JP4477934B2 - 黒鉛質ブラシおよび黒鉛質ブラシを備えたモータ - Google Patents

黒鉛質ブラシおよび黒鉛質ブラシを備えたモータ Download PDF

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Description

本発明は、モータのロータに給電を行う黒鉛質ブラシ、特に黒鉛質ブラシの使用温度が、100℃以上の高温になっても黒鉛質ブラシが磨耗し難く、高寿命化に対応する黒鉛質ブラシ、および黒鉛質ブラシを備えたモータに関する。
ブラシ付きのモータは、ブラシが整流子に摺接して給電がなされるものである。そして、整流子には、ロータに設けられるコアに巻回されたコイルが接続され、コイルに対して通電がなされると、ロータはハウジング内部にロータと対向して配設された永久磁石との吸引/反発力によって回転する。
上記構成を有するモータでは、モータ駆動時にはブラシと整流子とが摺接することから、その摺接面において磨耗が発生するという問題があり、これまで、モータ駆動時のブラシに対する磨耗を抑えることを目的として、ブラシの材質の変更や、ブラシの硬さの調整によって、ブラシの電気的/機械的磨耗やモータ駆動時にブラシの摺接面に発生する火花放電を抑制することが検討されている。
一方、ブラシ付きのモータを車両用として適用する場合には、モータのブラシとして、黒鉛粒子と銅粒子とを接合溶剤を用いて混合し、焼成する黒鉛質ブラシが知られている(例えば、特許文献1参照)。
黒鉛質ブラシの製造方法の一例としては、天然の黒鉛粒子をベース、溶解フェノール樹脂溶液をバインダーとして捏和し、二硫化モリブデンを潤滑材として加えて、窒素雰囲気中で700〜800℃で焼結することが知られている。この場合、黒鉛粒子の表面に被膜として形成した溶解フェノール樹脂は、焼結によって炭化して非晶質炭素になり、非晶質炭素がバインダーとなって黒鉛粒子を結合させる。そして、この焼結によって溶解フェノール樹脂溶液の有機物質は二酸化炭素や水蒸気として昇華するため、黒鉛質ブラシの表面および内部には多数の気孔が形成される。上記製法により作製された黒鉛質ブラシは、ブラシを形成する黒鉛粒子の吸湿性によって、大気中に存在する水分を気孔内に取り込むことが出来る。
このような黒鉛質ブラシをモータに取り付けた場合、黒鉛質ブラシが動作すると、黒鉛質ブラシと整流子との摺接面が昇温され、黒鉛質ブラシの摺接面に近い内部気孔から水分が蒸発する。そして、蒸発した水蒸気が黒鉛質ブラシと整流子との摺接面に介在することによって滑り摩擦係数が小さくなるという、所謂気体潤滑作用により、黒鉛質ブラシの磨耗量を低減させることが出来る。
特開2001−298913号公報(第1頁)
上記黒鉛質ブラシ付きのモータを車両用に適用する場合には、車両のエンジンルームではエンジンの発熱等の影響により、モータの駆動時には黒鉛質ブラシと整流子との摺接面が100℃以上の高温に達することがある。この場合、黒鉛質ブラシの気孔内に取り込まれた水分は常温時に比べ、非常に速く蒸発するため、モータは、黒鉛質ブラシと整流子との摺接面を介在する水蒸気がない状態で動作することになる。このため、摺接面の滑り摩擦係数は大きくなり、黒鉛質ブラシが磨耗し易くなる。
したがって、前記従来の黒鉛質ブラシは、高温下で使用する場合には、常温下で使用する場合に比べ、使用時間当たりの磨耗量が大きくなり、その結果として、ブラシ付きモータの寿命が短くなるという問題がある。
本発明は上記問題に鑑み案出されたものであり、使用する温度に関わらず、磨耗し難く、高寿命化に対応する黒鉛質ブラシおよび黒鉛質ブラシを備えたモータを提供することを解決すべき課題とするものである。
本発明の黒鉛質ブラシの第1特徴構成は、モータのロータに設けられるコアに巻回されたコイルに対して、給電を行う黒鉛質ブラシにおいて、該黒鉛質ブラシは、表面および内部に気孔を有する焼結体からなり、前記気孔内に水の沸点より高い沸点を有し、アルキレンオキサイド構造単位の数が異なる複数種類のグリコールエーテルを含む液体を含浸した点にある。
つまり、この構成によれば、モータの使用温度(つまり、モータ駆動時における温度)が100℃以上になっても、黒鉛質ブラシの気孔内の液体は完全に蒸発することがなく、黒鉛質ブラシと整流子との摺接面に介在する液体の蒸気がなくならない。このため、摺接面の滑り摩擦係数を小さくでき、従来の黒鉛ブラシに比べ、磨耗量を減らすことが出来る。
また、グリコールエーテルは、アルキレンオキサイド構造単位の数によって分子量が異なる。このため、液体は蒸気圧特性が異なる複数種類のグリコールエーテルを有することとなり、幅広い温度範囲で使用しても、常に黒鉛質ブラシと整流子との摺接面に液体の蒸気を介在させることが出来る。
したがって、本発明に係る黒鉛質ブラシは、幅広い使用温度においてその磨耗量を小さくすることが出来る。
