JP4463374B2 - 半導体装置の作製方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は結晶質半導体膜及びその作製方法に関し、特に薄膜トランジスタで構成された回路を有する半導体装置に好適に利用できる技術を提供する。例えば、液晶表示装置に代表される電気光学装置およびその様な電気光学装置を部品として搭載した電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラスなどの透光性を有する絶縁基板上に非晶質半導体膜を形成し、レーザーアニール法や熱アニール法などで結晶化させた結晶質半導体膜を活性層とした薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下、TFTと記す)が開発されている。
【0003】
結晶質半導体膜を得る手段の一つとして知られるレーザー結晶化法は、基板の温度をあまり上昇させず、非晶質半導体膜にのみ高いエネルギーを与えて結晶化させることができる結晶化技術として知られている。特に、紫外光で大出力が得られるエキシマレーザーはこの用途において適していると考えられている。エキシマレーザーを用いたレーザー結晶化法は、レーザービームを被照射面においてスポット状や線状となるように光学系で集光し、被照射面を走査すること(レーザー光の照射位置を被照射面に対して相対的に移動させる)により行う。例えば、線状レーザー光を照射する場合には、その長手方向と直角な方向だけの走査で被照射面全体を処理することが可能であり、大型基板にも適用できることから液晶表示装置の製造技術として主流となっている。
【0004】
レーザー結晶化法は様々な半導体材料の結晶化に適用できる。しかし、TFTの活性層に典型的に用いられる材料は結晶質シリコン膜であり、その材料を用いて高い電界効果移動度を実現してきた。その技術は一枚のガラス基板上に画素部の画素TFTと、画素部の周辺に設ける駆動回路のTFTを一体形成したモノシリック型の液晶表示装置を可能とした。
【0005】
しかしながら、レーザーアニール法で作製される結晶質シリコン膜は複数の結晶粒が集合したものであり、その結晶粒の位置と大きさはランダムに形成されてしまう。結晶粒の位置や大きさを指定して形成することはできず、その大きさは数十〜数百nm程度であった。結晶粒の界面(結晶粒界)には、非晶質構造や結晶欠陥などに起因する再結合中心や捕獲中心や結晶粒界におけるポテンシャル準位の影響により、キャリアの電流輸送特性が低下する原因があった。
【0006】
TFTの特性を制限する要因として、チャネル形成領域に存在する結晶粒界の影響がある。そのため結晶質シリコン膜を活性層とするTFTは、単結晶シリコン基板に作製されるMOSトランジスタと同等な特性を得ることは不可能であった。
【0007】
このような問題点を解決する方法として、結晶粒を大きくすると共に、その位置を制御して、チャネル形成領域から結晶粒界をなくすことは有効な手段として考えられる。例えば、「"Location Control of Large Grain Following Excimer-Laser Melting of Si Thin-Films", R.Ishihara and A.Burtsev, Japanese Journal of Applied Physics vol.37, No.3B, pp1071-1075,1988」には、シリコン膜の温度分布を3次元的に制御して結晶の位置制御と大粒径化を実現する方法が開示されている。その方法によれば、ガラス基板上に高融点金属を成膜して、その上に部分的に膜厚の異なる酸化シリコン膜を形成し、その表面に非晶質シリコン膜を形成した基板の両面からエキシマレーザー光を照射することにより結晶粒径を数μmに大きくできることが報告されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
結晶粒を大きくすることは、換言すれば、結晶成長距離を長くすることであり、成長時間と成長速度の積に比例するものと考えられる。成長時間を長くするためにはレーザー光から得られたエネルギーが流出する速度を低減する必要がある。
【0009】
ガラスなどの基板上にレーザー結晶化法で結晶質半導体膜を作製する場合には、基板との間に酸化シリコン膜などを介在させている。結晶質半導体膜の結晶化に有効なエキシマレーザーはパルス発振するものであり、その実用的な発振周波数が数十〜数百Hzであるのに対し、パルス幅は数十ナノ秒である。酸化シリコン膜上に非晶質半導体膜を堆積してからレーザー結晶化を行うと、パルスレーザー光の照射により蓄積される熱エネルギーは基板側へと流出してしまう。Si−O結合がランダムにネットワーク結合している酸化シリコン膜はその熱エネルギーの流出を容易なものとしている。
【0010】
本発明はこのような問題点を解決するための技術であり、レーザー結晶化法で作製される結晶質半導体膜の結晶粒の大粒径化を実現することを目的とする。その結晶質半導体膜でTFTを作製して、MOSトランジスタに匹敵する信頼性を得ることを目的とする。さらに、そのようなTFTを透過型の液晶表示装置やEL表示装置などのさまざまな半導体装置に適用できる技術を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、レーザー結晶化法で作製される結晶質半導体膜の結晶粒の大粒径化を実現するために、半導体膜と基板との間に断熱層を形成して熱の流出速度を低下させ、レーザー光の照射によって加熱された半導体膜の冷却過程を緩やかなものとする。結晶成長距離は成長時間と成長速度の積に比例するので、冷却速度が緩やかとなり成長時間が長くなることにより大粒径化を実現することができる。
【0012】
断熱層はエチル(C25)基、プロピル(C38)基、ブチル(C410)基、ビニル(C22)基、フェニル(C65)基、CF3基のいずれかを含有する酸化シリコン(有機含有酸化シリコン)で形成する。これらのうちいずれかの有機結合を有する酸化シリコンは、シリコンと有機体との結合はネットワーク結合に関与しないので熱の伝搬速度が低下し、断熱層として有効に作用する。断熱層の他の形態として多孔質シリコンを用いることも有効である。多孔質シリコンは空孔のために熱の伝搬速度が低下し断熱層として利用できる。
【0013】
このように、断熱層を半導体膜と基板との間に介在させてレーザー結晶化法により作製される結晶質半導体膜は、さまざまの半導体装置に適用できる。特に、TFTの活性層を形成するのに適している。
【0014】
結晶の大粒径化はTFTの電界効果移動度などの諸特性を向上させることを可能とする。その中で、信頼性の確保を目的として適した半導体装置の形態は、基板上に第1のnチャネル型TFTと第2のnチャネル型TFTが形成された半導体装置において、第1のnチャネル型TFTは、第1の半導体膜と第1のゲート電極とを有し、第1のゲート電極と重なり一導電型の不純物元素が添加された第1の不純物領域と、その外側に設けられ、第1の不純物領域に接する一導電型の不純物元素が添加された第2の不純物領域とを有し、一方、第2のnチャネル型TFTは、第2の半導体膜と第2のゲート電極を有し、第2のゲート電極と重なり一導電型の不純物元素が添加された第3の不純物領域を有し、第1のゲート電極及び第2のゲート電極は、第1の導電膜と、前記第1の導電膜の内側に形成された第2の導電膜とから形成されていることが望ましい。
【0015】
上記TFTの構成において、一導電型の不純物元素が添加された第1の不純物領域の該不純物元素の濃度は2×1016〜1×1018/cm3であり、一導電型の不純物元素が添加された第2の不純物領域の該不純物元素の濃度は1×1017〜5×1018/cm3であり、一導電型の不純物元素が添加された第3の不純物領域の該不純物元素の濃度は5×1017〜5×1019/cm3であり、かつ、一導電型の不純物元素が添加された第2の不純物領域の該不純物元素の濃度は、一導電型の不純物元素が添加された第1の不純物領域の該不純物元素の濃度よりも高く、かつ、前記一導電型の不純物元素が添加された第3の不純物領域の該不純物元素の濃度よりも低い関係を満たすことが望ましい。
【0016】
また、上記TFTの作製方法は、基板上に第1のnチャネル型TFTと第2のnチャネル型TFTとを形成する半導体装置の作製方法において、基板上に断熱層を形成する第1の工程と、断熱層上に第1の絶縁層を形成する第2の工程と、第1の絶縁層上に非晶質構造を有する半導体膜を形成する第3の工程と、非晶質構造を有する半導体膜にレーザー光を照射して結晶構造を有する半導体膜を形成する第4の工程と、結晶構造を有する半導体膜から、島状に分離した第1の半導体膜と第2の半導体膜とを形成する第5の工程と、第1の半導体膜と第2の半導体膜の上方に第1の導電層と第2の導電層とを重ねて形成する第6の工程と、第1の導電層と第2の導電層とをエッチングして、端部にテーパー部を有する複数の第1の形状の導電層を形成する第7の工程と、複数の第1の形状の導電層を異方性エッチングして、第1の導電層の内側に第2の導電層が設けられた複数の第2の形状の導電層を形成する第8の工程と、第1の半導体膜に、一導電型の不純物元素を添加して、第2の形状の導電層と重なる第1の不純物領域と、第2の形状の導電層と重ならない第2の不純物領域を形成する第9の工程と、第2の半導体膜に、一導電型の不純物元素を添加して、第2の形状の導電層と重なる第3の不純物領域を形成する第10の工程とを有することを特徴としている。
【0017】
【発明の実施の形態】
[実施形態1]
レーザー結晶化法による結晶質シリコン膜の結晶粒径が小さい原因は、溶融後のシリコン層の冷却速度が速く、そのために核発生密度が大きくなり、1つの結晶核からの十分な結晶成長が阻害されているためであると考えられる。そこで、溶融状態から固相状態へ変化する際に、シリコン層から下層部の酸化シリコン層および基板への熱拡散を抑え、溶融後のシリコン層の冷却速度を小さくすれば、粒径の大きな結晶の形成が可能であると考えられる。
【0018】
図1は熱拡散を抑制することが可能な構成を示し、本発明のレーザー結晶化法の概念を説明する図である。基板101上には第1の絶縁膜102、断熱層103、第2の絶縁膜104、非晶質半導体膜105が形成される。第1及び第2の絶縁膜はシリコンの酸化物、窒化物、またはそれらの混合物で形成する。好適には酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコンから選ばれる材料を選択する。断熱層はエチル(C25)基、プロピル(C38)基、ブチル(C410)基、ビニル(C22)基、フェニル(C65)基、CF3基のいずれかを含有する酸化シリコン膜で形成する。例えば、エチル基を含む酸化シリコン膜は、エチル基がシリコンのみと結合するので、シリコンのネットワーク結合密度が低下し、熱拡散の速度を低下するものと考えられる。その他に、多孔質シリコン膜で形成しても良い。多孔質シリコン膜は空孔が多数あるために熱拡散の速度が低下する。
