JP4468550B2 - Thread trimming device for eyelet sewing machine - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、上メスと下メスとを備える鳩目穴かがりミシンの糸切り装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より鳩目穴の周りにかがり縫いを施す鳩目穴かがりミシンには、下糸および芯糸を切断する糸切り装置が設けられている。従来の鳩目穴かがりミシンの糸切り装置における要部を図9に示す。なお、図9では、下糸と芯糸をまとめて糸Tとして示している。
このようなタイプの糸切り装置においては、布地に残る糸の長さを短くするために、糸Tを切断する上メス1および下メス2が、かがり縫いを施した布地Sの直下に設けられている。また、上メス1は、その先端に形成されている刃1aが糸Tの経路をまたがるように配置されている。糸切り動作時においては、上メス1および下メス2が回動し、前記刃1aと下メス2先端の刃2aが出会って糸Tが切断されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、刃1aが糸Tの経路をまたがるような状態で配置された上メスが切断動作を行うべく回動すると、その刃1aが下メス2と出会う前に糸Tに触れてしまうことがある。
このように刃1aが切断前に糸Tに触れてしまうことによって、糸残り長さを所望の長さにできない等の問題が生じる。
例えば、糸Tの張力が高い場合には、刃1aが糸に触れるだけで切れてしまうことがある。また、滑りにくい糸の場合にも、刃1aが触れただけで誤って切断してしまったり、刃1aが糸を引っ掛けて上メス1の回動とともに弛ませてしまうこともある。これらの場合には、糸が所望の位置以外で切断され、糸残り長さが一定にならず、品質の低下につながる。
さらに、出来るだけ糸残り長さを短くするために、上メス1および下メス2は薄い板状に形成されており、その結果、図9に示すように、布下から引き出された状態の糸Tに対して、浅い角度で接することになり、よりの荒い糸であると、上メス1と下メス2による切断時に糸端がばらけてしまうことがある。この場合も品質が低下する。
【0004】
また、図9では図示していないが、上メス1と下メス2は、共に1つのネジに取り付けられ、このネジを支点としていわゆる「はさみ」のように回動動作するように構成されている。糸を確実に切断するためには、上メスの刃1aと下メス2の刃2aとの間に互いに近接する方向に有る程度の圧力がかかっていなければならない。従来は、前記ネジ部分において、板バネからなるワッシャーを介設し、ネジを強く締めることで、刃1aと刃2a間に圧力を加えていた。
しかし、圧力がかかっている支点から、刃1a、刃2aまでは距離があることから、刃1aと刃2a間に必要な圧力をかけるためには、ネジをかなり締め込まなければならない。その結果、支点部分において摩擦が生じ、この部分において回転動作の不良を起こすことがあった。これにより、製品の寿命が短くなってしまったり、支点部分の動作不良が基で切断後に上メスや下メスが元の状態に復帰せず、ミシン針と干渉するという危険性も生じ、大きな問題であった。
【0005】
本発明の課題は、鳩目穴かがりミシンの糸切り装置において、切断端がきれいな状態で、糸残り長さが一定であるように切断することを可能とし、また、上メスと下メスが無理なく滑らかに動作することを可能とすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、たとえば図1、図2に示すように、
被縫製物を所定の方向に移動させる送り装置(布送り装置16)に設けられ、被縫製物が載置される送り板に支持され、共通の軸部材(段ネジ41)に対して、前記送り板の上面に沿ってそれぞれ回動可能に取り付けられた上メス(30)と下メス(32)とを備え、
上メスと下メスは、前記被縫製物に施された鳩目穴かがり縫いの縫い終わり位置から延出する糸(下糸T1、芯糸T2)を、前記縫い終わり位置近傍で、それぞれの縁部に形成された刃(上刃301、下刃320)が出会うことによって切断する鳩目穴かがりミシンの糸切り装置(20)において、
前記送り板下面に固定される基部と、その先端部が前記上メスと下メスが開いた状態における前記上メスの刃部を下方から覆う延出部とを有する上メスカバーを備え、
前記上メスカバーの延出部は前記上メスの回動方向について不動であると共に、前記上メスカバーが、糸切断時に、上メスの刃が下メスの刃に出会う直前まで、糸が上メスの刃に接触することを防止する上メスカバー(上メス下カバー27)を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、糸切断時に、上メスの刃が下メスの刃に出会う直前まで、糸が上メスの刃に接触することを防止する上メスカバーを備えていることから、切断前に上メスの刃が糸に触れることを防止でき、確実に上メスと下メスが出会う位置で糸を切断することができるので、糸残り長さを一定にそろえることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の鳩目穴かがりミシンの糸切り装置であって、たとえば図1、図2に示すように、
