JP4470305B2 - 内燃機関の可変動弁装置 - Google Patents

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  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸気弁の作動角を連続的に変更可能な作動角変更機構と、吸気弁の作動角の中心位相(以下、必要に応じて吸気位相と呼ぶ)を変更可能な油圧駆動式の位相変更機構と、を備えた内燃機関の可変動弁装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開2000−18056号公報には、吸気弁の作動角及びバルブリフト量を大小2段に切り換えるバルブリフト変更機構と、吸気弁の作動角の中心位相を連続的に変更可能なバルブタイミング変更機構と、を備えた内燃機関の可変動弁装置が開示されている。この公報の装置では、低回転中負荷時に、吸気弁の開時期を上死点よりも進角させて、所定量のオーバーラップを確保し、内部EGRの増加に伴う燃費の向上を図るようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように、低回転域中負荷域で吸気弁の開時期を上死点よりも進角させて、バルブオーバーラップを大きく得るようにした場合、この中負荷域からアイドル域等への急減速時には、失火,エンスト等を招くことのないように、オーバーラップを速やかに低減,解消する必要がある。
【0004】
特に、変更機構が油圧アクチュエータにより駆動される油圧駆動式の構成の場合、エンジン油圧が低い低回転域では切換応答性が低下するため、バルブオーバーラップを迅速に低減させることが難しい。この結果、十分なバルブオーバーラップを設定することができず、燃費効果が十分に得られない、という問題がある。
【0005】
また、上述した公報のように2段式のバルブリフト変更機構を用いた場合、運転状態に応じて作動角やバルブリフト量を多段階に変更できないので、高度なバルブリフト特性の制御を行うことができない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものである。すなわち、請求項1に係る発明は、吸気弁の作動角を連続的に変更可能な作動角変更機構と、吸気弁の作動角の中心位相を変更可能な油圧駆動式の位相変更機構と、を有し、
上記作動角変更機構による吸気弁の開時期の変化量が吸気弁の閉時期の変化量以上となるように設定され、
アイドル域では、上記作動角変更機構により吸気弁の作動角を最小作動角に設定するとともに、上記位相変更機構により吸気弁の作動角の中心位相を所定の遅角側の中心位相にして、吸気弁の開時期を上死点よりも遅角させ、
中負荷域では、上記作動角変更機構により吸気弁の作動角を上記アイドル域よりも増加させるとともに、上記位相変更機構により吸気弁の作動角の中心位相を上記所定の遅角側の中心位相よりも進角させて、吸気弁の開時期を上死点よりも進角させ、
この中負荷域からの所定の減速度よりも大きい急減速時には、内燃機関の運転状態に基づいて設定される目標作動角に関わらず、上記作動角変更機構により吸気弁の作動角を所定の縮小側の作動角まで減少させることにより、吸気弁の開時期を角させることを特徴としている。
【0007】
また、上記アイドル域では、上記位相変更機構最遅角位相に設定するとともに、小作動角,最遅角位相に設定された場合の吸気弁の閉時期を下死点よりも遅角させることを特徴としている。
【0010】
請求項に係る発明は、上記作動角変更機構が油圧駆動式であることを特徴としている。
【0011】
請求項に係る発明は、機関冷機時における最進角位相を暖機後における最進角位相よりも遅角側に設定するとともに、機関冷機時における最大作動角を暖機後における最大作動角よりも小さく設定することを特徴としている。
【0012】
請求項に係る発明の作動角変更機構は、機関のクランクシャフトと連動して回転する吸気駆動軸と、この吸気駆動軸に回動可能に外嵌し、吸気弁を開閉駆動する揺動カムと、上記吸気駆動軸に偏心して設けられた偏心カムと、この偏心カムに回転可能に外嵌するリンクアームと、上記吸気駆動軸に回転可能に外嵌し、所定の回転範囲内で回転駆動される支持部材と、この支持部材の一端に回転可能に支持されるとともに、一端が上記リンクアームと連携されたロッカアームと、上記ロッカアームの他端と上記揺動カムとに連携されたリンク部材と、を有することを特徴としている。
【0013】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、作動角変更機構による吸気弁の開時期の変化量を相対的に大きくさせているため、バルブオーバーラップが大きく与えられた中負荷域からアイドル域等への急減速時に、作動角変更機構により作動角を早急に減少させることにより、吸気弁の開時期を同時に速やかに上死点へ向けて遅角させることができ、バルブオーバーラップの縮小時間を有効かつ速やかに短縮することができるため、失火やエンスト等を招くおそれがない。従って、このような中負荷域でバルブオーバーラップを可及的に十分大きく設定することができ、燃費の低減効果を十分に得ることができる。
【0014】
また、作動角変更機構により吸気弁の作動角を連続的に変更することができるため、例えば全開域に比して中負荷域での作動角を相対的に小さく設定し、吸気弁の閉時期を進角させてポンプ損失を効果的に低減することも可能となる。
【0015】
小作動角,最遅角位相を初期状態とした場合、この初期状態での吸気弁の閉時期を下死点よりも遅角させることにより、全開域への加速時等に、吸気弁の閉時期が下死点よりも進角して全開トルクの低下を招くおそれがなく、機関加速性能が向上する。
