本発明のシステムおよび方法の種々の例示的実施形態を以下の各図に関して詳述する。図1は、2次元絶対位置測定をするために、本発明に従った2次元統合スケールパターンを使用可能な2次元光学式絶対位置エンコーダ100のブロック図である。図1に図示された2次元光学式絶対位置エンコーダ100は、読取ヘッド126、信号生成・処理回路200および2次元スケール110を含む。2次元スケール110は、2次元統合スケールパターン300を備える。図1において、読取ヘッド126の構成要素および、それらの2次元スケール110および2次元統合スケールパターン300に対する関係は、以下でさらに述べるように、例示的な物理構成に概ね対応するレイアウトにより図式的に示される。
詳細には、スケール110は、読取ヘッド126の照明・受光端のとなりに配置されており、結果的に、光源130により読取ヘッド126のその端から放射された光によって2次元スケール110が照明された時に、放射光が、2次元スケール110の2次元統合スケールパターン300によって選択的に反射されて、読取ヘッド126の当該端に配置された受像光学素子に向けて戻るようになっている。2次元スケール110は、光源130および、読取ヘッド126に収容された光学系から概ね安定した距離に配置されている。2次元スケール110は、図1に図示された通り、第1の測定軸111および第2の測定軸方向112に沿ってといったように、相対運動の2軸に沿って、読取ヘッド126に対して相対移動する。
第1,第2の測定軸111,112に対して直角の第3の次元での相対運動は、読取ヘッド126とスケール110と間に適正な相対距離または間隙を維持するために、例えばフレームに取付けられた従来の案内装置または軸受(図示せず)によるなどして、一般に制約される。読取ヘッド126は、読取ヘッド126を取付ける際に助けとなる位置合わせ機能(図示せず)を備えることができ、取付フレームおよび/または2次元スケール110の相対運動の予想される軸111および112に対して、読取ヘッド126の内部構成要素を位置合わせさせる。
2次元スケール110は、光源130によって供給された波長の光で照明されると、相対的にハイコントラストな2次元画像を供給するはずである。種々の例示的実施形態において、2次元スケール110は、拡散反射表面を有する一般に相対的に反射性の部材である。拡散反射表面上に相対的に非反射性のスケール要素の2次元パターンが形成されている。種々の例示的実施形態において、相対的に非反射性のスケール要素のパターンは、準ランダムパターンを形成し、それはスペックルパターンに類似であり得る。2次元スケール110の相対的に高い反射率は、周知であるかまたは今後開発される材料および/または構造によって得られることを理解しなければならない。例えば、2次元スケール110は、適切な拡散反射表面テクスチャーを有することができ、金属もしくはガラス、またはマイラー(Mylar)といったポリマーなどといった相対的に反射性の材料で作ることができる。相対的に非反射性のスケール要素は、2次元スケール110の表面をコーティングしたり、2次元スケール110を形成するために使用される材料の反射率を低減するために2次元スケール110の表面を差別的に処理したり、2次元スケール110の表面に相対的に非反射性の材料などを選択的に堆積したり、することによって形成され得る。
種々の他の例示的実施形態において、2次元スケール110は相対的に無反射性の材料で製作されるが、2次元スケール要素は適切な拡散反射表面テクスチャーを有する相対的に反射性の材料で製作される。この場合、2次元スケール110は、それが形成される材料に基づいたり、2次元スケール110の表面をコーティングするかもしくは別様に処理したり、または2次元スケール110に沿った適切なロケーションにおける反射率を選択的に低下および/または増大させるためのいずれかの他の周知であるかまたは今後開発されるプロセスを用いたりして、相対的に無反射性にすることができることを理解しなければならない。
種々の実施形態において、2次元スケール110は多少とも鏡面部分を有し得ることを理解しなければならない。しかし、そのようなスケールの場合、画像のコントラストおよび/または強度は、位置合わせの変動および/またはスケールの表面汚染に対してより強い感受性を示すことになる。それらは、2次元絶対測定システム100の頑強性および測定精度を低減させ得る。また、種々の他の例示的実施形態において、2次元スケール110および/または2次元スケール110に形成される表面要素は、光検出器160によって検出された2次元スケール110の画像において2次元スケール要素と2次元スケール110の残部との間のコントラストを増強する色を含み得ることも理解しなければならない。
図1に示すように、読取ヘッド126の受像光学素子は、レンズ140の光軸144が2次元スケール110の照明された領域と概ね位置合わせされるように、読取ヘッドアセンブリ106の照明・受光端に配置されたレンズ140を含む。図1に図示された例示的実施形態において、読取ヘッド126は、図1に図示されたように、レンズ140の焦点距離fに一致する距離だけ光軸144に沿ってレンズ140から離間されたピンホールアパーチャプレート150および、光軸144に沿ってアパーチャプレート150から離間された光検出器160をさらに含む。そのようなテレセントリックな構成により、光検出器160の2次元統合スケールパターン300の画像の倍率は、レンズ140から2次元統合スケールパターン300までの物体距離gに対してほぼ独立となる。種々の実施形態において、物体距離gが、例えば精密な軸受などによるなどして、十分に良好に制御される場合、アパーチャプレート150は省略することができる。
光検出器160は、カメラ、電子式またはディジタルカメラ、CCDアレイ、CMOS光検出素子のアレイなどといったような、独立な個別の光検出素子によって2次元アレイに構成され得るあらゆる周知であるかまたは今後開発される形式の光検出材料または装置である。レンズ140、アパーチャプレート150および光検出器160を含む読取ヘッド126と、2次元スケール110の例示的な間隔および位置決めは以下でさらに説明する。
読取ヘッド126のハウジングにおける光源130、レンズ140、アパーチャプレート150および光検出器160の取付けは、構成要素が相対的に精確かつ安定した態様で取付けられる限り、小型光学システムの組立および/または産業カメラの組立の従来方法に従って行うことができる。読取ヘッド126がスケール110に隣り合って適切に配置されると、光検出器160によってキャプチャされた各画像は、2次元統合スケールパターン300の2次元部分を含むはずである。
光検出器160は、既知の間隔で2つの測定軸111および112の各々にそれぞれ対応する2方向に沿って離間された画像素子162の2次元アレイ166を有する。この既知の間隔は、2つの測定軸111および112に対応する2方向について同じとし得るかまたは、2方向の各々について異なってもよい。測定軸111および112にそれぞれ対応する2方向の各々に沿った既知の間隔は、光検出器160に投射される画像と、得られた画像に概ね対応する参照画像との間で、その測定軸111または112に沿った変位またはオフセットを測定するための基礎を与える。それゆえまた、各測定軸111および112に沿った方向の既知の間隔は、その測定軸111または112に沿った既知の間隔と同じほど精細かまたはより精細な分解能まで、2次元統合スケールパターン300の画像の変位を各測定軸111および112に沿って測定するための基礎も与える。以下の検討では、便宜上、測定軸111をX軸として称することもあり、測定軸112をY軸として称することもある。X軸およびY軸はスケール位置合わせおよび相互に関して定義され、空間における2次元光学式絶対位置エンコーダ100のいずれかの特定の向きを含意する意図はないことが理解されるはずである。
種々の例示的実施形態において、光検出器160の画像素子162は直交行列に配列され、行は得られた画像における測定軸のうちの一方に対応する方向に位置合わせされており、列は得られた画像における測定軸の他方のものに対応する方向に位置合わせされていることを理解しなければならない。しかし、より一般的には、種々の他の実施形態において、光検出器160の画像素子162は、測定軸111および112にそれぞれ対応する2方向の各々に沿った画像素子162の既知の間隔が依然決定され得る限り、得られた画像における測定軸と位置合わせされている直交行列に配列されないことを理解しなければならない。そのような場合、それぞれの測定軸に対応する方向に沿った既知の間隔はやはり、光検出器160に投射された2つの類似の画像間または、光検出器160に投射された画像と得られた画像に概ね対応する合成画像との間のその測定軸に沿った変位またはオフセットを測定するための基礎を与える。
加えて、種々の例示的実施形態において、読取ヘッド126は信号生成・処理回路200の少なくとも一部を含む。図1に図示されたように、信号生成・処理回路200からの信号線132が、光源130を制御および/または駆動するために光源130に接続されている。信号線164が光検出器160と信号生成処理回路200を接続している。詳細には、アレイ166の画像素子162の各々は、当該画像素子162における光強度を表す値を出力するために、信号生成・処理回路200への信号線164によって個別にアドレスされ得る。信号生成・処理回路200の付加的部分は読取ヘッド126から遠隔に配置することができ、読取ヘッド126の機能は遠隔で操作および表示され得る。信号生成・処理回路200は図17に関して以下でさらに詳述する。
図1に図示された通り、光ビーム134が光源130から放射され、2次元統合スケールパターン300の一部を照明するために、2次元スケール110によって保持された2次元統合スケールパターン300上へ方向づけられる。その結果、2次元統合スケールパターン300の照明された部分は、2次元統合スケールパターン300の照明された部分で生じる2次元統合スケールパターン300の要素に依存して、光軸144のあたりで光136を選択的に反射する。
光ビーム134の照明角度が傾斜している場合、入射光ビーム134と光軸144との間の角度は、2次元スケール110の相対的鏡面が、読取ヘッド126によって検出される領域から離れた相対的鏡面上の入射光を反射するようなものとなり得る。その場合、種々の例示的実施形態において、検出画像を相対的に高い強度にするように意図された2次元スケール110の部分が相対的に拡散性にされる場合、照明を受ける相対的拡散表面部分を設けることが有用である。種々の例示的実施形態において、拡散表面部分は、それらの表面仕上げまたは材料特性によって相対的に拡散性になり得るか、またはそれらは、拡散コーティングまたは表面テクスチャリングなどの適用によって相対的に拡散性にされ得る。これらの拡散表面部分は、それらの拡散性により、斜めに受光した光の少なくとも一部を光軸144に沿って方向づけし直す。この場合、拡散表面部分は、それらが相対的に拡散性にされていない場合よりも、より明るくなるか、かつ/または、より大きい画像コントラストを付与する傾向があるはずである。
1つの例示的実施形態において、拡散表面部分はスケール要素である。そうしたいくつかの例示的実施形態において、スケール要素を囲んでいる領域は鏡面反射する。他の例示的実施形態において、拡散部分は、相対的に暗いかつ/または鏡面反射スケール要素を囲んでいる領域に位置づけられる。種々の例示的実施形態において、2次元スケール要素は一般に、2次元スケール110の正面または背面のどちらか一方に相対的に薄い層によって形成され得る。
図2および3はそれぞれ、図1に図示された2次元光学式位置変換器の1つの例示的実施形態の端面図および側面図である。図2および3に図示された通り、この例示的実施形態において、光源130は発光ダイオードである。光源130からの光ビーム134は、2次元スケール110によって反射される。反射された光ビーム136は、レンズ140を通過し、ピンホールアパーチャプレート150の開口152に光142として投射され、第1のミラー158に到達する。光142のビームは、第1のミラー158によって第2のミラー159へ反射される。光142のビームはさらに、第2のミラー159によって検出器160上へ反射される。図2および3には光ビーム134、反射ビーム136および光142のビームの中心軸だけが図示されていることを理解しなければならない。一般に、光ビーム134および136は開口152より大きいビーム径を有しており、従って、開口152は光学系の制限開口である。
種々の例示的実施形態において、ビーム134およびビーム136は、2次元スケール110に垂直な平面において互いに対して45°の角度にある。第1および第2のミラー158および159はそれぞれ、ビーム136の方向を90°ずつ変える。種々の例示的実施形態において、2次元スケール110とレンズ140の有効平面との間の距離L2は約5.5mmである。レンズ140と開口152との間の距離L3は約4.5mmである。第1のミラー158と開口152との間の距離L1は約4.1mmである。第1のミラー158と第2のミラー159の間の距離L4は約23.7mmである。第2のミラー159と検出器160との間の距離L5は約5.3mmである。
図4は、2次元スケール110の一部の1つの例示的実施形態の等角側面図を例示している。スケール110は、入射光ビームと光軸との間の角度が、相対的に鏡面のスケール表面がそれらの相対的鏡面に入射する光(すなわち反射光136)を、読取ヘッド126によって検出される光の経路(すなわち光軸144と概ね位置合わせされた経路)から離れて反射するようなものである場合に、使用可能である。
図4に図示された通り、2次元スケール110のスケールのフィーチャー(feature)は一般に、図4において点線の輪郭線によって示された2次元スケール暗パターン要素115および、2次元スケール明パターン要素119を含む。図4において、垂直方向での2次元スケール暗パターン要素115および2次元スケール明パターン要素119の高さまたは厚さは、例証のために相当に誇張されていることを理解しなければならない。
種々の例示的実施形態において、2次元スケール暗パターン要素115は、2次元スケール110を形成するために使用される基板113の第1の表面114に形成された反射性薄膜であるパターン形成材料層117の一部である。図4に図示された実施形態では、説明のために限られた数の例示的な2次元スケール暗パターン要素115しか点線で示されていないが、残りの2次元スケール暗パターン要素115は、2次元スケール暗パターン要素115が併合されかつ/または見分けがつかない連続領域として表現されることを理解しなければならない。一般に、2次元スケール暗パターン要素115は、2次元スケール明パターン要素119と広がりの点で同様であり、そのサイズは2次元スケール110を作製するために使用されるプロセスに関係するパターン形成分解能に概ね対応する。このように、図4に図示された構成に関して、2次元スケール110の種々の部分において、2次元スケール明パターン要素119のいくつかは、それらが併合されかつ/または見分けがつかないスケールフィーチャーを形成するためにより高い配置密度で代替的に図示され得るであろうし、2次元スケール暗パターン要素115は2次元スケール110の種々の部分において相対的に孤立した要素として代替的に図示され得るであろう。
