JP4471335B2 - 導電回路を有する非接触型icラベルの製法および導電回路を有する非接触型icラベル - Google Patents

導電回路を有する非接触型icラベルの製法および導電回路を有する非接触型icラベル Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電回路を有する非接触型ICラベルの製法および導電回路を有する非接触型ICラベルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、IC、LSIなどの微細な導電回路を作成するには、導電層が積層されたシート基材の前記導電層上にレジスト剤を用いてレジスト層を形成し、導電回路パターンを有するホトマスクを用いて光照射し、例えば導電回路パターン状に形成されたレジスト層以外の導電層を除去して導電回路を形成し、必要に応じて不要のレジスト層を除去するホトリソグラフによる方法が行われているが、ホトマスクを用いて光照射するなど多数の工程を要するので煩雑であるという問題があった。
【0003】
一方、シート基材上にアルミニウム粉末、銀粉末などの導電性粉末を含む導電性ペーストを印刷して導電回路を作成する方法があるが、印刷機を用いて印刷するため製版が必要であり、大量生産に適するが、オンデマンドで少量・多種類の注文に応じることが困難である上、導電性ペースト中の導電性粉末同士の接触により導電性が付与されるため接触不足により導電性が不十分となる場合があるという問題があった。
【0004】
電子写真方式で用いられるトナーないし現像剤をレジスト剤として利用して導電回路を作成する導電回路の製法が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特願2002−251308
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この導電回路の製法は、一旦剥離(転写)シートにトナーないし現像剤を用いて電子写真方式により導電回路形成用パターンを形成し、この面と、導電層が積層されたシート基材の導電層が積層された面を接着剤を介して重ね合わせ、導電層面に前記導電回路形成用パターンを転写させるもので、このような電子写真方式では、剥離シート面への感光ドラムからのトナー定着の調整が難しいという問題があった。
本発明の第1の目的は、製版の必要がなく、大量生産に応じることもできる上オンデマンドで少量・多種類の注文にも応じることもでき、しかも、大きさや形状などを自由に変えた導電性に優れた導電回路を有する非接触型ICラベルを剥離シートを使用しない転写法を用いて容易に製造する方法を提供することであり、
本発明の第2の目的は、その方法により作成された導電性に優れた導電回路を備えた非接触型ICラベルを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明の請求項1記載の導電回路を有する非接触型ICラベルの製法は、金属コロイドを含有するインクジェットインクを用いて転写シート面の所定部に導電回路を形成する工程と、前記導電回路上にICチップを実装する工程と、前記導電回路を加熱乾燥する工程と、接着シートの接着面の前記ICチップ実装と対向する位置に保護材を塗布する工程と、前記転写シートの前記導電回路形成面と、前記接着シートの接着面とを重ね合わせ、前記導電回路を前記接着シートの前記接着面に転写させる工程とを含むことを特徴とする。
【0008】
金属コロイド含有インクジェットインクを用いることにより、導電回路を電子信号画像信号にて形成し、形成した電子信号画像信号に基づいてインクジェットプリンタにより、先ず、転写シート、好ましくは剥離性を有するシート(例えば、テフロン(登録商標)シート)面の所定部に導電回路を容易にシャープに形成できる。導電回路を転写シート面の所定部に形成した後、導電回路上にICチップを実装し、加熱乾燥することによりビヒクル成分を揮散させるなどにより金属コロイド間の接触を向上させて導電率をより向上できるとともに、接着シートの接着面の前記ICチップ実装と対向する位置に保護材を塗布し、導電回路が転写シート面から剥離し易くなるので、転写シートの導電回路形成面と、接着シートの接着面とを重ね合わせて、導電回路を接着シートの接着面に転写させることにより、導電性に優れた導電回路を有する非接触型ICラベルを容易に製造できる。
