JP4465856B2 - 映像特殊効果システム - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の映像素材に対して選択的に映像特殊効果を施して出力する機能を有する映像特殊効果システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、放送局などでは、複数の映像素材に対して選択的に映像特殊効果を施し、放送に供される最終的なオンライン映像(最終映像)、いわゆるオンエア用の映像を生成する作業が行われる。このような用途で用いられる機器は、映像特殊効果システムなどと呼ばれている。映像特殊効果システムでは、生成された最終映像に、いずれの入力映像が含まれているかを操作者に通知するための機能が必要とされる。従来、このような通知機能としては、例えば、実公平6−31815号公報記載の技術が使用されている。
【0003】
図52は、従来の映像特殊効果システムの構成例を示している。このシステムは、操作部2001と、操作部2001に接続された切替部2004と、切替部2004に接続された選択情報生成部2005と、選択情報生成部2005に接続された表示器制御部2006と、表示器制御部2006に接続された表示器2007とを備えている。
【0004】
切替部2004は、複数の入力映像信号2002の入力を受け付けると共に、入力された入力映像信号2002に対して必要に応じて映像特殊効果を施し、単一の出力映像信号2003を出力するようになっている。切替部2004は、複数の入力映像信号2002の中から1つを選択して、出力映像信号2003として出力するようなスイッチング機能を有している。切替部2004は、また、複数の入力映像信号2002を合成して単一の出力映像信号2003として出力する機能を有している。操作部2001は、切替部2004に対して、複数の入力映像信号2002のうち、いずれの映像信号に対して映像特殊効果を施すかの指示や映像信号に施す特殊効果の種類などの指示を行うようになっている。
【0005】
選択情報生成部2005は、切替部2004の出力映像信号2003に含まれる入力映像信号の情報をエンコード(符号化)して、表示器制御部2006に出力するようになっている。表示器制御部2006は、選択情報生成部2005から出力された入力映像信号の情報に基づいて、表示器2007の表示制御を行うようになっている。表示器2007は、入力映像信号の数に対応したn(nは2以上の整数。)個のランプ2007-1,2007-2,……2007-nによって構成されている。ランプ2007-1,2007-2,……2007-nは、それぞれ表示器制御部2006によって点灯・非点灯の制御がなされる。
【0006】
このシステムでは、切替部2004において、入力された複数の映像信号2002に対して、操作部2001からの指示に基づいて選択的に映像特殊効果が施され、単一の出力映像信号2003が出力される。選択情報生成部2005は、出力映像信号2003に含まれる入力映像信号の情報を表示器制御部2006に送信する。表示器制御部2006は、選択情報生成部2005から得た入力映像信号2002の情報に基づいて、表示器2007の表示制御を行う。システムの使用者は、表示器2007を構成するランプ2007-1,2007-2,……2007-nの点灯により、出力映像信号2003に含まれている入力映像信号を判別することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のように単なるランプの点灯によって入力映像信号を識別する方式では、入力映像信号の数だけランプを設ける必要がある。このため、特に、多数の入力映像信号を扱うことが可能な大規模な切替部2003を使用してシステムを構築する場合においては、入力映像信号の識別のために、多数のランプを配置した大きな表示ユニットが必要となる。これにより、従来のシステムでは、スペースおよびコスト面などで不都合が生じるという問題がある。一方、従来では、複数の入力映像信号の信号源を識別するために、ランプ上またはランプの周辺部分に文字情報を表示したり、文字が書かれたものを配置しておくなどの工夫がなされている。しかしながら、このような方法だけでは、信号源の認識を容易に行うことができる環境を提供することは難しいという問題がある。
【0008】
また、上記従来技術においては、映像特殊効果として、ワイプ(現在の映像を拭いさるようにして次の映像に徐々に切り替えていく映像表現)などの動的な効果を実行する際においても、選択されている入力映像信号の識別のみが可能であり、現在どのような特殊効果が実行されているかを、理解しやすい形態で表示することができないという問題があった。さらに、映像特殊効果の時間的な情報、例えば、現時点で映像特殊効果の何パーセントが終了したかなどの情報についても、理解しやすい形態で表示することができないという問題があった。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、入力映像信号の数が増えたとしても必要以上に構成を大型化することなく、出力対象として選択されている入力映像信号に関する情報を分かりやすい形態で表示することができる映像特殊効果システムを提供することにある。また、本発明の第2の目的は、入力映像信号に関する情報に加えて、入力映像信号に施されている特殊効果に関する動作情報を理解しやすい形態で表示することができる映像特殊効果システムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明による映像特殊効果システムは、それぞれに固有の識別子が付与された入力映像信号が複数入力されると共に、複数の入力映像信号のうち、少なくとも1つの入力映像信号に対して選択的に映像特殊効果を施し、少なくとも1つの入力映像信号が含まれる信号を、外部において直ちに利用可能な最終映像信号として出力する機能を有する映像特殊効果手段を備えている。本発明による映像特殊効果システムは、また、映像特殊効果手段から出力された最終映像信号に含まれる入力映像信号の識別子の情報を出力する情報出力手段と、複数の入力映像信号に付与されたそれぞれの識別子に対応付けされる複数の表示データを格納する第1の表示データ格納手段と、提供された表示データに基づく情報表示を行う表示手段と、識別子と第1の表示データ格納手段に格納された表示データとの対応関係を示すリンク情報を保持する第1のリンク情報保持手段とを備えている。本発明による映像特殊効果システムは、さらに、情報出力手段から識別子の情報を取得すると共に、第1のリンク情報保持手段に保持されたリンク情報を参照して、第1の表示データ格納手段に格納された複数の表示データの中から、取得した識別子に対応付けされた表示データを特定し、その特定した表示データを用いて、最終映像信号に含まれる入力映像信号に関する情報の表示を表示手段に対して行わせる制御を行う制御手段を備えている。ここで、本発明において、「外部において直ちに利用可能な最終映像信号」とは、放送に供される最終的なオンライン映像信号、いわゆるオンエア用の映像信号のことをいう。
【0011】
本発明による映像特殊効果システムは、さらに、映像特殊効果手段の動作状態を数値的に表現するための少なくとも1つの表示データを、映像特殊効果手段が実行可能な映像特殊効果の種類ごとに格納する第2の表示データ格納手段と、映像特殊効果の種類と第2の表示データ格納手段に格納された表示データとの対応関係を示すリンク情報を保持する第2のリンク情報保持手段とを備えるように構成しても良い。この場合、情報出力手段が、識別子の情報に加えて、さらに、映像特殊効果手段で実行中の映像特殊効果の種類を示す情報と映像特殊効果手段の現在の動作状態を表す数値情報とを含む情報を、映像特殊効果手段の動作情報として出力する機能を有していることが望ましい。またこの場合、制御手段が、さらに、情報出力手段から映像特殊効果手段の現在の動作情報を取得すると共に、第2のリンク情報保持手段に保持されたリンク情報を参照して、第2の表示データ格納手段に格納された少なくとも1つの表示データの中から、現在実行中の映像特殊効果の種類に対応付けされた表示データを特定し、その特定した表示データを用いて、表示手段に、情報出力手段から取得した現在の動作状態を表す数値情報に基づいて、映像特殊効果手段の現在の動作状態を数値的に表現して表示させる機能を有していることが望ましい。
【0012】
また、本発明による映像特殊効果システムは、さらに、映像特殊効果手段の動作状態をグラフィカルに表現するための少なくとも1つの表示データを、映像特殊効果手段が実行可能な映像特殊効果の種類ごとに格納する第3の表示データ格納手段と、映像特殊効果の種類と第3の表示データ格納手段に格納された表示データとの対応関係を示すリンク情報を保持する第3のリンク情報保持手段とを備えるように構成しても良い。この場合、情報出力手段が、識別子の情報に加えて、さらに、映像特殊効果手段で実行中の映像特殊効果の種類を示す情報と映像特殊効果手段の現在の動作状態を表す数値情報とを含む情報を、映像特殊効果手段の動作情報として出力する機能を有していることが望ましい。またこの場合、制御手段が、さらに、情報出力手段から映像特殊効果手段の現在の動作情報を取得すると共に、第3のリンク情報保持手段に保持されたリンク情報を参照して、第3の表示データ格納手段に格納された少なくとも1つの表示データの中から、現在実行中の映像特殊効果の種類に対応付けされた表示データを特定し、その特定した表示データを用いて、表示手段に、情報出力手段から取得した現在の動作状態を表す数値情報に基づいて、映像特殊効果手段の現在の動作状態をグラフィカルに表現して表示させる機能を有していることが望ましい。
【0013】
本発明による映像特殊効果システムでは、複数の入力映像信号に付与されたそれぞれの識別子に対応付けされる複数の表示データが、第1の表示データ格納手段に格納される。また、識別子と第1の表示データ格納手段に格納された表示データとの対応関係を示すリンク情報が、第1のリンク情報保持手段に保持される。情報出力手段からは、映像特殊効果手段から出力された最終映像信号に含まれる入力映像信号の識別子の情報が出力される。制御手段では、情報出力手段から識別子の情報を取得すると共に、第1のリンク情報保持手段に保持されたリンク情報を参照して、第1の表示データ格納手段に格納された複数の表示データの中から、取得した識別子に対応付けされた表示データを特定し、その特定した表示データを用いて、最終映像信号に含まれる入力映像信号に関する情報の表示を表示手段に対して行わせる。このように、本発明による映像特殊効果システムでは、出力対象として選択されている入力映像信号に関する表示データのみを適宜第1の表示データ格納手段から取得して、入力映像信号に関する情報表示を行うので、入力映像信号の数が増えたとしても、入力映像信号の数だけランプを設ける必要のある従来のシステムと比べて、構成の小型化を図ることが可能とされる。また、本発明による映像特殊効果システムでは、表示データを用いた表示を行うので、単にランプの点灯のみで情報表示を行う場合に比べて、入力映像信号に関する情報を分かりやすい形態で表示することが可能とされる。
【0014】
本発明による映像特殊効果システムにおいて、第2の表示データ格納手段と第2のリンク情報保持手段とを備える構成にした場合には、情報出力手段および制御手段において、さらに次の処理が行われる。すなわち、情報出力手段から、識別子の情報に加えて、さらに、映像特殊効果手段で実行中の映像特殊効果の種類を示す情報と映像特殊効果手段の現在の動作状態を表す数値情報とを含む情報が、映像特殊効果手段の動作情報として出力される。制御手段では、情報出力手段から映像特殊効果手段の現在の動作情報が取得されると共に、第2のリンク情報保持手段に保持されたリンク情報を参照して、第2の表示データ格納手段に格納された少なくとも1つの表示データの中から、現在実行中の映像特殊効果の種類に対応付けされた表示データが特定される。そして制御手段では、情報出力手段から取得した現在の動作状態を表す数値情報に基づいて、映像特殊効果手段の現在の動作状態を、第2の表示データ格納手段に格納された表示データを用いて数値的に表現して表示手段に表示させる制御が行われる。これにより、入力映像信号に関する情報に加えて、例えば、現在実行中の映像特殊効果の経過時間の情報などを数値的に理解しやすい形態で表現して表示することが可能とされる。
【0015】
また、本発明による映像特殊効果システムにおいて、第3の表示データ格納手段と第3のリンク情報保持手段とを備える構成にした場合には、情報出力手段および制御手段において、さらに次の処理が行われる。すなわち、情報出力手段から、識別子の情報に加えて、さらに、映像特殊効果手段で実行中の映像特殊効果の種類を示す情報と映像特殊効果手段の現在の動作状態を表す数値情報とを含む情報が、映像特殊効果手段の動作情報として出力される。制御手段では、情報出力手段から映像特殊効果手段の現在の動作情報が取得されると共に、第3のリンク情報保持手段に保持されたリンク情報を参照して、第3の表示データ格納手段に格納された少なくとも1つの表示データの中から、現在実行中の映像特殊効果の種類に対応付けされた表示データが特定される。そして制御手段では、情報出力手段から取得した現在の動作状態を表す数値情報に基づいて、映像特殊効果手段の現在の動作状態を、第3の表示データ格納手段に格納された表示データを用いて、グラフィカルに表現して表示手段に表示させる制御が行われる。これにより、入力映像信号に関する情報に加えて、映像特殊効果手段の現在の動作状態を、例えば動画的に理解しやすい形態で表示することが可能とされる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施の形態に係る映像特殊効果システムの全体構成を示している。本実施の形態に係る映像特殊効果システム1は、システム全体の制御を行う主制御部102と、この主制御部102に接続された、映像特殊効果部101、動作情報生成部103、主設定記憶部104、および複数の操作部10A,10B,10Cとを備えている。操作部10A,10B,10Cは、ローカルエリアネットワーク(LAN)などの通信ネットワーク119によって、それぞれ主制御部102に接続されている。本システム1は、また、通信ネットワーク119と第3の操作部10Cとを着脱可能に接続するための着脱部113を備えている。なお、以下では、特に必要のない限り、複数の操作部10A,10B,10Cを総称して、単に操作部10と記す。
【0018】
この映像特殊効果システム1は、映像特殊効果部101および主制御部102から離れた場所であっても通信ネットワーク119の敷設可能な場所であれば、通信ネットワーク119を介して操作部10からシステムの操作が可能となっている。また、この映像特殊効果システム1は、複数の操作部を別々の場所に配置することにより、複数の場所からの操作が可能となっている。
【0019】
映像特殊効果部101は、複数の入力映像信号117の入力を受け付けると共に、入力された入力映像信号117に対して必要に応じて映像特殊効果を施し、単一の出力映像信号118を出力するようになっている。映像特殊効果部101から出力された出力映像信号118は、例えば、放送に供される最終的なオンライン映像用の信号として、外部から直ちに利用可能とされている。映像特殊効果部101は、また、後述するキー信号の入力を受け付けると共に、入力映像信号117に対してキー信号に基づく映像特殊効果を施すことが可能となっている。映像特殊効果部101は、例えば、複数の入力映像信号117の中から1つを選択して、出力映像信号118として出力するようなスイッチング機能や、複数の入力映像信号117の中から選択された所定数(例えば2つ)の映像信号を合成して単一の出力映像信号118として出力する機能を有している。
【0020】
図2は、映像特殊効果部101に入出力される信号の概略を説明するためのものである。映像特殊効果部101には、例えば7つの入力映像信号117(S1〜S7)が入力される。映像特殊効果部101には、また、例えば5つのキー信号212(K1〜K5)が入力可能になっている。キー信号212は、例えば、入力映像信号117によって表される映像の上に、入力映像信号117によって表される映像以外の他の映像を重ねて出力する場合に入力される。より具体的には、キー信号212は、入力映像信号117によって表される第1の映像領域内で、種々の形状の領域を指定して、その領域内に、あらかじめ用意された第2の映像を合成して表示するような特殊効果を行う場合に入力される。キー信号212は、例えば、領域指定の役割を持たせた信号と、表示する映像(第2の映像)を表す映像信号との2つの信号によって構成される。しかしながら、キー信号の詳細な構成部分は、本発明を説明する上であまり関係がないので、本実施の形態では、キー信号が単純に、入力映像信号117に「重ねる信号」であるものとして説明する。
【0021】
図3は、映像特殊効果部101の内部構造の一例を示している。映像特殊効果部101は、複数の内部バス215,216,218と、2つのバス215,216に接続された合成効果部214と、合成効果部214およびバス218に接続されたキー処理部217とを有している。
【0022】
バス215,216は、それぞれ7つの入力映像信号S1〜S7の中から1つを選択し、合成効果部214に出力するようになっている。合成効果部214は、バス215,216からの2つの映像信号の入力を受け付けると共に、入力された映像信号に対して必要に応じて映像特殊効果を施し、1つの映像信号を出力するようになっている。合成効果部214は、特に映像特殊効果を施さない場合には、単純にバス215またはバス216によって選択された1つの映像信号を、入力された信号状態のままキー処理部217に出力するようになっている。合成効果部214は、映像特殊効果として、ワイプなどを用いた切り替え動作を行う場合には、バス215によって選択された入力映像信号からバス216によって選択された入力映像信号へと(またはバス216によって選択された入力映像信号からバス215によって選択された入力映像信号へと)、指定に応じた手法で切り替え動作を行うようになっている。合成効果部214は、また、バス215によって選択された入力映像信号とバス216によって選択された入力映像信号とを合成するような映像特殊効果(例えば後述の図24(A)で示すような効果)を施すことが可能になっている。
【0023】
バス218は、5つのキー信号K1〜K5の中から1つの信号を選択して、キー処理部217に出力するようになっている。キー処理部217は、合成効果部214から出力された1つの映像信号とバス218から出力された1つのキー信号との入力を受け付けると共に、必要に応じて映像信号にキー処理を施して、1つの出力映像信号118を出力するようになっている。
【0024】
なお、映像特殊効果部101の構成は、図示したものに限定されず、例えば、合成効果部214に3つ以上のバスを接続し、3つ以上の入力映像信号を合成可能な構成にしても構わない。
【0025】
再び図1に戻ってシステム各部の構成について説明すると、主制御部102は、マイクロコンピュータを含んで構成されている。主制御部102は、通信ネットワーク119を介して、操作部10からの各種のコマンドを受信し、そのコマンドに応じた制御動作を行う機能を有している。例えば、主制御部102は、操作部10から映像特殊効果部101に対する指示を促すコマンドを受信すると、その指示に従って映像特殊効果部101を制御し、操作者が所望とする映像を出力させるような制御を行う。主制御部102は、また、例えば、操作部10から、映像特殊効果部101の設定状態の情報を主設定記憶部104に記憶するよう指示するコマンドを受信すると、その指示に従って映像特殊効果部101の設定状態の情報を設定情報として主設定記憶部104に記憶するような制御を行うようになっている。主制御部102は、また、例えば、操作部10から、主設定記憶部104に記憶した設定情報を用いた復旧処理を指示するコマンドを受信すると、主設定記憶部104に記憶された設定情報の中から、コマンドで指示された設定情報を読み出し、その情報に従って、映像特殊効果部101の設定を変更するような制御を行うようになっている。
【0026】
主制御部102は、また、制御結果を示す情報や操作部10において必要とされる各種の情報(例えば動作情報生成部103から得た情報)などを、通信ネットワーク119を介して操作部10に送信するようになっている。例えば、主制御部102は、映像特殊効果部101の設定復旧処理を行ったときに、設定状態が復旧されたことを第2の操作部10Bなどに通知するようになっている。なお、図示しないが、映像特殊効果部101には、出力映像信号118による映像をモニタするためのモニタ装置(表示装置)を接続可能になっている。
【0027】
動作情報生成部103は、出力映像信号118に含まれている入力映像信号117の識別子を映像特殊効果部101から取得し、主制御部102に供給するようになっている。入力映像信号117の識別子は、例えば各映像信号ごとに割り振られた固有の番号によって表される。動作情報生成部103は、また、映像特殊効果部101で実行中の映像特殊効果の種類を示す情報や映像特殊効果部101の動作状態を表す数値情報(動作状態数値)などの動作情報を主制御部102に供給するようになっている。ここで、動作状態数値には、後述するように、映像特殊効果部101において処理される映像特殊効果に関する各種パラメタ値が含まれる。主制御部102に供給された識別子や動作情報は、主制御部102によって、第1の操作部10Aに転送される。
【0028】
主設定記憶部104は、主制御部102の制御に従って、後述の図25に示すような映像特殊効果部101の設定状態に関する情報(設定情報)を記憶するようになっている。主設定記憶部104は、物理的にはメモリの領域を確保したものである。より具体的には、主設定記憶部104は、主制御部102を構成するマイクロコンピュータに接続され、そのマイクロコンピュータからアクセス可能に構成されたメモリ中の領域として実現される。
【0029】
操作部10(10A,10B,10C)の基本構成は、操作制御部105(105a,105b,105c)と、表示部106(106a,106b,106c)と、入力部107(107a,107b,107c)とを有したものとなっている。操作部10A,10B,10Cは、これらの基本的な構成要素以外にも、後述するように、個々の操作部で異なる構成要素・機能を有している。ただし、すべての操作部が同一の機能および構成を有しているものであっても良い。例えば、図示した個々の操作部10A,10B,10Cが有するすべての機能を、1つの操作部が有している構成であっても良い。
【0030】
通信ネットワーク119は、各操作部の操作制御部105a,105b,105cのそれぞれと、主制御部102とを接続している。通信ネットワーク119には、第3の操作部10Cを着脱可能に接続するための着脱部113Bが設けられている。着脱部113Bは、第3の操作部10Cに設けられた着脱部113Aと対をなしている。通信ネットワーク119は、既知の技術により構築されるものであり、具体的には例えばイーサネット(Ethernet)やそれに関連する技術の使用により構築される。
【0031】
表示部106は、陰極線管(CRT;Cathode Ray Tube)や液晶表示装置などによって構成されるものであり、操作に必要な情報などをグラフィカルに表示可能となっている。入力部107は、システムのユーザ(操作者)によって直接操作されるものであり、コンピュータ用の汎用キーボードや、各種の操作スイッチを配置した操作ユニットなどにより構成されている。
【0032】
操作制御部105は、マイクロコンピュータを含んで構成され、操作部内の各構成要素を制御するようになっている。操作制御部105は、また、通信ネットワーク119を介して、主制御部102との間で各種のコマンドや各種の情報の送受信を行うようになっている。操作制御部105は、操作者による入力部107からの操作入力に従って動作するようになっている。例えば、操作制御部105は、操作者の操作に従って、映像特殊効果部101に対する指示を示すコマンドを、通信ネットワーク119を介して、主制御部102に送信するような動作を行う。
【0033】
第1の操作部10Aは、表示要素格納部108と、リンク情報保持部109,111と、効果表現格納部110とを有している。これらの構成要素は、物理的にはメモリの領域を確保したものである。より具体的には、これらの構成要素は、操作制御部105aを構成するマイクロコンピュータに接続され、そのマイクロコンピュータからアクセス可能に構成されたメモリ中の領域として実現される。
【0034】
表示要素格納部108は、入力映像信号117に関連する表示要素のデータを格納している。表示要素格納部108に格納される表示要素のデータは、操作者が映像特殊効果部101に対して入力映像信号117を選択させる際の判断に役立つものであることが望ましい。例えば、入力映像信号117に関するソース(取材源)、撮影位置、撮影者、撮影に使用している機器、あるいは録画を再生している機器、あらかじめ加工された映像であれば加工の説明などを表すデータが表示要素のデータとして用意される。表示要素格納部108は、このような情報を、文字データまたは画像データの形式で格納している。リンク情報保持部109は、入力映像信号117の識別子と表示要素格納部108に格納された表示要素データとの対応関係を示すリンク情報を保持するようになっている。
【0035】
効果表現格納部110は、映像特殊効果部101の動作状態の情報(動作情報)を後述の図11に示す表示例のように数値的またはグラフィカルに表示するための効果表現用の表示データを複数格納している。効果表現格納部110は、表示データとして、例えば、文字列や静止画像などの静止画的表現を行うためのデータや、動画的な表現を行うためのデータを、映像特殊効果の種類ごとに格納している。リンク情報保持部111は、映像特殊効果部101が行う映像特殊効果の種類と効果表現格納部110に格納された表示データとの対応関係を示すリンク情報を保持するようになっている。
【0036】
第1の操作部10Aは、あらかじめ各入力映像信号に関連する情報を表示要素データとして表示要素格納部108に格納しておき、入力映像信号117の識別子と対応付けをすることで、動作中に選択されている入力映像信号117に関連する情報を、例えば後述する図5の表示例のように表示部106aに表示する機能を有している。第1の操作部10Aは、また、効果表現格納部110に格納された表示データを用いて、主制御部102から得た映像特殊効果部101の動作状態に関する情報を、例えば後述する図11の表示例のように数値的またはグラフィカルに表示する機能を有している。これらの第1の操作部10Aに特有の機能は、主として操作制御部105aの制御動作によって実現される。
【0037】
第2の操作部10Bは、操作部設定記憶部112bを有している。操作部設定記憶部112bは、物理的にはメモリの領域を確保したものである。より具体的には、操作制御部105bを構成するマイクロコンピュータに接続され、そのマイクロコンピュータからアクセス可能に構成されたメモリ中の領域として実現される。この操作部設定記憶部112bは、操作制御部105bの制御に従って、主設定記憶部104と同様に、後述の図25に示すような映像特殊効果部101の設定状態に関する情報(設定情報)を記憶するようになっている。
【0038】
第2の操作部10Bは、主制御部102から映像特殊効果部101の設定復旧処理が行われたことを示す通知を受けたときに、復旧された設定状態に関する設定情報を、操作部設定記憶部112bから取得し、その取得した設定状態に関する情報を表示部106bに表示する機能を有している。この第2の操作部10Bに特有の機能は、主として操作制御部105bの制御動作によって実現される。
【0039】
第3の操作部10Cは、操作部設定記憶部112cと、構成記憶部114と、作成設定記憶部115とを有している。操作部設定記憶部112c、構成記憶部114および作成設定記憶部115は、物理的にはメモリの領域を確保したものである。より具体的には、これらの構成要素は、操作制御部105cを構成するマイクロコンピュータに接続され、そのマイクロコンピュータからアクセス可能に構成されたメモリ中の領域として実現される。
【0040】
第3の操作部10Cは、また、一端が操作制御部105cに接続された着脱部113Aを有している。着脱部113Aの他端は、通信ネットワーク119に設けられた着脱部113Bに対して着脱可能となっており、これにより、操作制御部105cを必要に応じて通信ネットワーク119に接続することが可能となっている。なお、本システムにおいては、着脱部113Aが着脱部113Bに接続されたことを、操作制御部105cや主制御部102などで検出可能な構成にすることが望ましい。
【0041】
操作部設定記憶部112cは、第2の操作部10Bの操作部設定記憶部112bと同様に、映像特殊効果部101の設定状態に関する情報(設定情報)を記憶するようになっている。操作部設定記憶部112cの記憶内容は、最終的には(通信ネットワーク119に接続された後には)、主設定記憶部104の記憶内容と同一に保たれるようになっている。作成設定記憶部115は、第3の操作部10Cで作成した設定情報を、最低限、主設定記憶部104に転送するまでの間記憶するようになっている。
【0042】
構成記憶部114は、映像特殊効果部101の構成および機能の情報を記憶するようになっている。本システムは、用途や設置場所などの様々な条件により、映像特殊効果部101の構成および機能を個別に作り上げて設置することが可能である。また、本システムを移動して設置、使用する構成にした場合には、システムの設置のたびに映像特殊効果部101の構成を変化させることが可能である。構成記憶部114は、このような状況に対応すべく、映像特殊効果部101の種々の構成情報を記憶するようになっている。
【0043】
第3の操作部10Cは、操作部設定記憶部112cを有していることにより、ネットワーク接続されているときには、第2の操作部10Bと同様の機能(設定復旧処理を行う機能など)を実現可能となっている。また、第3の操作部10Cは、通信ネットワーク119に接続されていない状態(システムに組み込まれていない状態)でも、単独で使用することが可能となっている。例えば、第3の操作部10Cは、時間や場所に制約されず、通信ネットワーク119に接続されていない状態であっても、操作部設定記憶部112c、構成記憶部114および作成設定記憶部115に記憶された情報を適宜参照して、単独で設定情報の作成を行う機能を有している。この機能により、第3の操作部10Cにおいては、通信ネットワーク119に接続する前に設定情報をあらかじめ作成しておくことができる。これにより、第3の操作部10Cにおいては、システムに接続した後、一から設定情報を作成する操作をしなくても、あらかじめ作成した設定情報を主制御部102に転送するだけでその設定情報を使用した設定復旧処理などを行うことができるようになっている。これらの第3の操作部10Cに特有の機能は、主として操作制御部105cの制御動作によって実現される。
【0044】
なお、本実施の形態において、主として主制御部102および動作情報生成部103が、本発明における「情報出力手段」の一具体例に対応する。また、本実施の形態において、第1の操作部10Aにおける操作制御部105aが、本発明における「制御手段」の一具体例に対応する。また、表示要素格納部108が、本発明における「第1の表示データ格納手段」の一具体例に対応し、リンク情報保持部109が、本発明における「第1のリンク情報保持手段」の一具体例に対応する。また、効果表現格納部110が、本発明における「第2の表示データ格納手段」および「第3の表示データ格納手段」の一具体例に対応し、リンク情報保持部111が、本発明における「第2のリンク情報保持手段」および「第3のリンク情報保持手段」の一具体例に対応する。
【0045】
次に、上記のような構成の映像特殊効果システム1の動作について説明する。
【0046】
まず、図1を参照して本システム1の全体的な動作について説明する。本システム1において、基本的な動作の指示は、操作部10から行われる。操作部10は、通信ネットワーク119に接続されている環境で、システムの動作指示を行う。操作部10において、操作制御部105は、入力部107や表示部106などを制御し、操作者の(入力部107からの)操作入力に従って動作する。操作制御部105は、操作者によって指示された内容が、例えば映像特殊効果部101に対する指示である場合には、その指示内容を示すコマンドを、通信ネットワーク119を介して主制御部102に送信する。主制御部102は、操作制御部105からのコマンドを受信すると、そのコマンドに従って映像特殊効果部101を制御し、操作者が所望とする出力映像信号118が得られるようにする。主制御部102は、必要に応じて制御結果などの情報を通信ネットワーク119を介して操作制御部105に送信する。主制御部102は、また、必要に応じて、個々の操作部に特有の機能を実行するために必要とされる情報、例えば映像特殊効果部101の動作状態数値や設定状態などの情報を、通信ネットワーク119を介して、その情報を必要としている操作制御部105に送信する。個々の操作部は、主制御部102から送信された情報に基づいて、それぞれに特有の機能を実行する。
【0047】
次に、個々の操作部に特有の機能を用いた動作について説明する。
【0048】
[第1の操作部10Aに関する動作]
まず、第1の操作部10Aにおいて、表示要素格納部108に格納された表示要素データを用いて入力映像信号117に関連する情報を表示する機能について説明する。
【0049】
図4(A)〜図4(C)は、表示要素格納部108における表示要素データの格納方法の例を示している。図4(A)は、表示要素データとして固定長の文字列を格納している例である。この例では、表示要素格納部108は、1つの格納領域に、例えば最大8個の文字で構成される固定長の文字列を格納している。例えば、0番の格納領域には“Black”という文字列が格納され、1番の格納領域には“Aux”、2番の格納領域には“Video1”という文字列が格納されている。各格納領域に格納された表示要素データは、格納領域の配列を示すオフセット量を指定することにより参照できる。従ってこの場合、リンク情報保持部109は、図示は省略するが、各識別子(番号)に対応するオフセット量の情報をリンク情報として保持していれば良い。例えば、入力映像信号117の識別子が「0」から始まる番号で表されているとすれば、リンク情報保持部109は、例えば入力映像信号の1番と表示要素格納部108の格納領域のオフセット量“1”とを関連付けた情報を保持していれば良い。これにより、1番の入力映像信号と“Aux”の文字列とが関連付けされる。
【0050】
図4(B)は、表示要素格納部108に、可変長の文字列を表示要素データとして格納している例である。表示要素格納部108は、各文字列を“null”文字(値0)で区切って格納している。表示要素格納部108に格納された各文字列は、例えば各文字列の先頭のアドレスを指定することにより特定することができる。この場合、リンク情報保持部109は、識別子に対応する文字列へのポインタの情報をリンク情報として保持していれば良い。図4(B)の例では、リンク情報保持部109の0番のアドレス(入力映像信号の0番を示す)が、ポインタによって“Black”の文字列の先頭アドレスにリンク(関連付け)され、1番のアドレス(入力映像信号の1番を示す)が、ポインタによって“Aux”の文字列の先頭アドレスにリンクされている。なお、図4(B)では、リンク情報保持部109のメモリアドレスの配列順(ポインタの順番)と、そのリンク先の表示要素格納部108における表示要素データの順番とを一致させている。しかしながら、ここではポインタによる参照方式を用いているので、ポインタのリンク先(表示要素格納部108)における表示要素データの順番とポインタ自身の順番とが異なっていても良い。
【0051】
図4(C)は、表示要素格納部108に、イメージデータ(例えばビットマップ画像)を表示要素として格納している例である。イメージデータのデータ形式としては、具体的にはTIFF(Tagged Image File Format)などのイメージ形式を使用することが可能である。図では、イメージデータをイメージA,イメージB,...と記している。表示要素格納部108は、イメージデータと共に、それぞれのイメージデータのデータサイズの情報を保持することにより、データサイズの異なる複数のイメージデータを連続的に格納している。この場合、リンク情報保持部109は、図4(B)の例と同様に、識別子に対応するイメージデータへのポインタの情報をリンク情報として保持していれば良い。
【0052】
なお、図4(A)〜図4(C)では、表示要素として、文字列とイメージデータのいずれか一方のみを格納する例について説明したが、文字列とイメージデータの両方を格納し、1つの入力映像信号に対して文字列とイメージデータの両方を関連付けするようにしても良い。この場合、表示要素格納部108において、文字列とイメージデータの両方を連続した記憶領域に格納しても良いし、または文字列とイメージデータとを別々の記憶領域に格納しても良い。文字列とイメージデータとを別々の記憶領域に格納する場合には、例えば、文字列用とイメージデータ用とで、別々のリンク情報保持部を設けると良い。
【0053】
図5(A)〜図5(C)は、表示要素格納部108に格納された表示要素データの実際の表示例を示している。図5(A)は、表示要素データとして文字列32A(“Video1”)を表示した例である。図5(A)は、図4(A),(B)に示した表示要素データを用いた表示例に対応する。図5(B)は、表示要素データとしてイメージデータを用いた表示例である。図5(B)は、図4(C)に示した表示要素データを用いた表示例に対応する。画像32Bは、映像特殊効果部101に入力されている入力映像信号117そのものを表示したわけではなく、あくまで、入力映像信号117の番号に関連付けされ、表示要素格納部108に格納されたイメージデータによる画像(通常は静止画像)である。図5(B)に示した画像32Bは、撮影車両を模したものとなっているが、これは、現在、映像特殊効果部101で選択されている入力映像信号117が、例えば、撮影車両から送信された映像であることを示している。
【0054】
図5(C)は、表示要素データとして、文字列とイメージデータとの両方を用いた表示例である。図5(C)に示した文字列32Dの表示は、現在映像特殊効果部101で選択されている入力映像信号117が、例えば、“A山山頂”という「場所」において、“山田太郎”という名のカメラマンの「カメラ」により撮影された映像であることを示している。画像32Cは、撮影場所の山の映像を示している。なお、図5(C)のように、表示要素データとして複数の文字列を表示する場合には、表示要素格納部108に複数の文字列を格納しておく必要がある。この場合、表示要素格納部108に、例えば、「場所」の情報用の文字列を格納する領域と「カメラ」の情報用の文字列を格納する領域とを別々に設け、これらの領域に、“A山山頂”、“山田太郎”という文字列をそれぞれ格納しておけば良い。または、“場所:A山山頂¥nカメラ:山田太郎”のようにして、1つの文字列によって複数の文字列を表し、それを1つの格納領域に格納するようにしても良い。
【0055】
なお、表示要素データを表示する際には、図5(A)〜図5(C)において符号31を付して示したように、表示されているものが出力映像信号118に含まれているデータであることを示すために、例えば「送出信号」という文字列を表示することが望ましい。
【0056】
図6は、第1の操作部10Aに特有の表示(例えば図5(A)〜図5(C))を行うために必要とされる、表示要素格納部108に対する表示要素データの設定処理およびリンク情報保持部109に対するリンク情報の設定処理に関する処理動作を示している。第1の操作部10Aにおいて入力映像信号117に関連する情報を表示する機能を利用するためには、以下で説明するような表示要素データの作成とリンク情報の設定処理をあらかじめ行っておく必要がある。操作制御部105aは、文字列やイメージデータなどの表示要素データを表示要素格納部108に格納する(ステップS141)。このとき、操作制御部105aは、あらかじめ用意されたデータを外部から取り込み、それを表示要素データとして使用する。または、第1の操作部10Aにおいて内部的に作成された表示要素データを使用しても良い。表示要素データの作成や取り込みは、データ作成用のソフトウェアやデータ取り込み用のフロッピーディスク装置などの既知の技術・方法を使用することで実現可能である。
【0057】
次に、操作制御部105aは、表示要素格納部108に格納した表示要素データとその表示要素データに対してリンクさせたい入力映像信号の番号との対応関係を示すリンク情報を作成し、そのリンク情報をリンク情報保持部109に保持する(ステップS142)。このとき、表示要素データに対応させる入力映像信号の番号の具体的な指示は、入力部107aを用いて操作者により行われる。操作制御部105aは、すべての入力映像信号(の番号)に対する設定が終了していない場合(ステップS143;N)には、ステップS141に戻り、すべての入力映像信号に対する設定が終了するまで(ステップS143;Y)、上述の表示要素の設定処理を繰り返す。以上の処理により、すべての入力映像信号に関して、表示要素データの設定処理およびリンク情報の設定処理を行うことができる。
