JP4478211B2 - 中空なステアリングラック軸およびその製造方法 - Google Patents

中空なステアリングラック軸およびその製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車の操舵装置の部品であるステアリングラック軸およびその製造方法に関する。近年、自動車の軽量化を目的として従来中実であった軸などを中空にすることが図られているが、本発明が対象とするのはこのような中空なステアリングラック軸である。本発明は中空なステアリングラック軸を塑性加工によって製造する場合に生ずる精度上の問題点を解決することを目的とする。
【0002】
【従来の技術】
図9は従来からの中空なステアリングラック軸51を示す外観図であって、ステアリングラック軸は円形断面の軸の長さの一部、たとえば半分程度にラック52が形成されているものである。ラック軸を軽量化のため中空にするには、以前は棒材にラック部を切削加工により形成した後に穴をあける方法が行なわれていた。その後材料の無駄を減らすため素材として中空なもの、すなわち鋼管を使用してラックを形成する方法が開発された。この場合、切削加工ではラックを形成した部分の肉厚が薄くなって必要な強度を確保するのが困難なので、塑性加工による製造方法が実施されている。
【0003】
素材に鋼管を使用して塑性加工によりラック部を形成し、全長が中空なステアリングラック軸とする方法は特公平3−5892号公報において冷間加工を可能にした発明が示され、これを改良した方法が現在行なわれている。この方法は鋼管のラックを形成すべき個所をまず潰して平面にし、この個所にラック形成型を当てて置いて鋼管の内部にマンドレルを挿入して順次しごき加工をして材料を隆起させ、ラック形成型に従ってラックを形成するものである。これら鋼管を潰す加工やラックを形成する加工は、鋼管の加工すべき個所以外の周囲が変形するのを防止するために、鋼管を割型内に収容した状態で行なわれる。
【0004】
ところで、上記のような塑性加工によって中空なステアリングラック軸を製造した場合、ラックの軸方向両端の数個程度の歯の幅が他の部分の歯幅より小さくなるという現象が起きる。図10はこのような現象が生じた従来からのステアリングラック軸51におけるラックの歯52のこれに平行な断面図であって、(a)図はラックの軸方向中央部付近の歯、(b)図は端部の歯を示している。この図に見るように歯幅が小さくなる様子は、歯の根元近傍における幅D2 は変わらないが歯先部における幅D1 が小さくなるものであって、歯幅端部の肩53がなだれ落ちた形状になっている。図11は従来からのステアリングラック軸においてラックの全長に亘って歯先部における歯幅、すなわち図10におけるD1 を実測したグラフであるが、特に一番端の歯においては歯幅が著しく小さくなっていることがわかる。上記のようなラックの軸方向端部において歯幅が小さくなる現象はステアリング装置において必ずしも不都合なものではなく、塑性加工によって製造された中空なステアリングラック軸においては必然的なものとして受け入れられてきた状況にある。
【0005】
ところでラックの歯幅に関連した技術として特開平6−344926号公報があり、この発明はラック歯の有効噛合幅を中央から両端に向かって連続的または段階的に変化させたことを特徴とするラックピニオン式舵取装置のラックバーを要旨としている。そして実際には、歯幅をラック軸の軸方向中央部から両端に向かって順次小さくしたラックバーが示されており、このようにすることによって製造上・組立上の誤差を吸収してガタ付きのない操舵を可能にするとしている。この場合の具体的なラックの歯の形状として、ラック歯の一部または全部を略クラウン形状に膨らませた歯形とすることで前記有効噛合幅の変化を達成すると共に、各ラック歯の強度上の横幅をも確保できるとしている。
【0006】
すなわち特開平6−344926号公報においては、歯先における歯幅を「有効噛合幅A」とし、歯元に近い位置の噛合点における歯幅を「強度上の横幅B」としている。そしてAはラック軸の軸方向中央部から端部に行くに従って小さくなるが、Bの方はほぼ一定にしてラックの強度は確保するとしている。これは先に示した図10おけるD1 がAに、D2 が概略Bに対応していることになり、従来からの塑性加工によって形成したステアリングラック軸における軸方向中央部と両端とのラックの歯形の差異に類似している。そして製造方法に関しては特開平6−344926号公報には、このような形態のラックは塑性加工や切削加工いずれでも製造可能であり、また有効噛合幅が一定の従来品を研磨加工すれば良いと記載されている。しかしながら中空なステリングラック軸を塑性加工で普通に製造した場合、格別に意図しなくても前記のようにラックの軸方向両端部近傍の歯幅が他の部分の歯幅より小さくなるのである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