インクジェットプリンタを用いるので、製版の必要がなく、大量生産に応じることもできる上、オンデマンドで少量・多種類の注文にも応じることもでき、しかも、大きさや形状などを自由に変えた導電性に優れた導電回路を容易に形成でき、ICチップを実装することによりICラベルなどの情報記録媒体として使用可能となる。
【0010】
加熱乾燥後の導電回路の表面抵抗が、加熱乾燥前の導電回路の表面抵抗の1/10,000〜1/50,000となるような所定量の金属コロイドを含有するインクジェットインクを用いることにより、印刷適性に優れ、インクジェットプリンタのノズルが詰まらず、かつ導電性および表面強度、光沢に優れた導電回路を有するラベルを容易に製造できる。
【0012】
金属コロイドの平均粒子径は通常1〜1000nmであるが、平均粒子径が50nmを超えるとインクジェットプリンタのノズルが詰まる恐れがある。金属コロイドの平均粒子径が1〜50nmであるとインクジェットプリンタのノズルが詰まることなく、連続して安定して容易に導電性に優れた導電回路を形成できる。
【0013】
本発明の請求項は、請求項1記載の製法により製造したことを特徴とする導電回路を有する非接触型ICラベルである。
【0014】
本発明の非接触型ICラベルは、導電性、表面強度、光沢に優れた導電回路を備えており、構成が簡単で安価であり、アンテナとして利用可能であり、また非接触あるいはハイブリッド型のICラベルなどの情報記録媒体として用いることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
非接触状態でデータの送受信を行ってデータの記録、消去などが行える非接触型ICラベルを実施例に挙げ、本発明について具体的に説明する。
非接触型ICラベルは、非接触でデータの授受を行ってデータの記憶や消去などが可能で、非接触でデータの授受を行うためのアンテナ部などの導電回路を有している。
このような非接触型ICラベルの構成は、図1(a)〜(b)に示すように、紙や合成樹脂などの安価で薄い接着シート11上に導電回路が形成されている。導電回路は、アンテナ部3と、アンテナ部3の接続端子であるランド部2a,2bおよび独立したランド部5と、コイル状のアンテナ部3に跨って形成されている絶縁部6と、絶縁部6を横切るように形成されてランド部2a,5を接続させるジャンパー部8と、ランド部2b,5に接続するように実装されているICチップ9とからなる。
【0016】
接着シート11のシート基材の材質としては、ガラス繊維、アルミナ繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの無機または有機繊維からなる織布、不織布、マット、紙あるいはこれらを組み合わせたもの、あるいはこれらに樹脂ワニスを含浸させて成形した複合基材、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂(PET、PENなど)、ポリオレフィン系樹脂、ポリイミド系樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂(PVCなど)、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂などのプラスチック、あるいはこれらにマット処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、フレームプラズマ処理およびオゾン処理、あるいは各種易接着処理などの表面処理を施したものなどの公知のものから選択して用いることができる。
【0017】
図1に示した非接触型ICラベルを製造するには、まず、図2(a)に示す、転写シート1としては、好ましくは剥離性を有する材料(ポリイミド、ポリアミド、テフロン(登録商標)、ガラスエポキシなど)からなるシート基材を用意するか、あるいは、剥離層が形成された紙、PET、PEN、PC、PVCなどから選択されたシート基材を用意する。図2(b)に示すように、この転写シート1の所定部に、金属コロイド含有インクジェットインクを用い、公知のインクジェットプリンタにより、導電回路3を形成する。2a、2bは導電回路3の両端部に設けたランド部である。同様にランド部2bの近傍に独立したランド部5を形成する。