前記上メスカバーは、バネ性を有する薄板からなり、前記延出部の先端部が上下方向に揺動可能であると共に、
下メスには、糸切断時に前記上メスカバーに当接可能な当接部を設け、
糸切断時に前記当接部が前記上メスカバーに当接することによって、前記上メスカバーが下方に曲げられるとともに、前記上メスカバーによって糸が下方に押し下げられ、上メスの刃及び下メスの刃に対する糸の角度が垂直線に近づく方向に傾くことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、糸切断時に下メスの当接部が上メスカバーに当接することによって、上メスカバーが下方に曲げられることから、逆に言えば、下メスが上メスカバーから上方向に向かう反力を受けることになり、下メスと上メス間に十分な圧力が与えられることになる。また、糸切断時にバネ部材から圧力が加えられるということは、「共通の軸部材」において上メスと下メス間にあまり強い圧力を加えなくてもよいことになり、回動支点部分の回動時の動作が軽く滑らかな安定したものとなり、そのために部材の摩耗なども生じにくくなる。
ここで、上メスカバーは、ほぼ平坦な板状に形成されてもよいし、あるいは屈曲部を有し下メスの回動面に対して斜めに形成された面を有し、より弾性が高まるような形状にしてもよい。
【0014】
さらに、上メスカバーが下方に曲げられる際に上メスカバーによって糸が押し下げられ、上メスの刃および下メスの刃に対する糸の角度が大きくなることから、切断時に両方の刃に対して糸がある程度の傾きをもって接触するようになり、よりの荒い糸であっても糸端がばらけることなく、きれいな切り口で切断することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一例として、鳩目穴かがりミシン(全体は図示せず)の一部を示すものである。この鳩目穴かがりミシンは、ボタンホールとして鳩目穴を形成するとともに、上糸と下糸とさらに縫い目を補強する芯糸により該鳩目穴の周りにかがり縫いを施すものである。なお、図1において、下方がミシンの前側、上方を後ろ側とする。
【0016】
図1は、ミシンベッド中央に設けられた布送り装置(送り装置)16の主要部を示すもので、17は右送り板、18は左送り板である。右送り板17と左送り板18は、所定長さ離間して設置されており、これらの間には、布切りメス12を含む布切り装置11が設けられ、一方、図示しないミシンアームにはハンマーが取り付けられている。そして、布切り装置11と前記ハンマーとの間に載置された被縫製物に対して、ハンマーが下降して鳩目穴が切り込まれるようになっている。
右送り板17には、右押え駆動部15aによって駆動される右押え13aと、該右押え13aの下方に右受け板14aが設けられている。また、左送り板18には、左押え駆動部15bによって駆動される左押え13bと、該左押え13bの下方に左受け板14bが設けられている。この布送り装置16においては、縫製作業中、右押え13aと右受け板14aとの間、および左押え13bと左受け板14bとの間において、被縫製物を挟持した状態で、布送り装置16全体が、図示しないパルスモータによって駆動されて所定の方向に移動するようになっている。
なお、右押え13a、左押え13bは、図示しない駆動手段により動作する右押え駆動部15aおよび左押え駆動部15bを介して、所定のタイミングで上下に駆動されるようになっている。
【0017】
糸切り装置20は、上メス30と下メス32を駆動して、かがり縫い終了後に下糸と芯糸を切断するもので、右送り板17に設けられている。図2には、糸切り装置20の各構成要素を示した。上メス30の先端には上刃301が形成され、下メス32においてはその側縁部が下刃320となっており、上刃301と下刃320が出会うことで糸を切断するようになっている。
【0018】
糸切り装置20は、図1、図2に示すように、布送り装置16内部にネジ22aを介して固定されたブラケット22に取り付けられたシリンダ21を駆動源として作動するようになっている。シリンダ21の先端部にはつめ23が取り付けられており、このつめ23にコロ25aが係合している。右送り板17の内部には、糸切りリンク腕25が設けられており、該糸切りリンク腕25の先端部25cにコロ25aが固定されている。
糸切りリンク腕25の他端部には、図2に示すように、軸穴25bが形成されている。この軸穴25bに対して、糸切り駆動腕29の一端部から突出している軸部29aが、右送り板17を挿通した状態で、はめ込まれ、ネジ37を締めることによって固定されている。
【0019】
糸切り駆動腕29の他端部29bは、段ネジ38を介して、連結リンク36の取付部36bの1つの穴に回動可能に連結されている。
連結リンク36の一端部には、下方に突出するように形成された下突部36aが設けられている。右送り板17の中央部には、広く窪んでいる凹面17bが形成されており、凹面17bには、溝17cが形成されている。連結リンク36は、下突部36aが溝17cに係合した状態でこの凹面17b内に取り付けられ、溝17cに下突部36aがガイドされて右送り板17の長手方向に摺動可能になっている。