【0018】
請求項に係る発明によれば、位相変更機構及び作動角変更機構の双方が油圧駆動式となり、例えば電動式の構成に比して、構造が簡素化され、コスト的にも有利である。
【0019】
ところで、機関冷機時には暖機後に比して油粘度が大きくなるため、油圧駆動式の変更機構による切換応答性が低下する。このため、このような切換応答性の低下に起因して、吸気弁の開時期が過度に進角して、吸気弁とピストンとが干渉するおそれがある。そこで、請求項に係る発明のように、機関冷機時における最大作動角や最進角位相を制限することにより、吸気弁とピストンとの干渉を確実に回避することができる。
【0020】
請求項の発明に係る作動角変更機構によれば、簡素なリンク式の構造でありながら、作動角及びバルブリフト量を変化させるとともに、吸気弁の開時期を吸気弁の閉時期よりも大きく変化させることができる。また、作動角を減少させる場合に、吸気弁のバルブスプリング反力によりアシストされる形となるため、油圧駆動式の構造であっても、作動角減少時の応答性に優れている。従って、上記のような中負荷域からの急減速時にも、作動角変更機構を利用して素早くオーバーラップを解消することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係る内燃機関の可変動弁装置を図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
図1に示すように、内燃機関の各気筒には一対の吸気弁1及び一対の排気弁(図示省略)が設けられ、各吸気弁1の上部にはバルブリフタ2が配設されている。これらのバルブリフタ2の上方には、図外のクランクシャフトに連動して軸周りに回転駆動される吸気駆動軸3が気筒列方向に延在している。この吸気駆動軸3の外周には、各吸気弁1に対応して揺動カム4が揺動可能に外嵌されており、この揺動カム4がバルブリフタ2に当接してこれを押圧することにより、吸気弁1が図外のバルブスプリングのバネ力に抗して開閉駆動される。
【0023】
そして、この実施形態に係る可変動弁装置は、吸気弁1の作動角及びバルブリフト量(リフト作動角)を連続的に変更可能な作動角変更機構10と、吸気弁1の作動角の中心位相(吸気位相)を連続的に変更可能な位相変更機構20と、これら変更機構10,20を駆動制御する制御部(エンジンコントロールユニット;ECU)50と、を有している。
【0024】
作動角変更機構10は、吸気駆動軸3と揺動カム4との間に設けられ、両者3,4を機械的に連携するリンク機構の姿勢を変化させて、主に吸気弁1の作動角及びバルブリフト量を連続的に変化させるようになっている。つまり、この作動角変更機構10は、吸気駆動軸3に偏心して設けられて吸気駆動軸3と一体的に回転する駆動カム11と、この駆動カム11の外周に相対回転可能に外嵌するリング状リンク(第1のリンク)12と、吸気駆動軸3と略平行に気筒列方向へ延在する制御軸13と、この制御軸13に偏心して設けられて制御軸13と一体的に回転する制御カム14と、この制御カム14の外周に相対回転可能に外嵌するとともに、一端がリング状リンク12の先端と相対回転可能に連携されたロッカアーム15と、このロッカアーム15の他端と揺動カム4の先端とに連携されたロッド状リンク(第2のリンク)16と、を有している。
【0025】
吸気駆動軸3及び制御軸13は、軸受ブラケット(図示省略)を介して内燃機関のシリンダヘッド側へ回転可能に支持されている。制御軸13の一端には後述する油圧アクチュエータ46(図3,4)が接続されており、このアクチュエータ46によって制御軸13が所定の角度範囲内で軸周りに回転駆動されるとともに、所定の回転位相に保持される。
【0026】
このような構成により、クランクシャフトに連動して吸気駆動軸3が回転すると、駆動カム11を介してリング状リンク12が実質的に並進作動するとともに、ロッカアーム15が制御カム14周りを揺動し、ロッド状リンク16を介して揺動カム4が揺動して、吸気弁1が開閉駆動される。
【0027】
また、油圧アクチュエータ46により制御軸13を回動することにより、ロッカアーム15の揺動中心となる制御カム14の中心位置が変化して、各リンク12,16等の姿勢が変化し、揺動カム4の揺動角度範囲が変化する。これにより、図2にも示すように、作動角の中心位相が略一定のままで、作動角及びバルブリフト量が連続的に変化する。より具体的には、制御軸13を一方向へ回動することにより、作動角及びバルブリフト量が増加し、他方向へ回動することにより作動角及びバルブリフト量が低下するようになっている。
【0028】
なお、この実施形態では、作動角変更機構10による吸気弁1の開時期の変化量が閉時期の変化量と同等もしくは若干大きくなるように設定されている。
【0029】
このような作動角変更機構10は、駆動カム11とリング状リンク12との摺接部分や制御カム14とロッカアーム15との摺接部分等の各回転部品の連結部分が面接触となっているため、潤滑が行い易く、耐久性,信頼性に優れているとともに、作動角変更時の抵抗も低く抑制される。また、吸気弁1を駆動する揺動カム4が吸気駆動軸3と同軸上に配置されているため、例えば揺動カム4を吸気駆動軸3とは異なる別の支軸で支持するような構成に比して、制御精度に優れているとともに、装置自体がコンパクトなものとなり、車両搭載性が良く、部品点数も低く抑制される。
【0030】
次に、図3〜7を参照して、制御軸13の一端部に連結された油圧アクチュエータ46と、この油圧アクチュエータ46を作動させる電磁アクチュエータ47と、について詳述する。
