JP4463440B2 - 多層膜の成膜方法、及び真空成膜装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層膜の成膜方法、真空成膜装置の制御装置、及び真空成膜装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、真空成膜装置では、真空チャンバ内に、膜が形成される基板、及び基板に対向するように設けられた膜の原料を蒸発させるための蒸発源が配置されている。そして、蒸発源によって蒸発された膜の原料は、最終的に前記基板上に膜として析出されることにより成膜が行われる。
【0003】
前記膜の原料を蒸発させるための蒸発源として、電子銃を備え、該電子銃より電子ビームを膜の原料に照射して加熱し、基板に向かって膜の原料を蒸発させるものがある。
【0004】
そして、電子銃を用いて膜の原料を加熱するにあたり、膜の原料を基板に向かって蒸発させる主加熱工程が実行されるとともに、この主加熱工程に先駆けて膜の原料を予備加熱する予備加熱工程が実行される場合がある。即ち、上記主加熱工程に先駆けて膜の原料を予め加熱しておくことにより、後の主加熱工程において膜の原料をより速やかに円滑に蒸発させ得るからである。
【0005】
また、電子銃を用いて膜の原料を蒸発させる工程を介して成膜するにあたり、二以上の層からなる多層膜が形成されることもある。この多層膜は、諸々の光学特性を要求される光学膜として用いられるところである。また、多層膜は、光通信用の光学フィルタとして用いられることもあり、特に昨今では、IT(情報通信技術)分野における用途についての需要が急増しているところである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、多層膜を各用途へ応用するにあたり、膜の層数が重要な条件となることがある。例えば、多層膜を光通信における波長多重伝送システムの光学フィルタとして用いる場合であれば、透過させる光の波長帯域が多層膜の層数によって決まることがある。
【0007】
ここで、上記多層膜を形成するにあたり、電子銃により膜の原料を加熱する工程に関して、一つの層について予備加熱工程及び主加熱工程を完了した後に、その次に形成されるべき他の一つの層についての予備加熱工程及び主加熱工程を実行するようにし、予備加熱工程及び主加熱工程を各層毎に繰り返すこともできる。
【0008】
しかし、一つの層についての予備加熱工程及び主加熱工程を完了した後に、他の一つの層の予備加熱工程及び主加熱工程を実行するようにしたのでは、予備加熱工程に要する時間と主加熱工程に要する時間とを各層毎に合計した時間によって成膜を完了する時間が決まることになる。従って、多層膜を構成する層数の増加に応じて成膜の完了に要する時間が著しく増加することになり、いわゆるタクト時間の増加を招くことになる。
【0009】
そこで、本発明は、電子銃を用いることにより膜の原料についての予備加熱工程及び主加熱工程を実行しつつ、成膜の完了に要する時間の増加を防ぐことができる、多層膜の成膜方法、真空成膜装置の制御装置、及び真空成膜装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、二以上の膜の原料を電子銃により加熱することで前記膜の原料の各々について実行される、真空チャンバ内に配置された基板に向かって膜の原料を蒸発させる主加熱工程と該主加熱工程に先駆けて膜の原料を予備加熱する予備加熱工程とを含み、
前記原料のいずれか一による一の膜を形成した後に、前記いずれか一以外の他の一の原料による他の一の膜の形成を行う、二層以上からなる多層膜の成膜方法であって、
前記電子銃の複数基のうちの一の電子銃により、前記一の膜の原料の蒸発源を遮蔽板が上方から覆って行われる、前記一の膜の原料に対する予備加熱工程から前記一の膜の原料の蒸発源の上方が開放されて行われる、前記一の膜を形成するための主加熱工程に移行し、
前記一の膜を形成するための主加熱工程の開始後であって、その完了以前に、前記一の電子銃以外の他の電子銃により前記他の一の膜の原料の蒸発源を遮蔽板が上方から覆って行われる、前記他の一の膜の原料に対する予備加熱工程を開始し、
前記一の膜を形成するための主加熱工程の完了後に、前記他の一の膜の原料に対する予備加熱工程から、前記他の電子銃により前記他の一の膜の原料の蒸発源の上方が開放されて行われる、前記他の一の膜を形成するための主加熱工程に移行する、多層膜の成膜方法を提供する。
