JP4475426B2 - 排気ガス処理装置 - Google Patents

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Description

この発明は、内燃機関の排気ガスを浄化する排気ガス処理装置に関する。
従来の排気ガス処理装置では、内燃機関の排気通路内にプラズマ処理装置を挿入し、このプラズマ処理装置の下流側に触媒式浄化装置を接続し、内燃機関の始動時と加速時に加えて、定常運転中においても運転条件に応じた必要最小限のプラズマを生成させるプラズマ生成制御装置を設けている。
加速状態にあると判定されたときには、プラズマ処理装置はオン状態に維持され、排気ガスはプラズマ処理装置と触媒式浄化装置の併用によって浄化処理される。
加速状態にないと判定されたときには、プラズマ処理装置はオフされないが、プラズマ生成量は始動時や加速時よりも減少させられる。すなわち、内燃機関の回転数及びトルク等で示される実際の運転条件がプラズマ生成制御装置に入力され、その運転状況において最小限必要とされるプラズマの生成量が計算され、この計算結果によりプラズマ処理装置の作動が制御される(例えば、特許文献1参照)。
また、他の排気ガス処理装置では、機関排気系に配置されたプラズマ処理装置と、プラズマ処理装置の下流側における現在の排気ガス状態を検出する下流側検出手段と、下流側検出手段により検出された排気ガス状態に基づきプラズマ処理装置への投入電力を制御するプラズマ処理装置制御手段とを具備している。プラズマ処理装置の上流側における現在の排気ガス状態を検出する上流側検出手段をさらに具備し、プラズマ処理装置制御手段は、下流側検出手段により検出された排気ガス状態と上流側検出手段により検出された排気ガス状態とに基づきプラズマ処理装置への投入電力を制御している(例えば、特許文献2参照)。
特開平6−335621号公報 特開2002−155731号公報
しかし、この排気ガス処理装置では、内燃機関からの排気ガスの流量によってプラズマ生成量を計算してプラズマ処理装置の作動が制御されるため、排気ガスの流量が同じではあるが排気ガスの成分組成が異なる場合でも同量の放電電力を供給することになり、内燃機関からの排気ガスの成分の内で浄化対象となる有害物質の含有率が低い場合や、放電エネルギーが作用しやすい浄化反応に無関係の物質の含有率が高い場合など、入力電力に対して効率的な浄化を行うことが出来ないという問題がある。
また、プラズマ処理装置の下流側でのガス状態を検出することによってプラズマ処理装置への電力投入を制御するとしているが、ガス状態検出から電力投入制御までの遅れ時間が生じるために、遅れ時間の間の浄化対象の有害物質に対して十分な浄化反応活性種が供給されない、または無駄な過剰エネルギーが投入されるという問題がある。
この発明の目的は、高浄化率でかつ高効率な排気ガス処理装置を提供することである。
この発明に係わる排気ガス処理装置は、内燃機関から送られてくる排気ガス中に高電圧を印加することによりプラズマを生成して上記排気ガスを浄化するプラズマ処理装置、上記プラズマ処理装置に高電圧を供給する高電圧電源および上記高電圧電源を制御するプラズマ生成制御装置を備える排気ガス処理装置において、上記プラズマ生成制御装置は、上記内燃機関の運転状態に基づいて上記プラズマ処理装置を通過する上記排気ガスの物質、含有率、流量を推定する排気ガス推定手段と、上記排気ガスの物質毎の反応速度を上記排気ガスを構成するすべての物質の反応速度の和により除算することで、上記排気ガスの物質毎に作用する放電作用率を算出する放電作用率算出手段と、上記排気ガスに含まれる有害物質の浄化に必要とする必要放電量と、上記有害物質の浄化には寄与せずにエネルギーを吸収する物質が必要とする必要放電量と、を算出する必要放電量算出手段と、を有する。