【0031】
油圧アクチュエータ46は、シリンダヘッド上に固定されたベースプレート48に機関前後方向に沿って配置固定された円筒状のケーシング49と、このケーシング49の内部に回転自在に収納された回転ベーン50と、を備え、この回転ベーン50によってケーシング49内部には4つの油圧室51,51,52,52が隔成されている(図5〜図7参照)。
【0032】
ケーシング49は、前後両端部が円板状のフロントカバー53とリアカバー54によって液密的に閉止されていると共に、リアカバー54を介してベースプレート48にボルト55によって固定されている。また、ケーシング49の内周面の図中左右対向位置、つまり直径方向の左右対向位置には、膨出状の一対の仕切壁56,57が径方向から螺着したボルト58によって固定されている。この仕切壁56,57は、ケーシング49の軸方向長さより若干短く設定されていると共に、頂部の嵌合溝にコ字形状のゴム製シール部材59,60と各シール部材59,60の外端面に固着されたテフロン製の摺動部材61,62が設けられている。また、仕切壁56,57は、両側に回転ベーン50の両側面が当接するテーパ面56a,56b、57a,57bが形成されている。
【0033】
回転ベーン50は、中央軸方向に設けられた筒壁50aと、この筒壁50aの外面に一体に設けられ、ケーシング49の内部直径方向に延設された2枚の羽根部50b,50bと、から構成されている。羽根部50b,50bは、長手方向の長さがケーシング49の軸方向長さより若干短く設定されている。各羽根部50b,50bの外端部に形成された嵌合溝内には、ゴム製のシール部材63,63と、ケーシング49の内周面に摺接するテフロン製の摺動部材64,64と、が設けられている。
【0034】
そして、仕切壁56,57を介して回転ベーン50によって隔成された各油圧室51,51、52,52は、ケーシング49内部の上下に配置されている。つまり、各羽根部50b,50bを介して隣接する油圧室51,52と油圧室51,52とが上下に配置されている。
【0035】
一方、筒壁50aはフロントカバー53の中央孔53aを貫通して前方に延設された一端部50cが制御シャフト42の一端部42aに連結されていると共に、中央孔53aに対応する内周面に強度を確保するための隔壁50dが一体に形成されている。また、筒壁50aは、内部軸方向に制御シャフト42の内部と連続した油圧供給通路65が形成されている。さらに、筒壁50aは、図4,図5A〜図7Aに示すように、制御シャフト42側つまり前端側の位置の径方向の同一平面上に、油圧供給通路65と上側の第1油圧室51と下側の第2油圧室52とを夫々連通する第1,第2供給用孔66a,67aが各羽根部50b,50bの図中右側の基部に一部が掛かるように径方向に沿って貫通形成されている。
【0036】
また、筒壁50aの前端側から中央寄りの位置の径方向の同一平面上にも、図5B〜図7Bに示すように油圧供給通路65と下側の第1油圧室51と上側の第2油圧室52とを連通する第3,第4供給用孔66b,67bが各羽根部50b,50bの図中左側の基部の一部が掛かるように径方向に沿って貫通形成されている。
【0037】
更に、筒壁50aの各供給用孔66a〜67bよりも後方の所定位置には、図4,図5C〜図7C並びに図5D〜図7Dに示すように夫々が径方向の同一平面上に油圧排出通路68と上側第1油圧室51及び下側第2油圧室52、並びに下側第1油圧室51及び上側第2油圧室52と夫々連通する第1,第2排出用孔69a,70a、第3,第4排出用孔69b〜70bが各供給用孔66a〜67bと同様な形態で形成されている。
【0038】
このように、各供給用孔66a〜67b及び排出用孔69a〜70bを同一平面上で約180°の反対位置に互いに十分離間して形成したため、各孔の開口面積を周方向へ沿って大きく設定できる。なお、各供給用孔66a〜67b、各排出用孔69a〜70bは、円形状に形成されている。
【0039】
また、油圧供給通路65は、図3及び図4に示すように制御シャフト42の周壁に半径方向に沿って貫通形成された通孔65a及び軸受け用ブラケット84の連通孔68bを介して図外のオイルポンプにオイルメインギャラリを介して連通している。一方、油圧排出通路68は、筒壁50aの内部に貫通配置された後述のロータリーバルブ72後端側の環状溝68aと、ベースプレート48内周側の空間部68bとからなり、環状溝68aはロータリーバルブ72によって油圧吸気通路65とは液密的に隔成されている。また、空間部68bは、ベースプレート48に形成された図外のドレン孔を介してシリンダヘッド20の上部に連通している。
【0040】
電磁アクチュエータ47は、図3及び図4に示すようにステップモータ部71と、このステップモータ部71の駆動ロッド76の先端部に固定されて、筒壁50aの内部に回転自在に収納配置されたロータリーバルブ72と、から構成されている。このステップモータ部71は、一般的な構造を具備し、前端板85を介してベースプレート48にボルト86により固定されたボディ73内に電磁コイル74や回転子75等が収納されていると共に、この回転子75に駆動ロッド76の基端が固定されている。この駆動ロッド76は、ボディ73の後部及び前端板85の中央に設けられたボールベアリング77,78によって回転自在に支持されていると共に、先端部がロータリーバルブ72の内周面に一体に設けられた壁部の固定用孔に圧入固定されている。
【0041】
