JP4474864B2 - 燃料電池用電極触媒及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池用電極触媒及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、燃料電池の電極に用いられる燃料電池用電極触媒及びその製造方法に関する。
固体高分子電解質は、高分子鎖中にスルホン酸基等の電解質基を有する固体高分子材料である。固体高分子電解質は、特定のイオンと強固に結合したり、陽イオン又は陰イオンを選択的に透過する性質を有していることから、粒子、繊維、あるいは膜状に成形し、電気透析、拡散透析、電池隔膜等、各種の用途に利用されている。
例えば、固体高分子型燃料電池や水電解装置などの各種電気化学デバイスにおいて、固体高分子電解質は、膜状に成形され、その両面に電極を接合した膜電極接合体(MEA)の状態で使用される。また、固体高分子型燃料電池において、電極は、一般に、拡散層と触媒層の二層構造をとる。拡散層は、触媒層に反応ガス及び電子を供給するためのものであり、カーボン繊維、カーボンペーパー等が用いられる。また、触媒層は、電極反応の反応場となる部分であり、一般に、電極触媒と固体高分子電解質との複合体からなる。
このような各種電気化学デバイスに用いられる電極触媒には、従来、Ptなどの貴金属の微粒子(Ptブラックなど)、カーボンブラックなどの炭素質担体上にPtなどの貴金属の微粒子を担持したもの、電解質膜の表面にメッキやスパッタなどの方法で形成された貴金属の薄膜等が用いられている。
しかしながら、Pt等の貴金属は、高い触媒活性と高い触媒活性の安定性を示すが、高価であり、資源的にも限られている。そのため、電極触媒が各種電気化学デバイスのコストを高くする一因となっている。特に、燃料電池は、所定の出力を得るために多数のMEAが積層された状態で使用されるので、燃料電池1個当たりの電極触媒の使用量も多く、これが燃料電池の普及を妨げている。
例えば、燃料電池の電極における一般的なPt使用量は、1平方センチメートル当たり0.1mg〜1mg程度と言われているが、普及に妥当な燃料電池価格を達成するためには、少なくともこの貴金属使用量を1/50〜1/100程度まで低減させなくてはならないという試算もある。これは、触媒活性の改善や触媒利用率の向上など、単なる使用量低減の努力では達成困難である。
そこでこの問題を解決するために、貴金属に代わる代替材料に関し、従来から種々の提案がなされている。例えば、非特許文献1には、カーボンブラック上に担持させた大環状化合物の一種であるテトラフェニルポルフィリン(TPP)とFe又はCoの錯体(大環状金属錯体)、及びカーボンブラック上に担持させた同じく大環状化合物の一種であるフタロシアニン(Pc)とCoの大環状金属錯体が酸素還元触媒としての活性を示すことが開示されている。
また、同文献には、カーボンブラック上に担持させたTPPとFeの大環状金属錯体(FeTPP/C)及びカーボンブラック上に担持させたTPPとCoの大環状金属錯体(CoTPP/C)を種々の温度で焼成した場合において、低電流密度条件下では、500℃〜700℃の中間温度域で焼成した時に、最大の触媒活性を示す点が記載されている。
G.Faubert et al., Electrochim. Acta, 41, 1689(1996)
大環状金属錯体は、非特許文献1に開示されているように、酸素還元触媒としての活性を有しており、各種電気化学デバイス用の電極触媒への応用が検討されている。しかしながら、貴金属に変えて大環状金属錯体を電極触媒として用いるためには、ポルフィリンやフタロシアニン等の複雑で大型の分子を合成する必要がある。そのため、そのプロセスコストを考慮すると、大環状金属錯体もまた、必ずしも低コストな触媒とは言い難い。
