以下、本発明の実施の形態の映像アーカイブ装置について、図面を用いて説明する。本実施の形態の映像アーカイブ装置は、放送局に設置される。映像アーカイブ装置の保存メディアはテープであり、より詳細には、データ保存用のS−AIT規格のテープである。以下の図では、テープが模式的に丸い図形で示される。ただし、本発明の範囲内で、保存メディアはテープに限定されず、例えば、光ディスクやホログラフィックメモリ、リムーバブルHDDなどでもよい。
本発明の第1の実施の形態の映像アーカイブ装置を図1および図2に示す。図2が映像アーカイブ装置の全体構成であり、図1が映像アーカイブ装置を構成するアーカイブサーバのブロック図である。
まず、図2を参照すると、映像アーカイブ装置1は、アーカイブサーバ3、S−AITカート5および外部記憶装置7を備えている。
アーカイブサーバ3は、データベースサーバ機能を有するコンピュータであり、演算処理機能や、入出力機能、ネットワーク通信機能などを備える。アーカイブサーバ3への操作の入力は、アーカイブサーバ3の入力装置から直接行われてもよく、ネットワークを介してクライアント装置から行われてもよい。
S−AITカート5は、テープへ映像ファイルを記録する記録手段である。S−AITカート5は、テープへのデータ記録を行うドライブ11と、カート内でドライブ11に装着されるテープを交換するチェンジャロボット13とを備える。テープはS−AITカート5に脱着可能であり、外されたテープは保管棚15に保管される。
外部記憶装置7は、ハードディスクであり、より詳細には複数のハードディスクで構成されたRAID(Redundant Array of Independent Disks)である。
本実施の形態では、保存対象の映像ファイルは、P2フォーマットのデータとして説明するが、もちろん他のフォーマットでもよい。映像ファイルは、放送局システムの他の機器からアーカイブサーバ3に供給され、外部記憶装置7に格納される。アーカイブサーバ3は、映像ファイルを記録すべきテープを決定し、決定したテープへと保存対象映像ファイルを記録するようにS−AITカート5を動作させる。
アーカイブサーバ3は、概略的には、映像グループ(連続番組、ジャンルや部署、用途など)ごとに関連する映像ファイルをまとめて配置するためのテープグループをユーザの指示に従って定義し、各映像グループに属する映像ファイルを一つのテープグループのテープに保存する。例えば、1クールのドラマと前後の特番がまとめて1つのテープグループのテープに保存される。また、情報番組、バラエティ番組などがまとめて1つのテープグループのテープに保存される。
次に、図1を参照し、アーカイブサーバ3の構成を説明する。アーカイブサーバ3は、上記の映像保存を実現するために、映像グループテーブルを記憶する映像グループテーブル記憶部21と、テープグループテーブルを記憶するテープグループテーブル記憶部31と、映像グループテーブルおよびテープグループテーブルに基づいて映像ファイルのテープへの書込みを制御する制御部61とを備える。制御部61は、2つのテーブルを使って後述するようにテープの状態管理も行う。制御部61はアーカイブサーバ3の全体の制御も行う。
映像グループテーブルは、互いに映像種類が共通する映像ファイルをまとめる映像グループを定義する情報であり、本発明の映像グループ情報に相当する。映像グループテーブルの例が図3に示されている。図3において、映像グループテーブルは、映像グループID、映像種類、映像グループ状態および割当テープグループのテーブルである。映像グループIDは、映像グループ毎に付けられたユニークな識別子であり、例えば映像グループ番号である。
映像種類は、映像グループに属すべき映像ファイルの種類である。映像種類は、番組名、番組ジャンルなどである。番組名は、例えば、ドラマXXXやニュースYYYである(XXX、YYYはタイトル)。番組ジャンルは、例えば、報道やバラエティである。映像種類は、互いに関連する番組を特徴付けることができる範囲で自由に設定されてよい。
映像グループ状態としては、図4に示されるActive(アクティブ)状態とInactive(インアクティブ)状態がある。Active状態は、映像グループに映像を新規登録可の状態であり、Inactive状態は、映像グループに映像を新規登録不可の状態である。
割当テープグループは、映像グループに割り当てられたテープグループのIDである。複数の映像グループが同じテープグループに割り当てられてよい(すなわち、上記テーブルにより、本実施の形態では、1のテープグループに1以上の映像グループが割り当てられる)。