ロータリーバルブ72は、略円筒状を呈し、壁部より前側周壁の前端部に図4,図5A〜図7Aに示すように第1,第2供給用孔66a,67aと適宜連通する単一の第1供給通路孔79が形成されていると共に、前側周壁の後端部に図5B〜図7Bに示すように第3,第4供給用孔66b,67bと適宜連通する単一の第2供給通路孔80が形成されている。また、壁部より後側周壁には、図5C〜図7Cに示すように各排出用孔69a,70a、69b,70bに適宜連通する夫々単一の第1,第2排出通路孔81,82が貫通形成されている。つまり、この各排出通路孔81,82は、径方向の同一平面上に夫々1個形成されている。更に、ロータリーバルブ72は、各第1,第2供給通路孔79,80や第1,第2排出通路孔81,82以外の周壁部は、回転ベーン50の回動位置に応じて各供給用孔66a〜67bや排出用孔69a〜70bに対する遮断弁として機能する。そして、各供給通路孔79,80及び各排出通路孔81,82は、径方向の同一平面上に夫々1つだけ設けたため、各孔の開口面積を周方向に沿って長方形状に大きく設定してある。
【0042】
ステップモータ部71の電磁コイル74には、クランク角センサやエアーフローメータ,スロットル弁スイッチ,水温センサ等の各種センサ類に基づいて現在の機関運転状態を検出する上記のコントロールユニット5からの制御信号(制御電流)が出力されるようになっている。
【0043】
このような構成により、コントロールユニット5からの制御信号により駆動ロッド76を介してロータリーバルブ72を回動させることにより、各油圧室51,52への油圧が調整されて、制御軸13の回転位相が制御される。
【0044】
次に、図1及び図8を参照して、位相変更機構20側の構成について説明する。上記の吸気駆動軸3の前端部の外周側にはカムスプロケット(又はカムプーリ)6が同軸上に配置されている。このカムスプロケット6は、チェーン(又はベルト)を介してクランクシャフトから回転動力が伝達され、クランクシャフトと同期して回転する。
【0045】
位相変更機構20は、カムスプロケット6の内周側に一体的に形成された外筒部21と、吸気駆動軸3に中空のボルト22を介して固定され、この吸気駆動軸3と一体的に回転する内筒部23と、これらの外筒部21と内筒部23との間に介装されるリング状のピストン24と、を有している。ピストン24の内,外周面と、内筒部23の外周面及び外筒部21の内周面との噛合部分25はヘリカルスプラインとなっている。従って、ピストン24が内,外筒部の軸方向(図8の左右方向)へ移動することにより、この軸方向の運動が内筒部23と外筒部21との相対回転運動に変換され、外筒部21と内筒部23との相対回転位相が連続的に変化する。これにより、カムスプロケット6に対する吸気駆動軸3の相対回転位相が変化し、吸気弁1が作動角一定のままで、その中心位相が連続的に変化する。
【0046】
このような構成の位相変更機構20は、コンパクトで機関への搭載性に優れ、部品点数も低く抑制される。また、上記の作動角変更機構10と併用した場合にも、互いに干渉せずに容易に配置することができる。
【0047】
上記のピストン24は、その前後に画成される第1油圧室26及び第2油圧室27への供給油圧に応じて駆動される。これら油圧室26,27への供給油圧はソレノイドバルブ28のスプール29の位置に応じて切り換えられ、このソレノイドバルブ28はコントロールユニット5からの出力信号によりON−OFF駆動(デューティ制御)される。つまり、機関運転状態に応じて出力信号のデューティー比を変化させることにより、スプール29の位置が切り換えられる。
【0048】
例えば、スプール29が図の最も左側に保持されている状態では、第1油圧室26に接続する第1油路30と油圧ポンプ9とが連通し、第1油圧室26へ油圧が供給されるとともに、第2油圧室27に接続する第2油路31とドレン通路32とが連通し、第2油圧室27がドレンされる。このため、ピストン24は図の左側に押圧,移動される。
【0049】
一方、スプール29が図の最も右側に保持されている状態では、第1油路30とドレン通路32とが連通されて第1油圧室26がドレンされるとともに、第2油路31と油圧ポンプ9とが連通されて第2油圧室27へ油圧が供給される。このため、ピストン24は図の右側に押圧,移動される。
【0050】
更に、スプール29が中間位置に保持されている状態では、第1油路30のポート部と第2油路31のポート部の双方がスプール29により閉塞される。これにより、第1,第2油圧室26,27内の油圧が保持(ロック)され、ピストン24がその位置に保持される。
【0051】
このように、ピストン24を任意の位置に移動,保持することにより、吸気弁1の作動角の中心位相を任意の位相に変更,保持することが可能で、簡素な構造でありながら、制御の自由度が非常に高い。
【0052】
図9は、他の例に係る作動角変更機構100の要部正面図であり、この作動角変更機構100は、上記の作動角変更機構10に代えて用いることができる。
【0053】
シリンダヘッドの上部に回動可能に支持された吸気駆動軸3は、図示しない内燃機関のクランクシャフトに上記の位相変更機構20を介して連繋され、内燃機関の回転に連動して回転するようになっている。吸気駆動軸3の外周には偏心カム104が圧入され、吸気駆動軸3と偏心カム104とが一体的に回動するようになっている。偏心カム104の外周には、リンクアーム105の基部105aが回動可能に嵌合されている。そして、吸気駆動軸3外周には支持部材106が回動可能に嵌合されているとともに、揺動カム107が揺動可能に嵌合されている。揺動カム107は、バルブリフタ2の上部に位置しており、そのカム面107aがバルブリフタ2の頂部2aに摺接し、バルブリフタ2を介して吸気弁1を開閉するようになっている。なお、揺動カム107とリンクアーム105との間には、後述するリンク部材111の干渉を避けるための間隙が設けられている。