【0019】
非晶質半導体膜の材料は、非晶質シリコン、非晶質シリコン・ゲルマニウム、非晶質シリコン・カーバイトなどであり、プラズマCVD法などの気相成長法やスパッタ法などで形成する。
【0020】
レーザー結晶化法では、照射するレーザー光(またはレーザービーム)の条件を最適なものとすることにより半導体膜を加熱して溶融させ、結晶核の発生密度とその結晶核からの結晶成長を制御している。適用し得るレーザー光の照射条件は、レーザーエネルギー密度、照射パルス数、パルス幅(照射時間)、繰り返し周波数(冷却時間)、基板加熱温度などである。しかし、基板加熱温度は500℃以下の温度において、結晶の大粒径化にあまり寄与しないので積極的に利用されていない。
【0021】
図2は非晶質半導体膜111が形成された基板110に線状レーザー光113が照射される様子を示している。線状レーザー光は、通常膜が形成された
面から照射するが、反対の基板側から照射することもできる。レーザー光はシリンドリカルレンズ112によって線状に集光するが、そのためには複数のシリンドリカルレンズを組み合わせる必要がある(図2では省略している)。照射する線状レーザー光の強度分布は、長手方向(y方向)と幅方向(x方向)で均一なものとする。
【0022】
図3はレーザー結晶化法で用いるレーザー照射装置の構成の一例を示す図である。レーザー発振器301にはエキシマレーザーやYAGレーザーなどが適用される。ArF、KrF、XeClなどを用いるエキシマレーザーはいずれも波長400nm以下であり、エネルギー密度の高いレーザー光を得ることができる。ダイオード励起のYAGレーザーも、高エネルギー密度のレーザー光を高い発振周波数で得られる特徴があり、レーザー結晶化法に採用するのに適している。但し、この場合には第2高調波(532nm)から第3高調波(355nm)を用いる。また、YAGレーザーの類型として、YLFレーザー、YVO4レーザーを用いることもできる。
【0023】
レーザー光発生装置301から照射されるレーザー光はビームエキスパンダー302、303によりレーザービームを一方向に広げられ、ミラー304によって反射する。そして、シリンドリカルレンズアレイ305で分割され、シリンドリカルレンズ306、307によって、線幅100〜1000μmの線状ビームにして、試料面に線状の照射領域310を形成するように照射する。基板308はX方向、Y方向、θ方向に動作可能なステージ309上に保持されている。そして、照射領域310に対し、ステージ309が動くことにより、基板308の全面に渡ってレーザー光を照射することができる。このとき、基板308は大気雰囲気中に保持しても良いし、減圧下または不活性ガス雰囲気中に保持して結晶化を行っても良い。
【0024】
次に、図3のような構成のレーザー装置において、基板308を取り扱う装置の一例を図15を用いて説明する。ステージ412に保持された基板413は、処理室(A)418に設置され、図3で示したレーザー発振器411を発振源とする線状のレーザー光が照射される。反応室内は図示されていない排気系またはガス系により減圧状態または不活性ガス雰囲気とすることができ、半導体膜を汚染させることなく100〜450℃まで加熱することができる加熱手段がステージ425には設けられている。尚、ステージ425は図4で示すステージ412に対応するものである。
【0025】
また、ステージ425はガイドレール421に沿って反応室内を移動することができ、基板の全面に線状のレーザー光を照射することができる。レーザー光は基板426の上面に設けられた図示されていない石英製の窓から入射する。また、図15ではこの反応室418が仕切弁424を介してトランスファー室415と接続されている。トランスファー室415にはその他に仕切弁422を介してロード・アンロード室417、仕切弁423を介して被膜を形成する処理室(B)416が接続している。
【0026】
ロード・アンロード室417には複数の基板を保持することが可能なカセット419が設置され、トランスファー室415に設けられた搬送手段420により基板を搬送する構成となっている。基板427'は搬送中の基板を表す。処理室(B)416はプラズマCVD法やスパッタ法などで半導体膜を形成するためのもので、基板加熱手段428、グロー放電発生手段429の他に図示していないガス供給手段が設けられている。
【0027】
図15では図示していないが、排気手段とガス供給手段をトランスファー室415、処理室(A)415、処理室(B)416、ロード・アンロード室417に設けた構成とすることにより、半導体膜の形成とレーザー光を用いた半導体膜の熱処理とを減圧下または不活性ガス雰囲気中で連続して処理することができる。
【0028】
エキシマレーザーのパルス幅は数nsec〜数十nsec、例えば30nsecであるので、パルス発振周波数を30Hzとして照射すると、半導体膜はパルスレーザー光により瞬時に加熱され、その加熱時間よりも遥かに長い時間冷却されることになる。それより高い発振周波数のYAGレーザーを用いたとしても、その関係に変わりはない。レーザー光の照射が終わった直後から始まる冷却過程では、基板側と気相中に熱が拡散するが、媒質の違いにより拡散速度は前者の方が支配的要因となる。
【0029】
結晶化の過程を図1を用いて説明すると、非晶質半導体膜105はパルス発振するレーザー光106の照射により加熱され一旦溶融状態となる。レーザー光106が遮断された直後から冷却過程が始まり、固相状態へと相変化するが、基板側への熱拡散は断熱層103により抑制される。即ち、断熱層103が無い場合と比べ冷却速度は相対的に遅くなる。
【0030】
結晶核は溶融状態から固相状態へ移る冷却過程で生成形成されるものと推定されている。その核発生密度は、溶融状態の温度と冷却速度とに相関があり、高温から急冷されると核発生密度が高くなる傾向が経験的知見として得られている。結晶核は半導体膜と下地との界面付近に生成される。図1の場合、レーザー光の照射条件と断熱層103の厚さを最適なものとすることにより、溶融状態の温度とその冷却速度を制御することが可能となり、結晶核107の発生数を抑え、大粒径の結晶を成長させることができる。
【0031】
こうした意味から、断熱層の熱伝導率は1.0W/m・K以下、好ましくは0.3W/m・K以下であることが望ましい。この断熱層の熱伝導率は、基板(石英基板の場合1.4W/m・K)や、酸化シリコン(1〜2W/m・K)と比べて非常に低いため、十分に半導体膜から基板への熱拡散が抑えられる。
【0032】
このようなメカニズムにより、レーザー結晶化法で作製される結晶質半導体膜の結晶粒の大粒径化が達成される。基板上に断熱層を介して作製される結晶質半導体膜は、TFTの活性層などに利用することができる。
【0033】
[実施形態2]
本発明のレーザー結晶化法による結晶質半導体膜の作製方法の一例を図4を用いて説明する。図4(A)において、基板201にはバリウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどの無アルカリガラス基板や石英基板等を用いることができる。その他に、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルテレフタレート(PET)などの有機樹脂フィルムを用いることもできる。
【0034】
そして、基板101のTFTを形成する表面に基板101からの不純物汚染を防ぐために、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜などの絶縁膜から成る第1の絶縁膜202を形成する。例えば、プラズマCVD法でSiH4、NH3、N2Oから作製される酸化窒化シリコン膜を10〜200nm(好ましくは50〜100nm)の厚さに積層形成する。
【0035】
次に、断熱層203をエチル(C25)基、プロピル(C38)基、ブチル(C410)基、ビニル(C22)基、フェニル(C65)基、CF3基のいずれかを含有する酸化シリコン膜で形成する。作製方法は原料とする有機材料にも依存するが、気相法または液相法を用いる。断熱層の膜厚は、100nm〜1000nm(好ましくは、200〜500nm)とすることが望ましい。この膜厚を最適化することにより、レーザー結晶化工程における冷却速度を制御する。100nmより薄い場合には十分な断熱効果を得ることができない。また、1000nmよりも厚いと、この上層に形成する半導体膜にクラック(亀裂)などがはいるので好ましくない。第2の絶縁層204は第1の絶縁層202と同様にして、10〜100nmの厚さで形成する。
【0036】
図4(B)に示すように、第2の絶縁膜204上には非晶質半導体膜205を10〜100nmの厚さで形成する。非晶質半導体膜には、代表的には非晶質シリコン膜を用いるが、その他に、非晶質シリコン・ゲルマニウム膜などの非晶質構造を有する化合物半導体膜を適用しても良い。この非晶質半導体膜の成膜方法は、プラズマCVD法やスパッタ法等の公知の方法を用いればよい。
【0037】
レーザー結晶の条件は実施者が適宣選択するものであるが、例えば、エキシマレーザーのパルス発振周波数50Hzとし、レーザーエネルギー密度を200〜400mJ/cm2(代表的には250〜350mJ/cm2)とする。そして光学系で集光した線状レーザー光を基板全面に渡って照射する。この時の線状レーザー光の重ね合わせ率(オーバーラップ率)を80〜99%(好ましくは、95〜99%)として行う。このようにして図4(C)に示すように結晶質半導体膜207を得ることができる。
【0038】
[実施形態3]
実施形態2で図4(A)に示す断熱層203として、プラズマCVD法でTEOS(Tetraethyl Ortho Silicate:Si(OC2H5)4)を用いて作製する有機含有酸化シリコン膜を適用することができる。その作製方法の一例は、TEOSとO2とを混合し、反応圧力20〜100Pa、基板温度200〜350℃として、高周波(13.56MHz)電力密度0.1〜0.5W/cm2でグロー放電を形成する。最適な作製条件は実際に使用する装置の特性にも依存するが、基板温度と電力密度を低下させて未分解のCxy結合を残留させることにより有機含有酸化シリコン膜を形成することができる。
【0039】
その他に、フェニル基含有の酸化シリコン膜は、フェニルトリクロロシラン(PhSiCl3)と水(H2O)の混合気体を60〜100℃に加熱した基板上に直接形成して得ることができる。また、CF3基を含有する酸化シリコン膜は、CF3Si(CH3)3とオゾン(O3)の混合気体を300〜400℃に加熱した基板上に堆積させることができる。
[実施形態4]