図1に示されるように、アーカイブサーバ3は、映像グループテーブル記憶部21に関連して、映像グループ設定部23、映像グループ状態変更部25およびグループ割当部27を有する。映像グループ設定部23は、ユーザによる入力操作に従って、映像グループテーブルに対して映像グループの追加、削除、変更等の処理を行う。映像グループ状態変更部25は、ユーザによる入力操作に応じて映像グループテーブルの映像グループ状態を変更する。例えば、1クールのドラマが終わると、該当する映像グループの状態がActiveからInactiveに変更される。その後、同ドラマが特番が放送されると、該当する映像ファイルの状態がInactiveからActiveに変更される。グループ割当部27は、ユーザによる入力操作に応じて、映像グループにテープグループを割り当てる処理を行う。ユーザの指定に従って、テープグループのIDが、割当て先の映像グループの該当欄に書き込まれる。
次に、テープグループテーブルについて説明する。テープグループテーブルは、複数のテープが所属可能なテープグループを定義する情報であり、本発明のテープグループ情報に相当する。テープグループテーブルの例が図5に示されている。図5において、テープグループテーブルは、テープグループID、テープグループ状態、最大追記対象数および最小残容量しきい値のテーブルである。テープグループIDは、テープグループ毎に付けられたユニークな識別子であり、例えばテープグループ番号である。
テープグループ状態としては、図6に示されるActive(アクティブ)状態とInactive(インアクティブ)状態がある。Active状態は、テープグループのテープに映像を新規登録可の状態であり、Inactiveはテープグループのテープに映像を新規登録不可の状態である。テープグループに属する映像グループの内の、少なくとも1つがActive状態のとき、テープグループはActive状態になる。テープグループに属するすべての映像グループがInactive状態のとき、テープグループはInactive状態になる。テープグループの状態は、所属する映像グループの状態に連動して自動的に制御部61により書き換えられる。
最大追記対象数は、テープグループを構成する各テープの状態を管理するために用いられる情報である。最大追記対象数は、同一テープグループのテープの内で映像の追記を受け付ける追記対象状態のテープの最大数を規定する。
また、最小残容量しきい値も、後述のテープ状態管理で使用される。最小残容量しきい値は、テープが映像ファイルで一杯になったか否かを判定する基準値として用いられる。テープの残容量が最小残容量しきい値以下になると、テープの状態が追記不可状態へと変更されることになる。
図1に示されるように、アーカイブサーバ3は、テープグループテーブル記憶部31に関連して、テープグループ設定部33、最大追記対象数設定部35および最小残容量設定部37を有する。テープグループ設定部33は、ユーザによる入力操作に従って、テープグループテーブルに対してテープグループの追加、削除、変更等の処理を行う。最大追記対象数設定部35は、ユーザによる入力操作に従って、テープグループごとに最大追記対象数を設定する。ユーザにより指定された最大追記対象数が、テープグループテーブルの該当欄に書き込まれる。さらに、最小残容量設定部37は、ユーザによる入力操作に従って、テープグループ毎に最小残容量しきい値を設定する。ユーザにより指定された最小残容量がテープグループテーブルの該当欄に書き込まれる。
ここで、図7および図8を参照して、テープグループへの映像グループの割当てについてさらに説明する。例えばテープがS−AIT1である場合、1本のテープには映像のビットレートが50Mbpsで16.6時間、100Mbpsで8.3時間、150Mbpsで5.5時間の映像が記録される。図7は、映像グループの複数の映像を記録するのに必要なテープ数の例を示している。
図7から分かるように、1つのテープグループに1つの映像グループを割り当てた場合、テープの無駄が多くなる。しかし、この管理形態では、一つのテープに同じ映像グループの映像だけが記録され、そのテープがS−AITカート5から出されて保管棚15に保管されることになる。したがって、このように1テープグループに1映像グループを割り当てる形態は、従来のビデオテープを使う映像保存形態に近いという点では便利である。
その一方、コストと保存スペースを優先したい場合には、1つのテープグループに対して複数の映像グループを割り当て、テープの開いたスペースに別種の映像を詰めることが好適である。