なお、糸切りリンク腕25と連結リンク36間には、上メス30と下メス32が開く方向にこれら部材を付勢するコイルバネ24が掛け渡されている。
【0020】
連結リンク36の中間部には、上メスリンク34を取り付けるためのリンク穴36cが形成され、下から順に上メスリンク34、下メスリンク35が段ネジ39により回動自在に取り付けられている。
上メスリンク34の端部には上方に突出する凸部34aが形成され、この凸部34aに対して上メス30のリンク取付穴30aが回動自在にはめ込まれている。また、下メスリンク35には下メス取付穴35aが形成され、この下メス取付穴35aに段ネジ40を介して下メス32の基端部が回動自在に取り付けられている。
【0021】
右送り板17の凹面17bの左側部には、凹面17bより底の浅い側凹部17aが形成され、この側凹部17aには3つのネジ穴が形成されており、この側凹部17a上に、下から順に、メス取付板33、下メス32、上メス30が、段ネジ41により取り付けられている。メス取付板33の上面には凹部33aが形成されている。凹部33aに板バネからなる板バネワッシャー47を嵌挿し、段ネジ41は板バネワッシャー47を挿通している。
上メス30には異なる向きに長手方向を有する2つの案内孔30b、30cが形成され、メス取付板33に取り付けられた支持ネジ43が案内孔30bに摺動自在に臨んでいる。他方の案内孔30cには、前記段ネジ41が挿通している。
よって、上メス30は、前記凸部34aを中心として回動可能であって、支持ネジ43に沿って摺動可能であるとともに、段ネジ41に対しても段ネジ41に沿って摺動可能であるとともに段ネジ41の周りを回動可能となっている。また、下メス32は、段ネジ41を軸として回動自在になっている。
【0022】
また、側凹部17aの裏側には上メス下カバー27および支持板26が設けられ、これら上メス下カバー27と支持板26がネジ42a,42bにより右送り板17及びメス取付板33に対して固定されている。
上メス下カバー27は、支持板26と右送り板17との間に挟まれて固定される基部27aと、この基部27aから左方に延出する延出部27bとからなる。
段ネジ41の末端は、支持板26から突出しナット43aがはめ込まれている。したがって、段ネジ41をナット43aに対してねじ込むことで、板バネワッシャー47を介して、上メス30と下メス32間に圧力がかかるようになっており、すなわち段ネジ41の締め込み程度を調整することで上メス30と下メス32間の圧力を調整できるようになっている。
また、上メス30の上刃301近傍には、糸たぐり31が取り付けられている。
【0023】
なお、右送り板17上に設けられた糸切り装置20関連の各部材は、メスカバー28によって被われており、糸切り装置20が作動した際に、被縫製物が糸切り装置20に巻き込まれないようになっている。
また、右送り板17の凹面17bの近傍には開口46が形成され、この開口46を介してストッパネジ44がネジ固定部材45に固定され、このストッパネジ44に下メス32の右縁部32bが当接するようになっている。ストッパネジ44の固定位置は開口46内において左右方向に移動可能であり、これにより下メス32の位置が適宜調節されるようになっている。
【0024】
次ぎに、上メス下カバー27部分の構造について、図3に基づいて説明する。図3は、前記ネジ42a部分の縦断面図の要部を示すもので、糸たぐり31は省略している。
図3に示すように、右送り板17の左縁部は縁部に向かって薄くなるように逃げ17dが形成されている。上メス下カバー27は、バネ性を有する金属の薄板からなり、前述のように基部27aにおいて、支持板26と右送り板17との間に挟まれて固定されている。前記延出部27bは、前記逃げ17dに沿うように、第1屈曲部27cで曲げられて上方に立ち上がるように形成され、さらに、上メス30の直下の第2屈曲部27dにおいて上メス30の面方向にほぼ平行する方向に曲げられている。第2屈曲部27dから先の先端部27eは、図2に示すように、角部が丸められており、糸に触れても引っかけたりしないようになっている。
【0025】
通常時、すなわち、上メス30と下メス32が開いている状態では、図1および図3の実線で示すように、上メス下カバー27の先端部(上メスカバー部)27eは、上メス30の上刃301下面を下方から被い、上メス30と下糸T1及び芯糸T2との間に介設された状態になっている。
また、上メス下カバー27は、板バネからなることから、図3の二点破線で示す仮想線Mのように、屈曲部27c付近を中心に、延出部27bが上下に揺動可能となっている。
【0026】
上記構成を有する糸切り装置20の動作について図1、図3、図4および図5に基づいて述べる。図4は、被縫製物に施したかがり縫いを模式的に示しながら、糸切り装置20の主要部の糸切り動作時の様子を順を追って示したもので、符号T1は下糸、T2は芯糸である。
図4(a)は、かがり縫いの縫製後の上メス30と下メス32が開放されている様子を示したもので、図1と同じ状態である。また、前述のように、上メス下カバー27の先端部27eは、上メスの上刃301の直下にあって、したがって、上刃301と下糸T1および芯糸T2の間には、先端部27eが存在する。
【0027】
