JP4471267B2 - 空気膨張体の開閉口の開閉構造 - Google Patents
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また、全身に2気圧程度の高い気圧をかけて体の細胞に多くの酸素を取り込み、低酸素症などを改善するための可搬式高圧エアチャンバなどの空気膨張体には、人が出入りするための開閉口が形成され、この開閉口に、閉鎖した後の気密性を維持するため、気密ジッパを設けるような技術(例えば、特許文献2参照。)も知られている。
一方、操作性のよい一般的なスライドファスナを用いると、所要の気密性を得ることが出来なかった。
このため、内側スライドファスナや外側スライドファスナとしては、いわゆる気密ジッパや気密ファスナとして市場に出回っているものでなく、通常タイプのファスナが適用可能である。また、気密シートとしては、開閉口の面積や充填圧等の関係から、空気膨張体の内側基布や外側基布、そして内側スライドファスナや外側スライドファスナとの密着性が得られるよう、その素材や厚みなどを適切に選定することが好ましく、本発明では厚みを0.2〜2mmにしている。また素材としては、例えば粘着性のあるゴムシートや樹脂シートなどが好適である。
また、気密シートは、その一部を内側スライドファスナの外側近傍の基布等に溶着しておくことにより、空気膨張体の内部を膨張させる前に、気密シートを内側スライドファスナの外側を覆う状態で配設することができ、より一層空気の洩れを抑制することができる。
このような溶着方法により、溶着されていない一辺部の個所に隙間が生じない限り、空気の洩れが生じることがなく気密性を良好にすることができる。
なお、この際、気密シートを複数枚配設し、この複数枚の気密シートを外側スライドファスナと内側スライドファスナとの間で重ね合わせ可能にすることが好ましい。
そして、このように複数枚の気密シートを重ね合わせ、気密シート同士、気密シートと内側基布、気密シートと外側基布とを密着させることにより一層気密性を良好にすることができる。
更に、気密シートと空気膨張体の基布とを同素材系にすることにより、気密シートと該基布との密着性が向上し、より一層気密性を良好にすることができる。
なお、この場合も、気密シートの素材は、開閉口の面積や充填圧等との関係から、空気膨張体の基布や気密シート同士との密着性が得られるように適切に選定する。
なお、気密シートを重ね合わせる際は、その重合部が必ずしも外側スライドファスナや内側スライドファスナの位置に対応するものでなくてもよく、重合部とスライドファスナの位置がずれてもよい。
ここで図1は本発明に係る開閉口の開閉構造からなる空気膨張体を示す全体図、図2は同開閉構造の説明図、図3(a)は図2のA−A線断面図、(b)はスライドファスナのスライダーの説明図、図4は空気膨張体に空気(酸素)を充填したときの作用図、図5は内側基布と気密シートの溶着状態の一例を示す説明図、図6は棒状の押え部材で気密性を向上させる場合の各構成例図、図7は内側、外側スライドファスナを頭合わせのスライダー2個付き方式にする例の説明図である。
なお、このような空気膨張体1は、図示のような形態以外に、空気膨張式のテントの気柱や、空気充填式の浮舟等に広く適用できるものである。
また気密シート10a、10bとしては、合成樹脂からなるシートを用いることができる。また、例えば布帛の表・裏面に気密性のある合成樹脂シートを積層したような積層シートを用いてもよい。また、気密シート10a、10bは平滑性を有するものが好ましく、その結果、例えば基布と気密シート、または気密シート同士などの密着性をより一層向上させることができる。なお、実施例では、気密性シート10a、10bの素材として、厚みが0.5〜1mmの柔軟性のある透明の塩ビシートとしており、自重だけでもシート10a、10b同士が密着してエアが逃げにくいようにされている。そしてこの厚みは、例えば0.2〜2mm程度の素材が適用可能である。これは、気密シート10a、10bの厚みが0.2mm未満になると、膨張室内に空気を入れて膨らませたときに、空気の逃げ道となる筋状のシワが発生しやすくなって空気が漏れやすくなる反面、厚みが2.0mmを超えると、例えば内側スライドファスナ8a、8bの係止具に当接する部分に厚みの分段差が生じるようになり、内側基布7と気密シート、外側基布2と気密シートとの密着性が悪くなって気密性が損なわれる虞があるからである。
そして、このような溶着方法により、二枚の気密シート10a、10bの重合部のうち、溶着されていない一辺部の個所に隙間が生じない限り、空気の洩れが抑制されるようにしている。