2次元スケール暗パターン要素115は、概ね一貫した光学特性を有し、第1の測定軸111および第2の測定軸112に沿って延在する表面を備える。種々の例示的実施形態において、2次元スケール暗パターン要素115および2次元スケール明パターン要素119は、読取ヘッド画像での異なる反射強度を付与する。その強度の範囲は、2つの極限強度(すなわち黒と白)間のスペクトルのいずれをも範囲とする。但し、それらの異なる反射強度がここに記載される測定原理に従った動作可能スケールを付与するために概ね区別され得ることを条件とする。図4に図示された実施形態において、2次元スケール110の基板113の第2の表面114’が、光ビーム134の源により近くなるように、2次元スケール110は配置される。この場合、基板113は光ビーム134の少なくとも1つの波長に対して透明でなければならない。拡散バッキング(diffuse backing)118が第1の表面114上にか、その上方にか、または極めて近くに形成または設けられており、結果的に、拡散バッキング118は、2次元スケール暗パターン要素115における開口または除去領域である2次元スケール明パターン要素119の領域を拡散反射表面にする。この拡散バッキングまたはコーティング118は、光ビーム134の入射光の少なくとも一部を光軸144に沿って拡散的に方向づける。
1つの例示的実施形態において、拡散バッキング118は、2次元スケール明パターン要素119の領域の表面114を覆う吹付けコーティングである、拡散反射コーティング形式のバッキング118Aである。別の例示的実施形態において、拡散バッキング118は、拡散反射基板形式のバッキング118Bであり、それは表面114にほぼ接しており、2次元スケール明パターン要素119の領域で光ビーム134を反射する。種々の例示的実施形態において、拡散反射基板形式のバッキング118Bは、表面114と可能な限り厳密に合致し、2次元スケール明パターン要素119と2次元スケール暗パターン要素115との間に最善に可能なエッジデフィニションおよびロケーションを付与する。種々の例示的実施形態において、基板形式のバッキング118Bは、2次元スケール110を保持する取付部材の表面として設けられる。
種々の例示的実施形態において、パターン形成材料層117は反射性薄膜層であり、2次元スケール明パターン要素119は、従来の薄膜パターン形成技法によって形成され得る。種々の例示的実施形態において、2次元スケール暗パターン要素115および2次元スケール明パターン要素119の公称サイズは、約5〜10ミクロンである。
種々の例示的実施形態において、2次元スケール110の準ランダムパターン部に特徴的な公称フィーチャーサイズ(nominal feature size)は、以下でさらに詳述する通り、2次元スケール暗パターン要素115および2次元スケール明パターン要素119のサイズに相当する。そうした実施形態において、準ランダムパターンは、バイナリ値スケールフィーチャーの準ランダムパターンに近似するはずである。種々の他の例示的実施形態において、2次元スケール110の準ランダムパターン部に特徴的な公称フィーチャーサイズは、2次元スケール明パターン要素119のサイズより著しく大きい。そうした実施形態において、2次元スケール110の準ランダムパターン部の公称フィーチャーの広がりの内部における2次元スケール暗パターン要素115および2次元スケール明パターン要素119の個別の分布および/または配置密度は、個々の公称フィーチャーについて、各公称フィーチャーに対応する2次元スケール110の画像のピクセル強度値が事実上、公称フィーチャーの少なくとも一部のバイナリ画像値に制限されない平均グレースケール値を付与し得るように調整され得る。そうした実施形態において、準ランダムパターンは、グレースケール値化されたスケールフィーチャーのスペクトルを含む準ランダムパターンに近似するはずである。
パターン形成材料層117が写真乳剤である種々の例示的実施形態において、2次元スケール暗パターン要素115および2次元スケール明パターン要素119は、従来の露光・処理技法によって形成され得る。そうした例示的実施形態において、2次元スケール暗パターン要素115および2次元スケール明パターン要素119は一般に、極限コントラストのバイナリ状画像値および/またはグレースケール値のどちらか一方を与えるように処理され得る。種々の例示的実施形態において、2次元スケール暗パターン要素115は相対的に不透明で光吸収性であるように処理することができ、2次元スケール明パターン要素119は完全にまたは部分的に透明であるように処理することができる。
図4に図示された2次元スケール110の例示的実施形態がいくつかの利点を提供することを理解しなければならない。この例示的実施形態では、2次元スケール110は、2次元スケール110の拡散部分の動作可能な広がりおよびロケーションが事実上スケールの暗パターン要素115のエッジによって規定されるので、作製が容易である。従って、2次元スケール110の拡散部分は、これらの拡散部分の広がりまたはロケーションを制御するためにいかなる特別な処理も必要としない。さらに、図4に図示された2次元スケール110の向きの場合、第2の表面114’上の汚染が、2次元スケール110の検出画像において焦点をずらす傾向がある。さらに、表面114は、基板113および/または拡散バッキング118によって、かつ/または恐らく表面114に接する外部取付要素によって、損傷から保護される。しかし、前述の通り、一般に、光源130によって供給された光の波長により照明された時に本発明に従って相対的にハイコントラストなスケール画像を付与するあらゆるスケール構成または向きが使用され得る。
レンズ140に到達した2次元統合スケールパターン300の照明部分からの反射光136はその後、光142として光検出器160上へ投射される。種々の例示的実施形態において、レンズ140は、約3mmの直径および約4.5mmの焦点距離fを有する両凸レンズとし得る。前述の通り、種々の例示的実施形態において、光142はピンホールアパーチャプレート150のピンホール開口152を通過する。レンズ140は、レンズ140の焦点距離fにほぼ等しい距離だけピンホールアパーチャプレート150から離間されており、光検出器160上の統合スケールパターン300の画像の倍率を物体距離gとほぼ独立にさせる。
詳細には、ピンホールアパーチャプレート150が使用されている場合、ピンホール開口152によって通過した光154はその後、光軸144に沿った距離dで、光検出器160の2次元アレイ166の2次元画像素子162の表面上に投射される。そのようなテレセントリックな構成の場合、2次元統合スケールパターン300の画像フィーチャー(image feature)の倍率は、このように主に焦点距離fと距離dとの関係に依存し、d/fにほぼ等しい。
より一般的には、開口152が相対的に大きいか、またはピンホールアパーチャプレート150が省略されている構成の場合、倍率は物体距離gによって変わる。この場合、2次元統合スケールパターン300の照明部分から画像素子162の2次元アレイ166上に反射される光の検出部分内の画像フィーチャーの近似倍率Mは、以下のようになる。
M≒(f+d)/g (1)
ここで、
gは物体距離である。
fはレンズ140の焦点距離である。
dはレンズ140の焦点距離を越えて2次元アレイ166の表面までの距離である。
種々の例示的実施形態において、2次元光学変換器100のこれらのパラメータの代表値は以下を含む。g≒4.5mm、f≒4.5mm、およびd≒28.35mm。その結果、対応する近似倍率Mは7.3である。ピンホール開口152のサイズを選定する際に、2次元統合スケールパターン300の画像の被写界深度、すなわち物体距離gが読取ヘッド隙間のミスアラインメントなどのために変化した時の画像のぼけの量と、アレイ166の画像強度との間に妥協も存在することを理解しなければならない。1つの例示的実施形態では、ピンホール開口152は0.8mmの直径を有する。種々の他の例示的実施形態において、ピンホール開口152は0.5ないし2.0mmの直径を有する。倍率を正確に計算することが難しい場合、有効倍率はまた、与えられた位置エンコーダ設計および指定された動作パラメータについて実験的に決定され得ることも理解しなければならない。例えば、有効倍率は、各軸に沿った画像素子の既知の間隔および既知の次元の種々のスケールフィーチャーの観察された画像サイズに基づいて決定され得る。
画像を取得するために、信号生成・処理回路200は、光源130を駆動して光ビーム134を放射させるために信号線132に駆動信号を出力する。光ビーム134は2次元統合スケールパターン300の一部を照明し、それは光検出器160の画像素子162の2次元アレイ166上で撮像される。信号生成・処理回路200はその後、信号線164によって複数の信号成分を入力し、各信号成分は個別の画像素子162のうちの1つ以上によって検出される画像値に対応している。
2つの次元の各々に沿った2次元統合スケールパターン300に対する読取ヘッドの現在の変位を決定するために、信号生成・処理回路200により光検出器160から受信された現在画像の信号成分は、メモリに入力され記憶される。現在画像は、その後、読取ヘッド126と2次元スケール110との間の各次元に沿った絶対位置を決定するために、分析される。当然、光検出器から受け取った画像を記憶することは、絶対位置がオンザフライ(on the fly)で計算できる場合、スキップされ得ることを理解しなければならない。種々の例示的実施形態において、絶対位置決定の分析の一部として、現在画像の測定軸111および112のうちの少なくとも一方に対応する方向で広がっている画像素子162の1行または1列、またはせいぜい少数の行または列が、分析のために選定される。
以下でさらに詳細に検討するように、分析の一部として、現在画像に現れる2次元コード部の位置づけがされる。この位置づけされた2次元コード部は、その位置づけされたコード部によって定義される第1分解能2次元絶対位置を決定するために、復号される。位置づけされたコード部の2次元配置、または位置づけされたコード部の(もしくはそれに関係する)所定部分の2次元ロケーションが、その後、現在画像フレーム(すなわち画像素子162の2次元アレイ166)に対して決定される。
現在画像フレームに対するこの決定された2次元ロケーションによって、2次元統合スケールパターン300に対する読取ヘッド126の2次元絶対位置が、復号されたコード部によって指示された第1分解能2次元ロケーションから第2分解能2次元ロケーションに精緻化される。種々の例示的実施形態において、この第2分解能2次元ロケーションはピクセル分解能であり、2次元アレイ166の2つの次元または軸の各々に沿った画像素子162のピクセル間隔またはピッチに対応している。
第2分解能2次元ロケーションの最高達成可能性は、真のピクセル分解能に対応することを理解しなければならない。すなわち、各軸に沿った第2分解能は、その軸に沿った絶対ロケーション測定値の不確さを、ある分解能まで低減する分解能がある。上記ある分解能とは、読取ヘッド126によって付与されるその次元に沿った倍率および2次元アレイ166のその次元に沿ったせいぜい1〜2ピクセルピッチ増分に対応する分解能である。当然、第2分解能は、補間または重心に基づく決定が使用される場合、1ピクセルピッチより良好になり得ることを理解しなければならない。
準ランダムパターンを含む現在画像の少なくとも一部が、多数のオフセット位置の各々について対応する準ランダムパターンを含む参照画像と、ピクセル単位で比較されることにより、スケールに対する読取ヘッドの絶対位置が第3分解能まで決定される。種々の例示的実施形態において、第3分解能は、アレイ160上の画像のサブピクセル分解能位置決定に対応している。参照によってここに全体として採り入れられる、米国特許出願第09/731671号に詳細に開示されたように、一連の比較は、相関曲線のピークおよび/または谷にわたる。
すなわち、参照画像および現在画像は、相関関数値点を生成するために処理される。例示的実施形態において、現在画像は、2つの画像のパターンを最も近くに位置合わせさせるオフセットを含む、ある範囲のオフセットまたは空間変換位置にわたり、参照画像に対してディジタル的にシフトされる。相関関数値点はパターン位置合わせの程度を指示しており、従って画像がディジタル的にシフトされる際に2つの画像を位置合わせさせるために要求されるオフセットの量を指示する。このオフセットは、2次元スケール110に対する読取ヘッド126の絶対位置を、第2分解能から第3分解能に精緻化するために使用され得る。第3分解能とは、読取ヘッド100によって付与される倍率で割られた、アレイ166の片方または両方の軸における1より著しく小さいピクセルピッチ増分に対応する。
種々の例示的実施形態において、参照画像は、2次元統合スケールパターン300の繰り返し準ランダムパターン部によって規定された準ランダムパターン画像である。実際のおよび/または合成のスペックルパターンに基づき得る準ランダムパターンを含む準ランダムパターン部は、参照画像の準ランダムパターンと公称上同一であり、X軸およびY軸の両方向で2次元統合スケールパターン300において繰り返される。
参照画像を現在画像と比較するための多数の様々な技法が存在することを理解しなければならない。例えば、第1の例示的な技法では、選定された1つ以上の行を参照画像のフレーム全体の幅とピクセル単位で比較して単一の相関値を生成する際に、現在の「変位した」画像のフレームの領域全体が使用され得る。この場合、現在の参照画像および変位した画像の他方の領域と重なり合わない参照画像および現在画像の領域に存在するようなピクセルが、デフォルト比較値を有するピクセルと比較されるか、またはデフォルト比較値を割り当てられるかなどされる。他の例示的な技法では、部分画像が比較される。いずれの場合も、相関ピークおよび/または谷を指示する一連の相関値は、各比較が実行された後、参照画像に対して適切な方向で1つ以上のピクセルだけ現在画像をシフトさせることによって生成される。
図5は、本発明に従った2次元統合スケールパターン300の第1の例示的実施形態300’のブロック図レイアウトを例示している。図5に図示された通り、2次元統合スケールパターン300’は、複数の部310(各部310は一つの2次元準ランダムパターンを含む)および複数の2次元コード部330を含む。本発明の原理によれば、2次元統合スケールパターン300’の複数の2次元準ランダムパターン部310および複数の2次元コード部330は、2次元統合スケールパターン300’の個々の局所領域をシェア(share)し、またはそこで「統合」されている。局所領域は、以下でさらに詳述する検出窓340のサイズにほぼ対応する。
図5に図示された統合スケールパターン300’は、2つの測定軸111および112の各々に沿って延びる本発明に従った2次元スケール110の領域全体にわたり延在する。すなわち、複数の2次元準ランダムパターン部310および複数の2次元コード部330はそれぞれ、2つの軸111および112の各々に沿って広がりを有する。種々の例示的実施形態において、2つの軸111および112の各々に沿って、2次元準ランダムパターン部310および2次元コード部330は、2次元スケール110の領域全体にわたり反復シーケンスで配置されている。随意選択で、いくつかの例示的実施形態において、2次元コード部330の各々は、以下でさらに詳述するように、所定のフィーチャー320を含む。
