JP4473496B2 - モニタホルダを備えた薄膜形成装置 - Google Patents

モニタホルダを備えた薄膜形成装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はモニタホルダを備えた薄膜形成装置に係り、特に成膜室での薄膜形成状態を確認するモニタホルダを備えた薄膜形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、各種基板(眼鏡レンズ、導光板等)は、薄膜形成装置を用いた真空蒸着等の薄膜形成処理によって、その表面に薄膜が形成されている。このような薄膜形成の方式としては、基板供給,排気・基板加熱,成膜,基板冷却,大気開放,基板取出し等の一連の処理を1つの真空室(チャンバ)内で行うバッチ処理方式と、特定の処理を受け持つ複数のチャンバ間で基板を受け渡しながら上記処理を連続的に行う連続処理方式が知られている。
【0003】
バッチ処理方式では、成膜処理を行うチャンバの排気,大気開放処理を基板毎に行う必要がある。一方、連続処理方式では、成膜処理を行うチャンバ(成膜室)は真空状態に維持されるので、同じ条件で安定的な成膜処理を行うことができると共に、成膜室での排気,大気開放処理を行う必要がないため、次々と基板の成膜処理を行うことができるので生産性が高いという利点がある。
【0004】
このような連続処理方式を行う連続式薄膜形成装置としては、例えば3つのチャンバが直列的に連結された構成となっているものが知られている(特開2002−222846号公報参照)。なお、基板は基板ホルダ(例えば、ドーム形状のホルダ)に複数配置されて、各チャンバに順次に搬送され、処理される。
【0005】
上記薄膜形成装置は、3つのチャンバとして供給室、成膜室、取出室が連結された構成となっており、供給室では基板供給,排気,予備加熱,前処理等が行われ、成膜室では成膜処理が行われ、取出室では基板冷却,後処理,大気開放,基板取出し等が行われる。
【0006】
供給室内及び取出室内は前記基板ホルダが出し入れされるときには大気に開放され、成膜室との間で前記基板ホルダの受け渡しが行われるときには予め所定の真空状態にまで排気される。一方、成膜室内は常に真空状態に維持する必要があるため、供給室と成膜室、及び成膜室と取出室とはスライド式のゲートバルブにて気密的に仕切られている。
【0007】
真空蒸着にて成膜処理が行われる場合、成膜室内下部のベースシールド付近に蒸着源が配置され、成膜処理時、前記基板ホルダは成膜室内上部の成膜位置に配置される。このため、供給室から成膜室へ基板ホルダを搬送したり、或いは、成膜室から取出室へ基板ホルダを搬送したりするために開口された通過口は、成膜室上部に位置している。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−222846号公報(第5−9頁、第1図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来の薄膜形成装置では、成膜室上部に通過口が設けられ、この通過口上方にゲートボックスが突出して形成された構成となっているため、薄膜形成装置全体の高さが高くなっていた。また、成膜室での加熱による熱膨張によって、モニタに影響がでるという不都合があった。
【0010】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、モニタガラスへのマスク孔とモニタガラス間のクリアランスが加熱によって影響されず、所定量に維持されるモニタホルダを備えた薄膜形成装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、本発明のモニタホルダを備えた薄膜形成装置によれば、成膜室に設けられ、基板ホルダを支持し昇降させるフレームを有すると共に、モニタホルダを備えた基板ホルダ上下搬送機構を有する薄膜形成装置であって、
前記基板ホルダ上下搬送機構の前記フレームの内側位置に補正板アームによって連結された、有底円筒形状を有したモニタホルダ受部と、
該モニタホルダ受部の底面の中心からオフセットされた位置に形成されたモニタホルダ受部のマスク孔と、
前記モニタホルダ受部載置されたベアリング保持部と、
該ベアリング保持部の底面の中心からオフセットされ前記モニタホルダ受部のマスク孔と略一致する位置に形成されたベアリング保持部のマスク孔と、
前記ベアリング保持部に保持されたベアリングと、
モニタガラスを底面に保持し、下部外周に前記ベアリングとの係合部を有する円筒形状のモニタホルダと、
を備え、
前記モニタホルダを前記ベアリングに係合させることで、前記ベアリング保持部のマスク孔と前記モニタガラス間のクリアランスが所定間隔で維持されてなることにより解決される。
【0012】
このように基板ホルダ上下搬送機構の前記フレームの内側位置に補正板アームによって連結されたモニタホルダ受部は、モニタホルダ受部とモニタホルダ受部内に載置されたベアリング保持部とベアリングから構成されており、補正板アームはモニタホルダ受部に連結され、モニタホルダは、ベアリングを介して、ベアリング保持部に載置されるようになっている。
したがって、補正板アームが加熱されて熱膨張により変形してせり上がるようなことがあっても、その変形はベアリング保持部に影響を与えないので、マスク孔とモニタガラス間のクリアランスは所定量に維持されるようになっている。
このとき、前記モニタホルダ受部の中心には、円錐状の凸部が形成され、前記ベアリング保持部の底面裏側中心部には凹部が形成され、前記モニタホルダ受部内に前記ベアリング保持部を載置すると、前記凸部が前記凹部に入り込むようにすると好適である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は実施例の薄膜形成装置の正面説明図、図2は実施例の薄膜形成装置の上面説明図、図3は実施例の成膜室の側面説明図、図4は実施例の覗窓の断面図である。図5は実施例のドーム搬送機構の説明図、図6は実施例の搬送アームの正面図、図7は実施例の搬送アーム支持機構の説明図、図8は実施例の補助室のドーム回転機構の説明図、図9乃至図11は実施例のドアバルブ機構の説明図である。図12は実施例の成膜室上部の機構の説明図、図13は実施例の基板ホルダ上下搬送機構の説明図、図14は実施例のフレームの正面図、図15は実施例の成膜室のドーム回転機構の説明図、図16は実施例の成膜室のドーム回転機構の説明図、図17は実施例のモニタホルダ受部の説明図、図18は実施例のモニタ回転機構の説明図である。図19は実施例の分光特性図、図20は実施例の薄膜形成処理のタイミングチャート、図21は従来例の薄膜形成処理のタイミングチャートである。なお、以下に説明する配置、形状等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。
【0014】
図1に本発明の実施例に係る薄膜形成装置A(以下、「装置A」という)の断面説明図を示す。本例の装置Aは、主にプラスチック基板表面に多層反射防止膜を形成することを目的とした量産装置である。
【0015】
装置Aは、図中左側から供給室C1、成膜室C2、取出室C3の3つのチャンバを備えている。各チャンバの後面には、不図示のポンプが取付けられる。各チャンバは、ステンレス鋼板材(SUS304No.1、厚さ12mm)が共通に使用され、これを折り曲げ加工し、溶接にてボックス形状としたものである。なお、成膜室C2は作業圧力2.6×10−3(Pa)程度、補助室(供給室C1及び取出室C3)は7(Pa)程度の真空状態まで排気されることを考慮し、安全率3(静荷重)を基準に構成されている。
【0016】
成膜室C2は、ステンレス鋼板材を折り曲げ加工して、左右側板と上板とのつなぎ部分がR形状とされた一体構成となっており、当該つなぎ部分の溶接が不要であると共に、R形状によって強度を持たせる構成とされている。
【0017】
また、成膜室C2の左右側板の大気側面には、水平方向に断面L字状のリブ16(アングル材)が溶接付けされており、開口部周縁に集中する応力に対して構造補強されている。さらに、成膜室C2の上部には、コ字板形状のリブ17がドーム回転機構500等を挟んで図中手前側と奥側の2箇所に溶接付けされている。リブ17は、上部のリブ16とも溶接付けされている。なお、成膜室C2のベースプレート19は、厚さ30mmのステンレス鋼板材(SUS304No.1)が用いられており、側面の板材とは溶接にて一体化されている。このように、装置Aは、薄い板材(厚さ12mm)をベースに形成され、全体の軽量化が図られている。また、装置Aは、リブ16,17等又はR形状の採用による補強が図られている。
【0018】