これらの点を考慮して、本実施の形態は、1つのテープグループに1つの映像グループを割り当てたり、複数の映像グループを割り当てることが可能に構成されており、したがって複数のパターンの割当て形態が可能である。
図8は、テープグループへの映像グループの割当ての3つのパターンを示している。図8において、第1のパターンでは、1テープグループに対して1映像グループが割り当てられる。このパターンの利用例は、1クールのドラマをまとめて棚に保存したい場合である。1クールが終了すると、テープに残り容量がある場合でも、テープグループをInactiveにし、カートから取り出す。半年後に特番があった場合はテープグループをActiveにし、残りスペースに映像を追記することが可能である。この第1のタイプは、従来のビデオテープを使うときの映像保存の運用に一番近いパターンである。
第2の割当てパターンは、1テープグループに対し複数の映像グループを割り当てるパターンである。ただし、複数の映像グループは期間的に重ならないように割り当てられる。したがって、テープグループに属する映像グループのうちで同時にActive状態になるのは1グループである。このパターンの利用例においても、1クールのドラマがまとめて棚に保存される。ただし、前のクールの後ろに次のクールのドラマを入れることが許される。また、半年後に前のクールのドラマの特番があったときには、2つのドラマが混ざることになる。このパターンは、テープとスペースを節約したい場合に有効である。
第3の割当てパターンも、第2の割当てパターンと同様に、1テープグループに対して複数の映像グループを割り当てるパターンである。ただし、第2パターンと異なり、複数の映像グループは期間的に重なってよい。したがって、テープグループに属する複数の映像グループが同時にActive状態になり得る。このパターンの利用例としては、報道番組の素材と白完を保存する場合が挙げられる。このパターンは、複数の報道番組で共有する素材映像などを保存するのに有効である。
図1に戻ると、アーカイブサーバ3は、上記の映像グループテーブル記憶部21およびテープグループテーブル記憶部31に加えて、テープテーブル記憶部41および映像テーブル記憶部51を有し、テープテーブル記憶部41および映像テーブル記憶部51はそれぞれテープテーブルおよび映像テーブルを記憶する。
テープテーブルは、各々のテープの情報を記録するテーブルである。テープテーブルの例が図9に示されている。図9において、テープテーブルは、テープID、所属テープグループ、残容量およびテープ状態のテーブルである。テープIDは、テープ毎に付けられたユニークな識別子であり、例えばテープ番号である。所属テープグループは、各テープが所属するテープグループのIDである。残容量は、各テープの記録可能領域の容量である。テープ状態は、制御部61によって管理されるテープの状態である。後述するように、初期、追記対象、追記中断、追記不可といった4つのテープ状態が設定される。テープ状態の管理と書換えは後述するように制御部61のテープ管理制御部65によって行われる。
映像テーブルは、各々の映像ファイルの情報を記録するテーブルである。映像テーブルの例が図10に示されている。図10において、映像テーブルは、映像ID、ファイルサイズおよび映像種類のテーブルである。映像IDは、映像ファイル毎に付けられたユニークな識別子であり、例えば映像番号である。ファイルサイズは、映像ファイルのデータサイズである。映像種類は、映像ファイルに含まれた映像の種類である。
アーカイブサーバ3に映像ファイルが入力されると、その映像ファイルのデータが映像テーブルに自動的に追加される。すなわち、映像テーブルに映像IDとファイルサイズが自動的に書き込まれる。さらに、映像種類がユーザの操作によって指定されて映像テーブルに書き込まれる。図1に示されるように、映像テーブル上で映像種類を指定するために、映像テーブル記憶部51に関連して映像種類指定部53が設けられている。映像種類指定部53は、ユーザによる入力操作に従って、各映像の種類を指定する処理を行う。ユーザにより指定された映像種類が映像テーブルの該当欄に書き込まれる。
映像種類指定部53は、より詳細には、映像グループテーブルに登録された映像グループの映像種類名のリストをディスプレイに表示し、保存対象の映像ファイルが属するべき映像グループの選択をディスプレイ上でユーザに促す。そして、ユーザの選択操作に従って、選択された映像グループの映像種類が、映像ファイルIDと関連づけて映像テーブルに登録される。したがって、映像種類の指定によって、映像ファイルの属する映像グループが指定されることとなる。