まず、図4(a)および図1の状態において、シリンダ21が、コイルバネ24の付勢力に抗して、先端に固定されたつめ23を、図1における右方に駆動すると、つめ23内に係合しているコロ25aを介して糸切りリンク腕25の先端部25cが右方に移動する。先端部25cが右方に移動することによって、糸切り駆動腕29は、他端部29bが後方に移動しながら、軸部29aを軸にして反時計方向に回転する。
これにより、糸切り駆動腕29を介して、連結リンク36が後方に押され、連結リンク36の中間部に取り付けられた下メスリンク35は、共に後方に移動しながら段ネジ39を軸にして時計方向に回転する。
【0028】
下メスリンク35が、上記のように動き始めると、上メス30は、凸部34aの周りを自在に回動しつつ、段ネジ41に沿って後方に摺動しながら段ネジ41の周りを時計方向に回転し始める。同時に、下メスリンク35にネジ40を介して取り付けられている下メス32は、ネジ40の周りを自在に回動しながら、段ネジ41の周りを反時計方向に回転し始め、図4(b)に示す状態になる。この状態では、まだ上メス30と下糸T1と芯糸T2との間には、上メス下カバー27の先端部27eが存在する。
【0029】
さらに、上メス30は時計方向に、下メス32は反時計方向に回転し続けると、図4(c)の状態になる。図4(c)では、上メス30の上刃301は、上メス下カバー27から離れる。この状態を図5のように裏側から見ると、上刃301は上メス下カバー27から露出し始め、下糸T1と芯糸T2を捕捉し始める。このとき、下メス32は反時計方向に回転し続けていることから、下メス32の下縁部320bが上メス30と上メス下カバー27との間の図3のP位置まで入りこみ、上メス下カバー27の上面に当接し弾性力に抗して先端部27eを仮想線Mに示すように押し曲げる。これにより、下糸T1及び芯糸T2も押し下げられる。すなわち、下縁部320bが本発明における当接部となる。
さらに、上メス30と下メス32が回転すると、図4(d)に示すように下糸T1と芯糸T2は切断される。
切断後は、シリンダ21が元の状態に戻ると、コイルバネ24の付勢力により、糸切り装置20の各部材が図1の状態に戻る。下メス32により押し下げられていた上メス下カバー27も、下メス32が元の状態に戻ると、それ自身の弾性力により元に戻り先端部27eが上メス30の上刃301に接触するようになる。
【0030】
以上の糸切り装置20によれば、上メス30の上刃301は、糸を切断する直前まで上メス下カバー27によってカバーされて、下糸T1及び芯糸T2と接触しないことから、切断前に上刃301が糸に触れて誤切断したり引っかけてたるませてしまうことはなく、必ず上メス30と下メス32が出会ったところで糸が切断されるようになり、糸残り長さを短く一定にすることができる。
また、図3の仮想線で示すように、切断時に下メス32によって上メス下カバー27の先端部27eが下方に曲げられることから、下糸T1及び芯糸T2も押し下げられる。図6にその様子を模式的に示した。図6においてSは被縫製物である。このように糸が下げられると、上メス30および下メス32に対して、糸がある程度の傾きをもって接触するようになり、よりの荒い糸であっても糸端がばらけることなく、きれいな切り口で切断することができる。
【0031】
また、下メス32は、糸の切断時において、上メス下カバー27の弾性力に抗してこれを押し曲げることから、逆に言えば、上メス下カバー27から下メス32に対して反力が加えられ、下メス32から上メス30に対して、好ましい圧力が加えられ、十分なメス圧が得られる。また、板バネワッシャー47の圧力に加えて、切断時には上メス下カバー27により圧力が加えられるということは、段ネジ41をあまり強く締め込まなくてもよいことになり、回動支点である段ネジ41部分の動作が軽く滑らかな安定したものとなり、そのために部材の摩耗なども生じにくくなる。
【0032】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態における上メス下カバーは、上メスのカバーとしての機能と、下メスに対して圧力をかける機能を有していたが、図7及び図8に示すように、いずれか一方のみでもよい。
【0033】
図7は、図5同様に糸切り装置の一部を裏側から示した。図7においては、下メス32の代わりに下メス62を用いる以外は、図5と同様である。下メス62は、下刃を有する側縁部62aが、下メス32と比較して短く形成されている。これにより、上メス30及び下メス62が互いに出会うように回転し上メス30が下糸T1及び芯糸T2を捕捉するような状態になっても、下メス62は、上メス30と上メス下カバー27との間に入り込むことはない。したがって、上メス下カバー27は下方に押し下げられることはなく、逆に言えば、上メス下カバー27によって下メス62と上メス30間に圧力が加えられることもない。ここでは、上メス下カバー27は、上メス30の糸切断前のカバーとしてのみ機能する。
【0034】
図8は、図5同様に糸切り装置の一部を裏側から示した。図8においては、上メス下カバー27の代わりに、メス圧部材77を用いる。このメス圧部材77は、板バネからなり上メス下カバー27とほぼ同様に2つの屈曲部を有するような形状に形成されるが、先端部77aが、先端部27eと異なり短く、上メスのカバーとしての役目はない。一方、上メス30及び下メス32が回転し上メス30が下糸T1及び芯糸T2を捕捉する状態になると、下メス32は、上メス30とメス圧部材77との間に入り込んで、メス圧部材77を下方(図8の手前方向)に押し下げる。これにより、メス圧部材77により、下メス32と上メス30間に圧力が加えられるようになる。
