JP4474718B2 - 圧電型風力発電機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、風力から電気エネルギーを取り出すことを可能とする風力発電機に関し、より詳細には、圧電振動板を用いて電力を取り出し得る圧電型風力発電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、クリーンなエネルギーを用いた発電方法として、風力発電が注目されている。従来の風力発電機では、装置が大型化し、コストが高くつくという問題があった。そこで、特開平11−303726号公報には、比較的簡単な構造を有し、かつ小型化が容易な風力発電機として、圧電素子を用いた構造が開示されている。ここでは、圧電振動板に、風を受けた際に振動板を振動させるような空気の渦流を発生させるための渦発生部材が固定されており、かつ前記圧電振動板を回転自在に支持する回転軸が備えられている。すなわち、様々な方向に吹く風により圧電振動板を確実に振動させて大きな電力を取り出すために、圧電振動板が風向きに対応し得るように回転軸により回転自在に支持されている。また、上記渦発生部材が設けられているので、風を受けた際に効率よく振動を生じさせるとされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の圧電型風力発電機では、回転軸を用いた支持構造を有するため、構造が複雑であり、より一層の小型化を図ることが困難であった。
【0004】
さらに、回転軸により圧電振動板を支持するものであるため、圧電振動板で発生した電力を外部に取り出すのに、モーター内のブラシのような構成部材を必要とする。従って、部品点数が多くなり、かつ全体を防水構造とすることが困難であった。
【0005】
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、より一層簡単な構造で構成することができ、さらなる小型化を図ることができ、発生した電力の取り出しが容易であり、さらに防水構造とすることも容易である、圧電型風力発電機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る圧電型風力発電機は、フレーム部材と、前記フレーム部材に支持された圧電振動板と、前記圧電振動板に固定されており、風を受けて圧電振動板を屈曲運動させる板状の受風部材とを備え、前記板状の受風部材が圧電振動板に固定されている側の第1の端縁と、自由端である側の第2の端縁との間で、第1,第2の端縁が交差する方向に折り曲げられており、該折り曲げ部の第1の端縁側の第1の受風部と、折り曲げ部よりも第2の端縁側に位置する第2の受風部とが構成されており、第1,第2の受風部の向きが異なっていることを特徴とする。
【0007】
本発明の特定の局面では、前記圧電振動板が、板状の振動板と、振動板の下面に固定された圧電素子とを有し、前記フレーム部材が開口を有し、該開口を液密的に閉成するように、かつ、圧電素子がフレーム部材内に位置するように、前記圧電振動板がフレーム部材に固定されている。
【0008】
本発明の他の特定の局面では、前記圧電振動板に、複数の前記受風部材が固定されている。
より好ましくは、前記複数の受風部材は向きを異ならせて圧電振動板に固定されている。
【0010】
本発明のさらに他の特定の局面では、上記受風部材が、受風翼により構成される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る圧電型風力発電機の具体的な実施例を説明する。
【0012】
図1は、本発明の第1の実施例に係る圧電型風力発電機を示す斜視図であり、図2はその断面図である。
圧電型風力発電機1は、矩形枠状のフレーム部材11を有する。フレーム部材11は、家屋の屋根あるはビルディングの屋上等の適宜の構造物上に固定される部材である。
【0013】
フレーム部材11の上面には、圧電振動板12がフレーム部材11の開口11aを液密的に閉成するように固定されている。フレーム部材11は、圧電振動板12の屈曲振動を妨げない限り、金属や合成樹脂などの適宜の材料を用いて構成することができる。
【0014】
圧電振動板12は、本実施例では矩形板状の形状を有する。この圧電振動板12は、金属からなる振動板12aと、該振動板12aの下面に貼り合わされた圧電素子12bとを有する。圧電素子12bは、圧電型バイモルフまたはマルチモルフを用いて構成することができる。振動板12aが後述のように屈曲振動した場合、該屈曲振動に基づく電力が圧電素子12bから取り出される。