変形例としては、アーカイブサーバ3に供給される映像ファイルに、メタデータ等のかたちで映像種類の情報が付加されていてよく、その映像種類が映像テーブルに書き込まれてよい。この例のように、映像種類が自動的に判定され、指定されてもよい。
次に、制御部61について説明する。制御部61は、アーカイブサーバ3の全体を制御する。また、制御部61は映像記録制御部63とテープ管理制御部65を有し、映像記録制御部63がテープへの映像ファイルの記録を制御し、テープ管理制御部65が各テープの管理を行う。
映像記録制御部63は、映像テーブル、映像グループテーブル、テープグループテーブルおよびテープテーブルを参照し、保存対象の映像ファイルを記録すべきテープを決定する。映像記録制御部63は、1つの映像ファイルを複数のテープにまたがって記録することはない。映像記録制御部63は、映像テーブルを参照して、保存対象の映像ファイルの映像種類を特定する。そして、映像記録制御部63は、映像グループテーブルを参照して、保存対象の映像ファイルの映像種類に対応する映像グループを特定する。さらに、映像記録制御部63は、映像グループテーブルを参照して、上記で特定された映像グループが割り当てられたテープグループを特定する。最後に、映像記録制御部63は、テープテーブルを参照して、テープグループに属するテープを特定する。このとき、映像記録制御部63は、追記可能状態にあって、保存対象の映像ファイルのサイズより残容量が多いテープの中で、残容量が最小のテープを選択する。そして、映像記録制御部63は、選択したテープへと映像ファイルを記録する。映像ファイルは、外部記憶装置7から、S−AITカート5内のテープへと移される。
テープ管理制御部65は、映像テーブル、映像グループテーブル、テープグループテーブルおよびテープテーブルを参照し、各テープの状態を管理する。図11は、設定可能な4種類のテープ状態を示す図であり、図12は、テープの状態遷移の図であり、図13は、図12の状態遷移の条件を示している。図13の条件に従い、各テープの状態が判定されて、テープテーブルの各テープの状態が書き換えられる。
図11および図12に示されるように、テープ状態としては、「初期」「追記対象」「追記中断」「追記不可」の4つがある。「初期」は新規テープの状態である。「追記対象」は、映像が登録された場合の追記の対象になるテープである。この状態のテープは常にカート内に位置するようにS−AITカート5が制御される。「追記中断」は、一旦追記対象から外されたテープの状態である。追記中断のテープは、S−AITカート5から取り出すことができる。追記中断のテープにはまだ残容量がある。「追記不可」は、映像が追記されないテープである。追記不可のテープもS−AITカート5から取り出すことができる。
図13に示されるように、状態間の遷移は、下記の条件が成立したときに発生する。
(1)「初期」から「追記対象」:テープグループにおける追記可能状態のテープの残容量の最大値よりも、登録映像のサイズの方が大きい場合、「初期」状態の新規のテープがテープグループに加えられ、「追記対象」状態とされる。
(2)「追記対象」から「追記不可」:テープへの追記後、テープの残容量が無くなった場合、テープは「追記不可」状態になる。テープの残容量がテープグループテーブル毎に設定された最小残容量しきい値以下になると、残容量が無くなったと判定される。
また、テープグループにおける追記可能状態のテープの数が最大追記対象数の設定を越える場合、テープグループ内で残容量が最も少ない「追記対象」状態のテープが「追記不可」状態になる。
(3)「追記対象」から「追記中断」:テープグループがActive状態からInactive状態になった場合、テープグループに属するすべての「追記対象」状態のテープを「追記中断」状態にする。
(4)「追記中断」から「追記対象」:テープグループがInactive状態からActive状態になった場合、テープグループに属するすべての「追記中断」状態のテープを「追記対象」状態にする。
(5)「追記中断」から「追記不可」:上記の(4)の状態遷移(「追記中断」から「追記対象」)で、テープがカート内に無い場合、ユーザに対し、カートへのテープの挿入を指示する。ユーザがカートへのテープ挿入を拒否した場合、そのテープが「追記不可」状態とされる。