本発明の黒鉛質ブラシの第2特徴構成は、前記アルキレンオキサイド構造単位は、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドのうち少なくともいずれか一方を有する点にある。
つまり、この構成によれば、エチレンオキサイド構造単位及びプロピレンオキサイド構造単位のうち少なくともいずれか一方を有するグリコールエーテルの沸点は、通常のモータの使用温度範囲内に分布している。このため、モータの駆動時には、常に黒鉛質ブラシと整流子との摺接面に液体の蒸気を介在させることが出来、黒鉛質ブラシの磨耗を抑えることが出来る。
本発明の黒鉛質ブラシの第3特徴構成は、前記液体は、前記黒鉛質ブラシと前記コイルに給電を行う整流子との摺接面の前記モータ駆動時の最高温度より高い温度で分解する点にある。
つまり、この構成によれば、モータの駆動時の温度が高温であっても、液体は熱分解することがなく、所定の温度で蒸発させることが出来る。このため、黒鉛質ブラシと整流子との摺接面に蒸気を介在させることが出来る。
本発明の黒鉛質ブラシの第4特徴構成は、前記液体は、前記黒鉛質ブラシと前記コイルに給電を行う整流子との摺接面の前記モータ駆動時の温度より低い温度で蒸発可能なグリコールエーテルを含有する点にある。
つまり、この構成によれば、液体は、黒鉛質ブラシと整流子との摺接面のモータ駆動時における温度より低い温度で蒸発するグリコールエーテルを含有するため、幅広い温度範囲において蒸気を介在させることが出来る。
本発明の黒鉛質ブラシを備えたモータの特徴構成は、ハウジングと、ハウジング内に配設されるマグネットと、該マグネットに対向して配設され、コアに巻回されたコイルを有し、ハウジング内で回転自在なロータと、該ロータを前記ハウジングに対して支持するシャフトと、前記ロータに設けられ、前記コイルに対して給電を行う整流子と、該整流子に摺接する黒鉛質ブラシと、を備えたモータにおいて、前記黒鉛質ブラシを、表面および内部に気孔を有する焼結体で構成し、前記気孔内に水の沸点より高い沸点を有し、アルキレンオキサイド構造単位の数が異なる複数種類のグリコールエーテルを含む液体を含浸してある点にある。
つまり、この構成によれば、モータの使用温度が100℃以上になっても、黒鉛質ブラシの気孔内の液体は完全に蒸発することがなく、黒鉛質ブラシと整流子との摺接面に介在する液体の蒸気が無くならないため、摺接面の滑り摩擦係数を小さくでき、磨耗量を減らすことが出来る。このため、黒鉛質ブラシを備えたモータの寿命を長くすることが出来る。
また、グリコールエーテルは、アルキレンオキサイド構造単位の数によって分子量が異なる。このため、液体は蒸気圧特性が異なる複数種類のグリコールエーテルを有することとなり、液体の蒸気は、幅広い温度範囲において黒鉛質ブラシと整流子との摺接面に介在することが出来る。
したがって、本発明に係る黒鉛質ブラシは、幅広い使用温度において磨耗量を小さくすることが出来るため、黒鉛質ブラシを備えたモータの寿命を長くすることが出来る。
本発明に係る黒鉛質ブラシは、モータのロータに設けられるコアに巻回されたコイルに対して、給電を行う黒鉛質ブラシにおいて、該黒鉛質ブラシは、表面および内部に気孔を有する焼結体からなり、前記気孔内に水の沸点より高い沸点を有し、アルキレンオキサイド構造単位の数が異なる複数種類のグリコールエーテルを含む液体を含浸したものである。これにより、モータの使用温度が100℃以上になっても、黒鉛質ブラシの気孔内の液体は完全に蒸発することがなく、黒鉛質ブラシと整流子との摺接面に介在する液体の蒸気がなくならない。このため、摺接面の滑り摩擦係数を小さくでき、従来の黒鉛ブラシに比べ、磨耗量を減らすことが出来る。また、グリコールエーテルは、アルキレンオキサイド構造単位の数によって分子量が異なる。このため、液体は蒸気圧特性が異なる複数種類のグリコールエーテルを有することとなり、幅広い温度範囲で使用しても、常に黒鉛質ブラシと整流子との摺接面に液体の蒸気を介在させることが出来る。
したがって、本発明に係る黒鉛質ブラシは、幅広い使用温度においてその磨耗量を小さくすることが出来る。
前記アルキレンオキサイド構造単位としては、任意のものが選択可能であるが、特に、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドのうち少なくともいずれか一方を有することが好ましい。すなわち、エチレンオキサイド構造単位及びプロピレンオキサイド構造単位のうち少なくともいずれか一方を有するグリコールエーテルは取扱いが容易であり、それらの沸点は、通常のモータの使用温度範囲内に分布している。このため、モータの使用時には、常に黒鉛質ブラシと整流子との摺接面に液体の蒸気を介在させることが出来、黒鉛質ブラシの磨耗を抑えることが出来る。
