JP4477809B2 - 生物学的混入物を検出するための独立式デバイス - Google Patents

生物学的混入物を検出するための独立式デバイス Download PDF

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Description

【0001】
(技術分野)
本発明は、一般に生物学的汚染物を検出するための独立式デバイスおよび方法に関し、より具体的には、関連する設備(食品加工工場、病院、診療所、動物病院およびレストラン)において、サンプラー構成要素および検出可能な様式で生物学的物質に結合する色素成分デバイスおよび方法論を使用して、生物学的汚染物を検出するための独立式デバイスおよび方法に関する。
【0002】
(発明の背景)
本発明は、生物学的汚染物についての試験の分野に関する。このような汚染物は、完全な洗浄が実施されなかった場合に、食品処理工場、病院、動物病院およびレストランを含む環境において使用される装置または他の表面上に見出され得る。汚染の指標として検出される物質としては、例えば、生存細菌細胞、ウイルス、ATP、およびタンパク質が挙げられる。汚染についての理想的な試験は、有効であり、安価であり、迅速であり、そして使用および解釈が容易である。
【0003】
病原性細菌およびウイルスは、明らかに危険であるが、それらを検出するために一般に使用される方法は、以下のような多くの工程を包含する:試薬の調製、試薬の混合、サンプルの移動、サンプル/試薬の混合、および結果を読み取る前のインキュベーション。これらの物質についての試験は、時間を浪費するだけでなく、それらはまた、代表的に、高価で複雑な装置の使用を必要とする。従って、細菌またはウイルスについて、直接的な表面または装置の慣用的な試験は、この試験が非技術者によって行われそして迅速な結果が求められる設備において現実的ではない。細菌またはウイルスを試験することに対する代替として、多くの食品加工工場は、汚染の指標として代替マーカー(ATPおよびタンパク質)を使用する。これらの物質自体は、通常危険ではないが、それらは、細菌のための栄養物質として機能し得、そして洗浄の有効性の良好な一般的な指標である。
【0004】
ATP(アデノシン三リン酸)は、全ての生きた生物に共通の化学物質である。表面上のATPの有意なレベルの存在は、洗浄が不完全であり、そして細菌が存在し得ることを示す。ATP検出による衛生的モニタリングが一般的で、比較的安価で、迅速で、そして有効であるので、これが広く使用されている。しかし、ATPを検出することは、これが比較的高価な機器の使用を含み、そして中央研究所へのサンプルの輸送を含み得るという点で、その有用性を制限する特定の制限を受ける。
【0005】
明らかに、汚染の証拠としてのタンパク質についての試験は、細菌またはウイルスについての直接的な試験またはATP検出についての直接的な試験に対する魅力的な代替物を提供する。残念ながら、タンパク質決定(これは、汚染された表面の指標として機能し得る)のための現在の方法の多くの例は、多くの輸送工程、インキュベーション期間とともに、安定性の問題に起因して、その現場での試薬の調製を含み、そして/または解釈を困難にする非常に主観的な色の変化を含み、そしてまたは複雑な機器の使用または特別に訓練された者を必要とする。一般的なタンパク質決定方法は、Stoscheck,Quantitation of Protein,METHODS IN ENZYMOLOGY 第182巻,50−68頁,1990に記載される。基本的なタンパク質検出方法の改変物は、ポリアクリルアミドゲルのようなゲル中でタンパク質を検出するための、COOMASSIE(登録商標)ブルー染色のコロイド形態を使用する方法である。このような方法は、例えば、Neuhoffら、Electrophoresis 6:427−488,1985およびNeuhoffら、Electrophorests 9:255−262,1988に記載される。上に参照される従来のタンパク質アッセイ方法に加えて、汚染洗浄およびタンパク質染色組成物が、Winicovら、米国特許第5,424,000号(表題:ACID CLEANINGS AND STAINING COMPOSITIONS;1995年6月13日発行)に記載される。この溶液は、好ましくは、リン酸、硫酸および硝酸、ならびにAcid Violet 19色素を含む。
【0006】
多くの異なる独立式サンプルリング/試験デバイス(特定のアッセイを使用する)が記載される。このようなアッセイの例は、食品加工工場における細菌汚染物についてのサンプリング、鉛のような重金属による環境の汚染についてのサンプリング、微生物感染について試験するための、患者からの試料の収集を含む。
【0007】
独立式サンプリング/試験デバイスの特定の例は、以下を含む:Nason,米国特許第5,266,266号(1993年11月30日発行)およびNason,米国特許第4,978,504号(1990年12月18日発行)(この両方の表題は、SPECIMEN TEST UNIT);Nason,米国特許第4,707,450号(1987年11月17日発行,表題:SPECIMEN COLLECTION AND TEST UNIT);Numa,米国特許第5,726,062号(1998年3月10日発行);およびTobin,米国特許第3,792,699号(1974年2月19日発行)。尿中のタンパク質含量を評価するためのタンパク質エラーの使用は、Keston,米国特許第3,485,587号(表題:PROTEIN INDICATOR)に開示される。これらのすべては、図面を含むその全体が、本明細書中に参考として援用される。しかし、上記のデバイスの全ては、上記と同じ欠点を有する。
【0008】
従って、安価であり、迅速であり、そして使用および解釈が容易である独立式デバイスまたは方法論が存在しないので、生物学的汚染の検出に関連するこのようなデバイスについての、当該分野での必要性が存在する。本発明は、これらの必要性を満たし、そして他の関連する利点を提供する。
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、一般に、種々の設備において生物学的汚染を検出するための新規な方法および独立式デバイスを提供する。1つの局面において、標的物質を収集するためのサンプラーおよびこの標的物質の存在を伝達するためにこの標的物質に結合し、この標的物質の存在を合図する色素を含むシグナル発生器を有する独立式サンプリング/試験デバイスが提供される。1つの実施形態において、このデバイスはまた、洗浄溶液を有するサンプラー洗浄器を含む。他の実施形態において、このデバイスは吸収体材料を有し、ここで、このサンプラーは、多孔性サンプル収集パッドを有し、そして吸収体材料、サンプラーおよびサンプラー洗浄器は、このサンプル収集パッドが吸収体材料とサンプラー洗浄器との間に配置されるように構成および配置され、その結果、この洗浄溶液が、このサンプル収集パッド上に固定された標的物質の結合した色素と未結合の色素とを分離する。
【0010】
サンプラーが、標的物質を収集するための多孔性サンプル収集パッドを有する実施形態もまた、提供され、ここで、色素および洗浄溶液は、サンプラーによって接触され得る試薬トレイハイジングに収容されて、色素および洗浄溶液をサンプラーに収納される標的物質を横切らせる。さらなる実施形態は、色素および洗浄溶液が複数のレザバに収容されるデバイスを含み、ここで、レザバは、サンプラーによって連続的に接触されて、最初に、標的物質を色素に曝露し、次いで、未結合の色素を結合した色素から洗い流す。関連した実施形態において、このデバイスは、標的物質の収集の前に、サンプル収集パッドを湿らせるための湿潤剤を含み得る。さらに、この湿潤剤は、洗浄溶液と同じであってもよく、異なってもよい。
【0011】
なお別の実施形態において、このデバイスは、中空であるサンプラーを有し、そしてここで、吸収体材料は、サンプラー内に配置されて、標的物質を横切る色素および洗浄溶液の輸送を容易にするか、または洗浄溶液がサンプラー内に配置される。
【0012】
1つの実施形態において、このデバイスは、吸収体材料を含む試薬ハウジングを含み、ここで、吸収体材料の1つは、洗浄溶液で満たされており、この吸収体材料の他のものは、満たされてはおらず、ここで、その間に配置されたサンプラー収集表面からの未結合の色素が、満たされた吸収体材料から満たされていない吸収体材料への洗浄溶液の流れによって洗浄される。さらに、この色素は、洗浄溶液によって標的物質に輸送されて、結合をもたらし得る。さらに、このデバイスは、少なくとも1つの開裂可能な膜を含み得る。この膜は、吸収体材料から任意の成分(湿潤溶液)を、吸収体材料から色素を、または吸収体材料から洗浄溶液を分離し得る。特定の実施形態において、使用される色素は、タンパク質結合色素(例えば、ポンソー−S)であり得、他の実施形態においては、標的物質を沈澱させそして染色するか、または標的物質に結合する際に色を変化させる(振動数シフト)かのいずれかの色素であり得る。
【0013】
別の実施形態において、このデバイスは、湿潤剤またはサンプルによる接触まで、乾燥形態の色素を含む。なお別の実施形態において、このデバイスは、中和剤を含んで、標的物質への色素の結合を妨害し得る、サンプル中の任意の化合物を中和し得る。特定の実施形態において、この中和剤は、チオ硫酸ナトリウム、MgCl、ドデシル硫酸ナトリウム、タリグタール(tergitol)、Triton X−100、またはTween 20である。なお別の実施形態において、この色素は、振動数シフト色素またはコロイド色素である。特定の実施形態において、これらの色素は、Coomassie色素またはブロモフェノールブルーである。
【0014】
種々の実施形態において、このサンプラーは、サンプラーに対する試験前の汚染からの保護を提供する下部ハウジング内に収容される。このデバイスはさらに、上部ハウジングを含み、ここで、上部ハウジングおよび下部ハウジングは、密閉可能に係合し、そしてこのサンプラーは、上部ハウジングに取り付けられる。他の実施形態において、このデバイスのサンプラーは、吸収パッドを含み、この吸収パッドの表面に膜が配置され、この膜に、色素が、共有的にまたは非共有的に取り付けられるか、または代替において、色素が直接吸収パッドに取り付けられ、そして/または膜は存在しない。
【0015】
他の局面において、このデバイスは、吸収体材料を含む試薬ハウジング内に収容される湿潤剤/中和剤を含む。さらなる実施形態において、このサンプラーは、湿潤/中和溶液で予め湿らせた吸収体材料を含む。代替において、このサンプラーは、破壊可能なバイアルまたは開裂可能なコンパートメント(湿潤/中和溶液を含む)を含む。さらに、本発明のデバイスは、タンパク質エラーファミリー(protein error family)の振動数シフト色素(例えば、ブロモフェノールブルー)を含み得る。さらなる実施形態において、この湿潤/中和溶液は、チオ硫酸ナトリウム、MgCl、ドデシル硫酸ナトリウム、テルギトール、Triton X−100、またはTween 20であり得る。
【0016】
さらなる局面において、生物学的標的物質を収集するためのサンプラーおよびタンパク質エラーファリミーの振動数シフト色素を含むシグナル発生器を含む独立式サンプリング/試験デバイスが、提供され、この色素は、生物学的標的物質に結合し得、そして標的物質への結合の際に色の変化を生じ、ここで、未結合の振動数シフト色素が、標的物質の存在を検出するために、生物学的標的に結合した振動数シフト色素から分離される必要はない。関連した実施形態において、このデバイスは、以下の少なくとも1つを含む:吸収体材料および/または湿潤剤。特定の実施軽形態において、この色素は、ブロモフェノールブルーであるが、他の実施形態において、このデバイスは、湿潤溶液を含み、この湿潤溶液は、中和剤(例えば、チオ硫酸ナトリウム、MgCl、ドデシル硫酸ナトリウム、、テルギトール、Triton X−100、またはTween 20のうちの1以上)を含む。
【0017】
本発明のこれらおよび他の局面は、以下の詳細な説明および実施例を参照して、明らかとなる。さらに、以下に記載される種々の参考文献は、より詳細な特定の手順または組成物(例えば、色素、検出、方法論など)を記載し、従って、各々は、その全体が、本明細書中で参考として援用される。
【0018】
(発明の詳細な説明)
本発明のデバイスおよび方法は、独立式であり、安価であり、迅速であり、そして使用および解釈が容易である。特定の実施形態において、これらのデバイスおよび方法は、サンプリングスティックの表面かまたはその付近に付着された有意な量のタンパク質の存在下で、色を変化させる色素(例えば、タンパク質エラー色素または多色性色素、Kestonら、前出を参照のこと)を使用し、そしてさらなる実施形態において、デバイスまたは方法は、試験表面との接触の前に、サンプリング表面をぬらすための手段を含む。このようなぬらすための手段は、湿潤剤/溶液によって提供され得、この湿潤剤/溶液は、タンパク質溶解を補助し、タンパク質検出を妨害し得る汚染物を中和し、そして標的物質の検出を最大化する。
【0019】
種々の環境における残留汚染物質の存在に対して、洗浄および調査要員に対する迅速なフィードバックについての必要性および現場での有用性は、十分に確立されている。例えば、汚染物質モニタリングのついての必要性は、残留食品残留物が、いくつかの個体における細菌汚染およびアレルギー性反応を生じ得る場合に、食品安全プログラムにおいて十分に実証された役割を有する。有効な洗浄はまた、後の食品製品を汚染する病原体の危険を減少させる。種々のデバイスおよび方法が、汚染物試験のために利用されている。同様に、病院、医師の診療所、臨床研究所、または動物病院の表面および装置が、患者および職員を保護するために、適切にクリーニングされることを確実にする必要がある。