(6)「追記不可」から「追記対象」:テープの残容量があり、ユーザの指示があった場合、「追記不可」状態のテープを「追記対象」状態にする。ただし、現在のテープグループにおける「追記対象」状態のテープ数が、最大追記対象数であったとする。この場合、「追記対象」状態のテープの中で最も残容量が少ないテープと、「追記不可」状態のテープとで、残容量が比較される。「追記不可」状態のテープの方が残容量が少なければ、ユーザの指示は失敗し、状態遷移は行われない。「追記不可」状態のテープの方が残容量が多い場合、ユーザ指示が成功し、「追記不可」状態のテープが「追記対象」状態になる。このとき、同時に、最も残容量が少ない「追記対象」状態のテープが、「追記不可」状態にされる。
テープ管理制御部65は、図13の条件に従ったプログラムを実行することにより、テープ管理を行う。図13の条件に従って各テープの状態が判定される。そして、状態遷移が発生すると、テープテーブルのテープの状態が書き換えられる。
以上に本実施の形態に係る映像アーカイブ装置1の構成について説明した。次に、映像アーカイブ装置1の動作について説明する。
映像アーカイブ装置1では、映像ファイルの保存に先立って、ユーザ操作に従って映像グループとテープグループの登録が行われる。映像グループは、映像グループテーブル記憶部21の映像グループテーブルに登録される。この際、各映像グループの映像種類と映像グループ状態が登録される。通常は、初期の映像グループ状態はActive状態である。各映像グループの割当対象のテープグループも映像グループテーブルに登録される。
また、テープグループは、テープグループテーブル記憶部31のテープグループテーブルに登録される。この際、テープグループ状態、最大追記対象数および最小残容量しきい値が登録される。
映像グループとテープグループが予め登録された状態で、放送局のシステムから保存対象の映像ファイルがアーカイブサーバ3に供給される。映像ファイルの映像の内容は任意であり、例えば、白完、完パケ、素材または同録(同時録画ファイル(放送された映像の録画))である。供給された映像ファイルは、外部記憶装置7に格納される。また、アーカイブサーバ3は、供給された映像ファイルのデータを、映像テーブル記憶部51の映像テーブルに登録する。映像ファイルのIDとサイズが映像テーブルに書き込まれる。
次に、映像種類指定部53が、保存対象の映像ファイルの映像種類を、映像テーブル記憶部51の映像テーブルに書き込む。既に説明したように、映像グループテーブルに登録された映像グループの映像種類名のリストが表示されて、保存対象の映像ファイルが属するべき映像グループの選択がユーザに促される。そして、ユーザの選択操作に従って、選択された映像グループの映像種類が、映像ファイルと関連づけて映像テーブルに登録される。種類指定によって、映像ファイルの属する映像グループが決まる。
次に、映像記録制御部63が、上述したように、映像テーブル、映像グループテーブル、テープグループテーブルおよびテープテーブルを参照して、映像ファイルが保存されるべきテープを選択する。ここでは、映像記録制御部63が、映像ファイルの映像種類に応じて、映像ファイルが所属する映像グループが割り当てられたテープグループに所属するテープを選択する。そして、映像記録制御部63は、外部記憶装置7の映像ファイルを、S−AITカート5内の選択されたテープへと記録する。
図14は、映像ファイルが記録されるときのテープグループの例を示している。図14の例では、テープグループGに、1つの追記対象状態のテープTaのみが登録されている。テープTaの残容量をVaとする。また、保存対象の映像ファイルFxのサイズをVxとする。また、テープグループGの最小残容量しきい値をThとする。また、追記対象最大数はテープ2本とする。
図示のように、テープTaの残容量Vaと映像ファイルFxのサイズVxが比較される。残容量VaがファイルサイズVx以上であったとする(Va≧Vx)。この場合、映像ファイルFxがそのままテープTaに記録される。
記録後のテープTaの残容量Va1は、Va−Vxである。この残容量Va1が、最小残容量しきい値Thと比較される。残容量Va1がしきい値Th以下であれば(Va1≦Th)、テープTaの残容量が無くなったので、テープTaの状態が、追記対象状態から追記不可状態へと変更される。
テープ状態の変更は、テープテーブル記憶部41のテープテーブルに対して行われる。テープの状態の判定と変更登録は、映像記録制御部63によって行われる(以下、同じ)。