2次元準ランダムパターン部310および2次元コード部330の両方を2次元統合スケールパターン300の各局所領域において単一の統一構造に統合することによって、2次元統合スケールパターン300の境界内のいずれかの場所の2次元統合スケールパターン300上に位置づけられた検出素子の集合(光検出器160の画像素子162の集合のような)は、測定軸111および112に沿った読取ヘッド126に対する2次元スケール110の位置のいずれかの組合せで2次元準ランダムパターン部310および2次元コード部330に含まれた情報を検出するために使用可能であることを理解しなければならない。
図5に図示された通り、光検出器160によって単一画像としてキャプチャされ得る統合スケールパターン300’の一部に対応する検出窓340が、2次元統合スケールパターン300の少なくとも一部にわたり2次元スケール110に沿って2つの次元で延在する。本発明に従った種々の例示的実施形態において、本発明に従った2次元統合スケールパターン300の構成のために、統合スケールパターン300内のY軸に沿った検出窓340の幅は、以下でさらに詳述する通り、検出窓340がいずれかの2つの隣り合うコード部の対応する境界間のY軸に沿った距離と公称上少なくとも同じ幅である限り、特に重要ではないことを理解しなければならない。同様に、本発明に従った2次元統合スケールパターン300の構成のために、統合スケールパターン300内のX軸に沿った検出窓340の長さも、検出窓340がいずれかの2つの隣り合うコード部の対応する境界間のX軸に沿った距離と公称上少なくとも同じ幅である限り、重要ではないことを理解しなければならない。
種々の例示的実施形態において、光検出器160のサイズおよび、読取ヘッド126の光学系140〜152によって付与される倍率は、測定軸111および112に沿った2次元準ランダムパターン部310および2次元コード部330の広がりと協働して、検出窓340が、2次元スケール110の領域内での読取ヘッド126の位置に関わらず、完全な2次元コード部330が検出窓340に現れることが保証される程度に十分に測定軸111および112に沿って延在するようなものであることを理解しなければならない。検出窓340が少なくともその長さでありかつ少なくともその幅であれば、完全な2次元コード部330を復号することは、読取ヘッド126のいずれかの位置が、2つ以上の不完全な2次元コード部330が検出窓340に現れる結果となる状況に関しても、著しく単純化される。すなわち、いくつかの例示的実施形態において、検出窓340のサイズに関する唯一の実質的な要件は、検出窓340が、少なくとも1つの2次元コード部330が検出窓340内に完全に存在することを保証するために十分な程度に十分に長く幅広である必要がある、ということである。
代替的に、図5におおよそ図示された通り、種々の例示的実施形態において、完全なコード部330と等価な情報が、読取ヘッド126および2次元スケール110の位置に関わらず多数の2次元コード部330のうちの2つ以上の別個のセグメントから「再構成され」得るように、検出窓340が2つの測定軸111および112の各々に沿って十分に延在するような検出窓340が使用できる。この条件を満たすには、検出窓340は一般に、2次元スケール110の1つの2次元コード部330のエッジから隣り合う2次元コード部330の対応するエッジまでのその測定軸111または112に沿った距離に等しいかまたはそれよりいくぶん大きい量だけ2つの測定軸111および112の各々に沿って延在する。そのような距離は、一般に、大多数の潜在的スケール位置に完全な2次元コード部330を含む。読取ヘッド126のいくつかの位置で、そのような検出窓340はまた、少なくとも2次元準ランダムパターン部310の多数のスケール要素によって画定される1つの完全な2次元コード部330を含むために概ね十分である。いずれにせよ、2つの測定軸111または112の一方または両方に沿ってそうした種類の広がりを有する検出窓340について、2次元コード部330のパターンは、意図した再構成技法に照らして選択されなければならない。例えば、パターンは、連続した二進数コードとしてまたは、周知の疑似ランダム「チェーン」コード技法などによって選択され得る。関係する再構成操作は、2次元コード部330に所定のフィーチャー320を含む例示的実施形態において単純化され得るか、かつ/またはより頑強または高速になり得ることを理解しなければならない。
図5に図示された2次元統合スケールパターン300’の第1の例示的実施形態において、所定部分320は2次元コード部330の一方側に位置づけられる。しかし、種々の他の例示的実施形態において、所定部分320が2次元コード部330の頂部に沿ってまたは、各2次元コード部330の2つ以上のエッジなどに位置づけられることを理解しなければならない。そうした場合、コード部330の1つのエッジに沿って配列された所定部分320は、コード部330の別のエッジに沿った所定部分320とは別個であり得る。種々の他の例示的実施形態において、所定部分320は、コード部330のもっと中心に向けて位置づけられる。
所定部分320は、2次元準ランダムパターン部310および/または2次元コード部330に現れる2次元準ランダムパターンが他のパターンフィーチャーと確実かつ容易に区別され得るように、いずれかのフィーチャーまたはフィーチャーの組合せとすることができる。例えば、そのようなフィーチャーは、以下に限らないが、測定軸111に沿った一意(unique)の長さおよび/または測定軸112に沿った一意の長さを有する明または暗スケールフィーチャー、測定軸方向111に沿ったおよび/または測定軸112に沿った明および/または暗スケールフィーチャーの一意のパターン、および/または、光検出器160の画像素子162によって検出される一意の色または強度を有する1つ以上のスケールフィーチャーを含む。種々の例示的実施形態において、所定部分320の全部は同一である。
使用される信号処理アルゴリズムに依存して、所定部分320は省略することができる。しかし、そうした所定部分320を使用することが、検出窓340内で2次元コード部330を迅速かつ頑強に識別し位置決定するために使用される信号処理アルゴリズムを単純化することを理解しなければならない。
所定部分320が含まれるか否かに関わらず、2次元コード部330の各々は、コード要素の別個のかつ/または一意のパターンまたはコード群を含む。コード要素のこの別個のかつ/または一意のパターンは、検出窓340に現れる特定の2次元コード部330に関係する少なくとも1つの位置の値を明確に決定できるようにする。2次元スケール110内の個々の特定の2次元コード部330の2次元ロケーションは事前に規定されているかまたは、計算され得るので、いずれの2次元コード部330が検出窓340に現れるかをそのコード部330のコード要素の特定の別個のかつ/または一意のパターンを決定することによって識別することは、2次元スケール110に対する検出窓340の、従って読取ヘッド126の2次元絶対位置を、検出窓340のサイズおよび/または2次元コード部330間の間隔と同様に第1分解能で粗略に決定され得るようにする。
すなわち、与えられた原点に対する2次元スケール110内の与えられた2次元コード部330の2次元ロケーションは高度な正確さおよび精度で既知であり得るが、検出窓340に対する2次元コード部330および1つ以上の周囲の2次元準ランダムパターン310の2次元ロケーションは、検出窓340に現れている2次元コード部330のコード値を単に決定する操作に基づいて必ずしもわかるわけではない。詳細には、1つ以上の2次元準ランダムパターン310および2次元コード部330は、2次元検出窓340内のいずれの場所にも位置づけられ得る。
上述の通り、いずれかの特定の2次元コード部330に対応する2つの測定軸111および112の各々に沿った測定値は、別個のかつ/または一意のコードパターンによって事前に規定され得るかまたは、別個のかつ/または一意のコードパターンから計算されるかまたは別様に決定され得る。すなわち、種々の例示的実施形態において、別個のかつ/または一意のコードパターンはルックアップテーブル内に記憶され、それはその別個のかつ/または一意のパターンを含む2次元コード部330に対応する2次元スケール110上の公称2次元ロケーションの2つの測定軸111および112の各々に沿った測定値も記憶する。この場合、種々の例示的実施形態において、別個のかつ/または一意のパターンは、いずれかの所望の順序またはシーケンスで生起することができ、この時、2次元コード部330の隣り合うものの別個のかつ/または一意のパターンにはいかなる関係も存在する必要はない。この場合、別個のかつ/または一意のパターンは、例えば、2次元コード部330の隣り合うものの別個のかつ/または一意のパターンの区別を増大させるようにといった、いずれかの所望の形で2次元コード部330間に分布され得る。
種々の他の例示的な実施形態において、別個のかつ/または一意のパターンは、これらの別個のかつ/または一意のパターンを含んでいる2次元コード部330の2次元ロケーションに何らかの形で客観的に対応し得る。この対応はその後、2次元スケール110内の2次元コード部330の2次元絶対位置を、従って検出窓340の、それゆえ2次元スケール110に対する読取ヘッド126の、2次元絶対位置を直接決定または計算するために使用され得る。種々の例示的実施形態において、2次元コード部330は、それぞれ、X軸およびY軸の各々に沿った規則的な各自のピッチまたは間隔で2次元スケール110内に配置される。
特定の2次元コード部330の別個のかつ/または一意のパターンは、その一意のパターンまたはコードワードにおける2つの各自のXおよびYの二進数またはそれ以上の基数といった、少なくとも1つの二進数またはそれ以上の基数を定義する。それぞれのXおよびYの二進数またはそれ以上の基数が定義されている種々の例示的実施形態において、2次元スケール110のそれぞれの測定軸111または112に沿って順次的である2次元コード部330によって指示される各自のXおよびYの数は各々、それぞれの測定軸111または112に沿った特定のシーケンスを定義する。
従って、そのような例示的実施形態において、例えば、どちらか一方の各自の軸に沿って、その軸に沿って延びるそのような2次元コード部330のシーケンスにおける第1の2次元コード部330は、そのそれぞれの軸に沿っていずれかの規定された数値シーケンスでそれぞれの第1の数を規定する別個のかつ/または一意のパターンを有するであろう。その数はその後、その軸に沿ったそのシーケンスで個々の連続した2次元コード部330について1増分だけ増加され得る。
数またはコードワードのシーケンスが使用される場合、検出窓340の左かつ/または上部に撮像された1つの2次元コード部330の数またはコードワードの終端セグメントおよび検出窓340の右かつ/または底部に撮像された少なくとも1つの隣り合う2次元コード部330の数またはコードワードの先頭セグメントから完全なコードワードを再構成することは、特に高速かつ容易であることを理解しなければならない。従って、数またはコードワードのシーケンスは、2次元統合スケールパターン300’に対する検出窓340のスパンが、少なくとも1つの完全な途切れのない2次元コード部330が2次元スケール110のすべての可能な画像に含まれることを保証するものよりも小さい最小使用可能サイズのものであるように望まれる場合に、特に有用である。当然、より複雑で不規則な構成、公式および方法が、これらの別個のかつ/または一意のパターンを含む2次元コード部330の別個のかつ/または一意のパターンおよび2次元ロケーションを関連づけるために使用され得る。
個々の特定の2次元コード部330は測定軸111および112の両方に沿って延在する2次元領域に分布されるが、それにも関わらず個々の特定の2次元コード部330は、2次元スケール110の領域における特定の点に関係づけられている2つの測定軸111および112の各々に沿った測定値に一意に対応するかまたは、それらを識別することを理解しなければならない。特定の2次元コード部330によって指示される2つの測定軸111および112に沿った測定値に対応する2次元スケール110の領域おける個々の特定の点について、その点は局所基準と呼び得ることを理解しなければならない。
一般に、局所基準は、エッジに沿った既定の点、種々のエッジまたはフィーチャー中心のXY座標の組合せ、領域中心点または、検出窓340に対して位置づけられ得る2次元コード部330の1つ以上の特定的に認識可能な明および/または暗スケールフィーチャーのいずれかの他の局所化可能な特性とすることができる。本発明によれば、局所基準は必ずしも、2次元統合スケールパターン300に特別に付加されなければならない別個のフィーチャーまたは特性であるわけではないことを理解しなければならない。むしろ、2次元統合スケールパターン300の画像に関係する信号処理は、2次元統合スケールパターン300のいずれかの特定的に認識可能な局所化可能なフィーチャーまたは特性を局所基準として暗黙的に選択または使用し得る。
1つの例示的実施形態において、局所基準は、その局所基準に関係するXおよびY測定値を指示する2次元コード部330の一部に直接隣り合っている2次元コード部330の2次元スケールフィーチャーの特性として便宜的に選択される。さらなる例示的実施形態において、局所基準は、以下でさらに詳述するように、コード位置インジケータといった、その局所基準に関係するXおよびY測定値を指示するコード部330に関係する所定部分320の特性として便宜的に選択される。そのような例示的実施形態は、検出窓340内で局所基準を迅速かつ頑強に識別し位置決定するために要求される信号処理アルゴリズムを単純化し得る。
一般に、局所基準は、検出窓340に現れる2次元コード部330が、第1分解能2次元絶対位置および/または第3分解能2次元絶対位置を決定するために分析される前か、その間かまたはその後に、検出窓340に対して位置決定され得る。例えば、局所基準を識別および/または位置決定することは、種々の画像素子162に関係する画像強度値に適用される、公知のエッジ検出または重心検出技法などに基づき得る。いずれにせよ、検出窓340に対する局所基準の2次元ロケーションは、2次元絶対位置決定の分解能を前述の第1分解能より精細な第2分解能に精緻化するために使用される。
本発明に従った2次元統合スケールパターン300を使用することによって、種々の例示的実施形態において、測定軸111に沿って延びる画像素子162の限られた数の行および/または列だけが、検出窓340に対する局所基準のロケーションを第2分解能まで決定するために分析される必要があることを理解しなければならない。さらに、検出窓340に対する局所基準の第2分解能ロケーションは、現在画像が2つの画像のパターンを最も近くに位置合わせさせるオフセットを決定するために参照画像に対してディジタル的にシフトされるオフセットまたは空間変換位置の範囲を選定および/または狭めるために使用され得る。このようにして、本発明に従った2次元統合スケールパターン300を使用するシステムは、高速な信号処理を達成することができる。