本発明が解決しようとする課題は、貴金属を用いず、かつ構造が簡単で安価な材料からなる、高活性な燃料電池用電極触媒及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る燃料電池用電極触媒は、導電性高分子と、該導電性高分子内に分散させた、R−CNで表されるシアノ基を含む分子と遷移金属のイオンとが作る錯イオンとを備えていることを要旨とする。
また、本発明に係る燃料電池用電極触媒の製造方法は、R−CNで表されるシアノ基を含む分子を含む溶液中に、遷移金属の塩と導電性高分子の前駆体であるモノマ分子を溶解させる第1工程と、前記モノマ分子を酸化重合させる第2工程とを備えていることを要旨とする。
シアノ基を含む分子と遷移金属のイオンからなる錯イオンは、単離して電極上に固定するのは困難であるが、導電性高分子内においては、活性の高い錯体構造がそのまま固定され、活性中心として機能する。しかも、導電性高分子を介して錯イオンへの電荷移動も円滑に進むので、高活性を示す。
また、導電性高分子を酸化重合させる際に、溶液中にシアノ基を含む分子と遷移金属の塩を添加すると、溶液中にシアノ基を含む分子と遷移金属イオンとが作る錯イオンが形成され、この錯イオンが導電性高分子内に取り込まれる。導電性高分子内に取り込まれた錯イオンは、活性な錯体構造が固定されているので、活性中心として機能する。また、導電性高分子を介して錯イオンへの電荷移動も円滑に進むので、高活性を示す。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明に係る燃料電池用電極触媒(以下、単に電極触媒という。)は、導電性高分子と、導電性高分子内に分散させた錯イオンとを備えている。
導電性高分子とは、共役系(単結合と二重結合の繰り返し)の発達した高分子化合物をいう。導電性高分子は、周知のように、共役系の発達していない高分子化合物に比べて高い電子伝導性を示す。また、導電性高分子は、一般に、分子間、あるいは2次集合体(フィブリル、あるいは球状)間に空隙を有するため、良好なガス透過性を示す。さらに、ある種の導電性高分子は、高分子鎖自体が巨大イオンであるために、イオン伝導性も併せ持つ。そのため、導電性高分子は、本発明に係る電極触媒を構成するマトリックス材料として好適である。
導電性高分子としては、具体的には、ポリピロール(−(C(NH))−)、ポリアニリン(−(C−N=C=N)−)、ポリチオフェン(−(C(S))−)、ポリアセチレン(−(CH=CH)−)等、及びこれらを主鎖として、一部のHを他の置換基で置換したものが一例として挙げられる。本発明においては、上述したいずれの導電性高分子であっても用いることができる。
また、これらの導電性高分子に対して、
(1)(a)Br、I、Clなどのハロゲン、(b)BF、PF、AsF、SbF、SOなどのルイス酸、(c)HNO、HSO、HCLO、HF、HCl、FSOH、CFSOHなどのプロトン酸、(d)FeCl、MoCl、WCl、SnCl、MoF、RuF、TaBr、SnIなどの遷移金属ライド等のアクセプタをドーピングしたり、あるいは、
(2)(a)Li、Na、K、Csなどのアルカリ金属、(b)テトラエチルアンモニウム(TEA)、テトラブチルアンモニウム(TBuA)などのアルキルアンモニウムイオン等のドナーをドーピングすると、電子伝導性が向上することが知られている。
本発明においては、上述したドーパントを添加した導電性高分子及びドーパントを添加しない導電性高分子のいずれであっても用いることができる。また、これらの導電性高分子は、それぞれ、単独で用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。高い触媒活性を得るためには、マトリックス材料として、ドーパントを添加した導電性高分子を用いるのが好ましい。
これらの中でも、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、及びポリアセチレン、並びに、これらに上述した種々のドーパントを添加したものは、相対的に高い電子伝導性とガス透過性を有すると同時に、イオン伝導性も併せ持つ高分子材料であるので、本発明に係る電極触媒を構成するマトリックス材料として特に好適である。