先に述べたようにラックの長さ方向端部において歯幅が小さくなる現象はステアリング装置において必ずしも不都合なものではないため、従来問題にされることは少なかった。しかしラックの歯全体について歯幅の最低限は指定されるのが普通であり、製造可能な歯幅の上限は素材の鋼管の直径に応じて当然あるので、ラックの長さ中央部と端部との歯幅の差が結果的に制限を受けることになる。このようなことから従来のようにラック端部の歯幅が制御不能な要因で変動する状態は好ましいことではない。本発明は上記のことから中空なステリングラック軸を塑性加工で製造した場合に、ラックの軸方向端部の歯幅を制御できる技術を開発することにより端部の歯幅が減少するのを抑止することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するものであって、鋼管を素材としてマンドレルによる塑性加工によりラックを形成させた中空なステアリングラック軸において、ラックの軸方向両端部に、面積S[mm]が下式を満足するラックの歯元の高さの平坦部を有し、ラック中央の2または3の歯における平均の歯幅に対するラック両端の歯幅の減少率が歯先において10%以下であることを特徴とする中空なステアリングラック軸である。
S≧0.8×P×W
ただしP[mm]はラックのピッチ、W[mm]は平坦部の幅。
【0009】
また本発明は、鋼管の長さの一部分を押圧して外面円周の一部を平面状とし、前記平面状にする加工をした鋼管をラック形成型を内面に有する割型内に収容してラック形成型を平面状にされた部分に接触させ、マンドレルを鋼管の内部に押込むことにより前記平面状にされた部分の内面を順次しごき加工をして前記ラック形成型に従ってラックを形成する中空なステアリングラック軸の製造方法において、ラック形成型のラックの軸方向両端部に、ラック歯元に対応する高さであって面積S[mm2 ]が下式を満足する平坦部を設けることにより、ラック中央の2または3の歯における平均の歯幅に対するラック両端の歯幅の減少率を歯先において10%以下にしたことを特徴とする中空なステアリングラック軸の製造方法である。
S≧0.8×P×W
ただしP[mm]はラックのピッチ、W[mm]は平坦部の幅。
また前記の中空なステアリングラック軸またはその製造方法において、ラックの歯がラック軸の軸方向に対して斜めになっている場合に、前記平坦部のラックの軸方向長さが、最も小さい個所においても0.4×P以上であることも特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明における中空なステアリングラック軸は鋼管を素材として塑性加工によって製造されるものであることを前提としている。先にも述べたようにラック部の厚みの確保の問題から、鋼管を素材としてステアリングラック軸を製造する場合切削加工は好ましくなく、塑性加工による方法が適している。本発明はこのような塑性加工によって製造されたステアリングラック軸に特有な問題点を解決することを目的としている。本発明において塑性加工は通常以下に説明するような方法で行なわれる。
【0011】
すなわちまず図3の縦断面図、図4の横断面図に示すように、鋼管11の全周を取り囲む割型12、13に鋼管の長さの一部分を収容する。この割型の上型12には鋼管のラックを形成すべき部分に対応した個所に縦穴14が貫通している。この状態で縦穴14にポンチ15を挿入してこの部分の鋼管11を押圧して平面にする。このようにして鋼管の長さの一部分について外面円周の一部が平面になったものが作られる。なお鋼管を全周を取り囲む割型に収容しなくても平面を設けること自体は可能であるが、所定の個所だけ平面にしてそれ以外の鋼管の外周は変形させないために割型を使用する。なお上記の平面は完全な平面ではなく、たとえば幅方向中央部をわずかに高くするといったことも行なわれる。この明細書の一部に使用されている平面状という用語は特にこのようなことを意識したものである。
【0012】
次いで図5の縦断面図、図6の横断面図に示すように、鋼管11の全周を取り囲む別の割型17、18に鋼管の平面が形成された部分を収容する。この割型の内部にはラック形成型19が設けられ、鋼管の平面が形成された部分に接触するようになっている。後に説明するようにラック形成型19は本発明の特徴点を有するものを示しており、ラックの軸方向両端部にあるラック歯元に対応する高さになっている部分23、24の面積が従来のものより大きくなっている。この状態で鋼管の内部にマンドレル20を押し込み、平面状にされた部分の内面を順次しごき加工をして内部から材料を盛り上げ、ラック形成型19に従ってラックを形成させる。図5、図6はラック形成が完了した状態を示している。