【0035】
その他、図1〜図8における各部材の具体的な形状等は適宜変更可能であり、例えば、上メス下カバーの取付位置や具体的な形状も変更可能である。
【0036】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、糸切断時に、上メスの刃が下メスの刃に出会う直前まで、糸が上メスの刃に接触することを防止する上メスカバーを備えていることから、切断前に上メスの刃が糸に触れることを防止でき、確実に上メスと下メスが出会う位置で糸を切断することができるので、糸残り長さを一定にそろえることができる。
【0037】
請求項2に記載の発明によれば、糸切断時に下メスの当接部が上メスカバーに当接することによって、上メスカバーが下方に曲げられることから、逆に言えば、下メスが上メスカバーから上方向に向かう反力を受けることになり、下メスと上メス間に十分な圧力が与えられることになる。また、糸切断時にバネ部材から圧力が加えられるということは、「共通の軸部材」において上メスと下メス間にあまり強い圧力を加えなくてもよいことになり、回動支点部分の回動時の動作が軽く滑らかな安定したものとなり、そのために部材の摩耗なども生じにくくなる。
【0039】
さらに、請求項2に記載の発明によれば、バネ部材が下方に曲げられる際にバネ部材によって糸が押し下げられ、上メスの刃および下メスの刃に対する糸の角度が大きくなることから、切断時に両方の刃に対して糸がある程度の傾きをもって接触するようになり、よりの荒い糸であっても糸端がばらけることなく、きれいな切り口で切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鳩目穴かがりミシンに設けられた糸切り装置を示す平面図である。
【図2】図1の糸切り装置の構成を示す分解斜視図である。
【図3】上メス下カバーが設けられている部分の断面図である。
【図4】糸切り装置による糸切り動作を順を追って示す図である。
【図5】図4(c)のときの裏側を示す図である。
【図6】上メス下カバーが下方に押し下げられたときの様子を模式的に示す図である。
【図7】本発明の第2の例を示す図である。
【図8】本発明の第3の例を示す図である。
【図9】従来の糸切り装置における糸切断時の様子を模式的に示す図である。
【符号の説明】
16 布送り装置(送り装置)
17 右送り板
18 左送り板
20 糸切り装置
21 シリンダ
25 糸切りリンク腕
27 上メス下カバー(バネ部材、上メスカバー)
29 糸切り駆動腕
30 上メス
301 上刃
32 下メス
320 下刃
34 上メスリンク
35 下メスリンク
36 連結リンク
41 段ネジ(軸部材)
47 板バネワッシャー
62 下メス
77 メス圧部材(バネ部材)[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a thread trimming apparatus for an eyelet sewing machine having an upper knife and a lower knife.
[0002]
[Prior art]
2. Description of the Related Art Conventionally, a thread hole sewing machine that performs a seam stitch around a eyelet hole is provided with a thread trimming device that cuts a lower thread and a core thread. FIG. 9 shows a main part of a conventional thread trimming device for eyelet sewing machine. In FIG. 9, the lower thread and the core thread are collectively shown as a thread T.
In this type of thread trimming device, an
[0003]
[Problems to be solved by the invention]
However, if the upper knife arranged with the
As described above, the
For example, when the tension of the thread T is high, the
Further, in order to shorten the remaining thread length as much as possible, the
[0004]
Although not shown in FIG. 9, the
