JP4476227B2 - 太陽電池モジュールの製造方法 - Google Patents

太陽電池モジュールの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、太陽電池モジュール及びその製造方法に係り、特に導電性を有する裏面材を備えた太陽電池モジュールにおいて、耐電圧を向上させるための技術に関する。
太陽電池を家屋やビル等の建造物に設置するにあたって、建材と一体化された建材一体型の太陽電池モジュールを用いることにより、従来設置するために必要であった金属製架台等の周辺物を削減し、コストを低減すると共に取付けを容易とする方法が知られている。
図5は斯かる建材一体型の太陽電池モジュールの構成を示す断面構造図である。
同図において、1は太陽電池部であり、基板1Aと光電変換部1Bとから構成されている。基板1Aは例えばガラスのような透光性及び絶縁性を有する材料から構成されている。また、光電変換部1Bは、例えば内部にpin構造を有する非晶質半導体膜等の光電変換機能を有する半導体膜が、第1電極と第2電極との間に挟持されて構成されている。そして、建材一体型の太陽電池モジュールは、上記太陽電池部1が、例えば鋼鈑からなり建材として機能する裏面材2に接着層3によって接着されることにより構成されている。
ところで、太陽電池モジュールには、安全面からの要請により十分な耐電圧特性を有することが要求されている。JIS C 8918に規定される規格によれば、モジュールの出力端子と接地端子との間に最大システム電圧の2倍+1000Vの直流電圧を1分間印加したときに、絶縁破壊などの異常がないことが要求される。
然し乍ら、図5に示す従来の太陽電池モジュールにおいては、光電変換部1Bの周側面が外部に露出している。そして、この裏面材2と光電変換部1Bの周側面との距離が数mm程度と極めて近接しているために、裏面材2が導電性を有する場合には裏面材2と光電変換部1Bの周側面との間で短絡を生じやすく、このため耐電圧特性が低下するという課題があった。この課題は、裏面材2として塗装された表面を有する鋼鈑を用いた場合にも同様に発生していた。
斯かる従来の課題を解決するために、本発明太陽電池モジュールは、ガラスからなる基板と、前記基板の一主面における発電領域上に形成された、透光性且つ導電性を有する材料からなる第1電極と光電変換機能を有する半導体膜と金属膜からなる第2電極とをこの順に備えた集積型の光電変換部と、前記光電変換部上に接着された裏面材と、前記裏面材を前記光電変換部上に接着するための接着層と、を備え、前記基板は、前記一主面に、前記発電領域を囲繞するように前記第1電極を除去して形成された、前記基板の表面が露出する非発電領域を有し、前記接着層は、前記光電変換部における前記第2電極の表面を被覆して前記非発電領域上に設けられ、前記非発電領域上に設けられた前記接着層の、前記基板の一主面と平行な方向の厚みは、2mm以上であることを特徴とする。
ここで、本発明にあって導電性を有する裏面材とは、裏面材の大部分が導電性を有しておれば良く、例えば塗装が施されることにより表面が絶縁性とされた鋼鈑等も、導電性を有する裏面材に含まれる。
また、前記接着層の厚みが3mm以上であることを特徴とする。
さらに、前記光電変換部と接着層との間に、保護層を有することを特徴とする。
加えて、前記非発電領域は、前記一主面上の全面に設けられた前記光電変換部における一部が枠状に除去されてなる領域であることを特徴とする。
さらには、前記非発電領域は、前記保護層をマスクとして前記光電変換部を枠状に除去することにより形成されていることを特徴とし、前記光電変換部の除去は、ブラスト加工法により行われたことを特徴とする。
また、本発明太陽電池モジュールの製造方法は、透光性且つ導電性を有する材料からなる第1電極が全面に形成されたガラスからなる基板における発電領域の前記第1電極上に、光電変換機能を有する半導体膜と金属膜からなる第2電極と、を形成することにより、前記第1電極と前記半導体膜と前記第2電極とを有する集積型の光電変換部を形成する工程と、前記基板の前記発電領域を囲繞する領域上に形成されている前記第1電極を除去して前記基板の表面を露出させることにより、前記発電領域を囲繞する非発電領域を形成する工程と、前記光電変換部の表面を被覆して前記非発電領域上に至るように形成された絶縁性を有する接着層によって、前記基板及び光電変換部上に、裏面材を接着する工程と、を有すると共に、前記非発電領域上に設けられた前記接着層の、前記基板の表面と平行な方向の厚みを、2mm以上とすること、を特徴とする。