【0058】
図7は、主制御部102による識別子の送信処理の動作を説明するためのものである。主制御部102は、例えば、出力映像信号118に含まれる入力映像信号117が変更されたとき、または本システムにおいて映像データの入出力動作が開始されたときに、随時、識別子の送信処理を行う。この場合、まず、主制御部102は、出力映像信号118に含まれる入力映像信号117の番号(識別子)の情報を動作情報生成部103から取得する(ステップS121)。次に、主制御部102は、取得した番号の情報を通信ネットワークを介して操作制御部105aに送信する(ステップS122)。なお、後述するように、例えば第1の操作部10Aと同様の機能を持った操作部が複数ある場合には、主制御部102は、すべての操作部の操作制御部に対して、取得した番号の情報を同様に送信する。以上の処理により、操作制御部105aは、出力映像信号118に含まれる入力映像信号117の番号の情報を随時取得することができる。
【0059】
図8は、表示部106aに表示要素を表示させるときに行われる、操作制御部105aの処理動作を示している。操作制御部105aは、映像信号特殊効果部101において選択されている入力映像信号117の番号(出力映像信号118に含まれている入力映像信号117の番号(識別子))の情報を、主制御部102から受信する(ステップS151)。次に、操作制御部105aは、リンク情報保持部109が保持しているリンク情報を参照して、受信した番号に対応する表示要素のデータを特定する(ステップS152)。次に、操作制御部105aは、特定した表示要素データを表示要素格納部108から取得し、取得した表示要素データを、図5(A)〜図5(C)に示したように表示部106aに表示させる(ステップS153)。次に、操作制御部105aは、主制御部102からのあらたな番号の受信(ステップS151)に備え、受信待ち状態に入る(ステップS154)。以上の処理により、出力映像信号118に含まれている入力映像信号117が変更されたとしても、それに伴い、表示部106aに表示させる表示要素データも変更され、常に適切な表示要素データを表示させることができる。
【0060】
以上のようにして、常に、その時点で選択されている(出力映像信号118に含まれる)入力映像信号117に関連する表示要素を、操作者に対して理解しやすい形態で表示することができる。操作者は、表示部106aに表示された表示要素により、映像特殊効果部101の動作状況を容易に把握することができる。これにより、例えば、出力映像信号118を見ただけでは出力映像信号118に含まれている信号源を判別しがたい映像の場合であっても、信号源の特定を容易に行うことができる。
【0061】
なお、以上の動作説明では、説明の簡略化を図るために、選択されている入力映像信号117が1つであるものとして説明したが、例えば合成を伴う映像特殊効果が行われることにより、出力映像信号118に入力映像信号117が複数含まれている場合であっても、各構成要素の基本的な動作は同じである。この場合には、例えば、表示部106aに、図5(A)〜図5(C)に示したような表示を行うための表示領域を複数設けることで、複数の入力映像信号117の情報を一度に表示することができる。この場合、動作情報生成部103からは、複数の番号(識別子)の情報が主制御部102に供給され、その情報が主制御部102から操作制御部105aに送信される。操作制御部105aは、図8で示した処理と同様に、リンク情報を参照して、受信した複数の番号に対応する複数の表示要素のデータを特定し、特定した複数の表示要素を表示部106aに表示させる。
【0062】
また、以上の動作説明では、選択されている入力映像信号117に関する情報のみを表示する場合について説明したが、操作者の入力に応じて、映像特殊効果部101の動作に関わらず、任意の入力映像信号に対応する表示要素を表示するような付加機能を設けることも可能である。これにより、例えば、すべての入力映像信号に関する複数の表示要素を同時に並べて表示することも可能となる。この場合、操作制御部105aは、リンク情報保持部109に保持されているリンク情報に基づいて、すべての入力映像信号に関する表示要素を表示要素格納部108から取得し、取得したすべての表示要素を表示部106aに表示させる。このような付加機能により、操作者は、表示部106aに表示されたすべての表示要素を見て、事前にすべての入力映像信号に関する情報を得ることができ、映像特殊効果部101に選択させる次の入力映像信号を決める際の参考にすることができる。この場合にも、入力映像信号を選択して切り替えた後は、通常の機能により、選択された入力映像信号に対応する表示要素が表示部106aに表示される。これにより、操作者は、目的通りの入力映像信号が選択されたことを容易に確認することができる。
【0063】
さらに、GUI(Graphical User Interface)環境により、表示部106aの画面上に表示されている複数の表示要素の中から、操作者がマウスなどにより任意のものを選択し、その選択情報を入力映像信号の選択情報として主制御部102に送るような構成にすることも可能である。主制御部102は、GUI環境により選択された入力映像信号の情報に基づいて、映像特殊効果部101を制御し、映像特殊効果部101に入力映像信号の切り替えを行わせる。これにより、操作者は、入力映像信号の選択を容易に行うことができる。
【0064】
なお、以上では、出力映像信号118が1つのみであるとして説明したが、本発明は、2つ以上の出力映像信号を出力するシステムに対しても適用可能である。出力映像信号が複数ある場合には、表示部106aの表示領域を複数に区切って出力映像信号の数に対応した複数の表示領域を作り、各表示領域にそれぞれ異なる出力映像信号の情報を表示するようにすれば良い。または、マルチウィンドウシステムを用いて表示部106aに、出力映像信号の数に対応した複数のウィンドウ(表示窓)を表示し、そのウィンドウ内にそれぞれ異なる出力映像信号の情報を表示するようにすれば良い。または、表示部106a自体を出力映像信号の数に対応して複数設けて、各表示部に異なる出力映像信号の情報を表示するようにしても良い。
【0065】
<効果表現格納部110を用いた機能>
次に、第1の操作部10Aにおいて、効果表現格納部110に格納された表示データに基づいて、映像特殊効果部101の動作情報を表示部106aに表示する機能について説明する。
【0066】
図9は、効果表現格納部110における表示データの格納状態とリンク情報保持部111におけるデータのリンク状態とを示している。効果表現格納部110は、映像特殊効果部101の動作情報を表示するために利用される効果表現用の表示データ(データA,データB,データC,...)を、映像特殊効果の種類ごとに、例えば連続的に記憶している。リンク情報保持部111は、効果表現格納部110に格納された映像特殊効果の種類に対応する各データへのポインタの情報を、リンク情報として保持している。映像特殊効果の種類は、映像特殊効果の種類ごとに固有の番号を割り振り、その番号により種類を特定できるようにしている。図9の例では、リンク情報保持部111の0番のアドレス(0番の映像特殊効果の種類を示す)が、ポインタによって効果表現格納部110の“データA”の格納領域にリンクされ、次に、1番のアドレス(1番の映像特殊効果の種類を示す)が、ポインタによって“データB”の格納領域に順次リンクされている。このようなデータ構造により、操作制御部105aが、映像特殊効果の種類を番号で指定すると、その番号に対応する効果表現格納部110中の表示データが、リンク情報保持部111のポインタで特定され、取得できる。なお、図9では、リンク情報保持部111のポインタの順番とそのリンク先の効果表現格納部110における表示データの順番とを一致させている。しかしながら、ここではポインタによる参照方式を用いているので、ポインタのリンク先(効果表現格納部110)における表示データの順番とポインタ自身の順番とが異なっていても良い。
【0067】
なお、映像特殊効果部101が実行可能な映像特殊効果の種類は、映像特殊効果部101の性能により決定されるので、システム設置時には確定している。従って、通常、映像特殊効果の種類が、システムの動作中に変更されることはない。従って、効果表現格納部110とリンク情報保持部111とに記憶する内容は、例えばシステムの設置時に読み出し専用メモリに書き込んで、あらかじめシステムに組み込んでしまえば良い。
【0068】
図10(A)〜図10(E)は、映像特殊効果部101によって施される「ワイプ」と呼ばれる映像特殊効果を模式的に示している。ワイプは、映像の切り替え処理に用いられる特殊効果である。より具体的には、ワイプは、映像の切り替えを瞬間的に行わずに、指定の時間をかけて画面上を直線などで2分するようにして、徐々に新しい映像に切り替えて表示していくような特殊効果である。例えば図10(A)に示したように、2つの映像V1,V2を用いて切り替えを行う場合について説明する。まず、第1の映像V1のみが表示されているものとする(図10(B))。この状態から、画面全体の表示領域を直線状の分割線91によって例えば斜めに2分割し、この分割線91を画面左上から右下に向かって徐々に移動させていく。このとき、分割することにより画面左上方向にできた表示領域に第2の映像V2を表示し、画面右下方向にできた表示領域に第1の映像V1を表示する。これにより、分割線91の移動に伴い、画面左上から右下に向かって徐々に第1の映像V1から第2の映像V2へと映像の切り替えが行われる効果が得られる(図10(C),(D))。最終的には、第2の映像V2のみが表示される(図10(E))。
【0069】
第1の操作部10Aは、このようなワイプによる特殊効果を行う場合において、ワイプに関する動作状態数値を得ることで、映像特殊効果部101の動作の状態を把握できる。ワイプに関連する動作状態数値としては、例えば、映像の切り替え時間全体に対する切り替え動作の経過時間や、切り替え時間全体に対する切り替え動作の経過時間の比率をパーセント表記で表したものなどが考えられる。また、2つの映像が画面上で占める割合の比(長さの比あるいは面積比。一般に、画面構成比または映像比などと呼ばれる。)に関する情報なども、動作状態数値となり得る。第1の操作部10Aは、このような動作状態数値に基づく情報を、効果表現格納部110に格納された表示データを利用して理解しやすい形態で表示する。これにより、操作者が容易に映像特殊効果部101の動作を把握できる環境を提供する。
【0070】
図11は、映像特殊効果として図10に示したワイプによる切り替え処理が行われている場合に表示部106aに表示される動作情報の表示例を示している。この表示画面は、複数の表示領域60A,60B,60Cを有している。この表示画面には、映像特殊効果部101からの出力映像信号118に関する表示であることを示すために、「送出信号」という文字列66が表示されている。表示領域60Aには、切り替え前の入力映像信号の情報(例えば、撮影場所やカメラマンの情報など)が、例えば文字列61により表示される。表示領域60Cには、切り替え後の入力映像信号の情報が、例えば文字列62により表示される。文字列61,62は、操作制御部105aが、主制御部102から受信した入力映像信号の番号の情報に基づいて、リンク情報保持部109のリンク情報を参照することにより特定した、表示要素格納部108内の文字列のデータである。
【0071】
表示領域60Bには、切り替え動作に特有の動作情報が表示される。表示領域60Bにおいて、画像63は、特殊効果の種類(ここではワイプ)を示している。画像63は、例えばビットマップ画像などのイメージデータによる静止画像である。画像63に関するイメージデータは、あらかじめ効果表現格納部110に格納されている。画像63は、操作制御部105aが、主制御部102から受信した特殊効果の種類の情報に基づいて、リンク情報保持部111のリンク情報を参照することにより特定される。表示領域60Bにおいて、符号64,65で示した表示画像は、切り替え動作の進行状況の情報、より具体的には、切り替え時間全体に対する切り替え動作の経過時間の比率の情報を示している。表示画像64は、経過時間の比率をパーセント表記による数値で示した例である。表示画像65は、経過時間の比率を、帯グラフ状の図形で示した例である。表示画像64,65は、操作制御部105aが、主制御部102から受信した動作状態数値の情報に基づいて、リンク情報保持部111のリンク情報を参照することにより特定されたデータに基づいて表示される。表示画像64,65の表示内容は、主制御部102から送信された動作状態数値に基づいて、切り替え処理が終了するまで、随時更新される。
【0072】
図12は、切り替え処理が行われている場合に表示部106aに表示される動作情報の他の表示例を示している。この表示画面は、図11の表示画面と同様に、複数の表示領域70A,70B,70Cを有している。表示領域70Aは、図11の表示領域60Aに対応する領域であり、切り替え前の入力映像信号の情報が表示されている。図11では、入力映像信号の情報を文字列61のみにより表示していたが、図12では、入力映像信号の情報を、図5(C)の表示例と同様に、文字列71と画像72とによって表示している。画像72は、映像特殊効果部101に入力されている入力映像信号そのものを表示したものではなく、あくまで、入力映像信号の番号に関連付けされ、表示要素格納部108に格納されたイメージデータによる画像である。表示領域70Cは、図11の表示領域60Cに対応する領域であり、切り替え後の入力映像信号の情報が表示されている。表示領域70Cには、表示領域70Aと同様に、入力映像信号の情報が、文字列73と画像74とによって表示されている。
【0073】
表示領域70Bは、図11の表示領域60Bに対応する領域であり、切り替え動作に特有の情報が表示されている。表示領域70Bにおいて、画像75は、特殊効果の種類を示している。画像75は、例えばビットマップ画像などのイメージデータによる静止画像である。画像75から、特殊効果の種類が、画面の真ん中から映像が徐々に切り替わっていくような処理であることが分かる。
【0074】
表示領域70Bにおいて、符号76〜79で示した表示画像は、切り替え動作の進行状況の情報を示している。表示画像76は、切り替え中の2つの入力映像信号の画面構成比の情報を、帯グラフ状の図形で示した例である。ここで、第1の映像V1から第2の映像V2へと画像を切り替えているものとすると、表示画像76における左側の領域76Aは、第1の映像V1(切り替えられていく入力映像信号)が占める画面の割合を示し、右側の領域76Bは、第2の映像V2(切り替え入力映像信号)が占める画面の割合を示している。領域76A,76Bは、互いの領域を一目で区別できるような表示にしておくことが望ましく、例えば表示色が異なっている(図ではハッチングパターンを変えて区別している)。表示画像76で示した画面構成比は、面積比ではなく長さの比(切り替えの進行度合い)で表している。表示画像77は、切り替え時間全体に対する切り替え動作の経過時間の比率の情報を、帯グラフ状の図形によりパーセント表記した例である。表示画像78,79は、経過時間の情報を、数値で表示した例である。表示画像78が、切り替え動作開始からの経過時間(図では5.0秒)を示し、表示画像79が、切り替えに要する時間全体の情報(図では20.0秒)を示している。
【0075】
ところで、表示領域70Bで表示される画面構成比の値と経過時間比の値とは必ずしも一致しない。以下、図13(A),(B)を参照して、そのことについて説明する。図13(A),(B)に示したグラフは、2つの入力映像(図では入力1,2)が占める割合(画面構成比)の時間的な変化を示しており、横軸は時間(経過時間(比))、縦軸は画面構成比となっている。図13(A)では、経過時間と画面構成比の関係は直線的な比例関係にあり、時間的な変化の割合と画面構成比の変化の割合(パーセント)は一致する。しかしながら、図13(B)に示した経過をたどる特殊効果の場合、時間的な変化の割合と画面構成比の変化の割合は一致しない。図13(B)では、画面構成比(画面全体に対して入力映像2が占める割合)は、時間t1において一度75%付近(図のR1)まで増加した後、時間t2において25%付近(図のR2)まで減少し、その後、100%に達して切り替えが完了している。すなわち、図13(B)に示した切り替え動作は、出力映像を見ると、2つの映像の境界線が画面上で行ったり来たりしてから切り替わるように見える。このような切り替え動作は、切り替え動作を途中で変更し、他の切り替え動作を行わせるようなものであるともいえる。このような切り替え動作は、例えば、あらかじめ主制御部102に、それぞれ異なる切り替え動作を示す複数の制御コマンドの連続(配列)を記憶(プログラム)させておき、その記憶に従って映像特殊効果部101を動作させることで実現することができる。
【0076】
図12の表示画像76〜79は、図13(B)に示した25%付近の時間t1における切り替え状態に対応している。すなわち、経過時間は切り替えに要する時間全体の25%であるが、画面構成比は75%となっている。このように経過時間と画面構成比との両方を表示することにより、画面構成比と経過時間比とが比例関係にない場合であっても、両者の関係を的確に知ることができる。なお、従来では、このような切り替え動作の情報を、出力映像信号118をモニタするモニタ装置(図示せず)の画面(ビデオ・ピクチャ・モニタ)を見て確認していた。しかしながら、例えば切り替え対象となる映像の内容が、画面全体に渡って暗い映像である場合などは、モニタを見ても切り替え動作の詳細がわかりにくい場合があった。本実施の形態では、図12のような表示を行うことにより、映像の内容に関わらず、操作者に認識しやすい形式で情報を提供することができる。
【0077】
なお、図12では、特殊効果の種類を静止画像75によって表示するようにしたが、より好適には、アニメーション風の動画像表示を行い、画面構成比の変化に連動した表示にすることが望ましい。これにより、操作者に対して動作状態をより認識しやすい形態で表示できる。
【0078】
図14(A)〜図14(E)は、動画像により切り替え動作の状態を表示した例を示しており、これらは、時間的には、図14(A)から図14(E)へと順に表示される。図では、画面の真ん中から、徐々に新しい映像に替わっていくような切り替え動作をアニメーション風(動画的)に表現した例である。すなわち、図に示したように、最初は、新しい映像が“現れる”位置を十字状の画像81で示し(図14(A))、次に、十字状の画像81で示した位置に、新しい映像を示す矩形画像82を表示する(図14(B))。そして、矩形画像82を徐々に大きく表示していき(図14(C),(D))、最後に全画面が矩形画像82に置き替わる(図14(E))。なお、図では、矩形画像82が、ハッチングパターンによって塗りつぶされて表されているが、実際には例えば単色に塗りつぶしたベタな映像で表されている。
【0079】
第1の操作部10Aでは、図14(A)〜図14(E)で示した表示を、画面構成比の変化に合わせて、その表示状態を適宜変化させつつ連続的に表示することにより、その時点の動作状態を的確に表現できる。すなわち、図で示した動画像を行うための映像が、11枚の静止画像で構成されているとすれば、新しい映像の画面構成比が0%のときに1枚目、100%のときに11枚目を表示する。また、中間段階の切り替え状態では、その切り替え状態に近い表示となるように、例えば、画面構成比R%に対して、「[{R/(11-1)}を四捨五入した値]枚目」を表示する。
【0080】
また、上述のようにあらかじめ用意された静止画像を連続表示して動画表示を行う方式ではなく、ベクター情報にパラメタを与えた描画方式により、動画表示を行う方法も考えられる。この場合には、画面構成比を描画用のパラメタとして与えるように用意すれば良い。すなわち、例えば、図14(A)に示したようにxy軸をとり、xを0からt、yを0からuまで変化させることにより任意の画面位置を表すものとし、パラメタとして画面構成比Rを与えた次の式(1),(2)で規定される領域を、矩形画像82として描画する。矩形画像82の内部領域は、ハッチング(塗りつぶし)表示する。この場合、効果表現格納部110に、式(1),(2)に関する情報をあらかじめ格納しておく。なお、式(1),(2)において、「*」は乗算を、「/」は除算を示す。画面構成比Rは面積比ではなく(例えばx軸方向の)長さの比としている。
【0081】
(t/2)-(t/2)*(R/100) ≦ x ≦ (t/2)+(t/2)*(R/100) ……(1)
(u/2)-(u/2)*(R/100) ≦ y ≦ (u/2)+(u/2)*(R/100) ……(2)
【0082】
式(1),(2)を用いた描画を、画面構成比Rの値が更新されるたびに(または一定時間間隔で)繰り返すことにより、映像の切り替え状態に応じたアニメーション風の表示を実現できる。なお、最初に表示する図14(A)に示した画面における十字状の画像81については、矩形画像82とは別に用意された、例えばビットマップ形式のイメージデータによる表示を行う。以上のようなベクター情報を利用した描画は、図14に示したものに限定されず、図14とは異なる画面構成であっても実現可能である。
【0083】
図15〜図17は、動作情報のさらに他の表示例を示している。図15〜図17の表示画像は、いずれも例えば図12に示した表示画面における表示画像75の表示位置に組み込まれるものである。図15(A)〜図15(D)は、画面左上隅から映像の境界線が自身と垂直な方向に進行するようにして映像の切り替えが行われる映像特殊効果を表現した表示例である。時間的には、図15(A)から図15(D)へと順に表示される。最初に表示される左上隅の十字状の画像91(図15(A))は、次の映像信号による映像が画面に表示される位置を事前に示すものである。
【0084】
図16(A)〜図16(D)は、映像の境界線が画面の左下隅を中心として回転するようにして映像の切り替えが行われる映像特殊効果を表現した表示例である。時間的には、図16(A)から図16(D)へと順に表示される。最初に表示される左下隅の小さい円状の画像92(図16(A))は、その位置が映像の回転中心となることを事前に示すものであり、一方、左上隅の十字状の画像91は、図15(A)の場合と同様に、次の映像信号による映像が画面に表示される位置を事前に示すものである。
【0085】
図17(A)〜図17(D)は、画面中央の水平線93を初期状態とする2本の境界線93A,93Bが回転するようにして、映像の切り替えが行われる映像特殊効果を表現した表示例である。時間的には、図17(A)から図17(D)へと順に表示される。最初に表示される左端中央の小さい円状の画像92(図17(A))は、その位置が映像の回転中心となることを事前に示すものであり、一方、右端中央の十字状の画像91は、画面中央の水平線93と合わせて、図15(A)の場合と同様に、次の映像信号による映像が画面に表示される位置を事前に示すものである。
【0086】
なお、以上では静止画像による映像特殊効果の種類の表示(図12の表示画像75)と動画による動作状態の表示(図14など)のどちらか一方のみを行うものとして説明したが、より好適には、これらの静止画像と動画像とを並べて同時に表示することが望ましい。
【0087】
図18(A)〜図18(D)は、動作情報を静止画像と動画像とを同時に表示して表現した例である。図に示した表示画像は、画面左上隅から矩形状に映像の切り替えが行われる映像特殊効果を表現した表示例であり、時間的には、図18(A)から図18(D)へと順に表示されるものである。図18(A)〜図18(D)のそれぞれにおいて、上側の画像95は、静止画表示であり、下側の画像96は、アニメーション風の動画像表示となっている。静止画像95は、一表示で特殊効果の概要を示したものであり、図示したように、矩形画像に加えて、切り替え動作の進行方向を示す矢印95Aを表示することで、進行中の特殊効果の種類を明確に表現している。動画像96は、図14に示した動画と同様に、画面構成比の変化に合わせて、その表示状態を適宜変化させつつ連続的に表示することにより、その時点の動作状況を、分かりやすく表現したものである。すなわち、この動画像96は、最初に、新しい映像が“現れる”位置に十字状の画像96Aを表示し(図18(A))、次に、切り替え動作の進行状況に合わせて、十字状の画像96Aで示した位置に、矩形画像96Bを徐々に大きくしながら表示していく(図18(B)〜図18(D))ようなものである。このように静止画像と動画像とを組み合わせた表示を行うことにより、操作者は、映像特殊効果部101の切り替え動作をより認識しやすくなる。なお、静止画像と動画像とを表示する位置は、上下方向に限定されず、例えば左右方向に表示しても良い。
【0088】
図19(A)〜図19(D)は、図18に示した表示例の変形例を示しており、時間的には、図19(A)から図19(D)へと順に表示されるものである。図18の表示例では、静止画像と動画像とを上下の領域に分けて表示していたが、図19では、図18に示した静止画像95と動画像96とを重ね合わせたような表示を行っている。図19において、画像97Aが図18の静止画像95に対応し、画像97Bが図18の動画像96に対応している。画像97Aと画像97Bは、互いを区別できるような表示となっていることが望ましく、例えばそれぞれの表示色が異なっている(図ではハッチングパターンを変えて区別している)。このように図19の例では、例えば多色の表示を行うことにより、2つの画像を重ね合わせても認識可能な表示とされている。このような表示方式によれば、図18に示した表示画像に比べて小さい表示画像でありながら、ほぼ同じ情報量の動作情報を表現することができ、動作情報の表示に要する画面領域を節約することができる。
【0089】
以上では、切り替え動作を例に挙げて動作状態数値の表示例について説明してきたが、第1の操作部10Aに表示可能な動作状態数値としては、切り替え動作のほかにも、種々のものがある。例えば、動作状態数値として、映像のはめ込み処理を行っている場合における、そのはめ込み映像の位置と大きさの値などがある。この映像のはめ込みによる特殊効果は、ピクチャ・イン・ピクチャとも呼ばれる。このような特殊効果では、はめ込まれる映像の位置と大きさとを、時間と共に変化させることもできる。このような特殊効果は、例えば、あらかじめ主制御部102に、複数の制御コマンドの連続(配列)を記憶させておき、その記憶に従って映像特殊効果部101を動作させることにより実現することができる。このような特殊効果の場合にも、切り替え動作の場合と同様に、特殊効果の経過時間比、および、はめ込まれる映像の位置や大きさの値などの動作状態を示す種々の値を、文字列による数値表示あるいは帯グラフ状のグラフィカル表示で表現すことが可能である。これにより、切り替え動作の場合と同様に、操作者に有益な動作情報を提供することができる。
【0090】
そのほかに表示可能な動作状態数値としては、例えば映像信号の輝度信号部分を加工している場合における、その加工内容を示す各種の数値がある。輝度信の加工内容としては、例えば、輝度の上げ下げや階調数の変更などがある。さらに他の動作状態数値としては、輝度信号と同様に、映像信号の色信号部分の加工内容を示す各種の数値がある。さらにその他にも、動作状態数値としては、映像の縮小、拡大または回転などの特殊効果を施した場合における、種々のパラメタ値などがある。本実施の形態における動作状態数値の表示は、特に、数値が時間的に変化する映像特殊効果が行われている場合に有益である。また、このような動作状態数値の表示は、操作者の操作を助ける情報となる。例えば、本システムの運用形態として、映像に施す特殊効果をあらかじめ作成・用意した操作者と、特殊効果を実際に実行させる際に、その動作状態を監視している操作者とが異なる場合がある。このような場合には、従来の方法では、動作状態を監視している操作者は特殊効果の詳細をあまり把握することができないが、本実施の形態による動作状態の表示を行うことにより、操作者はその特殊効果に関する情報不足を補うことができる。
【0091】
また、以上では、映像特殊効果部101から出力される最終の出力映像信号118に関する情報を、システム内の第1の操作部10Aに表示した場合を例に説明したが、出力映像信号118が、さらに別の処理装置(システム)への入力信号となる場合もある。このような場合にも、本実施の形態による情報表示を、別の処理装置において行うことで、その別の処理装置を利用する操作者への情報として利用することが可能である。
【0092】
次に、以上で説明したような動作状態をグラフィカルに表示するための主制御部102と第1の操作部10Aとにおける処理動作について説明する。図20は、主制御部102による動作状態数値の送信処理動作の流れを示している。図20は、映像特殊効果部101において、ワイプなどの入力映像信号の切り替え処理を伴う映像特殊効果が行われる場合の送信処理の例である。主制御部102は、まず、動作情報生成部103から、切り替え動作開始時に実行する特殊効果の種類の情報と、切り替え後の入力映像信号(切り替えによりこれから新しく選択される入力映像信号)の番号の情報とを取得し、それらの情報を操作制御部105aに送信する(ステップS131)。このとき、主制御部102は、必要に応じて、切り替えに要する時間などの情報も送信する。なお、切り替え前の入力映像信号(現在選択されている入力映像信号)の番号の情報は、切り替え動作開始よりも前に、既に操作制御部105aに送信されている。
【0093】
次に、主制御部102は、動作情報生成部103から、切り替え動作に関する映像比率や切り替え動作の進行時間(経過時間)などの動作状態数値の情報と現時点で選択されている入力映像信号の番号の情報とを取得し、それらの情報を操作制御部105aに送信する(ステップS132)。次に、主制御部102は、動作情報生成部103から得た情報に基づいて、映像特殊効果部101における切り替え処理が終了したか否かを判断する(ステップS133)。切り替え処理が終了していないと判断した場合(ステップS133;N)、主制御部102は、一定時間の処理待ちを行い(ステップS134)、一定時間経過後、ステップS132の処理に戻る。切り替え処理が終了したと判断した場合(ステップS133;Y)、主制御部102は、切り替え処理が終了したことを操作制御部105aへ通知して(ステップS135)、動作状態数値の送信処理を終了する。
【0094】
なお、ステップS134において一定時間の処理待ちを行うのは、通常、主制御部102を構成するマイクロコンピュータの動作速度(サイクル速度)が速く、単純に動作を繰り返すのみではその動作が早すぎるため、一定間隔をあけた動作を行うことが望ましいためである。処理待ち時間の計測は、例えば、主制御部102のマイクロコンピュータ内蔵のタイマを利用して行う。
【0095】
次に、図21の流れ図を参照して、図20に示した主制御部102による送信処理動作に対応する、操作制御部105aの処理動作について説明する。操作制御部105aは、主制御部102から送信(図20のステップS131)された、特殊効果の種類の情報と、切り替えにより新しく選択される入力映像信号の番号の情報とを受信する(ステップS161)。操作制御部105aは、効果表現格納部110に格納された表示データの中から、受信した情報に対応した表示データを取得し、その表示データに基づいて、表示部106aに切り替え動作の進行状況を示す表示(図11などに示した表示)を開始する(ステップS162)。その後、操作制御部105aは、主制御部102から送信された現時点における動作状態数値の情報を受信する。それと共に、操作制御部105aは、効果表現格納部110から動作状態数値に対応する表示データ得て、表示部106aの表示に反映させ(ステップS163)、その表示内容を動作状態数値に応じて随時更新する。次に、操作制御部105aは、主制御部102から切り替え終了の通知を受信した場合(ステップS164;Y)には、切り替えに関する表示を終了する(ステップS165)。主制御部102から切り替え終了の通知を受信していない場合(ステップS164;N)には、操作制御部105aは、ステップS163の処理に戻る。
【0096】
図22は、図20と図21で示した処理に関する主制御部102と操作制御部105aとの間の通信シーケンスを示している。図22に示したように、切り替え動作の開始前には、現在選択されている切り替え前の入力映像信号の番号の情報が主制御部102から操作制御部105aに送信される(ステップS171)。切り替え動作開始時には、実行する特殊効果の種類の情報と、切り替え後の入力映像信号の番号の情報とが主制御部102から操作制御部105aに送信される(ステップS172)。このステップS172の処理は、図20のステップS131および図21のステップS161に対応する。切り替え動作の進行時には、映像比率や切り替え動作の進行時間などの動作状態数値の情報と現時点で選択されている入力映像信号の番号の情報とが、主制御部102から操作制御部105aに、切り替え動作の終了時まで一定間隔で繰り返し送信される(ステップS173,S174)。このステップS173,S174の処理は、図20のステップS132および図21のステップS163に対応する。切り替え動作の終了時には、切り替え動作が終了したことを示すコマンドが、主制御部102から操作制御部105aに送信される(ステップS175)。このステップS175の処理は、図20のステップS135および図21のステップS165に対応する。
【0097】
[第1の操作部10Aの機能に関する変形例]
次に、上述した第1の操作部10Aの機能の変形例について説明する。上記実施の形態においては、1つの操作部10Aに表示要素格納部108とリンク情報保持部109を設け、1つの操作部10Aにのみ情報表示を行う例を示した。しかしながら本発明は、複数の操作部において、情報表示を行うことも可能である。複数の操作部(表示部)において情報表示を行うことにより、各操作部を利用する操作者および関係者(入力映像信号の作成作業をしている担当者など)が、その時点の出力映像信号の状態を容易に把握することが可能となり、状態に即した判断を行うことができ、作業をしやすくなる。なお、以下の変形例の説明は、表示要素格納部108とリンク情報保持部109とを利用した表示に関するものであるが、効果表現格納部110とリンク情報保持部111とを利用した動作状態の表示機能についても同様である。
【0098】
<変形例1>
第1の変形例としては、複数の操作部のそれぞれにおいて、第1の操作部10Aの操作制御部105aと同様の動作を行う。各操作部には、表示要素格納部108とリンク情報保持部109とを独自に設ける。表示要素データの格納とそのリンク情報の設定は、各操作部における操作制御部105が独自に行う。各操作部で使用する表示要素データの内容とそのリンク情報の設定は、同一内容にすることも異なる内容にすることも可能である。各操作部における操作制御部105は、各操作部に設けられた表示要素格納部108の表示要素データとリンク情報保持部109のリンク情報とを参照して、独自に表示要素データの表示を行う。本変形例によれば、複数の操作部のそれぞれにおいて、出力映像信号118に含まれる入力映像信号117の情報の表示を行うことができる。
【0099】
<変形例2>
本変形例は、第1の変形例と同様に、各操作部に、表示要素格納部108とリンク情報保持部109とを独自に設けるようになっているが、表示要素データの格納とそのリンク情報の設定方法が異なっている。本変形例では、まず、1つの操作部において、図6に示した動作を行って、表示要素データの格納とそのリンク情報の設定を行う。その後、その操作部の操作制御部から、他のすべての操作部の操作制御部に対して、通信ネットワーク119を介して、リンク情報の設定内容などを送信する。受信した他の操作部の操作制御部は、受信内容を、各々の表示要素格納部108とリンク情報保持部109に格納する。
【0100】
本変形例によれば、1つの操作部において表示要素データの格納とそのリンク情報の設定を行った後、その設定内容を、他のすべての操作部に対して一度に送信するようにしたので、すべての操作部における設定内容を、容易に同じ状態に保つことができる。従って、すべての操作部における表示内容を、容易に同じ状態に保つことができる。
【0101】
<変形例3>
上記第1および第2の変形例では、複数の操作部のそれぞれに、表示要素格納部108とリンク情報保持部109とを設けるようにした。本変形例では、表示要素格納部108とリンク情報保持部109とを、通信ネットワーク119上または通信ネットワークを介してアクセス可能な1カ所にのみ配置し、各操作部は、ネットワーク経由でその情報を参照する構成となっている。すなわち、表示要素格納部108とリンク情報保持部109とを一種の「サーバ」として設置し、各操作部は「クライアント」としてサーバを利用する形態である。このようなサーバを設置する方法には、いくつかの形態が考えられる。
【0102】
(変形例3-1)
まず、本変形例の第1の例について説明する。本変形例は、1つの操作部内にのみ表示要素格納部108とリンク情報保持部109とを設け、その操作部に、サーバ(以下、サーバ操作部という。)の機能を持たせたものである。表示要素格納部108における表示要素データの格納処理とリンク情報保持部109におけるリンク情報の設定処理(図6)は、サーバ操作部において行う。その他の操作部における操作制御部は、主制御部102から入力映像信号の番号の情報を受信すると、サーバ操作部にその番号による問い合わせを行う。サーバ操作部は、他の操作部からの問い合わせを受けると、問い合わせられた入力映像信号の番号に対応する表示要素のデータを検索し、問い合わせ元の操作部に返信する。サーバ操作部からの返信を受けた操作部は、返信された表示要素のデータを表示部に表示する。
【0103】
(変形例3-2)
次に、本変形例の第2の例について説明する。本変形例は、表示要素格納部108とリンク情報保持部109とを、操作部10の操作制御部105ではなく主制御部102に接続して設けたものである。本変形例では、表示要素格納部108における表示要素データの格納処理とリンク情報保持部109におけるリンク情報の設定処理を、操作部10(の操作制御部105)からの指示に基づいて行う。主制御部102は、通信ネットワーク119を介して操作制御部105の指示を受け、表示要素格納部108とリンク情報保持部109とにおける設定処理を行う。主制御部102は、出力映像信号118に含まれる入力映像信号117の番号の情報を動作情報生成部103から取得すると、取得した番号の情報を操作制御部105に送信する。主制御部102は、また、表示要素格納部108とリンク情報保持部109とを参照して、動作情報生成部103から取得した番号の情報に対応する表示要素データを取得する。主制御部102は、取得した表示要素データを、通信ネットワーク119経由で、すべての操作制御部105に送信する。この結果、すべての操作部で同じ表示要素データを得て、表示内容を同一にすることができる。
【0104】
(変形例3-3)
次に、本変形例の第3の例について説明する。本変形例は、操作部10や主制御部102とは独立して、別途、通信ネットワーク119上にサーバ機器を配置し、そのサーバ機器内に表示要素格納部108とリンク情報保持部109とを設けたものである。表示要素格納部108における表示要素データの格納処理とリンク情報保持部109におけるリンク情報の設定処理は、通信ネットワーク経由で、操作部10(の操作制御部105)からの指示に基づいて行う。各操作部の操作制御部105は、主制御部102から入力映像信号の番号の情報を受信すると、サーバ機器にその番号による問い合わせを行う。サーバ機器は、操作部からの問い合わせを受けると、問い合わせられた番号に対応する表示要素のデータを検索し、問い合わせ元の操作部に返信する。サーバ機器からの返信を受けた操作部は、返信された表示要素のデータを表示部に表示する。
【0105】
なお、本変形例のさらなる変形例として、表示要素格納部108のみをサーバ機器内に設け、リンク情報保持部109については各操作部に設けるような構成も考えられる。サーバ機器は、複数設けても良い。この変形例では、リンク情報保持部109におけるリンク情報の設定に、ネットワーク経由でサーバの資源を特定できるような記述方式を使用することで、サーバ機器内の表示要素データを各操作部から特定できるようにする。ここで、サーバの資源を特定するための記述方式としては、例えば、インターネットなどで利用されているURL(Uniform Resource Locator)などがある。
【0106】
以上説明したように、本変形例(変形例3-1〜3-3)によれば、表示要素格納部108とリンク情報保持部109とを一種のサーバとして設け、各操作部はそのサーバを通信ネットワーク119を介して利用するようにしたので、各操作部で同一の情報を取得して、同一の表示を行うことができる。
【0107】
以上のように、ネットワーク上に表示要素格納部108とリンク情報保持部109とをサーバとして配置した構成は多数考えられる。なお、上記した各変形例とは異なる構成であっても、本発明は実施可能である。
【0108】
[第2の操作部10Bに関する動作]
