JP4472476B2 - 傾斜地盤安定具及び傾斜地盤安定化工法 - Google Patents

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Description

この発明は傾斜地盤安定具及び傾斜地盤安定化工法、詳しくは、崩壊の危険がある傾斜地盤を安定的かつ確実に固定することが出来る器材及びこれを用いた傾斜地盤の安定化工法に関するものである。
特に、山間部においては、集中豪雨などにより地表面の土砂が水分を含んで飽和状態となり、地表斜面が崩壊する土砂災害が毎年多く発生している。これら地表斜面の崩壊の約70%は地表面下2m前後で起きており、このことから地表面下2m以下は安定した岩盤あるいは硬質土であることは明らかである。
特許第3033678号公報 特公昭49−9482号公報 なし
前記特許文献1には、掘削ドリルの先端にロックボルトを接続し、ロックボルトの先端に取付けられた掘削ビットにより、地表面の下層に位置した岩盤を掘削し、形成された穴にグラウト材(セメントミルク)を充填し、グラウト材によってロックボルトと岩盤とを結合させてアンカー機能を持たせると共に、ロックボルトの後部を地表上に突出させ、支圧盤に接続してロックボルトに緊張力を与え、支圧盤によって地盤を圧縮してこれを支持する傾斜面の安定化工法が開示されている。
又、同文献には、適当間隔でロックボルトを設置し、支圧盤同士をワイヤーによって相互に緊張状態を保つ様に連結し、全体で地盤を支持する様にした技術も開示されている。
一方、従来の一般的な傾斜地盤安定化工法においては、支圧盤はコンクリート製あるいは鋼製であり、その底面は平板状のものが通常であった。
しかしながら、これら従来のものにおいては、支圧盤底面と地盤面との間で滑りが生じやすく、支持力が地盤面に均等にかかりにくかった。
又、支圧盤がコンクリート製である場合は、重量が大きいので傾斜面である施工現場における取扱い及び運搬作業は非常に困難であった。一方、前記特許文献1に開示されている傾斜面安定化工法においては、岩盤を掘削し、掘削した穴にグラウト材(セメントミルク)を注入してロックボルトと岩盤とを固定する様にしているが、グラウト材の場合、硬化強度にバラツキが生じやすく、アンカーとしてのロックボルトの引張り強度を十分に確保できないばかりではなく、周辺の地下水汚染の原因となり、生活環境に悪影響を与えるおそれもあった。又、支圧盤同士をワイヤーによって相互に緊張連結したとしても、従来の支圧盤の場合、特に急な傾斜面などでは、支圧盤底面と地盤面との間で滑りが生じやすく、この滑りによって支圧盤相互間の相互緊張状態が失われ、支圧盤同士の緊張を保った連結による安定力の強化といった所期の目的は全く達成されない場合があった。
本発明者は、上述の通り、技術的に問題の多かった傾斜地盤の安定化を実現すべく鋭意研究を行った結果、傾斜地盤を安定的かつ確実に固定できると共に、周辺の地下水を汚染させることがなく、環境保全の面からも極めてすぐれた傾斜地盤安定具及びこれを用いた安定化工法を開発することに成功し、本発明としてここに提案するものである。
円柱状をなし、先端側には掘削刃2が取付けられていると共に、後端側には截頭円錐形のテーパ状部3が形成されており、このテーパ状部3の端面中央からは同軸状に角柱状をなした接続係合用突起4が植設された掘削ビット1と;前記掘削ビット1より若干小さい外径を有する円柱状をなし、先端側には前記接続係合用突起4と係合する接続係合用凹穿部6が同軸状に形成されており、後端側には掘削ドリル7に接続させる為のおねじ部8が同軸状に突設されている延長シャフト5と;円筒状をなし、前記掘削ビット1のテーパ状部3の小径部分よりわずかに大きい内径を有し、先端側から軸芯方向に複数のスリット10が形成され掘削ドリル(7)を分離撤去した後、延長シャフト(5)をガイドとして掘削ビット(1)の後端側からこれに強制的に被せたに、スリット(10)の形成されている箇所の周囲が強制的に押し拡げられる楔締用鋼管9と;前記楔締用鋼管9とほぼ同じ外径を有し、後端側には同軸状にめねじ部12が形成され、楔締用鋼管(9)を掘削ビット(4)に強制的に被せた後に、楔締用鋼管(9)の後端に前端が接続される長尺状の延長鋼管37と;前記延長鋼管37のめねじ部12に螺合されるおねじ溝13が外周に形成された長さ調整用ボルト14と;周縁が下方に折り曲げられ、中央に貫通孔18が形成された偏平ドーム状の支圧用円盤15と;中央に貫通孔20を有し、この貫通孔20の上面には前記長さ調整用ボルト14と螺合するナット21が位置せしめられていると共に、同じ面には放射状に孔明リブ23が溶着され、前記支圧用円盤15の上面に同心円状に重畳される固定用円盤19;とから傾斜地盤安定具を構成することにより、上記課題を解決した。