勿論、内側基布7や気密シート10a、10bの形状は矩形状に限られるものではない。
内側スライドファスナ8a、8bと外側スライドファスナ6a、6bが閉鎖されると、気体供給源4から内部に空気が供給される。すると、空気膨張体1の膨張室が膨張し、図4に示すように、外側スライドファスナ6a、6b周辺の外側基布2と、内側スライドファスナ8a、8b周辺の内側基布7は外方へ引張り力を受け、間に挟まれる気密シート10a、10bは外側基布2からは内方への押圧力を、内側基布7からは外方への押圧力を受け、一方側の気密シート10aは外側基布2へ、他方側の気密シート10bは内側基布7に密着するとともに、両方の気密シート10a、10b同士も密着する。
また、外側スライドファスナ6a、6bや内側スライドファスナ8a、8bは通常タイプのファスナであるため、気密ファスナの開閉操作に較べて非常に楽に開閉操作を行うことが出来る。
なお、以上の実施例では、気密シート10a、10bが重合する個所を、外側スライドファスナ6a、6bや内側スライドファスナ8a、8bの位置に対応させた位置にしている例を示したが、外側スライドファスナ6a、6bや内側スライドファスナ8a、8bの位置からずれた位置で気密シート10a、10bが重なり合うようにしてもよい。
図6(a)は、この棒状の押え部材11を別のフィルム12の端部に包み込んで形成し、この棒状の押え部材11が気密シート10a、10bの重なり部に位置するようにし、膨張室内に空気を充填した際、押え部材11によって気密シート10a、10bの重なり部に押圧力がかかるようにして、空気の洩れを封止するようにしたものである。この場合、フィルム12の他端側は、外側基布2の裏側または気密シート10aに接着等で固定しておけば好適である。
これによって、気密性を一層高めることができるが、この際、押え部材11が気密シート10a、10bの間、或いは、気密シート10aと内側基布7との間等に位置するようにしてもよい。
また、棒状の押え部材11としては、フィルム端部に包み込んでもよいが、以下に述べる図6(b)に示すように、別部材の押え部材11をフィルムに接着するようにしてもよく、図6(c)に示すように、フィルムと一体に成形してもよい。
この際、押え部材11を他の気密シート10b側に向けて形成してもよく、また、他の気密シート10bにも同様に形成してもよい。
なお、以上の棒状の押え部材11を設ける構成においては、外側スライドファスナ6a、6bや内側スライドファスナ8a、8bの位置からずれた位置で気密シート10a、10bが重合している場合を例にとって説明したが、勿論、外側スライドファスナ6a、6bや内側スライドファスナ8a、8bの位置に対応する個所で気密シート10a、10bが重合する場合にも適用可能である。
また、一枚の気密シート10a(または10b)に棒状の押え部材11を設ける場合は、図6(a)に示すようなフィルム12と一体の押え部材11を気密シート10a(または10b)の端部の上面側に位置させてもよく、下面側に位置させてもよい。また、気密シート10a(10b)自体に設ける場合は、気密シート10a(10b)端部の上面側でも下面側でもよい。
また、気密シートを三枚以上の重ね合わせにしても良い。
例えば、本発明の空気膨張体は、エアテントの気柱や、浮舟や、その他の膨張体に適用可能である。また、上側基布2や内側基布7の素材等は例示であり、また、内側スライドファスナ8a、8bや、外側スライドファスナ6a、6bは樹脂製以外の金属製でも良い。
この際、矩形状の気密シートの内側一辺を除く残り三辺を溶着をすることで気密性の維持を一層良好にできる。
Claims (2)
- 空気膨張体の開閉口の開閉構造であって、前記開閉口の内側と外側には、内側スライドファスナと外側スライドファスナが二重に配設され、内側スライドファスナと外側スライドファスナの間には、少なくとも一枚の厚さ0.2〜2mmの気密シートが、外側スライドファスナの内側を覆う状態で配設され、空気膨張体を膨張させることにより、内側スライドファスナが設けられる内側基布の外方への押圧力と、外側スライドファスナが設けられる外側基布の内方への押圧力によって気密シートが内側基布と外側基布に密着するようにされることを特徴とする空気膨張体の開閉口の開閉構造。
- 前記気密シートは矩形状であり、内側一辺を除いて残り三辺を外側基布または内側基布に溶着させてなることを特徴とする請求項1に記載の空気膨張体の開閉口の開閉構造。
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