【0054】
上記支持部材106の先端部106aには、ロッカアーム112の略中央部112aがピン113を介して揺動可能に取り付けられている。そして、ロッカアーム112の一端部112bには、上記リンクアーム105の基部105bがピン114を介して回動可能に連繋され、ロッカアーム112の他端部112cには、リンク部材111を介して上記揺動カム107の先端部107bが連繋されている。なお、リンク部材111の一端部111aはピン115を介してロッカアーム112の他端部112cに回動可能に連繋され、リンク部材111の他端部111bはピン116を介して揺動カム107の先端部107bに回動可能に連繋されている。ここで、上記支持部材106,ロッカアーム112,リンクアーム105,リンク部材111及びこれらを連結する各ピン113〜116は、揺動カム107を吸気駆動軸3(偏心カム104)の回動に伴って揺動させるリンク機構117を構成する。
【0055】
シリンダヘッドの上部には、カムブラケット118がボルト120で固定されており、このカムブラケット118に制御シャフト121が回動可能に支持されている。この制御シャフト121は、吸気駆動軸3の上方に平行に配置され、その外周に一体となって回動する制御ギヤ122を有している。そして、この制御ギヤ122と噛み合う従動ギヤ123が支持部材106に形成されている。従動ギヤ123は、支持部材106の円弧状の上縁部106bに形成されており、支持部材106が充分な角度分だけ回動できる長さに形成されている。
【0056】
そして、この従動ギヤ123と制御ギヤ122の軸方向のずれを防止するため、制御シャフト121の制御ギヤ122の両側にはそれぞれ円板状の鍔124が取り付けられている。ここで、上記制御ギヤ122と従動ギヤ123により、制御シャフト121の回転が支持部材106に伝達される。
【0057】
上記の制御シャフト121は、上述したような油圧アクチュエータ46と同様の油圧アクチュエータ(又は電磁アクチュエータ)126に連繋されており、この油圧アクチュエータ126によって所定回動角度範囲内で回動させられるようになっている。そして、この制御シャフト121と一体に回転する制御ギヤ122には、上記支持部材106の従動ギヤ123が噛み合っているので、支持部材106が制御シャフト121の回動量に応じて回動することになる。その結果、上記リンク機構117全体が吸気駆動軸3の回りを回動し、そのリンク機構117によって揺動カム107が回動させられるため、揺動カム107の作動開始位置(初期位置)が変化する。ここで、油圧アクチュエータ126は、内燃機関の運転状態を検知するコントロールユニット5によって作動制御される。コントロールユニット5は、クランク角センサ,エアフローメータ,水温センサ等の各種センサからの検知信号に基づいて機関の運転状態を算出し、その結果に基づいて油圧アクチュエータ126に制御信号を出力している。
【0058】
このように構成された作動角変更機構100は、吸気駆動軸3がクランクシャフトの回転に同期して回転すると、リンクアーム105が偏心カム104によって吸気駆動軸3の中心に対して偏心動し、そのリンクアーム105によってロッカアーム112がピン113の回りに揺動させられる。ロッカアーム112がピン113の回りに揺動させられると、この揺動するロッカアーム112にリンク部材111を介して連繋された揺動カム107が吸気駆動軸3の回りに揺動させられる。この際、揺動カム107は、その外周に形成されたカム面107aがバルブリフタ2の頂部2aに摺接し、図外のバルブスプリングによって図中上方に付勢されたバルブリフタ2を上下動させ、吸気弁1を開閉する。
【0059】
ここで、制御シャフト121が電磁アクチュエータ(又は油圧アクチュエータ)により所定角度回動させられると、制御シャフト121と一体に回動する制御ギヤ122により支持部材106が吸気駆動軸3の回りに回動させられる。即ち、リンク機構117全体が油圧アクチュエータ126等により吸気駆動軸3の回りに回動させられることになる。その結果、リンク機構117に連繋されたリンク部材111により揺動カム107が揺動させられ、揺動カム107作動開始位置(初期位置)が変化することになり、バルブタイミングやバルブリフトが変化する。
【0060】
この際、ロッカアーム112の揺動中心位置と揺動カム107の揺動中心位置との間の距離は、リンク機構117の回動前と回動後において変化することがない。従って、吸気駆動軸3の回動角度に対する揺動カム107の揺動角度の割合は、バルブリフト特性の変更前と変更後において相違することがない。その結果、この作動角変更機構100によれば、バルブリフト特性の変更前と変更後においてバルブリフタ2の加速度に変化がなく、高バルブリフト特性時においても標準バルブリフト特性時と同様に良好なバルブ運動状態を得ることができる。
【0061】
又、この作動角変更機構100は、上記のように、バルブリフト特性を変更する際に揺動カム107の作動開始位置(初期位置)が変化するため、開時期又は閉時期のいずれか一方をあまり変化させず、開時期又は閉時期のいずれか他方を大きく変化させることが可能である。この場合、支持部材106の回転方向がバルブリフトを増加させる方向であり、この支持部材106の回転方向と吸気駆動軸3の回転方向が一致するように作動角変更機構100が構成されておれば(図9の作動角変更機構100と同様に構成されておれば)、開時期をほぼ一定とし、閉時期を可変とすることができる。