補助室と成膜室C2との連結は、成膜室C2の左右側板の真空側からボルト締めにて連結される構成となっている。これにより、従来のようにチャンバに取付用フランジを形成する必要がなく、製造コストを低減することができる。なお、補助室と成膜室C2とを連絡する通過口14は補助室側に形成されており、通過口14が開口形成された補助室の側板には厚さ30mmのステンレス鋼板材(SUS304No.1)が使用されている。
【0019】
また、後述するドアバルブ機構300、ドーム搬送機構100、ドーム回転機構500、モニタ回転機構600等はそれぞれユニット化されており、別組みした状態でそれぞれ本体に組付け可能となっている。これにより、組付け工数の低減、作業効率の向上を図ることができると共に、メンテナンスや部品(ユニット全体又はユニット構成部品)交換が容易となる。
【0020】
また、各チャンバは、架台11によって支えられている。成膜室C2には4本のH鋼支柱による架台11が設けられ、供給室C1及び取出室C3にはそれぞれ1本のH鋼支柱による架台11が設けられている。このように、架台11をH鋼の支柱とすることにより製造コストの低減が図られている。
【0021】
また、架台11の各支柱には、装置Aの搬送時にジャッキを装着するためのジャッキアップ部材12が溶接付けされている。
【0022】
さらに、各支柱には図3に示すように搬送用治具取付部13が溶接付けされており、搬送時に搬送用治具2を搬送用治具取付部13に取付けて3つのチャンバの架台11を互いに連結して固定することができるようになっている。
【0023】
本例の搬送用治具2は、左右3本づつの支柱を連結することができるようにチャンネル材によってT型に形成され、搬送用治具2の端部には各支柱の搬送用治具取付部13とボルト締め又は取付ピン等によって固定するための取付孔が形成されている。
【0024】
なお、本例では補助室に支柱が1本づつ配設される構成であるので搬送用治具2をT型としたが、これに限らず、各チャンバに形成された支柱の数、及び配置に応じて適宜の形状とすることができる。さらに、成膜室C2の左右の支柱を互いに固定するようにしても良い。
【0025】
また、リブ17には、クレーンによって装置Aを吊上げる際に使用される吊上げ用穴18が形成されている。このように本例の吊上げ用穴18は構造が簡単であり、従来のように装置Aの上面にアイボルト座を設ける必要がないので、従来に比して部品点数や取付作業工数を削減することができる。
【0026】
図2に示すように補助室の外側面(成膜室C2と連結される側面とは反対側の面)は、曲面となっている。これは、基板ホルダ(950mm径)の形状に合わせて曲面に形成されたものである。そして、補助室の上下側板の外側(成膜室C2とは反対側)の端部は、上記曲面に合わせて略半円状となっている。このようにすることにより、補助室の端部においては曲面で圧力差を支える構造とすることができる。また、これにより省スペース化が図られている。
【0027】
また、本例の装置Aでは補助室に手動式の補助室開閉扉20が設けられており、作業者が補助室開閉扉20を開けて、基板ホルダ40の供給及び取外し作業を行うように構成されている。本例では、作業者は基板ホルダ40を床から1000mm程度の高さに保持して、補助室内のドーム搬送機構100の搬送アーム114に取付けたり、取外したりすることができるようになっている。これにより作業者は取付け及び取外し作業を楽な姿勢で行うことができ、作業者に対する負担が低減されている。
【0028】
上記のように補助室にドーム搬送機構100が設けられ、このドーム搬送機構100に、基板ホルダ40を配設するように構成されているので、従来のように補助室下部に搬入機構及び搬出機構を配設し、この搬入機構及び搬出機構を用いて薄膜形成装置の上部側に配置された補助室へ基板ホルダを供給したり、取出したりするために上下搬送処理を行う必要がなく、装置構成と処理工程を簡略にすることができ好適である。
【0029】
また、装置Aの制御盤を補助室下部へ収納することが可能となり、装置Aと制御盤との配線を短くすることができると共に、装置Aの設置面積を小さくすることができる。さらに、作業者の移動距離を短くすることができるので、作業効率が向上される。
【0030】
なお、本例の装置Aでは、通過口14を通り成膜室C2に搬送された基板ホルダ40は、成膜室C2に備えられた基板ホルダ上下搬送機構400によって成膜室C2内上部の成膜位置付近まで搬送される構成となっている。
【0031】
補助室は、図2に示すように補助室を上から見て斜めに切り取られた部分が補助室開閉扉20とされた構成となっている。そして、補助室開閉扉20と補助室とのそれぞれの当接部には平板で形成された枠部21,22が溶接付けされており、枠部22には不図示のパッキンが装着されるようになっている。なお、パッキンは枠部21側に装着されるようにしてもよい。補助室開閉扉20は補助室後側板に設けられているヒンジに取付けられており、補助室開閉扉20は当該ヒンジを中心として装置Aの水平方向外側に回動して開くようになっている。
【0032】
また、補助室開閉扉20は不図示の扉締め金具(供給室C1及び取出室C3にそれぞれ1箇所づつ配設)によって、閉めることができるようになっている。なお、本例では、扉締め金具の配設箇所を1箇所とすることにより、作業者の負担が軽減されている。なお、補助室内部が排気されると補助室開閉扉20が密着する方向に力を受けるので、枠部21,22及びパッキンが密着することにより補助室内部の気密性は保たれる。
【0033】
以上のように補助室開閉扉20と補助室との合わせ面が斜めとなっているので、補助室開閉扉20の開口部は、矩形状で水平方向に大きく開口したものとなる。これにより、作業者が基板ホルダ40をドーム搬送機構100に取付ける作業が容易となる。
【0034】
なお、本例では、作業者は補助室開閉扉20を55度程度開くことにより、基板ホルダ40の脱着作業を行うことができる。また、補助室の形状は、基板ホルダ40の外形形状に合わせて形成されているので、基板ホルダ40がドーム搬送機構100に取付けられた状態では、基板ホルダ40の一部が外に出ている状態となる。そして、補助室開閉扉20が閉められると、一部外に出ていた部分が、補助室開閉扉20に収容される。
【0035】
また、開口部が大きく形成されることにより、補助室内に配設されている機構(例えば、基板加熱用のハロゲンヒータ、ドアバルブ機構300等)へのアクセスが容易となり、メンテナンス及び点検が容易となる。
【0036】
また、従来のように搬入機構,搬出機構によって基板ホルダ40を補助室内に供給したり、取外しをしたりする構成では、搬入機構,搬出機構のメンテナンス等の作業が必要となるが、本例では作業者が搬送アーム114に基板ホルダ40を脱着するだけの構成なので、前記機構に対するメンテナンス等の作業が発生しないので好適である。
【0037】
また、補助室開閉扉20と補助室との合わせ面が本例のように斜めでなく、基板ホルダ40の搬送方向(供給室C1から成膜室C2への方向)と略垂直になるように補助室開閉扉20が形成された場合と比べて、本例の場合は作業者の移動距離が短くて済むので、作業効率が向上されることが期待される。
【0038】
なお、本例では補助室開閉扉20は手動式としたが、これに限らず電動モータ等の駆動源によって自動的に開閉される構成としてもよい。
【0039】
供給室C1、取出室C3の後部側板には、排気口24が形成されており、それぞれの排気口24には共用のあら引きポンプがバルブを介して接続されている。なお、高真空ポンプを接続することも可能となっており、例えば取出室C3で撥水処理を行う場合に高真空ポンプが配設される。
【0040】
また、供給室C1、取出室C3には、ドーム搬送機構100,ドアバルブ機構300及びドーム回転機構200が配設されている。また、供給室C1には、不図示の基板加熱機構が配設されている。
【0041】
供給室C1に配設されたドーム搬送機構100は、搬送アーム110,112,114によって基板ホルダ40を供給室C1から成膜室C2の基板ホルダ上下搬送機構400に受け渡す機構である。また、取出室C3のドーム搬送機構100は、成膜処理が行われた基板ホルダ40を基板ホルダ上下搬送機構400から成膜室C2内で受取り、取出室C3へ搬送する機構である。
【0042】
基板ホルダ40は、図1に示すように複数の基板を取付け可能なドーム部42と、ドーム部42の頂上部に取付けられた円筒形状のドームヘッド41とから構成されている。ドームヘッド41は上部に斜め外側上方に延出する係合部を備えており、基板ホルダ40は該係合部に搬送アーム114のツメ部115aを引っ掛けるようにして取付けられる。
【0043】
