以下に、本発明を実施するための最良の形態について、図を用いて説明する。
第1の実施形態は、以下に示される制御方法であることを特徴とする。
図1及び2は第1の実施形態に係る鉛蓄電池の制御方法の一例を示すフローチャートである。電源である鉛蓄電池が未使用の状態から使用されたとき、制御部43(図11参照)は、鉛蓄電池が充放電サイクルを経ることにより生じる当該鉛蓄電池の容量の変化の過程において、当該容量が最大値Dmaxとなるときの第1積算放電電気量である第1設定値D1を演算する(ステップS10;設定値演算ステップ)。ここに、第1積算放電電気量は、第1領域において、鉛蓄電池の放電サイクル毎の放電電気量を積算することによって得られた電気量を意味する。また、第1設定値D1は、例えば、後述される処理によって求められる。
そして、鉛蓄電池において、ステップS11における充電で任意の充電電気量C1m−1が充電され、ステップS12における放電で任意の放電電気量D1m−1(C1m−1>D1m−1)が放電される。ここに、添え字「1m−1」は、第1領域における(m−1)回目を意味する。例えば、放電電気量D1m−1は、第1領域において、充電電気量の制御が行われるm回目の充電が行われる直前の充電サイクルにおける充電電気量を意味する。また、放電電気量D1m−1は、第1領域において、任意のm回目の放電が行われる直前の放電サイクルにおける充電電気量を意味する。
制御部43(図11参照)は、ステップS12の直後の充電サイクルにおける充電電気量が、ステップS12における放電電気量D1m−1(つまり直前の放電サイクルにおける放電電気量)に係数R1を乗じた充電電気量C1mとなるように充電を行う(ステップS13;第1領域制御ステップ)。そして、鉛蓄電池において、任意の放電電気量D1mが放電される(ステップS14)。
そして、第1演算部41(図11参照)は、第1領域における積算充電電気量(以下、第1積算充電電気量という)を演算する(ステップS15;第1演算ステップ)。ここに、第1積算充電電気量は、第1領域において、鉛蓄電池の各充電サイクルにおける充電電気量の積算値を意味する。また、第1演算部41は、第1積算放電電気量を演算する(ステップS16;第1演算ステップ)。例えば、ステップS12及びS14における放電が行われた後の第1積算放電電気量は、ステップS14における放電電気量D1mを、ステップS12における放電電気量D1m−1に加えてなる電気量である。
判定部42(図11参照)は、第1積算放電電気量が、第1設定値D1を超えているか否かを判定する(ステップS17;判定ステップ)。第1積算放電電気量が第1設定値D1に満たない場合(ステップS17のNO)、判定部42は、鉛蓄電池のライフサイクルが現時点において第1領域であることを判定する(ステップS18)。ここに、第1領域は、鉛蓄電池のサイクル使用が開始されてから鉛蓄電池の寿命が到来するまでのライフサイクルにおける一部の領域である。また、後述される第2領域は、第1領域の後の領域であって、鉛蓄電池の寿命が到来するまでの領域である。
その後、以下に示される処理が繰り返し行われる。制御部43は、充電サイクルにおける充電電気量C2nが、直前の放電サイクルにおける放電電気量D2n−1に係数R2を乗じた充電電気量となるように充電を行う(ステップS23;第2領域制御ステップ)。当該充電の直後の放電サイクルにおいて任意の放電電気量D1mが放電されると(ステップS14)、第1演算部41は、それまでの第1積算充電電気量に充電電気量C1mを積算する(ステップS15)。また、第1演算部41は、それまでの第1積算放電電気量に放電電気量D1mを積算する(ステップS16)。そして、判定部42は、得られた第1積算放電電気量が第1設定値D1を超えているか否かを判定する(ステップS17)。
ここに、添え字「2n−1」は、第2領域における(n−1)回目を意味する。例えば、放電電気量D2n−1は、第2領域において、充電電気量の制御が行われるn回目の充電が行われる直前の充電サイクルにおける充電電気量を意味する。また、放電電気量D2n−1は、第2領域において、任意のn回目の放電が行われる直前の放電サイクルにおける充電電気量を意味する。
以上の処理の繰り返しによって、第1積算放電電気量が第1設定値D1を超えたとき(ステップS17のYES)、判定部42は、鉛蓄電池のライフサイクルが現時点において第2領域であると判定する(ステップS19)。
制御部43は、その後の充電サイクルにおける充電電気量C21が、直前の放電サイクルにおける放電電気量D1mに係数R2を乗じた充電電気量となるように充電を行う(ステップS20)。そして、鉛蓄電池において、任意の放電電気量D2n−1が放電される(ステップS21)。
制御部43は、その後の充電サイクルにおける充電電気量C2nが、直前の放電サイクルにおける放電電気量D2n−1に係数R2を乗じた充電電気量となるように充電を行う(ステップS22;第2領域制御ステップ)。ここに、放電電気量D2n−1は、第2領域において、任意のn回目の放電が行われる直前の放電サイクルにおける放電電気量を意味する。
当該充電の直後の放電サイクルにおいて任意の放電電気量D2nが放電されると(ステップS23)、第2演算部44(図11参照)は、第2領域における第2積算充電電気量を演算する(ステップS24;第2演算ステップ)。また、第2演算部44は、第2領域における第2積算放電電気量を演算する(ステップS25;第2演算ステップ)。例えば、ステップS22及びS24における放電が行われた後の第2積算放電電気量は、ステップS24における放電電気量D2nを、ステップS22における放電電気量D2n−1に加えてなる電気量である。
判定部42は、第2積算放電電気量Dが、第2設定値D2を超えているか否かを判定する(ステップS26)。ここに、第2設定値D2は、例えば判定部42に予め設定されており、第2領域において鉛蓄電池の寿命が到来したときの第2積算放電電気量である。
第2積算放電電気量Dが、第2設定値D2を超えるときには(ステップS26のYES)、報知部6(図10参照)が寿命到来通知を行う(ステップS27;報知ステップ)。寿命到来通知は、例えば、報知部6によりLEDを発光させるなどして、ユーザに対して、鉛蓄電池の寿命が到来したことを通知する。
一方、第2積算放電電気量が、第2設定値D2に満たないときには(ステップS26のNO)、以下に示される処理が繰り返し行われる。制御部43は、充電サイクルにおける充電電気量C2nが、直前の放電サイクルにおける放電電気量D2n−1に係数R2を乗じた充電電気量となるように充電を行う(ステップS22)。第2演算部44は、当該充電の直後の放電サイクルにおいて任意の放電電気量D2nが放電されると(ステップS23)、それまでの積算充電電気量に充電電気量C2nを演算する(ステップS24)。また、それまでの第2積算放電電気量に放電電気量D2nを演算する(ステップS25)。そして、判定部42は、得られた第2積算放電電気量が第2設定値D2を超えているか否かを判定する(ステップS26)。以上の処理が、第2積算放電電気量が第2設定値D2を超えると判定されるまで繰り返し行われる。
以上に示されるように、制御部43は、第1領域における第1全体充電電気量C1が、第1領域と第2領域との境となる第1設定値D1に、予め設定された第1の値R1を乗じた電気量となるように、第1領域における充電電気量を制御する。また、制御部43は、第2領域における第2全体充電電気量C2が、第2領域において鉛蓄電池の寿命が到来したときの第2積算放電電気量である第2設定値D2に、予め第1の値R1よりも小さな値に設定された第2の値R2を乗じた電気量となるように、第2領域における前記充電電気量を制御する。
そのため、第2領域における放電電気量の積算値に対する第2領域全体における充電電気量の積算値の割合は、第1領域全体における放電電気量の積算値に対する第1領域全体における充電電気量の積算値の割合よりも小さくなる。従って、放電サイクル毎の平均的な放電電気量に対する充電サイクル毎の平均的な充電電気量の比率が大きいことが好ましい第1領域とは異なり、第2領域では、放電サイクル毎の平均的な放電電気量に対する充電サイクル毎の平均的な充電電気量の比率が、第1領域における比率よりも小さくなる。これにより、第2領域において、過充電により充放電可能な電気量が減少することを低減することができる。
図3及び4は第1の実施形態の制御方法の他の例を示すフローチャートである。電源である鉛蓄電池が未使用の状態から使用が開始されたとき、第1設定値D1の演算が行われる(ステップS100)。そして、鉛蓄電池において、ステップS101における充電で任意の充電電気量C1m−1の充電、ステップS102における任意の放電電気量D1m−1(但しC1m−1>D1m−1)の放電、及び、ステップS103における任意の充電電気量C1mの充電が行われる。
そして、第1誤差演算部45(図11参照)が、充電電気量C1mから、直前の放電サイクルにおける放電電気量D1m−1に予め設定された係数R1を乗じた電気量(第1基準放電電気量)を減じて得られる誤差を演算する(ステップS104;第1誤差演算ステップ)。演算された誤差を第1誤差積算値演算部46(図11参照)が順次積算して第1誤差積算値を演算する(ステップS105;第1誤差積算値演算ステップ)。第1誤差積算値が演算された後、第1百分率演算部47(図11参照)は、鉛蓄電池の公称容量に対する第1誤差積算値の割合の一例である第1百分率PER1を演算する(ステップS106;第1割合演算ステップ)。
そして、ステップS107における任意の放電電気量D1mの放電が行われる。その後、第1演算部41は、第1積算充電電気量を演算する(ステップS108;第1演算ステップ)。また、第1演算部41は、第1積算放電電気量を演算する(ステップS109;第1演算ステップ)。例えば、ステップS102及びS107における放電が行われた後の第1積算放電電気量は、ステップS107における放電電気量D1mを、ステップS102における放電電気量D1m−1に加えてなる積算放電電気量である。