コード部のコード要素および2次元準ランダムパターン部310の公称準ランダムパターンフィーチャーサイズは図8〜10においてほぼ等しいものとして図示されているが、種々の他の実施形態において、コード要素は、公称準ランダムパターンフィーチャーサイズより2倍以上大きいとし得ることを理解しなければならない。また他の実施形態では、コード要素は、公称準ランダムパターンフィーチャーサイズより2倍以上小さいとし得る。互いに対する各自のサイズに関わらず、種々の例示的実施形態において、準ランダムパターンの公称フィーチャーサイズ、コード部のコード要素のサイズおよび、読取ヘッド126の構成によって付与される倍率は、コード部のコード要素のサイズおよび光検出器160での2次元準ランダムパターン部310の公称準ランダムパターンフィーチャーサイズがそれぞれ、2つの測定軸111および112の各々に沿った画像素子162のピクセルピッチの各々少なくとも3倍であるように選択される。種々の例示的実施形態において、2つの測定軸111および112の各々に沿って、例えばピクセル強度値の遷移に基づき、1ピクセルピッチに等しいかまたはより大きい分解能でのエッジ検出といった、頑強で単純な基準位置決定技法が選択される。そのような構成は、頑強であり、さらに単純かつ高速な信号処理を可能にする。
1つ以上の2次元準ランダムパターン部310は、検出窓340に対する、従って読取ヘッド126に対する2次元スケールの2次元絶対位置の決定を第3分解能まで精緻化するために使用され得る。第3分解能は、準ランダムパターンの公称フィーチャーサイズおよび/または本発明の原理に従って読取ヘッドによって検出された画像における準ランダムパターンの公称フィーチャーサイズより少なくとも2、3倍精細である、またより何倍も精細であることもある、正確さを2つの測定軸111および112の各々に沿って有する。種々の例示的実施形態において、第3分解能は、2つの測定軸111および112の各々に沿って、検出窓340に対する2次元スケール110の投射された画像をサブピクセル分解能まで位置決定することに対応している。
種々の例示的実施形態において、検出画像における局所基準画像のロケーションを決定することに基づいて検出窓340に対する局所基準のロケーションを第2分解能まで決定する操作は、省略されることを理解しなければならない。そうした実施形態では、相関関数値および/または相関曲線が、検出窓340に対する2次元スケール110の投射された画像のロケーションをサブピクセル分解能まで直接決定するために生成される。
検出窓340に対する局所基準の画像のロケーションを第2分解能まで決定し、第2分解能がほぼ1ピクセルピッチの分解能に対応する種々の他の例示的実施形態において、相関関数値および/または相関曲線は、少なくともある程度サブピクセル分解能を得るために生成される。
採り入れられた第671号出願は、当該のピークまたは谷の周辺の相対的に少数の相関関数値点に基づき相関曲線のピークまたは谷のピクセルおよび/またはサブピクセルロケーションを高精度に決定するための多様な方法を開示している。これらの技法、または他のいずれかの適切な周知であるかまたは今後開発される技法のいずれも、検出窓340に対する2次元スケール110の投射された画像のオフセット位置をピクセルおよび/またはサブピクセル分解能まで決定するために使用され得ることを理解しなければならない。このようにして、読取ヘッド126に対する2次元スケール110の位置は、準ランダムパターンのフィーチャーの公称フィーチャーサイズおよび/または拡大されたピクセルピッチよりも少なくとも2、3倍精細である、またより何倍も精細であることもある、第3分解能および正確さにまで決定される。
本発明に従った2次元統合スケールの種々の例示的実施形態において、画像の大きな割合部分が、その画像における1つ以上のコード部330のロケーションに関わらず、対応する代表的な参照画像またはパターンと効果的に相関づけられ得る2次元準ランダムパターン部310を含む。さらに、検出窓340に対する局所基準の画像の位置を第2分解能まで決定する種々な例示的実施形態において、XおよびY方向の相関ピークを求めるために必要なXおよびYオフセットの範囲は、検出窓340に対する2次元準ランダムパターン部310の近似オフセットが既知であることとともに、画像におけるX軸およびY軸の両方の2次元準ランダムパターン部310のフィーチャーの高空間周波数に起因して、限定され得る。従って、本発明に従った2次元統合スケールは、高分解能2次元位置決定が高速で行われることを可能にし、高分解能かつ高速な2次元絶対位置測定決定全体を支援する。
2次元統合スケールパターン300が、本発明に従った統合スケールパターン300’の2次元準ランダムパターン部310に一体化された1つ以上の2次元準ランダムパターンといった、1つ以上の繰り返される予測可能な2次元準ランダムパターンのタイリングを含む場合、そのような2次元準ランダムパターンで使用可能な高分解能または第3分解能の位置検出技法は、特定の2次元バーコードパターンなどといった、各タイルにパターンの反復する大きい部分を含まない2次元パターンをタイリングする時に達成され得る技法および結果に比べて、特に単純で、正確で、高速でかつ信頼できることを理解しなければならない。
例えば、高分解能位置を決定するためにソフトウェアおよび/またはハードウェアベースの相関技法を使用する実施形態において、参照画像またはハードウェア検出器構造は、単一の固定した機器構成とすることができる。ハードウェア検出器構成の修正または、現在画像への参照画像の更新またはマッチングなどは、個々の準ランダムパターン部310において繰り返される単一の準ランダムパターンの全部の画像が概ね類似であり予測可能であるので、必要とされない。さらに、概ねまたは完全に繰り返された画像または画像部分の位置のソフトウェアまたはハードウェアに基づく検出の精度は、読取ヘッドのミスアラインメントなどに起因する画像のぼけにそれほど過敏でない傾向がある。さらに、準ランダムパターン部310の種々の現在画像との相関に使用される参照画像はメモリにおける画像データの静的集合から導出され、かつまた、準ランダムパターン部310の準ランダムパターンはスケール全体にわたり繰り返されるので、スペックル相関測定システムとは異なり、長い範囲の変位測定が著しい誤差を蓄積しない。
種々の例示的実施形態において、個々の準ランダムパターン部310は、実質的に同一の準ランダムパターンを含む。準ランダムパターンは、以下でさらに詳述するように、実際のスペックルパターンまたは合成のスペックルパターンに基づき得る。
図6および7は、例示的な準ランダムパターンを例示している。詳細には、図6は、現実または実際のスペックルパターンに基づく準ランダムパターンを示す。一般に、スペックルパターンは、光学的に粗い表面をコヒーレント光源で照明することによって発生させ得る。
図6に図示された通り、準ランダムパターンは、黒色強度レベルに主に対応する種々の公称スケールフィーチャー領域、白色強度レベルに主に対応する種々の公称スケールフィーチャー領域および、当該スケールフィーチャー領域について平均グレー強度レベルを付与する高分解能パターン形成スケール要素の分布を含む、種々の公称スケールフィーチャー領域を含む。そのような公称スケールフィーチャー領域は、相関分析において使用されるピクセル強度レベルを備える画像をもたらす。平均グレーレベルを備えるフィーチャーを含むことは一部の相関分析アルゴリズムの正確さを増強することが、場合によって考えられる。しかし、種々の他の例示的実施形態では、白色または黒色強度レベルを主に含む公称スケールフィーチャー領域だけが使用される。種々の例示的実施形態において、図6に図示された公称スケールフィーチャー領域の公称サイズは、約5ミクロンである。
図7は、人工的に生成された準ランダムパターンを示す。図6に関する前の検討と同様に、図7に図示された通り、種々の公称フィーチャー領域は種々の強度レベルに対応する。図7に図示された公称スケールフィーチャー領域の公称サイズもまた、ほぼ5ミクロン程度である。
図8は、図5に図示された2次元統合スケールパターン300’に対応する2次元統合絶対スケール400の第1の例示的実施形態を例示している。図8に図示された通り、2次元統合スケール400は、複数の2次元準ランダムパターン部410および、測定軸111および112の両方に沿って配列された複数の2次元コード部430を有する。さらに、図8に図示された例示的実施形態において、コード部430は、所定のパターン部分420を含み、それは以下でさらに詳述するように、コード部430のコード区域の一貫してパターン形成された最上行および左列から構成される。
種々の例示的実施形態において、単一の準ランダムパターンは、準ランダムパターン部410と一般に一致し、それにおいて繰り返されることを理解しなければならない。すなわち、単一の準ランダムパターンは、X軸およびY軸の両方で繰り返し「タイル張り」される。本発明の原理によれば、異なる繰り返し準ランダムパターンの数を、メモリに単純かつ経済的に記憶され、実際の画像と高速で効率的に相関づけられ得る数に制限することが有利である。従って、多くの例示的実施形態において、単一の準ランダムパターンを使用することが最も経済的かつ効率的であるが、本発明はそうした実施形態にそのまま限定されない。
種々の他の例示的実施形態において、複数の異なる相対的に小さい2次元準ランダムパターンが、2次元準ランダムパターン部410において使用される。例えば、種々の例示的実施形態において、ほぼ2〜6個の小さい準ランダムパターンが、各2次元準ランダムパターン部に使用される。そのような複数のそのような準ランダムパターンの全部が互いに異なる場合、正味効果は単一の結合された準ランダムなランダムパターンのそれのままであることを理解しなければならない。しかし、種々の例示的実施形態において、複数のそのような準ランダムパターンのうちの少なくとも2つは同一としてよいが、ただし、それが本発明の原理に従って検出された画像を相関づける時にピークオフセット位置の曖昧性の可能性を導入するならば、そうした曖昧性が前述の第1または第2分解能測定値のうちの少なくとも1つに基づいて排除できる場合に限る。そうした実施形態では、2次元準ランダムパターン部410の種々の検出画像に相関づけ可能な比較可能な参照画像データを記憶するために要求されるメモリの正味量は、相対的に少なくなり得る。しかし、関連する相関処理は、種々のそうした実施形態においてより複雑となり得る。これらの例示的実施形態の一部において、1つの準ランダムパターンにおけるフィーチャーまたはピクセルのグレーレベルは、他方の準ランダムパターンにおける対応して位置決定されたピクセルの補数となり得る。例えば、そのような例示的実施形態において、1つの準ランダムパターンにおけるフィーチャーまたはピクセルのグレーレベルが黒である場合、他方の準ランダムパターンにおける対応して位置決定されたフィーチャーまたはピクセルは白である。
さらに他の例示的実施形態において、種々の2次元準ランダムパターン部410は、相対的に大きい2次元準ランダムパターンによる様々な部分を使用する。そうした実施形態において、2次元準ランダムパターン部410の種々の検出画像に相関づけ可能な比較可能な参照画像データを記憶するために要求されるメモリの正味量は、相対的に大きくなり得るが、関連する相関処理は、種々の例示的実施形態においてより高速となり得る。
読取ヘッド126は、測定軸方向111および112に沿って統合スケール400に対して移動する。個々の準ランダムパターン部410は、第1の測定軸111すなわちX軸に沿って延びる第1の寸法414および第2の測定軸112すなわちY軸に沿って延びる第2の寸法416を有する準ランダムパターン412を含む。種々の例示的実施形態において、個々の準ランダムパターン部410は、複数の2次元コード部430のうちの1つを含むかまたは、その周囲に延在する。
図8に図示された例示的実施形態において、第1および第2の寸法414および416は、それぞれのY軸およびX軸に沿って同じ広がりを有することを理解しなければならない。従って、準ランダムパターン部410、それゆえに1つ以上の準ランダムパターン412は、X軸およびY軸に沿って同じ広がりを有する正方形である。しかし、種々の例示的実施形態において、第1の寸法414および第2の寸法416は、X軸およびY軸に沿った準ランダムパターン部410の広がりが同一ではないように、同一ではないことを理解しなければならない。すなわち、その場合、準ランダムパターン412は長方形である。
種々の例示的実施形態において、統合スケール400のコード部430は複数のコード区域を含み、それは図8においてコード部430における境界線の行列によって図示されている。コード要素432または空白434が、上述の通り、各コード部430においてハイコントラストをなすコード要素および空白の別個のかつ/または一意のパターンを付与するために個々のコード区域に存在する。
種々の例示的実施形態において、各コード区域の広がりは、便宜上同一とされる。しかし、種々の他の例示的実施形態において、種々のコード区域の広がりは異なり得る。その場合、その変動は、対応する信号処理アルゴリズムにおいて吸収される。
第1および第2の測定軸111および112の各々に沿って、1つのコード部430は、準ランダムパターン部410のうちの1つの1つ以上の準ランダムパターン領域によって、隣り合うコード部430から分離されている。各コード部430は、第1および第2の測定軸111および112の各々について、局所基準436に関係する第1および第2の測定軸111および112に沿った測定値を指示する。前述のように、局所基準436は、必ずしも2次元統合スケール400の別個のフィーチャーまたは特性というわけではない。むしろ、2次元統合スケール400に関係する信号処理技法は、2次元統合スケール400のあらゆる特定的に認識できる局所化可能なフィーチャーまたは特性を局所基準436として暗黙的に選択する。
図8に図示された2次元統合スケール400の第1の例示的実施形態において、局所基準436は、所定部分420におけるコード区域439の左上隅のものとして便宜上選択されている。しかし、上述の通り、この選択はいくぶん任意であることを認識しなければならない。従って、種々の他の例示的実施形態において、局所基準436は、準ランダムパターン部410において繰り返し生起する一意に識別可能なフィーチャーロケーションとすることができる。
図8に図示された実施形態において、各局所基準436は、隣り合う局所基準436から第1の測定軸111に沿って距離d0だけ離間されている。同様に、図8に図示された実施形態において、各局所基準436は、隣り合う局所基準436から第2の測定軸112に沿って距離d1だけ離間されている。種々の例示的実施形態において、距離d0およびd1はまた、検出窓440内に少なくとも1つの完全なコード部430が常に存在するように、読取ヘッド126の特性に関して選択される。
種々の例示的実施形態において、コード要素432は相対的に反射性の要素であり、空白434は、コード要素432が存在しない時に相対的にそれほど反射性でない。詳細には、相対的に反射性のコード要素432を有するコード区域がバイナリの1として復号される場合、空のコード区域、すなわち空白434は、バイナリの0として復号される。従って、コード区域におけるコード要素432および空白434のパターンは、第1および第2の測定軸111および112に沿った局所基準点436の測定値を第1分解能まで識別するために復号され得る二進数またはコードワードを形成する。このようにして、第1および第2の測定軸111および112に沿った2次元スケールに対する検出窓440および読取ヘッド126のロケーションは、第1分解能まで決定され得る。
