JP4461272B2 - 波長分離素子および光モジュール - Google Patents

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Description

この発明は、波長多重光通信に用いられる光部品に組み込まれ、多重化された光を波長毎に分離する波長分離素子および光モジュールに関する。
近年、光伝送方式として波長分割多重(WDM)方式等の高密度波長多重光通信システムが導入されている。このWDM伝送を実現するためには光通信路上に設けられる光部品に複数波長の制御が要求されており、これらの光部品は、複数波長の光を合波/分波(分離)する合分波機能を有する(例えば、下記特許文献1参照。)。このような合分波機能は、各波長別に異なる種別の伝送信号、例えば、電話、インターネット、VOD(ビデオ・オン・デマンド)を一つの光ファイバ上で波長多重して伝送できるという利点を有している。
図15は、従来の波長分離方法の一例を示す構成図である。図15は、3つの波長(ITU−T G 983.3に指定されている波長帯;1.3μm帯、1.49μm帯、1.55μm帯)の光を各波長別に分離する場合の構成例を示したものである。光の波長帯λ1を1.3μm帯(1310nm帯:1260nm〜1360nm)、波長帯λ2を1.49μm帯(1490nm帯:1480nm〜1500nm)、波長帯λ3を1.55μm帯(1550nm帯:1539nm〜1620nm)とする。光路100上に異なる波長分離特性を有する2枚のフィルター101,102を用いて行うことが一般的に行われている。フィルター101,102は、それぞれ光透過部材であるガラス基板101a,102aの面にフィルター膜101b,102bを膜形成してなる(例えば、下記非特許文献1参照。)。
図16と図17は、図15に示すフィルターの波長特性を示す図表である。図16は、図15に示した一方のフィルター101の波長特性であり、図17は、図15に示した他方のフィルター102の波長特性である。これらのフィルター101,102はいずれも短波長側を透過させるSWPF(Short Wave Pass Filter)の波長特性を有している。すなわち、これらのフィルター101,102は、入力1出力2の1×2の波長分離機能を有するものである。
入射光の前段に配置されたフィルター101は、波長帯λ1(1.3μm)と、波長帯λ2(1.49μm)の光を透過し、波長帯λ3(1.55μm)の光を反射して別経路(方向c)に導く。フィルター101の後段に配置されたフィルター102には、波長帯λ1(1.3μm)と、波長帯λ2(1.49μm)の光が入射される。このフィルター102は、波長帯λ1(1.3μm)の光を透過し、波長帯λ2(1.49μm)の光を反射して別光路(方向b)に導く。波長帯λ1(1.3μm)の光は、フィルター101,102に対する光路100の入射方向の延長線上に導かれ出射される。
図15に示したように、波長帯λ2(1.49μm)の光を導く方向(方向b)と、波長帯λ3(1.55μm)の光を導く方向(方向c)は、光路100の光軸Xに対して直交する方向Yに向けることが望ましい。すなわち、光軸をX軸、光軸に直交する方向をY軸、高さ方向をZ軸としたとき、一般的にこれらの光軸方向X,Y,Zに沿った光軸調整であれば容易に行える。
特開2002−243974号公報 石黒浩三ほか著 「光学薄膜」共立出版 昭和60年2月25日、第2章 多層膜の光学的性質
しかしながら、図15に示す構成の場合、前段に設けるフィルター101について精度良く波長分離できる波長特性を得ることが困難であった。フィルター101の波長特性は、図16に示したように、光の波長帯λ1(1.3μm帯)と、波長帯λ2(1.49μm帯)を透過させ、かつ、波長帯λ3(1.55μm帯)を非透過(反射)させる特性が必要である。この波長帯λ2(1490nm帯:1480nm〜1500nm)と、波長帯λ3(1550nm帯:1539nm〜1620nm)との間の分離波長幅は僅か39nmである。このような波長特性を実現するためには、波長帯λ2とλ3の波長間で急激に透過特性の変化が生じるように特殊な製造を要し、フィルター101が歩留まり等のために高価となった。
また、複数の波長帯λ1,λ2,λ3が多重化されて入射する光路100上に沿って2枚のフィルター101,102を配置する構成であるため、光路100方向に長さが必要となり大きくなるとともに、部品点数の削減を図ることができず製造および組み立ての効率化を図ることができなかった。
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、分離波長幅を大きくすることができ、フィルター膜の形成にかかる歩留まりを改善してフィルター膜の形成を容易に行え、複数の波長帯を波長分離できる波長分離素子および光モジュールを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる波長分離素子は、多重化された複数の波長帯の光を各波長帯別に分離して、分離された波長帯の光を異なる出射位置から出射させる波長分離素子において、前記多重化された複数の波長帯の光を第1の波長を基準として、当該第1の波長よりも短波長側の波長帯の光を第1の方向に透過させ、当該第1の波長よりも長波長側の複数の波長帯の光を反射させる波長特性を有する第1のフィルターと、前記第1のフィルターによる前記光の反射方向上に設けられ、前記第1のフィルターにより反射された前記複数の波長帯の光のうち、第2の波長を基準として当該第2の波長よりも長波長側の波長帯の光を第2の方向に透過させ、当該第2の波長よりも短波長側の波長帯の光を前記第1のフィルターに向けて反射させる第2のフィルターと、からなり、前記第1のフィルターは、前記第2のフィルターから反射して再度入射された前記光の入射角に応じた波長帯の光を第3の方向に透過させる入射角−透過波長特性を有することを特徴とする。
この発明の波長分離素子によれば、第1のフィルターおよび第2のフィルターを介して反射された波長帯の光が第1のフィルターに対し再度入射される。第1のフィルターは、再度入射された光の入射角に応じた波長帯の光を透過させる入射角−透過波長特性を有しており、第1のフィルターを用いて複数の波長帯の光を波長分離できる。そして、複数の波長帯同士の波長間隔が広い箇所に第1の波長を設定することができ、波長分離特性を向上させることができるようになる。また、第1のフィルターと第2のフィルターを用いて反射する光の光路を折り曲げるため小型化を図ることができる。
