JP4474324B2 - 成膜装置 - Google Patents

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Description

本発明は成膜装置に関し、特に基板を移動させながら複数種の元素からなる薄膜を形成する成膜装置に関するものである。
従来、基板を移動させながら成膜する移動型成膜装置として、Cu(In,Ga)Se化合物半導体薄膜(以下「CIGS膜」と称す)を形成するための成膜装置がある。CIGS膜はCIGS薄膜太陽電池の光吸収層として機能する。
図6は特許文献1に記載されたロール・トゥ・ロール式多元同時蒸着成膜装置の概略構成を示す断面図である。成膜チャンバ1内の送り出しロール2と巻き取りロール3との間にフレキシブルな基板4が展張されている。基板4の下方に、Cu蒸着源5、Ga蒸着源6、In蒸着源7が設置されるとともに、これらの両端と間にSe蒸着源8が設置されている。
CIGS膜を形成する際には、Cu蒸着源5、Ga蒸着源6、In蒸着源7、Se蒸着源8をそれぞれ所定の温度に加熱してCu、Ga、In、Seの各元素の蒸気を放出させ、その状態で、基板4を送り出しロール2から巻き取りロール3へ向かって移動させながら、基板温度を300〜650℃に調節して、基板4の一主面上に各元素の蒸気を供給して成膜する。光吸収層として適当なCIGS膜の膜厚は約2μmである。
図7は、上記したようにして基板に供給される各元素の蒸気の供給量分布(a)、および、InとGaの蒸気組成比Ga/(In+Ga)の分布(b)を示す。Se以外の元素については、Cuが供給され、続いてGa、Inの順でそれぞれの蒸気の供給範囲が重なりながら供給され、最終段階ではほとんどInのみが供給されている。Seは、形成中の膜からの再蒸発を防止するために、Cu、Ga、Inの蒸気の供給時には同時に化学量論比以上に過剰に供給され、Inの供給が終わってから供給停止されている。
CIGS膜を形成する他の方法としては、MBE(モレキュラービームエピタクシー)法がある。図示を省略するが、MBE法では、基板を一ヶ所で回転させながら、基板のほぼ中心に向けた複数の蒸着源からCu、Ga、In、Seの蒸気を供給する。詳しくは、Cu、Ga、In、Seの蒸着源をそれぞれのシャッターを閉じた状態で所定の温度に加熱し、その一方で基板を550℃に加熱しておき、加熱された基板を一定速度で回転させながら、Cu、Ga、In、Seの蒸着源のシャッターを開いて各元素を供給する。そして所定時間後に、Cu、Ga、Inの蒸着源のシャッターを閉じて、Seのみを供給しながら、基板を550℃から350℃まで徐々に冷却し、350℃に降温した時点でSe蒸着源のシャッターを閉じて成膜を終了する。
米国特許第6,310,281号公報(FIG.6)
上記したMBE法は、高品質なCIGS膜を形成できるものの、大面積の基板に成膜するには不適当である。一方、ロール・トゥ・ロール式多元同時蒸着成膜装置は、大面積の成膜に適しているが、高品質なCIGS膜を得ることができず、変換効率は低くなっていた。
一般に、CIGS膜を形成するには、500℃以上に温度調整した基板にCu、In、Ga、Seを供給してCIGS化合物半導体結晶を成長させるのであるが、この高温プロセスにおいて、Seの再蒸発およびそれに伴うInなど他元素の再蒸発が起こってCIGS膜に欠陥が発生し、太陽電池特性の低下を来たしてしまう。
このSeの再蒸発を防止するために、上記したようにCu(In,Ga)Seの化学量論比に対してSeを常に過剰に供給し、Cu、Ga、Inの供給終了後に基板温度を低下させる時もSeを供給しているのであるが、これまでのロール・トゥ・ロール式の成膜装置では、依然としてSeの再蒸発が起こり、CIGS膜に欠陥が発生していたのである。