本発明において、錯イオンとは、R−CNで表されるシアノ基を含む分子と、遷移金属のイオンとが作る錯体を言う。シアノ基を含む分子としては、具体的には、アセトニトリル(CHCN)、アクリロニトリル(CH=CH−CN)、メタクリロニトリル(CH=C(CH)CN)、ベンゾニトリル(CCN)、フェニルアセトニトリル(CCHCN)、アジポニトリル(NC(CH)CN)、イソブチロニトリル((CH)CHCHCN)、プロピオニトリル(CCN)、ブチロニトリル(CH(CH)CN)、バレロニトリル(CH(CH)CN)、マロノニトリル(NCCHCN)、スクシノニトリル(NC(CH)CN)、グルタロニトリル(NC(CH)CN)、マレオニトリル(NC(H)C=C(H)CN)、フマロニトリル(H(NC)C=C(H)CN)等が好適な一例として挙げられる。
また、錯イオンの中心に位置する遷移金属のイオンは、3d遷移金属元素(21Sc〜30Zn)のイオン、4d遷移金属元素(39Y〜48Cd)のイオン、及び5d遷移金属元素(72Hf〜80Hg)のイオンのいずれであっても良い。これらの中でも、Fe、Ni、Co、Mn、Cu、Zn、Ti、V、Cr等のイオンは、高い触媒活性を示すので、錯イオンを構成する遷移金属のイオンとして特に好適である。
シアノ基を含む分子と遷移金属イオンとの組み合わせは、特に限定されるものではなく、上述した種々のシアノ基を含む分子と、種々の遷移金属イオンの中から任意に選択することができる。また、導電性高分子内には、シアノ基を含む分子及び遷移金属イオンの内の少なくとも一方が異なる2種以上の錯イオンが含まれていても良い。
導電性高分子内に分散させる錯イオンの量は、特に限定されるものではなく、錯イオンを構成するシアノ基を含む分子及び/又は遷移金属イオンの種類、電極触媒に要求される特性、電極触媒の用途等に応じて、最適な量を選択する。一般に、導電性高分子内に含まれる錯イオンの量が多くなるほど、高い触媒活性が得られる。
本発明に係る電極触媒の形態は、特に限定されるものではなく、種々の形態で使用することができる。例えば、後述する方法を用いて合成された粉末状の電極触媒を、カーボンクロス、カーボンペーパ等からなる支持体の表面に塗布し、これを燃料電池の電極として用いても良い。あるいは、カーボンクロス、カーボンペーパ等からなる支持体の表面に、後述する方法を用いて本発明に係る電極触媒を膜状に合成し、これをそのまま燃料電池の電極として用いても良い。
また、マトリックスを構成する導電性高分子が高いイオン伝導性を有する場合には、電極触媒を単独で用いても良いが、本発明に係る電極触媒と、固体高分子電解質とを併用しても良い。本発明に係る電極触媒と固体高分子電解質とを併用すると、電極触媒へのプロトンの拡散が促進されるので、電極反応がより効率よく進行するという利点がある。
この場合、電極触媒と混合する固体高分子電解質には、例えば、ナフィオン(デュポン社製、登録商標)、アシプレックス(旭化成(株)製、登録商標)、フレミオン(旭硝子(株)製、登録商標)等のパーフルオロ系電解質や、各種炭化水素系電解質を用いることができる。また、電極触媒と固体高分子電解質の比率は、特に限定されるものではなく、電極触媒及び固体高分子電解質の材質、電極触媒に要求される特性等に応じて、最適な値を選択すればよい。
また、電極触媒と固体高分子電解質とを併用する場合、その方法は、電極触媒の形態に応じて、最適な方法を選択すればよい。例えば、粉末状の電極触媒と固体高分子電解質とを併用する場合、粉末状の電極触媒と、固体高分子電解質とを所定の比率で混合し、これをカーボンクロス等からなる支持体上に塗布するのが好ましい。また、カーボンクロス、カーボンペーパ等からなる支持体の表面に膜状に電極触媒を形成する際、支持体表面にあらかじめ固体高分子電解質を介在させておくことによって、電極触媒と電解質が混合した状態で膜状の混合物層を形成することができる。
