固定するために行なう。図2に示す蒸気処理装置100の圧力容器102内に、配管104を通して外部の蒸気発生器105から高温の水蒸気を更に供給し、180℃以上の高圧水蒸気雰囲気内において10分間放置し処理を行なう。これにより、スギ板材10などの木質部材の主成分であるセルロースの結晶構造が変化し形状を記憶するともに、木質部材の他の成分であるヘミセルロースやリグニンが低分子化することによって、圧縮時に発生した木質部材内部の残留応力が緩和される。
更に、木質部材であるスギ板材10を圧縮状態のまま蒸気雰囲気を開放して冷却する冷却工程を行なう。図2に示す蒸気処理装置100の配管108から高温高圧水蒸気を排気することによって圧力容器102内を除圧するとともに、自然冷却によって除冷を行なう。なお、水冷や空冷により強制冷却を行なってもよい。木質部材が冷却される過程において、木質部材内部の残留応力が更に緩和され、この応力緩和の過程において、表層側は冷却されやすく緩和が進みやすいものの、内層は熱が残っているために応力緩和が進みにくく、相対的に内部応力が残留しやすい。この内層に残留した内部応力によって、木質部材の表層は一層圧密化される。最後に、図1(d)に示すように、スギ板材10を蒸気処理装置100の外部に搬出し、圧縮状態から解除して取り出すことにより、その上面31から突出する凸形状の点字32を備えた木質点字プレート30を得る。
本形態による木質点字プレートの製造方法にて得られた木質点字プレート30は、図1(d)に示すように、スギ材からなる厚さ約5mmの板状の上面31に平均高さ約0.3mmの凸形状の点字32を備えるものである。この凸形状の点字32は、視覚障害者などが指先などにて触ることにより点字として十分に認識することができるものである。また、この木質点字プレート30は、圧縮前のスギ板材10に比べて約半分の厚さに圧縮され圧密化されているので、比重が約2倍になっており、木質点字プレート30自体の強度や表面硬さは、圧縮前のスギ板材10と比較して非常に向上している。また、耐候性にも優れている。また、木質点字プレート30全体が、全て天然材料である木材から構成されているので、自然に優しく環境に調和している。また、金属やプラスチックとは異なり、触った感触も温かい。木に触れることが人間に精神的な安定をもたらすとの報告もある。木材特有の風合いは見た目にも美しくナチュラルテイストであり,健常者が木質点字プレート30に興味を示すことにより、障害者への理解が増すことも期待できる。また、製造方法も、化学薬品などを用いておらず、高圧高温水蒸気のみにより処理することが可能である。また、製材によって排出される端材や間伐材などを有効利用することができる。
なお、前記圧縮工程においては、スギ板材10の厚さを約1/2に圧縮したが、これに限定されることはなく、4/5から1/5程度に圧縮してもよい。スギはその比重が約0.3であり、スギなどの木質部材の主成分であるセルロースやリグニンの比重である約1.5まで圧縮することが可能であるので、スギ板材10は1/5程度にまで圧縮することができる。また、木質材料としてスギに限定されることはなく、各種木材を用いることができる。例えば、ナラ材を用いた場合には、比重が約0.7であるので、1/2程度まで圧縮することができ、ヒノキ材を用いた場合には、比重が約0.4であるので、1/4程度まで圧縮することができる。ただし、ナラ材などの比重が大きく硬い材を用いることは好ましくなく、比重が0.7以下、より最適には0.65以下の木質材料を用いることが好ましい。
なお、金型20は、その押圧面21が凹部を有する形状として貫通穴22を備えるが、この貫通穴22の押圧面21側の端部に、押圧面21側に向かって漸次拡径するようにテーパを設けることが好ましい。例えば、図3(a)に示すように、金型200の貫通穴22の押圧面21側の端部に、直線状の傾斜を有するテーパ23を設ける。また、図3(b)に示すように、金型201の貫通穴22の押圧面21側の端部に、曲線状の傾斜を有するテーパ24を設ける。このようなテーパ23、24を設けることにより、木質点字プレート30の凸形状の点字32を更に鮮明に形成することができ、木材の年輪による違いを少なくすることができる。更に、図3(c)などに示すように、金型40は、その押圧面41が凹部を有する形状として、凸形状の点字32の形状に合わせて、略半球状の凹部を先端に備えた凹部42であってもよい。このような凹部42を設けることにより、各点がより均一で形状の安定した凸形状の点字32を形成することができる。
なお、図4(a)から図4(d)に示すように、スギ板材10の上面11を押圧する金型20に追加して、スギ板材10の下面13にその押圧面51を接して押圧する下金型50を用いる木質点字プレートの製造方法であってもよい。この下金型50は、金型20と同様に、厚さ3mmのアルミニウム板からなる金属薄板に、木質点字プレート300の下面330に印字する所望の点字の各点の位置に対応して設けた凹部を有する形状として直径1.5mmの貫通穴52を備えた押圧面51を具備する。図4(b)に示すように、下金型50を治具101(図2参照)とスギ板材10の下面13との間に載置したまま、前記軟化工程、圧縮工程、固定工程及び冷却工程の各工程を、前記形態と同様に行なう。これによって、図4(d)に示すように、木質点字プレート300の下面330から下方に突出する凸形状の点字340が形成される。このように、スギ板材10の上面11と下面13を金型20及び下金型50にて挟み込み、各工程を行なうことによって、木質点字プレート300の上面310と下面330とに異なる凸形状の点字320、340を形成することができる。