そして、本発明に係る黒鉛質ブラシを備えたモータは、ハウジングと、ハウジング内に配設されるマグネットと、該マグネットに対向して配設され、コアに巻回されたコイルを有し、ハウジング内で回転自在なロータと、該ロータを前記ハウジングに対して支持するシャフトと、前記ロータに設けられ、前記コイルに対して給電を行う整流子と、該整流子に摺接する黒鉛質ブラシと、を備えたモータにおいて、前記黒鉛質ブラシを、表面および内部に気孔を有する焼結体で構成し、前記気孔内に水の沸点より高い沸点を有し、アルキレンオキサイド構造単位の数が異なる複数種類のグリコールエーテルを含む液体を含浸してあるものである。これにより、モータの使用温度が100℃以上になっても、黒鉛質ブラシの気孔内の液体は完全に蒸発することがなく、黒鉛質ブラシと整流子との摺接面に介在する液体の蒸気が無くならないため、摺接面の滑り摩擦係数を小さくでき、磨耗量を減らすことが出来る。このため、黒鉛質ブラシを備えたモータの寿命を長くすることが出来る。また、グリコールエーテルは、アルキレンオキサイド構造単位の数によって分子量が異なる。このため、液体は蒸気圧特性が異なる複数種類のグリコールエーテルを有することとなり、液体の蒸気は、幅広い温度範囲において黒鉛質ブラシと整流子との摺接面に介在することが出来る。
したがって、本発明に係る黒鉛質ブラシは、幅広い使用温度において磨耗量を小さくすることが出来るため、黒鉛質ブラシを備えたモータの寿命を長くすることが出来る。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、ロータ2に対して給電を行う黒鉛質ブラシ(以下、単にブラシと称す)1を用いたモータ10の構造を示す断面図であり、この図1を参照して、最初に、モータ10の構成について簡単に説明する。
図1に示すモータ10は、ハウジング7の中でロータ2が回転を行う構成となっている。ロータ2は円筒状を呈する金属製のハウジング7の中に回転自在に収められ、ハウジング7はハウジング13に対してボルト等の締結部材14により固定されハウジング13と一体となっている。ロータ2はシャフト4によって支持され、シャフト4の一方の端部(図1に示す右側)には2つの平行な面を互いに有する二面幅が設けられている。この二面幅に対して、被駆動装置の被駆動シャフト16が軸方向から挿嵌されて結合されており、モータ10の回転を被駆動シャフト16から外部出力できる構成となっている。
ロータ2には、コア9を構成する複数の鉄板が軸方向に積層された状態で、コア9の中央にシャフト4が圧入されて一体で取り付けられ、ロータ2とシャフト4とは一体回転する。シャフト4の他端は、ハウジング7の奥に圧入されたベアリング(第1ベアリング)12の内輪に圧入され、ハウジング7に対してベアリング12によって回転自在に軸支される。一方、円筒状となったハウジング7の内面には、周方向において複数の円弧状を呈するマグネット11が、接着剤等によって貼り付けられている。
また、ハウジング7が取り付けられるハウジング13には、ロータ2が取り付けられるモータ取付け面に凹部13aが形成されている。この凹部13aにベアリング5の外輪5aが圧入により取り付けられ、シャフト4はベアリング5を介して軸支される。これにより、ロータ2を軸支するシャフト4は、2つのベアリング5,12によって、両持ちで回転自在に軸支される。この場合、ベアリング12が圧入される方向とは反対側のシャフト4の他端には、ベアリング5の内輪5bにシャフト4が圧入されている。このベアリング5の外輪5aは、ハウジング13に形成された凹部13aの内径に圧入されて配設される。また、ハウジング13内において、モータ10のハウジング13とベアリング5との間には、スプリング3が配設される。
スプリング3は、バネ性(バネ定数)の高い平板上の円盤形状を呈する金属から成り立っており、中央にシャフト4が貫通する孔3dを有する。スプリング3は中心から120度の位置より外径から内径に向かって周方向に3つのスリットが形成され、軸方向に対して三次元的に曲げられ、支持部3aから連続的に付勢部3bが形成されている。スプリング3は支持部3aにて凹部13aの段部に周状に当接して係止され、付勢部3bにてベアリング5の外輪5aの側面に当接して、ベアリング5を軸方向(図1に示す左方向)に付勢する。
一方、ベアリング5のロータ側にはホルダ6が配設される。ホルダ6は樹脂より成り、ハウジング7と同軸で配設される。また、ホルダ6はロータ側に設けられたコア9に巻回されるコイル17に対して整流子8から給電が成され、この整流子8に当接するブラシ1を2つ有する(図1では一つのみ表わす)。また、ホルダ6には外部からブラシ1を介してロータ側に給電を行うコネクタ15が一体で形成される。このコネクタ15に対し、図示しない外部コネクタを接続することにより、ブラシ13を介してロータ2のコア9に巻回されたコイル17に給電を行うことが出来る。コイル17に給電が行われると、ロータ2とマグネット11との間で電磁的な吸引/反発力が働き、ロータ2が回転する。