また、この発明にかかる光モジュールは、多重化された複数の波長帯の光を各波長帯別に分離して、分離された波長帯の光を異なる出射位置から出射させる波長分離素子を備えた光モジュールにおいて、前記波長分離素子は、前記多重化された複数の波長帯の光を第1の波長を基準として、当該第1の波長よりも短波長側の波長帯の光を第1の方向に透過させ、当該第1の波長よりも長波長側の複数の波長帯の光を反射させる波長特性を有する第1のフィルターと、前記第1のフィルターによる前記光の反射方向上に設けられ、前記第1のフィルターにより反射された前記複数の波長帯の光のうち、第2の波長を基準として、当該第2の波長よりも長波長側の波長帯の光を第2の方向に透過させ、当該第2の波長よりも短波長側の波長帯の光を前記第1のフィルターに向けて反射させる第2のフィルターと、からなり、前記第1のフィルターは、前記第2のフィルターから反射して再度入射された前記光の入射角に応じた波長帯の光を第3の方向に透過させる入射角−透過波長特性を有し、前記波長分離素子の前記第1〜第3の各方向には分離された各波長帯の光を検出する受光素子が設けられたことを特徴とする。
この発明の光モジュールによれば、第1のフィルターおよび第2のフィルターを介して反射された波長帯の光が第1のフィルターに対し再度入射される。第1のフィルターは、再度入射された光の入射角に応じた波長帯の光を透過させる入射角−透過波長特性を有しており、第1のフィルターを用いて複数の波長帯の光を波長分離できる。そして、複数の波長帯同士の波長間隔が広い箇所に第1の波長を設定することができ、波長分離特性を向上させることができるようになる。また、第1のフィルターと第2のフィルターを用いて反射する光の光路を折り曲げるため小型化を図ることができる。各波長帯の光はそれぞれ受光素子によって検出することができ、複数の波長帯の光アイソレーションを向上できるようになる。
本発明にかかる波長分離素子および光モジュールによれば、入射角に応じて波長特性が異なる一つのフィルターを用い、このフィルターに対して異なる入射角で光を入射させることにより、分離波長幅を大きくすることができるようになる。これにより、フィルター膜の形成にかかる歩留まりを改善でき、フィルター膜の形成を容易に行え、低コスト化を図ることができるという効果を奏する。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる波長分離素子および光モジュールの好適な実施の形態を詳細に説明する。以下に説明する波長分離素子には、前述同様に、複数の各波長帯λ1(1.3μm帯、1260nm〜1360nm)、波長帯λ2(1.49μm帯、1480nm〜1500nm)、波長帯λ3(1.55μm帯、1550nm帯:1539nm〜1620nm)の多重化された光が入射されるものとする。そして、波長分離素子は、各波長帯λ1,λ2,λ3の光を波長分離し、それぞれ異なる方向に導出(出力)する。
(実施の形態1)
はじめに、この発明の実施の形態1について説明する。図1は、この発明の実施の形態1の波長分離素子を示す構成図である。実施の形態1の波長分離素子1は、2つのフィルター2,3を有する。フィルター2,3は、それぞれ光透過部材2a,3aの面にフィルター膜2b,3bを膜形成してなる。光透過部材2a,3aは、石英やガラスを基板状に形成してなる。光透過部材2a,3aの基板サイズは、例えば、幅1mm×長さ1mm×厚さ0.5mmで形成される。プレート膜であるフィルター膜2b,3bは、例えば、SiO2、TiO2等の多層膜によって形成されている。
波長帯λ1,λ2,λ3の光が多重化された光路10には、フィルター2が設けられ、このフィルター2のフィルター膜2bは、波長帯λ1の光を透過させ方向aへ導き、残りの波長帯λ2と波長帯λ3の光を反射させる。反射した波長帯λ2と波長帯λ3の光は、フィルター3に入射される。フィルター3は、波長帯λ3の光を透過させて方向bへ導き、波長帯λ2の光を反射させる。反射した波長帯λ2の光は、再度フィルター2に入射される。この波長帯λ2の光は、透過可能な角度を有してフィルター2に入射され、フィルター2を透過して方向cへ導く。
このように、フィルター2はある角度では波長帯λ2の光を反射するが、フィルター3から反射して戻る波長帯λ2の光の入射角を変えることにより、この波長帯λ2の光を透過させるよう構成したものである。すなわち、フィルター膜2bは、このフィルター膜2bに対する光の入射角に応じて光を反射、あるいは透過させる入射角依存性を有するものを用いる。これにより、光の反射と透過は、単一のフィルター膜2bに対する入射角がそれぞれ適した角度となるよう設定するだけで容易に行える。
次に、図1を参照してフィルター2,3の配置について説明する。波長多重された光の光路10はX軸方向に沿っている。フィルター2は、入射する光の光路10と、フィルター膜2bの法線方向との間の角度θ1が45°である。フィルター2のフィルター膜2bは、入射する光のうち波長帯λ2と波長帯λ3の光を光路10と直交するY軸方向に反射する。フィルター3は、Y軸と、フィルター膜3bの法線方向との間の角度θ2が6°である。フィルター3のフィルター膜3bによって反射される波長帯λ2の光は、Y軸に対して2倍した角度(2・θ2)である12°傾くことになる。このため、この波長帯λ2の光が再度フィルター2のフィルター膜2bに入射したとき、この入射方向は、フィルター2のフィルター膜2bの法線方向との間の角度θ3が33°(45−12=33°)となる。このように、フィルター膜2bは、波長帯λ2の光が45°のときには反射させ、これに比べて浅い角度(33°)で入射した光は透過させる特性を有している。
上記フィルター2,3の各波長特性を説明する。図2は、一方のフィルター(フィルター2)の波長特性を示す図表である。横軸は波長、縦軸は透過率である。フィルター2に形成されているフィルター膜2bは、透過率が入射角によって異なる入射角依存性を有している。図中実線は、フィルター2に対する光の入射角が45°の波長特性であり、図中点線は、フィルター2に対する光の入射角が33°の波長特性である。
図示のように、フィルター2は、入射角が45°のとき、波長帯λ1(1.3μm帯、1260nm〜1360nm)の光を透過させ(透過率が高く)、波長帯λ2(1.49μm帯、1480nm〜1500nm)以上の高い波長の光(図中ではλ2αと記載)を透過させない(透過率が低く反射させる)SWPFの波長特性を有している。また、このフィルター2は、入射角が33°のときの波長特性(透過特性)は、45°の入射角に対して波長特性が高い波長の方向に約150nmシフトする。図示のように、入射角が33°のとき、波長帯λ2(1.49μm帯、1480nm〜1500nm)以上の高い波長の光を透過させる(透過率が高くなる)。
図3は、他方のフィルター(フィルター3)の波長特性を示す図表である。横軸は波長、縦軸は透過率である。フィルター3に対する光の入射角が6°の波長特性である。図示のように、フィルター3は、入射角が6°のとき、波長帯λ2(1.49μm帯、1480nm〜1500nm)以下の低い波長の光を透過させず(透過率が低く反射させ)、波長帯λ3(1.55μm帯、1550nm帯:1539nm〜1620nm)以上の高い波長の光を透過させる(透過率が高い)LWPF(Long Wave Pass Filter)の波長特性を有している。なお、フィルター2は、波長帯λ1(1.3μm帯、1260nm〜1360nm)の光を透過させているため、フィルター3には、この波長帯λ1の光は入射されない。
