JP4467212B2 - アルカリ蓄電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はニッケル−水素蓄電池などのアルカリ蓄電池に係り、特に、低温での電池性能を改善したアルカリ蓄電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
ニッケル−水素蓄電池をはじめとするアルカリ蓄電池は、近年の市場拡大に伴って、電動工具、アシスト自転車、電気自動車等の用途が拡大し、大型化、高容量化、ハイパワー化への需要が高まった。このような背景にあって、室温、低温などの温度環境に関わらず放電性に優れたアルカリ蓄電池が要望されており、種々の検討が行われている。例えば、水素吸蔵合金負極中に炭素粉末や金属粉末などの導電剤を添加することが提案されるようになった。このように、水素吸蔵合金負極中に炭素粉末や金属粉末などの導電剤を添加すると、水素吸蔵合金粒子間の接触抵抗が低減するため、負極の放電性が向上するようになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、水素吸蔵合金粒子間の接触抵抗を低減させても、水素吸蔵合金負極中に保持されたアルカリ電解液量が不足すると、水素吸蔵合金負極の電極反応に対して電荷移動が律速となるため、放電性が低下するという問題を生じた。
一方、水素吸蔵合金負極の吸アルカリ率を2〜20%に規定して、充放電サイクル寿命を向上させるようにしたアルカリ蓄電池が、特開平9−102308号公報にて提案されている。
【0004】
ここで、上記特開平9−102308号公報にて提案された水素吸蔵合金負極において、水素吸蔵合金負極の吸アルカリ率を2〜20%に規定するのは以下のような理由によるものである。即ち、吸アルカリ率が2%未満であると、二次電池に組み込まれた際のアルカリ電解液の保持量が少なすぎるため、正極との電池反応に支障を来して充放電サイクル寿命が低下する。また、吸アルカリ率が20%を越えると、二次電池に組み込まれた際に必要以上にアルカリ電解液を吸収して膨潤するため、セパレータの電解液枯渇を招き、二次電池の内部抵抗が上昇して充放電サイクル寿命が低下を招くようになるというものである。
【0005】
ところが、上記特開平9−102308号公報にて提案された水素吸蔵合金負極を用いた電池では放電サイクル寿命が向上するものの、放電性が向上しないという問題を生じた。これは、電池に組み入れられる前の負極の吸アルカリ率を2〜20%に規定しただけであるからと考えられる。その理由は定かではないが、放電性は電池に組み入れられる前の負極のアルカリ溶液の吸収量より、むしろ電池内に組み入れられた水素吸蔵合金負極中に含まれる水酸化物イオン数、負極中に含まれる水素吸蔵合金粉末の全表面積および水素吸蔵合金粉末とアルカリ電解液との濡れ性といった因子に支配され、これらの因子が適正な範囲に維持されなければ放電性が向上し得ないと考えられる。
【0006】
本発明は上記問題を解決するためになされたものであって、水素吸蔵合金負極中に保持されるアルカリ電解液量、即ち、水酸化物イオン数を規定することで、放電性に優れたアルカリ蓄電池を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のアルカリ蓄電池は、水酸化ニッケルを主成分とするニッケル正極と、水素吸蔵合金を主成分とする水素吸蔵合金負極と、これらを隔離するセパレータと、アルカリ電解液とを備え、水素吸蔵合金負極が保持する水酸化物イオン数をN(モル)とし、この水素吸蔵合金負極中の水素吸蔵合金粉末の全表面積をS(cm2)とした場合に、アルカリ蓄電池の活性化後の水素吸蔵合金粉末の全表面積に対する水酸化物イオン数の割合(N/S)が8.4×10-8(モル/cm2)以上になるように水素吸蔵合金負極に保持されるアルカリ電解液量を規定している。