次に、第2の操作部10Bに特有の機能を用いた動作について説明する。図23(A)〜図23(C)は、キー信号212を用いて特殊効果が施された出力映像の例を示している。図23(A)は、3番目の入力映像信号S3によって表される、2人の人物が映った映像V3の下部に、1番目のキー信号K1によって表される文字列を合成して表示した例である。また、図23(B)は、5番目の入力映像信号S5によって表される、2つの山が映った映像V5の下部に、2番目のキー信号K2によって表される文字列を合成して表示した例である。図23(C)は、図23(A)と同じ種類の信号S1,K1を用いて、同じ種類の特殊効果を施したものであるが、図23(A)とは表示時刻が異なるために、3番目の映像V3の表示内容が変化していることを示している。なお、実際には、入力映像信号のみならず、キー信号も時間経過によって変化する場合があるが、図23(C)では、キー信号が時間経過に関わらず同一の文字列を表す場合の表示例を示している。
【0109】
ここで、映像の表示を、図23(A)の状態から図23(B)の状態を経て、図23(C)の状態へと変化させる場合について考察する。この場合、図23(B)の状態から図23(C)の状態へと映像の表示を変化させるためには、以前に実施した図23(A)の表示を行うための映像特殊効果部101の設定を記憶しておき、その記憶した設定に基づく特殊効果を再度実行させれば良い。このように、一度行った特殊効果を再度実行させるような目的で、主設定記憶部104および操作部設定記憶部112bにおいて、映像特殊効果部101の設定の記憶が行われる。
【0110】
図24(A)〜図24(C)は、映像特殊効果部101において、キー信号212を使用せずに特殊効果を施した映像の表示例を示している。図24(A)は、3番目の映像V3の右下の領域に、5番目の映像V5を縮小してはめ込むような特殊効果を施した例である。図24(B)は、べた塗りの平坦な単色画像VC(図ではハッチングによって示す)の中に、5番目の映像V5を、通常より一回り程度縮小してはめ込むような特殊効果を施した例である。図24(C)は、3番目の映像V3と5番目の映像V5とを、大きさを変えずに重ねるような特殊効果を施した例である。複数の映像を重ねるような特殊効果としては、単純に複数の映像信号を加算してしまう方法や、画素ごとに輝度を判別して輝度の高い方の映像を表示する方法などがある。またそのほかにも、各映像信号の色成分からキー効果の信号(映像が重なる部分を切り取るための信号)を発生させて処理する方法などがある。主設定記憶部104および操作部設定記憶部112bは、以上のような種々の映像特殊効果を実行している映像特殊効果部101の任意の時点における設定状態の情報を設定情報として記憶する役割を持っている。
【0111】
図25は、主設定記憶部104および操作部設定記憶部112bに記憶される設定情報の一例を示している。主設定記憶部104および操作部設定記憶部112bは、図25で示したような設定状態に関するデータ、すなわち設定情報を1つまたは複数配列したものを記憶する。映像特殊効果部101が、図3に示した構成である場合、その設定状態の項目としては、例えば、バス215(バスA)で選択している入力映像信号の番号、バス216(バスB)で選択している入力映像信号の番号、バス218(バスK)で選択しているキー信号の番号、合成効果部214の動作の種類とそのパラメタ値、キー処理部217の動作の種類とそのパラメタ値などがある。合成効果部214およびキー処理部217の動作のパラメタ値は、動作の種類に応じて内容と数(項目数)が変化する。また、映像特殊効果部101の機能が増えれば、それに伴い設定状態の項目数も増える。
【0112】
図25において、「バスAの選択信号」の項目は、バス215(バスA)で選択している入力映像信号117の番号を示している。この項目の設定値が例えば「3」である場合、バスAが3番目の入力映像信号S3を合成効果部214に送ることを示す。「バスBの選択信号」の項目は、バス216(バスB)で選択している入力映像信号117の番号を示している。この項目の設定値が例えば「7」である場合、バスBが7番目の入力映像信号S7を合成効果部214に送ることを示す。「バスKの選択信号」の項目は、バス218(バスK)で選択しているキー信号212の番号を示している。この項目の設定値が例えば「2」である場合、バスKが2番目のキー信号K2をキー処理部217に送ることを示す。
【0113】
「切替動作」の項目は、合成効果部214が行う切り替え動作の種類を番号で示している。この項目における番号の意味は、あらかじめ定義されている。この項目の設定値が例えば「0」ならば切り替え動作なし、「1」ならばワイプを用いた切り替え動作、などとあらかじめ定義されている。「効果の種類」の項目は、合成効果部214で実行中の効果の種類を番号で示している。この項目についても、あらかじめ番号の意味を定義しておく。この項目の設定値が例えば「41」ならば、映像に対して画面全体に渡ってピンぼけ様のフィルタをかける処理(各画素の値を周辺画素と相互に平均化する処理)を行う、などとあらかじめ定義されている。「遷移時間」の項目は、「効果の種類」の項目で示されている合成効果部214が行っている効果の継続時間を示している。「遷移時間」の項目における時間の単位は、あらかじめ定められている(例:ミリ秒)。図25の例では、41番として定義されている効果が3000ミリ秒継続していることが示されている。「キー処理」の項目は、キー処理部217の動作の種類を番号で示している。この項目における番号の意味も、あらかじめ定義されている。この項目の設定値が例えば「1」ならば、通常のキー処理の実行、「0」ならばキー処理なし、などとあらかじめ定義されている。
【0114】
図26は、主設定記憶部104および操作部設定記憶部112bに設定状態のデータ(設定情報)を複数組記憶させた場合のデータ配列を示している。図26において、符号D0を付した部分が、1組の設定状態のデータを示している。設定状態のデータを複数組記憶させる場合には、個々の設定状態を識別するためのインデックス数値を付与する。例えば、n組の設定状態のデータがある場合には、それぞれのデータに、0,1,2,3,...,n−1のインデックス数値を与える。
【0115】
図27は、主制御部102と第2の操作部10B(の操作制御部105b)との間で行われる設定情報の送受信に伴う通信処理の概要を示している。操作制御部105bは、操作者の指示に従って、映像特殊効果部101の制御を指示するコマンドを主制御部102に送信する(ステップS231)。主制御部102は、操作制御部105bからのコマンドを受信すると、そのコマンドに従って映像特殊効果部101を制御し、映像特殊効果部101の各部の設定変更を行う。このような通信処理は、操作者の指示に応じて順次繰り返される。
【0116】
このような通信処理を行っている間に、操作者が映像特殊効果部101の現在の設定状態を記憶したい(後で使用したい)と考えると、操作者は、入力部107bを操作して操作制御部105bに対して設定状態の記憶の指示を行う。操作制御部105bは、操作者からの指示に従って、現在の設定状態の記憶を指示するコマンドを主制御部102に送信する(ステップS232)。主制御部102は、操作制御部105bからのコマンドを受信すると、そのコマンドに従って、主設定記憶部104に設定状態の情報を設定情報として記憶すると共に、主設定記憶部104に記憶させた内容を、操作制御部105bに転送する(ステップS233)。操作制御部105bは、主制御部102から設定状態の情報を示すデータを受信すると、そのデータを操作部設定記憶部112bに記憶する。この結果、主設定記憶部104と操作部設定記憶部112bとの記憶内容を同一に保つことができる。これにより、主制御部102と操作制御部105bとで、設定状態に関しては同じ内容の情報を適宜参照することができる。
【0117】
図28は、図27に示した通信処理に関連する操作制御部105bの動作を説明するためのものである。操作制御部105bは、入力部107bの操作状況を随時監視すると共に、操作者による入力部107bからの操作入力を随時受け付け(ステップS241)、その操作の指示内容の判断を行う(ステップS242,S243)。操作の内容が映像特殊効果部101の制御(設定)を指示するものであれば(ステップS242;Y)、操作制御部105bは、操作者によって指示された制御内容を示す制御コマンドを主制御部102に送信した後(ステップS247、図27のステップS231)、再びステップS241に戻って、操作者の操作入力を受け付ける。また、操作の内容が映像特殊効果部101の制御を指示するものでも、映像特殊効果部101の設定状態の記憶を指示するものでもない場合(ステップS242,S243;N)には、操作制御部105bは、操作内容に応じたその他の処理を行った後(ステップS248)、再びステップS241に戻って、操作者の操作入力を受け付ける。
【0118】
一方、操作の内容が、映像特殊効果部101の設定状態の記憶を指示するものであれば(ステップS243;Y)、操作制御部105bは、映像特殊効果部101の現在の設定状態を記憶するよう指示するコマンドを、主制御部102に送信する(ステップS244、図27のステップS232)。その後、操作制御部105bは、主設定記憶部104に記憶されたものと同じ内容の設定状態のデータを、主制御部102から受信する(ステップS245)。操作制御部105bは、受信した設定状態のデータを操作部設定記憶部112bに記憶した後(ステップS246)、再びステップS241に戻って、操作者の操作入力を受け付ける。
【0119】
図29は、図28に対応する主制御部102の動作を説明するためのものである。主制御部102は、操作制御部105bからのコマンドを随時受信し(ステップS261)、そのコマンドの内容を判断する(ステップS262,S263)。コマンドの内容が映像特殊効果部101の制御(設定)を指示するものであれば(ステップS262;Y)、主制御部102は、映像特殊効果部101の設定に関する制御を行った後(ステップS266)、再びステップS261に戻って、操作制御部105bからのコマンドを受け付ける。また、コマンドの内容が映像特殊効果部101の制御を指示するものでも、映像特殊効果部101の設定状態の記憶を指示するものでもない場合(ステップS262,S263;N)には、主制御部102は、コマンドの内容に応じたその他の処理を行った後(ステップS267)、再びステップS261に戻って、操作制御部105bからのコマンドを受け付ける。
【0120】
一方、コマンドの内容が、映像特殊効果部101の設定状態の記憶を指示するものであれば(ステップS263;Y)、主制御部102は、現在の映像特殊効果部101の設定状態の情報を、主設定記憶部104に記憶する(ステップS264)。それと共に、主制御部102は、主設定記憶部104に記憶したものと同じ内容の設定状態のデータを、操作制御部105bに送信する(ステップS265)。その後、主制御部102は、再びステップS261に戻って、操作制御部105bからのコマンドを受け付ける。
【0121】
ところで、以上では、1つの操作部10Bに設定状態の記憶を行う場合について説明したが、多くの映像特殊効果システムでは、複数の操作部を備えている。このようなシステムでも、複数の操作部のそれぞれに操作部設定記憶部112bを設けることで、第2の操作部10Bと同様に設定状態の記憶を行うことができる。
【0122】
以下、複数の操作部のそれぞれに操作部設定記憶部112bを設けた場合の記憶動作について簡単に説明する。この場合、複数の操作部のうち、操作者から指示を受けた任意の操作部の操作制御部105が、1つの操作部10Bにおいて設定状態の記憶を行う場合と同様に、図28の処理を行う。操作者から指示を受けた操作制御部105は、設定状態の記憶を指示するコマンドを主制御部102に送信する(図28のステップS244)。また、主制御部102は、1つの操作部10Bにおいて設定状態の記憶を行う場合と同様に、図29の処理を行う。ただし、主制御部102は、操作制御部105から設定状態の記憶を指示するコマンドを受けると、図29のステップS265に示した設定状態のデータの送信処理を、設定状態の記憶を指示した操作制御部105のみならず、他のすべての操作部の操作制御部105に対して実行する。設定状態の記憶を指示した操作制御部105は、設定状態のデータを主制御部102から受信し、そのデータを自身の操作部設定記憶部112bに記憶する(図28のステップS245,S246)。
【0123】
一方、設定状態の記憶を指示していない他の操作制御部105も、主制御部102からのデータを受け付ける。図30は、他の操作制御部105の動作を示したものである。他の操作制御部105は、設定状態のデータを主制御部102から受信する(ステップS251)と、受信した設定状態のデータを、自身の操作部設定記憶部112bに記憶して(ステップS252)、設定状態のデータの記憶処理を終了する。その後、他の処理の処理待ち状態となる。以上の処理は、すべての操作部における操作制御部105が、常時、図28に示した操作者からの操作入力に基づく処理と図28に示した主制御部102からの通信に基づく処理とを共に、並列的に実行待ち状態(イベント待ち状態)として動作させることにより実現可能である。
【0124】
次に、以上のようにして記憶した設定情報に基づく「復旧」動作について説明する。本システムは、以下で説明する復旧処理を行って、操作部設定記憶部112bに記憶した設定情報(実際には主設定記憶部104に記憶した設定情報)を映像特殊効果部101に反映させることで、映像特殊効果部101の動作を以前の状態に戻すことが可能となっている。このような復旧動作を行う機能は、“スナップショット”などと呼ばれている。
【0125】
図31は、操作制御部105bが行う設定復旧処理の動作を示している。操作制御部105bは、操作者によって入力部107bから「設定復旧」を指示する操作入力が行われると(ステップS291)、その指示を示す設定復旧コマンドを主制御部102に送信する(ステップS292)。次に、操作制御部105bは、その設定復旧コマンドに対する主制御部102からの応答を受信する(ステップS293)。主制御部102からの応答が復旧成功を示すものであれば(ステップS294;Y)、操作制御部105bは、操作部設定記憶部112bの記憶内容を参照して、表示部106bの表示を更新(ステップS295)し、復旧された設定内容を示す表示を行う(図33参照)。一方、主制御部102からの応答が復旧の失敗を示すものであれば(ステップS294;N)、操作制御部105bは、表示部106bに設定復旧に失敗した旨の表示を行う(ステップS296)。
【0126】
図32は、主制御部102が行う設定復旧処理の動作を示している。主制御部102は、操作制御部105bからの設定復旧コマンドを受信すると(ステップS301)、主設定記憶部104の記憶内容を参照して、設定復旧に必要とされる設定情報を取得し、その情報に基づいて映像特殊効果部101の設定復旧処理を行う(ステップS302)。映像特殊効果部101に対する復旧処理が正常に完了したならば(ステップS303;Y)、主制御部102は、設定復旧が成功したことを示す信号を、操作制御部105bに対する応答信号として、操作制御部105bに送信する(ステップS304)。このとき、操作部設定記憶部112bを有する複数の操作部が存在する場合には、すべての操作部の操作制御部に対して設定復旧が成功したことを示す信号を送信する。一方、例えば設定復旧に必要とされる設定情報が主設定記憶部104にない場合や、主設定記憶部104に記憶されている設定情報では映像特殊効果部101を正常に設定できない場合には、主制御部102は、この設定復旧処理は失敗であると判断する(ステップS303;N)。この場合、主制御部102は、設定復旧が失敗したことを示す信号を、操作制御部105bに対する応答信号として、操作制御部105bに送信する(ステップS305)。このとき、操作部設定記憶部112bを有する複数の操作部が存在する場合には、設定復旧を要請した操作制御部にのみ設定復旧の失敗を通知すれば良い。
【0127】
図33は、設定復旧処理を行った場合に、第2の操作部10Bの表示部106bに表示される表示画面の例を示している。図33は、映像特殊効果部101が例えば図3に示した構成である場合の、その設定状態のデータの表示例を示している。この表示画面は、操作部設定記憶部112bに記憶されている、例えば図25に示した設定状態のデータに基づいて表示される。
【0128】
この表示画面には、設定状態の情報を項目別に表示する表示領域35が設けられている。図33において、表示領域35に表示されている「バスA」の項目は、バス215(バスA)で選択する入力映像信号117の番号の設定を示している。図では、「バスA」の項目に「3」が表示されており、バスAが3番目の入力映像信号S3を合成効果部214に送る設定であることを示している。「バスB」の項目は、バス216(バスB)で選択する入力映像信号117の番号の設定を示している。図では、「バスB」の項目に「7」が表示されており、バスBが7番目の入力映像信号S7を合成効果部214に送る設定であることを示している。「切替」の項目は、合成効果部214が行う切り替え動作の種類の設定を示している。図では、「切替」の項目に「0」が表示されており、合成効果部214が切り替え動作を実行しない設定であることを示している。「効果」の項目は、合成効果部214で実行する効果の種類の設定を示している。効果の種類は、あらかじめ番号で定義されており、図では、「15」番で定義された効果を行う設定であることを示している。
【0129】
「キー」の項目は、キー処理部217の動作に関する設定を示している。図33では、「キー」の項目は、2つあり、1つはバス218(バスK)で選択するキー信号の番号の設定を示し、もう1つはキー処理を実行するか否かの設定を示している。図では、バスKで「2」番目のキー信号を選択し、キー処理を実行(ON)する設定となっている。「ボーダー」の項目は、キー処理部217におけるボーダー処理の種類の設定を示している。ボーダー処理の種類は、あらかじめ番号で定義されており、図では、「1」番で定義された処理を行う設定であることを示している。なお、ボーダー処理とは、キー効果(映像の合成をする場合に用いられる効果の1つ)の部分に境界線を付ける処理のことである。この表示画面には、また、「直前の操作」(設定復旧を行うことを指示する操作やその他の個別の制御操作)が成功したか否かを表示する表示領域36が設けられている。図では、「直前の操作」の項目に、例えば復旧処理が成功したことを示す「成功」の文字表示がなされている。なお、例えば復旧処理が失敗したときには、「直前の操作」の項目部分に、例えば「失敗」の文字表示がなされる。
【0130】
なお、図33では、設定状態の情報を文字で表示した例を示したが、例えば図12に示した動作情報の表示例と同様に、設定状態の情報をより分かりやすくグラフィカルに表現して表示しても良い。
【0131】
次に、複数の設定状態のデータを扱う場合(図26参照)の動作について説明する。まず、設定状態のデータを記憶させるときの動作について説明する。この場合、操作者は、設定状態の記憶を指示するときに、設定状態のデータに付与するインデックス数値を入力する。操作制御部105bは、図28のステップS244の送信処理を行うときに、設定状態の記憶を指示するコマンドに、操作者により指示されたインデックス数値を付加して、主制御部102に送信する。主制御部102は、操作制御部105bからのコマンドを受信すると、そのコマンドに付加されたインデックス数値に対応する、主設定記憶部104のアドレス位置に、設定状態のデータを記憶する(図29のステップS264)。また、主制御部102は、操作制御部105bに設定状態のデータを送信するとき(ステップS265)に、設定状態のデータにインデックス数値を付加して送信する。操作制御部105bは、主制御部102から設定状態のデータを受信する(ステップS245または図30のステップS251)と、設定状態のデータに付加されたインデックス数値に対応する、操作部設定記憶部112bのアドレス位置に、設定状態のデータを記憶する(ステップS246またはステップS252)。このような動作が複数回繰り返されることにより、主設定記憶部104および操作部設定記憶部112bに、複数の設定状態のデータが記憶される。
【0132】
次に、複数の設定状態のデータを扱う場合における設定復旧の動作について説明する。この場合、操作者は、設定復旧の指示を行うときに、インデックス数値を入力して、復旧させたい設定状態のデータを指定する。操作制御部105bは、図31のステップS292の送信処理を行うときに、設定復旧コマンドに、操作者により指定されたインデックス数値を付加して、主制御部102に送信する。主制御部102は、操作制御部105bからの設定復旧コマンドを受信する(図32のステップS301)と、主設定記憶部104の記憶内容を参照して、コマンドに付加されたインデックス数値に対応する設定状態のデータを取得し、そのデータに基づいて映像特殊効果部101の設定復旧処理を行う(ステップS302)。映像特殊効果部101に対する復旧処理が正常に完了したならば、主制御部102は、設定復旧が成功したことを示す信号を送信する(ステップS304)。このとき、主制御部102は、送信信号にインデックス数値を付加して送信する。操作制御部105bは、主制御部102から復旧成功の通知を受信すると、操作部設定記憶部112bの記憶内容を参照して、通知信号に付加されたインデックス数値に対応する設定状態のデータを取得し、それに基づいて、表示部106bの表示を更新(ステップS295)し、復旧された設定内容を示す表示を行う。
【0133】
なお、複数の設定状態のデータを扱う構成にした場合には、第2の操作部10Bに、操作部設定記憶部112bが記憶している設定情報の一覧を表示する機能を付加することが望ましい。複数の設定状態が存在する場合には、設定復旧の指示を行う際に、複数の設定状態の中から設定復旧の対象となるものを1つ指定する必要がある。このとき、どのような設定情報が操作部設定記憶部112bに記憶されているかを、表示部106bに一覧表示させることができれば、操作者はその一覧を参照して復旧対象となるものを簡単に指定することができ、操作性が向上する。一覧表示の方法としては、例えば単にテキストによる表示でも良いし、グラフィカル表現を用いた表示でも良い。このとき、設定状態の数が多数あったり各設定状態の項目内容が多数あって、すべての情報を一度に表示できない場合には、画面のスクロール機能により全体を表示するようにしたり、または例えばデータを適当にグループ分けして階層的なデータ表示を行うようにすれば良い。さらに、一覧表示にGUI機能を持たせ、画面上でマウスなどによる操作を行うことにより復旧対象となるデータを選択できるようにしても良い。これにより、インデックス値を直接入力する場合よりも、所望とする設定状態の指定を容易に行うことができる。
【0134】
ところで、操作部設定記憶部112bに設定情報を記憶する処理では、主制御部102から操作制御部105bに記憶内容を送信する処理が伴うため、記憶動作の完了までに多少の処理時間を要するおそれがある。しかしながら、これはシステムの動作上ではあまり問題とはならない。一方、設定復旧を行う際には、操作部設定記憶部112bに設定情報が記憶してあることで、従来に比べて設定復旧を行う際の通信データ量が大幅に減ることになり、第2の操作部10Bにおいて設定状態の表示の更新を高速に行うことができる。従来では、通信ネットワーク119を介して主設定記憶部104から直接設定状態のデータを取得する必要があるため、設定復旧を行う際の通信データ量が多く、本実施の形態のように操作部設定記憶部112bを設ける場合よりも表示の更新が遅くなる。設定復旧処理を行う際には、出力映像の変化が伴うので、その変化に追随して表示の更新を高速に行うことが望ましい。本実施の形態によれば、設定状態の表示の高速化が図られているので、設定復旧処理の際に、操作者に的確な情報提供を行うことができる。
【0135】
なお、以上の説明では、主設定記憶部104に設定情報の記憶を行ったときに、随時、その記憶内容を第2の操作部10Bに送信し、操作部設定記憶部112bに記憶するようにしていた。しかしながら、例えば、第2の操作部10Bが、システムの稼働後、暫くしてから電源投入され起動された場合には、操作部設定記憶部112bにはなにも記憶されていないか、または記憶している内容が主設定記憶部104の記憶内容と異なっているおそれがある。また、例えば、第2の操作部10Bが第3の操作部10Cと同様に通信ネットワーク119に対して切り離し可能に構成されている場合に、その第2の操作部10Bをシステムの稼働後暫くしてから、通信ネットワーク119に接続したときにも、このような問題が起こり得る。特に、システムに複数の操作部が設けられている場合に、既にシステムに接続済みの操作部からの操作により設定状態の記憶処理が何度か行われていると、後から接続または電源投入がなされた操作部における操作部設定記憶部112bの記憶内容が、主設定記憶部104の記憶内容と大きく異なる事態が生ずる。このように主設定記憶部104と操作部設定記憶部112bとで、その記憶内容の整合性が保たれていない場合には、第2の操作部10Bから設定復旧の操作を正常に行うことができない。
【0136】
そこで、好ましくは、第2の操作部10Bがシステムの稼働後に通信ネットワーク119にあらたに接続された場合、またはあらたに電源投入された場合にも、主設定記憶部104と操作部設定記憶部112bとの記憶内容が同一に保たれるような機能が付加されていることが望ましい。具体的には、例えば、第2の操作部10B側から主制御部102に、主設定記憶部104の記憶内容の転送要求を行い、その転送要求に応じて主制御部102が主設定記憶部104の記憶内容を第2の操作部10Bに転送するような機能を付加すれば良い。第2の操作部10Bからの転送要求は、操作者の操作入力に応じて行うようにすれば良い。または、通信ネットワーク119に接続されたことを操作制御部105bが検出し、その検出に応じて操作制御部105bが自動的に転送要求を行うようにしても良い。この場合、システムには、第2の操作部10Bが通信ネットワーク119に接続されたことを検出するための接続検出機構を設ける。接続検出機構は、例えば既知のネットワークインタフェースと、ネットワーク接続を試みるプログラムとを組み合わせることで実現できる。
【0137】
次に、図34,図35を参照して、第2の操作部10B側から転送要求を行って主設定記憶部104の記憶内容を取得するまでの動作の流れをより具体的に説明する。図34は、操作制御部105bの動作手順を示し、図35は、主制御部102の動作手順を示している。操作制御部105bは、操作者の操作入力または接続検出機構の接続検出に応じて、主設定記憶部104の記憶内容の転送を要求するコマンドを、主制御部102に送信する(図34のステップS271)。主制御部102は、操作制御部105bからの転送要求コマンドを受信すると(図35のステップS281)、主設定記憶部104の全記憶内容を操作制御部105bに転送する(ステップS282)。このとき、操作部設定記憶部112bが複数の操作部に設けられている場合には、主制御部102は、転送要求のあった操作部の操作制御部105bにのみ、主設定記憶部104の記憶データを送信する。操作制御部105bは、主制御部102から、主設定記憶部104の記憶データを受信する(ステップS272)と、受信したすべてのデータを操作部設定記憶部112bに記憶する(ステップS273)。これにより、操作部設定記憶部112bの記憶内容が、主設定記憶部104の記憶内容と同一になる。
【0138】
以上の動作により、システムが稼働しているときに途中から第2の操作部10Bが接続または電源投入がなされた場合であっても、操作部設定記憶部112bの記憶内容を、主設定記憶部104と同一にすることができる。これにより、最初から接続稼働していた操作部と同じように設定復旧処理を行うができる。例えば、第2の操作部10Bを運搬移動するため、一時的にシステムから切り離し、別の場所で再度、第2の操作部10Bをネットワークに接続して使用するような場合にも、最初から接続して稼働している場合と同様に設定復旧処理を行うができる。
【0139】
なお、図34,図35に示した動作では、操作制御部105bからデータの転送要求があった場合にのみ主制御部102からデータ転送を行うようにしたが、主制御部102が、第2の操作部10Bの接続状態や稼働状態を監視し、その結果に応じて自動的に第2の操作部10Bにデータ転送を行うようにしても良い。この場合、システムに、主制御部102側でネットワークにあらたに第2の操作部10Bが接続されたことを検出できるようなネットワーク媒体やプロトコルを使用する。主制御部102は、第2の操作部10Bが接続されたことを検出すると、操作制御部105bから図34のステップS271の転送要求があったと解釈し、図35の動作を行う。または、あらたにネットワークに接続されたノードがどういう種類のものか不明の場合に、主制御部102側からその接続機器に問い合わせを行い、その問い合わせに対する応答に応じて、データ転送を行うような手順にしても良い。
【0140】
[第3の操作部10Cに関する動作]
次に、第3の操作部10Cに特有の機能を用いた動作について説明する。第3の操作部10Cが有する機能は、第2の操作部10Bが有する機能を発展させたものであり、(ネットワーク接続されているときには)第2の操作部10Bと同様の機能を持っている。すなわち、第3の操作部10Cは、第2の操作部10Bと同様に、設定情報を用いた設定復旧処理を行う機能を有している。以下、第2の操作部10Bと同様の機能については説明を省略し、第3の操作部10Cに特徴的な機能についてのみ説明する。
【0141】
一般に、映像特殊効果を行うための装置とその制御システムは、多数のユニットから構成されている。また、その設置場所は、放送局の建物内や移動中継車など種々の場所がある。従来では、システムの設定作業は、そのシステムが設置されている場所において行わなければならない。一方で、近年の映像特殊効果技術は複雑化しており、その設定作業は手間のかかるものとなっている。このため,時間のかかる設定情報の作成を、システムの設置場所から離れた場所であらかじめ行い、その設定情報を利用してシステムを制御したいという要求がある。しかしながら、従来では、システムの各ユニット間の接続を断ってしまえば設定作業ができないため、このような要求に応えられていないという問題がある。本システムでは、第3の操作部10Cを利用することにより、システムからの接続が断たれた状況であっても、映像特殊効果の設定情報の作成作業を行うことが可能である。これにより、本システムでは、利用性および操作性の優れた環境を提供できる。
【0142】
まず第3の操作部10Cが有する機能に基づく動作の概要を説明する。第3の操作部10C(の操作制御部105c)は、着脱部113で通信ネットワーク119から切り離された状態で、操作者による設定情報の作成操作に応じて、操作部設定記憶部112cに映像特殊効果部101の設定状態のデータを書き込む動作を行う。その後、着脱部113において通信ネットワーク119に接続されたならば、操作制御部105cは、操作部設定記憶部112cに書き込んだ内容を主設定記憶部104に転送し、作成した設定情報をシステムで使用可能とする。第3の操作部10Cの機能を用いることにより、システムの設置場所や時間に制約されず、いつでもどこでも第3の操作部10Cのみで設定情報の作成ができる。操作者は、第3の操作部10C側で設定情報をあらかじめ作成しておけば、第3の操作部10Cをシステムに接続した後、設定情報をあらたに作成する操作をする必要はない。
【0143】
図36は、第3の操作部10Cが通信ネットワーク119から切り離された状態で、操作部設定記憶部112cに映像特殊効果部101の設定状態のデータを書き込む際の操作制御部105cの処理手順を示している。操作制御部105cは、操作者から設定情報作成の指示を示す(入力部107cからの)操作入力を受けて(ステップS331)、設定情報の作成動作を開始し、まず、表示部106cに、図37に示したような設定情報作成用の画面を表示する(ステップS332)。操作者によって、設定情報作成用の画面を用いた各種設定値の入力が行われると、操作制御部105cは、各設定項目の入力値を、操作制御部105c内のメモリまたは操作制御部105cに接続された外部メモリなどに確保された、一時的な記憶領域に記憶する(ステップS333)。
【0144】
次に、操作制御部105cは、操作者から設定値の入力終了の指示を示す操作入力を受ける(ステップS334)。このとき、操作者によって、入力終了の指示が行われると共に、その設定内容を実際に操作部設定記憶部112cに記憶するか否かの指示が行われる。操作者からの指示が記憶の指示(例えば図37の操作ボタン442が操作されたとき)である場合(ステップS335;Y)には、操作制御部105cは、入力された設定内容を、図示しないメモリ中の一時的な記憶領域から操作部設定記憶部112cの記憶領域へコピー(複写)する(ステップS336)。一方、操作者からの指示が記憶を中止(入力した値を破棄)する指示(例えば図37の操作ボタン443が操作されたとき)である場合(ステップS335;N)には、操作制御部105cは、操作部設定記憶部112cへのコピーを行わない。その後、操作制御部105cは、表示部106cの画面表示を設定情報作成用の画面から、設定情報作成前の通常の画面状態に戻し(ステップS337)、設定状態のデータの書き込み処理を終了する。
【0145】
図37は、第3の操作部10Cの表示部106cに表示される、設定情報の作成用画面の一例を示している。図に示した作成用画面は、映像特殊効果部101が例えば図3に示した構成であることを想定したものである。この表示画面は、GUI機能を有しており、マウスなどにより操作される複数の操作ボタン442,443と、各種の設定数値を入力するための入力領域が設けられた複数の数値入力部とを有している。
【0146】
数値入力部441は、システムが、図26に示したように複数の設定状態のデータを記憶可能となっている場合における、その設定状態のデータに付与するインデックス数値を入力するためのものである。数値入力部444は、合成効果部214に実行させる効果の継続時間を示す数値を入力するためのものである。数値入力部445は、バス215(バスA)に選択させる入力映像信号117の番号を入力するためのものである。数値入力部446は、バス216(バスB)に選択させる入力映像信号117の番号を入力するためのものである。数値入力部447は、合成効果部214に行わせる切り替え動作の種類を示す番号を入力するためのものである。数値入力部448は、合成効果部214に実行させる効果の種類を示す番号を入力するためのものである。数値入力部449,450は、キー処理部217に関する各種の設定数値を入力するためのものであり、例えばバス218(バスK)に選択させるキー信号の番号などが入力される。数値入力部451,452は、キー処理部217におけるボーダー処理に関する各種の設定数値を入力するためのものであり、例えばボーダー処理の種類を示す番号が入力される。
【0147】
操作ボタン442は、上述の各数値入力部に入力された設定内容を、実際に操作部設定記憶部112cに記憶させる場合に操作される。操作ボタン443は、数値入力部に入力された設定内容を、操作部設定記憶部112cに記憶させずに設定処理の中止を行う場合に操作される。
【0148】
図38は、操作部設定記憶部112cに記憶された設定状態のデータを主制御部102へ送信する(主設定記憶部104に転送する)際の操作制御部105cの処理動作を示している。この処理は、操作制御部105cを通信ネットワーク119に接続した後に行われる。操作制御部105cは、操作者から操作部設定記憶部112cの記憶内容の転送を指示する操作入力を受ける(ステップS341)と、操作部設定記憶部112cに記憶された設定状態のデータを主制御部102へ送信する(ステップS342)。または、システムの構成が、操作制御部105cと通信ネットワーク119との接続状態を操作制御部105cにおいて検出できるようなものである場合には、操作制御部105cが、通信ネットワーク119に接続されたことを検出したとき(ステップS341)に、設定状態のデータの送信処理を開始するようにしても良い。通信ネットワーク119への接続状態の検出は、例えば操作制御部105cと着脱部113とが連携して行う。例えば、操作制御部105cは、設定情報が作成された後に、常時(一定時間間隔で)着脱部113Aを介した通信ネットワーク119への接続を試み、その試みが成功したならば、接続検出が行われたものとして、ステップS342の送信処理を開始する。
【0149】
図39は、図38に示した操作制御部105cによる送信処理に対応して行われる主制御部102の受信処理を示している。主制御部102は、操作制御部105cから設定状態のデータを受信する(ステップS351)と、受信した設定状態のデータを主設定記憶部104に記憶する(ステップS352)。これにより、操作部設定記憶部112cの記憶内容と主設定記憶部104の記憶内容とを同一にすることができる。
【0150】
図40は、操作部設定記憶部112cを有した操作部が複数ある場合に、図38に示した操作制御部105cによる送信処理に対応して行われる主制御部102の受信処理を示している。通信ネットワーク119に、操作部設定記憶部112cを有した操作部が複数接続されている場合には、それぞれの操作部における操作部設定記憶部112cの記憶内容をそろえる必要がある。そこで、主制御部102は、任意の操作部における操作制御部105cから設定状態のデータを受信する(ステップS361)と、受信した設定状態のデータを主設定記憶部104に記憶する(ステップS362)と共に、記憶したデータをすべての操作部の操作制御部に送信する(ステップS363)。データを受信したそれぞれの操作制御部は、自身に接続されたそれぞれの操作部設定記憶部112cにそのデータを記憶する。これにより、すべての操作部における操作部設定記憶部112cの記憶内容と主設定記憶部104の記憶内容とを同一にすることができる。なお、ステップS363の処理において、ステップS361における設定状態のデータの送信元の操作制御部105cに対しては、データの送信を行わないようにしても良い。
【0151】
なお、操作部設定記憶部112cを有した操作部が複数ある場合において、図38,図40に示す処理を行う代わりに、設定情報の送信元の操作制御部105cが図51の流れ図に示す処理を行うようにしても良い。操作制御部105cが図51に示した処理を行う場合には、主制御部102は、図39に示す処理を行う。図51に示した処理において、ステップS371,S372の処理は、図38のステップS341,S342の処理と同様である。すなわち、操作制御部105cは、図38に示した処理と同様に、操作者から操作部設定記憶部112cの記憶内容の転送を指示する操作入力を受けたり、通信ネットワーク119に接続されたことを検出したとき(ステップS371)に、操作部設定記憶部112cの記憶内容を主制御部102へ送信する(ステップS372)。その後、操作制御部105cは、自身以外のすべての操作制御部にも、操作部設定記憶部112cの記憶内容を送信する(ステップS373)。設定状態のデータを受信したそれぞれの操作制御部は、自身に接続されたそれぞれの操作部設定記憶部112cに受信したデータを記憶する。これにより、すべての操作部における操作部設定記憶部112cの記憶内容と主設定記憶部104の記憶内容とを同一にすることができる。
【0152】
<作成設定記憶部115を用いた機能>
次に、第3の操作部10Cにおける作成設定記憶部115を用いた設定情報の作成処理について説明する。以上の説明では、操作部設定記憶部112cに直接的に設定状態のデータを記憶する例を示したが、第3の操作部10Cでは、操作部設定記憶部112cに加えて作成設定記憶部115を使用することも可能である。作成設定記憶部115を使用する場合には、以下で説明するように、主設定記憶部104の内容を操作部設定記憶部112cの内容ですべて置き換える動作はしない。
【0153】
まず、作成設定記憶部115のメモリ空間上の位置付けについて説明する。図41は、操作制御部105c側の操作部設定記憶部112cおよび作成設定記憶部115に関するメモリ空間381を示している。また、図42は、主制御部102側の主設定記憶部104に関するメモリ空間382を示している。操作部設定記憶部112cは、図41に示したように、複数組の設定状態の実データを記憶可能な設定記憶領域385を有している。設定記憶領域385は、複数のデータ格納領域を有しており、その個々の格納領域(図において矩形状の領域385iで示す)のそれぞれに、1組の設定状態のデータを格納している。個々の格納領域385iには、それぞれを識別するためのインデックス数値が付与されている。主設定記憶部104のメモリ構造は、図42に示したように、操作部設定記憶部112cと全く同じ構造となっている。すなわち、主設定記憶部104は、複数組の設定状態の実データを記憶可能な設定記憶領域386を有している。設定記憶領域386は、操作部設定記憶部112cと同様に、複数のデータ格納領域を有しており、その個々の格納領域(図において矩形状の領域386iで示す)のそれぞれに、1組の設定状態のデータを格納している。個々の格納領域386iには、それぞれを識別するためのインデックス数値が付与されている。