【0011】
本発明によると、多層膜を形成するにあたり、一の層にかかる一の膜を形成するための上記主加熱工程の実行を完了する以前より、前記一の層の次に形成するべき他の一の層にかかる他の一の膜を形成するための予備加熱工程を開始する。これにより、予備加熱工程及び主加熱工程を、形成するべき層数を繰り返し実行することにより成膜される多層膜を得るにあたり、全ての層の形成に要する時間を短縮することができる。
【0014】
また、本発明は、二以上の膜の原料を電子銃で加熱することにより前記膜の原料の各々について実行される、真空チャンバ内に配置された基板に向かって膜の原料を蒸発させる主加熱工程と該主加熱工程に先駆けて膜の原料を予備加熱する予備加熱工程とを実行させることができ、
前記原料のいずれか一による一の膜を形成させた後に、前記いずれか一以外の他の一の原料による他の一の膜を形成させることができる制御装置を備え、
前記制御装置は、前記電子銃の複数基のうちの一の電子銃により前記一の膜の原料の蒸発源の上方が開放されて行われる、前記一の膜を形成するための主加熱工程を実行させている間に、前記一の電子銃以外の他の電子銃により前記他の一の膜の原料の蒸発源を遮蔽板が上方から覆って行われる、前記他の一の膜の原料に対する予備加熱工程を実行し、かつ、
前記制御装置は、前記一の電子銃のビーム電流を、前記一の膜の原料の蒸発源を遮蔽板が上方から覆って行われる、前記一の膜の原料に対する予備加熱工程、および、前記一の膜を形成するための主加熱工程の実行に必要な強さに制御するとともに、前記他の電子銃のビーム電流を、前記他の一の膜の原料に対する予備加熱工程、および、前記他の一の膜の原料の蒸発源の上方が開放されて行われる、前記他の一の膜を形成するための主加熱工程の実行に必要な強さに制御している、真空成膜装置も提供する。
【0015】
この発明にかかる制御装置により真空成膜装置を制御して多層膜の成膜を行うと、一の層にかかる一の膜を形成するための上記主加熱工程の実行を完了する以前より、前記一の層の次に形成するべき他の一の層にかかる他の一の膜を形成するための予備加熱工程を開始させることができる。これにより、予備加熱工程及び主加熱工程を、形成するべき層数を繰り返し実行することにより成膜される多層膜を得るにあたり、全ての層の形成に要する時間を短縮することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について、図1乃至図4に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本発明にかかる多層膜の成膜方法を実施することができる真空成膜装置20の正面図であり、成膜装置20の概略構成を模式的に表している。また、図2は側面断面図であり、図3は図1におけるIII−III線矢視図である。
【0019】
この成膜装置20は、真空蒸着装置により構成されており、いわゆる真空蒸着によって基板5に成膜できるように構成されている。真空チャンバ1は、内部の空間を真空ポンプによって排気し、所要の真空雰囲気とできるようにされている。真空チャンバ1内の上部には、膜が形成される基板5を保持するための基板ホルダ2が配設されている。
【0020】
チャンバ1内の下部には、膜の原料物質をチャンバ1内の空間に蒸発させるための蒸発源10、10’が配置されている。蒸発源10、10’は、図2及び図3に示されるように、ルツボ7と電子銃8とを備えて構成されている。
【0021】
電子銃8は、膜の原料9が供給されるルツボ7内に向かって電子ビームを照射するようにされている。そして、ルツボ7内の膜の原料9は、電子銃8による電子ビームの照射によって加熱される。
【0022】
蒸発源10、10’の各々について、図3に示されるように、複数のルツボ7を保持できるようにされている。そして、基板5に成膜する膜の順序に従って、対応するルツボ7が電子ビームの照射位置へ順次に位置決めされるようになっている。この基板5に成膜する順序に従った対応するルツボ7の位置決めは、後に説明する制御装置12によって制御される。
【0023】
また、膜の原料9に対する加熱の強さを決める電子ビームの強度は、電子銃8に供給されるビーム電流の強さによって決まるようになっている。そして、電子銃8は、後に説明する予備加熱工程の実行に必要な所要の強さのビーム電流、主加熱工程の実行に必要な所要の強さのビーム電流が供給されるようにされている。また、電子銃8により電子ビームを照射する動作の開始及び停止、電子銃8に対するビーム電流の強さは、後に説明する制御装置12によって制御されるようにされている。