このとき、前記接着層の、前記基板の表面と平行な方向の厚みを、好ましくは3mm以上とすることを特徴とする。
さらに、前記基板の一主面上における全面に前記光電変換部を形成する工程と、該光電変換部の一部を枠状に除去し、前記一主面の一部を枠状に露出させる工程と、露出した前記一主面上に、前記光電変換部の表面を被覆して前記接着層を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
加えて、前記基板の一主面上の全面に形成された前記光電変換部の中央部分に保護層を形成すると共に、該保護層をマスクとして前記光電変換部の一部を枠状に除去することを特徴とし、前記光電変換部の除去を、ブラスト加工法を用いて行うことを特徴とする。
図1は、本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュールの概略構成を説明するための構造図であり、同図(A)は基板の平面図、また同図(B)は本実施形態の太陽電池モジュールの断面構造図である。尚、同図において図5と同一の機能を呈する部分には同一の符号を付している。
図1(A)を参照して、基板1Aは例えばガラス等の透光性且つ絶縁性を有する材料から構成されている。この基板1Aは、一主面上における中央部分に光電変換部1Bが形成される発電領域21を有しており、その周囲には該発電領域21を囲繞する非発電領域22を有している。
同図(B)を参照して、第1電極と光電変換機能を有する半導体膜と第2電極とからなる光電変換部1Bは、基板1Aの一主面における発電領域21上にこの順に形成されている。上記第1電極は例えばSnO2,ITO,ZnO等の透光性を且つ導電性を有する材料から構成することができる。また、光電変換機能を有する半導体膜は、例えば内部にpin接合を有する非晶質半導体膜から構成することができる。さらに、第2電極は、例えばAg,Al等の可視光領域の光に対して高い反射率を有する材料から構成することができる。そして、この光電変換部1B上には接着層3によって金属板からなる導電性の裏面材2が接着されている。
ここで、本発明にあっては上記接着層3が絶縁性の材料から構成されており、そしてこの接着層3が光電変換部1Bの表面を被覆して上記基板1Aの一主面における非発電領域22上に形成されている。上記接着層3の材料としては、EVA(エチレン・ビニル・アセテート)、PVB(ポリビニルブチラール)、PVC(ポリ塩化ビニル)、ポリウレタン、シリコーン等の材料を用いることができる。
従って、本発明によれば光電変換部1Bの周側面が絶縁性を有する接着層3により完全に被覆されており、外部に露出する部分がない。このため光電変換部1Bと導電性を有する裏面材2との間で生じる絶縁破壊を抑制することができ、太陽電池モジュールの耐電圧特性を向上させることができる。
ところで、このように太陽電池モジュールの耐電圧特性を十分高くするためには、光電変換部1Bの周側面を被覆する部分における絶縁層3の厚み、即ち基板1Aの一主面と平行な方向の厚みをある程度以上厚くする必要がある。即ち、この厚みが薄いと耐電圧特性を十分に向上させることができない。そこで、光電変換部1Bと裏面材2との間に1000Vの電圧を印可した場合に絶縁破壊が生じなかったものの歩留と厚みとの関係を調べた。この結果を図2の特性図に示す。
尚、上記光電変換部1Bとしては、膜厚が約8000ÅのSnO2膜からなる第1電極と、膜厚約100Åのp型a−SiC膜、膜厚約4000Åのi型a−Si膜、膜厚約200Åのn型a−Si膜が順次積層されてなる半導体膜と、膜厚約2μmのAg膜からなる第2電極とが積層された構成のものを用いた。
同図に示す如く、光電変換部1Bの周側面を被覆する部分における絶縁層3の厚みを2mm以上とすることで、絶縁破壊が生じないものの歩留を95%以上と向上することができ、厚みを3mm以上とすることで歩留を98%以上とすることができる。従って、光電変換部1Bの周側面を被覆する部分における絶縁層3の厚みは2mm以上とすることが好ましく、3mm以上とすることがより好ましい。尚、絶縁膜3が形成された領域は光発電に寄与しない無効領域となるために、太陽電池モジュールの発電量が低下する。従って、上記厚みの上限値は太陽電池モジュールの発電量に応じて適宜定めれば良い。