判定部42は、第1百分率PER1が、予め設定された閾値(第1閾値)αを超えているか否かを判定する(ステップS110)。第1百分率が閾値αに満たない場合には(ステップS110のNO)、第1百分率が閾値αを超えていると判定されるまで、ステップS103〜S109の処理が繰り返し行われる。
一方、第1百分率PER1が閾値αを超えていると判定された場合には(ステップS110のYES)、制御部43は、そのときの第1誤差積算値に、最初の放電における放電電気量D1m−1に予め設定された係数R1を乗じた電気量を加算して得られる充電電気量を充電する(ステップS111)。
その後、判定部42は、それまでの第1積算放電電気量が第1設定値D1を超えているか否かを判定する(ステップS112;判定ステップ)。第1積算放電電気量が、第1設定値D1に満たない場合(ステップS112のNO)、判定部42は、鉛蓄電池のライフサイクルが現時点において第1領域であることを判定する(ステップS113)。その後、第1積算放電電気量が第1設定値D1を超えていると判定されるまで、ステップS103〜111の処理が繰り返し行われる。
一方、第1積算放電電気量Dが、第1設定値D1を超えていると判定されたときには(ステップS111のYES)、判定部42は、鉛蓄電池のライフサイクルが現時点において第2領域であると判定する(ステップS114)。
その後、ステップS115における任意の充電電気量C2n−1の充電、ステップS116における任意の放電電気量D2n−1の放電、及び、ステップS117における任意の充電電気量C2nの充電が行われる。
そして、第2誤差演算部48(図11参照)が、充電電気量C2nから、直前の放電サイクルにおける放電電気量D2n−1に予め係数R1よりも小さな値に設定された係数R2を乗じた電気量(第2基準放電電気量)を減じて得られる誤差を演算する(ステップS118;第2誤差演算ステップ)。演算された誤差を第2誤差積算値演算部49(図11参照)が順次積算して第2誤差積算値を演算する(ステップS119;第1誤差積算値演算ステップ)。第2誤差積算値が演算された後、第2百分率演算部50(図11参照)は、鉛蓄電池の公称容量に対する第2誤差積算値の割合の一例である第2百分率PER2を演算する(ステップS120;第2割合演算ステップ)。
そして、ステップS121における任意の放電電気量D21の放電が行われる。その後、第2演算部44は、第2積算充電電気量を演算する(ステップS122;第2演算ステップ)。また、第2演算部44は、第2積算放電電気量を演算する(ステップS123;第2演算ステップ)。以上に示される処理が、ステップS124において、第2百分率PER2が予め設定された閾値(第2閾値)βを超えていると判定されるまで繰り返し行われる。
ステップS123において、第2百分率PER2が予め設定された閾値βを超えていると判定されたときには、制御部43は、そのときの第2誤差積算値に、最初の放電における放電電気量D2n−1に予め設定された係数R2を乗じた電気量を加算して得られる充電電気量を充電する。(ステップS125)。
その後、判定部42は、それまでの第2積算放電電気量が第2設定値D2を超えているか否かを判定する(ステップS126)。第2積算放電電気量が、第2設定値D2を超えていると判定された場合には(ステップS126のYES)、報知部6が寿命到来通知を行う(ステップS127)。一方、第2積算放電電気量が、第2設定値D2に満たないと判定された場合には(ステップS126のNO)、第2積算放電電気量が第2設定値D2を超えていると判定されるまで、ステップS117〜S125の処理が繰り返し行われる。
ここに、第2領域における活物質の活性度は、第1領域における活物質の活性度よりも低いので、過充電が生じることを防止する観点からは、第2誤差積算値は、第1誤差積算値とは異なり小さいほうが望ましい。そのため、閾値βは、閾値αよりも小さな値とされることが好ましい。
以上に説明されたように、図1及び2のフローチャートに示される処理では、第1領域では、充電の都度、その直前の放電サイクルにおける放電電気量に係数R1を乗じた値の充電電気量が充電されるようになっている。一方、第2領域では、充電の都度、その直前の放電サイクルにおける放電電気量に係数R1よりも小さな値の係数R2を乗じた値の充電電気量が充電されるようになっている。
従って、図1及び2のフローチャートに示される処理では、放電サイクル毎の放電電気量に対する充電サイクル毎の充電電気量の比率が大きいことが好ましい第1領域とは異なり、第2領域では、放電サイクル毎の放電電気量に対する充電サイクル毎の充電電気量の比率が、第1領域における比率よりも小さくなる。これにより、第2領域において、過充電により充放電可能な電気量が減少することを低減することができる。
また、図3及び4のフローチャートに示される処理では、第1領域では、鉛蓄電池の公称容量に対する第1誤差積算値の割合の一例である第1百分率が閾値αを超えるごとに、そのときの第1誤差積算値が充電電気量となるように充電される。一方、第2領域では、鉛蓄電池の公称容量に対する第2誤差積算値の割合の一例である第2百分率が閾値βを超えるごとに、そのときの第2誤差積算値が充電電気量となるように充電される。
したがって、図3及び4のフローチャートに示される処理は、充電サイクル毎に充電電気量が制御される図1及び2のフローチャートに示される処理とは異なり、充電サイクルが何回か実行される毎に充電電気量が制御されるので、ユーザの使い勝手が向上するという利点がある。
図1及び2のフローチャートに沿った制御方法は、第1領域において、各充電サイクルにおける充電電気量が当該充電サイクルの直前の放電サイクルにおける放電電気量に適切な係数R1を乗じた電気量となるように管理できる。また、図1及び2のフローチャートに沿った制御方法は、第2領域において、各充電サイクルにおける充電電気量が当該充電サイクルの直前の放電サイクルにおける放電電気量に適切な係数R2を乗じた電気量となるように管理できる。従って、鉛蓄電池の充放電可能な電気量の低下を防ぐ手段として好ましい。
しかしながら鉛蓄電池を電源とする電動車両において、例えば昼間は運転者の休憩時間に短い充電(数十分程度)を繰り返しつつ夜間に長い充電(数時間程度)を行う場合を想定すると、図1及び2のフローチャートを満たすような充電(すなわち前回の放電電気量D1m−1に係数R1を乗じた充電電気量C1mとなるような充電)を毎回行うのは困難である。この場合、図3及び4のように第1全体充電電気量C1が第1設定値D1に係数R1を乗じた値となるように管理し、かつ第2全体充電電気量C2が第2設定値D2に係数R2を乗じた値となるように管理することで、充電のつど、当該充電の直前の放電サイクルにおける放電電気量に係数を乗じて得た充電電気量で充電を行う図1及び2のフローチャートに沿った制御方法には及ばないものの、第1の実施形態の効果は得られる。
図1〜図4のフローチャートに示される処理に用いられる第1設定値D1は、例えば、以下に示される処理により演算される。
記憶部40(図11参照)には、図5に示されるような、充放電サイクル数と鉛蓄電池の容量との相関を表すデータが記憶されている。図5は、充放電サイクル数と鉛蓄電池の容量との相関の一例を示した図である。
この相関例は、公称容量50Ahの鉛蓄電池において、表面温度が25度及び45度のそれぞれの条件下で、1回の充放電サイクルごとに、20Aの放電電流、及び、48Ahの放電電気量の放電と、その後の5段定電流充電と、を行うことによって得られたものである。
ここに、5段定電流充電について説明する。図6は、DOD(放電深度;定格容量に対する放電量の比)が80%である状態からの5段定電流充電制御の一例を示した図である。尚、図中、“CA”は、CAは時間率の逆数である。
図6に示されるように、充電が第1充電電流(1)で開始されてから、電池電圧が切替電圧V(V=14.4+0.03(25−T);Tは電池の表面温度)に達する毎に、充電電流が、第2充電電流(2)、第3充電電流(3)、第4充電電流(4)へと順次小さくなってゆく。
ここに、電池電圧が切替電圧Vを超えると、充電反応より、電解液の分解、正極格子の腐食反応などといった副反応のほうが促進される。従って、先述されたように、電池電圧が切替電圧Vに達する毎に充電電流を段階的に小さくしている。
そして、第4充電電流(4)で充電が行われてから、電池電圧が切替電圧Vに達すると、充電電流が、第4充電電流(4)から第5充電電流(5)に切り換わる。尚、図6の例では、第5充電電流(5)は第4充電電流(4)と同じ電流値である。
充電電流が第5充電電流(5)に切り替わった以降の充電は、電池電圧の制限がない状態で行われる。つまり、図示するように、電池電圧が切替電圧Vを上回っても、第5充電電流(4)で予め定められた時間(例えば2.5時間)充電が行われる。その後、充電が終了する。
第5充電電流(5)による充電は、電池を満充電状態とするための充電である。従って、充電電気量が放電電気量に対して107〜115%の間である状態にすることが好ましい。そのため、第5充電電流(5)による充電は、電池電圧が切替電圧Vを上回っても継続される。
図5に示される相関例から明らかなように、鉛蓄電池の表面温度が25度の場合には、充放電サイクル数が150のときに、ピーク値であるおよそ58Ahの鉛蓄電池の容量が得られる。従って、ピーク値であるおよそ58Ahの鉛蓄電池の容量が得られる放電サイクルが含まれる150回目の充放電サイクルが、鉛蓄電池の容量が最大容量CAmaxとなる充放電サイクルであることが判る。
従って、マイクロコンピュータ4は、鉛蓄電池の表面温度が25度の場合には、充放電サイクルの回数(150)に、1回の充放電サイクルにおける放電電気量(48Ah)を乗じて得た放電電気量(7200Ah)を、第1設定値D1とする。
また、鉛蓄電池の表面温度が45度の場合には、充放電サイクル数が50のときに、ピーク値であるおよそ54Ahの鉛蓄電池の容量が得られる。従って、マイクロコンピュータ4は、鉛蓄電池の表面温度が45度の場合には、充放電サイクルの回数(50)に、1回の充放電サイクルにおける放電電気量(つまり48Ah)を乗じて得た値(2400Ah)を、第1設定値D1とする。
第2の実施形態は、第1の実施形態において、係数R1を1〜1.5の範囲内の値とし、係数R2を0.9〜1.25の範囲内の値とし、かつ係数R1と係数R2との比R1/R2が1<R1/R2≦1.66としたことを特徴とする。