【0008】
このように、アルカリ蓄電池の活性化後の水素吸蔵合金粉末の全表面積に対する水酸化物イオン数の割合(N/S)が、8.4×10-8(モル/cm2)以上(N/S≧8.4×10-8(モル/cm2))となるように水酸化物イオン数を規定すると、水素吸蔵合金粉末の周囲に存在するアルカリ電解液量が不足することがなくなるので、放電性が低下することが抑制できるようになって、放電性に優れたアルカリ蓄電池を得ることが可能となる。
これは、水素吸蔵合金負極中に保有する水酸化物イオン数が増大することで、水素吸蔵合金粉末とアルカリ電解液間での反応面積が増大したことと、アルカリ電解液間での電荷移動量が増加したためと考えられる。このことは、アルカリ蓄電池は低温になるとアルカリ電解液中での電荷移動速度が低下するという特性を有するため、このように電解液量を規定すると、放電性の向上効果が顕著になり、特に、低温環境で利用される用途においては有効である。
【0009】
この場合、水素吸蔵合金粉末の周囲に存在するアルカリ電解液を効率よく電極反応(充放電反応)に利用できるようにするためには、水素吸蔵合金粉末がアルカリ電解液に十分に濡れやすくする必要がある。そこで、実験を行った結果、水との接触角が50度以下の水素吸蔵合金粉末はアルカリ電解液に対して十分に濡れやすいことが明らかになったので、水素吸蔵合金負極中の水素吸蔵合金粉末としては、水との接触角が50度以下の水素吸蔵合金粉末を用いるのが望ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明をニッケル−水素蓄電池に適用した場合の一実施の形態を説明する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
【0011】
1.水素吸蔵合金負極の作製
水素吸蔵合金(例えば、組成式がMmNi3.4Co0.8Al0.2Mn0.6で表される水素吸蔵合金)のインゴットを機械的に粗粉砕した後、不活性ガス雰囲気中で機械的に粉砕した。このとき、粉砕時間を調整して水との接触角が50度になる水素吸蔵合金粉末を調製した。ここで、ボールミルに水素吸蔵合金粉末を投入して撹拌し、ボールミルの回転速度、撹拌時間を変化させることにより、水との接触角を調整することができる。この場合、ボールミル法に代えて他の粉砕方法を用いるようにしてもよい。そして、粉砕後、粒度を一定にするために篩にかけ、平均粒径が60μmの水素吸蔵合金粉末とした。この平均粒径が60μmの水素吸蔵合金粉末の比表面積をBET法により測定すると、0.06m2/gであった。
【0012】
なお、このようにして作製した水素吸蔵合金粉末に対して水が浸透する速度を測定する、いわゆる浸透速度法により、水との接触角を測定すると、50度であることが確認できた。このようにして作製した水素吸蔵合金粉末10gに対して、所定量のポリエチレンオキサイド等の結着剤と、適量の水を加えて混合して水素吸蔵合金スラリーを作製した。このスラリーをパンチングメタルからなる活物質保持体の両面に、圧延後の活物質密度が所定量になるように塗着した後、乾燥、圧延を行った後、所定寸法に切断して水素吸蔵合金負極を作製した。
【0013】
2.ニッケル正極の作製
硫酸コバルト粉末を水に溶かした水溶液に水酸化ニッケル粉末を投入し、ついで、水酸化ナトリウム水溶液を撹拌しながら滴下して液のpHを調整した後、撹拌した。ついで、生成された沈殿物を濾別し、水洗し、室温(約25℃)で真空乾燥して、水酸化ニッケル粒子の表面に水酸化コバルトの被覆層が形成された粉末を得た。得られた粉末と水酸化ナトリウム水溶液とを混合し、空気中にて加熱処理した後、水洗、乾燥して、水酸化ニッケル粒子の表面にナトリウム含有コバルト化合物の高導電性被覆層が形成された水酸化ニッケル粉末を得た。
【0014】