実施形態2で断熱層203とする有機含有酸化シリコン膜を、液相法で作製する一例を図5に示す。原料505が入った容器501と、溶液506の入った反応槽502をノズル504で連結する。溶液506中に基板508を含浸させておく。窒素をキャリアガスとしてマスフローコントローラ503で流量を制御し、原料をバブリングして原料505を溶液506の入った反応槽502に供給し、原料と溶液を反応させて基板上に有機含有酸化シリコン膜を形成する。反応は溶液506中のスターラーにより撹拌しながら行う。温度は室温で行えば良い。
【0040】
原料は、エチルトリエトキシラン(CH3CH2Si(OC2H5)3)、n−プロピルトリエトキシラン(CH3(CH2)2Si(OC2H5)3)、n−ブチルトリエトキシラン(CH3(CH2)3Si(OC2H5)3)、ビニルトリエトキシラン(CH2CHSi(OC2H5)3)から選ばれる有機化合物の水溶液を用いる。
【0041】
溶液506はギ酸(HCOOH)とアンモニア(NH4OH)を所定の濃度に調整した水溶液である。混合比は適宣調整されるものであるが、その一例は、溶液量400mlに対し、ギ酸1.5mol/l、アンモニア1.0mol/lを混合したものである。このような液相法の長所は、低温で堆積可能であり分子構造を壊さずに皮膜を形成できる点にある。しかしながら、堆積速度は遅く、4nm/時間である。
【0042】
[実施形態5]
断熱層は有機含有酸化シリコンで形成する他に、多孔質シリコンで形成することもできる。その場合の作製例を図11を用いて説明する。図11(A)において基板21はシリコン基板を用いる。このシリコン基板はCZシリコン、FZシリコンなどの半導体級に限定されず、太陽電池級(SOGグレード)のシリコン基板を用いても良い。また、ガラス基板や石英基板上にシリコン膜を形成したもので代用することも可能である。
【0043】
多孔質シリコン層はシリコン基板を陽極化成することによって容易に作製することができる。陽極化成液はフッ酸(HF)とエタノールを1対1の割合で混合したものを用い、電流密度は1〜200mA/cm2として行う。多孔質シリコン層は1〜5μmで形成する。こうして基板210に多孔質シリコン層から成る断熱層212を形成する。
【0044】
多孔質シリコンで形成した断熱層212の表面には約1011個/cm2の空孔があるので、この上にシリコン層213を形成して平坦化する。シリコン層213はCVD法で作製する。最初に900〜1040℃で水素中熱処理を行い、続いて10〜200nmのシリコン膜を堆積する。水素中熱処理により空孔がなくなり、シリコン層がエピタキシャル成長することにより表面を平坦化することができる。さらに、絶縁層214を形成するが、これは熱CVD法やプラズマCVD法で酸化シリコン膜を堆積しても良いし、シリコン層213を熱酸化して形成しても良い。厚さは10〜100nmとする。
【0045】
そして、して絶縁層214上に実施形態2と同様に非晶質半導体膜215を10〜100nmの厚さで形成する。そして、レーザー光216を照射して非晶質半導体膜215の結晶化を行う(図11(B))。このようにして図11(C)に示すように結晶質半導体膜217を得ることができる。
【0046】
【実施例】
[実施例1]
本発明のレーザー結晶化法を用いて作製される結晶化半導体膜から表示装置を作製する実施例を説明する。ここでは、画素領域の画素TFT及び保持容量と、画素領域の周辺に設けられる駆動回路のTFTを同時に作製する方法について図面を参酌しながら説明する。
【0047】
図6(A)において、基板601にはコーニング社の#7059ガラスや#1737ガラスなどに代表されるバリウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板の他に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)など光学的異方性を有しないプラスチック基板を用いることができる。ガラス基板を用いる場合には、ガラス歪み点よりも10〜20℃程度低い温度であらかじめ熱処理しておいても良い。そして、基板101のTFTを形成する表面に基板601からの不純物拡散を防ぐために、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜などの絶縁膜から成る第1の絶縁膜602を形成する。例えば、プラズマCVD法でSiH4、NH3、N2Oから作製される酸化窒化シリコン膜を10〜100nmの厚さに形成し、第1の絶縁膜602とする。
【0048】
酸化窒化シリコン膜は平行平板型のプラズマCVD法を用いて形成する。酸化窒化シリコン膜は、SiH4を10SCCM、NH3を100SCCM、N2Oを20SCCMとして反応室に導入し、基板温度325℃、反応圧力40Pa、放電電力密度0.41W/cm2、放電周波数60MHzとする。
【0049】
断熱層603は有機含有酸化シリコン膜で100nm〜1000nm(好ましくは、200〜500nm)の厚さに形成する。有機含有酸化シリコン膜は実施形態2または3に示す方法で形成すれば良い。或いは、実施形態5で示す多孔質シリコン層を用いても良い。そして、第2の絶縁層604は第1の絶縁層602と同様にして、酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜で10〜100nmの厚さで形成する。
【0050】
次に、10〜100nm(好ましくは30〜60nm)の厚さで非晶質構造を有する半導体膜605を、プラズマCVD法やスパッタ法などの公知の方法で形成する。代表的には、プラズマCVD法で非晶質シリコン膜を55nmの厚さに形成する。また、第2の絶縁膜604と非晶質シリコン膜605とを連続形成することも可能である。例えば、前述のように酸化窒化シリコン膜を成膜後、反応ガスをSiH4、N2O、H2からSiH4とH2或いはSiH4のみに切り替えれば、大気雰囲気に晒すことなく連続して形成できる。その結果、この界面での汚染を防ぐことが可能となり、作製するTFTの特性バラツキやしきい値電圧の変動を低減させることができる。
【0051】
図6(B)で示す結晶化の工程はレーザー結晶化法で行う。パルス発振型のエキシマレーザーに代表されるガスレーザーや、YAGレーザー、YVO4レーザーに代表される固体レーザーを用いる。これらのレーザーを用いる場合には、レーザー発振器から放射されたレーザー光を光学系で線状または長方形状または矩形状に集光し半導体膜に照射する方法を用いると良い。非晶質半導体膜に対するレーザーの照射条件は実施者が適宣選択するものであるが、エキシマレーザーを用いる場合はパルス発振周波数30Hzとし、レーザーエネルギー密度を100〜400mJ/cm2(代表的には200〜300mJ/cm2)とする。また、YAGレーザーを用いる場合にはその第2高調波を用いパルス発振周波数1〜10kHzとし、レーザーエネルギー密度を300〜600mJ/cm2(代表的には350〜500mJ/cm2)とすると良い。そして幅100〜1000μm、例えば400μmで線状に集光したレーザー光を基板全面に渡って照射し、この時の線状レーザー光の重ね合わせ率(オーバーラップ率)を80〜98%として行う。
【0052】
このレーザー結晶化法により作製される結晶質半導体膜607は複数の結晶粒が集合した多結晶構造を有する。しかし、断熱層603を設けたことの効果により、結晶粒のそれぞれは大粒径化が図られている。そのメカニズムは実施形態1を参照すれば良い。いずれにしても、パルスレーザー光の照射による半導体膜の溶融と冷却の過渡的な過程において、断熱層603を設けることにより冷却過程を緩やかなものとすることにより、粒径の大きな結晶質シリコン膜を得ることができる。
【0053】
そして、図6(C)に示すように光露光プロセスによりレジストパターンを形成し、ドライエッチングによって結晶質半導体膜607を島状に分割し、島状の半導体膜608〜611を形成する。ドライエッチングにはCF4とO2の混合ガスを用いる。ゲート絶縁膜612はプラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを40〜200nmとしてシリコンを含む絶縁膜で形成する。プラズマCVD法でSiH4とN2Oの混合ガスから作製される酸化窒化シリコン膜はゲート絶縁膜として適した材料であり、80nmの厚さに形成しゲート絶縁膜とする。勿論、ゲート絶縁膜はこのような酸化窒化シリコン膜に限定されるものでなく、他のシリコンを含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。例えば、酸化シリコン膜を用いる場合には、プラズマCVD法でTEOSとO2とを混合し、反応圧力40Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(13.56MHz)電力密度0.5〜0.8W/cm2で放電させて形成することができる。このようにして作製される酸化シリコン膜は、その後400〜500℃の熱アニールによりゲート絶縁膜として良好な特性を得ることができる。
【0054】
そして、ゲート絶縁膜612上にゲート電極を形成するための第1の導電膜613と第2の導電膜614とを形成する。本実施例で示すTFTのゲート電極は2層構造で形成し、第1の導電膜613を窒化タンタル(本明細書ではTaNと表記する)膜で50〜100nmの厚さに形成し、第2の導電膜614をタングステン(W)膜で100〜300nmの厚さに形成する。
【0055】
TaN膜は、後の工程で熱処理を行うことを念頭におくと、熱安定性の高い優れた材料である。W膜はWをターゲットとしたスパッタ法で形成する。その他に6フッ化タングステン(WF6)を用いる熱CVD法で形成することもできる。いずれにしてもゲート電極として使用するためには低抵抗化を図る必要がある。W膜は結晶粒を大きくすることで低抵抗率化を図ることができるが、W中に酸素などの不純物元素が多い場合には結晶化が阻害され高抵抗化する。Wのターゲットには純度99.9999%のものを用い、さらに成膜時に気相中からの不純物の混入がないように十分配慮してW膜を形成することにより、抵抗率9〜20μΩcmを実現することができる。
【0056】
次に図7(A)に示すように、レジストによるマスク615を形成し第1のエッチング処理を行う。エッチング方法に限定はないが、好適にはICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング装置を用いる。エッチング用ガスにはCF4とCl2を用い、0.5〜2Pa、好ましくは1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも100WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧が印加された状態で行う。CF4とCl2を混合した場合にはW膜及びTa膜とも同程度の速度でエッチングすることがでできる。
【0057】
