JP4471481B2 - 竪型圧延機及び竪型圧延機の操作方法 - Google Patents

竪型圧延機及び竪型圧延機の操作方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は平鋼、丸鋼、或いは角鋼を圧延する竪型圧延機及び竪型圧延機の操作方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来平鋼、丸鋼、角鋼等を圧延する際、図7に示すように水平ロール圧延機Hと竪ロール圧延機Vを連続的に配設した連続圧延機を使用し、竪ロール圧延機にはカリバーと呼ばれる孔型が設けられ、この孔型は、圧延列に従って形状を変化させたものが使用されていた。また、図8に示すように水平ロール圧延機Hの間に竪ロール圧延機Vを配置して、この間に圧延材を繰り返し通過させることで圧延を行う圧延方法が行われている。またこの竪ロール圧延機には、孔型を上下に複数設けて、圧延材が繰り返しこの竪ロールを通過する毎に竪ロールの孔型を上下にシフトして圧延を行っていた。
【0003】
この竪ロールのロールシフト装置については、特開平5−277530号公報に、2つのカリバーを軸方向に有する竪ロールの上下に昇降する装置が開示されている。この装置は、従来圧延材の圧延形状に合わせてカリバーの位置を移動するために、竪ロールを組み込んだロールチョックを昇降させると、このロールチョック自体が非常に重いため昇降装置は大きな容量が必要となる。
上記特開平5−277530号公報はこの課題を解決するために提案された技術で、ロールとロール軸受けを有する内ロールチョックと、その内ロールチョックを昇降自在に収納した外チョックと、その外チョックの上部に設けた内ロールチョックを昇降する昇降装置と、内ロールチョックを外ロールチョックにクランプするクランプ装置とで構成されている。このように内ロールチョックと外ロールチョックとに分割して内ロールチョックのみを昇降させるため重量が軽減され、昇降装置がコンパクトになるというものである。
【0004】
また竪ロールの昇降装置として、実開平5−5206号公報が開示されている。それによれば、2つの孔型を備えた竪ロールは、モータ、カップリング、減速機、上下のユニバーサルジョイント及びスピンドルから構成された下向きに伝動する駆動装置により駆動されている。孔型の圧延位置への位置合わせは、竪ロールを支持した圧延ハウジングに配置している油圧シリンダーで持ち上げて行っている。竪ロールの交換は、構造物から吊設された1対のスピンドルキャリアによりスピンドル部を把持し、下方のユニバーサルジョイントを押し上げてロール軸から外し、圧延ハウジングを退避させて行うようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記特開平5−277530号公報の技術では、内ロールチョックと外ロールチョックに分割することで、昇降装置への負荷荷重を軽減でき、昇降装置は従来の昇降装置に比べてコンパクトにできるが、内ロールチョックを吊設して上下方向に移動させる点で昇降装置が竪ロールチョックの荷重を支えることには代わりはなく、昇降装置として最低限の荷重を支持する強度は必要である。また上下に昇降させるため、圧延ラインの上方には昇降装置を設置するスペースと竪ロールを取り替えるためのスペースと2重のスペースが必要となる。
【0006】
また、前記実開平5−5206号公報の技術では、竪ロールが圧延ハウジングにより支持され、この圧延ハウジングを油圧シリンダーで持ち上げて孔型を圧延位置に合わせる大容量の油圧シリンダーが必要となり、竪ロールの交換時には、別途構造物に取り付けられたスピンドルキャリアが必要となり、構造物がない場合は、このスピンドルキャリアを設置するための構造物が別途必要となる。連続圧延ラインで本技術を採用するためには、圧延ハウジングを退避させる場所やスピンドルキャリアを設置する構造物が必要となる大がかりな設備配列となる。
【0007】
本発明は、上述したような従来の問題点を解消するものであって、圧延機本体をコンパクトにし、かつ圧延効率の高い竪型圧延機及びその操業法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を要旨とする。
