JP4471065B2 - 水素の供給方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は移動式または定置式の燃料電池への安全な水素ガスの供給方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
次世代のクリーンエネルギーの一つとして期待される燃料電池は、特に近年、同電池を搭載した燃料電池車の技術開発が急速に進み、実用化の段階に達している。例えば国内ではホンダ及びトヨタが世界初の販売許可を取得、年内に各々独自に開発した燃料電池車の販売を開始することを発表している。両社は、車両に搭載した高圧のボンベに濃度100%の純粋な水素を燃料電池の水素源として充填して消費すると公表している。一方、石油やガス業界では水素を供給できるインフラの整備のため、新たな水素ステーション建設のためのプロジェクトの検討が進められている。
【0003】
燃料電池向けの水素の供給方法は、上記のように純粋な水素を車両に搭載して消費する方法以外にも各種の方法が提案されている。例えば米GM社は車両内でガソリンを改質して得た水素が、最もエネルギー効率が高いとする研究発表(2001年3月23日 日本経済新聞)を行っている。同様に米フォード社は米モービル社と組んで既存のガソリンスタンドを利用し、ガソリンを始めとする各種の液体燃料を水素源とする共同開発(1999年8月17日 日本経済新聞)を進めている。また独ダイムラークライスラー社は車両内でメタノールから改質した水素を取り出し、これを利用した試作車を発表(2000年11月8日 日本経済新聞)している。
【0004】
国内の大学を中心とした研究機関でも、燃料電池を対象とした新たな水素の供給方法が最近の研究誌に多数発表されている。例えば工学院大学の須田研究室では、水素の金属化合物をフッ化金属系の触媒に触れさせ常温で容易に水素を取り出す方法を研究している。北海道大学の市川研究室では、シクロヘキサンやデカリンのような環状化合物を脱水素してベンゼンやナフタリンを得、これを循環使用して水素を利用する方法を提案している。また千葉大学の金子研究室ではカーボンナノホーンを用いた水素の安全な貯蔵法に注目している。
【0005】
一方、自動車業界以外の民間の研究機関でも新しい水素の供給方法が進められている。その代表例としてNKKグループが進めているヂメチルエーテル(DME)の新合成法がある。この物質をメタンから直接合成してディーゼル車の軽油に代わる新しい燃料として使用し、併せて燃料電池向けの水素源として利用しようとするもので、既にこの新燃料を搭載したディーゼル車は実用走行テストに入ったといわれている。メタンハイドレートを始め豊富かつ安価なメタンを出発原料とするDMEは、新しい水素源の有力な候補の一つとしてその将来性に大きな期待が寄せられている。
【0006】
以上のように、燃料電池向けの水素の供給方法は各種の方法が提案されているが、尚かつ水素そのものを搭載する方式が現時点では本命とされている。この最大の理由は、水素を搭載する方式は、ガソリンやメタノール方式に必要な改質装置や精製装置が不要で高純度の水素を直接、燃料電池に供給できることにある。政府もこの方式を後押しするために水素に関連する各種の保安管理規定を緩和する検討に入っている。例えば水素スタンドを住宅地や商業地でも設置可能としたり、家庭用電源として特別な資格なしに、燃料電池の取扱を可能とする等の法改正の準備を進めており、燃料電池向けの水素源として純粋な水素を使うことは、官民あげて最も先行した実用技術として進行しつつある。しかし我々が水素から受ける印象は「有害ガスを全く排出しないクリーンなガス」であり、一方で水素が極めて危険性の高いガスであることは世間であまり知られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、水素の持つ危険性を極力回避しようとするものである。水素の持つ危険性とは次の3点である。その第一は空気中で水素の容量比で4%から75%の間で着火するという広い爆発範囲を有する。この数値は、現在我々が燃料用として広く家庭で使用しているメタンやプロパンに比べて、7倍以上の広い爆発範囲を持つ値である。第二の理由はその貯蔵方法が難しく、例えばガス状態で実用的に車両に搭載するには、350気圧程度の高圧に加圧して貯蔵しなければならない。