この様な構成および動作を成すモータ10における、ブラシ1について、以下に詳しく説明する。この実施形態におけるブラシ1は、図2の模式図に示す如く、天然黒鉛粒子18をベースにした焼結体22から成り立っており、焼結体22の表面およびその内部に多数の気孔19を有するものを用いている。そこで、図3を参照して、ブラシ1となる焼結体22の製造工程の一例について、最初に説明する。
ブラシ1の製造では、ブラシ1に天然の黒鉛粒子18(粒径:5〜50μm)を用意し、黒鉛粒子18に対して体積比率で2〜3重量%の粒状ペレットから成るノボラック構造(または、レゾール構造)のフェノール樹脂を用意する(S1)。そして、ノボラック構造(レゾール構造)のフェノール樹脂をアルコール類によって溶解させ、溶解フェノール樹脂溶液を作る(S2)。ここで使用するアルコール類は、例えば、メチルアルコールを使用すると良い。この場合、上記したフェノール樹脂の溶解にアルコール類を用いなくても、ケトン類(例えば、アセトン等)を用いても良い。即ち、S2におけるアルコールによる溶解では、黒鉛粒子18に対して加える溶解フェノール樹脂の粘度によって黒鉛粒子18の表面に形成されるフェノール樹脂の皮膜の厚さが決定される。その後、天然の黒鉛粒子18に対して、アルコールにてフェノール樹脂が溶解した溶解樹脂をスプレー塗装する(S3)。S3におけるスプレー塗装では、黒鉛粒子18の表面に均一な溶解樹脂による皮膜が得られる様、塗布が行われる。
そして、表面に溶解樹脂が塗布された黒鉛粒子18を捏和する(S4)。ここでの捏和は、黒鉛粒子18を混練装置によって、所定時間の間(例えば、3〜5時間程)均一に混練する。その後、大気中にて30分程の間、自然乾燥させる(S5)。
そして、乾燥により得られた黒鉛粒子(黒鉛造粒粒子)18に対して、モータ駆動時にブラシ1に流す電流量を所定の電流密度に抑える為、ブラシ1に流す電流量に応じて銅粉を一緒に配合する(S6)。また、ここで、整流子8との滑りを良くする為に、二硫化モリブデンの配合も一緒に行うと良い。この様な工程により、銅粉および二硫化モリブデンがそれぞれ均一になる様、混合される(S7)。その後、プレス装置により加圧成形(例えば、プレス成形)が行われ(S8)、ブラシ1の所望形状となる様に成形される。そして、プレス成形により得られた成形品を窒素雰囲気中で700〜800℃の温度で2〜3時間の間、焼結を行う(S9)ことによって、ブラシ形状をした焼結体22が出来上がる。この様にして出来上がった焼結体22の表面および内部には、図2の模式図に示す如く、隣接する黒鉛粒子18との間に多数の気孔19が形成される。
次に、図4を参照して、図3の様な工程を経て出来上がった焼結体22に形成される気孔19に液体21を含浸させる工程の一例について、以下に説明する。
ブラシ1である焼結体22の気孔19内に、複数種類のグリコールエーテルを含む液体21を含浸させるには、最初に液体21を構成する複数種類のグリコールエーテルを用意する(S11)。次に、焼結により作られたブラシ1となる焼結体22を用意し(S12)、グリコールエーテル中に浸漬させる(S13)。そして、焼結体22を浸漬させた状態で、133Pa程度の減圧下で、所定時間(例えば、1〜2分程度)放置して、気孔内の大気を吸引して容器外に放出した後、気孔内の大気をグリコールエーテルで置換して、気孔内へグリコールエーテルを含浸させる(S14)。焼結体22の気孔19の内部に入り込んでいた水分を含む大気を完全にグリコールエーテルの溶液と置換した後に常圧に戻すことによって、焼結体22の表面および内部の気孔19内にグリコールエーテルが含浸した本発明の黒鉛質のブラシが完成する(S15)。
上記した工程の如く、液体21をブラシ1の焼結体22に形成された気孔19の内部に含浸させて、焼結体22の内部に形成された気孔19内に保持させることによって、液体21が焼結体の気孔19に大気に置き換わって形成される。上記工程では、グリコールエーテルのみによって構成される液体21を含浸させる場合について説明したが、液体21は、グリコールエーテルのみによって構成されるものに限らず、他種類の化合物を含有していても良く、その場合であっても、同様の工程で含浸させることが出来る。すなわち、S11において、他の種類の化合物を含有する液体21を用意することによって、本発明の黒鉛質ブラシ1を作製することが出来る。
本発明の黒鉛質ブラシ1を使用することによって、モータ駆動時(つまり、ブラシの摺接時)には、ブラシ1と整流子8との摺接面に液体21の蒸気が介在することによって、摺接面の滑り摩擦係数を下げることが出来る。そして、ブラシ1が100℃を越える動作状態になっても、液体21の沸点以下では、液体21は完全に蒸発することがなく、摺接面に介在する液体21はなくならない。このため、従来のように、滑り摩擦係数が増大してブラシ1の磨耗量が増加することを防ぐことができ、結果として、モータ10の寿命を大幅に延ばすことが出来る。
