JP4468572B2 - チャイルドシートの座席固定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、チャイルドシートを車両用シートベルトで車両用座席に固定するチャイルドシートの座席固定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
チャイルドシートは、年少者を障害から保護するために車両用座席に装着されるものであり、車両用のシートベルトで座席に固定されている。シートベルトには固縛装置が付設され、急ブレーキ等の衝撃の強い場合、または万が一衝突事故が生じたときに、シートベルトは該固縛装置によって被拘束体を固く拘束するように構成されている。しかし、チャイルドシートは自身では防御できない年少者を搭乗させているために、特に安全には十分な対策が必要であり、シートベルトの固縛装置だけでなく、チャイルドシートが座席から飛び出すことのないようにシートベルトをチャイルドシートに堅固に固定することによって、チャイルドシートを座席に固定する必要があった。
【0003】
従来では、シートベルトを極めて容易にチャイルドシートに固定する装置が、特開平11ー11193号によって開示されていた。
【0004】
しかし、チャイルドシートを使用する年少者のうち、特に座位姿勢のできない年少者を搭乗させる場合には、車両の座席に対して後向き(チャイルドシートの背部が座席の背部に対して向かい合うように装着されている場合)に装着しなければならない。上記の公報に示されているチャイルドシートの場合、チャイルドシートは、車両の座席に載置されるベース体と、ベース体に対して回動可能に配置されるチャイルドシート本体とを有して構成され、車両のシートベルトは腰ベルト部と肩ベルト部が、ベース体上に配置されたベルトガイド部に掛着することによってチャイルドシートを座席に固定していた。
【0005】
しかし、チャイルドシートを後向きに装着している状態で、ベルトガイド部が下方の位置で掛止されていると、車両の衝突時にチャイルドシートが前方に倒れやすかった。また、チャイルドシート本体がベース体と一体に形成されたチャイルドシートでは、チャイルドシートの側部にシートベルトの掛止部を配置させて、シートベルトを掛止部に掛止させて牽引することによってチャイルドシートを座席に固定していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この場合の掛止部は、チャイルドシートの本体の両側部に配置され、肩ベルト部はいずれか一方の側部に掛止されることから、車両の衝突時においては、やはり、前方への倒れ移動を防止することができず、また、肩ベルト部が掛止されていない他方の側部が、前方に移動して車両の座席に対して開いた状態になりやすい。従って、チャイルドシートの前方への倒れ移動と、開きによって、衝突時に年少者がチャイルドシートから飛びでてしまうおそれがあった。
【0007】
この発明は、上述の課題を解決するものであり、チャイルドシートを車両の座席に対して後向きに装着した場合に、チャイルドシートが座席に対して堅固に固定されることによって、安全対策を図ることのできるチャイルドシートの座席固定装置を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかわるチャイルドシートの座席固定装置では、上記の課題を解決するために、以下のように構成するものである。すなわち、
車両の座席に対して前向きと後向きに装着可能なチャイルドシートを、車両のシートベルトによって前記座席に固定するように構成されるチャイルドシートの座席固定装置であって、
前記チャイルドシートの両側部には、前記チャイルドシートの背部から座部まで延設された長穴状のベルト挿通孔が形成され、前記ベルト挿通孔の下端部側に配設されて前記シートベルトの腰ベルト部を掛止する第1の掛止部と、前記ベルト挿通孔の上端部側に配設されて前記シートベルトの肩ベルト部を掛止するとともに前記肩ベルト部を牽引し、かつ前記肩ベルト部をロックするベルト押え部を備えて前記肩ベルト部を固定する第2の掛止部と、前記第2の掛止部で固定された肩ベルト部を前記チャイルドシートの上部で掛止する第3の掛止部と、を有して構成され、