図7は制御弁式の鉛蓄電池の充電効率を示す図であり、図7Aは第1領域における充電効率を、図7Bは第2領域における充電効率を示す。
図7Aから明らかなように、第1領域では、鉛蓄電池の容量に対する実際の充電電気量の比(横軸)が80%を超えると、鉛蓄電池の容量に対する実際の放電電気量の比(縦軸)とのズレが発生して充電効率(実際の充電電気量に対する実際の放電電気量の比)は徐々に低下するため、鉛蓄電池の容量に対する実際の放電電気量の比(縦軸)を十分大きくするためには、鉛蓄電池の容量に対する実際の充電電気量の比(横軸)が100%以上である必要がある。
鉛蓄電池において様々なSOCから充電を開始したとき、鉛蓄電池の容量に対する実際の充電電気量の比(横軸)を100%以上とするためには、各充電サイクルにおける充電電気量を、各充電サイクルの直前の放電サイクルにおける放電電気量(鉛蓄電池の容量)よりも大きくする必要がある。そのため、各放電電気量に乗じるべき値R1が1以上とされている。
一方で、鉛蓄電池の容量に対する実際の充電電気量の比(横軸)が110%を超えると、真の過充電が始まる。その際、充電電気量はほぼ放電電気量に反映されなくなるだけでなく、真の過充電を繰返すことで正極の格子の腐食が加速して充放電可能な電気量が顕著に減少する。さらに、鉛蓄電池の容量に対する実際の充電電気量の比(横軸)が150%を超えると、真の過充電が生じるだけでなく、鉛蓄電池の寿命が急激に短くなる。
本発明者らが様々なSOCから充電を行って実験した結果、R1の値が1.5以下であれば、鉛蓄電池の寿命が急激に短くなることが抑制できることが判った。そのため、様々なSOCから充電を開始したときに、鉛蓄電池の寿命が急激に短くなることを抑制するため、R1の値を1.5以下でとすることが好ましい。
一方、鉛蓄電池の容量に対する放電電気量の比を90%とする際に生じる余分な充電電気量(すなわち過充電電気量)は、図7Aにおける矢印Aで示される横軸の範囲と、図7Bに示される横軸の範囲との比較から明らかなように、第1領域と比べて第2領域の方が大きい。
本発明者らが、第2領域において、R2の値を様々な値としながら実験した結果、余分な充電電気量(図7Bの矢印で示される横軸の範囲)が最低限の電気量となることが判った。そのため、第2領域では、余分な充電電気量を最低限の電気量とするため、R2の範囲を0.9〜1.25とすることが望ましい。
さらに、本発明者らが、R1の値を1〜1.5の範囲内で変えながら、且つ、R2の値を0.9〜1.25の範囲内で変えながら実験を行った結果、R1の値とR2の値との間の比率R1/R2が1<R1/R2≦1.66であれば、第2領域全体における放電電気量の積算値に対して第2領域全体における充電電気量の積算値が占める割合が、第1領域全体における放電電気量の積算値に対して第1領域全体における充電電気量の積算値が占める割合よりも小さくすることができることが判った。そのため、R1の値とR2の値との間の比率R1/R2が、1<R1/R2≦1.66であることが好ましい。
第3の実施形態は、第2の実施形態において、第1領域において充放電サイクルを予め設定された回数P1繰り返す毎に、その直後の充電サイクルにおける充電電気量を、当該直後の充電サイクル実行後の第1積算充電電気量をそのときの第1積算放電電気量で除して得られる値RP1が1〜1.5の範囲内の値となるような充電電気量とすることを特徴とする。
また第4の実施形態は、第2の実施形態において、第2領域において充放電サイクルを予め設定された回数P2繰り返す毎に、その直後の充電サイクルにおける充電電気量を、当該直後の充電サイクル実行後の第2積算充電電気量をそのときの第2積算放電電気量で除して得られる値RP2が、1〜1.5の範囲内の値となるような充電電気量とすることを特徴とする。
図8及び9は第3および第4の実施形態の制御方法の一例を示すフローチャートである。
電源である鉛蓄電池が未使用の状態から使用が開始されたとき、第1設定値D1の演算が行われる(ステップS200)。そして、鉛蓄電池において、ステップS201における充電で任意の充電電気量C1m−1の充電、ステップS202における任意の放電電気量D1m−1(但しC1m−1>D1m−1)の放電、及び、ステップS203における任意の充電電気量C1mの充電が行われる。
そして、第1誤差演算部45(図11参照)が、充電電気量C1mから、直前の放電サイクルにおける放電電気量D1m−1に予め設定された係数Rp1を乗じた電気量(第1基準放電電気量)を減じて得られる誤差を演算する(ステップS204;第1誤差演算ステップ)。演算された誤差を第1誤差積算値演算部46(図11参照)が順次積算して第1誤差積算値を演算する(ステップS205;第1誤差積算値演算ステップ)。
そして、ステップS206における任意の放電電気量D1mの放電が行われる。その後、第1演算部41は、第1積算充電電気量を演算する(ステップS207;第1演算ステップ)。また、第1演算部41は、第1積算放電電気量を演算する(ステップS208;第1演算ステップ)。例えば、ステップS202及びS206における放電が行われた後の第1積算放電電気量は、ステップS206における放電電気量D1mを、ステップS202における放電電気量D1m−1に加えてなる積算放電電気量Dである。
制御部43は、これまでの充放電回数が予め設定された回数P1(例えば2〜20回の範囲内の回数)を超えているか否かを判定する(ステップS209)。充放電回数が回数P1に満たない場合には(ステップS209のNO)、充放電回数が回数P1を超えていると判定されるまで、ステップS203〜S208の処理が繰り返し行われる。
ここに、制御部43は、充電サイクル及びその直後の放電サイクルからなる充放電サイクルの数をカウントしており、ステップS209及びS211の処理が行われる毎に、それまでにカウントした充放電サイクルの数をリセットし、充放電サイクルの数をあらためてカウントする(カウントステップ)。
一方、充放電回数が回数P1を超えていると判定された場合には(ステップS209のYES)、制御部43は、そのときの第1誤差積算値に、最初の放電における放電電気量D1m−1に予め設定された係数R1を乗じた電気量を加算して得られる充電電気量を充電する。(ステップS210)。
その後、判定部42は、それまでの第1積算放電電気量が第1設定値D1を超えているか否かを判定する(ステップS211;判定ステップ)。第1積算放電電気量が第1設定値D1に満たない場合(ステップS211のNO)、判定部42は、鉛蓄電池のライフサイクルが現時点において第1領域であることを判定する(ステップS212)。そして、制御部43はカウントした充放電回数をリセットする。以上の処理が、第1積算放電電気量が第1設定値D1を超えていると判定されるまで繰り返し行われる。
一方、第1積算放電電気量Dが第1設定値D1を超えていると判定されたときには(ステップS211のYES)、判定部42は、鉛蓄電池のライフサイクルが現時点において第2領域であると判定する(ステップS213)。
その後、ステップS214における任意の充電電気量C2n−1の充電、ステップS215における任意の放電電気量D2n−1の放電、及び、ステップ216における任意の充電電気量C2nの充電が行われる。
そして、第2誤差演算部48(図11参照)が、充電電気量C2nから、直前の放電サイクルにおける放電電気量D2n−1に予め係数Rp1よりも小さな値に設定された係数Rp2を乗じた電気量(第2基準放電電気量)を減じて得られる誤差を演算する(ステップS217;第2誤差演算ステップ)。演算された誤差を第2誤差積算値演算部49(図11参照)が順次積算して第2誤差積算値を演算する(ステップS218;第2誤差積算値演算ステップ)。
そして、ステップS219における任意の放電電気量D1nの放電が行われる。その後、第2演算部44は、第2積算充電電気量を演算する(ステップS220;第2演算ステップ)。また、演算部41は、第2積算放電電気量を演算する(ステップS221;第2演算ステップ)。以上に示される処理が、ステップS222において、それまでの充放電回数を表す値が予め設定された回数P2(例えば2〜20回の範囲内の回数)を超えていると判定されるまで繰り返し行われる。
ここに、制御部43は、充電サイクル及びその直後の放電サイクルからなる充放電サイクルの数をカウントしており、ステップS222及びS224の処理が行われる毎に、それまでにカウントした充放電サイクルの数をリセットし、充放電サイクルの数をあらためてカウントする(カウントステップ)。
ステップS22において、それまでの充放電回数を表す値が予め設定された回数P2を超えていると判定されたときには、制御部43は、そのときの第2誤差積算値に、最初の放電における放電電気量D2n−1に予め設定された係数R2を乗じた電気量を加算して得られる充電電気量を充電する(ステップS223)。
その後、判定部42は、それまでの第2積算放電電気量が第2設定値D2を超えているか否かを判定する(ステップS224)。第2積算放電電気量が、第2設定値D2を超えていると判定された場合には(ステップS224のYES)、報知部6が寿命到来通知を行う(ステップS225)。一方、第2積算放電電気量が、第2設定値D2に満たないと判定された場合には(ステップS224のNO)、第2積算放電電気量が第2設定値D2を超えていると判定されるまで、ステップS216〜S223の処理が繰り返し行われる。
図1及び2のフローチャートに沿うことで、全ての充電を鉛蓄電池のパフォーマンス(例えば、鉛蓄電池の充電受け入れ性)に合わせられるため充放電可能な電気量の低下を最小にできるが、全ての充電を厳密に図1及び2のフローチャートに沿わせることは、鉛蓄電池を電源とする電源システムの実際の使用形態(例えば電動車両の駆動源)と符合し難い。一方、鉛蓄電池の電気量の低下をなるべく抑えるには、鉛蓄電池を電源とする電源システムの実際の使用形態と単に符合させた図3及び4のフローチャートをさらに改善する必要がある。