However, since there is a distance from the fulcrum to which the pressure is applied to the
[0005]
SUMMARY OF THE INVENTION An object of the present invention is to make it possible to cut a thread trimming device of an eyelet perforated sewing machine so that the thread remaining length is constant with a clean cut end, and the upper knife and the lower knife are reasonably comfortable. It is to be able to operate smoothly.
[0006]
[Means for Solving the Problems]
In order to solve the above problems, the invention described in
Provided the feed device for moving the workpiece in a predetermined direction (cloth feed device 16) for being supported on the feed plate workpiece is placed, a common shaft member (shoulder screw 41), wherein An upper knife (30) and a lower knife (32), each of which is rotatably attached along the upper surface of the feed plate ;
The upper knife and the lower knife each have a thread (bottom thread T1, core thread T2) extending from the stitching end position of the eyelet stitching applied to the sewing product in the vicinity of the sewing end position. In the thread trimming device (20) of the eyelet sewing machine that cuts when the blades (
An upper knife cover having a base portion fixed to the lower surface of the feed plate and an extension portion that covers the blade portion of the upper knife from below in a state where the upper knife and the lower knife are opened at the tip portion;
The extension part of the upper knife cover does not move in the rotation direction of the upper knife, and the upper knife cover has a thread of the upper knife until the blade of the upper knife meets the blade of the lower knife at the time of thread cutting. An upper knife cover (upper knife lower cover 27) that prevents contact with the upper knife is provided.
[0007]
According to the first aspect of the present invention, the upper knife cover that prevents the thread from coming into contact with the blade of the upper knife until the blade of the upper knife meets the blade of the lower knife at the time of thread cutting is provided. Since the blade of the upper knife can be prevented from touching the thread before cutting and the thread can be cut at a position where the upper knife and the lower knife meet each other, the remaining thread length can be made constant.