ついで、得られた水酸化ニッケル粉末を主成分とし、これに少量の水酸化コバルトを添加した活物質粉末100質量部と、0.2質量%のヒドロキシプロピルセルロース水溶液40質量部と、60質量%のPTFEディスパージョン液1質量部とを添加混合して活物質スラリーを作製した。このようにして作製した活物質スラリーを、多孔度が97%で、厚みが約1.5mmのニッケル発泡体(この発泡体は三次元的に連続した網状骨格を備えている)からなる金属多孔体(活物質保持体)に、圧延後の充填密度が2.6g/cm3になるように充填した。ついで、乾燥させた後、所定の厚みになるまで圧延した後、所定寸法に切断し、正極リードを溶接してニッケル正極を作製した。
【0015】
3.ニッケル−水素電池の作製
一方、目付が60g/m2で、ポリプロピレンおよびポリエチレンを主成分とする不織布をフッ素ガス処理して、親水化したセパレータを用意した後、上述のように作製したニッケル正極と上述のように作製した水素吸蔵合金負極を、このセパレータを介して渦巻状に卷回して渦巻状電極群を作製した。このように作製した渦巻状電極群の負極の端部に負極集電体を接続するとともに、ニッケル正極の端部と正極集電体とを接続して電極体を作製した。ついで、電極体を有底円筒形の金属外装缶内に挿入し、負極集電体を金属製外装缶の底部にスポット溶接した後、正極集電体から延出するリード板を封口体の底部に溶接した。
【0016】
この後、金属外装缶内に比重が1.27g/cm3で、7.0mol/lのアルカリ電解液(水酸化リチウム(LiOH)1.0mol/lと水酸化ナトリウム(NaOH)1.0mol/lと水酸化カリウム(KOH)5.0mol/lを含有した水溶液)を所定量だけ注入し、封口体を封口ガスケットを介して外装缶の開口部にかしめて封口した。これにより、公称容量が2000mAhの円筒形ニッケル−水素蓄電池A,B,C,R,Sを作製した。
ここで、2.6gの電解液を注入したものをニッケル−水素蓄電池Aとし、2.7gの電解液を注入したものをニッケル−水素蓄電池Bとし、2.8gの電解液を注入したものをニッケル−水素蓄電池Cとした。また、2.4gの電解液を注入したものをニッケル−水素蓄電池Rとし、2.5gの電解液を注入したものをニッケル−水素蓄電池Sとした。
【0017】
4.水酸化物イオンの保持量の測定
上述のようにして作製したニッケル−水素蓄電池A,B,C,R,Sを用いて、まず、周囲温度が25℃(室温)の雰囲気中で、200mA(0.1It(なお、It(mA)は定格容量(mAh)/1h(時間)で表される数値である、以下においても同様である))の充電々流で10時間充電した後、周囲温度が60℃の雰囲気中で1時間休止し、ついで、周囲温度が60℃の雰囲気中で、400mA(0.2It)の放電々流で電池電圧が1.0Vになるまで放電させるというサイクルを2回繰り返して、各ニッケル−水素蓄電池A,B,C,R,Sを活性化した。
【0018】
ついで、上述のようにして活性化した各ニッケル−水素蓄電池A,B,C,R,Sを解体して、各部材の液分担率を測定すると、ニッケル正極の液分担率は0.38で、水素吸蔵合金負極の液分担率は0.35で、セパレータの液分担率は0.27であることが分かった。なお、液分担率とは電池内に注入された全電解液量に対して、各構成要素が保持している電解液量の割合を意味する。また、水素吸蔵合金負極を分解して、活性化後の水素吸蔵合金の比表面積をBET法により測定すると、電解液量に関わりなく、0.6m2/gであり、活性化前に比較して比表面積が10倍に増大していることが分かった。
【0019】
以上の測定結果に基づいて、活性化後の水素吸蔵合金負極中の水素吸蔵合金粉末の全表面積(Scm2)に対し、水素吸蔵合金負極が保持している水酸化物イオン数(Nモル)の割合(N/S)を、下記の(1)式に基づいて算出すると、下記の表1に示すような結果となった。
N/S=(水素吸蔵合金負極が保持している水酸化物イオン数)/(水素吸蔵合金負極中の水素吸蔵合金粉末の全表面積)