【0062】
一方、図10に示すように、開時期の変化量を閉時期の変化量よりも十分に大きくさせることも可能であり、本実施形態では、このように開時期の変化量が相対的に大きい作動角変更機構100を用いることにより、後述する作用効果を良好に得ることができる。
【0063】
このような作動角変更機構100によれば、簡素なリンク式の構造でありながら、作動角及びバルブリフト量を変化させるとともに、吸気弁1の開時期を閉時期よりも大きく変化させることができる。また、作動角を減少させる場合に、吸気弁1のバルブスプリング反力によりアシストされる形となるため、油圧駆動式の構造でありながら、作動角減少時の応答性に優れている。
【0064】
次に、図11を参照して本実施形態に係る作用効果について説明する。
【0065】
機関始動時やアイドル等の極低回転時のように、機関油圧が非常に低く、両変更機構10(又は100),20を駆動する油圧アクチュエータの発生トルクが非常に低いかもしくはゼロの場合、両変更機構はそれぞれ所定の初期状態で安定する。例えば、作動角変更機構10又は100は、その構造上、バルブスプリング反力が作動角を減少させる方向へ作用する形となるため、一般的には最小作動角(及び最小バルブリフト)が初期状態として設定される。また、位相変更機構20の初期状態は、必要に応じて最遅角位相もしくは最進角位相に設定される。具体的には、ピストン24をリターンスプリング等により吸気駆動軸3の軸方向前後どちらかの最大位置に強制的に付勢する等により、最進角位相又は最遅角位相のいずれかを選択的に初期位相とすることができる。
【0066】
先ず、図11の左側に示すように、位相変更機構20の初期状態を最遅角位相、作動角変更機構10,100の初期状態を最小作動角に設定し、かつ、この初期状態における吸気弁の閉時期を下死点よりも遅角させた場合について説明する。
【0067】
アイドル域を含む極低負荷域(a)では、主に残留ガスの低減化及びポンプ損失の低減化(ピストン上面を上死点から吸気負圧に晒さず、ある程度ピストンが変位し筒内が負圧となってから吸気弁を開くことによるポンプ損失の低減化)等を図るため、吸気弁開時期を上死点よりも大幅に遅角させるとともに、主に燃焼改善を図るために吸気弁閉時期を下死点近傍、詳しくは下死点よりも少し遅角させ、かつ、主にフリクション低減化及びガス流動強化による燃料霧化促進を図るために、バルブリフト量が最小となる最小作動角の設定が良い。これにより、燃費性・排気性の向上等を図ることができる。
【0068】
一方、中負荷域(c)では、残留ガスの増加に伴うポンプ損失の低減化及び高温の残留ガスによる燃焼改善等を図るため、吸気弁開時期を上死点よりも進角させるとともに、主に吸入吸気量(充填効率)の低減によるポンプ損失低減化を図るために、吸気弁閉時期を下死点よりも進角させる設定が良い。このため、上記の極低負荷域に比して、作動角変更機構10,100によりリフト作動角を増加させるとともに、位相変更機構20により吸気位相を進角させる。つまり、作動角を所定の小作動角,吸気位相を最進角位相に設定する。
【0069】
このように中負荷域(c)では吸気弁の開時期が上死点よりも大きく進角しているため、吸気弁と排気弁の双方が開弁するバルブオーバラップが大きく与えられているが、このようなバルブオーバーラップがアイドル域を含む極低負荷域(新気量が少ない状態)でも残されていると、残留ガスの割合が大きくなって、燃焼悪化により失火やエンスト等を招く可能性がある。このため、低中回転中負荷域からアイドル等への急減速時には、吸気弁開時期を速やかに遅角させて、バルブオーバーラップを速やかに低減,解消する必要がある。
【0070】
そこで、このような急減速時には、先ず作動角変更機構10,100を優先的に駆動して作動角を即座に減少させることにより、バルブオーバラップを迅速かつ大幅に縮小させるとともに、必要に応じて位相変更機構20で中心位相を遅角させる。このような作動角の減少化及び位相の遅角化は、共に変更機構が初期状態へ復帰する方向であり、エンジン油圧が低い状態でも、油圧をoffに切り換えることにより行うことができる。このため、2種の異なる変更機構を同時に作動させることも可能である。
【0071】
特に、図9,10に示すように吸気弁開時期の変化量が相対的に大きい作動角変更機構100を用いた場合、作動角を減少させた場合の吸気弁の開時期の遅角量が大きくなるため、急減速時に吸気弁の開時期を更に迅速かつ大幅に遅角させることができ、より好ましい。
【0072】
なお、作動角変更機構を従来例のような2段切換式の構成とした場合、低速カムでの運転性を重視するため、一般的に、中負荷域でのリフト作動角が本実施形態よりも大きくなる傾向にある。このため、バルブスプリングから受けるフリクションが大きくなり、位相変更機構20で位相を変化させるための油圧エネルギーが本実施形態よりも大きくなって、切換え応答性が悪化することなる。
【0073】
ところで、位相変更機構20でカム上り回転方向(吸気弁開時期から最大リフト時期へ向かう方向)に位相を変化させる場合、バルブスプリングからの反力を受け、位相変化の応答性が相対的に低下する。一方、位相変更機構20でカム下り回転方向(吸気弁の最大リフト時期から閉時期へ向かう方向)に位相を変化させる場合、バルブスプリング力が位相変化をアシストする形となり、位相変化の応答性が相対的に良くなる。
【0074】
