JP4473366B2 - 液体移送販売用容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酒類等の液体を収容して移送すると共に、該液体を分注するに好適な液体移送販売用容器に関する。
【0002】
【関連する背景技術】
酒類や飲料水等は、専ら、ビンや缶等の容器に収容されて一定量を単位として販売されている。しかし小売店等において、酒類等を顧客が望む量だけ計量販売(所謂量り売り)することも試みられており、容器資源の節約効果が期待されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような酒類等の計量販売を実現する場合、2リットル程度の小型容器からわざわざ分注することは甚だ効率が悪い。これに対して20リットル程度の容量の中型容器や、100リットル程度の容量の大型容器から分注することが考えられているが、一般的に容器の取り扱い(持ち運び)に多大な労力を要し、例えば台車に載せて移送する必要がある。ちなみに液体輸送用の1000リットル以上の容量を持つ超大型容器は、フォークリフト等の機械により荷役に供するように構成されるが、これを小売店等の店先にて取り扱うことは殆ど困難である。
【0004】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、荷役機械および人手の双方による移送が容易で、しかも酒類や飲料水等の計量販売に適した構造の液体移送販売用容器を提供することにある。
即ち、本発明は酒類や飲料水等の移送に好適で、しかも酒類や飲料水等の計量販売にそのまま用いるに適し、またその保管にも適した取り扱いの容易な液体移送販売用容器を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するべく本発明に係る液体移送販売用容器は、上部に密閉可能な蓋体を備えた容器本体の底部を錐形状に形成し、フォークリフトやリフター等の荷役機械による搬送用パレット構造を有してその下部に車輪を組み込んだ台座上に、前記容器本体の底部に設けた筒状の脚部を固定することで前記容器本体を台座上に一体に組み込んだものであって、特に前記容器本体における上記錐形状の底部の頂部に連接して設けられ前記容器本体の側方に向けて曲折された排出パイプと、この排出パイプの先端部に装着された排出バルブ機構とを囲むようにして前記脚部を筒状に設け、前記排出バルブ機構を前記台座の側部上方に位置付けて支持したことを特徴としている。
【0006】
即ち、本発明は、上部に密閉可能な蓋体を備えた容器本体の底部を錐形状に形成すると共に、この底部に排出バルブ機構を連接することで、その内部に収容した酒類や飲料水等の排出(分注)を容易化し、またこの容器本体を、その底部に設けた脚部を介して搬送用パレット構造を有する台座上に固定することで、フォークリフトやリフター(荷役機械)による移送を容易ならしめると共に、該台座の下部に組み込んだ車輪により人手による移送(手押し)を容易化している。そしてこのような構造を採用することで、例えば200リットル程度の酒類や飲料水等を収納した容器の取り扱いと、その計量販売、つまり量り売り(分注)の容易化を図ったことを特徴としている。
【0007】
特に本発明は、前記搬送用パレット構造をなす台座を略正方形状の載置面を有するものとし、前記容器本体を上記台座の一辺よりも幅狭の側面を備えた略四角形状の筒部をなす形状とすることにより、容器本体の容量を十分大きくすると共に、その外壁面を台座の辺部よりも内側に位置付けて接触による損傷から保護し、更には前記脚部を前記排出バルブ機構を間にして対峙させて設けられて前記排出パイプを囲む一対のコの字状の壁部材とすることで、排出パイプを保護するようにしたことを特徴としている。この際、容器本体の底部に連接した排出バルブ機構についても台座の辺部よりも内側に位置付けることが望ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る液体移送販売用容器について、酒類の移送とその計量販売に用いられる容器を例に説明する。
図1はこの実施形態に係る液体移送販売用容器の概略構成を示す正面図であり、図2はその部分側面図である。この液体移送販売用容器は、図3にその分解斜視図を示すように概略的には容器本体1と台座2とからなり、容器本体1を脚部3を介して台座2上に固定した構造をなす。また台座2の下部には、その四隅に位置して車輪(キャスタ)4がそれぞれ取り付けられ、適宜、押し転がして(手押しにより)移送し得るようになっている。