次に、本発明に係る電極触媒の作用について説明する。ポルフィリンやフタロシアニン等の大環状化合物と、Fe、Co等の遷移金属イオンからなる大環状金属錯体は、上述した非特許文献1に記載されているように、酸素還元に対する触媒活性を示すことが知られている。大環状金属錯体が酸素還元に対する触媒活性を示すのは、大環状金属錯体に含まれるN−金属キレートによるものと考えられている。
一方、シアノ基を含む分子と遷移金属のイオンからなる錯イオンは、大環状金属錯体に含まれるN−金属キレートに類似の錯体構造を備えている。しかしながら、このような錯イオンは、溶液中では安定であるが、これを単離して電極触媒として電極上に固定することは困難であった。そのため、このような錯イオンを燃料電池等の各種電気化学デバイスに用いられる電極触媒として検討された例は、従来にはない。
これに対し、シアノ基を含む分子と遷移金属のイオンからなる錯イオンを導電性高分子内に分散させると、酸素還元及び水素酸化に対する相対的に高い触媒活性を示す。その原因については、詳細は不明であるが、
(1) 溶液中以外では不安定である活性な錯体構造が導電性高分子内にそのまま固定され、活性中心として有効に機能すること、
(2) 導電性高分子内に固定された活性中心と負荷との間で、導電性高分子を介して電子の授受が行われるために、電荷移動が円滑に進むこと、
(3) 導電性高分子は、ガス透過性を有しているので、活性中心への反応ガスの供給が円滑に行われること、
(4) 高いイオン伝導性を併せ持つ導電性高分子を用いた場合、あるいは、導電性高分子と固体高分子電解質とを併用した場合には、活性中心へのプロトンの移動が円滑に進むこと、によると考えられる。
しかも、本発明に係る電極触媒は、高価な貴金属や、複雑な構造を有する錯体を用いていないので、低コストである。そのため、これを例えば固体高分子型燃料電池の電極触媒に適用すれば、固体高分子型燃料電池の大幅なコストダウンが可能となる。
次に、本発明に係る電極触媒の製造方法について説明する。本発明に係る電極触媒の製造方法は、第1工程と、第2工程とを備えている。
第1工程は、R−CNで表されるシアノ基を含む分子を含む溶液中に、遷移金属の塩と、導電性高分子の前駆体であるモノマ分子とを溶解させる工程である。この場合、溶液中には、上述したアセトニトリル、アクリロニトリル等からなるシアノ基を含む分子の内、いずれか1種類のみが含まれていても良く、あるいは2種以上が含まれていても良い。
溶液中に溶解させる遷移金属の塩は、上述した各種遷移金属の内、いずれか1種類のみが含まれているものであっても良く、あるいは2種以上が含まれていても良い。また、遷移金属の塩の対アニオンは、特に限定されるものではなく、酢酸イオン(CHCOO)、硫酸イオン(SO 2−)、硝酸イオン(NO )、過塩素酸イオン(ClO )、ハロゲンイオン(F、Cl、Br、I)など、一般的なものでよい。
また、導電性高分子の前駆体であるモノマ分子は、電極触媒を構成するマトリックス材料の種類に応じて、最適なものを用いる。このようなモノマ分子としては、具体的には、ピロール(CNH)、アニリン(CNH)、チオフェン(CS)等、及びこれらの誘導体が好適な一例として挙げられる。
溶液中に含まれるシアノ基を含む分子、遷移金属の塩及びモノマ分子の量(あるいは、濃度)は、特に限定されるものではなく、これらの種類、後述する重合方法等に応じて、最適なものを選択する。
第2工程は、溶液中に含まれるモノマ分子を酸化重合させる工程である。導電性高分子の酸化重合法には、電極上でモノマ分子を電気化学的に酸化させ、ポリマに成長させる電解酸化重合法、酸化剤を用いてモノマ分子を化学的に酸化させ、ポリマに成長させる化学重合法、光エネルギによりモノマ分子を酸化させ、ポリマに成長させる光酸化重合法等が知られている。本発明においては、いずれの酸化重合法を用いても良く、特に限定されるものではない。
