JP4471160B2 - クリーニングブレード部材 - Google Patents

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Description

本発明は、クリーニングブレード部材に関し、特に、電子写真法において感光体や転写ベルトなど、トナー像が形成され且つその後当該トナー像を被転写材に転写するトナー像担持体上のトナーを除去するクリーニングブレード部材に関する。
一般に電子写真プロセスでは、電子写真感光体あるいは転写ベルト等を繰り返し使用するためにトナーを除去するクリーニングブレードが用いられるが、このクリーニングブレード部材にはポリウレタンが使用される。ポリウレタンは、耐摩耗性が良好で、補強剤などを添加しなくても十分な機械的強度を有し、非汚染性であるからである。しかしながら、ポリウレタンの物性には温度依存性があることが知られており、高温でクリーニングブレードが摩耗してしまうという問題がある。
ここで、ポリウレタンからなるクリーニングブレードとしては、50℃における引張強度が12MPa以上、tanδピーク温度が15℃以下、硬度が80°以下の硬化体とすることにより、低温環境下におけるクリーニング性を損なうことなく、高温環境下におけるエッジ部の欠けの発生が有効に防止され、広い温度域で良好なクリーニング性を発揮することができることを目的とするクリーニングブレードが開発されている(特許文献1参照)。
また、数平均分子量が1000〜3000である2官能ポリオールと、数平均分子量が92〜980の3官能ポリオールとを、平均官能基数が2.02〜2.20となる比率に混合した混合ポリオールに、イソシアネート基の含量が5〜20%となる量のジイソシアネート化合物を混合したプレポリマーに、OH基/NCO基の当量比が0.90〜1.05となる量の架橋剤と、前記プレポリマー100重量部に対して0.01〜1.0重量部の反応促進剤とを混合し反応させて得られるポリウレタンシートを用いる電子写真装置用ブレードがある(特許文献2参照)。
しかしながら、これらのブレードでは、特に高温環境下での耐摩耗性の面で満足が得られず、更なる特性の向上が望まれている。
特開2001−265190号公報 特開平9−274416号公報
本発明は、このような事情に鑑み、高温環境下でも耐摩耗性に優れたクリーニングブレード部材を提供することを課題とする。
前記課題を解決する本発明の第1の態様は、ポリカーボネートジオールを主成分とするポリオールと、ポリイソシアネートと、短鎖ジオール及びトリオールを含む架橋剤とを用いて形成されるポリウレタンからなり、当該ポリウレタンが、60℃での引張強さが200kg/cm以上、10℃及び60℃の引張強さをそれぞれT10及びT60としたときの下記式で表される引張強さ維持率ΔTが40%以上であり、さらに加硫遅延剤が用いられていることを特徴とするクリーニングブレード部材にある。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記ポリウレタンが、60℃での300%伸張時の引張強さが200kg/cm以上であることを特徴とするクリーニングブレード部材にある。
本発明の第3の態様は、第1又は2の態様において、前記ポリウレタンが、tanδ(1Hz)のピーク温度が10℃以下であることを特徴とするクリーニングブレード部材にある。
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様において、前記短鎖ジオールとトリオールとが、重量比で短鎖ジオール:トリオール=50:50〜95:5であることを特徴とするクリーニングブレード部材にある。
本発明の第5の態様は、第1〜4の何れかの態様において、下記式で表されるα値が0.7〜1.0であることを特徴とするクリーニングブレード部材にある。
本発明は、ポリカーボネートジオールを用いたポリウレタンからなり、所定の引張強さを有するクリーニングブレードとすることにより、高温環境下(60℃)でも耐摩耗性に優れ、長期間使用できるクリーニングブレード部材を実現したものである。