【0009】
さて容器本体1は、四角錐形状の下方に向けて湾曲した底部1aを有する略四角形状の筒部1dをなし、その上部に密閉可能な蓋部5を備えた構造を有する。この容器本体1はステンレス鋼からなり、例えば200リットル程度の容量を有するものとして製作される。四角錐形状をなす底部1aの頂部には排出パイプ6が連接されており、側方に向けて曲折された排出パイプ6の先端部には排出バルブ機構7が装着されている。つまり容器本体1の最も低い底位置に排出パイプ6が連接されており、容器本体1に収納された酒類等の液体が滞りなく最後まで円滑に排出されるようになっている。
【0010】
ちなみに排出パイプ6はその先端部に向けて若干下向きに傾斜をなして設けられており、容器本体1内から排出される酒類等の液体が排出バルブ機構7を介して円滑に流れ出るように配慮されている。また排出パイプ6は、容器本体1の底部に固着された支持桿(ステー)6aにて強固に支持され、排出バルブ機構7に加わる外力等に起因する折損等から保護されている。尚、蓋部5について後述する。
【0011】
一方、前記台座2は前記容器本体1よりも幅の広い正方形状の載置面を有する枠体からなる搬送用パレット構造を有している。この台座2は、その側部に荷役機械(フォークリフトやリフター)の爪(フォーク)が挿入される開口部2aをそれぞれ備えている。また台座2における載置面をなすと共に、上記開口部2aから挿入された荷役機械の爪の受け止め部をなす上面部は、図3に示すように複数の桟部材2bを井桁状に組んだ構造をなしている。この井桁構造化により台座2の軽量化が図られており、また長さや幅の異なる荷役機械の爪をその下面の複数の部位にて確実に受け止めるようになっている。つまりフォークリフト等におけるフォークの間隔やその長さが各種のフォークリフト等の仕様によって様々であることから、その違いに拘わることなくフォーク(爪)を確実に受け止めるように、複数の桟部材2bを井桁状に組み込んだ構造となっている。
【0012】
しかしてこのような台座2上に前述した容器本体1を固定する脚部3は、例えば容器本体1の底部1aを囲むように設けられる2つのコの字状の壁部材からなる。これらの壁部材からなる一対の脚部3は、台座2の上面にその辺部に沿って互いに対向して固定され、その上端部にて容器本体1の底部1aの周面を支持する役割をなす。特に脚部3は、容器本体1の底部1a、およびこの底部1aに連接された排出パイプ6と排出バルブ機構7とを台座2の上面から浮かして該容器本体1を水平に、且つ安定に支持する役割をなす。
【0013】
また容器本体1は、コの字状の一対の脚部3の各縁部が対向して形成する開口部の一方に前記排出バルブ機構7が位置するように、その向きを揃えて前記脚部3の上端部に固定される。この結果、脚部3の内側に位置付けられる排出バルブ機構7は、脚部3間の開口部に対峙させて設けられ、この開口部を通して排出バルブ機構7への図示しない排出チューブの装着作業や、排出バルブ機構7の操作を無理なく行い得るようになっている。そして排出バルブ機構7を囲むようにして設けられる脚部3は、排出バルブ機構7等を保護する役割も果たすものとなっている。
【0014】
さて容器本体1の上部に密閉可能に設けられた蓋部5は、図4にその部分断面構造を示すように、概略的には容器本体1の上面中央部に設けられた大径のマンホール部1bを密閉する蓋体5aと、この蓋体5aに設けられた小径の充填口部5bを閉塞するキャップ部5cとからなる。蓋部5が設けられるマンホール部1bは、容器本体1の上面中央部を円形状に開口し、その開口縁部に円環状の壁部を突出形成した構造を有し、その開口端をなす壁部の上端にシリコーン樹脂等からなるガスケット1cを装着している。このガスケット1cは、マンホール部1bの開口端を閉塞する蓋体5aとの隙間を塞ぐ役割を担う。
【0015】
マンホール部1bよりも大径の円盤状の蓋体5aは、マンホール部1bの壁部にヒンジ機構5dを介して開閉自在に装着されており、ガスケット1cを介してマンホール部1bの開口端を閉塞する。この蓋体5aによるマンホール部1bの密閉は、蓋体5aの周囲に設けられた複数の切り溝5eに、マンホール部1bの壁部に取り付けられた複数のヒンジボルト5fをそれぞれ嵌め込み、その蝶ナット5gを締め付けることにより行われる。この蓋体5aの開閉は、専ら、容器本体1の内部の清掃等を目的として行われる。しかもヒンジボルト5fは、マンホール部5fに傾動自在に取り付けられたものであるから、蓋体5aを開いたときに紛失するようなおそれがない。