第1のエッチング処理では、第1の導電層及び第2の導電層の端部がテーパー形状となるように加工する。テーパー部の角度は15〜45°とする。しかし、ゲート絶縁膜上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させるオーバーエッチング処理をすると良い。W膜に対する酸化窒化シリコン膜の選択比は2〜4(代表的には3)であるので、オーバーエッチング処理により、酸化窒化シリコン膜が露出した面は20〜50nm程度エッチングされる。こうして、第1のエッチング処理により第1の導電層と第2の導電層から成る第1の形状の導電層616〜620(第1の導電層616a〜620aと第2の導電層616b〜620b)を形成する。
【0058】
次に図7(B)に示すように第2のエッチング処理を行う。ICPエッチング装置を用い、エッチングガスにCF4とCl2とO2を混合して、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF電力(13.56MHz)を供給してプラズマを生成する。基板側(試料ステージ)には50WのRF(13.56MHz)電力を投入し、第1のエッチング処理に比べ低い自己バイアス電圧となるようにする。このような条件によりW膜を異方性エッチングし、かつ、それより遅いエッチング速度でTaN膜を異方性エッチングして第2の形状の導電層621〜625(第1の導電層621a〜625aと第2の導電層621b〜625b)を形成する。626はゲート絶縁膜であり、第2の形状の導電層621〜625で覆われない領域は、第1のエッチング処理と第2のエッチング処理により40〜80nm程度エッチングされ薄くなった領域が形成される。
【0059】
nチャネル型TFTおよびpチャネル型TFTの不純物領域の形成は、第2の形状の導電層を利用して自己整合的に形成する。nチャネル型TFTには濃度の異なる2種類の不純物領域を形成する。図7(C)は第1のドーピング処理(高加速電圧低ドーズ量の条件)でn型を付与する不純物元素を添加して、第1の導電層621a〜625aと重なる第1の不純物領域627〜630を形成する工程を示す。この場合、第1の不純物領域627〜630の外側には第2の不純物領域631〜634が形成される。ドーピング処理の方法は、イオンドープ法やイオン注入法などにより行う。n型を付与する不純物元素は、周期律表第15族の元素であり、代表的にはリン(P)または砒素(As)を用いる。添加される不純物元素の濃度は第1の不純物領域において2×1016〜1×1018/cm3となるようにする。また、第2の不純物領域においては、1×1017〜5×1018/cm3となるようにする。
【0060】
次に、図8(A)に示すようにレジストによるマスク635を形成する。このマスクは画素TFTと駆動回路の内サンプリング回路のnチャネル型TFTのソース及びドレイン領域を確定するために形成する。第2のドーピング処理は駆動回路のnチャネル型TFTに第3の不純物領域636を形成するために行う。第3の不純物領域636に添加されるn型を付与する不純物元素の濃度は5×1017〜5×1019/cm3となるようにする。さらに、第3のドーピング処理を行い、n型を付与する不純物元素が1×1020〜1×1021/cm3濃度で添加される第4の不純物領域637〜639を形成する。
【0061】
pチャネル型TFTに対するの不純物領域の形成は、図8(B)で示す様に、レジストのマスク640をnチャネル型TFTが形成される領域を保護するように形成し、第4のドーピング処理によりp型を付与する不純物元素が添加された第5の不純物領域641、642を形成する。p型を付与する不純物元素は、周期律表第13族の元素であり、代表的にはボロン(B)を用いる。
【0062】
図8(C)に示すように、ゲート電極およびゲート絶縁膜上から第1の層間絶縁膜463を形成する。第1の層間絶縁膜は酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化シリコン膜、またはこれらを組み合わせた積層膜で形成すれば良い。いずれにしても第1の層間絶縁膜643は無機絶縁物材料から形成し、膜中に5〜30原子%、好ましくは15〜25原子%の水素が含有させておくと良い。第1の層間絶縁膜643の膜厚は100〜200nmとする。酸化シリコン膜を用いる場合には、プラズマCVD法で、TEOSとO2とを混合し、反応圧力40Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(13.56MHz)電力密度0.5〜0.8W/cm2で放電させて形成する。酸化窒化シリコン膜を用いる場合には、プラズマCVD法でSiH4、N2O、NH3から作製される酸化窒化シリコン膜、またはSiH4、N2Oから作製される酸化窒化シリコン膜で形成すれば良い。この場合の作製条件は反応圧力20〜200Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(60MHz)電力密度0.1〜1.0W/cm2で形成することができる。また、SiH4、N2O、H2から作製される酸化窒化水素化シリコン膜を適用しても良い。窒化シリコン膜も同様にプラズマCVD法でSiH4、NH3から作製することが可能である。
【0063】
その後、それぞれの濃度で添加したn型またはp型を付与する不純物元素を活性化する工程を行う。この工程はファーネスアニール炉を用いて加熱処理を行っても良いし、レーザーアニール法で行っても良い。加熱処理で行う場合には酸素濃度が1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下の窒素雰囲気中で400〜700℃、代表的には400〜550℃で行うものであり、本実施例では500℃で1時間の加熱処理を行う。この加熱処理により、第1の層間絶縁膜643が含有する水素が半導体膜中に拡散し、同時に水素化を行うこともできる。また、基板601に耐熱温度が低いプラスチック基板を用いる場合には、レーザーアニール法を適用することが好ましい。
【0064】
また、加熱処理を行った後で、3〜100%の水素を含む雰囲気中において300〜450℃で1〜12時間の熱処理を行って、半導体膜を水素化しても良い。いずれにしても、水素化の目的は半導体膜にある1016〜1018/cm3のダングリングボンドを水素で補償してその密度を低減させることにある。水素化の他の手段として、プラズマ水素化(プラズマにより励起された水素を用いる)を行っても良い。
【0065】
第2の層間絶縁膜644は、有機絶縁物材料を用い1.0〜2.0μmの平均厚で形成する。有機樹脂材料としては、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、BCB(ベンゾシクロブテン)等を使用することができる。例えば、基板に塗布後、熱重合するタイプのポリイミドを用いる場合には、クリーンオーブンを用い300℃で焼成して形成する。また、アクリルを用いる場合には、2液性のものを用い、主材と硬化剤を混合した後、スピナーを用いて基板全面に塗布した後、ホットプレートで80℃60秒の予備加熱を行い、さらにクリーンオーブンを用い250℃で60分焼成して形成することができる。
【0066】
このように、層間絶縁膜を有機絶縁物材料で形成することにより、表面を良好に平坦化させることができる。また、有機樹脂材料は一般に誘電率が低いので、寄生容量を低減することができる。しかし、吸湿性があり保護膜としては適さないので、本実施例のように、保護絶縁膜146として形成した酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化シリコン膜などと組み合わせて用いる必要がある。
【0067】
その後、光露光プロセスにより所定のパターンのレジストマスクを形成し、それぞれの半導体膜に形成されるソース領域またはドレイン領域に達するコンタクトホールを形成する。コンタクトホールの形成はドライエッチング法により行う。この場合、エッチングガスにCF4、O2、Heの混合ガスを用い有機樹脂材料から成る第2の層間絶縁膜644をエッチングし、その後、続いてエッチングガスをCF4、O2として第1の層間絶縁膜643をエッチングする。さらに、島状半導体膜との選択比を高めるために、エッチングガスをCHF3に切り替えてゲート絶縁膜をエッチングすることにより、良好にコンタクトホールを形成することができる。
【0068】
そして、導電性の金属膜をスパッタ法や真空蒸着法で形成し、光露光プロセスにより所定のパターンのレジストマスクを形成し、エッチングによってソース配線及びドレイン配線645〜651を形成する。同時に形成される652は画素電極として機能するものである。図示していないが、本実施例ではこの電極を、Ti膜を50〜150nmの厚さで形成し、島状半導体膜のソースまたはドレイン領域を形成する半導体膜とコンタクトを形成し、そのTi膜上に重ねてアルミニウム(Al)を300〜400nmの厚さで形成して配線とする。
【0069】
この状態で300〜450℃で1〜12時間の加熱処理(シンタリング)を行うと良好なオーミック接触を得ることができる。この加熱処理を水素雰囲気中で行えば、水素化処理を兼ねることもできる(図8(C))。
【0070】
こうして、基板上に断熱層を設けて行うレーザー結晶化法により作製される結晶質半導体膜を用い、6枚のフォトマスクにより、駆動回路のTFTと画素領域の画素TFTとを一体形成した基板を完成させることができる。駆動回路660には第1のpチャネル型TFT653、第1のnチャネル型TFT654、第2のnチャネル型TFT657、画素領域661には画素TFT658、保持容量659が形成されている。本明細書では便宜上このような基板をアクティブマトリクス基板と呼ぶ。
【0071】
駆動回路660の第1のpチャネル型TFT653には、チャネル形成領域662、第5の不純物領域から成るソースまたはドレイン領域663、664を有したシングルドレインの構造で形成されている。しかし、ソースまたはドレイン領域663は第1の導電層621aと重なるように形成されている。
【0072】
第1のnチャネル型TFT654はチャネル形成領域665、ゲート電極である第2の導電層622aと重なる第3の不純物領域666、ゲート電極の外側に形成される第4の不純物領域667を有している。第3の不純物領域666はLDD(Lightly Doped Drain)領域であり、第4の不純物領域667はソース領域またはドレイン領域として機能する領域である。特に、第3の不純物領域666はゲート電極とオーバーラップするLDD領域(このようなLDD領域をLovと表記する)であり、GOLD(Gate Overlapped Drain)構造とも呼ばれている。これによりホットキャリア効果によるTFTの劣化を防止することができ、10V以上の高い電圧を印加してもきわめて安定した動作を得ることができる。
【0073】