一方、モータ10は自動車の電動化に伴い、機関系部品や制動系部品にも使用されており、特に、ウォータポンプやオイルポンプ等のような機関系部品は、電動ウィンドウシステム等の車体系部品に比べ、モータ10の連続動作時間が著しく長く、連続動作時間は数時間にまで及ぶ。このモータ10の連続動作時間の延長によって、ブラシ1の摺接面における平均温度が150℃から250℃近辺まで上昇する可能性がある。そして、モータ10をどの温度雰囲気下で使用したとしても、摺接面には液体21の蒸気が存在することが好ましい。
しかし、一般的に沸点をもつ液体は、沸点に近い温度になるとその液体の蒸気圧は急激に上昇し、沸点において1気圧の蒸気圧をもつ。このためブラシ1の気孔19内に低圧含浸された液体21は、ブラシ1の摺接面に近い気孔19の温度が、液体21の沸点に近い温度にならないと、多くの量の蒸気が蒸発しない。また、沸点に近い温度で使用した場合は、蒸気圧が大きいため液体21の消費量が多く、長時間に亘って蒸気をブラシ1の摺接面に供給できない。
そこで、ブラシ1の気孔19内に含浸させる液体21として、水の沸点(100℃)より高い沸点を有し、アルキレンオキサイド構造単位の数が異なる複数種類のグリコールエーテルを含む液体を用いる。すなわち、グリコールエーテルはアルキレンオキサイド構造単位の数や種類によって、沸点が異なるものである。特にアルキレンオキサイド構造単位の数が多くなる程、グリコールエーテルの分子量は大きくなり、沸点は高くなる。このため、幅広い沸点の分布を有するものを含浸することが出来る。特に、液体21として、アルキレンオキサイド構造単位の数のみが異なる複数種類のグリコールエーテルを含有するものを含浸すると、アルキレンオキサイド構造単位の数の増加に伴い、段階的にグリコールエーテルの沸点が高くなるため、より幅広い温度範囲において液体21の蒸気を摺接面に介在させることが出来る。
エーテル構造単位としては、特に限定されず、例えば、モノメチル、モノエチル、モノプロピル、モノイソプロピル、モノブチル、モノイソブチル、モノフェニル等や、それらの組合わせ等、任意に選択可能である。また、エーテル構造単位を同一とすることにより、相溶性を高めることも出来る。
例えば、アルキレンオキサイドがエチレンオキサイドであるとすると、エチレンオキサイド構造単位を1つ有するエチレングリコールモノメチルエーテルでは、沸点は124.5℃であり、エチレンオキサイド構造単位が2つ有するジエチレングリコールモノメチルエーテルでは、194.0℃、エチレンオキサイド構造単位が3つのトリエチレングリコールモノメチルエーテルでは、249.0℃である。このようにエチレンオキサイド構造単位の数が増加することによって、段階的に沸点が高くなっている。このような混合物を含浸することにより、所定の温度範囲において、温度の切れ目なく気体潤滑作用効果を発揮することが出来る。
なお、液体21は、特に黒鉛質ブラシ1とコイル17に給電を行う整流子8との摺接面のモータ駆動時の最高温度より高い温度で分解することが好ましく、また前記摺接面のモータ駆動時の最高温度より高い沸点を有するグリコールエーテルを含有することが好ましい。また、液体21は、摺接面付近のモータ駆動時の温度より低い温度で蒸発可能なグリコールエーテルを含有することが好ましい。これにより、ブラシ1と整流子8との摺接面の温度が幅広い範囲で変化しても、モータ10の使用温度範囲においては、液体21は熱分解することがなく、液体21の蒸気を介在させることが出来る。
一方、従来の黒鉛質ブラシ1は、連続100時間動作させた場合、摺接面の平均温度が80℃までは略一定の磨耗速度で磨耗するものの、摺接面の平均温度が80℃を越えた温度付近から、温度が上昇するにしたがって磨耗速度が増大し始める。これは、80℃を越えると水分の時間当たりの消費量が増大し、100時間に達する前に、気孔19内の水分が枯渇したためであると考えられる。つまり、黒鉛質ブラシ1の摺接面の平均温度が高温になる程、黒鉛粒子18が吸湿した水分の、摺接面に蒸発する量が増加し、この結果、黒鉛質ブラシ1の磨耗を抑えるために必要な水蒸気の量が、ある連続動作時間によってなくなり、この後に動作することによって、黒鉛質ブラシ1の磨耗が進行したためである。
したがって、80℃までは水によって黒鉛質ブラシ1の磨耗量を抑えることが出来ることが分かっているため、本発明の黒鉛質ブラシにおいても、80℃までの低温領域で蒸発する液体としては水を用いることが好ましい。水を用いる場合、モータ10が動作すると、ブラシ1の摺接面の温度が昇温するにしたがって液体21の水溶液から水が先行して蒸発し、消費されるが、モータ10が停止してブラシ1が常温付近まで低下すると、ブラシ1は再び、大気中の水分を気孔19内に取り込んで、補給することが可能となる。このような観点から、液体21を構成するそれぞれの液体は、水溶性であることが好ましく、また、液体21は水溶液として含浸させることが好ましい。さらには、大気中からの水分の取り込みの効率をより向上させるため、液体21を構成するグリコールエーテルのうち少なくとも1種類は吸湿性を有することが好ましい。液体21に吸湿性を有するものを含むことによって、水については大気中から供給することで、ブラシ1の焼結体22の気孔19内に予め含浸する水の量を少なくしたり、無くすことも可能となる。