そこで、図8及び9のフローチャートでは、制御部43は、第1領域において充放電サイクルを予め設定された回数P1繰り返す毎に、その直後の充電サイクル実行後の第1積算充電電気量が、そのときの第1積算放電電気量に1〜1.5の範囲内の値に設定された係数RP1を乗じた充電電気量となるように充電している。
一方、制御部43は、第2領域において充放電サイクルを予め設定された回数P2繰り返す毎に、その直後の充電サイクル実行後の第2積算充電電気量が、そのときの第2積算放電電気量に0.9〜1.25の範囲内の値に設定された係数RP2を乗じた充電電気量となるように充電している。そのため、よりユーザの鉛蓄電池の使用態様に即した頻度で、充電電気量が制御される。
また、係数Rp1及び係数Rp2は、係数Rp1と係数Rp2との比Rp1/Rp2が1<Rp1/Rp2≦1.66となるように設定されている。
尚、係数RP1が1〜1.5の範囲内の値に設定されており、係数RP2が0.9〜1.25の範囲内の値に設定されており、さらに、係数Rp1と係数Rp2との比Rp1/Rp2が1<Rp1/Rp2≦1.66となるように設定されている理由は、係数R1の値及び係数R2の値を設定する場合と同じである。
ここで積算値を計算する充放電の回数が2回未満の場合、鉛蓄電池を電源とする電源システムの実際の使用形態に符合させようとしたときに使用者の使い勝手が低下する(例えば充電が終了するまで電動車両を動かすことができない、など)。また積算値を計算する充放電の回数が20回を超える場合、実質的に図3及び4のフローチャートを用いた場合と同様、鉛蓄電池の電気量の低下がやや顕著化する。
第5の実施形態は、第1の実施形態において、最大値Dmaxと第1設定値D1との比DS1/Dmaxが20〜200の範囲内であることを特徴とする。一般的な鉛蓄電池は、電解液の組成などの構成条件にもよるがこのD1/Dmaxが20〜200の範囲内となることが知られている。さらに鉛蓄電池を満充放電しなくても、第1積算放電電気量が第1設定値D1に達したときに鉛蓄電池の容量が最大値Dmaxとなることが知られている。これらを把握すれば、鉛蓄電池に用いた二酸化鉛の質量を把握することで、第1設定値D1を概ね見積もることができるようになる。
ここで、鉛蓄電池に用いた二酸化鉛の質量は、鉛蓄電池を分解して定量分析を行うことにより把握することができる。
第6の実施形態は、第1の実施形態において、鉛蓄電池の構成を制御弁式としたことを特徴とする。鉛蓄電池は充放電に伴って、電解液中の硫酸イオン(SO4 2-)を活物質に取り込んだり離脱させたりする。制御弁式の鉛蓄電池は内燃式自動車のセルスタータ用途のような液式のものに比べて電解液を減量しているため、上述した充放電反応に及ぼす電解液の影響が小さくなって第1領域と第2領域との区分が明確になるので、本実施形態の制御方法を用いることの効果が大きくなる。
つまり、制御弁式の鉛蓄電池は、その動作原理上、正極より発生した酸素ガスを負極で吸収させる構成とされている。そして、電解液の量が過剰であると、電解液が、正極から負極へのガス拡散経路を閉塞するので、酸素ガスの負極における吸収が阻害される。従って、制御弁式の鉛蓄電池では、液式の鉛蓄電池と比較して、電解液の量が少なく制限されている。そのため、鉛蓄電池の容量が、電解液の量ではなく、正極の活物質の活性度に応じて変動しやすくなる。従って、活性化している正極の活物質が失活化し始める第1設定値D1を境とする第1領域と第2領域との区分が明確となり、本実施形態の制御方法を用いることの効果が大きくなる。
第7の実施形態は、以下に示される実施形態である。
図10は第7の実施形態の電源システムの一例を示すブロック図である。図11はマイクロコンピュータ4の機能モジュールの一例を示すブロック図である。鉛蓄電池1は、これを充電するための充電器2およびこれを放電させる負荷3と、電気的に接続されている。一方で鉛蓄電池1はマイクロコンピュータ4とも接続されている。マイクロコンピュータ4は報知部6に接続されている。報知部6は、音声メッセージや表示などにより、鉛蓄電池の寿命が到来したことをユーザに報知する。
ここに、報知部6は、マイクロコンピュータ4に直接接続されていてもよいが、報知部6とマイクロコンピュータ4とをBluetooth(登録商標)等の無線ネットワーク、光通信を含む有線ネットワーク、或いは、電話回線などの、既存の情報ネットワークを介して接続してもよい。
こうすれば、マイクロコンピュータ4が発する鉛蓄電池の状態に関する情報(例えば、鉛蓄電池の寿命が到来したことを示す情報)を、鉛蓄電池1やマイクロコンピュータ4から遠隔地の報知部6に送出して報知することが可能である。
また、このような情報ネットワークを用いる場合、鉛蓄電池1と、その状態をユーザに報知する報知部6の数は、必ずしも一致している必要はなく、例えば、1つの鉛蓄電池1に、複数の報知部6を対応させて、それぞれの報知部6に鉛蓄電池1の状態に関する情報を報知させることができる。この場合、複数の報知部6を、例えば、鉛蓄電池1の保守点検作業者が駐在する複数のサービスステーションにそれぞれ設置しておけば、或る鉛蓄電池1の保守点検が必要となった際に、対応可能なサービスステーションから保守点検作業者を、その鉛蓄電池1の保守点検に派遣することができる。
また、このような形態では、報知部6を、例えば、携帯電話端末もしくはPHS端末で構成し、これらの端末を保守点検作業者に携帯させておき、これらの端末に、鉛蓄電池の状態を示す情報、及び、鉛蓄電池の位置情報(以下、鉛蓄電池1に関する情報という)を送出して報知させるようにしてもよい。
また、全ての携帯型の報知部6に鉛蓄電池1に関する情報を送出するのではなく、GPS信号を用いて計測される報知部6の位置情報と、保守点検作業者の作業空き時間とを勘案して、保守点検を要する鉛蓄電池1の近隣に位置し、且つ、作業空き時間を有した保守点検作業者によって携帯される報知部6のみに、鉛蓄電池1に関する情報を送出して報知させてもよい。さらに、1つの報知部6に、複数の鉛蓄電池1に関する情報を送出して報知させる構成としてもよい。その構成としては、上記の例示が適用可能である。
以上の構成によれば、鉛蓄電池1に対して何らかの対処、すなわち、交換や点検作業が必要な場合には、報知部6によって鉛蓄電池1の状態が報知されるので、これらの各対処に十分な対応能力を有する保守点検作業者によってより迅速な対応が可能となり、好ましいものとなる。
マイクロコンピュータ4は、図11に示されるように、少なくとも記憶部40、第1演算部41、判定部42、制御部43、第2演算部44、第1誤差演算部45、第1誤差積算値演算部46、第1百分率演算部(第1割合演算部)47、第2誤差演算部48、第2誤差積算値演算部49、及び第2百分率演算部(第2割合演算部)50から構成されている。
記憶部40は、このマイクロコンピュータ4が動作するための各種プログラムを記憶する他、先述された第1及び第2設定値D1及びD2を記憶している。また、記憶部40は、先述された係数R1、R2、Rp1、Rp2を記憶している。さらに、記憶部40は、先述された閾値α、β、回数P1、及び回数P2を記憶している。
第1演算部41は、鉛蓄電池のサイクル使用が開始されてからの充電サイクル毎の充電電気量を積算して第1積算充電電気量を演算するとともに、鉛蓄電池のサイクル使用が開始されてからの放電サイクル毎の放電電気量を積算して第1積算放電電気量を演算する。
判定部42は、第1演算部41が求めた第1積算放電電気量を記憶部40と照合して、鉛蓄電池のライフサイクルが現時点において第1領域及び第2領域のいずれかを判定する。また、判定部42は、演算された第1百分率(第1割合)が予め設定された閾値αを超えているか否かを判定する。さらに、判定部42は、演算された第2百分率(第2割合)が予め設定された閾値βを超えているか否かを判定する。
制御部43は、先述された様々な制御処理を行う。第2演算部44は、判定部42によって第2領域であると判断された後、第2領域における充電サイクル毎の充電電気量を積算して第2積算充電電気量を演算するとともに、第2領域における放電サイクル毎の放電電気量を積算して第2積算放電電気量を演算する。
第1誤差演算部45は、第1領域において充電サイクルが実行される毎に、当該充電サイクルが実行されたときの充電電気量から、当該充電サイクルの直前の放電サイクルにおける放電電気量に予め定められた係数R1を乗じた第1基準放電電気量を減じて得られる誤差を演算する。
第1誤差積算値演算部46は、誤差が演算される毎に誤差を積算して、第1領域における誤差の積算値である第1誤差積算値を演算する。第1百分率演算部47は、鉛蓄電池の公称容量に対する第1誤差積算値の百分率(第1割合)である第1百分率を演算する。
第2誤差演算部48は、第2領域において充電サイクルが実行される毎に、当該充電サイクルが実行されたときの充電電気量から、当該充電サイクルの直前の放電サイクルにおける放電電気量に予め定められた係数R2を乗じた第2基準放電電気量を減じて得られる誤差を演算する。
第2誤差積算値演算部49は、誤差が演算される毎に誤差を積算して、第2領域における誤差の積算値である第2誤差積算値を演算する。
第2百分率演算部50は、鉛蓄電池の公称容量に対する第2誤差積算値の百分率(第2)割合)である第2百分率を演算する。
さらに制御部43は、充電器2と直列に接続されたスイッチ5の開閉の開閉を司る。制御部43によるスイッチ5の制御について、図3及び4のフローチャートを用いて具体的に説明する。未使用の鉛蓄電池1において充放電サイクルが開始されると、第1百分率PER1が閾値αを超えるまでの間、ステップ103〜ステップ109の処理が繰り返し行われるが、第1百分率PER1が閾値αを超えた後のステップS111の充電において、制御部43は、スイッチ5を無作為に閉じて充電器2からの充電を終えるのでなく、充電電気量が、第1百分率PER1が閾値αを超えたときの第1誤差積算値にその直前の放電サイクルにおける放電電気量D1m−1に予め設定された係数R1を乗じた電気量を加算して得られる充電電気量となったときにスイッチ5を閉じて、ステップS111における充電器2からの充電を終了させる。このような充電を繰返すことで、第1全体充電電気量が、第1全体放電電気量に予め設定された係数R1を乗じた電気量となるように制御することができる。