この場合、酸化重合の条件は、溶液の組成、使用する酸化重合方法等に応じて、最適な条件を選択すれば良い。また、化学重合法を用いる場合、酸化剤の種類は、特に限定されるものではなく、ペルオキソ二硫酸アンモニウム((NH))、ペルオキソ二硫酸ナトリウム(Na)、ペルオキソ二硫酸カリウム(K)等、公知の化合物を用いることができる。
次に、本発明に係る電極触媒の製造方法の作用について説明する。導電性高分子を酸化重合させる際に、溶液中にシアノ基を含む分子と遷移金属の塩を添加すると、溶液中にシアノ基を含む分子と遷移金属のイオンからなる錯イオンが形成され、この錯イオンが、物理的に、あるいは電気化学的に、導電性高分子内に取り込まれる。
このようにして得られた電極触媒は、導電性高分子内に活性な錯体構造を有する錯イオンが固定された状態になっているので、錯イオンがそのまま活性中心として機能する。また、錯イオンを含む溶液から導電性高分子が合成されるので、固定された活性中心は、マトリックス中に高度に分散した状態となる。さらに、導電性高分子を介して、電子、反応ガス及びプロトンの授受も円滑に行われる。
そのため、本発明に係る方法で得られた電極触媒は、酸素還元に対して高活性を示す。また、酸素還元のみならず、水素酸化に対しても高活性を示す。さらに、本発明に係る電極触媒は、高価な貴金属を含んでいないので、燃料電池の低コスト化を図ることができる。
電解質として、0.1M濃度相当の過塩素酸リチウム(LiClO)を含む、100mlのアセトニトリル(CHCN、無色)溶液中に、0.01M濃度となるように酢酸コバルト四水和物((CHCOO)Co・4HO、淡赤色)を溶解させた。この時、溶液は、赤紫色を呈し、コバルトイオンが溶液中でアセトニトリルとの錯体を形成したことが分かる。さらに、この溶液中に、0.1M濃度となるようにピロール(CHNH)を加えた。
次に、この混合溶液を電析液として、ピロールの電解重合を行った。なお、陽極には、グラッシーカーボン電極を用い、陰極には、Pt板を用い、参照電極には、水素電極(RHE)を用いた。また、電解重合条件は、電極の単位面積当たりの電流値:0.5mA/cm、温度:室温(約25℃)の条件下で行った。
所定の条件下で電解重合を行うと、グラッシーカーボン電極の表面においてピロールの酸化重合が進行し、グラッシーカーボンの表面がポリピロールの薄膜で覆われていく。20分後、電流を止め、混合溶液からポリピロール被覆グラッシーカーボン電極を取り出し、純水で十分洗浄し、コバルトのアセトニトリル錯体を含有するポリピロール被覆グラッシーカーボン電極(以下、これを「電極A」という。)を得た。
(比較例1)
電析液の溶媒として、アセトニトリルに代えて水を用いた以外は、実施例1と同一の手順に従い、ポリピロール被覆グラッシーカーボン電極(以下、これを「電極B」という。)を作製した。
(比較例2)
電析液中に酢酸コバルト四水和物を添加しなかった以外は、実施例1と同一の手順に従い、ポリピロール被覆グラッシーカーボン電極(以下、これを「電極」という。)を作製した。
(比較例3)
酢酸コバルト水和物に変えて、Coテトラフェニルポルフィリンスルホン酸を用いた以外は、実施例1と同一の手順に従い、ポリピロール被覆グラッシーカーボン電極(以下、これを「電極D」という。)を作製した。
実施例1及び比較例1〜3で得られた電極A〜D、並びに裸のグラッシーカーボン(GC bare)電極について、硫酸水溶液中においてサイクリックボルタモグラムを測定した。なお、測定は、(1)電解液をArでバブリングし、溶存酸素を脱気した後、及び(2)その後、電解液をOでバブリングし、電解液中の溶存酸素濃度を飽和濃度まで高めた後、について、それぞれ行った。図1〜図4に、その結果を示す。
図1〜4より、酢酸コバルトを含まない電極C及びGC bare電極は、いずれも、Arでの脱気後(図1〜図4中、破線で示す)と酸素飽和下(図1〜図4中、実線で示す)で、ほとんどボルタモグラムに変化がないことが分かる。すなわち、電極C及びGC bare電極には、酸素の還元活性を認めることができなかった。