前記チャイルドシートが前記座席に後向きに装着された状態で、前記チャイルドシートに衝撃が付加されたときに、前記第3の掛止部に掛止された肩ベルト部によって、前記チャイルドシートが前方移動を防止できるように構成され、
前記第3の掛止部が、前記チャイルドシートの本体上部から下方に向かって切り欠かれたベルト通路の下端部に形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
車両の座席に対して前向きと後向きに装着可能なチャイルドシートを、車両のシートベルトによって前記座席に固定するように構成されるチャイルドシートの座席固定装置であって、
前記チャイルドシートの両側部には、前記チャイルドシートの背部から座部まで延設された長穴状のベルト挿通孔が形成され、前記ベルト挿通孔の下端部側に配設されて前記シートベルトの腰ベルト部を掛止する第1の掛止部と、前記ベルト挿通孔の上端部側に配設されて前記シートベルトの肩ベルト部を掛止するとともに前記肩ベルト部を牽引し、かつ前記肩ベルト部をロックするベルト押え部を備えて前記肩ベルト部を固定する第2の掛止部と、前記第2の掛止部で固定された肩ベルト部を前記チャイルドシートの上部で掛止する第3の掛止部と、を有して構成され、
前記チャイルドシートが前記座席に後向きに装着された状態で、前記チャイルドシートに衝撃が付加されたときに、前記第3の掛止部に掛止された肩ベルト部によって、前記チャイルドシートが前方移動を防止できるように構成され、
前記第3の掛止部が、前記チャイルドシートの本体上部の上端部に形成された凹状部と前記凹状部に係合可能なヘッドとを有し、前記肩ベルト部が前記凹状部と前記ヘッドとの間を挿通可能に掛止されていることを特徴とするものである。
【0012】
さらに好ましくは、前記第2の掛止部が、前記チャイルドシートの本体側部に装着されるロックケースと、前記ロックケース内に形成されて前記肩ベルト部を挿通するベルト通路と、前記ベルト通路に挿通された前記肩ベルト部を前記チャイルドシートに固定するベルト押え部と、を有して構成され、
前記ベルト通路の一端には、前記肩ベルト部を挿入するためのベルト挿入開口部が形成されている。
【0013】
【発明の効果】
本発明によれば、チャイルドシートの座席固定装置は上記のように構成されているので、車両の座席部に対して後向きに装着されたチャイルドシートは、腰ベルト部がチャイルドシートの第1の掛止部に掛止され、シートベルトのタングプレートをバックルに掛着する。そして、肩ベルト部が第2の掛止部で、肩ベルト部を牽引して固定すると、チャイルドシートは座席に押圧され座席に固定することとなる。この状態で、肩ベルト部を第3の掛止部に掛止すると、肩ベルト部は掛止面23aと固縛装置との間で張架される。
【0014】
車両が何らかの原因で衝撃を受けるとシートベルトは固縛装置によって固縛され、この際、衝撃によって、チャイルドシートが前方へ倒れようとするのを、固縛された肩ベルト部によって第3の掛止部を押圧することから、チャイルドシートの前倒れを防止することができる。従って、チャイルドシートの前倒れを防止することによって、衝突時においても、年少者をチャイルドシートから飛び出させることなく安全を向上させることができる。
【0015】
また、第3の掛止部が、チャイルドシートの本体上部の上部背面側に配置されたガイド部を有し、前記ガイド部の一方が開口されるように本体上部に装着されていれば、第3の掛止部が本体上部の上方から掛止できることから、衝突時におけるチャイルドシートの前倒れをさらに安定して防止できるとともに、肩ベルト部を第3の掛止部に掛止する際には、ガイド部の開口された一端から極めて容易にガイド部に挿入させることができる。
【0016】