【0020】
特定の物質の存在を評価する目的の特に有利なデバイスは、二次的な試薬または工程を必要とせず、標的物質の存在における変化が容易に検出され、即時の結果を与え、そしてサンプルのこのデバイスへの統合された収集を可能にする。本発明は、このような独立式サンプリング/試験デバイスが構築され得、ここで、サンプル中の標的物質の存在が、標的物質に結合する色素の使用を介して比色的に検出されることを実証する。上記のように、このデバイスは、慣用的な公衆衛生試験手順のために特に有利である。
【0021】
第1の局面において、本発明は、サンプルを収集するためのサンプラーを有する内臓型デバイスに関し、このデバイスは、標的物質、および収集した標的物質に結合する接触可能な色素を有するシグナル発生器を含み得る。特定の実施形態において、このデバイスは、このサンプラーから、またはこのサンプラー上の収集した標的物質および/または遊離色素を洗浄するための洗浄溶液を有するサンプラーウォッシャーを備え得、色素と標的物質との相互作用から生じるシグナルの測定を容易にする。他の関連する実施形態において、このデバイスまたは方法は、このサンプラーに湿潤剤を提供し得るレザバを有する。このサンプラーのサンプル収集表面部分は、サンプラーウォッシャーまたはサンプラー湿潤剤と連絡しているか、またはこれらと連絡して配置され得る。特定の実施形態において、このサンプラー収集表面はまた、湿潤剤および/または色素溶液および/または洗浄溶液から液体を取り込み得る吸収材料と連絡しているか、またはこの材料と連絡して配置され得る。このデバイスは、特定の用途の要求に依存して(例えば、使用される色素の特定の型、および試験される標的物質の型に依存して)、多くの可能な構造的配置のいずれかで構築され得る。
【0022】
用語「連絡して」とは、本明細書中で使用される場合、言及された成分間の流体接触を可能にする接触部分、あるいはチャネルまたは他の手段をいう。従って、例えば、サンプラーウォッシャーおよび吸収材料は、サンプラーウォッシャーまたは湿潤剤レザバから吸収材料への流体輸送が生じる場合に、連絡されている。この用語は、流体が実際に存在していることを意味せず、流体が存在した場合にこのような流体の接触が起こり得ることのみを意味する。
【0023】
特定の実施形態において、このデバイスは、標的物質を沈殿する色素、好ましくはタンパク質を沈殿する色素(例えば、Ponceau−S色素)を組み込む。このような色素は、標的物質に結合しそして沈殿させるか、あるいは標的物質の沈殿または溶液外に保持することを援助する。このサンプラーのサンプル収集表面は、サンプル中の標的物質を染色するのに十分な量がこのサンプラーによって持ち上げられる様式で、色素(溶液中または乾燥状態の)に接触され得る。このような色素の使用において、結合した色素を未結合の色素から分離して、標的物質の存在の簡便な検出を提供することが一般に有利であるが、必要とはされない。従って、このような色素を使用する実施形態は、洗浄溶液がこの収集されたサンプルを保持する固体マトリックスを通過し得るかまたは越え得るように、収集されたサンプル(これは、標的物質を含み得る)がレザバ間に配置されるかまたは配置され得る構成を利用し得る。例えば、この収集されたサンプルは、洗浄溶液を吸収し得る吸収材料と、洗浄溶液を含む吸収材料または他のレザバとの間に配置され得る。これらのレザバ間の飽和の格差は、収集パッド表面を横切る色素および洗浄溶液の方向性輸送を提供する。好ましくは、毛管作用によって、洗浄溶液は、収集されたサンプルを有するマトリックスを通して、またはこれを越えて引き込まれる。収集表面および乾燥した吸収材料が直接接触している実施形態において、この乾燥した吸収材料は、サンプル収集表面を洗浄するために十分な色素または洗浄溶液を吸収するための、少なくとも十分な容量を有するべきである。他の実施形態において、サンプル保有マトリックスを介して洗浄溶液を引き出すための吸収材料における毛管作用に関与してではなく、洗浄は、サンプル保有マトリックスを介して洗浄溶液を押し出す、利用者によって適応される圧力を利用する。
【0024】
用語「マトリックス」とは、色素/標的物質の複合体を保有するために適切な固体材料をいう。本発明の状況において、マトリックスは、好ましくは多孔性マトリックスまたは多孔性物質(これは、このマトリックスが、水のような流体の通過を容認するのに十分なサイズ(しかし、好ましくは、このマトリックスが自由に排出するほど大きくない)の多くの通路によって貫通されていることを意味する)であるが、必要ではない。このような多孔性マトリックスは、例えば、織り合わされた線維のネットワーク(例えば、紙、綿棒、ナイロンまたはポリエステルメッシュ)、あるいはフェルトであり得る。従って、本発明において(例えば、サンプル収集表面を介する流れを提供するための流体の吸収のために)利用される吸収材料は、多孔性マトリックスまたは多孔性物質である。
【0025】
標的物質と色素との複合体の捕捉ならびに未結合色素の除去の状況において、用語「洗浄」または「洗浄する」とは、複合体の検出を増大するための十分な未結合色素の流体輸送をいう。多くの場合において、染色された物質の過剰の洗浄は、未結合色素に加えて結合した色素を除去し得ることが理解される。従って、実行される場合、洗浄は、結合した色素の除去が、固体支持体またはマトリックス内またはこれらの上に保持される色素の存在の検出を使用して、標的物質の存在の検出を邪魔するほど大規模ではない。
【0026】
特定の実施形態において、サンプル収集マトリックスは、吸収材料(例えば、吸収性パッド)または吸収パッドの表面である。特定の実施形態において、このサンプル収集マトリックスは、標的物質に結合し、他の実施形態において、このサンプル収集マトリックスは沈殿した標的物質を包括するか、またはこのマトリックスの表面は、色素/標的物質複合体を保持する。
【0027】
なお他の実施形態において、このデバイスは、このサンプラーのサンプル収集マトリックスが、洗浄溶液の拡散によって洗浄されるように配置され、この洗浄は、物理的攪拌によって補助され得る。一般的にこのような実施形態において、このサンプラーは、次いで、色素保有洗浄溶液から除去される。標的物質(例えば、タンパク質)は、このサンプラーの一部に結合されるか、包括されるか、さもなくばこの一部上または一部中に固定される。
【0028】
「包括」または「包括する」によって、標的物質をマトリックスから除去する傾向を有し得る力の存在下でさえ、このような標的がマトリックス中に保持されるような、物理的会合(これは、本質的に化学的、静電的または立体的であり得る)が意味される。これは、例えば、この物質が、例えばPonceau−Sのような沈殿色素を使用して不溶性となるように、標的物質の沈殿を介して起こり得る。このような方法で、洗浄は、小さな未反応または未結合の色素分子を、大きな色素/標的物質複合体から分離するように実施され得、従って、サンプルの試験を容易にする。
【0029】
用語「沈殿する」または「沈殿」は、本明細書中および特許請求の範囲で使用される場合、溶液からの固体粒子の沈降または析出のような、通常の沈殿の理解を含む。さらに、この用語はまた、本明細書中で使用される場合、吸収性収集パッドマトリックスもしくはサンプラーまたは他の固相表面内、あるいはいくつかの場合これらの上の任意の力による、固体または粒子性物質の任意の一般的保持を含む。従って、この定義は、溶液、標的物質の凝集、および標的物質のコンホメーション変化から生じる標的物質(これは、複合体または他の物理的構造体(これは、多孔性物質の細孔を介して容易には移動され得ない)を生成することによって、マトリックスからこれらの物質が抜け出ることを妨害するように作用する)を含むが、これらに限定されない。従って、当業者は、特定の標的物質/色素の組み合わせの沈殿、または他の包括(例えば、多孔性物質への標的物質の貫通を可能にするが、色素/標的物質複合体が多孔性物質から迅速に輸送されるのを防ぐほど十分に小さい、適切な平均細孔サイズを有する多孔性物質の選択)のため、あるいは指示色素のマトリックス(例えば、吸収パッドまたは適切な被覆膜)への結合のための適切な物質および条件を容易に選択し得る。
【0030】
標的物質を沈殿する色素(例えば、タンパク質を沈殿する色素)を使用する実施形態において、この色素は、標的物質(例えば、タンパク質(例えば、吸収スワッブまたはパッドに吸収されるかまたはこれらに沈殿するタンパク質))を染色/着色し、そして固定化する。この状況において、「固定化する」とは、例えば、標的物質/色素複合体の沈殿、標的物質および/または標的物質/色素複合体の包括、あるいは不溶性物質または固体物質(例えば、粒子、マトリックスもしくは支持体)への標的物質の付着によって、標的物質が、溶液(例えば、色素溶液または洗浄溶液)のバルクから除去されるか、またはこのバルクに入ることを妨げられることを意味する。標的物質がマトリックスまたは表面に結合する実施形態において、沈殿する色素は、実際に標的物質を沈殿する必要はない。なぜなら、これらは、固体マトリックスまたは支持体に結合することによって固定されるためである。
【0031】
以下に記載される特定の実施形態は、本発明の範囲がまた、デバイスの構成要素およびデバイスのいくつかの最小限の操作を意図し得ることを実証する。ここで、このデバイスは、サンプル挿入の後にシールされたままではなく、そして/または1つ以上のデバイスの構成要素の別々の操作が必要である。従って、1つの実施形態において、このデバイスは、標的物質または混入物を収集するためのサンプラー、標的物質に結合する色素を提供するためのシグナル発生器、標的物質および/または湿潤剤レザバに結合した色素から未結合の色素を洗浄するためのサンプラーウォッシャー、ならびに少なくとも1つのハウジングを備え、このハウジングは、このシグナル発生器およびサンプラーウォッシャーおよび/または湿潤剤を収容するためのものである。
【0032】
特定の実施形態において、このサンプラーは、杖、芯、棒、または特定の型のサンプルを持ち上げるために適切な任意の他の構成の形態を取り得る。このようなサンプラー杖は、一般に、吸収性の棒(好ましくは平板化されている)であり、この棒の末端位置にサンプル収集パッドまたは表面を有する。この棒はまた、例えば、この棒の同じ末端の他の面上の、この棒における穴を介して連絡したサンプル収集パッド/膜と連絡した吸収材料を有し得る。従って、これらの構成において、標的物質(例えば、表面を汚染するタンパク質)を越えて標的物質および/または色素および/または洗浄溶液を引き出すために収集表面に並列するか、または並列するように適合され、そしてパッドマトリックス上またはパッドマトリックス内でのこの標的物質の包括を促進し得る吸収パッドまたは物質が存在する。このデバイスは、サンプラー収集パッド(または好ましくは湿潤剤レザバ)から好ましくは吸収パッドまたはレザバへと未結合の色素を洗浄するためのサンプラーウォッシャーを組み込む。この吸収パッドまたはレザバは、いくつかの実施形態においいて、例えば杖であり、サンプラー収集パッド/膜に並列するかまたはこれらに統合され、そして他の実施形態において、サンプラー棒またはハウジングに収容されるサンプラー収集パッドまたは隣接する吸収材料の細長伸張であり、このサンプルを越える洗浄溶液の流れを提供する。必要に応じて、このデバイスはさらに、湿潤剤または溶液およびサンダーウォッシャーの両方を備え、ここで、この湿潤剤は、サンプル収集マトリックスまたは表面を湿らせるために利用され得る。このような加湿は、サンプルの収集および/または一定量の乾燥色素を持ち上げる際に補助し得る。湿潤溶液は、洗浄溶液と同じであっても異なってもよい。従って、加湿されたサンプル収集マトリックスが所望される適用において、このサンプル収集表面またはマトリックスは、予め加湿され得るか、または湿潤溶液を使用して加湿され得る。
【0033】
上記のように、特定の実施形態において、サンプラー杖は、サンプル収集パッドを介して流体を引き出すために、サンプル収集パッド/膜を伴うがさらなる吸収材料なしで、あるいは、例えば、サンプル収集パッドのある側面を他の側面の吸収パッドと連絡させて、サンプル収集パッドおよび吸収材料の両方を伴ってのいずれかで、構築され得る。一般に、サンプラー杖は、ハンドル(好ましくは、非多孔性物質(例えば、種々のプラスチック、コートされた紙、ガラス、または金属)で作製される)を有する。好ましくは、このハンドルは、少なくとも1インチ長であり、そしてより好ましくは、2、4、6、または8インチ長である。他の実施形態(例えば、サンプラー棒を備える実施形態)において、上記の型のサンドイッチは存在しない。むしろ、サンプラーの本体またはハウジングは、中空であるか、あるいは、未結合色素の染色されたサンプルを受容するかもしくは洗浄溶液でフラッシュするための、またはこの膜に湿潤剤を提供するための、サンプル収集表面に隣接または接続された内部レザバと統合されている。
【0034】
従って、用語「サンプラー棒」は、サンプル収集表面、パッドまたは膜、および少なくとも1つのレザバを備える細長ハウジング構造体をいう。例えば、サンプラー棒は、サンプル収集パッドと共に、洗浄溶液および/または湿潤剤を含み得る。この湿潤剤または洗浄溶液は、収集パッドに連続的に連絡され得るか、または連絡が所望されるまで、セパレーターで分離され得る。あるいは、サンプラー棒は、サンプル収集表面と連絡した洗浄溶液および/または湿潤溶液を吸収するための乾燥吸収材料を有するレザバを含み得る。例示的なサンプル棒は、図9〜12に示される。
【0035】