【0154】
一方、作成設定記憶部115は、図41に示したように、1組以上の設定状態の実データを記憶可能な設定記憶領域383と、設定記憶領域383の各データ格納領域に対応して設けられたリンク部384とを有している。設定記憶領域383は、1つ以上のデータ格納領域を有しており、操作部設定記憶部112cと同様に、その個々の格納領域(図において矩形状の領域383iで示す)のそれぞれに、1組の設定状態のデータを格納している。個々の格納領域383iには、それぞれを識別するためのインデックス数値が付与されている。リンク部384は、作成設定記憶部115における設定記憶領域383の各データ格納領域と、操作部設定記憶部112cにおける設定記憶領域385の各データ格納領域との対応関係を示すリンク情報を保持している。
【0155】
図43は、リンク部384と操作部設定記憶部112cの各データ格納領域とのリンク状態の一例を示している。リンク部384は、例えばポインタ方式によるリンク情報を保持している。この場合、リンク部384のポインタは、操作部設定記憶部112cの設定記憶領域385における各データ格納領域のいずれかの先頭番地にリンクされる。または、リンク部384のポインタを、設定記憶領域385の各データ格納領域に付与されたインデックス番号にリンクするようにしても良い。
【0156】
作成設定記憶部115は、第3の操作部10Cで作成した設定情報を、設定情報が主設定記憶部104に転送されるまでの間記憶する。設定情報の転送が完了したならば、主設定記憶部104の中にその内容は記憶され、操作部設定記憶部112cの(設定記憶領域385の)内容は主設定記憶部104の(設定記憶領域386の)内容と同じになる。従って、作成設定記憶部115に作成した内容と同じものが操作部設定記憶部112cと主設定記憶部104の設定記憶領域385,386の双方に存在することになる。以上のようなメモリ構造により、設定情報を単独で作成した操作部10Cにおいて、作成した設定情報を容易に指定できる環境を提供可能にする。また、主制御部102では、主設定記憶部104に第3の操作部10Cで作成した設定情報を書き込む際に、すべてを上書きするのではなく、あらたに作成された設定情報を、主設定記憶部104の一部に上書きするのみであり、その他のそれまでに記憶されていた設定情報を残す。これにより、結果として、古い設定情報が使用可能であり、第3の操作部10Cで作成したあらたな設定情報も容易に指定でき、操作性が向上する。
【0157】
次に、作成設定記憶部115を用いた設定情報の作成処理に伴う各部の動作について具体的に説明する。既に説明したように、ネットワークに接続されていない状態で第3の操作部10Cのみで設定情報を作成する場合には、操作制御部105cは図36のような処理動作を行う。ただし、図36のステップS336では、一時的な記憶領域に記憶された設定情報のコピー先は、操作部設定記憶部112cであったが、作成設定記憶部115を使用する場合には、作成設定記憶部115がコピー先となる。従って、この時点では操作部設定記憶部112cの内容は変化しない。
【0158】
図44は、作成設定記憶部115の記憶内容を主制御部102へ送信する(主設定記憶部104に転送する)際の操作制御部105cの処理動作を示している。この処理は、操作制御部105cを通信ネットワーク119に接続した後に行われる。操作制御部105cは、操作者から作成設定記憶部115の記憶している設定情報の転送を指示する操作入力を受ける(ステップS401)と、作成設定記憶部115の記憶内容を主制御部102へ送信する(ステップS402)。または、システムの構成が、操作制御部105cにおいて、通信ネットワーク119との接続状態を検出できるようなものである場合には、操作制御部105cが、通信ネットワーク119に接続されたことを検出したとき(ステップS401)に、設定情報の送信処理を開始するようにしても良い。
【0159】
その後、操作制御部105cは、主制御部102から主設定記憶部104が記憶しているすべての設定情報のデータが送信されてくるので、それを操作部設定記憶部112cに記憶する(ステップS403)。さらに、操作制御部105cは、主制御部102から、ステップS403で受信した主設定記憶部104の記憶内容と先にステップS402で送信した作成設定記憶部115の記憶内容との対応関係を示す情報を受信し、その情報に基づいて、作成設定記憶部115のリンク部384のリンク設定を行う(ステップS404)。以上の動作を完了すると、作成設定記憶部115の設定記憶領域383における設定情報の記憶保持は不要となる。設定記憶領域383に記憶した設定情報を参照するには、対応するリンク部384を参照して、リンク部384のポインタが指し示す操作部設定記憶部112cの設定記憶領域385中の設定情報を参照すれば良い。操作部設定記憶部112cの設定記憶領域385の記憶内容と同じものが、主設定記憶部104の設定記憶領域386にもあるので、主制御部102に対してもリンク部384の参照で、任意の設定情報を選択指示することができる。
【0160】
図45は、図44に示した操作制御部105cによる送信処理に対応して行われる主制御部102の設定情報の受信処理を示している。主制御部102は、操作制御部105cから作成設定記憶部115が記憶している設定情報のデータを受信する(ステップS411)と、受信した設定情報の数と主設定記憶部104の空き領域(実質的に使用されていない格納領域の要素)の数とを比較する(ステップS412)。そして、主設定記憶部104の空き領域が不足している場合(ステップS413;Y)には、主制御部102は、必要となる数(受信した設定情報を記憶できる数)になるまで、空き領域を作る(ステップS414)。例えば、主制御部102は、主設定記憶部104が図42に示した例のように、複数の設定情報の組を記憶可能な格納領域が複数配列されている場合に、その格納領域の配列要素から削除(内容破棄:上書き)可能なものをあらかじめ用意されたLRU(least-recently-used)などの既知の方法で選択し、その選択したものを削除する(すなわち上書きすることを決定する)。一方、主設定記憶部104の空き領域が不足していない場合(ステップS413;N)には、ステップS414の処理を行うことなく、ステップS415の処理に進む。
【0161】
次に、主制御部102は、受信した設定情報を書き込む空き領域の位置(またはインデックス値)を決め、その位置と設定情報との対応関係を示す書き込み位置情報を、自身のメモリに一時記憶する(ステップS415)。そして、主制御部102は、決定した対応関係に従って、主設定記憶部104の空き領域に受信した設定情報を記憶する(ステップS416)。次に、主制御部102は、主設定記憶部104が記憶しているすべての設定情報のデータを操作制御部105cへ送信する(ステップS417)。このとき、第3の操作部10Cと同様の機能を持つ操作部が複数存在する場合には、主制御部102は、すべての操作部の操作制御部に対して主設定記憶部104のデータを送信する。その後、主制御部102は、ステップS415で一時記憶した、主設定記憶部104の書き込み位置と設定情報との対応関係を示す書き込み位置情報を、ステップS411における設定情報の送信元の操作制御部105cに返信する(ステップS418)。操作制御部105cに送信された書き込み位置情報は、作成設定記憶部115のリンク部384に書き込まれる。
【0162】
ここで、ステップS414の空き領域を作る処理についてより具体的に説明する。例えば、主設定記憶部104におけるデータ格納領域の配列数が10個(すなわち最大10組の設定情報を記憶できる状態)であったとして、このうち、空き領域が2番のインデックス値で表される領域のみであったとする。このとき、操作制御部105cから3組の設定情報が送られてきた場合、空き領域は2番のインデックス値の領域のみであるから、あと2つの領域が必要になる。この場合、例えば、主設定記憶部104の各格納領域に最新のアクセス時刻を記録するようにして、最も長い間アクセスされていない(アクセス時刻が古い)要素から2つを削除(上書き)可能な領域として選択できるようにする。このような方法により、例えばインデックス値にして5番と6番で示される領域が選ばれたならば、受信した3組の設定情報を主設定記憶部104における2番、5番、6番のインデックス値で示される位置に書き込む。この場合、主制御部102は、図45のステップS418で返信する書き込み位置情報として、2,5,6というインデックス数値をその順番通りに返信する。操作制御部105cでは、インデックス数値を受信する(図44のステップS404に相当)と、受信した数値をリンク部384に順に書き込み、後から参照可能とする。または、受信したインデックス数値に相当する操作部設定記憶部112cにおけるデータ格納領域のアドレスを(ポインタ情報として)リンク部384に書き込むようにしても良い。
【0163】
図46は、第3の操作部10Cにおいて、作成設定記憶部115のリンク部384を参照して設定情報を選択する際の操作制御部105cの処理動作を示すものである。操作者は、作成設定記憶部115におけるインデックス値による指定を行うことにより、作成設定記憶部115内の設定情報と同じものを、主制御部102に対して指定する(設定復旧の指定をする)ことが可能である。この場合、まず、操作制御部105cは、操作者からインデックス値による設定情報の選択指示の入力を受ける(ステップS421)。次に、操作制御部105cは、作成設定記憶部115のリンク部384を参照し、入力されたインデックス値に対応する操作部設定記憶部112cのインデックス値を得て、指定対象の設定情報の格納位置を特定する(ステップS422)。なお、リンク部384のリンク情報がポインタ方式である場合には、操作制御部105cは、そのポインタが指し示す格納領域をインデックス値に換算する。主設定記憶部104と操作部設定記憶部112cとにおける設定情報の記憶内容は同じになっているので、操作制御部105cは、取得した操作部設定記憶部112cの格納位置の情報(インデックス値)をそのまま主制御部102に送ることで、主制御部102に対して設定情報の指定を行うことができる(ステップS423)。
【0164】
なお、リンク部384の内容は、その指示する(操作部設定記憶部112c内の)設定情報の内容が書き換えられるまで(実際に変更されるまで)有効である。一方、操作部設定記憶部112cの内容が書き換えられたならば、該当するリンク部384のリンク情報は無効となるので、そのリンク情報を消去して無効であることを示すようにする。操作制御部105cは、主制御部102から主設定記憶部104の記憶内容が送られてくるときに、主設定記憶部104の記憶内容と比較することで、操作部設定記憶部112cの内容が書き換えられたか否かを確認する。
【0165】
なお、図41では、作成設定記憶部115において設定記憶領域383とリンク部384とを別々に設けた場合について説明したが、他の方法として、設定記憶領域383とリンク部384との機能を同一の記憶領域で実現することも可能である。作成設定記憶部115において設定記憶領域383とリンク部384とが同時に使用されることはないからである。すなわち、設定記憶領域383に設定情報を作成しているときはリンク部384は不要であり、設定記憶領域383の内容を送信した後、リンク部384に値がセットされ、設定記憶領域383の内容は破棄できる。そのため、リンク部384の領域を別に設けず、設定記憶領域383の各要素(設定情報)の先頭領域に、設定情報と異なる識別値(設定情報の先頭項目ではあり得ない値)を書き込み、続く領域をリンク部384として使用すれば良い。この方式ではメモリの消費量を少なくすることができる。
【0166】
また、以上の説明では、リンク部384のリンク情報を主制御部102で作成し、そのリンク情報を操作制御部105cへ送信(図44のステップS404)してリンク部384に書き込むようにしていたが、操作制御部105c側でリンク部384の内容を作成することも可能である。この場合、主制御部102は、リンク情報は送信せず、主設定記憶部104の記憶内容のみを操作制御部105cに送信する。操作制御部105cは、受信した内容を操作部設定記憶部112cに書き込む。操作制御部105cは、次に、作成設定記憶部115の各データ配列(設定情報)のそれぞれについて、同一の内容が操作部設定記憶部112cの中にないか、一つ一つ照合して探す。見つかれば、その設定情報のインデックス値を(あるいはアドレスを)該当するリンク部384にリンク情報として書き込む。以上の処理によりリンク部384の内容を正しい値にすることができる。
【0167】
<構成記憶部114を用いた機能>
次に、第3の操作部10Cにおいて、構成記憶部114を用いた動作について説明する。映像特殊効果部101は、用途や設置場所などの様々な条件により、構成および機能を個別に作り上げて設置することが可能である。また、本システムを移動して設置、使用する構成にした場合には、システムの設置のたびに映像特殊効果部101の構成を変化させることが可能である。第3の操作部10Cでは、構成記憶部114に映像特殊効果部101の構成情報を記憶し、その構成情報を適宜参照することで、上述の様々な状況に対応した設定情報の作成処理を行うことができる。
【0168】
図47は、構成記憶部114に記憶される構成情報の例を示す図である。図に示した例は、映像特殊効果部101が例えば図3に示した構成であることを想定したものである。構成記憶部114は、図47で示したような各種項目のデータを映像特殊効果部101の構成情報として記憶する。図において、「入力映像数」の項目は、映像特殊効果部101において選択可能な入力映像信号の数を示している。「入力キー数」の項目は、映像特殊効果部101において選択可能なキー信号の数を示している。「合成効果部数」の項目は、映像特殊効果部101における合成効果部214(図3)の数を示している。図3に示した構成では、合成効果部214は1つのみであるが、合成効果部214を複数設ける構成にすることも可能である。合成効果部214を複数設けることにより、映像特殊効果部101において、複雑な特殊効果を行うことが可能となる。例えば、合成効果部214が2つある場合、第1の合成効果部は図3の構成と同様に、2つのバスからの入力映像信号を受け付ける。第2の合成効果部は、第1の合成効果部の出力と、第2の合成効果部に接続されたバスによって選択された入力映像信号の1つとが入力される構成となる。
【0169】
「効果1対応」、「効果2対応」…,の項目は、それぞれ特定の特殊効果を行う機能を映像特殊効果部101が備えているか否かを示している。例えばこの項目の値が「1」ならば、映像特殊効果部101がその特殊効果の機能を備えていることを示し、値が「0」ならばその特殊効果の機能を備えていないことを示している。
【0170】
なお、構成情報の項目数や値は、映像特殊効果部101の構成により種々変化する。本システムでは、同一構造の操作部を様々な映像特殊効果部101に対応させ、ネットワーク接続から切り離した状態でも、特定の映像特殊効果部101(の構成)に合った設定情報の作成を可能とするために、構成記憶部114を設けている。これにより、個々の映像特殊効果部101(の構成)に対してそれぞれ専用の操作部を設ける必要がなくなり、経済的である。また同一の操作部を別のシステムに持ち込んで接続しても使用可能となるため、使い勝手が向上する。
【0171】
図48は、操作制御部105cがネットワーク経由で映像特殊効果部101の構成情報を取得する処理の流れを示している。図49は、図48の処理に対応して行われる主制御部102による構成情報の返信処理を示している。これらの処理は、操作制御部105cが通信ネットワーク119に接された状態で行われる。操作制御部105cは、操作者から映像特殊効果部101の構成情報の転送を指示する操作入力を受ける(図48のステップS461)と、構成情報を要求するコマンドを主制御部102に送信する(ステップS462)。または、システムの構成が、操作制御部105cにおいて、通信ネットワーク119との接続状態を検出できるようなものである場合には、操作制御部105cが、通信ネットワーク119に接続されたことを検出したとき(ステップS461)に、構成情報を要求するコマンドの送信処理を開始するようにしても良い。一方、主制御部102は、操作制御部105cから構成情報を要求するコマンドを受信する(図49のステップS471)と、映像特殊効果部101からその構成情報を取得し(ステップS472)、取得した構成情報を操作制御部105cに返信する(ステップS473)。次に、操作制御部105cは、主制御部102から返信された構成情報を受信して構成記憶部114に記憶する(ステップS463)。このようにして、構成記憶部114にはあらかじめ(主制御部102経由で)、システムに接続されている映像特殊効果部101の構成情報を記憶しておく。
【0172】
なお、操作制御部105cにおける構成情報の取得をネットワーク経由ではなく、あらかじめ構成情報が記録された情報記憶媒体(例えばフロッピーディスクなど)から取得するようにしても良い。この場合、操作制御部105cに情報読取装置(例えばフロッピーディスクドライブなど)を接続し、操作制御部105cが、情報読取装置を介して情報記憶媒体に記憶されている構成情報を読みとり、構成記憶部114に記憶する。この方法によれば、第3の操作部10Cがネットワーク接続できない状況であったとしても、構成情報を取得することができる。
【0173】
次に、構成記憶部114を使用した設定情報の作成処理について説明する。図50は、構成記憶部114を使用した設定情報の作成処理を行う場合の操作制御部105cの処理を示している。なお、構成記憶部114を利用しない場合には、操作制御部105cは、図36に示した処理を行う。この場合、操作制御部105cは、操作者から設定情報作成の指示を示す(入力部107cからの)操作入力を受けて(ステップS431)、設定情報の作成動作を開始し、まず、構成記憶部114の記憶内容を参照して、表示部106cに図37に示したような設定情報作成用の画面を表示する(ステップS432)。操作者によって、設定情報作成用の画面を用いた各種設定値の入力が行われると、操作制御部105cは、各設定項目の入力値を、操作制御部105c内のメモリまたは操作制御部105cに接続された外部メモリなどに確保された、一時的な記憶領域に記憶する(ステップS433)。
【0174】
次に、操作制御部105cは、操作者から設定値の入力終了の指示を示す操作入力を受ける(ステップS434)。このとき、操作者によって、入力終了の指示が行われると共に、その設定内容を実際に操作部設定記憶部112cに記憶するか否かの指示が行われる。操作者からの指示が記憶の指示(例えば図37の操作ボタン442が操作されたとき)である場合(ステップS435;Y)には、操作制御部105cは、構成記憶部114の記憶内容を参照して、構成情報に矛盾しているか否かをチェックする(ステップS436)。構成情報に矛盾している場合(ステップS437;Y)には、操作制御部105cは、操作者に対して設定値の再入力を促す表示を行い(ステップS4310)、ステップS433の処理に戻る。一方、構成情報に矛盾していない場合(ステップS437;N)には、操作制御部105cは、入力された設定内容を、図示しないメモリ中の一時的な記憶領域から操作部設定記憶部112c(または作成設定記憶部115)の記憶領域へコピー(複写)する(ステップS438)。その後、操作制御部105cは、表示部106cの画面表示を設定情報作成用の画面から、設定情報作成前の通常の画面状態に戻し(ステップS439)、処理を終了する。また、ステップS435において、操作者からの指示が記憶を中止(入力した値を破棄)する指示(例えば図37の操作ボタン443が操作されたとき)であった場合(N)にも同様に、操作制御部105cは、表示部106cの画面表示を通常の画面状態に戻し(ステップS439)、処理を終了する。
【0175】
構成記憶部114を使用した設定情報の作成処理を行う場合における設定情報の作成画面は、前述の図37に示したものと同様である。なお、例えば合成効果部214が2つある場合には、第2の合成効果部に関する設定数値を入力するための入力領域が追加される。例えば、第2の合成効果部に入力させる映像信号の番号、切り替え動作の種類を示す番号、実行させる効果の種類を示す番号、および効果の継続時間を示す数値などを入力するための領域が追加される。
【0176】
図37に示した作成画面において、構成記憶部114に記憶された構成情報に矛盾する値が入力された場合には、再入力を促す表示がなされる。例えば、映像特殊効果部101が図3に示した構成である場合には、数値入力部445,446に入力されるバスA,Bで選択する入力映像信号の番号は、1から7までの値以外は許容されない。数値入力部445,446に8以上の値を入力すると(記憶させるために操作ボタン442を操作すると)、構成情報に矛盾するので、再入力を促す表示がなされる(図50のステップS4310)。なお、作成画面の数値入力部を、初めから構成情報に矛盾する値の入力ができないような構成にすることももちろん可能である(例えば、構成情報に矛盾しない数値のみを表示し、その中から数値を選択させるような画面構成にする)。この場合には、構成情報に矛盾する値が入力されることはないので、再入力を促す表示を省略できる。
【0177】
このように入力値を構成記憶部114の構成情報と照合してチェックすることにより、誤った設定情報の作成が防止される。これにより、誤った設定情報を用いたことにより生ずる設定復旧処理の不具合を防止できる。またこのチェック機能は、ネットワークに接続している状態での設定値の入力に応用しても効果が得られる。例えば、ネットワークに接続している状態において設定情報の作成を行う場合にも、構成情報によるチェックを行っても良い。
【0178】
以上説明したように、本実施の形態によれば、第1の操作部10Aにおいて、あらかじめ表示要素格納部108に表示要素データを格納しておくと共に、リンク情報保持部109に保持されたリンク情報を参照して、主制御部102から取得した識別子に対応付けされた表示要素データを特定し、その特定した表示要素データを用いて、出力映像信号118に含まれる入力映像信号117に関する情報の表示を表示部106aに行うようにしたので、入力映像信号117の数が増えたとしても、入力映像信号117の数だけランプを設ける必要のある従来のシステムと比べて、必要以上にシステム構成を大型化する必要がない。また、表示要素データを用いた表示を行うので、単にランプの点灯のみで情報表示を行う場合に比べて、入力映像信号に関する情報を、文字列や静止画などの種々の分かりやすい形態で表示することが可能となる。これにより、入力映像信号117の数が増えたとしても必要以上に構成を大型化することなく、出力対象として選択されている入力映像信号117に関する情報、すなわち信号源の情報および信号源に関連する情報を、分かりやすく操作者に理解しやすい形態で表示することができる。また、本実施の形態によれば、複数の操作部において、入力映像信号117に関する情報の表示を行うことが可能であり、各操作部を利用するすべての操作者および関係者(入力映像信号の作成作業をしている担当者など)が、その時点の出力映像信号の状態を容易に把握することが可能となり、作業性がより向上する。
【0179】
また、本実施の形態によれば、第1の操作部10Aにおいて、あらかじめ効果表現格納部110に、映像特殊効果部101の動作状態を数値的またはグラフィカルに表示するための効果表現用の表示データを複数格納しておくと共に、リンク情報保持部111に保持されたリンク情報を参照して、現在実行中の映像特殊効果の種類に対応付けされた表示データを特定し、その特定した表示データを用いて、表示部106aに、主制御部102から取得した現在の動作状態を表す動作状態数値に基づいて、映像特殊効果部101の現在の動作状態を数値的またはグラフィカルに表現して表示するようにしたので、例えば、現在実行中の映像特殊効果の経過時間の情報などを、操作者に理解しやすい形態で提供できる。
【0180】
また、本実施の形態によれば、主制御部102が主設定記憶部104に映像特殊効果部101の設定情報を記憶するたびに、その記憶した設定情報を通信ネットワーク119を介して第2の操作部10B側に送信し、一方、第2の操作部10Bにおいては、その記憶内容が主設定記憶部104の記憶内容と同一となるように、送信されてきた設定情報を操作部設定記憶部112bに記憶するようにしたので、操作部設定記憶部112bの記憶内容を、常に主設定記憶部104の記憶内容と同じに保つことができる。従って、例えば、主制御部102が主設定記憶部104に記憶された設定情報を用いて映像特殊効果部101の設定復旧を行った場合に、設定復旧に使用した設定情報を第2の操作部10B側へ転送する必要がなくなる。これにより、設定復旧などを行うときに主制御部102と第2の操作部10Bとの間で設定情報の送受信を行う必要がなくなるので、設定復旧などを行ったときの通信量を減らすことができる。これにより、設定情報の送受信のために通信路を大容量・高速化する必要がなくなり、低コストで経済的なシステム構成にすることができる。
【0181】
また、本実施の形態によれば、設定復旧が行われた際に、第2の操作部10Bにおいて、復旧された設定状態に関する設定情報を操作部設定記憶部112bから取得し、その取得した設定状態に関する情報を表示部106bに表示させるようにしたので、設定復旧を行った際の設定情報の表示を高速化することができる。これにより、操作者に即時的で的確な情報提供を行うことができる。
【0182】
また、本実施の形態によれば、複数の操作部のそれぞれに操作部設定記憶部112bを設けることも可能であり、この場合において、主制御部102が主設定記憶部104に映像特殊効果部101の設定情報を記憶するたびに、その記憶した設定情報を通信ネットワーク119を介して複数の操作部のそれぞれに送信し、一方、それぞれの操作部おいては、その記憶内容が主設定記憶部104の記憶内容と同一となるように、送信されてきた設定情報を、それぞれの操作部設定記憶部112bに記憶するようにしたので、複数の操作部におけるすべての操作部設定記憶部112bの記憶内容を、常に主設定記憶部104の記憶内容と同じに保つことができる。これにより、設定復旧などを行うときにおける主制御部102と複数の操作部との間の通信量を大幅に減らすことができる。従って、例えば、それぞれの操作部において、復旧された設定状態に関する設定情報をそれぞれの操作部設定記憶部112bから取得し、その取得した設定状態に関する情報をそれぞれ表示させることで、複数の操作部のすべてにおいて、設定復旧を行った際の設定情報の表示を高速化することができる。これにより、複数の操作部を使用するすべての操作者に対して、設定復旧の際に的確で即時的な情報提供を行うことができる。
【0183】
さらに、本実施の形態によれば、第2の操作部10B側から、主制御部102に対して、主設定記憶部104に記憶されている設定情報の転送を要求するコマンドを送信すると共に、主制御部102が、設定情報の転送を要求するコマンドを受信したときに、主設定記憶部104に記憶されている設定情報を通信ネットワーク119を介して第2の操作部10B側に送信するようにしたので、例えば、システム稼働後に途中から第2の操作部10Bをシステムに組み込んだ場合であっても、最初からシステムに組み込んだ場合と同様に、操作部設定記憶部112bの記憶内容を、常に主設定記憶部104の記憶内容と同じに保つことができる。
【0184】
また、本実施の形態によれば、第3の操作部10Cの機能により、システムからの接続が断たれた状況であっても、映像特殊効果の設定情報の作成作業を行うことが可能となる。これにより、システムの設置場所に関係なく、第3の操作部10Cのみで設定情報の作成が可能となり、時間や場所に制約されずに設定情報を作成することができる。また、本実施の形態によれば、操作制御部105cと通信ネットワーク119との接続状態を操作制御部105cにおいて自動的に検出できるようにすることで、第3の操作部10Cで作成した設定情報の転送を自動的に行うことが可能となり、操作者を煩わせることなく、第3の操作部10Cで作成した設定情報をシステムで使用可能にすることができる。
【0185】
また、本実施の形態によれば、第3の操作部10Cにおいて作成設定記憶部115を用いた機能を使用することにより、主設定記憶部104に第3の操作部10Cで作成した設定情報を書き込む際に、すべてを上書きするのではなく、あらたに作成された設定情報を主設定記憶部104の一部に上書きするだけで良くなる。従って、主設定記憶部104においてそれまでに記憶されていた設定情報を部分的に残すことができる。これにより、結果として、主設定記憶部104に記憶されていた古い設定情報を引き続き使用可能であり、操作性が向上する。
【0186】
また、本実施の形態によれば、第3の操作部10Cにおいて構成記憶部114を用いた機能を使用することにより、映像特殊効果部101の構成が変化したとしても、ネットワーク接続から切り離した状態で、それぞれの映像特殊効果部101の構成に合った設定情報の作成が可能となる。これにより、個々の映像特殊効果部101の構成に対してそれぞれ専用の操作部を設ける必要がなくなり、経済的である。また同一の操作部を別のシステムに持ち込んで接続しても使用可能となるため、使い勝手が向上する。
【0187】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず種々の変形実施が可能である。例えば、上記実施の形態では、入力映像信号の識別子として入力映像信号に固有の番号を使用したが、識別子は番号に限定されず、個々の入力映像信号を一意に特定可能なものであれば他のもの(例えば文字列など)を使用しても良い。
【0188】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の映像特殊効果システムによれば、情報出力手段から識別子の情報を取得すると共に、第1のリンク情報保持手段に保持されたリンク情報を参照して、第1の表示データ格納手段に格納された複数の表示データの中から、取得した識別子に対応付けされた表示データを特定し、その特定した表示データを用いて、最終映像信号に含まれる入力映像信号に関する情報の表示を表示手段に対して行わせるようにしたので、入力映像信号の数が増えたとしても、入力映像信号の数だけランプを設ける必要のある従来のシステムと比べて、必要以上にシステム構成を大型化する必要がない。また、表示データを用いた表示を行うので、単にランプの点灯のみで情報表示を行う場合に比べて、入力映像信号に関する情報を分かりやすい形態で表示することが可能となる。このように本発明によれば、入力映像信号の数が増えたとしても必要以上に構成を大型化することなく、出力対象として選択されている入力映像信号に関する情報を分かりやすい形態で表示することができる。
【0189】
特に、請求項2記載の映像特殊効果システムによれば、請求項1記載の映像特殊効果システムにおいて、入力映像信号に関する情報の表示に加えて、さらに、情報出力手段から取得した現在の動作状態を表す数値情報に基づいて、映像特殊効果手段の現在の動作状態を、第2の表示データ格納手段に格納された表示データを用いて数値的に表現して表示手段に表示させる制御を行うようにしたので、例えば、現在実行中の映像特殊効果の経過時間の情報などを数値的に表現して表示することが可能となる。このように請求項2記載の映像特殊効果システムによれば、入力映像信号に関する情報に加えて、入力映像信号に施されている特殊効果に関する動作情報を数値的に理解しやすい形態で表示することができる。
【0190】
また特に、請求項3記載の映像特殊効果システムによれば、請求項1記載の映像特殊効果システムにおいて、制御手段が、入力映像信号に関する情報の表示に加えて、さらに、情報出力手段から取得した現在の動作状態を表す数値情報に基づいて、映像特殊効果手段の現在の動作状態を、第3の表示データ格納手段に格納された表示データを用いて、グラフィカルに表現して表示手段に表示させる制御を行うようにしたので、入力映像信号に関する情報に加えて、入力映像信号に施されている特殊効果に関する動作情報を例えば動画的に理解しやすい形態で表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る映像特殊効果システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】映像特殊効果部に入出力される信号の概略を説明するための説明図である。
【図3】映像特殊効果部の内部構造の一例を示したブロック図である。
【図4】第1の操作部の表示要素格納部における表示要素データの格納状態の一例を示す説明図である。
【図5】第1の操作部の表示部に表示される表示要素データの表示例を示す説明図である。
【図6】表示要素およびリンク情報の設定処理の動作手順を示す流れ図である。
【図7】出力映像信号に含まれる入力映像信号が変更されたときなどに行われる主制御部の処理動作の手順を示す流れ図である。
【図8】第1の操作部において、表示部に表示要素を表示させるときに行われる操作制御部の処理動作の手順を示す流れ図である。
【図9】第1の操作部の効果表現格納部における表示データの格納状態とリンク情報保持部におけるデータのリンク状態の例を示す説明図である。
【図10】映像特殊効果部によって施される映像特殊効果の一例を示す説明図である。
【図11】切り替え処理が行われている場合に第1の操作部に表示される動作情報の表示例を示す説明図である。
【図12】切り替え処理が行われている場合に表示される動作情報の他の表示例を示す説明図である。
【図13】画面構成比と経過時間比との違いについて示す説明図である。
【図14】切り替え動作の状態を動画像によって表示した例を示す説明図である。
【図15】画面左上隅から境界線が自身と垂直な方向に進行するようにして映像の切り替えが行われるような切り替え動作の状態を、動画的に表現した例を示す説明図である。
【図16】映像の境界線が画面の左下隅を中心として回転するようにして映像の切り替えが行われるような切り替え動作の状態を、動画的に表現した例を示す説明図である。
【図17】2本の境界線が回転するようにして、映像の切り替えが行われるような切り替え動作の状態を、動画的に表現した例を示す説明図である。
【図18】映像特殊効果部の動作情報を、静止画像と動画像とを同時に表示して表現した例を示す説明図である。
【図19】図18に示した表示例の変形例を示す説明図である。
【図20】主制御部による動作状態数値の送信処理動作の手順を示す流れ図である。
【図21】図20に示した主制御部による送信処理動作に対応する、操作制御部の処理動作の手順を示す流れ図である。
【図22】図20と図21で示した処理に関する主制御部と第1の操作部内の操作制御部との間の通信処理の関係を示す通信シーケンス図である。
【図23】映像特殊効果部によって、キー信号を用いた映像特殊効果が施された出力映像の例を示す説明図である。
【図24】映像特殊効果部によって、キー信号を使用しない映像特殊効果が施された出力映像の例を示す説明図である。
【図25】主設定記憶部および操作部設定記憶部に記憶される設定情報の一例を示す説明図である。
【図26】主設定記憶部および操作部設定記憶部に複数の設定状態のデータを記憶させる場合のデータ配列の一例を示す説明図である。
【図27】主制御部と第2の操作部内の操作制御部との間で行われる通信処理の概要を示す通信シーケンス図である。
【図28】図27に示した通信処理に関連する操作制御部の動作手順を示す流れ図である。
【図29】図28に示した操作制御部の動作に対応する主制御の動作手順を示す流れ図である。
【図30】複数の操作部に第2の操作部と同様の操作部設定記憶部を設けた場合において、設定状態の記憶を指示していない操作制御部が設定状態のデータを受信したときの処理の手順を示す流れ図である。
【図31】第2の操作部の操作制御部による設定復旧処理の動作手順を示す流れ図である。
【図32】主制御部における設定復旧処理の動作手順を示す流れ図である。
【図33】第2の操作部において、設定復旧処理を行った場合に表示される表示画面の一例を示す説明図である。
【図34】第2の操作部側から主設定記憶部の記憶内容の転送要求を行う場合における操作制御部の動作手順を示す流れ図である。
【図35】図34に示した操作制御部の動作に対応する主制御部の動作手順を示す流れ図である。
【図36】第3の操作部が通信ネットワークから切り離された状態で、操作部設定記憶部に設定情報を書き込む際の操作制御部の処理手順を示す流れ図である。
【図37】第3の操作部における設定情報の作成用の表示画面の一例を示す説明図である。
【図38】第3の操作部における操作部設定記憶部の記憶内容を主制御部へ送信するときに行われる操作制御部の処理動作の手順を示す流れ図である。
【図39】図38に示した送信処理に対応して行われる主制御部の受信処理の動作手順を示す流れ図である。
【図40】第3の操作部と同様の操作部設定記憶部を有した操作部が複数ある場合に、図38に示した送信処理に対応して行われる主制御部の受信処理の動作手順を示す流れ図である。
【図41】第3の操作部における作成設定記憶部と操作部設定記憶部とに関するメモリ構造の一例を示す説明図である。
【図42】主設定記憶部のメモリ構造を示す説明図である。
【図43】第3の操作部における作成設定記憶部のリンク部と操作部設定記憶部のデータ格納領域とのリンク状態の一例を示す説明図である。
【図44】第3の操作部において、作成設定記憶部の記憶内容を主制御部へ送信するときに行われる操作制御部の処理動作の手順を示す流れ図である。
【図45】図44に示した送信処理に対応して行われる主制御部の受信処理の動作手順を示す流れ図である。
【図46】第3の操作部において、作成設定記憶部のリンク部を参照して設定情報を選択する際の操作制御部の処理手順を示す流れ図である。
【図47】第3の操作部の構成記憶部に記憶される構成情報の例を示す説明図である。
【図48】第3の操作部の操作制御部がネットワーク経由で映像特殊効果部の構成情報を取得する処理動作の手順を示す流れ図である。
【図49】図48の処理に対応して行われる主制御部による構成情報の返信処理の手順を示す流れ図である。
【図50】第3の操作部において、構成記憶部を使用した設定情報の作成処理を行う場合の操作制御部による処理手順を示す流れ図である。
【図51】第3の操作部と同様の操作部設定記憶部を有した操作部が複数ある場合に、操作制御部によって行われる操作部設定記憶部の記憶内容の送信処理を示す流れ図である。
【図52】従来の映像特殊効果システムの構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…映像特殊効果システム、10A,10B,10C…操作部、101…映像特殊効果部、102…主制御部、103…動作情報生成部、104…主設定記憶部、105a,105b,105c…操作制御部、106a,106b,106c…表示部、107a,107b,107c…入力部、108…表示要素格納部、109,111…リンク情報保持部、110…効果表現格納部、112b,112c…操作部設定記憶部、113(113A,113B)…着脱部、114…構成記憶部、115…作成設定記憶部、117…入力映像信号、118…出力映像信号、114…構成記憶部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の映像素材に対して選択的に映像特殊効果を施して出力する機能を有する映像特殊効果システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、放送局などでは、複数の映像素材に対して選択的に映像特殊効果を施し、放送に供される最終的なオンライン映像(最終映像)、いわゆるオンエア用の映像を生成する作業が行われる。このような用途で用いられる機器は、映像特殊効果システムなどと呼ばれている。映像特殊効果システムでは、生成された最終映像に、いずれの入力映像が含まれているかを操作者に通知するための機能が必要とされる。従来、このような通知機能としては、例えば、実公平6−31815号公報記載の技術が使用されている。
【0003】
図52は、従来の映像特殊効果システムの構成例を示している。このシステムは、操作部2001と、操作部2001に接続された切替部2004と、切替部2004に接続された選択情報生成部2005と、選択情報生成部2005に接続された表示器制御部2006と、表示器制御部2006に接続された表示器2007とを備えている。
【0004】
切替部2004は、複数の入力映像信号2002の入力を受け付けると共に、入力された入力映像信号2002に対して必要に応じて映像特殊効果を施し、単一の出力映像信号2003を出力するようになっている。切替部2004は、複数の入力映像信号2002の中から1つを選択して、出力映像信号2003として出力するようなスイッチング機能を有している。切替部2004は、また、複数の入力映像信号2002を合成して単一の出力映像信号2003として出力する機能を有している。操作部2001は、切替部2004に対して、複数の入力映像信号2002のうち、いずれの映像信号に対して映像特殊効果を施すかの指示や映像信号に施す特殊効果の種類などの指示を行うようになっている。
