JP4472196B2 - ピンナップボード - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リサイクルにより成形されたピンナップボードに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、木材等のリサイクル方法としては、例えば木材等を粉砕機で粉砕して粉砕材とし、該粉砕材に接着剤を加えて全体を略均質に混合し、その混合物を加熱・加圧して種々の成形品を成形することが知られている。
【0003】
特にこのようなリサイクル方法によって得られる成形品の中でも比重が0.4〜0.6となるものは、その柔らかさを生かしてピンナップボードに利用されるが、それ自体をピンナップボードとして利用するには強度的には弱いものとなる。
【0004】
また、木材のかわりに使用済みの天板等を粉砕機で粉砕した天板粉砕材を使用する場合においては、木質系芯材の他に天板の表面層を形成する樹脂表面板や、天板の側周縁を覆う樹脂縁材が粉砕材内に加わるため、材質が異なるものの接着性の問題から木材のみの粉砕物を使用する場合と比較して、同比重の成形品では強度が劣るという問題を有していた。
【0005】
またその成形品をピンナップボードとして利用する場合、樹脂の粉砕材が大きいと、ピンの差し込みが樹脂によって阻止され、ピンナップ性が損なわれることがあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、使用済みの天板の粉砕材を用いてリサイクルすることにより、強度的に強くピンナップ性の良いピンナップボードを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のピンナップボードは、木質系芯材と樹脂材とからなる使用済みの天板等を粉砕機で粉砕して粉の大きさが1mm以下の粉砕材とするとともに、成形型の周囲に補強材を配設し、前記粉砕材に接着剤を加えて全体を略均質に混合した混合物を、前記成形型内に投入したのち、加熱・加圧して成形品における前記補強材に囲まれた中央部の比重が0.4〜0.5となるように成形されてなることを特徴としている。
この特徴によれば、補強材により囲まれた中央部の比重が低くても、成形品の周囲に埋設された補強材により全体の強度が高まるとともに、粉砕材を1mm以下の大きさとすることで、ピンの差し込みが粉砕材により阻止されることによるピンナップ性の低下が防止される。
【0008】
本発明のピンナップボードは、補強材の厚さが、成形品の厚さの60%〜80%であることが好ましい。
このようにすれば、補強材が厚すぎてピンナップボードの周囲にピン等を深く差し込むことが困難となったり、また、補強材が薄すぎてピンナップボード全体の強度が著しく低下することがない。
【0009】
本発明のピンナップボードは、補強材の幅が、成形品の辺の長さの約10%であることが好ましい。
このようにすれば、補強材により囲まれた中央部の面積が小さくなることがないばかりか、前記中央部の比重が小さくなることによる強度低下が防止される。
【0010】
本発明のピンナップボードは、前記接着剤が、ウレタン系接着剤であることが好ましい。
このようにすれば、硬化した接着剤は弾力性を有するため、ピンの差し込みが良好となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、まず図1は後述する製造方法により製造されたピンナップボード1の使用状態が示されており、その表面には、例えば紙片がピン10により係止されている。なお、このピンナップボード1は、長手方向を横の長さとするときに、縦の長さが100mm、横の長さが200mm、厚さが20mmに成形されている。
【0012】
ピンナップボード1は、厚さが15mmで、幅が20mmの木材を枠状に一体化することにより構成された補強材としての枠部材2と、廃棄回収されたテーブル等の天板を粉砕することにより得られる粉砕材と、この粉砕材を接着するために添加された接着剤とからなる混合物3とが、一体的に成形されることにより構成されている。
【0013】
この粉砕材は、主に内部が木質系芯材により構成され、かつ、周縁部に樹脂縁材が取付けられた天板を、粒子が1mm以下となるように粉砕することにより得られたものである。
【0014】
前記天板について更に詳しく説明すると、内部の木質系芯材は、ペーパーハニカム、パーチクルボード、MDF等で構成されており、表面は、メラミン樹脂とフェノール樹脂とからなるメラミン化粧板やフェノール樹脂からなるフェノール板からなる。また樹脂縁材は、オレフィン系樹脂や、塩化ビニル等の樹脂からなり、天板を衝撃から保護するように天板の周面を取り囲むように取り付けられる。よって本実施例においては、これら木質系芯材と樹脂縁材とを分別することなく粉砕することにより得られた天板粉砕材が使用される。