また、第2のnチャネル型TFT657はチャネル形成領域668、ゲート電極である第2の導電層623aと重なる第1の不純物領域669、ゲート電極の外側に形成される第2の不純物領域670、第4の不純物領域671を有している。第1の不純物領域669はLovであり、ホットキャリア効果によるTFTの劣化を防止する。第2の不純物領域670はゲート電極とオーバーラップしないLDD領域(このようなLDD領域をLoffと表記する)であり、オフ電流を低減する効果がある。
【0074】
画素TFT658には、チャネル形成領域672、第1の不純物領域673、第2の不純物領域674、第4の不純物領域675を有している。図8(C)では画素TFT658をダブルゲート構造で示したが、シングルゲート構造でも良いし、複数のゲート電極を設けたマルチゲート構造としても差し支えない。さらに、容量配線625と、ゲート絶縁膜と同じ材料から成る絶縁膜と、半導体膜678、679(679にはn型を付与する不純物元素が添加されている)とから保持容量659が形成されている。
【0075】
第1の不純物領域から第4の不純物領域にはn型を付与する不純物元素が添加されている。第1の不純物領域には2×1016〜1×1018/cm3、第2の不純物領域には1×1017〜5×1018/cm3、第3の不純物領域には5×1017〜5×1019/cm3、第4の不純物領域には1×1020〜1×1021/cm3の濃度で不純物元素を添加する。第5の不純物領域はp型を付与する不純物元素が添加され、第4の不純物領域よりも1.5〜3倍の濃度で不純物元素を添加しておく。
【0076】
第1の不純物領域と第3の不純物領域はLovであり、チャネル長方向の長さを0.5〜3μm、好ましくは0.5〜1.5μmで形成する。この2つの不純物領域において添加する不純物元素の濃度に違いを持たせる理由は、前者はオフ電流の低減を考慮して可能な限り低濃度で形成するのに対し、後者は電流駆動能力を高めるためにオン電流を重視していることに由来している。第2の不純物領域はLoffであり、チャネル長方向の長さを0.5〜3μm、好ましくは1.0〜1.5μmで形成する。
【0077】
第1のpチャネル型TFT653及び第1のnチャネル型TFT654はシフトレジスタ回路やバッファ回路などを形成する。第2のnチャネル型TFT657はサンプリング回路に適用する。このように、アクティブマトリクス基板上に形成される各回路が要求する仕様に応じてTFTの構造を最適化しその動作性能と信頼性を向上させることが可能となる。
【0078】
図9は画素部のほぼ一画素分を示す上面図である。図中に示すA−A'断面が図8(C)に示す画素部の断面図に対応している。画素TFT658のゲート電極624は、図示されていないゲート絶縁膜を介してその下の島状半導体膜611と交差している。図示はしていないが、島状半導体膜611には、ソース領域、ドレイン領域、LDD領域が形成されている。また、670はソース配線651とソース領域とのコンタクト部、671は画素電極652とドレイン領域とのコンタクト部である。保持容量659は、画素TFT658のドレイン領域から延在する半導体膜とゲート絶縁膜を介して容量配線625が重なる領域で形成されている。ここで示す構成は、画素電極652がソース配線やドレイン配線と同じ材料で形成されており、即ち、反射型の表示装置に適用可能なアクティブマトリクス基板を示している。
【0079】
[実施例2]
実施例1で作製したアクティブマトリクス基板は反射型の表示装置に適用することができる。一方、透過型の液晶表示装置とする場合には画素部の各画素に設ける画素電極を透明電極で形成すれば良い。本実施例では透過型の液晶表示装置に対応するアクティブマトリクス基板の作製方法について図14を用いて説明する。
【0080】
アクティブマトリクス基板は実施例1と同様に作製する。しかし、ソース配線及びドレイン配線を形成する前に、第2の層間絶縁膜644上に透明導電膜を形成し、画素電極680を形成する。その後、ソース配線681及びドレイン配線682を形成する。ドレイン配線682は画素電極680と重ね合わせてコンタクト部を形成する。ソース配線及びドレイン配線の一例は、Ti膜を50〜150nmの厚さで形成し、島状半導体膜のソースまたはドレイン領域を形成する半導体膜とコンタクトを形成し、そのTi膜上に重ねてAlを300〜400nmの厚さで形成して設ける。この構成にすると、画素電極680はドレイン配線682を形成するTi膜のみと接触することになる。その結果、透明導電膜材料とAlとが反応するのを防止できる。
【0081】
透明導電膜の材料は、酸化インジウム(In23)や酸化インジウム酸化スズ合金(In23―SnO2;ITO)などをスパッタ法や真空蒸着法などを用いて形成して用いることができる。このような材料のエッチング処理は塩酸系の溶液により行う。しかし、特にITOのエッチングは残渣が発生しやすいので、エッチング加工性を改善するために酸化インジウム酸化亜鉛合金(In23―ZnO)を用いても良い。酸化インジウム酸化亜鉛合金は表面平滑性に優れ、ITOに対して熱安定性にも優れているので、ドレイン配線169の端面で接触するAlとの腐蝕反応を防止できる。同様に、酸化亜鉛(ZnO)も適した材料であり、さらに可視光の透過率や導電率を高めるためにガリウム(Ga)を添加した酸化亜鉛(ZnO:Ga)などを用いることができる。
【0082】
このようにして、透過型の液晶表示装置に対応したアクティブマトリクス基板を完成させることができる。本実施例では、実施例1と同様な工程として説明したが、このような構成は実施例2や実施例3で示すアクティブマトリクス基板に適用することができる。
【0083】
[実施例3]
本実施例では実施例1または実施例2で作製したアクティブマトリクス基板から、アクティブマトリクス型液晶表示装置を作製する工程を説明する。図10に示すように、図8(C)の状態のアクティブマトリクス基板に柱状スペーサから成るスペーサを形成する。スペーサは数μmの粒子を散布して設ける方法でも良いが、ここでは基板全面に樹脂膜を形成した後これをパターニングして形成する方法を採用する。このようなスペーサの材料に限定はないが、例えば、JSR社製のNN700を用い、スピナーで塗布した後、露光と現像処理によって所定のパターンに形成する。さらにクリーンオーブンなどで150〜200℃で加熱して硬化させる。このようにして作製されるスペーサは露光と現像処理の条件によって形状を異ならせることができるが、好ましくは、柱状スペーサ701、702の形状は柱状で頂部が平坦な形状となるようにすると、対向側の基板を合わせたときに液晶表示装置としての機械的な強度を確保することができる。形状は円錐状、角錐状など特別の限定はない。がその高さは使用する液晶材料にも依存して、ネマチック液晶の場合には3〜8μm、スメチック液晶の場合には1〜4μmとなるようにする。
【0084】
柱状スペーサの配置は任意に決定すれば良いが、好ましくは、図10で示すように、画素領域においては画素電極652のコンタクト部671と重ねてその部分を覆うように柱状スペーサ701を形成すると良い。コンタクト部671は平坦性が損なわれこの部分では液晶がうまく配向しなくなるので、このようにしてコンタクト部671にスペーサ用の樹脂を充填する形で柱状スペーサ701を形成することでディスクリネーションなどを防止することができる。
【0085】
その後、配向膜703を形成する。配向膜にはポリイミド樹脂を用る。配向膜を形成した後、ラビング処理を施して液晶分子がある一定のプレチルト角を持って配向するようにする。画素領域に設けた柱状スペーサ701の端部からラビング方向に対してラビングされない領域が2μm以下となるようにする。また、ラビング処理では静電気の発生がしばしば問題となるが、駆動回路のTFT上にも柱状スペーサ702を形成しておくと、スペーサとしての本来の役割と、静電気からTFTを保護する効果を得ることができる。
【0086】
対向側の対向基板704には、透明導電膜で形成される対向電極705および配向膜706を形成する。そして、画素領域と駆動回路が形成されたアクティブマトリクス基板と対向基板とをシール剤(図示せず)で貼り合わせる。その後、両基板の間に液晶707を注入し、封止材(図示せず)によって完全に封止する。液晶材料には公知の液晶材料を用いれば良い。このようにして図10に示すアクティブマトリクス型の液晶表示装置が完成する。
【0087】
図12はスペーサとシール剤を形成したアクティブマトリクス基板の上面図を示し、画素部および駆動回路部とスペーサおよびシール剤の位置関係を示す上面図である。画素領域888の周辺に駆動回路として走査信号駆動回路885と画像信号駆動回路886が設けられている。さらに、その他CPUやメモリなどの信号処理回路887も付加されていても良い。そして、これらの駆動回路は接続配線883によって外部入出力端子882と接続されている。画素部888では走査信号駆動回路885から延在するゲート配線群889と画像信号駆動回路886から延在するソース配線群890がマトリクス状に交差して画素を形成し、各画素にはそれぞれ図8(C)で示す画素TFT658と保持容量659が設けられている。
【0088】
画素領域に設ける柱状スペーサ701は、すべての画素に対して設けても良いが、マトリクス状に配列した画素の数個から数十個おきに設けても良い。即ち、画素部を構成する画素の全数に対するスペーサの数の割合は20〜100%とすると良い。また、駆動回路部に設けるスペーサ702はその全面を覆うように設けても良いし、図10で示したように各TFTのソースおよびドレイン配線の位置にあわせて複数個に分割して設けても良い。シール材879は、基板101上の画素部888および走査信号制御回路885、画像信号制御回路886、その他の信号処理回路887の外側であって、外部入出力端子882よりも内側に形成する。
【0089】
このようなアクティブマトリクス型液晶表示装置の構成を図13の斜視図を用いて説明する。図13においてアクティブマトリクス基板は、基板101上に形成された、画素部888と、走査信号駆動回路885と、画像信号駆動回路886とその他の信号処理回路887とで構成される。画素部888には画素TFT658と保持容量659が設けられ、画素部の周辺に設けられる駆動回路はCMOS回路を基本として構成されている。走査信号駆動回路885と、画像信号駆動回路886はそれぞれゲート配線624とソース配線651で画素TFT658に接続している。また、フレキシブルプリント配線板(Flexible Printed Circuit:FPC)891が外部入力端子882に接続していて画像信号などを入力するのに用いる。そして接続配線883でそれぞれの駆動回路に接続している。また、対向基板704には図示していないが、遮光膜や透明電極が設けられている。
【0090】
このような構成の液晶表示装置は、実施例1、2で示すアクティブマトリクス基板を用いて形成することができる。実施例1で示すアクティブマトリクス基板を用いれば反射型の液晶表示装置が得られ、実施例2で示すアクティブマトリクス基板を用いると透過型の液晶表示装置を得ることができる。