又、円柱状をなし、先端面には掘削刃2が取付けられていると共に、先端寄りの外周にその外径の3倍前後の幅を有する小螺旋翼31が、それより後方寄りに一定距離をあけて同じく外径の5倍前後の大螺旋翼32がそれぞれ固定されたアンカー体30を前記掘削ビット1の代りに用いることにより、傾斜地盤の下層に岩盤24が存在しない地質構造の場合にも傾斜地盤の安定化が図れる様にした。
アンカーとして作用する楔締用鋼管9又はアンカー体30は、岩盤24あるいは砂質土や粘性土、コンクリートなどからなる支持地盤33に確実に固定され、十分な緊張力を支圧用円盤15に加えることが出来、傾斜地盤を確実かつ安定的に保持することが可能となる。又、この傾斜地盤安定具において用いられている鋼管を大径肉厚とした場合、鋼管は自立して地滑りの水平方向の動きにも十分抗することが出来る様になるだけではなく、地滑り以外のコンクリートのアンカーとしても使用が可能となる。更に、グラウト材を用いて地盤に固定するのでない為、緊張力にバラツキが生じることがなく、面的な広がりを持った所望区域に均一な押圧力を加え、土砂崩壊を防ぐことが出来ると共に、地下水汚染のおそれもなくなり、環境保全上からも非常に有利である。
更に、支圧用円盤15は金属あるいは高分子材料製であるので、従来のコンクリート製のものに比べ、重量が軽く、取扱いや運搬が容易で、急斜面での作業も容易である。又、支圧用円盤15には、地盤に喰い込む折り返しが形成されているので、滑りが生じて横方向にずれることがなく、地表面26が軟弱土質であっても、確実にその位置を保持することが出来る。
その頭部を打撃することにより外側に拡がり、岩盤24に形成された掘削孔25と掘削ビット1との間の隙間に確実強固に嵌り込む楔締用鋼管9又は安定した砂質土あるいは粘性土に螺合する大小一対の螺旋翼31、32を有するアンカー体30を用いると共に、支圧用円盤15の周縁に折り返しを形成し、この押し返しが地表面26に喰い込むようにしたことを最大の特徴とする。
図1乃至図6はこの発明に係る傾斜地盤安定具の一実施例の各構成部材の分解図及び結合図である。図中1はその構成部材の一つである掘削ビットであり、堅牢な金属を素材と
し、円柱状をなしており、その先端側端面には掘削刃2が取付けられていると共に、後端側には截頭円錐形のテーパ状部3が一体的に形成されており、このテーパ状部3の端面中央からは同軸状に六角柱状をなした接続係合用突起4が植設されている。又、図中5は延長シャフトであり、前記掘削ビット1より若干小さい外径を有する円柱状をなしており、その先端側の端面には前記掘削ビット1の接続係合用突起4と係合する接続係合用凹穿部6が同軸状に形成されており、後端側には掘削ドリル7に接続させる為のおねじ部8が同軸状に突設されている。
更に、図中9は楔締用鋼管であり、円筒状をなしており、その内径は前記掘削ビット1のテーパ状部3の小径部分よりわずかに大きく形成されていると共に、先端側からは長手方向即ち軸芯に沿って複数条のスリット10が形成されている。又、37は延長鋼管であり、前記楔締用鋼管9とほぼ同じ外径を有し、その後端側の開口部には栓11が溶接されており、この栓11の中央には同軸状にめねじ部12が形成され、外周全体におねじ溝13が形成された長さ調整用ボルト14を螺合出来る様になっていると共に、前端側は適宜手段によって前記楔締用鋼管9の後端に接続出来る様になっている。
一方、図5及び図6中15は偏平ドーム状をなした支圧用円盤であり、金属あるいは高分子材料から形成されており、周縁が下方に向って円弧状に折り曲げられ喰い込み部36となっていると共に、中央から放射状に延びた6本の放射状溝16とこの放射状溝16を横切る様に同心円状に位置した円弧状溝17がそれぞれ形成されており、これら放射状溝16及び円弧状溝17の周縁も下方に向って円弧状に折り曲げられ、喰い込み部36となっている。又、その中央には貫通孔18が形成されており、この貫通孔18を前記長さ調整用ボルト14が貫通出来る様になっている。