また、ドームヘッド41には上部からモニタホルダ650を挿着可能となっている。モニタホルダ650の高さは、ドームヘッド41の高さよりも大きくなっており、モニタホルダ650がドームヘッド41内に挿着されると、ドームヘッド41の上下にモニタホルダ650の上部及び下部が一部突出する状態に保持される。
【0044】
チャンバ間を気密的に仕切るバルブ機構としてのドアバルブ機構300は、通常、弁板310を閉位置に保持して通過口14を気密的に閉じているが、ドーム搬送機構100によって基板ホルダ40が受渡しされる際に弁板310を開位置まで作動させて通過口14を開くように構成されている。
【0045】
補助室に配設されたドーム回転機構200は、補助室が排気又はリークされている所定期間に、補助室内で基板ホルダ40をドーム搬送機構100から受取り、所定回転速度で回転させる機構である。
【0046】
成膜室C2の後部側板には、排気口25が形成されており、2台の高真空ポンプと1台のあら引きポンプがバルブを介して接続されている。図3に示すように、排気口バッフル26は後面側壁との間に所定の間隔を空けて配設されている。従来は、排気口を塞ぐように排気口バッフルが配設されていたが、本例のような配置にすることにより流体の流れがスムーズとなり、成膜室C2の排気効率向上が図られている。
【0047】
成膜室C2内には、ベースシールド30の中央部に電子ビーム蒸発源31及び電子ビームシャッタ機構32が配設されている。本例の電子ビーム蒸発源31は、1台の電子銃,ハース(800mm径エンドレスハース)を備えている。なお、ハースの蒸着材料保持部が大型化されているため、試料自動供給機構は配設されていない。ただし、2台の電子銃や試料自動供給機構を配設するようにしてもよく、また、抵抗加熱蒸着源を配設してもよい。
【0048】
また、成膜室C2内壁はフラット化されており、これにより防着シールドの取付けが容易となっており、内部の清掃性が向上されている。
【0049】
また、成膜室C2には、基板ホルダ上下搬送機構400,ドーム回転機構500,モニタ回転機構600(不図示),光学式膜厚計700,基板加熱機構(不図示)が配設されている。
【0050】
基板ホルダ上下搬送機構400は、ドーム搬送機構100から受取位置で基板ホルダ40を受取り、基板ホルダ40を成膜室C2内の上部成膜位置付近(チャック位置)まで搬送し、成膜処理後、再びチャック位置から受取位置まで搬送してドーム搬送機構100に受渡すように構成されている。
【0051】
成膜室C2のドーム回転機構500は、基板ホルダ上下搬送機構400からチャック位置で基板ホルダ40を受取り、成膜処理中、基板ホルダ40を所定回転速度で回転させ、成膜処理後、再び基板ホルダ上下搬送機構400へ基板ホルダ40を受渡す機構である。
【0052】
モニタ回転機構600は、基板ホルダ40の中央部に載置された円筒状のモニタホルダ650を蒸着材料毎に所定角度(本例では45度)回転させる機構である。モニタホルダ650の底部にはモニタガラス656が配設されている。成膜処理中、モニタガラス656の所定位置に形成された薄膜の膜厚は、光学式膜厚計700によって計測されるように構成されている。
【0053】
また、成膜室C2の前面には、作業用扉27が配設されている。作業用扉27は、外側に突出する凸状のフタ部27aと、フタ部27aの外周に溶接付けされた額縁状の枠部27bから構成されている。フタ部27aは、厚さ12mmの板材を使用して形成されており、前面はRが大きく採られた曲面(本例の場合、3000mm径)となっている。
【0054】
また、枠部27bは、フラットバー(30mm×75mm)をそのまま使用して形成されており、幅75mmとされている。これにより、コスト低減が図られている。ただし、本体との接触面は切削加工されると共に、溝部が形成されパッキンが装着されている。
【0055】
さらに、作業用扉27は、成膜室C2の前面全体を覆うような構成ではなく高さが低く形成されており、作業スペースのみが開口するようになっている。以上のように構成することにより、作業用扉27は軽量化と開閉時の作業者の負担軽減が図られている。
【0056】
また、補助室開閉扉20の前面中央部には、基板監視用の覗窓28が取付けられている。成膜室C2の側板上方には基板監視用の覗窓28が取付けられており、作業用扉27には蒸発源確認用の覗窓28(左右2箇所)と搬送アーム確認用の覗窓28(中央1箇所)が取付けられている。
【0057】
図4に示すように、覗窓28は、側板等に形成されたリング状のフランジ28aに、アクリル板28bがOリング28eを挟んでボルト28fにて取付けられている。また、アクリル板28bの内側には、蒸着防止筒28d,保護ガラス28cがスプリング28gによって弾性的に係止されている。
【0058】
このように、覗窓28の外側窓は、フランジ28aとその外側に配設されたリング状の押えフランジとで挟持される構成ではなく、保護ガラス28cの外側に配設される外側窓としてのアクリル板28bとフランジ28aとが、ボルト28fで螺子留めされる構成となっている。これにより、前記押えフランジが不要となり、部品点数が低減される。
【0059】
次に、図5に基づきドーム搬送機構100について説明する。ドーム搬送機構100は、チェーン駆動による吊下げアーム式(3リンク)の搬送装置であって、基板ホルダ40は搬送アーム114に取付けられてチャンバ間を水平移動するようになっている。隣合うチャンバ間の搬送時間は10秒程度となっている。
【0060】
ドーム搬送機構100は、駆動部としての駆動モータ101、3リンクの搬送アーム110,112,114、速度制御するための位置センサ131等から構成されている。
【0061】
駆動モータ101(本例の場合はインダクションモータ)は、補助室上部の大気側に配設されている。駆動モータ101の回転出力は、出力軸102に挿着されたプーリ104に伝達される。一方、補助室の上板には真空シール121が取付けられており、真空シール121の大気側には回転軸120が連結されている。
【0062】
回転軸120には、プーリ122及びチョッパ130が挿着されており、さらにプーリ122と真空シール121との間には電磁ブレーキ124が挿通されている。プーリ104とプーリ122には無端ベルト状の駆動ベルト123が回動自在に掛け渡されている。プーリ122の外径は、プーリ104の外径の6倍程度となっており、駆動モータ101の回転出力は、プーリ104及びプーリ122によって減速されて回転軸120に伝達される。
【0063】
搬送アーム110の図中左側端部には不図示の回転軸が取付けられており、該回転軸が真空シール121の真空側に連結されている。したがって、回転軸120が回動することにより、真空シール121を介して搬送アーム110が回動するようになっている。
【0064】
また、搬送アーム112の左側端部に取付けられた回転軸112aが搬送アーム110の右側端部に挿通され、搬送アーム110,112は回転軸112aを中心として回動可能に連結されている。また、搬送アーム112,114も同様に、搬送アーム114の左側端部に取付けられた回転軸114aが搬送アーム112の右側端部に挿通され、搬送アーム112,114は回転軸114aを中心として回動自在に連結されている。
【0065】
さらに、搬送アーム110上側には駆動チェーン111が配設されており、駆動チェーン111は回転軸112aに取付けられた歯車112bと真空シール121の下端部に取付けられた歯車121aとに掛け渡されている。また、搬送アーム112上側にも同様に駆動チェーン(不図示)が配設されており、該駆動チェーンは回転軸114aに取付けられた歯車114bと回転軸112aに取付けられた歯車(不図示)とに掛け渡されている。
【0066】
駆動チェーン111等が搬送アーム110,112の上側に配置されているのは、搬送アーム110,112,114が伸びたときに駆動チェーン111等が張るため、位置精度が出し易いからである。
【0067】
このように搬送アーム110,112,114が取付けられているので、回転軸120が回動して搬送アーム110が回動すると、これによって駆動チェーン111が歯車112bを介して回転軸112a及び搬送アーム112を回動させる。さらに、回転軸112aの回動により、不図示の駆動チェーンが歯車114bを介して回転軸114a及び搬送アーム114を回動させるようになっている。
【0068】
通常、搬送アーム110,112,114は、折り畳まれた状態で待機している。すなわち、図2の供給室C1において破線で示すような状態となっている。つまり、搬送アーム114の先端のU字形状が補助室開閉扉20の開口方向を向くように停止される。そして、駆動モータ101が所定方向に回動すると、搬送アーム110,112,114は、全体に真直ぐになるように腕を伸ばしながら回動し、図2の供給室C1の搬送アーム110,112,114(実線)のような状態となり停止する。