また、アセトニトリルに代えて水を用いた電極Bについては、図2に示すように、いくらか酸素還元電流が観測された。しかしながら、その電流値は小さく、還元電流の開始電位は、後述する本発明の電極Aに比べて卑(約0.4V(対RHE))であり、酸素還元性は、かなり劣ることが分かる。
これに対し、電極A及び電極Dでは、図1及び図4に示すように、酸素飽和下で還元電流が観測され、酸素還元反応に対して活性があることが分かる。また、電極A及び電極Dの酸素還元の開始電位は、ほぼ同じ(約0.6V(対RHE))であることが分かる。すなわち、本発明に係る電極Aは、電極触媒が簡単・安価な材料で構成されていながら、電極触媒として高価なポリフィリン類を含む電極Dと、同程度の活性を有することが分かる。
電解質として、0.1M濃度相当の過塩素酸リチウム(LiClO)を含む、100mlのアセトニトリル(CHCN、無色)溶液中に、0.01M濃度となるように酢酸コバルト四水和物((CHCOO)Co・4HO、淡赤色)を溶解させた。さらに、この溶液中に、0.1M濃度となるようにピロール(CHNH)を加えた。
次に、この混合溶液を撹拌しながら、0℃に保ちつつ、酸化剤として、0.2M濃度のペルオキソ二硫酸アンモニウム((NH))を10ml滴下した。さらに、混合溶液の温度を0℃に保ったまま、一昼夜、撹拌し、ピロールを酸化重合させた。得られた重合物を濾過、洗浄、及び乾燥後、粉砕して触媒(以下、これを「触媒E」という。)を得た。なお、触媒E中のCoイオンの濃度は、分析の結果、0.5wt%であった。
次に、得られた触媒Eを電極触媒として用いて、以下の手順に従い、小型の試験燃料電池を作製した。すなわち、まず、拡散層として、カーボンクロスの表面にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ディスパージョンで撥水化したカーボンブラックを塗布し、撥水化処理したものを用意した。次いで、撥水化処理された拡散層の表面に、触媒Eとナフィオン溶液(ポリマ分5wt%、アルドリッチ社製)との混合物(触媒E:ナフィオン溶液の重量比=1:1)を塗布・乾燥することによって、拡散層の表面に触媒層を形成し、ガス拡散電極とした。
次に、触媒層を内側にして、電解質膜(厚さ約50μmのナフィオン(登録商標)膜、デュポン社製)の両面からガス拡散電極を熱圧着し、膜電極接合体(MEA)を得た。なお、熱圧着は、圧着温度:130℃、圧力:20kg/cm(1.96MPa)の条件下で行った。さらに、MEAをグラファイト板にガス流路を設けた集電体で挟んで、試験電池とした。なお、電極面積は、25cmとした。
(比較例4)
Coテトラフェニルポリフィリン(Co−TPP)を濃硫酸に溶解させ、この溶液中にカーボンブラック(キャボット社製、VULCAN XC−72)を分散させ、撹拌しながら純水を滴下した。濃硫酸と同容量以上の純水を滴下したところで、溶液の濾過、洗浄、乾燥及び粉砕を行い、カーボンブラック上にCo−TPPを担持させた触媒(以下、これを「触媒F」という。)を得た。なお、触媒F中のCoイオン濃度は、分析の結果、0.5wt%であった。さらに、実施例2と同一の手順に従い、小型の試験燃料電池を作製した。
(比較例5)
アセトニトリルに代えて水を用いた以外は、実施例2と同一の手順に従い、触媒(以下、これを「触媒G」という。)を得た。なお、触媒G中のCoイオン濃度は、分析の結果、0.5wt%であった。さらに、実施例2と同一の手順に従い、小型の試験燃料電池を作製した。
実施例2及び比較例4、5で得られた試験燃料電池を用いて放電試験を行った。なお、試験条件は、電池温度:80℃、水素:0.15MPa、空気:0.15MPa、ガスの露点は、水素:80℃、空気:70℃、流量は、水素:1リットル/min、空気:2リットル/minとした。図5に、その結果を示す。