【0015】
枠部材2は、テーブルや家具等の製造時に出る木材等の端材が用いられており、この枠部材2は製造するピンナップボード1の大きさに合わせて切断して使用するようになっている。
【0016】
次に、本発明のピンナップボード1の製造方法を、図2の工程フローに基づいて説明すると、まず、材料として用いる天板等に付属している金具等の金属や異物を除去し、目開きが1mmの篩いを用いた粉砕機に木質廃材を投入し、木質廃材を粉砕する。この際に、粉砕機で処理できる程度の大きさに適宜切断してから投入を行っても良いことは言うまでもない。
【0017】
そして粉砕された粉砕材を、粒子の大きさが1mmよりも大きいものと、1mm以下のものとに分けて、1mm以下の粉砕材のみが使用されるようになっており、1mmよりも粒子の大きい粉砕材に関しては、1mm以下の大きさとなるまで粉砕機へ投入される。
【0018】
次に前述したように粉砕機によって粉砕されて1mm未満の大きさとなった粉砕材に、図3に示されるような塗布装置30により、粉砕材を固着させるウレタン系接着剤が塗布される。
【0019】
ここで、本実施例において用いた塗布装置30の構成を図3に基づいて説明すると、その上部位置に投入口31を有するとともに、その下部位置に排出口35を有する略円筒状とされた本体ハウジング36の内部には、撹拌翼33及び棒状の吐出ノズル34とが設けられたシャフト32が、図示しない駆動モータにより高速駆動回転するように軸支されている。
【0020】
また、前記シャフト32の内部は中空とされて前記吐出ノズル34に連通しており、これら中空内部には接着剤が圧送されるようになっている。
【0021】
これら塗布装置30における接着剤塗布の状況を説明すると、前記粉砕材は、投入口31よりハウジング36内部へ導入され、前記高速回転する撹拌翼33によって遠心的に前記ハウジング36内壁に小片輪を形成しながら、撹拌されて下方へと移動していく。
【0022】
この際、前記シャフト32の内部中空部に圧送された接着剤が、前記吐出ノズル34の先端部より遠心的に噴出して、連続的に前記ハウジング36内壁の混合物に塗布されていき、下方の前記排出口35より排出される。
【0023】
塗布装置30で接着剤を塗布された粉砕材は、図示しない混合装置へ送られ、略均質な状態となるように混合されて接着剤と粉砕材とからなる混合物3とされる。
【0024】
なお、接着材塗布装置については、本実施例で用いた種類のものだけではなく、粉砕材に均一に接着剤を塗布できるものであれば、どのような種類の塗布装置を用いても良い。
【0025】
また、本実施例では接着剤として、ピンナップボード1の表面が硬くなり、ピン10を差し込むことが困難となることをさけるために、硬化後の仕上がりを弾力性のあるものとすることが出来るウレタン系の接着剤を使用している。
【0026】
また、本実施例においては、混合物3における粉砕材と接着剤との配合割合は、粉砕材の重量に対して接着剤の重量が約25%となっており、このような配合比率の混合物3を用いて成形することにより、全体比重が0.5〜0.6のピンナップボード1が得られることになる。
【0027】
このようにして得られた混合物3は、図5(a)に示されるような成形型20の上面に形成された凹部22内に投入されることになるが、投入前において、前述した枠部材2を、図4に示されるように予め凹部22内の周縁に沿うように配設しておく。
【0028】
なお、本実施例では、前述したように端材により予め枠状に形成された枠部材2を配設するが、本発明はこれに限定されるものではなく、それぞれ別々の棒状の端材を凹部22内周囲に配設するようにしても良い。
【0029】
そして、図5(a)に示されるように、周囲に枠部材2が配設された凹部22内に、混合物3、すなわち接着剤塗布済みの粉砕材を枠部材2が完全に埋もれるまで投入する(図5(b)、図6参照)。
【0030】
その後、図5(b)に示されるように表面を均一に均した後、15〜30kgf/cm2の圧力と80〜180゜Cの温度との条件で加圧・加熱し、冷却後固化した成形品、すなわちピンナップボード1を成形型20より取り出す。
【0031】
以上説明してきた方法により、縦の長さが100mm、横の長さが200mm、厚さL1(図7参照)が20mmに成形されたピンナップボード1は、厚さL2(図7参照)が15mm、幅L3(図7参照)が20mmの木材(補強材)からなる枠部材2が一体的に埋設されており、全体比重が0.5〜0.6であり、また、枠部材2内の比重が0.4〜0.5となっている。