=[電池に注入した電解液量(g)/(電池に注入した電解液の比重×電池に注入した電解液濃度(モル/cm3)×水素吸蔵合金負極の液分担 率)]/[水素吸蔵合金負極に含まれる水素吸蔵合金粉末の質量(g)×BET法により測定した水素吸蔵合金負極に含まれる水素吸蔵合金粉末の比表面積(m2/g)](モル/cm2)・・・(1)
なお、電解液の比重は25℃(室温)における測定値であり、水素吸蔵合金負極の液分担率は25℃(室温)に維持された電池における値である。
【0020】
【表1】
【0021】
5.電池試験
(1)室温高率放電特性の測定
上述のようにして活性化した各電池A〜CおよびR,Sを用い、周囲温度が25℃(室温)の雰囲気中で、2.0A(1It)の充電々流で正極が完全に充電された後に生じる電池電圧の低下(−ΔV)が10mVになるまで充電し、1時間休止した後、30A(15It)の放電々流で、終止電圧が0.6Vになるまで放電させるという室温高率放電を行い、このときの作動電圧(室温高率放電特性)を求めると下記の表2に示すような結果が得られた。
【0022】
(2)低温高率放電特性の測定
また、上述のようにして活性化した各電池A〜CおよびR,Sを用い、周囲温度が25℃(室温)の雰囲気中で、2.0A(1It)の充電々流で−ΔVが10mVになるまで充電した後、1時間休止させた。この後、周囲温度が0℃の雰囲気中で、10A(5It)の放電々流で、終止電圧が0.6Vになるまで放電させるという低温高率放電を行い、このときの作動電圧(低温高率放電特性)を求めると下記の表2に示すような結果が得られた。
【0023】
【表2】
【0024】
上記表2の結果から明らかなように、水素吸蔵合金負極中の水素吸蔵合金粉末の全表面積(S)に対する水素吸蔵合金負極が保持している水酸化物イオン数(N)の割合(N/S)が、8.4×10-8(モル/cm2)未満の電池R,Sにおいては、室温30A放電時の作動電圧が大幅に低下しているとともに、低温10A放電時の作動電圧は落ち込みが激しく、放電を開始すると直ちに0.6Vに達して放電不能に陥っていることが分かる。
【0025】
一方、水素吸蔵合金負極中の水素吸蔵合金粉末の全表面積(S)に対する水素吸蔵合金負極が保持している水酸化物イオン数(N)の割合(N/S)が8.4×10-8(モル/cm2)以上の電池A,B,Cにおいては室温30A放電時の作動電圧および低温10A放電時の作動電圧が向上していることが分かる。
これは、水素吸蔵合金負極中に保有する水酸化物イオン数が増大することで、水素吸蔵合金粉末とアルカリ電解液間での反応面積が増大したことと、アルカリ電解液間での電荷移動量が増加したためと考えられる。特に、低温雰囲気における効果は明瞭となっているが、これは、低温になるとアルカリ電解液中での電荷移動速度が低下するために、差異が顕著になったものと考えられる。
【0026】
6.水素吸蔵合金量の検討
ついで、水素吸蔵合金量と室温高率放電特性および低温高率放電特性との関係について検討した。まず、上述と同様に作製した水との接触角が50度である水素吸蔵合金粉末12gに対して、所定量のポリエチレンオキサイド等の結着剤と、適量の水を加えて混合して水素吸蔵合金スラリーを作製し、このスラリーをパンチングメタルからなる活物質保持体の両面に、圧延後の活物質密度が所定量になるように塗着した後、乾燥、圧延を行った後、所定寸法に切断して水素吸蔵合金負極を作製した。
【0027】
そして、この水素吸蔵合金負極と、上述と同様に作製したニッケル正極と、上述と同様に作製したセパレータとを用いて、上述と同様に注入量が異なるアルカリ電解液を注入して、ニッケル−水素蓄電池を作製した。なお、3.0gの電解液を注入したものをニッケル−水素蓄電池Dとし、3.1gの電解液を注入したものをニッケル−水素蓄電池Eとし、3.2gの電解液を注入したものをニッケル−水素蓄電池Fとした。また、2.8gの電解液を注入したものをニッケル−水素蓄電池Tとし、2.9gの電解液を注入したものをニッケル−水素蓄電池Uとした。