図8に図示された通り、例示的な所定部分420は、コード部430の最上のコード区域の第1行およびコード部430の左のコード区域の第1列を使用する。図8に図示された通り、例示的な所定部分420は、第1および第2の測定軸111および112に沿った特定の所定部分420の位置に関わらず、同一である。これらの所定部分420の機能は主に、検出窓440においてコード部430を探索する信号処理が単純で、高速かつ頑強であることを可能にすることであることを理解しなければならない。種々の例示的実施形態において、所定部分420の行に沿ったコード区域は常に、対応する画像部分においてハイコントラストをなす強度値を与える交番するコード値を有する。
種々の例示的実施形態において、複数のコード部は、2次元統合スケール400の面積の3パーセント未満を占める。従って、種々の例示的実施形態において、統合スケール400の面積の少なくとも90%が、1つ以上の準ランダムパターン412に使用され、上述のように、高分解能の位置決定の正確さを増強する。1つの例示的実施形態において、コード区域は、第1および第2の測定軸111および112の各々に沿って10μmの広がりを有する。コード部430の対応する点間の第1の測定軸111に沿った間隔d0は320μmである。コード部430の対応する点間の第2の測定軸112に沿った間隔d1は280μmである。検出窓440は、例えば、第1の測定軸111に対応する方向で約352ピクセル、そして例えば、第2の測定軸112に対応する方向で約288ピクセルを有する光検出器160に対応しており、その結果、スケール110の11μmの領域が光検出器160上で約10ピクセルに対応する画像を投影する。従って、これらの次元を有する例示的実施形態において、コード部430に配列された15ビットのコードは、ほぼ3000平方ミリメートルの絶対2次元位置測定面積を可能にする。これは、2次元絶対スケール110が約54mmの辺を有する方形2次元統合スケールパターン300を有することを可能にする。発明人らは、匹敵するスケールパラメータおよびコンパクトな読取ヘッドを使用する信頼できるサブマイクロメータ測定を達成した。このようにして、本発明の原理に従ったコンパクトで実用的な絶対位置測定装置は、高分解能、速度および2次元絶対測定領域範囲の特に有用な組合せを提供する。
図8に図示された構成に関して、所定部分420のハイコントラストをなす強度値の一意のパターン、より一般的には、コード空白434およびコード要素432は、準ランダムパターン412の周囲の準ランダム強度値と区別可能であるように設計されていることを理解しなければならない。さらに、そうした実施形態において、コード空白434およびコード要素432は、汚染、欠陥およびスケール110と読取ヘッド126との間隙の静的および動的な変動に関わらず適切に可視であるが、スケール長または面積の小割合部分に多数のビットを付与することによって大きな絶対領域範囲を可能にするために十分に精細であり、結果的に、スケール長または面積のより多くが高分解能の位置決定を増強する準ランダムパターン412における情報に充てられ得る。当然、コード区域は相対的に粗くすることができる。しかし、そうした場合、コード部430は相対的に大きくなり、読取ヘッド126の対応する長さも相対的に増大し、かつ/または、最大絶対領域範囲は与えられた読取ヘッドサイズ内の可読コードビットの低減した数のために相対的に縮小する。
図8に図示された例示的実施形態について、動作時、2次元統合スケール400の画像が、図8に図示された検出窓440に対応してキャプチャされる。種々の例示的実施形態において、コード部430における明区域および暗区域は、キャプチャ画像における最大明輝度レベルおよび最大暗輝度レベルにある。そのような最大明輝度レベルおよび最大暗輝度レベルは、所定部分420の容易かつ単純な識別を可能にする。キャプチャ画像はその後、検出窓440に現れる所定部分420のロケーションを識別するために分析される。種々の例示的実施形態において、検出窓440に現れている所定部分420を位置決定するためにスパースサーチが実行される。すなわち、画像の離間した行が、個々の所定部分420の最上部分に現れるコード要素432および空白434の所定パターンに対応するキャプチャ画像の明部分および暗部分のパターンを位置決定するために探索される。
例えば、種々の例示的実施形態において、検出窓440におけるキャプチャ画像の頂部からのコード区域高さのほぼ半分である行が、初期探索行として選定される。所定部分420のコード区域がキャプチャ画像における第2の測定軸112に沿って約10ピクセル延在する種々の例示的実施形態において、キャプチャ画像の頂部からのこの距離は5ピクセルである。この例示的実施形態において、初期行は、それが約10ピクセル離間して一連の遷移を含むかどうかを決定するために分析される。10ピクセルの間隔は、所定部分420のコード区域もキャプチャ画像において第1の測定軸111に沿って約10ピクセル延在することから選定される。
初期行が約10ピクセル離間して一連の遷移を含まない場合、検出窓440の下方に動いて5行目ごとが、約10ピクセル離間して一連の遷移を有する行が位置決定されるまで、順番に選定され分析される。種々の例示的実施形態において、限られた数の隣り合う行もまた、一連の遷移の近傍で、コード要素の少なくとも1行の上側および下側の境界を決定し、その結果、コード要素の中央とほぼ位置合わせされるピクセルの中心行を決定するために、分析され得る。画像における他の行または既知のフィーチャーロケーションへジャンプする以降の処理は、そのようなジャンプをこの中央に位置決定されたピクセル行に参照することによって頑強かつ/または単純にすることができる。
種々の例示的実施形態において、所定部分420を含む行のロケーションの付加的な分析が、位置決定された所定部分420および対応するコード部430が検出窓440内に完全に存在することを保証するために実行され得ることを理解しなければならない。一般に、その処理は、検出窓440の外側に延在する部分を各々が有する2つのコード部430の部分を使用するよりもむしろ、検出窓440内に完全に存在する単一のコード部430が使用される場合に単純化される。
種々の例示的実施形態において、検出窓440内に完全に存在する単一のコード部430が使用されることを保証するために、所定部分420を明らかに含む行がいったん位置決定されると、位置決定された行と検出窓440の頂部との間の行数が1対のしきい値と比較される。行数が第1のしきい値より大きいが第2のしきい値より小さければ、位置決定された所定部分420および対応するコード部430は完全に検出窓440内にある。
しかし、行数が第1のしきい値より小さければ、所定部分を含んでいる行であると思われるものは、そうではなくコード部の「一致する」コードを通って延びる行であり得る。この場合、位置決定された行の下方の所定の数の行にある行が、さらなる分析のために選定される。
位置決定された行の下方の所定の数の行にある新しい行から始まり、5行目ごとが、上述の通り、第2の所定部分420を含んでいる第2の行を見つけるために分析される。第2の行は、所定の数の値により「実際の」第2の所定部分420を含むことは確実である。この行もまた第2のしきい値を超えていれば、第2の所定部分420は「満足な」ものであり、対応するコード部430は完全に検出窓440内にあることは確実である。そうでなければ、第1の見かけの所定部分420は、実際の満足な所定部分420の近傍にあり、対応するコード部430は完全に検出窓440内にあることは確実である。
上述の技法の代わりに、所定部分420を位置決定するためのいずれかの他の適格な技法が所定部分420を位置決定するために使用され得ることも理解しなければならない。
キャプチャ画像に現れる満足な所定部分420を通っている中心行がいったん位置決定されると、コード部430は、その位置決定された行において所定の遷移の連続に対して所定の2次元ロケーションで生起することがわかる。所定部分420は、満足な「コード位置インジケータ」として機能する。例えば、図8に図示された例示的実施形態において、コード部430のコード部は、例えば、所定部分420の下方に約10ピクセルといった小距離で段階的に、また、その右側境界が所定部分420の右側境界と位置合わせして、現れるはずである。位置決定された所定部分420に隣り合うコード部430に現れるコード区域のコード要素432および空いた空白に対応する、キャプチャ画像の明部分および暗部分のパターンおよび広がりは、これらのパターンおよび広がりによって規定されるコードワードを抽出するために決定される。
その後、抽出されたコードワードは、ルックアップテーブルへのアドレスエントリとして使用されるかまたは、第1および第2の測定軸111および112の各々に沿った局所基準436のXおよびY絶対位置測定値を決定するために公式の変数として使用されるかのどちらかである。これらの測定値は、第1および第2の測定軸111および112の各々に沿った2次元スケール110に対する検出窓440および読取ヘッド126のロケーションを、第1および第2の測定軸111および112の各々に沿って第1分解能まで指示する。個々の測定軸111および112に沿った第1分解能は、局所基準436および/またはコード部430のそれぞれ第1および第2の測定軸111および112に沿った間隔距離d0およびd1にほぼ対応する。図8に図示された例示的実施形態において、分析されたコード部430の近くの検出窓440に現れる位置決定された所定部分420の与えられたフィーチャーが、局所基準436として働く。
代替的に、第1および第2の測定軸のうちの少なくとも一方に沿った2次元統合スケール400の全範囲がその第1および/または第2の測定軸111および/または112に沿った対応する間隔距離d0および/またはd1の2のべき乗倍であれば、コード要素432および空白434によって規定される二進コードは2つのコードワードに分割することができる。例えば、第1の測定軸111に沿った2次元統合スケール400の広がりは、2nd0となり得る。その場合、第1の測定軸111に沿った2次元統合スケール400の広がりは2md0未満かまたはそれに等しいはずであり、ここでn+mはコード部430におけるコード区域の数未満かまたはそれに等しい。
この場合、コードワードのうちの1つは、少なくともnのコード区域を有する。その結果、いずれかの与えられたコード部430について、コードワードの1つは、第1の測定軸111に沿った第1分解能絶対位置測定値のための間隔距離d0の倍数を定義するために使用され得る。同様に、コードワードの他方は、第2の測定軸112に沿った第1分解能絶対位置測定値のための間隔距離d1の倍数を定義する。間隔距離d0およびd1に対応する倍数を掛けることによって、第1および第2の測定軸111および112に沿った絶対位置測定値が2つのコードワードから直接得ることができる。
種々の他の例示的実施形態において、2次元統合スケール400の総面積がコード部430において規定されたコードワードの十分な数の可能な値が省略されるのを許すと仮定すれば、この例示的実施形態は、たとえ2次元統合スケール400の第1および第2の測定軸111および112に沿ったどちらの広がりも対応する間隔距離d0およびd1の2のべき乗倍でないとしても使用することができる。
第1の測定軸111に沿った絶対位置測定分解能をさらに精緻化するために、検出窓440の左辺442または右辺444に対する局所基準点436のロケーションを求めることが便宜的かつ十分である。図8に図示された通り、検出窓440の左辺442が局所基準点436に対する参照点として使用される場合、左辺442までの局所基準点436のオフセット距離d2に対応するピクセルの数は、1または数ピクセルの範囲内まで容易に決定される。このピクセル距離は、光検出器160の既知の幾何学的特性および読取ヘッド126の倍率に基づいて実際のオフセット距離d2に変換され得る。
同様に、第2の測定軸112に沿った絶対位置測定分解能をさらに精緻化するために、検出窓440の上辺446または底辺448に対する局所基準点436のロケーションを求めることが便宜的かつ十分である。図8に図示された通り、検出窓440の上辺446が局所基準点436に対する参照点として使用される場合、上辺446までの局所基準点436のオフセット距離d3に対応するピクセルの数は、1または数ピクセルの範囲内まで容易に決定される。このピクセル距離は、光検出器160の既知の幾何学的特性および読取ヘッド126の倍率に基づいて実際のオフセット距離d3に変換され得る。
オフセット距離d2およびd3が局所基準436のそれぞれコード決定された絶対測定XおよびY絶対位置測定値に加えられると、それぞれ第1および第2の測定軸111および112に沿った2次元スケール110に対する読取ヘッド126の2次元絶対位置は、読取ヘッド126の倍率で割られた対応するピクセルピッチの1または数倍にほぼ対応する、第1および第2の測定軸111および112の各々に沿った第2分解能までわかる。
上述の相対的に低分解能の位置決定操作は、検出窓440において使用可能な位置情報のうちの相対的に少数を使用することを理解しなければならない。読取ヘッド126と2次元スケール110との間の絶対位置測定をさらに精緻化するために、局所的な作製上の不正確さ、欠陥、汚染などの影響がより良好なS/N比およびより正確な位置決定を付与するために均されるように、検出窓440におけるより多くの情報を使用することが望ましい。
詳細には、例えば第1および第2の測定軸111および112について第3分解能測定値を付与する相関操作に関して前述したように、検出窓440に存在する準ランダムパターン部410において生起し得る1つ以上の準ランダムパターン412のうちの少なくともいくつかに起因する情報および/または信号の一部または全部に基づいて位置決定を行うことが望ましい。事実上、その目標は前述のオフセット距離d2およびd3の推定を精緻化することである。X軸およびY軸における実際のピークまたは谷のオフセット値と、局所基準が確定された参照位置と一致する画像のそれらの予想オフセット値との間の差分は、推定されたオフセット距離d2およびd3の、そして結果として生じる絶対位置決定の分解能および正確さを精緻化するために使用され得る。具体的には、X軸およびY軸における実際の相関ピークまたは谷のオフセット値と、局所基準がその2次元参照位置と一致する画像のそれらの予想オフセット値との間の差分は、以前に推定されたオフセット距離d2およびd3に置換するために使用される。
種々の例示的実施形態において、画像における準ランダムパターン412の2、3行および/または2、3列といった小部分に基づいて、いくぶん正確さに劣る相関曲線値が決定することができ、そのような値は、第671号出願に概説されたように、可能な最善の分解能までピークまたは谷のピクセルオフセット値を識別するためにやはり使用することができ、その正確さはやはり多くの有用な用途に十分である。種々の他の例示的実施形態において、準ランダムパターン412の少なくとも4分の1は通常、いずれかの取得された現在画像において途切れのない1ブロックとして現れるので、相関曲線値は、準ランダムパターン412のほぼ4分の1に基づいて決定することができ、その正確さは大多数の有用な用途に十分である。そのような実施形態は、現在画像を参照画像に効果的に関連づけるために、現在画像に含まれ得る種々の準ランダムパターン部410の間に分布される種々の準ランダムパターン412の種々の部分を「再構成」または「再配列」する必要を回避する。