【0091】
[実施例4]
本実施例では、実施例1と同様なアクティブマトリクス基板で、エレクトロルミネッセンス(EL:Electro Luminescence)材料を用いた自発光型の表示パネル(以下、EL表示装置と記す)を作製する例について説明する。図16(A)はそのEL表示パネルの上面図を示す。図16(A)において、10は基板、11は画素部、12はソース側駆動回路、13はゲート側駆動回路であり、それぞれの駆動回路は配線14〜16を経てFPC17に至り、外部機器へと接続される。
【0092】
図16(A)のA−A'線に対応する断面図を図16(B)に示す。このとき少なくとも画素部の上方、好ましくは駆動回路及び画素部の上方に対向板80を設ける。対向板80はシール材19でTFTとEL材料を用いた自発光層が形成されているアクティブマトリクス基板と貼り合わされている。シール剤19にはフィラー(図示せず)が混入されていて、このフィラーによりほぼ均一な間隔を持って2枚の基板が貼り合わせられている。さらに、シール材19の外側とFPC17の上面及び周辺は封止剤81で密封する構造とする。封止剤81はシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ブチルゴムなどの材料を用いる。
【0093】
このように、シール剤19によりアクティブマトリクス基板10と対向基板80とが貼り合わされると、その間には空間が形成される。その空間には充填剤83が充填される。この充填剤83は対向板80を接着する効果も合わせ持つ。充填剤83はPVC(ポリビニルクロライド)、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)またはEVA(エチレンビニルアセテート)などを用いることができる。また、自発光層は水分をはじめ湿気に弱く劣化しやすいので、この充填剤83の内部に酸化バリウムなどの乾燥剤を混入させておくと吸湿効果を保持できるので望ましい。また、自発光層上に窒化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜などで形成するパッシベーション膜82を形成し、充填剤83に含まれるアルカリ元素などによる腐蝕を防ぐ構造としていある。
【0094】
対向板80にはガラス板、アルミニウム板、ステンレス板、FRP(Fiberglass-Reinforced Plastics)板、PVF(ポリビニルフルオライド)フィルム、マイラーフィルム(デュポン社の商品名)、ポリエステルフィルム、アクリルフィルムまたはアクリル板などを用いることができる。また、数十μmのアルミニウム箔をPVFフィルムやマイラーフィルムで挟んだ構造のシートを用い、耐湿性を高めることもできる。このようにして、EL素子は密閉された状態となり外気から遮断されている。
【0095】
また、図16(B)において基板10、下地膜21の上に駆動回路用TFT(但し、ここではnチャネル型TFTとpチャネル型TFTを組み合わせたCMOS回路を図示している。)22及び画素部用TFT23(但し、ここではEL素子への電流を制御するTFTだけ図示している。)が形成されている。これらのTFTの内、特にnチャネル型TFTにははホットキャリア効果によるオン電流の低下や、Vthシフトやバイアスストレスによる特性低下を防ぐため、本実施形態で示す構成のLDD領域が設けられている。
【0096】
例えば、駆動回路用TFT22として、図8(C)に示すpチャネル型TFT653とnチャネル型TFT654を用いれば良い。また、画素部のTFTには、駆動電圧にもよるが、10V以上であれば図8(C)に示す第1のnチャネル型TFT654またはそれと同様な構造を有するpチャネル型TFTを用いれば良い。第1のnチャネル型TFT654はドレイン側にゲート電極とオーバーラップするLDDが設けられた構造であるが、駆動電圧が10V以下であれば、ホットキャリア効果によるTFTの劣化は殆ど無視できるので、あえて設ける必要はない。
【0097】
図8(C)の状態のアクティブマトリクス基板からEL表示装置を作製するには、ソース配線、ドレイン配線上に樹脂材料でなる層間絶縁膜(平坦化膜)26を形成し、その上に画素部用TFT23のドレインと電気的に接続する透明導電膜でなる画素電極27を形成する。透明導電膜には酸化インジウムと酸化スズとの化合物(ITOと呼ばれる)または酸化インジウムと酸化亜鉛との化合物を用いることができる。そして、画素電極27を形成したら、絶縁膜28を形成し、画素電極27上に開口部を形成する。
【0098】
次に、自発光層29を形成する。自発光層29は公知のEL材料(正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層または電子注入層)を自由に組み合わせて積層構造または単層構造とすれば良い。どのような構造とするかは公知の技術を用いれば良い。また、EL材料には低分子系材料と高分子系(ポリマー系)材料がある。低分子系材料を用いる場合は蒸着法を用いるが、高分子系材料を用いる場合には、スピンコート法、印刷法またはインクジェット法等の簡易な方法を用いることが可能である。
【0099】
自発光層はシャドーマスクを用いて蒸着法、またはインクジェット法、ディスペンサー法などで形成する。いずれにしても、画素毎に波長の異なる発光が可能な発光層(赤色発光層、緑色発光層及び青色発光層)を形成することで、カラー表示が可能となる。その他にも、色変換層(CCM)とカラーフィルターを組み合わせた方式、白色発光層とカラーフィルターを組み合わせた方式があるがいずれの方法を用いても良い。勿論、単色発光のEL表示装置とすることもできる。
【0100】
自発光層29を形成したら、その上に陰極30を形成する。陰極30と自発光層29の界面に存在する水分や酸素は極力排除しておくことが望ましい。従って、真空中で自発光層29と陰極30を連続して形成するか、自発光層29を不活性雰囲気で形成し、大気解放しないで真空中で陰極30を形成するといった工夫が必要である。本実施例ではマルチチャンバー方式(クラスターツール方式)の成膜装置を用いることで上述のような成膜を可能とする。
【0101】
なお、本実施例では陰極30として、LiF(フッ化リチウム)膜とAl(アルミニウム)膜の積層構造を用いる。具体的には自発光層29上に蒸着法で1nm厚のLiF(フッ化リチウム)膜を形成し、その上に300nm厚のアルミニウム膜を形成する。勿論、公知の陰極材料であるMgAg電極を用いても良い。そして陰極30は31で示される領域において配線16に接続される。配線16は陰極30に所定の電圧を与えるための電源供給線であり、異方性導電性ペースト材料32を介してFPC17に接続される。FPC17上にはさらに樹脂層80が形成され、この部分の接着強度を高めている。
【0102】
31に示された領域において陰極30と配線16とを電気的に接続するために、層間絶縁膜26及び絶縁膜28にコンタクトホールを形成する必要がある。これらは層間絶縁膜26のエッチング時(画素電極用コンタクトホールの形成時)や絶縁膜28のエッチング時(自発光層形成前の開口部の形成時)に形成しておけば良い。また、絶縁膜28をエッチングする際に、層間絶縁膜26まで一括でエッチングしても良い。この場合、層間絶縁膜26と絶縁膜28が同じ樹脂材料であれば、コンタクトホールの形状を良好なものとすることができる。
【0103】
また、配線16はシーリル19と基板10との間を隙間(但し封止剤81で塞がれている。)を通ってFPC17に電気的に接続される。なお、ここでは配線16について説明したが、他の配線14、15も同様にしてシーリング材18の下を通ってFPC17に電気的に接続される。
【0104】
ここで画素部のさらに詳細な断面構造を図17に、上面構造を図18(A)に、回路図を図18(B)に示す。図17(A)において、基板2401上に設けられたスイッチング用TFT2402は実施形態1の図1の画素TFT149と同じ構造で形成する。ダブルゲート構造とすることで実質的に二つのTFTが直列された構造となり、ゲート電極と重ならないオフセット領域が設けられたLDDを形成することでオフ電流値を低減することができるという利点がある。尚、本実施例ではダブルゲート構造としているがトリプルゲート構造やそれ以上のゲート本数を持つマルチゲート構造でも良い。
【0105】
また、電流制御用TFT2403は図8(C)で示す第1のnチャネル型TFT654を用いて形成する。このTFT構造は、ドレイン側にのみゲート電極とオーバーラップするLDDが設けられた構造であり、ゲートとドレイン間の寄生容量や直列抵抗を低減させて電流駆動能力を高める構造となっている。別な観点からも、構造であることは非常に重要な意味を持つ。電流制御用TFTはEL素子を流れる電流量を制御するための素子であるため、多くの電流が流れ、熱による劣化やホットキャリアによる劣化の危険性が高い素子でもある。そのため、電流制御用TFTにゲート電極と一部が重なるLDD領域を設けることでTFTの劣化を防ぎ、動作の安定性を高めることができる。このとき、スイッチング用TFT2402のドレイン線35は配線36によって電流制御用TFTのゲート電極37に電気的に接続されている。また、38で示される配線は、スイッチング用TFT2402のゲート電極39a、39bを電気的に接続するゲート線である。
【0106】
また、本実施例では電流制御用TFT2403をシングルゲート構造で図示しているが、複数のTFTを直列につなげたマルチゲート構造としても良い。さらに、複数のTFTを並列につなげて実質的にチャネル形成領域を複数に分割し、熱の放射を高い効率で行えるようにした構造としても良い。このような構造は熱による劣化対策として有効である。
【0107】
また、図18(A)に示すように、電流制御用TFT2403のゲート電極37となる配線は2404で示される領域で、電流制御用TFT2403のドレイン線40と絶縁膜を介して重なる。このとき、2404で示される領域ではコンデンサが形成される。このコンデンサ2404は電流制御用TFT2403のゲートにかかる電圧を保持するためのコンデンサとして機能する。なお、ドレイン線40は電流供給線(電源線)2501に接続され、常に一定の電圧が加えられている。
【0108】
スイッチング用TFT2402及び電流制御用TFT2403の上には第1パッシベーション膜41が設けられ、その上に樹脂絶縁膜でなる平坦化膜42が形成される。平坦化膜42を用いてTFTによる段差を平坦化することは非常に重要である。後に形成される自発光層は非常に薄いため、段差が存在することによって発光不良を起こす場合がある。従って、自発光層をできるだけ平坦面に形成しうるように画素電極を形成する前に平坦化しておくことが望ましい。
【0109】