すなわち本発明は、ポリカーボネートジオールを主成分とするポリオールと、ポリイソシアネートと、短鎖ジオール及びトリオールを含む架橋剤とを用いて形成されるポリウレタンからなり、当該ポリウレタンが、60℃での引張強さが200kg/cm以上、好ましくは250kg/cm以上で、10℃及び60℃の引張強さをそれぞれT10及びT60としたときの上記[数1]式で表される引張強さ維持率ΔTが40%以上であるクリーニングブレード部材であり、このような構成にすることにより、高温でも耐摩耗性に優れ、クリーニングブレードのロングライフ化を図ることができるという知見に基づくものである。60℃での引張強さが200kg/cm未満やΔTが40%未満であると、耐摩耗性が悪くなる。
なお、所定の引張強さを有するポリウレタンにする方法は特に限定されないが、例えば、架橋剤中のトリオールの配合割合や、ポリイソシアネートの配合割合を多くすることにより行える。
また、加硫遅延剤を用いてポリウレタンを形成することが好ましい。ポリカーボネートジオールは反応速度が早いので、加硫遅延剤を用いることにより、ポットライフを長くして作業性を良くし、かつ品質を安定させるためである。加硫遅延剤に特に制限はないが、モノブチルホスフェート等のリン酸や、アミン系化合物などの遅延活性触媒を挙げることができ、配合割合も特に限定されないが、例えばポリオール100重量部に対して0.01〜1重量部用いることが好ましい。
ポリウレタンの60℃での300%伸張時の引張強さは、200kg/cm以上であることが好ましい。200kg/cm未満であると耐磨耗性が悪くなり、少ない通紙枚数でエッジが欠けたり、白抜け等の画像不良が起こる。
また、ポリウレタンのtanδ(1Hz)のピーク温度が10℃以下であることが好ましい。10℃より大きいと低温低湿環境でゴム性を失ってしまい、非常に欠け易くなる。
さらに、ポリウレタンの永久伸びは、2.5%以下であることが好ましい。2.5%より大きいと、クリーニングブレードの使用時にエッジ部のへたりが大きくなり、線圧が低下してクリーニング性能が悪化してしまうためである。
本発明のクリーニングブレードは、ポリカーボネートジオールを主成分とするポリオールと、ポリイソシアネートと、短鎖ジオール及びトリオールを含む架橋剤とを用いて形成される。まず、ポリオールとしてポリカーボネートジオールを用いる。ポリカーボネートジオールは、ジオール成分とジアルキルカーボネートとを反応させることによって得られる。ジオール成分(ベースジオール)は特に限定されないが、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール(HD)、メチルペンタンジオール、ノナンジオール(ND)、メチルオクタンジオール(MOD)等を挙げることができる。二種以上を混合して用いてもよい。
また本発明では、ポリカーボネートジオールの他、本発明の効果を損なわない範囲で他のポリオールを併用することができるが、併用する場合には、ポリカーボネートジオールの含有量は、ポリオール中100〜30重量%であるのが好ましい。他のポリオールとしては、アジピン酸等の二塩基酸と上記と同様のジオール成分との脱水縮合により得られるポリエステルポリオールや、カプロラクトン系のポリオール等を挙げることができる。
ポリオールの配合割合は、ポリウレタン中60〜80重量%であるのが好ましい。
ポリオールと反応させるポリイソシアネートは、分子構造が比較的剛直でないものであることが好ましく、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、1,6−ヘキサンジイソシアネート(HDI)などを挙げることができる。特に、好適なものはMDIである。ポリイソシアネートの配合割合は、ポリウレタン100重量部に対して30〜80重量部であることが好ましい。30重量%未満では引張強さが不十分になる場合があるからであり、80重量部より多いとtanδのピーク温度が上がりすぎたり、永久伸びが大きくなりすぎる。
α値は0.7〜1.0であることが好ましい。α値とは、下記式で表される値である。α値が、1.0より大きいと架橋剤の水酸基が残存するため当接する感光体等が汚染してしまい、0.7未満では架橋密度が少なすぎて強度が不充分となったり、残存イソシアネートの失活に時間がかかり感光体汚染する場合がある。