更に、図中19は固定用円盤であり、中央には貫通孔20が設けられており、この貫通孔20の上面には前記長さ調整用ボルト14と螺合するナット21が位置せしめられていると共に、同じ面には板状をなし、中央には貫通孔22があけられた孔明リブ23が放射状に3枚溶着されており、前記支圧用円盤15の上面に同心円状に重畳せしめられる様になっている。
この様に、この実施例1は掘削ビット1、延長シャフト5、楔締用鋼管9、延長鋼管37、長さ調整用ボルト14、支圧用円盤15、固定用円盤19とにより構成されており、下記の手順によって傾斜地盤の固定に用いられる。
即ち、掘削ボルト7の先端に延長シャフト5を接続し、更にこの延長シャフト5の先端側の凹穿部6に掘削ビット1の接続係合用突起4を係合させ、延長シャフト5に掘削ビット1を固定し、図2に示す様な状態とし、掘削ビット1の掘削刃2を回転させ、傾斜地盤下層の岩盤24を掘削し、掘削孔25を形成する。なお、岩盤24は通常地表面26から2m前後の位置にあるので、延長シャフト5は掘削ビット1がこれに届くに足る十分な長さとなっている。
この様にして、岩盤24に掘削孔25を形成したなら、延長シャフト5から掘削ドリルを分離撤去し、図7に示す様に、延長シャフト5をガイドとして楔締用鋼管9を掘削ビット1に被せる。そして、この状態において、楔締用鋼管9の後端面をハンマー等によって打撃する。楔締用鋼管9は図8に矢印で示す様に、掘削孔25の底の方へ向って前進し、この楔締用鋼管9の先端側にはスリット10が形成されているので、楔締用鋼管9は掘削ビット1のテーパ状部3によって内側から強制的に押し拡げられ、掘削ビット1の外周と掘削孔25との間の隙間に嵌り込み、この楔締用鋼管9はその拡張力によって岩盤24に形成された掘削孔23に強固に楔締され、アンカーとして作用することになる。
この状態において、延長シャフト5を引き抜き、図9に示す様に、楔締用鋼管9の後端に延長鋼管37を接続し、延長鋼管37の後端のめねじ部8に長さ調整用ボルト14の先端側を螺合し、この長さ調整用ボルト14を支圧用円盤15の貫通孔18及び固定用円盤19の貫通孔22にそれぞれ挿通すると共に、ナット21に螺合させ、これを締め付け、アンカーとして作用している楔締用鋼管9に緊張力を付与して固定用円盤19に重畳された支圧用円盤15を地表面に圧着せしめ、図9に示す状態にして一連の施工作業を完了する。
このとき、支圧用円盤15の周縁、放射状溝16及び円弧状溝17の周縁には、いずれも下方に向って円弧状に折り曲げられた喰い込み部36が形成されているので、これら喰い込み部36は、地表面26に喰い込むと共にこれを包み込み、支圧用円盤15の横方向への滑りを防ぐことになる。
この実施例1は上記の通りの構成を有するものであり、グラウト材などを用いることなく、楔締用鋼管9の拡張力によって岩盤24に楔締されるので、アンカーとして作用する楔締用鋼管9の緊張力を常に一定に保ち、支圧用円盤15の支圧力を安定化させることが出来る。又、支圧用円盤15は金属あるいは高分子材料から成形したものであるので、従来のコンクリート製支圧盤に比べ、加工しやすく、周縁や放射状溝16、円弧状溝17の成形も容易であると共に、重畳が小さく、取扱いや運搬がしやすく、急斜面での工事も容易に実施できる。更に、グラウト材を用いないので、周辺の地下水汚染を引き起こすことがなく、生活環境に悪影響を与えることがない。
図10及び図11はこの発明に係る傾斜地盤安定具の実施例2の側面図であり、この実施例2は傾斜地盤安定化工法を施工すべき所望の地盤下層に岩盤が存在しない場合に用いる傾斜地盤安定具に関するものである。図中30は円柱状をしたアンカー体であり、前述の実施例1と同様に、先端端面には掘削刃2が取付けられており、前端からわずかに後退した外周にはその外径の3倍前後の幅を有する小螺旋翼31が、更にその後方には一定の距離をあけて同じく外径の5倍前後の幅を有する大螺旋翼32がそれぞれ固定されている。なお、このアンカー体30の全長は大螺旋翼32が地盤下層の比較的安定した砂質土や粘性土などからなる支持地盤33に達することが出来る長さとなっている。又、37は延長鋼管であり、図10に示す様に、前端はアンカー体30の後端に同軸状に接続される様になっている。又、その後端には栓11が溶着されて、この栓11には実施例1と同様にめねじ部12が形成され、このめねじ部12に実施例1と同じ長さ調整用ボルト14が螺合固定される様になっている。そして、このアンカー体30の後端には実施例1と同じ支圧用円盤15及び固定用円盤19が重畳固定される様になっている。