【0028】
ついで、これらのニッケル−水素蓄電池D,E,F,T,Uを用いて、上述と同様に活性化した後、上述と同様にこれらを解体して各部材の液分担率を測定すると、ニッケル正極の液分担率は0.37で、水素吸蔵合金負極の液分担率は0.37で、セパレータの液分担率は0.26であることが分かった。また、水素吸蔵合金負極を分解して、上述と同様に活性化後の水素吸蔵合金の比表面積をBET法により測定すると、電解液量に関わりなく、0.6m2/gであり、活性化前に比較して比表面積が10倍に増大していることが分かった。
そして、上述と同様に活性化後の水素吸蔵合金粉末の全表面積(Scm2)に対する水酸化物イオン数(Nモル)の割合(N/S)を算出すると、下記の表3に示すような結果となった。
【0029】
【表3】
【0030】
そして、上述のようにして活性化した各電池D〜FおよびT,Uを用いて、上述と同様に室温高率放電特性を求めるととともに、低温高率放電特性を求めると下記の表4に示すような結果が得られた。
【0031】
【表4】
【0032】
上記表4の結果から明らかなように、水素吸蔵合金負極中の水素吸蔵合金粉末の全表面積(S)に対する水素吸蔵合金負極が保持している水酸化物イオン数(N)の割合(N/S)が、8.4×10-8(モル/cm2)未満の電池T,Uは、表2の電池R,Sと同様に、室温高率放電特性および低温高率放電特性が大幅に低下していることが分かる。一方、N/Sが8.4×10-8(モル/cm2)以上の電池D,E,Fは、表2の電池A,B,Cと同様に、室温高率放電特性および低温高率放電特性が向上していることが分かる。
このことは、水素吸蔵合金量を増加させて水素吸蔵合金負極中の水素吸蔵合金粉末の全表面積を増加させた場合においても、N/Sが8.4×10-8(モル/cm2)以上であれば放電性が向上することを示しており、換言すると、水素吸蔵合金量に関わらず水素吸蔵合金負極に含まれる水素吸蔵合金の単位表面積当たりに必要な電解液量(水酸化物イオン数)は一定であることを意味している。
【0033】
7.正極活物質の充填密度の検討
ついで、正極活物質の充填密度と室温高率放電特性および低温高率放電特性との関係について検討した。
ここで、正極活物質の充填密度が2.8g/cm3になるように充填されたニッケル正極を用いたこと以外は、上述したニッケル−水素蓄電池A〜C,R,Sを作製したのと同様に、ニッケル−水素蓄電池G,H,I,V,Wを作製した。なお、2.6gの電解液を注入したものをニッケル−水素蓄電池Gとし、2.7gの電解液を注入したものをニッケル−水素蓄電池Hとし、2.8gの電解液を注入したものをニッケル−水素蓄電池Iとした。また、2.4gの電解液を注入したものをニッケル−水素蓄電池Vとし、2.5gの電解液を注入したものをニッケル−水素蓄電池Wとした。
【0034】
ついで、上述と同様に活性化した後、上述と同様にこれらを解体して各部材の液分担率を測定すると、ニッケル正極の液分担率は0.36で、水素吸蔵合金負極の液分担率は0.35で、セパレータの液分担率は0.29であることが分かった。
そして、上述と同様に活性化後の水素吸蔵合金粉末の全表面積(Scm2)に対する水酸化物イオン数(Nモル)の割合(N/S)を算出すると、下記の表5に示すような結果となった。また、上述と同様に室温高率放電特性を求めるととともに、低温高率放電特性を求めると下記の表5に示すような結果が得られた。
【0035】
【表5】
【0036】