そして、ステップS112において、第1積算放電電気量が第1設定値D1を超えていると判断されたときには、判定部42によって第2領域が開始した(第1領域が終了した)と判定される。
第2領域では、充放電が、第2百分率PER2が閾値βを超えるまでの間繰り返し行われるが、第2百分率PER2が閾値βを超えた後のステップS125における充電において、制御部43は、スイッチ5を無作為に閉じて充電器2からの充電を終えるのでなく、充電電気量が、第2百分率PER2が閾値βを超えたときの第2誤差積算値にその直前の放電サイクルにおける放電電気量D2n−1に予め設定された係数R2を乗じた電気量を加算して得られる充電電気量となったときにスイッチ5を閉じて、充電器2からの充電を終了させる。このような充電を繰返すことで、第2全体充電電気量が、第2全体放電電気量に予め設定された係数R2を乗じた電気量となるように制御することができる。
そして、最後の放電であるステップS121を終えて、第2全体放電電気量が第2設定値D2を超えていると判断されたときには、判定部42によって第2領域が終了した(鉛蓄電池が使用限度に達した)と判定される。なお第7の実施形態の効果は、第1の実施形態の効果と同様である。
第8の実施形態は、第7の実施形態において、係数R1が1〜1.5の範囲内の値、係数R2が0.9〜1.25の範囲内の値、係数R1と係数R2との比R1/R2が1<R1/R2≦1.66であることを記憶部40に記憶させたことを特徴とする。第8の実施形態の効果は、第2の実施形態の効果と同様である。
第9の実施形態は、第7の実施形態において、最大値Dmaxと第1設定値D1との比D1/Dmaxが20〜200の範囲内の値であることを特徴とする。第9の実施形態の効果は、第5の実施形態の効果と同様である。
第10の実施形態は、第7の実施形態において、鉛蓄電池1の構成を制御弁式としたことを特徴とする。第10の実施形態の効果は、第6の実施形態の効果と同様である。
第11の実施形態は、以下に示される実施形態である。
第11の実施形態の電源システムの構成は、図10及び図11のブロック図と同様である。以下、第7の実施形態の電源システムと動作が異なるスイッチ5の開閉を中心に、図8及び9のフローチャートを用いて詳述する。
第11の実施形態では、第1領域において、充放電回数が所定の2〜20回の範囲内の回数P1に達したときに(ステップS209のYES)、ステップ210における充電が行われる。制御部43は、この充電において、スイッチ5を無作為に閉じて充電器2からの充電を終えるのでなく、充電電気量が、充放電回数が回数P1に達したときの第1誤差積算値にその直前の放電サイクルにおける放電電気量D1m−1に予め設定された係数R1を乗じた電気量を加算して得られる充電電気量となったときにスイッチ5を閉じて、ステップS210における充電器2からの充電を終了させる。このような充電を行うことで、第1百分率PER1が閾値αを超えてから充電電気量の制御を行う第7の実施形態よりも高い頻度で、第1領域における充電電気量を制御することができる。
また、第2領域において、充放電回数が所定の2〜20回の範囲内の回数P2に達したときに(ステップS222のYES)、ステップ223における充電が行われる。制御部43は、この充電において、スイッチ5を無作為に閉じて充電器2からの充電を終えるのでなく、充電電気量が、充放電回数が所定の2〜20回の範囲内の回数P2に達したときの第2誤差積算値にその直前の放電サイクルにおける放電電気量D2n−1に予め設定された係数R2を乗じた電気量を加算して得られる充電電気量となったときにスイッチ5を閉じて、ステップS223における充電器2からの充電を終了させる。このような充電を行うことで、第2百分率PER2が閾値βを超えてから充電電気量の制御を行う第7の実施形態よりも高い頻度で、第2領域における充電電気量を制御することができる。
なお第11の実施形態の効果は、第1、3および4の実施形態を合わせたものと同様である。
第12の実施形態は、第11の実施形態において、係数Rp1が1〜1.5の範囲内の値、係数Rp2が0.9〜1.25の範囲内の値、係数Rp1と係数Rp2との比Rp1/Rp2が1<Rp1/Rp2≦1.66であることを記憶部40に記憶させたことを特徴とする。第12の実施形態の効果は、第1〜4の実施形態を合わせたものと同様である。
第13の実施形態は、第11の実施形態において、最大値Dmaxと第1設定値D1との比D1/Dmaxが20〜200の範囲内の値であることを特徴とする。第13の実施形態の効果は、第1、3、4および5の実施形態を合わせたものと同様である。
第14の実施形態は、第11の実施形態において、鉛蓄電池1の構成を制御弁式としたことを特徴とする。第14の実施形態の効果は、第1、3、4および6の実施形態を合わせたものと同様である。
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
本発明の一局面に従う鉛蓄電池の制御方法は、鉛蓄電池のサイクル使用が開始されてからの充電サイクル毎の充電電気量を積算して第1積算充電電気量を演算するとともに、前記鉛蓄電池のサイクル使用が開始されてからの放電サイクル毎の放電電気量を積算して第1積算放電電気量を演算する第1演算ステップと、前記第1積算放電電気量が、前記鉛蓄電池が充放電サイクルを経ることにより生じる当該鉛蓄電池の容量の変化の過程において、当該容量が最大値Dmaxとなるときの前記第1積算放電電気量である第1設定値D1に満たないときには、前記鉛蓄電池のサイクル使用が開始されてから前記鉛蓄電池の寿命が到来するまでのライフサイクルにおける一部の領域である第1領域であると判定し、前記第1積算放電電気量が前記第1設定値D1を超えているときには、前記第1領域の後の領域であって前記鉛蓄電池の寿命が到来するまでの第2領域であると判定する判定ステップと、前記判定ステップにおいて前記第2領域であると判断された後、前記第2領域における充電サイクル毎の充電電気量を積算して第2積算充電電気量を演算するとともに、前記第2領域における放電サイクル毎の放電電気量を積算して第2積算放電電気量を演算する第2演算ステップと、前記第1領域の最後における前記第1積算充電電気量である第1全体充電電気量C1が、前記第1設定値D1に、予め設定された第1の値R1を乗じた電気量となるように、前記第1領域における充電電気量を制御し、前記第2領域と判断された後、前記鉛蓄電池の寿命が到来したときの前記第2積算充電電気量である第2全体充電電気量C2が、前記鉛蓄電池の寿命が到来したときの前記第2積算放電電気量である前記第2設定値D2に、予め前記第1の値R1よりも小さな値に設定された第2の値R2を乗じた電気量となるように、前記第2領域における充電電気量を制御する制御ステップと、を備えることを特徴とする。
この方法において定義される第1領域は、鉛蓄電池のサイクル使用が開始されてからの充電サイクル毎の充電電気量の積算値である第1積算充電電気量が、鉛蓄電池が充放電サイクルを経ることにより生じる当該鉛蓄電池の容量の変化の過程において、当該容量が最大値Dmaxとなるときの第1積算放電電気量である第1設定値D1に満たない領域である。この第1領域では、鉛蓄電池の充放電サイクルが開始された後には、正極の活物質が活性化し、鉛蓄電池の容量が増大する。
この第1領域では、正極の活物質中に残存する鉛の低級酸化物(PbO、PbOx(1<x<2))、塩基性硫酸塩((PbO)nPbSO4(n=1〜4))あるいは硫酸塩(PbSO4)が二酸化鉛に変化するとともに二酸化鉛が活性化されて、その表面積が拡大することによって、正極の活物質の単位質量当たりの放電可能な電気量が徐々に増大し続けると考えられる。また、第1領域では、正極の活物質が活性化しているので、当然のことながら、充電可能な電気量も増大する。
この第1領域で充電電気量が不足した場合(より具体的には、直前の放電電気量に満たない充電電気量で充電を終える充放電を続けた場合)、先述された正極の活物質の活性化が阻害されて失活し、充放電可能な電気量が減少し続ける。
そのため、第1領域では、第1領域全体における放電電気量の積算値が、第1領域全体における充電電気量の積算値以上の積算値となるように、第1領域における充電電気量を制御して、充電に用いられた電気量のロス(例えば、鉛の低級酸化物や硫酸塩あるいは塩基性硫酸塩の二酸化鉛への転化に要する電気量、不可避的に発生する正極板上での酸素ガス発生に消費される電気量等)をも鑑みて、充電電気量の不足を回避する必要がある。
したがって、本発明に従う鉛蓄電池の制御方法は、第1領域を通しての充電電気量の積算値(すなわち第1領域の最後における積算充電電気量である第1全体充電電気量C1)が、第1設定値D1に、予め設定された第1の値R1を乗じた電気量となるように、第1領域における充電電気量を制御するようにしている。
ここに、第1設定値D1は、第1領域が終了するときの積算放電電気量(つまり、第1領域の最後における積算放電電気量である第1全体充電電気量C1)であるので、本発明に従う鉛蓄電池の制御方法は、第1全体充電電気量C1が、第1全体充電電気量C1に、予め設定された第1の値R1を乗じた電気量となるように、第1領域における充電電気量を制御することができる。
そのため、本発明に従う鉛蓄電池の制御方法は、第1領域では、第1領域を通しての第1全体充電電気量C1を、第1領域を通しての第1全体放電電気量以上の電気量とすることができる。
これにより、本発明に従う鉛蓄電池の制御方法によれば、第1領域全体における充電電気量の積算値が、第1領域全体における放電電気量の積算値以上の積算値となるので、第1領域では、充電電気量の不足を回避することができる。従って、第1領域では、充電不足によって充放電可能な電気量が減少することを低減することができる。
また、この方法において定義される第2領域は、第1領域の最後における積算放電電気量である第1全体放電電気量が、第1設定値D1を超える領域である。この第2領域では、正極の活物質の失活化が進行し始める。この第2領域では、二酸化鉛の細分化、より具体的には、クラスター構造を有する二酸化鉛が細分化されて、母体から離脱することにより、活物質としての機能が徐々に失われると考えられる。この第2領域では、二酸化鉛の単位重量当たりの充放電可能な電気量は徐々に減少し続ける。この第2領域で充電電気量が過剰であった場合、正極の格子(集電体)が腐食して充放電可能な電気量がより顕著に減少してしまう。