この発明に係わる排気ガス処理装置の効果は、プラズマ処理装置に流入するガス物質含有率および流量を運転状態に基づいて推定し、推定した流量の有害物質を浄化するために必要な必要放電量を算出してプラズマ処理装置を制御するので、運転状態の変化に応じて放電量を制御することが可能となり高浄化率と高効率な排気ガス処理が可能となる。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係わる排気ガス処理装置を備える内燃機関の断面図である。図2は、この発明の実施の形態1に係わるプラズマ生成制御装置の機能ブロック図である。なお、図1には内燃機関1の多気筒内燃機関の一気筒分だけである。
この発明に係わる内燃機関1は、図1に示すように、シリンダ2、シリンダ2内を往復動作するピストン3、シリンダ2内でピストン3により形成される燃焼室4、ピストン3にコネクティングロッド5を介して連結され回転駆動するクランクシャフト6を備える。
燃焼室4には、吸気管7と排気管8とが通じており、吸気管7には、内燃機関1に吸入される空気量を制御するスロットルバルブ9が設置されている。
また、シリンダ2には、燃焼室4に燃料を供給する燃料噴射インジェクタ10、混合気に点火する点火プラグ11が備えられている。そして、内燃機関1には、燃料噴射インジェクタ10、点火プラグ11を制御するエンジン制御コントローラ12が備えられている。
吸気管7を通じて吸入される吸入空気は、燃焼室4に導入され、燃料噴射インジェクタ10から供給された燃料と混合気を形成する。そして、点火プラグ11によって点火され混合気は燃焼する。このようにして燃焼した混合気は、排気ガスとして排気管8を通じて外に排気される。
この発明の実施の形態1に関わる排気ガス処理装置20は、排気管8内に配置され、排気ガスをプラズマ処理して浄化するプラズマ処理装置21、プラズマ処理装置21に高電圧を供給する高電圧電源22、吸気管7内に配置され、吸入される吸入空気量を計測する吸入空気量センサ23、排気管8内のプラズマ処理装置21の上流に配置され、排気ガス中の空気と燃料の質量比で表わされる空燃比を検出する空燃比センサ24、排気管8内のプラズマ処理装置21の下流に配置され、排気ガスの排気ガス温度を計測する排気ガス温度センサ25、クランクシャフト6の近傍に設置され、内燃機関1の回転速度を検出するクランク角センサ26、吸入空気量、空燃比、排気ガス温度および回転速度に基づいて高電圧電源22を制御してプラズマ処理装置21のプラズマ処理条件を調整するプラズマ生成制御装置27を備える。
プラズマ生成制御装置27は、図2に示すように、吸入空気量に基づいて求められる内燃機関負荷と回転数とをパラメータとして用いて排気ガス成分組成表31を検索し、空熱比により補正して排気ガス物質含有率を推定する排気ガス成分組成流量推定手段32、排気ガスの物質毎に放電作用率を推定する放電作用率算出手段33を有する。
また、プラズマ生成制御装置27は、排気ガスの物質毎に活性化に必要なエネルギーを推定し、排気ガスの浄化に必要な放電量を算出する必要放電量算出手段34、内燃機関負荷と回転数とをパラメータとして予め定められた排気ガス物質含有率が格納されている排気ガス成分組成表31、排気ガスの物質毎に予め定められた電離エネルギーが格納されている電離エネルギー表37、排気ガスの物質毎に予め定められた単位物質量当たり活性化に必要なエネルギーが格納されている活性化エネルギー表38を有する。
このプラズマ生成制御装置27は、CPU、ROM、RAM、インタフェース回路を有するコンピュータで構成されている。
排気ガス成分組成表31には、内燃機関負荷と回転数とをパラメータとした排気ガスの物質および含有率が予め実験したり、内燃機関燃焼反応モデルを用いてシミュレーションしたりして収集して、格納されている。排気ガスの物質は、大きく分けて浄化が必要な有害物質、プラズマのエネルギーを吸収して活性化して有害物質を浄化する活性化元物質、浄化に直接寄与しないがプラズマのエネルギーを消費するその他物質に分けられる。
有害物質としては、例えば、窒素酸化物(NO)、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)などであり、プラズマ中の窒素酸化物は窒素ガスと酸素ガスに分離されて浄化され、プラズマ中の一酸化炭素や炭化水素は酸素と反応して二酸化炭素ガスや水となって浄化される。