上記表5の結果から明らかなように、水素吸蔵合金負極中の水素吸蔵合金粉末の全表面積(S)に対する水素吸蔵合金負極が保持している水酸化物イオン数(N)の割合(N/S)が、8.4×10-8(モル/cm2)未満の電池T,Sは、表2の電池R,Sと同様に、室温高率放電特性および低温高率放電特性が大幅に低下していることが分かる。一方、N/Sが8.4×10-8(モル/cm2)以上の電池D,E,Fは、表2の電池A,B,Cと同様に、室温高率放電特性および低温高率放電特性が向上していることが分かる。
このことは、正極活物質の充填密度を増加させた場合においても、N/Sが8.4×10-8(モル/cm2)以上であれば放電性が向上することを示しており、換言すると、正極因子に関わらず水素吸蔵合金負極に含まれる水素吸蔵合金の単位表面積当たりに必要な電解液量(水酸化物イオン数)は一定であることを意味している。
【0037】
8.セパレータ目付の検討
ついで、セパレータ目付と室温高率放電特性および低温高率放電特性との関係について検討した。
ここで、セパレータ目付が70g/m2になるように形成されたセパレータを用いたこと以外は、上述したニッケル−水素蓄電池A〜C,R,Sを作製するのと同様に、ニッケル−水素蓄電池J,K,L,X,Yを作製した。なお、2.6gの電解液を注入したものをニッケル−水素蓄電池Jとし、2.7gの電解液を注入したものをニッケル−水素蓄電池Kとし、2.8gの電解液を注入したものをニッケル−水素蓄電池Lとした。また、2.4gの電解液を注入したものをニッケル−水素蓄電池Xとし、2.5gの電解液を注入したものをニッケル−水素蓄電池Yとした。
【0038】
ついで、上述と同様に活性化した後、上述と同様にこれらを解体して各部材の液分担率を測定すると、ニッケル正極の液分担率は0.37で、水素吸蔵合金負極の液分担率は0.34で、セパレータの液分担率は0.29であることが分かった。
そして、上述と同様に活性化後の水素吸蔵合金粉末の全表面積(Scm2)に対する水酸化物イオン数(Nモル)の割合(N/S)を算出すると、下記の表6に示すような結果となった。また、上述と同様に室温高率放電特性を求めるととともに、低温高率放電特性を求めると下記の表6に示すような結果が得られた。
【0039】
【表6】
【0040】
上記表6の結果から明らかなように、水素吸蔵合金負極中の水素吸蔵合金粉末の全表面積(S)に対する水素吸蔵合金負極が保持している水酸化物イオン数(N)の割合(N/S)が、8.4×10-8(モル/cm2)未満の電池T,Sは、表2の電池R,Sと同様に、室温高率放電特性および低温高率放電特性が大幅に低下していることが分かる。一方、N/Sが8.4×10-8(モル/cm2)以上の電池D,E,Fは、表2の電池A,B,Cと同様に、室温高率放電特性および低温高率放電特性が向上していることが分かる。
このことは、セパレータの目付を増加させた場合においても、N/Sが8.4×10-8(モル/cm2)以上であれば放電性が向上することを示しており、換言すると、セパレータ因子に関わらず水素吸蔵合金負極に含まれる水素吸蔵合金の単位表面積当たりに必要な電解液量(水酸化物イオン数)は一定であることを意味している。
【0041】
9.水素吸蔵合金の接触角の検討
ついで、水に対する接触角が異なる水素吸蔵合金を用いた場合の室温高率放電特性および低温高率放電特性との関係について検討した。
ここで、水に対する接触角が30度の水素吸蔵合金粉末を用いたこと以外は、上述したニッケル−水素蓄電池Aと同様にニッケル−水素蓄電池Mを作製した。また、水に対する接触角が60度の水素吸蔵合金粉末を用いたこと以外は、上述したニッケル−水素蓄電池Aと同様にニッケル−水素蓄電池Zを作製した。
【0042】
ついで、上述と同様に活性化した後、上述と同様にこれらを解体して各部材の液分担率を測定すると、ニッケル正極の液分担率は0.37で、水素吸蔵合金負極の液分担率は0.37で、セパレータの液分担率は0.26であることが分かった。また、水素吸蔵合金負極を分解して、上述と同様に活性化後の水素吸蔵合金の比表面積をBET法により測定すると、電解液量に関わりなく、0.6m2/gであり、活性化前に比較して比表面積が10倍に増大していることが分かった。