そのため、第2領域では、第2領域全体における放電電気量の積算値に対して第2領域全体における充電電気量の積算値が占める割合が、第1領域全体における放電電気量の積算値に対して第1領域全体における充電電気量の積算値が占める割合よりも小さくなるように、第2領域における充電電気量を制御して、過剰な充電電気量で充電されることにより充放電可能な電気量が顕著に減少することを低減する必要がある。
そのため、本発明に従う鉛蓄電池の制御方法は、鉛蓄電池の寿命が到来したときの第2積算充電電気量である第2全体充電電気量C2が、鉛蓄電池の寿命が到来したときの第2積算放電電気量である第2設定値D2に、予め第1の値R1よりも小さな値に設定された第2の値R2を乗じた電気量となるように、第2領域における充電電気量を制御するようにしている。
ここに、第2設定値D2は、第2領域において鉛蓄電池の寿命が到来したときの積算放電電気量(つまり、第2領域の最後における積算放電電気量である第2全体充電電気量C2)であるので、本発明に従う鉛蓄電池の制御方法は、第2全体充電電気量C1が、第2全体充電電気量C2に、予め第1の値R1よりも小さな値に設定された第2の値R2を乗じた電気量となるように、第2領域における充電電気量を制御することができる。
これにより、本発明に従う鉛蓄電池の制御方法によれば、第2領域全体における放電電気量の積算値に対して第2領域全体における充電電気量の積算値が占める割合を、第1領域全体における放電電気量の積算値に対して第1領域全体における充電電気量の積算値が占める割合よりも小さくすることができる。そのため、第2領域では、過剰な充電電気量で充電されることにより充放電可能な電気量が顕著に減少することを低減することができる。
なお、鉛蓄電池の容量は、ある所定の放電条件で鉛蓄電池から取り出すことができる放電電気量を意味する。さらに一般的には、鉛蓄電池の充電状態(State of charge;SOC)が100%の状態から0%の状態に到達するまで、鉛蓄電池が放電したときの放電電気量を意味する。なお、放電率、放電終止電圧、および、放電時の電池温度といった放電条件は、鉛蓄電池の機種あるいは用途によって適宜設定される。
上述した知見を活用した本発明によれば、鉛蓄電池のサイクル使用が開始されてからの放電電気量の積算値を表す第1積算放電電気量が、第1領域と第2領域との間の境となる第1設定値D1に満たないときには、充電不足による充放電可能な電気量の減少を低減することができ、第1積算放電電気量が第1設定値D1を超えた後は、充放電可能な電気量の低下が過充電により促進されることを低減することができる。
従って、本発明によれば、鉛蓄電池の性質を見極めて無理のない充電を繰り返すことができるので、無作為に鉛蓄電池を充電する制御方法と比べて、鉛蓄電池の長寿命化を実現することができる。
上記方法において、前記第1の値R1は、1〜1.5の範囲内の値とされ、前記第2の値R2は、0.9〜1.25の範囲内の値とされ、且つ、前記第1の値R1と前記第2の値R2との間の比率R1/R2は、1を超え、1.66以下とされていることが望ましい。
この方法によれば、第1の値R1が1〜1.5の範囲内の値とされているので、第1全体充電電気量C1を第1全体放電電気量以上の電気量とすることができる。また、第2の値R2が0.9〜1.25の範囲内の値とされているので、第2全体充電電気量C2が第2全体放電電気量に対して占める割合を、第1全体充電電気量C1が第1全体放電電気量に対して占める割合よりも小さくすることができる。
したがって、第1積算放電電気量が、第1領域と第2領域との間の境となる第1設定値D1に満たないときには、充電不足による充放電可能な電気量の減少を防止することができ、第1積算放電電気量が第1設定値D1を超えた後は、充放電可能な電気量の低下が過充電により促進されることを防止することができる。
上記方法において、前記鉛蓄電池の表面温度に応じて、前記第1設定値D1を演算する設定値演算ステップをさらに備えることが望ましい。
一般的に、鉛蓄電池はその表面温度に応じて、正極の活物質の活性度が異なる。例えば、正極の活物質の活性度は、表面温度が高いほど高く、表面温度が低いほど低い。そして、正極の活物質の活性度が高いほど、小さな積算放電電気量(すなわち少ない放電サイクル数)で鉛蓄電池の容量が最大となり、正極の活物質の活性度が低いほど、大きな積算放電電気量(すなわち多い放電サイクル数)で鉛蓄電池の容量が最大となる性質がある。
本方法によれば、鉛蓄電池の容量に影響を与える鉛蓄電池の表面温度に応じて、鉛蓄電池の容量が最大となる積算放電電気量である第1設定値D1を演算するため、鉛蓄電池の使用環境に応じた第1設定値D1の演算ができ、実際の使用環境に適した制御方法が実現できる。
上記方法において、前記第2領域において演算された前記第2積算放電電気量が前記第2設定値D2を超えているか否かを判断するステップと、前記第2積算放電電気量が前記第2設定値D2を超えているときには、報知処理を行うステップと、をさらに備えることが望ましい。
この方法によれば、第2積算放電電気量が、鉛蓄電池の寿命が到来したときの第2設定値D2を超えると報知を行うため、ユーザは、鉛蓄電池の寿命が到来したことを確認できる。
上記方法において、前記制御ステップにおいて、前記第1領域において、各充電サイクルにおける充電電気量が、前記各充電サイクルの直前の放電サイクルにおける放電電気量に前記第1の値R1を乗じた値となるように、前記各充電サイクルにおける前記充電電気量を制御し、前記第2領域において、各充電サイクルにおける充電電気量が、前記各充電サイクルの直前の放電サイクルにおける放電電気量に前記第2の値R2を乗じた値となるように、前記各充電サイクルにおける充電電気量を制御することが望ましい。
この方法によれば、第1領域では、各充電サイクルにおける充電電気量が、当該充電サイクルの直前の放電サイクルにおける放電電気量に第1の値R1を乗じた充電電気量となるように充電される。また、第2領域では、各充電サイクルにおける充電電気量が、当該充電サイクルの直前の放電サイクルにおける放電電気量に第2の値R2を乗じた充電電気量となるように充電される。
これにより、第1領域及び第2領域の各々において、各充電サイクル毎における充電電気量が、鉛蓄電池の充放電可能な電気量の減少を低減させることができる充電電気量とされるので、より、無理のない充電を繰り返すことができ、鉛蓄電池のさらなる長寿命化を実現することができる。
上記方法において、前記第1領域において充電サイクルを実行する毎に、当該充電サイクルを実行したときの充電電気量から、当該充電サイクルの直前の放電サイクルにおける放電電気量に予め定められた係数R1を乗じた第1基準放電電気量を減じて得られる誤差を演算する第1誤差演算ステップと、前記誤差が演算される毎に前記誤差を積算して、前記第1領域における前記誤差の積算値である第1誤差積算値を演算する第1誤差積算値演算ステップと、前記鉛蓄電池の公称容量に対する前記第1誤差積算値の割合である第1割合を演算する第1割合演算ステップと、演算された前記第1割合が予め設定された第1閾値を超えているか否かを判定する第1割合判定ステップと、前記第1割合が前記第1閾値を超えていると判定されたときには、その直後の充電サイクルにおける充電電気量がそのときの前記第1誤差積算値と等しい充電電気量となるように充電を行って、前記第1積算充電電気量の補正を行う補正ステップと、をさらに備えることが望ましい。
この方法によれば、第1領域において、鉛蓄電池の公称容量に対する第1誤差積算値の割合が第1閾値を超えているときには、その直後の充電サイクルにおける充電電気量がそのときの第1誤差積算値と等しい充電電気量となるように充電を行って、第1積算充電電気量の補正を行う。これにより、第1領域において無作為な充電が繰り返された場合であっても、第1全体充電電気量が、第1全体放電電気量に係数R1を乗じた電気量となる。そのため、ユーザの鉛蓄電池の使用実態に即して、充電不足による充放電可能な電気量の減少を低減することができる。
上記方法において、前記第2領域において充電サイクルを実行する毎に、当該充電サイクルを実行したときの充電電気量から、当該充電サイクルの直前の放電サイクルにおける放電電気量に予め定められた係数R2を乗じた第2基準放電電気量を減じて得られる誤差を演算する第2誤差演算ステップと、前記誤差が演算される毎に前記誤差を積算して、前記第2領域における前記誤差の積算値である第2誤差積算値を演算する第2誤差積算値演算ステップと、前記鉛蓄電池の公称容量に対する前記第2誤差積算値の割合である第2割合を演算する第2割合演算ステップと、演算された前記第2割合が予め設定された第2閾値を超えているか否かを判定する第2割合判定ステップと、前記第2割合が前記第2閾値を超えていると判定されたときには、その直後の充電サイクルにおける充電電気量がそのときの前記第2誤差積算値と等しい充電電気量となるように充電を行って、第2積算充電電気量の補正を行う補正ステップと、をさらに備えることが望ましい。
この方法によれば、第2領域において、鉛蓄電池の公称容量に対する第2誤差積算値の割合が第2閾値を超えているときには、その直後の充電サイクルにおける充電電気量がそのときの第2誤差積算値と等しい充電電気量となるように充電を行って、第2積算充電電気量の補正を行う。これにより、第2領域において無作為な充電が繰り返された場合であっても、第2全体充電電気量が、第2全体放電電気量に係数R2を乗じた電気量となる。そのため、ユーザの鉛蓄電池の使用実態に即して、過剰な充電が行われることによる充放電可能な電気量の顕著な減少を低減することができる。
上記方法において、前記第1領域において充放電サイクルを予め設定された回数P1繰り返す毎に、その直後の充電サイクル実行後の前記第1積算充電電気量が、そのときの前記第1積算放電電気量に予め1〜1.5の範囲内で設定された係数RP1を乗じた電気量となるように、当該直後の充電サイクルにおける充電を行うことが望ましい。