特定の実施形態において、このデバイスは、複数のレザバ(例えば、湿潤剤、色素(乾燥状態または溶液中)、および洗浄溶液を含む3つのレザバ)を有するハウジングを含む。サンプルおよび一定量の色素の持ち上げを変更すると、サンプラー自体が上記の実施形態とは異なり、相補的な受容レザバを保有するので、サンプラーのサンプル収集表面は、単に洗浄溶液レザバに対して押しつけられ、サンプルから未結合色素をフラッシュする。本明細書中に示されるこのサンプラー棒形式は、例示的であるが限定的ではない。代替として、サンプラー棒中のレザバは、湿潤溶液/洗浄溶液を含み得、サンプルおよび色素の持ち上げ後、このサンプル収集表面はハウジング中の吸収材料に対して押し付けられて、このサンプルを越える洗浄溶液の流れを引き起こす。
【0036】
このようなサンプラー棒は、平面構成(例えば、図3および4に示されるような)のレザバを含むハウジングを利用し得るか、またはキャップの形態(例えば、図5)のハウジングを使用し得る。例えば、このようなキャップは、可逆的であり得、その結果、1つの配向において、このキャップはサンプル収集表面をシールおよび/または保護する。逆の配向において、このキャップは、色素および洗浄溶液との接触を提供する。当業者は、サンプル収集表面の加湿、色素の持ち上げあるいはサンプル収集表面およびマトリックス上またはこれら内への輸送、洗浄溶液の供給源、ならびに未結合色素のサンプルを洗浄する場合に洗浄溶液を受容するための相補的吸収材料を提供するために、種々の構成が使用され得ることを認識する。
【0037】
いくつかの実施形態において、特定のレザバおよび/または試薬は、連続または隣接しているが、破裂可能な膜またはセパレーターによって分離されており、これらは、破裂する場合、収集された/曝露されたサンプルを越える試薬の流れを可能にして、このサンプルを効率的に洗浄するかまたはこのサンプル収集表面を加湿する。図9は、例示的であるが限定的ではない。
【0038】
いくつかの実施形態は、乾燥し、分離した状態で色素を保持する膜の破裂のような物理的刺激に応答して、水和されそしてサンプルに提示される固体色素を利用する。図4は、例示的であるが、決して限定するようには意図されない。(図4における組み合わせた色素/洗浄溶液レザバは、乾燥した色素または色素溶液を含み得た)。例えば、加湿されたサンプル収集表面は、一定量の色素がサンプル収集表面に移動されるように、乾燥色素に接触され得る。この色素は、標的物質と直接接触し得、そして/または多孔性マトリックスを介する液体輸送によってこの多孔性マトリックス内の標的物質と接触する。
【0039】
上記の実施形態は、好ましくは、沈殿色素の特性を利用するが、驚くべきことに、特定のクラスの振動数シフト色素を用いて良好な結果を提供する。これらの実施形態において例示されるように、本発明はまた、多孔性マトリックス(この中に、標的物質が(例えば、塗布によって)既に導入されている)からの標的物質(例えば、タンパク質)の固定または外出を遅延するような色素を使用する方法を提供する。従って、本発明によって意図されるような標的物質の導入は、電場における粒子または分子の運動によって、またはこの運動に依存して、促進されない。同様に、この方法は、多孔性マトリックス内での差次的な移動に起因して、サンプルの成分の分離を利用しない。代わりに、このマトリックスは、単に、マトリックスへの標的の最初の進入またはこの標的のマトリックスとの会合を可能にし、そして色素の影響がこのマトリックスから標的物質が離れるのを邪魔するかまたは阻害するように作用するサイズに適合性であることのみを必要とする。これは、例えば、沈殿、コンホメーション変化、凝集、または色素結合の任意の他の結果に起因し得、これは、未結合の色素が洗浄され得、そして染色された標的物質がマトリックス中で可視化されるという、多孔性マトリックス中の標的物質の十分な固定化の影響を有する。あるいは、この固定化は、マトリックスへの標的物質の化学的または静電的結合に起因し得る。さらに、上記の基準が満たされ、かつ色素が他の様式でこのマトリックスと適合性であるかまたは適合性にされ得る(例えば、中和剤を用いて)限り、マトリックスの構成要素(constituency)は無関係である。
【0040】
多孔性マトリックスのために使用され得る可能な物質の例示(限定ではない)は、「サンプラー」の定義の下で以下において議論される物質である。色素は、マトリックス中で標的物質に結合した色素が、マトリックスに結合した色素から区別され得ない程度まで、マトリックス物質に結合すべきではない。
【0041】
上記の局面と一致して、固体マトリックスでの標的物質の固定化または包括(例えば、多孔性マトリックス中での)は、サンプル中の標的物質の存在を検出するための方法を提供する。以前に示したように、この方法は、標的物質/沈殿色素または振動数シフト色素複合体を固体マトリックス上または固体マトリックス内に包括または固定化する工程を包含する。例えば、このような複合体は、沈殿色素との標的物質の結合によって、あるいは収集表面または多孔性マトリックス上またはこれらの中への色素/標的物質複合体の収集によって、多孔性マトリックス中に包括され得る。一般に、沈殿色素を使用する場合、この方法は、簡便な可視化または他の検出(例えば、分光光度計または蛍光光度計のような機器を使用する検出)を可能にするために、未結合の色素を洗い流す工程を包含する。振動数シフト色素を使用する場合、加湿サンプル収集および可視化のみが必要とされる。この方法は、種々のマトリックス物質、中和剤、洗浄溶液および/または湿潤溶液、ならびに他の局面について本明細書中に記載される色素を含み得る。
【0042】
本明細書中の方法について、沈殿色素、アゾ色素(好ましくはジアゾ色素)(これは、好ましくは、少なくとも1つ、そして好ましくは複数のスルホン酸基(例えば、2、3、または4個の基)を有する)(これらは、対応する塩の形態で調製され得る)を含むことが好ましい。赤色色素、Ponceau−S、Sigma Chemical Co.,St.Louis,Mo,(ケミカルアブストラクトサービス登録番号6226−79−5,(3−ヒドロキシ−4−[2−スルホ−4−(4−スルホフェニルアゾ)フェニルアゾ]−2,7−ナフタレンジスルホン酸、四ナトリウム塩],HOC10(N=NC(SONa)(N=NCSONa))(SONa),F.W.760.58)が例示である。Ponceau−Sは、水中で溶解性であり、そしてエタノール中でわずかに溶解性であり、そして植物油中で不溶性である。これは、酢酸中室温で安定であり、そして好ましい実施形態において、約1〜5%(w/v)酢酸中、約0.1〜1.0%(w/v)の色素濃度を使用して、タンパク質様物質を染色するために使用される。この染色は、0.1N NaOHの添加の際に、または過剰な洗浄溶液によって、迅速に除去され得る。用語「アゾ色素」および「ジアゾ色素」は、色素産業において一般に受け入れられている意味を有する。色素化合物と関連した用語「スルホン化された」は、スルホン酸置換基の存在をいう。このような基は、対応する塩形態に存在し得る。
【0043】
有利なことに、ポンソーSは、タンパク質に迅速に結合し、そしてこれらのタンパク質を、染色/着色することに加えて、沈澱させるかまたは固定する。従って、このような沈澱性色素は、一般に、固体マトリックス内または固体マトリックス上の標的物質(例えば、タンパク質)に結合し、そして沈澱させるために使用される。このような場合には、未結合色素は、一般に、色素/タンパク質複合体から洗浄除去されて、サンプルタンパク質の視覚的検出を提供する。このような実施形態において、この色素は、色素/タンパク質複合体の検出を防止または妨害するような程度まで、またはそのような条件下では、固体マトリックスに結合しない。
【0044】
本発明は、固体表面上のタンパク質を検出するための方法を提供する。好ましくは、この方法は、表面上への汚染(例えば、食品加工の残留物)に対する試験において、適用される。この方法は、固体表面(例えば、金属表面)を、ポンソーS色素溶液と、ポンソーS色素がタンパク質に結合する条件下で接触させる工程を包含する。ポンソーSの、タンパク質への迅速な結合は、垂直な表面上においてさえも、十分な色素がタンパク質に結合することを可能にする。好ましくは、この方法は、さらなる処理なしで、表面上のタンパク質に結合した色素の即時の可視化を可能にする。所望であれば、この方法はさらに、この表面を、未結合色素を洗浄除去し得る洗浄溶液で洗浄する工程を包含し得る。好ましくは、この色素は、希酢酸中0.1〜1.0%の濃度で使用される。この色素溶液および/または洗浄溶液は、さらに、上記のような中和剤を含有し得る。
【0045】
本発明の特定の実施形態において、色素の標的物質への結合は、色素または色素溶液の色の変化によって(例えば、標的への結合の際の色素の振動数シフト(色変化)または色素の消耗による色素溶液の振動数シフトによって)、検出可能である。好ましくは、独立式のサンプリング/試験デバイスは、振動数シフト色素を組み込む。振動数シフト色素は、それらの吸収または反射または発光が、標的物質との相互作用の際に変化し、これによって、未結合色素から結合色素を区別する。このような色素は、結合色素と未結合色素との分離なしでさえも、標的物質の好都合な検出を可能にし得、従って、洗浄溶液を必要としない。
【0046】
従って、特定の実施形態において、サンプル洗浄は、サンプル物質を移動させ得る(例えば、標的物質を、収集部分またはサンプラーの表面から)。液相分析が実施されるデバイスの実施形態は、代表的に、可視化または分析されるべきサンプル反応を可能にするこのデバイスの読み取り部分を、分光計のような器具の補助ありまたはなしで使用する。このサンプル物質は、洗浄されて読み取り部分に入るか、あるいはサンプラーの読み取り部分に運ばれる。
【0047】
色素の色の変化が検出される、振動数シフト色素または他の色素を使用する、他の特定の実施形態において、サンプラーは、予備試験汚染からのサンプラーへの保護を提供する、下方のハウジング内に収容され得る。
【0048】
さらに、上方のハウジングは、下方のハウジングに密封可能に係合し得、その結果、これら2つのハウジングは、試験の間連絡する。サンプラーは、好ましくは、上方のハウジングに固定される。洗浄溶液または湿潤溶液を保持するためのチャンバまたは受容器、あるいはシグナル発生器および湿潤溶液の各々を保持するための組み合わせられたサンプル湿潤シグナル発生器または別の受容器が、このようなハウジングの内部にあり得るか、またはこのようなハウジングを構成し得る。このチャンバは、さらに、チャンバに隣接する破壊可能なシャフトを備え得、このシャフトは、破損時に、開口部を露出させ、この開口部を通して、収容された溶液がサンプラーに流れ得、そしてさらに、評価のための読み取り部分に流れ得る。従って、湿潤溶液は、このデバイスにおけるスワッブ内の中空シャフトを通って、スワッブのチップを通って、標的収集パッド/膜/表面へと流れ得る。
【0049】
振動数シフト色素は、この振動数シフトが結合色素と未結合色素とを区別するために十分に大きい場合には、未結合色素の存在下においてさえも、結合色素の好都合な検出を提供する。この器具が結合結果を読み取るために使用される場合においては、この振動数シフトは、一般に、目視の読み取りが利用される場合より小さくあり得る。機械による読み取りについては、好ましくは、結合の際の吸収シフト(波長シフトとして表す)は、少なくとも20nm、より好ましくは少なくとも50nm、なおより好ましくは少なくとも75nm、そして最も好ましくは少なくとも100nmである。目視の読み取りについては、好ましくは、結合の際の吸収振動数シフトは、少なくとも50nm、より好ましくは少なくとも75nm、なおより好ましくは少なくとも100nm、そして最も好ましくは少なくとも120nmである。例えば、酸性条件下でのCOOMASSIEブルー染料の吸収ピークは、この色素がタンパク質に結合する際に、約465nmから約595nmへとシフトする。目視読み取りについては、この吸光度の変化が、単なるシェードの変化よりむしろ、色の変化を生じる場合に好ましい。例えば、GELCODE(登録商標)試薬は、タンパク質結合の際に、琥珀色から青色へと変化する。蛍光発光シフトは、好ましくは、少なくとも20nm、より好ましくは少なくとも40nm、なおより好ましくは少なくとも75nm、そして最も好ましくは少なくとも100nmである。
【0050】
GELCODE(登録商標)は、コロイド状COOMASSIE(登録商標)G−250色素を含む。コロイド状COOMASSIE(登録商標)ブルー色素はまた、当該分野において記載されるように形成され得る。例えば、Neuhoffら、Electrophoresis 6:427−448(1985)およびNeuhoffら、Electrophoresis 9:255−262(1988)において記載される。一般に、これらの溶液は、COOMASSIEブルー色素(登録商標)を、硫酸アンモニウムまたは硫酸鉄アンモニウムと共に、酸性水溶液中で利用する。1つの実施例において、この溶液は、0.1%重量/容量(w/v)のCOOMASSIEブルーG−250を、2%w/vのリン酸、および6%w/vの硫酸塩中に含む。代替の溶液において、この色素は、10%w/vの硫酸アンモニウムおよび20%w/vのメタノールを含む。好ましくは、この溶液のpHは、1と2との間であり、そして硫酸アンモニウムまたは硫酸鉄アンモニウムの濃度は、2%w/vと15%w/vとの間、より好ましくは4%w/vと10%w/vとの間、そして最も好ましくは5%w/vと8%w/vとの間である。pHは、この色素分子が急速に分解するほど低いべきではなく、そして硫酸アンモニウム濃度は、この溶液が色の特徴またはコロイド形態を採るように選択されるべきである。好ましくは、この色素分子の大部分は、フリーな溶液であるかまたは溶液から沈澱するよりむしろ、コロイド粒子として存在する。