また、43は反射性の高い導電膜でなる画素電極(EL素子の陰極)であり、電流制御用TFT2403のドレインに電気的に接続される。画素電極43としてはアルミニウム合金膜、銅合金膜または銀合金膜など低抵抗な導電膜またはそれらの積層膜を用いることが好ましい。勿論、他の導電膜との積層構造としても良い。また、絶縁膜(好ましくは樹脂)で形成されたバンク44a、44bにより形成された溝(画素に相当する)の中に発光層44が形成される。なお、ここでは一画素しか図示していないが、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応した発光層を作り分けても良い。発光層とする有機EL材料としてはπ共役ポリマー系材料を用いる。代表的なポリマー系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)系、ポリビニルカルバゾール(PVK)系、ポリフルオレン系などが挙げられる。尚、PPV系有機EL材料としては様々な型のものがあるが、例えば「H. Shenk, H.Becker, O.Gelsen, E.Kluge, W.Kreuder, and H.Spreitzer,“Polymers for Light Emitting Diodes”,Euro Display,Proceedings,1999,p.33-37」や特開平10−92576号公報に記載されたような材料を用いれば良い。
【0110】
具体的な発光層としては、赤色に発光する発光層にはシアノポリフェニレンビニレン、緑色に発光する発光層にはポリフェニレンビニレン、青色に発光する発光層にはポリフェニレンビニレン若しくはポリアルキルフェニレンを用いれば良い。膜厚は30〜150nm(好ましくは40〜100nm)とすれば良い。但し、以上の例は発光層として用いることのできる有機EL材料の一例であって、これに限定する必要はまったくない。発光層、電荷輸送層または電荷注入層を自由に組み合わせて自発光層(発光及びそのためのキャリアの移動を行わせるための層)を形成すれば良い。例えば、本実施例ではポリマー系材料を発光層として用いる例を示したが、低分子系有機EL材料を用いても良い。また、電荷輸送層や電荷注入層として炭化珪素等の無機材料を用いることも可能である。これらの有機EL材料や無機材料は公知の材料を用いることができる。
【0111】
本実施例では発光層45の上にPEDOT(ポリチオフェン)またはPAni(ポリアニリン)でなる正孔注入層46を設けた積層構造の自発光層としている。そして、正孔注入層46の上には透明導電膜でなる陽極47が設けられる。本実施例の場合、発光層45で生成された光は上面側に向かって(TFTの上方に向かって)放射されるため、陽極は透光性でなければならない。透明導電膜としては酸化インジウムと酸化スズとの化合物や酸化インジウムと酸化亜鉛との化合物を用いることができるが、耐熱性の低い発光層や正孔注入層を形成した後で形成するため、可能な限り低温で成膜できるものが好ましい。
【0112】
陽極47まで形成された時点で自発光素子2405が完成する。なお、ここでいうEL素子2405は、画素電極(陰極)43、発光層45、正孔注入層46及び陽極47で形成されたコンデンサを指す。図18(A)に示すように画素電極43は画素の面積にほぼ一致するため、画素全体がEL素子として機能する。従って、発光の利用効率が非常に高く、明るい画像表示が可能となる。
【0113】
ところで、本実施例では、陽極47の上にさらに第2パッシベーション膜48を設けている。第2パッシベーション膜48としては窒化珪素膜または窒化酸化珪素膜が好ましい。この目的は、外部とEL素子とを遮断することであり、有機EL材料の酸化による劣化を防ぐ意味と、有機EL材料からの脱ガスを抑える意味との両方を併せ持つ。これによりEL表示装置の信頼性が高められる。
【0114】
以上のように本願発明のEL表示パネルは図18のような構造の画素からなる画素部を有し、オフ電流値の十分に低いスイッチング用TFTと、ホットキャリア注入に強い電流制御用TFTとを有する。従って、高い信頼性を有し、且つ、良好な画像表示が可能なEL表示パネルが得られる。
【0115】
図17(B)は自発光層の構造を反転させた例を示す。電流制御用TFT2601は図8(C)のpチャネル型TFT653と同じ構造で形成する。作製プロセスは実施例1を参照すれば良い。本実施例では、画素電極(陽極)50として透明導電膜を用いる。具体的には酸化インジウムと酸化亜鉛との化合物でなる導電膜を用いる。勿論、酸化インジウムと酸化スズとの化合物でなる導電膜を用いても良い。
【0116】
そして、絶縁膜でなるバンク51a、51bが形成された後、溶液塗布によりポリビニルカルバゾールでなる発光層52が形成される。その上にはカリウムアセチルアセトネート(acacKと表記される)でなる電子注入層53、アルミニウム合金でなる陰極54が形成される。この場合、陰極54がパッシベーション膜としても機能する。こうしてEL素子2602が形成される。本実施例の場合、発光層53で発生した光は、矢印で示されるようにTFTが形成された基板の方に向かって放射される。本実施例のような構造とする場合、電流制御用TFT2601はpチャネル型TFTで形成することが好ましい。
【0117】
以上のような、本実施例で示すEL表示装置は、実施例6の電子機器の表示部として用いることができる。
【0118】
[実施例5]
本実施例では、図18(B)に示した回路図とは異なる構造の画素とした場合の例について図19に示す。なお、本実施例において、2701はスイッチング用TFT2702のソース配線、2703はスイッチング用TFT2702のゲート配線、2704は電流制御用TFT、2705はコンデンサ、2706、2708は電流供給線、2707はEL素子とする。
【0119】
図19(A)は、二つの画素間で電流供給線2706を共通とした場合の例である。即ち、二つの画素が電流供給線2706を中心に線対称となるように形成されている点に特徴がある。この場合、電源供給線の本数を減らすことができるため、画素部をさらに高精細化することができる。
【0120】
また、図19(B)は、電流供給線2708をゲート配線2703と平行に設けた場合の例である。尚、図19(B)では電流供給線2708とゲート配線2703とが重ならないように設けた構造となっているが、両者が異なる層に形成される配線であれば、絶縁膜を介して重なるように設けることもできる。この場合、電源供給線2708とゲート配線2703とで専有面積を共有させることができるため、画素部をさらに高精細化することができる。
【0121】
また、図19(C)は、図19(B)の構造と同様に電流供給線2708をゲート配線2703と平行に設け、さらに、二つの画素を電流供給線2708を中心に線対称となるように形成する点に特徴がある。また、電流供給線2708をゲート配線2703のいずれか一方と重なるように設けることも有効である。この場合、電源供給線の本数を減らすことができるため、画素部をさらに高精細化することができる。図19(A)、図19(B)では電流制御用TFT2704のゲートにかかる電圧を保持するためにコンデンサ2705を設ける構造としているが、コンデンサ2705を省略することも可能である。
【0122】
電流制御用TFT2704として図17(A)に示すようなnチャネル型TFTを用いているため、ゲート絶縁膜を介してゲート電極と重なるように設けられたLDD領域を有している。この重なり合った領域には一般的にゲート容量と呼ばれる寄生容量が形成されるが、本実施例ではこの寄生容量をコンデンサ2705の代わりとして積極的に用いる点に特徴がある。この寄生容量のキャパシタンスは上記ゲート電極とLDD領域とが重なり合った面積で変化するため、その重なり合った領域に含まれるLDD領域の長さによって決まる。また、図19(A)、(B)、(C)の構造においても同様にコンデンサ2705を省略することは可能である。
【0123】
尚、本実施例で示すEL表示装置の回路構成は、実施形態1で示すTFTの構成から選択して図19に示す回路を形成すれば良い。また、実施例7の電子機器の表示部として本実施例のEL表示パネルを用いることが可能である。
【0124】
[実施例6]
本発明を実施して作製された画素部や駆動回路を同一の基板上に一体形成したアクティブマトリクス基板は、さまざまな電気光学装置(アクティブマトリクス型液晶表示装置、アクティブマトリクス型EL表示装置、アクティブマトリクス型EC表示装置)に用いることができる。即ち、これらの電気光学装置を表示媒体として組み込んだ電子機器全てに本発明を実施できる。
【0125】
そのような電子機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ、プロジェクター(リア型またはフロント型)、ヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル型ディスプレイ)パーソナルコンピュータ、テレビ、携帯電話または電子書籍など)が上げられる。それらの一例を図20、21に示す。
【0126】
図20(A)は携帯電話であり、本体9001、音声出力部9002、音声入力部9003、表示装置9004、操作スイッチ9005、アンテナ9006から構成されている。本発明はアクティブマトリクス基板を備えた表示装置9004に適用することができる。
【0127】
図20(B)はビデオカメラであり、本体9101、表示装置9102、音声入力部9103、操作スイッチ9104、バッテリー9105、受像部9106から成っている。本発明はアクティブマトリクス基板を備えた表示装置9102に適用することができる。
【0128】
図20(C)はモバイルコンピュータであり、本体9201、カメラ部9202、受像部9203、操作スイッチ9204、表示装置9205で構成されている。本発明はアクティブマトリクス基板を備えた表示装置9205に適用することができる。
【0129】
図20(D)はゴーグル型ディスプレイであり、本体9301、表示装置9302、アーム部9303で構成される。本発明は表示装置9302に適用することができる。また、表示されていないが、その他の信号制御用回路に使用することもできる。
【0130】
図20(E)は携帯書籍であり、本体9501、表示装置9503、記憶媒体9504、操作スイッチ9505、アンテナ9506から構成されており、ミニディスク(MD)やDVDに記憶されたデータや、アンテナで受信したデータを表示するものである。本発明は、表示装置9503は直視型の表示装置に適用することができる。
【0131】
図21(A)はプログラムを記録した記録媒体(以下、記録媒体と呼ぶ)を用いるプレーヤーであり、本体2401、表示部2402、スピーカ部2403、記録媒体2404、操作スイッチ2405等を含む。なお、このプレーヤーは記録媒体としてDVD(Digital Versatile Disc)、CD等を用い、音楽鑑賞や映画鑑賞やゲームやインターネットを行うことができる。本発明は表示部2402やその他の信号制御回路に適用することができる。
【0132】