本発明は上記問題を解決するもので、基板を一定方向に移動させながら複数種の元素を蒸着させて薄膜を形成する際の膜欠陥の発生を抑制できる成膜装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の成膜装置は、成膜チャンバと、前記成膜チャンバ内で基板を一定方向に移動させる移動手段と、前記基板の移動方向に沿って配列された複数の蒸着源とを備え、前記蒸着源から放出される複数種の元素を前記基板の一面上に供給して薄膜を形成する成膜装置において、前記蒸着源と前記基板移動手段との間に配置され、一部にスリットを有する規制部と、前記スリット内を基板移動方向に沿って分割する仕切板と、前記移動手段により移動する基板を上流側の第一区間上で所定温度に加熱し下流側の第二区間上で徐冷可能な基板加熱ヒーターとを設け、前記第一区間に前記複数種の元素を供給し、第二区間に前記複数種の元素の内の最も蒸発しやすい所定元素を供給するように、前記複数の蒸着源を配列したことを特徴とする。
第一区間と第二区間とが連続しているのが好ましい。
仕切板は蒸着源側に延び、第一区間に供給する所定元素以外の元素が第二区間に供給されないように第二区間を遮蔽しているのが好ましい。
基板加熱ヒーターは、第一区間上の基板の温度を400℃以上、1000℃以下に調整可能であることを特徴とする。たとえばCIGS膜は、この温度範囲内で結晶成長が促進され高品質な膜となるので、この温度範囲内に調整可能であるのが好ましい。
基板加熱ヒーターは、第二区間上の基板の温度を所定元素の融点温度より高く、基板面からの所定元素の再蒸発が起こり難い温度に調整可能であることを特徴とする。所定元素の再蒸発が起こり難い温度は、融点温度に150℃を加えた温度以下の温度に設定することができる。たとえばCIGS膜では、所定元素たるSeの再蒸発が起こるのはその融点(約200℃)に150℃を加えた350℃程度からであり、それを超えた温度で所定元素を供給しない場合には再蒸発が起こり、CIGS膜の品質が低下する(欠陥が形成される)が、それ以下の温度であれば再蒸発はほとんど起こらないからである。
仕切板は、その表面に付着した所定元素の再蒸発が起こり易い温度に温度調節可能であることを特徴とする。このために、仕切板は、所定元素の融点温度から100℃を差し引いた温度以上、1500℃以下に温度調節可能であるのが好ましい。所定元素の融点温度から100℃を差し引いた温度以上にすると、仕切板に付着した所定元素が再蒸発し、基板へ供給されるため、材料の利用効率が高くなり、その一方で、1500℃を超えると仕切板材料の蒸発による基板への不純物混入が起こるので、1500℃以下とする必要がある。
基板の移動速度をv、第二区間上の基板の温度が基板面に付着した所定元素の再蒸発が起こり難い温度まで低下する時間をt、第二区間の長さをLとしたときに、L≧v×tとすることができる。
たとえば所定元素はSeとSの内の少なくとも一種であってよい。またたとえば所定元素以外の元素はCu、Ag、Al、In、Gaの内の少なくとも一種であってよい
本発明の成膜装置によれば、一定方向に移動させる基板の表面に、第一区間上で複数種の元素を供給し、それにより形成される膜から再蒸発しやすい所定元素を第二区間上でさらに供給することにより、前記所定元素を常に過剰に存在させて再蒸発を防止し、再蒸発に起因する膜欠陥を抑えることができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における成膜装置の概略構成を示す断面図である。ここでは、CIGS膜を形成するためのインライン式多元同時蒸着成膜装置を示している。この成膜装置において、先に図6を用いて説明した従来の成膜装置(ロール・トゥ・ロール式多元同時蒸着成膜装置)と同様の作用を有する部材には図6と同じ符号を付して説明する。
成膜チャンバ1には、内部を真空排気する排気ポンプとしてのターボ分子ポンプ11が備わっている。成膜チャンバ1内には、成膜対象の基板4を一定方向に移動させる基板搬送機構12が設置されている。基板4はここでは、一主面上にMo膜を0.5μm堆積した矩形のガラス基板である。
基板搬送機構12は、基板4の幅方向の両端を支えるべく2列に且つ基板搬送方向に沿って等間隔で配列された複数のコロ12aと、各列のコロ12aを接続したチェーン12bとを有しており、成膜チャンバ1外のモーター(図示せず)に回転導入端子を介して接続したチェーン12bが走行し、それによりコロ12aが回転して基板4を搬送する。