これに対し、作動角変更機構10,100は、常にバルブスプリング力により最小作動角,最小リフト側へ荷重を受ける。このため、作動角変更機構10,100を小作動角側へ変化させることによる吸気弁開時期の変化速度は、位相変更機構20により吸気位相を遅角させることによる吸気弁開時期の変化速度よりも大きい傾向にある。従って、作動角変更機構10,100による吸気弁開時期の変化量を相対的に大きく設定しておくことにより、バルブオーバラップを更に大きく設定することが可能となる。
【0075】
このような初期位相が最遅角位相の場合についてまとめると、アイドル域(a)では前述のごとく最小作動角,最遅角位相として、燃費向上及び排気浄化を狙う。一方、中負荷域(c)では、所定の小作動角,最進角位相とし、残留ガスの増加及び有効圧縮比の低下による燃費向上及び排気浄化を狙う。また、中負荷域より吸気量の少ない低負荷域(b)では、燃焼悪化の防止及び残留ガスの低減化を図るため、最小〜小作動角,所定の進角位相に設定し、有効圧縮比に応じたポンプ損失低減効果で燃費向上を狙う。全開域(d),(e),(f)では、主に充填効率の向上を図るため、吸気位相を所定の中間位相近傍に設定するとともに、エンジン回転数の増加に伴ってリフト作動角を増加させる。つまり、低回転域(d)では小〜中作動角、中回転域(e)では中作動角、高回転域(f)では大作動角に設定する。
【0076】
従って、吸気弁開時期が上死点よりも大きく進角してバルブオーバーラップが大きくなるのは、中負荷域(c)と高回転全開域(f)である。高回転全開域(f)からの急減速時には、アイドルまでの時間が相対的に長く、かつ回転数が高くエンジン油圧が大きいため、失火やエンスト等を招く可能性が低い。従って、中負荷域(c)からの急減速時に失火やエンスト等を招く可能性が相対的に高い傾向にある。しかしながら本実施形態では、上述したように、このような中負荷域(c)からの減速時にも、2種の油圧式の変更機構により作動角を減少させるとともに吸気位相を遅角させることにより、バルブオーバーラップを迅速に低減することができるため、上記のような失火等を招くおそれがない。従って、このような中負荷域(c)でもバルブタイミングの設定自由度が高く、十分なバルブオーバーラップを設定して燃費向上等を図ることができる。
【0077】
なお、このように初期状態が最遅角位相,最小作動角の設定の場合には、特に吸気弁閉時期があまり変化しない作動角変更機構100を用いた場合、仮に初期状態における吸気弁閉時期を下死点よりも進角させていると、低速全開域(d)等への加速時に、吸気弁閉時期が下死点前もしくは下死点近傍となり、吸気慣性効果を考慮すると十分な充填効率が得られない可能性がある。従って、好ましくは図11に示すように、初期状態における吸気弁閉時期を下死点よりも遅角させる。
【0078】
次に、図11の右側に示すように、位相変更機構20の初期状態(油圧offの状態)が最進角位相、作動角変更機構10,100の初期状態が最小作動角に設定される場合について説明する。
【0079】
アイドル域(a)では、初期状態である最小作動角,最進角位相の設定として、燃費向上や排気浄化を狙う。一方、中負荷域(c)では、所定の小作動角、最進角位相として、残留ガスの増加及び有効圧縮比の低下による燃費向上及び排気浄化を狙う。また、中負荷域より吸気量の少ない低負荷域(b)では、燃焼悪化の防止及び残留ガスの低減を図るため、最小〜小作動角、最進角位相に設定し、有効圧縮比に応じたポンプ損失低減で燃費向上を狙う。全開域(d)〜(f)では、吸気位相を所定の遅角位相の近傍に設定するとともに、充填効率向上等を図るため、機関回転数の増加に伴って作動角を増加させる。つまり、低回転全開域(d)では小〜中作動角、中回転全開域(e)では中作動角、高回転全開域(f)では大作動角に設定する。
【0080】
このように、初期位相を最進角位相とした場合には、常用域である部分負荷域(a)〜(c)で位相変更機構20を最進角位相に固定することができる。従って、2種の変更機構を同時に作動させる機会が少なくなり、このような同時作動に伴う油圧低下や切換え過渡時のバルブリフト特性の不安定化等を招くおそれが低く、切換応答性,安定性が向上する。
【0081】
また、このような初期状態(最進角位相,最小作動角)の設定において、特に吸気弁閉時期があまり変化しない作動角変更機構100を用いた場合に、仮に初期状態における吸気弁閉時期を下死点後に設定とすると、低負荷域(b)でも吸気弁閉時期が下死点後となり、充填効率が低下してポンプ損失を十分に低減できない可能性がある。従って、このような初期状態(最進角位相,最小作動角)の設定の場合には、この初期状態における吸気弁閉時期を下死点よりも進角させる。
【0082】
ところで、上記実施形態のように油圧駆動式の変更機構を用いた場合、機関冷機時には油粘度が相対的に大きくなるため、作動角や吸気位相の切換応答性が暖機後に比して低下する。このため、吸気弁の開時期や閉時期が一時的に目標値から外れる可能性が高くなる。特に、吸気弁の開時期が過度に進角すると、吸気弁とピストンとの干渉を招くおそれがある。そこで、好ましくは、機関冷機時における最大作動角を暖機後における最大作動角よりも小さく設定するとともに、機関冷機時における最進角位相を暖機後における最進角位相よりも遅角側に設定する。つまり、冷機時における最大バルブオーバーラップの目標値を、暖機後における最大バルブオーバーラップの目標値よりも小さくする。これにより、切換応答性が低下する冷機時であっても、吸気弁とピストンとの干渉を確実に回避することができる。
【0083】
なお、このような冷機時においても、上述したように、切換え応答性の遅い位相変更機構20による吸気弁開時期の可変幅を相対的に小さく設定することにより、バルブオーバーラップをより大きく設定することが可能となる。
【0084】