また、本発明の第3の掛止部が、チャイルドシートの本体上部の背部の中央上端から下方に向かって切り欠き状に形成されたベルト通路の下端部に形成された掛止面を有し、肩ベルト部が前記掛止面に掛止されていれば、チャイルドシートが後向きに装着する場合に、第3の掛止部が、肩ベルト部をチャイルドシートの本体上部から掛止できることから、衝突時におけるチャイルドシートの前倒れをさらに安定して防止できるとともに、肩ベルト部がチャイルドシートの本体上部の切り欠かれたベルト通路を挿通することから、近道を通ることができ、例えば、シートベルトの長さが短いものでも後向きに装着することができる。
【0017】
さらに、第3の掛止部が、チャイルドシートの本体上部の背部に形成された凹状部と凹状部に係合可能なヘッドを有し、凹状部とヘッドとの間に肩ベルト部が挿通されていても、前述と同様に、第3の掛止部が、肩ベルト部をチャイルドシートの本体上部から掛止できることから、衝突時におけるチャイルドシートの前倒れをさらに安定して防止できるとともに、肩ベルト部が凹状部とヘッドとの間のベルト通路を挿通することから、近道を通ることができ、例えば、シートベルトの長さが短いものでも後向きに装着することができる。
【0018】
また、第2の掛止部が下部のベルト通路に挿入されたシートベルトを、牽引してベルト押え部で押圧すれば、シートベルトをチャイルドシートに固定することができる。この際、シートベルトを、ベルト通路の一端に形成されたベルト挿入開口部からベルト通路に挿入できることから、極めて容易な作業でシートベルトをチャイルドシートに挿入することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態で説明するチャイルドシート1は、車両の座席Sに対して、前向きと後向きに装着されるように構成されるものであり、図1に示すように、ベース2とベース2上に配置されるチャイルドシート本体(以下、本体という)3とを有して構成され、本体3の両側部に本体背部から本体座部に向かって長穴状に形成されたベルト挿通孔5が形成されている。なお、図2及び図6については、あくまで参考図として示すものである。
【0020】
実施形態のチャイルドシートの座席固定装置(以下、本装置という)7は、図1〜2に示すように、チャイルドシート1に配置された第1の掛止部8と第2の掛止部10と第3の掛止部20とを有して構成され、車両の座席Sに対して後向きに装着されたチャイルドシート1を、シートベルトBで第1の掛止部8、第2の掛止部10、第3の掛止部20に掛止させることによって座席Sに固定できるように構成されている。シートベルトBは、3点支持方式のものが使用されて、シートベルトBに掛止されたタングプレートPが、車両用のバックルKに掛着された状態で、タングプレートPから搭乗者(例えば、年少者)の腰部を保護する腰ベルト部BWと、タングプレートPから上方に向かって延設して搭乗者(例えば、年少者)の肩部を保護する肩ベルト部BSを有して形成されている。
【0021】
図1においては、チャイルドシート1は座席S上に進行方向に対して後向きに装着され、シートベルトBの肩ベルト部BSを、本体3の中央上端部の第3の掛止部20に掛止した後、チャイルドシート1のドア側に装着された第2の掛止部10に挿通させ、腰ベルト部BWを第1の掛止部8に掛止させた状態でチャイルドシート1を座席Sに固定させている。
【0022】
第1の掛止部8は、図1に示すように、車両の座席Sに対して、前向きに装着される際に掛止され、後向きに装着される際に掛止されるベルト挿通孔5の下部に設けられている。
【0023】
第2の掛止部10は、チャイルドシート1を前向きと後向きに装着するためには、チャイルドシート1のベルト挿通孔5の上部にそれぞれ装着されることが望ましく、また、肩ベルト部BSを牽引した後で第2の掛止部10に固定できるように構成されている。図3〜5に示すように、ロックケース11と、図3におけるロックケース11内の中央部に縦方向に形成されたベルト通路13と、ベルト通路13を開閉するように軸14に回動可能に支持されたベルト押え部15と、を有して構成されている。なお、第2の掛止部10は、図1におけるベルト挿通孔5の上部に装着することに限定するものでなく、ベルト挿通孔5のどの位置に装着してもよい。
【0024】