(1)平鋼・丸鋼、或いは角鋼を竪ロールによって圧延する竪型圧延機において、駆動軸を立設し、該駆動軸の外周に複数の竪ロールを配設し、前記駆動軸の先端に円盤状の大型ギャを嵌入させ、前記竪ロ一ルの軸端に小型ギヤをそれぞれ嵌入させると共に、該小型ギャと前記大型ギャを歯合させたとを特徴とする竪型圧延機。
【0009】
(2)駆動軸に軸受けを介して円盤状金物を嵌合すると共に、上記複数の竪型ロールをその上下軸部を該円盤状金物に設けた軸受で支承して立設せしめ、これらをチョックに内包した構造とすることを特徴とする前項(1)に記載の竪型圧延機。
(3)上記円盤状金物には該円盤状金物の外周にギャを形成し、該ギャの外周所定の位置に前記円盤状金物を回転させるピニオンを歯合させたことを特徴とする前項(2)に記載の竪型圧延機。
(4)上記円盤状金物には、竪ロールの圧延位置を固定するテーパーピンを配設したことを特徴とする前項(2)又は(3)に記載の竪型圧延機。
(5)上記複数の竪ロールには、各々異なった孔型が加工されていることを特徴とする前項(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の竪型圧延機。
【0010】
(6)平鋼、丸鋼或いは角鋼を竪ロールによって圧延する竪型圧延機において、先端に円盤状の大型ギャを嵌入させた駆動軸を立設し、該駆動軸の外周に複数の竪ロールを配設し、該竪ロールの軸端に小型ギャをそれぞれ嵌入させると共に、該小型ギャと前記大型ギャを歯合させ、該大型ギャを回転させて圧延を行い、竪ロールの圧延位置への位置決めは円盤状金物の外周に配設したギャの歯合するピニオンにより行うことを特徴とする竪型圧延機の操作方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を図に示す実施例に基づいて詳細に説明する。
添付した図において、図1は本発明の実施例を示す竪型圧延機の側部断面図、図2は図1のA−A断面図、図3は図1のB−B断面図、図4は図2のC−C断面図、図5は図2のD−D断面図、図6は平鋼を往復圧延する際の竪ロールの孔型形状を示し、図7は連続圧延機で圧延する圧延ライン、及び図8は圧延材を往復させて連続圧延を行う圧延ラインを示す図である。
【0012】
図1は、本発明の竪型圧延機を1対配設した側部断面図である。図1において、18は固定軸受けであり、この軸受け内にベアリング15を介して駆動軸13を内設している。この回転軸13の上部はツァッペン12を有しており、このツァッペン12には大径ギャ14を嵌合させている。ツァッペン12の上部先端部は、図示していないが、この回転軸を回転させるためのモータがカップリング等を介して連結されている。そしてこのモータを駆動することにより、駆動軸13を回転駆動させるようにしている。
【0013】
一方、固定軸受け18には固定軸受け18の外周に嵌合するベアリング16を設け、このベアリング16を介して円盤状金物9を嵌入している。この円盤状金物9内にはロールバレル周囲に孔型29を設けた竪ロール1〜8を配設している。この竪ロール1〜8は固定軸受け18の周囲に複数個配設している。図1では8個配設している。
【0014】
この竪ロール1〜8は、上下軸部をベアリング11を介して円盤状金物9に設置されている。竪ロールの上部軸の先端部には、小径ギャ10がそれぞれの竪ロールに嵌入されている。そして、この小径ギャ10と大径ギャ14とを歯合させて、駆動軸13を回転させることで、竪ロール1〜8が回転するようになっている。また、円盤状金物9の下部外周には竪ロールの位置決め用大径ギャ23を嵌合させている。この位置決め用大径ギャ23にはピニオン24を歯合させている。
【0015】
このように構成した竪ロールを竪チョック17内に納めている。竪チョック17内に納められた竪ロール1〜8を対向して設けて1対とし、この1対の竪型ロールがハウジング22に納められ、竪型圧延機を構成している。また、竪チョック17には圧下スクリュー19,20及びバランスシリンダー21を連結しており、左右の竪ロール圧延位置になるよう調整できる構造を担っている。