【0051】
別のクラスの振動数シフト色素は、文献において、「タンパク質誤差」色素と称されている。タンパク質を結合する際に観察される吸収ピークのシフトは、この色素における電離可能な基(単数または複数)のpKaにおけるシフトに起因すると考えられる。このファミリーとしては、トリフェニルメタン色素(例えば、ブロモフェノールブルー、ブロモクレゾールグリーン、およびテトラブロモフェノールブルー)が挙げられるが、これらに限定されない。このクラスの色素を利用する1つの実施形態において、本発明は、標的物質を含有し得るサンプルを収集するためのサンプラー、および収集された標的物質に結合する接触可能な色素を有するシグナル発生器を有する、独立式デバイスを考慮する。この実施形態において、この色素は、共有結合的にかまたは非共有結合的にかのいずれかで、サンプラーの表面またはその近くで結合する(図9〜12)。この色素は、吸収剤物質に直接結合するか、または図(9〜11)のように、サンプラー表面の全てもしくは一部をカバーする膜に結合するかの、いずれかであり得る。この膜は、この適用において有用であるために、いくつかの特徴を有するべきでる。第1に、この膜は、非共有結合力を介して色素を直接結合するか、または色素の共有結合を受容するための修飾を可能にする構造を有するかの、いずれかであるべきである。第2に、この膜は、いくらか多孔質であり、過剰の湿潤剤および他の溶質が吸収物質を通って通過することを可能にするべきである。第3に、この膜はタンパク質に対して試験されるべき表面と接触するので、過剰の擦り切れに対して抵抗性でなければならない。このような物質の例としては、ナイロン、レーヨン、他のポリエステル、硝酸セルロース、および酢酸セルロースが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
例えば、ナイロン膜は、ブロモフェノールブルーの緩衝溶液(5〜500μg/mL、好ましくは50〜300μg/mL、最も好ましくは150〜250μg/mLにおいて)に、短時間曝露される。この緩衝液の好ましい処方は、0.8M NaCl、0.1Mクエン酸ナトリウム、0.04M酢酸、4.3%(v/v)エタノール(pH2.2)であるが、これは限定ではない。この緩衝液の代替の処方は、0.4M NaCl、0.1Mクエン酸、4%エタノール(pH2.2)である。次いで、この膜は、低pHの緩衝液中でリンスされ、その黄色を維持され、次いで乾燥され、そして室温で乾燥状態で貯蔵される。これらのコーティングおよび貯蔵の条件下で、この膜への色素の付着は安定である。次いで、この色素含有膜は、サンプラー収集表面に配置され、そして液体を湿潤剤から取り込み得る吸収剤物質と連絡するか、または連絡して配置され得る。このデバイスは、特定の適用の要件に依存して、例えば、使用される色素の特定の型および試験されるべき標的物質の型に依存して、多数の可能な構造的配置のいずれかを用いて構成され得る。
【0053】
このデバイスはまた、湿潤剤を含み得るが、これは必須ではない。1つのこのような実施形態において、この湿潤剤は、このデバイスの別個の区画に収容される(図9)。あるいは、この湿潤剤は、このデバイスの別個のハウジング内に貯蔵され得、これへのアクセスは、シールの穿孔または除去によって得られる(図10)。この湿潤溶液は、このハウジングに収容されるアンプルに含まれ得る。さらに、本発明の特定の実施形態は、図11に示すような予め湿らされたサンプラーを使用する。この湿潤剤は、以下が挙げられるいくつかの目的の1つ以上を果たす:(1)この湿潤剤は、試験されるべき物質の表面から標的物質が離れることを促進する薬剤を含有し得る;(2)この湿潤剤は、妨害物質の有害な影響を中和するかまたは部分的に中和する、中和剤を含み得る;そして(3)この湿潤剤は、標的物質の存在下でのこの色素の振動数シフトを容易にするような組成である。これらの色素を使用する実施形態において、標的(例えば、タンパク質含有)溶液は、色変化を引き起こすpHのすぐ下のpH値で、色素に提供される。ブロモフェノールブルーに関して、この洗浄溶液は、好ましくは、pH1.5〜2.4、最も好ましくは、pH2.2±0.2で緩衝されるべきであり、そしてこの標的を可溶化するための界面活性剤(単数または複数)、および以下に記載されるような中和剤(単数または複数)を含む。好ましいが限定ではない、このような湿潤溶液の処方は、0.1M NaCl、0.5Mクエン酸、4.5mM硫酸カリウム、3mMチオスルホン酸ナトリウム、0.4%ドデシル硫酸ナトリウム、および0.5%テルジトール(pH2.2)である。
【0054】
当業者によって理解されるように、特定のデバイスの実施形態は、標的物質に結合する種々の型の色素(例えば、沈澱性色素または振動数シフト色素)の使用に適合する。例えば、サンプル物質をサンプラーから離して運ぶための洗浄を利用する実施形態は、振動数シフト色素と共に利用され得るが、これは必須ではない。このようなデバイスはまた、サンプラーの内部もしくは表面または多孔質分離器の表面において、標的物質に結合した色素から未結合色素を洗浄除去し得る場合、沈澱性色素と共に使用され得る。サンプラー部分または上方のハウジングにおいて洗浄溶液を受容器内に組み込む、本明細書中に記載される特定の実施形態によれば、サンプルはサンプラー上で収集され得、色素(例えば、サンプラー部分または上方のハウジング中の受容器から、あるいはサンプル収集の前にサンプラーに収容された色素による)と接触され得、次いでサンプラー部分または上方のハウジングにおける受容器に収容される洗浄溶液によって洗浄される。好ましくは、このような実施形態において、サンプラーの収集表面は、予め湿らされている。
【0055】
同様に、サンプル収集表面と接触可能な受容器内に色素溶液が存在するデバイス(例えば、以下の図2を参照のこと)は、振動数シフト色素または沈澱性色素と共に使用され得る。いずれかの型の色素によって、サンプル物質が運ばれて、サンプラー上の色素と接触する。振動数シフト色素については、標的物質に結合する色素は、色素が色素溶液もしくはサンプラー中で標的物質を結合するにつれて、または色素がサンプラー中もしくはサンプラー上の標的物質に結合するに従い色素が溶液から消耗されるにつれて、この色素の色の変化によって検出される。
【0056】
用語「サンプリング/試験デバイス」または「独立式のサンプリング/試験デバイス」とは、そのデバイスが、サンプルをこのデバイスに導入するための手段と共に、特定のアッセイのための全ての構成要素が単一のデバイス内に提供されるように構成されることを示す。しかし、特定の実施形態に対しては、アッセイの間にインキュベーションするため、またはこのアッセイの結果を読み取るための、別の装置を利用することが、有利であり得る。
【0057】
「サンプラー」とは、試験されるべきサンプル(これは、表面上にか、溶液中にか、または大気中に存在し得る)の全てまたは一部を得ることを可能にするデバイス構成要素(単数または複数)を意味する。例えば、サンプラーは、吸収剤パッド、色素含有膜が表面に固定された吸収剤パッド、またはシャフトおよび吸収剤チップを有するスワッブであり得る。このサンプラーのシャフトまたはサンプラースティックハウジングは、中空であり得、そしてさらに、排気口を備え得る。代替として、サンプラー/スワッブは、Q−Tip(登録商標)または単純なパッドの形態を採り得る。このスワッブは、そこへのサンプルの沈着が起こり得、そしてこのスワッブへの色素の結合が標的物質の検出を妨害してこのような検出を妨げない限り、天然物質または合成物質を含み得る。このような妨害の非存在または減少は、例えば、材料の選択および/またはデバイス構成要素の物理的相互関係によって、提供され得る。この材料は、スポンジ、マイラー、ナイロン、ダクロン、レーヨン、ポレックス(porex)、多孔質ポリプロピレン、多孔質ポリエチレン、ガラス繊維、紙、または他の種々の織布もしくはフェルト繊維(例えば、ニトロセルロース、綿、羊毛、セルロース)、あるいはこれらの組み合わせであり得るが、これらに限定されない。スワッブがシャフトを備える、好ましい実施形態において、このスワッブのシャフトは、好ましくは中空であり、サンプルの洗浄溶液および/または色素溶液が、収集されたサンプル物質をこのスワッブから反応チャンバおよび/または読み取りチャンバへとフラッシュすることを可能にするか、あるいは湿潤溶液がサンプラーを湿らせることを可能にする。このスワッブは、サンプル物質の可溶化およびサンプラーへの吸収を補助するために、予め湿らされた形態で使用するために提供され得るか、あるいは湿潤溶液を含むデバイス内の受容器から(例えば、飽和吸収剤マトリックス中)、容易に湿らされ得る。湿潤化溶液は、使用される色素の型に依存して、緩衝液、水、酸、または塩基であり得る。当業者は、特定の型の試験に関与する色素および標的物質に適合性の湿潤流体の選択を理解する。サンプラーは、毛管現象(例えば、キャピラリー管(単数または複数))を介して機能し得る。このサンプラーは、ピペッティング手段を備え得る。このサンプラーは、大気のサンプル(例えば、閉じ込められた作業空間内に存在する大気)を捕捉するチャンバを備え得る。このサンプラーは、事実上任意の形状または形状の組み合わせ(例えば、平面、細長、矩形、円形、楕円形、円筒形、球形、立方体、円錐など)を呈し得る。好ましくは、このサンプラーは、設備におけるアクセスが困難な位置(例えば、食品加工または病院の設備)に使用者が好都合に到達することを可能にするように、設計される。従って、このサンプラーは、好ましくは、薄い断面(例えば、2in未満、より好ましくは1in未満、そして特定の実施形態においては1/2in未満の断面積)を有する延長部を提供するよう構築される。このような延長部は、好ましくは、少なくとも2インチの長さ、好ましくは少なくとも4インチ、6インチ、または8インチの長さである。このような延長部は、例えば、ワンドハンドル、スワッブシャフト、または細長ハウジング、あるいはこれらの組み合わせによって提供され得る。
【0058】
用語「サンプラー部分」とは、サンプラーを含み、そしてまたサンプルが、このデバイスの残りの部分に密封されるかまたは取り付けられることを可能にするさらなる構成要素を備える、そしてまた、1つ以上の試薬スペース(例えば、サンプル洗浄溶液のための受容器)を備え得る構造的アセンブリをいう。
【0059】
「サンプラー洗浄器」とは、「サンプラー」に存在するサンプルの全てまたは一部をの除去を可能にする、デバイス構成要素(単数または複数)を意味する。例えば、いくつかの実施形態において、上方のハウジングまたはサンプラー部分またはサンプラースティックは、流体を収容する受容器としてのチャンバを備え、この受容器において、流体は所望のように選択的に放出され得、通常は得られたサンプルを放出するか、または未結合色素を色素/標的物質複合体から洗浄除去する。代替の実施形態において、上方のハウジングまたはサンプラー部分は、容器(例えば、アンプルまたは小袋であるがこれらに限定されない)を備え得る。このアンプルまたは小袋は、上記のような流体を含み得、これらの流体は、選択的に放出され得る。代替の実施形態において、上方のハウジングまたはサンプラー部分は、2つの容器を備え得、これらの容器の両方またはいずれかは、例えば、同じかまたは異なる流体または乾燥物質を含むアンプルまたは小袋(これらに限定されない)を備え得る。別の実施形態において、流体は、上方のハウジングまたはサンプラー部分に直接収容され得、そして流体または乾燥物質(あるいは、1種より多い流体または乾燥物質)を収容する容器(単数または複数)が、このハウジングに収容され得る。なお他の代替において、ハウジングの下部または下方のハウジングは、サンプラーからのサンプルを洗浄するために使用される流体を、例えば、このサンプラーの端部を流体に挿入するかまたは他の様式で流体をサンプラーに押し付けるかもしくは通すことによって、収容し得る。
【0060】
「洗浄溶液」とは、未結合色素を色素/標的物質複合体から分離し得、そして/またはサンプル物質をサンプラーから別の位置へと運び得る溶液(例えば、水溶液)を意味する。この溶液はまた、湿潤剤の機能を果たし得る(例えば、サンプル収集に先行してかまたはサンプル収集を容易にする際に、スワッブまたは収集表面を湿らせるために)。特定の色素と共に使用するための洗浄溶液は、標的物質へのこの色素の結合を妨害して標的物質の結合の決定が妨げられる傾向のあるような量の薬剤を含まない。好ましくは、このような薬剤は存在しないが、いくつかの場合においては、低レベルのこのような薬剤を含むことが望ましくあり得る(例えば、多孔質マトリックスへの色素の結合を最小にし、これによってコントラストを増強し、そして標的物質の検出を改善するため)。当業者は、特定の色素のための適切な洗浄溶液を、容易に選択し得る。ポンソーS色素を利用する実施形態において、洗浄溶液および/または湿潤剤は、好ましくは、希酢酸溶液であり、好ましくは、水中0.1〜10%酢酸、より好ましくは0.5〜5%酢酸、なおより好ましくは1〜5%酢酸である。
【0061】
「湿潤剤」とは、サンプラーを湿潤し得、そして/または検出を容易にするために色素を水和し得る水溶液を意味する。この文脈において、湿潤剤は、結合していない色素を除かず、従って、洗浄溶液ではない。
【0062】
「シグナル発生器」とは、標的物質の存在下で測定可能なまたは識別可能な応答を引き起こす化学化合物あるいは物理的刺激剤または生物学的薬剤を意味し;化学化合物は、化学色素、酵素、あるいはこのような応答を誘導し得る他の有機または無機構造を意味する。