【0018】
次に図2(c)に示すように、アンテナ部3のランド部2aと独立したランド部5との間のコイル状のアンテナ部3を跨ぐように絶縁インクをスクリーン印刷し、絶縁部6を形成する。
【0019】
次に、図2(d)に示すように、絶縁部6上を横切って、独立したランド部5と、アンテナ部3の一端のランド部2aとを繋ぐように金属コロイド含有インクジェットインクを用い、公知のインクジェットプリンタにより印刷してジャンパー部8を形成する。
【0020】
このようにして、ジャンパー部8によりアンテナ部3の一端のランド部2aと接続された独立したランド部5と、アンテナ部3の他端のランド部2bとが、近接位置に配置されている。そこで、図2(e)に示すように、ICチップ9を、接続端子(図示せず)がランド部2bおよび独立したランド部5にそれぞれ接触するように実装する。
【0021】
以上の工程により図3(a)に示すように、転写シート1面上に、アンテナ部3とランド部2a,2b,5と絶縁部6とジャンパー部8とICチップ9とからなる導電回路が形成された状態となる。
そしてこのようにして形成された導電回路を例えば、加熱炉、熱風炉などを利用したり、赤外線照射などの光、電磁波、電子線あるいはこれらの組み合わせを用いたり、公知の方法により適宜の条件下で加熱乾燥する。
加熱乾燥することにより金属コロイド含有インクジェットインクのビヒクル成分を揮散させるなどにより金属コロイド間の接触を向上させて導電率をより向上できるとともに、導電回路が転写シート1面から剥離し易くなるので、転写シート1の導電回路形成面と、接着シート11の接着面とを重ね合わせて、導電回路を接着シート11の接着面に転写させることができる。
【0022】
すなわち、図3(b)に示すように、この転写シート1の、導電回路が形成された面に、非接触型ICメディアの基材となる接着シート11の接着面を密着させる。そして、図3(c)に示すように、接着シート11を転写シート1から引き剥がし、転写シート1面の剥離性(非接着性)と、接着シート11の接着面の接着性とを利用して、導電回路を構成するアンテナ部3とランド部2a,2b,5と絶縁部6とジャンパー部8とICチップ9を、全て一体的に接着シート11の接着面に転写させることにより、導電性に優れた導電回路を有するラベルを製造することができる。
【0023】
最後に、この導電回路を保護するとともに、接着面を外部に露出させないように、合成樹脂からなる保護シート(図示せず)を、接着シート11の接着面の少なくとも1部に貼付する。
また図示しないが、例えば、ICチップ9を封止剤により封止して保護するなどを目的として、接着面の少なくとも1部に保護材を塗布することができる。こうして、本実施形態の非接触型ICラベルが完成する。
【0024】
なお、図示しないが接着シート11が連続紙である場合は、適宜の長さに切断して、本発明の非接触型ICラベルを製造できる。一方転写シート1は、形成されたアンテナ部3、ランド部2a,2b,5、絶縁部6、ジャンパー部8、およびICチップ9が全て接着シート11に転写して、何も搭載されていない状態なので、続けて非接触型ICラベルを製造するために再度使用することができる。
【0025】
接着シート11は、高温で加熱乾燥されないため、接着シート11の転写シートは、例えば、紙、不織布、PET、PEN、非晶質コポリエステル(PET−G)、PVCなどの材質により形成して製造コストの著しい軽減が可能であったり、耐熱性以外の様々な性質を重視して選択された任意の材料を用いることができ、実用に適した非接触型ICラベルが得られる。
【0026】
上記例では、導電回路3としてアンテナの例を示して説明したが、導電回路3はアンテナに限定されず、用途や目的に応じて設計されるどのような導電回路であってもよく、シート基材も紙などに限定されず、金属コロイド含有インクジェットインクを用いると、絶縁性平面あるいは絶縁性曲面を有するシート基材としての無機物および/または有機物の面上に導電回路を容易に形成できる。
この例では、2次元的導電回路を示したが、重ね印刷、積層などにより3次元的導電回路を形成することもできる。
【0027】