【0016】
また蓋体5aに設けられた小径の充填口部5bは、その周面にネジ溝を有し、内部に濾過フィルタ8を嵌め込み得るようになっている。キャップ部5cは、充填口部5bの先端にリング状のパッキング9を装着した状態で該充填口部5bに螺合させることにより取り付けられる。このようなキャップ部5cにより開閉される充填口部5bは、主として容器本体1への酒類等の充填に供されるものであるが、前述した排出バルブ機構7を介する酒類等の排出時に容器本体1に空気を導入する空気穴としても機能する。充填口部5bを空気穴として機能させる場合には、キャップ部5cを若干緩めることで充填口部5bの周面との間に空隙を形成するだけでも十分であり完全に取り外す必要はない。しかし容器本体1に収納した酒類等を短時間に一気に排出したい場合には、キャップ部5cを完全に取り外すことのみならず、蓋体5aを開くことも勿論可能である。
【0017】
尚、容器本体1の上面のマンホール部1bの周囲には、図4に示すように半円弧状の引掛け部10が形成されており、また蓋体5aにも同様な引掛け部11が設けられている。更にキャップ部5cの上端には突起5hが形成されている。これらの引掛け部10,11や突起5hは、容器本体1への酒類等の充填の後、マンホール部1bを密閉した蓋体5aおよび充填口部5bを密閉したキャップ体5cをそれぞれ封印する為に用いられる。具体的には引掛け部10,11間に、更には引掛け部11と突起5hと間にそれぞれ針金(ワイヤ)を張架し、蓋体5aおよびキャップ体5cによる密閉を解除したとき、これらの針金(ワイヤ)が切断されるように、針金(ワイヤ)を鉛等により封印することによってなされる。このような封印は、前述した排出バルブ機構7の排出口に対しても、その排出口を閉塞する蓋体を取り付けて同様に行われる。尚、蓋体5aの縁部に穴(図示せず)を設けておき、この穴を利用して前記引掛け部10や突起5hとの間に封印用の針金(ワイヤ)を張架するようにしても良い。
【0018】
かくして上述した如く構成される液体移送販売用容器によれば、容器本体1が容量200リットル程度の大型でその重量が重いものであっても、トラック等による移送時にはフォークリフトやリフター等の荷役機械を用いて簡易に荷役作業することができる。また小売店等において酒類の計量販売に供する場合には、車輪4を利用して台座2を押し転がしながら所定の設置場所へと移送することができるので、その取り扱いが容易である。つまり販売店等の環境に応じて、手動式のリフターや車輪(キャスター)4を適宜用いて容器の移送を行い得る。従って、例えばその設置場所に段差があるような場合でも、手動式のリフター等を用いて人手により簡易にその荷役作業を行い得る。
【0019】
また容器本体1の底部1aが四角錐形状をなしているので、内部に収容した酒類等の全てを滞りなく最後まで簡易に排出することができ、その分注作業(量り売り)自体が容易である。しかも台座2上に容器本体1を支持する脚部3は、台座2と共に排出パイプ6や排出バルブ機構7を囲んでいるので、移送中においてこれらを保護する役割を果たす。特に脚部3はフォークリフトのフォーク(爪)が誤って容器本体1の下部に進入することを防ぐことができるので、荷役作業時における容器取り扱いに対する安全性を高めることができる。
【0020】
また台座2が容器本体1よりも若干大き目に構成されており、その辺部よりも内側に容器本体1の側面を位置付けているので、トラックの荷台上に多数の液体移送販売用容器を並べて搬送する場合であっても、台座2間の辺部の突き合わせにより容器本体1同士の接触を防ぐことができる。従って容器本体1の壁面が接触により破損するような不具合を未然に防ぐことができる。更には排出バルブ機構7については、脚部3の内側に位置付けられて外部から保護されているので、これらの損傷を未然に防ぐことができる。
【0021】
また上述した構造によれば、蓋体5aを開けることで容器本体1の内部の状況を容易に目視検査したり、その清掃を行うことができるので、液体移送販売用容器を繰り返し使用する上で非常に好適である。更には販売店等においては、キャップ体5cの開封処理と、排出バルブ機構7の操作を行うだけで良く、大型の蓋体5aを開ける必要がないので、酒類等の計量販売に際しての取り扱いが非常に容易であり、また排出バルブ機構7の操作だけで容器本体1に収納した酒類を最後まで効率的に排出することができる等の利点がある。更には前述したように排出バルブ機構7等が壁状の脚部3の内側に配置されており、容器全体の外観が凹凸の少ない形状として設定されているので、つまり容器本体1の上部を除いて出っ張りがないので、酒類等の計量販売を行う際に販売員の衣服等がその外周部に引っ掛かる等の不具合がなく、取り扱い安全性の点でも優れている。