【0008】
第三の理由は水素の濃度が上記の爆発範囲内にあれば、微少の着火源で容易に着火する。着火のし易さを示す最小着火エネルギーで見ると水素は0.019mJであり、この値は人体に帯電する静電気による火花でも着火する可能性がある。着火には可燃物と酸素と着火源の3要素が必要で、この3要素が論理的にはAND回路で結ばれている。本発明はこの3要素のうち可燃物である水素に着目し、その爆発範囲を出来るだけ回避することにある。
【0009】
【課題を解決しようとする手段】
上記課題を解決するため、本発明の一つは、燃料ガス供給工場において水素濃度が容量比で7%を超え50%未満となるように水素ガス中に窒素ガスを混入して燃料ガスとし、該燃料ガスを導管により燃料ガススタンドに供給し、水素ガスと窒素ガスを分離した後、水素ガスを移動式燃料電池に供給する水素の供給方法を採用した。本発明においては、前記燃料ガスを一旦燃料ガスタンクに貯蔵し、水素・窒素分離器で水素ガスと窒素ガスを分離した後、水素ガスを水素充填機を通して移動式燃料電池に付属した水素貯蔵器に貯蔵し、しかる後燃料電池に供給する水素の供給方法としても良い。
【0010】
またもう一つの本発明の方法は、燃料ガス供給工場において水素濃度が容量比で7%を超え50%未満となるよう水素ガス中に窒素ガスを混入して燃料ガスとし、該燃料ガスを導管により定置式燃料電池に供給し、水素・窒素分離器で水素ガスと窒素ガスとを分離した後、水素ガスを定置式燃料電池に供給する水素の供給方法とした。
【0011】
本発明の方法では、前記水素・窒素分離器としてモレキュラーシーブを用いたものを使用することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
水素の安全特性として上記の爆発範囲の大小の他に、発火の限界酸素濃度が知られている。限界酸素濃度とは、一般的に可燃性ガスが存在する空気の中に窒素のような不活性ガスを混合して酸素濃度を減少させた場合、ある酸素濃度以下になると爆発をしなくなる限界の酸素濃度をいい、水素の場合は5.0%である。また図2は高圧ガス保安協会発行の「高圧ガス保安技術(1998年度版)」に掲載された、大気圧における水素−窒素−空気の混合ガスの爆発範囲を示す図である。本図には、空気と水素の混合ガスに窒素を添加した場合の爆発範囲が示されている。
【0013】
図2は横軸Nには添加した窒素ガスの比率(容量%)、縦軸Hには水素の比率(容量%)が表示されている。図2で、Area−Iで示される範囲は爆発を起こす範囲であり、Area−IIで示される範囲は爆発を起こさない範囲を示している。Area−IとArea−IIとの境界線上の任意の点における縦軸Hと横軸Nの数値を読み取ることにより、その点における水素、酸素及び窒素(空気中の微量のアルゴンを含む)の値を算出することができる。
【0014】
しかし、この図から水素が漏洩した現場を想定して着火の危険度を推定するためには、漏洩した水素が空気中に拡散した後の水素濃度を推算して、その値をY座標に代入しなければならない。そこで本発明者等は、新たな表1を作成した。表1の横軸Xは、予め100%の水素に窒素を添加することを想定して「水素と窒素の混合比」とし、縦軸Yはこの混合ガスが空気中に漏洩し拡散することを想定して「水素・窒素の混合ガス(以下燃料ガスと称す)と空気の混合比」とし、燃料ガスが空気中に漏洩・拡散した場合の気体組成を計算して、表1を作成した。表1の各数値は、横軸Xの混合比を10%毎に、また縦軸Yの混合比を5%毎に区切って計算し、水素及び酸素の含有率(容量%)で示した。更にX軸の最右欄には、燃料ガスの混合比で窒素/水素=93/7における含有率を示した。この混合比は後述するように、燃料ガスが空気中に漏洩・拡散した場合、可燃性ガスであるか又は不燃性ガスであるかの境界を示す値である。
【0015】