本発明において用いる金属コロイドは、公知の固体ゾルあるいはそれを溶媒に分散させたものであり、金属の種類は特に限定されない。しかし、金、銀、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、銅、ニッケル、アルミニウムなどは好ましく使用できる。
これらの金属コロイドは発色する。金属コロイドによる発色は電子のプラズマ振動に起因し、プラズモン吸収とよばれる発色機構によるものである。このプラズモン吸収による発色は金属中の自由電子が光電場により揺さぶられ粒子表面に電荷が現れ、非線形分極が生じるためであると考えられている。この金属コロイドによる発色は、彩度や光線透過率が高く、耐久性に優れている。例えば、金コロイドは粒径に応じて青、青紫、赤紫、金色などを示す。製造法としては、例えば金属化合物を溶媒に溶解し、高分子量顔料分散剤を添加した後、金属に還元して前記高分子量顔料分散剤で保護されたコロイド粒子を形成し、その後前記溶媒を除去して固体ゾルとする方法を挙げることができる。
【0028】
本発明において用いる金属コロイド含有インクジェットインクは、熱硬化型、光硬化型、電子線硬化型などのバインダを用いたインクでもよく、また金属コロイドを適当な分散安定剤により溶媒あるいはバインダに分散させたインクでもよい。このような溶媒としては通常のインクジェットインクに使用する水、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒などが挙げられる。この他に、pH調整剤、粘度調剤、表面張力調整剤(界面活性剤)、金属封鎖剤、防菌防カビ剤、分散剤などを含有させることができる。
【0029】
通常のインクジェットインクには、着色成分として、アントラキノン系、ベンゾキノン系、ナフトキシキノン系、キサンテン系、トリフェニルメタン系、キノリン系、インジゴイド系、アジン系、オキサジン系、チアジン系およびメチン系染料からなる群から選ばれた少なくとも1種のアニオン性インクが用いられている。
これらの着色成分を本発明で用いる金属コロイド含有インクジェットインクに添加することもできる。
【0030】
本発明において用いるインクジェットインク中に配合する金属コロイドの量は特に限定されるものではないが、加熱乾燥後の導電回路の表面抵抗が、加熱乾燥前の導電回路の表面抵抗の1/10,000〜1/50,000となるように所定量の金属コロイドを配合することが好ましい。1/10,000に達しないと良好な導電性が得られない恐れがあり、逆に1/50,000を超えてさらに小さくなると印刷性に劣り、インクジェットプリンタのノズルが詰まり、転写シート面との接着性が悪化して剥離し、表面強度が低下するなどの恐れがある。
【0031】
金属コロイドの平均粒子径は通常およそ1〜1000nmであり本発明においてはいずれも使用できる。平均粒子径が小さいものは導電性がよく好ましいが1nm未満のものは作成が難かしく、一方、平均粒子径が50nmを超えるとインクジェットプリンタのノズルが詰まる恐れがあり、金属コロイドの平均粒子径が1〜50nmであるとインクジェットプリンタのノズルが詰まることなく、連続して安定して導電性に優れた導電回路パターンを転写シート面に形成できるので好ましく使用できる。
【0032】
【実施例】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
銀ナノコロイド分散液(固形分;30質量%)50質量部とエチレングリコールモノメチルエーテル15質量部、グリセリン5質量部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル0.5質量部、イソプロピルアルコール3質量部、それに蒸留水26.5質量部を混合撹拌して、金属コロイド含有インクジェットインクを得た。このインクは、粘度4.5mPa・s、表面張力46×10-3N/m、pH9.5、金属コロイドの平均粒子径は10nmであった。
この金属コロイド含有インクジェットインクを、キャノン製インクカートリッジ 型番:BCI21(バブルジェット(登録商標)方式のインクジェットプリンタ 型番:BJC−430C用)に充填し、下記の評価方法により印字評価(印字休止後の回復性、周波数応答性)を行った結果、印字休止後の回復性○、周波数応答性○であった。