しかし、種々の他の例示的実施形態において、現在画像または参照画像のどちらか一方の準ランダムパターン412は、現在画像に含まれた種々の準ランダムパターン部410の間に分布された種々の準ランダムなパターン412の種々の部分が、現在画像の準ランダムパターン412の少なくともその全体を参照画像の準ランダムパターンと効果的に相関づけるために、参照画像に一致するように順序づけられるように、相関信号処理の前またはその間に、効果的に「再構成」または「再配列」され得る。そうした実施形態は、最高に可能なレベルの分解能および正確さを提供する。
いずれにせよ、各測定軸に沿った絶対位置測定を精緻化するには、推定されたオフセット距離d2およびd3の分解能および正確さを、そして結果として生じる絶対位置決定を高レベルの分解能に精緻化するように前述の操作を実行するために、局所基準436がその参照位置と一致する画像の1つ以上の対応する予想オフセット位置に対して、使用される相関の形式に応じて、相関関数の谷またはピークのオフセット位置を決定することが一般に必要であることを理解しなければならない。
相関関数は、現在の取得した画像の選定部分を対応する参照画像と比較することによって生成される。前述のように、以前に推定されたオフセット距離d2およびd3は数ピクセルほどの範囲内まで正確であるので、これらの距離は、現在画像が2つの画像のパターンを最も近くに位置合わせさせるオフセットを決定するために参照画像に対してディジタル的にシフトされるオフセットまたは空間変換位置の範囲を選定および/または狭めるために使用され得ることを理解しなければならない。相関関数の第1の点は、採り入れられた第671号出願に記載されたように、現在画像の選定部分の各ピクセルを参照画像とピクセル単位で比較することによって生成される。相関関数の追加の点は、多数のピクセルの範囲にわたり選定部分を、各点について1ピクセルずつシフトさせることによって生成される。種々の例示的実施形態において、ピクセルの数は1である。種々の例示的実施形態において、シフトはX軸および/またはY軸に関して実行される。
種々の例示的実施形態において、第1の1次元相関関数は、X軸およびY軸の一方でシフトさせることによって生成される。第1の相関関数は、採り入れられた第671号出願および/または、それらの全部の関連した教示について参照によって全体としてここに採り入れられる、米国特許出願第09/584264号、第09/921711号、第09/860636号、第09/921889号および第09/987162号に開示された技法のいずれかを使用して、相関ピークを求め、そして恐らく、実際のピークオフセット位置を決定するために相関ピークの周辺の点間を補間するために、生成され分析される。これは、検出窓440のエッジに対するX軸およびY軸の一方におけるロケーションを決定する。次に、このロケーションを使用して、第2の1次元相関関数を生成するためにX軸およびY軸の他方においてシフトが実行される。
種々の例示的実施形態において、第1および第2の測定軸111および112の第3分解能測定値は、この時点で決定される。この場合、第1および第2の相関関数のピークオフセット位置に基づき、2次元相関関数が、それらのピークオフセット位置に対応するピーク2次元ロケーションおよび、例えば2、3または数画像ピクセルに対応する範囲にわたり、または各方向で、その2次元ピークロケーションの周辺の2つの次元での多数のロケーションについて、決定される。
種々の例示的実施形態において、準ランダムパターンが使用される場合、第1の測定軸に沿った検出器アレイに対する準ランダムパターンのオフセットの推定は、第1の測定軸に沿った局所基準に対する検出器アレイのオフセットを決定する際に使用される。同様に、第2の測定軸に沿った検出器アレイに対する準ランダムパターンのオフセットの推定は、第2の測定軸に沿った局所基準に対する検出器アレイのオフセットを決定する際に使用される。
種々の例示的実施形態において、2次元相関関数がX軸およびY軸の両方における選定部分のシフトに基づいて生成される。2次元相関関数は、2次元ピークロケーションを得るために分析される。
種々の例示的実施形態において、第1および第2の相関関数のピークオフセット位置は、その2次元ピークロケーションの周辺のほぼ4つの付加的な2次元ロケーションだけが付加的な相関関数を生成するために使用されるように、十分に正確である。種々の例示的実施形態において、これらの4つの付加的なロケーションは、2次元ピークロケーションからそれぞれ、(0,−1)、(−1,0)、(0,1)および(1,0)のシフトを表現する。種々の他の例示的実施形態において、これらの4つの付加的なロケーションは、2次元ピークロケーションからそれぞれ、(−1,−1)、(−1,1)(−1,1)および(1,1)のシフトを表現する。
上述の通り、種々の例示的実施形態において、相関関数は、検出窓440に対応するキャプチャ画像を、検出窓440に現れている構造に一致させるために選定された参照画像と比較することによって生成される。種々の例示的実施形態において、参照画像は、2次元スケール410の準ランダムパターン412といった読取ヘッド126によって取得された2次元スケール110の典型的な準ランダムパターン部の実際の画像とすることができる。代替的に、それは、2次元スケール110などを本来生成するために使用される実際のまたは合成の準ランダム画像とすることができる。参照画像に関する唯一の要件は、参照画像が、適切な2次元相関曲線を生成させるために十分なサイズの、2次元スケール110に使用される1つ以上の準ランダムパターンに対応する準ランダムパターンを有する、ということである。
読取ヘッド126が2次元スケール110に対してヨーミスアラインメントを伴い取付けられた場合、2次元スケール110からの実際の画像は、2次元スケール110の理想的に位置合わせされた参照画像に対して回転されることを理解しなければならない。しかし、一般に、ミスアラインメントに起因するそのような限定された画像回転は、2次元スケール110に沿った読取ヘッド126の位置に関わらず一貫しているはずである。それゆえ、そのような画像回転は、各位置でほぼ同じであり、従って種々の例示的実施形態において無視され得る誤差を生じるはずである。
種々の他の例示的実施形態において、実際の画像と理想的に位置合わせされた参照画像との間の回転ミスアラインメントの量は、いずれかの周知であるかまたは今後開発される回転相関法などを用いて、較正手順の間に決定される。参照画像または実際の画像はその後、相関操作の正確さおよび位置決定の正確さを増強するために、通常動作の間に生起する信号処理の前またはその間に、位置合わせするように計算によって回転させられる。さらに他の例示的実施形態において、参照画像は、一貫した回転ミスアラインメントを含む実際の画像から導出される。この場合、参照画像は以降の実際の画像と本質的に回転して位置合わせさせられる。
図9は、図5に図示された2次元統合スケールパターン300’に対応する2次元統合絶対スケール500の第2の例示的実施形態を例示している。図9に図示された通り、2次元統合スケール500は、複数の2次元準ランダムパターン部410および、測定軸111および112の両方に沿って配列された複数の2次元コード部530を含む。
図9に図示された2次元統合絶対スケール500の第2の例示的実施形態は、図8に図示された2次元統合絶対スケール400の第1の例示的実施形態と比べて、同じく複数の領域517を含む。各領域517において、図8に図示された2次元統合絶対スケール400の第1の例示的実施形態と同様、別様に存在し得る準ランダムパターン412の一部は、省略されている。
すなわち、各領域517は、2次元統合絶対スケール300のこの第2の例示的実施形態において1つ以上の準ランダムパターン412のパターンに断絶を形成している。領域517は、少なくとも1つの領域517が、検出窓440内に存在し、検出窓440が2次元統合絶対スケール500の領域のいずれかの場所に位置した時に上辺446から底辺448まで検出窓440の高さ全体にわたり完全に延在することが保証されるように、統合絶対スケール500の内部に分布されることを理解しなければならない。
図9に図示された2次元統合絶対スケール500の第2の例示的実施形態はまた、異なる様式の所定部分520およびコード部530を使用している。詳細には、図9に図示された2次元統合絶対スケール500の第2の例示的実施形態において、所定部分520は、コード部530の左側に位置づけられている。
図9に図示された通り、所定部分520は領域517を横切って延在する。図9はまた、隣り合うコード部に存在し得るコード要素432および空白434の特定のパターンに関わらず、キャプチャ画像の行に沿って遷移の検出可能なパターンを生じる、所定部分520におけるコード要素432および空白434のパターンの1つの例示的実施形態を例示している。従って、検出窓440内の領域517のロケーションは検出窓440内のキャプチャ画像のいずれかの行に容易に位置決定され得ることを理解しなければならない。
従って、図9に図示された2次元統合絶対スケール500のパターンを使用することによって、第1の測定軸111すなわちX軸に沿った検出窓440内の領域517のロケーションは、前述の検討に従ってキャプチャ画像のいずれか1行を選定し分析することによってそのように決定され得ることを理解しなければならない。領域517のそのロケーションが第1の測定軸111に沿っていったん決定されると、領域517のピクセルの中心列がわかり、その後、それらのコード要素432が領域517内の暗ピクセルだけに対応することから、領域517内に現れる所定部分の4つの暗コード要素432の上辺および底辺のロケーションを決定するために選定され、上方および/または下方に走査され得る。さらに、本発明に従った種々の例示的実施形態において、領域517の中心ピクセル行とのそれらの上辺または底辺のどちらか一方のXY交点は、2次元統合絶対スケール400の第1の例示的実施形態の検討におけるコード位置インジケータおよび局所基準に関して前述した機能を果たすために役立ち得る。従って、図9に図示された2次元統合絶対スケール500のパターンを使用することは、位置決定操作の特に高速で決定論的なシーケンスを可能にすることを理解しなければならない。
前述の通り、局所基準およびコード部430または530は各々、所定部分と所定の関係を有する。従って、所定部分420または520の2次元ロケーションがいったん決定されると、第1および第2の測定軸111および112の、それゆえ第2分解能距離d2およびd3の各々に沿った局所基準436のロケーションは、容易に決定され得る。同様に、コード部430または530のコード部は、そのコード部430または530に現れるバイナリ値を決定するために容易に位置決定され分析され得る。上述の決定論的操作は、2次元スケール110に対する検出窓440の、それゆえ読取ヘッド126の2次元絶対位置を、前述のように、第3分解能2次元絶対位置を高速で決定する上でも助けとなる特に高速で第2分解能まで決定するために、このように使用され得る。
図10は、図5に図示された2次元統合スケールパターン300’に対応する2次元統合絶対スケールパターンの第3の例示的実施形態の2次元部分を例示している。図10に図示された通り、2次元統合スケール600は、複数の2次元準ランダムパターン部410および、測定軸111および112の両方に沿って配列された複数の2次元コード部630を含む。さらに、図10に図示された2次元統合絶対スケール600の第3の例示的実施形態はまた、第2の例示的実施形態500に関して前述したように、複数の領域517も含む。図10に図示された2次元統合絶対スケール600の第3の例示的実施形態もまた、異なる様式のコード部630を使用し、所定部分620はコード部630の左側に位置づけられている。コード部630および所定部分620は、コード部530および所定部分520について前述したように機能し、2次元統合絶対スケール600の画像におけるコード部および局所基準の高速ロケーションを可能にする働きをする。
図10に図示された通り、複数の2次元コード部630は、測定軸111に沿って延在する相対的に狭い領域として構成されている。代替的に、種々の他の例示的実施形態において、コード部630のコード要素は、測定軸112に沿って、また他の実施形態では測定軸111および112の各々に沿って延在する、相対的に狭い領域に分布されている。種々の例示的実施形態において、コード部630のそうした相対的に狭い構成は、コード部630および、典型的な取得した現在画像における準ランダムパターンの生成された大きな途切れのないブロックのより容易な復号を付与し、それは種々の例示的実施形態における相関分析操作を単純化または増強する。
採り入れられた第671号出願は、本発明に従った種々の方法およびシステムにおいて使用可能である1つの例示的な単軸相関技法を開示している。その相関技法を図11に関してここで概説する。図11は、相関関数700の形態の第1の画像および第2の画像を、第1および第2の測定軸111および112に対応する方向の(どちらか)一方に沿って比較する結果を例示している。絶対差分が以下の相関関数において使用される。
ここで、
pは、ピクセル単位の現在オフセット値である。
R(p)は、現在オフセット値に関する相関関数値である。
qは、現在行(列)である。
mは、現在行(列)に関する現在ピクセルである。
I1は、第1の画像における現在ピクセルに関する画像値である。
I2は、第2の画像における現在ピクセルに関する画像値である。
図11に図示された通り、相関関数700は、距離708によって指示される、ピクセルピッチPに対応する所定のオフセット増分だけx軸(またはy軸)に沿って分離されている複数の離散的な相関関数値点701を含む。
各相関関数値点701は、第1の画像に対して第2の画像をシフトさせることによって生成される。相関関数値が任意の単位で表示された図11の相関関数700は、第1および第2の画像の各々における画像または強度パターンが最善に位置合わせするオフセット値における真の連続相関関数705の極値を呈示する。
ここで、真の連続相関関数の極値に関係するピクセルにおけるオフセット値は、基になる相関関数がピークまたは谷を生じるかに関わらず、ピークオフセットと呼ばれ、ピークオフセットに対応する表面変位は、基になる相関関数がピークまたは谷を生じるかに関わらず、ピーク変位または単に変位と呼ばれる。
図11において、真の連続相関関数705の極値はピークオフセットで生じる。真の連続相関関数705の極値は、極限相関関数値点704と区別できない。しかし一般に、極値は、ピクセル間隔の整数倍であるオフセットでは生じず、従って、極限相関関数値点と厳密には一致しない。
第671号出願に開示されたシステムおよび方法は、種々の例示的実施形態において、相関関数値点701の選定された集合から、実際のピークオフセットまたはピーク変位のx座標値(またはy座標値)を推定するために使用される。実際のまたは真のピークオフセットまたはピーク変位のx座標値(またはy座標値)は、R軸と平行に延び、真の連続相関関数705の極値である点を含んでいる直線703によって指示される。真の連続相関関数705が領域702において対称であると仮定すれば、直線703の任意の点は、真の連続相関関数705のピークオフセットまたはピーク変位のx座標値(またはy座標値)をサブピクセル精度で示している。直線703上に位置する点のx座標値をサブピクセル精度で求めるための多数の方法が第671号出願に開示されている。