【0024】
また、チャンバ1内の下部には、膜の原料9が蒸発しても基板5に蒸着させないための遮蔽板15、15が、蒸発源10、10’の上方を各々に覆うように設けられている。この遮蔽板15は、図3に示されるように、支柱16の回りに公転されるように駆動される。この遮蔽板15の駆動は、特に図示しないモータ等の駆動機構を介してされるようにされている。
【0025】
遮蔽板15の駆動は、遮蔽板15がルツボ7の上方を覆う閉位置Aと、遮蔽板15がルツボ7の上方より外れる開位置Bとの間で行われるようにされている。そして、遮蔽板15が閉位置Aに位置する場合には、膜の原料9が加熱されて蒸発しても、ルツボ7の上方が遮蔽板15によって遮られるので、膜の原料9が基板5に蒸着されることがない。一方、遮蔽板15が開位置Bに位置する場合には、膜の原料9が加熱されて蒸発されると、ルツボ7の上方は開放されており、基板5に蒸着されることができる。
【0026】
そして、遮蔽板15は、後に説明する予備加熱工程においては閉位置Aとされ、主加熱工程においては開位置Bとされる。そして、遮蔽板15に閉位置A又は開位置Bをとらせるべく駆動させる動作は、後に説明する制御装置12によって制御される。
【0027】
また、以上に説明した蒸発源10、10’に関して、電子銃8により電子ビームを膜の原料9に照射することについて、蒸発源10、10’の各々を独立に制御できるようにすることができる。また、遮蔽板15についても、蒸発源10、10’に対するものについて各々独立に制御するようにできる。これにより、蒸発源10、10’による予備加熱工程及び主加熱工程の実行に関して、蒸発源10、10’の各々により独立に実行させることができる。
【0028】
制御装置12は、該制御装置12以外の成膜装置20に含まれる各機器の動作を制御するべく制御信号を出力し、またこれら機器より出力された信号が入力されるようにされており、成膜装置20によって実行される成膜のための工程を制御する。なお、制御装置12と前記各機器との間での信号の入出力は、ディジタル制御において周知である特に図示されないインターフェース機構やA/D変換機構等を介してするようにされている。
【0029】
制御装置12は、プログラマブルコントローラを備え、該プログラマブルコントローラに与えられるプログラムに成膜手順を自在に記述できるようにされている。これにより、制御装置12は、成膜装置20により実行させる成膜条件を予め自在に設定することができ、所望の成膜工程を実行させることができる。なお、プログラマブルコントローラの例としてシーケンサを挙げることができる。シーケンサによると、実行したい工程の内容をプログラムに記述することが容易であり、所望の成膜工程を設定することが容易である。
【0030】
そして、制御装置12のプログラマブルコントローラに与えられるプログラムの内容には、蒸発源10、10’を動作させるための条件、及び蒸発源10、10’の各々に対する遮蔽板15、15を動作させる条件がある。
【0031】
蒸発源10、10’を動作させるための条件には、電子銃8に供給されるビーム電流に関する条件があり、ビーム電流の強さ、ビーム電流の供給や停止のタイミング、ビーム電流の時間に対する変化等に関する条件がある。また、遮蔽板15を動作させる条件には、該遮蔽板15を閉位置A又は開位置Bのいずれとするかの条件がある。
【0032】
次に、図4に基づいて、蒸発源10、10’を動作させる条件、及び遮蔽板15、15を動作させる条件について説明する。図4において、横軸は時間に対応している。また、図4において、縦軸は電子銃8に供給されるビーム電流の強さ、及び遮蔽板15が駆動されて閉位置A又は開位置Bとなる位置状態をとらせるためのオンオフ(ON/OFF)信号に対応している。
【0033】
図4において、EB1は蒸発源10に備わる電子銃8に供給されるビーム電流を表し、EB2は蒸発源10’に備わる電子銃8に供給されるビーム電流を表している。また、図4において、S1は蒸発源10に対する遮蔽板15のオンオフ信号を表し、S2は蒸発源10’に対する遮蔽板15に対するオンオフ信号を表している。
【0034】
図4に示される、蒸発源10を動作させる条件において、領域R1で示される範囲については、膜の原料9を基板5に蒸着させることなく加熱を行う予備加熱工程を実行させる条件に対応しており、領域R2で示される範囲については、膜の原料9を加熱して基板5に蒸着させるための主加熱工程を実行させる条件に対応している。