フィルター2,3は、上記波長特性を有しているため、図1に示したように、光路10からフィルター2に45°の入射角θ1を有して入射した光については、波長λ1の光のみ透過して方向aに出射させ、波長帯λ2と波長帯λ3の光は透過させずにフィルター3方向に反射させる。フィルター3には、6°の入射角θ2を有して波長λ2と波長帯λ3の光が入射される。フィルター3は、波長帯λ3の光のみ透過して方向bに出射させ、波長帯λ2の光は透過させずにフィルター2方向に反射させる。フィルター2に反射された波長帯λ2の光は、フィルター2に対して33°の入射角θ3で入射される。フィルター2は、この波長帯λ2の光を透過して方向cに出射させる。X軸に沿った光路10の光の入射方向に対し、これら波長分離された後の各波長の光は、方向aがX軸に沿った方向に配置され、また、方向b,cがそれぞれX軸に直交するY軸方向に配置することができる。
図4は、実施の形態1による波長分離素子の構成例を示す図である。図示のように、X軸方向に沿って設けられた光ファイバ11から出射された光がフィルター2に入射されるように構成すればよい。光ファイバ11は波長帯λ1,λ2,λ3の光を多重化した光が伝送されており、端面からフィルター2に向けて光路10としてこの多重化した光が出射される。
波長帯λ1の光は方向aに導出され、波長帯λ2の光は方向cに導出され、波長帯λ3の光は方向bに導出される。方向a,b,cにそれぞれ受光素子(PD)を配置することにより、各波長帯別に異なる光信号を検出することができるようになる。また、受光素子を用いて光信号を検出するに限らず、レーザダイオード(LD)等の発光素子を配置することにより、いずれかの波長帯の光を光ファイバ11に入射(出力)することもできるようになる。
以上説明した実施の形態1の構成によれば、一方のフィルター2は、入射角別に異なる波長帯の光を透過させる波長特性を有しており、フィルター3からの光の反射と組み合わせてフィルター2に入射する光の入射角を変更させることにより、このフィルター2を用いて異なる2つの波長帯の光を波長分離できるようになる。このフィルター2を用いて波長分離させたときの分離波長幅は120nmと広い分離波長幅を有する。この分離波長幅は、波長帯λ1の最も高い波長1360nmと、波長帯λ2の最も低い波長1480nmとの間の波長幅(図2参照)である。このように分離波長幅を広くすることができ、各波長帯λ1,λ2,λ3の光アイソレーション特性を向上できるようになる。また、他方のフィルター3は、入射光の光路10から逸れて一方のフィルター2により反射した光の方向に設けたため、光路10方向への長さを短くでき、小型化を図ることができる。
(実施の形態2)
次に、この発明の実施の形態2について説明する。実施の形態1と同様の構成要素には同一の符号を附してある。図5は、この発明の実施の形態2の波長分離素子を示す構成図である。実施の形態2の波長分離素子15は、実施の形態1同様に2つのフィルター12,13からなる。フィルター12,13は、それぞれ光透過部材12a,13aの面にフィルター膜12b,13bを膜形成してなる。
実施の形態2は、実施の形態1と比較して光透過部材12a,13aの形状が異なるものであり、他の構成は実施の形態1と同様である。実施の形態2の光透過部材12a,13aについても、石英やガラスを用いて構成されている。この2つの光透過部材12a,13aは、例えば、ガラスを立方体(キューブ)状に加工形成した後、図中f−f線で分割するよう切断加工して得ることができる。分割された分割面14は、図示のように再度接合して用いる。図示のように、光透過部材12a,13aを接合した状態において、キューブ状のプリズムとなる。
この分割面14のうち、いずれか一方の光透過部材(例えば光透過部材12a)には、フィルター膜12bを設ける。また、光透過部材13aには、フィルター膜12bによる光の反射方向上であって光が出射する面にフィルター膜13bを設ける。そして、分割面14に設けたフィルター膜12bの面の法線と、X軸(光路10の入射方向)との角度θ1は45°である。また、フィルター膜13bの法線方向と、Y軸との間の角度θ2は6°である。また、フィルター13のフィルター膜13bによって反射される波長帯λ2の光は、Y軸に対して2・θ2である12°傾くことになる。このため、この波長帯λ2の光が再度フィルター12のフィルター膜12bに入射したとき、この入射方向は、フィルター12のフィルター膜12bの法線方向との間の角度θ3が33°(45−12=33°)となる。このように、フィルター膜12bは、波長帯λ2の光が45°のときには反射させ、これに比べて浅い角度(33°)で入射した光は透過させる特性を有している。フィルター膜12b,13bは、実施の形態1同様に、例えば、SiO2、TiO2等の多層膜によって形成されている。
上記フィルター12,13の各波長特性は、実施の形態1のフィルター2,3と同様である。一方のフィルター(フィルター12)の波長特性は図2と同一であり、他方のフィルター(フィルター13)の波長特性は図3と同一である。フィルター12に形成されているフィルター膜12bは、透過率が入射角によって異なる入射角依存性を有している。
フィルター12は、図2に示すように、入射角が45°のとき、波長帯λ1(1.3μm帯、1260nm〜1360nm)の光を透過させ(透過率が高く)、波長帯λ2(1.49μm帯、1480nm〜1500nm)以上の高い波長の光(図中ではλ2αと記載)を透過させない(透過率が低く反射させる)SWPFの波長特性を有している。また、このフィルター12は、入射角が33°のときの波長特性(透過特性)は、45°の入射角に対して波長特性が高い波長の方向に約150nmシフトする。図示のように、入射角が33°のとき、波長帯λ2(1.49μm帯、1480nm〜1500nm)以上の高い波長の光を透過させる(透過率が高くなる)。
フィルター13は、図3に示すように、入射角が6°のとき、波長帯λ2(1.49μm帯、1480nm〜1500nm)以下の低い波長の光を透過させず(透過率が低く反射させ)、波長帯λ3(1.55μm帯:1539nm〜1620nm)以上の高い波長の光を透過させる(透過率が高い)LWPF(Long Wave Pass Filter)の波長特性を有している。なお、フィルター12は波長帯λ1(1.3μm帯、1260nm〜1360nm)の光を透過させているため、フィルター13には、この波長帯λ1の光は入射されない。
フィルター12,13は、上記波長特性を有しているため、図5に示したように、光路10からフィルター12に45°の入射角θ1を有して入射した光については、波長帯λ1の光のみ透過して方向aに出射させ、波長帯λ2,λ3の光は透過させずにフィルター13方向に反射させる。フィルター13には、6°の入射角θ2を有して波長帯λ2と波長帯λ3の光が入射される。フィルター13は、波長帯λ3の光のみ透過して方向bに出射させ、波長帯λ2の光は透過させずにフィルター12方向に反射させる。フィルター12に反射された波長帯λ2の光は、フィルター12に対して33°の入射角θ3で入射される。フィルター12は、この波長帯λ2の光を透過して方向cに出射させる。X軸に沿った光路10の光の入射方向に対し、これら波長分離された後の各波長の光は、方向aがX軸に沿った方向に配置され、また、方向b,cがそれぞれX軸に直交するY軸方向に配置することができる。