【0015】
前述したように、圧電振動板12はフレーム部材11の開口11aを液密的に閉成しているが、これは、振動板12aの下面をフレーム部材11の上面に接着剤などの接合材を用いて貼り合わせることにより達成される。従って、圧電素子12b及び圧電素子12bにおける電気的接続部分を雨水等から遮断でき、防水構造の圧電型風力発電機を構成することができる。
【0016】
他方、振動板12aの上面には、受風部材としての受風翼13が固定されている。受風翼13は、本実施例ではステンレスなどの金属板からなり、略矩形板状の形状を有する。受風翼13の下端は折り曲げられて、振動板12aの上面に固定されている。この固定は、溶接、接着剤などの接合材を用いた方法、あるいはボルト及びナットなどの固定具を用いた方法などの任意の方法で行い得る。
【0017】
受風翼13は、風を受けて屈曲振動し、該振動が圧電振動板12に伝搬し、圧電振動板12が屈曲振動する。この場合、自然の風は、一方向だけでなく、常に方角を変えて吹きつける。従って、受風翼13の主面13aがいずれの方向を向いていたとしても、受風翼13は風を受けて振動し、それによって圧電振動板12が屈曲振動し、電力が圧電素子12bから取り出される。
【0018】
好ましくは、上記受風翼13の共振周波数と、振動板12aの屈曲振動の共振周波数とを近づけることにより、理想的には一致させることにより、両者の振動の結合により、より一層大きな電力を取り出すことができる。
【0019】
なお、本実施例では、受風翼13の主面13aが、振動板11の矩形形状の長辺あるいは短辺と交差する方向に、すなわち振動板12aに対して非対称に固定されているが、上記のように自然の風は常に方角を変えて吹いているため、必ずしも非対称に固定する必要はない。
【0020】
図3は、本発明の第2の実施例に係る圧電型風力発電機を説明するための斜視図である。
第2の実施例の圧電型風力発電機21では、圧電振動板12の上面に複数の受風部際としての受風翼13,14が固定されている。受風翼13と受風翼14は、それぞれ、その主面13a、14aが直交する向きになるように配置されている。その他の点は、第1の実施例の圧電型風力発電機1と同様に構成されている。
【0021】
第2の実施例では、受風翼13,14の主面13a,14aが直交する方向に配置されているので、風がどのように変化したとしても、常に有効に圧電振動板12を屈曲振動させることができる。なお、主面13a,14aは、必ずしも直交する方向に配置される必要はなく、両者の向きが異なっていれば、同様に、圧電振動板12を有効に振動させることができる。
【0022】
また、受風翼13,14の屈曲振動の共振周波数を異ならせるように構成した場合には、より一層圧電振動板12を屈曲振動モードで振動させることができ、大きな電力を得ることができる。
【0023】
図4は、本発明の第3の実施例に係る圧電型風力発電機を説明するための斜視図である。
圧電型風力発電機31では、リング状のフレーム32の上面に円盤状の圧電振動板33が固定されている。図4では特に図示されていないが、圧電振動板33は、円形の振動板33aの下面に円形の圧電素子(図示せず)を貼り合わせた構造を有する。すなわち、フレーム32、圧電振動板33は、平面形状は円形であることを除いては、第1の実施例の矩形のフレーム11及び圧電振動板12と同様に構成されている。
【0024】
他方、圧電振動板33の上面には、板状の受風部材34が固定されている。受風部材34は、圧電振動板33に固定されている側の第1の端縁34aと、自由端である反対側の第2の端縁34bとの間で、第1,第2の端縁34a,34bが交差する方向に折り曲げられている。特に、本実施例では、該折り曲げ部34cの第1の端縁34a側の第1の受風部34dと、第2の端縁34b側に位置する第2の受風部34eとが直交する方向に受風部材34が折り曲げられている。
【0025】
従って、1つの受風部材34を用いているが、第1,第2の受風部34d,34eが直交する方向に配置されているので、第2の実施例と同様に風がどのような方向に変化したとしても、確実に圧電振動板33を屈曲振動させることができ、それによって大きな電力を得ることができる。
【0026】
また、1枚の受風部材34で複数の屈曲振動を発生させることができるため、第1,第2の受風部34d,34eの屈曲振動の共振周波数を異ならせることにより、より大きな電力を取り出すことができる。