ところで、上記絶縁膜3が形成される非発電領域22を設ける位置は、図1に示す如く基板1Aの周縁部に限定されるものではない。この例を図3に示す。
図3は本発明の他の実施の形態に係る太陽電池モジュールの断面構造図である。尚、同図において図1と同一の機能を呈する部分には同一の符号を付している。
同図に示す如く、基板1Aの一主面における周縁部上には、第1電極と半導体膜と第2電極とが積層されてなる積層体31が残存している。この積層体31は、発電領域21上に形成された光電変換部1Bとは、該光電変換部1Bの表面を被覆して設けられた絶縁層3により電気的に絶縁されており、積層体31は光電変換部としては機能しない。従って、斯かる構成の太陽電池モジュールであっても光電変換部1Bの周側面を被覆する部分における絶縁層3の厚みを2mm以上、好ましくは3mm以上とすることで、太陽電池モジュールの耐電圧特性を向上させることができる。
次に、図1に示す本発明太陽電池モジュールを製造する方法について、図4を参照して説明する。図4は本発明太陽電池モジュールの製造方法を説明するための工程別断面構造図である。
まず、同図(A)に示す工程においては、ガラスからなる基板1Aの一主面の全面に、熱CVD法を用いてSnO2膜からなる第1電極41を形成する。SnO2膜の代わりにスパッタ法を用いてITO膜或いはZnO膜を形成し、第1電極41としても良い。
次いで第1電極41上に、プラズマCVD法を用いてp,i,n型の非晶質半導体膜をこの順に積層することにより、光電変換機能を有する半導体膜42を形成する。そして、この半導体膜42上に、スパッタ法或いは蒸着法等の方法によりAgやAl等の高反射性の金属膜からなる第2電極43を形成する。これら第1電極41、半導体膜42及び第2電極43の積層体から光電変換部1Bが構成される。尚、この光電変換部1Bは周知の方法により集積型の構成とされていても良い。
次に同図(B)に示す構成においては、光電変換部1Bの中央部分における前述した発電領域21に対応する位置に、マスクとなる保護膜51を形成する。この保護膜51を構成する材料は、後述する光電変換部1Bの除去工程において使用する除去方法に応じて適宜定めれば良い。
次いで同図(C)に示す工程においては、上記保護膜51をマスクとして光電変換部1Bを枠状に除去する。このときの除去の幅は、前述の通り2mm以上、好ましくは3mm以上とする。
このように光電変換部1Bを除去するにあたっては、最も基板1A側に位置する第1電極41が残存しやすいが、このように第1電極41の一部でも残存すると、残存した第1電極41と後述する裏面材2との間で絶縁破壊が生じる。従って、本発明にあっては第1電極41に至るまでの全ての光電変換部1Bを除去して基板1Aの一主面を露出させることが重要である。そして、この露出した部分が前述の非発電領域となる。
上記のように、光電変換部1Bの一部を枠状に除去するにあたっては、レーザ加工法、ウェットエッチング法、或いはドライエッチング法等の従来周知の方法を用いることができる。然し乍ら、レーザ加工法は基本的に微細加工用の方法であり、1回のレーザ照射では精々数100μm程度の幅でしか加工することができない。従って、上記のように2mm以上、好ましくは3mm以上の幅で除去加工を行うためにはレーザ光の照射を複数回にわたって繰り返す必要があり、加工に長時間を有する。
また、光電変換部1Bは、前述の通り第1電極41、半導体膜42及び第2電極43の積層体から構成されている。このため、ウェットエッチング或いはドライエッチングのようなエッチング方法により光電変換部1Bの除去加工を行おうとすると、エッチング溶液或いはエッチングプラズマを交換しながら繰り返しエッチング加工を行う必要があり、やはり加工に長時間を要する。
さらに、グラインダーを用いた場合のような所謂機械的加工を施すと、除去加工の際に基板1Aにクラックが入りやすく、このため基板1Aに割れ等の破損が生じやすい。