表1の数値は、本来は窒素・水素・酸素の含有率(容量%)とすべきであるが、窒素の値については窒素(%)=100−(水素%+酸素%)で容易に求められるので、表中の表示を省略し、水素と酸素の値だけを縦横の各々の組み合わせ毎に計算して表示した。表中に酸素の値を併記したのは、後述する酸素欠乏による危険性を予知するためである。
【0016】
【表1】
Figure 0004471065
【0017】
漏洩した燃料ガスが、空気中に拡散した後の混合気体中の水素濃度を知るため、燃料ガスと空気の混合に際しては「両者は拡散してお互いに完全に混合している」と仮定した。この仮定には多少の無理があるが、燃料電池の設置場所を想定した場合、殆どのケースで地上近傍に設置され、かつ燃料ガスは空気に比べて比重がやや小さいので漏洩したガスは上部に向け全体に拡散し、プロパンのように地表部に滞留したり、また水素単独の場合のように上部に偏滞することもない。従って「漏洩したガスは空気と完全混合する」という仮定の確率は高いと考えられる。
【0018】
表1が完成した後、既述した3つの既成事実、即ち空気中の水素の爆発範囲、水素の限界酸素濃度、及び窒素の添加実験値から「不燃性ガスの組成」の領域を選別した。3つの既成事実は、論理的にはOR回路で結ばれており、いずれかの事実で不燃である領域は、不燃領域である。従って、まず空気中の水素の爆発範囲と水素の限界酸素濃度のいずれかの値から「不燃ガスの組成」の領域を選別した。即ち、空気中の水素の爆発限界外及び酸素濃度5%未満の組成領域は不燃性混合ガスの領域である。
【0019】
更に、図2の窒素ガスの添加実験値から可燃性ガスと不燃性ガスの境界領域を読み取った。例えば図2において縦軸H方向の水素の下限濃度は、ほぼ4%で一定であるが、曲線の横軸N方向のピーク点では、やや上昇する。ピーク点における横軸Hと縦軸Yの座標の値を読むとH=6%、N=71%である。即ち窒素で希釈した場合、希釈のピーク点では水素濃度=6%未満の組成は不燃性領域であることがわかる。従って、表1において横軸Xで窒素/水素=93/7の組成の燃料ガスが、空気中に漏洩・拡散した場合の水素の含有率を読むと、酸素の含有率5%を超える範囲で、その値は最大で5%である。この値は上記のように、図2から不燃性領域となるので、表1の横軸Xでこの水素濃度(水素=7%)以下の組成の燃料ガスは不燃領域として区切ることとした。
【0020】
図2の他の境界領域の任意の点についても、同様な手順で数値を読み取り、表1で「不燃性ガスの組成」の領域を選別した。選別の結果を表1に太線Lで区分した。表1において太線Lの外側の部分(表の周辺部)は着火爆発の危険がない「不燃性混合ガスのエリア」であり、太線Lの内側の部分は何らかの着火源があれば着火爆発を起こす「可燃性混合ガスのエリア」である。
【0021】
次に爆発範囲に中でも、爆ごうの起きる可能性について説明する。爆ごうとは水素やアセチレンのような燃焼速度の大きいガスに特有な現象で、爆発の中でも火炎の伝播速度が音速より大きく、強い破壊力を伴うため極力回避しなければならない危険現象である。水素の場合、爆ごうは大気中の水素濃度が特に18%〜59%の範囲にある場合に発生しやすいといわれている。この際、水素以外の残りのガスは空気であるから酸素濃度は18〜9%、窒素濃度は64%以下となる。この条件を満たすガス組成は、爆ごうを起こす可能性がある。
【0022】
表1より、これらの水素含有率が18%〜59%、酸素含有率が18〜9%、窒素含有率が64%以下となる組成を含む水素、酸素、窒素の組成を選別し、表中に太線Mで区分した。この太線Mで囲った範囲は、前記の「可燃性混合ガスのエリア」の内側にあり、爆発の中でも更に危険度の高い「爆ごう性混合ガスの可能エリア」である。そのエリアの大部分は、燃料ガスの混合比で窒素/水素=50/50より窒素の混合比が小さい範囲に存在し、かつ窒素の混合比が小さくなる程、爆ごうの範囲が広がっていることが分かる。
【0023】
表1の結果を図3に示す。各エリアの判定に使用した基礎データは、いずれも公知の事実であるが、窒素を含む水素が漏洩し空気中に拡散したことを想定してガス組成を求め、拡散後の雰囲気が可燃性か又は不燃性かを判断して、実線で区分し表示した。図3の横軸Xと縦軸Yは、表1の横軸Xと縦軸Yと同一である。図3でArea−Iで示される範囲は、漏洩したガスが「可燃性混合ガス」であることを示し、Area−IIで示される範囲は漏洩したガスが「不燃性混合ガス」であることを示す。更にArea−IIIで示される範囲は、漏洩したガスが「爆ごう性混合ガスの可能性エリア」であることを示す。