【0069】
このとき、適切な停止位置で停止するように、当て止めストッパが搬送アーム112の上部に設けられている。なお、搬送アーム110,112は、発塵防止のためにカバー110c,112cによって覆われている。また、搬送アーム110,114はステンレススチール材によって形成されているが、軽量化のために搬送アーム112はアルミニウム合金によって形成されている。
【0070】
プーリ122の上方には位置センサ131が配設されている。位置センサ131は回転軸120と共に回動するチョッパ130の回動角度を検出し、不図示の制御部に検出信号を送信している。この検出信号を受け、制御部は電圧制御により回動速度(搬送速度)の制御を行っている。
【0071】
図6に搬送アーム114を示す。搬送アーム114の図中右側端部には基板ホルダ40との係合部であるU字形のハンド部115が取付けられている。ハンド部115は内側にツメ部115aを備えており、基板ホルダ40はドームヘッド41の首部がツメ部115aに載置される状態で搬送アーム114に取付けられる。なお、ハンド部115は、ボルトの締め付けにより搬送アーム114に対する取付け角度の調整ができるようになっている。
【0072】
このように、ドーム搬送機構100は、その構成部材が補助室の上部に配置されている。これにより、基板ホルダ40を搬送する機構をデリバリ搬送機構やキャリア搬送機構とした場合と比べて、本例では他の機構(例えば、前処理機構等)を取付けるためのスペースをチャンバベースに確保することが容易となっている。
【0073】
また、図7に示すように供給室C1内には、搬送アーム支持機構140が配設されている。搬送アーム支持機構140は、チャンバ内上板の真空側に略垂直に取付けられた支持ロッド141と、支持ロッド141の下端部に支持ロッド141を挟持するように取付けられた2枚の支持片142と、2枚の支持片142間に取付けられたローラ143とから構成されている。
【0074】
ドーム搬送機構100の搬送アーム114等が前記折り畳まれた状態に戻るとき、搬送アーム114は略水平方向からローラ143上を滑るように移動してきて、搬送アーム114の下面がローラ143と当接した状態で停止するようになっている。
【0075】
このように、ドーム搬送機構100が前記折り畳まれた状態のとき、搬送アーム114は搬送アーム支持機構140によって下から支えられている。したがって、作業者が基板ホルダ40を搬送アーム114に取付けるときに、誤って搬送アーム114に大きな下向きの力を加えてしまったとしても、搬送アーム支持機構140が下向きの力を支えるのでドーム搬送機構100にダメージを与えることを防ぐことができる。
【0076】
次に、図8に基づき補助室のドーム回転機構200について説明する。ドーム回転機構200は、エアシリンダ220と、エアシリンダ220によって上下移動して基板ホルダ40をドーム搬送機構100から受取って、基板ホルダ40を所定高さまで持ち上げるカップ225と、カップ225を所定速度で回転させる駆動モータ210等から構成されている。
【0077】
エアシリンダ220はチャンバ下部の大気側に固定されており、圧縮空気によりピストン221を所定のストロークだけ伸縮させる。ピストン221上部には、連結部222が取付けられており、連結部222には駆動モータ210が一体に固定されている。したがって、ピストン221が伸縮すると、駆動モータ210も上下移動するようになっている。また、連結部222の上部にはロッド224が回転自在に取付けられており、ロッド224は真空シール230を介してチャンバ内に挿通されている。
【0078】
ロッド224の先端部には有底円筒状のカップ225が取付けられている。また、ロッド224の下部には平歯車223が取付けられており、駆動モータ210の出力軸211に取付けられた平歯車212と噛合している。したがって、駆動モータ210が回転すると、その回転力は平歯車212から平歯車223に伝達され、平歯車223の回転によってロッド224及びカップ225が回転するようになっている。
【0079】
また、カップ225の下部に汚れ防止用のカバー226が取付けられており、カップ225がベースプレート付近(下部位置)にあるときは、畳まれた状態となっており、カップ225が回転位置(上部位置)にあるときは、展開してロッド224をカバーするようになっている。
【0080】
また、連結部222にはローラ228が取付けられている。ローラ228はピストン221の伸縮時にガイド227上を回転しながら上下移動し、ピストン221のぶれを防止している。
【0081】
通常、ピストン221は縮んだ状態で待機している。搬送アーム114に基板ホルダ40が取付けられた後、所定条件が揃うと、不図示の制御部からの制御信号により、エアシリンダ220の延伸側に圧縮空気が導入されピストン221が所定ストローク延伸する。
【0082】
ピストン221が延伸していくと、カップ225の上縁部が基板ホルダ40のドームヘッド41の下縁部と係合し、所定ストロークだけピストン221が延伸し回転位置に達すると、基板ホルダ40は搬送アーム114から10mm程度持ち上げられた状態となる。このときカップ225がモニタホルダ650を覆うため、モニタホルダ650の下部に配設されているモニタガラス656に前処理が影響しないので好適である。
【0083】
制御部は、エアシリンダ220の上部リミットスイッチからの信号を受けた後、駆動モータ210を駆動する。駆動モータ210の回転により、カップ225が所定速度(本例の場合、4RPMまで)で回転し、カップ225に載置された基板ホルダ40も回転する。このとき、基板加熱機構が作動し、基板は所定温度に加熱される。
【0084】
基板ホルダ40の回転処理が終了すると、制御部によって駆動モータ210の回転は停止され、エアシリンダ220の収縮側に圧縮空気が導かれることによりピストン221は収縮する。ピストン221の収縮により、基板ホルダ40は下降し、搬送アーム114に受渡される。制御部は下部リミットスイッチからの信号により圧縮空気の供給を停止する。
【0085】
次に、図9乃至図11に基づきドアバルブ機構300について説明する。ドアバルブ機構300は各補助室に配設されており、ラック・ピニオン方式によって回動するシャフト330を回転中心として弁板310を約90度開閉させることにより、補助室に設けられた通過口14を気密的に開閉するものである。
【0086】
ドアバルブ機構300は、矩形平板状の弁板310と、弁板310に接続されたシャフト330と、シャフト330を回動させる駆動部であるエアシリンダ340等から構成されている。
【0087】
弁板310の一方の面には、略矩形状にパッキン取付用の溝314が形成され、パッキン314aが装着されている。弁板310が閉じられたとき、パッキン314aが通過口14の枠部と当接して、補助室と成膜室C2とは気密的に仕切られる。なお、パッキン314aが前記枠部に取付けられる構成としてもよい。
【0088】
また、本例の装置Aでは、従来と比して通過口14の位置が蒸発源に近い構成となっていることから、弁板310の溝314が形成された面には、防着板313が通過口14の開口部を塞ぐように取付けられている。
【0089】
また、弁板310の他方の面には、アーム取付部312が左右2箇所に取付けられている。アーム取付部312にはアーム320が取付けられている。弁板310の押し付け力を均等にするために、アーム320は高さ調整ねじ322によって弁板310との取付角度を調整して取付けることができるようになっている。
【0090】
アーム320の端部にはシャフト取付部322が形成されており、シャフト取付部322はシャフト330に挿通され、ボルトによってシャフト330に取付けられている。なお、アーム320は2本に限らず、密着性を向上させるために例えば6本としてもよい。
【0091】
シャフト330の両端部には真空シール332が連結されている。真空シール332の大気側には、扇型のピニオン334が連結されている。また、シャフト330の両外側(大気側)には、それぞれエアシリンダ340が配設されている。
【0092】
エアシリンダ340のピストン(不図示)にはラック342が連結されており、エアシリンダ340のピストンが伸びると、ラック342が下方へ移動するようになっている。
【0093】
制御部の信号によってエアシリンダ340が作動し、所定のストロークだけピストンが伸びると、ラック342と噛合しているピニオン334は90度程度回動するように構成されている。そして、ピニオン334が回動すると、真空シール332を介してシャフト330が回動し、弁板310が開閉されるようになっている。