そして、上述と同様に活性化後の水素吸蔵合金粉末の全表面積(Scm2)に対する水酸化物イオン数(Nモル)の割合(N/S)を算出すると、下記の表7に示すような結果となった。また、上述と同様に室温高率放電特性を求めるととともに、低温高率放電特性を求めると下記の表7に示すような結果が得られた。なお、表7には先に示した電池Aの結果も併せて示している。
【0043】
【表7】
【0044】
上記表7の結果から明らかなように、水素吸蔵合金粉末の全表面積(S)に対する水素吸蔵合金負極が保持している水酸化物イオン数(N)の割合(N/S)が、8.4×10-8(モル/cm2)であっても、水との接触角が60度の水素吸蔵合金粉末を用いた電池Zは、室温高率放電特性および低温高率放電特性が大幅に低下していることが分かる。一方、水との接触角が30度の水素吸蔵合金粉末を用いた電池Mは、室温高率放電特性および低温高率放電特性が向上していることが分かる。
これは、保持しているアルカリ電解液を効率よく利用できるようにするためには、水との接触角が小さい水素吸蔵合金粉末を用いてアルカリ電解液との濡れ性を向上させた方がよいことを意味している。このことから、水との接触角が50度以下の水素吸蔵合金粉末を用いるのが望ましいということができる。
【0045】
上述したように、本発明においては、水素吸蔵合金負極が保持する水酸化物イオン数をN(モル)とし、この水素吸蔵合金負極中の水素吸蔵合金粉末の全表面積をS(cm2)とした場合に、アルカリ蓄電池の活性化後の水素吸蔵合金粉末の全表面積に対する水酸化物イオン数の割合(N/S)が8.4×10-8(モル/cm2)以上(N/S≧8.4×10-8(モル/cm2))となるようにしているので、水素吸蔵合金粉末の周囲に存在するアルカリ電解液量が不足することがなくなって、放電性が低下することが抑制できるようになり、放電性に優れたアルカリ蓄電池を得ることが可能となる。
【0046】
なお、上述した実施の形態においては、水素吸蔵合金としてMmNi3.4Co0.8Al0.2Mn0.6を用いる例について説明したが、水素吸蔵合金としてMmaNibCocMndAleで表されるNiの一部をCo,Mn,Alで置換した水素吸蔵合金、Niの一部をCoと、Cu,Fe,Cr,Si,Mo等で置換した水素吸蔵合金を用いるようにしてもよい。
また、MmaNibCocMndAleで表される水素吸蔵合金以外の他のAB5型希土類系の水素吸蔵合金、例えば、LaNi5系でNiの一部をCoとAl,W等で置換した水素吸蔵合金を用いるようにしてもよい。
また、上述した実施の形態においては、機械的に粉砕した水素吸蔵合金を用いる例について説明したが、アトマイズ法により作製した水素吸蔵合金あるいはこれに粉砕合金を混合した混合粉末を用いるようにしてもよい。
Claims (2)
- 水酸化ニッケルを主成分とするニッケル正極と、水素吸蔵合金を主成分とする水素吸蔵合金負極と、これらを隔離するセパレータと、アルカリ電解液とを備えたアルカリ蓄電池であって、
前記水素吸蔵合金負極が保持する水酸化物イオン数をN(モル)とし、該水素吸蔵合金負極中の水素吸蔵合金粉末の全表面積をS(cm2)とした場合に、
前記アルカリ蓄電池の活性化後の前記水素吸蔵合金粉末の全表面積に対する前記水酸化物イオン数の割合(N/S)が8.4×10-8(モル/cm2)以上になるように前記水素吸蔵合金負極に保持されるアルカリ電解液量を規定したことを特徴とするアルカリ蓄電池。 - 前記水素吸蔵合金負極中の水素吸蔵合金粉末は水との接触角が50度以下の水素吸蔵合金粉末であることを特徴とする請求項1に記載のアルカリ蓄電池。
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