また、図5(a)から図5(d)に示すように、略半球状の凹部を先端に備えた凹部を有する形状42を押圧面41に備えた金型40を用いて、スギ板材10の上面11を押圧し、金型40の凹部を有する形状42を略反転させた凸部を有する形状57を押圧面56に備えた下金型55を用いて、スギ板材10の下面13を押圧する木質点字プレート301の製造方法であってもよい。この下金型55は、金型40の凹部を有する形状42を略反転させた凸部を有する形状57、即ち略半球状の凸部を先端に備え押圧面56である上面から上方に突出した凸部を有する形状57を備える。図5(b)に示すように、下金型55を治具101(図2参照)とスギ板材10の下面13との間に載置したまま、前記軟化工程、圧縮工程、固定工程及び冷却工程の各工程を、前記形態と同様に行なう。これによって、図5(d)に示すように、木質点字プレート301の上面311から突出する凸形状の点字321の下方に位置する下面331に、上方に向かって陥没した凹形状341が形成される。これにより、点字を設けた部位と設けない部位との板厚をほぼ等しくすることができ、破損などの不具合を削減することができるため、特に、薄厚の木質点字プレート301をより良好に製造することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態の変形に係る木質点字プレートの製造方法について図面に基づいて説明する。本変形の形態においては、図6(a)から図6(d)に示すように、凹部を有する形状62を略円筒状の押圧面61に備えるローラ金型60を用いた木質点字プレート301の製造方法である。ローラ金型60は、略円筒状の金属からなるものであり、その略円筒面の表面を押圧面61として、木質点字プレート302に印字する所望の点字の各点の位置に対応して設けた凹部を有する形状62を備えている。本形態においては、略半球状の凹部を先端に備えた凹部を有する形状62を備えている。木質材料からなる板状の木質部材として、前記スギ板材10を用いる。
木質部材であるスギ板材10を所定の圧力を有する蒸気雰囲気内において加熱し軟化させる軟化工程を行なう。スギ板材10を治具101に固定した状態において、図示しない蒸気処理装置の圧力容器内に搬入し、120℃の高温高圧水蒸気にて10分間放置し軟化処理を行なう。
次に、図6(c)に示すように、ローラ金型60の押圧面61を木質部材であるスギ板部材10の一方の面である上面11に押圧し、該スギ板材10を圧縮して、スギ板材10の上面11に突出する凸形状の点字12を形成する圧縮工程を行なう。前記高温高圧水蒸気雰囲気内において、図示しない蒸気処理装置に内蔵されたローラプレス機によって、スギ板材10の厚さが約半分の約5mmとなるように、ローラ金型60の下端と治具の載置面との距離を約5mmの一定距離を保ちながら、ローラ金型60を一定速度にて回転させることにより押圧部位を転動させながら、スギ板材10を圧縮する。この圧縮時に、ローラ金型60の押圧面61の凹部を有する形状62に対向する部分に位置するスギ板材10の部分は、直接ローラ金型60から押圧されることがなく、ローラ金型60に直接押圧される他の部分に比べて相対的に盛り上がり、上面11から上方に突出する凸形状12が形成される。
次に、木質部材であるスギ板材10を圧縮状態のまま所定の圧力を有する蒸気雰囲気内において形状を固定する固定工程を行なう。蒸気処理装置の圧力容器内に、高温の水蒸気を更に供給し、180℃以上の高圧水蒸気にて10分間処理を行なう。更に、木質部材であるスギ板材10を圧縮状態のまま蒸気雰囲気を開放して冷却する冷却工程を行なう。最後に、図6(d)に示すように、木質点字プレート302を取り出す。なお、スギ板材10を治具101の平らな載置面に載置させ固定し圧縮したが、スギ材板10の上下面をローラ金型にて一定の距離を保持したまま挟み込みながら回転させることにより、スギ材板10を圧縮し凸形状の点字を形成してもよい。
以下、本発明を実施するための最良の形態の別の変形に係る木質点字プレートの製造方法について図面に基づいて説明する。本変形の形態においては、図7(a)から図7(d)に示すように、木質部材として木粉70を用い、この木粉70を箱状の金属枠80の中に充填させ、その上に金型40を載置して圧縮を行なう木質点字プレート303の製造方法である。まず、図7(a)に示すように、木質部材として気乾状態のスギの切削屑からなる木粉70を、上面が開放された箱状の金属枠80の中に充填し、木粉70の上面71が均一になるように押し込み圧縮する。なお、予め木粉を圧縮して板状としたものを用いてもよい。一方、金型40として、凸形状の点字313の形状に合わせて、略半球状の凹部を先端に備えた凹部42を有する押圧面41を備える金型40を用いる。