【0013】
マンドレル20は少しずつ寸法の異なるものを使用して複数回のストロークにより加工を行なうことになるが、全長の複数個所にしごき加工個所である突起21を有するマンドレルを使用すればストローク数を減らすことができる。マンドレルの挿入は鋼管の片方から行なう方法と、挿入装置を両側に設けて両側から交互に挿入することにより能率向上を図る方法とがある。なおこれらの塑性加工はすべて冷間で行なわれる。なお、ラック形成型19の部分は割型の上型17と一体にしても原理的には差し支えないが、大きな力を受けるため比較的寿命が短いので、図5および図6に示したようにラック形成型の部分だけ独立させて割型に取付けて使用するようにするのが好ましい。
【0014】
以上が鋼管を素材として塑性加工によりラックを形成させる一般的な方法であるが、ここにおいて本発明の中空なステアリングラック軸は、ラックの軸方向両端部に、面積S[mm2 ]が0.8×P×W以上のラックの歯元の高さの平坦部を有するものである(ただし、P[mm]はラックのピッチ、W[mm]は平坦部の幅)。図1は本発明のステアリングラック軸1の平面図であるが、ラックの歯2の向きがラック軸の軸方向Yに対して斜めになっている例を示している。3、4が平坦部であって、ラックのピッチPおよび平坦部の幅Wも併せて示している。図2(a)は同じく本発明のステアリングラック軸1の平面図であるが、ラックの歯2の向きがラック軸の軸方向Yと直角な場合を示している。この場合は平坦部3、4の面積Sは、W×Lであるから(ただし、L[mm]は平坦部のラックの軸方向長さ)、本発明の条件式、S≧0.8×P×Wは、L≧0.8×Pと書き変えられる。つまり平坦部3、4のラック軸の軸方向長さLがラックのピッチPの0.8倍以上であれば良いことになる。
【0015】
またさらに図1のようにラックの歯2がラック軸の軸方向Yに対して斜めになっている場合においては、平坦部の面積Sについて本発明の条件式、S≧0.8×P×Wを満足すると同時に、平坦部3、4のラック軸方向長さについて、最も小さい個所(図中L1 で示す)においても0.4×P以上を確保することが好ましい。これにより本発明が目的とするラック中央の2または3の歯における平均の歯幅に対するラック両端の歯幅の減少率を歯先において10%以下とすることをより確実に達成できる。また本発明において「ラックの歯元の高さの平坦部」というのは、図2(a)の側面図である図2(b)に示すように、平坦部3、4がラックの歯2の歯元5と同じ高さ位置(図において上下位置)にあるということである。
【0016】
上記の平坦部の面積Sは、従来においてはラックのピッチPと平坦部の幅Wの積の0.4から0.6倍程度にしていたものである。先に説明した図11の例においては0.58倍であり、その結果としてラック中央部の歯幅に対する一方のラック端の歯幅の減少率は歯先において約20%になっている。これに対し本発明においては、ラック中央部の歯幅に対するラック両端の歯幅の減少率を歯先において10%以内にすることを目標として、平坦部の面積をP×Wの0.8倍以上としたが、好ましくは1.0倍以上とすると良い。ステアリングラック軸の仕様として、ラック中央部と端部との歯幅の差や、端部における歯幅の最低限が指定されるなど種々の場合があるが、これらを勘案して本発明においてはラック中央部の歯幅に対するラック両端の歯幅の減少率が歯先において10%以内であることを目標としたものである。なお平坦部の面積Sはあまり大きくしても効果が飽和し、ステアリングラック軸の設計上の制約もあるので上限はP×Wの2倍までで充分である。
【0017】
また本発明におけるラック中央部の歯幅について、「ラック中央の2または3の歯における平均の歯幅」としているが、これは歯の数が偶数のときは中央に当たる2つの歯、奇数のときは中央に当たる3つの歯の平均の歯幅を以て中央部の歯幅とする。なお先に示した図11のグラフを見ても判るように、製造時のばらつきにより中央の歯の歯幅が最大になるとは限らないが、基準として上記のようにラック中央の2または3の歯の平均値を採用することとしたのである。
【0018】
以上説明した本発明のステアリングラック軸を製造するには、先に述べた塑性加工によるステアリングラック軸の製造工程においても触れたように、マンドレルによるしごき加工をするさいに使用するラック形成型の形態を変えれば良い。すなわち図5に示したように、ラック形成型19のラックの軸方向両端部に、ラック歯元に対応する高さであって面積Sが本発明の条件式、S≧0.8×P×Wを満足する平坦部23、24を設ければよい。このラック形成型の平坦部に対応する個所の材料はマンドレル20によるしごき加工のさいに隆起せずにそのままの高さで残ることになる。またラックの歯がラック軸の軸方向に対して斜めになっている場合は、前記平坦部23、24のラック軸方向長さについて、最も小さい個所においても0.4×P以上を確保することが好ましいこともステアリングラック軸自体の場合と同様である。なお当然のことであるが、ラック形成型19のラック歯元に対応する高さの平坦部23、24において歯と反対側の端25、26は、それぞれ鋼管が平潰しされた範囲の両端と一致させ、ラック歯元に対応する高さの平坦部の面積を最大限確保する。