短鎖ジオールに特に限定はないが、プロパンジオール(PD)及びブタンジオール(BD)の少なくとも一方を有することが好ましい。ここで、プロパンジオールとしては1,3−プロパンジオールが、ブタンジオールとしては1,4−ブタンジオールが代表的なものであり、1,3−プロパンジオール及び1,4−ブタンジオールは性能およびコスト面で好適であるが、これに限定されるものではない。また、トリオールにも特に限定はなく、トリメチロールエタン(TME)、トリメチロールプロパン(TMP)等の短鎖トリオールや、分子量がそれらよりも大きい下記式で表されるカプロラクトン系トリオール(εカプロラクトンから合成されるトリオール、例えば、数平均分子量=400〜1000)等を挙げることができる。勿論、短鎖ジオールもトリオールもそれぞれ二種以上混合して用いてもよい。この架橋剤の主成分の配合割合は特に限定されないが、重量比で短鎖ジオール:トリオール=50:50〜95:5であることが好ましい。トリオールが少ないと永久伸びが大きくなりすぎ、トリオールが多すぎるとtanδが上がりすぎたり欠け易くなる。
上述したポリカーボネートジオール及び架橋剤に、ポリイソシアネートや加硫遅延剤を配合し、反応させることによりポリウレタンを製造する。反応はプレポリマー法やワンショット法など、ポリウレタンの一般的な製造方法を用いることができる。プレポリマー法は強度、耐摩耗性に優れるポリウレタンが得られるため本発明には好適であるが、製法により制限されるものではない。
本発明によると、ポリカーボネートジオールを用い、所定の引張強さを有するポリウレタンとすることにより、高温環境下(60℃)でも耐摩耗性に優れた長期間使用できるクリーニングブレード部材とすることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
(実施例1)
ベースジオールとして1,6−ヘキサンジオール(1,6HD)を使用した分子量2000のポリカーボネートジオール100重量部と、MDI40重量部および架橋剤としての1,3−プロパンジオール/トリメチロールエタン混合液(80/20)とをα値が0.95となるように配合し加硫遅延剤として大八化学工業社製のMP−4(モノブチルホスフェート)0.05重量部を添加して、反応させてポリウレタンとし、テストサンプル及びクリーニングブレードを製造した。なお、ポリウレタン中のポリカーボネートジオールは約60重量%とした。
(実施例2)
トリメチロールエタンのかわりに分子量500のカプロラクトン系トリオールを用いた以外は、実施例1と同様にして、テストサンプル及びクリーニングブレードを製造した。
(実施例3)
トリメチロールエタンのかわりに分子量800のカプロラクトン系トリオールを用いた以外は、実施例1と同様にして、テストサンプル及びクリーニングブレードを製造した。
(実施例4)
ポリカーボネートジオールのかわりに、ベースジオールとして1,6−ヘキサンジオールを使用した分子量2000のポリカーボネートジオールと、1,9−ノナンジオール/2−メチル−1,8−オクタンジオール混合物とアジピン酸とから得た分子量2000のポリエステルジオールを等量混合したものを用いた以外は、実施例1と同様にして、テストサンプル及びクリーニングブレードを製造した。
(実施例5)
トリメチロールエタンのかわりに分子量800のカプロラクトン系トリオールを用い、MDIを50重量部にした以外は、実施例4と同様にして、テストサンプル及びクリーニングブレードを製造した。
(実施例6)
ポリカーボネートジオールのかわりに、ベースジオールとして1,6−ヘキサンジオールを使用した分子量2000のポリカーボネートジオールと、分子量2000のポリε−カプロラクトン系ジオールを等量混合したものを用い、MDIを50重量部にした以外は、実施例1と同様にして、テストサンプル及びクリーニングブレードを製造した。
(実施例7)
トリメチロールエタンのかわりに分子量800のカプロラクトン系トリオールを用いた以外は、実施例6と同様にして、テストサンプル及びクリーニングブレードを製造した。