[0008]
The invention according to
The upper knife cover is made of a thin plate having a spring property, and the distal end portion of the extending portion can swing in the vertical direction,
The lower knife is provided with a contact portion that can contact the upper knife cover at the time of thread cutting,
When the abutment portion abuts against the upper knife cover during thread cutting, the upper knife cover is bent downward, and the upper knife cover pushes the thread downward, so that the thread against the upper knife blade and the lower knife blade The angle is inclined in a direction approaching a vertical line.
[0009]
According to the second aspect of the present invention, the upper knife cover is bent downward when the lower knife contact portion comes into contact with the upper knife cover at the time of thread cutting. In other words, the lower knife is separated from the upper knife cover. A reaction force directed upward is received, and sufficient pressure is applied between the lower knife and the upper knife. In addition, the fact that pressure is applied from the spring member at the time of thread cutting means that it is not necessary to apply very strong pressure between the upper knife and the lower knife in the “common shaft member”, and the rotation of the rotation fulcrum portion The operation at the time is light, smooth and stable, and therefore, the wear of the member is less likely to occur.
Here, the upper knife cover may be formed in a substantially flat plate shape, or may have a bent portion and a surface formed obliquely with respect to the rotating surface of the lower knife so that the elasticity is further increased. Any shape may be used.
[0014]
Furthermore, when the upper knife cover is bent downward, the thread is pushed down by the upper knife cover , and the angle of the thread with respect to the blade of the upper knife and the blade of the lower knife is increased. It comes into contact with an inclination, and even a rougher yarn can be cut with a clean cut end without the yarn ends being scattered.
[0015]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described in detail with reference to the drawings.
FIG. 1 shows a part of an eyelet sewing machine (the whole is not shown) as an example of the present invention. The eyelet sewing machine forms a eyelet hole as a buttonhole, and performs sewing over the eyelet hole with an upper thread, a lower thread, and a core thread that reinforces the seam. In FIG. 1, the lower side is the front side of the sewing machine and the upper side is the rear side.
[0016]
FIG. 1 shows a main part of a cloth feeding device (feeding device) 16 provided in the center of the sewing machine bed.
The
The
[0017]
The
[0018]
As shown in FIGS. 1 and 2, the
As shown in FIG. 2, a
[0019]
The
One end portion of the connecting
A
[0020]
A
A
[0021]
On the left side of the
The
Therefore, the
[0022]
An upper knife
The upper knife
The end of the stepped
Further, a
[0023]
Each member related to the
In addition, an
[0024]
Next, the structure of the upper knife
As shown in FIG. 3, a relief 17d is formed so that the left edge of the
[0025]
In a normal state, that is, in a state where the
Since the upper knife
[0026]
The operation of the
FIG. 4A shows a state in which the
[0027]
First, in the state of FIG. 4A and FIG. 1, when the
As a result, the connecting
[0028]
When the
[0029]
Further, when the
Further, when the
After the cutting, when the
[0030]
According to the
Further, as indicated by the phantom line in FIG. 3, the
[0031]
Further, since the
[0032]
The present invention is not limited to the above embodiment.
For example, the upper knife lower cover in the above embodiment has a function as a cover of the upper knife and a function of applying pressure to the lower knife. However, as shown in FIGS. Only one may be used.
[0033]
FIG. 7 shows a part of the thread trimming device from the back side as in FIG. 7 is the same as FIG. 5 except that the
[0034]
FIG. 8 shows a part of the thread trimming device from the back side as in FIG. In FIG. 8, a
[0035]
In addition, the specific shape and the like of each member in FIGS. 1 to 8 can be appropriately changed. For example, the attachment position and the specific shape of the upper knife lower cover can be changed.
[0036]
【The invention's effect】
According to the first aspect of the present invention, the upper knife cover that prevents the thread from coming into contact with the blade of the upper knife until the blade of the upper knife meets the blade of the lower knife at the time of thread cutting is provided. Since the blade of the upper knife can be prevented from touching the thread before cutting and the thread can be cut at a position where the upper knife and the lower knife meet each other, the remaining thread length can be made constant.