【0019】
本発明において、ラック両端の歯が無い部分の面積を大きくすることによって両端の歯幅の減少を防止できる理由であるが、マンドレルの挿入によるしごき加工によって材料が隆起する状況が関連している。すなわち図5および図6に示した方法でラック歯を形成する場合、先にも述べたようにマンドレル20はたとえば十数回のストロークを繰り返すことにより少しずつ材料を隆起させる。この途中段階での隆起の状況を示したのが図7であって、ラックの歯に平行に鋼管11を切断した断面図である。31、32、33はマンドレルによるしごき加工の各段階での歯の形成状況であって、31は初期の段階、32はその後の途中の段階、33は最終段階を示している。この図で特徴的なのは材料の隆起はラックの歯幅の中央部から始まり、中央部で所定の歯先の高さに達した後に歯幅が徐々に広がっていくということである。このためマンドレル挿入によるラックの歯の形成がすべての歯において同時進行でない場合には歯幅の不同が発生することになる。つまりラックの軸方向中央部ではラック形成が完了しても、ラックの軸方向両端部では歯幅の両端部の隆起が遅れるため歯幅が小さくなるのである。
【0020】
本発明者はこのようにラックの軸方向端部で隆起が遅れる原因について調べたところ、マンドレルによるしごき加工によって隆起されるべき材料の一部がラックの軸方向端部ではラックを形成すべき区間外に流動するためと判明した。これはラックの軸方向中央部ないし中間部では両側に隣接する歯が続いているためラック形成型に材料が食込むことにより材料の軸方向移動は拘束を受けるが、軸方向端部では一方にしか隣接する歯が無いため軸方向移動に対する拘束力が弱いためと考えられる。またさらに、鋼管の平潰しされた部分の内面をマンドレルでしごいたとき材料にはラックの歯を隆起させる力だけでなく摩擦力によって鋼管の軸方向への力も働くが、このことが材料がラックを形成すべき範囲外に広がることを助長していると考えられる。
【0021】
したがって本発明のようにステアリングラック軸の軸方向両端部のラックの歯元の高さの平坦部の面積を大きく、すなわち平坦部のラック軸方向長さを大きくすることにより、マンドレルによるしごき加工のさい、材料のラック軸方向への移動に対する抵抗がこの部分で大きくなり、材料がラックを形成すべき範囲外に広がってしまうことが少なくなる。前記平坦部をラックの歯元の高さとしたのは、このときが材料のラック軸方向への移動に対して抵抗を最も大きくできるからである。
【0022】
なおマンドレルでしごき加工をしたときに材料に働く鋼管の軸方向への力が、材料がラックを形成すべき範囲外に広がることを助長していると先に述べたが、事実マンドレルを一方からのみ挿入してしごき加工を行なった場合には、ラックのそれぞれの軸方向端部においてラックの歯幅の状況が異なる。したがってこの場合、ラックの一方の軸方向端部においては本発明の条件の平坦部を設けなくても歯幅の減少がそれ程無いこともあるが、本発明においてはラックの軸方向両端部に本発明の条件の平坦部を設けることとしている。これはラックの部分の軸方向両端部が異なる形態のものはステアリングラック軸として普通使用されないこと、ラックの軸方向両端部に本発明の条件の平坦部を設けるようにして一方向からのみマンドレルを挿入しても別段の不都合は無いことによる。
【0023】
図8は本発明のステアリングラック軸における歯幅の測定結果(ラック軸と直角方向に測定)の例を示すグラフである。この例のステアリングラック軸は図1のような形状をしており、歯2のピッチPは7.2mm(ラック軸と平行方向に測定)、平坦部3、4の幅Wは23.8mmであって、平坦部3、4の面積Sは257mm2 である。したがって、S=1.5×P×Wであり、本発明の、S≧0.8×P×Wの条件を満足している。また平坦部3、4のラック軸方向長さの最も小さい個所L1 は5.9mmであって、0.82×Pであるので、好ましい条件である0.4×P以上も満足している。図8を見るとラックの軸方向両端部の歯幅の減少率は中央部の歯幅を基準として3ないし5%程度と本発明が目的とする10%以下を満足している。
【0024】
またさらに図2のような形状のステアリングラック軸において、歯2のピッチPは7.5mm、ラックの歯元の幅すなわち平坦部3、4の幅Wは23.8mmであって、平坦部3、4の面積Sを196mm2 (Lは8.2mm)とした。この場合、S=1.1×P×Wであって本発明の、S≧0.8×P×Wの条件を満足しており、改めて図示しないがラック両端部の歯幅の減少率は中央部の歯幅を基準として3%程度に止まっている。