活性化元物質は、プラズマのエネルギーを吸収して活性化し必要反応活性種となる。例えば、不飽和炭化水素は不飽和結合が解離されラジカルとなる。また、酸素は酸素ラジカルとなり、これらが窒素酸化物を分離して浄化する。
炭化水素種のうち不飽和結合は放電エネルギーによって解離しラジカルやイオンなどの活性種になり得る。このようにして活性種となった不飽和炭化水素はNOを浄化するために作用することが知られている。したがって、この活性種は必要反応活性種であり、不飽和炭化水素は活性化元物質である。
その他物質は、有害物質の浄化に直接寄与しないが、プラズマのエネルギーを吸収する。
図3は、この発明の実施の形態1に係わる排気ガス処理装置20の動作を示すフローチャートである。
次に、この実施の形態1に係わる排気ガス処理装置20の動作について図3を参照して説明する。
ステップS101で、内燃機関1の運転条件および各種センサからの信号を読み込む。
ステップS102で、読み込んだ運転条件および各種センサの信号に基づき、内燃機関1からの排気ガスの物質含有率および流量とガス温度とを推定する。以下の説明では、排気ガスがN種の物質から構成されているとして説明する。推定の方法は、吸入空気量から得られる内燃機関負荷と回転数とをパラメータとして排気ガス成分組成表31から読み出した排気ガスの物質含有率とを排気ガスの空熱比で補正する方法である。なお、内燃機関1からの排気ガスの物質含有率および流量とガス温度とを推定する方法として他に内燃機関燃焼反応モデルを用いて推定する方法がある。
ステップS103で、推定した内燃機関からの排気ガスの物質i(i=1〜Nの正の整数)の含有率ξiに基づいてそれぞれの物質iの反応速度νiを推定し、その反応速度νiの比較から各物質iの放電作用率ζiを推定する。すなわち、排気ガスの物質i毎に、含有率ξi、温度Tおよび電離エネルギーEiを所定の関数fに代入して反応速度νiを算出する。電離エネルギーは、電離エネルギー表37に物質毎に格納されている。
次に、排気ガスの物質i毎に、物質iの反応速度νiを排気ガスを構成するすべての物質iの反応速度νiの和Σνiにより除算して物質iへの放電作用率ζiを算出する。
ステップS104で、推定した内燃機関からの排気ガスの物質iの含有率ξiおよび物質流量から浄化対象としての有害物質の有無を判断し、有害物質がないときステップS107へ進み、有害物質があるときステップS105へ進む。
ステップS105で、推定した浄化対象である有害物質の流量と、有害物質と共存する物質の物質から浄化対象の有害物質を浄化するための反応過程を推定し、推定した反応過程から浄化反応に必要なエネルギー量を推定する。そして、必要なエネルギー量と放電作用率とから必要放電量を算出する。
ステップS106で、算出した必要放電量に対してプラズマ処理装置21に印加する電力量を推定する。プラズマ処理装置は電極構造や電源構成などによってそれぞれ放電効率が異なるので、あらかじめ関数化された放電効率と電力量の関数を用いて必要電力量を推定し、高電圧電源22に指令する。
ステップS107で、必要放電量ゼロであるので必要電力量をゼロとして高電圧電源22に指令する。
図4は、浄化反応に必要なエネルギー量を推定するサブルーチンのフローチャートである。
ここで、浄化対象の有害物質の浄化のために必要な必要放電量を、あらかじめ想定された浄化反応に基づき、浄化対象の有害物質の流量に基づいて算出するサブルーチンについて図4を参照して説明する。
ステップS201で、推定したプラズマ処理装置21の上流の排気ガスの物質から浄化反応に関わる活性化元物質の有無を判断し、活性化元物質が含まれているときステップS202に進み、活性化元物質が含まれていないときステップS208に進む。活性化元物質は、浄化対象の有害物質以外の物質であり、放電エネルギーが作用することにより活性化元物質が活性化されて必要反応活性種に変化し、その必要反応活性種が有害物質の浄化に作用する。
ステップS202で、活性化元物質の流量から必要反応活性種の流量を算出し、有害物質のうち必要反応活性種により浄化される量を差し引いて修正した有害物質の流量を求める。