一般に、ノイズレベルまたは平均値706とは著しく異なる値を有する離散的な相関関数値点701だけが、本発明のシステムおよび方法において使用される。すなわち、領域702内にある相関関数値点だけが使用される。前述のように、推定された第2分解能のオフセット距離d2およびd3は2、3ピクセルの範囲内で正確であるので、これらの距離は、複数の離散的な相関関数値点701が決定される必要があるオフセットまたは空間変換位置の範囲を選定および/または狭めるために使用され得ることを理解しなければならない。直線707によって指示される極限相関関数値点の相関関数値は、いくつかの例示的実施形態において、相関関数値点が正規化された値域に従って選定され得るように、領域702の相関関数値点値を正規化するためにノイズレベルまたは平均値706の値とともに使用され得る。いずれの場合も、この相関技法または、他のいずれかの現在周知であるかまたは今後開発される相関技法、パターンマッチング技法、テンプレートマッチング技法などが、本発明の原理に従って高精度の第3分解能2次元絶対位置測定を付与するために使用され得る。本発明の原理に従って使用可能な他の1次元および2次元相関関数および方法は、採り入れられた第711号出願に記載されている。
図12は、本発明に従って読取ヘッドと2次元スケールとの間で高分解能2次元絶対位置測定値を決定する方法の1つの例示的実施形態を概説している。ステップS100で開始し、方法の操作はステップS200に続き、そこで、2次元スケールの一部の画像が得られる。当然、2次元スケールの部分のその画像は、本発明の原理に従った1つ以上の準ランダムパターン部の少なくとも一部および1つ以上のコード部の等価物の画像を含む必要がある。その後、ステップS300で、満足なコード位置インジケータおよび局所基準のロケーションがその画像で決定される。操作はその後ステップS400に続く。
ステップS400において、満足なコード位置インジケータに基づき、ステップS200で得られた2次元スケールの部分の画像に現れるコード部情報またはコード部のデータに対応するピクセルロケーションの範囲が決定または位置決定される。次にステップS500では、読取ヘッドと2次元スケールとの間の第1分解能2次元絶対位置が、決定または位置決定されたコード部に対応するアドレスまたはピクセルロケーションの範囲に含まれる情報に基づいて決定される。操作はその後、ステップS600に続く。
ステップS600で、読取ヘッドとスケールとの間の第2分解能2次元位置が、得られた画像の中に現れる識別されたコード部に関係する局所基準のロケーションに基づいて決定される。種々の例示的実施形態において、局所基準は、識別されたコード部に隣り合う得られた画像の準ランダムパターンの範囲内に現れるかまたは生じ得ることを理解しなければならない。対照的に、種々の他の例示的実施形態では、局所基準は識別されたコード部の範囲内に現れる。操作はその後ステップS700に続く。
上述の通り、ステップS600は随意選択である。このステップは、相関関数値および/または相関曲線が検出窓340に対する2次元スケール110の投射された画像のロケーションをサブピクセル分解能まで直接決定するように生成される場合、省略することができる。
ステップS600に関して、第2分解能の位置は、関連する信号処理操作において暗黙的である局所基準の参照位置に対して、得られた画像における局所基準のロケーションを決定することによって決定され得ることを理解しなければならない。前述の形式の局所基準のいずれも使用することができる。どのようなフィーチャーまたは特性が局所基準を規定するために使用されるかに関わらず、種々の例示的実施形態において、局所基準の参照位置が得られた画像のエッジである場合、得られた画像のエッジまでの局所基準の距離は、測定軸の各々に沿って、局所基準を規定しているフィーチャーと得られた画像の対応するエッジとの間のその測定軸に沿ったピクセルの数をカウントすることによって決定される。しかし、局所基準フィーチャーのピクセル位置には、従って局所基準フィーチャーと得られた画像のエッジとの間の距離d2およびd3には、2、3ピクセルの程度で、ある程度の不確かさが一般に存在することを理解しなければならない。前述の通り、種々の例示的実施形態において、第2分解能2次元位置は、複数の離散的な相関関数値点が以降のステップS700で決定される必要があるオフセットまたは空間変換位置の範囲を選定および/または狭めるために使用され得る。
ステップS700で、読取ヘッドとスケールとの間の第3分解能2次元絶対位置が、1つ以上の生成された相関曲線に基づいて決定される。種々の例示的実施形態において、読取ヘッドとスケールとの間の第3分解能2次元位置は、XおよびY準ランダムパターンオフセット位置の高分解能集合に基づく。操作はその後ステップS800に続く。
ステップS800において、読取ヘッドとスケールとの間の少なくとも第1および第3分解能2次元位置が、読取ヘッドと得られた画像に対応する2次元スケールとの間の位置の第3分解能2次元絶対測定値を生成するために結合される。その後、ステップS900で、結合された測定値に基づいて決定されたスケールに対する読取ヘッドの2次元第3分解能絶対位置が出力される。操作はその後ステップS1000に続き、そこで方法の操作は停止する。
図13は、本発明に従って画像における満足なコード位置インジケータおよび局所基準のロケーションを決定する方法の第1の例示的実施形態をさらに詳細に概説しているフローチャートである。方法のこの第1の例示的実施形態は、図8に図示された2次元スケールパターン300’の例示的実施形態での使用に特に好適である。図13に図示された通り、操作はステップS300で開始し、ステップS305に続き、そこで初期ピクセル行が選定される。その後、ステップS310において、その選定された行が、所定部分で生起するコード要素および空のコード区域のパターンに対応する遷移の信頼できる一次的連続を含むかどうかの決定がなされる。そうであれば、操作はステップS320へジャンプする。そうでなければ、操作はステップS315に続き、そこで、第2の測定軸に沿って所定部分のコード区域のサイズおよび/またはロケーションに基づいて次の行が選定される。操作はその後ステップS310に戻る。
ステップS320において、遷移の一次的連続、すなわちステップS310で選定された一次的な行に関する行数が決定される。種々の例示的実施形態において、遷移の一次的連続のコード要素の中心行が、前述のように、行数として求められ使用される。次に、ステップS325で、遷移の一次的連続について決定された行数が第1のしきい値より大きいかどうかの決定がなされる。そうであれば、操作はステップS355へジャンプする。そうでなければ、操作はステップS330に続き、そこで、一次的な選定された行の下方の所定の数の行であり、かつ画像における次の下位の所定部分より確実に上にある行が、選定される。その後ステップS335で、その選定された行が所定部分で生起するコード要素および空のコード区域のパターンに対応する遷移の信頼できる二次的連続を含むかどうかの決定がなされる。そうであれば、操作はステップS345へジャンプする。そうでなければ、操作はステップS340に続き、そこで、次の行が第2の測定軸に沿って所定部分のコード区域のサイズおよび/またはロケーションに基づいて選定される。操作はその後ステップS335に戻る。
ステップS345で、第2の選定された行について決定された行数が第2のしきい値より大きいどうかの決定がなされる。そうであれば、操作はステップS355へジャンプする。そうでなければ、操作はステップS350に続き、そこで、遷移の第2の連続のロケーションが満足なコード位置インジケータおよび局所基準として使用される。操作はその後ステップS360へジャンプする。
対照的に、ステップS355では、遷移の一次的連続のロケーションが、満足なコード位置インジケータおよび局所基準として使用される。操作はその後ステップS360に続き、そこで操作はステップS400に戻る。
図14は、2次元統合絶対スケールに対する読取ヘッドの2次元絶対位置を識別されたコード部に基づき第1の2次元分解能まで決定するためのステップS500の方法の1つの例示的実施形態をより詳細に概説しているフローチャートである。図14に図示された通り、方法の操作はステップS500で始まり、ステップS510に続き、そこで、得られた画像におけるコード部のピクセルの多数の行が選定される。その後、ステップS520で、コード部のコード要素のピクセルの選定された行に基づいて、そのコード部のコード要素のシーケンスが分析される。一般に、これは、選定された1つ以上の行において生じる、相対的な明ピクセルおよび暗ピクセルの、または相対的な明暗ピクセル間の強度遷移のシーケンスを分析することからなる。操作はその後ステップS530に続く。
ステップS530で、コード要素の分析されたシーケンスは、第1および第2の測定軸の各々に沿った第1分解能2次元絶対位置測定値を決定するために使用され得る1つ以上のコードワードを決定するために処理される。種々の例示的実施形態において、コード化されたスケールマーキングは、暗ピクセルがバイナリ値の1に対応し、明ピクセルがバイナリ値の他方に対応するバイナリコードワードを規定することを理解しなければならない。当然、三値またはより高次の方式といった非バイナリコーディング方式が使用され得ることも理解しなければならない。
次にステップS540で、1つ以上のコードワードは、得られた画像におけるスケールの部分および/または2次元位置を、従って読取ヘッドに対する2次元スケールの位置を、第1および第2の測定軸の各々に沿って第1分解能まで指示する、1対の第1分解能2次元絶対位置測定値を決定するために処理される。操作はその後ステップS550に続き、そこで方法の操作はステップS600に戻る。
種々の例示的実施形態において、1つ以上のコードワードは、1つ以上コードワードをルックアップテーブルへの1つ以上の入力アドレスとして用いて第1分解能の位置測定値に変換されることを理解しなければならない。1つ以上のコードワードによって指示される1つ以上のアドレスに基づくルックアップテーブルの出力は、対応する第1分解能の位置測定値を指示する。対照的に、種々の他の例示的実施形態において、1つ以上のコードワードは、スケールの原点と測定軸の各々に沿ったスケールに対する読取ヘッドの現在位置との間の多数の第1分解能周期d0およびd1を定義する。このようにして、第1分解能周期d0およびd1はそれぞれ、コードワードまたは数の値を掛けられて、対応する測定軸に沿った第1分解能距離測定値を得る。種々の他の例示的実施形態において、2つのコードワードの各々は、それ自体が測定軸の一方に沿った第1分解能距離測定値である数を定義する。
図15は、第3分解能絶対位置を測定するための操作において本発明の原理に従って使用可能であるピークオフセット位置を決定するための単軸法の1つの例示的実施形態をより詳細に概説しているフローチャートである。図15は、本書の図11に対応しており、また、採り入れられた第671号出願においてより詳細に記載された方法に対応している。ステップS700で開始し、制御はステップS710に進み、そこで、1組の相関関数値点が現在分析される測定軸111および112(x軸およびy軸)の現在の一方に対応して入力される。これらの点は、以下に限らないが、相関関数のピークまたは谷の近傍の相関関数値点を含み得る。
次にステップS720で、極限相関関数値点CFVPtipが、相関関数値点の入力集合から識別される。種々の例示的実施形態において、極限相関関数値点CFVPtipは、例えば、その集合における全部の相関関数値点に基づき近似ノイズレベルまたは平均相関関数値を決定してから、その近似ノイズレベルまたは平均相関関数値から最も遠くに相関関数値を有する相関関数値点を決定することによって、識別される。図11において、近似ノイズレベルまたは平均相関関数値は、直線706によって指示される値によって例示される。種々の例示的実施形態において、極限相関関数値点CFVPtipは、図11において相関関数値点704によって例示されている。
その後、ステップS730で、1対のx軸(y軸)相関関数値点部分集合subsetLおよびsubsetRが、x軸(y軸)相関関数値点の入力集合から識別される。種々の例示的実施形態において、x軸(y軸)相関関数値点部分集合subsetLは、極限相関関数値点CFVPtipの左側にオフセットまたはx座標(y座標)値を伴う入力されたx軸(y軸)相関関数値点の限定的な部分集合よりなる。種々の例示的実施形態において、x軸(y軸)相関関数値点部分集合subsetRは、極限相関関数値点CFVPtipの右側にオフセットまたはx座標(y座標)値を伴う入力されたx軸(y軸)相関関数値点の限定的な部分集合よりなる。種々の例示的実施形態において、各限定的な部分集合subsetLおよびsubsetRのメンバは、適切な側の極限相関関数値点CFVPtipに隣り合う所定の数のx軸(y軸)相関関数値点を選定することによって識別され得る。
代替的に、種々の例示的実施形態において、各限定的な部分集合subsetLおよびsubsetRのメンバは、極限相関関数値点CFVPtipの適切な側で、極限x軸(y軸)相関関数値点CFVPtipの値と前述の近似ノイズレベルまたは平均相関関数値との間の所定の正規化範囲において相関関数値を備えるx軸(y軸)相関関数値点を選定することによって識別され得る。制御はその後ステップS740に続く。
ステップS740において、種々の周知であるか今後開発される方法のうちのいずれかによって、極限相関関数値点CFVPtipが、真のx軸(y軸)相関関数の極値の左側かまたは右側に存在するかの決定がなされる。次にステップS750で、x軸(y軸)相関関数値点CFVPkeyが選定される。以後のステップで、x軸(y軸)相関関数値点CFVPkeyに対する真の連続x軸(y軸)相関関数の極値またはピークオフセットに関して対称に位置決定されるように意図されている、x軸(y軸)相関関数値点が推定されることになる。種々の例示的実施形態において、x軸(y軸)相関関数値点CFVPkeyは、最少のメンバを備える部分集合subsetLまたはsubsetRから、またはここに記載された本発明に従ったシステムおよび方法の種々の例示的実施形態において別様に指示または提起された通り、選定される。操作はその後ステップS760に続く。
ステップS760において、真の連続x軸(y軸)相関関数は、x軸(y軸)相関関数値点CFVPkeyに対する真の連続x軸(y軸)相関関数の極値またはピークオフセットに関して概ね対称に位置決定されている真の連続x軸(y軸)相関関数の一部について特徴づけられるか、または推定される。x軸(y軸)相関関数値点CFVPkeyに対する真の連続x軸(y軸)相関関数の極値またはピークオフセットに関して対称に位置決定されているx軸(y軸)相関関数値点を推定するために要求される程度まで真の連続x軸(y軸)相関関数を特徴づける、または推定することが必要とされるにすぎない。真の連続x軸(y軸)相関関数の所要の部分を推定するためのシステムおよび方法の種々の例示的実施形態は、採り入れられた第671号出願に開示されている。次にステップS770において、x軸(y軸)相関関数値点CFVPkeyに対する真の連続x軸(y軸)相関関数の極値またはピークオフセットに関して対称に位置決定されるx軸(y軸)点の値xe(ye)が推定される。x軸(y軸)相関関数値点CFVPkeyに対する真の連続x軸(y軸)相関関数の極値またはピークオフセットに関して対称に位置決定されるx軸(y軸)点の値xe(ye)を推定するためのシステムおよび方法の種々の例示的実施形態は、採り入れられた第671号出願に開示されている。制御はその後ステップS780に続く。