また、図14の例で、テープTaの残容量Vaが、映像ファイルFxのサイズVx未満であったとする(Va<Vx)。この場合、映像ファイルFxはそのままテープTaに記録できない。そこで、新しいテープTbがテープグループGに追加されて、テープTbの状態が初期状態から追記対象状態とされる。そして、映像記録制御部61の指示で映像ファイルFxがテープTbへと保存される。
図15は、映像ファイルが記録されるときのテープグループの別の例を示している。図15の例では、テープグループGの最大追記対象数は、2本に設定されている。
テープグループGには、5つのテープTa〜Teが登録されている。これらのうち、2本のテープTa、Tbが追記対象状態にあり、したがって追記対象状態のテープ数が既に最大追記対象数に達している。テープTa、Tbの残容量はVa、Vbであり、VbがVaより大きいとする(Vb>Va)。その他のテープTc、Td、Teは、既にデータで一杯であり、追記不可状態にある。図では、追記対象状態と追記不可状態のテープの間が点線で仕切られている(以下、同じ)。また、保存対象の映像ファイルFxのサイズをVxとする。また、テープグループGの最小残容量しきい値をThとする。
この例の場合、テープTaの残容量VaがテープTbの残容量Vbより小さい。そこで、テープTaの残容量Vaが、映像ファイルFxのサイズVxと比較される。残容量VaがファイルサイズVx以上であったとする(Va≧Vx)。この場合、映像記録制御部61の指示で映像ファイルFxがそのままテープTaに記録される。
記録後のテープTaの残容量Va1は、Va−Vxである。この残容量Va1が、最小残容量しきい値Thと比較される。残容量Va1がしきい値Th以下であれば(Va1≦Th)、テープTaの残容量が無くなったので、テープTaの状態が、追記対象状態から追記不可状態へと変更される。
また、図15の例で、映像ファイルFxのサイズVxが、テープTaの残容量Vaより大きく、テープTbの残容量Vb以下であったとする(Va<Vx≦Vb)。この場合、映像記録制御部61の指示で映像ファイルFxがテープTbに記録される。
記録後のテープTbの残容量Vb1は、Vb−Vxである。この残容量Vb1が、最小残容量しきい値Thと比較される。残容量Vb1がしきい値Th以下であれば(Vb1≦Th)、テープTbの残容量が無くなったので、テープTbの状態が、追記対象状態から追記不可状態へと変更される。
また、図15の例で、テープTbの残容量Vbが、映像ファイルFxのサイズVx未満であったとする(Vb<Vx)。映像ファイルFxはそのままテープTbに記録できない。この場合、新しいテープTfがテープグループGに追加されて、テープTfの状態が初期状態から追記対象状態とされる。映像ファイルは、新しいテープTfへと保存される。
テープTfが追加されると、追記対象状態のテープの数が3本となり、最大追記対象数を越えてしまう。そこで、追記対象状態にあって残容量が最も少ないテープTaのテープ状態が、追記対象状態から追記不可状態に変更される。これにより、追記対象状態のテープ数が、最大追記対象数以下に制御される。
以上に、典型的な映像ファイル記録とテープ管理の動作を説明した。次に、その他の状況でのテープ管理の動作を説明する。
図16は、追記対象状態と追記中断状態との間の状態遷移の例を示す図である。図16では、時間経過に伴うテープグループ状態とテープ状態の変化が示されている。ここでは、テープグループGに、ある連続ドラマDの映像グループが割り当てられているとする。連続ドラマDが放送されている期間は、テープグループGの状態がActive状態である。テープグループGには5本のテープが属しており、2本のテープTa、Tbが追記対象状態にあり、残りの3本が追記不可状態にあるとする。
ドラマDの最終回の放送が終わり、映像グループがInactive状態になり、それに連動してテープグループGがInactive状態になったとする。このとき、テープグループGの2本のテープTa、Tbが、追記対象状態から追記中断状態に変更される。テープTa、TbはS−AITカート5から取り出して保管棚15に移すことができる。
その後、ドラマDの特番が放送され、映像グループがActive状態なり、それに連動してテープグループGがActive状態になったとする。このとき、テープグループGの2本のテープTa、Tbが、追記中断状態から追記対象状態に変更される。
ただし、追記中断状態から追記対象状態への変更を行おうとするときに、テープTa、TbがS−AITカート5に入っておらず、保管棚15に置かれていたとする。この場合、ディスプレイ上で、テープTa、TbのS−AITカート5への挿入がユーザに指示される。ユーザによりテープTa、TbがS−AITカート5に挿入されれば、それらテープTa、Tbの状態が追記中断状態から追記対象状態に変更される。