ロックケース11は、チャイルドシート1の背部に装着される略矩形状のフランジ部11aと、フランジ部11aからベルト挿通孔5内に突出する方向に形成されてベルト挿通孔5に嵌入される嵌入部11bとを有して形成され、中央部に矩形状の開口孔11cが形成されている。
【0025】
ベルト通路13は、開口孔11cの一端側に設けられている。開口孔11cにはベルト押え部15が挿入され、ベルト押え部15の片側端面(カム部15c)の開状態でベルト押え部15の片側端面(カム部15c)と開口孔11cの一端面(ベルト受け面11d)との間に長尺状のベルト通路13が形成され、ベルト通路13の長手方向の一端(図4中、下端部)には、シートベルトBを側端面から挿入するためにロックケース11のフランジ部11a下部を切り欠くことによって開口されたベルト挿入開口部13aが、ベルト通路13から延設された位置に形成されている。
【0026】
ベルト押え部15は、軸支される軸14に沿って長尺板状に形成されたレバー部15aと、レバー部15aの一端で軸14から離れる方向に延設する羽根状の操作部15bと、レバー部15aの一端に形成されベルト通路13を開閉するとともに挿通されるシートベルトBを押圧するカム部15cと、を有して形成されている。カム部15cは、軸14の軸心からの半径の異なる2点間を連接してシートベルトBの押圧面として形成され、押圧面内に挿通されたシートベルトBの滑り止めとする歯部15dが形成されている。
【0027】
さらに、操作部15bの突出端におけるベルト通路13側には、カム部15cよりベルト受け面11d側に突出するベルトストッパ部15eが形成され、ベルト通路13内を挿通したシートベルトBが、ベルト通路13より下方に抜けないようにベルトストッパ部15eによって規制されている。
【0028】
また、軸14の下部(図4参照)において、ベルト押え部15の操作部15bの元部付近に位置するように、ベルト押え部15のカム部15cをベルト通路13側に付勢する捩りコイルばね16が、軸14に外嵌するように配置されている。捩りコイルばね16は、ベルト押え部15の操作部15bを軸14に対して手で回転操作することによってベルト通路13を開いてシートベルトBを挿通可能にし、操作部15bから手を離すことによって、カム部15cでシートベルトBを押圧できるようにベルト押え部15を回転させる。
【0029】
従って、第2の掛止部10を、ベルト挿入孔13aを下方に向けてチャイルドシート1のベルト挿通孔5に装着し、ベルト押え部15の開状態において、シートベルトBを第2の掛止部10の下方からベルト挿入開口部13aからベルト通路13内に挿入後、シートベルトBを牽引してベルト押え部15を閉じるとシートベルトBが第2の掛止部10に掛着される。
【0030】
そのため、ベルト通路13のベルト挿入開口部13aが下端部から上方に向かって開口されていることから、シートベルトBの第2の掛止部10への装着作業を、容易にすることができる。
【0031】
次に、第3の掛止部20の構成について説明する。第1の形態による第3の掛止部20Aは、図2及び図6に示すように、L字形のガイド21を本体3の上端部に取り付け、チャイルドシート本体3の上部23とガイド21の枝部21aとの間に一端側が開口されたベルト通路22を形成している。そして、チャイルドシート本体3の上部23の上面が掛止面23aとして形成され、肩ベルト部BSが、ベルト通路22と掛止面23aを通ることによってチャイルドシート1の上部はシートベルトBを張架することとなる。ガイド21は、本体3の中央上部に相対向するように一対取り付けられ、肩ベルト部BSは、チャイルドシート1の車両の右座席又は左座席に取り付ける位置によって、いずれか一方に装着される。なお、この第1の形態の第3の掛止部20Aにおいては、ベルト通路22の一端側が開口されていることから、肩ベルト部BSをベルト通路22に挿入させる作用は容易に行なわれることとなる。
【0032】