ステップS203で、修正した有害物質の流量がゼロ以下か否かを判断し、ゼロを超えていたらステップS204に進み、ゼロ以下のときにはステップS211へ進む。
ステップS204で、有害物質毎に、修正した有害物質の流量にその有害物質の単位当たりの浄化に必要なエネルギー量を乗算して有害物質を浄化するために必要なエネルギー量を算出する。それから、有害物質の浄化に必要なエネルギー量を有害物質への放電作用率で除算して有害物質に関する必要放電量を算出する。
ステップS205で、活性化元物質毎に、活性化元物質の流量にその活性化元物質の単位当たりの活性化に必要なエネルギー量を乗算して活性化に必要なエネルギー量を算出する。活性化元物質毎の単位当たりの活性化に必要なエネルギー量は、活性化エネルギー表38に記憶されている。それから、活性化に必要なエネルギー量を活性化元物質への放電作用率で除算して活性化元物質に関する必要放電量を算出する。
ステップ206で、その他の物質毎に、その他の物質の流量にその他の物質の単位当たりに吸収するエネルギー量を乗算してその他の物質が吸収するエネルギー量を算出する。それから、その他の物質が吸収するエネルギー量をその他の物質への放電作用率で除算してその他の物質に関する必要放電量を算出する。
ステップS207で、活性化元物質に関する必要放電量、有害物質に関する必要放電量およびその他の物質に関する必要放電量を加算して必要放電量を算出する。
ステップS208で、有害物質毎に、有害物質の流量にその有害物質の単位当たりの浄化に必要なエネルギー量を乗算して有害物質を浄化するために必要なエネルギー量を算出する。それから、有害物質の浄化に必要なエネルギー量を有害物質への放電作用率で除算して有害物質に関する必要放電量を算出する。
ステップ209で、その他の物質毎に、その他の物質の流量にその他の物質の単位当たりに吸収するエネルギー量を乗算してその他の物質が吸収するエネルギー量を算出する。それから、その他の物質が吸収するエネルギー量をその他の物質への放電作用率で除算してその他の物質に関する必要放電量を算出する。
ステップS210で、有害物質に関する必要放電量およびその他の物質に関する必要放電量を加算して必要放電量を算出する。
ステップS211で、活性化元物質毎に、活性化元物質の流量にその活性化元物質の単位当たりの活性化に必要なエネルギー量を乗算して活性化に必要なエネルギー量を算出する。活性化元物質毎の単位当たりの活性化に必要なエネルギー量は、テーブルに記憶されている。それから、活性化に必要なエネルギー量を活性化元物質への放電作用率で除算して活性化元物質に関する必要放電量を算出する。
ステップ212で、その他の物質毎に、その他の物質の流量にその他の物質の単位当たりに吸収するエネルギー量を乗算してその他の物質が吸収するエネルギー量を算出する。それから、その他の物質が吸収するエネルギー量をその他の物質への放電作用率で除算してその他の物質に関する必要放電量を算出する。
ステップS213で、活性化元物質に関する必要放電量およびその他の物質に関する必要放電量を加算して必要放電量を算出する。
このようにプラズマ処理装置21に流入するガス物質含有率および流量を運転状態に基づいて推定し、推定した流量の有害物質を浄化するために必要な必要放電量を算出してプラズマ処理装置を制御するので、運転状態の変化に応じて放電量を制御することが可能となり高浄化率と高効率な排気ガス処理が可能となる。
また、有害物質の浄化には寄与しない物質が吸収するエネルギーに関連する必要放電量を算出してプラズマ処理装置を制御するので、推定した流量の有害物質を完全に浄化するだけの電力量をプラズマ処理装置に供給し、高浄化することができる。
また、活性化元物質の活性化による有害物質の浄化に対する寄与を考慮した必要放電量を算出することにより、運転状態の変化に応じて放電量を制御することが可能となり高浄化率と高効率な排気ガス処理が可能となる。
また、予め電力量と放電効率とが関数化されており、必要放電量に対して放電効率を考慮した必要電力量を算出することができる。
実施の形態2.