しかし、ユーザがテープTa、Tbの挿入を拒否したとする。この場合、テープTa、Tbの状態が、追記中断状態から追記不可状態に変更される。カート内に追記対象状態のテープが存在しないので、新しいテープがテープグループGに追加され、その状態が初期から追記対象状態に変更される。
図17は、追記不可状態から追記対象状態への状態遷移の例を示す図である。図17の例では、テープグループGの最大追記対象数は、2本に設定されている。テープグループGには、5つのテープTa〜Teが登録されている。これらのうち、2本のテープTa、Tbが追記対象状態にある。テープTa、Tbの残容量がVa、Vbであり、VbがVaより大きいとする(Vb>Va)。その他のテープTc、Td、Teは追記不可状態にある。このうち、テープTcの残容量Vcは、最小残容量しきい値Th以上であるとする(Vc≧Th)。
この状態で、ユーザ操作により、テープTcの状態を追記不可状態から追記可能状態へ変更する指示が入力されたとする。この指示はテープ管理制御部65に受け付けられる。この場合、追記不可状態のテープTcの残容量Vcが、追記対象状態であって残容量が小さい方のテープTaの残容量Vaと比較される。テープTcの残容量VcがテープTaの残容量より少なければ(Vc<Va)、ユーザの指示は失敗し、状態遷移は行われない。テープTcの残容量VcがテープTaの残容量Va以上であれば(Vc≧Va)、ユーザ指示が成功し、テープTcの状態が追記不可状態から追記対象状態に変更される。同時に、テープTaの状態が追記対象状態から追記不可状態に変更され、これにより、追記対象状態のテープ数が最大追記対象数以下に制御される。
以上に本発明の実施の形態に係る映像アーカイブ装置1について説明した。本実施の形態では、保存メディアがテープであり、メディアグループがテープグループであった。本実施の形態によれば、映像グループとテープグループが予め定義され、関連づけられており、それらの情報を用いて映像ファイルを記録する保存メディアが制御される。保存対象映像ファイルの映像種類が決まると、その保存対象映像ファイルが記録されるべきメディアグループが決まり、そのメディアグループに所属する保存メディアに映像が記録される。したがって、映像の種類を指定するだけで、どの保存メディアに映像を保存するかを指定しなくても、関連する映像を保存メディアにまとめられる。このようにして、大容量ファイルアーカイブ技術を利用しつつ、映像保存を簡単に行うことができる。
また、本実施の形態によれば、映像アーカイブ装置1は、メディアグループに所属する保存メディアの状態を管理するように構成されており、特に、追記対象状態の保存メディアの数を所定の最大追記対象数以下に管理する。これにより、同時に追記対象状態になる保存メディアの数が最大追記対象数以下に制限され、メディアグループ内で映像の保存場所がばらばらになるのを抑えられる。
また、本実施の形態によれば、映像アーカイブ装置1は、追記対象状態の保存メディアの数が最大追記対象数に達しており、追記対象状態の各保存メディアの残容量が追記対象映像ファイルのサイズに対して不足する場合に、追記対象状態にあって残容量が最小の保存メディアを追記不可状態とし、新しい保存メディアをメディアグループに追加して追記対象状態にする。これにより、メディアグループに属する保存メディアの残容量が不足したときに新しい保存メディアを自動的にメディアグループに追加できる。必要に応じて自動的に保存メディアを追加していくことができる。
また、本実施の形態によれば、映像アーカイブ装置1は、保存対象映像ファイルの追記を受け付ける状態にあり残容量が保存対象映像ファイルのサイズ以上のもののうちで該残容量が最小の保存メディアに追記対象映像ファイルを記録する。これにより、残容量が小さい保存メディアに優先的に映像を保存するので、前後に記録される映像をなるべく同じ保存メディアにまとめることができる。さらに、上述のように同時に追記対象状態になる保存メディアの数が最大追記対象数以下に制限すると共に、ここで説明したように残容量が小さい保存メディアに優先的に映像を保存することにより、映像の保存場所のばらつき好適に抑えることができる。
以上に本発明の好適な実施の形態を説明した。しかし、本発明は上述の実施の形態に限定されず、当業者が本発明の範囲内で上述の実施の形態を変形可能なことはもちろんである。