【0063】
用語「標的物質結合色素」または「色素」とは、サンプル中の標的物質に、このようなサンプル中に存在しそうな他の分子への結合と比較して、優先的に結合する化合物をいう。従って、色素は、標的物質への結合と等しいかまたはより大きなレベルで他の分子に結合し得るが、このような他の分子は、この分子への結合の際に性質における特徴的な変化(例えば、振動数シフト)を引き起こさず、そして/または一般的に試験されるサンプル(例えば、プロセス混入の評価において試験されるサンプル)中に存在しない分子である。優先的結合は、全ての条件下で生じる必要はないが、少なくとも、本発明のデバイスにおける使用のために選択されたアッセイ条件下で生じる。色素化合物はまた、視覚的または分光学的手段を使用して検出可能であり、好ましくは、特徴的な色を与えるために、可視波長で吸収するかまたは蛍光を発する。標的物質(例えば、タンパク質)への色素の結合は、好ましくは、可視であるタンパク質の色変化および/または沈殿を生じる。従って、例えば、用語「タンパク質結合色素」とは、他の分子よりも、タンパク質、ポリペプチド、またはオリゴペプチドに優先的に結合する化合物をいう。色素は、水性形態で活性であるが、最初に乾燥され得、そして例えば、湿潤/洗浄溶液と接触したときに、試験プロセスの間に水和され得る。
【0064】
「振動数シフト色素」とは、検出される物質との相互作用の際に、色素分子の発光スペクトルまたは吸収スペクトルにおいて、特徴的な検出可能な変化を示す組成物を意味する。好ましくは、色素分子に特徴的な光吸収の変化が、観測される。吸収スペクトルまたは発光スペクトルにおける変化としては、例えば、吸収または発光のピークまたはバンドの出現または増加、吸収ピークまたはバンドの消失または減少およびこれらの組み合わせが挙げられる。振動数シフト色素は、コロイド状(例えば、Coomassie(登録商標)ブルー色素(好ましくは、GelCode(登録商標)Blue Stain Reagent Pierce Chemicals、Rockford、IL)、「タンパク質エラー色素」(例えば、ブロモフェノールブルー)、またはスペクトルが標的の存在下で変化する他の色素)であるタンパク質結合色素であり得る。
【0065】
用語「コロイド状色素」とは、液体状態で微細に分割された状態である色素をいい、その結果、色素の固体粒子が、1〜1000nmの範囲、好ましくは、1〜100nm、そしてより好ましくは5〜100nmの範囲である。これは、液体中に存在する全ての色素がこのような粒子の形態であることを意味しない。なぜなら、当業者は、コロイド状形態が、一般的に、溶解された色素および/またはコロイドサイズより大きい(例えば、1000nmより大きい)固体色素粒子との熱力学的な平衡にあることを認識するからである。コロイド状形態の色素の量が、同じ量の色素を含むが、この色素が溶液で存在しそして/または非コロイド状粒子で存在する溶液と比較して、色素溶液の色を変化させるのに十分であるコロイド状色素が最も有用である。特定の実施形態において、少なくとも30%の色素分子がコロイドサイズ粒子であり、好ましくは、少なくとも50%、そしてより好ましくは、少なくとも70%または90%がコロイドサイズ粒子である。当業者に理解されるように、液体溶液において、可溶性形態からコロイド状形態への分子の移行は、溶液の光散乱の増加によってモニターされ得る。
【0066】
タンパク質エラー色素ファミリーの振動数シフト色素を使用する実施形態において、湿潤溶液およびまたは洗浄溶液は、色変化が生じるpH付近のpHに緩衝化される。ブロモフェノールブルーについて、湿潤溶液および/または洗浄溶液(存在する場合)は、好ましくは、pH2近くに緩衝化される。このpHおよびそれ以下において、色素は、黄色であり、pHを増加すると、色素は、青/緑に変化する。タンパク質の存在下において、色の変化は、異常なpHで生じる。従って、タンパク質に結合した場合、ブロモフェノールブルーは、2.0付近のpH値において、黄色よりも青/緑である。この「タンパク質エラー」についての合理的な説明は、色素の結合が、基(そのイオン化が色素の吸収スペクトルを決定する)のpKaを減少し、それによって、異常に低いpH値で色変化が生じるということである。
【0067】
特許請求の範囲において使用される、用語「スワッブ(swab)」は、シグナル発生器(すなわち、色素)への曝露の前にまたは曝露と同時に、サンプル標的物質を集めるのに役立つ吸着剤および/または接着パッドを示す名詞として使用される。
【0068】
「中和剤」とは、試験される表面に存在する潜在的に妨害する化合物あるいはサンプラー収集表面内またはその上に存在する湿潤剤を中和するのに役立つ化学化合物または溶液を意味し、この化合物は、標的物質(例えば、タンパク質)に結合する色素を妨害し得る。例示的な中和剤としては、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、Tween−20、硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、テルギトール(tergitol)(現在、NiaProof Type4と呼ばれる)、MgCl、およびTriton−X(登録商標)(オクトキシノール;α−[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル−ω−ヒドロキシポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)が挙げられる。全てがSigma、St.Louis,Moから入手可能である。Triton−X(登録商標)は、好ましくは、約0.01〜0.5%重量容積の効率的な濃度で使用され得る。チオ硫酸ナトリウムは、好ましくは、約0.01〜1.0mg/mLの効果的な濃度で使用され得る。MgClは、好ましくは、0.2〜20mg/mLの濃度で使用される。これらの中和剤は、提供される湿潤剤、洗浄剤、色素、またはサンプル溶液のうちのいずれか、すべて、または組み合わせに組み合わされ得る。当業者は、他の中和剤が、シグナル発生器機構および測定を有意に妨害しない限り、代わりに使用され得ることが認識され、そしてどの中和剤が特定の適用に適切であるか、または潜在的な化合物が単純な試験によって適切であるか否かを決定し得ることを理解する。
【0069】
従って、「中和する」とは、標的物質およびデバイスの残りとともにシグナル発生器の機能を有意に破壊することなく、サンプル表面上に存在する潜在的に妨害する化合物を不活化することを意味する。
【0070】
「有効(効果的)濃度」とは、意図されたかまたは所望された効果(例えば、所望の中和効果)を全体または一部供給する濃度を意味する。
【0071】
特許請求の範囲において使用される用語「関与(する)」は、例えば、吸着剤収集スワッブまたはパッドを予備的に濡らすことによって、サンプラー上への標的物質の移動および/または集合の補助を示す。
【0072】
「読み部分」とは、読みまたは測定または検出が行われ得るデバイスハウジングの異なるセクションを意味する。
【0073】
用語「続いて」とは、時間的順序を意味するが、色素へ曝露することを妨げる際に、サンプラースワッブについての湿潤剤としての洗浄溶液の使用を妨げない。従って、洗浄溶液は、二回(色素の前と後の両方)使用され得る。
【0074】
用語「接触した(contacted with)」、「接触した(contacted by)」または「接触した(on contact with)」とは、1つの物体が他の物体に直接的または間接的に触れることを意味する。特定の実施形態は、貫通可能な部材(サンプラー上に存在する標的物質の着色および洗浄を行うためにサンプラーによって破壊可能である)によって媒介される接触を有する。
【0075】
本明細書中で使用される場合、用語「分離する」とは、適切な刺激(例えば、サンプラーにより膜を貫通して、膜の各側に由来する成分を混合させること)で元通りにされ得る分離および/または混入を意味する。
【0076】
「安定にパッケージングされる」とは、色素またはシグナル生成成分が、使用の前に、長期間(例えば、4℃で保存される場合、1年以上)の間、保存され得、活性化においてシグナルをなお提供することを意味する。本発明の1つの実施形態において、シグナル生成は、例えば、コロイド状色素溶液を含み、密封されたガラスアンプル内に安定にパッケージされる。アンプルは、ホウケイ酸ガラス(例えば、Pyrex(登録商標))であり得る。これは、「オニオンスキン紙」型のガラスアンプルであり得る。他の実施形態において、シグナル生成成分(例えば、色素)は、膜によってチャンバ内に密封される。
【0077】
当業者に理解されるように、色素分子の安定性は、保存条件に依存し、従って、保存形態は、特定の色素に適切なように変化され得る。色素が試験溶液中で十分に安定である場合、色素溶液は、単一溶液としてデバイス内にパッケージされ得る。あるいは、色素がアッセイ溶液内で十分に安定でない場合、安定性は、混合が所望されるまで、試験溶液の1つ以上の他の成分から分離されたデバイス内に色素をパッケージングすることによって高められ得る。従って、例えば、色素安定性を減少する色素および/または成分は、任意の種々の方法によって(例えば、分離レザバ、またはカプセルまたはアンプルまたはセパレータまたはその組み合わせを使用することによって)、デバイス内に分離され得、その結果、所望の時間(単数または複数)において、種々の成分の混合を可能するように、1つ以上が、破裂、破壊または開けられ得る。
【0078】
「セパレータ」とは、例えば、検出領域(読み部分)へのサンプルの導入が所望されるまで検出が行われる領域からサンプラーを含む領域を分離するため、またはサンプルと色素との間の接触が望ましくなるまで色素溶液からサンプラー上のサンプルを分離するために、デバイスの2つの部分を分離するためのデバイス成分または構造を意味する。例えば、セパレータは、多孔性プラスチックまたは疎水性材料充填材であり得るが、空隙率は、サンプルが、力(重力以外)の適用なしにフィルターを通ってサンプル上にいくようにはならない。さらなる例として、セパレータは、一方向弁、あるいは穿刺可能な膜または破壊可能なもしくは破裂可能なレザバもしくはカプセルもしくはアンプルであり得る。
【0079】
「レザバ」は、液体または固体を保持し得る、ウェル、アンプル、陥凹部、空隙、またはチャンバであり得る。このようなレザバは、プラスチックのような堅い、柔らかい、または可撓性のハウジングによって囲われるかまたは含まれ得る。レザバは、飽和されているか、または溶液を吸収し得る吸収性パッド(例えば、標的物質、色素、洗浄剤、湿潤剤、またはこれらの組み合わせ)であり得るかまたはこの吸収性パッドを含み得る。このような吸収剤材料は、好ましくは、ハウジングのくぼみ、空隙、チャンバ、空洞などに位置する。
【0080】
好ましくは、色素および試験状態は、読み取り可能な結果が、室温で1時間以内に、より好ましくは、30分または20分以内、なおより好ましくは10分または5分以内、そして最も好ましくは、1分未満以内で提供されるように選択される。このような迅速な結果は、フィールド衛生化試験、レストラン食物調製領域、病院の手術室、医師または獣医師の職場および試験室、ならびに実験室の衛生モニタリングのために特に有利である。なぜなら、長期間のサンプルの保持が必要とされず、そして完全な試験の読み値の安定性または一貫性が増加するからである。
【0081】
上記のように、本発明の特に有利な実施形態は、タンパク質検出に適合し、従って、タンパク質含有物質による混入についての表面または溶液の迅速かつ便利な試験を提供する。タンパク質の存在は、タンパク質が多くの食物製品の成分であるので、洗浄手順が完了した後に残る残りの食物混入物の良好な指標であり得る。例えば、1つの適用において、デバイスは、食品生産工場、スーパーマーケットおよびレストランにおいて表面の試験を可能して、食物処理の後の洗浄手順が効果的であったことを確実にする。他の適用において、デバイスは、患者の精密検査(work−up)または試料試験が完了した後に、病院または獣医の手術室、検査室、または実験室表面の試験装置または表面の適切な洗浄を確実にする。
【0082】
特定の実施形態は、沈殿し得、そしてタンパク質を染色し得る色素(例えば、Ponceau−S)を利用する。Ponceau−Sは、その染色速度ならびにタンパク質を沈殿させ染色するその能力に起因して、特に有用である。他の実施形態は、標的の存在下において、迅速に色を変化させるブロモフェノールのような振動数シフト色素を利用する。なお他の実施形態は、より遅く、少量のタンパク質物質(例えば、GelCode(登録商標)Blue Stain Reagentにおいて見出されるようなコロイド状Coomassie(登録商標)ブルー)の存在下で視覚的に異なる色変化を伴う単一工程一体化サンプリングアッセイデバイスを介するコロイド状タンパク質結合色素を利用する。コロイド状Coomassie Blueは、タンパク質の存在下で、従来のスペクトルまたは色のシフトを与える。
【0083】
「タンパク質」とは、ペプチドポリマー(すなわち、アミノ酸のポリマー)を意味し、従って、オリゴペプチド、全長細胞産生ポリペプチド、分解細胞ポリペプチド、ポリペプチドの複合体、および他の分子と会合するポリペプチドを含む。
【0084】
特定の実施形態において、デバイスを使用する試験の結果は、視覚的に読まれ得る。他の実施形態において、この結果は、機器(例えば、分光計、蛍光計測計、または比色計)において読まれ得る。これらのデバイスは、振動数シフト色素を使用する適用のために最も有用である。
【0085】