【0025】
一方、先に従来のステアリングラック軸における歯幅の測定結果として示した図11の場合においては、ステアリングラック軸は図2のような形状をしており(平坦部面積の割合は図2より小さい)、歯2のピッチPおよび平坦部3、4の幅Wは上記の例と同じで、平坦部3、4の面積Sは108mm2 (Lは4.5mm)である。したがって、S=0.58×P×Wであって本発明の、S≧0.8×P×Wの条件を満足していない。なお前記のすべての例において、ラック形成のさいマンドレルは両側から交互に挿入してしごき加工をしている。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は塑性加工によって全長にわたって中空なステアリングラック軸を製造した場合において、ラックの軸方向両端部に所定の面積を有するラックの歯元の高さの平坦部を設けることにより、ラックの軸方向端部の歯幅が減少するのを抑止するものである。これにより従来は塑性加工によって製造されたステアリングラック軸においては軸方向端部の歯幅が減少するのは必然的なものとされていたのに対し、歯幅を制御することが可能となり種々の設計上の要求に対応できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のステアリングラック軸の平面図
【図2】本発明のステアリングラック軸の(a)平面図、(b)側面図
【図3】ステアリングラック軸の製造方法を説明する縦断面図
【図4】ステアリングラック軸の製造方法を説明する横断面図
【図5】ステアリングラック軸の製造方法の図3、図4の次の工程を説明する縦断面図
【図6】ステアリングラック軸の製造方法の図3、図4の次の工程を説明する横断面図
【図7】しごき加工によるラックの歯の隆起の状況を示す断面図
【図8】本発明のステアリングラック軸における歯幅の測定結果の例を示すグラフ
【図9】従来からの中空なステアリングラック軸を示す外観図
【図10】従来からのステアリングラック軸における(a)ラックの軸方向中央部付近の歯の断面図、(b)端部の歯の断面図
【図11】従来のステアリングラック軸における歯幅の測定結果の例を示すグラフ
【符号の説明】
1 ステアリングラック軸
2 ラックの歯
3、4 平坦部
5 歯元
11 鋼管
12、13 割型
14 縦穴
15 ポンチ
17、18 割型
19 ラック形成型
20 マンドレル
21 突起
23、24 平坦部
25、26 平坦部における歯と反対側の端
31、32、33 マンドレルによるしごき加工の各段階での歯
51 ステアリングラック軸(従来技術)
52 ラックの歯
53 歯幅端部の肩

Claims (4)

  1. 鋼管を素材としてマンドレルによる塑性加工によりラックを形成させた中空なステアリングラック軸において、ラックの軸方向両端部に、面積S[mm]が下式を満足するラックの歯元の高さの平坦部を有し、ラック中央の2または3の歯における平均の歯幅に対するラック両端の歯幅の減少率が歯先において10%以下であることを特徴とする中空なステアリングラック軸。
    S≧0.8×P×W
    ただしP[mm]はラックのピッチ、W[mm]は平坦部の幅。
  2. ラックの歯がラック軸の軸方向に対して斜めになっている場合において、前記平坦部のラックの軸方向長さが、最も小さい個所においても0.4×P以上であることを特徴とする請求項1記載の中空なステアリングラック軸。
  3. 鋼管の長さの一部分を押圧して外面円周の一部を平面状とし、前記平面状にする加工をした鋼管をラック形成型を内面に有する割型内に収容してラック形成型を平面状にされた部分に接触させ、マンドレルを鋼管の内部に押込むことにより前記平面状にされた部分の内面を順次しごき加工をして前記ラック形成型に従ってラックを形成する中空なステアリングラック軸の製造方法において、ラック形成型のラックの軸方向両端部に、ラック歯元に対応する高さであって面積S[mm]が下式を満足する平坦部を設けることにより、ラック中央の2または3の歯における平均の歯幅に対するラック両端の歯幅の減少率を歯先において10%以下にしたことを特徴とする中空なステアリングラック軸の製造方法。
    S≧0.8×P×W
    ただしP[mm]はラックのピッチ、W[mm]は平坦部の幅。
  4. ラックの歯がラック軸の軸方向に対して斜めになっている場合において、前記平坦部のラックの軸方向長さが、最も小さい個所においても0.4×P以上であることを特徴とする請求項3記載の中空なステアリングラック軸の製造方法。
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