【0094】
このように、補助室と成膜室C2を気密的に仕切る構成を、弁板310の回動によるものとしたことにより、従来のようなゲートバルブ方式の場合と比較して、ゲートボックスが不要となり、ゲートボックスが装置Aの上部に突出することないので装置全体の高さを低くすることができる。
【0095】
なお、本例の装置Aは、幅3710mm、高さ2300mm、奥行1600mm程度であり、従来の同等性能品と比べて小型化されている。このため装置Aを搬送用コンテナ内に収納して搬送することが可能となり、特に海外へ搬送する場合に装置A全体を組み付けた状態で搬送することができる。したがって、設置場所での最終組立て及び調整等の作業時間の大幅な短縮が可能となり、搬送コストを大幅に低減することができる。
【0096】
また、駆動源として油圧ユニットではなく圧縮空気によるエアシリンダ340を使用しているので、装置Aへの汚れ付着を低減することができる。
【0097】
また、ゲートバルブ方式では、ゲートバルブが上下方向に移動して通過口14を塞ぐ構成となっているが、本例のドアバルブ機構300では、弁板310を回動させて枠部に押し付ける構成であるので、より弁板310が枠部に密着して気密性が保たれるので好適である。
【0098】
なお、本例では、弁板310が上側に回動する構成となっているが、これに限らず下側に回動する構成としても良い。このようにすると、メンテナンスにおいてパッキン314aの取り替え作業が容易となる。また、弁板310に付着した異物が基板ホルダ40に落下することがないので好適である。
【0099】
また、本例の弁板310はシャフト330を回転中心として約90度回動して、通過口14を塞ぐ構成であるが、これに限らず、例えばシャフト330と弁板310を複数のリンクによって連結し、シャフト330が回動するとき、弁板310は垂直となった姿勢(弁板310が通過口14を塞ぐときの姿勢)を略維持しながら、通過口14の開閉を行うように構成してもよい。
【0100】
次に、成膜室C2の上部に設けられた各機構について説明する。図12に示すように成膜室C2の上部には、基板ホルダ上下搬送機構400,ドーム回転機構500,モニタ回転機構600(不図示),光学式膜厚計700等が配設されている。なお、成膜室C2の上板には円盤状の取付板35が取付けられており、取付板35にドーム回転機構500,モニタ回転機構600,光学式膜厚計700が配設されている。
【0101】
光学式膜厚計700は、投光器710,受光器720,ミラーボックス730,フィルタチェンジャー740,光束案内筒750を備えている。なお、光束案内筒750は、角パイプで製作されており、製造コストの低減が図られている。
【0102】
基板ホルダ上下搬送機構400は、スチールベルト445によってフレーム460を上下移動させ、フレーム460に載置させた状態で基板ホルダ40を上下搬送するものである。
【0103】
図13に示すように基板ホルダ上下搬送機構400は、大気側に駆動部としての駆動モータ410,ギヤボックス420,位置センサ453等が配設され、真空側にシャフト440,スチールベルト445,フレーム460等が配設された構成となっている。
【0104】
駆動モータ410は成膜室C2の上部後面側中央付近に配設されており、その回転出力は出力軸411を介してギヤボックス420へ伝達され、ギヤボックス420で減速されて回転軸421に伝達される。ギヤボックス420にはウォーム減速機構が採用されており、フレーム460等の急落下防止が図られている。回転軸421にはプーリ423及び平歯車422が挿着されている。
【0105】
成膜室C2の背面側板の上部左右2箇所には、真空シール432が挿着されており、各真空シール432の大気側には回転軸426及びプーリ425が連結されている。
【0106】
プーリ423及び2つのプーリ425には、ベルト切れによる不具合を防止するために2本の無端状のタイミングベルト427a,427bが掛け渡されている。したがって、駆動モータ410が回転するとプーリ423が回転し、その回転力は2本のタイミングベルト427a,427bによって2つのプーリ425に伝達される。
【0107】
また、平歯車422は回転軸451を回転中心とする平歯車450と噛合している。平歯車450にはチョッパ452が取付けられており、平歯車450の回転位置が位置センサ453で検出されるようになっている。
【0108】
真空シール432の真空側にはシャフト430が連結されており、シャフト430の他端部にはジョイント431が取付けられている。シャフト440の一端側にはジョイント441が取付けられており、シャフト430の回転力は、ジョイント431及びジョイント441を介してシャフト440へ伝達される。
【0109】
成膜室C2の上板の真空側には軸受442が取付けられており、シャフト440は2つの軸受442によって支持されている。また、シャフト440には2つのプーリ444が挿着されており、プーリ444にスチールベルト445の一端部が接続されている。スチールベルト445の他端部は、フレーム460のベルト取付部462に取付けられている。したがって、シャフト440が所定方向に回転すると、スチールベルト445はプーリ444に巻き取られ、それに伴ないフレーム460が上方へ搬送されるようになっている。
【0110】
図14に示すように、フレーム460はアングル材によって形成された矩形状の枠部461と、モニタホルダ受部466と、補正板アーム463を主構成部として構成されている。補正板アーム463は、枠部461の各辺中央部と枠部461の中央上部に位置するモニタホルダ受部466とを連結する薄板片である。補正板アーム463には、膜厚分布の均一化を図るために膜厚補正板が取付けられる。
【0111】
枠部461には、左右の辺の2箇所づつに位置決めピン465が取付けられている。位置決めピン465は先端がテーパー形状となっている。また、枠部461の上下の辺の2箇所づつにベルト取付部462が取付けられている。
【0112】
また、供給室C1の右側板外側(成膜室C2側)には、通過口14の下辺付近に薄平板状の揺れ止めガイド33が取付けられている。枠部461には、ガイド片464が取付けられており、フレーム460が上下移動するときにガイド片464が揺れ止めガイド33と摺接して、フレーム460の揺れを防止するようになっている。なお、本例では通過口14の下辺付近での揺れを防止するようにガイド33が取付けられているが、後述する位置決めガイド34付近までの上下移動中の揺れを防止するようにガイド33は位置決めガイド34付近まで延設されてもよい。
【0113】
次に、基板ホルダ上下搬送機構400の動作について説明する。フレーム460は、通常、成膜室C2内下部の待機位置で停止している。基板ホルダ40がドーム搬送機構100によって成膜室C2に搬送され所定位置で停止すると、駆動モータ410が正回転してスチールベルト445を巻き上げ始める。
【0114】
フレーム460が上昇すると、先ずモニタホルダ受部466が基板ホルダ40のドームヘッド41内に載置されたモニタホルダ650の底部と当接し、モニタホルダ650のみがモニタホルダ受部466内に挿通された状態で持ち上げられ、基板ホルダ40とモニタホルダ650とが分離される。
【0115】
さらに、フレーム460が上昇して受取位置に達すると、基板ホルダ40のドーム部42が枠部461と当接し、基板ホルダ40はフレーム460によって持ち上げられる。この状態で駆動モータ410は一旦、回転を停止する。停止している間に搬送アーム114等が供給室C1に戻り、弁板310が閉じられる。
【0116】
その後、駆動モータ410は回転を再開し、フレーム460及び基板ホルダ40をチャック位置まで搬送する。成膜室C2内の左右側板には、チャック位置に対応した高さにガイド孔を有する位置決めガイド34が4箇所取付けられている。チャック位置では、位置決めピン465が位置決めガイド34のガイド孔に入り込んで、フレーム460の水平位置が位置決めされる。
【0117】
成膜処理後、駆動モータ410は逆回転し、フレーム460及び基板ホルダ40は受取位置まで下降する。ここで駆動モータ410は一旦、停止する。停止している間に、取出室C3の弁板310が開き、搬送アーム114等が回動して所定位置に停止する。
【0118】
搬送アーム114等が所定位置に停止すると、駆動モータ410は回転を再開し、フレーム460は待機位置まで下降して停止する。なお、フレーム460が下降することにより、基板ホルダ40は搬送アーム114に載置され、ドーム搬送機構100に受け渡される。
【0119】