【0005】
選択情報生成部2005は、切替部2004の出力映像信号2003に含まれる入力映像信号の情報をエンコード(符号化)して、表示器制御部2006に出力するようになっている。表示器制御部2006は、選択情報生成部2005から出力された入力映像信号の情報に基づいて、表示器2007の表示制御を行うようになっている。表示器2007は、入力映像信号の数に対応したn(nは2以上の整数。)個のランプ2007-1,2007-2,……2007-nによって構成されている。ランプ2007-1,2007-2,……2007-nは、それぞれ表示器制御部2006によって点灯・非点灯の制御がなされる。
【0006】
このシステムでは、切替部2004において、入力された複数の映像信号2002に対して、操作部2001からの指示に基づいて選択的に映像特殊効果が施され、単一の出力映像信号2003が出力される。選択情報生成部2005は、出力映像信号2003に含まれる入力映像信号の情報を表示器制御部2006に送信する。表示器制御部2006は、選択情報生成部2005から得た入力映像信号2002の情報に基づいて、表示器2007の表示制御を行う。システムの使用者は、表示器2007を構成するランプ2007-1,2007-2,……2007-nの点灯により、出力映像信号2003に含まれている入力映像信号を判別することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のように単なるランプの点灯によって入力映像信号を識別する方式では、入力映像信号の数だけランプを設ける必要がある。このため、特に、多数の入力映像信号を扱うことが可能な大規模な切替部2003を使用してシステムを構築する場合においては、入力映像信号の識別のために、多数のランプを配置した大きな表示ユニットが必要となる。これにより、従来のシステムでは、スペースおよびコスト面などで不都合が生じるという問題がある。一方、従来では、複数の入力映像信号の信号源を識別するために、ランプ上またはランプの周辺部分に文字情報を表示したり、文字が書かれたものを配置しておくなどの工夫がなされている。しかしながら、このような方法だけでは、信号源の認識を容易に行うことができる環境を提供することは難しいという問題がある。
【0008】
また、上記従来技術においては、映像特殊効果として、ワイプ(現在の映像を拭いさるようにして次の映像に徐々に切り替えていく映像表現)などの動的な効果を実行する際においても、選択されている入力映像信号の識別のみが可能であり、現在どのような特殊効果が実行されているかを、理解しやすい形態で表示することができないという問題があった。さらに、映像特殊効果の時間的な情報、例えば、現時点で映像特殊効果の何パーセントが終了したかなどの情報についても、理解しやすい形態で表示することができないという問題があった。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、入力映像信号の数が増えたとしても必要以上に構成を大型化することなく、出力対象として選択されている入力映像信号に関する情報を分かりやすい形態で表示することができる映像特殊効果システムを提供することにある。また、本発明の第2の目的は、入力映像信号に関する情報に加えて、入力映像信号に施されている特殊効果に関する動作情報を理解しやすい形態で表示することができる映像特殊効果システムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明による映像特殊効果システムは、それぞれに固有の識別子が付与された入力映像信号が複数入力されると共に、複数の入力映像信号のうち、少なくとも1つの入力映像信号に対して選択的に映像特殊効果を施し、少なくとも1つの入力映像信号が含まれる信号を、外部において直ちに利用可能な最終映像信号として出力する機能を有する映像特殊効果手段を備えている。本発明による映像特殊効果システムは、また、映像特殊効果手段から出力された最終映像信号に含まれる入力映像信号の識別子の情報を出力する情報出力手段と、複数の入力映像信号に付与されたそれぞれの識別子に対応付けされる複数の表示データを格納する第1の表示データ格納手段と、提供された表示データに基づく情報表示を行う表示手段と、識別子と第1の表示データ格納手段に格納された表示データとの対応関係を示すリンク情報を保持する第1のリンク情報保持手段とを備えている。本発明による映像特殊効果システムは、さらに、情報出力手段から識別子の情報を取得すると共に、第1のリンク情報保持手段に保持されたリンク情報を参照して、第1の表示データ格納手段に格納された複数の表示データの中から、取得した識別子に対応付けされた表示データを特定し、その特定した表示データを用いて、最終映像信号に含まれる入力映像信号に関する情報の表示を表示手段に対して行わせる制御を行う制御手段を備えている。ここで、本発明において、「外部において直ちに利用可能な最終映像信号」とは、放送に供される最終的なオンライン映像信号、いわゆるオンエア用の映像信号のことをいう。
【0011】
本発明による映像特殊効果システムは、さらに、映像特殊効果手段の動作状態を数値的に表現するための少なくとも1つの表示データを、映像特殊効果手段が実行可能な映像特殊効果の種類ごとに格納する第2の表示データ格納手段と、映像特殊効果の種類と第2の表示データ格納手段に格納された表示データとの対応関係を示すリンク情報を保持する第2のリンク情報保持手段とを備えるように構成しても良い。この場合、情報出力手段が、識別子の情報に加えて、さらに、映像特殊効果手段で実行中の映像特殊効果の種類を示す情報と映像特殊効果手段の現在の動作状態を表す数値情報とを含む情報を、映像特殊効果手段の動作情報として出力する機能を有していることが望ましい。またこの場合、制御手段が、さらに、情報出力手段から映像特殊効果手段の現在の動作情報を取得すると共に、第2のリンク情報保持手段に保持されたリンク情報を参照して、第2の表示データ格納手段に格納された少なくとも1つの表示データの中から、現在実行中の映像特殊効果の種類に対応付けされた表示データを特定し、その特定した表示データを用いて、表示手段に、情報出力手段から取得した現在の動作状態を表す数値情報に基づいて、映像特殊効果手段の現在の動作状態を数値的に表現して表示させる機能を有していることが望ましい。
【0012】
また、本発明による映像特殊効果システムは、さらに、映像特殊効果手段の動作状態をグラフィカルに表現するための少なくとも1つの表示データを、映像特殊効果手段が実行可能な映像特殊効果の種類ごとに格納する第3の表示データ格納手段と、映像特殊効果の種類と第3の表示データ格納手段に格納された表示データとの対応関係を示すリンク情報を保持する第3のリンク情報保持手段とを備えるように構成しても良い。この場合、情報出力手段が、識別子の情報に加えて、さらに、映像特殊効果手段で実行中の映像特殊効果の種類を示す情報と映像特殊効果手段の現在の動作状態を表す数値情報とを含む情報を、映像特殊効果手段の動作情報として出力する機能を有していることが望ましい。またこの場合、制御手段が、さらに、情報出力手段から映像特殊効果手段の現在の動作情報を取得すると共に、第3のリンク情報保持手段に保持されたリンク情報を参照して、第3の表示データ格納手段に格納された少なくとも1つの表示データの中から、現在実行中の映像特殊効果の種類に対応付けされた表示データを特定し、その特定した表示データを用いて、表示手段に、情報出力手段から取得した現在の動作状態を表す数値情報に基づいて、映像特殊効果手段の現在の動作状態をグラフィカルに表現して表示させる機能を有していることが望ましい。
【0013】
本発明による映像特殊効果システムでは、複数の入力映像信号に付与されたそれぞれの識別子に対応付けされる複数の表示データが、第1の表示データ格納手段に格納される。また、識別子と第1の表示データ格納手段に格納された表示データとの対応関係を示すリンク情報が、第1のリンク情報保持手段に保持される。情報出力手段からは、映像特殊効果手段から出力された最終映像信号に含まれる入力映像信号の識別子の情報が出力される。制御手段では、情報出力手段から識別子の情報を取得すると共に、第1のリンク情報保持手段に保持されたリンク情報を参照して、第1の表示データ格納手段に格納された複数の表示データの中から、取得した識別子に対応付けされた表示データを特定し、その特定した表示データを用いて、最終映像信号に含まれる入力映像信号に関する情報の表示を表示手段に対して行わせる。このように、本発明による映像特殊効果システムでは、出力対象として選択されている入力映像信号に関する表示データのみを適宜第1の表示データ格納手段から取得して、入力映像信号に関する情報表示を行うので、入力映像信号の数が増えたとしても、入力映像信号の数だけランプを設ける必要のある従来のシステムと比べて、構成の小型化を図ることが可能とされる。また、本発明による映像特殊効果システムでは、表示データを用いた表示を行うので、単にランプの点灯のみで情報表示を行う場合に比べて、入力映像信号に関する情報を分かりやすい形態で表示することが可能とされる。
【0014】
本発明による映像特殊効果システムにおいて、第2の表示データ格納手段と第2のリンク情報保持手段とを備える構成にした場合には、情報出力手段および制御手段において、さらに次の処理が行われる。すなわち、情報出力手段から、識別子の情報に加えて、さらに、映像特殊効果手段で実行中の映像特殊効果の種類を示す情報と映像特殊効果手段の現在の動作状態を表す数値情報とを含む情報が、映像特殊効果手段の動作情報として出力される。制御手段では、情報出力手段から映像特殊効果手段の現在の動作情報が取得されると共に、第2のリンク情報保持手段に保持されたリンク情報を参照して、第2の表示データ格納手段に格納された少なくとも1つの表示データの中から、現在実行中の映像特殊効果の種類に対応付けされた表示データが特定される。そして制御手段では、情報出力手段から取得した現在の動作状態を表す数値情報に基づいて、映像特殊効果手段の現在の動作状態を、第2の表示データ格納手段に格納された表示データを用いて数値的に表現して表示手段に表示させる制御が行われる。これにより、入力映像信号に関する情報に加えて、例えば、現在実行中の映像特殊効果の経過時間の情報などを数値的に理解しやすい形態で表現して表示することが可能とされる。
【0015】
また、本発明による映像特殊効果システムにおいて、第3の表示データ格納手段と第3のリンク情報保持手段とを備える構成にした場合には、情報出力手段および制御手段において、さらに次の処理が行われる。すなわち、情報出力手段から、識別子の情報に加えて、さらに、映像特殊効果手段で実行中の映像特殊効果の種類を示す情報と映像特殊効果手段の現在の動作状態を表す数値情報とを含む情報が、映像特殊効果手段の動作情報として出力される。制御手段では、情報出力手段から映像特殊効果手段の現在の動作情報が取得されると共に、第3のリンク情報保持手段に保持されたリンク情報を参照して、第3の表示データ格納手段に格納された少なくとも1つの表示データの中から、現在実行中の映像特殊効果の種類に対応付けされた表示データが特定される。そして制御手段では、情報出力手段から取得した現在の動作状態を表す数値情報に基づいて、映像特殊効果手段の現在の動作状態を、第3の表示データ格納手段に格納された表示データを用いて、グラフィカルに表現して表示手段に表示させる制御が行われる。これにより、入力映像信号に関する情報に加えて、映像特殊効果手段の現在の動作状態を、例えば動画的に理解しやすい形態で表示することが可能とされる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施の形態に係る映像特殊効果システムの全体構成を示している。本実施の形態に係る映像特殊効果システム1は、システム全体の制御を行う主制御部102と、この主制御部102に接続された、映像特殊効果部101、動作情報生成部103、主設定記憶部104、および複数の操作部10A,10B,10Cとを備えている。操作部10A,10B,10Cは、ローカルエリアネットワーク(LAN)などの通信ネットワーク119によって、それぞれ主制御部102に接続されている。本システム1は、また、通信ネットワーク119と第3の操作部10Cとを着脱可能に接続するための着脱部113を備えている。なお、以下では、特に必要のない限り、複数の操作部10A,10B,10Cを総称して、単に操作部10と記す。
【0018】
この映像特殊効果システム1は、映像特殊効果部101および主制御部102から離れた場所であっても通信ネットワーク119の敷設可能な場所であれば、通信ネットワーク119を介して操作部10からシステムの操作が可能となっている。また、この映像特殊効果システム1は、複数の操作部を別々の場所に配置することにより、複数の場所からの操作が可能となっている。
【0019】
映像特殊効果部101は、複数の入力映像信号117の入力を受け付けると共に、入力された入力映像信号117に対して必要に応じて映像特殊効果を施し、単一の出力映像信号118を出力するようになっている。映像特殊効果部101から出力された出力映像信号118は、例えば、放送に供される最終的なオンライン映像用の信号として、外部から直ちに利用可能とされている。映像特殊効果部101は、また、後述するキー信号の入力を受け付けると共に、入力映像信号117に対してキー信号に基づく映像特殊効果を施すことが可能となっている。映像特殊効果部101は、例えば、複数の入力映像信号117の中から1つを選択して、出力映像信号118として出力するようなスイッチング機能や、複数の入力映像信号117の中から選択された所定数(例えば2つ)の映像信号を合成して単一の出力映像信号118として出力する機能を有している。
【0020】
図2は、映像特殊効果部101に入出力される信号の概略を説明するためのものである。映像特殊効果部101には、例えば7つの入力映像信号117(S1〜S7)が入力される。映像特殊効果部101には、また、例えば5つのキー信号212(K1〜K5)が入力可能になっている。キー信号212は、例えば、入力映像信号117によって表される映像の上に、入力映像信号117によって表される映像以外の他の映像を重ねて出力する場合に入力される。より具体的には、キー信号212は、入力映像信号117によって表される第1の映像領域内で、種々の形状の領域を指定して、その領域内に、あらかじめ用意された第2の映像を合成して表示するような特殊効果を行う場合に入力される。キー信号212は、例えば、領域指定の役割を持たせた信号と、表示する映像(第2の映像)を表す映像信号との2つの信号によって構成される。しかしながら、キー信号の詳細な構成部分は、本発明を説明する上であまり関係がないので、本実施の形態では、キー信号が単純に、入力映像信号117に「重ねる信号」であるものとして説明する。
【0021】
図3は、映像特殊効果部101の内部構造の一例を示している。映像特殊効果部101は、複数の内部バス215,216,218と、2つのバス215,216に接続された合成効果部214と、合成効果部214およびバス218に接続されたキー処理部217とを有している。
【0022】
バス215,216は、それぞれ7つの入力映像信号S1〜S7の中から1つを選択し、合成効果部214に出力するようになっている。合成効果部214は、バス215,216からの2つの映像信号の入力を受け付けると共に、入力された映像信号に対して必要に応じて映像特殊効果を施し、1つの映像信号を出力するようになっている。合成効果部214は、特に映像特殊効果を施さない場合には、単純にバス215またはバス216によって選択された1つの映像信号を、入力された信号状態のままキー処理部217に出力するようになっている。合成効果部214は、映像特殊効果として、ワイプなどを用いた切り替え動作を行う場合には、バス215によって選択された入力映像信号からバス216によって選択された入力映像信号へと(またはバス216によって選択された入力映像信号からバス215によって選択された入力映像信号へと)、指定に応じた手法で切り替え動作を行うようになっている。合成効果部214は、また、バス215によって選択された入力映像信号とバス216によって選択された入力映像信号とを合成するような映像特殊効果(例えば後述の図24(A)で示すような効果)を施すことが可能になっている。
【0023】
バス218は、5つのキー信号K1〜K5の中から1つの信号を選択して、キー処理部217に出力するようになっている。キー処理部217は、合成効果部214から出力された1つの映像信号とバス218から出力された1つのキー信号との入力を受け付けると共に、必要に応じて映像信号にキー処理を施して、1つの出力映像信号118を出力するようになっている。
【0024】
なお、映像特殊効果部101の構成は、図示したものに限定されず、例えば、合成効果部214に3つ以上のバスを接続し、3つ以上の入力映像信号を合成可能な構成にしても構わない。
【0025】
再び図1に戻ってシステム各部の構成について説明すると、主制御部102は、マイクロコンピュータを含んで構成されている。主制御部102は、通信ネットワーク119を介して、操作部10からの各種のコマンドを受信し、そのコマンドに応じた制御動作を行う機能を有している。例えば、主制御部102は、操作部10から映像特殊効果部101に対する指示を促すコマンドを受信すると、その指示に従って映像特殊効果部101を制御し、操作者が所望とする映像を出力させるような制御を行う。主制御部102は、また、例えば、操作部10から、映像特殊効果部101の設定状態の情報を主設定記憶部104に記憶するよう指示するコマンドを受信すると、その指示に従って映像特殊効果部101の設定状態の情報を設定情報として主設定記憶部104に記憶するような制御を行うようになっている。主制御部102は、また、例えば、操作部10から、主設定記憶部104に記憶した設定情報を用いた復旧処理を指示するコマンドを受信すると、主設定記憶部104に記憶された設定情報の中から、コマンドで指示された設定情報を読み出し、その情報に従って、映像特殊効果部101の設定を変更するような制御を行うようになっている。
【0026】
主制御部102は、また、制御結果を示す情報や操作部10において必要とされる各種の情報(例えば動作情報生成部103から得た情報)などを、通信ネットワーク119を介して操作部10に送信するようになっている。例えば、主制御部102は、映像特殊効果部101の設定復旧処理を行ったときに、設定状態が復旧されたことを第2の操作部10Bなどに通知するようになっている。なお、図示しないが、映像特殊効果部101には、出力映像信号118による映像をモニタするためのモニタ装置(表示装置)を接続可能になっている。
【0027】
動作情報生成部103は、出力映像信号118に含まれている入力映像信号117の識別子を映像特殊効果部101から取得し、主制御部102に供給するようになっている。入力映像信号117の識別子は、例えば各映像信号ごとに割り振られた固有の番号によって表される。動作情報生成部103は、また、映像特殊効果部101で実行中の映像特殊効果の種類を示す情報や映像特殊効果部101の動作状態を表す数値情報(動作状態数値)などの動作情報を主制御部102に供給するようになっている。ここで、動作状態数値には、後述するように、映像特殊効果部101において処理される映像特殊効果に関する各種パラメタ値が含まれる。主制御部102に供給された識別子や動作情報は、主制御部102によって、第1の操作部10Aに転送される。
【0028】
主設定記憶部104は、主制御部102の制御に従って、後述の図25に示すような映像特殊効果部101の設定状態に関する情報(設定情報)を記憶するようになっている。主設定記憶部104は、物理的にはメモリの領域を確保したものである。より具体的には、主設定記憶部104は、主制御部102を構成するマイクロコンピュータに接続され、そのマイクロコンピュータからアクセス可能に構成されたメモリ中の領域として実現される。
【0029】
操作部10(10A,10B,10C)の基本構成は、操作制御部105(105a,105b,105c)と、表示部106(106a,106b,106c)と、入力部107(107a,107b,107c)とを有したものとなっている。操作部10A,10B,10Cは、これらの基本的な構成要素以外にも、後述するように、個々の操作部で異なる構成要素・機能を有している。ただし、すべての操作部が同一の機能および構成を有しているものであっても良い。例えば、図示した個々の操作部10A,10B,10Cが有するすべての機能を、1つの操作部が有している構成であっても良い。
【0030】
通信ネットワーク119は、各操作部の操作制御部105a,105b,105cのそれぞれと、主制御部102とを接続している。通信ネットワーク119には、第3の操作部10Cを着脱可能に接続するための着脱部113Bが設けられている。着脱部113Bは、第3の操作部10Cに設けられた着脱部113Aと対をなしている。通信ネットワーク119は、既知の技術により構築されるものであり、具体的には例えばイーサネット(Ethernet)やそれに関連する技術の使用により構築される。
【0031】
表示部106は、陰極線管(CRT;Cathode Ray Tube)や液晶表示装置などによって構成されるものであり、操作に必要な情報などをグラフィカルに表示可能となっている。入力部107は、システムのユーザ(操作者)によって直接操作されるものであり、コンピュータ用の汎用キーボードや、各種の操作スイッチを配置した操作ユニットなどにより構成されている。
【0032】
操作制御部105は、マイクロコンピュータを含んで構成され、操作部内の各構成要素を制御するようになっている。操作制御部105は、また、通信ネットワーク119を介して、主制御部102との間で各種のコマンドや各種の情報の送受信を行うようになっている。操作制御部105は、操作者による入力部107からの操作入力に従って動作するようになっている。例えば、操作制御部105は、操作者の操作に従って、映像特殊効果部101に対する指示を示すコマンドを、通信ネットワーク119を介して、主制御部102に送信するような動作を行う。
【0033】
第1の操作部10Aは、表示要素格納部108と、リンク情報保持部109,111と、効果表現格納部110とを有している。これらの構成要素は、物理的にはメモリの領域を確保したものである。より具体的には、これらの構成要素は、操作制御部105aを構成するマイクロコンピュータに接続され、そのマイクロコンピュータからアクセス可能に構成されたメモリ中の領域として実現される。
【0034】
表示要素格納部108は、入力映像信号117に関連する表示要素のデータを格納している。表示要素格納部108に格納される表示要素のデータは、操作者が映像特殊効果部101に対して入力映像信号117を選択させる際の判断に役立つものであることが望ましい。例えば、入力映像信号117に関するソース(取材源)、撮影位置、撮影者、撮影に使用している機器、あるいは録画を再生している機器、あらかじめ加工された映像であれば加工の説明などを表すデータが表示要素のデータとして用意される。表示要素格納部108は、このような情報を、文字データまたは画像データの形式で格納している。リンク情報保持部109は、入力映像信号117の識別子と表示要素格納部108に格納された表示要素データとの対応関係を示すリンク情報を保持するようになっている。
【0035】
効果表現格納部110は、映像特殊効果部101の動作状態の情報(動作情報)を後述の図11に示す表示例のように数値的またはグラフィカルに表示するための効果表現用の表示データを複数格納している。効果表現格納部110は、表示データとして、例えば、文字列や静止画像などの静止画的表現を行うためのデータや、動画的な表現を行うためのデータを、映像特殊効果の種類ごとに格納している。リンク情報保持部111は、映像特殊効果部101が行う映像特殊効果の種類と効果表現格納部110に格納された表示データとの対応関係を示すリンク情報を保持するようになっている。
【0036】
第1の操作部10Aは、あらかじめ各入力映像信号に関連する情報を表示要素データとして表示要素格納部108に格納しておき、入力映像信号117の識別子と対応付けをすることで、動作中に選択されている入力映像信号117に関連する情報を、例えば後述する図5の表示例のように表示部106aに表示する機能を有している。第1の操作部10Aは、また、効果表現格納部110に格納された表示データを用いて、主制御部102から得た映像特殊効果部101の動作状態に関する情報を、例えば後述する図11の表示例のように数値的またはグラフィカルに表示する機能を有している。これらの第1の操作部10Aに特有の機能は、主として操作制御部105aの制御動作によって実現される。
【0037】
第2の操作部10Bは、操作部設定記憶部112bを有している。操作部設定記憶部112bは、物理的にはメモリの領域を確保したものである。より具体的には、操作制御部105bを構成するマイクロコンピュータに接続され、そのマイクロコンピュータからアクセス可能に構成されたメモリ中の領域として実現される。この操作部設定記憶部112bは、操作制御部105bの制御に従って、主設定記憶部104と同様に、後述の図25に示すような映像特殊効果部101の設定状態に関する情報(設定情報)を記憶するようになっている。
【0038】
第2の操作部10Bは、主制御部102から映像特殊効果部101の設定復旧処理が行われたことを示す通知を受けたときに、復旧された設定状態に関する設定情報を、操作部設定記憶部112bから取得し、その取得した設定状態に関する情報を表示部106bに表示する機能を有している。この第2の操作部10Bに特有の機能は、主として操作制御部105bの制御動作によって実現される。
【0039】
第3の操作部10Cは、操作部設定記憶部112cと、構成記憶部114と、作成設定記憶部115とを有している。操作部設定記憶部112c、構成記憶部114および作成設定記憶部115は、物理的にはメモリの領域を確保したものである。より具体的には、これらの構成要素は、操作制御部105cを構成するマイクロコンピュータに接続され、そのマイクロコンピュータからアクセス可能に構成されたメモリ中の領域として実現される。
【0040】
第3の操作部10Cは、また、一端が操作制御部105cに接続された着脱部113Aを有している。着脱部113Aの他端は、通信ネットワーク119に設けられた着脱部113Bに対して着脱可能となっており、これにより、操作制御部105cを必要に応じて通信ネットワーク119に接続することが可能となっている。なお、本システムにおいては、着脱部113Aが着脱部113Bに接続されたことを、操作制御部105cや主制御部102などで検出可能な構成にすることが望ましい。
【0041】
操作部設定記憶部112cは、第2の操作部10Bの操作部設定記憶部112bと同様に、映像特殊効果部101の設定状態に関する情報(設定情報)を記憶するようになっている。操作部設定記憶部112cの記憶内容は、最終的には(通信ネットワーク119に接続された後には)、主設定記憶部104の記憶内容と同一に保たれるようになっている。作成設定記憶部115は、第3の操作部10Cで作成した設定情報を、最低限、主設定記憶部104に転送するまでの間記憶するようになっている。
【0042】
構成記憶部114は、映像特殊効果部101の構成および機能の情報を記憶するようになっている。本システムは、用途や設置場所などの様々な条件により、映像特殊効果部101の構成および機能を個別に作り上げて設置することが可能である。また、本システムを移動して設置、使用する構成にした場合には、システムの設置のたびに映像特殊効果部101の構成を変化させることが可能である。構成記憶部114は、このような状況に対応すべく、映像特殊効果部101の種々の構成情報を記憶するようになっている。
【0043】
第3の操作部10Cは、操作部設定記憶部112cを有していることにより、ネットワーク接続されているときには、第2の操作部10Bと同様の機能(設定復旧処理を行う機能など)を実現可能となっている。また、第3の操作部10Cは、通信ネットワーク119に接続されていない状態(システムに組み込まれていない状態)でも、単独で使用することが可能となっている。例えば、第3の操作部10Cは、時間や場所に制約されず、通信ネットワーク119に接続されていない状態であっても、操作部設定記憶部112c、構成記憶部114および作成設定記憶部115に記憶された情報を適宜参照して、単独で設定情報の作成を行う機能を有している。この機能により、第3の操作部10Cにおいては、通信ネットワーク119に接続する前に設定情報をあらかじめ作成しておくことができる。これにより、第3の操作部10Cにおいては、システムに接続した後、一から設定情報を作成する操作をしなくても、あらかじめ作成した設定情報を主制御部102に転送するだけでその設定情報を使用した設定復旧処理などを行うことができるようになっている。これらの第3の操作部10Cに特有の機能は、主として操作制御部105cの制御動作によって実現される。
【0044】
なお、本実施の形態において、主として主制御部102および動作情報生成部103が、本発明における「情報出力手段」の一具体例に対応する。また、本実施の形態において、第1の操作部10Aにおける操作制御部105aが、本発明における「制御手段」の一具体例に対応する。また、表示要素格納部108が、本発明における「第1の表示データ格納手段」の一具体例に対応し、リンク情報保持部109が、本発明における「第1のリンク情報保持手段」の一具体例に対応する。また、効果表現格納部110が、本発明における「第2の表示データ格納手段」および「第3の表示データ格納手段」の一具体例に対応し、リンク情報保持部111が、本発明における「第2のリンク情報保持手段」および「第3のリンク情報保持手段」の一具体例に対応する。
【0045】
次に、上記のような構成の映像特殊効果システム1の動作について説明する。
【0046】
まず、図1を参照して本システム1の全体的な動作について説明する。本システム1において、基本的な動作の指示は、操作部10から行われる。操作部10は、通信ネットワーク119に接続されている環境で、システムの動作指示を行う。操作部10において、操作制御部105は、入力部107や表示部106などを制御し、操作者の(入力部107からの)操作入力に従って動作する。操作制御部105は、操作者によって指示された内容が、例えば映像特殊効果部101に対する指示である場合には、その指示内容を示すコマンドを、通信ネットワーク119を介して主制御部102に送信する。主制御部102は、操作制御部105からのコマンドを受信すると、そのコマンドに従って映像特殊効果部101を制御し、操作者が所望とする出力映像信号118が得られるようにする。主制御部102は、必要に応じて制御結果などの情報を通信ネットワーク119を介して操作制御部105に送信する。主制御部102は、また、必要に応じて、個々の操作部に特有の機能を実行するために必要とされる情報、例えば映像特殊効果部101の動作状態数値や設定状態などの情報を、通信ネットワーク119を介して、その情報を必要としている操作制御部105に送信する。個々の操作部は、主制御部102から送信された情報に基づいて、それぞれに特有の機能を実行する。
【0047】
次に、個々の操作部に特有の機能を用いた動作について説明する。
【0048】
[第1の操作部10Aに関する動作]
まず、第1の操作部10Aにおいて、表示要素格納部108に格納された表示要素データを用いて入力映像信号117に関連する情報を表示する機能について説明する。
【0049】
図4(A)〜図4(C)は、表示要素格納部108における表示要素データの格納方法の例を示している。図4(A)は、表示要素データとして固定長の文字列を格納している例である。この例では、表示要素格納部108は、1つの格納領域に、例えば最大8個の文字で構成される固定長の文字列を格納している。例えば、0番の格納領域には“Black”という文字列が格納され、1番の格納領域には“Aux”、2番の格納領域には“Video1”という文字列が格納されている。各格納領域に格納された表示要素データは、格納領域の配列を示すオフセット量を指定することにより参照できる。従ってこの場合、リンク情報保持部109は、図示は省略するが、各識別子(番号)に対応するオフセット量の情報をリンク情報として保持していれば良い。例えば、入力映像信号117の識別子が「0」から始まる番号で表されているとすれば、リンク情報保持部109は、例えば入力映像信号の1番と表示要素格納部108の格納領域のオフセット量“1”とを関連付けた情報を保持していれば良い。これにより、1番の入力映像信号と“Aux”の文字列とが関連付けされる。
【0050】
図4(B)は、表示要素格納部108に、可変長の文字列を表示要素データとして格納している例である。表示要素格納部108は、各文字列を“null”文字(値0)で区切って格納している。表示要素格納部108に格納された各文字列は、例えば各文字列の先頭のアドレスを指定することにより特定することができる。この場合、リンク情報保持部109は、識別子に対応する文字列へのポインタの情報をリンク情報として保持していれば良い。図4(B)の例では、リンク情報保持部109の0番のアドレス(入力映像信号の0番を示す)が、ポインタによって“Black”の文字列の先頭アドレスにリンク(関連付け)され、1番のアドレス(入力映像信号の1番を示す)が、ポインタによって“Aux”の文字列の先頭アドレスにリンクされている。なお、図4(B)では、リンク情報保持部109のメモリアドレスの配列順(ポインタの順番)と、そのリンク先の表示要素格納部108における表示要素データの順番とを一致させている。しかしながら、ここではポインタによる参照方式を用いているので、ポインタのリンク先(表示要素格納部108)における表示要素データの順番とポインタ自身の順番とが異なっていても良い。
【0051】
図4(C)は、表示要素格納部108に、イメージデータ(例えばビットマップ画像)を表示要素として格納している例である。イメージデータのデータ形式としては、具体的にはTIFF(Tagged Image File Format)などのイメージ形式を使用することが可能である。図では、イメージデータをイメージA,イメージB,...と記している。表示要素格納部108は、イメージデータと共に、それぞれのイメージデータのデータサイズの情報を保持することにより、データサイズの異なる複数のイメージデータを連続的に格納している。この場合、リンク情報保持部109は、図4(B)の例と同様に、識別子に対応するイメージデータへのポインタの情報をリンク情報として保持していれば良い。
【0052】
なお、図4(A)〜図4(C)では、表示要素として、文字列とイメージデータのいずれか一方のみを格納する例について説明したが、文字列とイメージデータの両方を格納し、1つの入力映像信号に対して文字列とイメージデータの両方を関連付けするようにしても良い。この場合、表示要素格納部108において、文字列とイメージデータの両方を連続した記憶領域に格納しても良いし、または文字列とイメージデータとを別々の記憶領域に格納しても良い。文字列とイメージデータとを別々の記憶領域に格納する場合には、例えば、文字列用とイメージデータ用とで、別々のリンク情報保持部を設けると良い。
【0053】
図5(A)〜図5(C)は、表示要素格納部108に格納された表示要素データの実際の表示例を示している。図5(A)は、表示要素データとして文字列32A(“Video1”)を表示した例である。図5(A)は、図4(A),(B)に示した表示要素データを用いた表示例に対応する。図5(B)は、表示要素データとしてイメージデータを用いた表示例である。図5(B)は、図4(C)に示した表示要素データを用いた表示例に対応する。画像32Bは、映像特殊効果部101に入力されている入力映像信号117そのものを表示したわけではなく、あくまで、入力映像信号117の番号に関連付けされ、表示要素格納部108に格納されたイメージデータによる画像(通常は静止画像)である。図5(B)に示した画像32Bは、撮影車両を模したものとなっているが、これは、現在、映像特殊効果部101で選択されている入力映像信号117が、例えば、撮影車両から送信された映像であることを示している。
【0054】
図5(C)は、表示要素データとして、文字列とイメージデータとの両方を用いた表示例である。図5(C)に示した文字列32Dの表示は、現在映像特殊効果部101で選択されている入力映像信号117が、例えば、“A山山頂”という「場所」において、“山田太郎”という名のカメラマンの「カメラ」により撮影された映像であることを示している。画像32Cは、撮影場所の山の映像を示している。なお、図5(C)のように、表示要素データとして複数の文字列を表示する場合には、表示要素格納部108に複数の文字列を格納しておく必要がある。この場合、表示要素格納部108に、例えば、「場所」の情報用の文字列を格納する領域と「カメラ」の情報用の文字列を格納する領域とを別々に設け、これらの領域に、“A山山頂”、“山田太郎”という文字列をそれぞれ格納しておけば良い。または、“場所:A山山頂¥nカメラ:山田太郎”のようにして、1つの文字列によって複数の文字列を表し、それを1つの格納領域に格納するようにしても良い。
【0055】
なお、表示要素データを表示する際には、図5(A)〜図5(C)において符号31を付して示したように、表示されているものが出力映像信号118に含まれているデータであることを示すために、例えば「送出信号」という文字列を表示することが望ましい。
【0056】
図6は、第1の操作部10Aに特有の表示(例えば図5(A)〜図5(C))を行うために必要とされる、表示要素格納部108に対する表示要素データの設定処理およびリンク情報保持部109に対するリンク情報の設定処理に関する処理動作を示している。第1の操作部10Aにおいて入力映像信号117に関連する情報を表示する機能を利用するためには、以下で説明するような表示要素データの作成とリンク情報の設定処理をあらかじめ行っておく必要がある。操作制御部105aは、文字列やイメージデータなどの表示要素データを表示要素格納部108に格納する(ステップS141)。このとき、操作制御部105aは、あらかじめ用意されたデータを外部から取り込み、それを表示要素データとして使用する。または、第1の操作部10Aにおいて内部的に作成された表示要素データを使用しても良い。表示要素データの作成や取り込みは、データ作成用のソフトウェアやデータ取り込み用のフロッピーディスク装置などの既知の技術・方法を使用することで実現可能である。
【0057】
次に、操作制御部105aは、表示要素格納部108に格納した表示要素データとその表示要素データに対してリンクさせたい入力映像信号の番号との対応関係を示すリンク情報を作成し、そのリンク情報をリンク情報保持部109に保持する(ステップS142)。このとき、表示要素データに対応させる入力映像信号の番号の具体的な指示は、入力部107aを用いて操作者により行われる。操作制御部105aは、すべての入力映像信号(の番号)に対する設定が終了していない場合(ステップS143;N)には、ステップS141に戻り、すべての入力映像信号に対する設定が終了するまで(ステップS143;Y)、上述の表示要素の設定処理を繰り返す。以上の処理により、すべての入力映像信号に関して、表示要素データの設定処理およびリンク情報の設定処理を行うことができる。
【0058】
図7は、主制御部102による識別子の送信処理の動作を説明するためのものである。主制御部102は、例えば、出力映像信号118に含まれる入力映像信号117が変更されたとき、または本システムにおいて映像データの入出力動作が開始されたときに、随時、識別子の送信処理を行う。この場合、まず、主制御部102は、出力映像信号118に含まれる入力映像信号117の番号(識別子)の情報を動作情報生成部103から取得する(ステップS121)。次に、主制御部102は、取得した番号の情報を通信ネットワークを介して操作制御部105aに送信する(ステップS122)。なお、後述するように、例えば第1の操作部10Aと同様の機能を持った操作部が複数ある場合には、主制御部102は、すべての操作部の操作制御部に対して、取得した番号の情報を同様に送信する。以上の処理により、操作制御部105aは、出力映像信号118に含まれる入力映像信号117の番号の情報を随時取得することができる。
【0059】
図8は、表示部106aに表示要素を表示させるときに行われる、操作制御部105aの処理動作を示している。操作制御部105aは、映像信号特殊効果部101において選択されている入力映像信号117の番号(出力映像信号118に含まれている入力映像信号117の番号(識別子))の情報を、主制御部102から受信する(ステップS151)。次に、操作制御部105aは、リンク情報保持部109が保持しているリンク情報を参照して、受信した番号に対応する表示要素のデータを特定する(ステップS152)。次に、操作制御部105aは、特定した表示要素データを表示要素格納部108から取得し、取得した表示要素データを、図5(A)〜図5(C)に示したように表示部106aに表示させる(ステップS153)。次に、操作制御部105aは、主制御部102からのあらたな番号の受信(ステップS151)に備え、受信待ち状態に入る(ステップS154)。以上の処理により、出力映像信号118に含まれている入力映像信号117が変更されたとしても、それに伴い、表示部106aに表示させる表示要素データも変更され、常に適切な表示要素データを表示させることができる。
