JP4461632B2 - ゴルフクラブセット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、クラブ長さが異なる複数本のゴルフクラブを含むゴルフクラブセットに関し、更に詳しくは、番手毎の要求特性を最大限に発揮するようにしたゴルフクラブセットに関する。
【0002】
【従来の技術】
アイアンゴルフクラブセットは、ロングアイアンからショートアイアンまでの10本程度のクラブを具備し、各番手で異なる飛距離(数m〜約200m)が出るようにクラブ長さやロフト角度を種々異ならせた構成になっている。一般に、アイアンゴルフクラブセットでは、ロング側のクラブほどロフト角度を小さくし、かつクラブ長さを長くすることで、飛距離を得やすくする一方で、ショート側のクラブほどロフト角度を大きくし、かつクラブ長さを短くすることで、ボールを上げ易くすると共にランを少なくして方向性を重視するようにしている。
【0003】
しかしながら、従来のゴルフクラブセットでは、シャフト等の構成を番手間で変化させることでロングアイアンからショートアイアンにわたって調和を図っているものの、番手毎の要求特性を最大限に発揮することができなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、番手毎の要求特性を最大限に発揮することを可能にしたゴルフクラブセットを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明のゴルフクラブセットは、シャフトのチップ端側にヘッドを装着し、バット端側にグリップを装着した複数本のゴルフクラブを含み、これらゴルフクラブの長さを種々異ならせたゴルフクラブセットにおいて、前記グリップの外形が共通である一方で、前記ゴルフクラブの長さが短くなるに連れて、前記シャフトのバット端から軸方向へ50mmの位置と200mmの位置におけるシャフト外径の平均値が徐々に小さくなり、前記グリップの質量が徐々に重くなることを特徴とするものである。
【0006】
このようにゴルフクラブの長さが短くなるに連れて、シャフトのバット部での外径を徐々に小さくし、該バット部の細径化に合わせてグリップの質量を徐々に重くすることにより、ロング側のゴルフクラブを相対的に軽くし、ロング側のゴルフクラブについては振り易くしてボールの飛距離を最大限に大きくすることが可能になる。しかも、上記ゴルフクラブセットでは、ゴルフクラブの長さが短くなるに連れて、グリップの質量変化に基づいてゴルフクラブの重心位置がグリップ寄りに移行することになる。そのため、ショート側のゴルフクラブでは、スイング時にヘッドの重さを感じ難くなり、体と一体にゴルフクラブを振ることが容易になるので、打球方向性及び飛距離安定性を向上することができる。その結果、番手毎の要求特性を最大限に発揮することが可能になる。
【0007】
上記ゴルフクラブセットでは、ゴルフクラブの長さが短くなるに連れて、シャフトのバット端から軸方向へ50mmの位置と200mmの位置との間のテーパーを次第に小さくしたり、次第に大きくすることが可能である。
【0008】
また、ゴルフクラブの長さが短くなるに連れて、シャフトのチップ端の外径を徐々に大きくすることにより、ショート側のゴルフクラブの打球方向性及び飛距離安定性を更に向上することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明の実施形態からなるゴルフクラブセットを例示するものであり、ゴルフクラブA3〜A9(3番〜9番アイアン)と、ゴルフクラブPW(ピッチングウェッジ)と、ゴルフクラブSW(サンドウェッジ)との9本から構成されている。また、各ゴルフクラブは、管状に成形されたシャフト1のチップ端側にヘッド2を装着し、バット端側にグリップ3を装着した構成になっている。
【0011】
これらゴルフクラブA3〜A9,PW,SWは、番手が大きくなるほどロフト角度X(°)が大きくなると共にクラブ長さが短くなるように設定されている。即ち、ゴルフクラブA3〜A9,PW,SWは、番手が大きくなるほど打球飛距離が短くなるように設定されている。
【0012】