図5より、触媒F(比較例5)を用いた燃料電池の場合、電流密度が増加するに伴い、電圧が急激に低下した。これは、触媒Fの場合、導電性高分子内にCoイオンが錯イオンの形で分散していないために、触媒活性が低いためと考えられる。これに対し、触媒E(実施例2)及び触媒G(比較例5)を用いた燃料電池の場合、電流密度が増加しても、相対的に高い電圧を維持した。図5より、触媒Eは、高価なポルフィリンを含む触媒Fとほぼ同等の酸素還元活性及び水素酸化活性を示すことが分かる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る電極触媒は、固体高分子型燃料電池用の電極触媒として特に好適であるが、本発明の用途はこれに限定されるものではなく、各種電気化学デバイスに用いられる電極触媒としても使用することができる。
実施例1で得られた電極A及び裸のグラッシーカーボン(GC bare)電極のサイクリックボルタモグラムである。 比較例1で得られた電極B及び裸のグラッシーカーボン(GC bare)電極のサイクリックボルタモグラムである。 比較例2で得られた電極C及び裸のグラッシーカーボン(GC bare)電極のサイクリックボルタモグラムである。 比較例3で得られた電極D及び裸のグラッシーカーボン(GC bare)電極のサイクリックボルタモグラムである。 実施例2で得られた触媒E、及び比較例4、5で得られた触媒F、Gを電極触媒として用いた燃料電池の放電特性を示す図である

Claims (7)

  1. 導電性高分子と、
    該導電性高分子内に分散させた、R−CNで表されるシアノ基を含む分子と遷移金属のイオンとが作る錯イオンとを備えた燃料電池用電極触媒。
  2. R−CNで表されるシアノ基を含む分子を含む溶液中に、遷移金属の塩と導電性高分子の前駆体であるモノマ分子を溶解し、前記モノマ分子を酸化重合することにより得られる燃料電池用電極触媒。
  3. 前記シアノ基を含む分子は、アセトニトリル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ベンゾニトリル、フェニルアセトニトリル、アジポニトリル、イソブチロニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、マロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、マレオニトリル、及びフマロニトリルから選ばれる少なくとも1つである請求項1又は2に記載の燃料電池用電極触媒
  4. 前記遷移金属は、Fe、Ni、Co、Mn、Cu、Zn、Ti、V、及びCrから選ばれる少なくとも1つである請求項1から3までのいずれかに記載の燃料電池用電極触媒。
  5. R−CNで表されるシアノ基を含む分子を含む溶液中に、遷移金属の塩と導電性高分子の前駆体であるモノマ分子を溶解させる第1工程と、
    前記モノマ分子を酸化重合させる第2工程とを備えた燃料電池用電極触媒の製造方法。
  6. 前記シアノ基を含む分子は、アセトニトリル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ベンゾニトリル、フェニルアセトニトリル、アジポニトリル、イソブチロニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、マロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、マレオニトリル、及びフマロニトリルから選ばれる少なくとも1つである請求項5に記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
  7. 前記遷移金属は、Fe、Ni、Co、Mn、Cu、Zn、Ti、V、及びCrから選ばれる少なくとも1つである請求項5又は6に記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
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