【0060】
以上のようにして、常に、その時点で選択されている(出力映像信号118に含まれる)入力映像信号117に関連する表示要素を、操作者に対して理解しやすい形態で表示することができる。操作者は、表示部106aに表示された表示要素により、映像特殊効果部101の動作状況を容易に把握することができる。これにより、例えば、出力映像信号118を見ただけでは出力映像信号118に含まれている信号源を判別しがたい映像の場合であっても、信号源の特定を容易に行うことができる。
【0061】
なお、以上の動作説明では、説明の簡略化を図るために、選択されている入力映像信号117が1つであるものとして説明したが、例えば合成を伴う映像特殊効果が行われることにより、出力映像信号118に入力映像信号117が複数含まれている場合であっても、各構成要素の基本的な動作は同じである。この場合には、例えば、表示部106aに、図5(A)〜図5(C)に示したような表示を行うための表示領域を複数設けることで、複数の入力映像信号117の情報を一度に表示することができる。この場合、動作情報生成部103からは、複数の番号(識別子)の情報が主制御部102に供給され、その情報が主制御部102から操作制御部105aに送信される。操作制御部105aは、図8で示した処理と同様に、リンク情報を参照して、受信した複数の番号に対応する複数の表示要素のデータを特定し、特定した複数の表示要素を表示部106aに表示させる。
【0062】
また、以上の動作説明では、選択されている入力映像信号117に関する情報のみを表示する場合について説明したが、操作者の入力に応じて、映像特殊効果部101の動作に関わらず、任意の入力映像信号に対応する表示要素を表示するような付加機能を設けることも可能である。これにより、例えば、すべての入力映像信号に関する複数の表示要素を同時に並べて表示することも可能となる。この場合、操作制御部105aは、リンク情報保持部109に保持されているリンク情報に基づいて、すべての入力映像信号に関する表示要素を表示要素格納部108から取得し、取得したすべての表示要素を表示部106aに表示させる。このような付加機能により、操作者は、表示部106aに表示されたすべての表示要素を見て、事前にすべての入力映像信号に関する情報を得ることができ、映像特殊効果部101に選択させる次の入力映像信号を決める際の参考にすることができる。この場合にも、入力映像信号を選択して切り替えた後は、通常の機能により、選択された入力映像信号に対応する表示要素が表示部106aに表示される。これにより、操作者は、目的通りの入力映像信号が選択されたことを容易に確認することができる。
【0063】
さらに、GUI(Graphical User Interface)環境により、表示部106aの画面上に表示されている複数の表示要素の中から、操作者がマウスなどにより任意のものを選択し、その選択情報を入力映像信号の選択情報として主制御部102に送るような構成にすることも可能である。主制御部102は、GUI環境により選択された入力映像信号の情報に基づいて、映像特殊効果部101を制御し、映像特殊効果部101に入力映像信号の切り替えを行わせる。これにより、操作者は、入力映像信号の選択を容易に行うことができる。
【0064】
なお、以上では、出力映像信号118が1つのみであるとして説明したが、本発明は、2つ以上の出力映像信号を出力するシステムに対しても適用可能である。出力映像信号が複数ある場合には、表示部106aの表示領域を複数に区切って出力映像信号の数に対応した複数の表示領域を作り、各表示領域にそれぞれ異なる出力映像信号の情報を表示するようにすれば良い。または、マルチウィンドウシステムを用いて表示部106aに、出力映像信号の数に対応した複数のウィンドウ(表示窓)を表示し、そのウィンドウ内にそれぞれ異なる出力映像信号の情報を表示するようにすれば良い。または、表示部106a自体を出力映像信号の数に対応して複数設けて、各表示部に異なる出力映像信号の情報を表示するようにしても良い。
【0065】
<効果表現格納部110を用いた機能>
次に、第1の操作部10Aにおいて、効果表現格納部110に格納された表示データに基づいて、映像特殊効果部101の動作情報を表示部106aに表示する機能について説明する。
【0066】
図9は、効果表現格納部110における表示データの格納状態とリンク情報保持部111におけるデータのリンク状態とを示している。効果表現格納部110は、映像特殊効果部101の動作情報を表示するために利用される効果表現用の表示データ(データA,データB,データC,...)を、映像特殊効果の種類ごとに、例えば連続的に記憶している。リンク情報保持部111は、効果表現格納部110に格納された映像特殊効果の種類に対応する各データへのポインタの情報を、リンク情報として保持している。映像特殊効果の種類は、映像特殊効果の種類ごとに固有の番号を割り振り、その番号により種類を特定できるようにしている。図9の例では、リンク情報保持部111の0番のアドレス(0番の映像特殊効果の種類を示す)が、ポインタによって効果表現格納部110の“データA”の格納領域にリンクされ、次に、1番のアドレス(1番の映像特殊効果の種類を示す)が、ポインタによって“データB”の格納領域に順次リンクされている。このようなデータ構造により、操作制御部105aが、映像特殊効果の種類を番号で指定すると、その番号に対応する効果表現格納部110中の表示データが、リンク情報保持部111のポインタで特定され、取得できる。なお、図9では、リンク情報保持部111のポインタの順番とそのリンク先の効果表現格納部110における表示データの順番とを一致させている。しかしながら、ここではポインタによる参照方式を用いているので、ポインタのリンク先(効果表現格納部110)における表示データの順番とポインタ自身の順番とが異なっていても良い。
【0067】
なお、映像特殊効果部101が実行可能な映像特殊効果の種類は、映像特殊効果部101の性能により決定されるので、システム設置時には確定している。従って、通常、映像特殊効果の種類が、システムの動作中に変更されることはない。従って、効果表現格納部110とリンク情報保持部111とに記憶する内容は、例えばシステムの設置時に読み出し専用メモリに書き込んで、あらかじめシステムに組み込んでしまえば良い。
【0068】
図10(A)〜図10(E)は、映像特殊効果部101によって施される「ワイプ」と呼ばれる映像特殊効果を模式的に示している。ワイプは、映像の切り替え処理に用いられる特殊効果である。より具体的には、ワイプは、映像の切り替えを瞬間的に行わずに、指定の時間をかけて画面上を直線などで2分するようにして、徐々に新しい映像に切り替えて表示していくような特殊効果である。例えば図10(A)に示したように、2つの映像V1,V2を用いて切り替えを行う場合について説明する。まず、第1の映像V1のみが表示されているものとする(図10(B))。この状態から、画面全体の表示領域を直線状の分割線91によって例えば斜めに2分割し、この分割線91を画面左上から右下に向かって徐々に移動させていく。このとき、分割することにより画面左上方向にできた表示領域に第2の映像V2を表示し、画面右下方向にできた表示領域に第1の映像V1を表示する。これにより、分割線91の移動に伴い、画面左上から右下に向かって徐々に第1の映像V1から第2の映像V2へと映像の切り替えが行われる効果が得られる(図10(C),(D))。最終的には、第2の映像V2のみが表示される(図10(E))。
【0069】
第1の操作部10Aは、このようなワイプによる特殊効果を行う場合において、ワイプに関する動作状態数値を得ることで、映像特殊効果部101の動作の状態を把握できる。ワイプに関連する動作状態数値としては、例えば、映像の切り替え時間全体に対する切り替え動作の経過時間や、切り替え時間全体に対する切り替え動作の経過時間の比率をパーセント表記で表したものなどが考えられる。また、2つの映像が画面上で占める割合の比(長さの比あるいは面積比。一般に、画面構成比または映像比などと呼ばれる。)に関する情報なども、動作状態数値となり得る。第1の操作部10Aは、このような動作状態数値に基づく情報を、効果表現格納部110に格納された表示データを利用して理解しやすい形態で表示する。これにより、操作者が容易に映像特殊効果部101の動作を把握できる環境を提供する。
【0070】
図11は、映像特殊効果として図10に示したワイプによる切り替え処理が行われている場合に表示部106aに表示される動作情報の表示例を示している。この表示画面は、複数の表示領域60A,60B,60Cを有している。この表示画面には、映像特殊効果部101からの出力映像信号118に関する表示であることを示すために、「送出信号」という文字列66が表示されている。表示領域60Aには、切り替え前の入力映像信号の情報(例えば、撮影場所やカメラマンの情報など)が、例えば文字列61により表示される。表示領域60Cには、切り替え後の入力映像信号の情報が、例えば文字列62により表示される。文字列61,62は、操作制御部105aが、主制御部102から受信した入力映像信号の番号の情報に基づいて、リンク情報保持部109のリンク情報を参照することにより特定した、表示要素格納部108内の文字列のデータである。
【0071】
表示領域60Bには、切り替え動作に特有の動作情報が表示される。表示領域60Bにおいて、画像63は、特殊効果の種類(ここではワイプ)を示している。画像63は、例えばビットマップ画像などのイメージデータによる静止画像である。画像63に関するイメージデータは、あらかじめ効果表現格納部110に格納されている。画像63は、操作制御部105aが、主制御部102から受信した特殊効果の種類の情報に基づいて、リンク情報保持部111のリンク情報を参照することにより特定される。表示領域60Bにおいて、符号64,65で示した表示画像は、切り替え動作の進行状況の情報、より具体的には、切り替え時間全体に対する切り替え動作の経過時間の比率の情報を示している。表示画像64は、経過時間の比率をパーセント表記による数値で示した例である。表示画像65は、経過時間の比率を、帯グラフ状の図形で示した例である。表示画像64,65は、操作制御部105aが、主制御部102から受信した動作状態数値の情報に基づいて、リンク情報保持部111のリンク情報を参照することにより特定されたデータに基づいて表示される。表示画像64,65の表示内容は、主制御部102から送信された動作状態数値に基づいて、切り替え処理が終了するまで、随時更新される。
【0072】
図12は、切り替え処理が行われている場合に表示部106aに表示される動作情報の他の表示例を示している。この表示画面は、図11の表示画面と同様に、複数の表示領域70A,70B,70Cを有している。表示領域70Aは、図11の表示領域60Aに対応する領域であり、切り替え前の入力映像信号の情報が表示されている。図11では、入力映像信号の情報を文字列61のみにより表示していたが、図12では、入力映像信号の情報を、図5(C)の表示例と同様に、文字列71と画像72とによって表示している。画像72は、映像特殊効果部101に入力されている入力映像信号そのものを表示したものではなく、あくまで、入力映像信号の番号に関連付けされ、表示要素格納部108に格納されたイメージデータによる画像である。表示領域70Cは、図11の表示領域60Cに対応する領域であり、切り替え後の入力映像信号の情報が表示されている。表示領域70Cには、表示領域70Aと同様に、入力映像信号の情報が、文字列73と画像74とによって表示されている。
【0073】
表示領域70Bは、図11の表示領域60Bに対応する領域であり、切り替え動作に特有の情報が表示されている。表示領域70Bにおいて、画像75は、特殊効果の種類を示している。画像75は、例えばビットマップ画像などのイメージデータによる静止画像である。画像75から、特殊効果の種類が、画面の真ん中から映像が徐々に切り替わっていくような処理であることが分かる。
【0074】
表示領域70Bにおいて、符号76〜79で示した表示画像は、切り替え動作の進行状況の情報を示している。表示画像76は、切り替え中の2つの入力映像信号の画面構成比の情報を、帯グラフ状の図形で示した例である。ここで、第1の映像V1から第2の映像V2へと画像を切り替えているものとすると、表示画像76における左側の領域76Aは、第1の映像V1(切り替えられていく入力映像信号)が占める画面の割合を示し、右側の領域76Bは、第2の映像V2(切り替え入力映像信号)が占める画面の割合を示している。領域76A,76Bは、互いの領域を一目で区別できるような表示にしておくことが望ましく、例えば表示色が異なっている(図ではハッチングパターンを変えて区別している)。表示画像76で示した画面構成比は、面積比ではなく長さの比(切り替えの進行度合い)で表している。表示画像77は、切り替え時間全体に対する切り替え動作の経過時間の比率の情報を、帯グラフ状の図形によりパーセント表記した例である。表示画像78,79は、経過時間の情報を、数値で表示した例である。表示画像78が、切り替え動作開始からの経過時間(図では5.0秒)を示し、表示画像79が、切り替えに要する時間全体の情報(図では20.0秒)を示している。
【0075】
ところで、表示領域70Bで表示される画面構成比の値と経過時間比の値とは必ずしも一致しない。以下、図13(A),(B)を参照して、そのことについて説明する。図13(A),(B)に示したグラフは、2つの入力映像(図では入力1,2)が占める割合(画面構成比)の時間的な変化を示しており、横軸は時間(経過時間(比))、縦軸は画面構成比となっている。図13(A)では、経過時間と画面構成比の関係は直線的な比例関係にあり、時間的な変化の割合と画面構成比の変化の割合(パーセント)は一致する。しかしながら、図13(B)に示した経過をたどる特殊効果の場合、時間的な変化の割合と画面構成比の変化の割合は一致しない。図13(B)では、画面構成比(画面全体に対して入力映像2が占める割合)は、時間t1において一度75%付近(図のR1)まで増加した後、時間t2において25%付近(図のR2)まで減少し、その後、100%に達して切り替えが完了している。すなわち、図13(B)に示した切り替え動作は、出力映像を見ると、2つの映像の境界線が画面上で行ったり来たりしてから切り替わるように見える。このような切り替え動作は、切り替え動作を途中で変更し、他の切り替え動作を行わせるようなものであるともいえる。このような切り替え動作は、例えば、あらかじめ主制御部102に、それぞれ異なる切り替え動作を示す複数の制御コマンドの連続(配列)を記憶(プログラム)させておき、その記憶に従って映像特殊効果部101を動作させることで実現することができる。
【0076】
図12の表示画像76〜79は、図13(B)に示した25%付近の時間t1における切り替え状態に対応している。すなわち、経過時間は切り替えに要する時間全体の25%であるが、画面構成比は75%となっている。このように経過時間と画面構成比との両方を表示することにより、画面構成比と経過時間比とが比例関係にない場合であっても、両者の関係を的確に知ることができる。なお、従来では、このような切り替え動作の情報を、出力映像信号118をモニタするモニタ装置(図示せず)の画面(ビデオ・ピクチャ・モニタ)を見て確認していた。しかしながら、例えば切り替え対象となる映像の内容が、画面全体に渡って暗い映像である場合などは、モニタを見ても切り替え動作の詳細がわかりにくい場合があった。本実施の形態では、図12のような表示を行うことにより、映像の内容に関わらず、操作者に認識しやすい形式で情報を提供することができる。
【0077】
なお、図12では、特殊効果の種類を静止画像75によって表示するようにしたが、より好適には、アニメーション風の動画像表示を行い、画面構成比の変化に連動した表示にすることが望ましい。これにより、操作者に対して動作状態をより認識しやすい形態で表示できる。
【0078】
図14(A)〜図14(E)は、動画像により切り替え動作の状態を表示した例を示しており、これらは、時間的には、図14(A)から図14(E)へと順に表示される。図では、画面の真ん中から、徐々に新しい映像に替わっていくような切り替え動作をアニメーション風(動画的)に表現した例である。すなわち、図に示したように、最初は、新しい映像が“現れる”位置を十字状の画像81で示し(図14(A))、次に、十字状の画像81で示した位置に、新しい映像を示す矩形画像82を表示する(図14(B))。そして、矩形画像82を徐々に大きく表示していき(図14(C),(D))、最後に全画面が矩形画像82に置き替わる(図14(E))。なお、図では、矩形画像82が、ハッチングパターンによって塗りつぶされて表されているが、実際には例えば単色に塗りつぶしたベタな映像で表されている。
【0079】
第1の操作部10Aでは、図14(A)〜図14(E)で示した表示を、画面構成比の変化に合わせて、その表示状態を適宜変化させつつ連続的に表示することにより、その時点の動作状態を的確に表現できる。すなわち、図で示した動画像を行うための映像が、11枚の静止画像で構成されているとすれば、新しい映像の画面構成比が0%のときに1枚目、100%のときに11枚目を表示する。また、中間段階の切り替え状態では、その切り替え状態に近い表示となるように、例えば、画面構成比R%に対して、「[{R/(11-1)}を四捨五入した値]枚目」を表示する。
【0080】
また、上述のようにあらかじめ用意された静止画像を連続表示して動画表示を行う方式ではなく、ベクター情報にパラメタを与えた描画方式により、動画表示を行う方法も考えられる。この場合には、画面構成比を描画用のパラメタとして与えるように用意すれば良い。すなわち、例えば、図14(A)に示したようにxy軸をとり、xを0からt、yを0からuまで変化させることにより任意の画面位置を表すものとし、パラメタとして画面構成比Rを与えた次の式(1),(2)で規定される領域を、矩形画像82として描画する。矩形画像82の内部領域は、ハッチング(塗りつぶし)表示する。この場合、効果表現格納部110に、式(1),(2)に関する情報をあらかじめ格納しておく。なお、式(1),(2)において、「*」は乗算を、「/」は除算を示す。画面構成比Rは面積比ではなく(例えばx軸方向の)長さの比としている。
【0081】
(t/2)-(t/2)*(R/100) ≦ x ≦ (t/2)+(t/2)*(R/100) ……(1)
(u/2)-(u/2)*(R/100) ≦ y ≦ (u/2)+(u/2)*(R/100) ……(2)
【0082】
式(1),(2)を用いた描画を、画面構成比Rの値が更新されるたびに(または一定時間間隔で)繰り返すことにより、映像の切り替え状態に応じたアニメーション風の表示を実現できる。なお、最初に表示する図14(A)に示した画面における十字状の画像81については、矩形画像82とは別に用意された、例えばビットマップ形式のイメージデータによる表示を行う。以上のようなベクター情報を利用した描画は、図14に示したものに限定されず、図14とは異なる画面構成であっても実現可能である。
【0083】
図15〜図17は、動作情報のさらに他の表示例を示している。図15〜図17の表示画像は、いずれも例えば図12に示した表示画面における表示画像75の表示位置に組み込まれるものである。図15(A)〜図15(D)は、画面左上隅から映像の境界線が自身と垂直な方向に進行するようにして映像の切り替えが行われる映像特殊効果を表現した表示例である。時間的には、図15(A)から図15(D)へと順に表示される。最初に表示される左上隅の十字状の画像91(図15(A))は、次の映像信号による映像が画面に表示される位置を事前に示すものである。
【0084】
図16(A)〜図16(D)は、映像の境界線が画面の左下隅を中心として回転するようにして映像の切り替えが行われる映像特殊効果を表現した表示例である。時間的には、図16(A)から図16(D)へと順に表示される。最初に表示される左下隅の小さい円状の画像92(図16(A))は、その位置が映像の回転中心となることを事前に示すものであり、一方、左上隅の十字状の画像91は、図15(A)の場合と同様に、次の映像信号による映像が画面に表示される位置を事前に示すものである。
【0085】
図17(A)〜図17(D)は、画面中央の水平線93を初期状態とする2本の境界線93A,93Bが回転するようにして、映像の切り替えが行われる映像特殊効果を表現した表示例である。時間的には、図17(A)から図17(D)へと順に表示される。最初に表示される左端中央の小さい円状の画像92(図17(A))は、その位置が映像の回転中心となることを事前に示すものであり、一方、右端中央の十字状の画像91は、画面中央の水平線93と合わせて、図15(A)の場合と同様に、次の映像信号による映像が画面に表示される位置を事前に示すものである。
【0086】
なお、以上では静止画像による映像特殊効果の種類の表示(図12の表示画像75)と動画による動作状態の表示(図14など)のどちらか一方のみを行うものとして説明したが、より好適には、これらの静止画像と動画像とを並べて同時に表示することが望ましい。
【0087】
図18(A)〜図18(D)は、動作情報を静止画像と動画像とを同時に表示して表現した例である。図に示した表示画像は、画面左上隅から矩形状に映像の切り替えが行われる映像特殊効果を表現した表示例であり、時間的には、図18(A)から図18(D)へと順に表示されるものである。図18(A)〜図18(D)のそれぞれにおいて、上側の画像95は、静止画表示であり、下側の画像96は、アニメーション風の動画像表示となっている。静止画像95は、一表示で特殊効果の概要を示したものであり、図示したように、矩形画像に加えて、切り替え動作の進行方向を示す矢印95Aを表示することで、進行中の特殊効果の種類を明確に表現している。動画像96は、図14に示した動画と同様に、画面構成比の変化に合わせて、その表示状態を適宜変化させつつ連続的に表示することにより、その時点の動作状況を、分かりやすく表現したものである。すなわち、この動画像96は、最初に、新しい映像が“現れる”位置に十字状の画像96Aを表示し(図18(A))、次に、切り替え動作の進行状況に合わせて、十字状の画像96Aで示した位置に、矩形画像96Bを徐々に大きくしながら表示していく(図18(B)〜図18(D))ようなものである。このように静止画像と動画像とを組み合わせた表示を行うことにより、操作者は、映像特殊効果部101の切り替え動作をより認識しやすくなる。なお、静止画像と動画像とを表示する位置は、上下方向に限定されず、例えば左右方向に表示しても良い。
【0088】
図19(A)〜図19(D)は、図18に示した表示例の変形例を示しており、時間的には、図19(A)から図19(D)へと順に表示されるものである。図18の表示例では、静止画像と動画像とを上下の領域に分けて表示していたが、図19では、図18に示した静止画像95と動画像96とを重ね合わせたような表示を行っている。図19において、画像97Aが図18の静止画像95に対応し、画像97Bが図18の動画像96に対応している。画像97Aと画像97Bは、互いを区別できるような表示となっていることが望ましく、例えばそれぞれの表示色が異なっている(図ではハッチングパターンを変えて区別している)。このように図19の例では、例えば多色の表示を行うことにより、2つの画像を重ね合わせても認識可能な表示とされている。このような表示方式によれば、図18に示した表示画像に比べて小さい表示画像でありながら、ほぼ同じ情報量の動作情報を表現することができ、動作情報の表示に要する画面領域を節約することができる。
【0089】
以上では、切り替え動作を例に挙げて動作状態数値の表示例について説明してきたが、第1の操作部10Aに表示可能な動作状態数値としては、切り替え動作のほかにも、種々のものがある。例えば、動作状態数値として、映像のはめ込み処理を行っている場合における、そのはめ込み映像の位置と大きさの値などがある。この映像のはめ込みによる特殊効果は、ピクチャ・イン・ピクチャとも呼ばれる。このような特殊効果では、はめ込まれる映像の位置と大きさとを、時間と共に変化させることもできる。このような特殊効果は、例えば、あらかじめ主制御部102に、複数の制御コマンドの連続(配列)を記憶させておき、その記憶に従って映像特殊効果部101を動作させることにより実現することができる。このような特殊効果の場合にも、切り替え動作の場合と同様に、特殊効果の経過時間比、および、はめ込まれる映像の位置や大きさの値などの動作状態を示す種々の値を、文字列による数値表示あるいは帯グラフ状のグラフィカル表示で表現すことが可能である。これにより、切り替え動作の場合と同様に、操作者に有益な動作情報を提供することができる。
【0090】
そのほかに表示可能な動作状態数値としては、例えば映像信号の輝度信号部分を加工している場合における、その加工内容を示す各種の数値がある。輝度信の加工内容としては、例えば、輝度の上げ下げや階調数の変更などがある。さらに他の動作状態数値としては、輝度信号と同様に、映像信号の色信号部分の加工内容を示す各種の数値がある。さらにその他にも、動作状態数値としては、映像の縮小、拡大または回転などの特殊効果を施した場合における、種々のパラメタ値などがある。本実施の形態における動作状態数値の表示は、特に、数値が時間的に変化する映像特殊効果が行われている場合に有益である。また、このような動作状態数値の表示は、操作者の操作を助ける情報となる。例えば、本システムの運用形態として、映像に施す特殊効果をあらかじめ作成・用意した操作者と、特殊効果を実際に実行させる際に、その動作状態を監視している操作者とが異なる場合がある。このような場合には、従来の方法では、動作状態を監視している操作者は特殊効果の詳細をあまり把握することができないが、本実施の形態による動作状態の表示を行うことにより、操作者はその特殊効果に関する情報不足を補うことができる。
【0091】
また、以上では、映像特殊効果部101から出力される最終の出力映像信号118に関する情報を、システム内の第1の操作部10Aに表示した場合を例に説明したが、出力映像信号118が、さらに別の処理装置(システム)への入力信号となる場合もある。このような場合にも、本実施の形態による情報表示を、別の処理装置において行うことで、その別の処理装置を利用する操作者への情報として利用することが可能である。
【0092】
次に、以上で説明したような動作状態をグラフィカルに表示するための主制御部102と第1の操作部10Aとにおける処理動作について説明する。図20は、主制御部102による動作状態数値の送信処理動作の流れを示している。図20は、映像特殊効果部101において、ワイプなどの入力映像信号の切り替え処理を伴う映像特殊効果が行われる場合の送信処理の例である。主制御部102は、まず、動作情報生成部103から、切り替え動作開始時に実行する特殊効果の種類の情報と、切り替え後の入力映像信号(切り替えによりこれから新しく選択される入力映像信号)の番号の情報とを取得し、それらの情報を操作制御部105aに送信する(ステップS131)。このとき、主制御部102は、必要に応じて、切り替えに要する時間などの情報も送信する。なお、切り替え前の入力映像信号(現在選択されている入力映像信号)の番号の情報は、切り替え動作開始よりも前に、既に操作制御部105aに送信されている。
【0093】
次に、主制御部102は、動作情報生成部103から、切り替え動作に関する映像比率や切り替え動作の進行時間(経過時間)などの動作状態数値の情報と現時点で選択されている入力映像信号の番号の情報とを取得し、それらの情報を操作制御部105aに送信する(ステップS132)。次に、主制御部102は、動作情報生成部103から得た情報に基づいて、映像特殊効果部101における切り替え処理が終了したか否かを判断する(ステップS133)。切り替え処理が終了していないと判断した場合(ステップS133;N)、主制御部102は、一定時間の処理待ちを行い(ステップS134)、一定時間経過後、ステップS132の処理に戻る。切り替え処理が終了したと判断した場合(ステップS133;Y)、主制御部102は、切り替え処理が終了したことを操作制御部105aへ通知して(ステップS135)、動作状態数値の送信処理を終了する。
【0094】
なお、ステップS134において一定時間の処理待ちを行うのは、通常、主制御部102を構成するマイクロコンピュータの動作速度(サイクル速度)が速く、単純に動作を繰り返すのみではその動作が早すぎるため、一定間隔をあけた動作を行うことが望ましいためである。処理待ち時間の計測は、例えば、主制御部102のマイクロコンピュータ内蔵のタイマを利用して行う。
【0095】
次に、図21の流れ図を参照して、図20に示した主制御部102による送信処理動作に対応する、操作制御部105aの処理動作について説明する。操作制御部105aは、主制御部102から送信(図20のステップS131)された、特殊効果の種類の情報と、切り替えにより新しく選択される入力映像信号の番号の情報とを受信する(ステップS161)。操作制御部105aは、効果表現格納部110に格納された表示データの中から、受信した情報に対応した表示データを取得し、その表示データに基づいて、表示部106aに切り替え動作の進行状況を示す表示(図11などに示した表示)を開始する(ステップS162)。その後、操作制御部105aは、主制御部102から送信された現時点における動作状態数値の情報を受信する。それと共に、操作制御部105aは、効果表現格納部110から動作状態数値に対応する表示データ得て、表示部106aの表示に反映させ(ステップS163)、その表示内容を動作状態数値に応じて随時更新する。次に、操作制御部105aは、主制御部102から切り替え終了の通知を受信した場合(ステップS164;Y)には、切り替えに関する表示を終了する(ステップS165)。主制御部102から切り替え終了の通知を受信していない場合(ステップS164;N)には、操作制御部105aは、ステップS163の処理に戻る。
【0096】
図22は、図20と図21で示した処理に関する主制御部102と操作制御部105aとの間の通信シーケンスを示している。図22に示したように、切り替え動作の開始前には、現在選択されている切り替え前の入力映像信号の番号の情報が主制御部102から操作制御部105aに送信される(ステップS171)。切り替え動作開始時には、実行する特殊効果の種類の情報と、切り替え後の入力映像信号の番号の情報とが主制御部102から操作制御部105aに送信される(ステップS172)。このステップS172の処理は、図20のステップS131および図21のステップS161に対応する。切り替え動作の進行時には、映像比率や切り替え動作の進行時間などの動作状態数値の情報と現時点で選択されている入力映像信号の番号の情報とが、主制御部102から操作制御部105aに、切り替え動作の終了時まで一定間隔で繰り返し送信される(ステップS173,S174)。このステップS173,S174の処理は、図20のステップS132および図21のステップS163に対応する。切り替え動作の終了時には、切り替え動作が終了したことを示すコマンドが、主制御部102から操作制御部105aに送信される(ステップS175)。このステップS175の処理は、図20のステップS135および図21のステップS165に対応する。
【0097】
[第1の操作部10Aの機能に関する変形例]
次に、上述した第1の操作部10Aの機能の変形例について説明する。上記実施の形態においては、1つの操作部10Aに表示要素格納部108とリンク情報保持部109を設け、1つの操作部10Aにのみ情報表示を行う例を示した。しかしながら本発明は、複数の操作部において、情報表示を行うことも可能である。複数の操作部(表示部)において情報表示を行うことにより、各操作部を利用する操作者および関係者(入力映像信号の作成作業をしている担当者など)が、その時点の出力映像信号の状態を容易に把握することが可能となり、状態に即した判断を行うことができ、作業をしやすくなる。なお、以下の変形例の説明は、表示要素格納部108とリンク情報保持部109とを利用した表示に関するものであるが、効果表現格納部110とリンク情報保持部111とを利用した動作状態の表示機能についても同様である。
【0098】
<変形例1>
第1の変形例としては、複数の操作部のそれぞれにおいて、第1の操作部10Aの操作制御部105aと同様の動作を行う。各操作部には、表示要素格納部108とリンク情報保持部109とを独自に設ける。表示要素データの格納とそのリンク情報の設定は、各操作部における操作制御部105が独自に行う。各操作部で使用する表示要素データの内容とそのリンク情報の設定は、同一内容にすることも異なる内容にすることも可能である。各操作部における操作制御部105は、各操作部に設けられた表示要素格納部108の表示要素データとリンク情報保持部109のリンク情報とを参照して、独自に表示要素データの表示を行う。本変形例によれば、複数の操作部のそれぞれにおいて、出力映像信号118に含まれる入力映像信号117の情報の表示を行うことができる。
【0099】
<変形例2>
本変形例は、第1の変形例と同様に、各操作部に、表示要素格納部108とリンク情報保持部109とを独自に設けるようになっているが、表示要素データの格納とそのリンク情報の設定方法が異なっている。本変形例では、まず、1つの操作部において、図6に示した動作を行って、表示要素データの格納とそのリンク情報の設定を行う。その後、その操作部の操作制御部から、他のすべての操作部の操作制御部に対して、通信ネットワーク119を介して、リンク情報の設定内容などを送信する。受信した他の操作部の操作制御部は、受信内容を、各々の表示要素格納部108とリンク情報保持部109に格納する。
【0100】
本変形例によれば、1つの操作部において表示要素データの格納とそのリンク情報の設定を行った後、その設定内容を、他のすべての操作部に対して一度に送信するようにしたので、すべての操作部における設定内容を、容易に同じ状態に保つことができる。従って、すべての操作部における表示内容を、容易に同じ状態に保つことができる。
【0101】
<変形例3>
上記第1および第2の変形例では、複数の操作部のそれぞれに、表示要素格納部108とリンク情報保持部109とを設けるようにした。本変形例では、表示要素格納部108とリンク情報保持部109とを、通信ネットワーク119上または通信ネットワークを介してアクセス可能な1カ所にのみ配置し、各操作部は、ネットワーク経由でその情報を参照する構成となっている。すなわち、表示要素格納部108とリンク情報保持部109とを一種の「サーバ」として設置し、各操作部は「クライアント」としてサーバを利用する形態である。このようなサーバを設置する方法には、いくつかの形態が考えられる。
【0102】
(変形例3-1)
まず、本変形例の第1の例について説明する。本変形例は、1つの操作部内にのみ表示要素格納部108とリンク情報保持部109とを設け、その操作部に、サーバ(以下、サーバ操作部という。)の機能を持たせたものである。表示要素格納部108における表示要素データの格納処理とリンク情報保持部109におけるリンク情報の設定処理(図6)は、サーバ操作部において行う。その他の操作部における操作制御部は、主制御部102から入力映像信号の番号の情報を受信すると、サーバ操作部にその番号による問い合わせを行う。サーバ操作部は、他の操作部からの問い合わせを受けると、問い合わせられた入力映像信号の番号に対応する表示要素のデータを検索し、問い合わせ元の操作部に返信する。サーバ操作部からの返信を受けた操作部は、返信された表示要素のデータを表示部に表示する。
【0103】
(変形例3-2)
次に、本変形例の第2の例について説明する。本変形例は、表示要素格納部108とリンク情報保持部109とを、操作部10の操作制御部105ではなく主制御部102に接続して設けたものである。本変形例では、表示要素格納部108における表示要素データの格納処理とリンク情報保持部109におけるリンク情報の設定処理を、操作部10(の操作制御部105)からの指示に基づいて行う。主制御部102は、通信ネットワーク119を介して操作制御部105の指示を受け、表示要素格納部108とリンク情報保持部109とにおける設定処理を行う。主制御部102は、出力映像信号118に含まれる入力映像信号117の番号の情報を動作情報生成部103から取得すると、取得した番号の情報を操作制御部105に送信する。主制御部102は、また、表示要素格納部108とリンク情報保持部109とを参照して、動作情報生成部103から取得した番号の情報に対応する表示要素データを取得する。主制御部102は、取得した表示要素データを、通信ネットワーク119経由で、すべての操作制御部105に送信する。この結果、すべての操作部で同じ表示要素データを得て、表示内容を同一にすることができる。
【0104】
(変形例3-3)
次に、本変形例の第3の例について説明する。本変形例は、操作部10や主制御部102とは独立して、別途、通信ネットワーク119上にサーバ機器を配置し、そのサーバ機器内に表示要素格納部108とリンク情報保持部109とを設けたものである。表示要素格納部108における表示要素データの格納処理とリンク情報保持部109におけるリンク情報の設定処理は、通信ネットワーク経由で、操作部10(の操作制御部105)からの指示に基づいて行う。各操作部の操作制御部105は、主制御部102から入力映像信号の番号の情報を受信すると、サーバ機器にその番号による問い合わせを行う。サーバ機器は、操作部からの問い合わせを受けると、問い合わせられた番号に対応する表示要素のデータを検索し、問い合わせ元の操作部に返信する。サーバ機器からの返信を受けた操作部は、返信された表示要素のデータを表示部に表示する。
【0105】
なお、本変形例のさらなる変形例として、表示要素格納部108のみをサーバ機器内に設け、リンク情報保持部109については各操作部に設けるような構成も考えられる。サーバ機器は、複数設けても良い。この変形例では、リンク情報保持部109におけるリンク情報の設定に、ネットワーク経由でサーバの資源を特定できるような記述方式を使用することで、サーバ機器内の表示要素データを各操作部から特定できるようにする。ここで、サーバの資源を特定するための記述方式としては、例えば、インターネットなどで利用されているURL(Uniform Resource Locator)などがある。
【0106】
以上説明したように、本変形例(変形例3-1〜3-3)によれば、表示要素格納部108とリンク情報保持部109とを一種のサーバとして設け、各操作部はそのサーバを通信ネットワーク119を介して利用するようにしたので、各操作部で同一の情報を取得して、同一の表示を行うことができる。
【0107】
以上のように、ネットワーク上に表示要素格納部108とリンク情報保持部109とをサーバとして配置した構成は多数考えられる。なお、上記した各変形例とは異なる構成であっても、本発明は実施可能である。
【0108】
[第2の操作部10Bに関する動作]
次に、第2の操作部10Bに特有の機能を用いた動作について説明する。図23(A)〜図23(C)は、キー信号212を用いて特殊効果が施された出力映像の例を示している。図23(A)は、3番目の入力映像信号S3によって表される、2人の人物が映った映像V3の下部に、1番目のキー信号K1によって表される文字列を合成して表示した例である。また、図23(B)は、5番目の入力映像信号S5によって表される、2つの山が映った映像V5の下部に、2番目のキー信号K2によって表される文字列を合成して表示した例である。図23(C)は、図23(A)と同じ種類の信号S1,K1を用いて、同じ種類の特殊効果を施したものであるが、図23(A)とは表示時刻が異なるために、3番目の映像V3の表示内容が変化していることを示している。なお、実際には、入力映像信号のみならず、キー信号も時間経過によって変化する場合があるが、図23(C)では、キー信号が時間経過に関わらず同一の文字列を表す場合の表示例を示している。
【0109】
ここで、映像の表示を、図23(A)の状態から図23(B)の状態を経て、図23(C)の状態へと変化させる場合について考察する。この場合、図23(B)の状態から図23(C)の状態へと映像の表示を変化させるためには、以前に実施した図23(A)の表示を行うための映像特殊効果部101の設定を記憶しておき、その記憶した設定に基づく特殊効果を再度実行させれば良い。このように、一度行った特殊効果を再度実行させるような目的で、主設定記憶部104および操作部設定記憶部112bにおいて、映像特殊効果部101の設定の記憶が行われる。
【0110】