1つの実施形態において、デバイスは、サンプラーならびに組み合わせたサンプル処理、サンプル洗浄およびシグナル発生器(安定にパッケージングされ、好ましくは、容易な視覚的解釈を可能にする)を含む。
【0086】
「組み合わせたサンプル処理、サンプル洗浄およびシグナル発生器」とは、標的物質結合色素を含むための成分または構造を意味し、これは、好ましくは、タンパク質を沈殿させ、染色するか、またはタンパク質に接触する際に振動数シフトするかのいずれかである(例えば、コロイド状色素、タンパク質エラー色素)。いずれの場合においても、色素は、サンプラーに結合するか、または色素溶液は、任意に放出されて、サンプラー上でまたはサンプラーからサンプルを洗浄して、それによってタンパク質の存在、非存在、または存在するタンパク質の量のシグナルを送り得る。好ましい実施形態において、溶液は、デバイスの読み部分において収集する。色素溶液または湿潤剤はまた、所望の様式(例えば、微生物(例えば、細菌および真菌)または他の細胞の細胞壁および/または細胞膜を可溶化するかまたは貫通することによって)でサンプルを処理し得る。
【0087】
「固定(fix)」とは、沈殿する色素(例えば、Ponceau−S)の存在下で、色素の非存在下での標的物質/マトリクスと比較して、色素が入るかまたは含まれる多孔性マトリクスからの拡散またはその他の出ることを比較的遅くするかまたは停止する標的物質を意味する。
【0088】
本発明の他の特定の適用は、以下を含むがこれらに限定されない:炭水化物、脂質および微生物のような他の型の混入についての表面の試験;タンパク質、炭水化物、脂質および微生物の存在についての液体溶液の試験;タンパク質、炭水化物、脂質および微生物についての空気またはガスの試験;ならびにゴミ、植物質、製品、香辛料、粉末、化学物質、細片、および当業者に知られている他の型のサンプルのような他の物質の、タンパク質、炭水化物、脂質、核酸、微生物、毒素、毒、副生成物、不純物、および他の物質(当業者によって認識され、特定の標的物質との反応が迅速な検出可能な異なる変化を生じるかまたは生じるように刺激され得るように、このような試薬を隔離するかまたはこのような試薬を含むコロイド状または他の形態で含まれ得る色素またはリガンドに結合し得る)についての試験。
【0089】
上記サンプリング/試験デバイスに従って、別の局面において、本発明は、標的物質結合色素(好ましくは、沈殿型色素または振動数シフト色素)を独立式サンプリング/試験デバイスのレザバ内あるいはサンプル(例えば、膜、パッドなど)と接触する表面上またはその中に堆積させることによって、このような試験デバイスを作製する方法を提供する。
【0090】
上記のように、サンプラー部分およびハウジングを含むデバイス実施形態について、色素溶液は、サンプラー部分内のレザバあるいはハウジング内に堆積され得る。デバイスが上方ハウジングおよび下方ハウジングを含む実施形態において、レザバは、上方ハウジングあるいは下方ハウジングに存在し得る。使用される色素は、好ましくは、沈殿する色素(例えば、Ponceau−S)である。あるいは、タンパク質と接触した場合に、振動数シフトおよび色シフト変化を示す、タンパク質エラー色素、ブロモフェノールブルー、またはコロイド状色素(例えば、コロイド状Coomassie(登録商標)ブルー)のような振動数シフト色素が使用される。
【0091】
別の局面において、本発明は、上記のように、サンプリング/試験デバイスを使用することによって、物質(すなわち、標的物質)の存在を検出するための方法を提供する。従って、この実施形態において、この方法は、サンプラー上またはサンプラー内において検出される物質(すなわち、標的物質)を含み得るサンプルを得る工程を包含する。サンプルの型に依存して、これは、例えば、表面を掃除する工程、表面上に可溶化液体または懸濁液体を堆積し、次いで、その溶液の少なくとも一部をとるか、またはバルク液体から液体のサンプルをとる(例えば、ピペッティングするかまたはキャピラリーチューブ内かまたは吸収性材料を濡らすことによる)を包含する。サンプルを、デバイス内の上記の標的物質結合色素(例えば、沈殿する色素または振動数シフト色素)と接触させ、そしてサンプル内の標的物質の存在は、色素の色の変化(例えば、色素振動数シフト)の発生を検出することによって、サンプルとの接触に続く、色素溶液の色または影の視覚的に検出可能な変化を観測することによって、あるいはサンプルとの接触に続く、読み取り機器における色素の吸収スペクトルまたは発光スペクトルにおける変化を読むことによって、あるいは色素/標的物質複合体を固定するが、結合しない色素が分離され得る(例えば、洗い流すことによる)マトリクス上またはマトリクス内の結合した色素の存在を検出することによって、決定される。
【0092】
特に、衛生試験の方法が提供され、ここで、例えば、表面上での洗浄手順に続いて、表面上または表面からまたは溶液内の混入物の存在を検出するために使用される、上記デバイスが提供される。特定の実施形態において、この方法は、食品生産工場のような食物加工設備、レストラン、病院、実験室、医師の職場、救急車、または獣医師の病院における表面または溶液の混入物試験を含む。好ましい実施形態において、検出される混入物は、タンパク質残基である。
【0093】
本発明のデバイスは、一般的に、試験されるサンプルが、サンプラー上またはサンプラー内で得られ得るように構築される。このデバイスは、サンプル中の標的物質の存在を検出する際に含まれる任意の残りの工程が、アッセイ成分のさらなる添加なしにハウジング内のサンプル保有サンプラーの配置に続いて実行され得るように構築される。この記載は、一般的に、沈殿する色素または振動数シフト色素を含む実施形態を記載するが、一般的に、標的物質結合色素の使用にも適用する。
【0094】
従って、デバイス成分が、サンプルまたは標的物質の検出を可能にするのに少なくとも十分な部分のサンプルが、色素と接触されるように配置される。混合物は、結果が読まれ得る(例えば、視覚的にまたは分光計または蛍光計測計において)デバイスあるいは他の読み取り機器の一部に存在するかまたはこれに移される。特定の実施形態が、以下および図面に、デバイスの要素が特定の方法で配置されて記載される。しかし、本発明はまた、上記プロセスを達成するための他の方法で選択され、そして配置される要素を有するデバイスに関する。従って、例えば、色素溶液は、サンプラーから反応読み取り部分にサンプルを運ぶための洗浄溶液として使用されるように配置され得、サンプルは、色素溶液に直接送達され得る(例えば、液体サンプルを色素溶液にピペッティングすることによって、またはサンプラーのサンプル保有部分を色素溶液に挿入することによって)か、洗浄溶液がサンプラーから色素溶液にサンプルを運び得る。本明細書中の記載を考慮して、当業者は、具体的に記載される実施形態が、どのようにこれらおよび他の形式のそれぞれを提供するために変化され得るかを理解する。
【0095】
図1〜5に記載される実施形態は、沈殿する色素を用いる使用に特に適合し、図6〜8に記載される実施形態は、コロイド状Coomassieブルーのような振動数シフト色素を用いる使用に特に適合し、そして図9〜12に記載される実施形態は、ブロモフェノールブルーのような「タンパク質エラー」型の振動数シフト色素の使用のために特に適合する。
【0096】
図1を参照して、デバイスは、3つの壁を備えるプラスチックハウジング(3)を備える。1つの壁は、標的結合色素(5)および吸収性色素パッド(4)を含む。第2の壁は、吸収性パッド(6)のみを含む。第3の壁は、ヒンジにより他の2つから分離され、吸収性パッド(1)および洗浄溶液を含む。ハウジング(3)は、使用の前に除去される箔シール(9)によってカバーされる。分離サンプラーワンド(1)は、サンプル収集パッド(2)を組み込む。サンプル収集パッド(2)は、洗浄溶液パッド(7)と接触することによって濡らされる。次いで、サンプラーワンド(1)は、サンプル表面(例えば、食物接触サンプル表面)を拭くために使用され、食物の残りをサンプル収集パッド(2)から除き、そして吸収する。サンプラーワンド(2)を、デバイスハウジング(3)に配置し、そして数秒間色素パッド(4)と接触させて、色素(5)をサンプル収集パッド(2)に移す。次いで、サンプラーワンド(1)は、吸収パッド(6)上に配置され、そして洗浄溶液パッド(7)を、サンプル収集パッド(2)の裏側に圧する。圧を数秒間維持し、洗浄液を、サンプル収集パッド(2)を通して吸収性パッド(6)に引き出させ、結合していない色素を除く。次いで、サンプル収集パッド(2)は、その表面上の色の存在について観測される。着色した色素の存在は、標的結合物質の存在を示す。この実施形態において、サンプル収集パッドは、標的物質が、洗浄工程の間、パッドマトリクス上におよび/またはパッドマトリクス内に固定化されたままであるように選択される。
【0097】
図2を参照する。このデバイスは、サンプラーワンド(1)およびハウジング/試薬トレイ(17)内の一連の3つのレザバを含む。1つのレザバは、表面を拭く前に、サンプルワンドを湿潤させるために使用される湿潤または洗浄剤/溶液(14)を含む。第2のレザバは、色素試薬(15)を含む。第3のレザバは、湿潤/洗浄剤(16)と同一であって良いし、同一でなくても良い洗浄剤/溶液を含む。試薬は、個々のウェル/レザバの底において吸収性パッド(18)に局在化される。試薬トレイ(17)は、使用の前に除かれる箔シール(19)によってカバーされる。サンプルワンド(10)は、吸収性パッド(3)に接する収集表面(11)を備え、そして2つの部品が、パッドハウジング(12)によって適所に維持される。湿潤/洗浄剤(14)においてサンプラー/ワンド(10)の収集表面(11)を湿潤させることによって試験を行う。次いで、試験される表面は、拭かれ、そして収集表面(11)上のサンプルが、色素(15)と接触し、次いで、過剰な色素が、表面が洗浄壁(16)に引き続いて配置されるときに洗い流される。それぞれの場合において、色素および洗浄剤が、吸収性パッドまたは物質(13)への吸収によって収集表面に/または収集表面を通って動く。
【0098】
(図3を参照)
この試薬デバイスは、図2の試薬デバイスと本質的に同一であるが、サンプラー(20)が、ワンドの形態の代わりにスティックの形態であり、ここで、コレクションパッド(23)表面は、スティックハウジング(21)によって包まれた吸収性材料(22)と隣接しているが、別個であり得る。あるいは、吸収性コレクションパッド(23)材料は、ハウジング(21)へ下方に延伸し、そして吸収性ドロー(draw)を提供する。あるいは、この実施形態は、コレクション表面を湿潤させるため、このサンプルを色素で処理するため、そして洗浄試薬を使用して、図2でのように過剰の色素を洗い流すために同様の様式で操作される。
【0099】
(図4を参照)
このデバイスは、図3のようなサンプラースティックを使用するが、3個のウェルの代わりに2個のウェルを備えた試薬ハウジング(34)を有する。この第1ウェルは、コレクションパッド(33)表面を湿潤させるために使用される湿潤剤(35)を含み、そしてこの第2ウェルは、洗浄部(37)の上面で層状化された色素(36)で、実質的に整列化された2個のコンパートメントを有する。この色素は、破壊可能膜(36a)の上面に乾燥形態で存在する。この色素との接触後に、この膜(36a)は、サンプラースティックで穴があけられて、洗浄液(37)は、このコレクションパッド(33)中へまたはこれを通じて吸収される。
【0100】
(図5を参照)
このデバイスは、カップの形態および機能を有し、そしてサンプラースティック(40)の内側にある、試薬トレイ/ハウジング(46)中に試薬を有する実施形態である。この実施形態の試薬トレイ/ハウジング(46)は、可逆性カップとしてサンプラースティック(40)の末端に嵌合する。このコレクションパッド表面(45)は、湿潤剤(51)で予め湿潤される。この例示的な形態において、このコレクションパッド表面(45)は、吸収性パッド(49)中の色素(48)からこのコレクション表面(45)を保護する破壊可能膜(47)を備える試薬チューブハウジング(46)の末端により覆われている。このサンプルスティック(40)は、試薬チューブハウジング(46)から取り出され、そしてこのサンプルを収集するために使用される。次いで、この試薬チューブハウジング(46)は、180°回転させた後に、サンプラースティック(40)上に戻され、そしてこのカップの同一の側面は、整列ガイド(42)を使用するサンプラースティック(40)上に配置される。このコレクションパッド表面(46)は、イニシャルバリア(47)で穴があき、これによって、色素(48)と接触し、そしてコレクション表面(45)上を色素の量を測定する。次いで、このサンプラースティック(40)は、キャップの他方の末端上に戻され、このキャップのポイントにおいて、サンプラースティックハウジング(41)中の破壊可能シール(43)が破壊され、サンプラースティック(40)中の洗浄試薬(44)が、コレクションパッド表面(45)を通って、キャップ/試薬トレイハウジング(46)中の吸収性材料(50)に移送するのを可能にする。
【0101】
これにより、過剰の色素を効率良く洗い流し、その結果、コレクション表面上に残る色素のみが、標的物質(例えば、タンパク質)に結合することに起因して、固定化された色素となる。
【0102】
(図6を参照)
このデバイス(60)の実施形態は、サンプラー部分または上方ハウジング(61)および標的結合色素(70)を含む色素レザバ(62);中空スワッブシャフト(66)と連絡しており、スナッププラグ(68)を折ることによって露出されるオリフィス(64);ハウジング(74);吸収性スワッブチップ(72);ならびに下方リードチャンバまたはリード部分(76)を備える。