【0035】
また、図4に示される蒸発源10’を動作させる条件において、領域R3で示される範囲については、膜の原料9を加熱するが基板5に蒸着させることなく予備加熱する予備加熱工程を実行させる条件に対応しており、領域R4で示される範囲については、膜の原料9を加熱して基板5に蒸着させる主加熱工程を実行させる条件に対応している。
【0036】
図4に示されるEB1、EB2について、領域R1、R3に示される範囲においては、膜の原料9の予備加熱に要求される強さの電流とされる。また、EB1、EB2について、領域R2、R4に示される範囲においては、膜の原料9を蒸発させて基板5に蒸着させることに要求される強さの電流とされる。
【0037】
また、図4に示されるS1、S2について、領域R1、R3に示される範囲については、遮蔽板15、15を閉位置Aとするオフ信号とされる。また、領域R2、R4においては、遮蔽板15、15を開位置Bとするオン信号とされる。
【0038】
この図4に示される条件に従って蒸発源10、10’を動作させると、蒸発源10’による予備加熱工程は、蒸発源10による主加熱工程が開始された後のTd時間経過後であって、蒸発源10による主加熱工程が完了する以前より開始される。即ち、蒸発源10により主加熱工程を実行して基板5に一の層の形成を行っている間に、次に成膜されるべき他の一の層を形成するための蒸発源10’による予備加熱工程の実行が開始される。これにより、二層以上からなる多層膜の成膜を行うにあたり、一の層を形成するための主加熱工程を完了した後に、他の一の層を形成するための予備加熱工程を開始させる場合に比べ、多層膜の全ての成膜を最終的に完了させる時間を短縮することができる。
【0039】
また、図4に示される条件に従って成膜するにあたり、一層あたりの膜厚が略300nm程度とされる場合には、領域R1、R3で示される範囲に対応する予備加熱工程を実行する時間は略10分程度とされ、領域R2、R4で示される範囲に対応する主加熱工程を実行する時間は略1時間程度とされる。
【0040】
また、予備加熱工程を実行する時間が略10分程度であり、主加熱工程を実行する時間が略1時間程度とされる場合には、次に成膜されるべき層を形成するための予備加熱工程を開始させるまでの時間Tdは、略30分を上限とする範囲で選択される。
【0041】
以上に説明した成膜装置20により成膜を行うと、膜の原料や成膜する際の膜厚を適宜選択することにより、各種の用途に合わせた多層膜を適宜得ることができる。そして、かかる多層膜として、光通信用の光学フィルタに用いるものを得ることができる。
【0042】
この光通信用の光学フィルタは、波長多重伝送(DWDM)システムにおける光合波器や光分波器に用いられる。光合波器は多数の異なる波長の光線を光ファイバ側へ伝送するためのものであり、光分波器は光ファイバを伝送されてきた光線を波長の異なる各々の光線へ分波させて伝送させるためのものである。 この光学フィルタがカバーできる光の波長の範囲(波長帯域)、即ち光通信におけるチャンネル数は、光学フィルタを構成する多層膜の層数によって決まる。そして、光通信用の光学フィルタは、一般に100層以上200層以下程度の層数に形成される。
【0043】
以上の成膜装置20を用いて本発明を実施し、光学フィルタ用の多層膜を形成すると、以上に説明したように、一の層についての主加熱工程を実行している間、次に形成するべき層についての予備加熱工程を平行して実行できるので、多層膜全体の成膜の完了に要する時間を短縮することができる。
【0044】
なお、以上の説明では、ルツボ内の膜の原料を加熱するにあたり、電子銃が一基組み込まれた一つの蒸発源を単位として加熱する例を挙げたが、電子銃による加熱を必ずしも蒸発源を単位にして行う必要はない。即ち、膜の原料が収容されるルツボが複数存在するとともに電子銃が複数基存在し、一のルツボに保持される膜の原料に対する一の電子銃による主加熱工程を実行している間に、一のルツボ以外の他のルツボに保持される膜の原料に対する一の電子銃以外の他の電子銃による予備加熱工程を実行できればよい。
【0045】
また、以上の説明では、成膜装置20について真空蒸着装置により構成する例を挙げたが、成膜の方式については真空蒸着に限られない。即ち、真空チャンバ内に保持される基板に最終的に成膜するにあたり、ルツボに保持される膜の原料を電子銃によって加熱して蒸発させる工程を介するのであれば、成膜の方式を問わない。