図6は、実施の形態2による波長分離素子の構成例を示す図である。フィルター12,13が接合されて1個のキューブ状となる。図示のように、X軸方向に沿って設けられた光ファイバ11から出射された光が波長分離素子15の入射面15aに入射されるよう構成すればよい。このため、光ファイバ11の出射面11aは、上記θ2と同一の傾斜角(6°)の傾斜角θ4を有するよう研磨等で傾斜状に形成する。そして、この出射面11aに波長分離素子15の入射面15aを接着剤等で接合すればよい。このように、波長分離素子15を直接、光ファイバ11に接合させることにより、光軸調整を簡単かつ高精度に行えるとともに、組み立ても簡単に行えるようになる。また、波長分離素子15自体の小型化を図ることができ、波長分離素子としての部品点数を減らすことができる。
光ファイバ11は波長帯λ1,λ2,λ3の光を多重化した光が伝送されており、この光の光路10は、出射面11aから波長分離素子15に向けて出射される。波長分離素子15によって波長帯λ1の光は方向aに導出され、波長帯λ2の光は方向cに導出され、波長帯λ3の光は方向bに導出される。方向a,b,cにそれぞれ受光素子(PD)を配置することにより、各波長帯別に異なる光信号を検出することができるようになる。また、受光素子を用いて光信号を検出するに限らず、レーザダイオード(LD)等の発光素子を配置することにより、いずれかの波長帯の光を光ファイバ11に入射(出力)することもできるようになる。
以上説明した実施の形態2の構成によれば、一方のフィルター12は、入射角別に異なる波長帯の光を透過させる波長特性を有しており、フィルター13からの光の反射と組み合わせてフィルター12に入射する光の入射角を変更させることにより、このフィルター12を用いて異なる2つの波長帯の光を波長分離できるようになる。このフィルター12を用いて波長分離させたときの分離波長幅は120nmと広い分離波長幅を有する。このように分離波長幅を広くすることができ、各波長帯λ1,λ2,λ3の光アイソレーション特性を向上できるようになる。また、フィルター12,13は、ガラス等の光透過部材12a,13aをキューブ状に形成し、分割面14を有して2分割してそれぞれを容易に得ることができる。そして、光透過部材12a,13aにそれぞれフィルター膜12b,13bを形成した後に分割面14を接合することにより、再度、1個のキューブ状の波長分離素子15として取り扱うことができ、小型化しつつ取り扱いを容易に行うことができる。これにより、光軸精度、組み立て精度を向上できるようになる。また、他方のフィルター13は、入射光の光路10から逸れて一方のフィルター12により反射した光の方向に設けたため、光路10方向への長さを短くでき、より一層の小型化を図ることができる。
(実施の形態3)
次に、この発明の実施の形態3について説明する。実施の形態3の波長分離素子は、実施の形態2において説明したのと同様の構成にバンドパスフィルターを付加したものである。実施の形態2と同一の構成要素には同一の符号を附してある。実施の形態3では、各波長帯λ1,λ2,λ3の光アイソレーション特性をより向上させようとするものである。
図7は、この発明の実施の形態3の波長分離素子を示す構成図である。波長帯別の光アイソレーションを向上させるために各波長帯の出射位置に対応する波長帯の光のみを通過させるバンドパスフィルター(BPF)を設ける。図示の例では、波長帯λ3(1.55μm帯)の光を出射する方向bと、波長帯λ2(1.49μm帯)の光を出射する方向cにバンドパスフィルター21,22を設けている。
図8は、一方のバンドパスフィルターの波長特性を示す図表である。波長分離素子15の方向bの出射位置に設けるバンドパスフィルター21は、波長帯λ3(1.55μm帯、1539nm〜1620nm)の波長の光だけを透過させる波長特性を有する。このバンドパスフィルター21は、フィルター13のフィルター膜13b上に接着固定される。接着は、例えば、エポキシ系の接着剤やUV硬化型接着剤で固定する。
図9は、他方のバンドパスフィルターの波長特性を示す図表である。波長分離素子15の方向cの出射位置に設けるバンドパスフィルター22は、波長帯λ2(1.49μm帯、1480nm〜1500nm)の波長の光だけを透過させる波長特性を有する。このバンドパスフィルター22は、フィルター12に上記の接着剤等で接着固定される。なお、フィルター12の方向cの出射位置部分には、フィルター膜が形成されていないため、この出射位置部分に直接、バンドパスフィルターの波長特性を有するフィルター膜を形成してもよい。
上記説明では、実施の形態2において説明したキューブ型の波長分離素子15にバンドパスフィルターを設ける構成を説明したが、このバンドパスフィルターは、実施の形態1において説明した2枚のフィルター2,3の各波長帯λ1,λ2,λ3の出射位置(方向a,b,c)にそれぞれ設ける構成としてもよい。なお、フィルター2(図1参照)においては、方向aと方向bが光透過部材2aの同一の面に設けられているが、方向aと方向cの出射面部分に境界を有してそれぞれに対応した波長特性を有するバンドパスフィルターを膜形成等で設ければよい。
以上説明した実施の形態3の構成によれば、バンドパスフィルターを設けることにより、波長分離された各波長帯の光の出射位置から所望する波長帯の光のみを出射させることができるようになる。これにより、実施の形態2の効果に加えて波長帯別の光アイソレーション特性をより向上させることができるようになる。
(実施の形態4)
次に、この発明の実施の形態4について説明する。この発明の実施の形態4では、上述した各実施の形態において説明した波長分離素子を用いた光モジュールの構成例について説明する。波長分離素子を用いることにより波長多重された光を各波長帯別に分離して出射させることができる。波長分離素子は、波長帯別の分離に限らず、所望する波長帯の光を合成することもできる。このような波長分離素子は、光ファイバ等の伝送路に接続された一つの光モジュール内において所定の波長帯の光を分離して出射(出力)させるとともに、この同一の光モジュール内において所定の波長帯の光を合成して入射(入力)させることもできる。
図10は、この発明の実施の形態4による光モジュールの構成例を示すブロック図である。光ファイバ11は各波長帯λ1,λ2,λ3の光を伝送する。波長分離素子15は、上述したように、波長帯λ2の光を方向cから出射させ、波長帯λ3の光を方向bから出射させる。また、方向aから波長帯λ1の光が入射される。
光モジュール30は、波長分離素子15の方向bから出射される波長帯λ3の光を検出する受光素子(PD)31と、方向cから出射される波長帯λ2の光を検出する受光素子(PD)32と、波長帯λ1の光を波長分離素子15の方向aに向けて出射する発光素子(LD)33とを有する。各波長帯λ1,λ2,λ3はそれぞれ独立した信号形態とすることができ、例えば波長帯λ3の光信号はアナログPDの受光素子31により検出し、波長帯λ2の光信号はデジタルPDの受光素子32により検出する等、の構成にできる。光ファイバ11の端部には固定用のフェルール35が設けられる。これら受光素子31,32と、発光素子33と、フェルール35は、それぞれ筐体36に光軸を位置決めして取り付けられる。