ステップS780において、x軸(y軸)ピークオフセット値は、x軸(y軸)相関関数値点CFVPkeyの以前に決定された座標値とxe(ye)との間の対称点または中間点のオフセットまたはx座標(y座標)値として推定される。その後ステップS790で、x軸(y軸)ピークオフセット値は、所定の設計因子に従ってx軸(y軸)変位に変換される。次にステップS796で、以前に決定されたx軸(y軸)ピークオフセットまたは変位は、サブピクセル分解能で出力される。最後にステップS799で、操作はステップS800に戻る。本発明に従った種々の例示的実施形態において、ステップS710〜S790は分析される測定軸111および112(x軸およびy軸)の各々について並行して反復または実行され、またステップS796およびS799はそうした実施形態において両軸について並行して実行されることを理解すべきである。
図16は、図9および10に図示された2次元スケールパターン500および600の例示的実施形態において特に使用可能である、本発明に従って画像の満足なコード位置インジケータおよび局所基準のロケーションを決定するための方法の第2の例示的実施形態をさらに詳細に概説しているフローチャートである。図16に図示された通り、方法はステップS300で開始し、得られた画像のいずれかの行が選定されるステップS370に続く。その後ステップS375で、選定された行は、一意の所定の遷移パターンかまたは、そのうちの少なくとも1つが画像のすべての行に存在する一意の所定の遷移パターンの集合のいずれかのメンバを生じる領域を位置決定するために分析される。種々の例示的実施形態において、一意の所定の遷移パターンのそのような集合は、隣り合う「見えない」かまたは極限値を有するスケールフィーチャー領域に対応する遷移パターンを含む。次にステップS380において、位置決定された所定の遷移パターンに基づき、列が位置決定された所定の遷移パターンのロケーションに基づいて選定される。操作はその後ステップS385に続く。
ステップS385において、選定された列は、選定された列の分析に基づき確実に位置決定され得る満足なコード位置インジケータおよび局所基準の位置を位置決定するために分析される。次にステップS390で、局所基準のロケーションは、位置決定された所定部分に関係する局所基準について第1および第2の測定軸の各々に沿った画像における第2分解能のオフセット位置距離d2およびd3を決定するために分析される。操作はその後ステップS395に続き、そこで操作はステップS400に戻る。
図17は、図1に図示された信号生成・処理回路200の1つの例示的実施形態をより詳細に概説しているブロック図である。図17に図示された通り、信号生成・処理回路200は、コントローラ205、光源ドライバ220、光検出器インタフェース225、メモリ230、部分位置決定回路240、復号回路250、距離決定回路260、比較回路270、比較結果アキュムレータ275、補間回路280、位置アキュムレータ290、ディスプレイドライバ201およびオプションの入力インタフェース203を含む。
コントローラ205は、信号線206によって光源ドライバ220と、信号線207によって光検出器インタフェース225と、そして信号線208によってメモリ230と接続されている。同様に、コントローラ205は、それぞれ信号線209〜215によって、部分位置決定回路240、復号回路250、距離決定回路260、比較回路270、比較結果アキュムレータ275、補間回路280および位置アキュムレータ290と接続されている。最後に、コントローラ205は、信号線216によってディスプレイドライバ201と、そして設けられていれば、信号線217によって入力インタフェース203と接続されている。メモリ230は、現在画像部232、参照画像部234および相関部236を含む。
動作時、コントローラ205は、信号線206によって光源ドライバ220に制御信号を出力する。応答して、光源ドライバ220は、信号線132によって光源130に駆動信号を出力する。その後、コントローラ205は、信号線207および208によって光検出器インタフェース225およびメモリ230に制御信号を出力し、画像素子162の各々に対応する光検出器160から信号線164によって受信した信号成分を現在画像部232に記憶する。詳細には、個々の画像素子162からの画像値が、アレイ166における個々の画像素子162の位置に対応する現在画像部232の2次元配列に記憶される。
得られた画像または現在画像が現在画像部232に記憶された後、現在画像は、信号線238によって部分位置決定回路240に出力される。その後、信号線209によってコントローラ205から出力された制御信号に基づいて、部分位置決定回路240は、所定部分320(または520もしくは620)および/またはコード部330(または530もしくは630)を位置決定するために、現在画像部232に記憶された得られた画像の1つ以上の行および1つ以上の列を分析する。詳細には、2次元スケール110において具体化されている図8〜10に図示された構造の特定の1つに応じて、この分析は、図8〜10に関して上述した対応する技法を使用し得る。従って、種々の例示的実施形態において、部分位置決定回路240は、比較回路270および比較結果アキュムレータ275とともに動作することができる。その後、信号線210によるコントローラ205からの制御信号に基づいて、復号回路250は、メモリ230の現在画像部232から、部分位置決定回路240によって位置決定された通り、得られた画像内に現れるコード部を入力する。
復号回路250はその後、得られた画像の位置決定された部分における明ピクセルおよび暗ピクセルのパターンを1つ以上のコードワードに変換し、その1つ以上のコードワードを、上述の種々の技法のうちの1つを用いて、1対の第1分解能絶対位置測定値に変換する。復号回路250は、これらの第1分解能絶対位置測定値を信号線252によって位置アキュムレータ290に出力する。
次に、部分位置決定回路240によって位置決定された所定部分またはコード部に基づいて、コントローラ205は、信号線211によって制御信号を距離決定回路260に出力する。応答して、距離決定回路260は、得られた画像のエッジや、メモリ230の現在画像部232から局所基準のロケーションを決定するために要求される得られた画像の部分といった、局所基準に関する少なくとも参照ロケーションを含む得られた画像の全部または一部を入力する。距離決定回路260はその後、得られた画像のこの入力部分を分析して、局所基準の対応する参照位置までの局所基準の距離に基づいて2次元スケールに対する読取ヘッドの2次元位置の第2分解能距離測定値を決定する。距離決定回路260は、これらの第2分解能距離測定値を信号線262によって位置アキュムレータ290に出力する。
その後、コントローラ205は、図8〜11および15などに関して上述した適切な相関技法を具体化するために比較回路270へ信号線209で信号を出力する。種々の例示的実施形態において、適切な行および列部分の適切なオフセットに関する種々の1次元相関曲線または相関関数値が決定される。代替的に、種々の例示的実施形態において、適切な行および列部分の適切なオフセットに関する種々の2次元相関関数または相関関数値が決定される。さらに、図8に図示された例示的なスケールに関連する操作に関して上述したように、種々の例示的実施形態において、相関関数値は、図8に関して上述した通り、適切な行および列部分を位置決定するために部分位置決定回路を動作させるコントローラ205と連係して、比較回路270および比較結果アキュムレータ275を動作させるコントローラ205によって生成されるはずである。
各々の適切な軸について生成される1つ以上の相関曲線または相関関数値の特定の1つを生成するためのコントローラ205からの制御信号に応答して、比較回路270は、現在画像部232に記憶された現在画像の対応する部分からの特定のピクセルの画像値を信号線238によって入力し、現在オフセットに基づき、参照画像部234に記憶された適切な参照画像から対応するピクセルの画像値を信号線238によって入力する。比較回路270はその後、相関アルゴリズムを適用して比較結果を決定する。現在画像部232に記憶された現在画像を参照画像部234に記憶された参照画像と現在オフセットに基づいてピクセル単位で比較するために、周知であるかまたは今後開発されるあらゆる適切な相関技法が比較回路270によって使用され得る。比較回路270は、比較結果を信号線272で現在相関オフセットのための比較結果アキュムレータ275に出力する。
いったん比較回路270が、特定の相関曲線または相関関数値に関する現在画像部232から画像素子162の各々の画像値を抽出および比較し、それらを参照画像部234に記憶された対応する画像値と比較し、相関技法を適用して、比較結果を比較結果アキュムレータ275に出力すると、比較結果アキュムレータ275に記憶された値は、現在の2次元つまりXまたはYオフセットに対応する相関値を所定の単位で規定する。コントローラ205はその後、信号線213によって比較結果アキュムレータ275に、そして信号線208によってメモリ230に信号を出力する。その結果、比較結果アキュムレータ275に記憶された相関値結果は、現在の2次元つまりXまたはYオフセットに対応するロケーションでメモリ230の相関部236に出力され記憶される。
コントローラ205はその後、結果アキュムレータ275をクリアするために信号線213で信号を出力する。いったん特定の相関曲線または相関関数値に関して現在画像部232に記憶された現在画像と参照画像部234に記憶された参照画像との間の所要のオフセットの全部に関する比較の全部が比較回路270によって実行され、結果が比較結果アキュムレータ275によって蓄積され、コントローラ205の制御下に相関部236に記憶されると、コントローラ205は、信号線214によって補間回路280に制御信号を、かつ/または信号線209によって部分位置決定回路240に制御信号を出力する。
比較回路270および比較結果アキュムレータ275によって生成される2次元相関曲線について、メモリ230の相関部236に格納された記憶された2次元相関曲線はその後、コントローラ205の制御下に補間回路280へ出力される。すなわち、補間回路280は、2次元相関曲線または相関関数値について相関部236に記憶された相関結果を信号線238によって入力し、ピークオフセット値または画像変位値をXおよびY方向のサブピクセル分解能で決定するために相関関数のピーク/谷の近傍の相関関数値点のうちの選定したものを用いて補間する。補間回路280はその後、コントローラ205からの信号線214による信号の制御下に、決定されたサブピクセル第3分解能測定値を信号線282で位置アキュムレータ290に出力する。
補間回路280は、採り入れられた第671号特許に開示された技法のうちのいずれかといった、いずれかの周知であるかまたは今後開発される技法を使用して、2次元相関関数または相関関数値の選定されたピークの実際のロケーションをサブピクセル分解能まで求める。このサブピクセル分解能増分オフセット情報は、補間回路280によって信号線282で位置アキュムレータ290に出力される。
位置アキュムレータ290は、復号回路250、距離決定回路260および補間回路280の各々によって出力された2次元位置または距離測定値を結合して、スケールに対する読取ヘッドの位置を示す第3分解能2次元絶対位置測定値を生成する。位置アキュムレータ290は、この2次元絶対位置測定値を信号線292によってコントローラ205に出力する。コントローラ205はその後、決定された絶対位置測定値を信号線216によってディスプレイドライバ201に出力する。ディスプレイドライバ201は、決定された絶対位置測定値を出力するために信号線202によって制御信号を出力することによってディスプレイ(図示せず)を駆動する。
応答して、コントローラ205は、設けられていれば、ディスプレイドライバ201に更新された2次元位置値を信号線217によって出力することができる。ディスプレイドライバ201はその後、現在変位値を表示するために信号線202によって駆動信号をディスプレイ107に出力する。
設けられていれば、1つ以上の信号線204は、オペレータまたは協働システムとコントローラ205との間のインタフェースを可能にする。設けられていれば、入力インタフェース203は、入力信号またはコマンドを緩衝または変換し、適切な信号をコントローラ205に送信することができる。
以上の検討は、コード部330(そして530および630)の各々が測定軸方向112に沿って特徴的な広がりを有しており、準ランダムパターン部310の各々が測定軸方向112に沿って特徴的な広がりを有するスケール110を重視していることを理解しなければならない。しかし、種々の他の実施形態において、その広がりは、1つ以上の準ランダムパターン部310および/または1つ以上のコード部330の広がりの内部で異なり得る。それにも関わらず、そのような場合、各コード部330のコード要素は、たとえ局所基準が必ずしもスケールに沿って周期的に生起するわけではないとしても、局所基準の測定値をやはり指示していなければならない。
上述の例示的実施形態の種々のものにおいて、スケール110は平面部材である。しかし、種々の他の例示的実施形態において、スケール110は、回転軸を有する円筒形部材であるか、円柱軸を規定する円筒表面の一部を少なくとも規定することを理解しなければならない。この場合、本発明に従った2次元統合スケールパターンは、第1および第2の測定軸111および112のうちの一方が円柱軸に平行であり、第1および第2の測定軸111および112の他方が円筒形部材または表面の円周に沿って存在するように円筒形スケール110に適用される。このようにして、本発明に従った2次元統合スケールパターン300は、円筒表面に関して読取ヘッドの絶対位置を確定するために使用され得る。
本発明の種々の例示的実施形態を図示説明したが、多種多様な代替的なコードおよび検出方式がコード部について使用でき、また多種多様な代替的なハードウェアおよびソフトウェア方式が本発明の原理に従って第3分解能測定値を付与するために読取ヘッドに対する準ランダムパターンのロケーションを検出するために適用可能であることも理解しなければならない。また、主に上述の検討において明確で単純な説明のために、種々の操作および特徴がX軸およびY軸の一方または他方に関して述べられたことも理解しなければならない。しかし、ここでいずれかの軸に関して述べられた種々の操作および特徴は、本発明に従った種々の実施形態において他の軸との種々の組合せにおいてもまったく同様に適用され得る。従って、ここに図示説明された本発明の種々の例示的実施形態には本発明の精神および範囲を逸脱することなく上記および他の種々の変更が行い得ることを理解しなければならない。