図5は、この発明の実施の形態2に係わる排気ガス処理装置を備える内燃機関の断面図である。図6は、この発明の実施の形態2に係わるプラズマ生成制御装置の機能ブロック図である。図7は、実施の形態2に係わる排気ガス処理装置の動作を示すフローチャートである。
この発明の実施の形態2に係わる排気ガス処理装置20Bは、図5に示すように、実施の形態1に係わる排気ガス処理装置20のプラズマ処理装置21の下流に配置された浄化対象の有害物質を検出するガスセンサ41を追加され、それにともなうプラズマ生成制御装置27Bが異なっており、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
この発明の実施の形態2に係わるプラズマ生成制御装置27Bは、実施の形態1に係わるプラズマ生成制御装置27Bに、図6に示すように、プラズマ処理装置21の下流を通過する有害物質の流量に基づいて必要放電量を修正する必要放電量修正手段42が追加されており、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
次に、必要放電量修正手段42の動作について説明する。
図7に示す動作のうち、ステップS101〜ステップS107の手順は、図3に示すフローチャートと同様であり、説明は省略し、ステップS301〜ステップS304について説明する。
ステップS301で、浄化対象の有害物質の流量を読み込む。
ステップS302で、読み込んだ有害物質の流量を内燃機関の運転状態から推定した浄化対象の有害物質の流量で除算し、100を乗算してプラズマ処理装置21の浄化対象の有害物質の浄化率を算出する。
ステップS303で、算出された浄化率があらかじめ定めた閾値以下か否かを判断し、浄化率が閾値を超えているときステップS304に進み、浄化率が閾値以下のときステップS106に進む。
ステップS304で、浄化率と閾値との差分に基づいて必要放電量を修正し、ステップS106に進む。
このようにプラズマ処理装置21の下流側での有害物質の流量を検出し、プラズマ処理装置21での有害物質の浄化が所望の程度に行われている否かを判断し、有害物質の浄化が所望の程度に行われているときにはプラズマ処理装置21の上流側の排気ガスの物質含有率および流量の推定値を用いて推定した必要放電量が適切であるとし、有害物質の浄化が所望の程度に行われていないときには必要放電量を修正することにより、さらに排気ガスの高浄化を可能とする。
なお、使用するガスセンサ41は、直接に浄化対象の有害物質を検出するガスセンサに限らず、例えば酸素ガスセンサによる酸素濃度測定結果よりプラズマ処理装置21での反応率を推定することでプラズマ処理装置21の下流の浄化対象の有害物質の量を推定してもよい。
実施の形態3.
図8は、この発明の実施の形態3に係わる排気ガス処理装置を備える内燃機関の断面図である。図9は、この発明の実施の形態3に係わるプラズマ生成制御装置の機能ブロック図である。図10は、実施の形態3に係わる排気ガス処理装置の動作を示すフローチャートである。
この発明の実施の形態3に係わる排気ガス処理装置20Cは、図8に示すように、実施の形態1に係わる排気ガス処理装置20のプラズマ処理装置21の上流に活性化元物質を検出するガスセンサ44を追加配置し、それにともないプラズマ生成制御装置27Cが異なっており、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
この発明の実施の形態3に係わるプラズマ生成制御装置27Cは、実施の形態1に係わるプラズマ生成制御装置27に、図9に示すように、プラズマ処理装置21の上流を通過する活性化元物質の流量に基づいて内燃機関の運転状態から推定した活性化元物質の流量を修正する排気ガス流量修正手段45が追加されており、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
次に、排気ガス流量修正手段45の動作を説明する。
図10に示す動作のうち、ステップS101〜ステップS107の手順は、図3に示すフローチャートと同様であり、説明は省略し、ステップS401とステップS402について説明する。
ステップS401で、プラズマ処理装置21の上流で直接測定された活性化元物質の流量を読み込む。
ステップS402で、内燃機関1の運転状態から推定した活性化元物質の流量を修正する。
浄化対象の有害物質が炭化水素の場合、必要反応活性種は例えば酸素ラジカルが挙げられ、活性化元物質は酸素であるので、プラズマ処理装置21の上流の酸素濃度を測定することで排気ガスの流量を修正する。
排気ガス中の種々の炭化水素のうち不飽和炭化水素を同定し定量測定する方法として、非分散型赤外吸収法(NDIR)を用いることができる。炭化水素のような有機化合物は赤外域に固有の吸収スペクトルをもっているため赤外線を当てて吸収された赤外吸収スペクトルを測定することによって分析する。
このように直接検出された活性化元物質の流量を用いて運転状態から推定した活性化元物質の流量を修正することにより、より正確に活性化された必要反応活性種の流量が算出され、有害物質の浄化の程度が分かるので、より正確に必要放電量を算出することができ、効率を向上することができる。
なお、プラズマ処理装置21のガス流入部付近の必要反応活性種の発光を発光分光器を用いて測定することによって、必要反応活性種を直接同定してもよい。このように直接同定された必要反応活性種の流量を用いて浄化対象の有害物質の流量を修正することにより必要放電量を加減し過不足無い放電状態へと制御することで効率向上が可能となる。
実施の形態4.