図11は、光モジュールの具体的構成を示す平面図である。筐体36には、フェルール35を介して光ファイバ11が位置決め固定される。光ファイバ11の先端部(出射面11a)は、筐体36のほぼ中央部となるように配置される。この出射面11aは、所定の傾斜角θ4を有しており、波長分離素子15が取り付けられている(図6参照)。図示のように、波長分離素子15から出射される波長帯λ3の光を受光する受光素子31は、光路10に沿ったX軸と直交するY軸上に設ける。また、波長分離素子15に対して波長帯λ1の光を入射させる方向aは同じX軸方向上であり、この方向上に発光素子33を設ける。そして、波長分離素子15から出射される波長帯λ2の光を受光する受光素子32は、Y軸に対し所定の傾斜角(2・θ2)である12°傾けて設ける。
受光素子31,32は、筐体36の側壁36aに挿入、あるいは固定して設けることができ、これら受光素子31と発光素子33は、X,Y軸に沿って設ければよく、簡単に組み立てることができる。受光素子32は、Y軸に対して傾斜角(2θ・2)を有して保持する保持部材36bを介して筐体36の側壁36aに固定される。
以上の構成は、筐体36内部に実施の形態2において説明したキューブ状の波長分離素子15を設ける構成について説明したが、これに限らず、実施の形態3において説明したバンドパスフィルターを設けた構成であっても同様に設けることができる。また、筐体36内部には実施の形態1において説明したフィルター2,3を図示しない保持部材を介して設ける構成とすることもできる。
以上説明した実施の形態4によれば、光ファイバと、各波長帯別の受光素子を筐体に組み込むことにより、光ファイバを介して伝送される複数の波長帯の光を検出する光モジュールを提供できるようになる。また、波長分離素子によって波長分離された光を検出するに限らず、発光素子を用いて所定の波長帯の光を光ファイバに入射させ、信号を送信する構成にもできる。このように、実施の形態4の光モジュールは、光ファイバを介して複数の波長帯の信号を送受信する送受信ターミナル等に内蔵することができ、広帯域かつ高速な双方向信号の送信および受信を行うことができるようになる。
(実施の形態5)
次に、この発明の実施の形態5について説明する。実施の形態5の構成は、実施の形態2(図5参照)において説明したフィルター12のフィルター膜12bの配置位置を限定したものである。図12は、この発明の実施の形態5による波長分離素子を示す構成図である。この実施の形態5においても、実施の形態2と同様のキューブ状の波長分離素子15を用い、2つのフィルター12,13を有する。そして、分割面14の一方のフィルター(例えばフィルター12)に形成するフィルター膜12bは、実施の形態2と配置が異なる。このフィルター膜12bは、光路10から多重化されて入射される波長帯λ1,λ2,λ3の光を受ける箇所のみ形成されている。
フィルター膜12bは、波長帯λ1の光を方向aに透過させ、残りの波長帯λ2,λ3の光を反射させる。他方のフィルター13に設けられたフィルター膜13bは、実施の形態2同様に、光の反射方向上であって光が出射する面に設けている。そして、フィルター膜13bは、波長帯λ3の光を透過させて方向bに出射させ、波長帯λ2の光を反射させる。この反射された波長帯λ2の光は方向cから出射される。この方向cは、フィルター膜12bを介することなく出射される。
このように、実施の形態5は、2つのフィルター膜12b,13bにより反射された波長帯λ2の光が再度フィルター膜12bに入射されることなく方向cから出射されるようになっている。このような構成によれば、フィルター膜12bは、実施の形態2において説明した光の入射角に応じて光を反射、あるいは透過させる入射角依存性を有するものを用いる必要がない。
以上説明した実施の形態5によれば、フィルター12,13により波長分離され反射された波長帯λ2の光は、再度フィルター12に入射することなく出射させることができる。これにより、実施の形態2の如く、一方のフィルター12に対して再度入射角度を変更して入射させ波長分離させるという必要がなく、より簡単に構成することができるようになる。
(実施の形態6)
次に、この発明の実施の形態6について説明する。実施の形態6の構成は、上記各実施の形態において説明したフィルター膜の配置を変更して波長帯別の光の出射方向を異なるように構成したものである。図13は、この発明の実施の形態6による波長分離素子を示す構成図である。この実施の形態6においても、実施の形態2と同様のキューブ状の波長分離素子40を用いる。この波長分離素子40は、2つのフィルター41,42によって構成されている。フィルター41,42を構成する光透過部材41a,42aは実施の形態2(図5)と同様のガラス等により構成されている。この波長分離素子40に対して光路10から光が入射する面は、所定の角度(θ4)を有している。このフィルター41,42の分割面43は、法線と光路10との間が所定の角度θ4を有している。光路10上には波長帯λ1,λ2,λ3の光が多重化されており、分割面43の一方のフィルター(例えばフィルター41)には、フィルター膜41bが形成されている。
フィルター膜41bは、波長帯λ1の光を方向aに透過させ、残りの波長帯λ2,λ3の光を反射させる。他方のフィルター42には、フィルター膜41bによる光の反射方向上であって光が出射する面にフィルター膜42bが設けられている。フィルター膜42bの面は光路10(X軸)に対して角度θ4と同様の角度を有する。このフィルター膜42bの法線と、入射される光との間は所定の角度θ5を有している。フィルター膜42bは、波長帯λ3の光を透過させて方向bに出射させ、波長帯λ2の光を反射させる。この反射された波長帯λ2の光は方向cから出射される。この方向cは、分割面43にかからずにフィルター膜42bが形成されている同一のフィルター42から出射される。
ここで、実施の形態2と異なるのは、2つのフィルター膜41b,42bにより反射された波長帯λ2の光が再度フィルター膜42bに入射されることなく方向cから出射されるように構成した点である。このため、波長帯λ2の光が出射される方向c上にフィルター膜41b(分割面43)が位置しないように分割面43の形成位置を適宜決定する。フィルター膜41bは、角度θ5が45°であれば、図2の実線で示した波長特性を有し、フィルター膜42bは、図3に示した波長特性を有する。これにより、フィルター膜41bを用い波長分離させたときの分離波長幅としては120nmの幅を設定することができ、実施の形態1,2同様に広い分離波長幅を有する。この分離波長幅は、波長帯λ1の最も高い波長1360nmと、波長帯λ2の最も低い波長1480nmとの間の波長幅(図2参照)である。