上記ゴルフクラブセットにおいて、クラブ長さが短くなるに連れて、シャフト1のバット端から軸方向へ50mmの位置と200mmの位置におけるシャフト外径の平均値が徐々に小さくなり、グリップ3の質量が徐々に重くなっている。即ち、図2(a)に示すロング側ゴルフクラブに比べて、図2(b)に示すショート側ゴルフクラブは、シャフト1のバット端の位置Oから軸方向へ50mmの位置Aと200mmの位置Bにおけるシャフト外径の平均値が小さく、かつグリップ3の質量が重くなっている。
【0013】
上述のようにクラブ長さが短くなるに連れて、シャフト1のバット部での外径を徐々に小さくし、グリップ3の質量を徐々に重くすることにより、セット内でロング側のゴルフクラブが相対的に軽くなって振り易くなる。そのため、ロング側のゴルフクラブについてはボールの飛距離を最大限に大きくすることができる。また、クラブ長さが短くなるに連れて、グリップ3の質量変化に基づいてゴルフクラブの重心位置がグリップ寄りに移行するので、ショート側のゴルフクラブでは打球方向性及び飛距離安定性を向上することができる。
【0014】
シャフト1のバット部での外径を番手間で変化させる手段としては、図2(a),(b)に示すように所定のテーパーを維持したままバット部を細くしても良く、或いはテーパーを変化させることでバット部を細くしても良い。
【0015】
即ち、図3(a)に示すロング側ゴルフクラブに比べて、図3(b)に示すショート側ゴルフクラブは、シャフト1のバット端の位置Oから軸方向へ50mmの位置Aと200mmの位置Bにおけるシャフト外径の平均値が小さく、シャフト1のバット端の位置Oから軸方向へ50mmの位置Aと200mmの位置Bとの間のテーパーが小さく、かつグリップ3の質量が重くなっている。
【0016】
また、図4(a)に示すロング側ゴルフクラブに比べて、図4(b)に示すショート側ゴルフクラブは、シャフト1のバット端の位置Oから軸方向へ50mmの位置Aと200mmの位置Bにおけるシャフト外径の平均値が小さく、シャフト1のバット端の位置Oから軸方向へ50mmの位置Aと200mmの位置Bとの間のテーパーが大きく、かつグリップ3の質量が重くなっている。
【0017】
図2〜図4のいずれの場合においても、シャフト1のバット部を細くし、その分だけグリップ3を厚くしているので、グリップ3の外形をゴルフクラブセット内で共通にすることが可能である。
【0018】
上記ゴルフクラブセットでは、クラブ長さが短くなるに連れて、シャフト1のチップ端の外径を徐々に大きくすると良い。シャフト1のチップ端の外径を上記の如く設定することにより、ショート側のゴルフクラブにおいて、シャフト1のチップ端近傍の剛性が高くなるので、打球方向性及び飛距離安定性を更に向上することができる。また、ショート側のゴルフクラブにおいて、シャフト1のチップ端を太くすれば、視覚的効果によってゴルファーに安心感を与えることができるという利点もある。
【0019】
上記ゴルフクラブセットにおいて、各ゴルフクラブの総質量は特に限定されるものではないが、最も短いゴルフクラブの総質量を400〜500gとし、最も長いゴルフクラブの総質量を300〜400gにすると良い。上記範囲内に設定することによって更に打球方向性及び飛距離安定性が向上したゴルフクラブセットを提供することが可能になる。
【0020】
本発明において、ゴルフクラブセットを構成するゴルフクラブの組み合わせは特に限定されるものではなく、必要とするゴルフクラブを任意に組み合わせてセットを構成することができる。例えば、図1に示すゴルフクラブの他に、アプローチングウェッジ等を含むことが可能である。
【0021】
【実施例】
複数本のゴルフクラブを含むゴルフクラブセットにおいて、各ゴルフクラブについて、クラブ長さ、ロフト角度、総質量、シャフトのチップ端での外径、シャフトのバット端から50mmの位置Aでの外径、シャフトのバット端から200mmの位置Bでの外径、位置A,Bでの外径の平均値、シャフトのバット端から50mmの位置Aと200mmの位置Bとの間のテーパー、グリップ質量を表1〜表7のように設定した従来セット及び本発明セット1〜6をそれぞれ製作した。
【0022】