第2の形態による第3の掛止部20Bは、図7に示すように、チャイルドシート本体3の上部23に、上端面23bを開口して上端面23bから下方に向かって切り掛かれたベルト通路24を形成し、ベルト通路24の下端に掛止面24aを形成することによって、肩ベルト部BSが掛止面24aに掛止されるベルト通路24間を挿通できるように構成している。ベルト通路24はチャイルドシート本体3の上部23の中央上部に一対形成され、肩ベルト部BSは、チャイルドシート1の車両への取り付ける位置によって、いずれか一方のベルト通路24に掛止されることとなる。
【0033】
なお、この形態の第3の掛止部20Bでは、図8に示すように、肩ベルト部BSがチャイルドシート本体3の上部23の上端面23aを通らずに上端面23aから切り欠かれたベルト通路24内の近道を通ることができることから、ベルト長さを節約することができ、シートベルトBの長さを不足させることがない。
【0034】
なお、第3の形態による第3の掛止部20Cでは、図9に示すように、チャイルドシート本体3の上部23の上部中央に大きな凹状部25を形成し、凹状部25にヘッド26が係合される。ヘッド26は本体上部23の凹状部25に着脱可能に配置され、ヘッド26と凹状部25の底面との間には一対のベルト通路27及び掛止面25aが形成されている。そして、肩ベルト部BSは、チャイルドシート1の車両への取り付ける位置によって、いずれか一方のベルト通路27に挿通されていずれか一方の掛止面25aに掛止されることとなる。
【0035】
なお、この第3の形態の掛止部20Cでは、図10に示すように、肩ベルト部BSがチャイルドシート本体3上部23の上端面を通らずに上端面から下方に配置されたベルト通路27の近道を通ることから、ベルト長さを節約することができ、シートベルトBの長さを不足させることがない。
【0036】
次に、上記のように構成された第2の掛止部10の作用を図1〜10に基づいて説明する。
【0037】
図1に示すように、座席Sに後向きに装着されたチャイルドシート1は、シートベルトBの腰ベルト部BWでチャイルドシート1の両ベルト挿通孔5の下部にに掛止され、肩ベルト部BSで第2の掛止部10と第3の掛止部20に掛止される。
【0038】
第2の掛止部10及び第3の掛止部20は、チャイルドシート1を車両座席に装着させた場合には、2個の第2の掛止部10及び第3の掛止部20のうちチャイルドシート1の窓側に装着されている一方の第2の掛止部10(図1において図示されているもの)及び第3の掛止部20が使用される。
【0039】
座席Sに後向きに装着されたチャイルドシート1に対して、シートベルトBの腰ベルト部BWをベルト挿通孔5の左右に挿通して、第1の掛止部8で腰ベルト部BWのタングプレートPを車両側に固定されたバックルKに掛着する(図2参照)。
【0040】
そして、ベルト挿通孔5に挿通した一方のシートベルトBの肩ベルト部BSを第2の掛止部10に挿通させる。その際には、図3〜5に示した第2の掛止部10におけるベルト押え部15の操作部15bを手で軸14を中心にして、図中、反時計方向に回転してベルト通路13(図5参照)を開ける。
【0041】
この状態で、肩ベルト部BSを、図3に示すベルト挿入開口部13aからベルト通路13内に挿入させる。そして、この状態で第2の掛止部10の操作部15bを解放すると、ベルト押え部15のカム部15cが、捩りコイルばね16の付勢力によって、肩ベルト部BSを押圧して固定することとなる。
【0042】
上記のように、肩ベルト部BSが第2の掛止部10に掛止した状態でチャイルドシート1を座席S側に張力を付与するように肩ベルト部BSを強く牽引することで第2の掛止部10を掛止したシートベルトBの張力で座席S側に押圧されたチャイルドシート1は座席Sに強固に固定されることとなる。そして、第3の掛止部20AにシートベルトBの肩ベルト部BSを掛けることによって、第3の掛止部20Aと車両用の固縛装置との間で、シートベルトBが張架されて、衝突時の負荷又は衝撃があってもチャイルドシートの前倒れを防止できる。
【0043】
なお、第2の形態における第3の掛止部20Bの場合では、第1の形態と同様の作用で行なわれ、第3の形態における第3の掛止部20Cの場合では、肩ベルト部BSを第3の掛止部20に掛止させる場合に、ヘッド26を、一旦、取り外した状態で、肩ベルト部BSを本体上部23の凹状部25に掛止させ、第2の掛止部10の掛止作用が終了した時点でヘッド26を本体上部23の凹状部25に装着すればよい。これによって、肩ベルト部BSはベルト通路27を挿通するとともに掛止面25aに掛止されることとなる。