図7(b)に示すように、木粉70を充填した金属枠80を治具101(図2参照)に固定し、木粉70の上面71に金型40の押圧面41を接触させて載置したまま、図2に示す蒸気処理装置100の圧力容器102内に搬入する。その後、前記軟化工程、圧縮工程、固定工程及び冷却工程の各工程を、前記形態と同様に行なう。これによって、図7(d)に示すように、上面313から突出する凸形状の点字323を備えた木質点字プレート303を製造することができる。このように、木質部材として木粉70を用いることにより、年輪や木目などに影響を受けないので、圧縮率がより均一となるため、割れやひびなどの発生を更に削減することができる。また、廃品となる木粉70を有効利用することができる。なお、木粉70の他に、廃パルプ材や細砕された紙などを用いてもよい。
以下、本発明を実施するための最良の形態の更に別の変形に係る木質点字プレートの製造方法について図面に基づいて説明する。本変形の形態においては、図8(a)から図8(d)に示すように、木質部材として紙90を用い、紙90をスギ板材10の上に載置し、スギ板材10とともに圧縮を行う木質点字プレート303の製造方法である。図8(a)に示すように、木質部材として前記スギ板材10と、所望する凸形状の点字の形状に合わせて、略半球状の凹部を先端に備えた凹部22を有する押圧面21を備える金型20を用いる。更に、木質部材として、厚紙や和紙などの高強度の厚い紙90を用いる。
図8(b)に示すように、スギ板材10を治具101(図2参照)に固定し、その上面11に紙90を介して金型20の押圧面21を接触させて載置した状態とし、図2に示す蒸気処理装置100の圧力容器102内に搬入し、軟化工程としてアンモニアガス雰囲気内において10分間放置し軟化処理を行なう。このアンモニアガス雰囲気は常温常圧でよい。その後、前記圧縮工程、固定工程及び冷却工程の各工程を、前記形態と同様に行う。ただし、圧縮工程及び固定工程は、軟化工程と同様に、アンモニアガス雰囲気内において行う。これによって、図8(d)に示すように、上面313から突出する凸形状の点字323を備えた紙製の木質点字プレート303を製造することができる。
更に、上記各形態によって得られた木質点字プレート30、300〜303を加工して凸形状の点字32、320〜323をその表面に備えた、柱、壁や手摺りなどの木質点字建築部材を製造することができる。予め凸形状の点字32、320〜323をその表面31、310〜313に備えた木質点字プレート30、300〜303を加工するので、埋め込みなどにより後付けすることなく、点字が一体化して設けられた木質点字建築部材を得ることができる。なお、金型と下金型の押圧面を平面ではなく互いに略反転させた曲面とすることにより、表面に凸形状の点字を備えた曲面からなる木質点字プレートや木質点字建築部材を得ることができる。
点字をその表面に備えた各種木質部材及びその製造方法等に適用することが可能である。
本発明の実施の形態に係る木質点字プレートの製造方法を製造順序に沿って示す断面図である。 図1(c)に示す圧縮工程などを行なう際に用いる蒸気処理装置を示す断面図である。 図1に示す金型の他の形態を示す部分断面図である。 本発明の実施の形態の変形に係る木質点字プレートの製造方法を製造順序に沿って示す断面図である。 本発明の実施の形態の他の変形に係る木質点字プレートの製造方法を製造順序に沿って示す断面図である。 本発明の別の実施の形態に係る木質点字プレートの製造方法を製造順序に沿って示す断面図である。 本発明の更に別の実施の形態に係る木質点字プレートの製造方法を製造順序に沿って示す断面図である。 本発明の更に別の実施の形態に係る木質点字プレートの製造方法を製造順序に沿って示す断面図である。
符号の説明
10 スギ板材(木質部材)
11 上面
12 凸形状の点字
20、40 金型
21、41 押圧面
22 貫通穴(凹部を有する形状)
30、300〜304 木質点字プレート
80 木粉(木質部材)
90 紙(木質部材)

Claims (1)

  1. 所定の圧力を有する蒸気雰囲気内において木質材料からなる板状の木質部材を加熱し軟化させる軟化工程と、
    所望する点字の各点の位置に対応して設けた凹部を有する形状を備えた金型の押圧面を前記木質部材の少なくとも一方の面に押圧し、該木質部材を圧縮して、該木質部材の一方の面から突出する凸形状の点字を形成する圧縮工程と、
    所定の圧力を有する蒸気雰囲気内において前記木質部材を圧縮したまま加熱し形状を固定する固定工程と、
    前記蒸気雰囲気を開放し前記木質部材を冷却する冷却工程と、を具備する木質点字プレートの製造方法であって、
    前記金型の凹部を有する形状が貫通穴であり、且つ、該貫通穴の押圧面側の端部に曲線状の傾斜を有するテーパが設けられていることを特徴とする木質点字プレートの製造方法。
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