次に、図15及び図16に基づき、ドーム回転機構500について説明する。ドーム回転機構500は、基板ホルダ上下搬送機構400から基板ホルダ40を受取り、基板ホルダ40を回転位置(成膜位置)まで持ち上げるリフト機構520,リフト機構520が備える係合アーム546をスプリングの付勢に抗して外側に回動させるリング機構560,基板ホルダ40を回転させる回転機構580から構成されている。
【0120】
リフト機構520は、係合ツメ546aを備える係合アーム546と、係合アーム546及び歯車部541が取付けられた内輪部540と、内輪部540の外側にベアリング531を介して取付けられた外輪部530と、外輪部530にシャフト526等を介して取付けられたエアシリンダ521等から構成されている。
【0121】
エアシリンダ521は所定のストロークだけ伸縮するピストン522を備えており、ピストン522の下端部にはシャフト523が連結されている。シャフト523は、真空シール526を介して真空側に挿通されている。
【0122】
シャフト523には、両端部にベアリングが取付けられた停止用シャフト524が取付けられている。エアシリンダ521が作動すると、ピストン522は、前記ベアリングとガイド板525にガイドされながら伸縮する。そして、ピストン522の延伸位置では停止用シャフト524が真空シール526と当接することにより、ピストン522の所定以上の延伸が防止されている。
【0123】
また、シャフト523の下端部には、外輪部530が取付けられている。内輪部540は、外輪部530の内側にベアリング531を介して取付けられており、内輪部540の上側にリング状の歯車部541が形成され、下側2箇所にアーム部544が形成されている。
【0124】
歯車部541の外側端には、回転機構580の歯車584と噛合する歯542が形成されている。アーム部544の下端部には、係合アーム546が回動自在に接続されている。なお、係合アーム546は、通常、スプリングによりチャック位置(垂直位置)に付勢されている。
【0125】
また、係合アーム546には、ローラ545が水平方向外向きに連結されている。そして、係合アーム546の先端部には、基板ホルダ40のドームヘッド41の首部に係合する係合ツメ546aが水平方向内向きに取付けられている。
【0126】
リング機構560は、リング566と、リング566に接続されたシャフト564と、シャフト564に連結されたピストン562と、エアシリンダ561等から構成されている。
【0127】
シャフト564は真空シール563に挿通されている。また、シャフト564の下端部にはローラ部565が取付けられており、シャフト564が所定ストロークだけ上下移動するとき、ローラ部565はガイド部567に取付けられているガイド板567aと当接しながら上下移動する。通常、リング566は下位置で停止しているが、エアシリンダ561が動作すると、所定ストローク分だけピストン562が縮み、リング566は上位置まで移動する。
【0128】
回転機構580は、駆動モータ(PSモータ)581と、駆動モータ581の出力軸582と、出力軸582の下端部に連結された真空シール583と、真空シール583の真空側に連結された歯車584等から構成されている。
【0129】
歯車584は、少なくともリフト機構520の上下移動ストローク分の高さを有している。これにより、リフト機構520の歯車部541が前記ストローク分だけ上下移動しても、歯車部541の歯542と歯車584は噛合したままとなる。
【0130】
次に、ドーム回転機構500の動作について説明する。基板ホルダ40がフレーム460に載置された状態で、基板ホルダ上下搬送機構400によってチャック位置まで搬送されてくると、制御部からの制御信号により、予めリング機構560のエアシリンダ561は収縮側に作動してリング566を上昇させて上位置で待機させる。
【0131】
リング566が上位置まで上昇していくと、リング566はリフト機構520のローラ545と当接し、リング566はさらにスプリングの付勢に抗してローラ545を上部まで回動させる。このとき、ローラ545が取付けられている係合アーム546も回動し、係合ツメ546aは外側に開いた状態となる。なお、ローラ545を備える内輪部540は回転することが可能であり、回転後にローラ545がどの位置で停止していても、リング546によるローラ545の回動を行うことができる構成となっている。
【0132】
基板ホルダ40がチャック位置で停止すると、リング機構560のエアシリンダ561は延伸側に作動し、リング566は下位置まで下降する。これにより、スプリングの付勢力によって係合アーム546はチャック位置に戻る。
【0133】
そして、リフト機構520のエアシリンダ521が収縮側に作動することにより、係合アーム546等が上昇していくと、係合ツメ546aがドームヘッド41の首部に係合する。エアシリンダ521が所定ストロークだけ作動すると、基板ホルダ40は、回転位置(成膜位置)まで持ち上げられる。これにより、基板ホルダ40は、フレーム460から僅か上方に離れた位置に保持される。
【0134】
基板ホルダ40が回転位置に持ち上げられると、回転機構580の駆動モータ581が回転し始める。駆動モータ581の回転力は、歯車584を介して歯車部541に伝達され、内輪部540及び係合ツメ546aにチャックされた基板ホルダ40等が一体となって回転する。
【0135】
基板ホルダ40の回転速度が所定回転速度に達した後、成膜処理が行われる。なお、本例の場合、基板ホルダ40の回転速度は最大20RPM程度となっている。このように、回転速度を大きくすることにより基板に形成される成膜分布の状態を向上させるようにされている。
【0136】
成膜処理が終了し、回転機構580による基板ホルダ40の回転が停止されると、リフト機構520のエアシリンダ521が延伸側に作動して基板ホルダ40はフレーム460に載置される。そして、リング機構560のリング566が上位置まで移動し、係合アーム546が開状態に保持される。この状態で、基板ホルダ上下搬送機構400が作動し、フレーム460及び基板ホルダ40を受取位置まで搬送する。そして、再びリング機構560のエアシリンダ561が延伸側に作動し、リング566は下位置まで移動して停止する。
【0137】
次に、図7,図17及び図18に基づき、モニタ回転機構600の説明をする。本例のモニタホルダ650は円筒形状をしており、下端部に係止部653が形成され、内部にモニタガラス656(65mm径)を配置することが可能となっている。また、モニタホルダ650の下部外周には係合部651が形成されている。さらにモニタホルダ650の上部外周には係合部651よりも外径が大きなリング部652が形成されている。
【0138】
モニタホルダ650は、成膜処理される前にドームヘッド41内に挿入される。このとき、モニタホルダ650のリング部652がドームヘッド41の肩部に当接した状態となる。
【0139】
図17は、モニタホルダ650がフレーム460のモニタホルダ受部466に載置された状態を示す。モニタホルダ受部466は、ベアリング保持部468と、ベアリング469とから構成される。
【0140】
モニタホルダ受部466は、浅い有底円筒形状を有しており、外側曲面に補正板アーム463が連結されている。また、モニタホルダ受部466の中心には、円錐状の凸部467bが形成されている。さらに、モニタホルダ受部466の底面には、中心からオフセットされた位置にマスク孔467aが形成されている。
【0141】
ベアリング保持部468は、浅い有底円筒形状を有しており、上縁部にはベアリング469が取付けられている。モニタホルダ650がベアリング保持部468上に載置される場合、モニタホルダ650の係合部651がベアリング469と係合するようになっている。
【0142】
また、ベアリング保持部468の底面裏側中心部には凹部468bが形成され、モニタホルダ受部466内にベアリング保持部468が載置されると、凸部467bが凹部468bに入り込むようになっている。
【0143】
また、ベアリング保持部468の底面にはモニタホルダ受部466と同じだけオフセットされた位置にマスク孔468aが形成されており、マスク孔468aとマスク孔467aの中心が略一致するようになっている。
【0144】
このように本例の基板ホルダ上下搬送機構のフレームの内側位置に補正板アームによって連結された、モニタホルダ受部466はベアリング保持部468とベアリング469から構成されており、補正板アーム463はモニタホルダ受部466に連結され、モニタホルダ650は、ベアリング469を介して、ベアリング保持部468に載置されるようになっている。
【0145】
したがって、補正板アーム463が加熱されて熱膨張により変形してせり上がるようなことがあっても、その変形はベアリング保持部468に影響を与えないので、マスク孔468aとモニタガラス656間のクリアランスは所定量に維持されるようになっている。