【0044】
上述のように、車両の座席Sに対して後向きに装着されたチャイルドシート1は、腰ベルト部BWがチャイルドシート1の第1の掛止部8に掛止され、シートベルトBのタングプレートPをバックルKに掛着する。肩ベルト部BSが第2の掛止部10で、肩ベルト部BSを牽引して固定すると、チャイルドシート1は座席Sに押圧され座席Sに固定することとなる。この状態で、肩ベルト部BSを第3の掛止部20に掛止すると、肩ベルト部BSは掛止面23aと固縛装置との間で張架される。
【0045】
車両が何らかの原因で衝撃を受けるとシートベルトBは固縛装置によって固縛され、この際、衝撃によって、チャイルドシート1が前方へ倒れようとするのを、固縛された肩ベルト部BSによって第3の掛止部20を押圧することから、チャイルドシート1の前倒れを防止することができる。従って、チャイルドシート1の前倒れを防止することによって、衝突時においても、年少者をチャイルドシートから飛び出させることなく安全を向上させることができる。
【0046】
また、第3の掛止部20Aが、チャイルドシート本体3の上部23の上部背面側に配置されたガイド21を有し、ガイド21の一方が開口されるように本体上部23に装着されていれば、肩ベルト部BSを第3の掛止部20Aに掛止する際には、ガイド21の開口された一端から極めて容易にガイド部に挿入させることができるとともに、第3の掛止部20Aがチャイルドシート本体3の上部23の上方に掛止できることから、衝突時におけるチャイルドシート1の前倒れをさらに安定して防止できる。
【0047】
また、本発明の第3の掛止部20Bが、チャイルドシート本体3の上部23の背部の中央上端から下方に向かって切り欠き状に形成されたベルト通路24の下端部に形成された掛止面24aを有し、肩ベルト部BSをチャイルドシート本体3の上部23の上方に掛止できることから、チャイルドシート1を後向きに装着する場合に、第3の掛止部20Bにおいて、肩ベルト部BSが掛止面24aに掛止されていれば、衝突時におけるチャイルドシート1の前倒れをさらに安定して防止できるとともに、本体上部23の切り欠かれたベルト通路24を挿通することから、近道を通ることができ、例えば、シートベルトの長さが短いものでも後向きに装着することができる。
【0048】
さらに、第3の掛止部20Cが、チャイルドシート本体3の上部23の背部に形成された凹状部25と凹状部25に係合可能なヘッド26を有し、凹状部25とヘッド26との間に肩ベルト部BSが挿通されていても、前述と同様に、第3の掛止部20Cで、肩ベルト部BSが掛止面25aに掛止できることから、衝突時におけるチャイルドシート1の前倒れをさらに安定して防止できるとともに、肩ベルト部BSが凹状部25とヘッド26との間のベルト通路27を挿通することから、近道を通ることができ、例えば、シートベルトの長さが短いものでも後向きに装着することができる。
【0049】
また、第2の掛止部10が下部にベルト通路13に挿入されたシートベルトBを、牽引してベルト押え部15で押圧すれば、シートベルトBをチャイルドシート1に固定することができる。この際、シートベルトBを、ベルト通路13の一端に形成されたベルト挿入開口部13aからベルト通路13に挿入できることから、極めて容易な作業でシートベルトBをチャイルドシート1に挿入することができる。
【0050】
従って、例えば、座位姿勢のできない年少者を対象にチャイルドシートを使用する場合でも、チャイルドシート1を後向きに装着し、衝突時におけるチャイルドシートの前倒れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一形態の本装置を装着したチャイルドシートを示す側面図である。
【図2】同背面側から見た斜視図である。
【図3】図1における第2の掛止部を示す正面図である。
【図4】図3におけるIV−IV断面図である。