【0024】
実際の漏洩を想定した場合、燃料ガスの組成によりスタート地点は図3のX軸上を起点として移動する。例えば、b点の組成の燃料ガスが漏洩したと仮定すれば、漏洩雰囲気のガスの組成は、b点を起点として漏洩するガス量の増大と共にY軸方向をb′点に向かって進む。漏洩の当初は燃料ガスの濃度は希薄のため不燃性であるが、漏洩量の増加と共に可燃性混合ガスであるArea−Iに突入する。このArea−Iの組成で万一何等の着火源があれば爆発する。運良く着火源がなければ更にb′点に向かって進み、再び不燃性混合ガスであるArea−IIに入る。
【0025】
c点の混合比の燃料ガスは、燃料ガスの組成がb点の燃料ガスより窒素濃度の高い組成の燃料ガスを示す。この組成の燃料ガスは、漏洩しても可燃性混合ガスであるArea−Iを横切ることはなく、着火爆発の危険はない。またa点の燃料ガスはX軸のゼロに近く、ほぼ純粋の水素が空気中で示す爆発範囲を示し、b点の燃料ガスに比べて可燃性混合ガスであるArea−Iを横切る範囲が広く、それだけ危険度の高いガス組成となっている。更にk点の混合比の燃料ガスは、燃料ガスの組成がb点の燃料ガスより窒素濃度が低い燃料ガスを示す。この組成の燃料ガスは、漏洩すると爆ごう性混合ガスであるArea−IIIを横切るので、爆ごうを引き起こす危険がある。従ってこのような危険なガスの使用は避けなければならない。
【0026】
本発明による安全に輸送できる燃料ガスの組成について表1と図3を用いて説明する。表1に示す通り、横軸Xで燃料ガス中の水素濃度が7%以下(窒素濃度が93%を超える範囲)の組み合わせでは、燃料ガスは大気中に拡散する過程で可燃性混合ガスのエリア(一般には爆発範囲と称す)を横切らない。従ってこの組成の燃料ガス中の水素濃度は、着火を起こさない水素の下限値であり、安全上で水素濃度をこれ以下に下げる必要はない。
【0027】
この値から水素濃度を徐々に上げて(=窒素濃度を下げる)いくと燃料ガスは拡散の過程で可燃性混合ガスのエリアを横切ることになる。燃料ガス中の水素濃度を50%(=窒素濃度を50%)にすると、表1より可燃性混合ガスと不燃性混合ガスとの境目をなす組成の燃料ガスの空気中の爆発範囲は、境界欄の水素含有率の中間値を採って4%〜39%と読み取ることができる。この値は純粋の水素の空気中の爆発範囲の約半分で、燃料電池用の有力な燃料候補の一つであるメタノールの爆発範囲6〜36%にほぼ匹敵する。燃料ガス中の窒素濃度が高い程、その爆発範囲は狭くなり安全面では好ましいが、一方で窒素濃度の増加に比例して、後述する分離工程での分離装置の大型化が必要となる等、コストの上昇を招く。
【0028】
燃料ガスの安全性は、それを取り扱う機器の安全上の信頼度、設備周辺の環境及び取り扱う人々の安全知識や経験等によって変わり得る。例えば広大な米国大陸内の水素スタンドと我が国の大都会周辺に設置される水素スタンドとを比較すれば、災害のポテンシャルに大きな違いがある。また人々の危険に対する安全意識についても、従来取り扱いに慣れてきたメタンやプロパンの危険度に比べて、その危険度が大幅に乖離することは避けなくてならない。
【0029】
この意味で燃料電池向けの水素供給にあたっては、導入の当初は周囲の環境などを勘案して、狭い爆発範囲を持つ組成の燃料ガスからスタートし、人々の安全意識の高揚と平行して徐々に爆発範囲の広い範囲へ移行することが望ましい。しかし、広い範囲へ移行する場合であっても、その爆発範囲は競合する他の同類燃料、例えばガソリンやメタノール等の爆発範囲を大幅に上回ってはいけない。この観点から燃料ガスの空気中の爆発範囲として4〜39%を目標として定め、燃料ガス中の水素の上限値を、水素濃度=50%未満とした。
【0030】