【0033】
(評価方法)
(1)印字休止後の回復性
印字休止後、プリンタを50℃の環境に5時間保持し、しかる後に、常温に戻す。その後再度印字を行いスタートアップの状態を文字の印字から判定する。
○:最初から鮮明に印刷可能であり、導電性において実用上適している。
△:始めのうちは一部カスレが見られるが、すぐに正常に戻り、導電性において実用上の大きな問題はない。
×:1ページ程度はカスレが目立つが、2ページ目以降は正常に印字できる。
【0034】
(2)周波数応答性
2KHz、4KHz、6KHzでの各周波数での駆動周波数にてそれぞれプリンタで印字し、ベタパターンの状態から応答性を判定する。
○:6KHzまでの応答性を有する。
△:4KHzまでの応答性を有する。
×:2KHzまでの応答性を有する。
【0035】
この金属コロイド含有インクジェットインクを、キャノン製インクカートリッジ 型番:BCI21(バブルジェット(登録商標)方式のインクジェットプリンタ 型番:BJC−430C用)に充填し、転写シート1として、紙を用い、アンテナ部3およびランド部2a,2b,5を印刷し、その後、詳述しないが、絶縁部6、ジャンパー部8、およびICチップ9を形成した後、100℃で30秒の加熱乾燥を行った。そして、接着シート11として感熱タック紙である王子製紙製T5−2EX(商品名)を用い、これを転写シート1に貼り合わせ、40℃の温度でゴムローラー(図示せず)により2kg/cm2 の圧力を加えて、転写シート1から接着シート11への導電回路の転写を行い、感熱タックシートからなる非接触型ICラベルを製造した。導電回路の表面抵抗値は12Ω(0.12Ω/□)であった。加熱乾燥後の導電回路の表面抵抗は、加熱乾燥前の導電回路の表面抵抗の約1/30,000である。
これを葉書やビジネスフォームに貼付することにより、データの送受信や記憶および消去が可能な非接触型ICフォームを簡単に製造できる。
【0036】
(実施例2)
実施例1で使用した銀ナノコロイド分散液50質量部に対して、グリセリン/エチレングリコール50/50の質量比で混合した液25質量部と、ヘキシレングリコール0.5質量部、テトラヒドロフルフリールアルコール3質量部、それに蒸留水21.5質量部を混合撹拌して、金属コロイド含有インクジェットインクを得た。このインクは、粘度3.1mPa・s、表面張力45×10-3N/m、pH9.3、金属コロイドの平均粒子径は10nmであった。
この金属コロイド含有インクジェットインクを、実施例1と同様にして印字評価を行った結果、印字休止後の回復性○、周波数応答性○であった。
この金属コロイド含有インクジェットインクを用いて実施例1と同様にして非接触型ICラベルを製造した。導電回路の表面抵抗値は、18Ω(0.18Ω/□)であった。加熱乾燥後の導電回路の表面抵抗は、加熱乾燥前の導電回路の表面抵抗の約1/23,000である。
【0037】
(実施例3)
実施例1で使用した銀ナノコロイド分散液50質量部に対して、トリエチレングリコールモノメチルエーテル20質量部と1,5−ペンタンジオール2.0質量部、n−プロパノール4.0質量部、それに蒸留水24質量部を混合撹拌して、金属コロイド含有インクジェットインクを得た。このインクは粘度4.2mPa・s、表面張力39×10-3N/m、pH9.5、金属コロイドの平均粒子径は10nmであった。
この金属コロイド含有インクジェットインクを、実施例1と同様にして印字評価を行った結果、印字休止後の回復性○、周波数応答性○であった。
この金属コロイド含有インクジェットインクを用いて実施例1と同様にして非接触型ICラベルを製造した。導電回路の表面抵抗値は、31Ω(0.31Ω/□)であった。加熱乾燥後の導電回路の表面抵抗は、加熱乾燥前の導電回路の表面抵抗の約1/23,000である。
【0038】
(実施例4)
実施例1で使用した銀ナノコロイド分散液50質量部に対して、1,2,5−ブタントリオール/トリエチレングリコールモノメチルエーテル65/35質量比混合液30質量部とエチレングリコールモノブチルエーテル0.3質量部、エタノール4.0質量部、それに蒸留水15.7質量部を混合撹拌して、金属コロイド含有インクジェットインクを得た。このインクは、粘度2.7mPa・s、表面張力50×10-3N/m、pH9.6、金属コロイドの平均粒子径は10nmであった。