この方法によれば、第1領域において充放電サイクルを予め設定された数P1繰り返す毎に、その直後の充電サイクル実行後の第1積算充電電気量が、鉛蓄電池の充放電可能な電気量の減少を低減させることができる充電電気量とされるので、より、ユーザの使用実態に即して、充電不足による充放電可能な電気量の減少を低減することができる。
上記方法において、前記第2領域において充放電サイクルを予め設定された回数P2繰り返す毎に、その直後の充電サイクル実行後の前記第2積算充電電気量が、そのときの前記第2積算放電電気量に予め0.9〜1.25の範囲内で設定された係数RP2を乗じた電気量となるように、当該直後の充電サイクルにおける充電を行うことが望ましい。
この方法によれば、第2領域において充放電サイクルを予め設定された数P2繰り返す毎に、その直後の充電サイクル実行後の第2積算充電電気量が、鉛蓄電池の充放電可能な電気量の顕著な減少を低減させることができる充電電気量とされるので、より、ユーザの使用実態に即して、過剰な充電が行われることによる充放電可能な電気量の顕著な減少を低減することができる。
上記方法において、前記第1領域において充電サイクルを実行する毎に、当該充電サイクルを実行したときの充電電気量から、当該充電サイクルの直前の放電サイクルにおける放電電気量に予め定められた係数R1を乗じた第1基準放電電気量を減じて得られる誤差を演算する第1誤差演算ステップと、前記誤差が演算される毎に前記誤差を積算して、前記第1領域における前記誤差の積算値である第1誤差積算値を演算する第1誤差積算値演算ステップと、前記第1領域において充放電サイクルを実行する毎に、当該充放電サイクルを実行した回数をカウントするカウントステップと、前記充放電サイクルを前記回数P1繰り返す毎に、その直後の充電サイクルにおける充電電気量がそのときの前記第1誤差積算値と等しい充電電気量となるように充電を行って、前記第1積算充電電気量の補正を行う補正ステップと、をさらに備えることが望ましい。
この方法によれば、第1領域において、充放電サイクルをP1回繰り返す毎に、その直後の充電サイクルにおける充電電気量がそのときの第1誤差積算値と等しい充電電気量となるように充電を行って、第1積算充電電気量の補正を行う。これにより、第1領域において無作為な充電が繰り返された場合であっても、充放電サイクルをP1回繰り返した直後の第1積算充電電気量が、そのときの第1積算放電電気量に係数RP1を乗じた電気量となる。そのため、ユーザの鉛蓄電池の使用実態に即して、充電不足による充放電可能な電気量の減少を低減することができる。
上記方法において、前記第2領域において充電サイクルを実行する毎に、当該充電サイクルを実行したときの充電電気量から、当該充電サイクルの直前の放電サイクルにおける放電電気量に予め定められた係数R2を乗じた第2基準放電電気量を減じて得られる誤差を演算する第2誤差演算ステップと、前記誤差が演算される毎に前記誤差を積算して、前記第2領域における前記誤差の積算値である第2誤差積算値を演算する第2誤差積算値演算ステップと、前記第2領域において充放電サイクルを実行する毎に、当該充放電サイクルを実行した回数をカウントするカウントステップと、前記充放電サイクルを前記回数P2繰り返す毎に、その直後の充電サイクルにおける充電電気量がそのときの前記第2誤差積算値と等しい充電電気量となるように充電を行って、前記第2積算充電電気量の補正を行う補正ステップと、をさらに備えることが望ましい。
この方法によれば、充放電サイクルをP2回繰り返すことに、その直後の充電サイクルにおける充電電気量がそのときの第2誤差積算値と等しい充電電気量となるように充電を行って、第2積算充電電気量の補正を行う。これにより、第2領域において無作為な充電が繰り返された場合であっても、充放電サイクルをP2回繰り返した直後の第2積算充電電気量が、そのときの第2積算放電電気量に係数RP2を乗じた電気量となる。そのため、ユーザの鉛蓄電池の使用実態に即して、過剰な充電が行われることによる充放電可能な電気量の顕著な減少を低減することができる。
上記方法において、前記予め設定された回数P1及びP2は、2〜20の範囲内の回数であることが望ましい。
この方法によれば、第1領域及び第2領域において、充放電サイクルを2〜20の範囲内の回数実行すれば、その直後の第1及び第2の積算充電電気量が、充放電可能な電気量の減少を低減させることができる充電電気量とされる。そのため、実際の鉛蓄電池の使用態様に即した適切な頻度で、充放電可能な電気量の減少を低減することができる。
上記方法において、前記最大値Dmaxと、前記第1設定値D1との間の比率D1/Dmaxは、20〜200の範囲内の比率であることが望ましい。
この方法によれば、D1/Dmaxが20〜200の範囲内である一般的な鉛蓄電池を使用して、本発明に従う制御方法を実施することができる。
上記方法において、前記鉛蓄電池は、制御弁式鉛蓄電池で構成されていることが望ましい。
一般に、制御弁式の鉛蓄電池は、シールされた構成とされており、電解液の補充ができないようになっているため、鉛蓄電池の容量は電解液の多さではなく、正極の活物質の活性度に応じて変動しやすくなる。従って、活性化している正極の活物質が失活化し始める第1設定値D1を境とする第1領域と第2領域との区分が明確となり、本発明の制御方法を用いることの効果が大きくなる。
また、本発明の他の局面に係る電源システムは、電源を構成する鉛蓄電池と、前記鉛蓄電池を充電するための充電器と、鉛蓄電池のサイクル使用が開始されてからの充電サイクル毎の充電電気量を積算して第1積算充電電気量を演算するとともに、前記鉛蓄電池のサイクル使用が開始されてからの放電サイクル毎の放電電気量を積算して第1積算放電電気量を演算する第1演算部と、前記第1積算放電電気量が、前記鉛蓄電池が充放電サイクルを経ることにより生じる当該鉛蓄電池の容量の変化の過程において、当該容量が最大値Dmaxとなるときの前記第1積算放電電気量である第1設定値D1に満たないときには、前記鉛蓄電池のサイクル使用が開始されてから前記鉛蓄電池の寿命が到来するまでのライフサイクルにおける一部の領域である第1領域であると判定し、前記第1積算放電電気量が前記第1設定値D1を超えているときには、前記第1領域の後の領域であって前記鉛蓄電池の寿命が到来するまでの第2領域であると判定する判定部と、前記判定部によって前記第2領域であると判断された後、前記第2領域における充電サイクル毎の充電電気量を積算して第2積算充電電気量を演算するとともに、前記第2領域における放電サイクル毎の放電電気量を積算して第2積算放電電気量を演算する第2演算部と、前記第1領域の最後における前記第1積算充電電気量である第1全体充電電気量C1が、前記第1設定値D1に、予め設定された第1の値R1を乗じた電気量となるように、前記第1領域における充電電気量を制御し、前記判定部によって前記第2領域と判断された後、前記鉛蓄電池の寿命が到来したときの前記第2積算充電電気量である第2全体充電電気量C2が、前記鉛蓄電池の寿命が到来したときの前記第2積算放電電気量である前記第2設定値D2に、予め前記第1の値R1よりも小さな値に設定された第2の値R2を乗じた電気量となるように、前記第2領域における前記充電電気量を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、鉛蓄電池のサイクル使用が開始されてからの放電電気量の積算値を表す第1積算放電電気量が、第1領域と第2領域との間の境となる第1設定値D1に満たないときには、充電不足による充放電可能な電気量の減少を低減することができ、第1積算放電電気量が第1設定値D1を超えた後は、充放電可能な電気量の低下が過充電により促進されることを低減することができる。
従って、本発明によれば、鉛蓄電池の性質を見極めて無理のない充電を繰り返すことができるので、無作為に鉛蓄電池を充電する場合と比べて、鉛蓄電池の長寿命化を実現することができる。
上記構成において、前記第1の値R1は、1〜1.5の範囲内の値とされ、前記第2の値R2は、0.9〜1.25の範囲内の値とされ、前記第1の値R1と前記第2の値R2との間の比率R1/R2は、1を超え、1.66以下とされていることが望ましい。
この構成によれば、第1の値R1が1〜1.5の範囲内の値とされているので、第1全体充電電気量C1を第1全体放電電気量以上の電気量とすることができる。また、第2の値R2が0.9〜1.25の範囲内の値とされているので、第2全体充電電気量C2が第2全体放電電気量に対して占める割合を、第1全体充電電気量C1が第1全体放電電気量に対して占める割合よりも小さくすることができる。
したがって、第1積算放電電気量が、第1領域と第2領域との間の境となる第1設定値D1に満たないときには、充電不足による充放電可能な電気量の減少を防止することができ、第1積算放電電気量が第1設定値D1を超えた後は、充放電可能な電気量の低下が過充電により促進されることを防止することができる。
上記構成において、前記制御部は、前記鉛蓄電池の表面温度に応じて、前記第1設定値D1を演算することが望ましい。
この構成によれば、鉛蓄電池の容量に影響を与える鉛蓄電池の表面温度に応じて、鉛蓄電池の容量が最大となる積算放電電気量である第1設定値D1を演算するため、鉛蓄電池の使用環境に応じた第1設定値D1の演算ができ、実際の使用環境に適した制御方法が実現できる。
上記構成において、報知処理を行うための報知部をさらに備えており、前記判定部は、前記第2領域において演算された前記第2積算放電電気量が前記第2設定値D2を超えているかを判定し、前記報知部は、前記判定部によって、前記第2積算放電電気量が前記第2設定値D2を超えていると判断されたときには、報知処理を行うことが望ましい。
この構成によれば、第2積算放電電気量が、鉛蓄電池の寿命が到来したときの第2設定値D2を超えると報知を行うため、ユーザは、鉛蓄電池の寿命が到来したことを確認できる。
上記構成において、前記制御部は、前記第1領域において、各充電サイクルにおける充電電気量が、前記各充電サイクルの直前の放電サイクルにおける放電電気量に前記第1の値R1を乗じた値となるように、前記各充電サイクルにおける充電電気量を制御し、前記第2領域において、各充電サイクルにおける充電電気量が、前記各充電サイクルの直前の放電サイクルにおける放電電気量に前記第2の値R2を乗じた値となるように、前記各充電サイクルにおける充電電気量を制御することが望ましい。