この実施例2においては、アンカー体30の後端に掘削ドリル7を固定し、この掘削ドリル7によってアンカー体30を回転させ、小螺旋翼31及び大螺旋翼32の螺旋前進力によって地中にねじ込み、図10に示す様に、小螺旋翼31及び大螺旋翼32が共に支持地盤33に達したなら、掘削ドリル7を分離撤去し、その後端に延長鋼管37を接続し、図11に示す様に、延長鋼管37の後端に実施例1と同様に支圧用円盤15と固定用円盤19を重畳固定して締め付け、アンカー体30に緊張力を付与して傾斜地盤の固定を行う。この実施例2においては、小螺旋翼31及び大螺旋翼32の上部にかかる引き抜きの地盤反力によってアンカー機能が果たされており、岩盤が存在しない場合であっても、従来のグラウト材を用いたものに比べ、はるかに強力な固定が可能となっている。
次に、図12及び図13に基づいて実施例3について説明する。この実施例3は実施例1及び実施例2として説明した傾斜地盤安定具を用いた傾斜地盤安定化工法に関するものであり、この実施例3においては、傾斜地盤安定具3個を、それぞれ地盤緊張力が相互に及ぶ様に三角形状に配置し、相互に連結して相乗効果を得ようとしたものである。
即ち、実施例1及び実施例2に示した傾斜地盤安定具においては、図12及び図13にそれぞれ破線で示す様に、截頭円錐形状の緊張力ゾーン34が支圧用円盤15と楔締用鋼管9の下部又は小螺旋翼31との間に生じるが、この実施例3においてはこの緊張力ゾーン34の外縁が接する様に支圧用円盤15を接近させて三角形状に配置し、固定用円盤19の孔明リブ23の貫通孔22、22内にワイヤー35を通して、3つの固定用円盤19、19を相互にワイヤー35によって三角形状に結合したものである。
この様に、傾斜地盤安定具を三角形状に配置し、相互にワイヤー35によって連結することにより、傾斜面全体に緊張力が与えられ、各傾斜地盤安定具の相互補完作用により、地盤の保持力は相乗的に向上する。なお、設置した各傾斜地盤安定具間に樹木を植えても良く、その場合には樹木の根の地盤保持力も付加され、更に地盤は強固に保持される。又、この傾斜地盤安定具において用いられる鋼管を大径肉厚にすることにより、鋼管はそれ自体自立して地滑りの水平方向の動きにも十分対向出来る様になり、更にはコンクリートのアンカーとしても使用可能となる。
次に、実施例4は上記実施例3に示した三角形状に配置され、相互に連結された傾斜地盤安定具群を基準単位とし、更にこれらを図14や図15に示す様に網目状に多数配置してそれぞれ相互に連結したものであり、この場合にはより広い傾斜面全体を一体的に安定的に保持することが可能となる。
各種土木工事分野において広く利用可能である。
この発明に係る傾斜地盤安定具の主要構成部材である掘削ビット1、延長シャフト5、掘削ドリル7を分離して描いた正面図。 同じく、それらを結合した状態の正面図。 この発明に係る傾斜地盤安定具の主要構成部材である掘削ビット1、延長シャフト5、楔締用鋼管9、延長鋼管31を分離した状態の正面図。 主要構成部材の一つである楔締用鋼管9の斜視図。 主要構成部材の一つである支圧用円盤15と固定用円盤19が組み合わされた状態の平面図。 同じく、その半截正面断面図。 この発明に係る傾斜地盤安定具を岩盤24に打ち込む直前の状態を示した部分半截縦断面図。 同じく、岩盤24に打ち込み、延長シャフト5を抜き取る前の状態の部分半截縦断面図。 同じく、岩盤24に打ち込み固定が完了した状態の半截縦断面図。 この発明に係る傾斜地盤安定具の実施例2の固定作業中の状況を示したその半截縦断面図。 同じく、固定が完了した状態の半截縦断面図。 実施例3に示した傾斜地盤の安定化工法を実施した状況を示した地盤部分の断面図。 同じく、その平面図。 実施例4に示した傾斜地盤の安定化工法を実施した状況を示した地盤部分の平面図。 同じく、他の例の平面図。