更に安全上で配慮しなければならないことは、新しい組成の燃料ガスの導入に伴うそのガス特有の新たな危険性の回避である。提案された燃料ガス中には当初より窒素が含有されている。窒素を含む燃料ガスの漏洩は、併せて酸素欠乏という新たな危険性を同伴する。人間は大気中の酸素濃度が焼く16%以下になると悪心や筋力低下を起こし、更に10%以下になると死の危険が生じてくるといわれている。この危険性を図3に鎖線で表示した。X軸に平行な直線d〜d′より上部の領域(Y>24/76)は、酸素欠乏に対する要注意領域を示し、直線e〜e′より上部の領域(Y>53/47)は危険領域を示す。
【0031】
漏洩した燃料ガスは、水素単独の場合に比較して空気中に均一に拡散し完全混合しやすいと前述したが、これは酸素欠乏の起きる確率が水素単独の場合よりも高いことを示唆する。従って燃料ガスの漏洩時の危険は「爆発に対する危険」と「酸素欠乏に対する危険」の両方を考慮しなければならない。酸素欠乏の危険領域では、人間は生存できないので、爆発に対する危険性は、この酸素欠乏の危険領域外の領域を対象として回避すれば良い。
【0032】
図3において酸素欠乏の危険領域外の領域(図3で直線e〜e′より下部の領域)、即ち酸素濃度10%以上の領域で、前述の爆ごうの危険範囲を見ると、その全てが窒素/水素=50/50より窒素濃度の小さい範囲に存在しており、燃料ガス中の水素の上限値である水素濃度=50%未満の設定は、両危険を考慮した上で適正な値といえる。無論、爆発や酸素欠乏の危険に備え、燃料ガスの漏洩を検知する防護策が必要であり、例えば漏洩に対する人間の感知を容易にするような有臭性の第三物質を、燃料ガス中に微量添加する等の安全対策を併せて実施することが望ましい。
【0033】
以上説明したように、燃料ガスが漏洩した時の「爆発に対する危険」を回避するためには、燃料ガス中の水素濃度を容量比で7%を超え50%未満とすれば良い。このような水素と窒素の混合比の燃料ガスとすれば、現行のガソリンや液化石油ガス等の取り扱いで行われている程度の注意や対策を施せば、燃料電池用の燃料ガスとして水素ガスを安全に燃料電池近傍まで輸送することが可能となる。
【0034】
次に図1を用いて燃料ガスの製造から使用に至る供給方法について説明する。燃料ガス供給工場Aでは、燃料ガス中の水素濃度が容量比で、7%を超え50%未満の範囲で一定の比率になるよう燃料ガス比率調整器1において水素と窒素の混合比率を調整した後、燃料ガスを導管Eに送る。水素は一般的には炭化水素の改質、エチレン製造やコークス炉ガス等の副生ガスから分離回収される。窒素は主に空気の深冷分離法によって得られ、共に露点は極めて低く水分を殆ど同伴しない状態である。
【0035】
この他にも水素と窒素を同時に得る方法として、アンモニア合成法に見られるように、炭化水素の部分酸化法の適用も可能である。例えばICI法によるアンモニア合成では、この方法により水素対窒素の比率(容量比)が凡そ3の混合ガスを得ている。また製鉄所で発生するコークス炉ガスや水性ガスには、水素と共に窒素や若干の酸素を含有しており、これ等のガスを主体に水素と窒素の混合比を目標値に合わせて調整することも可能である。
【0036】
燃料ガス供給工場Aから出た燃料ガスは、燃料ガス導管Eを通して数気圧の圧力を保った状態で燃料ガススタンドBに送られるが、一部の燃料ガスは直接、定置式の燃料電池Dへ供給される。燃料ガススタンドBでは、通常は燃料ガスを燃料ガスタンク2で受け入れた後、燃料電池車に代表される移動式の燃料電池用の水素貯蔵器5に充填する。燃料ガスを移動式の燃料電池Cの水素貯蔵器5に充填するには、水素充填機4により数百気圧まで昇圧して充填するが、圧縮操作の前に水素・窒素分離器3を通して燃料ガス中の窒素を完全に除去する。
【0037】
水素・窒素分離器3については、例えば現在、工業的に広く使われているモレキュラーシーブ等の吸着法が活用できる。モレキュラーシーブは、分子の大きさ、形状や極性等の違いによって分子を選択的に吸着分離する働きを持つ。同法では燃料ガス中の水分を予め除去しておけば、両成分の分離は極めて容易であり、かつ吸着剤の再生も通常の方法で十分で吸着剤は繰り返し使えるので寿命も長い。更にコークス炉ガスや水性ガス等を水素源として燃料ガスを調整する場合、通常は燃料ガス中に窒素の他に数%以下の酸素が混在する。この場合は、モレキュラーシーブに加え活性炭等の他の吸着剤を併用することにより、燃料ガスから窒素と酸素を分離して水素のみを単独に回収することができる。