黒鉛質ブラシ1に含浸する液体21の好ましい一例を示すと、下記式の通りアルキレンオキサイド構造単位がエチレンオキサイド構造単位であるモノメチルエーテルを適用することが出来る。
Figure 0004477934
これは、メタノールを原料とし、触媒を用いてエチレンオキサイドを付加させ、蒸留することにより得ることが出来る。この方法により、得られるポリエチレングリコールモノメチルエーテルは、組成割合が、n=3が約5%、n=4が約68%、n=5が約22%、n=6が約5%、である混合物であり、平均分子量は約220である。蒸気特性からは、n=3が2〜8%、n=5が20〜25%、n=6が2〜8%、残りがn=4であることが好ましい。
このポリエチレングリコールモノメチルエーテルは、図5に示すように、黒鉛質ブラシ1の内部気孔19に含浸して蒸発特性を調べたところ、200℃、2時間後においても揮発残分を5.6%有している。このため、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルは、100℃〜200℃の幅広い温度範囲で、蒸気を摺接面に介在させることが出来る。
また、上記結果に基づき、低沸点分から順に蒸発すると仮定した場合の、各温度で蒸発する成分量を図6、7に示した。図6は1時間放置後、図7は2時間放置後の成分量であり、各温度間の揮発残分量の差と低沸点分順の含有量の和が等しくなるようにし、各温度で蒸発する主成分を予測した結果である。これによれば、温度によって蒸発する成分が異なる。したがって、例えば、温度が150℃であれば付加モル数が3、4の成分が蒸発し、温度が200℃であれば付加モル数4、5の成分が蒸発するため、幅広い温度範囲において液体21を蒸発させることが出来る。しかも、モータ10の使用温度に応じて、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルを構成する付加モル数の成分を変えることによって、温度に対する蒸気特性を制御することも可能である。
また、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルは、図8に湿度50%RHで温度と時間とを変えた時の液水分の変化について示すように吸湿性を有している。そして、熱重量分析(TGA)特性の測定では、熱分解温度は246.1℃であり、294℃における熱分解試験でも重量変化は0.55%であった。
したがって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルは、吸湿性を有し、熱分解についても294℃までは考慮する必要がないため、液体21として好ましく適用可能である。
また、液体21の別の一例を示すと、下記式の通りアルキレンオキサイド構造単位がエチレンオキサイド構造単位及びプロピレンオキサイド構造単位であるモノメチルエーテルを適用することが出来る。
Figure 0004477934
(但し、式中のR及びRは、HまたはCHであり、R=R≠CHである。)
これは、メタノールを原料とし、触媒を用いてエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとをランダムに付加させ、低沸点成分留去等をすることにより得ることが出来る。この方法により、得られるポリエチレンポリプロピレングリコールモノメチルエーテルは、組成割合が、n=1が約1%、n=2が約8%、n=3が約22%、n=4が約24%、n=5が約20%、n=6が約13%、n=7が約7%、n=8が約3%、n=9が約2%、である混合物であり、平均分子量は約200である。組成割合は特に限定されないが、蒸気特性からは、n=1が0〜2%、n=2が7〜10%、n=3が20〜25%、n=5が20〜25%、n=6が10〜15%、n=7が7〜10%、n=8が2〜5%、n=9が0〜2%、残りがn=4であることが好ましい。
このポリエチレンポリプロピレングリコールモノメチルエーテルは、図9に示すように、黒鉛質ブラシ1内部気孔19に含浸して蒸発特性を調べたところ、200℃、2時間後においても揮発残分を10%有している。このため、ポリエチレンポリプロピレングリコールモノメチルエーテルは、前記ポリエチレングリコールモノメチルエーテルよりも幅広い温度範囲で、蒸気を摺接面に介在させることが出来る。