基板搬送機構12の上方には基板加熱ヒーター13が設置されている。この基板加熱ヒーター13は、基板4の移動方向に沿って温度を変化させることができ、基板4の温度をその移動位置に応じた所定温度に調整する。
基板搬送機構12の下方には、複数の蒸着源、つまりCu、Ga、In、Seの蒸気をそれぞれ放出するCu蒸着源5、Ga蒸着源6、In蒸着源7、Se蒸着源8(8a、8b)が基板移動方向に沿って配列されている。その配列順序は、上流側からSe蒸着源8a、Cu蒸着源5、Ga蒸着源6、In蒸着源7、Se蒸着源8bである。
基板搬送機構12と複数の蒸着源との間には、蒸気供給範囲をスリット14内に規制する第一の仕切板15と、前記スリット14内を基板移動方向に沿って2つの区間に分割する第二の仕切板16とが設けられている。第一の仕切板15を、スリット14を互いの間に形成する左板15a、右板15bと称すると、スリット14の上流側の第一区間14aは左板15aにおける右端の位置Aと第二の仕切板16の上端の位置Bとの間であり、下流側の第二区間14bは、第二の仕切板16の上端の位置Bと右板15bにおける左端の位置Cとの間である。
上述したCu蒸着源5、Ga蒸着源6、In蒸着源7、Se蒸着源8(8a、8b)の配列は、第一区間14aにCu、Ga、In、Seの各元素の蒸気を供給し、それにより基板面に形成される膜から再蒸発しやすいSeの蒸気を第二区間14bに供給するように決定されている。なおSe蒸着源8aは、第一区間14a全体にSe蒸気が供給されるように、開口部を鉛直方向から15°傾けて設置されている。Cu蒸着源5、Ga蒸着源6、In蒸着源7は第一区間14aに向けて上向きに蒸気が放出されるように、またSe蒸着源8bは第二区間14bに向けて上向きに蒸気が放出されるように、それぞれ開口部を鉛直方向に向けて設置されている。
図中にさらに示した位置Dは第二区間14b内の任意の位置であり、位置Eは、Cu蒸着源5、Ga蒸着源6、In蒸着源7の内で最も下流にあるIn蒸着源7の開口部と、その下流側にあるSe蒸着源8bの開口部とを結ぶ線分上の任意の位置であり、位置FはIn蒸着源7の開口部上の任意の位置である。第二の仕切板16の下端は、それ自体あるいはその延長線が位置Eにあり、位置Dと位置Fとを結ぶ線分と必ず交差するように決定される。第二の仕切板16には、温度調整機構が備わっており、117℃(Seの融点である217℃より100℃低い温度)以上、1200℃以下に調整可能である。
なおここでは、第一区間14aの長さは15cmとしている。第二区間14bの長さLは、基板4の移動速度vと、第一区間14aで加熱された基板4の温度を、Seの融点(217℃)よりも高い所定温度まで降下させる温度降下時間tとを用いて、L=v×tで設定される。ここでは、基板4の移動速度v=1cm/分とし、基板4の温度を350℃(Seの融点217℃に150℃を加えた367℃よりも低い温度として設定している)まで、時間t=20分で降下させるものとして、L=20cmと設定している。
上記構成の成膜装置を用いてCIGS膜を形成する成膜方法について説明する。
基板4をそのMo面を下に向けて基板搬送機構12に載せ、左板15aの上方に待機させる。そして成膜チャンバ1内をターボ分子ポンプ11によって真空引きして、1×10−3Pa以下の真空度に保持する。また第二の仕切板16の温度を200℃に調整する。
次に、Se蒸着源8a、Cu蒸着源5、Ga蒸着源6、In蒸着源7、Se蒸着源8bをそれぞれ200℃、1200℃、1000℃、950℃、200℃に調整して、それぞれの開口部からSe、Cu、Ga、In、Seの蒸気を放出させる。Se蒸着源8a,8bからのSe蒸気量は第一区間14a、第二区間14bで常に過剰量とする。
次に、基板4を一定の速度1cm/分で右板15b側へ移動させる。同時に、基板加熱ヒーター13に電力を供給して、基板4を室温(約25℃)から位置Aで550℃になるように加熱し、位置Bまでの第一区間14aでその温度を維持し、位置Bから位置Cまでの第二区間14bで550℃から350℃以下に低下させる。