【0038】
燃料ガスを燃料電池用の水素貯蔵器5に充填する前に窒素を除去する理由は、現在計画されている燃料電池車の水素貯蔵器5は、ガソリンやメタノールの貯蔵器に比べて貯蔵効率が極めて低いこと、更に車両等には水素・窒素分離器3を収納する空間や重量に制限があること等による。また現有の水素貯蔵器5は主に高圧ボンベが用いられるが、将来カーボンナノチューブ等を利用した水素の新しい貯蔵法が導入された場合でも、充填前に予め窒素を分離する本方式の手順には変わりはない。
【0039】
燃料ガスを定置式の燃料電池Dに供給する場合は、移動式の場合と異なり燃料ガス導管Eから水素・窒素分離器3を通して直接、燃料電池6へ供給する。燃料ガス供給工場Aから消費先が遠距離にある場合には、導管Eの中間地点に燃料ガスタンク等の中継基地を経て供給することも可能である。定置式の燃料電池とは、主として工場や家庭で発電用に使われる据え置き型の燃料電池をいう。この場合、水素・窒素分離器3は出来るだけ定置式の燃料電池6の近傍に設置し、かつ水素・窒素分離器3と燃料電池6を結ぶ配管は出来るだけ短くする等、水素の保有量を最小限にすることが安全上望ましい。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、燃料電池の燃料として水素をガス状態で供給する場合、従来のように水素の濃度を100%として供給する方式に比べて、輸送効率を大幅に悪化させることなく遥かに安全な方式で燃料ガスを供給できる。また燃料電池が設置される場所が移動式か定置式かによって、各々独自の供給システムを組むことにより、消費者の利点を損なうことなく燃料ガスを供給できる。一方で酸素欠乏による危険度は増大するが、これには既存の防護対策を併用することにより、その発生の確率を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の水素供給方法の概要を示す図である。
【図2】 水素−窒素−空気の混合気体の爆発範囲を示す図である。
【図3】 燃料ガスと空気との混合ガスの爆発範囲を示す図である。
【符号の説明】
A ・・・・・・ 燃料ガス供給工場、
B ・・・・・・ 燃料ガススタンド、
C ・・・・・・ 移動式燃料電池、
D ・・・・・・ 定置式燃料電池、
E ・・・・・・ 燃料ガス導管、
Area−I 可燃性混合ガスのエリア、
Area−II 不燃性混合ガスのエリア、
Area−III 爆ごう性混合ガスの可能エリア、
1 ・・・・・・ 燃料ガス比率調整器、
2 ・・・・・・ 燃料ガスタンク、
3 ・・・・・・ 水素・窒素分離器、
4 ・・・・・・ 水素充填機、
5 ・・・・・・ 水素貯蔵器、
6 ・・・・・・ 燃料電池、

Claims (4)

  1. 燃料ガス供給工場において水素ガス濃度が容量比で7%を超え50%未満となるように水素ガス中に窒素ガスを混入して燃料ガスとし、該燃料ガスを導管により燃料ガススタンドに供給し、水素ガスと窒素ガスを分離した後、水素ガスを移動式燃料電池に供給することを特徴とする水素の供給方法。
  2. 前記燃料ガススタンドにおいて、燃料ガスを一旦燃料ガスタンクに貯蔵し、水素・窒素分離器で水素ガスと窒素ガスを分離した後、水素ガスを水素充填機を通して移動式燃料電池に付属した水素貯蔵器に貯蔵し、しかる後移動式燃料電池に供給することを特徴とする請求項1に記載の水素の供給方法。
  3. 燃料ガス供給工場において水素ガス濃度が容量比で7%を超え50%未満となるように水素ガス中に窒素ガスを混入して燃料ガスとし、該燃料ガスを導管により定置式燃料電池に供給し、水素・窒素分離器で水素ガスと窒素ガスを分離した後、水素ガスを定置式燃料電池に供給することを特徴とする水素の供給方法。
  4. 前記水素・窒素分離器がモレキュラーシーブを用いるものであることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の水素の供給方法。
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