【図5】図3におけるV −V 断面図である。
【図6】第1の形態の第3の掛止部を示す平面断面図である。
【図7】第2の形態の第3の掛止部を示す平面断面図である
【図8】第2の形態の第3の掛止部を掛止したシートベルトの掛止状態を示す側面図である。
【図9】第3の形態の第3の掛止部を示す斜視図である。
【図10】第3の形態の第3の掛止部を掛止したシートベルトの掛止状態を示す側面図である。
【符号の説明】
1…チャイルドシート
7…本装置
8…第1の掛止部
10…第2の掛止部
11…ロックケース
13…ベルト通路
13a…ベルト挿入開口部
15…ベルト押え部
20、20A、20B、20C…第3の掛止部
21…ガイド
22…ベルト通路
23…上部
23a…掛止面
24…ベルト通路
24a…掛止面
25…凹状部
25a…掛止面
26…ヘッド
27…ベルト通路
B…シートベルト
BS…肩ベルト部
BW…腰ベルト部
Claims (3)
- 車両の座席に対して前向きと後向きに装着可能なチャイルドシートを、車両のシートベルトによって前記座席に固定するように構成されるチャイルドシートの座席固定装置であって、
前記チャイルドシートの両側部には、前記チャイルドシートの背部から座部まで延設された長穴状のベルト挿通孔が形成され、前記ベルト挿通孔の下端部側に配設されて前記シートベルトの腰ベルト部を掛止する第1の掛止部と、前記ベルト挿通孔の上端部側に配設されて前記シートベルトの肩ベルト部を掛止するとともに前記肩ベルト部を牽引し、かつ前記肩ベルト部をロックするベルト押え部を備えて前記肩ベルト部を固定する第2の掛止部と、前記第2の掛止部で固定された肩ベルト部を前記チャイルドシートの上部で掛止する第3の掛止部と、を有して構成され、
前記チャイルドシートが前記座席に後向きに装着された状態で、前記チャイルドシートに衝撃が付加されたときに、前記第3の掛止部に掛止された肩ベルト部によって、前記チャイルドシートが前方移動を防止できるように構成され、
前記第3の掛止部が、前記チャイルドシートの本体上部から下方に向かって切り欠かれたベルト通路の下端部に形成されていることを特徴とするチャイルドシートの座席固定装置。 - 車両の座席に対して前向きと後向きに装着可能なチャイルドシートを、車両のシートベルトによって前記座席に固定するように構成されるチャイルドシートの座席固定装置であって、
前記チャイルドシートの両側部には、前記チャイルドシートの背部から座部まで延設された長穴状のベルト挿通孔が形成され、前記ベルト挿通孔の下端部側に配設されて前記シートベルトの腰ベルト部を掛止する第1の掛止部と、前記ベルト挿通孔の上端部側に配設されて前記シートベルトの肩ベルト部を掛止するとともに前記肩ベルト部を牽引し、かつ前記肩ベルト部をロックするベルト押え部を備えて前記肩ベルト部を固定する第2の掛止部と、前記第2の掛止部で固定された肩ベルト部を前記チャイルドシートの上部で掛止する第3の掛止部と、を有して構成され、
前記チャイルドシートが前記座席に後向きに装着された状態で、前記チャイルドシートに衝撃が付加されたときに、前記第3の掛止部に掛止された肩ベルト部によって、前記チャイルドシートが前方移動を防止できるように構成され、
前記第3の掛止部が、前記チャイルドシートの本体上部の上端部に形成された凹状部と前記凹状部に係合可能なヘッドとを有し、前記肩ベルト部が前記凹状部と前記ヘッドとの間を挿通可能に掛止されることを特徴とするチャイルドシートの座席固定装置。 - 前記第2の掛止部が、前記チャイルドシートの本体側部に装着されるロックケースと、前記ロックケース内に形成されて前記肩ベルト部を挿通するベルト通路と、前記ベルト通路に挿通された前記肩ベルト部を前記チャイルドシートに固定するベルト押え部と、を有して構成され、
前記ベルト通路の一端には、前記肩ベルト部を挿入するためのベルト挿入開口部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のチャイルドシートの座席固定装置。
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