【0016】
図2は、図1のA−A断面図であって、ハウジング22内に収納した1対の竪型圧延機を示している。図2において、ツァッペン12には大径ギャ14が嵌合されており、この大径ギャ14の外周に8個の小径ギャ10が歯合している。この小径ギャ10にはそれぞれ竪ロール1〜8が連結されている。この竪ロール1〜8は、円盤状金物9内に納められている。円盤状金物9の下部外周には竪ロールの位置決め用ギャ23が嵌合されており、この位置決め用ギャ23にはピニオン24が歯合されている。
【0017】
このように構成した竪ロール1〜8群は、竪チョック17内に納められ、この竪ロール1〜8群が納められた竪チョック17を対向して配設させて、1対の竪型圧延機を構成している。竪チョック17には、左右の竪ロール群を正確な圧延位置に調整するため圧下スクリュー19,20の遊び(隙間)を除くためにバランスシリンダ21を設置している。この圧下スクリュー19,20により竪チョック17を介して1対の竪ロール1にて圧延材Sを圧延する。
【0018】
図3は、図1のB−B断面図である。駆動軸13の外周にはベアリング15が配設され、このベアリング15の外周には固定軸受け18を配設している。そして、この固定軸受け18の外周にはベアリング16を配設し、そのベアリング16の外周には円盤状金物9を配設している。円盤状金物9には、駆動軸13を中心として8個の竪ロール1〜8を立設している。円盤状金物9の下部外周には位置決め用大径ギャ23が嵌合されており、この位置決め用大径ギャ23にはピニオン24が歯合されている。
【0019】
図4は、円盤状金物9の下部外周に嵌合された位置決め用大径ギャ23とピニオン24の配置を示す図で、位置決め用大径ギャ23はこのピニオン24に歯合され、ピニオンはモーター25に連結されている。このモーター25を駆動させることでピニオンを回転させ、位置決め用大径ギャ23を回転させるようにしている。
【0020】
図5は、円盤状金物9を所定の位置(竪ロール1の圧延位置)に固定する固定装置の詳細部で、円盤状金物9をピニオン24を介してモーター25により回転させて竪ロール1〜8のいずれかの竪ロールを圧延位置に移動させる。移動が完了したら、円盤状金物9の底部にテーパーピン27を差し込んで固定する。円盤状金物9の底部にはテーパーピン27を差し込むテーパー孔26を設けており、このテーパー孔26にテーパーピン27を差し込んで円盤状金物を固定する。
【0021】
図7及び図8は連続圧延ラインであり、図7は、水平圧延機Hと竪型圧延機Vを交互に並べて圧延材を連続的に圧延するラインで、竪型圧延機(V1 〜V4 )に本発明の竪型圧延機を配置したものである。図8は、水平圧延機Hの間に竪型圧延機Vを配設して、圧延材を往復させて連続的に圧延する圧延ラインで、この圧延ラインに本発明の竪型圧延機を配置したものである。
【0022】
図6は、図8に示した圧延ラインに本発明の竪型圧延機を使用した時の竪ロール1〜8での圧延状況を示す図であり、図6及び図8により本発明の竪型圧延機を説明する。
往復圧延機BDを通過した圧延材Sは、水平圧延機H1により圧延材Sの面を水平ロールで保持して圧延が行われる。そして次に配置した竪型圧延機Vに送られる。竪型圧延機では、竪ロール1にセツトしてエッジ部の圧延が行われる。この圧延ラインでは、竪型圧延機にセットされている竪ロール1〜8の孔型が図6に示すように従順次小さくなるように設けられている。従って、竪ロール1〜8に設けられた孔型は、1>2>3>4>5>6>7>8となっている。
【0023】
このように1パス目の圧延材が竪型圧延機を通過するときは竪ロール1をセットし、2パス目が通過するときは竪ロール2をセツトする。このようにして竪ロール1〜8を順次移動してセットすることで所定の圧延が完了する。竪ロール1から竪ロール2へのセット替えは、円盤状金物9の外周に嵌合して位置決め用大径ギャに歯合するピニオン24を介して連結したモーター25によって行い、竪ロールの位置が圧延位置に達したら、円盤状金物9の底部に設けたテーパー孔26にテーパーピン27を差し込んで竪ロールの位置を固定する。竪ロール1〜8の圧延時の駆動は駆動軸13によって行う。