[0037]
According to the second aspect of the present invention, the upper knife cover is bent downward when the lower knife contact portion comes into contact with the upper knife cover at the time of thread cutting. In other words, the lower knife is separated from the upper knife cover. A reaction force directed upward is received, and sufficient pressure is applied between the lower knife and the upper knife. In addition, the fact that pressure is applied from the spring member at the time of thread cutting means that it is not necessary to apply very strong pressure between the upper knife and the lower knife in the “common shaft member”, and the rotation of the rotation fulcrum portion The operation at the time is light, smooth and stable, and therefore, the wear of the member is less likely to occur.
[0039]
Further, according to the invention described in
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a plan view showing a thread trimming device provided in an eyelet sewing machine.
FIG. 2 is an exploded perspective view showing the configuration of the thread trimming device in FIG. 1;
FIG. 3 is a cross-sectional view of a portion where an upper knife lower cover is provided.
FIG. 4 is a diagram illustrating the thread trimming operation by the thread trimming device in order.
FIG. 5 is a view showing the back side in the case of FIG.
FIG. 6 is a diagram schematically showing a state when an upper knife lower cover is pushed downward;
FIG. 7 is a diagram showing a second example of the present invention.
FIG. 8 is a diagram showing a third example of the present invention.
FIG. 9 is a diagram schematically showing a state at the time of yarn cutting in a conventional yarn cutting device.
[Explanation of symbols]
16 Cloth feeding device (feeding device)
17
29 Thread trimmer drive
47
Claims (2)
被縫製物が載置される送り板に支持され、共通の軸部材に対して、前記送り板の上面に沿ってそれぞれ回動可能に取り付けられた上メスと下メスとを備え、
上メスと下メスは、前記被縫製物に施された鳩目穴かがり縫いの縫い終わり位置から延出する糸を、前記縫い終わり位置近傍で、それぞれの縁部に形成された刃が出会うことによって切断する鳩目穴かがりミシンの糸切り装置において、
前記送り板下面に固定される基部と、その先端部が前記上メスと下メスが開いた状態における前記上メスの刃部を下方から覆う延出部とを有する上メスカバーを備え、
前記上メスカバーの延出部は前記上メスの回動方向について不動であると共に、前記上メスカバーが、糸切断時に、上メスの刃が下メスの刃に出会う直前まで、糸が上メスの刃に接触することを防止することを特徴とする鳩目穴かがりミシンの糸切り装置。It is provided in a feeding device that moves the workpiece in a predetermined direction,
An upper knife and a lower knife, which are supported by a feed plate on which a workpiece is placed and are rotatably attached to a common shaft member along the upper surface of the feed plate ,
The upper knife and the lower knife have a thread extending from the stitching end position of the eyelet stitching applied to the sewing product, and the blades formed at the respective edges meet in the vicinity of the stitching end position. In the thread trimming device for the eyelet hoisting machine to cut,
An upper knife cover having a base portion fixed to the lower surface of the feed plate and an extension portion that covers the blade portion of the upper knife from below in a state where the upper knife and the lower knife are opened at the tip portion;
The extension part of the upper knife cover does not move in the rotation direction of the upper knife, and the upper knife cover has a thread of the upper knife until the blade of the upper knife meets the blade of the lower knife at the time of thread cutting. A thread-trimming device for an eyelet-operated sewing machine, characterized by preventing contact with a thread.
下メスには、糸切断時に前記上メスカバーに当接可能な当接部を設け、
糸切断時に前記当接部が前記上メスカバーに当接することによって、前記上メスカバーが下方に曲げられるとともに、前記上メスカバーによって糸が下方に押し下げられ、上メスの刃及び下メスの刃に対する糸の角度が垂直線に近づく方向に傾くことを特徴とする請求項1記載の鳩目穴かがりミシンの糸切り装置。The upper knife cover is made of a thin plate having a spring property, and the distal end portion of the extending portion can swing in the vertical direction,
The lower knife is provided with a contact portion that can contact the upper knife cover at the time of thread cutting,
When the abutment portion abuts against the upper knife cover during thread cutting, the upper knife cover is bent downward, and the upper knife cover pushes the thread downward, so that the thread against the upper knife blade and the lower knife blade The thread trimming device for eyelet sewing machine according to claim 1, wherein the angle is inclined in a direction approaching a vertical line.
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