(比較例1)
ポリカーボネートジオールのかわりに、分子量2000のポリε−カプロラクトン系ジオールを用い、1,3−プロパンジオール/トリメチロールエタン混合液(80/20)のかわりに1,4−ブタンジオール/トリメチロールプロパン混合液(80/20)を用いた以外は実施例1と同様にして、テストサンプル及びクリーニングブレードを製造した。
(比較例2)
ポリカーボネートジオールのかわりに、1,9−ノナンジオールとアジピン酸とから得た分子量2000のポリエステルジオールを用いた以外は、実施例1と同様にして、テストサンプル及びクリーニングブレードを製造した。
(比較例3)
MDIを35重量部とした以外は実施例1と同様にして、テストサンプル及びクリーニングブレードを製造した。
(試験例1)
各実施例及び比較例のテストサンプルについて、23℃において、ゴム硬度(Hs)をJIS K6253に準拠して、ヤング率をJIS K6254で25%伸長により、100%伸張時の引張強さ(100%Modulus)、200%伸張時の引張強さ(200%Modulus)、300%伸張時の引張強さ(300%Modulus)、引張強さ及び切断時の伸びをJIS K6251に準じて、引裂強さをJIS K6252、100%永久伸びをJIS K6262に準じて、25℃での反発弾性(Rb)をJIS K6255に準拠したリュプケ式反発弾性試験装置により測定した。また、tanδをセイコーインスツルメンツ社製熱分析装置EXSTAR6000DMS粘弾性スペクトロメータで1Hzにて測定し、ピーク温度を求めた。さらに、引張強さ及び300%伸張時の引張強さについては10℃〜60℃でも測定し、温度依存性についても評価した。結果を、表1及び表2に示す。
(試験例2)
各実施例及び比較例のクリーニングブレードを、加速試験機(トナーを介在させず有機感光体に実機相当の当接圧・角度でブレードをセットし、周速100〜300rpmで連続回転させる装置)に取り付け感光体に当接させて、室温(25℃前後)にて、普通紙A4タテ30000枚通紙相当のランニング(約10時間)後、各クリーニングブレードのエッジをビデオマイクロスコープで拡大観察した。結果を表1及び表2に示す。
この結果、60℃での引張強さが200kg/cm以上であり引張強さ維持率ΔTが40%以上である実施例1〜7のクリーニングブレードは、摩耗幅も小さくほとんど欠けもなく、長期間良好に使用できることが分かった。一方、ΔTが40%未満である比較例1では、欠けが発生し摩耗幅が大きかった。また、60℃での引張強さが200kg/cm未満でΔTが40%未満である比較例2や、ポリオールがポリカーボネートジオールでありΔTが40%未満である比較例3では、欠けは発生しないが摩耗幅が大きかった。

Claims (5)

  1. ポリカーボネートジオールを主成分とするポリオールと、ポリイソシアネートと、短鎖ジオール及びトリオールを含む架橋剤とを用いて形成されるポリウレタンからなり、当該ポリウレタンが、60℃での引張強さが200kg/cm以上、10℃及び60℃の引張強さをそれぞれT10及びT60としたときの下記式で表される引張強さ維持率ΔTが40%以上であり、さらに加硫遅延剤が用いられていることを特徴とするクリーニングブレード部材。
  2. 請求項1において、前記ポリウレタンが、60℃での300%伸張時の引張強さが200kg/cm以上であることを特徴とするクリーニングブレード部材。
  3. 請求項1又は2において、前記ポリウレタンが、tanδ(1Hz)のピーク温度が10℃以下であることを特徴とするクリーニングブレード部材。
  4. 請求項1〜3の何れかにおいて、前記短鎖ジオールとトリオールとが、重量比で短鎖ジオール:トリオール=50:50〜95:5であることを特徴とするクリーニングブレード部材。
  5. 請求項1〜4の何れかにおいて、下記式で表されるα値が0.7〜1.0であることを特徴とするクリーニングブレード部材。
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