上記構成によれば、フィルター膜41bは、上述した実施の形態1、2等において説明した光の入射角に応じて光を反射、あるいは透過させる入射角依存性を有するものを用いる必要がない。そして、各波長帯λ1,λ2,λ3の光の出射方向上にはそれぞれの光を検出する受光素子を配置できる。また、各波長帯λ1,λ2,λ3のうちいずれかの波長帯は、発光素子が出射する光を入射するよう構成することもできる。
以上説明した実施の形態6によれば、2つのフィルター41,42を用いてそれぞれ異なる波長帯の光を波長分離させることができ、波長帯λ1と波長帯λ2との間の分離波長幅は120nmと広い分離波長幅を有する。このように分離波長幅を広くすることができ、各波長帯λ1,λ2,λ3の光アイソレーション特性を向上できるようになる。また、フィルター41,42は、ガラス等の光透過部材41a,42aをキューブ状に形成し、分割面43を有して2分割してそれぞれを容易に得ることができる。そして、光透過部材41a,42aにそれぞれフィルター膜41b,42bを形成した後に分割面43を接合することにより、再度、1個のキューブ状の波長分離素子40として取り扱うことができ、取り扱いを容易に行うことができる。これにより、光軸精度、組み立て精度を向上できるようになる。さらに、この実施の形態6では、一方のフィルター41により波長分離され反射された波長帯λ2の光は、反射角度を適宜設定するだけで、他方のフィルター42から直接出射させることができる。これにより、実施の形態1,2の如く、一方のフィルター2、12に対して再度入射角度を変更して入射させ波長分離させるという必要がなく、より簡単に構成することができるようになる。
(実施の形態7)
次に、この発明の実施の形態7について説明する。この発明の実施の形態7の構成は、上記各実施の形態において説明した波長分離素子から出射される波長帯別の光の出射方向の一部を光路変更させたものである。以下の説明では、実施の形態2(図5参照)において説明したキューブ型の波長分離素子15から出射される波長帯λ2の光をY軸方向に光路変更させる構成について説明する。
図14は、この発明の実施の形態7の波長分離素子を示す構成図である。図示のように、波長分離素子15から出射される波長帯λ1の光はX軸に沿った方向aから出射され、波長帯λ3の光はY軸に沿った方向bから出射することができる。しかし、波長帯λ2の光だけはY軸に対して所定角度(2・θ2=12°)の傾斜を有しているため、光軸合わせの調整が必要となる。図11に示した光モジュール30においては受光素子32をY軸に対して傾斜保持する保持部材36bが必要になる。これを解消するために図14に示すように、波長分離素子15における波長帯λ2の光が出射する面12aaには、波長帯λ2の光の光路を変更する光路変更部材50を接着等して設ける。
この光路変更部材50は、波長分離素子15を構成する光透過部材12aと同一のガラス等を用い出射面50aをX軸に沿った方向とした略くさび形に形成してなる。これにより、光路変更部材50はプリズムの作用でこの波長帯λ2の光を方向cであって、かつY軸方向に沿うよう光路を補正して出射させる。この光路変更部材50は、波長分離素子15に対して出射(および入射)される各波長帯の光の光路を変更することができ、例えばX軸やY軸方向に対して所定の角度を有して光の出射方向が偏位しているとき、この偏位を補正することができるようになる。なお、光路変更部材50は、光の出射方向の偏位を補正するに限らず、三角プリズムを用いて所望する方向に光を導くように光路を折曲させる等のために用いることもできる。なお、実施の形態2の構成であるキューブ型の波長分離素子15には直接、光路変更部材50を接着等して設けることができるが、実施の形態1において説明した分離されたフィルターの構成の場合には、フィルターから出射された光の光路上に光路変更部材50を配置すればよい。
以上説明した実施の形態7によれば、光の出射方向を所望する任意の方向に光路変更することができるため、光軸合わせの手間を省力化させたり、偏位に合わせて受光素子等を保持する保持部材等を不要にしたり、組み立て作業を容易化できるようになる。
以上説明した各実施の形態において説明した波長分離素子および光モジュールによれば、分離波長幅を広く設定でき、分離した各波長帯の光アイソレーション特性を向上できるようになる。また、フィルター個数が増加することなく簡単な構成で複数の波長帯を波長分離できるため、部品点数を削減し安価に構成することができる。
(付記1)多重化された複数の波長帯の光を各波長帯別に分離して、分離された波長帯の光を異なる出射位置から出射させる波長分離素子において、
前記多重化された複数の波長帯の光を、第1の方向に透過させる波長帯の光と、反射させる波長帯の光とに分離する波長特性を有する第1のフィルターと、
前記第1のフィルターによる前記光の反射方向上に設けられ、前記第1のフィルターにより反射された前記複数の波長帯の光を、第2の方向に透過させる波長帯の光と、反射させる波長帯の光とに分離する波長特性を有する第2のフィルターと、からなり、
前記第1のフィルターは、前記第2のフィルターから反射して再度入射された前記光の入射角に応じた波長帯の光を第3の方向に透過させる入射角−透過波長特性を有することを特徴とする波長分離素子。
(付記2)多重化された複数の波長帯の光を各波長帯別に分離して、分離された波長帯の光を異なる出射位置から出射させる波長分離素子において、
前記多重化された複数の波長帯の光を第1の波長を基準として、当該第1の波長よりも短波長側の波長帯の光を第1の方向に透過させ、当該第1の波長よりも長波長側の複数の波長帯の光を反射させる波長特性を有する第1のフィルターと、
前記第1のフィルターによる前記光の反射方向上に設けられ、前記第1のフィルターにより反射された前記複数の波長帯の光のうち、第2の波長を基準として当該第2の波長よりも長波長側の波長帯の光を第2の方向に透過させ、当該第2の波長よりも短波長側の波長帯の光を前記第1のフィルターに向けて反射させる第2のフィルターと、からなり、
前記第1のフィルターは、前記第2のフィルターから反射して再度入射された前記光の入射角に応じた波長帯の光を第3の方向に透過させる入射角−透過波長特性を有することを特徴とする波長分離素子。
(付記3)前記第1のフィルターは、当該第1のフィルターの面の法線方向と光の入射方向との間の入射角が小さくなるにしたがい透過する波長が高い波長側に波長シフトする入射角−透過波長特性を有することを特徴とする付記1または2に記載の波長分離素子。
(付記4)前記第1のフィルターと、前記第2のフィルターは、それぞれプレート膜を有し、空間を介して異なる位置に配置したことを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の波長分離素子。
(付記5)前記第1のフィルターと、前記第2のフィルターは、分割面を有する2つのプリズムを互いに接合した状態でキューブ状となるよう形成し、
前記分割面に前記第1のフィルターのフィルター膜を形成し、前記キューブ状のうち一方のプリズムの出射面に前記第2のフィルターのフィルター膜を形成したことを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の波長分離素子。