図21(B)はディスプレイであり、本体3101、支持台3102、表示部3103等を含む。本発明は表示部3103に適用することができる。
【0133】
図21(C)はパーソナルコンリュータであり、本体9601、画像入力部9602、表示装置9603、キーボード9604などから構成されている。本発明は表示装置9603に適用することができる。
【0134】
図22(A)はフロント型プロジェクターであり、投射装置2601、スクリーン2602等を含む。本発明は投射装置2601の一部を構成する液晶表示装置2808やその他の信号制御回路に適用することができる。
【0135】
図22(B)はリアプロジェクターであり、本体2701、投射装置2702、ミラー2703、スクリーン2704等を含む。本発明は投射装置2702の一部を構成する液晶表示装置2808やその他の信号制御回路に適用することができる。
【0136】
なお、図22(C)は、図22(A)及び図22(B)中における投射装置2601、2702の構造の一例を示した図である。投射装置2601、2702は、光源光学系2801、ミラー2802、2804〜2806、ダイクロイックミラー2803、プリズム2807、液晶表示装置2808、位相差板2809、投射光学系2810で構成される。投射光学系2810は、投射レンズを含む光学系で構成される。本実施例は三板式の例を示したが、特に限定されず、例えば単板式であってもよい。また、図22(C)中において矢印で示した光路に実施者が適宜、光学レンズや、偏光機能を有するフィルムや、位相差を調節するためのフィルム、IRフィルム等の光学系を設けてもよい。
【0137】
また、図22(D)は、図22(C)中における光源光学系2801の構造の一例を示した図である。本実施例では、光源光学系2801は、リフレクター2811、光源2812、レンズアレイ2813、2814、偏光変換素子2815、集光レンズ2816で構成される。なお、図22(D)に示した光源光学系は一例であって特に限定されない。例えば、光源光学系に実施者が適宜、光学レンズや、偏光機能を有するフィルムや、位相差を調節するフィルム、IRフィルム等の光学系を設けてもよい。
【0138】
ただし、図22に示したプロジェクターにおいては、透過型の電気光学装置を用いた場合を示しており、反射型の電気光学装置及びEL表示装置での適用例は図示していない。
【0139】
このように、本願発明の適用範囲はきわめて広く、あらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。また、本実施例の電子機器は実施例1〜5のどのような組み合わせから成る構成を用いても実現することができる。
【0140】
【発明の効果】
TFTの電界効果移動度はチャネル形成領域の結晶粒界の数に大きく依存する。電界効果移動度を向上させるためには結晶粒界の数を少なくすれば良い。本発明のレーザー結晶化法は、断熱層によって結晶成長過程における温度変化を制御することにより、結晶粒の大粒径化を実現する。従って、そのような結晶質半導体膜を用いることにより、チャネル形成領域に存在する結晶粒界の数は確率的に減少させることができる。その結果、TFTの電界効果移動度を向上させることができ、該TFTを用いて作製される液晶表示装置やEL表示装置の性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のレーザー結晶化法の概念を説明する図。
【図2】 線状レーザー光を用いるレーザー結晶化法の概念を説明する図。
【図3】 レーザー装置の構成を説明する図。
【図4】 有機含有酸化シリコン膜を断熱層とする本発明のレーザー結晶化法を説明する図。
【図5】 液相法による有機含有酸化シリコン膜の作製方法を説明する図。
【図6】 画素TFT、駆動回路のTFTの作製工程を示す断面図。
【図7】 画素TFT、駆動回路のTFTの作製工程を示す断面図。
【図8】 画素TFT、駆動回路のTFTの作製工程を示す断面図。
【図9】 画素領域の画素を示す上面図。
【図10】 液晶表示装置の構成を説明する断面図。
【図11】 断熱層を多孔質シリコンで形成する本発明のレーザー結晶化法を説明する図。
【図12】 液晶表示装置の入力端子、配線、回路配置、スペーサ、シール剤の配置を説明する上面図。
【図13】 液晶表示装置の構成を説明する斜視図。
【図14】 透過型液晶表示装置の画素の構成を説明する断面図。
【図15】 レーザー装置の構成を説明する図。
【図16】 EL表示装置の構造を示す上面図及び断面図。
【図17】 EL表示装置の画素部の断面図。
【図18】 EL表示装置の画素部の上面図と回路図。
【図19】 EL表示装置の画素部の回路図の例。
【図20】 半導体装置の一例を示す図。
【図21】 半導体装置の一例を示す図。
【図22】 プロジェクターの一例を示す図。

Claims (7)

  1. 絶縁表面上にエチル(C)基、プロピル( )基、ブチル( )基、ビニル( )基、フェニル(C)基、CF基のいずれかを含有する酸化シリコンから成る断熱層を形成する第1の工程と、
    前記断熱層上に第1の絶縁層を形成する第2の工程と、
    前記第1の絶縁層上に非晶質構造を有する半導体膜を形成する第3の工程と、
    前記非晶質構造を有する半導体膜にレーザー光を照射して結晶構造を有する半導体膜を形成する第4の工程とを有することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  2. 基板上に多孔質シリコンから成る断熱層を形成する第1の工程と、
    前記断熱層上に第1の絶縁層を形成する第2の工程と、
    前記第1の絶縁層上に非晶質構造を有する半導体膜を形成する第3の工程と、
    前記非晶質構造を有する半導体膜にレーザー光を照射して結晶構造を有する半導体膜を形成する第4の工程とを有することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  3. 基板上に第1のnチャネル型TFTと第2のnチャネル型TFTとを形成する半導体装置の作製方法において、
    前記基板上にエチル(C)基、プロピル( )基、ブチル( )基、ビニル( )基、フェニル(C)基、CF基のいずれかを含有する酸化シリコンから成る断熱層を形成する第1の工程と、
    前記断熱層上に第1の絶縁層を形成する第2の工程と、
    前記第1の絶縁層上に非晶質構造を有する半導体膜を形成する第3の工程と、
    前記非晶質構造を有する半導体膜にレーザー光を照射して結晶構造を有する半導体膜を形成する第4の工程と、
    前記結晶構造を有する半導体膜から、島状に分離した第1の半導体膜と第2の半導体膜とを形成する第5の工程と、
    前記第1の半導体膜と第2の半導体膜の上方に第1の導電層と第2の導電層とを重ねて形成する第6の工程と、
    前記第1の導電層と第2の導電層とをエッチングして、端部にテーパー部を有する複数の第1の形状の導電層を形成する第7の工程と、
    前記複数の第1の形状の導電層を異方性エッチングして、前記第1の導電層の内側に第2の導電層が設けられた複数の第2の形状の導電層を形成する第8の工程と、
    前記第1の半導体膜に、一導電型の不純物元素を添加して、前記第2の形状の導電層と重なる第1の不純物領域と、前記第2の形状の導電層と重ならない第2の不純物領域を形成する第9の工程と、
    前記第2の半導体膜に、一導電型の不純物元素を添加して、前記第2の形状の導電層と重なる第3の不純物領域を形成する第10の工程とを有することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  4. 基板上に第1のnチャネル型TFTと第2のnチャネル型TFTとを形成する半導体装置の作製方法において、
    前記基板上に多孔質シリコンから成る断熱層を形成する第1の工程と、
    前記断熱層上に第1の絶縁層を形成する第2の工程と、
    前記第1の絶縁層上に非晶質構造を有する半導体膜を形成する第3の工程と、
    前記非晶質構造を有する半導体膜にレーザー光を照射して結晶構造を有する半導体膜を形成する第4の工程と、
    前記結晶構造を有する半導体膜から、島状に分離した第1の半導体膜と第2の半導体膜とを形成する第5の工程と、
    前記第1の半導体膜と第2の半導体膜の上方に第1の導電層と第2の導電層とを重ねて形成する第6の工程と、
    前記第1の導電層と第2の導電層とをエッチングして、端部にテーパー部を有する複数の第1の形状の導電層を形成する第7の工程と、
    前記複数の第1の形状の導電層を異方性エッチングして、前記第1の導電層の内側に第2の導電層が設けられた複数の第2の形状の導電層を形成する第8の工程と、
    前記第1の半導体膜に、一導電型の不純物元素を添加して、前記第2の形状の導電層と重なる第1の不純物領域と、前記第2の形状の導電層と重ならない第2の不純物領域を形成する第9の工程と、
    前記第2の半導体膜に、一導電型の不純物元素を添加して、前記第2の形状の導電層と重なる第3の不純物領域を形成する第10の工程とを有することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  5. 請求項または請求項において、前記一導電型の不純物元素が添加された第2の不純物領域の該不純物元素の濃度は、前記一導電型の不純物元素が添加された第1の不純物領域の該不純物元素の濃度よりも高く、かつ、前記一導電型の不純物元素が添加された第3の不純物領域の該不純物元素の濃度よりも低く形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  6. 請求項または請求項において、前記一導電型の不純物元素が添加された第1の不純物領域の該不純物元素の濃度は、2×1016〜1×1018/cmで添加し、前記一導電型の不純物元素が添加された第2の不純物領域の該不純物元素の濃度は、1×1017〜5×1018/cmで添加し、前記一導電型の不純物元素が添加された第3の不純物領域の該不純物元素の濃度は、5×1017〜5×1019/cmで添加し、かつ、前記一導電型の不純物元素が添加された第2の不純物領域の該不純物元素の濃度は、前記一導電型の不純物元素が添加された第1の不純物領域の該不純物元素の濃度よりも高く、かつ、前記一導電型の不純物元素が添加された第3の不純物領域の該不純物元素の濃度よりも低い関係を満たすように形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  7. 請求項または請求項において、前記第1のnチャネル型TFTは画素領域に形成し、前記第2のnチャネル型TFTは駆動回路部に形成されることを特徴とする半導体装置の作製方法。
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