【0022】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。ここでは容積率を最大化するべく、台座2の形状に合わせて容器本体1の形状を略四角形状の筒部1dをなすものとしたが、円筒形状の容器本体1とすることもできる。この場合、その底部1aについては円錐形状とすれば良い。また容器本体1を楕円形をなす筒部とすることも勿論可能であり、その形状は特に制限されない。また車輪4を着脱可能に設け、トラック等による移送時には車輪4を取り外すようにしても良い。また車輪4については自在回転式のものを用いて移送方向変換の容易化を図るようにしたり、ストッパ付きのものを用いることで不本意な移動を防止するように構成することも有効である。更には容器本体1の容量等は仕様に応じて定めればよいものである。また酒類や飲料水の移送および計量販売用に限らず、みりんや液体調味料等の移送、更にはその保管用の容器として用いることも勿論可能である。その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、移送の容易化を図ると共に、取り扱いの容易化を図ることができ、酒類や飲料水等の移送とその計量販売に適した簡易な構造の液体移送販売用容器を提供することができる。また排出パイプや排出バルブ機構等の不本意な破損を未然に防ぐことができ、しかも排出バルブ機構等の操作性を損なうことのない構造の液体移送販売用容器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る液体移送販売用容器の概略構成を示す正面図。
【図2】図1に示す液体移送販売用容器の部分側面図。
【図3】図1に示す液体移送販売用容器の分解斜視図。
【図4】図1に示す液体移送販売用容器の蓋部の構成を示す部分断面図。
【符号の説明】
1 容器本体
2 台座
3 脚部
4 車輪
5 蓋部
Claims (1)
- 錐形状の底部を有すると共に上部に密閉可能な蓋体を備えた容器本体と、
この容器本体における上記錐形状の底部の頂部に連接して設けられ前記容器本体の側方に向けて曲折された排出パイプと、
この排出パイプの先端部に装着されて前記容器本体の収容物を前記排出パイプを介して外部に排出する排出バルブ機構と、
荷役機械による搬送用パレット構造を有し、その下部に車輪を組み込んだ台座と、
前記排出パイプおよび前記排出バルブ機構を囲むようにして前記容器本体の底部に筒状に設けられると共に、前記排出バルブ機構を前記台座の側部上方に位置付けて前記容器本体を前記台座上に支持した脚部とを具備し、
前記台座は略正方形状の載置面を有し、前記容器本体は上記台座の一辺よりも幅狭の側面を備えた略四角形状の筒部をなし、前記脚部は前記排出バルブ機構を間にして対峙させて設けられて前記排出パイプを囲む一対のコの字状の壁部材からなることを特徴とする液体移送販売用容器。
Priority Applications (1)
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Applications Claiming Priority (1)
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Family Applications (1)
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JP19022799A Expired - Lifetime JP4473366B2 (ja) | 1999-07-05 | 1999-07-05 | 液体移送販売用容器 |
Country Status (1)
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-
1999
- 1999-07-05 JP JP19022799A patent/JP4473366B2/ja not_active Expired - Lifetime
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