【0046】
上記一のルツボに保持される膜の原料に対する一の電子銃による主加熱工程を実行している間に、一のルツボ以外の他のルツボに保持される膜の原料に対する一の電子銃以外の他の電子銃による予備加熱工程を実行できるのであれば、成膜の方式として、例えばイオンプレーティングを用いるのであっても、本発明を実施することができる。
【0047】
イオンプレーティングにより成膜を行う場合であれば、主加熱工程により蒸発された膜の原料を真空チャンバ内に形成された電界によりさらにイオン化等させる工程を経ることで成膜することができる。そして、このイオンプレーティングにより成膜する場合についても、一の層を形成するため前記主加熱工程と他の層を形成するための予備加熱工程とを平行して実行することにより、多層膜全体の成膜に要する時間を短縮することが可能である。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、多層膜を成膜するにあたり、比較的に短時間で全ての層の成膜を完了させることができ、いわゆるタクト時間を短縮できるという効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施することができる真空成膜装置の模式図である。
【図2】図1におけるII−II線矢視図であり、真空成膜装置の側面断面図である。
【図3】図1におけるIII−III線矢視図である。
【図4】予備加熱工程及び主加熱工程を実行するための条件を表す図である。
【符号の説明】
1 真空チャンバ
2 基板ホルダ
5 基板
7 ルツボ
8 電子銃
9 膜の原料物質
10 蒸発源
10’ 蒸発源
12 制御装置
15 遮蔽板
20 真空成膜装置
Claims (2)
- 二以上の膜の原料を電子銃により加熱することで前記膜の原料の各々について実行される、真空チャンバ内に配置された基板に向かって膜の原料を蒸発させる主加熱工程と該主加熱工程に先駆けて膜の原料を予備加熱する予備加熱工程とを含み、
前記原料のいずれか一による一の膜を形成した後に、前記いずれか一以外の他の一の原料による他の一の膜の形成を行う、二層以上からなる多層膜の成膜方法であって、
前記電子銃の複数基のうちの一の電子銃により、前記一の膜の原料の蒸発源を遮蔽板が上方から覆って行われる、前記一の膜の原料に対する予備加熱工程から前記一の膜の原料の蒸発源の上方が開放されて行われる、前記一の膜を形成するための主加熱工程に移行し、
前記一の膜を形成するための主加熱工程の開始後であって、その完了以前に、前記一の電子銃以外の他の電子銃により前記他の一の膜の原料の蒸発源を遮蔽板が上方から覆って行われる、前記他の一の膜の原料に対する予備加熱工程を開始し、
前記一の膜を形成するための主加熱工程の完了後に、前記他の一の膜の原料に対する予備加熱工程から、前記他の電子銃により前記他の一の膜の原料の蒸発源の上方が開放されて行われる、前記他の一の膜を形成するための主加熱工程に移行する、多層膜の成膜方法。 - 二以上の膜の原料を電子銃で加熱することにより前記膜の原料の各々について実行される、真空チャンバ内に配置された基板に向かって膜の原料を蒸発させる主加熱工程と該主加熱工程に先駆けて膜の原料を予備加熱する予備加熱工程とを実行させることができ、
前記原料のいずれか一による一の膜を形成させた後に、前記いずれか一以外の他の一の原料による他の一の膜を形成させることができる制御装置を備え、
前記制御装置は、前記電子銃の複数基のうちの一の電子銃により前記一の膜の原料の蒸発源の上方が開放されて行われる、前記一の膜を形成するための主加熱工程を実行させている間に、前記一の電子銃以外の他の電子銃により前記他の一の膜の原料の蒸発源を遮蔽板が上方から覆って行われる、前記他の一の膜の原料に対する予備加熱工程を実行し、かつ、
前記制御装置は、前記一の電子銃のビーム電流を、前記一の膜の原料の蒸発源を遮蔽板が上方から覆って行われる、前記一の膜の原料に対する予備加熱工程、および、前記一の膜を形成するための主加熱工程の実行に必要な強さに制御するとともに、前記他の電子銃のビーム電流を、前記他の一の膜の原料に対する予備加熱工程、および、前記他の一の膜の原料の蒸発源の上方が開放されて行われる、前記他の一の膜を形成するための主加熱工程の実行に必要な強さに制御している、真空成膜装置。
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