(付記6)前記多重化された複数の波長帯λ1,λ2,λ3の光は前記第1のフィルターに対し入射角θ1で入射され、
前記第1のフィルターによって反射される複数の波長帯λ2,λ3の光は前記第2のフィルターに対し入射角θ2で入射され、
前記第2のフィルターによって反射された前記波長帯λ3の光は前記第1のフィルターに対し前記入射角θ1の角度より小さい入射角θ3(θ1−(2・θ2))で再度入射されることを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載の波長分離素子。
(付記7)前記入射角θ1は45°であり、前記入射角θ2は6°であり、前記入射角θ3は、33°であることを特徴とする付記6に記載の波長分離素子。
(付記8)前記第1の波長は、前記波長帯λ1と前記波長帯λ2との間の波長に設定し、前記第2の波長は、前記波長帯λ2と前記波長帯λ3との間の波長に設定したことを特徴とする付記6または7に記載の波長分離素子。
(付記9)前記第1〜第3の方向に、それぞれ当該第1〜第3の方向から出射される波長帯の光のみを通過させるバンドパスフィルターを設けたことを特徴とする付記1〜8のいずれか一つに記載の波長分離素子。
(付記10)前記第1〜第3の方向上に、出射する光の角度を変更する光路変更部材を配置したことを特徴とする付記1〜9のいずれか一つに記載の波長分離素子。
(付記11)キューブ状となるように互いが接合された前記第1のフィルターと前記第2のフィルターを、前記多重化された波長帯λ1,λ2,λ3の光を出射する光ファイバの先端に固着したことを特徴とする付記5〜10のいずれか一つに記載の波長分離素子。
(付記12)前記光ファイバの出射端を、前記第2のフィルターに入射する前記波長帯λ2,λ3の光の入射角θ2に一致する角度θ4で傾斜させたことを特徴とする付記11に記載の波長分離素子。
(付記13)前記光路変更部材は、前記第1〜第3の方向から出射される各波長帯λ1〜λ3の波長帯の光が予め定めた基準となるX軸あるいはY軸に対して偏位している場合、当該偏位して出射される波長帯の光の光路を前記X軸あるいはY軸に沿うように角度補正する形状であることを特徴とする付記10〜12のいずれか一つに記載の波長分離素子。
(付記14)多重化された複数の波長帯の光を各波長帯別に分離して、分離された波長帯の光を異なる出射位置から出射させる波長分離素子において、
前記多重化された複数の波長帯の光を、第1の方向に透過させる波長帯の光と、反射させる波長帯の光とに分離する波長特性を有する第1のフィルターと、
前記第1のフィルターによる前記光の反射方向上に設けられ、前記第1のフィルターにより反射された前記複数の波長帯の光を、第2の方向に透過させる波長帯の光と、第3の方向に反射させる波長帯の光とに分離する波長特性を有する第2のフィルターと、
を備えたことを特徴とする波長分離素子。
(付記15)多重化された複数の波長帯の光を各波長帯別に分離して、分離された波長帯の光を異なる出射位置から出射させる波長分離素子において、
前記多重化された複数の波長帯の光を第1の波長を基準として、当該第1の波長よりも短波長側の波長帯の光を第1の方向に透過させ、当該第1の波長よりも長波長側の複数の波長帯の光を反射させる波長特性を有する第1のフィルターと、
前記第1のフィルターによる前記光の反射方向上に設けられ、前記第1のフィルターにより反射された前記複数の波長帯の光のうち、第2の波長を基準として、当該第2の波長よりも長波長側の波長帯の光を第2の方向に透過させ、当該第2の波長よりも短波長側の波長帯の光を第3の方向に反射させる第2のフィルターと、
を備えたことを特徴とする波長分離素子。
(付記16)前記第1のフィルターと、前記第2のフィルターは、分割面を有する2つのプリズムを互いに接合した状態でキューブ状となるよう形成し、
前記分割面に前記第1のフィルターのフィルター膜を形成し、前記キューブ状のうち一方のプリズムの出射面に前記第2のフィルターのフィルター膜を形成したことを特徴とする付記14または15に記載の波長分離素子。
(付記17)前記第1のフィルターのフィルター膜を、前記第2のフィルターのフィルター膜により反射された波長帯の光の光路を除く位置に形成したことを特徴とする付記16に記載の波長分離素子。
(付記18)前記第1のフィルター膜および前記第2のフィルター膜によって反射された波長帯の光が前記第1のフィルター膜から外れた位置を通過するよう、前記第1のフィルターのフィルター膜および前記第2のフィルターのフィルター膜の配置位置と入射角を設定したことを特徴とする付記16に記載の波長分離素子。
(付記19)多重化された複数の波長帯の光を各波長帯別に分離して、分離された波長帯の光を異なる出射位置から出射させる波長分離素子を備えた光モジュールにおいて、
前記波長分離素子は、
前記多重化された複数の波長帯の光を、第1の方向に透過させる波長帯の光と、反射させる波長帯の光とに分離する波長特性を有する第1のフィルターと、
前記第1のフィルターによる前記光の反射方向上に設けられ、前記第1のフィルターにより反射された前記複数の波長帯の光を、第2の方向に透過させる波長帯の光と、反射させる波長帯の光とに分離する波長特性を有する第2のフィルターと、からなり、
前記第1のフィルターは、前記第2のフィルターから反射して再度入射された前記光の入射角に応じた波長帯の光を第3の方向に透過させる入射角−透過波長特性を有し、
前記波長分離素子の前記第1〜第3の各方向に、分離された各波長帯の光を検出する受光素子を設けたことを特徴とする光モジュール。
(付記20)多重化された複数の波長帯の光を各波長帯別に分離して、分離された波長帯の光を異なる出射位置から出射させる波長分離素子を備えた光モジュールにおいて、
前記波長分離素子は、
前記多重化された複数の波長帯の光を第1の波長を基準として、当該第1の波長よりも短波長側の波長帯の光を第1の方向に透過させ、当該第1の波長よりも長波長側の複数の波長帯の光を反射させる波長特性を有する第1のフィルターと、
前記第1のフィルターによる前記光の反射方向上に設けられ、前記第1のフィルターにより反射された前記複数の波長帯の光のうち、第2の波長を基準として、当該第2の波長よりも長波長側の波長帯の光を第2の方向に透過させ、当該第2の波長よりも短波長側の波長帯の光を前記第1のフィルターに向けて反射させる第2のフィルターと、からなり、
前記第1のフィルターは、前記第2のフィルターから反射して再度入射された前記光の入射角に応じた波長帯の光を第3の方向に透過させる入射角−透過波長特性を有し、
前記波長分離素子の前記第1〜第3の各方向に、分離された各波長帯の光を検出する受光素子を設けたことを特徴とする光モジュール。
(付記21)多重化された複数の波長帯の光を各波長帯別に分離して、分離された波長帯の光を異なる出射位置から出射させる波長分離素子を備えた光モジュールにおいて、
前記波長分離素子は、