図24(A)〜図24(C)は、映像特殊効果部101において、キー信号212を使用せずに特殊効果を施した映像の表示例を示している。図24(A)は、3番目の映像V3の右下の領域に、5番目の映像V5を縮小してはめ込むような特殊効果を施した例である。図24(B)は、べた塗りの平坦な単色画像VC(図ではハッチングによって示す)の中に、5番目の映像V5を、通常より一回り程度縮小してはめ込むような特殊効果を施した例である。図24(C)は、3番目の映像V3と5番目の映像V5とを、大きさを変えずに重ねるような特殊効果を施した例である。複数の映像を重ねるような特殊効果としては、単純に複数の映像信号を加算してしまう方法や、画素ごとに輝度を判別して輝度の高い方の映像を表示する方法などがある。またそのほかにも、各映像信号の色成分からキー効果の信号(映像が重なる部分を切り取るための信号)を発生させて処理する方法などがある。主設定記憶部104および操作部設定記憶部112bは、以上のような種々の映像特殊効果を実行している映像特殊効果部101の任意の時点における設定状態の情報を設定情報として記憶する役割を持っている。
【0111】
図25は、主設定記憶部104および操作部設定記憶部112bに記憶される設定情報の一例を示している。主設定記憶部104および操作部設定記憶部112bは、図25で示したような設定状態に関するデータ、すなわち設定情報を1つまたは複数配列したものを記憶する。映像特殊効果部101が、図3に示した構成である場合、その設定状態の項目としては、例えば、バス215(バスA)で選択している入力映像信号の番号、バス216(バスB)で選択している入力映像信号の番号、バス218(バスK)で選択しているキー信号の番号、合成効果部214の動作の種類とそのパラメタ値、キー処理部217の動作の種類とそのパラメタ値などがある。合成効果部214およびキー処理部217の動作のパラメタ値は、動作の種類に応じて内容と数(項目数)が変化する。また、映像特殊効果部101の機能が増えれば、それに伴い設定状態の項目数も増える。
【0112】
図25において、「バスAの選択信号」の項目は、バス215(バスA)で選択している入力映像信号117の番号を示している。この項目の設定値が例えば「3」である場合、バスAが3番目の入力映像信号S3を合成効果部214に送ることを示す。「バスBの選択信号」の項目は、バス216(バスB)で選択している入力映像信号117の番号を示している。この項目の設定値が例えば「7」である場合、バスBが7番目の入力映像信号S7を合成効果部214に送ることを示す。「バスKの選択信号」の項目は、バス218(バスK)で選択しているキー信号212の番号を示している。この項目の設定値が例えば「2」である場合、バスKが2番目のキー信号K2をキー処理部217に送ることを示す。
【0113】
「切替動作」の項目は、合成効果部214が行う切り替え動作の種類を番号で示している。この項目における番号の意味は、あらかじめ定義されている。この項目の設定値が例えば「0」ならば切り替え動作なし、「1」ならばワイプを用いた切り替え動作、などとあらかじめ定義されている。「効果の種類」の項目は、合成効果部214で実行中の効果の種類を番号で示している。この項目についても、あらかじめ番号の意味を定義しておく。この項目の設定値が例えば「41」ならば、映像に対して画面全体に渡ってピンぼけ様のフィルタをかける処理(各画素の値を周辺画素と相互に平均化する処理)を行う、などとあらかじめ定義されている。「遷移時間」の項目は、「効果の種類」の項目で示されている合成効果部214が行っている効果の継続時間を示している。「遷移時間」の項目における時間の単位は、あらかじめ定められている(例:ミリ秒)。図25の例では、41番として定義されている効果が3000ミリ秒継続していることが示されている。「キー処理」の項目は、キー処理部217の動作の種類を番号で示している。この項目における番号の意味も、あらかじめ定義されている。この項目の設定値が例えば「1」ならば、通常のキー処理の実行、「0」ならばキー処理なし、などとあらかじめ定義されている。
【0114】
図26は、主設定記憶部104および操作部設定記憶部112bに設定状態のデータ(設定情報)を複数組記憶させた場合のデータ配列を示している。図26において、符号D0を付した部分が、1組の設定状態のデータを示している。設定状態のデータを複数組記憶させる場合には、個々の設定状態を識別するためのインデックス数値を付与する。例えば、n組の設定状態のデータがある場合には、それぞれのデータに、0,1,2,3,...,n−1のインデックス数値を与える。
【0115】
図27は、主制御部102と第2の操作部10B(の操作制御部105b)との間で行われる設定情報の送受信に伴う通信処理の概要を示している。操作制御部105bは、操作者の指示に従って、映像特殊効果部101の制御を指示するコマンドを主制御部102に送信する(ステップS231)。主制御部102は、操作制御部105bからのコマンドを受信すると、そのコマンドに従って映像特殊効果部101を制御し、映像特殊効果部101の各部の設定変更を行う。このような通信処理は、操作者の指示に応じて順次繰り返される。
【0116】
このような通信処理を行っている間に、操作者が映像特殊効果部101の現在の設定状態を記憶したい(後で使用したい)と考えると、操作者は、入力部107bを操作して操作制御部105bに対して設定状態の記憶の指示を行う。操作制御部105bは、操作者からの指示に従って、現在の設定状態の記憶を指示するコマンドを主制御部102に送信する(ステップS232)。主制御部102は、操作制御部105bからのコマンドを受信すると、そのコマンドに従って、主設定記憶部104に設定状態の情報を設定情報として記憶すると共に、主設定記憶部104に記憶させた内容を、操作制御部105bに転送する(ステップS233)。操作制御部105bは、主制御部102から設定状態の情報を示すデータを受信すると、そのデータを操作部設定記憶部112bに記憶する。この結果、主設定記憶部104と操作部設定記憶部112bとの記憶内容を同一に保つことができる。これにより、主制御部102と操作制御部105bとで、設定状態に関しては同じ内容の情報を適宜参照することができる。
【0117】
図28は、図27に示した通信処理に関連する操作制御部105bの動作を説明するためのものである。操作制御部105bは、入力部107bの操作状況を随時監視すると共に、操作者による入力部107bからの操作入力を随時受け付け(ステップS241)、その操作の指示内容の判断を行う(ステップS242,S243)。操作の内容が映像特殊効果部101の制御(設定)を指示するものであれば(ステップS242;Y)、操作制御部105bは、操作者によって指示された制御内容を示す制御コマンドを主制御部102に送信した後(ステップS247、図27のステップS231)、再びステップS241に戻って、操作者の操作入力を受け付ける。また、操作の内容が映像特殊効果部101の制御を指示するものでも、映像特殊効果部101の設定状態の記憶を指示するものでもない場合(ステップS242,S243;N)には、操作制御部105bは、操作内容に応じたその他の処理を行った後(ステップS248)、再びステップS241に戻って、操作者の操作入力を受け付ける。
【0118】
一方、操作の内容が、映像特殊効果部101の設定状態の記憶を指示するものであれば(ステップS243;Y)、操作制御部105bは、映像特殊効果部101の現在の設定状態を記憶するよう指示するコマンドを、主制御部102に送信する(ステップS244、図27のステップS232)。その後、操作制御部105bは、主設定記憶部104に記憶されたものと同じ内容の設定状態のデータを、主制御部102から受信する(ステップS245)。操作制御部105bは、受信した設定状態のデータを操作部設定記憶部112bに記憶した後(ステップS246)、再びステップS241に戻って、操作者の操作入力を受け付ける。
【0119】
図29は、図28に対応する主制御部102の動作を説明するためのものである。主制御部102は、操作制御部105bからのコマンドを随時受信し(ステップS261)、そのコマンドの内容を判断する(ステップS262,S263)。コマンドの内容が映像特殊効果部101の制御(設定)を指示するものであれば(ステップS262;Y)、主制御部102は、映像特殊効果部101の設定に関する制御を行った後(ステップS266)、再びステップS261に戻って、操作制御部105bからのコマンドを受け付ける。また、コマンドの内容が映像特殊効果部101の制御を指示するものでも、映像特殊効果部101の設定状態の記憶を指示するものでもない場合(ステップS262,S263;N)には、主制御部102は、コマンドの内容に応じたその他の処理を行った後(ステップS267)、再びステップS261に戻って、操作制御部105bからのコマンドを受け付ける。
【0120】
一方、コマンドの内容が、映像特殊効果部101の設定状態の記憶を指示するものであれば(ステップS263;Y)、主制御部102は、現在の映像特殊効果部101の設定状態の情報を、主設定記憶部104に記憶する(ステップS264)。それと共に、主制御部102は、主設定記憶部104に記憶したものと同じ内容の設定状態のデータを、操作制御部105bに送信する(ステップS265)。その後、主制御部102は、再びステップS261に戻って、操作制御部105bからのコマンドを受け付ける。
【0121】
ところで、以上では、1つの操作部10Bに設定状態の記憶を行う場合について説明したが、多くの映像特殊効果システムでは、複数の操作部を備えている。このようなシステムでも、複数の操作部のそれぞれに操作部設定記憶部112bを設けることで、第2の操作部10Bと同様に設定状態の記憶を行うことができる。
【0122】
以下、複数の操作部のそれぞれに操作部設定記憶部112bを設けた場合の記憶動作について簡単に説明する。この場合、複数の操作部のうち、操作者から指示を受けた任意の操作部の操作制御部105が、1つの操作部10Bにおいて設定状態の記憶を行う場合と同様に、図28の処理を行う。操作者から指示を受けた操作制御部105は、設定状態の記憶を指示するコマンドを主制御部102に送信する(図28のステップS244)。また、主制御部102は、1つの操作部10Bにおいて設定状態の記憶を行う場合と同様に、図29の処理を行う。ただし、主制御部102は、操作制御部105から設定状態の記憶を指示するコマンドを受けると、図29のステップS265に示した設定状態のデータの送信処理を、設定状態の記憶を指示した操作制御部105のみならず、他のすべての操作部の操作制御部105に対して実行する。設定状態の記憶を指示した操作制御部105は、設定状態のデータを主制御部102から受信し、そのデータを自身の操作部設定記憶部112bに記憶する(図28のステップS245,S246)。
【0123】
一方、設定状態の記憶を指示していない他の操作制御部105も、主制御部102からのデータを受け付ける。図30は、他の操作制御部105の動作を示したものである。他の操作制御部105は、設定状態のデータを主制御部102から受信する(ステップS251)と、受信した設定状態のデータを、自身の操作部設定記憶部112bに記憶して(ステップS252)、設定状態のデータの記憶処理を終了する。その後、他の処理の処理待ち状態となる。以上の処理は、すべての操作部における操作制御部105が、常時、図28に示した操作者からの操作入力に基づく処理と図28に示した主制御部102からの通信に基づく処理とを共に、並列的に実行待ち状態(イベント待ち状態)として動作させることにより実現可能である。
【0124】
次に、以上のようにして記憶した設定情報に基づく「復旧」動作について説明する。本システムは、以下で説明する復旧処理を行って、操作部設定記憶部112bに記憶した設定情報(実際には主設定記憶部104に記憶した設定情報)を映像特殊効果部101に反映させることで、映像特殊効果部101の動作を以前の状態に戻すことが可能となっている。このような復旧動作を行う機能は、“スナップショット”などと呼ばれている。
【0125】
図31は、操作制御部105bが行う設定復旧処理の動作を示している。操作制御部105bは、操作者によって入力部107bから「設定復旧」を指示する操作入力が行われると(ステップS291)、その指示を示す設定復旧コマンドを主制御部102に送信する(ステップS292)。次に、操作制御部105bは、その設定復旧コマンドに対する主制御部102からの応答を受信する(ステップS293)。主制御部102からの応答が復旧成功を示すものであれば(ステップS294;Y)、操作制御部105bは、操作部設定記憶部112bの記憶内容を参照して、表示部106bの表示を更新(ステップS295)し、復旧された設定内容を示す表示を行う(図33参照)。一方、主制御部102からの応答が復旧の失敗を示すものであれば(ステップS294;N)、操作制御部105bは、表示部106bに設定復旧に失敗した旨の表示を行う(ステップS296)。
【0126】
図32は、主制御部102が行う設定復旧処理の動作を示している。主制御部102は、操作制御部105bからの設定復旧コマンドを受信すると(ステップS301)、主設定記憶部104の記憶内容を参照して、設定復旧に必要とされる設定情報を取得し、その情報に基づいて映像特殊効果部101の設定復旧処理を行う(ステップS302)。映像特殊効果部101に対する復旧処理が正常に完了したならば(ステップS303;Y)、主制御部102は、設定復旧が成功したことを示す信号を、操作制御部105bに対する応答信号として、操作制御部105bに送信する(ステップS304)。このとき、操作部設定記憶部112bを有する複数の操作部が存在する場合には、すべての操作部の操作制御部に対して設定復旧が成功したことを示す信号を送信する。一方、例えば設定復旧に必要とされる設定情報が主設定記憶部104にない場合や、主設定記憶部104に記憶されている設定情報では映像特殊効果部101を正常に設定できない場合には、主制御部102は、この設定復旧処理は失敗であると判断する(ステップS303;N)。この場合、主制御部102は、設定復旧が失敗したことを示す信号を、操作制御部105bに対する応答信号として、操作制御部105bに送信する(ステップS305)。このとき、操作部設定記憶部112bを有する複数の操作部が存在する場合には、設定復旧を要請した操作制御部にのみ設定復旧の失敗を通知すれば良い。
【0127】
図33は、設定復旧処理を行った場合に、第2の操作部10Bの表示部106bに表示される表示画面の例を示している。図33は、映像特殊効果部101が例えば図3に示した構成である場合の、その設定状態のデータの表示例を示している。この表示画面は、操作部設定記憶部112bに記憶されている、例えば図25に示した設定状態のデータに基づいて表示される。
【0128】
この表示画面には、設定状態の情報を項目別に表示する表示領域35が設けられている。図33において、表示領域35に表示されている「バスA」の項目は、バス215(バスA)で選択する入力映像信号117の番号の設定を示している。図では、「バスA」の項目に「3」が表示されており、バスAが3番目の入力映像信号S3を合成効果部214に送る設定であることを示している。「バスB」の項目は、バス216(バスB)で選択する入力映像信号117の番号の設定を示している。図では、「バスB」の項目に「7」が表示されており、バスBが7番目の入力映像信号S7を合成効果部214に送る設定であることを示している。「切替」の項目は、合成効果部214が行う切り替え動作の種類の設定を示している。図では、「切替」の項目に「0」が表示されており、合成効果部214が切り替え動作を実行しない設定であることを示している。「効果」の項目は、合成効果部214で実行する効果の種類の設定を示している。効果の種類は、あらかじめ番号で定義されており、図では、「15」番で定義された効果を行う設定であることを示している。
【0129】
「キー」の項目は、キー処理部217の動作に関する設定を示している。図33では、「キー」の項目は、2つあり、1つはバス218(バスK)で選択するキー信号の番号の設定を示し、もう1つはキー処理を実行するか否かの設定を示している。図では、バスKで「2」番目のキー信号を選択し、キー処理を実行(ON)する設定となっている。「ボーダー」の項目は、キー処理部217におけるボーダー処理の種類の設定を示している。ボーダー処理の種類は、あらかじめ番号で定義されており、図では、「1」番で定義された処理を行う設定であることを示している。なお、ボーダー処理とは、キー効果(映像の合成をする場合に用いられる効果の1つ)の部分に境界線を付ける処理のことである。この表示画面には、また、「直前の操作」(設定復旧を行うことを指示する操作やその他の個別の制御操作)が成功したか否かを表示する表示領域36が設けられている。図では、「直前の操作」の項目に、例えば復旧処理が成功したことを示す「成功」の文字表示がなされている。なお、例えば復旧処理が失敗したときには、「直前の操作」の項目部分に、例えば「失敗」の文字表示がなされる。
【0130】
なお、図33では、設定状態の情報を文字で表示した例を示したが、例えば図12に示した動作情報の表示例と同様に、設定状態の情報をより分かりやすくグラフィカルに表現して表示しても良い。
【0131】
次に、複数の設定状態のデータを扱う場合(図26参照)の動作について説明する。まず、設定状態のデータを記憶させるときの動作について説明する。この場合、操作者は、設定状態の記憶を指示するときに、設定状態のデータに付与するインデックス数値を入力する。操作制御部105bは、図28のステップS244の送信処理を行うときに、設定状態の記憶を指示するコマンドに、操作者により指示されたインデックス数値を付加して、主制御部102に送信する。主制御部102は、操作制御部105bからのコマンドを受信すると、そのコマンドに付加されたインデックス数値に対応する、主設定記憶部104のアドレス位置に、設定状態のデータを記憶する(図29のステップS264)。また、主制御部102は、操作制御部105bに設定状態のデータを送信するとき(ステップS265)に、設定状態のデータにインデックス数値を付加して送信する。操作制御部105bは、主制御部102から設定状態のデータを受信する(ステップS245または図30のステップS251)と、設定状態のデータに付加されたインデックス数値に対応する、操作部設定記憶部112bのアドレス位置に、設定状態のデータを記憶する(ステップS246またはステップS252)。このような動作が複数回繰り返されることにより、主設定記憶部104および操作部設定記憶部112bに、複数の設定状態のデータが記憶される。
【0132】
次に、複数の設定状態のデータを扱う場合における設定復旧の動作について説明する。この場合、操作者は、設定復旧の指示を行うときに、インデックス数値を入力して、復旧させたい設定状態のデータを指定する。操作制御部105bは、図31のステップS292の送信処理を行うときに、設定復旧コマンドに、操作者により指定されたインデックス数値を付加して、主制御部102に送信する。主制御部102は、操作制御部105bからの設定復旧コマンドを受信する(図32のステップS301)と、主設定記憶部104の記憶内容を参照して、コマンドに付加されたインデックス数値に対応する設定状態のデータを取得し、そのデータに基づいて映像特殊効果部101の設定復旧処理を行う(ステップS302)。映像特殊効果部101に対する復旧処理が正常に完了したならば、主制御部102は、設定復旧が成功したことを示す信号を送信する(ステップS304)。このとき、主制御部102は、送信信号にインデックス数値を付加して送信する。操作制御部105bは、主制御部102から復旧成功の通知を受信すると、操作部設定記憶部112bの記憶内容を参照して、通知信号に付加されたインデックス数値に対応する設定状態のデータを取得し、それに基づいて、表示部106bの表示を更新(ステップS295)し、復旧された設定内容を示す表示を行う。
【0133】
なお、複数の設定状態のデータを扱う構成にした場合には、第2の操作部10Bに、操作部設定記憶部112bが記憶している設定情報の一覧を表示する機能を付加することが望ましい。複数の設定状態が存在する場合には、設定復旧の指示を行う際に、複数の設定状態の中から設定復旧の対象となるものを1つ指定する必要がある。このとき、どのような設定情報が操作部設定記憶部112bに記憶されているかを、表示部106bに一覧表示させることができれば、操作者はその一覧を参照して復旧対象となるものを簡単に指定することができ、操作性が向上する。一覧表示の方法としては、例えば単にテキストによる表示でも良いし、グラフィカル表現を用いた表示でも良い。このとき、設定状態の数が多数あったり各設定状態の項目内容が多数あって、すべての情報を一度に表示できない場合には、画面のスクロール機能により全体を表示するようにしたり、または例えばデータを適当にグループ分けして階層的なデータ表示を行うようにすれば良い。さらに、一覧表示にGUI機能を持たせ、画面上でマウスなどによる操作を行うことにより復旧対象となるデータを選択できるようにしても良い。これにより、インデックス値を直接入力する場合よりも、所望とする設定状態の指定を容易に行うことができる。
【0134】
ところで、操作部設定記憶部112bに設定情報を記憶する処理では、主制御部102から操作制御部105bに記憶内容を送信する処理が伴うため、記憶動作の完了までに多少の処理時間を要するおそれがある。しかしながら、これはシステムの動作上ではあまり問題とはならない。一方、設定復旧を行う際には、操作部設定記憶部112bに設定情報が記憶してあることで、従来に比べて設定復旧を行う際の通信データ量が大幅に減ることになり、第2の操作部10Bにおいて設定状態の表示の更新を高速に行うことができる。従来では、通信ネットワーク119を介して主設定記憶部104から直接設定状態のデータを取得する必要があるため、設定復旧を行う際の通信データ量が多く、本実施の形態のように操作部設定記憶部112bを設ける場合よりも表示の更新が遅くなる。設定復旧処理を行う際には、出力映像の変化が伴うので、その変化に追随して表示の更新を高速に行うことが望ましい。本実施の形態によれば、設定状態の表示の高速化が図られているので、設定復旧処理の際に、操作者に的確な情報提供を行うことができる。
【0135】
なお、以上の説明では、主設定記憶部104に設定情報の記憶を行ったときに、随時、その記憶内容を第2の操作部10Bに送信し、操作部設定記憶部112bに記憶するようにしていた。しかしながら、例えば、第2の操作部10Bが、システムの稼働後、暫くしてから電源投入され起動された場合には、操作部設定記憶部112bにはなにも記憶されていないか、または記憶している内容が主設定記憶部104の記憶内容と異なっているおそれがある。また、例えば、第2の操作部10Bが第3の操作部10Cと同様に通信ネットワーク119に対して切り離し可能に構成されている場合に、その第2の操作部10Bをシステムの稼働後暫くしてから、通信ネットワーク119に接続したときにも、このような問題が起こり得る。特に、システムに複数の操作部が設けられている場合に、既にシステムに接続済みの操作部からの操作により設定状態の記憶処理が何度か行われていると、後から接続または電源投入がなされた操作部における操作部設定記憶部112bの記憶内容が、主設定記憶部104の記憶内容と大きく異なる事態が生ずる。このように主設定記憶部104と操作部設定記憶部112bとで、その記憶内容の整合性が保たれていない場合には、第2の操作部10Bから設定復旧の操作を正常に行うことができない。
【0136】
そこで、好ましくは、第2の操作部10Bがシステムの稼働後に通信ネットワーク119にあらたに接続された場合、またはあらたに電源投入された場合にも、主設定記憶部104と操作部設定記憶部112bとの記憶内容が同一に保たれるような機能が付加されていることが望ましい。具体的には、例えば、第2の操作部10B側から主制御部102に、主設定記憶部104の記憶内容の転送要求を行い、その転送要求に応じて主制御部102が主設定記憶部104の記憶内容を第2の操作部10Bに転送するような機能を付加すれば良い。第2の操作部10Bからの転送要求は、操作者の操作入力に応じて行うようにすれば良い。または、通信ネットワーク119に接続されたことを操作制御部105bが検出し、その検出に応じて操作制御部105bが自動的に転送要求を行うようにしても良い。この場合、システムには、第2の操作部10Bが通信ネットワーク119に接続されたことを検出するための接続検出機構を設ける。接続検出機構は、例えば既知のネットワークインタフェースと、ネットワーク接続を試みるプログラムとを組み合わせることで実現できる。
【0137】
次に、図34,図35を参照して、第2の操作部10B側から転送要求を行って主設定記憶部104の記憶内容を取得するまでの動作の流れをより具体的に説明する。図34は、操作制御部105bの動作手順を示し、図35は、主制御部102の動作手順を示している。操作制御部105bは、操作者の操作入力または接続検出機構の接続検出に応じて、主設定記憶部104の記憶内容の転送を要求するコマンドを、主制御部102に送信する(図34のステップS271)。主制御部102は、操作制御部105bからの転送要求コマンドを受信すると(図35のステップS281)、主設定記憶部104の全記憶内容を操作制御部105bに転送する(ステップS282)。このとき、操作部設定記憶部112bが複数の操作部に設けられている場合には、主制御部102は、転送要求のあった操作部の操作制御部105bにのみ、主設定記憶部104の記憶データを送信する。操作制御部105bは、主制御部102から、主設定記憶部104の記憶データを受信する(ステップS272)と、受信したすべてのデータを操作部設定記憶部112bに記憶する(ステップS273)。これにより、操作部設定記憶部112bの記憶内容が、主設定記憶部104の記憶内容と同一になる。
【0138】
以上の動作により、システムが稼働しているときに途中から第2の操作部10Bが接続または電源投入がなされた場合であっても、操作部設定記憶部112bの記憶内容を、主設定記憶部104と同一にすることができる。これにより、最初から接続稼働していた操作部と同じように設定復旧処理を行うができる。例えば、第2の操作部10Bを運搬移動するため、一時的にシステムから切り離し、別の場所で再度、第2の操作部10Bをネットワークに接続して使用するような場合にも、最初から接続して稼働している場合と同様に設定復旧処理を行うができる。
【0139】
なお、図34,図35に示した動作では、操作制御部105bからデータの転送要求があった場合にのみ主制御部102からデータ転送を行うようにしたが、主制御部102が、第2の操作部10Bの接続状態や稼働状態を監視し、その結果に応じて自動的に第2の操作部10Bにデータ転送を行うようにしても良い。この場合、システムに、主制御部102側でネットワークにあらたに第2の操作部10Bが接続されたことを検出できるようなネットワーク媒体やプロトコルを使用する。主制御部102は、第2の操作部10Bが接続されたことを検出すると、操作制御部105bから図34のステップS271の転送要求があったと解釈し、図35の動作を行う。または、あらたにネットワークに接続されたノードがどういう種類のものか不明の場合に、主制御部102側からその接続機器に問い合わせを行い、その問い合わせに対する応答に応じて、データ転送を行うような手順にしても良い。
【0140】
[第3の操作部10Cに関する動作]
次に、第3の操作部10Cに特有の機能を用いた動作について説明する。第3の操作部10Cが有する機能は、第2の操作部10Bが有する機能を発展させたものであり、(ネットワーク接続されているときには)第2の操作部10Bと同様の機能を持っている。すなわち、第3の操作部10Cは、第2の操作部10Bと同様に、設定情報を用いた設定復旧処理を行う機能を有している。以下、第2の操作部10Bと同様の機能については説明を省略し、第3の操作部10Cに特徴的な機能についてのみ説明する。
【0141】
一般に、映像特殊効果を行うための装置とその制御システムは、多数のユニットから構成されている。また、その設置場所は、放送局の建物内や移動中継車など種々の場所がある。従来では、システムの設定作業は、そのシステムが設置されている場所において行わなければならない。一方で、近年の映像特殊効果技術は複雑化しており、その設定作業は手間のかかるものとなっている。このため,時間のかかる設定情報の作成を、システムの設置場所から離れた場所であらかじめ行い、その設定情報を利用してシステムを制御したいという要求がある。しかしながら、従来では、システムの各ユニット間の接続を断ってしまえば設定作業ができないため、このような要求に応えられていないという問題がある。本システムでは、第3の操作部10Cを利用することにより、システムからの接続が断たれた状況であっても、映像特殊効果の設定情報の作成作業を行うことが可能である。これにより、本システムでは、利用性および操作性の優れた環境を提供できる。
【0142】
まず第3の操作部10Cが有する機能に基づく動作の概要を説明する。第3の操作部10C(の操作制御部105c)は、着脱部113で通信ネットワーク119から切り離された状態で、操作者による設定情報の作成操作に応じて、操作部設定記憶部112cに映像特殊効果部101の設定状態のデータを書き込む動作を行う。その後、着脱部113において通信ネットワーク119に接続されたならば、操作制御部105cは、操作部設定記憶部112cに書き込んだ内容を主設定記憶部104に転送し、作成した設定情報をシステムで使用可能とする。第3の操作部10Cの機能を用いることにより、システムの設置場所や時間に制約されず、いつでもどこでも第3の操作部10Cのみで設定情報の作成ができる。操作者は、第3の操作部10C側で設定情報をあらかじめ作成しておけば、第3の操作部10Cをシステムに接続した後、設定情報をあらたに作成する操作をする必要はない。
【0143】
図36は、第3の操作部10Cが通信ネットワーク119から切り離された状態で、操作部設定記憶部112cに映像特殊効果部101の設定状態のデータを書き込む際の操作制御部105cの処理手順を示している。操作制御部105cは、操作者から設定情報作成の指示を示す(入力部107cからの)操作入力を受けて(ステップS331)、設定情報の作成動作を開始し、まず、表示部106cに、図37に示したような設定情報作成用の画面を表示する(ステップS332)。操作者によって、設定情報作成用の画面を用いた各種設定値の入力が行われると、操作制御部105cは、各設定項目の入力値を、操作制御部105c内のメモリまたは操作制御部105cに接続された外部メモリなどに確保された、一時的な記憶領域に記憶する(ステップS333)。
【0144】
次に、操作制御部105cは、操作者から設定値の入力終了の指示を示す操作入力を受ける(ステップS334)。このとき、操作者によって、入力終了の指示が行われると共に、その設定内容を実際に操作部設定記憶部112cに記憶するか否かの指示が行われる。操作者からの指示が記憶の指示(例えば図37の操作ボタン442が操作されたとき)である場合(ステップS335;Y)には、操作制御部105cは、入力された設定内容を、図示しないメモリ中の一時的な記憶領域から操作部設定記憶部112cの記憶領域へコピー(複写)する(ステップS336)。一方、操作者からの指示が記憶を中止(入力した値を破棄)する指示(例えば図37の操作ボタン443が操作されたとき)である場合(ステップS335;N)には、操作制御部105cは、操作部設定記憶部112cへのコピーを行わない。その後、操作制御部105cは、表示部106cの画面表示を設定情報作成用の画面から、設定情報作成前の通常の画面状態に戻し(ステップS337)、設定状態のデータの書き込み処理を終了する。
【0145】
図37は、第3の操作部10Cの表示部106cに表示される、設定情報の作成用画面の一例を示している。図に示した作成用画面は、映像特殊効果部101が例えば図3に示した構成であることを想定したものである。この表示画面は、GUI機能を有しており、マウスなどにより操作される複数の操作ボタン442,443と、各種の設定数値を入力するための入力領域が設けられた複数の数値入力部とを有している。
【0146】
数値入力部441は、システムが、図26に示したように複数の設定状態のデータを記憶可能となっている場合における、その設定状態のデータに付与するインデックス数値を入力するためのものである。数値入力部444は、合成効果部214に実行させる効果の継続時間を示す数値を入力するためのものである。数値入力部445は、バス215(バスA)に選択させる入力映像信号117の番号を入力するためのものである。数値入力部446は、バス216(バスB)に選択させる入力映像信号117の番号を入力するためのものである。数値入力部447は、合成効果部214に行わせる切り替え動作の種類を示す番号を入力するためのものである。数値入力部448は、合成効果部214に実行させる効果の種類を示す番号を入力するためのものである。数値入力部449,450は、キー処理部217に関する各種の設定数値を入力するためのものであり、例えばバス218(バスK)に選択させるキー信号の番号などが入力される。数値入力部451,452は、キー処理部217におけるボーダー処理に関する各種の設定数値を入力するためのものであり、例えばボーダー処理の種類を示す番号が入力される。
【0147】
操作ボタン442は、上述の各数値入力部に入力された設定内容を、実際に操作部設定記憶部112cに記憶させる場合に操作される。操作ボタン443は、数値入力部に入力された設定内容を、操作部設定記憶部112cに記憶させずに設定処理の中止を行う場合に操作される。
【0148】
図38は、操作部設定記憶部112cに記憶された設定状態のデータを主制御部102へ送信する(主設定記憶部104に転送する)際の操作制御部105cの処理動作を示している。この処理は、操作制御部105cを通信ネットワーク119に接続した後に行われる。操作制御部105cは、操作者から操作部設定記憶部112cの記憶内容の転送を指示する操作入力を受ける(ステップS341)と、操作部設定記憶部112cに記憶された設定状態のデータを主制御部102へ送信する(ステップS342)。または、システムの構成が、操作制御部105cと通信ネットワーク119との接続状態を操作制御部105cにおいて検出できるようなものである場合には、操作制御部105cが、通信ネットワーク119に接続されたことを検出したとき(ステップS341)に、設定状態のデータの送信処理を開始するようにしても良い。通信ネットワーク119への接続状態の検出は、例えば操作制御部105cと着脱部113とが連携して行う。例えば、操作制御部105cは、設定情報が作成された後に、常時(一定時間間隔で)着脱部113Aを介した通信ネットワーク119への接続を試み、その試みが成功したならば、接続検出が行われたものとして、ステップS342の送信処理を開始する。
【0149】
図39は、図38に示した操作制御部105cによる送信処理に対応して行われる主制御部102の受信処理を示している。主制御部102は、操作制御部105cから設定状態のデータを受信する(ステップS351)と、受信した設定状態のデータを主設定記憶部104に記憶する(ステップS352)。これにより、操作部設定記憶部112cの記憶内容と主設定記憶部104の記憶内容とを同一にすることができる。
【0150】
図40は、操作部設定記憶部112cを有した操作部が複数ある場合に、図38に示した操作制御部105cによる送信処理に対応して行われる主制御部102の受信処理を示している。通信ネットワーク119に、操作部設定記憶部112cを有した操作部が複数接続されている場合には、それぞれの操作部における操作部設定記憶部112cの記憶内容をそろえる必要がある。そこで、主制御部102は、任意の操作部における操作制御部105cから設定状態のデータを受信する(ステップS361)と、受信した設定状態のデータを主設定記憶部104に記憶する(ステップS362)と共に、記憶したデータをすべての操作部の操作制御部に送信する(ステップS363)。データを受信したそれぞれの操作制御部は、自身に接続されたそれぞれの操作部設定記憶部112cにそのデータを記憶する。これにより、すべての操作部における操作部設定記憶部112cの記憶内容と主設定記憶部104の記憶内容とを同一にすることができる。なお、ステップS363の処理において、ステップS361における設定状態のデータの送信元の操作制御部105cに対しては、データの送信を行わないようにしても良い。
【0151】
なお、操作部設定記憶部112cを有した操作部が複数ある場合において、図38,図40に示す処理を行う代わりに、設定情報の送信元の操作制御部105cが図51の流れ図に示す処理を行うようにしても良い。操作制御部105cが図51に示した処理を行う場合には、主制御部102は、図39に示す処理を行う。図51に示した処理において、ステップS371,S372の処理は、図38のステップS341,S342の処理と同様である。すなわち、操作制御部105cは、図38に示した処理と同様に、操作者から操作部設定記憶部112cの記憶内容の転送を指示する操作入力を受けたり、通信ネットワーク119に接続されたことを検出したとき(ステップS371)に、操作部設定記憶部112cの記憶内容を主制御部102へ送信する(ステップS372)。その後、操作制御部105cは、自身以外のすべての操作制御部にも、操作部設定記憶部112cの記憶内容を送信する(ステップS373)。設定状態のデータを受信したそれぞれの操作制御部は、自身に接続されたそれぞれの操作部設定記憶部112cに受信したデータを記憶する。これにより、すべての操作部における操作部設定記憶部112cの記憶内容と主設定記憶部104の記憶内容とを同一にすることができる。
【0152】
<作成設定記憶部115を用いた機能>
次に、第3の操作部10Cにおける作成設定記憶部115を用いた設定情報の作成処理について説明する。以上の説明では、操作部設定記憶部112cに直接的に設定状態のデータを記憶する例を示したが、第3の操作部10Cでは、操作部設定記憶部112cに加えて作成設定記憶部115を使用することも可能である。作成設定記憶部115を使用する場合には、以下で説明するように、主設定記憶部104の内容を操作部設定記憶部112cの内容ですべて置き換える動作はしない。
【0153】
まず、作成設定記憶部115のメモリ空間上の位置付けについて説明する。図41は、操作制御部105c側の操作部設定記憶部112cおよび作成設定記憶部115に関するメモリ空間381を示している。また、図42は、主制御部102側の主設定記憶部104に関するメモリ空間382を示している。操作部設定記憶部112cは、図41に示したように、複数組の設定状態の実データを記憶可能な設定記憶領域385を有している。設定記憶領域385は、複数のデータ格納領域を有しており、その個々の格納領域(図において矩形状の領域385iで示す)のそれぞれに、1組の設定状態のデータを格納している。個々の格納領域385iには、それぞれを識別するためのインデックス数値が付与されている。主設定記憶部104のメモリ構造は、図42に示したように、操作部設定記憶部112cと全く同じ構造となっている。すなわち、主設定記憶部104は、複数組の設定状態の実データを記憶可能な設定記憶領域386を有している。設定記憶領域386は、操作部設定記憶部112cと同様に、複数のデータ格納領域を有しており、その個々の格納領域(図において矩形状の領域386iで示す)のそれぞれに、1組の設定状態のデータを格納している。個々の格納領域386iには、それぞれを識別するためのインデックス数値が付与されている。
【0154】
一方、作成設定記憶部115は、図41に示したように、1組以上の設定状態の実データを記憶可能な設定記憶領域383と、設定記憶領域383の各データ格納領域に対応して設けられたリンク部384とを有している。設定記憶領域383は、1つ以上のデータ格納領域を有しており、操作部設定記憶部112cと同様に、その個々の格納領域(図において矩形状の領域383iで示す)のそれぞれに、1組の設定状態のデータを格納している。個々の格納領域383iには、それぞれを識別するためのインデックス数値が付与されている。リンク部384は、作成設定記憶部115における設定記憶領域383の各データ格納領域と、操作部設定記憶部112cにおける設定記憶領域385の各データ格納領域との対応関係を示すリンク情報を保持している。
【0155】
図43は、リンク部384と操作部設定記憶部112cの各データ格納領域とのリンク状態の一例を示している。リンク部384は、例えばポインタ方式によるリンク情報を保持している。この場合、リンク部384のポインタは、操作部設定記憶部112cの設定記憶領域385における各データ格納領域のいずれかの先頭番地にリンクされる。または、リンク部384のポインタを、設定記憶領域385の各データ格納領域に付与されたインデックス番号にリンクするようにしても良い。
【0156】
作成設定記憶部115は、第3の操作部10Cで作成した設定情報を、設定情報が主設定記憶部104に転送されるまでの間記憶する。設定情報の転送が完了したならば、主設定記憶部104の中にその内容は記憶され、操作部設定記憶部112cの(設定記憶領域385の)内容は主設定記憶部104の(設定記憶領域386の)内容と同じになる。従って、作成設定記憶部115に作成した内容と同じものが操作部設定記憶部112cと主設定記憶部104の設定記憶領域385,386の双方に存在することになる。以上のようなメモリ構造により、設定情報を単独で作成した操作部10Cにおいて、作成した設定情報を容易に指定できる環境を提供可能にする。また、主制御部102では、主設定記憶部104に第3の操作部10Cで作成した設定情報を書き込む際に、すべてを上書きするのではなく、あらたに作成された設定情報を、主設定記憶部104の一部に上書きするのみであり、その他のそれまでに記憶されていた設定情報を残す。これにより、結果として、古い設定情報が使用可能であり、第3の操作部10Cで作成したあらたな設定情報も容易に指定でき、操作性が向上する。