【0024】
図7に示す圧延ラインに本発明の竪型圧延機を設置する場合も、竪ロール1〜8は異なった孔型又は2〜4種類の孔型を配置して、製品の厚み違いを圧延する場合に、位置決め用大径ギャに歯合するピニオン24をモーター25で回転させ、竪ロールが圧延位置に達したら、円盤状金物9の底部に設けたテーパー孔26にテーパーピン27を差し込んで竪ロール位置を固定する。同一の孔型が2〜4種類の時は、竪ロールが万一破損や摩耗した場合に、竪ロールを次の竪ロールに移動させて使用することができる。
【0025】
竪ロールに複列の孔型を配設して竪ロールの本数を減すことも可能である。また、竪ロールは本実施例では8本採用したが、本発明はこれに限定するものでなく、駆動軸を中心にその外周に適宜数配置することで、目的とする機能を充分に満足させることができる。
【0026】
【発明の効果】
以上のように、本発明の竪型圧延機を採用することで、孔型を上下に移動させる必要がなく、上下移動装置も不要となり、圧延機本体がコンパクトになる。また、竪ロールを複数個配設することにより、ロール替えの頻度が少なく、圧延効率が向上する。また竪ロールが小さくなるので、圧延時の反力も小さくなり、圧延動力を小さくすることができ、電力原単位が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す竪型圧延機の側部断面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】図1のB−B断面図。
【図4】図2のC−C断面図。
【図5】図2のD−D断面図。
【図6】平鋼を往復圧延する際の竪ロールの孔型形状を示す図。
【図7】連続圧延機で圧延する圧延ラインを示す図。
【図8】圧延材を往復させて連続圧延を行う圧延ラインを示す図。
【符号の説明】
1〜8…竪ロール 9…円板状金物
10…小径ギヤ 11…ペアリング
12…ツァッペン 13…駆動軸
14…大径ギャ 15…ベアリング
16…ベアリング 17…竪チョック
18…固定軸受け 19…圧下スクリュー
20…圧下スクリュー 21…バランスシリンダー
22…ハウジング 23…位置決め用大径ギャ
24…ピニオン 25…モーター
26…テーパー孔 27…テーパーピン
28…シリンダー 29…孔型
S…圧延材

Claims (6)

  1. 平鋼、丸鋼、或いは角鋼を竪ロールによって圧延する竪型圧延機において、駆動軸を立設し、該駆動軸の外周に複数の竪ロールを配設し、前記駆動軸の先端に円盤状の大型ギャを嵌入させ、前記竪ロ一ルの軸端に小型ギヤをそれぞれ嵌入させると共に、該小型ギャと前記大型ギャを歯合させたとを特徴とする竪型圧延機。
  2. 駆動軸に軸受けを介して円盤状金物を嵌合すると共に、上記複数の竪型ロールをその上下軸部を該円盤状金物に設けた軸受で支承して立設せしめ、これらをチョックに内包した構造とすることを特徴とする請求項1に記載の竪型圧延機。
  3. 上記円盤状金物には該円盤状金物の外周にギャを形成し、該ギャの外周所定の位置に前記円盤状金物を回転させるピニオンを歯合させたことを特徴とする請求項2に記載の竪型圧延機。
  4. 上記円盤状金物には、竪ロールの圧延位置を固定するテーパーピンを配設したことを特徴とする請求項2又は3に記載の竪型圧延機。
  5. 上記複数の竪ロールには、各々異なった孔型が加工されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の竪型圧延機。
  6. 平鋼、丸鋼、或いは角鋼を竪ロールによって圧延する竪型圧延機において、先端に円盤状の大型ギャを嵌入させた駆動軸を立設し、該駆動軸の外周に複数の竪ロールを配設し、該竪ロールの軸端に小型ギャをそれぞれ嵌入させると共に、該小型ギャと前記大型ギャを歯合させ、該大型ギャを回転させて圧延を行い、竪ロールの圧延位置への位置決めは円盤状金物の外周に配設したギャの歯合するピニオンにより行うことを特徴とする竪型圧延機の操作方法。
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