前記多重化された複数の波長帯の光を第1の波長を基準として、当該第1の波長よりも短波長側の波長帯の光を第1の方向に透過させ、当該第1の波長よりも長波長側の複数の波長帯の光を反射させる波長特性を有する第1のフィルターと、
前記第1のフィルターによる前記光の反射方向上に設けられ、前記第1のフィルターにより反射された前記複数の波長帯の光のうち、第2の波長を基準として、当該第2の波長よりも長波長側の波長帯の光を第2の方向に透過させ、当該第2の波長よりも短波長側の波長帯の光を第3の方向に反射させる第2のフィルターと、を備え、
前記波長分離素子の前記第1〜第3の各方向に、分離された各波長帯の光を検出する受光素子を設けたことを特徴とする光モジュール。
(付記22)前記波長分離素子の前記第1〜第3の方向のうちいずれか一つあるいは複数に、前記波長分離する波長帯の光を当該波長分離素子に入射させる発光素子を設けたことを特徴とする付記19〜21のいずれか一つに記載の光モジュール。
(付記23)前記波長分離素子を構成する前記第1のフィルターと、前記第2のフィルターは、分割面を有する2つのプリズムを互いに接合した状態でキューブ状となるよう形成し、
前記分割面に前記第1のフィルターのフィルター膜を形成し、前記キューブ状のうち一方のプリズムの出射面に前記第2のフィルターのフィルター膜を形成したことを特徴とする付記19〜22のいずれか一つに記載の光モジュール。
(付記24)前記多重化された波長帯λ1,λ2,λ3の光を出射する光ファイバの先端部を収容し、
前記光ファイバの先端部に前記波長分離素子を固着したことを特徴とする付記23に記載の光モジュール。
(付記25)前記第1〜第3の方向に、それぞれ当該第1〜第3の方向から出射される波長帯の光のみを通過させるバンドパスフィルターを設けたことを特徴とする付記19〜24のいずれか一つに記載の光モジュール。
以上のように、本発明にかかる波長分離素子および光モジュールは、波長多重された複数の波長帯の光を分離、あるいは合成する高密度波長多重光通信システムに有用であり、特に、分離波長幅を大きくし波長帯別の分離性能を向上させる光モジュール等の光部品に適している。
この発明の実施の形態1の波長分離素子を示す構成図である。 一方のフィルターの波長特性を示す図表である。 他方のフィルターの波長特性を示す図表である。 実施の形態1による波長分離素子の構成例を示す図である。 この発明の実施の形態2の波長分離素子を示す構成図である。 実施の形態2による波長分離素子の構成例を示す図である。 この発明の実施の形態3の波長分離素子を示す構成図である。 一方のバンドパスフィルターの波長特性を示す図表である。 他方のバンドパスフィルターの波長特性を示す図表である。 実施の形態4による光モジュールの構成例を示すブロック図である。 光モジュールの具体的構成を示す平面図である。 この発明の実施の形態5による波長分離素子を示す構成図である。 この発明の実施の形態6の波長分離素子を示す構成図である。 この発明の実施の形態7の波長分離素子を示す構成図である。 従来の波長分離方法の一例を示す構成図である。 図15に示す一方のフィルターの波長特性を示す図表である。 図15に示す他方のフィルターの波長特性を示す図表である。
符号の説明
1,15,40 波長分離素子
2,3,12,13,41,42 フィルター
2a,3a,12a,13a,41a,42a 光透過部材
2b,3b,12b,13b,41b,42b フィルター膜
10 光路
11 光ファイバ
14,43 分割面
21,22 バンドパスフィルター
30 光モジュール
31,32 受光素子
33 発光素子
35 フェルール
36 筐体
36a 側壁
36b 保持部材
50 光路変更部材
λ1,λ2,λ3 波長帯

Claims (4)

  1. 多重化された複数の波長帯の光を各波長帯別に分離して、分離された波長帯の光を異なる出射位置から出射させる波長分離素子において、
    前記多重化された複数の波長帯の光を、第1の方向に透過させる波長帯の光と、反射させる波長帯の光とに分離する波長特性を有する第1のフィルターと、
    前記第1のフィルターによる前記光の反射方向上に設けられ、前記第1のフィルターにより反射された前記複数の波長帯の光を、第2の方向に透過させる波長帯の光と、反射させる波長帯の光とに分離する波長特性を有する第2のフィルターと、からなり、
    前記第1のフィルターは、前記第2のフィルターから反射して再度入射された前記光の入射角に応じた波長帯の光を第3の方向に透過させる入射角−透過波長特性を有することを特徴とする波長分離素子。
  2. 多重化された複数の波長帯の光を各波長帯別に分離して、分離された波長帯の光を異なる出射位置から出射させる波長分離素子において、
    前記多重化された複数の波長帯の光を第1の波長を基準として、当該第1の波長よりも短波長側の波長帯の光を第1の方向に透過させ、当該第1の波長よりも長波長側の複数の波長帯の光を反射させる波長特性を有する第1のフィルターと、
    前記第1のフィルターによる前記光の反射方向上に設けられ、前記第1のフィルターにより反射された前記複数の波長帯の光のうち、第2の波長を基準として当該第2の波長よりも長波長側の波長帯の光を第2の方向に透過させ、当該第2の波長よりも短波長側の波長帯の光を前記第1のフィルターに向けて反射させる第2のフィルターと、からなり、
    前記第1のフィルターは、前記第2のフィルターから反射して再度入射された前記光の入射角に応じた波長帯の光を第3の方向に透過させる入射角−透過波長特性を有することを特徴とする波長分離素子。
  3. 前記第1のフィルターと、前記第2のフィルターは、分割面を有する2つのプリズムを互いに接合した状態でキューブ状となるよう形成し、
    前記分割面に前記第1のフィルターのフィルター膜を形成し、前記キューブ状のうち一方のプリズムの出射面に前記第2のフィルターのフィルター膜を形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の波長分離素子。
  4. 多重化された複数の波長帯の光を各波長帯別に分離して、分離された波長帯の光を異なる出射位置から出射させる波長分離素子を備えた光モジュールにおいて、
    前記波長分離素子は、
    前記多重化された複数の波長帯の光を、第1の方向に透過させる波長帯の光と、反射させる波長帯の光とに分離する波長特性を有する第1のフィルターと、
    前記第1のフィルターによる前記光の反射方向上に設けられ、前記第1のフィルターにより反射された前記複数の波長帯の光を、第2の方向に透過させる波長帯の光と、反射させる波長帯の光とに分離する波長特性を有する第2のフィルターと、からなり、
    前記第1のフィルターは、前記第2のフィルターから反射して再度入射された前記光の入射角に応じた波長帯の光を第3の方向に透過させる入射角−透過波長特性を有し、
    前記波長分離素子の前記第1〜第3の各方向に、分離された各波長帯の光を検出する受光素子を設けたことを特徴とする光モジュール。
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