この構成によれば、第1領域では、各充電サイクルにおける充電電気量が、当該充電サイクルの直前の放電サイクルにおける放電電気量に第1の値R1を乗じた充電電気量となるように充電される。また、第2領域では、各充電サイクルにおける充電電気量が、当該充電サイクルの直前の放電サイクルにおける放電電気量に第2の値R2を乗じた充電電気量となるように充電される。
これにより、第1領域及び第2領域の各々において、各充電サイクル毎における充電電気量が、鉛蓄電池の充放電可能な電気量の減少を低減させることができる充電電気量とされるので、より、無理のない充電を繰り返すことができ、鉛蓄電池のさらなる長寿命化を実現することができる。
上記構成において、前記第1領域において充電サイクルが実行される毎に、当該充電サイクルが実行されたときの充電電気量から、当該充電サイクルの直前の放電サイクルにおける放電電気量に予め定められた係数R1を乗じた第1基準放電電気量を減じて得られる誤差を演算する第1誤差演算部と、前記誤差が演算される毎に前記誤差を積算して、前記第1領域における前記誤差の積算値である第1誤差積算値を演算する第1誤差積算値演算部と、前記鉛蓄電池の公称容量に対する前記第1誤差積算値の割合である第1割合を演算する第1割合演算部と、をさらに備えており、前記判定部は、演算された前記第1割合が予め設定された第1閾値を超えているか否かを判定し、前記制御部は、前記第1割合が前記第1閾値を超えていると判定されたときには、その直後の充電サイクルにおける充電電気量がそのときの前記第1誤差積算値と等しい充電電気量となるように充電を行って、前記第1積算充電電気量の補正を行うことが望ましい。
この構成によれば、第1領域において、鉛蓄電池の公称容量に対する第1誤差積算値の割合が第1閾値を超えているときには、その直後の充電サイクルにおける充電電気量がそのときの第1誤差積算値と等しい充電電気量となるように充電を行って、第1積算充電電気量の補正を行う。これにより、第1領域において無作為な充電が繰り返された場合であっても、第1全体充電電気量が、第1全体放電電気量に係数R1を乗じた電気量となる。そのため、ユーザの鉛蓄電池の使用実態に即して、充電不足による充放電可能な電気量の減少を低減することができる。
上記構成において、前記第2領域において充電サイクルが実行される毎に、当該充電サイクルが実行されたときの充電電気量から、当該充電サイクルの直前の放電サイクルにおける放電電気量に予め定められた係数R2を乗じた第2基準放電電気量を減じて得られる誤差を演算する第2誤差演算部と、前記誤差が演算される毎に前記誤差を積算して、前記第2領域における前記誤差の積算値である第2誤差積算値を演算する第2誤差積算値演算部と、前記鉛蓄電池の公称容量に対する前記第2誤差積算値の割合である第2割合を演算する第2割合演算部と、をさらに備えており、前記判定部は、演算された前記第2割合が予め設定された第2閾値を超えているか否かを判定し、前記制御部は、前記第2割合が前記第2閾値を超えていると判定されたときには、その直後の充電サイクルにおける充電電気量がそのときの前記第2誤差積算値と等しい充電電気量となるように充電を行って、前記第2積算充電電気量の補正を行うことが望ましい。
この構成によれば、第2領域において、鉛蓄電池の公称容量に対する第2誤差積算値の割合が第2閾値を超えているときには、その直後の充電サイクルにおける充電電気量がそのときの第2誤差積算値と等しい充電電気量となるように充電を行って、第2積算充電電気量の補正を行う。これにより、第2領域において無作為な充電が繰り返された場合であっても、第2全体充電電気量が、第2全体放電電気量に係数R2を乗じた電気量となる。そのため、ユーザの鉛蓄電池の使用実態に即して、過剰な充電が行われることによる充放電可能な電気量の顕著な減少を低減することができる。
上記構成において、前記制御部は、前記第1領域において充放電サイクルを予め設定された回数P1繰り返す毎に、その直後の充電サイクル実行後の前記第1積算充電電気量が、そのときの前記第1積算放電電気量に予め設定された係数RP1を乗じた電気量となるように、当該直後の充電サイクルにおける充電を行い、前記第2領域において充放電サイクルを予め設定された回数P2繰り返す毎に、その直後の充電サイクル実行後の前記第2積算充電電気量が、そのときの前記第2積算放電電気量に予め前記係数Rp1よりも小さな値に設定された係数RP2を乗じた電気量となるように、当該直後の充電サイクルにおける充電を行うことが望ましい。
この構成によれば、第1領域において充放電サイクルを予め設定された数P1繰り返す毎に、その直後の充電サイクル実行後の第1積算充電電気量が、鉛蓄電池の充放電可能な電気量の減少を低減させることができる充電電気量とされるので、より、ユーザの使用実態に即して、充電不足による充放電可能な電気量の減少を低減することができる。
上記構成において、前記第1領域において充電サイクルを実行する毎に、当該充電サイクルを実行したときの充電電気量から、当該充電サイクルの直前の放電サイクルにおける放電電気量に予め定められた係数R1を乗じた第1基準放電電気量を減じて得られる誤差を演算する第1誤差演算部と、前記誤差が演算される毎に前記誤差を積算して、前記第1領域における前記誤差の積算値である第1誤差積算値を演算する第1誤差積算値演算部と、をさらに備えており、前記制御部は、前記第1領域において充放電サイクルを実行する毎に、当該充放電サイクルを実行した回数をカウントするカウントし、前記充放電サイクルを前記回数P1繰り返す毎に、その直後の充電サイクルにおける充電電気量がそのときの前記第1誤差積算値と等しい充電電気量となるように充電を行って、前記第1積算充電電気量の補正を行うことが望ましい。
この構成によれば、第1領域において、充放電サイクルをP1回繰り返す毎に、その直後の充電サイクルにおける充電電気量がそのときの第1誤差積算値と等しい充電電気量となるように充電を行って、第1積算充電電気量の補正を行う。これにより、第1領域において無作為な充電が繰り返された場合であっても、充放電サイクルをP1回繰り返した直後の第1積算充電電気量が、そのときの第1積算放電電気量に係数RP1を乗じた電気量となる。そのため、ユーザの鉛蓄電池の使用実態に即して、充電不足による充放電可能な電気量の減少を低減することができる。
上記構成において、前記第2領域において充電サイクルを実行する毎に、当該充電サイクルを実行したときの充電電気量から、当該充電サイクルの直前の放電サイクルにおける放電電気量に予め定められた係数R2を乗じた第2基準放電電気量を減じて得られる誤差を演算する第2誤差演算部と、前記誤差が演算される毎に前記誤差を積算して、前記第2領域における前記誤差の積算値である第2誤差積算値を演算する第2誤差積算値演算部と、をさらに備えており、前記制御部は、前記第2領域において充放電サイクルを実行する毎に、当該充放電サイクルを実行した回数をカウントするカウントし、前記充放電サイクルを前記回数P2繰り返す毎に、その直後の充電サイクルにおける充電電気量がそのときの前記第2誤差積算値と等しい充電電気量となるように充電を行って、前記第2積算充電電気量の補正を行うことが望ましい。
この構成によれば、充放電サイクルをP2回繰り返すことに、その直後の充電サイクルにおける充電電気量がそのときの第2誤差積算値と等しい充電電気量となるように充電を行って、第2積算充電電気量の補正を行う。これにより、第2領域において無作為な充電が繰り返された場合であっても、充放電サイクルをP2回繰り返した直後の第2積算充電電気量が、そのときの第2積算放電電気量に係数RP2を乗じた電気量となる。そのため、ユーザの鉛蓄電池の使用実態に即して、過剰な充電が行われることによる充放電可能な電気量の顕著な減少を低減することができる。
上記構成において、前記予め設定された回数P1及びP2は、2〜20の範囲内の回数であることが望ましい。
この構成によれば、第1領域及び第2領域において、充放電サイクルを2〜20の範囲内の回数実行すれば、その直後の第1及び第2の積算充電電気量が、充放電可能な電気量の減少を低減させることができる充電電気量とされる。そのため、実際の鉛蓄電池の使用態様に即した適切な頻度で、充放電可能な電気量の減少を低減することができる。
上記構成において、前記係数RP1は、1〜1.5の範囲内の値とされ、前記係数RP2は、0.9〜1.25の範囲内の値とされ、かつ、前記係数RP1と前記係数RP2との間の比率RP1/RP2は、1を超え、1.66以下とされていることが望ましい。
この構成によれば、係数R1が1〜1.5の範囲内の値とされているので、第1領域における充放電サイクルをP1回繰り返す毎に、その直後の第1積算充電電気量を、そのときの第1積算放電電気量以上の電気量とすることができる。また、係数R2が0.9〜1.25の範囲内の値とされているので、その直後の第2積算充電電気量が、そのときの第2積算放電電気量に対して占める割合を、第1領域において充放電サイクルをP1回繰り返した直後の第1積算充電電気量が、そのときの第1積算放電電気量に対して占める割合よりも小さくすることができる。
したがって、ユーザの使用形態により即した頻度で、充放電可能な電気量の減少を低減することができる。
上記構成において、前記最大値Dmaxと、前記第1設定値D1との間の比率D1/Dmaxは、20〜200の範囲内の比率であることが望ましい。
この構成によれば、D1/Dmaxが20〜200の範囲内である一般的な鉛蓄電池を使用して、その鉛蓄電池の制御を行うことができる。
上記構成において、前記鉛蓄電池は、制御弁式鉛蓄電池で構成されていることが望ましい。
一般に、制御弁式の鉛蓄電池は、シールされた構成とされており、電解液の補充ができないようになっているため、鉛蓄電池の容量は電解液の多さではなく、正極の活物質の活性度に応じて変動しやすくなる。従って、この構成によれば、活性化している正極の活物質が失活化し始める第1設定値D1を境とする第1領域と第2領域との区分が明確となる。