【0027】
なお、第1,第2の受風部34d,34eは、必ずしも略直交する方向に配置されている必要はなく、他の角度で交差するように配置されていてもよい。
【0028】
【発明の効果】
本発明に係る圧電型風力発電機では、家屋の屋根等に固定されるフレーム部材に圧電振動板が支持されており、該圧電振動板に受風部材が風を受けて圧電振動板を屈曲振動させるように固定されているので、風を受けて受風部材及び圧電振動板が屈曲振動し、それによって圧電効果によって電力を取り出すことができる。
【0029】
特に、フレーム部材は家屋の屋根等に固定されるだけでよいため、すなわち従来の圧電型風力発電機で必要であった回転軸等の回転支持部材を必要としないため、圧電型風力発電機の構造の簡略化、部品点数の低減及び小型化を図ることができ、さらに、防水構造とすることも容易である。
【0030】
特に、圧電振動板が、板状の振動板と、振動板の下面に固定された圧電素子とを有し、フレーム部材が開口を有し、該開口を液密的に閉成するように、かつ、圧電素子がフレーム部材内に位置するように、圧電振動板がフレーム部材に固定されている場合には、圧電素子及び圧電素子への電気的接続部分を雨水等から保護し得るので、防水形の圧電型風力発電機を簡単な構造で提供することができる。
【0031】
さらに、圧電振動板に、複数の受風部材が固定されている場合には、複数の受風部材を用いて圧電振動板をより大きく屈曲振動させることができ、大きな電力を取り出すことができる。
【0032】
また、複数の受風部材が向きを異ならせて圧電振動板に固定されている場合には、風向きがどのように変化した場合であっても、より確実に圧電振動板を屈曲させることができ、それによって圧電効率を高め得る。
【0033】
板状の受風部材が、第1,第2の端縁が交差する方向に折り曲げられており、折り曲げ部の第1の端縁側の第1の受風部と、折り曲げ部よりも第2の端縁側に位置する第2の受風部と向きが異なっている場合には、1枚の受風部材を用いて、風向きのどのような変化にも対応して電力を取り出すことができ、従って、少ない部品点数で発電効率を高めることができる。
【0034】
上記受風部材として、受風翼を用いた場合には、翼状であるため、風を受けて受風翼が大きく振動し、従って、大きな電力を取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る圧電型風力発電機を説明するための斜視図。
【図2】第1の実施例に係る圧電型風力発電機の断面図。
【図3】本発明の第2の実施例に係る圧電型風力発電機の斜視図。
【図4】本発明の第3の実施例に係る圧電型風力発電機を説明するための斜視図。
【符号の説明】
1…圧電型風力発電機
11…フレーム
12…圧電振動板
12a…振動板
12b…圧電素子
13,14…受風部材としての受風翼
21…圧電型風力発電機
31…圧電型風力発電機
32…フレーム
33…圧電振動板
33a…振動板
34…受風部材
34a,34b…第1,第2の端縁
34c…折り曲げ部
34d,34e…第1,第2の受風部
Claims (5)
- フレーム部材と、
前記フレーム部材に支持された圧電振動板と、
前記圧電振動板に固定されており、風を受けて圧電振動板を屈曲運動させる板状の受風部材とを備え、前記板状の受風部材が圧電振動板に固定されている側の第1の端縁と、自由端である側の第2の端縁との間で、第1,第2の端縁が交差する方向に折り曲げられており、該折り曲げ部の第1の端縁側の第1の受風部と、折り曲げ部よりも第2の端縁側に位置する第2の受風部とが構成されており、第1,第2の受風部の向きが異なっていることを特徴とする、圧電型風力発電機。 - 前記圧電振動板が、板状の振動板と、振動板の下面に固定された圧電素子とを有し、前記フレーム部材が開口を有し、該開口を液密的に閉成するように、かつ、圧電素子がフレーム部材内に位置するように、前記圧電振動板がフレーム部材に固定されている、請求項1に記載の圧電型風力発電機。
- 前記圧電振動板に、複数の前記受風部材が固定されている、請求項1または2に記載の圧電型風力発電機。
- 前記複数の受風部材が向きを異ならせて圧電振動板に固定されている、請求項3に記載の圧電型風力発電機。
- 前記受風部材が、受風翼である、請求項1〜4のいずれかに記載の圧電型風力発電機。
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