これら試験セットについて、5人の上級ゴルファーによる試打を行い、その飛距離を測定すると共に、方向性の指標としてセンターラインに対するボールのずれ量を測定し、その結果を表1〜表7に併せて示した。飛距離の評価結果は、従来セットを100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど飛距離が大きいことを意味する。また、方向性の評価結果は、測定値の逆数を用い、従来セットを100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど方向性が良好であることを意味する。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】
【表5】
【0028】
【表6】
【0029】
【表7】
【0030】
これら表1〜表7から明らかなように、本発明セット1〜6のロングアイアンは従来セットのロングアイアンに比べて飛距離が大きく、また本発明セット1〜6のショートアイアンは従来セットのショートアイアンに比べて方向性が良好であった。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、シャフトのチップ端側にヘッドを装着し、バット端側にグリップを装着した複数本のゴルフクラブを含み、これらゴルフクラブの長さを種々異ならせたゴルフクラブセットにおいて、前記グリップの外形が共通である一方で、ゴルフクラブの長さが短くなるに連れて、シャフトのバット端から軸方向へ50mmの位置と200mmの位置におけるシャフト外径の平均値を徐々に小さくし、グリップの質量を徐々に重くしたので、ロング側のゴルフクラブの飛距離を延ばすと共に、ショート側のゴルフクラブの打球方向性及び飛距離安定性を向上し、番手毎の要求特性を最大限に発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態からなるゴルフクラブセットを構成する複数本のアイアンゴルフクラブをそれぞれ一部省略して示す側面図である。
【図2】本発明のゴルフクラブセットにおける代表的なゴルフクラブの要部を示し、(a)はロング側ゴルフクラブのグリップ部の断面図、(b)はショート側ゴルフクラブのグリップ部の断面図である。
【図3】本発明の他のゴルフクラブセットにおける代表的なゴルフクラブの要部を示し、(a)はロング側ゴルフクラブのグリップ部の断面図、(b)はショート側ゴルフクラブのグリップ部の断面図である。
【図4】本発明の更に他のゴルフクラブセットにおける代表的なゴルフクラブの要部を示し、(a)はロング側ゴルフクラブのグリップ部の断面図、(b)はショート側ゴルフクラブのグリップ部の断面図である。
【符号の説明】
1 シャフト
2 ヘッド
3 グリップ
A3〜A9,PW,SW ゴルフクラブ
X ロフト角度
Claims (4)
- シャフトのチップ端側にヘッドを装着し、バット端側にグリップを装着した複数本のゴルフクラブを含み、これらゴルフクラブの長さを種々異ならせたゴルフクラブセットにおいて、前記グリップの外形が共通である一方で、前記ゴルフクラブの長さが短くなるに連れて、前記シャフトのバット端から軸方向へ50mmの位置と200mmの位置におけるシャフト外径の平均値が徐々に小さくなり、前記グリップの質量が徐々に重くなることを特徴とするゴルフクラブセット。
- 前記ゴルフクラブの長さが短くなるに連れて、前記シャフトのバット端から軸方向へ50mmの位置と200mmの位置との間のテーパーが次第に小さくなることを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブセット。
- 前記ゴルフクラブの長さが短くなるに連れて、前記シャフトのバット端から軸方向へ50mmの位置と200mmの位置との間のテーパーが次第に大きくなることを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブセット。
- 前記ゴルフクラブの長さが短くなるに連れて、前記シャフトのチップ端の外径が徐々に大きくなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のゴルフクラブセット。
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