【0146】
モニタ回転機構600は、モニタホルダ650の上に載置される平歯車620と、平歯車620に回転力を伝達する平歯車614と、平歯車614を回転駆動させる駆動モータ601と、速度制御を行うためのチョッパ642及び位置センサ643等から構成されている。
【0147】
駆動モータ601の出力軸602には、カサ歯車603が連結されている。取付板35には真空シール612が取付けられており、真空シール612の大気側にはシャフト610、真空側にはシャフト613が連結されている。シャフト610には、カサ歯車611が挿着されており、カサ歯車611はカサ歯車603と噛合している。シャフト613の先端部には、所定高さを有する平歯車614が連結されており、平歯車614は平歯車620と噛合している。
【0148】
平歯車620は所定の厚みを有するリング形状をしており、外周に歯が形成されている。また、平歯車620の下面には、中心側にリング状の段部622が形成され、段部622の外側にパッキン用の溝621が形成されている。溝621にはパッキン621aが取付けられている。
【0149】
また、取付板35の下面にはロッド630が、シャフト613と略平行になるように取付けられている。ロッド630の下端部にはリング632が略水平に取付けられている。リング632の中心側には肩部632aが形成されている。リング632が平歯車620上に中心を合わせるように載置されると、平歯車620の外縁部が肩部632aに支持されるようになっている。
【0150】
なお、平歯車614は、リング632の上部に所定間隔を空けて配置されているので、平歯車620がリング632上に載置された状態では、平歯車620は平歯車614の歯の下側と噛合するようになっている。
【0151】
また、シャフト610の上端部には、平歯車615が取付けられている。平歯車615は、回転軸641に挿着された平歯車640と噛合している。また、平歯車640にはチョッパ642が取付けられており、位置センサ643によって位置検出が行われるようになっている。
【0152】
次に、モニタ回転機構600の動作について説明する。基板ホルダ40がフレーム460上に載置され、基板ホルダ上下搬送機構400によってチャック位置まで搬送されると、基板ホルダ40に載置されたモニタホルダ650の上端がリング632上に載置されていた平歯車620と当接して、平歯車620はモニタホルダ650によってリング632から僅かに持ち上げられる。このとき、平歯車620は上方に持ち上げられても、平歯車614と噛合した状態に維持される。
【0153】
成膜処理中、蒸着材料が交換されると、所定のタイミングで駆動モータ601が所定角度だけ回転する。回転角度は、チョッパ642及び位置センサ643等によって制御される。駆動モータ601の回転力は、カサ歯車603,611、シャフト613、平歯車614等を介して、モニタホルダ650の上に載置されている平歯車620へ伝達される。
【0153】
このとき平歯車620が回転すると、その回転力は平歯車620の自重及びパッキン621aとの摩擦力によってモニタホルダ650に伝達され、モニタホルダ650は所定角度だけ回転する。なお、本例の場合、モニタ点数は8点となっており、駆動モータ601の回転量は、蒸着材料交換後にモニタホルダ650が45度づつ回転するように制御される。
【0155】
なお、本例では、平歯車620の回転力はパッキン621aを介して伝達されているが、これに限らずモニタホルダ650と平歯車620との当接部に互いに噛合する歯を設けることにより回転力が伝達されるようにしてもよい。
【0156】
次に、本例の装置Aにより、表1に示す膜構成の成膜処理を行う場合の装置Aの動作について、従来の装置の場合と比較しつつ説明する。なお、図19に、表1の5層膜を構成した場合の分光特性を示す。
【0157】
【表1】
Figure 0004473496
【0158】
図20は本例の装置Aによる薄膜形成処理のタイムチャートであり、図21は従来のデリバリ搬送式装置による薄膜形成処理のタイムチャートである。なお、成膜室C2における成膜処理は、従来のものと同様である。
【0159】
先ず、基板ホルダ40が供給室C1の搬送アーム114に取付けられた状態で所定条件が揃うと、約8秒で弁板310が開く。なお、従来のスライド式のゲートバルブの場合は、ゲートが開くのに約13秒必要であった。
【0160】
弁板310が完全に開くと、ドーム搬送機構100により供給室C1から成膜室C2へ基板ホルダ40が約10秒で搬送される。なお、従来のデリバリ搬送方式では、約23秒必要であった。
【0161】
基板ホルダ40が成膜室C2へ搬送されると、基板ホルダ上下搬送機構400によって、フレーム460が待機位置から受取位置へ約5秒で上昇し、基板ホルダ40はフレーム460へ受渡される。
【0162】
基板ホルダ40がフレーム460へ受渡されると、搬送アーム114等は成膜室C2から供給室C1へ約10秒で戻る。その後、弁板310が閉じると共に、基板ホルダ40はフレーム460に載置された状態で受取位置からチャック位置まで約15秒で上昇する。
【0163】
基板ホルダ40がチャック位置まで達すると、リフト機構520によって基板ホルダ40が約5秒掛かってチャックされる。その後、リフト機構520によって、基板ホルダ40はチャック位置から回転位置(成膜位置)まで約5秒で持ち上げられる。基板ホルダ40が回転位置まで持ち上げられると、その後、約16分間で成膜処理が行われる。
【0164】
このように、基板ホルダ40が成膜室C2へ搬送されてから成膜処理が開始されるまでの所要時間は、本例の場合、約33秒となっている。一方、従来の場合、約72秒必要であった。
【0165】
成膜処理後、基板ホルダ40はリフト機構520によって、回転位置からチャック位置まで約5秒で下ろされる。チャック位置では、約5秒掛かってリング機構560によって基板ホルダ40へのチャックが開放される。
【0166】
チャックが開放されると、基板ホルダ40はフレーム460に載置された状態で、約15秒掛かってチャック位置から受取位置まで下ろされる。これと同時に、取出室C3の弁板310が開く。
【0167】
基板ホルダ40が受取位置に達すると、搬送アーム114が取出室C3から成膜室C2へ約10秒で延伸し、搬送アーム114は基板ホルダ40を受取る。搬送アーム114が基板ホルダ40を受取ると、フレーム460は受取位置から待機位置まで約5秒で下降して停止する。
【0168】
フレーム460が待機位置に達すると、基板ホルダ40はドーム搬送機構100によって成膜室C2から取出室C3へ約10秒で搬送される。このとき、次の基板ホルダ40を供給室C1から成膜室C2へ搬送するために、供給室C1の弁板310が開く。
【0169】
基板ホルダ40が取出室C3へ搬送されると、取出室C3の弁板310が約10秒で閉じ、取出室C3内のリーク処理が開始される。リーク終了後、基板ホルダ40は作業者によって取り出される。
【0170】
このように、成膜処理が終了してから、次の基板ホルダ40を供給室C1から成膜室C2へ搬送するために弁板310を開く処理が開始されるまでの所要時間は、本例の場合、約48秒となっている。一方、従来の場合、約108秒必要であった。
【0171】
すなわち、本例の装置Aの場合、タクトタイムは約17分40秒であり、従来装置の場合、タクトタイムは約19分40秒であった。このように、本例の装置Aでは、従来と比してタクトタイムが約2分短縮され、より生産性の向上が図られている。
【0172】
タクトタイムが短縮された理由としては、ドアバルブ機構300によってチャンバ間を気密的に仕切る弁板310の開閉時間が短縮されたこと、ドーム搬送機構100によって基板ホルダ40のチャンバ間搬送時間が短縮されたこと、基板ホルダ上下搬送機構400によって成膜室C2内での基板ホルダ40の上下搬送時間が短縮されたこと、及び弁板310の開閉処理と基板ホルダ40の上下搬送処理を同時期に行うように処理シーケンスが変更されたこと等が挙げられる。なお、各機構の制御は、不図示の制御盤が有する制御部によって行われる。
【0173】
本例の装置Aは、3チャンバ構成で左側のチャンバから順に供給室、成膜室、取出室とされているが、これ以外にもチャンバの構成を変えることが可能である。
【0174】
例えば、左チャンバと右チャンバを供給室、取出室の共用室とすれば、左チャンバに供給された基板は、中チャンバで成膜処理を行われ、その後、左チャンバに搬送されて取出され、同様に右チャンバに供給された基板は、中チャンバで成膜処理を行われ、その後、右チャンバに搬送され取出されるように構成することができる。
【0175】