【0157】
次に、作成設定記憶部115を用いた設定情報の作成処理に伴う各部の動作について具体的に説明する。既に説明したように、ネットワークに接続されていない状態で第3の操作部10Cのみで設定情報を作成する場合には、操作制御部105cは図36のような処理動作を行う。ただし、図36のステップS336では、一時的な記憶領域に記憶された設定情報のコピー先は、操作部設定記憶部112cであったが、作成設定記憶部115を使用する場合には、作成設定記憶部115がコピー先となる。従って、この時点では操作部設定記憶部112cの内容は変化しない。
【0158】
図44は、作成設定記憶部115の記憶内容を主制御部102へ送信する(主設定記憶部104に転送する)際の操作制御部105cの処理動作を示している。この処理は、操作制御部105cを通信ネットワーク119に接続した後に行われる。操作制御部105cは、操作者から作成設定記憶部115の記憶している設定情報の転送を指示する操作入力を受ける(ステップS401)と、作成設定記憶部115の記憶内容を主制御部102へ送信する(ステップS402)。または、システムの構成が、操作制御部105cにおいて、通信ネットワーク119との接続状態を検出できるようなものである場合には、操作制御部105cが、通信ネットワーク119に接続されたことを検出したとき(ステップS401)に、設定情報の送信処理を開始するようにしても良い。
【0159】
その後、操作制御部105cは、主制御部102から主設定記憶部104が記憶しているすべての設定情報のデータが送信されてくるので、それを操作部設定記憶部112cに記憶する(ステップS403)。さらに、操作制御部105cは、主制御部102から、ステップS403で受信した主設定記憶部104の記憶内容と先にステップS402で送信した作成設定記憶部115の記憶内容との対応関係を示す情報を受信し、その情報に基づいて、作成設定記憶部115のリンク部384のリンク設定を行う(ステップS404)。以上の動作を完了すると、作成設定記憶部115の設定記憶領域383における設定情報の記憶保持は不要となる。設定記憶領域383に記憶した設定情報を参照するには、対応するリンク部384を参照して、リンク部384のポインタが指し示す操作部設定記憶部112cの設定記憶領域385中の設定情報を参照すれば良い。操作部設定記憶部112cの設定記憶領域385の記憶内容と同じものが、主設定記憶部104の設定記憶領域386にもあるので、主制御部102に対してもリンク部384の参照で、任意の設定情報を選択指示することができる。
【0160】
図45は、図44に示した操作制御部105cによる送信処理に対応して行われる主制御部102の設定情報の受信処理を示している。主制御部102は、操作制御部105cから作成設定記憶部115が記憶している設定情報のデータを受信する(ステップS411)と、受信した設定情報の数と主設定記憶部104の空き領域(実質的に使用されていない格納領域の要素)の数とを比較する(ステップS412)。そして、主設定記憶部104の空き領域が不足している場合(ステップS413;Y)には、主制御部102は、必要となる数(受信した設定情報を記憶できる数)になるまで、空き領域を作る(ステップS414)。例えば、主制御部102は、主設定記憶部104が図42に示した例のように、複数の設定情報の組を記憶可能な格納領域が複数配列されている場合に、その格納領域の配列要素から削除(内容破棄:上書き)可能なものをあらかじめ用意されたLRU(least-recently-used)などの既知の方法で選択し、その選択したものを削除する(すなわち上書きすることを決定する)。一方、主設定記憶部104の空き領域が不足していない場合(ステップS413;N)には、ステップS414の処理を行うことなく、ステップS415の処理に進む。
【0161】
次に、主制御部102は、受信した設定情報を書き込む空き領域の位置(またはインデックス値)を決め、その位置と設定情報との対応関係を示す書き込み位置情報を、自身のメモリに一時記憶する(ステップS415)。そして、主制御部102は、決定した対応関係に従って、主設定記憶部104の空き領域に受信した設定情報を記憶する(ステップS416)。次に、主制御部102は、主設定記憶部104が記憶しているすべての設定情報のデータを操作制御部105cへ送信する(ステップS417)。このとき、第3の操作部10Cと同様の機能を持つ操作部が複数存在する場合には、主制御部102は、すべての操作部の操作制御部に対して主設定記憶部104のデータを送信する。その後、主制御部102は、ステップS415で一時記憶した、主設定記憶部104の書き込み位置と設定情報との対応関係を示す書き込み位置情報を、ステップS411における設定情報の送信元の操作制御部105cに返信する(ステップS418)。操作制御部105cに送信された書き込み位置情報は、作成設定記憶部115のリンク部384に書き込まれる。
【0162】
ここで、ステップS414の空き領域を作る処理についてより具体的に説明する。例えば、主設定記憶部104におけるデータ格納領域の配列数が10個(すなわち最大10組の設定情報を記憶できる状態)であったとして、このうち、空き領域が2番のインデックス値で表される領域のみであったとする。このとき、操作制御部105cから3組の設定情報が送られてきた場合、空き領域は2番のインデックス値の領域のみであるから、あと2つの領域が必要になる。この場合、例えば、主設定記憶部104の各格納領域に最新のアクセス時刻を記録するようにして、最も長い間アクセスされていない(アクセス時刻が古い)要素から2つを削除(上書き)可能な領域として選択できるようにする。このような方法により、例えばインデックス値にして5番と6番で示される領域が選ばれたならば、受信した3組の設定情報を主設定記憶部104における2番、5番、6番のインデックス値で示される位置に書き込む。この場合、主制御部102は、図45のステップS418で返信する書き込み位置情報として、2,5,6というインデックス数値をその順番通りに返信する。操作制御部105cでは、インデックス数値を受信する(図44のステップS404に相当)と、受信した数値をリンク部384に順に書き込み、後から参照可能とする。または、受信したインデックス数値に相当する操作部設定記憶部112cにおけるデータ格納領域のアドレスを(ポインタ情報として)リンク部384に書き込むようにしても良い。
【0163】
図46は、第3の操作部10Cにおいて、作成設定記憶部115のリンク部384を参照して設定情報を選択する際の操作制御部105cの処理動作を示すものである。操作者は、作成設定記憶部115におけるインデックス値による指定を行うことにより、作成設定記憶部115内の設定情報と同じものを、主制御部102に対して指定する(設定復旧の指定をする)ことが可能である。この場合、まず、操作制御部105cは、操作者からインデックス値による設定情報の選択指示の入力を受ける(ステップS421)。次に、操作制御部105cは、作成設定記憶部115のリンク部384を参照し、入力されたインデックス値に対応する操作部設定記憶部112cのインデックス値を得て、指定対象の設定情報の格納位置を特定する(ステップS422)。なお、リンク部384のリンク情報がポインタ方式である場合には、操作制御部105cは、そのポインタが指し示す格納領域をインデックス値に換算する。主設定記憶部104と操作部設定記憶部112cとにおける設定情報の記憶内容は同じになっているので、操作制御部105cは、取得した操作部設定記憶部112cの格納位置の情報(インデックス値)をそのまま主制御部102に送ることで、主制御部102に対して設定情報の指定を行うことができる(ステップS423)。
【0164】
なお、リンク部384の内容は、その指示する(操作部設定記憶部112c内の)設定情報の内容が書き換えられるまで(実際に変更されるまで)有効である。一方、操作部設定記憶部112cの内容が書き換えられたならば、該当するリンク部384のリンク情報は無効となるので、そのリンク情報を消去して無効であることを示すようにする。操作制御部105cは、主制御部102から主設定記憶部104の記憶内容が送られてくるときに、主設定記憶部104の記憶内容と比較することで、操作部設定記憶部112cの内容が書き換えられたか否かを確認する。
【0165】
なお、図41では、作成設定記憶部115において設定記憶領域383とリンク部384とを別々に設けた場合について説明したが、他の方法として、設定記憶領域383とリンク部384との機能を同一の記憶領域で実現することも可能である。作成設定記憶部115において設定記憶領域383とリンク部384とが同時に使用されることはないからである。すなわち、設定記憶領域383に設定情報を作成しているときはリンク部384は不要であり、設定記憶領域383の内容を送信した後、リンク部384に値がセットされ、設定記憶領域383の内容は破棄できる。そのため、リンク部384の領域を別に設けず、設定記憶領域383の各要素(設定情報)の先頭領域に、設定情報と異なる識別値(設定情報の先頭項目ではあり得ない値)を書き込み、続く領域をリンク部384として使用すれば良い。この方式ではメモリの消費量を少なくすることができる。
【0166】
また、以上の説明では、リンク部384のリンク情報を主制御部102で作成し、そのリンク情報を操作制御部105cへ送信(図44のステップS404)してリンク部384に書き込むようにしていたが、操作制御部105c側でリンク部384の内容を作成することも可能である。この場合、主制御部102は、リンク情報は送信せず、主設定記憶部104の記憶内容のみを操作制御部105cに送信する。操作制御部105cは、受信した内容を操作部設定記憶部112cに書き込む。操作制御部105cは、次に、作成設定記憶部115の各データ配列(設定情報)のそれぞれについて、同一の内容が操作部設定記憶部112cの中にないか、一つ一つ照合して探す。見つかれば、その設定情報のインデックス値を(あるいはアドレスを)該当するリンク部384にリンク情報として書き込む。以上の処理によりリンク部384の内容を正しい値にすることができる。
【0167】
<構成記憶部114を用いた機能>
次に、第3の操作部10Cにおいて、構成記憶部114を用いた動作について説明する。映像特殊効果部101は、用途や設置場所などの様々な条件により、構成および機能を個別に作り上げて設置することが可能である。また、本システムを移動して設置、使用する構成にした場合には、システムの設置のたびに映像特殊効果部101の構成を変化させることが可能である。第3の操作部10Cでは、構成記憶部114に映像特殊効果部101の構成情報を記憶し、その構成情報を適宜参照することで、上述の様々な状況に対応した設定情報の作成処理を行うことができる。
【0168】
図47は、構成記憶部114に記憶される構成情報の例を示す図である。図に示した例は、映像特殊効果部101が例えば図3に示した構成であることを想定したものである。構成記憶部114は、図47で示したような各種項目のデータを映像特殊効果部101の構成情報として記憶する。図において、「入力映像数」の項目は、映像特殊効果部101において選択可能な入力映像信号の数を示している。「入力キー数」の項目は、映像特殊効果部101において選択可能なキー信号の数を示している。「合成効果部数」の項目は、映像特殊効果部101における合成効果部214(図3)の数を示している。図3に示した構成では、合成効果部214は1つのみであるが、合成効果部214を複数設ける構成にすることも可能である。合成効果部214を複数設けることにより、映像特殊効果部101において、複雑な特殊効果を行うことが可能となる。例えば、合成効果部214が2つある場合、第1の合成効果部は図3の構成と同様に、2つのバスからの入力映像信号を受け付ける。第2の合成効果部は、第1の合成効果部の出力と、第2の合成効果部に接続されたバスによって選択された入力映像信号の1つとが入力される構成となる。
【0169】
「効果1対応」、「効果2対応」…,の項目は、それぞれ特定の特殊効果を行う機能を映像特殊効果部101が備えているか否かを示している。例えばこの項目の値が「1」ならば、映像特殊効果部101がその特殊効果の機能を備えていることを示し、値が「0」ならばその特殊効果の機能を備えていないことを示している。
【0170】
なお、構成情報の項目数や値は、映像特殊効果部101の構成により種々変化する。本システムでは、同一構造の操作部を様々な映像特殊効果部101に対応させ、ネットワーク接続から切り離した状態でも、特定の映像特殊効果部101(の構成)に合った設定情報の作成を可能とするために、構成記憶部114を設けている。これにより、個々の映像特殊効果部101(の構成)に対してそれぞれ専用の操作部を設ける必要がなくなり、経済的である。また同一の操作部を別のシステムに持ち込んで接続しても使用可能となるため、使い勝手が向上する。
【0171】
図48は、操作制御部105cがネットワーク経由で映像特殊効果部101の構成情報を取得する処理の流れを示している。図49は、図48の処理に対応して行われる主制御部102による構成情報の返信処理を示している。これらの処理は、操作制御部105cが通信ネットワーク119に接された状態で行われる。操作制御部105cは、操作者から映像特殊効果部101の構成情報の転送を指示する操作入力を受ける(図48のステップS461)と、構成情報を要求するコマンドを主制御部102に送信する(ステップS462)。または、システムの構成が、操作制御部105cにおいて、通信ネットワーク119との接続状態を検出できるようなものである場合には、操作制御部105cが、通信ネットワーク119に接続されたことを検出したとき(ステップS461)に、構成情報を要求するコマンドの送信処理を開始するようにしても良い。一方、主制御部102は、操作制御部105cから構成情報を要求するコマンドを受信する(図49のステップS471)と、映像特殊効果部101からその構成情報を取得し(ステップS472)、取得した構成情報を操作制御部105cに返信する(ステップS473)。次に、操作制御部105cは、主制御部102から返信された構成情報を受信して構成記憶部114に記憶する(ステップS463)。このようにして、構成記憶部114にはあらかじめ(主制御部102経由で)、システムに接続されている映像特殊効果部101の構成情報を記憶しておく。
【0172】
なお、操作制御部105cにおける構成情報の取得をネットワーク経由ではなく、あらかじめ構成情報が記録された情報記憶媒体(例えばフロッピーディスクなど)から取得するようにしても良い。この場合、操作制御部105cに情報読取装置(例えばフロッピーディスクドライブなど)を接続し、操作制御部105cが、情報読取装置を介して情報記憶媒体に記憶されている構成情報を読みとり、構成記憶部114に記憶する。この方法によれば、第3の操作部10Cがネットワーク接続できない状況であったとしても、構成情報を取得することができる。
【0173】
次に、構成記憶部114を使用した設定情報の作成処理について説明する。図50は、構成記憶部114を使用した設定情報の作成処理を行う場合の操作制御部105cの処理を示している。なお、構成記憶部114を利用しない場合には、操作制御部105cは、図36に示した処理を行う。この場合、操作制御部105cは、操作者から設定情報作成の指示を示す(入力部107cからの)操作入力を受けて(ステップS431)、設定情報の作成動作を開始し、まず、構成記憶部114の記憶内容を参照して、表示部106cに図37に示したような設定情報作成用の画面を表示する(ステップS432)。操作者によって、設定情報作成用の画面を用いた各種設定値の入力が行われると、操作制御部105cは、各設定項目の入力値を、操作制御部105c内のメモリまたは操作制御部105cに接続された外部メモリなどに確保された、一時的な記憶領域に記憶する(ステップS433)。
【0174】
次に、操作制御部105cは、操作者から設定値の入力終了の指示を示す操作入力を受ける(ステップS434)。このとき、操作者によって、入力終了の指示が行われると共に、その設定内容を実際に操作部設定記憶部112cに記憶するか否かの指示が行われる。操作者からの指示が記憶の指示(例えば図37の操作ボタン442が操作されたとき)である場合(ステップS435;Y)には、操作制御部105cは、構成記憶部114の記憶内容を参照して、構成情報に矛盾しているか否かをチェックする(ステップS436)。構成情報に矛盾している場合(ステップS437;Y)には、操作制御部105cは、操作者に対して設定値の再入力を促す表示を行い(ステップS4310)、ステップS433の処理に戻る。一方、構成情報に矛盾していない場合(ステップS437;N)には、操作制御部105cは、入力された設定内容を、図示しないメモリ中の一時的な記憶領域から操作部設定記憶部112c(または作成設定記憶部115)の記憶領域へコピー(複写)する(ステップS438)。その後、操作制御部105cは、表示部106cの画面表示を設定情報作成用の画面から、設定情報作成前の通常の画面状態に戻し(ステップS439)、処理を終了する。また、ステップS435において、操作者からの指示が記憶を中止(入力した値を破棄)する指示(例えば図37の操作ボタン443が操作されたとき)であった場合(N)にも同様に、操作制御部105cは、表示部106cの画面表示を通常の画面状態に戻し(ステップS439)、処理を終了する。
【0175】
構成記憶部114を使用した設定情報の作成処理を行う場合における設定情報の作成画面は、前述の図37に示したものと同様である。なお、例えば合成効果部214が2つある場合には、第2の合成効果部に関する設定数値を入力するための入力領域が追加される。例えば、第2の合成効果部に入力させる映像信号の番号、切り替え動作の種類を示す番号、実行させる効果の種類を示す番号、および効果の継続時間を示す数値などを入力するための領域が追加される。
【0176】
図37に示した作成画面において、構成記憶部114に記憶された構成情報に矛盾する値が入力された場合には、再入力を促す表示がなされる。例えば、映像特殊効果部101が図3に示した構成である場合には、数値入力部445,446に入力されるバスA,Bで選択する入力映像信号の番号は、1から7までの値以外は許容されない。数値入力部445,446に8以上の値を入力すると(記憶させるために操作ボタン442を操作すると)、構成情報に矛盾するので、再入力を促す表示がなされる(図50のステップS4310)。なお、作成画面の数値入力部を、初めから構成情報に矛盾する値の入力ができないような構成にすることももちろん可能である(例えば、構成情報に矛盾しない数値のみを表示し、その中から数値を選択させるような画面構成にする)。この場合には、構成情報に矛盾する値が入力されることはないので、再入力を促す表示を省略できる。
【0177】
このように入力値を構成記憶部114の構成情報と照合してチェックすることにより、誤った設定情報の作成が防止される。これにより、誤った設定情報を用いたことにより生ずる設定復旧処理の不具合を防止できる。またこのチェック機能は、ネットワークに接続している状態での設定値の入力に応用しても効果が得られる。例えば、ネットワークに接続している状態において設定情報の作成を行う場合にも、構成情報によるチェックを行っても良い。
【0178】
以上説明したように、本実施の形態によれば、第1の操作部10Aにおいて、あらかじめ表示要素格納部108に表示要素データを格納しておくと共に、リンク情報保持部109に保持されたリンク情報を参照して、主制御部102から取得した識別子に対応付けされた表示要素データを特定し、その特定した表示要素データを用いて、出力映像信号118に含まれる入力映像信号117に関する情報の表示を表示部106aに行うようにしたので、入力映像信号117の数が増えたとしても、入力映像信号117の数だけランプを設ける必要のある従来のシステムと比べて、必要以上にシステム構成を大型化する必要がない。また、表示要素データを用いた表示を行うので、単にランプの点灯のみで情報表示を行う場合に比べて、入力映像信号に関する情報を、文字列や静止画などの種々の分かりやすい形態で表示することが可能となる。これにより、入力映像信号117の数が増えたとしても必要以上に構成を大型化することなく、出力対象として選択されている入力映像信号117に関する情報、すなわち信号源の情報および信号源に関連する情報を、分かりやすく操作者に理解しやすい形態で表示することができる。また、本実施の形態によれば、複数の操作部において、入力映像信号117に関する情報の表示を行うことが可能であり、各操作部を利用するすべての操作者および関係者(入力映像信号の作成作業をしている担当者など)が、その時点の出力映像信号の状態を容易に把握することが可能となり、作業性がより向上する。
【0179】
また、本実施の形態によれば、第1の操作部10Aにおいて、あらかじめ効果表現格納部110に、映像特殊効果部101の動作状態を数値的またはグラフィカルに表示するための効果表現用の表示データを複数格納しておくと共に、リンク情報保持部111に保持されたリンク情報を参照して、現在実行中の映像特殊効果の種類に対応付けされた表示データを特定し、その特定した表示データを用いて、表示部106aに、主制御部102から取得した現在の動作状態を表す動作状態数値に基づいて、映像特殊効果部101の現在の動作状態を数値的またはグラフィカルに表現して表示するようにしたので、例えば、現在実行中の映像特殊効果の経過時間の情報などを、操作者に理解しやすい形態で提供できる。
【0180】
また、本実施の形態によれば、主制御部102が主設定記憶部104に映像特殊効果部101の設定情報を記憶するたびに、その記憶した設定情報を通信ネットワーク119を介して第2の操作部10B側に送信し、一方、第2の操作部10Bにおいては、その記憶内容が主設定記憶部104の記憶内容と同一となるように、送信されてきた設定情報を操作部設定記憶部112bに記憶するようにしたので、操作部設定記憶部112bの記憶内容を、常に主設定記憶部104の記憶内容と同じに保つことができる。従って、例えば、主制御部102が主設定記憶部104に記憶された設定情報を用いて映像特殊効果部101の設定復旧を行った場合に、設定復旧に使用した設定情報を第2の操作部10B側へ転送する必要がなくなる。これにより、設定復旧などを行うときに主制御部102と第2の操作部10Bとの間で設定情報の送受信を行う必要がなくなるので、設定復旧などを行ったときの通信量を減らすことができる。これにより、設定情報の送受信のために通信路を大容量・高速化する必要がなくなり、低コストで経済的なシステム構成にすることができる。
【0181】
また、本実施の形態によれば、設定復旧が行われた際に、第2の操作部10Bにおいて、復旧された設定状態に関する設定情報を操作部設定記憶部112bから取得し、その取得した設定状態に関する情報を表示部106bに表示させるようにしたので、設定復旧を行った際の設定情報の表示を高速化することができる。これにより、操作者に即時的で的確な情報提供を行うことができる。
【0182】
また、本実施の形態によれば、複数の操作部のそれぞれに操作部設定記憶部112bを設けることも可能であり、この場合において、主制御部102が主設定記憶部104に映像特殊効果部101の設定情報を記憶するたびに、その記憶した設定情報を通信ネットワーク119を介して複数の操作部のそれぞれに送信し、一方、それぞれの操作部おいては、その記憶内容が主設定記憶部104の記憶内容と同一となるように、送信されてきた設定情報を、それぞれの操作部設定記憶部112bに記憶するようにしたので、複数の操作部におけるすべての操作部設定記憶部112bの記憶内容を、常に主設定記憶部104の記憶内容と同じに保つことができる。これにより、設定復旧などを行うときにおける主制御部102と複数の操作部との間の通信量を大幅に減らすことができる。従って、例えば、それぞれの操作部において、復旧された設定状態に関する設定情報をそれぞれの操作部設定記憶部112bから取得し、その取得した設定状態に関する情報をそれぞれ表示させることで、複数の操作部のすべてにおいて、設定復旧を行った際の設定情報の表示を高速化することができる。これにより、複数の操作部を使用するすべての操作者に対して、設定復旧の際に的確で即時的な情報提供を行うことができる。
【0183】
さらに、本実施の形態によれば、第2の操作部10B側から、主制御部102に対して、主設定記憶部104に記憶されている設定情報の転送を要求するコマンドを送信すると共に、主制御部102が、設定情報の転送を要求するコマンドを受信したときに、主設定記憶部104に記憶されている設定情報を通信ネットワーク119を介して第2の操作部10B側に送信するようにしたので、例えば、システム稼働後に途中から第2の操作部10Bをシステムに組み込んだ場合であっても、最初からシステムに組み込んだ場合と同様に、操作部設定記憶部112bの記憶内容を、常に主設定記憶部104の記憶内容と同じに保つことができる。
【0184】
また、本実施の形態によれば、第3の操作部10Cの機能により、システムからの接続が断たれた状況であっても、映像特殊効果の設定情報の作成作業を行うことが可能となる。これにより、システムの設置場所に関係なく、第3の操作部10Cのみで設定情報の作成が可能となり、時間や場所に制約されずに設定情報を作成することができる。また、本実施の形態によれば、操作制御部105cと通信ネットワーク119との接続状態を操作制御部105cにおいて自動的に検出できるようにすることで、第3の操作部10Cで作成した設定情報の転送を自動的に行うことが可能となり、操作者を煩わせることなく、第3の操作部10Cで作成した設定情報をシステムで使用可能にすることができる。
【0185】
また、本実施の形態によれば、第3の操作部10Cにおいて作成設定記憶部115を用いた機能を使用することにより、主設定記憶部104に第3の操作部10Cで作成した設定情報を書き込む際に、すべてを上書きするのではなく、あらたに作成された設定情報を主設定記憶部104の一部に上書きするだけで良くなる。従って、主設定記憶部104においてそれまでに記憶されていた設定情報を部分的に残すことができる。これにより、結果として、主設定記憶部104に記憶されていた古い設定情報を引き続き使用可能であり、操作性が向上する。
【0186】
また、本実施の形態によれば、第3の操作部10Cにおいて構成記憶部114を用いた機能を使用することにより、映像特殊効果部101の構成が変化したとしても、ネットワーク接続から切り離した状態で、それぞれの映像特殊効果部101の構成に合った設定情報の作成が可能となる。これにより、個々の映像特殊効果部101の構成に対してそれぞれ専用の操作部を設ける必要がなくなり、経済的である。また同一の操作部を別のシステムに持ち込んで接続しても使用可能となるため、使い勝手が向上する。
【0187】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず種々の変形実施が可能である。例えば、上記実施の形態では、入力映像信号の識別子として入力映像信号に固有の番号を使用したが、識別子は番号に限定されず、個々の入力映像信号を一意に特定可能なものであれば他のもの(例えば文字列など)を使用しても良い。
【0188】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の映像特殊効果システムによれば、情報出力手段から識別子の情報を取得すると共に、第1のリンク情報保持手段に保持されたリンク情報を参照して、第1の表示データ格納手段に格納された複数の表示データの中から、取得した識別子に対応付けされた表示データを特定し、その特定した表示データを用いて、最終映像信号に含まれる入力映像信号に関する情報の表示を表示手段に対して行わせるようにしたので、入力映像信号の数が増えたとしても、入力映像信号の数だけランプを設ける必要のある従来のシステムと比べて、必要以上にシステム構成を大型化する必要がない。また、表示データを用いた表示を行うので、単にランプの点灯のみで情報表示を行う場合に比べて、入力映像信号に関する情報を分かりやすい形態で表示することが可能となる。このように本発明によれば、入力映像信号の数が増えたとしても必要以上に構成を大型化することなく、出力対象として選択されている入力映像信号に関する情報を分かりやすい形態で表示することができる。
【0189】
特に、請求項2記載の映像特殊効果システムによれば、請求項1記載の映像特殊効果システムにおいて、入力映像信号に関する情報の表示に加えて、さらに、情報出力手段から取得した現在の動作状態を表す数値情報に基づいて、映像特殊効果手段の現在の動作状態を、第2の表示データ格納手段に格納された表示データを用いて数値的に表現して表示手段に表示させる制御を行うようにしたので、例えば、現在実行中の映像特殊効果の経過時間の情報などを数値的に表現して表示することが可能となる。このように請求項2記載の映像特殊効果システムによれば、入力映像信号に関する情報に加えて、入力映像信号に施されている特殊効果に関する動作情報を数値的に理解しやすい形態で表示することができる。
【0190】
また特に、請求項3記載の映像特殊効果システムによれば、請求項1記載の映像特殊効果システムにおいて、制御手段が、入力映像信号に関する情報の表示に加えて、さらに、情報出力手段から取得した現在の動作状態を表す数値情報に基づいて、映像特殊効果手段の現在の動作状態を、第3の表示データ格納手段に格納された表示データを用いて、グラフィカルに表現して表示手段に表示させる制御を行うようにしたので、入力映像信号に関する情報に加えて、入力映像信号に施されている特殊効果に関する動作情報を例えば動画的に理解しやすい形態で表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る映像特殊効果システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】映像特殊効果部に入出力される信号の概略を説明するための説明図である。
【図3】映像特殊効果部の内部構造の一例を示したブロック図である。
【図4】第1の操作部の表示要素格納部における表示要素データの格納状態の一例を示す説明図である。
【図5】第1の操作部の表示部に表示される表示要素データの表示例を示す説明図である。
【図6】表示要素およびリンク情報の設定処理の動作手順を示す流れ図である。
【図7】出力映像信号に含まれる入力映像信号が変更されたときなどに行われる主制御部の処理動作の手順を示す流れ図である。
【図8】第1の操作部において、表示部に表示要素を表示させるときに行われる操作制御部の処理動作の手順を示す流れ図である。
【図9】第1の操作部の効果表現格納部における表示データの格納状態とリンク情報保持部におけるデータのリンク状態の例を示す説明図である。
【図10】映像特殊効果部によって施される映像特殊効果の一例を示す説明図である。
【図11】切り替え処理が行われている場合に第1の操作部に表示される動作情報の表示例を示す説明図である。
【図12】切り替え処理が行われている場合に表示される動作情報の他の表示例を示す説明図である。
【図13】画面構成比と経過時間比との違いについて示す説明図である。
【図14】切り替え動作の状態を動画像によって表示した例を示す説明図である。
【図15】画面左上隅から境界線が自身と垂直な方向に進行するようにして映像の切り替えが行われるような切り替え動作の状態を、動画的に表現した例を示す説明図である。
【図16】映像の境界線が画面の左下隅を中心として回転するようにして映像の切り替えが行われるような切り替え動作の状態を、動画的に表現した例を示す説明図である。
【図17】2本の境界線が回転するようにして、映像の切り替えが行われるような切り替え動作の状態を、動画的に表現した例を示す説明図である。
【図18】映像特殊効果部の動作情報を、静止画像と動画像とを同時に表示して表現した例を示す説明図である。
【図19】図18に示した表示例の変形例を示す説明図である。
【図20】主制御部による動作状態数値の送信処理動作の手順を示す流れ図である。
【図21】図20に示した主制御部による送信処理動作に対応する、操作制御部の処理動作の手順を示す流れ図である。
【図22】図20と図21で示した処理に関する主制御部と第1の操作部内の操作制御部との間の通信処理の関係を示す通信シーケンス図である。
【図23】映像特殊効果部によって、キー信号を用いた映像特殊効果が施された出力映像の例を示す説明図である。
【図24】映像特殊効果部によって、キー信号を使用しない映像特殊効果が施された出力映像の例を示す説明図である。
【図25】主設定記憶部および操作部設定記憶部に記憶される設定情報の一例を示す説明図である。
【図26】主設定記憶部および操作部設定記憶部に複数の設定状態のデータを記憶させる場合のデータ配列の一例を示す説明図である。
【図27】主制御部と第2の操作部内の操作制御部との間で行われる通信処理の概要を示す通信シーケンス図である。
【図28】図27に示した通信処理に関連する操作制御部の動作手順を示す流れ図である。
【図29】図28に示した操作制御部の動作に対応する主制御の動作手順を示す流れ図である。
【図30】複数の操作部に第2の操作部と同様の操作部設定記憶部を設けた場合において、設定状態の記憶を指示していない操作制御部が設定状態のデータを受信したときの処理の手順を示す流れ図である。
【図31】第2の操作部の操作制御部による設定復旧処理の動作手順を示す流れ図である。
【図32】主制御部における設定復旧処理の動作手順を示す流れ図である。
【図33】第2の操作部において、設定復旧処理を行った場合に表示される表示画面の一例を示す説明図である。
【図34】第2の操作部側から主設定記憶部の記憶内容の転送要求を行う場合における操作制御部の動作手順を示す流れ図である。
【図35】図34に示した操作制御部の動作に対応する主制御部の動作手順を示す流れ図である。
【図36】第3の操作部が通信ネットワークから切り離された状態で、操作部設定記憶部に設定情報を書き込む際の操作制御部の処理手順を示す流れ図である。
【図37】第3の操作部における設定情報の作成用の表示画面の一例を示す説明図である。
【図38】第3の操作部における操作部設定記憶部の記憶内容を主制御部へ送信するときに行われる操作制御部の処理動作の手順を示す流れ図である。
【図39】図38に示した送信処理に対応して行われる主制御部の受信処理の動作手順を示す流れ図である。
【図40】第3の操作部と同様の操作部設定記憶部を有した操作部が複数ある場合に、図38に示した送信処理に対応して行われる主制御部の受信処理の動作手順を示す流れ図である。
【図41】第3の操作部における作成設定記憶部と操作部設定記憶部とに関するメモリ構造の一例を示す説明図である。
【図42】主設定記憶部のメモリ構造を示す説明図である。
【図43】第3の操作部における作成設定記憶部のリンク部と操作部設定記憶部のデータ格納領域とのリンク状態の一例を示す説明図である。
【図44】第3の操作部において、作成設定記憶部の記憶内容を主制御部へ送信するときに行われる操作制御部の処理動作の手順を示す流れ図である。
【図45】図44に示した送信処理に対応して行われる主制御部の受信処理の動作手順を示す流れ図である。
【図46】第3の操作部において、作成設定記憶部のリンク部を参照して設定情報を選択する際の操作制御部の処理手順を示す流れ図である。
【図47】第3の操作部の構成記憶部に記憶される構成情報の例を示す説明図である。
【図48】第3の操作部の操作制御部がネットワーク経由で映像特殊効果部の構成情報を取得する処理動作の手順を示す流れ図である。
【図49】図48の処理に対応して行われる主制御部による構成情報の返信処理の手順を示す流れ図である。
【図50】第3の操作部において、構成記憶部を使用した設定情報の作成処理を行う場合の操作制御部による処理手順を示す流れ図である。
【図51】第3の操作部と同様の操作部設定記憶部を有した操作部が複数ある場合に、操作制御部によって行われる操作部設定記憶部の記憶内容の送信処理を示す流れ図である。
【図52】従来の映像特殊効果システムの構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…映像特殊効果システム、10A,10B,10C…操作部、101…映像特殊効果部、102…主制御部、103…動作情報生成部、104…主設定記憶部、105a,105b,105c…操作制御部、106a,106b,106c…表示部、107a,107b,107c…入力部、108…表示要素格納部、109,111…リンク情報保持部、110…効果表現格納部、112b,112c…操作部設定記憶部、113(113A,113B)…着脱部、114…構成記憶部、115…作成設定記憶部、117…入力映像信号、118…出力映像信号、114…構成記憶部。
Claims (3)
- それぞれに固有の識別子が付与された入力映像信号が複数入力されると共に、前記複数の入力映像信号のうち、少なくとも1つの入力映像信号に対して選択的に映像特殊効果を施し、少なくとも1つの入力映像信号が含まれる信号を、外部において直ちに利用可能な最終映像信号として出力する機能を有する映像特殊効果手段と、
前記映像特殊効果手段から出力された最終映像信号に含まれる入力映像信号の識別子の情報を出力する情報出力手段と、
前記複数の入力映像信号に付与されたそれぞれの識別子に対応付けされる複数の表示データを格納する第1の表示データ格納手段と、
提供された表示データに基づく情報表示を行う表示手段と、
前記識別子と前記第1の表示データ格納手段に格納された表示データとの対応関係を示すリンク情報を保持する第1のリンク情報保持手段と、
前記情報出力手段から識別子の情報を取得すると共に、前記第1のリンク情報保持手段に保持されたリンク情報を参照して、前記第1の表示データ格納手段に格納された複数の表示データの中から、取得した識別子に対応付けされた表示データを特定し、その特定した表示データを用いて、前記最終映像信号に含まれる入力映像信号に関する情報の表示を前記表示手段に対して行わせる制御を行う制御手段と
を備えたことを特徴とする映像特殊効果システム。 - さらに、
前記映像特殊効果手段の動作状態を数値的に表現するための少なくとも1つの表示データを、前記映像特殊効果手段が実行可能な映像特殊効果の種類ごとに格納する第2の表示データ格納手段と、
映像特殊効果の種類と前記第2の表示データ格納手段に格納された表示データとの対応関係を示すリンク情報を保持する第2のリンク情報保持手段と
を備え、
前記情報出力手段は、前記識別子の情報に加えて、さらに、前記映像特殊効果手段で実行中の映像特殊効果の種類を示す情報と前記映像特殊効果手段の現在の動作状態を表す数値情報とを含む情報を、前記映像特殊効果手段の動作情報として出力する機能を有し、
前記制御手段は、さらに、前記情報出力手段から前記映像特殊効果手段の現在の動作情報を取得すると共に、前記第2のリンク情報保持手段に保持されたリンク情報を参照して、前記第2の表示データ格納手段に格納された少なくとも1つの表示データの中から、現在実行中の映像特殊効果の種類に対応付けされた表示データを特定し、その特定した表示データを用いて、前記表示手段に、前記情報出力手段から取得した現在の動作状態を表す数値情報に基づいて、前記映像特殊効果手段の現在の動作状態を数値的に表現して表示させる機能を有する
ことを特徴とする請求項1記載の映像特殊効果システム。 - さらに、
前記映像特殊効果手段の動作状態をグラフィカルに表現するための少なくとも1つの表示データを、前記映像特殊効果手段が実行可能な映像特殊効果の種類ごとに格納する第3の表示データ格納手段と、
映像特殊効果の種類と前記第3の表示データ格納手段に格納された表示データとの対応関係を示すリンク情報を保持する第3のリンク情報保持手段と
を備え、
前記情報出力手段は、前記識別子の情報に加えて、さらに、前記映像特殊効果手段で実行中の映像特殊効果の種類を示す情報と前記映像特殊効果手段の現在の動作状態を表す数値情報とを含む情報を、前記映像特殊効果手段の動作情報として出力する機能を有し、
前記制御手段は、さらに、前記情報出力手段から前記映像特殊効果手段の現在の動作情報を取得すると共に、前記第3のリンク情報保持手段に保持されたリンク情報を参照して、前記第3の表示データ格納手段に格納された少なくとも1つの表示データの中から、現在実行中の映像特殊効果の種類に対応付けされた表示データを特定し、その特定した表示データを用いて、前記表示手段に、前記情報出力手段から取得した現在の動作状態を表す数値情報に基づいて、前記映像特殊効果手段の現在の動作状態をグラフィカルに表現して表示させる機能を有する
ことを特徴とする請求項1記載の映像特殊効果システム。
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