また、上記結果に基づき、前記ポリエチレングリコールエーテルを用いた場合と同様に、低沸点分から順に蒸発すると仮定した場合の、各温度で蒸発する成分量を図10、11に示した。図10は1時間放置後、図11は2時間放置後の成分量であり、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの合計数をアルキレンオキサイドの付加モル数とした。これによれば、例えば、2時間放置後では、温度が150℃であれば付加モル数が3、4の成分が蒸発し、温度が200℃であれば付加モル数4〜7の成分が蒸発し、温度が250℃であれば付加モル数7〜9の成分が蒸発するため、幅広い温度範囲において液体21を蒸発させることが出来る。
また、ポリエチレンポリプロピレングリコールモノメチルエーテルは、図12に湿度50%RHで温度と時間とを変えた時の液水分の変化について示すように吸湿性を有している。そして、熱重量分析(TGA)特性の測定では、熱分解温度は214.7℃であり、256℃における熱分解試験でも重量変化は0.27%であった。
したがって、ポリエチレンポリプロピレングリコールモノメチルエーテルは、吸湿性を有し、熱分解についても256℃までは考慮する必要がないため、液体21として好ましく適用可能である。
以下、本発明の黒鉛質ブラシ1を備えたスリップリングを用いた連続動作試験の実施例について説明する。スリップリングの動力源として用いるインダクションモータの回転シャフトに無酸素銅からなる円筒形状のスリップリングを固定し、このスリップリングに対峙させてブラシホルダーを固設し、このブラシホルダーに評価用のブラシ1を装着して、インダクションモータを駆動させることによって、スリップリングと黒鉛質ブラシ1を摺接させ、黒鉛質ブラシ1の磨耗量を評価した。
なお、動作試験は、温度を80℃、120℃、150℃、180℃、220℃に設定し、8mm×5mm×12mmの大きさの黒鉛質ブラシ1を用い、黒鉛質ブラシ1のスリップリングに対する荷重を800gf/cmに設定し、回転周速度を3.9m/sとして、一定温度で連続100時間動作した後の黒鉛質ブラシ1の磨耗量を調べた。
また、ブラシ1の摺接面から3mm上方に熱電対を埋め込み、ブラシ動作時の温度を測定したところ、ブラシ1を80℃の温度雰囲気下で動作させると、摺接面から3mm上方の温度は130℃まで昇温し、120℃、150℃、220℃の温度雰囲気下では、それぞれ175℃、180℃、250℃まで昇温した。すなわち、ブラシ1の摺接面近辺の温度は、ブラシ1の動作時の雰囲気の温度よりも30℃から35℃程度高くなることが分かった。
(実施例1)
液体21として、前記ポリエチレングリコールモノメチルエーテルを含浸させた黒鉛質ブラシ1を用いて、スリップリングの連続動作試験を行った。その結果、図13に示すようにスリップリングの動作温度が120℃から200℃辺りまでは、磨耗量を抑えることができ、それ以上の温度では、連続動作時間が長くなると磨耗量が増大した。
また、80℃から150℃辺りまでは、連続動作温度の違いによる磨耗量の増加は少なかった。すなわち、ブラシ1の動作温度が80℃から150℃辺りまでの温度領域では、温度の上昇とともにポリエチレングリコールモノメチルエーテルの蒸気のブラシの摺接面に介在する量が増大し、ブラシの磨耗量を抑えることが出来た。そして、温度が180℃を越えた辺りからは、温度の上昇とともにポリエチレングリコールモノメチルエーテルの蒸気の消費速度が速くなり、動作時間の増加により磨耗量の低減の効果が小さくなった。
したがって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルを含浸させた黒鉛ブラシ1は、120℃から180℃辺りまでの温度で動作させても、ブラシ1の磨耗量を0.3mm程度に抑えることが出来、また、ブラシ1の磨耗量を0.5mm程度に抑える場合には、80℃から250℃の幅広い温度範囲で動作可能であることが分かった。
(実施例2)
液体21として、前記ポリエチレンポリプロピレングリコールモノメチルエーテルを含浸させた黒鉛質ブラシ1を用いて、実施例1と同様にスリップリングによる連続動作試験を行った。その結果、図14に示すようにスリップリングの動作温度が120℃から220℃辺りまでは、磨耗量を抑えることができ、それ以上の温度では、連続動作時間が長くなると磨耗量が増大した。
また、80℃から180℃辺りまでは、連続動作温度の違いによる磨耗量の増加は少なかった。すなわち、ブラシ1の動作温度が80℃から180℃辺りまでの温度領域では、温度の上昇とともにポリエチレンポリプロピレングリコールモノメチルエーテルの蒸気のブラシ1の摺接面に介在する量が増大し、ブラシの磨耗量を抑えることが出来た。そして、温度が220℃を越えた辺りからは、温度の上昇とともにポリエチレンポリプロピレングリコールモノメチルエーテルの蒸気の消費速度が速くなり、動作時間の増加により磨耗量の低減の効果が小さくなった。