このようにすることにより、基板4が左板15aの上方にある時には、いずれの元素も基板4に供給されず、基板4がスリット14の上方を通過する時には、第一区間14aに、Se蒸着源8a、Cu蒸着源5、Ga蒸着源6、In蒸着源7からのSe、Cu、Ga、Inの蒸気が供給される一方で、第二区間14bには、前記各蒸着源からの蒸気は第二の仕切板16により遮断されて供給されず、Se蒸着源8bからのSe蒸気のみが供給され、その間に基板4の表面に主に第一区間14aでCIGS膜が堆積される。
その際に、基板4が第一区間14aおよび第二区間14bを通過する間、つまり基板4を550℃という高温下におく成膜工程だけでなく、550℃〜350℃に降温させる徐冷工程(この温度域でもSeの再蒸発は起こる)でも、Seが常に過剰に供給され、また第二の仕切板16が200℃に調整されることでこれに付着するSe元素の再蒸発が促進されるので、Cu、Ga、Inの供給終了後すぐにSeの供給もなくなっていた従来法(図7(a)参照)に比べて、形成されるCIGS膜からのSeの再蒸発は抑えられ、CIGS膜に欠陥は発生しにくい。このようなCIGS膜を太陽電池として機能させると、光照射によって生成した電子と正孔の再結合が起こりにくくなり、太陽電池の特性が向上する。
図2は、上記したようにして基板に供給される各元素の蒸気の供給量分布(a)、基板温度の変化(b)、および、InとGaの蒸気組成比Ga/(In+Ga)の分布(c)を示す。図2(a)において、第一区間ではCu、In、Ga、Seが重なるように分布しているが、第二区間ではSeのみが存在している(第一区間,第二区間を通り抜けた蒸気は広がるため分布は幾分重なっている)。図2(c)において、第一区間の位置A側から位置B側へ向かって蒸気のGa/(In+Ga)組成比が徐々に低下している。
図3は、上記したようにして形成されたCIGS膜の膜厚方向のGa/(In+Ga)組成比分布を示す。CIGS/Mo界面側から表面側に向かって、Ga/(In+Ga)組成比が0.35から0.27まで徐々に低下している。CIGS膜のバンドギャップはGa/(In+Ga)組成比の増大にしたがって増大する。この場合、荷電子帯のエネルギーレベルはCIGS/Mo界面側で高く、表面側に向かって低下するため、CIGS膜の膜厚方向に電位勾配ができる。したがって、このCIGS膜を太陽電池化した場合、光照射によって生成した電子がpn接合面である表面側に流れやすくなり、CIGS膜の膜厚方向のGa/(In+Ga)組成比分布が平坦な場合に比べて太陽電池特性が向上する。
CIGS膜の太陽電池化の具体例を挙げる。CIGS膜上にCBD法でCdS膜を約0.1μm堆積し、その上にスパッタ法でZnO膜を約0.1μm堆積し、その上にスパッタ法でITO透明導電膜を0.2μm堆積し、最後に金電極を堆積し、この積層膜について太陽電池としての変換効率を測定したところ、15%という高い変換効率が得られた。
なお、この実施の形態1では、第一区間14aに対してSe蒸着源8a、Cu蒸着源5、Ga蒸着源6、In蒸着源7をこの順で配置したが、配置順序を変えても同様の効果が得られる。CIGS膜の他に、CuInSe、CuGaSe、CuAlSe、Cu(In,Ga)(Se,S)、Cu(In,Al)Se、Ag(In,Ga)Seなど、I-III-VI系の膜を同様にして形成できる。その場合、Seに代えてあるいはSeとともに、膜から再蒸発し易いSなどの元素を同様にして供給してもよい。Cu、Ga、Inに代えてあるいはこれらとともに、Ag、Alなどの元素を同様にして供給してもよい。
またこの実施の形態1では、成膜装置としてインライン式の多元同時蒸着成膜装置を用いたが、図6に示したようなロール・トゥ・ロール式の多元同時蒸着成膜装置を用いても同様の効果が得られる。基板4として用いたガラス基板の組成には特に制限はなく、SUS304、SUS430などの金属製基板、ポリイミド、PETなどの樹脂製基板を用いることも可能である。
(実施の形態2)
図4は本発明の実施の形態2における成膜装置の概略構成を示す断面図である。
この実施の形態2の成膜装置が実施の形態1のものと相違するのは、複数の蒸着源の内、Se元素を供給するのはSe蒸着源8bのみであり、基板移動方向に沿ってCu蒸着源5、Ga蒸着源6、In蒸着源7がこの順に配列され、最下流にSe蒸着源8bが配置されている点である。