1 掘削ビット
2 掘削刃
3 テーパ状部
4 接続係合用突起
5 延長シャフト
6 凹穿部
7 掘削ドリル
8 おねじ部
9 楔締用鋼管
10 スリット
11 栓
12 めねじ部
13 おねじ溝
14 長さ調整用ボルト
15 支圧用円盤
16 放射状溝
17 円弧状溝
18 貫通孔
19 固定用円盤
20 貫通孔
21 ナット
22 貫通孔
23 孔明リブ
24 岩盤
25 掘削孔
26 地表面
30 アンカー体
31 小螺旋翼
32 大螺旋翼
33 支持地盤
34 緊張力ゾーン
35 ワイヤー
36 喰い込み部
37 延長鋼管

Claims (4)

  1. 円柱状をなし、先端面には掘削刃(2)が取付けられていると共に、後端側には截頭円錐形のテーパ状部(3)が形成されており、このテーパ状部(3)の端面中央からは同軸状に角柱状をなした接続係合用突起(4)が植設された掘削ビット(1)と;前記掘削ビット(1)より若干小さい外径を有する円柱状をなし、先端側には前記接続係合用突起(4)と係合する接続係合用凹穿部(6)が同軸状に形成されており、後端側には掘削ドリル(7)に接続させる為のおねじ部(8)が同軸状に突設されている延長シャフト(5)と;円筒状をなし、前記掘削ビット(1)のテーパ状部(3)の小径部分よりわずかに大きい内径を有し、先端側から軸芯方向に複数のスリット(10)が形成され、掘削ドリル(7)を分離撤去した後に、延長シャフト(5)をガイドとして掘削ビット(1)の後端側からこれに強制的に被せた際に、スリット(10)の形成されている箇所の周囲が強制的に押し拡げられる楔締用鋼管(9)と;前記楔締用鋼管とほぼ同じ外径を有し、後端側には同軸状にめねじ部(12)が形成され、楔締用鋼管(9)を掘削ビット(4)に強制的に被せた後に、楔締用鋼管(9)の後端に前端が接続される長尺状の延長鋼管(37)と;前記延長鋼管(37)のめねじ部(12)に螺合されるおねじ溝(13)が外周に形成された長さ調整用ボルト(14)と;周縁が下方に折り曲げられ、中央に貫通孔(18)が形成された偏平ドーム状の支圧用円盤(15)と;中央に貫通孔(20)を有し、この貫通孔(20)の上面には前記長さ調整用ボルト(14)と螺合するナット(21)が位置せしめられていると共に、同じ面には放射状に孔明リブ(23)が溶着され、前記支圧用円盤(15)の上面に同心円状に重畳される固定用円盤(19);とからなることを特徴とする傾斜地盤安定具。
  2. 円柱状をなし、先端面には掘削刃(2)が取付けられていると共に、先端寄りの外周にその外径の(3)倍前後の幅を有する小螺旋翼(31)が、それより後方寄りに一定距離をあけて同じく外径の(5)倍前後の大螺旋翼(32)がそれぞれ固定されたアンカー体(30)と;前記アンカー体(30)とほぼ同じ外径を有し、前端がアンカー体(30)の後端に接続されると共に、
    後端側には同軸状にめねじ部(12)が形成された延長鋼管(37)と;延長鋼管(37)のめねじ部(12)に螺合されるおねじ溝(13)が外周に形成された長さ調整用ボルト(14)と;周縁が下方に折り曲げられ、中央に貫通孔(18)が形成された偏平ドーム状の支圧用円盤(15)と;中央に貫通孔(20)を有し、この貫通孔(20)の上面には前記長さ調整用ボルト(14)と螺合するナット(21)が位置せしめられていると共に、同じ面には放射状に孔明リブ(23)が溶着され、前記支圧用円盤(15)の上面に同心円状に重畳される固定用円盤(19);とからなることを特徴とする傾斜地盤安定具。
  3. 請求項1又は2に記載された傾斜地盤安定具を、それぞれの緊張力ゾーン(34)の外縁が接する様に接近させて三角形状に配置し、それぞれの地上部分をワイヤー(35)によって三角形状に連結することを特徴とする傾斜地盤の安定化方法。
  4. 請求項1又は2に記載した傾斜地盤安定具を、それぞれの緊張力ゾーン(34)の外縁が接する様に接近させて三角形状に配置し、それぞれの地上部分をワイヤー(35)によって三角形状に連結した傾斜地盤安定具群を基準単位とし、これを縦横方向に複数個配置し、それらの地上部分をワイヤー(35)によって相互に連結したことを特徴とする傾斜地盤の安定化工法。
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