【0032】
このように、ピンナップボード1における枠部材2内の比重が0.4〜0.5となるように成形されることで、ピン10が差し込みやすくなるため、ピンナップ性が向上する。また、枠部材2内の比重が0.4〜0.5となると混合物3により構成される枠部材2内部の強度は弱くなるが、製造工程において枠部材2が一体的に埋設されることにより、ピンナップボード1全体の比重が大きくなり、ピンナップボード1全体の強度が保持されるため、使用性が高まる。
【0033】
また、本実施例においては、成形するピンナップボード1の厚さ20mmよりも薄い15mmの厚さの枠部材2が補強材として使用されているため、製造時において、図6に示されるように、凹部22内周囲に配設される枠部材2の上面にも混合物3が投入された状態で加圧、加熱されることにより、図1に示されるように、使用する面に枠部材2が露出することがないので、外観体裁のよいピンナップボード1が得られるとともに、埋設された枠部材2上にもピン10を差し込むことが出来る。
【0034】
さらに、混合物3と枠部材2との接着面が広くなるため、枠部材2と混合物3との接着性が高まるとともに、使用する面に対してピン10が差し込まれること等により力が加わっても、硬化した混合物3の周縁が枠部材2により係止されるため、混合物3の枠部材2からの抜け落ちが防止される。
【0035】
また、製造時において、大きさが1mm以下の粉砕材が使用されているため、使用済みの天板を粉砕することにより得られた粉砕材中に木質系の材料だけではなく樹脂材が混在されていても、樹脂材からなる硬い粉砕材によりピンナップボード1の表面へのピン10の差し込みが阻止されることがないので、ピンナップ性が損なわれることがない。
【0036】
そして前述したような製造方法により、強度が強く、かつ、ピンナップ性のよいピンナップボード1を成形するには、枠部材2は、成形するピンナップボード1の厚さ(例えば20mm)に対して60%〜80%の厚さ(約12〜16mm)の枠部材2を使用することが好ましい。これは、ピンナップボード1の厚さに対して80%を越える厚さの枠部材2を用いた場合、枠部材2の上面に形成される混合物3の厚みが薄くなり、混合物3の周囲の強度が低下するため枠部材2から混合物3が抜けてしまうことがあるばかりか、ピン10を深く差し込めなくなることがあるからであり、また、逆にピンナップボード1の厚さに対して60%を下回る厚さの枠部材2を用いた場合、ピンナップボード1全体の強度が著しく低下することがあるためである。
【0037】
また、本実施例においては、一辺の長さが200mmのピンナップボード1を成形するために、幅が20mmの枠部材2が使用されているため、枠部材2内の混合物3の比重が高くなりすぎてピンが差し込みにくくなったり、枠部材2内における混合物3の体積が著しく小さくなることもない。
【0038】
このように枠部材2は、成形するピンナップボード1の1辺の長さ(例えば200mm)に対して約10%の幅(約20mm)の枠部材2を使用することが好ましい。これは、枠部材2の幅が小さ過ぎる場合、ピンナップボード1における枠部材2内の比重が高くなり過ぎて表面が硬くなり、ピンが差し込みにくくなることがあるからである。また、逆に幅が大き過ぎると、枠部材2内の面積が小さくなってピン10の差し込み面積が小さくなるとともに、枠部材2内の比重が前述した0.4よりも低くなり、強度が著しく低下して差し込まれたピン10を保持強度が低下するからである。よって、製品化され得るピンナップボード1の大きさから考えれば、その大きさに対応して枠部材2の幅を約15〜50mm程度としておけば、良好なピンナップボード1が得られることになる。
【0039】
また、前述した製造方法により、全体の比重が0.5〜0.6となるように成形することで、枠部材2内の比重が0.4〜0.5となってピン10の差し込みが良好で、かつ、全体として所定強度を有するピンナップボード1が得られることになる。これは、ピンナップボード1全体の比重を0.5以下とする場合、出来上がりが柔らかくなって差し込まれたピン10の保持強度が足りなくなるからであり、また、ピンナップボード1全体の比重を0.6よりも大とする場合、成形品の密度が大きくなって硬くなり、ピン10を差し込みにくくなってしまうからである。
【0040】
また、このような製造方法により種々の大きさのピンナップボード1を製造する場合、成形するピンナップボード1全体の体積から枠部材2の部分の体積を差し引いた混合物3の体積を算出して、使用する粉砕材及び接着剤の重量を算出すればよい。
【0041】