【0103】
(図7を参照)
別の実施形態において、このデバイスは、上方ハウジング(80)、上方ハウジング(80)と下方ハウジング(87)の上方部分(82)との間の上方バリア手段(81)を含む。この上方ハウジング(80)および上方バリア手段(81)は、チャンバ(88)を規定する。サンプラー(83)は、上方ハウジングに装着されている。この下方ハウジング(87)の下方部分は、リード部分(85)を形成する。
【0104】
(図8を参照)
この実施形態は、色素レザバ(62)が色素を含まない洗浄液(71)を含むことを除いて、図6と同様である。このハウジングは、このハウジングを上方部分(73)と下方部分(75)とに分けるホイルバリア(78)(すなわち、セパレーター(分離部))を備える。この下方部分は、乾燥色素(79)を含み、そして上方部分(73)とスライド可能な密閉接合部を形成する。この実施形態において、バリアの他の型は、このような洗浄が所望される前に、この洗浄液によりサンプラーが洗浄されるのを防止するために使用され得る。同様に、セパレーターの他の型は、ハウジングを上方部分と下方部分とに分けるため使用され得る。また、下方部分の色素は、乾燥色素ではなく、乾燥液または乾燥懸濁液であり得る。このハウジングの上方部分と下方部分との間のスライド可能な接合部は、スレッド表面を備え、その結果、この上方部分および下方部分は、共にねじられ、これにより、サンプラーでセパレーターに穴をあける。
【0105】
(図9を参照)
この実施形態は、色素が、サンプラー(91)のコレクション表面上の吸収性材料(90)と連絡している膜(89)に共有結合しているか、または非共有結合しているかのいずれかであることを除いて、図4と同様である。膜および吸収性材料は、プラスチックハウジング(92)中に挿入される。これらの構成要素が一緒になって、サンプリングスティック(93)を形成する。この実施形態において、試薬トレイハウジング(94)が、使用される。このトレイは、湿潤剤(96)を含む吸収性パッド(95)を含む。
【0106】
(図10を参照)
この実施形態は、色素膜(97)が、サンプラーチューブ(100)のコレクション表面(99)上の吸収性材料(98)と連絡している点で、図9と同様である。この実施形態において、この湿潤液(101)は、プラスチックサンプルハウジング(102)中の密閉コンパートメント内に含まれ、そして破壊可能シール(103)によって、吸収性材料、従って、色素膜から分離される。
【0107】
(図11を参照)
この実施形態は、この色素膜(104)が、サンプラーチューブ(107)のコレクション表面(106)上の吸収性材料(105)と連絡している点で、図10と同様である。この実施形態において、この湿潤液(108)は、プラスチックサンプルハウジング(110)中の密閉されたコンパートメント内の破壊可能アンプル(109)内に含まれる。
【0108】
(図12を参照のこと)
この実施形態は、この色素膜(111)が、サンプラーチューブ(114)のコレクション表面(113)上の吸収性材料(112)と連絡している点で、図9〜11と同様である。この実施形態において、この湿潤液(115)は、吸収性材料(112)、従って色素膜(111)を予め湿潤させるために使用される。湿潤液(115)の蒸発を防止するために、このサンプラーチューブは、空気の漏れないポーチ(116)内で密閉される。
【0109】
図面に記載される実施形態に加えて、さらなる実施形態が、構成要素の種々の組み合わせおよび配置で構築され、この構成要素はまた、自己含有サンプリング試験デバイス内で、サンプルを標的物質結合色素(例えば、沈殿剤)または振動数シフト色素(frequency shift dye)と接触させることで達成される。例示的な選択および配置が、記載される。上記の実施形態に従って、デバイスは、ハウジングに密閉可能に装着するサンプラー部分を備えるように締め付けられ得るか、または上方ハウジングおよび下方ハウジングとして構築され得、このサンプラーは、上方ハウジングに装着され、そしてこの上方ハウジングおよび下方ハウジングは、密閉可能に係合する。他の改変体もまた、構築され得る。
【0110】
上記で指摘されるように、種々の実施形態において、サンプラーの異なる型が利用され得る。これらは、例えば、スワッブ、ピペットおよびキャピラリーを備える。このサンプラーがスワッブまたは他のワイプデバイスである実施形態に対して、サンプルウォッシャーが提供される。特定の実施形態において、このサンプルウォッシャーは、サンプラーからのサンプルを洗浄するために使用され得る洗浄液を含むレザバを備える。サンプラーへの洗浄液の送達は、例えば、以下を含む種々の方法において達成され得る:中空サンプラーシャフトを介して洗浄液を充填するのを可能にする膜の破壊、または流体がシャフトの下方に流れるのを可能にする、中空サンプラーシャフトと連絡しているオリフィスを露出させるための、チップもしくはプラグの破壊;またはパケットもしくはアンプルを破壊することによって、サンプラーシャフトの下方に流れ得る、サンプルを洗浄するための流体の放出。
【0111】
洗浄液または湿潤液はまた、種々の配置および色素選択に適切なように、種々の異なる方法で構築およびパッケージングされ得る。例えば、上記のように、この洗浄液は、色素を含み得る。しかし、特定の実施形態において、この洗浄液から別個に色素をパッケージングすることが好ましくあり得る。例えば、色素および他の洗浄液成分は、混合が所望されるまで上方レザバ中で分離され得る。例として、濃縮色素溶液は、他の洗浄液成分を含むレザバチャンバ内の破壊可能アンプルまたは破壊可能パケット中に提供され得る。
【0112】
あるいは、色素および他の洗浄液成分は、セパレーターによって分離された分離チャンバ中に存在し得る。次いで、色素容器を破壊するか、分離チャンバの内容物を組み合わせることで、混合し、これにより、組み合わせられた色素洗浄液を提供する。このような配置は、所望され得、例えば、色素分子は、1以上の他の洗浄液成分の存在下での長期の安定性を有さない。あるいは、この洗浄溶液および色素は、上方レザバ中にのみ洗浄液を提供し、このデバイスの下方部分(例えば、ハウジングまたは下方ハウジングの下方部分)のレザバまたはアンプルまたはパケットまたはチャンバ中に色素を提供することによって分離され得る。
【0113】
このサンプルがピペットまたはキャリラリーである実施形態において、このサンプルは、種々の方法(例えば、空気で液体サンプルを追い出すこと、またはピペットもしくはキャリラリーからのサンプルを洗浄液で洗浄すること)でサンプルから取り除かれ得る。一般に、サンプルを取り除くために、このデバイスの上方部分を、変形して、ピペットまたはキャピラリーから液体サンプルを押し出すために、圧力を生じさせる。
【0114】
色素が上方ハウジングのサンプラー部分の他の溶液成分から分離される、上記の実施形態と同様に、色素がこのデバイスの下方部分に含まれる実施形態において、色素は、この色素または他の成分のいずれかまたは両方が、分離チャンバ、アンプル、パケット、または他の構造体に配置されることによって他の溶液成分から分離され得、その結果、これらの成分は、所望の時間混合され得る。
【0115】
なお別の実施形態において、このサンプラーは、このデバイスの下方部分中の溶液に直接挿入される。例えば、特定の実施形態において、このデバイスの上方部分は、洗浄液を含むレザバを含まない。代わりに、色素を有するか、または有さない洗浄液が、このデバイスの下方部分に含まれ、そしてこのサンプラーは、サンプルの収集後に洗浄液に挿入される。このような実施形態において、洗浄液は、バリア(例えば、このサンプルが挿入され得る破壊可能膜または一方向弁または変形可能圧縮部)によって、デバイスの上方部分から分離され得る。また、このような実施形態において、記述されるように、色素は、洗浄液から別個にパッケージングされ得るか、または洗浄液中に取り込まれ得る。以前に記載されたように、このような分離は、分離チャンバ、破壊可能パケット、破壊可能アンプル、破壊可能膜、半多孔性(semi−porous)フィルター、および他のこのような構造体の使用によって達成され得る。
【0116】
タンパク質の存在について試験するために、このデバイスの一つの実施形態を使用する方法が、簡潔に記載されている。このデバイスの実施形態は、図9に例示されるデバイスの構造を有し、そして表面上のタンパク質の存在を検出するために、サンプルの表面にある膜に結合した色素を使用する。
【0117】
乾燥剤を含む、プラスチック容器または密閉可能なポーチ中に格納されたサンプラースティック(93)は、取り除かれ、そして試薬トレイハウジング(94)の頂部は、取り除かれて、湿潤剤(96)を含む吸収性パッド(95)を露出する。コレクション表面(91)/色素膜(89)は、このデバイスを活性化する吸収性パッド(95)に対して簡単に圧縮される。タンパク質に対して試験されるべき領域(2インチ×2インチ)は、湿潤化コレクション表面(91)を用いてスワッブされ、このタンパク質材料の一部が色素膜(89)上の色素に結合するのを可能にする。次いで、このサンプラー(61)は、ハウジング(74)上に密閉可能に係合される。タンパク質がサンプル中に存在する場合、色素膜(89)上の色素は、1分以内に黄色から青色に変化する。タンパク質が存在しない場合、色素膜(89)の色は、黄色のままである。
【0118】
本明細書中に記載されるデバイス実施形態は、プラスチックを含むが、これに限定されない、任意の種々の材料または材料の組み合わせから構築される。射出成形用金型鋳造または適切なデバイスハウジングを射出成形もしくは形成するための任意の他の手段が使用され得る。適切なデバイスにおいて、ウェル/レザバは、機械穿孔され得るか、または射出形成され得るか、または特定の材料中にこのような空洞を形成するのに適切な他の方法によって形成され得る。当業者は熟知しており、適切な材料および構築技術を選択し得る。例えば、図1のブック(book)のような実施形態において適切な場合もまた、別個のハウジングおよび部分が、ヒンジ、スナップ、ラッチ、Velcro(登録商標)、または試薬の能力が機能することを妨害しない任意の他のコネクターによって接合され得る。既に記載されている、吸収性スワッブおよびコレクション表面材料は、以下の例示的な材料またはそれらの機能的等価物のいずれかから構築される:スポンジ、マイラー、ナイロン、ダクロン、レーヨン、ポレックス(porex)、多孔性ポリプロピレン、多孔性ポリエチレン、ガラスファイバー、紙、または種々の他のウーブファイバーもしくはフエルトファイバー(例えば、ニトロセルロース、綿、ウール、セルロース、またはそれらの組み合わせ)。次に、これらは、図1、2、または3の実施形態でのように、にかわ、接着剤、または標的物質コレクションと相互作用しない任意の他の手段(染色)によって、または色素使用で沈殿させる場合において、標的物質の沈殿または他の固定化によって、適切な場合、ハウジングに接続され得る。
【0119】
当業者は、本発明のこの実施形態および他の実施形態が、以下を含む種々の方法において使用され得ることを理解する。
【0120】
(1)液体サンプルが汚染物質を含むかどうかを決定するために液体サンプルを試験する工程。液体サンプル中の材料を試験するために利用される手順は、表面を試験するために使用される手順(その違いは、試験されるサンプルが液体であることである)と同様である。
【0121】
(2)汚染について任意のサンプルを試験し、そして可視的読取りの代わりに、装置による読取りを使用する工程。
【0122】
(実施例)
以下の実施例は、食品産業への適用後にパターン化され、類似の結果が、タンパク質の供給源に関係なく得られる(例えば、ヒトまたは動物の血清または他の分泌物など)。
【0123】
(実施例1)
例示的なデバイスを、図2に一般的に記載されるように構築し、そして沈殿色素(紅色5)および振動数シフト色素(コロイド状のクマシーブルー色素,Gelcode(登録商標))を使用し、そしてミルク、チーズ、ローストビーフ、シチメンチョウ、またはトマトで汚れた食品の表面を試験するために使用した。この表面をまた、ATP検出器に基づく表面汚染を測定する食品産業で受け入れられた手段(LIGHTNING、IDEXX Laboratories、Westbrook、MEによって製造される)(製造業者の指針に従って使用される)および本発明に記載されるタンパク質検出デバイスを用いて試験した。示されるように、本発明の2つの異なる実施形態を使用した。タンパク質結合色素のようなPonceau−Sを用いた実施形態、およびGelcode(登録商標)(コロイド状のクマシーブルー色素)を用いた実施形態。
【0124】
ステンレス鋼の表面を、表示された食品材料で汚した。各試験のために、サンプルを、特定のデバイスからのサンプラーの湿潤化されたサンプラーコレクション表面でスワッブすることによって表面から得た。「汚れ(dirty)」は、表面が、食品の残りの表面への適用後に試験されたことを示し;「拭き取り洗浄(wiped clean)」は、表面が、目に見えない食品の残りをドライペーパータオルで拭き取られたことを示し;そして「スクラブ洗浄(scrubbed clean)」は、表面が、食品処理産業において洗浄のために一般に使用される様式で、ブラシおよび洗剤洗浄溶液(detergent type cleaning solution)で湿潤洗浄されたことを示す。
【0125】
Ponceau Sデバイスに関して、このサンプラーの吸収性パッドを、湿潤剤で湿潤し、サンプルを、表面からスワッブし、次いで、サンプラーの吸収性パッドを、色素に対して簡単に(数秒間)接触させた。次いで、このサンプラーの吸収性パッドを、未結合色素で洗い落とすために洗浄液中に浸漬した。