したがって、ポリエチレンポリプロピレングリコールモノメチルエーテルを含浸させた黒鉛ブラシ1は、120℃から220℃辺りまでの温度で動作させても、ブラシ1の磨耗量を0.3mm程度に抑えることが出来、また、ブラシ1の磨耗量を0.5mm程度に抑える場合には、80℃から250℃の幅広い温度範囲で動作可能であることが分かった。
(比較例)
比較例として、従来の黒鉛質ブラシ1について、同様にスリップリングの連続動作試験を行った。その結果、図15に示すように80℃を越えた辺りから黒鉛質ブラシ1の磨耗量は動作温度の上昇とともに大きくなり、さらに連続動作時間が長い場合には動作温度の上昇による磨耗量の増大は更に大きくなった。これは、前述の通り、温度が高くなると、水分が枯渇するまでの時間が早くなったためであることを示している。ブラシの磨耗量を0.5mm以内に抑えるためには、連続100時間動作であっても80℃以下の温度にしなければならない。
本発明の黒鉛質ブラシを備えたモータは、車両のエンジンを冷却するウォータポンプを駆動するモータ、冷却ファンを廻すモータ、エンジンのオイルポンプを駆動するモータ等の車両用途や、その他さまざまな用途に適用出来る。
本発明の一実施形態における黒鉛質ブラシを用いたモータの構成を示す断面図である。 黒鉛質ブラシの組成を示す模式図である。 黒鉛質ブラシの製造工程を示す工程図である。 黒鉛質ブラシにアルコールを含浸させる工程図である。 ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの蒸発特性を示すグラフである。 ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの各温度で蒸発する成分量を示すグラフである。 ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの各温度で蒸発する成分量を示すグラフである。 ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの吸湿性を示すグラフである。 ポリエチレンポリプロピレングリコールモノメチルエーテルの蒸発特性を示すグラフである。 ポリエチレンポリプロピレングリコールモノメチルエーテルの各温度で蒸発する成分量を示すグラフである。 ポリエチレンポリプロピレングリコールモノメチルエーテルの各温度で蒸発する成分量を示すグラフである。 ポリエチレンポリプロピレングリコールモノメチルエーテルの吸湿性を示すグラフである。 実施例1の黒鉛質ブラシの動作温度と磨耗量との関係を示すグラフである。 実施例2の黒鉛質ブラシの動作温度と磨耗量との関係を示すグラフである。 比較例の黒鉛質ブラシの動作温度と磨耗量との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 黒鉛質ブラシ(ブラシ)
2 ロータ
4 シャフト
7,13 ハウジング
8 整流子
9 コア
10 モータ
17 コイル
19 気孔
21 液体
22 焼結体

Claims (5)

  1. モータのロータに設けられるコアに巻回されたコイルに対して、給電を行う黒鉛質ブラシにおいて、
    該黒鉛質ブラシは、表面および内部に気孔を有する焼結体からなり、前記気孔内に水の沸点より高い沸点を有し、アルキレンオキサイド構造単位の数が異なる複数種類のグリコールエーテルを含む液体を含浸した黒鉛質ブラシ。
  2. 前記アルキレンオキサイド構造単位は、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドのうち少なくともいずれか一方を有する請求項1に記載の黒鉛質ブラシ。
  3. 前記液体は、前記黒鉛質ブラシと前記コイルに給電を行う整流子との摺接面の前記モータ駆動時の最高温度より高い温度で分解する請求項1または2に記載の黒鉛質ブラシ。
  4. 前記液体は、前記黒鉛質ブラシと前記コイルに給電を行う整流子との摺接面の前記モータ駆動時の温度より低い温度で蒸発可能なグリコールエーテルを含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の黒鉛質ブラシ。
  5. ハウジングと、
    ハウジング内に配設されるマグネットと、
    該マグネットに対向して配設され、コアに巻回されたコイルを有し、ハウジング内で回転自在なロータと、
    該ロータを前記ハウジングに対して支持するシャフトと、
    前記ロータに設けられ、前記コイルに対して給電を行う整流子と、
    該整流子に摺接する黒鉛質ブラシと、
    を備えたモータにおいて、
    前記黒鉛質ブラシを、表面および内部に気孔を有する焼結体で構成し、前記気孔内に水の沸点より高い沸点を有し、アルキレンオキサイド構造単位の数が異なる複数種類のグリコールエーテルを含む液体を含浸してある黒鉛質ブラシを備えたモータ。
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