図11は、この発明の実施の形態4に係わる排気ガス処理装置を備える内燃機関の断面図である。図12は、この発明の実施の形態4に係わるプラズマ生成制御装置の機能ブロック図である。図13は、実施の形態4に係わる排気ガス処理装置の動作を示すフローチャートである。
この発明の実施の形態4に係わる排気ガス処理装置20Dは、図11に示すように、実施の形態2に係わる排気ガス処理装置20Bの有害物質を検出するガスセンサ41の替わりに必要反応活性種を検出するガスセンサ47を配置し、それにともなってプラズマ生成制御装置27Dが異なっており、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
この発明の実施の形態4に係わるプラズマ生成制御装置27Dは、実施の形態2に係わるプラズマ生成制御装置27Bと、図12に示すように、プラズマ処理装置21の下流側の電極近傍の必要反応活性種の流量に基づいて必要放電量を修正する必要放電量修正手段42Bが異なっており、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
次に、必要放電量修正手段42Bの動作について説明する。
図13に示す動作のうち、ステップS101〜ステップS107の手順は、図3に示すフローチャートと同様であり、説明は省略し、ステップS501〜ステップS503について説明する。
ステップS501で、プラズマ処理装置21の下流側の電極近傍で測定された必要反応活性種の流量を読み込む。
ステップS502で、読み込んだ必要反応活性種の流量が下限値以下か否かを判断し、必要反応活性種の流量が下限値を超えているときステップS503に進み、必要反応活性種の流量が下限値以下のときステップS106に進む。
ステップS503で、読み込んだ流量の必要反応活性種を活性化するために必要な必要放電量を算出し、ステップS105で求められた必要放電量を修正する。
このように、プラズマ処理装置21の下流の電極近傍で必要反応活性種の流量を直接測定し、その値を用いて必要放電量を修正することにより高電圧電源から供給する電力量を削減することができる。
実施の形態5.
図14は、この発明の実施の形態5に係わる排気ガス処理装置の配置図である。
この発明の実施の形態5に係わる排気ガス処理装置20Eは、図14に示すように、排気管8のプラズマ処理装置21の下流側に配置された触媒式浄化装置50が追加されたことが実施の形態1に係わる排気ガス処理装置20と異なっており、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
なお、必要放電量の推定は、下流の触媒式浄化装置50の浄化能力を合わせて推定し、触媒式浄化装置50で浄化可能なガス成分をプラズマ処理装置21から排出するように必要放電量を設定する。触媒式浄化装置50の浄化能力は触媒反応モデルによって計算する。
なお、触媒式浄化装置50の能力は、あらかじめマップ化したものを使用しても良い。
このように排気管8のプラズマ処理装置21の下流側に触媒式浄化装置50を配置しているので、下流の触媒式浄化装置50の寿命を悪化させる物質を上流のプラズマ処理装置21において処理することが可能となり、触媒寿命の観点から過剰に仕込む必要があった貴金属担持量を低く抑えることができ、長寿命、省資源化の効果が得られる。
また、触媒式浄化装置50で処理できる排気ガスの物質をプラズマ処理装置21で充分に浄化せずに下流に流すことができるので、プラズマ処理装置21の必要放電量を抑えることができ、高効率化できる。
実施の形態6.