また、Se蒸着源8bの開口部上の任意の位置(端部ではない)を位置Gとしたときに、第二の仕切板16の下端は、それ自体あるいはその延長線が位置Gにあり、位置D(第二区間内の任意の位置)と位置F(In蒸着源8の開口部上の任意の位置)とを結ぶ線分と必ず交差するように設置されている点である。第一区間14aおよび第二区間14bの長さはそれぞれ、実施の形態1と同様にして、たとえば15cm、20cmと設定される。
上記構成の成膜装置を用いてCIGS膜を形成する成膜方法について説明する。
基板4をそのMo面を下に向けて基板搬送機構12に載せ、左板15aの上方に待機させる。そして成膜チャンバ1内をターボ分子ポンプ11によって真空引きして、1×10−3Pa以下の真空度に保持する。また第二の仕切板16の温度を200℃に調整する。
次に、Cu蒸着源5、Ga蒸着源6、In蒸着源7、Se蒸着源8bをそれぞれ1200℃、1000℃、950℃、200℃に調整して、それぞれの開口部からCu、Ga、In、Seの蒸気を放出させる。Se蒸着源8bからのSe蒸気量は常に過剰量とする。
次に、基板4を一定の速度1cm/分で右板15b側へ移動させる。同時に、基板加熱ヒーター13に電力を供給して、基板4を室温(約25℃)から位置Aで550℃になるように加熱し、位置Bまでの第一区間14aでその温度を維持し、位置Bから位置Cまでの第二区間14bで550℃から350℃以下に低下させる。
このようにすることにより、基板4が左板15aの上方にある時には、いずれの元素も基板4に供給されず、基板4がスリット14の上方を通過する時には、第一区間14aに、Cu蒸着源5、Ga蒸着源6、In蒸着源7、Se蒸着源8bからのCu、Ga、In、Seの蒸気が供給される一方で、第二区間14bには、Cu蒸着源5、Ga蒸着源6、In蒸着源7からの蒸気は第二の仕切板16により遮断されて供給されず、Se蒸着源8bからのSe蒸気のみが供給され、その間に基板4の表面に主に第一区間14aでCIGS膜が堆積される。
その際に、基板4が第一区間14aおよび第二区間14bを通過する間、つまり基板4が550℃〜350℃程度というSe元素の再蒸発が起こる温度にある間、Seは常に過剰に供給されるので、また第二の仕切板16が200℃に調整されることでこれに付着するSe元素の再蒸発が促進されるので、基板4の表面に形成されるCIGS膜からのSe再蒸発は抑えられ、CIGS膜に欠陥は発生しにくい。このようなCIGS膜を太陽電池として機能させると、光照射によって生成した電子と正孔の再結合が起こりにくくなり、太陽電池の特性が向上する。
図5は、上記したようにして基板に供給される各元素の蒸気の供給量分布(a)、基板温度の変化(b)、および、InとGaの蒸気組成比Ga/(In+Ga)の分布(c)を示す。図5(a)において、第一区間ではCu、In、Ga、Seが重なるように分布しているが、第二区間ではSeのみが存在している(第一区間,第二区間を通り抜けた蒸気は広がるため分布は幾分重なっている)。図5(c)において、第一区間の位置A側から位置B側へ向かって蒸気のGa/(In+Ga)組成比が徐々に低下している。
図示を省略するが、上記したようにして形成されたCIGS膜の膜厚方向のGa/(In+Ga)組成比分布は、図3に示したのと同様に、CIGS/Mo界面側から表面側に向かって徐々に低下したものとなる。したがって、このCIGS膜を太陽電池化した場合、光照射によって生成した電子がpn接合面である表面側に流れやすくなり、CIGS膜の膜厚方向のGa/(In+Ga)組成比分布が平坦な場合に比べて太陽電池特性が向上する。
CIGS膜の太陽電池化の具体例を挙げる。CIGS膜上にCBD法でCdS膜を約0.1μm堆積し、その上にスパッタ法でZnO膜を約0.1μm堆積し、その上にスパッタ法でITO透明導電膜を0.2μm堆積し、最後に金電極を堆積し、この積層膜について、太陽電池としての変換効率を測定したところ、15%という高い変換効率が得られた。