装置Aがこのように構成されることにより、左チャンバに基板が供給されるときと、右チャンバに基板が供給されるときとで、成膜条件(成膜膜厚)を変えることが容易となり、装置Aは多品種成膜に対応することが可能となる。
【0176】
また、装置Aに後処理室(例えば、撥水膜成膜処理室)を別途に設けて、4チャンバ構成としても良い。
【0177】
また、本例では、供給室と取出室を別々に設けているが、これに限らずこれらを供給及び取出しの双方を行うことが可能な共用室としてもよい。そして、装置Aを共用室、前(後)処理室、成膜室の3チャンバ構成とすることができる。この場合、前(後)処理室に、成膜処理後の基板ホルダと成膜処理前の基板ホルダを上下位置で入れ替える機構を設けるとよい。
【0178】
また、本例の装置Aでは、各機構がユニット化されており、さらに他の機構(ユニット)を追加,変更することが可能となっている。例えば、ガス導入機構を追加したり、電子ビーム蒸発源を2つの電子銃構成としたものに変更したりすることが可能である。これにより、追加変更を含めた装置Aの製造工数の把握が容易となると共に、使用者のニーズを満足する装置Aを短納期で提供することが可能となる。
【0179】
【発明の効果】
以上のように、本発明のモニタホルダを備えた薄膜形成装置によれば、基板ホルダ上下搬送機構の前記フレームの内側位置に補正板アームによって連結されたモニタホルダ受部は、ベアリング保持部とベアリングから構成されており、補正板アームはモニタホルダ受部に連結され、モニタホルダは、ベアリングを介して、ベアリング保持部に載置されるようになっている。
したがって、補正板アームが加熱されて熱膨張により変形してせり上がるようなことがあっても、その変形はベアリング保持部に影響を与えないので、マスク孔とモニタガラス間のクリアランスは所定量に維持される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の薄膜形成装置の正面説明図である。
【図2】 実施例の薄膜形成装置の上面説明図である。
【図3】 実施例の成膜室の側面説明図である。
【図4】 実施例の覗窓の断面図である。
【図5】 実施例のドーム搬送機構の説明図である。
【図6】 実施例の搬送アームの正面図である。
【図7】 実施例の搬送アーム支持機構の説明図である。
【図8】 実施例の補助室のドーム回転機構の説明図である。
【図9】 実施例のドアバルブ機構の説明図である。
【図10】 実施例のドアバルブ機構の説明図である。
【図11】 実施例のドアバルブ機構の説明図である。
【図12】 実施例の成膜室上部の機構の説明図である。
【図13】 実施例の基板ホルダ上下搬送機構の説明図である。
【図14】 実施例のフレームの正面図である。
【図15】 実施例の成膜室のドーム回転機構の説明図である。
【図16】 実施例の成膜室のドーム回転機構の説明図である。
【図17】 実施例のモニタホルダ受部の説明図である。
【図18】 実施例のモニタ回転機構の説明図である。
【図19】 実施例の分光特性図である。
【図20】 実施例の薄膜形成処理のタイミングチャートである。
【図21】 従来例の薄膜形成処理のタイミングチャートである。
【符号の説明】
2 搬送用治具、11 架台、12 ジャッキアップ部材、13 搬送用治具取付部、14 通過口、16,17 リブ、18 吊上げ用穴、19 ベースプレート、20 補助室開閉扉、21,22 枠部、24,25 排気口、26 排気口バッフル、27 作業用扉、27a フタ部、27b 枠部、28 覗窓、28a フランジ、28b アクリル板、28c 保護ガラス、28d 蒸着防止筒、28e Oリング、28f ボルト、28g スプリング、30 ベースシールド、31 電子ビーム蒸発源、32 電子ビームシャッタ機構、33,34 ガイド、35 取付板、40 基板ホルダ、41 ドームヘッド、42 ドーム部、100 ドーム搬送機構、101 駆動モータ、102 出力軸、104 プーリ、110c,112c カバー、110,112,114 搬送アーム、111 駆動チェーン、112a,114a 回転軸、112b,114b 歯車、115 ハンド部、115a ツメ部、120 回転軸、121a 歯車、121 真空シール、122 プーリ、23 駆動ベルト、124 電磁ブレーキ、130 チョッパ、131 位置センサ、140 搬送アーム支持機構、141 支持ロッド、142 支持片、143 ローラ、200 ドーム回転機構、210 駆動モータ、211 出力軸、212 平歯車、220 エアシリンダ、221 ピストン、222 連結部、223 平歯車、224 ロッド、225 カップ、226 カバー、227 ガイド、228 ローラ、230 真空シール、300 ドアバルブ機構、310 弁板、312 アーム取付部、313 防着板、314 溝、314a パッキン、320 アーム、322 シャフト取付部、330 シャフト、332 真空シール、334 ピニオン、340 エアシリンダ、342 ラック、400 基板ホルダ上下搬送機構、410 駆動モータ、411 出力軸、420 ギヤボックス、421 回転軸、422 平歯車、423,425 プーリ、426 回転軸、427a,427b タイミングベルト、430,440 シャフト、431,441 ジョイント、432 真空シール、442 軸受、444 プーリ、445 スチールベルト、450 平歯車、451 回転軸、452 チョッパ、453 位置センサ、460 フレーム、461 枠部、462 ベルト取付部、463 補正板アーム、464 ガイド片、465 位置決めピン、466 モニタホルダ受部、467a マスク孔、467b 凸部、468 ベアリング保持部、468a マスク孔、468b 凹部、468c ネジ部、469 ベアリング、500 ドーム回転機構、520 リフト機構、521 エアシリンダ、522 ピストン、523 シャフト、524 停止用シャフト、525 ガイド板、526 シャフト、526 真空シール、530 外輪部、531 ベアリング、540 内輪部、541 歯車部、542 歯、544 アーム部、545 ローラ、546 リング、546 係合アーム、546a 係合ツメ、560 リング機構、561 エアシリンダ、562 ピストン、563 真空シール、564 シャフト、565 ローラ部、566 リング、567 ガイド部、567a ガイド板、580 回転機構、581 駆動モータ、582 出力軸、583 真空シール、584 歯車、600 モニタ回転機構、601 駆動モータ、602 出力軸、603,611 カサ歯車、610 シャフト、612 真空シール、613 シャフト、614,615 平歯車、20 平歯車、621 溝、621a パッキン、622 段部、630 ロッド、632 リング、632a 肩部、640 平歯車、641 回転軸、642 チョッパ、643 位置センサ、650 モニタホルダ、651 係合部、652 リング部、653 係止部、656 モニタガラス、700 光学式膜厚計、710 投光器、720 受光器、730 ミラーボックス、740 フィルタチェンジャー、750 光束案内筒、A 薄膜形成装置、C1 供給室、C2 成膜室、C3 取出室

Claims (2)

  1. 成膜室に設けられ、基板ホルダを支持し昇降させるフレームを有すると共に、モニタホルダを備えた基板ホルダ上下搬送機構を有する薄膜形成装置であって、
    前記基板ホルダ上下搬送機構の前記フレームの内側位置に補正板アームによって連結された、有底円筒形状を有したモニタホルダ受部と、
    該モニタホルダ受部の底面の中心からオフセットされた位置に形成されたモニタホルダ受部のマスク孔と、
    前記モニタホルダ受部載置されたベアリング保持部と、
    該ベアリング保持部の底面の中心からオフセットされ前記モニタホルダ受部のマスク孔と略一致する位置に形成されたベアリング保持部のマスク孔と、
    前記ベアリング保持部に保持されたベアリングと、
    モニタガラスを底面に保持し、下部外周に前記ベアリングとの係合部を有する円筒形状のモニタホルダと、
    を備え、
    前記モニタホルダを前記ベアリングに係合させることで、前記ベアリング保持部のマスク孔と前記モニタガラス間のクリアランスが所定間隔で維持されてなることを特徴とするモニタホルダを備えた薄膜形成装置。
  2. 前記モニタホルダ受部の中心には、円錐状の凸部が形成され、前記ベアリング保持部の底面裏側中心部には凹部が形成され、前記モニタホルダ受部内に前記ベアリング保持部を載置すると、前記凸部が前記凹部に入り込むようにしてなることを特徴とする請求項1記載のモニタホルダを備えた薄膜形成装置。
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