図15は、この発明の実施の形態6に係わる排気ガス処理装置の配置図である。
この発明の実施の形態6に係わる排気ガス処理装置20Fは、排気管8のプラズマ処理装置21の上流側に配置された触媒式浄化装置50が追加されたことが実施の形態1に係わる排気ガス処理装置20と異なっており、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
なお、プラズマ処理装置21に供給する必要放電量は、内燃機関の運転状態に基づいて推定した排気ガスの物質含有率および流量とガス温度の替わりに、内燃機関の運転状態に基づいて推定した排気ガスの物質含有率および流量とガス温度とを、触媒式浄化装置50での浄化を加味して修正し、それに基づいて必要放電量を推定する。触媒式浄化装置50での浄化は、触媒反応モデルを用いて算出する。
なお、触媒式浄化装置50の能力は、あらかじめマップ化したものを使用しても良い。
このように排気管8のプラズマ処理装置21の上流側に触媒式浄化装置50が配置されていると、触媒式浄化装置50だけで排気ガス処理を引き受けずに済むので、触媒寿命の観点から過剰に仕込む必要があった貴金属担持量を低く抑えることが可能となり、高効率で長寿命、省資源化の効果が得られる。
この発明の実施の形態1に係わる排気ガス処理装置を備える内燃機関の断面図である。 この発明の実施の形態1に係わるプラズマ生成制御装置の機能ブロック図である。 この発明の実施の形態1に係わる排気ガス処理装置の動作を示すフローチャートである。 浄化反応に必要なエネルギー量を推定するサブルーチンのフローチャートである。 この発明の実施の形態2に係わる排気ガス処理装置を備える内燃機関の断面図である。 この発明の実施の形態2に係わるプラズマ生成制御装置の機能ブロック図である。 実施の形態2に係わる排気ガス処理装置の動作を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態3に係わる排気ガス処理装置を備える内燃機関の断面図である。 この発明の実施の形態3に係わるプラズマ生成制御装置の機能ブロック図である。 実施の形態3に係わる排気ガス処理装置の動作を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態4に係わる排気ガス処理装置を備える内燃機関の断面図である。 この発明の実施の形態4に係わるプラズマ生成制御装置の機能ブロック図である。 実施の形態4に係わる排気ガス処理装置の動作を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態5に係わる排気ガス処理装置の配置図である。 この発明の実施の形態6に係わる排気ガス処理装置の配置図である。
符号の説明
1 内燃機関、2 シリンダ、3 ピストン、4 燃焼室、5 コネクティングロッド、6 クランクシャフト、7 吸気管、8 排気管、9 スロットルバルブ、10 燃料噴射インジェクタ、11 点火プラグ、12 エンジン制御コントローラ、20 排気ガス処理装置、21 プラズマ処理装置、22 高電圧電源、23 吸入空気量センサ、24 空燃比センサ、25 排気ガス温度センサ、26 クランク角センサ、27 プラズマ生成制御装置、31 排気ガス成分組成表、32 排気ガス成分組成流量推定手段、33 放電作用率算出手段、34 必要放電量算出手段、37 電離エネルギー表、38 活性化エネルギー表、41、44、47 ガスセンサ、42 必要放電量修正手段、45 排気ガス流量修正手段、50 触媒式浄化装置。

Claims (3)

  1. 内燃機関から送られてくる排気ガス中に高電圧を印加することによりプラズマを生成して上記排気ガスを浄化するプラズマ処理装置、上記プラズマ処理装置に高電圧を供給する高電圧電源および上記高電圧電源を制御するプラズマ生成制御装置を備える排気ガス処理装置において、
    上記プラズマ生成制御装置は、
    上記内燃機関の運転状態に基づいて上記プラズマ処理装置を通過する上記排気ガスの物質、含有率、流量を推定する排気ガス推定手段と、
    上記排気ガスの物質毎の反応速度を上記排気ガスを構成するすべての物質の反応速度の和により除算することで、上記排気ガスの物質毎に作用する放電作用率を算出する放電作用率算出手段と、
    上記排気ガスに含まれる有害物質の浄化に必要とする必要放電量と、上記有害物質の浄化には寄与せずにエネルギーを吸収する物質が必要とする必要放電量と、を算出する必要放電量算出手段と、
    を有することを特徴とする排気ガス処理装置。
  2. 上記必要放電量算出手段は、さらに、プラズマにより活性化されたとき上記有害物質を浄化する排気ガスに含まれる活性化元物質の活性に必要とする必要放電量を算出し、推定した排気ガスに含まれる有害物質の流量から上記活性化元物質により浄化される上記有害物質の流量を減算して上記有害物質の流量を修正することを特徴とする請求項に記載する排気ガス処理装置。
  3. 上記プラズマ処理装置の上流を通過する排気ガスに含まれる少なくとも1つの活性化元物質の流量を検出する非分散型赤外吸収分析装置を備え、
    上記プラズマ生成制御装置は、検出した活性化元物質の流量に基づいて運転状態から推定した該活性化元物質の流量を修正する排気ガス流量修正手段を有することを特徴とする請求項に記載する排気ガス処理装置。
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