また、本実施例では、前述のような工程で形成されたピンナップボード1をそのまま図1に示されるように使用出来るようになっているが、例えば、ピン10を差し込む上面を布材等で覆ったり、側面を樹脂等の縁材で覆う等の処理を施して使用すればより見栄えの良いものになる。
【0042】
また、本実施例よりも大きなサイズのピンナップボード1を製造する際において、枠部材2の厚さや幅等を前述したようにしても枠部材2内の強度が低下して、弱い力でも枠部材2から硬化した混合物3が抜けてしまう場合、裏面に合板等を貼り付けるなどして補強を施すようにしてもよい。
【0043】
また、本実施例においては、前述したように強度の向上や外観体裁上の問題から、ピン10を差し込んで使用する表面に枠部材2の表面が露出しないように、製造時において枠部材2の上面にも混合物3を投入し、その状態で加圧、加熱するようにしてピンナップボード1を成形していたが、本発明はこれに限定されるものでなく、図8に示されるように表面に枠部材2の表面が露出されるようにピンナップボード1を成形するようにしてもよい。
【0044】
この場合、硬化された混合物3が枠部材2から抜け落ちるのを防止するために、図8に示されるように、内周面に内向きに開口する凹溝4が形成された枠部材2を用いれば、製造時において投入される混合物3が枠部材2の凹溝4に入り込んだ状態で加圧、加熱されることにより硬化されるので、ピン10を差し込む際等において枠部材2内に力が加わっても、凹溝4と、この内部に嵌合された混合物3の周縁との嵌合作用により、部枠部材2からの硬化された混合物3の抜け落ちが防止される。
【0045】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0046】
例えば、本実施例では成形時の加熱温度は80〜180゜Cとなっているが、成形時間の短縮をはかる意味で加熱温度は150〜180゜Cであることが更に好ましい。
【0047】
【発明の効果】
本発明は以下の効果を奏する。
(a)請求項1項の発明によれば、補強材により囲まれた中央部の比重が低くても、成形品の周囲に埋設された補強材により全体の強度が高まるとともに、粉砕材を1mm以下の大きさとすることで、ピンの差し込みが粉砕材により阻止されることによるピンナップ性の低下が防止される。
【0048】
(b)請求項2項の発明によれば、補強材が厚すぎてピンナップボードの周囲にピン等を深く差し込むことが困難となったり、また、補強材が薄すぎてピンナップボード全体の強度が著しく低下することがない。
【0049】
(c)請求項3項の発明によれば、補強材により囲まれた中央部の面積が小さくなることがないばかりか、前記中央部の比重が小さくなることによる強度低下が防止される。
【0050】
(d)請求項4項の発明によれば、硬化した接着剤は弾力性を有するため、ピンの差し込みが良好となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例におけるピンナップボード1の利用例を示す図である。
【図2】ピンナップボードの製造工程を示した図である。
【図3】接着剤塗布装置30を示した図である。
【図4】成形型20へ枠部材2が載置される様子を示した図である。
【図5】成形型20へ混合物3が投入される様子を示す図である。
【図6】図5(b)のA−A断面図である。
【図7】図1のピンナップボードの要部断面図である。
【図8】ピンナップボードの変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ピンナップボード
2 枠部材(補強材)
3 混合物
4 凹溝
10 ピン
20 成形型
22 凹部
30 塗布装置
31 投入口
32 シャフト
33 撹拌翼
34 吐出ノズル
35 排出口
36 ハウジング
Claims (4)
- 木質系芯材と樹脂材とからなる使用済みの天板等を粉砕機で粉砕して粉の大きさが1mm以下の粉砕材とするとともに、成形型の周囲に補強材を配設し、前記粉砕材に接着剤を加えて全体を略均質に混合した混合物を、前記成形型内に投入したのち、加熱・加圧して成形品における前記補強材に囲まれた中央部の比重が0.4〜0.5となるように成形されてなることを特徴とするピンナップボード。
- 補強材の厚さが、成形品の厚さの60%〜80%である請求項1に記載のピンナップボード。
- 補強材の幅が、成形品の辺の長さの約10%である請求項1または2のいずれかに記載のピンナップボード。
- 前記接着剤が、ウレタン系接着剤である請求項1〜3のいずれかに記載のピンナップボード。
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