この金属コロイド含有インクジェットインクを、実施例1と同様にして印字評価を行った結果、印字休止後の回復性○、周波数応答性○であった。
この金属コロイド含有インクジェットインクを用いて実施例1と同様にして非接触型ICラベルを製造した。導電回路の表面抵抗値は21Ω(0.21Ω/□)であった。加熱乾燥後の導電回路の表面抵抗は、加熱乾燥前の導電回路の表面抵抗の約1/18,000である。
【0039】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の導電回路を有する非接触型ICラベルの製法は、金属コロイドを含有するインクジェットインクを用いて転写シート面の所定部に導電回路を形成する工程と、前記導電回路上にICチップを実装する工程と、前記導電回路を加熱乾燥する工程と、接着シートの接着面の前記ICチップ実装と対向する位置に保護材を塗布する工程と、前記転写シートの前記導電回路形成面と、前記接着シートの接着面とを重ね合わせ、前記導電回路を前記接着シートの前記接着面に転写させる工程とを含むことを特徴とするものであり、導電回路を電子信号画像信号にて形成し、形成した電子信号画像信号に基づいてインクジェットプリンタにより、転写シート面の所定部に導電回路を容易にシャープに形成でき、そして導電回路を転写シート面の所定部に形成した後、導電回路上にICチップを実装し、加熱乾燥することによりビヒクル成分を揮散させるなどにより金属コロイド間の接触を向上させて導電率をより向上できるとともに、接着シートの接着面の前記ICチップ実装と対向する位置に保護材を塗布し、導電回路が転写シート面から剥離し易くなるので、転写シートの導電回路形成面と、接着シートの接着面とを重ね合わせて、導電回路を接着シートの接着面に転写させることにより、前記保護材により保護されたICチップを実装した導電性に優れた導電回路を有する非接触型ICラベルを容易に製造することができるという顕著な効果を奏する。
インクジェットプリンタを用いるので、製版の必要がなく、大量生産に応じることもできる上、オンデマンドで少量・多種類の注文にも応じることもでき、しかも、大きさや形状などを自由に変えた導電性に優れた導電回路を容易に形成でき、ICチップを実装することによりICラベルなどの情報記録媒体として使用可能となるという顕著な効果を奏する。
【0042】
本発明の請求項は、請求項1記載の製法により製造したことを特徴とする導電回路を有する非接触型ICラベルであり、導電性、表面強度、光沢に優れた導電回路を備えており、構成が簡単で安価であり、アンテナとして利用可能であり、また非接触あるいはハイブリッド型のICラベルなどの情報記録媒体として用いることができるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の1実施形態により製造された非接触型ICラベルの平面説明図、(b)は、そのICチップ、絶縁部、およびジャンパー部を通る断面説明図である。
【図2】(a)〜(e)は、図1に示した非接触型ICラベルの製造方法の前半の工程を示す平面説明図である。
【図3】(a)〜(c)は、図1に示した非接触型ICラベルの製造方法の後半の工程を示す、ICチップおよびアンテナ部を通る断面説明図である。
【符号の説明】
1 転写シート
2a,2b ランド部
3 アンテナ部
5 ランド部
6 絶縁部
8 ジャンパー部
9 ICチップ
11 接着シート

Claims (2)

  1. 金属コロイドを含有するインクジェットインクを用いて転写シート面の所定部に導電回路を形成する工程と、前記導電回路上にICチップを実装する工程と、前記導電回路を加熱乾燥する工程と、接着シートの接着面の前記ICチップ実装と対向する位置に保護材を塗布する工程と、前記転写シートの前記導電回路形成面と、前記接着シートの接着面とを重ね合わせ、前記導電回路を前記接着シートの前記接着面に転写させる工程とを含むことを特徴とする導電回路を有する非接触型ICラベルの製法。
  2. 請求項1記載の製法により製造したことを特徴とする導電回路を有する非接触型ICラベル。
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