【0126】
Gelcode(登録商標)デバイスを、色素の色の変化が色素溶液中およびサンプラーパッド上の両方で観察可能であることを除いて、同様に使用した。
【0127】
結果を、表1に示す。このデータは、デバイスに対する汚れ(tat)が、各食品型に対して、表面上の3種の異なる状態(汚れ、拭き取り洗浄、およびより通り超えて、スクラブ洗浄)を区別し得ることを示す。与えられた両方の色素は、試験操作者が、汚れ、極小で洗浄される(拭き取られる)表面と完全に洗浄される(スクラブされる)表面との間を区別することを可能にする。LIGHTNING(登録商標)デバイスに関する結果は、0〜7.5の範囲である。色素の結果は、目により読取られ、そして0〜5の数値が付けられる。両方の場合において、この数が大きくなるほど、示される汚染のレベルが高くなる。
(表1)
生物発光アッセイ(ライトニング)とタンパク質検出デバイスの比較。
【0128】
ゾーンにおけるライトニングの結果(0−7.5)。色素の結果は眼で読みとられ、そして0〜5の数値を割り当てられている。
【0129】
【表1】
Figure 0004477809
(実施例2)
図6に一般的に記載されるようにして構築され、2mlのPierce Gelcode(登録商標)色素を含む代表的なデバイスを、試験に使用して、このデバイスの検出感度を決定した。タンパク質の存在を、定量用視覚読み取りを使用し、そして595nmにおける光学密度(OD)を読みとることによって決定し、この報告されるODは2つの読み取りの平均である。
【0130】
様々な濃度のウシ血清アルブミン(BSA)を、清潔な4”×4’のステンレス鋼クーポン上で乾燥させた。試験される各サンプルについて、デバイスの予め湿らせたスワッブ部分をこのクーポン表面にわたって、一定の圧力で叩き、サンプルを収集した。このスワッブをハウジングに挿入し、そして色素レザババルブを側面に取付けて、この色素を下側読み取りチャンバに送達した。次いで、視覚判読を行い、続いて595nmにおける読み取りのために、読み取りチャンバから使い捨てキュベットに移した。これらの結果を表2に示す。
【0131】
【表2】
Figure 0004477809
BSAは、ウシ血清アルブミンをいう。
【0132】
この結果は、このデバイスの実施形態が、約2.5μgタンパク質/試験の検出感度を有することを実証する。
【0133】
(実施例3)
実施例2の様な代表的なデバイスを、Konica Hygiene Monitoringキットを用いて、生物学的汚染の比較試験に使用した。このKonicaキットを、メーカーの指示書に従って使用して、室温において、10分後に読みとった。この代表的なデバイスを、以下のように使用した。
【0134】
様々な異なる供給源のタンパク質を、清潔な4インチ×4インチのステンレス鋼クーポン上で乾燥し、このクーポンは、各クーポンを2つの同じ部分に分割するために印を付けた。代表的なデバイスを使用して、クーポン表面の左側からサンプルを収集した。Konicaキット手順に従って、このクーポンの対応する右側から、Konicaスワッブを使用してサンプル採取を行った。代表的なデバイスの視覚判読を、活性化の直後に行った。このKonica試験を、キットの指示書に従って、10分の時点で読みとった。次いで、ステンレス鋼クーポンを穏やかな界面活性剤(Palmolive(登録商標))および水で洗浄し、そして乾燥後、このクーポンの各面を再試験して、表面上の任意の残った混入物を検出した。
【0135】
比較試験の結果を表3に示す。Konicaキットの清潔さのレベルを、清潔さ標準に従って示す:
レベル1(清潔)
レベル2(わずかに清潔)
レベル3(わずかな汚れ)
レベル4(汚れ)
(表3)
【0136】
【表3】
Figure 0004477809
これらの結果は、このデバイスが、本発明者らにとってより速くより便利であるという利点に加えて、Konica試験システムよりも高感度であることを示す。
【0137】
(実施例4)
図9に示されるような代表的なデバイスを、Konica Hygiene Monitoring Kit(AssureSwab)を使用する生物学的汚染の比較試験において使用した。
【0138】
色素の200μg/mL溶液で処理したナイロン膜を使用して、代表的なデバイスをテキストに記載されるようにして調製した。サンプル表面を湿潤溶液に簡単に暴露し、そして試験領域(4インチ×4インチ)を直ちにふき取った。タンパク質が存在する場合、1分以内に黄色から青緑色への変化が起こった。青緑色の強度を、0(黄色)から2(深青緑色)までの任意のスケールで評価した。
【0139】
Konicaキットを、メーカーの指示書に従って使用し、室温で10分後に読みとった。
【0140】
様々な異なる供給源の試験タンパク質BSA(ウシ血清アルブミン)を、清潔なプラスチックプレートの4インチ×4インチの部分上で乾燥した。代表的なデバイスを使用して、この表面の部分からサンプルを収集した。Konicaキット手順に従って、この部分をKonicaスワッブを用いてサンプル収集した。代表的なデバイスの視覚判読を、活性化の直後に行った。このKonica試験を、キットの使用書に従って、10分の時点で読みとった。
【0141】
比較試験の結果を表4に示す。Konicaキットの清潔さのレベルを、清潔さの標準に従って示す:
レベル1(清潔)
レベル2(わずかに清潔)
レベル3(わずかな汚れ)
レベル4(汚れ)
(表4)
【0142】
【表4】
Figure 0004477809
これらの結果は、このデバイスが、本発明者らにとってより速くより便利であるという利点に加えて、Konica試験システムよりも高感度であることを示す。
【0143】
本明細書中に記載される全ての特許および刊行物は、本発明が属する分野の当業者の技術レベルを示す。本開示に引用される全ての参考文献は、各参考文献がその全体が個別に参考として援用されるのと同じ程度まで、参考として援用される。
【0144】
当業者は、本発明が目的を実施するために十分に適用され、そして記載される目的および利点、ならびに本発明に固有の目的および利点を得ることを容易に理解する。本明細書中で好ましい実施形態の現在の代表として記載される溶液、色素および方法は、例示であり、そして本発明の範囲を制限することは意図しない。本発明における変更および他の用途は、当業者によって行われ、これらは特許請求の範囲によって規定される様な本発明の精神内に含まれる。
【0145】
様々な置換および改変が、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、本明細書中に開示される本発明になされ得ることは、当業者により容易に理解される。例えば、当業者は、本発明が様々な異なる色素、およびpH緩衝液、ならびにさらなる反応成分を使用して実施され得ることを理解する。
【0146】
本明細書中に例示的に適切に記載される本発明は、本明細書中で詳細に開示されない任意の要素または制限の非存在下で適切に実施され得る。
【0147】
さらに、本発明の特徴または局面は、マーカッシュ群または他の代替の分類の点から記載され、当業者は、本発明はまたこれらによって、任意の個々のメンバーあるいはマーカッシュ群または他の群のメンバーのサブグループに関して記載されることを理解する。
【0148】
従って、さらなる実施形態は、本発明の範囲および上記の特許請求の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、吸収体サンプル収集パッド、および折り畳み可能なブック(色素、吸収体および洗浄溶液のためのレザバパッドを含む)を備えるサンプラー棒を含む、先行技術における実施形態を示す。
【図2】図2は、サンプル収集パッド、および吸収バッキング、ならびに3つのウェル(1つはかき出し湿潤溶液を有し、1つは色素を有し、もう1つは洗浄溶液を有する)を有する試薬皿を備えるサンプル棒を含む先行技術における実施形態を示す。
【図3】図3は、サンプラー棒および3つのウェル(1つは塗布湿潤溶液を有し、1つは色素を有し、もう1つは洗浄溶液を有する)を有する試薬皿を含む先行技術における実施形態を示す。
【図4】図4は、図3の実施形態に対する別の実施形態を示し、ここで、試薬トレイが、2つのウェルに簡素化され、色素および洗浄試薬が、非透過性であるが開裂可能な膜によって分離された同じウェル内に存在する。
【図5】図5は、先行技術におけるデバイスの実施形態を示し、ここで、洗浄溶液は、非透過性膜によってサンプリング表面から分離されたサンプラー棒内に含まれる。使用の前に、サンプラー棒のサンプル収集端部が、ハウジングのキャビティと密閉可能に係合する。色素は、同じキャビティ内に存在し、そして透過性膜によって洗浄表面から分離される。ハウジングの反対側の端部は、吸収体材料を含み、そしてサンプル収集に続いて、サンプラー棒の収集端部と密閉可能に係合される。
【図6】図6は、サンプラー部分の色素溶液がまた、サンプラー洗浄溶液として機能するかき出し型サンプラーを含む、先行技術における実施形態を示す。
【図7】図7は、ハウジングが、上部ハウジング部分と下部ハウジング部分とに分割され、これらの上部ハウジング部分および下部ハウジング部分は、密閉可能に係合し、ここで、下部ハウジングの下部部分がセパレータによって区切られる、先行技術のデバイスにおける実施形態を示す。
【図8】図8は、デバイスの上部部分が、サンプラーおよび色素を含まないサンプラー洗浄溶液を含む、先行技術のデバイスにおける実施形態を示す。デバイスの下部部分(ハウジング)は、デバイスの2つの部分が一緒にシールされる場合に、サンプラーを保護する。このハウジングはまた、このハウジングを上部空間と下部空間に分割するセパレータを含む。この下部空間は、色素組成物、好ましくは乾燥色素を含む。
【図9】図9は、色素がサンプラーの表面上の膜に結合した、本発明のデバイスの実施形態を示す。この湿潤溶液は、別のレザバに収容される。
【図10】図10は、色素がまた膜の表面に結合し、そして湿潤剤がこれを吸収体材料/色素−膜から破壊可能なシールによって分離するコンパートメント内に収容される、本発明のデバイスの実施形態を示す。
【図11】図11は、色素がサンプラーの表面で膜に結合し、そして湿潤剤がサンプラー棒のプラスティックハウジング内の開裂可能なアンプル内に保存される、本発明のデバイスの実施形態を示す。
【図12】図12は、色素がサンプラーの表面で膜に結合し、そして湿潤剤がサンプラー棒内の吸収体材料に含まれ、そして各々のデバイスが、湿潤剤の蒸発を防ぐために、ホイルポーチ内に密閉される、本発明のデバイスの実施形態を示す。

Claims (12)

  1. 独立式サンプリング/試験デバイスであって、該デバイスは、以下:
    サンプルから標的物質を収集するためのサンプラー;および
    色素を含むシグナル発生器であって、該色素は該標的物質に結合し、該標的物質の存在をシグナル伝達するシグナル発生器、
    を備え、
    ここで、該標的物質は、タンパク質であり、そして
    ここで、該サンプラーは、吸収パッドを含み、該吸収パッドの表面に膜が配置され、該膜に該色素が共有結合または非共有結合のいずれかで結合している、デバイス。
  2. 前記色素は、タンパク質結合色素である、請求項に記載のデバイス。
  3. 請求項に記載のデバイスであって、吸収材料および湿潤/中和溶液を含む別個の試薬ハウジングをさらに備える、デバイス。
  4. 請求項に記載のデバイスであって、前記吸収パッドは、湿潤/中和溶液で予め湿らされる、デバイス。
  5. 前記湿潤/中和溶液は、前記標的物質に対する前記色素の結合を妨害し得る、前記サンプル中の任意の化合物を中和するための中和剤をさらに含む、請求項に記載のデバイス。
  6. 前記中和剤は、チオ硫酸ナトリウム、MgCl、ドデシル硫酸ナトリウム、テルギトール、ポリエチレングリコール P−1,1,3,3,−テトラメチルブチルフェニルエーテル、およびポリソルベート20からなる群から選択される、請求項に記載のデバイス。
  7. 前記色素は、タンパク質エラーファミリーの振動数シフト色素である、請求項に記載のデバイス。
  8. 前記色素は、ブロモフェノールブルーである、請求項に記載のデバイス。
  9. 独立式サンプリング/試験デバイスであって、該デバイスは、以下:
    (a)サンプルから生物学的標的物質を収集するためのサンプラー;および
    (b)タンパク質エラーファミリーの振動数シフト色素を含むシグナル発生器であって、該色素は、該生物学的標的物質に結合し、そして該標的物質に結合すると色変化を生じ、ここで未結合の振動数シフト色素は、標的物質の存在を検出するために、生物学的標的結合した振動数シフト色素から分離される必要はない、シグナル発生器
    を備え、
    ここで、該標的物質は、タンパク質であり、そして
    ここで、該サンプラーは吸収パッドを備え、該吸収パッドの表面に膜が配置され、該膜に、該色素が共有結合または非共有結合のいずれかで結合している、デバイス。
  10. 湿潤剤を含む別個の試薬ハウジングをさらに含む、請求項に記載のデバイス。
  11. 前記色素は、ブロモフェノールブルーである、請求項に記載のデバイス。
  12. 湿潤溶液を含む別個の試薬ハウジングをさらに含む、請求項に記載のデバイスであって、該溶液は、チオ硫酸ナトリウム、MgCl、ドデシル硫酸ナトリウム、テルギトール、ポリエチレングリコール P−1,1,3,3,−テトラメチルブチルフェニルエーテル、およびポリソルベート20からなる群から選択される中和剤を含む、デバイス。
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