なお、この実施の形態2では、Cu蒸着源5、Ga蒸着源6、In蒸着源7をこの順で配置したが、配置順序を変えても同様の効果が得られる。Seに代えてあるいはSeとともに、膜から再蒸発し易いSなどの元素を同様にして供給してもよい。Cu、Ga、Inに代えてあるいはこれらとともに、Ag、Alなどの元素を同様にして供給してもよい。
またこの実施の形態2では、成膜装置としてインライン式の多元同時蒸着成膜装置を用いたが、図6に示したようなロール・トゥ・ロール式の多元同時蒸着成膜装置を用いても同様の効果が得られる。基板4として用いたガラス基板の組成には特に制限はなく、SUS304、SUS430などの金属製基板、ポリイミド、PETなどの樹脂製基板を用いることも可能である。
本発明の成膜装置は、複数種の元素を蒸着させて薄膜を形成する際の一部元素の再蒸発に起因する膜欠陥を抑制できるので、太陽電池に用いるCIGS膜などの形成に有用である。
本発明の実施の形態1における成膜装置の概略構成を示す断面図 図1の成膜装置における蒸気供給量、基板温度、蒸気組成比Ga/(In+Ga)の分布図 図1の成膜装置で形成されるCIGS膜の膜厚方向のGa/(In+Ga)組成比分布図 本発明の実施の形態2における成膜装置の概略構成を示す断面図 図4の成膜装置における蒸気供給量、基板温度、蒸気組成比Ga/(In+Ga)の分布図 従来の成膜装置の概略構成を示す断面図 図6の成膜装置における蒸気供給量、蒸気組成比Ga/(In+Ga)の分布図
符号の説明
1 成膜チャンバ
4 基板
5 Cu蒸着源
6 Ga蒸着源
7 In蒸着源
8a,8b Se蒸着源
12 基板搬送機構
13 基板加熱ヒーター
14 スリット
14a 第一区間
14b 第二区間
15 第一の仕切板
16 第二の仕切板

Claims (11)

  1. 成膜チャンバと、前記成膜チャンバ内で基板を一定方向に移動させる移動手段と、前記基板の移動方向に沿って配列された複数の蒸着源とを備え、前記蒸着源から放出される複数種の元素を前記基板の一面上に供給して薄膜を形成する成膜装置において、
    前記蒸着源と前記基板移動手段との間に配置され、一部にスリットを有する規制部と、
    前記スリット内を基板移動方向に沿って分割する仕切板と、
    前記移動手段により移動する基板を上流側の第一区間上で所定温度に加熱し下流側の第二区間上で徐冷可能な基板加熱ヒーターとを設け、
    前記第一区間に前記複数種の元素を供給し、第二区間に前記複数種の元素の内の最も蒸発しやすい所定元素を供給するように、前記複数の蒸着源を配列した成膜装置。
  2. 第一区間と第二区間とが連続している請求項1記載の成膜装置。
  3. 仕切板は蒸着源側に延び、第一区間に供給する所定元素以外の元素が第二区間に供給されないように第二区間を遮蔽している請求項1記載の成膜装置。
  4. 基板加熱ヒーターは、第一区間上の基板の温度を400℃以上、1000℃以下に調整可能である請求項1記載の成膜装置。
  5. 基板加熱ヒーターは、第二区間上の基板の温度を所定元素の融点温度より高く、基板面からの所定元素の再蒸発が起こり難い温度に調整可能である請求項1記載の成膜装置。
  6. 所定元素の再蒸発が起こり難い温度は、融点温度に150℃を加えた温度以下の温度である請求項5記載の成膜装置。
  7. 仕切板は、その表面に付着した所定元素の再蒸発が起こり易い温度に温度調節可能である請求項1記載の成膜装置。
  8. 仕切板は、所定元素の融点温度から100℃を差し引いた温度以上、1500℃以下に温度調節可能である請求項7記載の成膜装置。
  9. 基板の移動速度をv、第二区間上の基板の温度が基板面に付着した所定元素の再蒸発が起こり難い温度まで低下する時間をt、第二区間の長さをLとしたときに、L≧v×tである請求項1記載の成膜装置。
  10. 所定元素がSeとSの内の少なくとも一種である請求項1記載の成膜装置。
  11. 所定元素以外の元素がCu、Ag、Al、In、Gaの内の少なくとも一種である請求項1記載の成膜装置。
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