図12は、本実施形態に係る中負荷域からの急減速時の制御の流れを示すフローチャートである。
【0085】
S(ステップ)1及びS2において、中負荷域でブレーキSWのオンが検出されると、S3へ進み、機関回転数(Ne)や車速に基づいて、急減速状態、つまり減速度が所定値を越えているかを判定する。急減速状態であれば、S4及びS5へ進み、作動角変更機構10,100により即時に作動角を所定値まで減少させる。次いで、S6,S7へ進み、現在の機関運転状態に基づいて、目標作動角及び中心角を設定する。S8及びS9では、実作動角が目標値となるように、作動角変更機構10,100を駆動して作動角を制御する。続くS10及びS11では、実中心角が目標値となるように、位相変更機構20を駆動して中心角を制御する。
【0086】
このように、中負荷域からの急減速時には、先ず作動角を優先的に即座に減少させているため、上述したように、吸気弁の開時期を速やかに遅角させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る内燃機関の可変動弁装置を示す概略構成図。
【図2】図1の作動角変更機構によるバルブリフト特性の変化を示す特性図。
【図3】作動角変更機構のアクチュエータの一例を示す断面図。
【図4】図3のアクチュエータの分解斜視図。
【図5】図3の環状ディスクを偏心動させた油圧アクチュエータの作用を示し、Aは図3のA−A線断面図、Bは同図のB−B線断面図、Cは同図のC−C線断面図、Dは同図のD−D線断面図。
【図6】環状ディスクを偏心状態から同心動させるためにロータリーバルブを他方向へ回転させた状態を示し、Aは図3のA−A線断面図、Bは同図のB−B線断面図、Cは同図のC−C線断面図、Dは同図のD−D線断面図。
【図7】環状ディスクを同心動させた油圧アクチュエータの作用を示し、Aは図3のA−A線断面図、Bは同図のB−B線断面図、Cは同図のC−C線断面図、Dは同図のD−D線断面図。
【図8】本実施形態に係る位相変更機構を示す断面対応図。
【図9】本実施形態に係る作動角変更機構の他の例を示す正面対応図。
【図10】図9の作動角変更機構によるバルブリフト特性の変化を示す特性図。
【図11】本実施形態の作用説明図。
【図12】本実施形態に係る中負荷域からの急減速時の制御の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
1…吸気弁
3…吸気駆動軸
10…作動角変更機構
20…位相変更機構
100…作動角変更機構
104…偏心カム
105…リンクアーム
106…支持部材
107…揺動カム
111…リンク部材
112…ロッカアーム
113…ピン

Claims (5)

  1. 吸気弁の作動角を連続的に変更可能な作動角変更機構と、吸気弁の作動角の中心位相を変更可能な油圧駆動式の位相変更機構と、を有し、
    上記作動角変更機構による吸気弁の開時期の変化量が吸気弁の閉時期の変化量以上となるように設定され、
    アイドル域では、上記作動角変更機構により吸気弁の作動角を最小作動角に設定するとともに、上記位相変更機構により吸気弁の作動角の中心位相を所定の遅角側の中心位相にして、吸気弁の開時期を上死点よりも遅角させ、
    中負荷域では、上記作動角変更機構により吸気弁の作動角を上記アイドル域よりも増加させるとともに、上記位相変更機構により吸気弁の作動角の中心位相を上記所定の遅角側の中心位相よりも進角させて、吸気弁の開時期を上死点よりも進角させ、
    この中負荷域からの所定の減速度よりも大きい急減速時には、内燃機関の運転状態に基づいて設定される目標作動角に関わらず、上記作動角変更機構により吸気弁の作動角を所定の縮小側の作動角まで減少させることにより、吸気弁の開時期を角させることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  2. 上記アイドル域では、上記位相変更機構を最遅角位相に設定するとともに、最小作動角,最遅角位相に設定された場合の吸気弁の閉時期を下死点よりも遅角させることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の可変動弁装置。
  3. 上記作動角変更機構が油圧駆動式であることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の可変動弁装置。
  4. 機関冷機時における最進角位相を暖機後における最進角位相よりも遅角側に設定するとともに、機関冷機時における最大作動角を暖機後における最大作動角よりも小さく設定することを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の可変動弁装置。
  5. 上記作動角変更機構は、
    機関のクランクシャフトと連動して回転する吸気駆動軸と、
    この吸気駆動軸に回動可能に外嵌し、吸気弁を開閉駆動する揺動カムと、
    上記吸気駆動軸に偏心して設けられた偏心カムと、
    この偏心カムに回転可能に外嵌するリンクアームと、
    上記吸気駆動軸に回転可能に外嵌し、所定の回転範囲内で回転駆動される支持部材と、
    この支持部材の一端に回転可能に支持されるとともに、一端が上記リンクアームと連携されたロッカアームと、
    上記ロッカアームの他端と上記揺動カムとに連携されたリンク部材と、
    を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の可変動弁装置。
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