そこで、本発明にあっては、光電変換部1Bの除去をブラスト加工法により行う。ブラスト加工法は、例えば「セラミックス加工ハンドブック」(株式会社建設産業調査会、昭和62年11月30日発行、p327〜331)に記載されている如く、粒径が数mm〜数μmの微粒子を加工物に噴射し、衝突時の衝撃により加工物を除去する方法であり、積層体である光電変換部1Bを一度の加工で除去することができる。例えば、粒径が20μm〜60μmのSiC微粒子を、4.5atm〜5.5atmの空気圧力で噴射することにより、光電変換部1Bを完全に除去し、基板1Aの一主面を露出することができる。この露出した部分が前述の非発電領域22となる。
このようにブラスト加工法を用いて光電変換部1Bの除去を行うにあたっては、前記保護膜51としてラテックス、ゴムのような減衰抵抗の大きい材料や銅のような延性材料を用いることができる。尚、この保護膜51は、光電変換部1Bを除去した後に取り除く。
そして、同図(D)に示す工程においては、基板1Aと光電変換部1Bとからなる太陽電池部1を、EVAシート等の接着シート52を介して鋼鈑等の導電性を有する裏面材2上に重畳する。そして、この状態で150℃〜180℃の温度で30分程度加熱する。この加熱工程により、接着シート52が軟化状態となり、光電変換部1Bの表面を被覆して基板1Aの一主面における前記非発電領域22にまで至り、光電変換部1Bの周側面を被覆した状態で太陽電池部1と裏面材2とを接着する。このようにして図1に示す構成の太陽電池モジュールが製造される。
尚、以上の実施形態にあっては光電変換部1Bの周縁部分を枠状に除去した後に、保護膜51を取り除いたが、この保護膜51を残しておいても良い。例えば保護膜51としてエポキシ系の樹脂を用い、保護膜51を残した状態で太陽電池部1と裏面材2とを接着して太陽電池モジュールを製造しても良い。斯かる構成の太陽電池モジュールによれば、上記保護膜51が落下物による衝撃を吸収する保護層として作用するために、太陽電池モジュールの衝撃に対する強度を向上させることができる。従って、太陽電池モジュールの衝撃に対する強度を向上させるための保護層を、光電変換部1Bの除去工程に使用するマスクとしても用いることができる。
さらには、本発明は光電変換機能を有する半導体膜が非晶質半導体膜から構成されるものに限定されるものではなく、他の半導体膜を用いたものであっても本発明を適用することができる。
以上説明した如く、本発明によれば耐電圧特性の向上した太陽電池モジュールを提供することができる。
本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュールの構造図である。 光電変換部の周側面を被覆する部分における接着層の厚みと太陽電池モジュールの歩留との関係を示す特性図である。 本発明の他の実施の形態に係る太陽電池モジュールの断面構造図である。 本発明製造方法を説明するための工程別断面構造図である。 従来の太陽電池モジュールの断面構造図である。
符号の説明
1…太陽電池部、1A…基板、1B…光電変換部、2…裏面材、3…接着層、2
1…発電領域、22…非発電領域


Claims (2)

  1. ガラスからなる基板の一主面に、第1電極、光電変換機能を有する半導体膜と第2電極と、を形成することにより光電変換部を形成する工程と、
    前記光電変換部からなる発電領域を囲繞するように除去して、前記基板の周縁部分の表面を露出させることにより、前記光電変換部と隣接する非発電領域を形成する工程と、
    前記光電変換部の表面を被覆して前記非発電領域上に至るように形成された絶縁性を有する接着層によって、前記基板及び光電変換部上に、裏面材を接着する工程と、
    を有し、
    前記非発電領域を形成する工程は、前記基板の前記非発電領域上に形成された前記第1電極と、前記半導体膜と、前記第2電極とをブラスト加工法を用いて除去すること、
    を特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。
  2. 前記非発電領域を形成する工程は、前記基板の一主面上の全面に形成された前記光電変換部の中央部分に保護層を形成すると共に、該保護層をマスクとして前記光電変換部の一部を除去することにより行うことを特徴とする請求項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
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